(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180756
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】温度センサ装置及び電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20231214BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20231214BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20231214BHJP
【FI】
H01M10/48 301
H01M50/204 401D
H01M50/209
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094311
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】岡住 綾馬
【テーマコード(参考)】
5H030
5H040
【Fターム(参考)】
5H030FF22
5H040AA27
5H040AT02
5H040AY04
5H040AY05
5H040DD26
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】電池セルの複数箇所における異なる温度変化を検出する。
【解決手段】温度センサ装置40は、電池セル100の複数箇所に取り付けられた複数の温度センサ420を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルの複数箇所に取り付けられた複数の温度センサを備える温度センサ装置。
【請求項2】
前記電池セルの前記複数箇所における所定の条件下での温度変化が互いに異なる、請求項1に記載の温度センサ装置。
【請求項3】
前記電池セルと異なる他の電池セルの少なくとも1箇所に取り付けられた少なくとも1つの他の温度センサをさらに備える、請求項1又は2に記載の温度センサ装置。
【請求項4】
前記電池セル及び前記他の電池セルにおける所定の条件下での温度変化が互いに異なる、請求項3に記載の温度センサ装置。
【請求項5】
前記複数の温度センサが取り付けられた支持体をさらに備える、請求項1又は2に記載の温度センサ装置。
【請求項6】
前記複数の温度センサが前記電池セルの側方に配置されている、請求項1又は2に記載の温度センサ装置。
【請求項7】
前記電池セルと、
請求項1又は2に記載の温度センサ装置と、
を備える電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサ装置及び電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池モジュールに取り付けられる様々な温度センサ装置が開発されている。例えば特許文献1に記載の温度センサ装置は、電池モジュールに含まれる電池セルに取り付けられたサーミスタ素子と、電池モジュールに含まれる他の電池セルに取り付けられた他のサーミスタ素子と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池セルが加熱又は冷却の温調を受けた場合、電池セルの温度変化は、電池セルの位置に応じて異なることがある。例えば特許文献1に記載されているように、1つの電池セルに対して1つの温度センサしか設けられていない場合、電池セルの複数箇所における異なる温度変化の検出が難しいことがある。
【0005】
本発明の目的の一例は、電池セルの複数箇所における異なる温度変化を検出することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
電池セルの複数箇所に取り付けられた複数の温度センサを備える温度センサ装置。
[2]
前記電池セルの前記複数箇所における所定の条件下での温度変化が互いに異なる、[1]に記載の温度センサ装置。
[3]
前記電池セルと異なる他の電池セルの少なくとも1箇所に取り付けられた少なくとも1つの他の温度センサをさらに備える、[1]又は[2]に記載の温度センサ装置。
[4]
前記電池セル及び前記他の電池セルにおける所定の条件下での温度変化が互いに異なる、[3]に記載の温度センサ装置。
[5]
前記複数の温度センサが取り付けられた支持体をさらに備える、[1]~[4]のいずれか一つに記載の温度センサ装置。
[6]
前記複数の温度センサが前記電池セルの側方に配置されている、[1]~[5]のいずれか一つに記載の温度センサ装置。
[7]
前記電池セルと、
[1]~[6]のいずれか一つに記載の温度センサ装置と、
