(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180812
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】半導体装置、半導体装置の製造方法、半導体モジュールおよび半導体モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/50 20060101AFI20231214BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20231214BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H01L23/50 U
H01L23/36 D
H01L23/30 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094416
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】390022471
【氏名又は名称】アオイ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敬史
【テーマコード(参考)】
4M109
5F067
5F136
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA01
4M109CA21
4M109DB03
4M109EA02
5F067BE02
5F067EA04
5F136BB11
5F136BC03
5F136DA04
5F136FA03
5F136GA21
(57)【要約】
【課題】半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】半導体装置1は、導電性材料からなるダイパッド2と、ダイパッド2の上面上に設けられた半導体チップとを備える。ダイパッド2の下面には、溝21が形成されている。溝21は、平面視におけるY方向に沿って延在し、他の溝と交差していない。溝21の一方の端部は、ダイパッド2の側面SS1から開放されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料からなるダイパッドと、
前記ダイパッドの上面上に設けられた半導体チップと、
を備え、
前記ダイパッドの下面には、複数の溝が形成され、
前記複数の溝は、平面視における第1方向に沿って延在する第1溝を含み、
前記第1溝は、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、
前記第1溝の一方の端部は、前記ダイパッドの第1側面から開放されている、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ダイパッドは、前記第1側面と反対側に位置する第2側面を有し、
前記第1溝の他方の端部は、前記第2側面より前記ダイパッドの内側にあり、
前記複数の溝は、前記第1溝と連通しない第2溝を含み、
前記第2溝は、前記第1方向に沿って延在し、且つ、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、
前記第2溝の一方の端部は、前記第2側面から開放され、
前記第2溝の他方の端部は、前記第1側面よりも前記ダイパッドの内側にある、半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1溝の他方の端部および前記第2溝の他方の端部は、平面視において曲面状に加工されている、半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記複数の溝は、前記第1溝および前記第2溝と連通しない第3溝を含み、
前記ダイパッドは、前記第1側面と前記第2側面とを繋ぐ第3側面、および、前記第1側面と前記第2側面とを繋ぎ、且つ、前記第3側面と反対側に位置する第4側面を有し、
前記第3溝は、平面視で前記第1方向と交差する第2方向に沿って延在し、且つ、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、
前記第3溝の一方の端部は、前記第3側面から開放され、
前記第3溝の他方の端部は、前記第4側面よりも前記ダイパッドの内側にある、半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ダイパッドは、前記第1側面と反対側に位置する第2側面を有し、
前記第1溝の他方の端部は、前記第2側面から開放されている、半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記複数の溝は、前記第1溝と連通しない第3溝を含み、
前記ダイパッドは、前記第1側面と前記第2側面とを繋ぐ第3側面、および、前記第1側面と前記第2側面とを繋ぎ、且つ、前記第3側面と反対側に位置する第4側面を有し、
前記第3溝は、平面視で前記第1方向と交差する第2方向に沿って延在し、且つ、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、
前記第3溝の一方の端部は、前記第3側面から開放され、
前記第3溝の他方の端部は、前記第4側面よりも前記ダイパッドの内側にある、半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
平面視において前記ダイパッドの周囲に設けられ、且つ、導電性材料からなるリード端子と、
前記リード端子、および、前記半導体チップの上面に形成された電極を電気的に接続する外部接続用部材と、
を備え、
前記リード端子の下面には、第4溝が形成され、
前記第4溝は、前記第1方向に沿って延在し、
前記第4溝の一方の端部は、前記第1側面に対向していない前記リード端子の側面から開放され、
前記第4溝の他方の端部は、前記リード端子の内部に位置している、半導体装置。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体装置を有する半導体モジュールであって、
