(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180776
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】衛星コンステレーション、地上設備、人工衛星、ミッション衛星、通信衛星、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B64G 1/10 20060101AFI20231214BHJP
B64G 1/24 20060101ALI20231214BHJP
B64G 3/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B64G1/10 600
B64G1/10 100
B64G1/24 200
B64G1/10 328
B64G1/10 335
B64G3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094351
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】迎 久幸
(57)【要約】
【課題】多様なミッション衛星の目的を高頻度でまたは常時達成し、リアルタイムで地上設備に衛星情報を伝送するLEO衛星コンステレーションを実現したい。
【解決手段】衛星コンステレーション20は、1機以上のミッション衛星と、1機以上の通信衛星とから構成される。各ミッション衛星は、各ミッション衛星の前方および後方に位置する衛星と通信する第1の通信装置と、地上設備90と通信する第2の通信装置とを具備する。各通信衛星は、第1の通信装置と第2の通信装置とを具備する。1機以上のミッション衛星と1機以上の通信衛星とは円環状通信網を形成している。各ミッション衛星は、各ミッション衛星が取得した衛星情報を、円環状通信網と、地上設備90と通信可能な範囲内を飛翔している衛星30とを経由して地上設備90に伝送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1機以上のミッション衛星と、1機以上の通信衛星とから構成され、
前記1機以上のミッション衛星の各々は、第1の通信装置と、地上設備と通信する第2の通信装置との各々を具備する人工衛星であり、
前記1機以上の通信衛星の各々は、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との各々を具備する人工衛星であり、
前記1機以上のミッション衛星と、前記1機以上の通信衛星とは対象軌道面を飛翔しており、
前記1機以上のミッション衛星と、前記1機以上の通信衛星との総数は6機以上であり、
前記第1の通信装置は、前記対象軌道面において前記第1の通信装置を具備する人工衛星の進行方向に対して前方および後方の各々に位置する人工衛星と通信し、
前記対象軌道面において、前記1機以上のミッション衛星と前記1機以上の通信衛星とは円環状通信網を形成しており、
前記1機以上のミッション衛星の各々を対象ミッション衛星としたとき、前記対象ミッション衛星は、前記対象ミッション衛星が取得した衛星情報を、前記円環状通信網と、前記対象軌道面を飛翔している人工衛星のうち前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔しているいずれかの人工衛星とを経由して前記地上設備に伝送する衛星コンステレーション。
【請求項2】
対象軌道高度を飛翔している1機以上のミッション衛星と、前記対象軌道高度を飛翔している1機以上の通信衛星とから構成される衛星コンステレーションであって、
前記衛星コンステレーションは複数の人工衛星群を備え、
前記複数の人工衛星群を構成する各人工衛星群は、互いに異なる軌道面を飛翔し、複数の人工衛星から構成され、
前記複数の人工衛星群は、法線ベクトルのアジマス成分が経度方向に分散された複数の軌道面を形成しており、
前記複数の人工衛星群を構成する各人工衛星群を構成する各人工衛星は、前記1機以上のミッション衛星のいずれか、または前記1機以上の通信衛星のいずれかであり、
前記1機以上のミッション衛星の各々は、第1の通信装置と、地上設備と通信する第2の通信装置との各々を具備する人工衛星であり、
前記1機以上の通信衛星の各々は、前記第1の通信装置と、前記第2の通信装置と、第3の通信装置との各々を具備する人工衛星であり、
前記第1の通信装置は、前記第1の通信装置を具備する人工衛星を対象人工衛星としたとき、前記対象人工衛星が飛翔している軌道面において前記対象人工衛星の進行方向に対して前方および後方の各々に位置する人工衛星と通信し、
前記第3の通信装置は、前記第3の通信装置を備える通信衛星が飛翔している軌道面とは異なる軌道面を飛翔している通信衛星と通信し、
前記複数の人工衛星群を構成する各人工衛星群は、各人工衛星群に対応する軌道面において円環状通信網を形成しており、
前記1機以上のミッション衛星の各々を対象ミッション衛星としたとき、前記対象ミッション衛星が取得した衛星情報は、前記対象ミッション衛星が飛翔している軌道面である対象軌道面に形成されている円環状通信網における通信と、前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星である第1人工衛星が飛翔している軌道面である第1軌道面を飛翔している通信衛星と、前記対象軌道面を飛翔している通信衛星との間における軌道間通信と、前記第1軌道面に形成されている円環状通信網における通信と、前記第1人工衛星と前記地上設備との間における通信を実行することによって前記対象ミッション衛星から前記地上設備に伝送される衛星コンステレーション。
【請求項3】
赤道の上空において対象軌道高度を飛翔している1機以上のミッション衛星と、赤道の上空において前記対象軌道高度を飛翔している1機以上の通信衛星とから構成される衛星コンステレーションであって、
前記1機以上のミッション衛星の各々は、第1の通信装置を具備する人工衛星であり、
前記1機以上の通信衛星の各々は、前記第1の通信装置と、第3の通信装置との各々を具備する人工衛星であり、
前記第1の通信装置は、前記第1の通信装置を具備する人工衛星を対象人工衛星としたとき、前記対象人工衛星が飛翔している軌道面において前記対象人工衛星の進行方向に対して前方および後方の各々に位置する人工衛星と通信し、
前記第3の通信装置は、前記第3の通信装置を具備する通信衛星が飛翔している軌道面とは異なる軌道面を飛翔している通信衛星と通信し、
前記1機以上のミッション衛星と前記1機以上の通信衛星とから構成される人工衛星群は、円環状通信網を形成しており、
前記1機以上のミッション衛星の各々を対象ミッション衛星としたとき、前記対象ミッション衛星が取得した衛星情報は、請求項2に記載の衛星コンステレーションを経由して請求項2に記載の地上設備に伝送される衛星コンステレーション。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の地上設備であって、
前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星が時間経過に伴って第2人工衛星から第3人工衛星に変化することに応じて、前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星を示す情報として前記第3人工衛星を示す情報を生成し、前記衛星コンステレーションを構成する人工衛星に生成した情報を送信し、
前記地上設備と通信可能な範囲に存在する軌道面が時間経過に伴って第2軌道面から第3軌道面に変化することに応じて、前記地上設備と通信可能な範囲に存在する軌道面を示す情報として前記第3軌道面を示す情報を生成し、前記衛星コンステレーションを構成する人工衛星に生成した情報を送信する制御部
を備える地上設備。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の人工衛星であって、
前記人工衛星が飛翔している軌道を示す軌道情報を記録しているサーバと、計算機とを具備し、
前記計算機は、
前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星が時間経過に伴って第2人工衛星から第3人工衛星に変化することに応じて、前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星を示す情報として前記第3人工衛星を示す情報を生成し、前記衛星コンステレーションを構成する人工衛星に生成した情報を送信し、
前記地上設備と通信可能な範囲に存在する軌道面が時間経過に伴って第2軌道面から第3軌道面に変化することに応じて、前記地上設備と通信可能な範囲に存在する軌道面を示す情報として前記第3軌道面を示す情報を生成し、前記衛星コンステレーションを構成する人工衛星に生成した情報を送信する人工衛星。
