(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180801
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】プリンタ、印刷方法、および印刷プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/36 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
B41J2/36 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094400
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100213687
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】南 明
(72)【発明者】
【氏名】西原 佳佑
【テーマコード(参考)】
2C066
【Fターム(参考)】
2C066AB09
2C066AD01
2C066BF04
2C066CC01
2C066CC05
2C066CC06
2C066CC13
2C066CE07
2C066CF08
(57)【要約】
【課題】感熱媒体に実際に印刷されるドットの大きさが目標の大きさよりも小さくなることを抑制するという利点に貢献するプリンタ、印刷方法、および印刷プログラムを提供する。
【解決手段】プリンタは、プラテンローラによって搬送される感熱媒体にサーマルヘッドによる印刷を行う。感熱媒体は、基材上に第二発色層と第一発色層がこの順に積層されて構成される。サーマルヘッドは、感熱媒体を発色層側から加熱する。プリンタのCPUは、変換前画像データを取得し、変換前画像データにおいて、変換ドットの色を変換色に変換する(S25)。変換ドットは、複数の周囲ドットのいずれかを含む。複数の周囲ドットは、対象ドットの前後左右斜め隣りに配置される。対象ドットは、第二発色層が発色する色を含む。変換ドットの色は、複数の発色層のいずれかが発色する色を含む。CPUは、変換後画像データに基づいて、サーマルヘッドによる印刷を制御する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、積層方向において前記基材に積層される層であって、付与されるエネルギーに応じて発色する複数の発色層とを含む感熱媒体に印刷を行うプリンタであって、
前記複数の発色層は、
前記積層方向において前記複数の発色層のなかで最も前記基材から遠い位置に配置される層であって、第一エネルギーが前記感熱媒体に付与された場合に第一色に発色する第一層と、
前記積層方向において前記基材と前記第一層の間に配置される層であって、前記第一エネルギーとは異なる第二エネルギーが前記感熱媒体に付与された場合に前記第一色とは異なる第二色に発色する第二層とを含み、
前記プリンタは、
前記感熱媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、
前記搬送方向に直交する配列方向に並ぶ複数の発熱素子を有するヘッドであって、前記搬送部によって搬送される前記感熱媒体に対し、前記積層方向のうち前記第一層側から、前記複数の発熱素子の発熱によって印刷を行うサーマルヘッドと、
変換前画像データを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記変換前画像データを、変換後画像データに変換する変換部と、
前記変換部によって変換された前記変換後画像データに基づいて、前記感熱媒体にエネルギーを付与するための信号パターンを前記複数の発熱素子のそれぞれに出力し、前記搬送部による前記感熱媒体の搬送を制御しながら、前記複数の発熱素子を選択的に発熱させる印刷制御部と
を備え、
前記変換前画像データおよび前記変換後画像データは、それぞれ、前記搬送方向に対応する副走査方向、および前記配列方向に対応する主走査方向のそれぞれに並ぶ複数のドットと、前記複数のドットに対応する色とを示し、
前記変換部は、前記変換前画像データにおいて、前記第二色を含む色の前記ドットである対象ドットが前記複数のドットに含まれる場合、前記対象ドットと前記副走査方向に隣り合う一対の第一ドット、前記対象ドットと前記主走査方向に隣り合う一対の第二ドット、および前記一対の第二ドットのそれぞれと前記副走査方向に隣り合う4つの第三ドットのうち、少なくともいずれか1つの前記ドットである変換ドットの色を、前記複数の発色層のいずれかが発色する色を含む色である変換色に変換する
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記変換部は、前記一対の第一ドットのうち前記対象ドットよりも先に前記サーマルヘッドによって前記感熱媒体に印刷される上流ドット、前記一対の第二ドット、および前記4つの第三ドットのうち前記対象ドットよりも先に前記サーマルヘッドによって前記感熱媒体に印刷される一対の前記第三ドットのうち、少なくともいずれか1つの前記ドットを含む前記変換ドットの色を、前記変換色に変換する
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記変換部は、前記上流ドットを含む前記変換ドットの色を、前記変換色に変換する
ことを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記変換部は、前記変換ドットの色を、前記変換色として前記対象ドットの色に変換する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項5】
前記複数の発色層は、前記積層方向において前記基材と前記第二層の間に配置される層であって、前記第二エネルギーよりも大きい第三エネルギーが前記感熱媒体に付与された場合に前記第一色および前記第二色とは異なる第三色に発色する第三層をさらに含み、
前記変換部は、前記変換ドットの色を、前記変換色として前記第三色を含む色に変換する
ことを特徴とする請求項2または3に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記上流ドットの色が、前記対象ドットの色と同じ色の場合、前記変換部によって前記変換ドットの色が前記変換色に変換されることを禁止する禁止部を備えた
ことを特徴とする請求項2または3に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記変換部は、前記上流ドットの色が、前記複数の発色層のそれぞれが発色する色のいずれも含まない色の場合、前記上流ドットの色を前記変換色に変換する
ことを特徴とする請求項2または3に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記第二エネルギーは、前記第一エネルギーよりも大きく、
前記感熱媒体に前記第一エネルギーおよび前記第二エネルギーを付与するための前記信号パターンが前記印刷制御部によって前記発熱素子に付与された場合に前記発熱素子の発熱が停止するタイミングは、前記感熱媒体に前記第一エネルギーを付与するための前記信号パターンが前記印刷制御部によって前記発熱素子に付与された場合に前記発熱素子の発熱が停止するタイミングよりも後であり、
前記変換部は、前記上流ドットの色が前記第一色の場合、前記上流ドットの色を、前記変換色として前記第一色と前記第二色とを含む色に変換する
ことを特徴とする請求項2または3に記載のプリンタ。
【請求項9】
基材と、積層方向において前記基材に積層される層であって、付与されるエネルギーに応じて発色する複数の発色層とを含む感熱媒体に印刷を行うプリンタによる印刷方法であって、
前記複数の発色層は、
前記積層方向において前記複数の発色層のなかで最も前記基材から遠い位置に配置される層であって、第一エネルギーが前記感熱媒体に付与された場合に第一色に発色する第一層と、
前記積層方向において前記基材と前記第一層の間に配置される層であって、前記第一エネルギーとは異なる第二エネルギーが前記感熱媒体に付与された場合に前記第一色とは異なる第二色に発色する第二層とを含み、
前記プリンタは、
前記感熱媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、
前記搬送方向に直交する配列方向に並ぶ複数の発熱素子を有するヘッドであって、前記搬送部によって搬送される前記感熱媒体に対し、前記積層方向のうち前記第一層側から、前記複数の発熱素子の発熱によって印刷を行うサーマルヘッドと
を備え、
前記印刷方法は、
変換前画像データを取得する取得処理と、
前記取得処理によって取得された前記変換前画像データを、変換後画像データに変換する変換処理と、
前記変換処理によって変換された前記変換後画像データに基づいて、前記感熱媒体にエネルギーを付与するための信号パターンを前記複数の発熱素子のそれぞれに出力し、前記搬送部による前記感熱媒体の搬送を制御しながら、前記複数の発熱素子を選択的に発熱させる印刷制御処理と
を備え、
前記変換前画像データおよび前記変換後画像データは、それぞれ、前記搬送方向に対応する副走査方向、および前記配列方向に対応する主走査方向のそれぞれに並ぶ複数のドットと、前記複数のドットに対応する色とを示し、
前記変換処理は、前記変換前画像データにおいて、前記第二色を含む色の前記ドットである対象ドットが前記複数のドットに含まれる場合、前記対象ドットと前記副走査方向に隣り合う一対の第一ドット、前記対象ドットと前記主走査方向に隣り合う一対の第二ドット、および前記一対の第二ドットのそれぞれと前記副走査方向に隣り合う4つの第三ドットのうち、少なくともいずれか1つの前記ドットである変換ドットの色を、前記複数の発色層のいずれかが発色する色を含む色である変換色に変換する
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項10】
