(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180790
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20231214BHJP
A47L 9/32 20060101ALI20231214BHJP
A47L 9/02 20060101ALI20231214BHJP
A47L 5/24 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A47L9/28 S
A47L9/32 B
A47L9/28 U
A47L9/02 B
A47L5/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094374
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】難波 康二
(72)【発明者】
【氏名】仲本 博司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 稔之
(72)【発明者】
【氏名】河内 和裕
(72)【発明者】
【氏名】大高 弘之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 孝一
【テーマコード(参考)】
3B057
3B061
【Fターム(参考)】
3B057FA14
3B057FA22
3B061AA06
3B061AA35
(57)【要約】
【課題】バッテリの重量が掃除機の操作に対して影響を与えにくい構造を有している掃除機を提供することを目的とする。
【解決手段】本出願は、塵埃を吸い込むための吸引力を発生する吸引源と、吸引源の吸引力により吸い込まれた塵埃が流れる流路を形成している吸引管と、吸引源に電力を供給するバッテリを収容しているバッテリ収容部と、バッテリ収容部から延設されているとともに使用者に握持されるように形成された握持部と、吸引源を作動させるために操作される操作部と、を備えている掃除機を開示する。握持部は、バッテリ収容部から吸引管の延長線上で延設された延設部分を有している。操作部は、握持部の延設部分に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を吸い込むための吸引力を発生する吸引源と、
前記吸引源の吸引力により吸い込まれた塵埃が流れる流路を形成している吸引管と、
前記吸引源に電力を供給するバッテリを収容しているバッテリ収容部と、
前記バッテリ収容部から延設されているとともに使用者に握持されるように形成された握持部と、
前記吸引源を作動させるために操作される操作部と、を備え、
前記バッテリは、前記吸引管の延長線上に位置するように前記バッテリ収容部内に配置されており、
前記握持部は、前記バッテリ収容部から前記吸引管の前記延長線上で延設された延設部分を有し、
前記操作部は、前記延設部分の基端側部分に設けられている、掃除機。
【請求項2】
前記握持部の前記延設部分は、成人の橈側中手点から尺側中手点までの直線距離である手幅に相当する長さとして予め設定される所定の長さ以上の長さを有している、請求項1に記載の掃除機。
【請求項3】
前記吸引源は、前記吸引管の前記延長線上からずれた位置に設けられている、請求項1又は2に記載の掃除機。
【請求項4】
前記吸引源は、前記バッテリ収容部に対して隣り合う位置に配置されている、請求項3に記載の掃除機。
【請求項5】
前記吸引源は、前記バッテリよりも軽量である、請求項4に記載の掃除機。
【請求項6】
床面上の塵埃を前記吸引源の吸引力により吸い込むように前記吸引管の先端に接続された吸込ノズルを更に備え、
前記吸込ノズルは、前記吸引管が直立姿勢から後傾姿勢になることを許容するように前記吸引管の前記先端に接続されたノズルケースと、床面上を転動するように前記ノズルケースに左右一対に取り付けられた左ノズルローラ及び右ノズルローラと、を有しており、
前記左ノズルローラ及び前記右ノズルローラは、前記吸引管が前記後傾姿勢になった状態で前記吸引管がその軸回りに回転されると、前記ノズルケースが左側又は右側に傾動することを許容するように、前記ノズルケースを床面から浮いた状態で支持しており、
前記左ノズルローラは、前記ノズルケースが左側に傾動したときに前記右ノズルローラよりも強い力で床面に接地した状態になるとともに、この状態において前記吸込ノズルが前方に押し出されたときに前記吸込ノズルが左斜め前方に移動することを促すように床面上を転動し、
前記右ノズルローラは、前記ノズルケースが右側に傾動したときに前記左ノズルローラよりも強い力で床面に接地した状態になるとともに、この状態において前記吸込ノズルが前方に押し出されたときに前記吸込ノズルが右斜め前方に移動することを促すように床面上を転動する、請求項1又は2に記載の掃除機。
【請求項7】
前記吸引源は、前記吸引管が前記直立姿勢になっているときに前記バッテリ収容部の後側に位置するように配置されている、請求項6に記載の掃除機。
【請求項8】
前記バッテリ収容部は、前記吸引管が接続された下壁と、前記握持部が接続された上壁と、前記下壁と前記上壁との間で前記バッテリを周方向に囲んでいる外周壁と、を有しており、
前記外周壁には、前記バッテリを取り出すための取出口が形成されている、請求項1又は2に記載の掃除機。
【請求項9】
前記取出口を閉じるカバー部材と、
前記カバー部材を前記外周壁上に固定するために前記カバー部材に設けられた一対の固定部と、を更に備え、
前記バッテリ収容部は、前記吸引管の軸方向に直角の幅方向及び奥行方向よりも前記吸引管の前記軸方向において大きくなっており、
前記一対の固定部は、前記取出口を挟んで前記吸引管の前記軸方向に並んで前記外周壁に接続される、請求項8に記載の掃除機。
【請求項10】
前記バッテリ収容部に収容されているとともに前記バッテリに接触する端子と、
前記端子から前記吸引源に延設されて前記バッテリから前記吸引源への電力供給経路を形成している電力線と、を更に備え、
前記バッテリ収容部は、前記吸引管の軸方向に直角の幅方向及び奥行方向よりも前記吸引管の前記軸方向において大きくなっており、
前記バッテリ及び前記端子は、前記吸引管の前記軸方向に並ばないように配置されている、請求項8に記載の掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを内蔵した掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリを内蔵した様々な掃除機が開発されている(特許文献1を参照)。
図11に示すように、特許文献1の掃除機900は、吸引力を発生する吸引源911と、吸引源911に電力を供給するバッテリ912と、を内蔵した本体部910を有している。バッテリ912は、本体部910内において吸引源911の前側に配置されている。