【請求項6】
前記1機以上のミッション衛星の各々は赤外観測装置を搭載し、
前記衛星情報は、前記赤外観測装置が取得したデータに対応する飛翔体発射探知情報と飛翔体追跡情報との少なくともいずれかを含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の衛星コンステレーション。
【請求項7】
前記1機以上のミッション衛星の各々は地球観測センサを搭載し、
前記衛星情報は、前記地球観測センサが取得したデータに対応する可視画像情報と合成開口レーダ情報との少なくともいずれかを含む請求項1または請求項2に記載の衛星コンステレーション。
【請求項8】
前記対象軌道面は、傾斜軌道に対応する軌道面と、太陽同期軌道に対応する軌道面とのいずれかである請求項1に記載の衛星コンステレーション。
【請求項9】
前記複数の軌道面の各々は、傾斜軌道に対応する軌道面と、太陽同期軌道に対応する軌道面とのいずれかである請求項2に記載の衛星コンステレーション。
【請求項10】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のミッション衛星。
【請求項11】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の通信衛星。
【請求項12】
前記第3の通信装置の通信距離は1800km以下である請求項2または請求項3に記載の通信衛星。
【請求項13】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の地上設備が具備するコンピュータが、
前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星が時間経過に伴って第2人工衛星から第3人工衛星に変化することに応じて、前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星を示す情報として前記第3人工衛星を示す情報を生成し、前記衛星コンステレーションを構成する人工衛星に生成した情報を送信し、
前記地上設備と通信可能な範囲に存在する軌道面が時間経過に伴って第2軌道面から第3軌道面に変化することに応じて、前記地上設備と通信可能な範囲に存在する軌道面を示す情報として前記第3軌道面を示す情報を生成し、前記衛星コンステレーションを構成する人工衛星に生成した情報を送信する制御方法。
【請求項14】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の地上設備が具備するコンピュータが実行する制御プログラムであって、
前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星が時間経過に伴って第2人工衛星から第3人工衛星に変化することに応じて、前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星を示す情報として前記第3人工衛星を示す情報を生成し、前記衛星コンステレーションを構成する人工衛星に生成した情報を送信し、
前記地上設備と通信可能な範囲に存在する軌道面が時間経過に伴って第2軌道面から第3軌道面に変化することに応じて、前記地上設備と通信可能な範囲に存在する軌道面を示す情報として前記第3軌道面を示す情報を生成し、前記衛星コンステレーションを構成する人工衛星に生成した情報を送信する制御処理
を前記コンピュータに実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衛星コンステレーション、地上設備、人工衛星、ミッション衛星、通信衛星、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地表の高分解能画像取得、または海洋の船舶情報の取得などのニーズにより、光学観測装置、または合成開口レーダ(SAR)と呼ばれる電波観測装置などを搭載した低軌道衛星(以下、LEO衛星と呼ぶ)による高頻度観測が期待されている。
また、間欠的噴射を伴う飛翔体の登場に伴い、LEO衛星による飛翔体発射探知、およびLEO衛星による噴射後の飛翔体追跡を実施するために、赤外観測装置を搭載したLEO衛星による常時監視が期待されている。
特許文献1は、低軌道を周回する少ない機数で特定緯度の地域を網羅的に監視するための監視衛星を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各種ミッション目的を高頻度でまたは常時達成するためには、膨大な数のLEO衛星が必要であるという課題がある。
さらに、LEO衛星が具備する各種ミッション装置が取得した衛星情報を地上設備に伝送するためには衛星通信網が必要であるという課題がある。また、LEO衛星により常時伝送可能な通信網を構築するためにも膨大な数の通信衛星が必要であるという課題がある。
本開示は、多様なミッション衛星の目的を高頻度でまたは常時達成し、リアルタイムで地上設備に衛星情報を伝送するLEO衛星コンステレーションを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る衛星コンステレーションは、
1機以上のミッション衛星と、1機以上の通信衛星とから構成され、
前記1機以上のミッション衛星の各々は、第1の通信装置と、地上設備と通信する第2の通信装置との各々を具備する人工衛星であり、
前記1機以上の通信衛星の各々は、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との各々を具備する人工衛星であり、
前記1機以上のミッション衛星と、前記1機以上の通信衛星とは対象軌道面を飛翔しており、
前記1機以上のミッション衛星と、前記1機以上の通信衛星との総数は6機以上であり、
前記第1の通信装置は、前記対象軌道面において前記第1の通信装置を具備する人工衛星の進行方向に対して前方および後方の各々に位置する人工衛星と通信し、
前記対象軌道面において、前記1機以上のミッション衛星と前記1機以上の通信衛星とは円環状通信網を形成しており、
前記1機以上のミッション衛星の各々を対象ミッション衛星としたとき、前記対象ミッション衛星は、前記対象ミッション衛星が取得した衛星情報を、前記円環状通信網と、前記対象軌道面を飛翔している人工衛星のうち前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔しているいずれかの人工衛星とを経由して前記地上設備に伝送する。
【発明の効果】
【0006】
本開示において、衛星コンステレーションはLEO衛星コンステレーションであってもよい。ミッション衛星の目的は多様であってもよい。各ミッション衛星の目的を高頻度でまたは常時達成することができるようにミッション衛星を配置してもよい。また、ミッション衛星が取得した衛星情報は、円環状通信網と、地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星とを経由して地上設備に伝送される。従って、本開示によれば、多様なミッション衛星の目的を高頻度でまたは常時達成し、リアルタイムで地上設備に衛星情報を伝送するLEO衛星コンステレーションを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1に係る通信衛星システム10の構成例を示す図。
【
図2】実施の形態1に係る衛星30のハードウェア構成例を示す図。
【
図3】実施の形態1に係る地上設備90のハードウェア構成例を示す図。
【
図4】実施の形態1に係る衛星コンステレーション20の実施例を示す図。
【
図6】軌道面の交点の近傍における通信を説明する図。
【
図7】軌道面の交点の近傍における通信を説明する図。
【
図8】実施の形態1の変形例に係る地上設備90のハードウェア構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態の説明および図面において、同じ要素および対応する要素には同じ符号を付している。同じ符号が付された要素の説明は、適宜に省略または簡略化する。図中の矢印はデータの流れまたは処理の流れを主に示している。また、「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」または「サーキットリー」に適宜読み替えてもよい。本明細書では、人工衛星を単に衛星と表記することもある。
また、実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「表」、「裏」といった方向あるいは位置が示されている場合がある。それらの表記は、説明の便宜上、そのように記載しているだけであって、装置、器具、あるいは部品といった構成の配置および向きを限定するものではない。
【0009】
実施の形態1.