を備える電池モジュール。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、電池セルの複数箇所における異なる温度変化を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る電池モジュールの分解斜視図である。
【
図2】実施形態に係る温度センサ装置を、一部の電池セル、下方カバー、前方電圧検出装置とともに示す後方斜視図である。
【
図3】実施形態に係る前方電圧検出装置及び温度センサ装置の後方から見たときの左下部分の拡大図である。
【
図4】
図3に示した温度センサを弾性部材とともに示す平面図である。
【
図5】
図3に示した温度センサを弾性部材とともに示す左側面図である。
【
図6】前方電圧検出装置及び温度センサ装置をセル積層体に取り付ける方法を説明するための図である。
【
図7】前方電圧検出装置及び温度センサ装置をセル積層体に取り付ける方法を説明するための図である。
【
図8】
図7に示した状態における電池セル及び下方カバーの間の構造を後方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る電池モジュール1の分解斜視図である。
【0011】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向を示す矢印が示されている。X方向は、電池モジュール1の前後方向である。以下、特に断りがない限り、X方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1の後側とする。以下、特に断りがない限り、X方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1の前側とする。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池モジュール1の左右方向である。以下、特に断りがない限り、Y方向を示す矢印の先端側を、前方から見て電池モジュール1の左側とし、後方から見て電池モジュール1の右側とする。以下、特に断りがない限り、Y方向を示す矢印の基端側を、前方から見て電池モジュール1の右側とし、後方から見て電池モジュール1の左側とする。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池モジュール1の上下方向である。以下、特に断りがない限り、Z方向を示す矢印の先端側を電池モジュール1の上側とする。以下、特に断りがない限り、Z方向を示す矢印の基端側を電池モジュール1の下側とする。以下、必要に応じて、X方向に垂直な方向をYZ平面方向という。以下、必要に応じて、Y方向に垂直な方向をZX平面方向という。以下、必要に応じて、Z方向に垂直な方向をXY平面方向という。なお、X方向、Y方向及びZ方向の各々と、電池モジュール1の前後方向、左右方向及び上下方向の各々と、の関係は、上述した例に限定されない。
【0012】
電池モジュール1は、セル積層体10、収容体20、前方電圧検出装置30及び後方電圧検出装置30´を備えている。
【0013】
セル積層体10は、複数の電池セル100及び複数のコンプレッションパッド110を有している。複数の電池セル100及び複数のコンプレッションパッド110は、Y方向に交互に配列されている。各電池セル100のY方向の両側には、コンプレッションパッド110が配置されている。複数の電池セル100及び複数のコンプレッションパッド110は、後述する右方カバー230及び左方カバー240によってY方向に圧縮されている。これによって、電池セル100のZX平面方向のずれを抑制することができる。
【0014】
各電池セル100の長手方向は、X方向に略平行となっている。各電池セル100の短手方向は、Z方向に略平行となっている。各電池セル100の厚み方向は、Y方向に略平行となっている。複数の電池セル100は、Y方向に積層されている。なお、各電池セル100の形状は、この例に限定されない。
【0015】
各電池セル100は、不図示の電池要素、外装材102、正極タブ104及び負極タブ106を含んでいる。電池要素は、Y方向に交互に積層された不図示の複数の正極及び複数の負極と、Y方向に隣り合う正極及び負極の間に位置する不図示のセパレータと、を含んでいる。外装材102は、電池要素と、不図示の電解液と、を封止している。正極タブ104は、電池要素の正極に電気的に接続されている。正極タブ104は、外装材102のX方向の両側の辺の一方かから引き出されている。負極タブ106は、電池要素の負極に電気的に接続されている。負極タブ106は、外装材102のX方向の両側の辺の他方から引き出されている。ただし、各電池セル100の構造は、この例に限定されない。
【0016】