【0003】
掃除機900は、吸引源911の吸引力により床面から吸い上げられた塵埃が流れる流路を形成している吸引管913と、吸引管913を通過した塵埃を貯留する集塵部914と、を更に備えている。
【0004】
吸引管913の上端は、バッテリ912の下側の位置において本体部910に接続されており、吸引管913の下端には、吸込ノズル915が接続されている。吸込ノズル915は、吸引管913が
図11に示す直立姿勢から後方に傾動することを許容するように構成されており、吸引管913が後方に傾動した後傾姿勢では、使用者が吸込ノズル915を前方に押し出しながら床面上で移動させることが容易になる。
【0005】
吸込ノズル915は、床面に向けて開口した吸込空間を形成しており、床面上の塵埃は、吸引源911の吸引力が作用すると、吸込空間に吸い込まれる。この吸込空間は、吸引管913の流路よりも幅広である。これにより、吸引源911の作動時には、床面上において幅広の領域から塵埃を吸引することが可能になる。
【0006】
集塵部914は、略円筒形状の容器で構成されており、吸込ノズル915及び吸引管913を通じて塵埃とともに流入した空気が集塵部914内で旋回流になるように吸引管913に接続されている。集塵部914内において旋回流が生成される結果、塵埃の多くは遠心分離されて集塵部914内で貯留され得る。また、遠心分離しきれない細かな塵埃を捕捉するためのフィルタ916が集塵部914と吸引源911との間に配置されている。
【0007】
本体部910に対して上側に離間した位置には、前後方向に延びる棒状の握持部920が設けられている。握持部920と本体部910との間の空間は、使用者が指を差し込み可能な大きさになっている。握持部920を本体部910から上側に離間した位置で保持するように、前端支持部917及び後端支持部918が設けられている。前端支持部917は、本体部910においてバッテリ912が収容された部分の上側において、本体部910から上方に延びて、握持部920の前端に接続されている。後端支持部918は、本体部910の後面から上方に突出して、握持部920の後端に接続されている。
【0008】
握持部920には、吸引源911を作動させたり停止させたりするために操作される操作部921が設けられている。操作部921は、使用者が握持部920を握持できるように、握持部920の前側部分に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
バッテリ912の容量が大きければ大きいほど、掃除機900を連続運転できる期間が長くなる。その一方で、バッテリ912の容量が増えれば、バッテリ912は重くなる。バッテリ912の重量の増加は、掃除機900の操作に以下のように悪影響を与える。
【0011】
吸引管913が
図11に示す直立姿勢になっているとき、バッテリ912は、吸引管913の延長線上にあるが、握持部920は、吸引管913の延長線に対して後側にある。この状態から使用者が握持部920を握って後方に引くと、吸引管913及び本体部910は、後方に傾動する。この状態では、握持部920に対する使用者の握持部分は、バッテリ912よりも低い位置になり得る。すなわち、バッテリ912は、吸引管913の軸方向において使用者側から見て、使用者の握持部分に対して上側に位置する(以下、この状態での使用者の握持部分に対するバッテリ912の相対的な位置を「第1回転位置」と称する)。この状態から、使用者が握持部920を左方又は右方に傾動させれば、本体部910及び吸引管913が吸引管913の軸回りに回転し、吸引管913の先端に取り付けられた吸込ノズル915の向きが変わり得る。このとき、バッテリ912は、使用者側から見て、使用者の握持部分に対して斜め上側に位置に変位し得る(以下、この状態での使用者の握持部分に対するバッテリ912の相対的な位置を「第2回転位置」と称する)。
【0012】
使用者は、吸込ノズル100の向きを変えるときには、握持部920を左方又は右方に傾動させる操作をするが、通常、バッテリ912が第1回転位置にある状態を維持しながら吸込ノズル915を前進させて床面を清掃する。しかし、使用者が吸込ノズル915を前進させている間に、握持部920を無意識に左方又は右方に傾動させてしまうことが想定される。この無意識の操作により、バッテリ912が第2回転位置に変位すれば、バッテリ912の重量は、使用者の手首を捻るような回転モーメントを生じさせる。この場合、使用者は、上述の回転モーメントに抗するように手首に力を入れて、バッテリ912が第1回転位置にある状態を保つように掃除機900を保持しようとする。このような回転モーメントが頻繁に生じれば、使用者は、手首に疲労を感じ、掃除機900を扱いにくいと考え得る。
【0013】
本発明は、使用者に疲労を感じさせにくい掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の一局面に係る掃除機は、塵埃を吸い込むための吸引力を発生する吸引源と、吸引源の吸引力により吸い込まれた塵埃が流れる流路を形成している吸引管と、吸引源に電力を供給するバッテリを収容しているバッテリ収容部と、バッテリ収容部から延設されているとともに使用者に握持されるように形成された握持部と、吸引源を作動させるために操作される操作部と、を備えている。バッテリは、吸引管の延長線上に位置するようにバッテリ収容部内に配置されている。握持部は、バッテリ収容部から吸引管の延長線上で延設された延設部分を有している。操作部は、延設部分の基端側部分に設けられている。
【発明の効果】
【0015】
上述の掃除機は、バッテリの重量の影響が低減された状態で操作され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図8】吸引管の軸回りに掃除機を回転させたときの掃除機の概略図
【
図9】ハンディ型の掃除機として利用されるときの掃除機の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、掃除機の実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は、省略する場合がある。たとえば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0018】
<第1実施形態>
図1は、吸込ノズル100を備えている吸引式の掃除機200の概略的な側面図である。なお、
図1に示す掃除機200は、直立姿勢になっている。掃除機200は、
図2に示すように、この直立姿勢から後側に傾動し後傾姿勢になることも可能である。
図1及び
図2を参照して、掃除機200を説明する。
【0019】
(掃除機の全体的な構成)