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る通信衛星システム10の概略を示している。
通信衛星システム10は、本図に示すように、衛星コンステレーション20と、地上設備90とを備える。
【0011】
衛星コンステレーション20は、1機以上のミッション衛星と、1機以上の通信衛星とから構成され、1つ以上の軌道面から構成される。各軌道面は、傾斜軌道に対応する軌道面と、太陽同期軌道に対応する軌道面とのいずれかであってもよい。衛星コンステレーション20は、典型的にはLEO(Low Earth Orbit)コンステレーションである。
衛星コンステレーション20が複数の軌道面から構成される場合において、複数の軌道面の各軌道面に対する法線ベクトルのアジマス成分は経度方向に分散している。また、各軌道面には人工衛星群が飛翔している。即ち、複数の人工衛星群は、法線ベクトルのアジマス成分が経度方向に分散された複数の軌道面を形成している。ここで、人工衛星群は、複数の衛星30から構成される。各人工衛星群を構成する各衛星30は、1機以上のミッション衛星のいずれか、または1機以上の通信衛星のいずれかである。衛星30は、典型的にはLEO衛星である。
衛星コンステレーション20は、赤道の上空において対象軌道高度を飛翔している1機以上のミッション衛星と、赤道の上空において対象軌道高度を飛翔している1機以上の通信衛星とから構成されてもよい。ミッション衛星および通信衛星の各々は、赤道の上空以外の領域を飛翔していてもよい。
【0012】
ミッション衛星は、光学観測装置を具備する光学衛星、合成開口レーダを具備する電波衛星、および赤外観測装置を具備する赤外衛星など、各種ミッション装置を具備する人工衛星の総称である。ミッション衛星は、第1の通信装置と、第2の通信装置との各々を具備する衛星30であり、衛星情報を取得する。衛星情報は、ミッション衛星が具備する各種ミッション装置が取得した情報である。ミッション衛星は第2の通信装置を具備しなくてもよい。ミッション衛星は地球観測センサを搭載してもよい。各種ミッション装置は、観測装置、測位装置、または情報収集装置などの通信装置以外のミッション装置であってもよく、各種地上アセットと通信する通信装置であってもよい。地上アセットは、具体例として、データ中継装置または移動体である。
通信衛星は、第1の通信装置と第2の通信装置と第3の通信装置との各々を具備する衛星30である。通信衛星は、第2の通信装置と第3の通信装置との少なくとも一方を具備しなくてもよい。
第1の通信装置は、対象衛星が飛翔している軌道面を飛翔している衛星30であって、対象衛星の進行方向に対して前方および後方の各々に位置する衛星30と通信する。
第2の通信装置は、地上に設置された地上設備90と通信する。
第3の通信装置は、対象衛星が飛翔している軌道面と、対象衛星が飛翔している軌道面とは異なる軌道面である別軌道面とが平面視において形成する交点の近傍において、別軌道面を飛翔している衛星30と通信する。第3の通信装置の通信距離は1800km以下であってもよい。
第1の通信装置と、第2の通信装置と、第3の通信装置との少なくとも2つは適宜一体的に構成されていてもよい。なお、交点の近傍は交点を含む交点の周囲の領域である。交点の近傍の範囲は適宜定められてよい。
また、各軌道面を対象軌道面としたとき、対象軌道面を飛翔している各衛星30が対象軌道面において隣接する衛星30と通信することにより、対象軌道面において円環状通信網を形成される。
衛星コンステレーション20の具体例は[参考文献1]および[参考文献2]に開示されている。通信衛星システム10は、これらの参考文献に開示されている機能を適宜備える。また、衛星コンステレーション20はメガコンステレーションであってもよい。
【0013】
[参考文献1]
特開2021-054167号公報
[参考文献2]
特開2021-070342号公報
【0014】
地上設備90は、地上側通信装置810と衛星制御装置91とを備え、各衛星30と通信することによって衛星コンステレーション20を制御する。地上設備90は地上システムの構成要素である。
衛星制御装置91は、各衛星30を制御するための各種コマンドを生成するコンピュータであり、処理回路および入出力インタフェースなどのハードウェアを備える。処理回路は各種コマンドを生成する。入出力インタフェースには入力装置および出力装置が接続される。衛星制御装置91は、入出力インタフェースを介して、地上側通信装置810に接続される。
地上側通信装置810は、各衛星30と通信を行う。具体的には、地上側通信装置810は、各種コマンドを各衛星30へ送信する。
【0015】
図2は、衛星30のハードウェア構成例を示している。
図2を参照して、衛星30のハードウェア構成を説明する。
衛星30は、衛星制御装置31と通信装置32と推進装置33と姿勢制御装置34と電源装置35とを備える。衛星30は、その他の各種の機能を実現する構成要素を備えていてもよいが、
図2では、衛星制御装置31と通信装置32と推進装置33と姿勢制御装置34と電源装置35とについて説明する。
【0016】
衛星制御装置31は、推進装置33と姿勢制御装置34とを制御するコンピュータであり、処理回路を備える。具体的には、衛星制御装置31は、地上設備90などから送信される各種コマンドに従って、推進装置33と姿勢制御装置34とを制御する。
通信装置32は、衛星30の外部との通信を実行する装置である。通信装置32は、第1の通信装置と第2の通信装置と第3の通信装置との総称でもある。
推進装置33は、衛星30に推進力を与える装置であり、衛星30の速度を変化させる。
姿勢制御装置34は、衛星30の姿勢と衛星30の角速度と視線方向(Line Of Sight)といった姿勢要素を制御するための装置である。姿勢制御装置34は、各姿勢要素を所望の方向に変化させる。もしくは、姿勢制御装置34は、各姿勢要素を所望の方向に維持する。姿勢制御装置34は、姿勢センサとアクチュエータとコントローラとを備える。姿勢センサは、ジャイロスコープ、地球センサ、太陽センサ、スター・トラッカ、スラスタおよび磁気センサといった装置である。アクチュエータは、姿勢制御スラスタ、モーメンタムホイール、リアクションホイールおよびコントロール・モーメント・ジャイロといった装置である。コントローラは、姿勢センサの計測データまたは地上設備90などからの各種コマンドに従ってアクチュエータを制御する。
電源装置35は、太陽電池、バッテリおよび電力制御装置といった機器を備え、衛星30に搭載される各機器に電力を供給する。
【0017】
衛星制御装置31に備わる処理回路について説明する。処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。処理回路において、一部の機能が専用のハードウェアで実現されて、残りの機能がソフトウェアまたはファームウェアで実現されてもよい。つまり、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせにより実現することができる。専用のハードウェアは、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはこれらの組み合わせである。
【0018】
図3は、地上設備90のハードウェア構成例を示している。地上設備90は一般的なコンピュータから構成されてもよい。地上設備90は衛星30との間で通信する。地上設備90は地上側通信装置810に接続しており、地上設備90は地上側通信装置810を介して衛星30と通信する。地上設備90は移動端末であってもよい。
【0019】
地上設備90は、プロセッサ710を備えるとともに、主記憶装置720、補助記憶装置730、入力インタフェース740、出力インタフェース750および通信インタフェース760といった他のハードウェアを備える。
図3においてインタフェースはIFと表記されている。プロセッサ710は、信号線770を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0020】
プロセッサ710は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ710は、具体例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、またはGPU(Graphics Processing Unit)である。
【0021】
