(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180803
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】プリンタ、印刷方法、および印刷プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/355 20060101AFI20231214BHJP
B41J 2/36 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B41J2/355 B
B41J2/36 C
B41J2/36 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094402
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100213687
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】南 明
【テーマコード(参考)】
2C066
【Fターム(参考)】
2C066AB09
2C066AD01
2C066BF04
2C066CC03
2C066CC13
2C066CC14
2C066CD08
2C066CD11
2C066CD14
2C066CD19
(57)【要約】
【課題】制御部の制御負荷を抑制しつつ、感熱媒体に実際に印刷されるドットの大きさが目標の大きさに対してばらつくことを抑制するという利点に貢献するプリンタ、印刷方法、および印刷プログラムを提供する。
【解決手段】プリンタの制御部は、チョッピングユニットが経時的に複数並ぶストローブ信号を出力する。チョッピング周期は、印加状態と非印加状態が切り替わる第一期間と、非印加状態となる第二期間とを含む。制御部は、複数の発熱素子のそれぞれについて、ストローブ信号において、チョッピングユニットごとに、3つ以上の加熱パターンのいずれかに応じた切替データを出力する。切替データは、第一期間を印加状態および非印加状態のいずれにするかをチョッピングユニットごとに指定する。加熱パターンは、チョッピングユニットごとに切替データが第一期間を印加状態および非印加状態のいずれにするかの組み合わせを示す。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感熱媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、
前記搬送方向に直交する配列方向に並ぶ複数の発熱素子を有するヘッドであって、前記搬送部によって搬送される前記感熱媒体に対して、前記複数の発熱素子の発熱によって印刷を行うサーマルヘッドと、
前記発熱素子によってドットを前記感熱媒体に印刷するための前記発熱素子へのエネルギーの印加制御を前記発熱素子ごとに行うことで、前記複数の発熱素子を選択的に発熱させる印加制御部と、
前記印加制御における前記発熱素子の加熱パターンを3つ以上記憶する記憶部と
を備え、
前記印加制御部は、
前記印加制御において、所定のチョッピング周期を繰り返して構成されるチョッピングユニットが経時的に複数並ぶストローブ信号を出力する出力部であって、前記チョッピング周期は、前記発熱素子に前記エネルギーが印加される印加状態、および前記発熱素子に前記エネルギーが印加されない非印加状態が切り替わる第一期間と、前記非印加状態となる第二期間とを含む第一出力部と、
前記印加制御において、前記第一出力部によって出力される前記ストローブ信号において、前記チョッピングユニットごとに、前記複数の発熱素子のそれぞれに応じた複数の切替データを出力する出力部であって、前記切替データは、前記第一期間を前記印加状態および前記非印加状態のいずれにするかを前記チョッピングユニットごとに指定する第二出力部と
を備え、
前記加熱パターンは、前記印加制御において、前記第一出力部によって出力される前記ストローブ信号において並ぶ複数の前記チョッピングユニットごとに一の前記発熱素子に対して前記第二出力部によって出力される複数の前記切替データが、それぞれ、前記第一期間を前記印加状態および前記非印加状態のいずれにするかの組み合わせを示し、
前記第二出力部は、前記複数の発熱素子のそれぞれについて、画像データに基づいて、前記記憶部に記憶された3つ以上の前記加熱パターンのいずれかに応じた前記切替データを出力する
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記感熱媒体は、
第一エネルギーが印加された場合に第一色に発色する第一層と、
前記第一エネルギーとは異なる第二エネルギーが印加された場合に前記第一色とは異なる第二色に発色する第二層とを含み、
前記記憶部は、前記3つ以上の加熱パターンのうちの2つとして、
前記第一層に前記第一エネルギーを印加するための第一加熱パターンと、
前記第二層に前記第二エネルギーを印加するための第二加熱パターンと
を記憶することを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記記憶部は、前記3つ以上の加熱パターンのうちの2つとして、
第一の大きさを有する前記ドットを前記感熱媒体に印刷するための第一加熱パターンと、
前記第一の大きさとは異なる第二の大きさを有する前記ドットを前記感熱媒体に印刷するための第二加熱パターンと
を記憶することを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記第一出力部は、前記印加制御において、前記チョッピング周期の長さに対する前記第一期間の長さの割合が経時的に降順に並ぶ前記複数のチョッピングユニットであるチョッピングクラスタを含む前記ストローブ信号を出力する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項5】
前記第一出力部は、前記印加制御において、前記チョッピングユニットの長さが経時的に昇順に並ぶ前記複数のチョッピングユニットであるチョッピングクラスタを含む前記ストローブ信号を出力する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプリンタ。
【請求項6】
感熱媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、
前記搬送方向に直交する配列方向に並ぶ複数の発熱素子を有するヘッドであって、前記搬送部によって搬送される前記感熱媒体に対して、前記複数の発熱素子の発熱によって印刷を行うサーマルヘッドと、
前記発熱素子によってドットを前記感熱媒体に印刷するための前記発熱素子へのエネルギーの印加制御における前記発熱素子の加熱パターンを3つ以上記憶する記憶部と
を備えたプリンタによる印刷方法であって、
前記印加制御を前記発熱素子ごとに行うことで、前記複数の発熱素子を選択的に発熱させる印加制御処理を備え、
前記印加制御処理は、
前記印加制御において、所定のチョッピング周期を繰り返して構成されるチョッピングユニットが経時的に複数並ぶストローブ信号を出力する出力処理であって、前記チョッピング周期は、前記発熱素子に前記エネルギーが印加される印加状態、および前記発熱素子に前記エネルギーが印加されない非印加状態が切り替わる第一期間と、前記非印加状態となる第二期間とを含む第一出力処理と、
前記印加制御において、前記第一出力処理によって出力される前記ストローブ信号において、前記チョッピングユニットごとに、前記複数の発熱素子のそれぞれに応じた複数の切替データを出力する出力処理であって、前記切替データは、前記第一期間を前記印加状態および前記非印加状態のいずれにするかを前記チョッピングユニットごとに指定する第二出力処理と
を備え、
前記加熱パターンは、前記印加制御において、前記第一出力処理によって出力される前記ストローブ信号において並ぶ複数の前記チョッピングユニットごとに一の前記発熱素子に対して前記第二出力処理によって出力される複数の前記切替データが、それぞれ、前記第一期間を前記印加状態および前記非印加状態のいずれにするかの組み合わせを示し、
前記第二出力処理は、前記複数の発熱素子のそれぞれについて、画像データに基づいて、前記記憶部に記憶された3つ以上の前記加熱パターンのいずれかに応じた前記切替データを出力する