掃除機200は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源211を収容したファン収容部233と、吸引源211に電力を供給するバッテリ212を収容したバッテリ収容部232と、を有している。吸引源211は、例えば、モータと、モータによって回転されて上向きの気流を生じさせるように形成された回転羽根と、によって構成され得る。バッテリ212は、吸引源211のモータに電力を供給するようにモータに電気的に接続されてもよい。バッテリ212は、充電可能に構成されているが、充電なしにモータを長時間に亘って作動させるのに十分に大きな容量を有していることが好ましい。バッテリ212の容量が大きい場合、バッテリ212は、掃除機200を構成している部品の中で比較的大きな重量を有し得る。本実施形態では、バッテリ212は、ファン収容部233及びファン収容部233内の吸引源211よりも大きな重量を有している。
【0020】
ファン収容部233及びファン収容部233内の吸引源211は、掃除機200が直立姿勢になっているときに、バッテリ収容部232と略同じ高さ位置で、バッテリ収容部232の後側に配置されている。ファン収容部233は、バッテリ収容部232に一体化されており、ファン収容部233及びバッテリ収容部232は、掃除機200の本体部210を構成している。ファン収容部233は、本体部210の後側部分を構成しており、バッテリ収容部232は、本体部210の前側部分を構成している。
【0021】
図1に示すバッテリ収容部232の上下方向の大きさは、これに直角の左右方向(幅方向)及び前後方向(奥行方向)の大きさよりも大きくなっている。このため、バッテリ収容部232には、上下方向に長いバッテリ212を収容可能である。
【0022】
バッテリ収容部232は、
図3に示すように、前側部分が湾曲しているとともに両端が閉じられた略半円筒形の部品で構成されている。詳細には、バッテリ収容部232は、下壁234と、下壁234から上側に離間した位置に設けられた上壁235と、下壁234及び上壁235の間に設けられた外周壁236と、を有している。外周壁236は、バッテリ212の前側部分を除いて、バッテリ212を周方向に囲んでおり、外周壁236の前側部分には、バッテリ収容部232に対するバッテリ212の出し入れを許容するように前方に開口した取出口237が形成されている。
【0023】
上壁235からは、使用者によって握持可能な太さに形成された棒状の握持部230が上方に延設されている。握持部230が接続された側とは反対側の下壁234からは、吸引源211の吸引力により吸い込まれた塵埃が流れる流路を形成している吸引管220が下方に延設されている。この吸引管220の延長線上において、バッテリ212は、バッテリ収容部232内で固定されている。一方、ファン収容部233及びファン収容部233内の吸引源211は、吸引管220の延長線上から後側にずれた位置にある。
【0024】
バッテリ収容部232内には、端子250が固定されており、端子250は、バッテリ212が取出口237を通じてバッテリ収容部232内に押し入れられると、バッテリ212と電気的に接続されるように構成されている。詳細には、端子250は、バッテリ212の電力を伝達するための回路を内蔵した端子本体247と、端子本体247から前方に突出した複数の接触板248と、を有している。端子本体247には、一対の電力線249が接続されている。これらの電力線249は、ファン収容部233内に延設されて、吸引源211に電気的に接続される。これらの電力線249により、バッテリ212から吸引源211への電力供給経路が形成される。接触板248は、バッテリ212が取出口237を通じてバッテリ収容部232内に押し入れられると、バッテリ212の後面の上部に形成された接続孔(図示せず)に挿入されるように構成されている。接触板248がバッテリ212の接続孔に挿入されることにより、端子250は、バッテリ212に電気的に接続される。この状態では、端子250及びバッテリ212は、前後方向に並んで接触している。
【0025】
バッテリ収容部232の外周壁236に設けられた取出口237は、カバー部材238によって閉じられる。カバー部材238は、前側からバッテリ収容部232に重ねられるように形成されており、湾曲した薄板形状を有している。カバー部材238の上端及び下端には、外周壁236にカバー部材238を固定するための固定部241,242が設けられている。これらの固定部241,242は、カバー部材238が取出口237を塞いでいる状態において取出口237を挟んで上下方向に並んでおり、上壁235及び下壁234の周面にネジ止めされる。カバー部材238の固定に用いられるネジ243,244を使用者から隠すために、飾り板245がカバー部材238に取り付けられる。
【0026】
図1に示すように、バッテリ収容部232から下方に延設された吸引管220は、3つの管体から構成されている。これらの管体のうち1つは、バッテリ収容部232の下壁234と一体的に形成された基端管部221である。すなわち、基端管部221の基端(上端)は、バッテリ収容部232の下壁234に一体的に接続されている。
【0027】
基端管部221の後側且つファン収容部233の下側には、吸引源211の吸引力によって吸い込まれた塵埃が貯留される集塵部240が取り付けられている。基端管部221には、基端管部221の後側の集塵部240に塵埃及び空気が流出するように後方に開口した流出口(図示せず)が設けられている。集塵部240は、基端管部221の流出口から集塵部240に流入した空気が集塵部240の内部で旋回流になるように、基端管部221の流出口に連結されている。詳細には、集塵部240は、円筒状の容器で構成されており、基端管部221の流出口から流入した空気が集塵部240の内周面に沿って流れるように、基端管部221の流出口に連結されている。集塵部240内で旋回流が生成されることにより、集塵部240内に流入した空気に含まれる塵埃は、遠心分離され得る。
【0028】
集塵部240の上部には、フィルタ(図示せず)が設けられている。このフィルタは、集塵部240からファン収容部233内の吸引源211へ向かって空気が流れることを許容する一方で、この空気に含まれる塵埃を捕捉するように構成されている。この結果、塵埃は、集塵部240内に留められる。
【0029】
上述の3つの管体のうち他のもう1つの管体は、基端管部221に接続された中間管部223である。中間管部223は、基端管部221から取り外し可能になっており、中間管部223が基端管部221から取り外された状態では、掃除機200は、ハンディ型の掃除機として利用可能である。この状態では、例えば、掃除機200は、カーテンレールといった高い位置に配置された物の清掃に好適に利用可能である。
【0030】