主記憶装置720は、データを一時的に記憶する記憶装置である。主記憶装置720は、具体例として、SRAM(Static Random Access Memory)、またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
【0022】
補助記憶装置730は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置730は、具体例として、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)である。
補助記憶装置730は、地上設備90の機能を実現するプログラムである制御プログラムを記憶している。
【0023】
入力インタフェース740は、マウス、キーボード、またはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。入力インタフェース740は、具体例として、USB(Universal Serial Bus)端子またはLAN(Local Area Network)ポートである。
【0024】
出力インタフェース750は、ディスプレイといった出力装置のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース750は、具体例として、USB端子またはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。ディスプレイは、具体例として、LCD(Liquid Crystal Display)である。
【0025】
通信インタフェース760は、レシーバとトランスミッタとを有する。通信インタフェース760は、具体例として、通信チップまたはNIC(Network Interface Card)である。
【0026】
地上設備90は、機能要素として制御部711を備える。制御部711の機能は、ハードウェアあるいはソフトウェアにより実現される。制御部711は、通信衛星プログラムの指示に従い処理を実行する。地上設備90の動作手順は制御方法に相当する。また、地上設備90の動作を実現するプログラムは制御プログラムに相当する。
【0027】
制御プログラムは、コンピュータが読み取り可能な不揮発性の記録媒体に記録されていてもよい。不揮発性の記録媒体は、具体例として、光ディスクまたはフラッシュメモリである。制御プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0028】
***動作の説明***
<実施の形態1に係る動作例1>
本動作例に係る衛星コンステレーション20の構成を説明する。
衛星コンステレーション20は、1機以上のミッション衛星と、1機以上の通信衛星とから構成される。1機以上のミッション衛星の各々は、第1の通信装置と、第2の通信装置との各々を具備する。1機以上の通信衛星の各々は、第1の通信装置と第2の通信装置との各々を具備する。1機以上のミッション衛星と、1機以上の通信衛星とは対象軌道面を飛翔している。1機以上のミッション衛星と、1機以上の通信衛星との総数は6機以上である。
対象軌道面において、1機以上のミッション衛星と1機以上の通信衛星とは円環状通信網を形成している。1機以上のミッション衛星の各々を対象ミッション衛星としたとき、対象ミッション衛星は、対象ミッション衛星が取得した衛星情報を、円環状通信網と、対象軌道面を飛翔している衛星30のうち地上設備90と通信可能な範囲内を飛翔しているいずれかの衛星30とを経由して地上設備90に伝送する。
【0029】
従来の衛星コンステレーションは、ミッション目的が共通である複数の衛星から構成されていた。
また、地球観測衛星隊列A-Trainのように、地球観測というミッション目的は共通でありつつ、個別衛星が具備する観測装置が互いに異なる衛星コンステレーションは存在した。しかしながら、同一軌道面内で円環状通信網を形成する衛星コンステレーションは存在しなかった。
また、諸外国の構想の中には、ミッション衛星群が円環状通信網を形成する構想もある。しかしながら、当該構想では、ミッション衛星が形成する衛星コンステレーションであるミッション衛星コンステレーションと、通信衛星が形成する衛星コンステレーションである通信衛星コンステレーションとを個別に構成する。そのため、ミッション衛星が取得した衛星情報をリアルタイムに伝送するためには、ミッション衛星コンステレーションと通信衛星コンステレーションとの間における情報授受が必要である。従って、当該構想には運用が煩雑になるという課題がある。
【0030】
本動作例によれば、軌道面内を飛翔しているいずれか1機の衛星30が地上設備90の通信範囲内を飛翔していれば、同一の軌道面を飛翔している全てのミッション衛星の各々が具備するミッション装置の情報をリアルタイムに円環状通信網を経由して地上設備90に伝送することができるという効果がある。
また、本動作例によれば、ミッション衛星と通信衛星とが円環状通信網を共有しているので、運用の煩雑さがなく比較的容易に衛星情報を伝送することができるという効果がある。
【0031】
また、第1の通信装置と第2の通信装置とのいずれをも光通信装置とする場合において、通信装置間の光軸合わせのために捕捉追尾する必要があるため、高い指向精度と、高い指向安定度とが必要である。そのため、この場合において、1機の衛星30が多数の対象と光通信を継続することが難しいという課題がある。
ここで、編隊飛行する相互の衛星30の相対的な位置関係はほぼ一定であるので、ある衛星30が、当該ある衛星30が飛翔している軌道面において当該ある衛星30の前後を飛翔している2機の衛星30と第1の通信装置により光衛星間通信を継続することは比較的容易に実現可能である。
しかしながら、第1の通信装置で通信を継続しながらLEO衛星と地上設備90との間における通信を光通信装置によって実施する場合、LEO衛星と地上設備90との相対的な位置関係が時々刻々と変化するため、当該通信には第1の通信装置による通信と比較して技術難度が高いという課題がある。
ここで、LEO衛星と地上設備90との間における通信については、具体例として日本のように被雲率が高い地域では光通信が雲に妨げられて途絶してしまうため、電波通信を採用することが合理的である。電波通信の通信可能範囲は光通信の通信可能範囲と比較して広い。そのため、電波通信により1機の衛星30が同時に3つの対象と通信を継続することも実現可能である。
そこで、ミッション衛星が地上設備90と通信することにより、円環状に飛翔しているいずれかの衛星30が地上設備90の視野範囲にあれば、円環状通信網を形成する全ての衛星30の各々の衛星情報をリアルタイムで地上設備90に伝送することができる。
衛星30と地上設備90との間における通信を電波通信とした場合、光通信において要求されるような高い指向精度と高い指向安定度とは不要である。
また、技術難度が高い隣接軌道間通信を通信衛星のみに集約することにより、ミッション衛星の技術難度が高くならないよう技術難度を平準化することできる。従って、本動作例によれば衛星コンステレーションの実現性が向上するという効果がある。
【0032】
<実施の形態1に係る動作例2>
本動作例に係る衛星コンステレーション20の構成を説明する。
衛星コンステレーション20は、対象軌道高度を飛翔している1機以上のミッション衛星と、対象軌道高度を飛翔している1機以上の通信衛星とから構成される。衛星コンステレーション20は複数の人工衛星群を備える。複数の人工衛星群を構成する各人工衛星群は、互いに異なる軌道面を飛翔し、複数の衛星30から構成される。複数の人工衛星群は、法線ベクトルのアジマス成分が経度方向に分散された複数の軌道面を形成している。複数の人工衛星群を構成する各人工衛星群を構成する各衛星30は、1機以上のミッション衛星のいずれか、または1機以上の通信衛星のいずれかである。1機以上のミッション衛星の各々は、第1の通信装置と、第2の通信装置との各々を具備する。1機以上の通信衛星の各々は、第1の通信装置と、第2の通信装置と、第3の通信装置との各々を具備する。複数の人工衛星群を構成する各人工衛星群は、各人工衛星群に対応する軌道面において円環状通信網を形成している。
1機以上のミッション衛星の各々を対象ミッション衛星としたとき、対象ミッション衛星が取得した衛星情報は、対象ミッション衛星が飛翔している軌道面である対象軌道面に形成されている円環状通信網における通信と、第1軌道面を飛翔している通信衛星と、対象軌道面を飛翔している通信衛星との間における軌道間通信と、第1軌道面に形成されている円環状通信網における通信と、第1人工衛星と地上設備90との間における通信を実行することによって対象ミッション衛星から地上設備90に伝送される。第1軌道面は第1人工衛星が飛翔している軌道面である。第1人工衛星は、地上設備90と通信可能な範囲内を飛翔している衛星30である。