基材と、積層方向において前記基材に積層される層であって、付与されるエネルギーに応じて発色する複数の発色層とを含む感熱媒体に印刷を行うプリンタのコンピュータに以下の処理を実行させる印刷プログラムであって、
前記複数の発色層は、
前記積層方向において前記複数の発色層のなかで最も前記基材から遠い位置に配置される層であって、第一エネルギーが前記感熱媒体に付与された場合に第一色に発色する第一層と、
前記積層方向において前記基材と前記第一層の間に配置される層であって、前記第一エネルギーとは異なる第二エネルギーが前記感熱媒体に付与された場合に前記第一色とは異なる第二色に発色する第二層とを含み、
前記プリンタは、
前記感熱媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、
前記搬送方向に直交する配列方向に並ぶ複数の発熱素子を有するヘッドであって、前記搬送部によって搬送される前記感熱媒体に対し、前記積層方向のうち前記第一層側から、前記複数の発熱素子の発熱によって印刷を行うサーマルヘッドと
を備え、
前記印刷プログラムは、
変換前画像データを取得する取得処理と、
前記取得処理によって取得された前記変換前画像データを、変換後画像データに変換する変換処理と、
前記変換処理によって変換された前記変換後画像データに基づいて、前記感熱媒体にエネルギーを付与するための信号パターンを前記複数の発熱素子のそれぞれに出力し、前記搬送部による前記感熱媒体の搬送を制御しながら、前記複数の発熱素子を選択的に発熱させる印刷制御処理と
を前記コンピュータに実行させ、
前記変換前画像データおよび前記変換後画像データは、それぞれ、前記搬送方向に対応する副走査方向、および前記配列方向に対応する主走査方向のそれぞれに並ぶ複数のドットと、前記複数のドットに対応する色とを示し、
前記変換処理は、前記変換前画像データにおいて、前記第二色を含む色の前記ドットである対象ドットが前記複数のドットに含まれる場合、前記対象ドットと前記副走査方向に隣り合う一対の第一ドット、前記対象ドットと前記主走査方向に隣り合う一対の第二ドット、および前記一対の第二ドットのそれぞれと前記副走査方向に隣り合う4つの第三ドットのうち、少なくともいずれか1つの前記ドットである変換ドットの色を、前記複数の発色層のいずれかが発色する色を含む色である変換色に変換する
ことを特徴とする印刷プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、印刷方法、および印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
発色する色の異なる複数の発色層を基材上に形成した感熱媒体に印刷するプリンタがある。例えば特許文献1に記載の画像形成装置は、発色特性の異なる三つの発色層を有する感熱媒体に対して印刷ヘッドからエネルギーを付与し、その際の印刷ヘッドの温度と時間を制御することによって、所望の発色層にドットを印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記画像形成装置では、感熱媒体に印刷する際、上層の発色層を発色させるためには高温短時間の加熱が、下層の発色層を発色させるためには低温長時間の加熱が必要となる。この際に、印刷速度を速くすると、印刷周期が短くなるので、下層の発色層を発色させるために必要な時間を確保することが困難となる。よって、上記画像形成装置では、感熱媒体に実際に印刷されるドットの大きさが目標の大きさよりも小さくなる可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、感熱媒体に実際に印刷されるドットの大きさが目標の大きさよりも小さくなることを抑制するという利点に貢献するプリンタ、印刷方法、および印刷プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係るプリンタは、基材と、積層方向において前記基材に積層される層であって、付与されるエネルギーに応じて発色する複数の発色層とを含む感熱媒体に印刷を行うプリンタであって、前記複数の発色層は、前記積層方向において前記複数の発色層のなかで最も前記基材から遠い位置に配置される層であって、第一エネルギーが前記感熱媒体に付与された場合に第一色に発色する第一層と、前記積層方向において前記基材と前記第一層の間に配置される層であって、前記第一エネルギーとは異なる第二エネルギーが前記感熱媒体に付与された場合に前記第一色とは異なる第二色に発色する第二層とを含み、前記プリンタは、前記感熱媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、前記搬送方向に直交する配列方向に並ぶ複数の発熱素子を有するヘッドであって、前記搬送部によって搬送される前記感熱媒体に対し、前記積層方向のうち前記第一層側から、前記複数の発熱素子の発熱によって印刷を行うサーマルヘッドと、変換前画像データを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記変換前画像データを、変換後画像データに変換する変換部と、前記変換部によって変換された前記変換後画像データに基づいて、前記感熱媒体にエネルギーを付与するための信号パターンを前記複数の発熱素子のそれぞれに出力し、前記搬送部による前記感熱媒体の搬送を制御しながら、前記複数の発熱素子を選択的に発熱させる印刷制御部とを備え、前記変換前画像データおよび前記変換後画像データは、それぞれ、前記搬送方向に対応する副走査方向、および前記配列方向に対応する主走査方向のそれぞれに並ぶ複数のドットと、前記複数のドットに対応する色とを示し、前記変換部は、前記変換前画像データにおいて、前記第二色を含む色の前記ドットである対象ドットが前記複数のドットに含まれる場合、前記対象ドットと前記副走査方向に隣り合う一対の第一ドット、前記対象ドットと前記主走査方向に隣り合う一対の第二ドット、および前記一対の第二ドットのそれぞれと前記副走査方向に隣り合う4つの第三ドットのうち、少なくともいずれか1つの前記ドットである変換ドットの色を、前記複数の発色層のいずれかが発色する色を含む色である変換色に変換することを特徴とする。
【0007】
第一態様によれば、変換部が変換ドットの色を変換色に変換するので、印刷制御部は、変換色の変換ドットを感熱媒体に印刷するようにサーマルヘッドおよび搬送部を制御する。変換ドットは一対の第一ドット、一対の第二ドット、および4つの第三ドットのうちの少なくともいずれかである。よって、プリンタは、感熱媒体に実際に印刷される対象ドットの大きさが目標の大きさよりも小さくなることを抑制するという利点に貢献する。
【0008】
本発明の第二態様に係る印刷方法は、基材と、積層方向において前記基材に積層される層であって、付与されるエネルギーに応じて発色する複数の発色層とを含む感熱媒体に印刷を行うプリンタによる印刷方法であって、前記複数の発色層は、前記積層方向において前記複数の発色層のなかで最も前記基材から遠い位置に配置される層であって、第一エネルギーが前記感熱媒体に付与された場合に第一色に発色する第一層と、前記積層方向において前記基材と前記第一層の間に配置される層であって、前記第一エネルギーとは異なる第二エネルギーが前記感熱媒体に付与された場合に前記第一色とは異なる第二色に発色する第二層とを含み、前記プリンタは、前記感熱媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、前記搬送方向に直交する配列方向に並ぶ複数の発熱素子を有するヘッドであって、前記搬送部によって搬送される前記感熱媒体に対し、前記積層方向のうち前記第一層側から、前記複数の発熱素子の発熱によって印刷を行うサーマルヘッドとを備え、前記印刷方法は、変換前画像データを取得する取得処理と、前記取得処理によって取得された前記変換前画像データを、変換後画像データに変換する変換処理と、前記変換処理によって変換された前記変換後画像データに基づいて、前記感熱媒体にエネルギーを付与するための信号パターンを前記複数の発熱素子のそれぞれに出力し、前記搬送部による前記感熱媒体の搬送を制御しながら、前記複数の発熱素子を選択的に発熱させる印刷制御処理とを備え、前記変換前画像データおよび前記変換後画像データは、それぞれ、前記搬送方向に対応する副走査方向、および前記配列方向に対応する主走査方向のそれぞれに並ぶ複数のドットと、前記複数のドットに対応する色とを示し、前記変換処理は、前記変換前画像データにおいて、前記第二色を含む色の前記ドットである対象ドットが前記複数のドットに含まれる場合、前記対象ドットと前記副走査方向に隣り合う一対の第一ドット、前記対象ドットと前記主走査方向に隣り合う一対の第二ドット、および前記一対の第二ドットのそれぞれと前記副走査方向に隣り合う4つの第三ドットのうち、少なくともいずれか1つの前記ドットである変換ドットの色を、前記複数の発色層のいずれかが発色する色を含む色である変換色に変換することを特徴とする。第二態様は第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0009】