残りの1つの管体は、中間管部223の下端(先端)に接続された先端管部222であり、先端管部222の下端(先端)には、吸込ノズル100が接続されている。中間管部223、先端管部222及び吸込ノズル100が取り付けられた状態では、掃除機200は、スティック型の掃除機として利用可能である。この状態では、例えば、掃除機200は、床面の清掃に好適に利用可能である。
【0031】
吸込ノズル100は、
図4及び
図5に示すように、ノズルケース110を有している。ノズルケース110は、左右方向に長い後ケース部111を有しており、後ケース部111の左右端からは、左ケース部112及び右ケース部113が前方に突出している。後ケース部111の前側において、左右方向に長いカバー板114が配置されており、カバー板114の左右の端部は、左ケース部112及び右ケース部113上で固定されている。カバー板114が取り付けられた状態で、後ケース部111、左ケース部112、右ケース部113及びカバー板114によって区画された吸込空間115が後ケース部111の前側に形成される。
【0032】
吸込空間115は、床面上の塵埃を吸い込むために設けられており、下方に開口している。吸込空間115は、吸引管220の流路よりも幅広になっており、床面上の幅広い領域の塵埃が吸込空間115に流入することを許容する。
【0033】
吸込空間115に吸引源211の吸引力を作用させるために、後ケース部111には、
図6に示す連通路119が前後方向に延設されている。連通路119の後側において、吸引管220(先端管部222)の先端部分224が後ケース部111に接続されている。この先端部分224は、左右方向に延びる略半円筒形状になっている。
【0034】
吸引管220の先端部分224に接続される接続部141が、後ケース部111に設けられている。この接続部141は、吸引管220の先端部分224を保持しつつ、先端部分224が軸回りに所定の回転範囲で回転することを許容するように構成されている。このため、吸引管220は、前後方向に所定の範囲で傾動可能になっている。すなわち、吸引管220が前後方向に傾動したとき、吸引管220の先端部分224は、後ケース部111に対して相対的に回転可能である。
【0035】
吸引管220の先端部分224の周壁の前側部分には、連通路119と吸引管220の流路とを連通させる開口が形成されている。開口の大きさは、吸引管220がいずれの角度で後傾していても、吸引管220の流路が連通路119に連通した状態になるように設定されている。吸引管220の流路は、連通路119を介して、吸込空間115に連通しており、吸引源211の吸引力は、吸込空間115に作用する。
【0036】
吸込空間115は、床面上の塵埃が吸引される幅広の領域を確保するためだけでなく、床面上の塵埃を掻き取るブラシローラ120を配置するためにも利用される。ブラシローラ120は、
図5に示すように、左右方向に長いローラ本体121と、ローラ本体121の外周面から突出した複数のブラシ列122と、を有している。
【0037】
ローラ本体121の左右の端部からは、回転シャフト(図示せず)が突出しており、これらの回転シャフトは、左ケース部112と右ケース部113とによって回転可能に支持されている。言い換えると、ローラ本体121は、左ケース部112と右ケース部113とによって回転可能に両持ち支持されている。
【0038】
各ブラシ列122は、ローラ本体121の外周面上で螺旋状に配列された複数のブラシ毛によって形成されている。ブラシローラ120の大部分は、
図6に示すように、吸込空間115内に収容されているが、ローラ本体121の下側にあるブラシ列122は、吸込空間115から下方に突出し、床面に接触している。このブラシ列122によって、ノズルケース110の前側部分は、床面から浮いた状態で支持されている。ブラシ列122は、この状態を保つのに十分な剛性を有するように構成されている。
【0039】
ブラシローラ120を回転駆動する駆動力を発生させるために、
図5に示すように駆動部130(たとえば、駆動モータ)が後ケース部111内に配置されている。また、駆動部130とブラシローラ120とを接続し、駆動部130の駆動力をブラシローラ120に伝達するための伝達機構(たとえば、プーリ及び駆動ベルト:図示せず)が左ケース部112及び後ケース部111内で形成されている。駆動部130が作動すると、ブラシローラ120が回転し、床面上の塵埃が掻き取られる。
【0040】
ブラシローラ120によってノズルケース110の前側部分が支持されている一方で、ノズルケース110の後側部分は、
図5に示す左ノズルローラ123及び右ノズルローラ124によって床面から浮いた状態で支持される。左ノズルローラ123及び右ノズルローラ124は、吸込ノズル100の中心線(吸込ノズル100の幅方向における中央で前後方向に延びる線)について略左右対称に配置されている。
【0041】
左ノズルローラ123及び右ノズルローラ124は、後ケース部111の後側に設けられたローラ支持部125に回転可能に取り付けられている。ローラ支持部125は、平面視において略C字状の部材であり、左右方向における後ケース部111の中央部分に接続されている。
【0042】
ローラ支持部125の角隅部には、左ノズルローラ123及び右ノズルローラ124を収容するために下方に開口した収容凹部126,127が形成されている。左ノズルローラ123及び右ノズルローラ124の大部分は、収容凹部126,127内に収容されているが、左ノズルローラ123及び右ノズルローラ124の一部は、収容凹部126,127から突出し、床面に接触する。このとき、左ノズルローラ123及び右ノズルローラ124は、ノズルケース110の後側部分が床面から浮いた状態でノズルケース110を支持している。
【0043】
左ノズルローラ123及び右ノズルローラ124は、
図5に示すように、前後方向に対して傾斜した回転軸回りに回転するようにローラ支持部125に取り付けられている。左ノズルローラ123は、吸込ノズル100が左斜め前方に移動することを補助するように床面上を転動する。言い換えると、左ノズルローラ123の回転軸の傾斜は、吸込ノズル100の前進時において、左ノズルローラ123が床面から右斜め後方の摩擦力F1を受けて、床面上を転動するように設定されている。一方、右ノズルローラ124は、吸込ノズル100が右斜め前方に移動することを補助するように床面上を転動する。言い換えると、右ノズルローラ124の回転軸の傾斜は、吸込ノズル100の前進時において、右ノズルローラ124が床面から左斜め後方の摩擦力F2を受けて、床面上を転動するように設定されている。たとえば、
図5に示すように、左ノズルローラ123及び右ノズルローラ124の回転軸の傾斜角度は、吸込ノズル100の中心線について略45°に設定されていてもよい。
【0044】