【0033】
第1の通信装置による軌道内通信では通信対象との相対的な位置関係がほぼ一定に維持される。しかしながら、第3の通信装置による軌道間通信では通信対象に対する方位角および相対距離が大きく変動するため、軌道間通信の実現に向けて技術難度が格段に高くなるという課題がある。
特に、第3の通信装置が光通信装置である場合、相対的な方位角および相対距離が変動する軌道間通信であるために捕捉追尾に関する技術難度が高い。
さらに、従来のLEO通信衛星コンステレーションにおける計画であって、隣接軌道間通信を利用してメッシュ状通信網を形成する計画によれば、軌道面の南北端において隣接軌道の左右入れ替えが発生するため、光通信を継続することが非常に難しいという課題がある。また、ある衛星30が左右に位置する隣接軌道と通信するために当該ある衛星30が同時に当該ある衛星30の進行方向に対して前後左右を飛翔している4個の通信対象と光衛星間通信を実行し、さらに当該ある衛星30が地上設備90と通信する。ここで、同時に5個の通信対象との通信を維持しつつ通信を継続することは非常に難しいという課題がある。
また、法線ベクトルが経度方向において離れている軌道間で通信する場合、バケツリレーのように隣接軌道間通信を繰り返す必要があるという課題がある。
【0034】
本動作例によれば、ミッション衛星は難度が高い第3の通信装置を具備しないので、ミッション衛星は本来のミッション達成に集中することができるという効果がある。
また、第3の通信装置を具備する各通信衛星は、各通信衛星が飛翔している軌道の左右に位置する隣接軌道ではなく、複数の軌道が交差する交点の近傍において軌道間通信を実行する。そのため、本動作例によれば、各通信衛星が軌道面を1周回る間に各通信衛星は他の軌道面を飛翔している通信対象と最大で2回軌道間通信を実施すればよい。従って、本動作例によれば軌道間通信を実現しやすいという効果がある。
また、本動作例によれば、法線ベクトルが経度方向に離れた軌道間で通信する場合において、相互の軌道の交点の近傍において軌道間通信を実行することにより、1回の軌道間通信によって軌道間通信を実現することができるという効果がある。
【0035】
全球網羅的にミッション衛星および通信衛星を配備して個別にミッション衛星コンステレーションと通信衛星コンステレーションを形成するためには、膨大な数の衛星30が必要である。しかしながら、本動作例によれば、衛星コンステレーション20において、多様なミッション衛星の各々が必要とする数の衛星30を配備した上で、全球網羅するために不足する衛星30を通信衛星によって補完すればよい。そのため、本動作例によれば、衛星30の合計数を最小限に抑制した上で、全球網羅的に各種ミッションの情報伝送が可能になるという効果がある。
【0036】
<実施の形態1に係る動作例3>
本動作例に係る衛星コンステレーション20の構成を説明する。
衛星コンステレーション20は、赤道の上空において対象軌道高度を飛翔している1機以上のミッション衛星と、赤道の上空において対象軌道高度を飛翔している1機以上の通信衛星とから構成される。1機以上のミッション衛星の各々は、第1の通信装置を具備する。1機以上の通信衛星の各々は、第1の通信装置と、第3の通信装置との各々を具備する。1機以上のミッション衛星と1機以上の通信衛星とから構成される人工衛星群は、円環状通信網を形成している。1機以上のミッション衛星の各々を対象ミッション衛星としたとき、対象ミッション衛星が取得した衛星情報は、実施の形態1に係る動作例2に記載の衛星コンステレーション20を経由して実施の形態1に係る動作例2に記載の地上設備90に伝送される。
【0037】
赤道上空軌道衛星は、リム観測と呼ばれる地球周辺観測方式により中緯度帯の上空を監視することに好適である。しかしながら、中緯度帯に位置する地上設備90へ衛星情報を伝送する手段が課題である。
そこで、赤道の上空において円環状通信網を形成するハイブリッドコンステレーションが実施の形態1に係る動作例2に記載の衛星コンステレーションを構成する衛星と軌道間通信を実施することにより、赤道の上空において取得した衛星情報を中緯度帯の地上設備90に伝送することができる。ここで、ハイブリッドコンステレーションは、各種ミッション衛星を包含して円環状通信網を形成する衛星コンステレーションである。
【0038】
<実施の形態1に係る動作例4>
本動作例に係る地上設備90の構成を説明する。ここで、地上設備90は実施の形態1に係る動作例1から3のいずれか1つに記載の地上設備90である。
制御部711は、地上設備90と通信可能な範囲内を飛翔している衛星30が時間経過に伴って第2人工衛星から第3人工衛星に変化することに応じて、地上設備90と通信可能な範囲内を飛翔している衛星30を示す情報として第3人工衛星を示す情報を生成し、衛星コンステレーション20を構成する衛星30に生成した情報を送信する。
また、制御部711は、地上設備90と通信可能な範囲に存在する軌道面が時間経過に伴って第2軌道面から第3軌道面に変化することに応じて、地上設備90と通信可能な範囲に存在する軌道面を示す情報として第3軌道面を示す情報を生成し、衛星コンステレーション20を構成する衛星30に生成した情報を送信する。
【0039】
低軌道を周回する衛星30の軌道面は地球の自転と同期していない。そのため、特定の地上設備90の上空を滞留する軌道面は時間経過に伴って地上設備90の上空を滞留していた軌道面に隣接する軌道面に入れ替わる。
また、特定の軌道面を飛翔している衛星30の中で、特定の地上設備90の上空を飛翔している衛星30は、時間経過に伴って後続の衛星30に入れ替わる。
このため、ある時刻にミッション衛星が取得した衛星情報を、地上設備90の上空を飛翔している衛星30を経由してリアルタイムで伝送するためには、当該ある時刻において地上設備90の通信範囲内を飛翔している衛星30を予め識別して識別情報をミッション衛星と共有しておく必要がある。
また、通信経路となる衛星30が飛翔している軌道面を示す識別情報と、ミッション衛星が飛翔している軌道面を示す識別情報とを衛星30間で共有し、両軌道面の交線上の衛星軌道高度において軌道が交わる交点の位置を識別し、当該ある時刻において識別した交点の位置の近傍を飛翔している衛星30を両軌道面の各々において識別する必要がある。
本動作に係る地上設備90では、時間経過に伴う地上設備90と軌道面と衛星30の飛翔位置との位置関係を予め導出し、衛星コンステレーション20が形成する通信網を経由して予め全てのミッション衛星および通信衛星に導出した位置関係を示す情報を送信することにより情報を共有する。
【0040】
<実施の形態1に係る動作例5>
本動作例に係る衛星30は、衛星30が飛翔している軌道を示す軌道情報を記録しているサーバと、計算機とを具備する。ここで、衛星30は実施の形態1に係る動作例1から3のいずれか1つに記載の衛星30である。
計算機は、地上設備90と通信可能な範囲内を飛翔している衛星30が時間経過に伴って第2人工衛星から第3人工衛星に変化することに応じて、地上設備90と通信可能な範囲内を飛翔している衛星30を示す情報として第3人工衛星を示す情報を生成し、衛星コンステレーション20を構成する衛星30に生成した情報を送信する。
また、計算機は、地上設備90と通信可能な範囲に存在する軌道面が時間経過に伴って第2軌道面から第3軌道面に変化することに応じて、地上設備90と通信可能な範囲に存在する軌道面を示す情報として第3軌道面を示す情報を生成し、衛星コンステレーション20を構成する衛星30に生成した情報を送信する。
【0041】
エッジコンピューティングおよび人工知能(Artificial Intelligence)の宇宙利用が進んだことにより、実施の形態1に係る動作例4に係る地上設備90が導出する識別情報であって、軌道面と衛星30との各々を示す識別情報を、軌道において計算機が自律的に導出することもできる。
【0042】
<実施の形態1に係る動作例6>
本動作例に係るミッション衛星は赤外観測装置を搭載している。
本動作例に係る衛星情報は、赤外観測装置が取得したデータに対応する飛翔体発射探知情報と飛翔体追跡情報との少なくともいずれかを含む。なお、各装置または各センサが取得したデータに対応する情報は、各装置または各センサが取得した情報であってもよく、各装置または各センサが取得した情報を加工した情報であってもよい。
【0043】
発射後に間欠的に噴射を繰り返すことにより軌道を変更する飛翔体について、噴射を停止している飛翔体を静止軌道から検知することは困難である。そこで、LEO衛星コンステレーションによる当該飛翔体の発射探知および追跡が期待される。