本発明の第三態様に係る印刷プログラムは、基材と、積層方向において前記基材に積層される層であって、付与されるエネルギーに応じて発色する複数の発色層とを含む感熱媒体に印刷を行うプリンタのコンピュータに以下の処理を実行させる印刷プログラムであって、前記複数の発色層は、前記積層方向において前記複数の発色層のなかで最も前記基材から遠い位置に配置される層であって、第一エネルギーが前記感熱媒体に付与された場合に第一色に発色する第一層と、前記積層方向において前記基材と前記第一層の間に配置される層であって、前記第一エネルギーとは異なる第二エネルギーが前記感熱媒体に付与された場合に前記第一色とは異なる第二色に発色する第二層とを含み、前記プリンタは、前記感熱媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、前記搬送方向に直交する配列方向に並ぶ複数の発熱素子を有するヘッドであって、前記搬送部によって搬送される前記感熱媒体に対し、前記積層方向のうち前記第一層側から、前記複数の発熱素子の発熱によって印刷を行うサーマルヘッドとを備え、前記印刷プログラムは、変換前画像データを取得する取得処理と、前記取得処理によって取得された前記変換前画像データを、変換後画像データに変換する変換処理と、前記変換処理によって変換された前記変換後画像データに基づいて、前記感熱媒体にエネルギーを付与するための信号パターンを前記複数の発熱素子のそれぞれに出力し、前記搬送部による前記感熱媒体の搬送を制御しながら、前記複数の発熱素子を選択的に発熱させる印刷制御処理とを前記コンピュータに実行させ、前記変換前画像データおよび前記変換後画像データは、それぞれ、前記搬送方向に対応する副走査方向、および前記配列方向に対応する主走査方向のそれぞれに並ぶ複数のドットと、前記複数のドットに対応する色とを示し、前記変換処理は、前記変換前画像データにおいて、前記第二色を含む色の前記ドットである対象ドットが前記複数のドットに含まれる場合、前記対象ドットと前記副走査方向に隣り合う一対の第一ドット、前記対象ドットと前記主走査方向に隣り合う一対の第二ドット、および前記一対の第二ドットのそれぞれと前記副走査方向に隣り合う4つの第三ドットのうち、少なくともいずれか1つの前記ドットである変換ドットの色を、前記複数の発色層のいずれかが発色する色を含む色である変換色に変換することを特徴とする。第三態様は第二態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】変換テーブルに基づいて変換された変換後画像データを示す図である。
【
図7】変換後画像データに基づいて、画像100が感熱テープ9に印刷された状態を示す図である。
【
図11】変形例の変換テーブルに基づいて変換された変換後画像データを示す図である。
【
図12】変形例の変換ドットを説明するための変換後画像データを示す図である。
【
図13】変形例の変換ドットを説明するための変換後画像データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、制御等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。以下の説明では、
図1の左下方、右上方、右下方、左上方、上方、および下方を、それぞれ、プリンタ1および感熱テープ9の前方、後方、右方、左方、上方、および下方とする。
【0012】
図1を参照し、プリンタ1を説明する。プリンタ1は、感熱タイプのテーププリンタであり、感熱テープ9に画像を印刷する。感熱テープ9は感熱媒体の一種である。なお、本実施形態において、「印刷する」とは、後述の発色層92を発色させることを意味する。プリンタ1は筐体10を備える。筐体10は箱状であり、下ケース11と蓋12とを含む。下ケース11は上方に開口する。蓋12は下ケース11に対して開閉する。
図1は、蓋12が下ケース11に対して閉じた状態を示す。
【0013】
筐体10の前面には排出口3が設けられる。排出口3は印刷済みの感熱テープ9を筐体10の中から外に排出する。筐体10の上面には、操作スイッチ4が複数設けられる。ユーザは各操作スイッチ4を操作することで各種情報をプリンタ1に入力する。
【0014】
筐体10内には装着部(図示略)、プラテンローラ6、およびサーマルヘッド5が設けられる。
図1は、筐体10によって隠れたプラテンローラ6およびサーマルヘッド5を仮想線で示す。装着部は下ケース11の上面から下方に凹む。装着部には感熱テープ9が装着される。本実施形態では、テープカセット(図示略)に感熱テープ9が収容された状態で、テープカセットが装着部に装着される。
【0015】
プラテンローラ6は、排出口3の後方に位置し、左右方向に延びる。プラテンローラ6は、回転することで感熱テープ9を装着部から排出口3に向けて搬送する。したがって、本実施形態では、前後方向が搬送方向となる。
【0016】
サーマルヘッド5は板状であり、プラテンローラ6に対して上方から対向する。サーマルヘッド5は、感熱テープ9の厚み方向がプリンタ1の上下方向と一致する状態で、プラテンローラ6との間で感熱テープ9を挟む。
【0017】
サーマルヘッド5は複数の発熱素子Hを備える。複数の発熱素子Hはサーマルヘッド5の下面において左右方向に並ぶ。つまり、複数の発熱素子Hが並ぶ方向(左右方向)は、搬送方向(前後方向)に直交する。複数の発熱素子Hは、発熱することで感熱テープ9への印刷を行う。
【0018】
図1中の拡大図を参照し、感熱テープ9を説明する。感熱テープ9は長尺状であり、複数の層が積層されて構成される。なお、
図1中の拡大図では、理解を容易にするため、感熱テープ9の各層の厚みおよび各層の厚みの大小関係を模式的に示しており、実際の各層の厚みおよび各層の厚みの大小関係は、
図1とは異なる場合がある。
【0019】
感熱テープ9は、剥離紙90、基材91、複数の発色層92、およびオーバーコート層93を有する。本実施形態では、複数の発色層92は第一発色層921と第二発色層922と第三発色層923とを含む。剥離紙90、基材91、第三発色層923、第二発色層922、第一発色層921、およびオーバーコート層93は、感熱テープ9の厚み方向において、この順で感熱テープ9の下方から並んで積層される。
【0020】
以下では、感熱テープ9の厚み方向(
図1の上下方向)を「積層方向」ともいう。積層方向において、複数の発色層92のなかで基材91から最も遠い位置に配置される層を「最上層」という。積層方向において、複数の発色層92のなかで基材91に最も近い位置に配置される層を「最下層」という。積層方向において、複数の発色層92のなかで最上層と最下層の間に配置される層を「中間層」という。本実施形態では、第一発色層921は最上層であり、第三発色層923は最下層であり、第二発色層922は中間層である。
【0021】
基材91は樹脂フィルムであり、基材色を有する。基材色は特定の色に限定されないが、本実施形態ではホワイトである。基材色は、複数の発色層92が発色する色(本実施形態では、後述の第一色、第二色、および第三色)のいずれとも異なる。基材91の下面には、接着面が形成される。
【0022】
剥離紙90は基材91の下面(接着面)に設けられ、基材91に対して剥離可能である。感熱テープ9への印刷後、ユーザは剥離紙90を基材91から剥離し、印刷済みの感熱テープ9を所望の場所に粘着面を介して貼り付けることができる。オーバーコート層93は、可視光透過性を有し、複数の発色層92を保護する。
【0023】
複数の発色層92は、それぞれ、可視光透過性を有し、各層に応じた発色温度に加熱されることで、各層に応じた色に発色する。複数の発色層92の形成には、例えば特開2008-6830号公報に記載の薬品が用いられる。
【0024】
第一発色層921は、第一発色層921の温度が第一温度を超えた場合に、第一色に発色する。つまり、第一色は、最上層が発色する色である。第一色は特定の色に限定されないが、本実施形態ではイエローである。
【0025】
第二発色層922は、第二発色層922の温度が第二温度を超えた場合に、第二色に発色する。つまり、第二色は、中間層が発色する色である。第二温度は第一温度よりも低い。第二色は特定の色に限定されないが、第一色とは異なる色であり、本実施形態ではマゼンタである。
【0026】
第三発色層923は、第三発色層923の温度が第三温度を超えた場合に、第三色に発色する。つまり、第三色は、最下層が発色する色である。第三温度は第二温度よりも低い。第三色は特定の色に限定されないが、第一色および第二色のいずれとも異なる色であり、本実施形態ではシアンである。
【0027】
以下では、基材色、第一色、第二色、第三色を、それぞれ、ホワイト、イエロー、マゼンタ、シアンとして説明する。感熱テープ9に1つのドットが印刷された場合において、複数の発色層92のうち2つ以上が発色した場合、1つのドットの色は混色を有する。本実施形態では、混色は、イエロー、マゼンタ、およびシアンのうち少なくとも2つの色が混ざった色である。例えば、イエローとマゼンタとの混色は、レッドである。イエローとシアンとの混色はグリーンである。マゼンタとシアンとの混色はブルーである。イエローとマゼンタとシアンとの混色はブラックである。
【0028】
以下では、「特定の色と一または複数の他の色との混色」と「特定の色の単色」とを総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「特定の色を含む色」という。例えば、「イエローを含む色」は、「レッド」(イエローとマゼンタとの混色)、「グリーン」(イエローとシアンとの混色)、「ブラック」(イエローとマゼンタとシアンとの混色)、および「イエロー」(イエローの単色)の総称またはいずれかの色である。なお、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、レッド、グリーン、ブルー、およびホワイトを、それぞれ、「C」、「M」、「Y」、「K」、「R」、「B」、「G」、および「W」と略記する場合がある。
【0029】
プリンタ1による感熱テープ9への印刷動作を説明する。印刷動作では、プラテンローラ6が右側面視で反時計回り方向に回転することで感熱テープ9を後方から前方に向けて搬送する。感熱テープ9は、サーマルヘッド5とプラテンローラ6との間を通過する過程で、プラテンローラ6によってサーマルヘッド5に押し付けられる。詳細には、感熱テープ9に対し、剥離紙90側からプラテンローラ6が接触し、オーバーコート層93側からサーマルヘッド5が接触する。
【0030】
この状態において、複数の発熱素子Hのそれぞれに選択的に電圧が印加される。電圧が印加された発熱素子Hには、通電によって電力が供給される。電力が供給された発熱素子Hは、発熱することで、プラテンローラ6によって搬送される感熱テープ9を、積層方向のうち最上層(第一発色層921)側から加熱する。これにより、感熱テープ9において、加熱された位置にドットが印刷される。
【0031】