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項7】
感熱媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、
前記搬送方向に直交する配列方向に並ぶ複数の発熱素子を有するヘッドであって、前記搬送部によって搬送される前記感熱媒体に対して、前記複数の発熱素子の発熱によって印刷を行うサーマルヘッドと、
前記発熱素子によってドットを前記感熱媒体に印刷するための前記発熱素子へのエネルギーの印加制御における前記発熱素子の加熱パターンを3つ以上記憶する記憶部と
を備えたプリンタのコンピュータに、
前記印加制御を前記発熱素子ごとに行うことで、前記複数の発熱素子を選択的に発熱させる印加制御処理を実行させる印刷プログラムであって、
前記印加制御処理は、
前記印加制御において、所定のチョッピング周期を繰り返して構成されるチョッピングユニットが経時的に複数並ぶストローブ信号を出力する出力処理であって、前記チョッピング周期は、前記発熱素子に前記エネルギーが印加される印加状態、および前記発熱素子に前記エネルギーが印加されない非印加状態が切り替わる第一期間と、前記非印加状態となる第二期間とを含む第一出力処理と、
前記印加制御において、前記第一出力処理によって出力される前記ストローブ信号において、前記チョッピングユニットごとに、前記複数の発熱素子のそれぞれに応じた複数の切替データを出力する出力処理であって、前記切替データは、前記第一期間を前記印加状態および前記非印加状態のいずれにするかを前記チョッピングユニットごとに指定する第二出力処理と
を備え、
前記加熱パターンは、前記印加制御において、前記第一出力処理によって出力される前記ストローブ信号において並ぶ複数の前記チョッピングユニットごとに一の前記発熱素子に対して前記第二出力処理によって出力される複数の前記切替データが、それぞれ、前記第一期間を前記印加状態および前記非印加状態のいずれにするかの組み合わせを示し、
前記第二出力処理は、前記複数の発熱素子のそれぞれについて、画像データに基づいて、前記記憶部に記憶された3つ以上の前記加熱パターンのいずれかに応じた前記切替データを出力する
ことを特徴とする印刷プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、印刷方法、および印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルヘッドを発熱させることで感熱媒体に印刷を行うプリンタがある。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、所定の加熱時間の間、抵抗に信号を送る。これにより、画像形成装置は、抵抗を発熱させ、感熱媒体を発色させることでドットを印刷する。画像形成装置では、抵抗の発熱を応答性良く制御するため、制御部が10μsecなどの比較的短時間ごとに、信号を抵抗に出力するためのデータ転送を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記画像形成装置では、制御部の制御負荷を抑制するため、単位時間当たりのデータ転送回数を減らす場合がある。この場合、抵抗の発熱を応答性良く制御することが難しくなり、つまり抵抗を発熱させた状態で抵抗の温度を一定に保つことが難しくなる。抵抗の温度がばらつくと、感熱媒体の発色範囲がばらつく可能性がある。このため、感熱媒体に実際に印刷されるドットの大きさが目標の大きさに対してばらつく可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、制御部の制御負荷を抑制しつつ、感熱媒体に実際に印刷されるドットの大きさが目標の大きさに対してばらつくことを抑制するという利点に貢献するプリンタ、印刷方法、および印刷プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係るプリンタは、感熱媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、前記搬送方向に直交する配列方向に並ぶ複数の発熱素子を有するヘッドであって、前記搬送部によって搬送される前記感熱媒体に対して、前記複数の発熱素子の発熱によって印刷を行うサーマルヘッドと、前記発熱素子によってドットを前記感熱媒体に印刷するための前記発熱素子へのエネルギーの印加制御を前記発熱素子ごとに行うことで、前記複数の発熱素子を選択的に発熱させる印加制御部と、前記印加制御における前記発熱素子の加熱パターンを3つ以上記憶する記憶部とを備え、前記印加制御部は、前記印加制御において、所定のチョッピング周期を繰り返して構成されるチョッピングユニットが経時的に複数並ぶストローブ信号を出力する出力部であって、前記チョッピング周期は、前記発熱素子に前記エネルギーが印加される印加状態、および前記発熱素子に前記エネルギーが印加されない非印加状態が切り替わる第一期間と、前記非印加状態となる第二期間とを含む第一出力部と、前記印加制御において、前記第一出力部によって出力される前記ストローブ信号において、前記チョッピングユニットごとに、前記複数の発熱素子のそれぞれに応じた複数の切替データを出力する出力部であって、前記切替データは、前記第一期間を前記印加状態および前記非印加状態のいずれにするかを前記チョッピングユニットごとに指定する第二出力部とを備え、前記加熱パターンは、前記印加制御において、前記第一出力部によって出力される前記ストローブ信号において並ぶ複数の前記チョッピングユニットごとに一の前記発熱素子に対して前記第二出力部によって出力される複数の前記切替データが、それぞれ、前記第一期間を前記印加状態および前記非印加状態のいずれにするかの組み合わせを示し、前記第二出力部は、前記複数の発熱素子のそれぞれについて、画像データに基づいて、前記記憶部に記憶された3つ以上の前記加熱パターンのいずれかに応じた前記切替データを出力することを特徴とする。
【0007】
第一態様によれば、ストローブ信号および切替データの組み合わせによって印加制御が行われる。ストローブ信号ではチョッピングユニットが経時的に並ぶので、一の切替データの出力とその次の切替データの出力との間でも、印加状態と非印加状態とが切り替わる。このため、切替データの出力ごとに印加状態と非印加状態とが切り替わる場合に比べて、発熱素子による発熱の応答性が向上する。つまり、プリンタは、切替データの出力間隔を短縮することなく、発熱素子の応答性を向上させるという利点に貢献する。よって、プリンタは第二出力部の制御負荷を抑制しつつ、感熱媒体に実際に印刷されるドットの大きさが目標の大きさに対してばらつくことを抑制するという利点に貢献する。
【0008】
本発明の第二態様に係る印刷方法は、感熱媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、前記搬送方向に直交する配列方向に並ぶ複数の発熱素子を有するヘッドであって、前記搬送部によって搬送される前記感熱媒体に対して、前記複数の発熱素子の発熱によって印刷を行うサーマルヘッドと、前記発熱素子によってドットを前記感熱媒体に印刷するための前記発熱素子へのエネルギーの印加制御における前記発熱素子の加熱パターンを3つ以上記憶する記憶部とを備えたプリンタによる印刷方法であって、前記印加制御を前記発熱素子ごとに行うことで、前記複数の発熱素子を選択的に発熱させる印加制御処理を備え、前記印加制御処理は、前記印加制御において、所定のチョッピング周期を繰り返して構成されるチョッピングユニットが経時的に複数並ぶストローブ信号を出力する出力処理であって、前記チョッピング周期は、前記発熱素子に前記エネルギーが印加される印加状態、および前記発熱素子に前記エネルギーが印加されない非印加状態が切り替わる第一期間と、前記非印加状態となる第二期間とを含む第一出力処理と、前記印加制御において、前記第一出力処理によって出力される前記ストローブ信号において、前記チョッピングユニットごとに、前記複数の発熱素子のそれぞれに応じた複数の切替データを出力する出力処理であって、前記切替データは、前記第一期間を前記印加状態および前記非印加状態のいずれにするかを前記チョッピングユニットごとに指定する第二出力処理とを備え、前記加熱パターンは、前記印加制御において、前記第一出力処理によって出力される前記ストローブ信号において並ぶ複数の前記チョッピングユニットごとに一の前記発熱素子に対して前記第二出力処理によって出力される複数の前記切替データが、それぞれ、前記第一期間を前記印加状態および前記非印加状態のいずれにするかの組み合わせを示し、前記第二出力処理は、前記複数の発熱素子のそれぞれについて、画像データに基づいて、前記記憶部に記憶された3つ以上の前記加熱パターンのいずれかに応じた前記切替データを出力することを特徴とする。第二態様は第一態様と同様の利点に貢献する。