一方、飛翔体の発射段階において飛翔体の飛翔方向および着弾位置を推定することは困難である。そのため、飛翔体の発射探知を実行した赤外衛星による取得情報を飛翔体情報として当該赤外衛星の後続衛星と共有し、時間経過に伴って変化する飛翔体の位置において後続衛星が飛翔体の追跡監視を実行する必要がある。この際、飛翔体情報の授受をリアルタイムで実現する手段が必要である。
本動作に係る衛星コンステレーション20によれば、赤外衛星が取得した飛翔体情報をリアルタイムで円環状通信網、および軌道間通信を経由して後続衛星に伝送することができるという効果がある。
【0044】
<実施の形態1に係る動作例7>
本動作例に係るミッション衛星は地球観測センサを搭載している。当該ミッション衛星を地球観測衛星とも呼ぶ。
本動作例に係る衛星情報は、地球観測センサが取得したデータに対応する可視画像情報と合成開口レーダ情報との少なくともいずれかを含む。
【0045】
陸上を移動する移動体の監視、または海洋を航行する船舶の動態監視などを実施するために、地球を観測する衛星コンステレーションによる継続監視が期待されている。低軌道衛星コンステレーションでは、時間経過に伴い監視対象と衛星30との相対的な位置関係が変化するため、複数の衛星30が連携して継続監視を実行する必要がある。
本動作例に係る衛星コンステレーション20によれば、地球観測衛星が取得した衛星情報を、円環状通信網、および軌道間通信を経由して後続衛星に伝送することができるという効果がある。
【0046】
<実施の形態1に係る動作例8>
本動作例に係る各軌道面は、傾斜軌道に対応する軌道面である。
北緯θdegに設置された地上設備90と通信する衛星30が飛翔している軌道面として軌道傾斜角θdegの近傍に設定された軌道面を選択すれば、当該軌道面を飛翔している1機の衛星30が地上設備90と通信可能な範囲に入ってから地上設備90と通信可能な範囲の外に抜けるまでの時間を長時間確保することができるという効果がある。
また、飛翔体を監視する赤外衛星を用いてリム観測を実行する場合において、軌道傾斜角が小さい傾斜軌道を採用することは、中緯度帯を飛翔している飛翔体を監視することに好適である。
また、合成開口レーダを具備するSAR衛星では、オフナディア角と呼ばれるサイドルックをするため、軌道傾斜角よりも大きな角度に対応する緯度を監視することもできる。
これら複数のミッションを包含して最適な軌道傾斜角を有する衛星コンステレーション20を構成することが合理的である。
【0047】
図4は、本動作例に係る衛星コンステレーション20の実施例を示す図である。
図4において、IR衛星およびSAR衛星の各々が観測を実行する様子と、各衛星30が軌道内通信を実行する様子と、通信衛星が軌道間通信を実行する様子と、通信衛星が地上設備90と通信する様子との各々が描写されている。ここで、IR衛星は赤外衛星を意味する。
【0048】
<実施の形態1に係る動作例9>
本動作例において、各軌道面は太陽同期軌道に対応する軌道面である。
【0049】
太陽同期衛星では地上設備90の上空を飛翔する時間帯がLST(Local Sun Time)と呼ばれる時間と、地球の裏側に対応する時間であるLSTの12時間後とに限定される。そのため、本動作例によれば、任意の時間において、軌道間通信をするための軌道面の識別情報を容易に導出することができるという効果がある。
【0050】
<実施の形態1に係る動作例10>
本動作例に係る第3の通信装置の通信距離は1800km以下である。
技術難度が高い光通信により互いに異なる軌道間通信を実現する場合、相対距離が小さいほど指向精度および指向安定度を緩和することができるので実現性が高くなる。
ここで、隣接軌道間において光通信を実施してメッシュ状通信網を形成する構想では、赤道上空における相対距離が最大である。そのため、具体例として、軌道高度600kmにおいて、軌道面数が24面である衛星コンステレーションを形成する場合、赤道上空における通信距離は1800kmを超える。また、現在整備計画が公表されている衛星コンステレーションの軌道面数は24面よりも少ないので、軌道間通信の技術難度はさらに高い。
そこで、本動作例に係る通信衛星は、互いに異なる軌道の交点の近傍における通信距離が1800km以下となる軌道間通信を実現する。そのため、本動作例によれば、技術難度を低減して軌道間通信の実現性を高めることができるという効果がある。
【0051】
***課題の補足***
<低軌道衛星コンステレーションの課題>
LEO衛星により常時通信回線を維持するためには膨大な数の衛星が必要である。さらに、地球固定座標系に対してほぼ固定的に見える静止衛星とは異なり、LEO衛星は時々刻々と飛翔位置が移動する。そのため、低軌道衛星コンステレーションにおいて、通信衛星群の構成およびデータ伝送方法が課題である。また、低軌道衛星コンステレーションにおいて、軌道面が1面である場合、地球の自転に伴い軌道面と地上設備90との相対位置が変動するため、常時通信することができないという課題がある。
そこで、本実施の形態では、衛星コンステレーション20を、軌道面の法線ベクトルが経度方向に分散している複数の軌道面を具備し、ハイブリッドコンステレーションを形成する複数の軌道面により構成される衛星コンステレーションとすることにより、衛星情報を地上設備90にリアルタイムで伝送することができる構成を採用する。
【0052】
<メッシュ通信網の課題>
近年、低軌道衛星コンステレーションとして、軌道面内において各衛星が前方および後方の各々に位置する衛星と通信することにより円環状通信網を形成し、さらに、各軌道面を飛翔している各衛星が隣接する軌道面を飛翔している衛星と通信してメッシュ状通信網を形成する構想がある。ただし、隣接する軌道面を飛翔している衛星との通信では、軌道面の南北端において軌道の左右入れ替えが発生するために、毎周回2回以上の通信途絶が発生する。そのため、メッシュ通信網には、軌道面の南北端において回線を再接続する必要があるために運用が煩雑になるという課題があった。
図5は、第1対象軌道面を飛翔している衛星と、第2対象軌道面を飛翔している衛星とに、軌道面の最北端において左右入れ替えが発生する様子を示している。
また、メッシュ通信網を経由する衛星情報の伝送方法には、情報を授受する経路上の衛星の選択と、情報を授受する時刻の設定とが必要であり、最短通信ルートを探索する必要があるために運用が複雑になるという課題がある。
【0053】
<低軌道衛星の課題>
静止軌道衛星は軌道周期が地球の自転と同期するため、特定の経度に設置された地上システムから常時通信することができる。一方、低軌道衛星の軌道周期は地球の自転と非同期であり、個別の衛星は特定の経度に設置された地上設備の上空を短時間で通り過ぎる。そのため、低軌道衛星には、常時通信することができる環境を整備するためには多数機の連携が必要であるという課題がある。
【0054】
<太陽非同期軌道の課題>
太陽同期衛星の軌道面の地球に対する公転周期は、地球の太陽に対する公転周期と同期している。そのため、太陽同期衛星の軌道面の法線ベクトルは、地球に同期して1年間に1周回地球の周りを回る。そのため、太陽同期衛星には、軌道面に対する太陽の入射角度が年間を通じてほぼ一定の角度を維持するという特徴がある。太陽同期軌道であるLST12:00の軌道を周回する衛星は、世界中のどの国に設置された地上システムに対しても、正午12:00に上空を通過する。
LST12:00である軌道面1面で円環状通信網を形成するハイブリッドコンステレーションを形成した場合、正午12:00と、地球の裏側に相当する深夜0:00との2回、特定の地上設備と通信することができる。しかしながら、当該軌道面には、それ以外の時間帯において通信することができないという課題がある。
一方、太陽に同期していない太陽非同期軌道面には、軌道面に対する太陽入射角が時事刻々と変化するので、特定の位置に設置された地上設備の上空を飛翔する時刻が一定ではないという課題がある。
【0055】
<傾斜軌道の課題>
傾斜軌道衛星の軌道面の回転は、地球の自転とも、太陽に対する地球の公転とも同期していない。そのため、傾斜軌道には、特定の緯度および特定の経度に設置された地上システムから見て法線ベクトルの経度成分が相対的に移動するため、地上システムの上空を通過する時間帯が限定されるという課題がある。
さらに、傾斜軌道には、傾斜軌道に対応する軌道面が地上システムの上空を通過する位置にあったとしても、衛星が地上システムの上空を飛翔しているとは限らないという課題がある。