ノズルケース110は、左ノズルローラ123、右ノズルローラ124及びブラシローラ120によって、床面から全体的に浮いた状態になっている。このため、ノズルケース110の左端及び右端と床面との間には、ノズルケース110の左右の傾動を許容する空間が形成されている。このため、吸引管220が後傾姿勢になった状態で、使用者が握持部230をその軸回りに回転することにより、ノズルケース110を左右に傾動させることができる。すなわち、使用者が握持部230をその軸回りに回転すれば、吸引管220は、吸引管220の軸回りに回転する。吸引管220の先端に取り付けられたノズルケース110は、吸引管220の回転に追随して左右に傾動する。
【0045】
握持部230は、バッテリ収容部232の上壁235と一体的に形成されている。詳細には、
図1に示すように、握持部230の基端は、吸引管220の延長線上において上壁235に接続されており、握持部230は、この接続部分から上方に延設されている。本実施形態では、握持部230は、上壁235に対して若干後側に傾斜しているが、略全長に亘って吸引管220の延長線上にある。以下の説明において、吸引管220の延長線上にある握持部230の部分を「延設部分」と称する。
【0046】
本実施形態では、この延設部分は、握持部230の略全長であるが、この延設部分の長さが使用者の手幅(すなわち、使用者の橈側中手点から尺側中手点までの直線距離)以上の長さであれば、握持部230の形状は、特に限定されない。たとえば、延設部分の長さが使用者の手幅以上の長さであれば、握持部230は、上壁235に対して更に後傾した姿勢になっていてもよい。なお、日本人(成人)の手幅の平均値は、人工知能研究センターのデータによれば、約83mmであるので、吸引管220の延長線上にある握持部230の長さ部分は、好ましくは、83mm以上に設定されることが好ましい。
【0047】
延設部分の基端側部分(延設部分を長手方向において二等分したときにバッテリ収容部232側にある部分)の前面側には、
図3に示すように、操作部231が設けられている。操作部231は、吸引源211及び駆動部130を作動及び停止させるために操作される部分である。なお、握持部230内には、操作部231に対する操作に応じて当該操作内容を表す電気信号を出力する信号生成回路(図示せず)が設けられている。この信号生成回路は、吸引源211及び駆動部130を制御する制御回路(図示せず)に電気的に接続されている。
【0048】
(掃除機の動作)
使用者は、掃除機200をスティック型の掃除機として利用する場合、掃除機200の握持部230を握持するとともに後方に引き、掃除機200の姿勢を
図1に示す直立姿勢から
図2に示す後傾姿勢にする。この状態では、掃除機200は、前方に倒れにくくなっており、吸込ノズル100を前進させる動作が容易に行われ得る。
【0049】
使用者が操作部231を操作すると、吸引源211及び吸込ノズル100の駆動部130が作動する。このとき、握持部230は、バッテリ収容部232から吸引管220の延長線上で延設されており、操作部231は、この延設部分においてバッテリ収容部232側に設けられている。すなわち、操作部231は、バッテリ収容部232に近い位置に設けられており、例えば、使用者が操作部231に指を掛けた状態で握持部230を握れば、使用者の握持部分もバッテリ収容部232の近くになり得る。また、この握持部分は、吸引管220の延長線上に位置し得る。すなわち、使用者の握持部分、バッテリ212及び吸引管220は、吸引管220の軸方向に並んだ状態が得られる。言い換えると、これらは、略同軸に並んだ状態になっている。
【0050】
吸引源211が作動すると、吸引源211の吸引力は、集塵部240、吸引管220及び吸込ノズル100の連通路119を通じて、吸込ノズル100の吸込空間115に作用する。この結果、床面上の塵埃は、吸込空間115に吸い込まれ、連通路119及び吸引管220を流れて、集塵部240に空気とともに流入する。集塵部240内では、空気は旋回流になって流れ、この空気に含まれる塵埃は、遠心分離されて集塵部240に貯留される。
【0051】
駆動部130が作動すると、駆動部130の駆動力は、ブラシローラ120に伝達される。この結果、ブラシローラ120は、床面上で回転し、床面上の塵埃を掻き取ることができる。また、ブラシローラ120の回転力は、吸込ノズル100を前進させる推進力になるので、使用者は、吸込ノズル100を軽い力で前進させることができる。
【0052】
このとき、ノズルケース110の左ノズルローラ123及び右ノズルローラ124は、前後方向に対して傾斜した軸回りに転動する。言い換えると、左ノズルローラ123は、床面と左ノズルローラ123との間の右斜め後向きの摩擦力F1によって床面上を転動する一方で、右ノズルローラ124は、床面と右ノズルローラ124との間の左斜め後向きの摩擦力F2によって床面上を転動する。これらの摩擦力F1,F2の左右方向の分力は、左ノズルローラ123及び右ノズルローラ124が吸込ノズル100の中心軸について左右対称に配置されているので、互いに相殺され得る。このため、使用者が吸込ノズル100を前進させているときに、吸込ノズル100が左右に蛇行することが抑制される。
【0053】
吸込ノズル100の進行方向を変えるときには、使用者は、手首を捻って握持部230をその軸回りに回転すればよい。使用者の握持部分(握持部230の延設部分の基端側部分)は、吸引管220と略同軸になっているので、握持部230を軸回りに回転することにより吸引管220もその軸回りに回転する。このとき、吸引管220は、後傾姿勢になっており、この姿勢では、吸込ノズル100のノズルケース110は、吸引管220の回転により左又は右に傾動する。詳細には、使用者から見て吸引管220が反時計回りに回転すれば、ノズルケース110は左側に傾く。逆に、吸引管220が時計回りに回転すれば、ノズルケース110は右側に傾く。
【0054】
ノズルケース110が左側に傾くと、左ノズルローラ123は、右ノズルローラ124よりも強い力で床面に押し付けられる。この場合、吸込ノズル100の進行方向に対する左ノズルローラ123の影響は、右ノズルローラ124が吸込ノズル100の進行方向に与える影響よりも強くなり、吸込ノズル100は、左斜め前方に進む。逆に、ノズルケース110が右側に傾くと、吸込ノズル100は、右斜め前方に進む。
【0055】
使用者は、上述の如く、握持部230をその軸回りに回転することにより、ノズルケース110を傾動させることができる。このとき、使用者の握持部分(すなわち、握持部230の延設部分の基端側部分)、バッテリ212及び吸引管220は、略同軸回転する。この回転運動の回転軸上にバッテリ212が配置されているので、バッテリ212の重心は、この回転軸上又は当該回転軸に近い位置にある。このため、バッテリ212は、この回転軸回りにおける大きな回転モーメントを生じさせず、使用者は、バッテリ212の重量をあまり感じることなく、手首を捻り握持部230をその軸回りに回転することができる。使用者がバッテリ212の重量をあまり感じにくくなっているので、バッテリ212は、ある程度大きな重量を有していてもよい。バッテリ212が大きな重量を有することが許容されれば、バッテリ212の容量を増やすことが許容され得る。バッテリ212が大きな容量を有していれば、バッテリ212を充電することなく長時間に亘って吸引源211を作動させ続けることが可能になる。