【0009】
本発明の第三態様に係る印刷プログラムは、感熱媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、前記搬送方向に直交する配列方向に並ぶ複数の発熱素子を有するヘッドであって、前記搬送部によって搬送される前記感熱媒体に対して、前記複数の発熱素子の発熱によって印刷を行うサーマルヘッドと、前記発熱素子によってドットを前記感熱媒体に印刷するための前記発熱素子へのエネルギーの印加制御における前記発熱素子の加熱パターンを3つ以上記憶する記憶部とを備えたプリンタのコンピュータに、前記印加制御を前記発熱素子ごとに行うことで、前記複数の発熱素子を選択的に発熱させる印加制御処理を実行させる印刷プログラムであって、前記印加制御処理は、前記印加制御において、所定のチョッピング周期を繰り返して構成されるチョッピングユニットが経時的に複数並ぶストローブ信号を出力する出力処理であって、前記チョッピング周期は、前記発熱素子に前記エネルギーが印加される印加状態、および前記発熱素子に前記エネルギーが印加されない非印加状態が切り替わる第一期間と、前記非印加状態となる第二期間とを含む第一出力処理と、前記印加制御において、前記第一出力処理によって出力される前記ストローブ信号において、前記チョッピングユニットごとに、前記複数の発熱素子のそれぞれに応じた複数の切替データを出力する出力処理であって、前記切替データは、前記第一期間を前記印加状態および前記非印加状態のいずれにするかを前記チョッピングユニットごとに指定する第二出力処理とを備え、前記加熱パターンは、前記印加制御において、前記第一出力処理によって出力される前記ストローブ信号において並ぶ複数の前記チョッピングユニットごとに一の前記発熱素子に対して前記第二出力処理によって出力される複数の前記切替データが、それぞれ、前記第一期間を前記印加状態および前記非印加状態のいずれにするかの組み合わせを示し、前記第二出力処理は、前記複数の発熱素子のそれぞれについて、画像データに基づいて、前記記憶部に記憶された3つ以上の前記加熱パターンのいずれかに応じた前記切替データを出力することを特徴とする。第三態様は第一態様と同様の利点に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】ストローブ信号STBを示すタイミングチャートである。
【
図5】第一色の加熱パターンで制御された場合の発熱素子Rの通電態様および温度変化を示す図である。
【
図6】第二色の加熱パターンで制御された場合の発熱素子Rの通電態様および温度変化を示す図である。
【
図7】混色の加熱パターンで制御された場合の発熱素子Rの通電態様および温度変化を示す図である。
【
図9】変形例の加熱パターンテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、制御等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。以下の説明では、
図1の左下方、右上方、右下方、左上方、上方、および下方を、それぞれ、プリンタ1および感熱テープ9の前方、後方、右方、左方、上方、および下方とする。
【0012】
図1を参照し、プリンタ1を説明する。プリンタ1は、感熱タイプのテーププリンタであり、感熱テープ9に画像を印刷する。感熱テープ9は感熱媒体の一種である。なお、本実施形態において、「印刷する」とは、後述の発色層92を発色させることを意味する。プリンタ1は筐体10を備える。筐体10は箱状であり、下ケース11と蓋12とを含む。下ケース11は上方に開口する。蓋12は下ケース11に対して開閉する。
図1は、蓋12が下ケース11に対して閉じた状態を示す。
【0013】
筐体10の前面には排出口3が設けられる。排出口3は印刷済みの感熱テープ9を筐体10の中から外に排出する。筐体10の上面には、操作スイッチ4が複数設けられる。ユーザは各操作スイッチ4を操作することで各種情報をプリンタ1に入力する。
【0014】
筐体10内には装着部(図示略)、プラテンローラ6、およびサーマルヘッド5が設けられる。
図1は、筐体10によって隠れたプラテンローラ6およびサーマルヘッド5を仮想線で示す。装着部は下ケース11の上面から下方に凹む。装着部には感熱テープ9が装着される。本実施形態では、テープカセット(図示略)に感熱テープ9が収容された状態で、テープカセットが装着部に装着される。
【0015】
プラテンローラ6は、排出口3の後方に位置し、左右方向に延びる。プラテンローラ6は、回転することで感熱テープ9を装着部から排出口3に向けて搬送する。したがって、本実施形態では、前後方向が搬送方向となる。
【0016】
サーマルヘッド5は板状であり、プラテンローラ6に対して上方から対向する。サーマルヘッド5は、感熱テープ9の厚み方向がプリンタ1の上下方向と一致する状態で、プラテンローラ6との間で感熱テープ9を挟む。
【0017】
サーマルヘッド5は複数の発熱素子Rを備える。複数の発熱素子Rはサーマルヘッド5の下面において左右方向に並ぶ。つまり、複数の発熱素子Rが並ぶ方向(左右方向)は、搬送方向(前後方向)に直交する。複数の発熱素子Rは、発熱することで感熱テープ9への印刷を行う。
【0018】
図1中の拡大図を参照し、感熱テープ9を説明する。感熱テープ9は長尺状であり、複数の層が積層されて構成される。なお、
図1中の拡大図では、理解を容易にするため、感熱テープ9の各層の厚みおよび各層の厚みの大小関係を模式的に示しており、実際の各層の厚みおよび各層の厚みの大小関係は、
図1とは異なる場合がある。
【0019】
感熱テープ9は、剥離紙90、基材91、複数の発色層92、およびオーバーコート層93を有する。本実施形態では、複数の発色層92は第一発色層921と第二発色層922とを含む。剥離紙90、基材91、第二発色層922、第一発色層921、およびオーバーコート層93は、感熱テープ9の厚み方向において、この順で感熱テープ9の下方から並んで積層される。
【0020】
基材91は樹脂フィルムであり、基材色を有する。基材色は特定の色に限定されないが、本実施形態ではホワイトである。基材色は、複数の発色層92が発色する色(本実施形態では、後述の第一色、第二色、および第三色)のいずれとも異なる。基材91の下面には、接着面が形成される。
【0021】
剥離紙90は基材91の下面(接着面)に設けられ、基材91に対して剥離可能である。感熱テープ9への印刷後、ユーザは剥離紙90を基材91から剥離し、印刷済みの感熱テープ9を所望の場所に粘着面を介して貼り付けることができる。オーバーコート層93は、可視光透過性を有し、複数の発色層92を保護する。
【0022】
複数の発色層92は、それぞれ、可視光透過性を有し、各層に応じた発色温度に加熱されることで、各層に応じた色に発色する。複数の発色層92の形成には、例えば特開2008-6830号公報に記載の薬品が用いられる。
【0023】
第一発色層921は、第一発色層921の温度が第一温度を超えた場合に、第一色に発色する。つまり、第一色は、最上層が発色する色である。第一色は特定の色に限定されないが、例えばイエローである。
【0024】
第二発色層922は、第二発色層922の温度が第二温度を超えた場合に、第二色に発色する。つまり、第二色は、中間層が発色する色である。第二温度は第一温度よりも低い。第二色は特定の色に限定されないが、第一色とは異なる色であり、例えばマゼンタである。
【0025】
感熱テープ9に1つのドットが印刷された場合において、複数の発色層92が発色した場合、1つのドットは混色を有する。本実施形態では、混色は、第一色と第二色とが混ざった色である。本実施形態では、第一色と第二色との混色を単に「混色」という。
【0026】