また、傾斜軌道には、軌道面が地上システムの上空を通過するタイミングにおいて衛星が地上システムの上空を偶然に飛翔する場合であっても、軌道面および衛星が通過する時間帯が一定ではないという課題がある。
【0056】
***方策の補足***
<地上システムとの常時通信環境>
傾斜軌道衛星コンステレーションでは、特定の緯度および特定の経度に設置された地上システムに準リアルタイムで衛星情報を伝送することを目的として、同一の軌道面に15機以上の衛星を飛翔させる。具体例として、軌道高度が1000km程度であれば100分程度で地球を1周回するので、軌道面が地上システムの上空を通過する場合に、1機の衛星が数分間地上システムの上空を飛翔した後に後続の衛星が地上システムの上空に飛来する。そのため、同一の軌道面を飛翔している衛星が常に地上システムから見て通信視野の範囲内を飛翔している状態が実現する。また、同一の軌道面内において円環状通信網が形成されていれば、地上システムと通信する衛星は、同一の軌道面を飛翔している他の衛星を代表して地上システムと通信することができる。
さらに、傾斜軌道衛星コンステレーションは、法線ベクトルの経度方向成分が分散した12個以上の軌道面を具備する。具体例として、軌道面の数が12個である場合、軌道面の法線ベクトルの経度方向成分の離角は30度である。ここで、当該離角は地球の自転の2時間に相当する。本例において、対象軌道面を飛翔している衛星が1周回する時間は約100分である。そのため、対象軌道面を飛翔している15機以上の衛星が順番に地上システムと通信する間に、地球の自転効果により、対象軌道面の東側に隣接している軌道面を飛翔している衛星に対する地上システムの通信視野が確保される。そのため、12個以上の軌道面の各軌道面に15機以上の衛星が飛翔していれば、傾斜軌道衛星コンステレーションは、特定の緯度および特定の経度に設置された地上システムと常時通信することができる。
なお、地上システムが設置されている緯度と、衛星の高度と、軌道傾斜角と、通信量などに依存して、必要な軌道面の数と、同一軌道面を飛翔している衛星の数との各々が増減することは言うまでもない。
【0057】
<軌道面交点の近傍通信>
隣接軌道間通信では、赤道の上空などにおいて遠距離の通信を要する。そのため、通信装置として駆動機構を要する大口径アンテナが必要である。また、光通信を採用する場合には通信回線を確立するために高い精度で光軸合わせを実行する必要がある。
一方、近傍通信であれば無指向性アンテナまたは固定アンテナなどによって軌道間通信を実現することができる。そのため、近傍通信であれば、システムのコストを下げることができ、通信回線を確立するための煩雑な運用が不要になるという効果がある。
また、本実施の形態に係る衛星コンステレーション20は、法線ベクトルが互いに異なる2つの軌道間では必ず交点が2点存在するという特徴を利用して軌道間通信を実行するため、軌道間通信が1回で済む。そのため、本実施の形態によれば、隣接軌道間通信を複数回繰り返す必要がなく、運用が容易になるという効果がある。
【0058】
図6は、対象軌道面を飛翔している衛星30が軌道面交点の近傍において他の軌道面を飛翔している衛星30と通信する様子を示している。
【0059】
図7は、衛星情報が地上設備90に送信される処理を具体例を用いて説明する図である。本例において、まず、第2対象軌道面内において軌道内通信が実行される。次に、第2対象軌道面を飛翔している衛星30と、第1対象軌道面を飛翔している衛星30との間で軌道間通信が実行される。次に、第1対象軌道面内において軌道内通信が実行されることにより、第1対象軌道面を飛翔している衛星30のうち地上設備90と通信可能な範囲内を飛翔している衛星30は衛星情報を受信する。次に、衛星情報を受信した衛星30は、受信した衛星情報を地上設備90に送信する。
【0060】
<ハイブリッドコンステレーションの効果>
従来の通信衛星コンステレーションでは、常時通信環境を構築するために通信専用衛星によって衛星コンステレーションを形成していた。
一方、本実施の形態では、ミッション衛星が円環状通信網の形成に寄与し、ミッション衛星が地上設備90との通信を実行することにより、常時通信環境を構築するために必要な通信専用衛星の数を減らすことができる。
【0061】
<軌道面交点の近傍通信の効果>
従来のメッシュ通信網を形成する通信衛星コンステレーションでは、1機の衛星が、衛星の進行方向に対して前後に位置する衛星と、当該進行方向に対して左右に位置する隣接軌道面を飛翔している衛星との合計4つの衛星間通信を同時に維持する必要がある。ここで、隣接軌道間通信において、軌道面の南北端における軌道の左右入れ替えに対応することが難しいという課題がある。また、赤道の近傍では通信距離が長くなるという課題がある。一方、本実施の形態に係る近傍通信では、軌道間通信装置は1式あればよいために軌道間通信の実現が容易になるという効果がある。
また、メッシュ状通信網では複数の軌道間通信を繰り返す必要があるが、軌道面の交点における近傍通信によれば、ミッション衛星が取得した衛星情報を特定の地上設備90に伝送するまでに必要な軌道間通信が1回で済むという効果がある。
【0062】
***実施の形態1の効果の説明***
従来のメッシュ状通信網を形成する通信衛星コンステレーションでは、各衛星が、前後左右の衛星と地上設備との合計5個の対象との通信を維持する必要がある。そのため、具体例として光衛星間通信でメッシュ状通信網を維持するためには高い指向精度と高い指向安定度とが必要であるという課題があった。また、従来の衛星コンステレーションにおいて同一の軌道面を同一のミッション目的を持つ衛星群で構成することが知られている。一方、本実施の形態では、ミッション目的が互いに異なる多様なミッション衛星が同一の軌道面を飛翔し、かつ、同一の軌道面において同一の高度を隊列飛翔する人工衛星群を構成する各衛星30が前後の衛星30と通信して円環状通信網を形成するという特徴を有する。
本実施の形態では、特定の軌道面に含まれるミッション衛星の数は、各ミッション目的に応じた観測装置の性能と、衛星情報を取得する頻度などに要求に応じて適宜設定される。
本実施の形態では、ミッション衛星が取得した衛星情報をリアルタイムで特定の地上設備90に伝送する仕組みとして、法線ベクトルが経度方向に分散した複数軌道面のハイブリッドコンステレーションを含む衛星コンステレーション20を形成する。
さらに、本実施の形態では、軌道面間通信を実現する方法として、軌道面間の交点付近を通過する衛星30同士が衛星間通信を実行する方法を採用する。
【0063】
***他の構成***
<変形例1>
本実施の形態では、制御部711の機能がソフトウェアで実現される。変形例として、制御部711の機能がハードウェアで実現されてもよい。
図8は、本変形例を示している。
【0064】
地上設備90は、プロセッサ710に替えて電子回路780を備える。
電子回路780は、制御部711の機能を実現する専用の電子回路である。
電子回路780は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC(Integrated Circuit)、GA(Gate Array)、ASIC、または、FPGAである。
制御部711の機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。
別の変形例として、制御部711の一部の機能が電子回路780で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
【0065】
プロセッサ710と電子回路780と主記憶装置720と補助記憶装置730とを総称して、プロセッシングサーキットリとも呼ばれる。つまり、地上設備90において、制御部711の機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
【0066】
***他の実施の形態***
実施の形態1について説明したが、本実施の形態のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、本実施の形態を部分的に実施しても構わない。その他、本実施の形態は、必要に応じて種々の変更がなされても構わず、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施されても構わない。
なお、前述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示と、その適用物と、用途の範囲とを制限することを意図するものではない。説明した手順は適宜変更されてもよい。