実施形態では、複数のセル群100Gが、Y方向の一端に位置するセル群100GからY方向の他端に位置するセル群100Gにかけて直列に接続されている。各セル群100Gは、並列に接続された複数の電池セル100を含んでいる。実施形態において、各セル群100Gは、Y方向に隣り合う2つの電池セル100を含んでいる。各セル群100Gに含まれる2つの電池セル100から引き出された2つの正極タブ104は、X方向の同じ側に向けられている。各セル群100Gに含まれる2つの電池セル100から引き出された2つの負極タブ106は、X方向の同じ側に向けられている。Y方向に隣り合うセル群100Gの一方から引き出された正極タブ104及び負極タブ106と、Y方向に隣り合うセル群100Gの他方から引き出された正極タブ104及び負極タブ106と、はX方向において互いに反対側に向けられている。Y方向に隣り合う2つのセル群100Gは、当該2つのセル群100Gの前方又は後方に位置するタブ群108を含んでいる。タブ群108は、互いに接合された正極タブ104及び負極タブ106を含んでいる。タブ群108に含まれる正極タブ104及び負極タブ106は、例えばレーザ溶接によって互いに接合されている。これによって、セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108と、セル積層体10の後方に位置する複数のタブ群108と、がY方向に互い違いに配置されている。
【0017】
セル積層体10の構成は、上述の例に限定されない。例えば、各セル群100Gは、3つ以上の並列に接続された電池セル100を含んでいてもよい。或いは、単一の電池セル100が複数、Y方向の一端に位置する電池セル100からY方向の他端に位置する電池セル100にかけて直列に接続されていてもよい。
【0018】
収容体20は、前方カバー210、後方カバー220、右方カバー230、左方カバー240、下方カバー250及び上方カバー260を有している。各カバーは、例えば、アルミニウム等の金属からなっている。前方カバー210は、セル積層体10及び前方電圧検出装置30の前方を覆っている。後方カバー220は、セル積層体10及び後方電圧検出装置30´の後方を覆っている。前方から見て、右方カバー230は、セル積層体10の右方を覆っている。前方から見て、左方カバー240は、セル積層体10の左方を覆っている。下方カバー250は、セル積層体10の下方を覆っている。下方カバー250の上面と、セル積層体10の下端と、の間には熱伝導性接着剤252が配置されている。このため、セル積層体10から発生した熱を、熱伝導性接着剤252を通して電池モジュール1の下方に向けて逃がすことができる。上方カバー260は、セル積層体10の上方を覆っている。
【0019】
前方電圧検出装置30は、保持体310、複数の電圧検出部320、複数の電圧検出線322、電圧検出コネクタ324及び正極バスバー330を有している。
【0020】
保持体310は、セル積層体10の前方に配置されている。保持体310には、複数の開口312が設けられている。セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108の各々は、複数の開口312の各々を通して前方に向けて露出されている。保持体310は、複数の電圧検出部320及び複数の電圧検出線322を一体的に保持している。
【0021】
複数の電圧検出部320は、保持体310に取り付けられている。複数の電圧検出部320の各々は、セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108の各々の前面に例えばレーザ溶接によって接合されている。複数の電圧検出部320は、複数の電圧検出線322を介して電圧検出コネクタ324に電気的に接続されている。複数の電圧検出線322は、保持体310を介して配策されている。実施形態では、保持体310をセル積層体10に対して適当な位置に設置することで、複数の電圧検出部320の各々を、セル積層体10の前方に位置する複数のタブ群108の各々に対して適当な位置に配置することができる。
【0022】
正極バスバー330は、前方から見てセル積層体10の右端に位置する電池セル100から前方に向けて引き出された正極タブ104に電気的に接続されている。電池モジュール1は、正極バスバー330を介して、不図示の他の電池モジュールに電気的に接続可能になっている。
【0023】
後方電圧検出装置30´は、セル積層体10の後方に配置されている。後方電圧検出装置30´は、前方電圧検出装置30と同様にして、保持体と、保持体によって保持された電圧検出線と、を有している。後方電圧検出装置30´は、前方から見てセル積層体10の左端に位置する電池セル100から後方に向けて引き出された負極タブ106に電気的に接続された負極バスバーをさらに有している。
【0024】
図2は、実施形態に係る温度センサ装置40を、一部の電池セル100、下方カバー250、前方電圧検出装置30とともに示す後方斜視図である。
図3は、実施形態に係る前方電圧検出装置30及び温度センサ装置40の後方から見たときの左下部分の拡大図である。
図4は、