プリンタ1による感熱テープ9への印刷動作を説明する。印刷動作では、プラテンローラ6が右側面視で反時計回り方向に回転することで感熱テープ9を後方から前方に向けて搬送する。感熱テープ9は、サーマルヘッド5とプラテンローラ6との間を通過する過程で、プラテンローラ6によってサーマルヘッド5に押し付けられる。詳細には、感熱テープ9に対し、剥離紙90側からプラテンローラ6が接触し、オーバーコート層93側からサーマルヘッド5が接触する。
【0027】
この状態において、複数の発熱素子Rのそれぞれに選択的に電圧が印加される。電圧が印加された発熱素子Rには、通電によって電力が供給される。電力が供給された発熱素子Rは、発熱することで、プラテンローラ6によって搬送される感熱テープ9を、積層方向のうち第一発色層921側から加熱する。これにより、感熱テープ9において、加熱された位置にドットが印刷される。
【0028】
以下では、複数の発熱素子Rに一印刷周期の通電が行われた場合に、複数の発熱素子Rによって感熱テープ9に印刷される一列のドット列を「印刷ライン」という。一印刷周期は、複数の発熱素子Rによって1列分の印刷ラインを感熱テープ9に印刷するために複数の発熱素子Rのそれぞれが通電可能な期間である。複数の発熱素子Rが左右方向に並ぶので、印刷ラインは左右方向に延びる。以下では、一印刷周期において、発熱素子Rによってドットを感熱テープ9に印刷するために発熱素子Rへエネルギーが印加される制御を「印加制御」という。
【0029】
プリンタ1は、感熱テープ9を搬送しながら感熱テープ9への印刷ラインの印刷(つまり、発熱素子Rへの一印刷周期の通電、複数の発熱素子Rへの印加制御)を繰り返すことで、複数の印刷ラインを搬送方向に沿って感熱テープ9に印刷する。プラテンローラ6は、さらに回転することで、印刷済みの感熱テープ9を排出口3から筐体10の外に排出する。
【0030】
図2を参照し、プリンタ1の電気的構成を説明する。プリンタ1はCPU21を備える。CPU21はプリンタ1を制御し、プロセッサとして機能する。CPU21には、ROM22、RAM23、フラッシュメモリ24、通信部25、操作スイッチ4、搬送モータ61、およびヘッドドライバ51が電気的に接続する。
【0031】
ROM22はCPU21によって実行される各種プログラム、CPU21による各種プログラムの実行時に必要な各種パラメータ等を記憶する。ROM22は、例えば後述のメイン処理(
図8参照)を実行するためのプログラム、後述の加熱パターンテーブル(
図4参照)を記憶する。RAM23は、CPU21による各種プログラムの実行時に、種々のデータを一時的に記憶する。フラッシュメモリ24は不揮発性の記憶装置であり、例えば画像データを記憶する。
【0032】
通信部25は例えば無線LANインタフェース、有線LANインタフェース、またはUSBインタフェースであり、外部端末(図示略)と接続して通信を行う。外部端末は、パーソナルコンピュータ、携帯端末、メモリカード読み取り装置等である。搬送モータ61は、プラテンローラ6と連結し、CPU21から出力される信号に基づいて駆動する。搬送モータ61は駆動することでプラテンローラ6を回転させる。
【0033】
ヘッドドライバ51は、CPU21から出力される信号に基づいてサーマルヘッド5を駆動し、複数の発熱素子Rを選択的に発熱させる。ヘッドドライバ51は、特定の回路構成に限定されないが、本実施形態では、シフトレジスタ511とラッチ回路512と複数のANDゲートG(1)~D(n)とを含む。
【0034】
シフトレジスタ511は、信号線21Aを介してCPU21と接続する。ラッチ回路512は、信号線21Bを介してCPU21と接続する。複数のANDゲートG(1)~G(n)は、それぞれ、複数の発熱素子R(1)~R(n)と対応する。ANDゲートG(1)~G(n)のそれぞれの第一入力端子は、ラッチ回路512と接続する。ANDゲートG(1)~G(n)のそれぞれの第二入力端子は、信号線21Cを介してCPU21と接続する。ANDゲートG(1)~G(n)のそれぞれの出力端子は、対応する発熱素子R(1)~R(n)と接続する。
【0035】
シフトレジスタ511は、CPU21からシリアルデータとして送信される切替データを順次受信する。切替データの詳細は後述する。シフトレジスタ511は、シリアルデータとして順次受信した切替データをパラレルデータに変換する。シフトレジスタ511は、パラレルデータに変換された切替データを、各発熱素子R(1)~R(n)に対応付けて保持する。シフトレジスタ511は、クロック信号によって、パラレルデータに変換された切替データをラッチ回路512に出力する。
【0036】
ラッチ回路512は、シフトレジスタ511から受信した各切替データを、各発熱素子R(1)~R(n)と対応付いた状態で保持する。ラッチ回路512は、ラッチ信号によって、保持した各切替データを、対応する各ANDゲートG(1)~G(n)に出力する。ANDゲートG(1)~G(n)のそれぞれの第一入力端子には、ラッチ回路512から各切替データが入力される。ANDゲートG(1)~G(n)のそれぞれの第二入力端子には、CPU21からストローブ信号STBが入力される。ANDゲートG(1)~G(n)は、それぞれ、印加制御において、切替データとストローブ信号STBとに基づいて、対応する発熱素子R(1)~G(n)の発熱(通電)を制御する。このように、印加制御が発熱素子Rごとに行われる。これにより、複数の発熱素子R(1)~R(n)が選択的に発熱する。
【0037】
図3を参照し、ストローブ信号STBを説明する。ストローブ信号STBは、一印刷周期において、複数のチョッピングユニットが複数回繰り返されて構成される。なお、以下では、特定の限定をしない限り、一印刷周期のストローブ信号STBを単に「ストローブ信号STB」という。本実施形態では、ストローブ信号STBにおいて、チョッピングユニットごとに後述の切替データが出力される。つまり、チョッピングユニットは、一印刷周期において複数回繰り返されるチョッピング周期のうち、後述の切替データが出力される複数のチョッピング周期のユニットである。
【0038】
チョッピングユニットは、一または複数のチョッピング周期が繰り返されて構成される。チョッピング周期は、第一期間と第二期間とによって構成される。第一期間は、ストローブ信号STBが「ON」(ハイレベル)を示す期間である。第二期間は、ストローブ信号STBが「OFF」(ローレベル)を示す期間である。ストローブ信号STBが「ON」を示す場合(第一期間)、後述の切替データによって発熱素子Rに通電するか否かが切り替わる。ストローブ信号STBが「OFF」を示す場合(第二期間)、後述の切替データによらず、発熱素子Rには通電されない。
【0039】
本実施形態では、ストローブ信号STBは、複数のチョッピングユニットCU11、CU12、CU21、CU22がこの順で経時的に並んで構成される。なお、「経時的に」とは、「T1からT5に向かって」という意味である。チョッピングユニットCU11は、チョッピング周期CP11を2回繰り返して構成される。チョッピング周期CP11は、第一期間T111と第二期間T112とを含む。チョッピングユニットCU12は、チョッピング周期CP12を4回繰り返して構成される。チョッピング周期CP12は、第一期間T121と第二期間T122とを含む。
【0040】
チョッピングユニットCU21は、チョッピング周期CP21を3回繰り返して構成される。チョッピング周期CP21は、第一期間T211と第二期間T212とを含む。チョッピングユニットCU22は、チョッピング周期CP22を5回繰り返して構成される。チョッピング周期CP22は、第一期間T221と第二期間T222とを含む。
【0041】
以下では、チョッピング周期の長さに対する第一期間の長さの割合が経時的に降順に並び、且つチョッピングユニットの長さが経時的に昇順に並ぶ複数のチョッピングユニットを「チョッピングクラスタ」という。
【0042】
チョッピング周期CP12の長さに対する第一期間T121の長さの割合(T121/CP12)は、チョッピング周期CP11の長さに対する第一期間T111の長さの割合(T111/CP11)よりも小さい。したがって、本実施形態では、チョッピングユニットCU11、CU12は、それぞれを構成する複数のチョッピング周期の長さに対する第一期間が経時的に降順になるように並ぶ。チョッピングユニットCU12の長さ(T2からT3までの長さ)は、チョッピングユニットCU11の長さ(T1からT2までの長さ)よりも長い。したがって、本実施形態では、チョッピングユニットCU11、CU12は、それぞれの長さが経時的に昇順になるように並ぶ。したがって、本実施形態では、チョッピングユニットCU11、CU12はチョッピングクラスタCC1を構成する。