以下では、複数の発熱素子Hに一印刷周期の通電が行われた場合に、複数の発熱素子Hによって感熱テープ9に印刷される一列のドット列を「印刷ライン」という。一印刷周期は、複数の発熱素子Hによって1列分の印刷ラインを感熱テープ9に印刷するために複数の発熱素子Hのそれぞれが通電可能な期間である。複数の発熱素子Hが左右方向に並ぶので、印刷ラインは左右方向に延びる。
【0032】
プリンタ1は、感熱テープ9を搬送しながら感熱テープ9への印刷ラインの印刷(つまり、発熱素子Hへの一印刷周期の通電)を繰り返すことで、複数の印刷ラインを搬送方向に沿って感熱テープ9に印刷する。プラテンローラ6は、さらに回転することで、印刷済みの感熱テープ9を排出口3から筐体10の外に排出する。
【0033】
図2を参照し、プリンタ1の電気的構成を説明する。プリンタ1はCPU21を備える。CPU21はプリンタ1を制御し、プロセッサとして機能する。CPU21には、ROM22、RAM23、フラッシュメモリ24、通信部25、操作スイッチ4、ヘッドドライバ51、および搬送モータ61が電気的に接続する。
【0034】
ROM22はCPU21によって実行される各種プログラム、CPU21による各種プログラムの実行時に必要な各種パラメータ等を記憶する。ROM22は、例えば後述のメイン処理(
図8参照)を実行するためのプログラム、後述の信号パターンテーブル(
図3参照)、および変換テーブル(
図6参照)を記憶する。RAM23は、CPU21による各種プログラムの実行時に、種々のデータを一時的に記憶する。フラッシュメモリ24は不揮発性の記憶装置であり、例えば画像データを記憶する。
【0035】
通信部25は例えば無線LANインタフェース、有線LANインタフェース、またはUSBインタフェースであり、外部端末(図示略)と接続して通信を行う。外部端末は、パーソナルコンピュータ、携帯端末、メモリカード読み取り装置等である。ヘッドドライバ51は、CPU21から出力される信号に基づいてサーマルヘッド5を駆動し、複数の発熱素子Hを選択的に発熱させる。搬送モータ61は、プラテンローラ6と連結し、CPU21から出力される信号に基づいて駆動する。搬送モータ61は駆動することでプラテンローラ6を回転させる。
【0036】
図3を参照し、信号パターンテーブルを説明する。信号パターンテーブルは、一印刷周期において、信号パターンと色との関係を対応付ける。信号パターンは、発色層92に応じた発色温度に発色層92を加熱するため、発熱素子Hに通電するタイミングおよび通電時間(信号の波形)を示す。本実施形態では、信号パターンテーブルは、発色層92を発色させるための信号パターンを発色層92ごとに記憶する。すなわち、信号パターンテーブルは、第一色(イエロー)、第二色(マゼンタ)、および第三色(シアン)の信号パターンを記憶する。
【0037】
イエローの信号パターンは、特定の波形に限定されないが、本実施形態ではT0に通電が開始(ON)されてからT3に通電が停止(OFF)される。イエローの信号パターンでは、一印刷周期において、T0~T1の通電が1回のみ行われる。したがって、イエローの信号パターンによる発熱素子Hの発熱は、T0のタイミングから開始され、T3のタイミングで停止する。マゼンタの信号パターンでは、T0に通電が開始されてから、T3より前のT2に通電が停止される。
【0038】
マゼンタの信号パターンは、特定の波形に限定されないが、本実施形態ではT0~T2と同じ時間の通電が一定間隔をあけて合計2回繰り返される。マゼンタの信号パターンによる発熱素子Hの発熱は、T0のタイミングから開始され、T3よりも後のT4のタイミングで停止する。シアンの信号パターンでは、T0に通電が開始されてから、T3より前のT1に通電が停止される。シアンの信号パターンは、特定の波形に限定されないが、本実施形態ではT0~T3と同じ時間の通電が一定間隔をあけて合計8回繰り返される。シアンの信号パターンによる発熱素子Hの発熱は、T0のタイミングから開始され、T4よりも後のT5のタイミングで停止する。
【0039】
図示しないが、混色に対応する信号パターンは、印刷時に、イエロー、マゼンタ、およびシアンのうち複数の信号パターンの論理和を演算することによって、その都度、生成される。例えば、レッド(イエローとマゼンタの混色)の信号パターンは、イエローの信号パターンと、マゼンタの信号パターンとの論理和を演算することによって生成される。なお、混色に対応する信号パターンも信号パターンテーブルに定められていてもよい。混色に対応する信号パターンの生成方法は、特定の方法に限定されない。
【0040】
プリンタ1は、信号パターンテーブルを参照し、ドットの色に応じた信号パターンを特定する。プリンタ1は、ドットを印刷するための発熱素子Hに対して、一印刷周期のたびに、特定した信号パターンに従って通電を制御する。発熱素子Hは、通電によって発熱し、非通電時には放熱する。なお、上述したように、発熱素子Hは、感熱テープ9を最上層(第一発色層921)側から加熱する。このため、複数の発色層92では、第一発色層921の温度が最も高く、積層方向において、第一発色層921から第三発色層923に向かって温度が低くなるように温度勾配が生じる。
【0041】
イエローの信号パターンに基づく発熱素子Hの発熱制御によって、発熱素子Hは、第一加熱時間(T0~T3)の間、第一加熱温度で感熱テープ9を加熱する。第一加熱温度は、イエローの信号パターンに応じた温度であり、第一温度よりも高い。これにより、発熱素子Hから感熱テープ9に第一エネルギーが付与される。第一エネルギーが感熱テープ9に付与されると、第一発色層921の温度が第一温度を超える。これにより、第一発色層921がイエローに発色する。
【0042】
イエローの信号パターンによって第一エネルギーが感熱テープ9に付与されても、第二発色層922の温度および第三発色層923の温度は、それぞれ、温度勾配によって、第二温度および第三温度を超えない。したがって、イエローの信号パターンに基づく発熱素子Hの発熱制御によれば、複数の発色層92のうち第一発色層921のみが発色する。
【0043】
マゼンタの信号パターンに基づく発熱素子Hの発熱制御によって、発熱素子Hは、第二加熱時間(T0~T4)の間、第二加熱温度で感熱テープ9を加熱する。第二加熱時間は第一加熱時間よりも長い。第二加熱温度は、マゼンタの信号パターンに応じた温度であり、第二温度よりも高く、第一加熱温度よりも低い。これにより、発熱素子Hから感熱テープ9に第二エネルギーが付与される。第二エネルギーは、第一エネルギーとは異なる量であり、詳細には、第一エネルギーよりも大きい。第二エネルギーが感熱テープ9に付与されると、第二発色層922の温度が第二温度を超える。これにより、第二発色層922がマゼンタに発色する。
【0044】
マゼンタの信号パターンによって第二エネルギーが感熱テープ9に付与されても、第三発色層923の温度は、温度勾配によって、第三温度を超えない。マゼンタの信号パターンによって第二エネルギーが感熱テープ9に付与されても、第一発色層921の温度は、第二加熱温度と第二加熱時間との関係によって、第一温度を超えない。したがって、マゼンタの信号パターンに基づく発熱素子Hの発熱制御によれば、複数の発色層92のうち第二発色層922のみが発色する。
【0045】
シアンの信号パターンに基づく発熱素子Hの発熱制御によって、発熱素子Hは、第三加熱時間(T0~T5)の間、第三加熱温度で感熱テープ9を加熱する。第三加熱時間は、第二加熱時間よりも長い。第三加熱温度は、シアンの信号パターンに応じた温度であり、第三温度よりも高く、第二加熱温度よりも低い。これにより、発熱素子Hから感熱テープ9に第三エネルギーが付与される。第三エネルギーは、第一エネルギーおよび第二エネルギーとは異なる量であり、詳細には、第一エネルギーおよび第二エネルギーよりも大きい。第三エネルギーが感熱テープ9に付与されると、第三発色層923の温度が第三温度を超える。これにより、第三発色層923がシアンに発色する。
【0046】
シアンの信号パターンによって第三エネルギーが感熱テープ9に付与されても、第一発色層921の温度および第二発色層922の温度は、それぞれ、第三加熱温度と第三加熱時間との関係によって、第一温度および第二温度を超えない。したがって、シアンの信号パターンに基づく発熱素子Hの発熱制御によれば、複数の発色層92のうち第三発色層923のみが発色する。
【0047】
なお、レッドの信号パターンに基づく発熱素子Hの発熱制御によれば、複数の発色層92のうち第一発色層921および第二発色層922のみが発色する。ブルーの信号パターンに基づく発熱素子Hの発熱制御によれば、複数の発色層92のうち第二発色層922および第三発色層923のみが発色する。グリーンの信号パターンに基づく発熱素子Hの発熱制御によれば、複数の発色層92のうち第一発色層921および第三発色層923のみが発色する。ブラックの信号パターンに基づく発熱素子Hの発熱制御によれば、複数の発色層92の全部が発色する。
【0048】
混色の信号パターンに基づいて発熱素子Hから感熱テープ9に付与されるエネルギーの大きさは、混色に含まれる単色の信号パターンに基づいて発熱素子Hから感熱テープ9に付与されるエネルギーの大きさよりも大きい。例えば、ブルー(マゼンタとシアンの混色)の信号パターンに基づいて発熱素子Hから感熱テープ9に付与されるエネルギーの大きさは、マゼンタに基づく第二エネルギーおよびシアンに基づく第三エネルギーのいずれよりも大きい。
【0049】
図4、
図5を参照し、画像データを説明する。画像データは、複数のドットと複数のドットに対応する色とを示す。画像データでは、左右方向に並ぶ複数のドットによって印刷ラインが構成され、且つ複数の印刷ラインが上流方向から下流方向に向かって並ぶ。
図4に示す変換前画像データの例および
図5に示す変換後画像データの例では、印刷ラインL1、L2、L3、L4、L5、L6が、それぞれ、左右方向に並ぶ5つのドットによって構成され、且つ印刷ラインL1、L2、L3、L4、L5、L6が、この順で上流方向から下流方向に向かって並ぶ。なお、画像データの変換については後述する。