図3に示した温度センサ420を弾性部材440とともに示す平面図である。
図5は、
図3に示した温度センサ420を弾性部材440とともに示す左側面図である。
図4において、Z方向を示す黒点付き白丸は、紙面の奥から手前に向けて電池モジュール1の上側であり、紙面の手前から奥に向けて電池モジュール1の下側であることを示している。
図5において、Y方向を示すX付き白丸は、後方から見たときの電池モジュール1の右側が紙面の手前から奥に向かう側であり、後方から見たときの電池モジュール1の左側が紙面の奥から手前に向かう側であることを示している。
【0025】
図2を参照して、温度センサ装置40について説明する。
【0026】
電池モジュール1は、温度センサ装置40を備えている。温度センサ装置40は、支持体410及び一対の温度センサ420を2つ有している。各温度センサ420は、例えばサーミスタである。
【0027】
後方から見て、支持体410は、保持体310の左側部の後方に位置している。支持体410は、横延在体412及び一対の縦延在体414を含んでいる。後方から見て、横延在体412は、保持体310の左側下端部の後方に位置している。横延在体412は、Y方向に略平行に延在している。一対の縦延在体414は、横延在体412のY方向の両端部から上方に向けてZ方向に略平行に延在している。後方から見て、左側の縦延在体414は、保持体310の略左端部の後方に位置している。後方から見て、右側の縦延在体414は、保持体310の略中央部の後方に位置している。
【0028】
後方から見て、左側の一対の温度センサ420は、横延在体412の左端部と、左側の縦延在体414の上端部と、に取り付けられている。当該一対の温度センサ420は、Z方向に略平行に対向している。当該一対の温度センサ420は、支持体410から後方に向けて突出している。当該一対の温度センサ420は、後方から見て、セル積層体10のY方向の略左端に配置される電池セル100の温度を検出している。具体的には、当該一対の温度センサ420は、当該電池セル100の前端部の上側側方及び下側側方に配置されている。これによって、当該一対の温度センサ420は、当該電池セル100の前端部の上端部及び下端部の温度を検出している。この場合、温度センサ420がY方向に隣り合う電池セル100の間に配置される場合と比較して、電池モジュール1のY方向のサイズを低減することができる。
【0029】
後方から見て、右側の一対の温度センサ420は、横延在体412の右端部と、右側の縦延在体414の上端部と、に取り付けられている。当該一対の温度センサ420は、Z方向に略平行に対向している。当該一対の温度センサ420は、支持体410から後方に向けて突出している。当該一対の温度センサ420は、後方から見て、セル積層体10のY方向の略中央に配置される電池セル100の温度を検出している。具体的には、当該一対の温度センサ420は、当該電池セル100の前端部の上側側方及び下側側方に配置されている。これによって、当該一対の温度センサ420は、当該電池セル100の前端部の上端部及び下端部の温度を検出している。この場合、温度センサ420がY方向に隣り合う電池セル100の間に配置される場合と比較して、電池モジュール1のY方向のサイズを低減することができる。
【0030】
セル積層体10のY方向の略中央に配置された電池セル100の温度は、セル積層体10のY方向の略中央からY方向にずれた位置に配置された電池セル100の温度と比較して、セル積層体10の周囲の環境の影響を受けにくい。したがって、各電池セル100の充電等、各電池セル100の昇温の所定の条件下において、セル積層体10のY方向の略中央に配置された電池セル100の温度は、セル積層体10のY方向の略中央からY方向にずれた位置に配置された電池セル100の温度と比較して、上昇しやすく、下降しにくくなっている。このため、セル積層体10に含まれる複数の電池セル100の当該所定の条件下での温度変化はセル積層体10内のY方向の位置に応じて互いに異なっている。実施形態では、後方から見て、左側の一対の温度センサ420と、右側の一対の温度センサ420と、によって、セル積層体10のY方向の略左端及び略中央における異なる温度変化を検出することができる。このため、当該温度変化に応じて、セル積層体10の温度を制御することができる。
【0031】
実施形態では、下方カバー250の上面に熱伝導性接着剤252が配置されている。したがって、各電池セル100の充電等、各電池セル100の昇温の所定の条件下において、各電池セル100のZ方向の下端部の温度は、熱伝導性接着剤252の冷却の影響によって、各電池セル100のZ方向の上端部の温度より低くなりやすい。このため、各電池セル100の当該所定の条件下での温度変化は、各電池セル100内のZ方向の位置に応じて異なっている。実施形態では、後方から見て、左側の一対の温度センサ420によって、セル積層体10のY方向の略左端に位置する電池セル100の下端部及び上端部における異なる温度変化を検出することができる。同様にして、後方から見て、右側の一対の温度センサ420によって、セル積層体10のY方向の略中央に位置する電池セル100の下端部及び上端部における異なる温度変化を検出することができる。このため、当該温度変化に応じて、セル積層体10の温度を制御することができる。