【0043】
チョッピング周期CP22の長さに対する第一期間T221の長さの割合(T221/CP22)は、チョッピング周期CP21の長さに対する第一期間T211の長さの割合(T211/CP21)よりも小さい。したがって、本実施形態では、チョッピングユニットCU21、CU22は、それぞれを構成する複数のチョッピング周期の長さに対する第一期間が経時的に降順になるように並ぶ。チョッピングユニットCU22の長さ(T4からT5までの長さ)は、チョッピングユニットCU21の長さ(T3からT4までの長さ)よりも長い。したがって、本実施形態では、チョッピングユニットCU21、CU22は、それぞれの長さが経時的に昇順になるように並ぶ。したがって、本実施形態では、チョッピングユニットCU21、CU22はチョッピングクラスタCC2を構成する。
【0044】
以上のように、ストローブ信号STBは、複数のチョッピングクラスタCC1、CC2がこの順に経時的に並んで構成される。なお、チョッピング周期CP21の長さに対する第一期間T211の長さの割合(T211/CP21)は、チョッピング周期CP12の長さに対する第一期間T121の長さの割合(T121/CP12)よりも大きい。したがって、本実施形態では、チョッピングユニットCU12、CU21は、それぞれを構成する複数のチョッピング周期の長さに対する第一期間が経時的に昇順になるように並ぶ。チョッピングユニットCU21の長さ(T3からT4までの長さ)は、チョッピングユニットCU12の長さ(T2からT4までの長さ)よりも短い。したがって、本実施形態では、チョッピングユニットCU12、CU21は、それぞれの長さが経時的に降順になるように並ぶ。これらのため、チョッピングユニットCU12、CU21は、チョッピングクラスタを構成しない。
【0045】
さらに、本実施形態では、第一期間T211の長さは、第一期間T111の長さよりも短い。第一期間T221の長さは、第一期間T121の長さよりも短い。チョッピングユニットCU21の長さは、チョッピングユニットCU11の長さよりも長い。チョッピングユニットCU22の長さは、チョッピングユニットCU12の長さよりも長い。チョッピングクラスタCC2の長さは、チョッピングクラスタCC1の長さよりも長い。チョッピングクラスタCC2の長さに対する第一期間T211、T221の合計長さの割合((T211×3+T221×5)/CC2)は、チョッピングクラスタCC1の長さに対する第一期間T111、T121の合計長さの割合((T111×2+T121×4)/CC1)よりも小さい。
【0046】
図4を参照し、加熱パターンテーブルを説明する。加熱パターンテーブルは、3つ以上の加熱パターンを定める。本実施形態では、加熱パターンテーブルは、第一色の加熱パターン、第二色の加熱パターン、混色の加熱パターン、および基材色の加熱パターンの4つの加熱パターンを定める。切替データは、第一期間を「ON」および「OFF」いずれにするかを指定する。本実施形態では、切替データは、「1」を示す場合、第一期間を「ON」にすることを指定し、「0」を示す場合、第一期間を「OFF」にすることを指定する。なお、第一期間の「ON」は、第一期間の間、発熱素子Rへの通電が維持される状態(印加状態)をいい、第一期間の「OFF」は、第一期間の間、発熱素子Rへの通電の停止が維持される状態(非印加状態)をいう。つまり、第一期間は、切替データによって「ON」および「OFF」が切り替わる期間である。
【0047】
加熱パターンは、ストローブ信号STBにおいて、チョッピングユニットごとに、切替データが第一期間を「ON」および「OFF」のいずれにするかの組み合わせを示す。つまり、加熱パターンは、チョッピングユニットCU11に応じた切替データが「1」または「0」のいずれを示すか、チョッピングユニットCU12に応じた切替データが「1」または「0」のいずれを示すか、チョッピングユニットCU21に応じた切替データが「1」または「0」のいずれを示すか、およびチョッピングユニットCU22に応じた切替データが「1」または「0」のいずれを示すか、の組み合わせを示す。
【0048】
なお、チョッピングユニットCU11に応じた切替データは、T1のタイミングで出力される。同様に、チョッピングユニットCU12、CU21、CU22のそれぞれに応じた切替データは、それぞれ、T2、T3、T4のタイミングで出力される。
【0049】
本実施形態では、第一色の加熱パターンでは、チョッピングユニットCU11に応じた切替データは「1」を示し、チョッピングユニットCU12に応じた切替データは「1」を示し、チョッピングユニットCU21に応じた切替データは「0」を示し、チョッピングユニットCU22に応じた切替データは「0」を示す。
【0050】
第二色の加熱パターンでは、チョッピングユニットCU11、CU12、CU21、CU22のそれぞれに応じた切替データは、それぞれ、「0」、「0」、「1」、「1」を示す。混色の加熱パターンでは、チョッピングユニットCU11、CU12、CU21、CU22のそれぞれに応じた切替データは、それぞれ、「1」、「1」、「1」、「1」を示す。基材色の加熱パターンでは、チョッピングユニットCU11、CU12、CU21、CU22のそれぞれに応じた切替データは、それぞれ、「0」、「0」、「0」、「0」を示す。
【0051】
図5~
図7を参照し、加熱パターンによる発熱素子Rの通電態様を説明する。本実施形態では、ANDゲートG(1)~G(n)は、それぞれ、切替データが「1」を示す場合、ストローブ信号STBの第一期間において、対応する発熱素子Rを通電させる。ANDゲートG(1)~G(n)は、それぞれ、切替データが「0」を示す場合、ストローブ信号STBの第一期間において、対応する発熱素子Rへの通電を停止させる。なお、ANDゲートG(1)~G(n)は、それぞれ、切替データによらず、ストローブ信号STBの第二期間において、対応する発熱素子Rへの通電を停止させる。
図5~
図7は、発熱素子Rに通電された状態を「ON」によって示し、発熱素子Rへの通電が停止された状態を「OFF」によって示す。
【0052】
図5に示すように、第一色の加熱パターンでは、T1の切替データが「1」を示すので、チョッピングユニットCU11において、第一期間T111が「ON」となるチョッピング周期CP11が2回繰り返される。このため、チョッピングユニットCU11では、発熱素子Rへの通電が断続的に2回行われる。同様に、T2の切替データが「1」を示すので、チョッピングユニットCU12において、第一期間T121が「ON」となるチョッピング周期CP12が4回繰り返される。このため、チョッピングユニットCU12では、発熱素子Rへの通電が断続的に4回行われる。
【0053】
T3の切替データが「0」を示すので、チョッピングユニットCU21において、第一期間T211が「OFF」となるチョッピング周期CP21が3回繰り返される。このため、チョッピングユニットCU21では、発熱素子Rへの通電が行われない。同様に、T4の切替データが「0」を示すので、チョッピングユニットCU22において、第一期間T221が「OFF」となるチョッピング周期CP22が5回繰り返される。このため、チョッピングユニットCU22では、発熱素子Rへの通電が行われない。
【0054】
これによれば、第一期間T121よりも第一期間T111の方が長いので、T1からT2にかけて発熱素子Rの温度が第一温度よりも高い温度P1まで立ち上がり、その後、T2からT3にかけて発熱素子Rの温度が所定の範囲で維持される。T3以降、発熱素子Rは加熱されないので、発熱素子Rの温度はプリンタ1内の雰囲気の温度に近づくように低下する。このため、発熱素子Rは、第一加熱時間(T1~T3)の間、第一温度よりも高い温度で感熱テープ9を加熱する。これにより、発熱素子Rから第一発色層921に第一エネルギーが付与される。
【0055】