【0056】
一方、ファン収容部233内の吸引源211は、バッテリ212とは異なり、吸引管220の延長線上にはなく、使用者が握持部230をその軸回りに回転する動作を行ったときには、この回転運動の回転軸から離れた位置でこの回転軸回りに周回移動する。たとえば、使用者が掃除機200を
図2に示す後傾姿勢にした状態で握持部230をその軸回りに(反時計回りに)回転すれば、ファン収容部233は、
図7に示す位置から
図8に示す位置に軸回りに斜め上向きに移動する。このとき、ファン収容部233及び吸引源211の重量は、この周回移動に抗する方向に作用する回転モーメントを生じさせるので、作業者は、手首を捻り握持部230をその軸回りに回転するときに、ファン収容部233及び吸引源211の重量を感じ得る。したがって、ファン収容部233及び吸引源211の重量は、可能な限り低減されることが好ましい。このため、本実施形態では、ファン収容部233及び吸引源211の重量は、バッテリ212の重量よりも小さくなっている。
【0057】
ファン収容部233及び吸引源211が軽量化されたとしても、これらは、ある程度の重量を有し得る。このため、
図8に示す位置で、使用者が握持部230を保持した状態を維持しつつ握持部230を握持している力を緩めれば、ファン収容部233及び吸引源211の重量による回転モーメントにより、掃除機200の回転位置は、
図7に示す位置に戻る。すなわち、吸込ノズル100の進行方向を変えるために握持部230をその軸回りに回転して吸込ノズル100を傾動した後に、使用者が握持部230に対する握力を緩めるだけで、吸込ノズル100を直進させるときの姿勢に吸込ノズル100を戻すことができる。
【0058】
清掃作業の間、障害物を避けるために、使用者が吸込ノズル100を床面から上方に持ち上げようとすることがあり得る。このとき、使用者は、バッテリ収容部232に近い位置で握持部230を握持しているので、使用者の握持部分は、吸引管220の軸方向においてバッテリ212に近い位置にある。このとき、使用者が手首を上向きに折り曲げれば、吸込ノズル100を持ち上げることができる。この動作に抗する回転モーメントがバッテリ212の重量に起因して生ずるが、バッテリ212は、使用者の握持部分に近い位置にあるので、この回転モーメントは、過度に大きくならない。また、吸引源211も、使用者の握持部分から吸引管220の軸方向において近い位置にあり、且つ、比較的軽量である。このため、使用者は、吸込ノズル100を床面から持ち上げるときに、吸引源211の重量もあまり感じることなく、吸込ノズル100を容易に持ち上げることができる。
【0059】
使用者が吸込ノズル100を前進させているときに、吸込ノズル100が前方の障害物に衝突することが想定される。このときの衝突力は、吸込ノズル100に対して後向きに作用する。使用者が握持部230を保持した状態で、このような衝突力が吸込ノズル100に作用すれば、当該衝突力は、吸引管220を通じて、バッテリ収容部232に作用し得る。バッテリ収容部232は、吸引管220の軸方向において比較的長くなっているので、この衝突力により、吸引管220の軸方向に弾性変形しやすい。特に、バッテリ収容部232の前面に取出口237が形成されており、バッテリ収容部232の剛性は、取出口237の周囲において小さくなっているので、取出口237の周囲における弾性変形量は大きくなりやすいと考えられる。
【0060】
バッテリ収容部232が吸引管220の軸方向において弾性的に伸長した場合において、仮に、この伸長方向と同じ方向においてバッテリ212と端子250とが接触していれば、これらの接触状態は、バッテリ収容部232の伸長により解消され得る。すなわち、バッテリ212及び端子250のいずれかがバッテリ収容部232の伸長に追随して吸引管220の軸方向に変位すれば、バッテリ212及び端子250は、互いに離間した状態になり得る。一方、本実施形態では、バッテリ212及び端子250は、吸引管220の軸方向ではなく、前後方向に接触している。このため、バッテリ212及び端子250の接触状態は、吸引管220の軸方向におけるバッテリ収容部232の弾性変形に影響を受けにくくなっている。すなわち、バッテリ収容部232が吸引管220の軸方向に弾性変形しても、バッテリ212及び端子250は、接触状態を維持することができる。言い換えると、バッテリ212と端子250との間での接触不良が生じにくくなっている。
【0061】
なお、本実施形態では、吸引管220の軸方向におけるバッテリ収容部232の弾性変形(伸長及び圧縮)は、カバー部材238によって抑制される。すなわち、バッテリ収容部232が吸引管220の軸方向に弾性的に伸長しようとした場合、取出口237も吸引管220の軸方向に拡張しようとする。取出口237を塞ぐカバー部材238の上端及び下端には、固定部241,242が設けられており、これらの固定部241,242は、取出口237が形成された外周壁236にネジ243,244により固定されている。固定部241,242は、取出口237を挟んで、取出口237の拡張方向(すなわち、吸引管220の軸方向)に並んでいるので、取出口237が拡張しようとすれば、カバー部材238に引張応力が生ずる。カバー部材238の剛性が高く、カバー部材238がこのような引張応力に抗してほとんど変形しなければ、取出口237を吸引管220の軸方向に拡張させる弾性変形は抑制される。逆に、取出口237を吸引管220の軸方向に縮めるような圧縮力がバッテリ収容部232に作用しても、カバー部材238は、この圧縮力に抗してバッテリ収容部232の弾性変形を抑制し得る。
【0062】
本実施形態では、ファン収容部233及び集塵部240は、吸引管220の延長線から後側にずれた位置に配置されている。このため、掃除機200は、吸引管220の軸方向において過度に長くならない。特に、掃除機200が
図9に示すハンディ型の掃除機として利用される場合において、掃除機200の全長は、過度に長くならないので、使用者は、掃除機200を周囲の家具に衝突させることなく使用することができる。なお、吸引管220の軸方向における掃除機200の長さが問題にならなければ、
図10に示すように、ファン収容部233及び集塵部240は、吸引管220の延長線上の位置に設けられていてもよい。
【0063】