【0032】
温度センサ420の配置は、実施形態に係る配置に限定されない。
【0033】
例えば、1つの電池セル100のZ方向に異なる3箇所以上に温度センサ420が取り付けられていてもよい。例えば、電池セル100のZ方向の略上端部、略下端部及び略中央部に温度センサ420が取り付けられていてもよい。この例においても、当該電池セル100のZ方向の複数箇所における異なる温度変化を検出することができる。また、温度センサ420は、電池セル100のZ方向の上端部及び下端部に設けられていなくてもよい。例えば、温度センサ420は、電池セル100の上端部から下方にずれた箇所に取り付けられていてもよい。同様にして、温度センサ420は、電池セル100の下端部から上方にずれた箇所に取り付けられていてもよい。また、1つの電池セル100に対して1つのみの温度センサ420が取り付けられていてもよい。
【0034】
また、セル積層体10のY方向の異なる3箇所以上に温度センサ420が取り付けられていてもよい。例えば、セル積層体10のY方向の略左端、略中央及び略右端に温度センサ420が取り付けられていてもよい。この例においても、セル積層体10のY方向の複数箇所における異なる温度変化を検出することができる。また、温度センサ420は、後方から見て、温度センサ420は、セル積層体10の略中央及び略左端に設けられていてなくてもよい。例えば、後方から見て、温度センサ420は、セル積層体10の略左端から右方にずれた箇所に取り付けられていてもよい。同様にして、後方から見て、温度センサ420は、セル積層体10の略中央から左方又は右方にずれた箇所に取り付けられていてもよい。
【0035】
実施形態では、温度センサ420は、電池セル100の前端部に取り付けられている。したがって、温度センサ420を支持体410の比較的近傍に設けることができる。各電池セル100の充電等、各電池セル100の昇温の所定の条件下において、各電池セル100のX方向の両端部の温度は、各電池セル100のX方向の略中央部の温度と比較して、上昇しやすく、下降しにくくなっている。また、電池セル100の急速充電等、高入出力条件では、各電池セル100のX方向の両端部の温度は、各電池セル100のX方向の略中央部の温度と比較して高くなりやすい。実施形態では、これらの条件下において電池セル100の温度が比較的高くなりやすい箇所に温度センサ420が設けられている。したがって、電池セル100の制御の観点からして望ましい位置に温度センサ420を配置することができる。しかしながら、温度センサ420は、電池セル100の前端部より後方の箇所に取り付けられていてもよい。例えば、温度センサ420は、電池セル100のX方向の略中央に取り付けられていてもよい。或いは、温度センサ420は、電池セル100の後端部に取り付けられていてもよい。この例では、例えば、
図1に示した後方電圧検出装置30´に温度センサ420が取り付けられていてもよい。
【0036】
上述した所定の条件下において各電池セル100のZ方向の複数箇所の温度変化が異なる要因は、熱伝導性接着剤252による冷却の影響に限定されない。すなわち、当該所定の条件下における各電池セル100のZ方向の複数箇所の温度変化は、例えば、各電池セル100の上方及び下方の一方に、加熱器、冷却器、放熱器等の温度調整部材を配置し、各電池セル100の上方及び下方の他方に温度調整部材を配置しないことで、互いに異なる。
【0037】
図3~
図5を参照して、後方から見て支持体410の左下部分に取り付けられた温度センサ420について説明する。
図3を参照して当該温度センサ420について説明した構成は、支持体410の他の部分に取り付けられた温度センサ420にも同様に適用可能である。
【0038】
温度センサ420は、支持板430及び取付具432によって保持体310及び支持体410に取り付けられている。支持板430は、例えば、プラスチック板である。ただし、支持板430の材料はこの例に限定されない。支持板430は、突出部430a及び前端部430bを含んでいる。突出部430aは、支持体410の後方に向けて突出している。温度センサ420は、突出部430aの上面に例えば接着剤を介して取り付けられている。これによって、温度センサ420は、突出部430aによって支持されている。前端部430bは、突出部430aに対して上方に向けて折り曲げられている。前端部430bは、取付具432によって横延在体412の後面に取り付けられている。これによって、温度センサ420のXY平面方向内の位置を固定することができる。