第一エネルギーが第一発色層921に付与されると、第一発色層921の温度が第一温度を超える。これにより、第一発色層921が第一色に発色する。なお、感熱テープ9は、第一加熱時間(T1~T3)の間、第一温度よりも高い温度で加熱されても、温度勾配等によって、第二発色層922が第二温度に達しないように構成される。したがって、第一色の加熱パターンでは、複数の発色層92のうち第一発色層921のみ発色する。
【0056】
図6に示すように、第二色の加熱パターンでは、T1の切替データが「0」を示すので、チョッピングユニットCU11において、第一期間T111が「OFF」となるチョッピング周期CP11が2回繰り返される。このため、チョッピングユニットCU11では、発熱素子Rへの通電が行われない。同様に、T2の切替データが「0」を示すので、チョッピングユニットCU12において、第一期間T121が「OFF」となるチョッピング周期CP12が4回繰り返される。このため、チョッピングユニットCU12では、発熱素子Rへの通電が行われない。
【0057】
T3の切替データが「1」を示すので、チョッピングユニットCU21において、第一期間T211が「ON」となるチョッピング周期CP21が3回繰り返される。このため、チョッピングユニットCU21では、発熱素子Rへの通電が断続的に3回行われる。同様に、T4の切替データが「1」を示すので、チョッピングユニットCU22において、第一期間T221が「ON」となるチョッピング周期CP22が5回繰り返される。このため、チョッピングユニットCU22では、発熱素子Rへの通電が断続的に5回行われる。
【0058】
これによれば、T1からT3まで、発熱素子Rは加熱されないので、発熱素子Rの温度は加熱されていない温度に維持される。第一期間T221よりも第一期間T211の方が長いので、T3からT4にかけて発熱素子Rの温度が、第二温度よりも高い温度P2まで立ち上がり、その後、T4からT5にかけて発熱素子Rの温度が所定の範囲で維持される。このため、発熱素子Rは、第二加熱時間(T3~T5)の間、第二温度よりも高い温度で感熱テープ9を加熱する。なお、第一期間T211の長さが第一期間T111の長さよりも短いので、温度P2は、温度P1よりも低い。
【0059】
発熱素子Rによる感熱テープ9の加熱により、発熱素子Rから第二発色層922に第二エネルギーが付与される。第二エネルギーは、第一エネルギーとは異なり、本実施形態では第一エネルギーよりも大きい。第二エネルギーが第二発色層922に付与されると、第二発色層922の温度が第二温度を超える。これにより、第二発色層922が第二色に発色する。なお、第二色の加熱パターンでは、複数の発色層92のうち第二発色層922のみ発色する。
【0060】
図7に示すように、混色の加熱パターンでは、T1の切替データが「1」を示すので、チョッピングユニットCU11において、第一期間T111が「ON」となるチョッピング周期CP11が2回繰り返される。このため、チョッピングユニットCU11では、発熱素子Rへの通電が断続的に2回行われる。同様に、T2の切替データが「1」を示すので、チョッピングユニットCU12において、第一期間T121が「ON」となるチョッピング周期CP12が4回繰り返される。このため、チョッピングユニットCU12では、発熱素子Rへの通電が断続的に4回行われる。
【0061】
T3の切替データが「1」を示すので、チョッピングユニットCU21において、第一期間T211が「ON」となるチョッピング周期CP21が3回繰り返される。このため、チョッピングユニットCU21では、発熱素子Rへの通電が断続的に3回行われる。同様に、T4の切替データが「1」を示すので、チョッピングユニットCU22において、第一期間T221が「ON」となるチョッピング周期CP22が5回繰り返される。このため、チョッピングユニットCU22では、発熱素子Rへの通電が断続的に5回行われる。
【0062】
これによれば、T1からT2にかけて発熱素子Rの温度が立ち上あがり、その後、T2からT3にかけて発熱素子Rの温度が所定の範囲で維持される。このため、発熱素子Rは、第一加熱時間(T1~T3)の間、第一温度よりも高い温度で感熱テープ9を加熱する。これにより、発熱素子Rから第一発色層921に第一エネルギーが付与される。第一エネルギーが第一発色層921に付与されると、第一発色層921の温度が第一温度を超える。これにより、第一発色層921が第一色に発色する。
【0063】
さらに、T3からT4にかけて発熱素子Rの温度が再度立ち上がり、その後、T4からT5にかけて発熱素子Rの温度が所定の範囲で維持される。このため、発熱素子Rは、第二加熱時間(T3~T5)の間、第二温度よりも高い温度で感熱テープ9を加熱する。これにより、発熱素子Rから第二発色層922に第二エネルギーが付与される。第二エネルギーが第二発色層922に付与されると、第二発色層922の温度が第二温度を超える。これにより、第二発色層922が第二色に発色する。
【0064】
図示しないが、基材色の加熱パターンでは、T1、T2、T3、T4の切替データがいずれも「0」を示すので、チョッピングユニットCU11、CU12、CU21、CU22のいずれにおいても、発熱素子Rへの通電が行われない。よって、複数の発色層92のいずれも発色しない。つまり、基材色の加熱パターンは、感熱テープ9へのドットの印刷が行われない加熱パターン(発熱素子Rが発熱しないパターン)を意味する。
【0065】
さらに、第一発色層921を発色させるためのエネルギーの印加には、チョッピングクラスタCC1、CC2のうちチョッピングクラスタCC1の第一期間T111、T121が使用され、チョッピングクラスタCC2の第一期間T211、T221は使用されない(
図5、
図7参照)。第二発色層922を発色させるためのエネルギーの印加には、チョッピングクラスタCC1、CC2のうちチョッピングクラスタCC2の第一期間T211、T221が使用され、チョッピングクラスタCC1の第一期間T111、T121は使用されない(
図6、
図7参照)。
【0066】
なお、
図5~
図7は、理解を容易にするために、簡易的に、時間に対する発熱素子Rの温度変化を線形で示したが、時間に対する実際の発熱素子Rの温度変化は非線形となる。実際には、発熱素子Rへの加熱が開始されると、加熱開始から時間が経つにつれて温度変化率が徐々に小さくなるように発熱素子Rの温度が上昇する。発熱素子Rへの加熱が停止されると、加熱停止から時間が経つにつれて温度変化率が徐々に小さくなるように、発熱素子Rの温度が低下する。加熱停止から発熱素子Rの温度が下がりきるまでの時間は、例えばサーマルヘッド5に設けられたヒートシンク(図示略)の性能等によって定まる。
【0067】
図8を参照し、メイン処理を説明する。ユーザは装着部(図示略)に感熱テープ9(本実施形態ではテープカセット)を装着し、プリンタ1の電源を入れる。ユーザは、外部端末または操作スイッチ4を操作し、プリンタ1に印刷開始指示を入力する。CPU21は印刷開始指示を取得すると、フラッシュメモリ24からプログラムを読み出してメイン処理を実行する。印刷開始指示は、印刷対象の画像データを指定する。メイン処理では、画像データに基づく感熱テープ9への印刷等が制御される。
【0068】
メイン処理が開始されると、CPU21は印刷開始指示によって指定された印刷対象の画像データを、外部端末から通信部25を介して取得し、またはフラッシュメモリ24から取得する(S11)。
【0069】
CPU21は、搬送モータ61(
図2参照)の駆動を開始する(S12)。これにより、プラテンローラ6による感熱テープ9の搬送が開始される。CPU21はS11の処理で取得された画像データにおいて、複数の印刷ラインのうち対象印刷ラインを設定する(S13)。対象印刷ラインは、以降の処理で制御対象となる印刷ラインである。S13の処理では、CPU21は、印刷する順に印刷ラインを対象印刷ラインに設定する。
【0070】
CPU21は対象印刷ラインに含まれる複数のドットのそれぞれに対応する色を、複数のドットのそれぞれに対応付けて取得する(S14)。なお、複数のドットは、それぞれ、複数の発熱素子R(1)~R(n)に対応する。このため、S14の処理によって、複数の発熱素子R(1)~R(n)のそれぞれに、印刷する色が対応付けられる。
【0071】