図9に示す状態(ハンディ型掃除機の状態)において、本体部210は、幅方向及び奥行方向において吸引管220よりも大きくなっており、周囲の家具に接触しやすい。このため、本体部210が家具に接触しそうになったときに、使用者が手首を捻り、握持部230をその軸回りに回転し、家具に対する本体部210の接触を回避する回転動作が想定される。このような回転動作が行われるとき、吸引管220は、使用者の握持部分に対して略同軸に回転するので、回転動作の回転軸上の位置を保つことができる。すなわち、吸引管220は、幅方向及び奥行方向にほとんど変位しないので、上述の回転動作時に、吸引管220が周囲の家具に接触することが回避されやすくなっている。
【0064】
上述の実施形態では、握持部230は、上壁235に対して若干後方に傾斜している。代替的に、握持部230は、全長に亘って、吸引管220の延長線上にあるように、上壁235に対して直角の角度で延設されていてもよい。
【0065】
上述の実施形態では、掃除機200には、幅広の吸込ノズル100が取り付けられているが、他の吸込ノズルが掃除機200に取り付けられてもよい。たとえば、狭い隙間を清掃するために、使用者は、先細の吸込ノズルを吸引管220の先端に取り付けてもよい。
【0066】
上述の実施形態では、バッテリ212は、バッテリ収容部232から取出口237を通じて取り出し可能になっている。この場合、使用者は、バッテリ212を、バッテリ収容部232から取り出した状態で充電することができる。代替的に、掃除機200は、バッテリ212をバッテリ収容部232に収容した状態で充電可能に構成されていてもよい。この場合、バッテリ収容部232には、取出口237は形成されていなくてもよい。バッテリ収容部232に取出口237が形成されない場合、バッテリ収容部232の構造的強度が向上し得る。
【0067】
(効果等)
上述の実施形態に係る掃除機200は、以下の特徴を有しているとともに、以下の効果を奏する。
【0068】
上述の実施形態に係る一の局面に係る掃除機は、塵埃を吸い込むための吸引力を発生する吸引源と、吸引源の吸引力により吸い込まれた塵埃が流れる流路を形成している吸引管と、吸引源に電力を供給するバッテリを収容しているバッテリ収容部と、バッテリ収容部から延設されているとともに使用者に握持されるように形成された握持部と、吸引源を作動させるために操作される操作部と、を備えている。バッテリは、吸引管の延長線上に位置するようにバッテリ収容部内に配置されている。握持部は、バッテリ収容部から吸引管の延長線上で延設された延設部分を有している。操作部は、延設部分の基端側部分に設けられている。
【0069】
上述の構成によれば、操作部は、握持部の延設部分の基端側部分に設けられているので、使用者が握持部の基端側部分を握持することを促すことができる。握持部の延設部分は、バッテリを収容しているバッテリ収容部から延設されているので、握持部の基端側部分を握っている使用者の握持部分は、バッテリの近くになり得る。この状態で、使用者が手首を上向きに折り曲げて吸引管の先端の向きを変更しようとすれば、バッテリの重量は、この動作に抗する方向の回転モーメントを使用者の握持部分に作用させる。しかし、使用者の握持部分とバッテリとの距離が短くなっているので、当該回転モーメントは小さくなる。したがって、使用者がこのような動作をしても、バッテリは、使用者に大きな負荷を与えない。
【0070】
また、使用者が握持する握持部の延設部分は、バッテリ収容部から吸引管の延長線上で延設されているので、使用者の握持部分は、吸引管と略同軸になり得る。このとき、使用者が手首を捻り握持部をその軸回りに回転させたときには、吸引管は、使用者の握持部分と略同軸回転し、回転動作における回転軸上の位置を保ち得る。例えば、吸引管以外の部分において掃除機が家具に接触することを回避するために、使用者が握持部をその軸回りに回転することが想定される。このとき、吸引管は、前後方向及び左右方向にほとんど変位しないので、吸引管の周囲にある家具に吸引管が接触することを避けやすくなっている。
【0071】
また、バッテリも、吸引管の延長線上に配置されているので、使用者の握持部分、バッテリ及び吸引管が吸引管の軸方向に並んだ状態が得られる。このため、バッテリも、使用者の握持部分と略同軸に回転する。このとき、バッテリは、この回転動作時における回転軸上で回転するので、バッテリの重心は、この回転軸上又は当該回転軸に近い位置にあり得る。したがって、バッテリは、この回転軸回りにおける大きな回転モーメントを生じさせない。このため、使用者は、バッテリの重量をあまり感じることなく、上述の回転動作を行うことができる。
【0072】
上述の構成において、握持部の延設部分は、成人の橈側中手点から尺側中手点までの直線距離である手幅に相当する長さとして予め設定される所定の長さ以上の長さを有していてもよい。
【0073】
上述の構成によれば、握持部の延設部分は、成人の手幅に相当する長さとして予め設定される所定の長さ以上の長さに亘って、バッテリ収容部から吸引管の延長線上で延設されているので、使用者は、手全体で握持部の延設部分を吸引管の延長線上で握ることができる。
【0074】
上述の構成において、吸引源は、吸引管の延長線上からずれた位置に設けられていてもよい。
【0075】
上述の構成によれば、吸引源は、吸引管の延長線上からずれた位置に設けられているので、掃除機は、吸引管の軸方向に過度に長くならない。
【0076】
上述の構成において、吸引源は、バッテリ収容部に対して隣り合う位置に配置されていてもよい。
【0077】
上述の構成によれば、吸引源は、吸引管の延長線上からずれた位置であってバッテリ収容部に対して隣り合う位置にあるので、吸引源は、使用者が握持部を握持している位置から吸引管の軸方向において近い位置にある。仮に、使用者が握持部を握っている状態で手首を上向きに折り曲げて吸引管の先端の向きを変更しようとすれば、吸引源の重量は、この動作に抗する方向の回転モーメントを使用者の握持部分に作用させる。しかし、使用者の握持部分及び吸引源は、吸引管の軸方向において互いに近い位置に設けられているので、当該回転モーメントは小さくなる。したがって、使用者がこのような動作をしても、吸引源は、使用者に大きな負荷を与えない。
【0078】
上述の構成において、吸引源は、バッテリよりも軽量であってもよい。
【0079】
上述の構成によれば、吸引源が吸引管の延長線上からずれた位置であってバッテリ収容部に対して隣り合う位置に配置されている場合、吸引源は、握持部をその軸回りに回転する回転動作における回転軸から離れた位置にある。このため、吸引源は、この回転動作に抗する回転モーメントを生じさせ得るが、吸引源は、比較的軽いので、この回転モーメントは、過度に大きくならない。
【0080】