【0050】
画像データの左右方向は、複数の発熱素子Hの配列方向(プリンタ1の左右方向)に対応する。画像データの上流方向および下流方向は、感熱テープ9の搬送方向(プリンタ1の前後方向)に対応する。特に、画像データに基づいて印刷動作が行われる場合、複数の印刷ラインは、最も上流方向に位置する印刷ライン(
図4、
図5では、印刷ラインL1)が最初に感熱テープ9に印刷され、上流方向から下流方向に向かって順に感熱テープ9に印刷される。
【0051】
図4に示す変換前画像データの例および
図5に示す変換後画像データの例では、印刷ラインL1はドットD0、D1、D2を含む。印刷ラインL2はドットD3、D4、D5を含む。印刷ラインL3は、ドットD6、D7を含む。印刷ラインL4は、ドットD8、D9、D10、D11、D12を含む。印刷ラインL5はドットD13、D14、D15、D16を含む。印刷ラインL6はドットD17、D18、D19、D20を含む。
【0052】
図4に示す変換前画像データの例では、ドットD4、D12、D15にはシアンが対応する。ドットD5、D7にはマゼンタが対応する。ドットD1、D2、D3にはイエローが対応する。ドットD13にはブラックが対応する。ドットD17にはレッドが対応する。ドットD6にはグリーンが対応する。ドットD8にはブルーが対応する。空欄のドット(例えばドットD0、D9、D10、D11、D14、D16、D18、D19、D20)にはホワイトが対応する。なお、
図5に示す変換後画像データの例では、ドットD10にシアンが対応する点が、
図4に示す変換前画像データとは異なる。
【0053】
対象ドット、第一周囲ドット、第二周囲ドット、第三周囲ドット、第四周囲ドット、第五周囲ドット、第六周囲ドット、第七周囲ドット、および第八周囲ドットを定義する。対象ドットは、変換前画像データにおいて、マゼンタ(第二色)またはシアン(第三色)を含む色のドットである。つまり、対象ドットは、シアン、マゼンタ、ブラック、レッド、グリーン、またはブルーのドットである。
図4に示す変換前画像データの例では、ドットD4、D5、D6、D7、D8、D12、D13、D15、D17が対象ドット(マゼンタまたはシアンを含む色のドット)である。
【0054】
第一周囲ドットは、対象ドットに対して上流方向に隣り合う。第二周囲ドットは、対象ドットに対して下流方向に隣り合う。第三周囲ドットは、対象ドットに対して左方に隣り合う。第四周囲ドットは、対象ドットに対して右方に隣り合う。第五周囲ドットは、第三周囲ドットに対して上流方向に隣り合う。第六周囲ドットは、第三周囲ドットに対して下流方向に隣り合う。第七周囲ドットは、第四周囲ドットに対して上流方向に隣り合う。第八周囲ドットは、第四周囲ドットに対して下流方向に隣り合う。第一周囲ドット、第二周囲ドット、第三周囲ドット、第四周囲ドット、第五周囲ドット、第六周囲ドット、第七周囲ドット、および第八周囲ドットを総称して「8つの周囲ドット」という。第一周囲ドットを「上流ドット」ともいう。上流ドットは、対象ドットと隣り合い、且つ対象ドットよりも先に感熱テープ9に印刷される。
【0055】
例えばドットD15が対象ドットの場合、第一周囲ドット(上流ドット)、第二周囲ドット、第三周囲ドット、第四周囲ドット、第五周囲ドット、第六周囲ドット、第七周囲ドット、および第八周囲ドットは、それぞれ、ドットD10、ドットD19、ドットD14、ドットD16、ドットD9、ドットD18、ドットD11、ドットD20である。
【0056】
図6を参照し、変換テーブルを説明する。詳しくは後述するが、本実施形態では、感熱テープ9に実際に印刷されるドットの大きさが目標の大きさよりも小さくなることを抑制するため、印刷対象の画像データが変換される。以下では、変換される前の画像データを「変換前画像データ」といい、変換された後の画像データを「変換後画像データ」という。つまり、変換前画像データが変換後画像データに変換される。変換テーブルは、変換前画像データが変換後画像データに変換される場合にCPU21によって参照される。
【0057】
変換テーブルは、対象ドットの色および変換ドットの色に応じて、変換ドットの変換後の色を定める。変換ドットは、8つの周囲ドットのうちの少なくともいずれか1つを含む。詳細には、変換ドットは、第一周囲ドット(上流ドット)、第三周囲ドット、第四周囲ドット、第五周囲ドット、および第七周囲ドットのうち少なくともいずれか1つを含む。より詳細には、変換ドットは、第一周囲ドット(上流ドット)を含む。本実施形態では、変換ドットは、第一周囲ドット(上流ドット)である。
【0058】
以下では、変換ドットの変換後の色を「変換ドットの変換色」という。対象ドットの色と変換ドットの色の関係を「(対象ドットの色,変換ドットの色)」によって示す場合がある。例えば、対象ドットの色がレッドであり、変換ドットの色がイエローの場合、(R,Y)と表記する。
【0059】
本実施形態では、変換テーブルは、例えば(R,W)、の場合、変換ドットの変換色としてレッドを定める。同様に、変換テーブルは、変換ドットの色がホワイトのそれぞれの場合(M,W)、(B,W)、(C,W)、(G,W)、(K,W)には、変換ドットの変換色としてマゼンタ、ブルー、シアン、グリーン、ブラックを定める。つまり、変換テーブルは、変換ドットの色がホワイトの場合に、変換ドットの変換色として、複数の発色層92のいずれかが発色する色を含む色を定める。詳細には、変換テーブルは、変換ドットの変換色として対象ドットの色を定める。
【0060】
変換ドットの色がホワイトの場合、変換ドットの色を発色させるために発熱素子Hは発熱しない。これに対し、変換ドットの変換色が複数の発色層92のいずれかが発色する色を含む色なので、変換ドットの変換色を発色させるために発熱素子Hは発熱し、発熱に応じたエネルギーを感熱テープ9に付与する。つまり、変換テーブルは、変換ドットの変換色を発色させるために発熱素子Hが感熱テープ9に付与するエネルギーが、変換ドットの変換前の色を発色させるために発熱素子Hが感熱テープ9に付与するエネルギーよりも高くなるように、変換ドットの変換色を定める。
【0061】
なお、変換テーブルにおいて、「-」は、変換ドットの色を変換しないことを意味する。したがって、変換テーブルは、変換ドットの色がイエロー、レッド、マゼンタ、ブルー、シアン、グリーン、またはブラックの場合(ホワイト以外の場合)には、対象ドットの色がレッド、マゼンタ、ブルー、シアン、グリーン、およびブラックのいずれの場合にも、変換ドットの色を変換しないことを定める。
【0062】
特に、変換テーブルは、変換ドットの色が対象ドットの色と同じ場合(R,R)、(M,M)、(B,B)、(C,C)、(G,G)、(K,K)には、変換ドットの色を変換しないことを定める。変換テーブルは、変換ドットの色が対象ドットの色に含まれる場合(R,R)、(M,M)、(B,B)、(C,C)、(G,G)、(K,K)、(R,M)、(B,M)、(B,C)、(G,C)、(K,R)、(K,M)、(K,B)、(K,C)、(K,G)には、変換ドットの色を変換しないことを定める。
【0063】
変換テーブルは、変換ドットの色がシアン(最下層が発色する色)を含む色の場合(R,B)、(M,B)、(B,B)、(C,B)、(G,B)、(K,B)、(R,C)、(M,C)、(B,C)、(C,C)、(G,C)、(K,C)、(R,G)、(M,G)、(B,G)、(C,G)、(G,G)、(K,G)、(R,K)、(M,K)、(B,K)、(C,K)、(G,K)、(K,K)には、変換ドットの色を変換しないことを定める。
【0064】
図4、
図5を参照し、画像データの変換例を説明する。CPU21は、変換テーブル(
図6参照)に基づいて、
図4に示す変換前画像データを
図5に示す変換後画像データに変換する。
図4に示す変換前画像データの例では、ドットD4、D5、D6、D7、D8、D12、D13、D15、D17が対象ドット(マゼンタまたはシアンを含む色のドット)である。例えばドットD4(シアン)に対する上流ドット(変換ドット)は、ドットD1(イエロー)である。この場合(C,Y)、変換テーブルが「-」を示すので、上流ドット(変換ドット)の色は変換されない。したがって、
図5に示すように、変換後画像データでは、ドットD1の色はイエローのままである。
【0065】
同様に、ドットD5、D6、D7、D8、D12、D13、D17に対する上流ドット(変換ドット)は、それぞれ、ドットD2、D3、D5、D6、D7、D8、D13である。これらの場合(M,Y)、(G,Y)、(M,M)、(B,G)、(C,M)、(K,B)、(R,K)、変換テーブルが「-」を示すので、上流ドット(変換ドット)の色は変換されない。したがって、
図5に示すように、変換後画像データでは、ドットD2、D3、D5、D6、D7、D8、D13の色は、それぞれ、イエロー、イエロー、マゼンタ、グリーン、マゼンタ、ブルー、ブラックのままである。
【0066】
ドットD15(シアン)に対する上流ドット(変換ドット)は、ドットD10(ホワイト)である。この場合(C,W)、変換テーブルが変換ドットの変換色として「C」を示すので、上流ドット(変換ドット)の色がホワイトからシアンに変換される。したがって、
図5に示すように、変換後画像データでは、ドットD10の色はシアンとなる。以上により、
図5に示す変換後画像データでは、ドットD10の色のみ
図4に示す変換前画像データと異なる。
【0067】
図7を参照し、
図5に示す変換後画像データに基づいて感熱テープ9への印刷が行われた場合の例を説明する。プリンタ1は、印刷ラインL1を最初に感熱テープ9に印刷し、印刷ラインL1、L2、L3、L4、L5、L6の順に感熱テープ9に印刷する。印刷ラインL1、L2、L3、L4、L5、L6の全部が印刷された場合、ドットD1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8、D12、D13、D15、D17が感熱テープ9に印刷される。他のドット、例えばドットD0、D9、D10、D11、D14、D16、D18、D19、D20は、ホワイト(基材色)なので感熱テープ9に印刷されない。