CPU21は、複数の発熱素子R(1)~R(n)のそれぞれに、それぞれに応じた加熱パターンを設定する(S15)。詳細には、CPU21は加熱パターンテーブルを参照し、対象の発熱素子Rについて、S14の処理で取得した色であって、対象の発熱素子Rに対応する色の加熱パターンを特定する。CPU21は特定した加熱パターンを、対象の発熱素子Rに設定する。例えば、発熱素子R(1)に第一色が対応する場合、CPU21は、発熱素子R(1)に第一色の加熱パターンを設定する。
【0072】
CPU21は、複数の発熱素子R(1)~R(n)のそれぞれについて、S15の処理によって設定された加熱パターンに対応する複数の切替データをシリアルデータとして信号線21Aを介してシフトレジスタ511に出力する(S16)。例えば、発熱素子R(1)に第一色が対応し、発熱素子R(2)が第二色に対応する場合、CPU21は、発熱素子R(1)について、第一色の加熱パターンに対応するT1の切替データとして、「1」を示す切替データをシフトレジスタ511に出力し、第二色の加熱パターンに対応するT1の切替データとして、「0」を示す切替データをシフトレジスタ511に出力する。
【0073】
シフトレジスタ511は、受信したシリアルデータをパラレルデータに変換し、複数の発熱素子R(1)~R(n)に対応付ける。CPU21は、S16の処理において、複数の発熱素子R(1)~R(n)のそれぞれについて、T1の切替データの出力した後、同様に、T2、T3、T4の切替データを順次出力する。
【0074】
CPU21は、ストローブ信号STBの出力を開始する(S17)。ストローブ信号STBは、信号線21Cを介してANDゲートG(1)~G(n)のそれぞれに入力される。CPU21は、シフトレジスタ511においてパラレルデータに変換され、且つ複数の発熱素子R(1)~R(n)に対応付けられた複数の切替データを、シフトレジスタ511から、ラッチ回路512を介して、対応する複数のANDゲートG(1)~G(n)のそれぞれに出力させる(S18)。S18の処理では、CPU21は、S17の処理によって出力されるストローブ信号STBにおいて、チョッピングユニットの出力ごとに(つまり、T1、T2、T3、T4のそれぞれのタイミングで)、切替データを出力させる。
【0075】
例えば、発熱素子R(1)に第一色が対応する場合、CPU21は、S17の処理においてストローブ信号STBを出力する。CPU21は、S18の処理においてT1のタイミングで「1」を示す切替データをANDゲートG(1)に出力する。CPU21は、S18の処理においてT2のタイミングで「1」を示す切替データをANDゲートG(1)に出力する。CPU21は、S18の処理においてT3のタイミングで「0」を示す切替データをANDゲートG(1)に出力する。CPU21は、S18の処理においてT4のタイミングで「0」を示す切替データをANDゲートG(1)に出力する。これにより、発熱素子R(1)は、T1からT2の間、発熱し、第一発色層921を第一色に発色させることで、第一色のドットを感熱テープ9に印刷する。同様に、発熱素子R(2)~R(n)も、それぞれ、対応する色のドットの感熱テープ9に印刷する。これにより、1つの印刷ラインが感熱テープ9に印刷される。
【0076】
CPU21は、S11の処理で取得された画像データにおいて、複数の印刷ラインのなかに対象印刷ラインに設定されていない印刷ラインがあるかを判断する(S19)。対象印刷ラインに設定されていない印刷ラインがある場合(S19:YES)、CPU21は、処理をS13の処理に戻す。対象印刷ラインに設定されていない印刷ラインがない場合(S19:NO)、画像データにおいて、複数の印刷ラインの全部が感熱テープ9に印刷されたことになるので、CPU21は、搬送モータ61の駆動を停止する(S20)。これにより、プラテンローラ6による感熱テープ9の搬送が停止する。CPU21はメイン処理を終了する。
【0077】
以上説明したように、ストローブ信号STBおよび切替データの組み合わせによって印加制御が行われる。ストローブ信号STBではチョッピングユニットが経時的に並ぶので、一の切替データの出力とその次の切替データの出力との間でも、印加状態と非印加状態とが切り替わる。例えば、第一色の加熱パターンでは、T1の切替データとT2の切替データとの間において、印加状態となる第一期間T111および非印加状態となる第二期間T112のチョッピング周期CP11が2回繰り返される。このため、切替データの出力ごとに印加状態と非印加状態とが切り替わる場合に比べて、発熱素子Rによる発熱の応答性が向上する。つまり、プリンタ1は、第一期間の終了時と第二期間の終了時のそれぞれで切替データを出力する等、切替データの出力間隔を短縮することなく、発熱素子Rの応答性を向上させるという利点に貢献する。よって、プリンタ1はCPU21の制御負荷を抑制しつつ、感熱テープ9に実際に印刷されるドットの大きさが目標の大きさに対してばらつくことを抑制するという利点に貢献する。
【0078】
加熱パターンテーブルは、第一発色層921に第一エネルギーを印加するための第一色の加熱パターンと、第二発色層922に第二エネルギーを印加するための第二色の加熱パターンとを定める。これによれば、第一色の加熱パターンに基づいて印加制御が行われると、感熱テープ9には第一色のドットが印刷される。第二色の加熱パターンに基づいて印加制御が行われると、感熱テープ9には第二色のドットが印刷される。よって、プリンタ1は、CPU21の制御負荷を抑制しつつ、感熱テープ9に印刷されるドットの色を打ち分けるという利点に貢献する。
【0079】
ストローブ信号STBは、チョッピングクラスタCC1を含む。チョッピングクラスタCC1は、印加制御(一の印刷周期)において、チョッピング周期の長さに対する第一期間の長さの割合が経時的に降順に並ぶ複数のチョッピングユニットCU11、CU12である。これによれば、チョッピングクラスタCC1において、チョッピングユニットCU11、CU12の並ぶ順序が経時的に後になるほど、つまり、チョッピングユニットCU11よりもチョッピングユニットCU12の方が、チョッピングユニットによるエネルギーが発熱素子Rに印加された場合の発熱素子Rの温度のピークが低くなる。このため、プリンタ1は、チョッピングクラスタCC1による発熱素子Rの蓄熱が、チョッピングクラスタCC1の次のチョッピングユニットCU21による制御に影響することを抑制するという利点に貢献する。よって、プリンタ1は、感熱テープ9に実際に印刷されるドットの大きさが目標の大きさに対してばらつくことをさらに抑制するという利点に貢献する。なお、チョッピングクラスタCC2もチョッピングクラスタCC1と同様の利点に貢献する。
【0080】
ストローブ信号STBは、チョッピングクラスタCC1を含む。チョッピングクラスタCC1は、印加制御(一印刷周期)において、チョッピングユニットの長さが経時的に昇順に並ぶ複数のチョッピングユニットCU11、CU12である。これによれば、チョッピングクラスタCC1において、チョッピングユニットの並ぶ順序が経時的に後になるほど、つまり、チョッピングユニットCU11よりもチョッピングユニットCU12の方が、チョッピングユニットによるエネルギーが発熱素子Rに印加された場合の発熱素子Rの温度のピークが低くなる。このため、プリンタ1は、チョッピングクラスタCC1による発熱素子Rの蓄熱が、チョッピングクラスタCC1の次のチョッピングユニットCU21による制御に影響することを抑制するという利点に貢献する。よって、プリンタ1は、感熱テープ9に実際に印刷されるドットの大きさが目標の大きさに対してばらつくことをさらに抑制するという利点に貢献する。なお、チョッピングクラスタCC2もチョッピングクラスタCC1と同様の利点に貢献する。
【0081】
上記実施形態において、感熱テープ9が「感熱媒体」に相当する。プラテンローラ6が「搬送部」に相当する。S11~S19を実行するCPU21が「印加制御部」に相当する。ROM22が「記憶部」に相当する。S17を実行するCPU21が「第一出力部」に相当する。S18を実行するCPU21が「第二出力部」に相当する。第一発色層921が「第一層」に相当する。第二発色層922が「第二層」に相当する。第一色の加熱パターンが「第一加熱パターン」に相当する。第二色の加熱パターンが「第二加熱パターン」に相当する。
【0082】
本発明は、上記実施形態から種々変更されてもよい。例えば、プリンタ1は感熱媒体として感熱テープ9に代えて例えば感熱用紙に印刷してもよい。つまり、感熱媒体は長尺状でなくてもよい。感熱テープ9は、剥離紙90およびオーバーコート層93の一方または両方を備えなくてもよい。