【0067】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0068】
(付記1)
1機以上のミッション衛星と、1機以上の通信衛星とから構成され、
前記1機以上のミッション衛星の各々は、第1の通信装置と、地上設備と通信する第2の通信装置との各々を具備する人工衛星であり、
前記1機以上の通信衛星の各々は、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置との各々を具備する人工衛星であり、
前記1機以上のミッション衛星と、前記1機以上の通信衛星とは対象軌道面を飛翔しており、
前記1機以上のミッション衛星と、前記1機以上の通信衛星との総数は6機以上であり、
前記第1の通信装置は、前記対象軌道面において前記第1の通信装置を具備する人工衛星の進行方向に対して前方および後方の各々に位置する人工衛星と通信し、
前記対象軌道面において、前記1機以上のミッション衛星と前記1機以上の通信衛星とは円環状通信網を形成しており、
前記1機以上のミッション衛星の各々を対象ミッション衛星としたとき、前記対象ミッション衛星は、前記対象ミッション衛星が取得した衛星情報を、前記円環状通信網と、前記対象軌道面を飛翔している人工衛星のうち前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔しているいずれかの人工衛星とを経由して前記地上設備に伝送する衛星コンステレーション。
【0069】
(付記2)
対象軌道高度を飛翔している1機以上のミッション衛星と、前記対象軌道高度を飛翔している1機以上の通信衛星とから構成される衛星コンステレーションであって、
前記衛星コンステレーションは複数の人工衛星群を備え、
前記複数の人工衛星群を構成する各人工衛星群は、互いに異なる軌道面を飛翔し、複数の人工衛星から構成され、
前記複数の人工衛星群は、法線ベクトルのアジマス成分が経度方向に分散された複数の軌道面を形成しており、
前記複数の人工衛星群を構成する各人工衛星群を構成する各人工衛星は、前記1機以上のミッション衛星のいずれか、または前記1機以上の通信衛星のいずれかであり、
前記1機以上のミッション衛星の各々は、第1の通信装置と、地上設備と通信する第2の通信装置との各々を具備する人工衛星であり、
前記1機以上の通信衛星の各々は、前記第1の通信装置と、前記第2の通信装置と、第3の通信装置との各々を具備する人工衛星であり、
前記第1の通信装置は、前記第1の通信装置を具備する人工衛星を対象人工衛星としたとき、前記対象人工衛星が飛翔している軌道面において前記対象人工衛星の進行方向に対して前方および後方の各々に位置する人工衛星と通信し、
前記第3の通信装置は、前記第3の通信装置を備える通信衛星が飛翔している軌道面とは異なる軌道面を飛翔している通信衛星と通信し、
前記複数の人工衛星群を構成する各人工衛星群は、各人工衛星群に対応する軌道面において円環状通信網を形成しており、
前記1機以上のミッション衛星の各々を対象ミッション衛星としたとき、前記対象ミッション衛星が取得した衛星情報は、前記対象ミッション衛星が飛翔している軌道面である対象軌道面に形成されている円環状通信網における通信と、前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星である第1人工衛星が飛翔している軌道面である第1軌道面を飛翔している通信衛星と、前記対象軌道面を飛翔している通信衛星との間における軌道間通信と、前記第1軌道面に形成されている円環状通信網における通信と、前記第1人工衛星と前記地上設備との間における通信を実行することによって前記対象ミッション衛星から前記地上設備に伝送される衛星コンステレーション。
【0070】
(付記3)
赤道の上空において対象軌道高度を飛翔している1機以上のミッション衛星と、赤道の上空において前記対象軌道高度を飛翔している1機以上の通信衛星とから構成される衛星コンステレーションであって、
前記1機以上のミッション衛星の各々は、第1の通信装置を具備する人工衛星であり、
前記1機以上の通信衛星の各々は、前記第1の通信装置と、第3の通信装置との各々を具備する人工衛星であり、
前記第1の通信装置は、前記第1の通信装置を具備する人工衛星を対象人工衛星としたとき、前記対象人工衛星が飛翔している軌道面において前記対象人工衛星の進行方向に対して前方および後方の各々に位置する人工衛星と通信し、
前記第3の通信装置は、前記第3の通信装置を具備する通信衛星が飛翔している軌道面とは異なる軌道面を飛翔している通信衛星と通信し、
前記1機以上のミッション衛星と前記1機以上の通信衛星とから構成される人工衛星群は、円環状通信網を形成しており、
前記1機以上のミッション衛星の各々を対象ミッション衛星としたとき、前記対象ミッション衛星が取得した衛星情報は、付記2に記載の衛星コンステレーションを経由して付記2に記載の地上設備に伝送される衛星コンステレーション。
【0071】
(付記4)
付記1から付記3のいずれか1つに記載の地上設備であって、
前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星が時間経過に伴って第2人工衛星から第3人工衛星に変化することに応じて、前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星を示す情報として前記第3人工衛星を示す情報を生成し、前記衛星コンステレーションを構成する人工衛星に生成した情報を送信し、
前記地上設備と通信可能な範囲に存在する軌道面が時間経過に伴って第2軌道面から第3軌道面に変化することに応じて、前記地上設備と通信可能な範囲に存在する軌道面を示す情報として前記第3軌道面を示す情報を生成し、前記衛星コンステレーションを構成する人工衛星に生成した情報を送信する制御部
を備える地上設備。
【0072】
(付記5)
付記1から付記3のいずれか1つに記載の人工衛星であって、
前記人工衛星が飛翔している軌道を示す軌道情報を記録しているサーバと、計算機とを具備し、
前記計算機は、
前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星が時間経過に伴って第2人工衛星から第3人工衛星に変化することに応じて、前記地上設備と通信可能な範囲内を飛翔している人工衛星を示す情報として前記第3人工衛星を示す情報を生成し、前記衛星コンステレーションを構成する人工衛星に生成した情報を送信し、
前記地上設備と通信可能な範囲に存在する軌道面が時間経過に伴って第2軌道面から第3軌道面に変化することに応じて、前記地上設備と通信可能な範囲に存在する軌道面を示す情報として前記第3軌道面を示す情報を生成し、前記衛星コンステレーションを構成する人工衛星に生成した情報を送信する人工衛星。
【0073】
(付記6)
前記1機以上のミッション衛星の各々は赤外観測装置を搭載し、
前記衛星情報は、前記赤外観測装置が取得したデータに対応する飛翔体発射探知情報と飛翔体追跡情報との少なくともいずれかを含む付記1から付記3のいずれか1つに記載の衛星コンステレーション。
【0074】
(付記7)
前記1機以上のミッション衛星の各々は地球観測センサを搭載し、
前記衛星情報は、前記地球観測センサが取得したデータに対応する可視画像情報と合成開口レーダ情報との少なくともいずれかを含む付記1または付記2に記載の衛星コンステレーション。
【0075】
(付記8)
前記対象軌道面は、傾斜軌道に対応する軌道面と、太陽同期軌道に対応する軌道面とのいずれかである付記1に記載の衛星コンステレーション。
【0076】
(付記9)
前記複数の軌道面の各々は、傾斜軌道に対応する軌道面と、太陽同期軌道に対応する軌道面とのいずれかである付記2に記載の衛星コンステレーション。
【0077】
(付記10)
付記1から付記9のいずれか1つに記載のミッション衛星。
【0078】
(付記11)
付記1から付記9のいずれか1つに記載の通信衛星。
【0079】
(付記12)
前記第3の通信装置の通信距離は1800km以下である付記2または付記3に記載の通信衛星。
【符号の説明】
【0080】
10 通信衛星システム、20 衛星コンステレーション、30 衛星、31 衛星制御装置、32 通信装置、33 推進装置、34 姿勢制御装置、35 電源装置、90 地上設備、91 衛星制御装置、710 プロセッサ、711 制御部、720 主記憶装置、730 補助記憶装置、740 入力インタフェース、750 出力インタフェース、760 通信インタフェース、770 信号線、780 電子回路、810 地上側通信装置。