図7は、印刷されないドット(基材色のドット)を破線によって示す。これにより、画像100が感熱テープ9に印刷される。以下では、ドットD10、D15の印刷の詳細を説明する。
【0068】
仮に、
図4に示す変換前画像データに基づいて感熱テープ9への印刷が行われる場合、印刷ラインL4が印刷される場合には、ドットD10の色がホワイトなので、ドットD10に対応する発熱素子Hには通電が行われない。このため、印刷ラインL4が印刷される場合の印刷周期の間、ドットD10に対応する発熱素子Hは発熱しない。
【0069】
印刷ラインL4が印刷される場合にドットD10に対応する発熱素子Hは、印刷ラインL5が印刷される場合にドットD15に対応する発熱素子Hと同じである。このため、印刷ラインL5が印刷される場合、ドットD15に対応する発熱素子Hは、直前の印刷ラインの印刷時に発熱していない状態から発熱することになる。さらに、感熱テープ9において、ドットD10に対応する位置(ドットD15の印刷予定位置と上流方向に隣り合う位置)が加熱されていない状態となっている。これらのため、ドットD15に対応する発熱素子Hが目標の温度まで発熱せず、または目標の時間の間、目標の温度を維持できない可能性がある。よって、第三発色層923がドットD15の目標の大きさの分、発色せず、感熱テープ9においてドットD15の大きさが目標の大きさよりも小さくなる可能性がある。
【0070】
これに対して、本実施形態では、
図5に示す変換後画像データに基づいて感熱テープ9への印刷が行われる。このため、印刷ラインL4が印刷される場合には、変換後画像データにおいてドットD10の色がシアンなので、ドットD10に対応する発熱素子Hにはシアンの信号パターン(
図3参照)に基づいて通電が行われる。このため、印刷ラインL4が印刷される場合の印刷周期の間、ドットD10に対応する発熱素子H(つまり、ドットD15に対応する発熱素子H)が発熱する。つまり、印刷ラインL5が印刷される前に、ドットD15に対応する発熱素子Hが発熱し、感熱テープ9においてドットD10に対応する位置(ドットD15の印刷予定位置と上流方向に隣り合う位置)が加熱された状態となる。
【0071】
これらのため、印刷ラインL5が印刷される場合に、ドットD15に対応する発熱素子Hが、発熱温度の立ち上がりが比較的早くなり、目標の時間の間、目標の温度を維持しやすい。よって、第三発色層923がドットD15の目標の大きさの分、発色しやすい。したがって、プリンタ1は、画像100においてドットD15の大きさが目標の大きさよりも小さくなることを抑制するという利点に貢献する。
【0072】
図8を参照し、メイン処理を説明する。ユーザは装着部(図示略)に感熱テープ9(本実施形態ではテープカセット)を装着し、プリンタ1の電源を入れる。ユーザは、外部端末または操作スイッチ4を操作し、プリンタ1に印刷開始指示を入力する。CPU21は印刷開始指示を取得すると、フラッシュメモリ24からプログラムを読み出してメイン処理を実行する。印刷開始指示は、印刷対象の変換前画像データを指定する。メイン処理では、上述した変換前画像データ(
図4参照)の変換後画像データ(
図5参照)への変換、変換後画像データ(
図5参照)に基づく感熱テープ9への印刷等が制御される。
【0073】
メイン処理が開始されると、CPU21は印刷開始指示によって指定された印刷対象の変換前画像データ(
図4参照)を、外部端末から通信部25を介して取得し、またはフラッシュメモリ24から取得する(S11)。CPU21は変換処理を行う(S12)。変換処理では、変換画前画像データ(
図4参照)が変換後画像データ(
図5参照)に変換される。
【0074】
図9を参照し、変換処理を説明する。変換処理が開始されると、CPU21は変換前画像データ(
図4参照)において判断ドットを設定する(S21)。判断ドットは、変換前画像データにおいて複数のドットのうち後述のS22の判断対象とするドットである。以下では、変換前画像データにおいて複数のドットのうちS21の処理において判断ドットに設定されていない1または複数のドットを「未判断ドット」という。CPU21は、S21の処理を実行するたびに、1または複数の未判断ドットのなかからいずれかを判断ドットとして設定する。
【0075】
S21の処理では、CPU21は、変換前画像データにおいて上流方向から下流方向に向かって順に印刷ラインを指定する。
図4に示す変換前画像データの例では、印刷ラインL1が最初に指定され、その後、印刷ラインL2、L3、L4、L5、L6の順に指定される。CPU21は、指定した印刷ラインに未判断ドットが含まれる場合には、S21の処理を実行するたび、左右方向の一方(例えば左方)から他方(例えば右方)に向かって順に判断ドットを設定する。
図4に示す変換前画像データの例では、印刷ラインL1が指定された場合に、ドットD0が最初に判断ドットに設定され、S21の処理が実行されるたびに、ドットD0の右隣り、ドットD1、ドットD1の右隣り、ドットD2の順に判断ドットに設定される。
【0076】
CPU21は判断ドットが対象ドットであるかを判断する(S22)。本実施形態では、CPU21は、判断ドットの色がレッド、マゼンタ、ブルー、シアン、グリーン、またはブラック(第二色または第三色を含む色)であるかを判断する。判断ドットが対象ドットではない場合(S22:NO)、つまり判断ドットの色がイエローまたはホワイトの場合、CPU21は処理をS26の判断へ移行する。
図4に示す変換前画像データの例では、例えばドットD0(ホワイト)またはドットD1(イエロー)が判断ドットの場合、CPU21は判断ドットが対象ドットではないと判断する(S22:NO)。
【0077】
判断ドットが対象ドットの場合(S22:YES)、つまり判断ドットの色がマゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー、またはブラックの場合、CPU21は変換ドット(上流ドット)を設定する(S23)。
図4に示す変換前画像データの例では、例えばドットD6(グリーン)またはドットD15(シアン)が判断ドットの場合、CPU21は判断ドットが対象ドットであると判断する(S22:YES)。ドットD6が判断ドットの場合、CPU21はドットD3を変換ドットとして設定する(S23)。ドットD15が判断ドットの場合、CPU21はドットD10を変換ドットとして設定する(S23)。
【0078】
CPU21は、変換テーブル(
図6参照)に基づいて、変換ドットの色を変換するかを判断する(S24)。S24の処理では、CPU21は、変換テーブルを参照し、S21で設定した判断ドット(対象ドット)の色と、S23で設定した変換ドットの色とに応じて、変換テーブルに変換ドットの変換色が定められているかを特定する。例えば、ドットD6が判断ドットの場合、ドットD3(変換ドット)の色はイエローなので、変換ドットの変換色は変換テーブルに定められていない。ドットD15が判断ドットの場合、ドットD10(変換ドット)の色はホワイトなので、変換ドットの変換色としてシアンが変換テーブルに定められている。
【0079】
対象ドットの色と変換ドットの色の関係において、変換テーブルに「-」が定められている場合には、CPU21は変換ドットの色を変換しない(S24:NO)。この場合、CPU21は処理をS26の判断へ移行する。例えば、ドットD6が判断ドットの場合、CPU21は、ドットD6(変換ドット)の色を変換しない(S24:NO)。対象ドットの色と変換ドットの色の関係において、変換テーブルに変換ドットの変換色が定められている場合には(S24:YES)、CPU21は変換ドットの色を変換色に変換する(S25)。ドットD15が判断ドットの場合、ドットD10(変換ドット)の色をシアン(変換色)に変換する(S25)。
【0080】
CPU21は変換前画像データにおいて複数のドットのなかに未判断ドットがあるかを判断する(S26)。未判断ドットがある場合(S26:YES)、CPU21は処理をS21の処理に戻す。未判断ドットがない場合(S26:NO)、つまり、変換前画像データにおいて、S21の処理によって複数のドットの全部が判断ドットに設定された場合、CPU21は処理をメイン処理(
図8参照)に戻す。これにより、CPU21は例えば
図4に示す変換前画像データを
図5に示す変換後画像データに変換する。
【0081】
図8の説明に戻る。変換処理の後、CPU21は変換後画像データ(
図5参照)に基づいて印刷処理を行う(S13)。印刷処理では、CPU21は、変換後画像データに基づいて、印刷ラインごとに複数のドットのそれぞれの色を特定する。CPU21は、信号パターンテーブル(
図3参照)を参照し、特定した色に対応する信号パターンを印刷ラインごとに複数のドットのそれぞれに対応付ける。なお、特定した色が混色の場合には、CPU21は混色の信号パターンを生成し、混色のドットに対応付ける。これにより、CPU21は印刷ラインごとに複数のドットのそれぞれに対応する発熱素子Hへの通電を制御するための印刷データを生成する。
【0082】
さらに、CPU21は、搬送モータ61を制御しながら、印刷データに基づいてサーマルヘッド5を制御する。これにより、複数の発熱素子Hが選択的に発熱する。複数の発色層92は、複数の発熱素子Hのそれぞれから、信号パターンに応じて加熱される。これにより、感熱テープ9に複数の印刷ラインが印刷され、画像100(
図7参照)が印刷される。
【0083】
上記実施形態の主な作用効果を説明する。以下では、
図6に示す変換テーブルに基づいて
図4に示す変換前画像データが
図5に変換後画像データに変換され、
図7に画像100が感熱テープ9に印刷される場合を、適宜、例に挙げて説明する。
【0084】