【0083】
上記実施形態では、複数の発色層92は、第一発色層921および第二発色層922の2つの発色層92によって構成される。これに対し、感熱テープ9は1つの発色層92を備えてもよいし、3つ以上の発色層92を備えてもよい。
【0084】
上記実施形態において、加熱パターンテーブルは、フラッシュメモリ24に記憶されてもよい。加熱パターンテーブルは、3つ以上の加熱パターンを定めればよい。このため、加熱パターンテーブルは、例えば混色の加熱パターンを定めていなくてもよい。この場合、CPU21は、混色のドットを印刷する場合に、第一色の加熱パターンと第二色の加熱パターンとに基づいて、混色の加熱パターンを生成してもよい。複数の発色層92が3つ以上の発色層92を備える場合、加熱パターンテーブルは、発色層92の数量に応じた数量の加熱パターンを定めてもよいし、発色層92の数量に、表現可能な混色の数量を含めた数量の加熱パターンを定めてもよい。
【0085】
例えば感熱テープ9が1つの発色層92を備える場合、3つ以上の加熱パターンのうち少なくとも2つは、異なる大きさを有するドットを感熱テープ9に印刷するための加熱パターンであってもよい。例えば、
図9に示すように、加熱パターンテーブルは、基材色の加熱パターンに加えて、第一大きさを有するドットを感熱テープ9に印刷するための第一大きさの加熱パターンと、第一大きさとは異なる第二大きさを有するドットを感熱テープ9に印刷するための第二大きさの加熱パターンとを定めてもよい。
【0086】
この場合、プリンタ1は、CPU21の制御負荷を抑制しつつ、感熱テープ9に印刷されるドットの大きさを打ち分けるという利点に貢献する。なお、加熱パターンテーブルは、3つ以上の異なる大きさのドットを感熱テープ9に印刷するための加熱パターンをさらに定めてもよい。感熱テープ9が複数の発色層92を備える場合にも、加熱パターンテーブルは、同一の色についてまたは異なる色について、異なる大きさを有するドットを感熱テープ9に印刷するための加熱パターンを定めてもよい。
【0087】
上記実施形態では、チョッピングクラスタの数量(2つ)は、発色層92の数量(2つ)と同じである。これに対し、チョッピングクラスタの数量は、複数の発色層92の数量よりも少なくてもよいし、多くてもよい。
【0088】
上記実施形態において、第二発色層922を発色させるためのエネルギーの印加には、チョッピングクラスタCC2が使用され、チョッピングクラスタCC1は使用されない。これに対し、第二発色層922を発色させるためのエネルギーの印加に、チョッピングクラスタCC1が使用されてもよい。第二発色層922を発色させるためのエネルギーの印加に、チョッピングクラスタCC2が使用されなくてもよい。第二発色層922を発色させるためのエネルギーの印加に、チョッピングクラスタCC1、CC2の両方が使用されてもよい。第二発色層922を発色させるためのエネルギーの印加に、チョッピングクラスタCC1、CC2の両方が使用される例として、例えば、第二色の加熱パターンにおいて、T1、T2、T3、T4の切替データは、それぞれ、「0」、「1」、「0」、「1」を示してもよい。第一色の加熱パターンも同様に変更されてもよい。
【0089】
ストローブ信号STBにおいてチョッピングユニットが繰り返される回数は、4回に限定されず、複数回であれば、2回でもよいし、5回以上であってもよい。この場合、加熱パターンテーブルは、それぞれの加熱パターンに対して、チョッピングユニットの繰り返し回数に応じた数の切替データの組み合わせを定めるとよい。例えば、チョッピングユニットの繰り返し回数が3回であれば、加熱パターンテーブルは、それぞれの加熱パターンに対して、3つの切替データの組み合わせを定めるとよい。なお、繰り返されるチョッピングユニットの構成は、互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0090】
上記実施形態において、ストローブ信号STBでは、チョッピングユニットは、チョッピング周期が1回繰り返されることで、つまり1つのチョッピング周期によって構成されてもよい。例えば、チョッピングユニットCU11は、チョッピング周期CP11を1回繰り返して構成されてもよい。
【0091】
上記実施形態において、ストローブ信号STBは、チョッピング周期の長さに対する第一期間の長さの割合が経時的に降順に並び、且つチョッピングユニットの長さが経時的に降順に並ぶ複数のチョッピングユニットを含んでよい。例えば、チョッピング周期CP12の長さに対する第一期間T121の長さの割合(T121/CP12)が、チョッピング周期CP11の長さに対する第一期間T111の長さの割合(T111/CP11)よりも小さく、チョッピングユニットCU12の長さ(T2からT3までの長さ)が、チョッピングユニットCU11の長さ(T1からT2までの長さ)よりも短くてもよい。
【0092】
ストローブ信号STBは、チョッピング周期の長さに対する第一期間の長さの割合が経時的に昇順に並び、且つチョッピングユニットの長さが経時的に昇順に並ぶ複数のチョッピングユニットを含んでよい。例えば、チョッピング周期CP12の長さに対する第一期間T121の長さの割合(T121/CP12)が、チョッピング周期CP11の長さに対する第一期間T111の長さの割合(T111/CP11)よりも大きく、チョッピングユニットCU12の長さ(T2からT3までの長さ)が、チョッピングユニットCU11の長さ(T1からT2までの長さ)よりも長くてもよい。
【0093】
なお、チョッピング周期CP12の長さに対する第一期間T121の長さの割合(T121/CP12)は、チョッピング周期CP11の長さに対する第一期間T111の長さの割合(T111/CP11)と同じでもよい。チョッピングユニットCU12の長さ(T2からT3までの長さ)は、チョッピングユニットCU11の長さ(T1からT2までの長さ)と同じでもよい。
【0094】
上記実施形態において、第一期間T211の長さは、第一期間T111の長さよりも長くてもよいし、同じでもよい。第一期間T221の長さは、第一期間T121の長さよりも短くてもよいし、同じでもよい。チョッピングユニットCU21の長さは、チョッピングユニットCU11の長さよりも短くてもよいし、同じでもよい。チョッピングユニットCU22の長さは、チョッピングユニットCU12の長さよりも短くてもよいし、同じでもよい。チョッピングクラスタCC2の長さは、チョッピングクラスタCC1の長さよりも短くてもよいし、同じでもよい。チョッピングクラスタCC2の長さに対する第一期間T211、T221の合計長さの割合((T211×3+T221×5)/CC2)は、チョッピングクラスタCC1の長さに対する第一期間T111、T121の合計長さの割合((T111×2+T121×4)/CC1)よりも大きくてもよいし、同じでもよい。
【0095】
上記実施形態において、プリンタ1は、プラテンローラ6に代えて、またはプラテンローラ6に加えて、プラテンローラ6とは別のローラ等によって感熱テープ9を搬送してもよい。
【0096】
CPU21の代わりに、マイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が、プロセッサとして用いられてもよい。メイン処理は、複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。ROM22、フラッシュメモリ24等の非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。プログラムは、例えば、図示外のネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、ROM22またはフラッシュメモリ24に記憶されてもよい。この場合、プログラムは、サーバに備えられたHDD等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。
【符号の説明】
【0097】
1 プリンタ
5 サーマルヘッド
6 プラテンローラ
9 感熱テープ
21 CPU
22 ROM
92 発色層
921 第一発色層
922 第二発色層
R(1)~R(n) 発熱素子