図3に示す例において、取付具432はリベットである。ただし、取付具432は、ねじ等の、リベットと異なる取付具であってもよい。取付具432は、前端部430bの後方から横延在体412及び保持体310に挿通されている。取付具432は、例えば樹脂等の電気絶縁材料からなっている。したがって、取付具432は、絶縁性を有している。この例においては、外装材102の金属部分が取付具432に接触しても、外装材102と取付具432との短絡を抑制することができる。ただし、取付具432は、例えば金属等の導電性材料からなっていてもよい。
【0039】
温度センサ420の前端部には、温度センサ線422の一端が接続されている。温度センサ線422は、支持体410を介して配策されている。したがって、温度センサ線422は、支持体410によって保持されている。温度センサ線422の他端は、
図1及び
図2に示した温度センサコネクタ424に電気的に接続されている。
【0040】
図6及び
図7は、前方電圧検出装置30及び温度センサ装置40をセル積層体10に取り付ける方法を説明するための図である。
図8は、
図7に示した状態における電池セル100及び下方カバー250の間の構造を後方から見た図である。
図8において、X方向を示す黒点付き白丸は、紙面の奥から手前に向けて電池モジュール1の後側であり、紙面の手前から奥に向けて電池モジュール1の前側であることを示している。
【0041】
前方電圧検出装置30及び温度センサ装置40は、以下のようにして、セル積層体10に取り付けられている。
【0042】
まず、前方電圧検出装置30の後面に温度センサ装置40を取り付ける。具体的には、保持体310の後面に支持体410の前面を例えばスナップフィットによって機械的に接合させる。
【0043】
次いで、
図6に示すように、温度センサ装置40が取り付けられた前方電圧検出装置30をセル積層体10の前方に設置する。これによって、
図1に示した複数の電圧検出部320の各々が、セル積層体10の前方に位置する
図1に示した複数のタブ群108の各々の前方に配置される。この状態において、各電圧検出部320及び各タブ群108を例えばレーザ溶接によって接合させることができる。また、
図6に示す状態では、前方電圧検出装置30をセル積層体10に対して適当な位置に設置することで、
図2に示した複数の温度センサ420をセル積層体10に対して適当な位置に一体的に配置することができる。このため、実施形態においては、前方電圧検出装置30の取り付けと、温度センサ装置40の取り付けと、を別々に行う場合と比較して、温度センサ420を電池セル100に取り付けるための作業性を向上させることができる。
【0044】
温度センサ420及び支持板430は、可撓性を有している。具体的には、温度センサ420は、温度センサ420の前端部及び後端部の間で可撓性を有している。同様にして、支持板430は、突出部430aの前端部及び後端部の間で可撓性を有している。したがって、温度センサ420及び支持板430を電池セル100に沿って取り付けやすくすることができる。また、温度センサ420及び支持板430を電池セル100の位置のばらつきに追従させやすくすることができる。
図6に示す例では、温度センサ420の上面の一部が電池セル100の前方下端部に接触している。これによって、Y方向から見て、温度センサ420及び支持板430は、下方に向けて撓んでいる。
【0045】
次いで、
図7に示すように、前方電圧検出装置30に下方カバー250を取り付ける。具体的には、保持体310の下端部に設けられた突起314が下方カバー250の前端部をZ方向に貫通することで、下方カバー250が保持体310に取り付けられている。ただし、下方カバー250を保持体310に取り付けるための構造はこの例に限定されない。下方カバー250が保持体310に取り付けられた状態で、下方カバー250は、
図1に示した熱伝導性接着剤252を介してセル積層体10の下方に配置されている。
図1に示すように、前方から見て、下方カバー250の上面の右側前端部の2箇所には、2つの弾性部材440が配置されている。実施形態において、弾性部材440は、スポンジである。ただし、弾性部材440は、板バネ等の、スポンジと異なる弾性部材であってもよい。弾性部材440は、例えば接着剤を介して下方カバー250の上面に取り付けられている。当該2つの弾性部材440は、下方カバー250が保持体310に取り付けられた状態で、支持体410の下部に取り付けられた2つの温度センサ420とZ方向に重なっている。したがって、下方カバー250が保持体310に取り付けられた状態で、
図8に示すように、Z方向において電池セル100の下端部と下方カバー250の上面との間に温度センサ420及び支持板430が配置されている。
【0046】
図7及び