上記実施形態では、変換処理(S12)では、CPU21は、変換前画像データにおいて、変換ドットの色を、変換色として対象ドットの色に変換する。例えばドットD15が対象ドットの場合、ドットD10が上流ドット(変換ドット)となり、変換色はドットD15(対象ドット)の色(シアン)となる。この場合、変換処理(S12)では、CPU21は、変換前画像データにおいて、ドットD10の色を、変換色としてドットD15の色(シアン)に変換する。
【0085】
これによれば、CPU21は変換後画像データに基づいて、シアンのドットD10を感熱テープ9に印刷するようにサーマルヘッド5およびプラテンローラ6を制御する。この場合、ドットD15(対象ドット)を感熱テープ9に印刷するための発熱素子Hが、感熱テープ9にドットD15が印刷される前に、ドットD10(上流ドット)を感熱テープ9に印刷するために発熱する。このため、ドットD15を感熱テープ9に印刷するための発熱素子Hが、感熱テープ9にドットD15を印刷するときに発熱しやすくなる。よって、CPU21は、感熱テープ9に実際に印刷されるドットD15(対象ドット)の大きさが目標の大きさよりも小さくなることを抑制するという利点に貢献する。さらに、CPU21は、第三発色層923(最下層)の発色が開始するまでの時間を短縮するという利点に貢献する。CPU21は、感熱テープ9に実際に印刷されるドットD15(対象ドット)の位置が目標の位置から下流方向にずれることを抑制するという利点に貢献する。なお、対象ドットの色が、第二発色層922(中間層)が発色する色(マゼンタ)を含む場合、CPU21は、第二発色層922(中間層)の発色が開始するまでの時間を短縮するという利点に貢献する。
【0086】
変換色が対象ドットの色なので、CPU21は、ドットD15の色(シアン)と同じ色(シアン)のドットD10を感熱テープ9に印刷するようにサーマルヘッド5およびプラテンローラ6を制御する。よって、CPU21は、ドットD15(対象ドット)の色(シアン)とは異なる色のドットがドットD10(上流ドット)として印刷されることを抑制するという利点に貢献する。
【0087】
仮に、変換ドットの色を変換し、色が変換された変換ドットを印刷するために、大きすぎるエネルギーが感熱テープ9に付与された場合、感熱テープ9に実際に印刷される対象ドットの大きさが目標の大きさよりも大きくなる可能性がある。上記実施形態では、変換ドットの色が対象ドットの色と同じ色の場合、CPU21は変換ドットの色を変換しない。これによれば、CPU21は、感熱テープ9に実際に印刷されるドットD15(対象ドット)の大きさが目標の大きさよりも大きくなることを抑制するという利点に貢献する。
【0088】
例えば、変換ドット(上流ドット)の色が、複数の発色層92のそれぞれが発色する色(イエロー、マゼンタ、シアン)のいずれも含まない色(ホワイト)の場合、対象ドットを感熱テープ9に印刷するための発熱素子Hが、感熱テープ9に対象ドットが印刷される前に発熱しない。変換処理(S12)では、CPU21は、変換ドットの色が、複数の発色層92のそれぞれが発色する色(イエロー、マゼンタ、シアン)のいずれも含まない色(ホワイト)の場合、変換ドットの色を変換色に変換する。例えばドットD15が対象ドットの場合、CPU21は、ドットD10(変換ドット)の色がホワイトなので、ドットD10の色を変換色に変換する。これによれば、ドットD15(対象ドット)を感熱テープ9に印刷するための発熱素子Hが、感熱テープ9にドットD15が印刷される前に、感熱テープ9にドットD10(変換ドット)を印刷するために発熱する。よって、CPU21は、感熱テープ9に実際に印刷されるドットD15(対象ドット)の大きさが目標の大きさよりも小さくなることを抑制するという利点に貢献する。
【0089】
上記実施形態において、第一発色層921が「第一層」に相当する。第二発色層922または第三発色層923が「第二層」に相当する。プラテンローラ6が「搬送部」に相当する。
図8のS11の処理を実行するCPU21が「取得部」に相当する。
図9のS25の処理を実行するCPU21が「変換部」に相当する。
図8のS13の処理を実行するCPU21が「印刷制御部」に相当する。第一周囲ドットと第二周囲ドットが「一対の第一ドット」に相当する。第三周囲ドットと第四周囲ドットが「一対の第二ドット」に相当する。第五周囲ドットと第六周囲ドットと第七周囲ドットと第八周囲ドットが「4つの第三ドット」に相当する。第二発色層922が第二層に相当する場合の第三発色層923が「第三層」に相当する。(R,R)、(M,M)、(B,B)、(C,C)、(G,G)、(K,K)に「-」を定める変換テーブルが「禁止部」に相当する。
図8のS11の処理が「取得処理」に相当する。
図9のS25の処理が「変換処理」に相当する。
図8のS13の処理が「印刷制御処理」に相当する。
【0090】
本発明は、上記実施形態から種々変更されてもよい。例えば、上記実施形態において、プリンタ1は、プラテンローラ6に代えて、またはプラテンローラ6に加えて、プラテンローラ6とは別のローラ等によって感熱テープ9を搬送してもよい。プリンタ1は感熱媒体として感熱テープ9に代えて例えば感熱用紙に印刷してもよい。つまり、感熱媒体は長尺状でなくてもよい。感熱テープ9は、剥離紙90およびオーバーコート層93の一方または両方を備えなくてもよい。
【0091】
上記実施形態では、複数の発色層92は、第一発色層921、第二発色層922、および第三発色層923の3つの発色層92によって構成される。これに対し、複数の発色層92は2つの発色層92によって構成されてもよいし、4つ以上の発色層92によって構成されてもよい。発色層92が2つの場合、中間層は存在しない。この場合、対象ドットは、最下層が発色する色のドットとなる。発色層92が4つ以上ある場合、中間層が複数の発色層92で構成される。この場合、対象ドットは、最下層が発色する色または複数の中間層が発色する色を含む色のドットとなる。対象ドットは、最下層が発色する色(上記実施形態では、第三色)を含む色のドットであってもよいし、最下層が発色する色(上記実施形態では、第三色)のドットであってもよい。
【0092】
上記実施形態では、変換テーブルは、変換ドットの変換色として対象ドットの色を定める。これに対し、変換テーブルは、変換ドットの変換色として対象ドットの色とは異なる色を定めてもよい。変換テーブルは、変換ドットの変換色として、例えば対象ドットの色を含む色を定めてもよいし、複数の発色層92のいずれかが発色する色を含む色を定めてもよい。上記実施形態において、複数の発色層92のいずれかが発色する色は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、レッド、グリーン、およびブルーのいずれかである。変換テーブルは、変換ドットの色によらず、対象ドットの色に応じて、変換ドットの変換色を定めてもよい。例えば、変換テーブルは、変換ドットの色がホワイトであるか否かによらず、対象ドットの色に応じて、変換ドットの変換色を定めてもよい。変換テーブルは、対象ドットの色および変換ドットの色のいずれにもよらず、変換ドットの変換色を定めてもよい。例えば、変換テーブルは、変換ドットの色がホワイトであるか否かによらず、および対象ドットの色がシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、レッド、グリーン、およびブルーのいずれであるかによらず、変換ドットの変換色として最下層が発色する色(上記実施形態ではシアン)を含む色を定めてもよい。
【0093】
図10を参照し、変形例の変換テーブルを説明する。変形例の変換テーブルは、「X1」~「X43」のそれぞれにおいて、変換ドットの色を変換しないことを定めてもよいし、変換ドットの変換色を定めてもよい。例えば、変形例の変換テーブルは、「X1」~「X43」のそれぞれにおいて、変換ドットの変換色として対象ドットの色を定めてもよい。変形例の変換テーブルは、「X1」~「X43」のそれぞれにおいて、対象ドットの色とは異なる色であり、且つ複数の発色層92のいずれかが発色する色を含む色を定めてもよい。
【0094】
変形例の変換テーブルは、(C,Y)において、変換ドットの変換色としてグリーンを定める。グリーン(変換色)は、シアン(対象ドットの色)とイエロー(変換ドットの色)の混色である。変形例の変換テーブルは、(C,M)において、変換ドットの変換色としてブルーを定める。ブルー(変換色)は、シアン(対象ドットの色)とマゼンタ(変換ドットの色)の混色である。変形例の変換テーブルは、(C,W)において、変換ドットの変換色としてブルーを定める。ブルー(変換色)は、シアン(対象ドットの色)を含む混色である。
【0095】
変形例の変換テーブルは、(M,W)において、変換ドットの変換色としてブルーを定める。ブルー(変換色)は、マゼンタ(対象ドットの色)とシアン(第三色)との混色である。変形例の変換テーブルは、(G,W)において、変換ドットの変換色としてシアンを定める。グリーン(対象ドットの色)はシアン(変換色)とイエローとの混色なので、シアン(変換色)は、グリーン(対象ドットの色)に含まれる。
【0096】
図11を参照し、
図10に示す変形例の変換テーブルに基づいて、
図3に示す変換前画像データが変換された場合の変換後画像データを説明する。なお、
図5に示す変換テーブルに基づいて
図3に示す変換前画像データが変換された場合と異なる点を説明する。
図3に示す変換前画像データにおいて、ドットD4(シアン)に対する上流ドット(変換ドット)は、ドットD1(イエロー)である。この場合(C,Y)、
図10に示す変形例の変換テーブルが変換ドットの変換色として「G」を示すので、上流ドット(変換ドット)の色がイエローからグリーンに変換される。したがって、
図11に示すように、変換後画像データでは、ドットD1の色はグリーンとなる。
【0097】
図3に示す変換前画像データにおいて、ドットD12(シアン)に対する上流ドット(変換ドット)は、ドットD7(マゼンタ)である。この場合(C,M)、
図10に示す変形例の変換テーブルが変換ドットの変換色として「B」を示すので、上流ドット(変換ドット)の色がマゼンタからブルーに変換される。したがって、