上述の構成において、掃除機は、床面上の塵埃を吸引源の吸引力により吸い込むように吸引管の先端に接続された吸込ノズルを更に備えていてもよい。吸込ノズルは、吸引管が直立姿勢から後傾姿勢になることを許容するように吸引管の先端に接続されたノズルケースと、床面上を転動するようにノズルケースに左右一対に取り付けられた左ノズルローラ及び右ノズルローラと、を有していてもよい。左ノズルローラ及び右ノズルローラは、吸引管が後傾姿勢になった状態で吸引管がその軸回りに回転されると、ノズルケースが左側又は右側に傾動することを許容するように、ノズルケースを床面から浮いた状態で支持していてもよい。左ノズルローラは、ノズルケースが左側に傾動したときに右ノズルローラよりも強い力で床面に接地した状態になるとともに、この状態において吸込ノズルが前方に押し出されたときに吸込ノズルが左斜め前方に移動することを促すように床面上を転動してもよい。右ノズルローラは、ノズルケースが右側に傾動したときに左ノズルローラよりも強い力で床面に接地した状態になるとともに、この状態において吸込ノズルが前方に押し出されたときに吸込ノズルが右斜め前方に移動することを促すように床面上を転動してもよい。
【0081】
上述の構成によれば、使用者は、吸引管を直立姿勢から後傾姿勢にすることにより、吸込ノズルを前方に押し出しながら床面上を前進させることができる。この状態で使用者が吸込ノズルを前進させているときに、握持部をその軸回りに回転すれば、吸引管は、上述の如く、握持部と略同軸に回転する。このとき、ノズルケースは、吸引管の回転動作に応じて左側又は右側に傾動する。ノズルケースが左側に傾動したとき、左ノズルローラは、右ノズルローラよりも強い力で床面に接地した状態になり、吸込ノズルの進行方向に対する左ノズルローラの影響は、右ノズルローラの影響よりも強くなる。左ノズルローラは、吸込ノズルが前方に押し出されたときに吸込ノズルが左斜め前方に移動することを促すように床面上を転動するので、使用者が握持部を回転させてノズルケースを左側に傾動させることにより、吸込ノズルを左斜め前方に移動させることができる。逆に、使用者が、ノズルケースを右側に傾動させれば、吸込ノズルは、右斜め前方に移動する。
【0082】
上述の構成において、吸引源は、吸引管が直立姿勢になっているときにバッテリ収容部の後側に位置するように配置されていてもよい。
【0083】
上述の構成によれば、吸引源は、吸引管が直立姿勢になっているときにバッテリ収容部の後側に位置しているので、吸引管が後傾姿勢になれば、吸引源は、吸引管の延長線の下側に位置する。この状態で、使用者がノズルケースを左又は右に傾動させるために、握持部をその軸回りに回転させると、吸引源は、吸引管の延長線の下側の位置からこの回転動作の軸回りに上向きに周回する。このとき、吸引源の重量は、吸引源を、吸引管の延長線の下側の位置に戻すように作用する。このため、使用者が握持部を握る力を緩めるだけで、掃除機を元の後傾姿勢の状態に戻し得る。
【0084】
上述の構成において、バッテリ収容部は、吸引管が接続された下壁と、握持部が接続された上壁と、下壁と上壁との間でバッテリを周方向に囲んでいる外周壁と、を有していてもよい。外周壁には、バッテリを取り出すための取出口が形成されていてもよい。
【0085】
上述の構成によれば、バッテリを取り出すための取出口は、吸引管が接続された下壁及び握持部が接続された上壁のいずれでもなく、これらの間でバッテリを周方向に囲んでいる外周壁に設けられている。このため、握持部及び吸引管に妨げられることなく取出口を形成することができる。
【0086】
上述の構成において、掃除機は、取出口を閉じるカバー部材と、カバー部材を外周壁上に固定するためにカバー部材に設けられた一対の固定部と、を更に備えていてもよい。バッテリ収容部は、吸引管の軸方向に直角の幅方向及び奥行方向よりも吸引管の軸方向において大きくなっていてもよい。一対の固定部は、取出口を挟んで吸引管の軸方向に並んで外周壁に接続されていてもよい。
【0087】
上述の構成によれば、バッテリ収容部が吸引管の軸方向において大きくなっているので、吸引管の幅方向及び奥行方向よりはむしろ軸方向におけるバッテリ収容部の弾性変形が大きくなることが想定される。特に、取出口が形成されている部分は、強度が低くなりやすく、バッテリ収容部の弾性変形量が大きくなりやすい。取出口には、バッテリがバッテリ収容部から出ることを防ぐためにカバー部材が取り付けられているが、このカバー部材に一対の固定部を設けることにより、以下のように、カバー部材の剛性を利用して、軸方向におけるバッテリ収容部の弾性変形を抑制可能になる。すなわち、一対の固定部は、取出口を挟んで吸引管の軸方向に並んで外周壁に接続される。この接続状態では、カバー部材が取出口を閉じている状態でバッテリ収容部が吸引管の軸方向に弾性的に伸長したときにカバー部材に引張応力が生じ、カバー部材の剛性により軸方向におけるバッテリ収容部の弾性変形を抑制することができる。
【0088】
上述の構成において、掃除機は、バッテリ収容部に収容されているとともにバッテリに接触する端子と、端子から吸引源に延設されてバッテリから吸引源への電力供給経路を形成している電力線と、を更に備えていてもよい。バッテリ収容部は、吸引管の軸方向に直角の幅方向及び奥行方向よりも吸引管の軸方向において大きくなっていてもよい。バッテリ及び端子は、吸引管の軸方向に並ばないように配置されていてもよい。
【0089】
上述の構成によれば、バッテリが端子に接触していれば、バッテリの電力は、端子と端子から吸引源に延設された電力線とを通じて吸引源に供給され得る。バッテリ収容部が吸引管の軸方向に長くなっている場合には、上述の如く、この方向におけるバッテリ収容部の弾性的な伸長変形が生ずることが想定される。このとき、仮に、バッテリ及び端子が、吸引管の軸方向に並んでいれば、バッテリ及び端子のうち一方がバッテリ収容部の伸長に伴って吸引管の軸方向に変位し、これらの接触状態が失われ得る。一方、バッテリ及び端子が、吸引管の軸方向に並んでいなければ、バッテリ収容部の伸長が生じたとしても、これらの接触状態、ひいては、バッテリから吸引源への電力供給が維持されやすくなっている。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本実施形態の原理は、清掃作業に用いられる装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0091】
100・・・・・吸込ノズル
110・・・・・ノズルケース
123・・・・・左ノズルローラ
124・・・・・右ノズルローラ
200・・・・・掃除機
211・・・・・吸引源
212・・・・・バッテリ
220・・・・・吸引管
230・・・・・握持部
231・・・・・操作部
232・・・・・バッテリ収容部
234・・・・・下壁
235・・・・・上壁
236・・・・・外周壁
237・・・・・取出口
238・・・・・カバー部材
249・・・・・電力線
250・・・・・端子