図8に示すように、下方カバー250は、弾性部材440を介して温度センサ420及び支持板430を上方に向けて押圧している。すなわち、下方カバー250は、弾性部材440を介して温度センサ420及び支持板430を上方に向けて押圧する押圧体となっている。これによって、温度センサ420及び支持板430は、
図7に示すように撓んだ状態から、
図8に示すようにX方向に略平行な沿った状態となっている。このため、
図8に示すように、弾性部材440は、下方カバー250及び支持板430によってZ方向に圧縮されている。したがって、下方カバー250が保持体310に取り付けられた状態において、支持板430及び温度センサ420は、弾性部材440によって電池セル100の下端に向けて付勢されている。このため、温度センサ420を簡易な構成で電池セル100の下端に対して固定することができる。
【0047】
上方カバー260の下面と、支持体410の上部に取り付けられた温度センサ420の上面と、の間にも、
図8に示した例と同様にして、弾性部材440に相当する弾性部材が配置されていてもよい。この構造においては、弾性部材によって温度センサ420を電池セル100の上端に向けて付勢することができる。したがって、温度センサ420を簡易な構成で電池セル100の上端に対して固定することができる。
【0048】
実施形態の説明より、弾性部材440は、温度センサ420と、当該温度センサ420を電池セル100に向けて押圧する下方カバー250、上方カバー260等の押圧体と、の間に位置させることができる。弾性部材440が温度センサ420と押圧体との間に位置する場合、弾性部材440によって温度センサ420をセル積層体10に向けて付勢することができる。これによって、温度センサ420を簡易な構成で電池セル100に対して固定することができる。
【0049】
図8に示す例において、温度センサ420は、支持板430及び弾性部材440によって下方カバー250から遮熱されていてもよい。例えば、支持板430及び弾性部材440は、遮熱性を有する材料からなっていてもよい。この例においては、電池セル100と下方カバー250との間に温度勾配が生じても、温度センサ420は、下方カバー250の温度によらず、電池セル100の温度を正確に検出することができる。電池セル100と下方カバー250との間の温度勾配は、例えば、電池セル100の充電等によって電池セル100の温度が生じしている一方で、下方カバー250が冷却されている状態において生じる。
【0050】
図8に示す例において、外装材102は、封止辺102aを有している。封止辺102aは、電池セル100の右側下面100aと、電池セル100の左側下面100bと、の間から引き出されており、右側下面100aの下方で折り返されている。温度センサ420は、封止辺102aを介さずに電池セル100に向けて押圧されていることが好ましい。すなわち、温度センサ420は、電池セル100の左側下面100bに接していることが望ましい。温度センサ420が電池セル100の左側下面100bに接している場合、電池セル100の右側下面100aと封止辺102aとの間に空気層が存在しても、温度センサ420によって電池セル100の温度を正確に検出することができる。また、温度センサ420が可撓性を有する場合、温度センサ420を電池セル100の左側下面100bに接触させやすくすることができる。
【0051】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0052】
例えば、実施形態において、温度センサ装置40は、複数の温度センサ420を有している。しかしながら、温度センサ装置40に設けられる温度センサ420の数は1つのみであってもよい。
【0053】
また、実施形態において、温度センサ420は、支持体410を介して前方電圧検出装置30に取り付けられている。しかしながら、温度センサ420は、支持体410を介さずに前方電圧検出装置30に直接取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 電池モジュール
10 セル積層体
20 収容体
30 前方電圧検出装置
30´ 後方電圧検出装置
40 温度センサ装置
100 電池セル
100a 右側下面
100b 左側下面
100G セル群
102 外装材
102a 封止辺
104 正極タブ
106 負極タブ
108 タブ群
110 コンプレッションパッド
210 前方カバー
220 後方カバー
230 右方カバー
240 左方カバー
250 下方カバー
252 熱伝導性接着剤
260 上方カバー
310 保持体
312 開口
314 突起
320 電圧検出部
322 電圧検出線
324 電圧検出コネクタ
330 正極バスバー
410 支持体
412 横延在体
414 縦延在体
420 温度センサ
422 温度センサ線
424 温度センサコネクタ
430 支持板
430a 突出部
430b 前端部
432 取付具
440 弾性部材