図11に示すように、変換後画像データでは、ドットD7の色はブルーとなる。
【0098】
図3に示す変換前画像データにおいて、ドットD15(シアン)に対する上流ドット(変換ドット)は、ドットD10(ホワイト)である。この場合(C,W)、
図10に示す変形例の変換テーブルが変換ドットの変換色として「B」を示すので、上流ドット(変換ドット)の色がホワイトからブルーに変換される。したがって、
図11に示すように、変換後画像データでは、ドットD10の色はブルーとなる。
【0099】
なお、図示しないが、変換前画像データにおいて、対象ドットの色がグリーンであり、変換ドットの色がホワイトとなる対象ドットがある場合、変換ドットの色はホワイトからシアンに変換される。図示しないが、変換前画像データにおいて、対象ドットの色がマゼンタであり、変換ドットの色がホワイトとなる対象ドットがある場合、変換ドットの色はホワイトからブルーに変換される。
【0100】
変形例の変換テーブルによれば、対象ドットの色がシアン(第三色)であり、上流ドットの色がイエロー(第一色)の場合、上流ドットの色を、変換色としてイエロー(第一色)とシアン(対象ドットの色)とを含む色に変換する。この場合、感熱テープ9に対象ドットが印刷される前に、対象ドットを感熱テープ9に印刷するための発熱素子Hが、比較的大きなエネルギーによって発熱する。このため、対象ドットを感熱テープ9に印刷するための発熱素子Hが、感熱テープ9に対象ドットを印刷するときにさらに発熱しやすくなる。よって、CPU21は、対象ドットの色を発色するための発色層92の発色が開始するまでの時間をさらに短縮するという利点に貢献する。
【0101】
対象ドットの色がシアン(第三色)であり、上流ドットの色がマゼンタ(第二色)の場合、上流ドットの色を、変換色としてマゼンタ(第二色)とシアン(対象ドットの色)とを含む色に変換する。この場合も、同様に、感熱テープ9に対象ドットが印刷される前に、対象ドットを感熱テープ9に印刷するための発熱素子Hが、比較的大きなエネルギーによって発熱する。よって、CPU21は、対象ドットの色を発色するための発色層92の発色が開始するまでの時間をさらに短縮するという利点に貢献する。
【0102】
変形例の変換テーブルによれば、対象ドットの色がマゼンタ(第二色)であり、上流ドットの色がホワイトの場合、上流ドットの色を、変換色としてマゼンタ(対象ドットの色)とシアン(第三色)とを含む色に変換する。この場合、CPU21は、上流ドットの色(ホワイト)を、変換色としてブルー(シアンを含む色)に変換する。これによれば、対象ドットを感熱テープ9に印刷するための発熱素子Hが、感熱テープ9に対象ドットが印刷される前に、比較的大きなエネルギーによって発熱する。このため、対象ドットを感熱テープ9に印刷するための発熱素子Hが、感熱テープ9に対象ドットを印刷するときにさらに発熱しやすくなる。よって、CPU21は、第二発色層922の発色が開始するまでの時間をさらに短縮するという利点に貢献する。
【0103】
なお、変形例の変換テーブルにおいて、(C,W)のみ上記実施形態の変換テーブルに適用する等、上記実施形態の変換テーブルと変形例の変換テーブルは、適宜、互いに組み合わされてもよい。
【0104】
上記実施形態では、変換ドットは、第一周囲ドット(上流ドット)である。これに対して、変換ドットは、第一周囲ドット(上流ドット)に加えて他の周囲ドットまたは周囲ドットではないドットを含んでもよい。変換ドットは、第三周囲ドット、第四周囲ドット、第五周囲ドット、および第七周囲ドットのうち少なくともいずれか1つを含んでもよい。変換ドットは、第二周囲ドット、第六周囲ドット、および第八周囲ドットのうちの少なくともいずれか1つを含んでもよい。
【0105】
図12は、一例として、変換ドットが8つの周囲ドットの全部の場合に、
図5に示す変換テーブルに基づいて、
図3に示す変換前画像データが変換された場合の変換後画像データを示す。この場合、ドットD10に加えて、ドットD9、ドットD11、ドットD14、ドットD16、ドットD18、ドットD19、およびドットD20のそれぞれの色もホワイトからシアン(変換色)に変換される。
【0106】
例えば第三周囲ドット(ドットD14)および第四周囲ドット(ドットD16)が印刷される場合、それぞれ、対象ドット(ドットD15)に応じた発熱素子Hに対して左右両隣の発熱素子Hが、対象ドット(ドットD15)の印刷時に発熱する。このため、第三周囲ドット(ドットD14)または第四周囲ドット(ドットD16)が変換ドットに含まれる場合、対象ドット(ドットD15)が印刷される場合に、対象ドット(ドットD15)に応じた発熱素子Hの熱が左右方向に逃げることが抑制される。
【0107】
例えば第五周囲ドット(ドットD9)および第七周囲ドット(ドットD11)が印刷される場合、それぞれ、対象ドット(ドットD15)に応じた発熱素子Hに対して左右両隣の発熱素子Hが、対象ドット(ドットD15)の印刷前に発熱する。このため、第五周囲ドット(ドットD9)または第七周囲ドット(ドットD11)が変換ドットに含まれる場合、対象ドット(ドットD15)が印刷される前に、対象ドット(ドットD15)に応じた発熱素子Hが左右方向から加熱される。
【0108】
例えば第二周囲ドット(ドットD19)、第六周囲ドット(ドットD18)、および第八周囲ドット(ドットD20)が印刷される場合、それぞれ、対象ドット(ドットD15)に応じた発熱素子Hと同じ発熱素子H、または対象ドット(ドットD15)に応じた発熱素子Hに対して左右両隣の発熱素子Hが、対象ドット(ドットD15)の印刷後に発熱する。このため、第二周囲ドット(ドットD19)、第六周囲ドット(ドットD18)、または第八周囲ドット(ドットD20)が変換ドットに含まれる場合、対象ドット(ドットD15)の印刷時に、対象ドット(ドットD15)に応じた発熱素子Hによって、第二周囲ドット(ドットD19)、第六周囲ドット(ドットD18)、または第八周囲ドット(ドットD20)に応じた発熱素子Hが加熱される。
【0109】
以上により、複数の周囲ドットのいずれが変換ドットに含まれたとしても、対象ドットに応じた発熱素子Hによる発熱性が向上する。よって、複数の周囲ドットのいずれが変換ドットに含まれたとしても、CPU21は、感熱テープ9に実際に印刷される対象ドットの大きさが目標の大きさよりも小さくなることを抑制するという利点に貢献する。
【0110】
変換ドットは、8つの周囲ドットの1または複数に加えて、1または複数の周囲ドットと隣り合うドットをさらに含んでもよい。
図13は、一例として、変換ドットが第一周囲ドット、第三周囲ドット、第四周囲ドット、第五周囲ドット、および第七周囲ドットを含む場合に、
図5に示す変換テーブルに基づいて、
図3に示す変換前画像データが変換された場合の変換後画像データを示す。
図14では、変換ドットは、第一周囲ドット、第三周囲ドット、第四周囲ドット、第五周囲ドット、および第七周囲ドットに加えて、第一周囲ドット、第五周囲ドット、第七周囲ドットを含む。この場合、ドットD10に加えて、ドットD9、およびドットD11の色がホワイトからシアン(変換色)に変換され、さらにドットD9、D10、D11のそれぞれの色と上流方向に隣り合うドットD21、D22、D23の色もホワイトからシアン(変換色)に変換される。
【0111】
変換ドットが複数の周囲ドットを含む場合を説明する。この場合、変換ドットの変換色は、それぞれの変換ドットに応じて異なっていてもよいし、互いに同じであってもよい。CPU21は、複数の変換ドットの全部がホワイトの場合に、変換ドットの色を変換してもよいし、一部がホワイトの場合に、変換ドットの色を変換してもよい。
【0112】
上記実施形態において、CPU21は、変換ドットの色が対象ドットの色と同じ場合にも、変換ドットの色を変換してもよい。この場合、変換テーブルは、例えば、(C,C)において、変換ドットの変換色としてブルー(対象ドットの色を含む混色)を定めてもよい。CPU21は、変換ドットの色が対象ドットの色に含まれる場合、変換ドットの色を変換してもよい。この場合、変換テーブルは、(B,C)において、変換ドットの変換色としてブルー(対象ドットの色を含む混色)を定めてもよい。CPU21は、変換ドットの色がシアン(最下層が発色する色)を含む色の場合、変換ドットの色を変換してもよい。この場合、変換テーブルは、例えば(C,C)において、変換後ドットの変換色としてブルー(シアンを含む混色)を定めてもよい。
【0113】
上記実施形態では、CPU21は、変換テーブルに基づいて、変換ドットの色を変換するか否かを判断し、変換ドットの色を変換する場合に変換ドットの変換色を特定する。これに対し、CPU21は、変換処理において、対象ドットの色、変換ドットの色のそれぞれを判断し、判断結果に応じて変換ドットの色を変換するか否かを判断し、変換ドットの色を変換する場合に判断結果に応じて変換ドットの色を特定してもよい。
【0114】
CPU21の代わりに、マイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が、プロセッサとして用いられてもよい。メイン処理は、複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。ROM22、フラッシュメモリ24等の非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。プログラムは、例えば、図示外のネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、ROM22またはフラッシュメモリ24に記憶されてもよい。この場合、プログラムは、サーバに備えられたHDD等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。
【符号の説明】
【0115】
1 プリンタ
5 サーマルヘッド
6 プラテンローラ
9 感熱テープ
21 CPU
91 基材
92 発色層
921 第一発色層
922 第二発色層
923 第三発色層
H 発熱素子