その上面に形成された導体パターンを含む配線基板を有し、
前記ダイパッドの下面は、半田を介して前記導体パターンに接続されている、半導体モジュール。
【請求項9】
(a)半導体チップを用意する工程、
(b)前記(a)工程後、前記半導体チップの下面が樹脂層から露出するように、前記半導体チップを前記樹脂層によって封止する工程、
(c)前記(b)工程後、前記半導体チップの下面に、メッキ法によって第1ダイパッド層を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記第1ダイパッド層の下面の一部が露出するように、前記第1ダイパッド層の下面に、メッキ法によって複数の第2ダイパッド層を選択的に形成する工程、
を備え、
前記第1ダイパッド層および前記複数の第2ダイパッド層によって、ダイパッドが構成され、
前記複数の第2ダイパッド層の各々の側面と、前記第1ダイパッド層の下面とによって、前記ダイパッドの下面に複数の溝が構成され、
前記複数の溝は、平面視における第1方向に沿って延在する第1溝を含み、
前記第1溝は、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、
前記第1溝の一方の端部は、前記ダイパッドの第1側面から開放されている、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ダイパッドは、前記第1側面と反対側に位置する第2側面を有し、
前記第1溝の他方の端部は、前記第2側面より前記ダイパッドの内側にあり、
前記複数の溝は、前記第1溝と連通しない第2溝を含み、
前記第2溝は、前記第1方向に沿って延在し、且つ、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、
前記第2溝の一方の端部は、前記第2側面から開放され、
前記第2溝の他方の端部は、前記第1側面よりも前記ダイパッドの内側にある、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の溝は、前記第1溝および前記第2溝と連通しない第3溝を含み、
前記ダイパッドは、前記第1側面と前記第2側面とを繋ぐ第3側面、および、前記第1側面と前記第2側面とを繋ぎ、且つ、前記第3側面と反対側に位置する第4側面を有し、
前記第3溝は、平面視で前記第1方向と交差する第2方向に沿って延在し、且つ、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、
前記第3溝の一方の端部は、前記第3側面から開放され、
前記第3溝の他方の端部は、前記第4側面よりも前記ダイパッドの内側にある、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ダイパッドは、前記第1側面と反対側に位置する第2側面を有し、
前記第1溝の他方の端部は、前記第2側面から開放されている、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の溝は、前記第1溝と連通しない第3溝を含み、
前記ダイパッドは、前記第1側面と前記第2側面とを繋ぐ第3側面、および、前記第1側面と前記第2側面とを繋ぎ、且つ、前記第3側面と反対側に位置する第4側面を有し、
前記第3溝は、平面視で前記第1方向と交差する第2方向に沿って延在し、且つ、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、
前記第3溝の一方の端部は、前記第3側面から開放され、
前記第3溝の他方の端部は、前記第4側面よりも前記ダイパッドの内側にある、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項9に記載の半導体装置を有する半導体モジュールの製造方法であって、
(e)その上面に形成された導体パターンを含む配線基板を用意する工程、
(f)前記(d)工程および前記(e)工程後、前記複数の溝の内部が半田によって充填されるように、前記ダイパッドの下面を、前記半田を介して前記導体パターンに接続する工程、
を更に備える、半導体モジュールの製造方法。
【請求項15】
(a)半導体チップおよび第1ダイパッド層を用意する工程、
(b)前記(a)工程後、前記第1ダイパッド層の上面に、前記半導体チップを設置する工程、
(c)前記(b)工程後、前記第1ダイパッド層の下面が樹脂層から露出するように、前記半導体チップおよび前記第1ダイパッド層を前記樹脂層によって封止する工程、
(d)前記(c)工程後、前記第1ダイパッド層の下面の一部が露出するように、前記第1ダイパッド層の下面に、メッキ法によって複数の第2ダイパッド層を選択的に形成する工程、
を備え、
前記第1ダイパッド層および前記複数の第2ダイパッド層によって、ダイパッドが構成され、
前記複数の第2ダイパッド層の各々の側面と、前記第1ダイパッド層の下面とによって、前記ダイパッドの下面に複数の溝が構成され、
前記複数の溝は、平面視における第1方向に沿って延在する第1溝を含み、
前記第1溝は、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、
前記第1溝の一方の端部は、前記ダイパッドの第1側面から開放されている、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ダイパッドは、前記第1側面と反対側に位置する第2側面を有し、
前記第1溝の他方の端部は、前記第2側面より前記ダイパッドの内側にあり、
前記複数の溝は、前記第1溝と連通しない第2溝を含み、
前記第2溝は、前記第1方向に沿って延在し、且つ、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、
前記第2溝の一方の端部は、前記第2側面から開放され、
前記第2溝の他方の端部は、前記第1側面よりも前記ダイパッドの内側にある、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の溝は、前記第1溝および前記第2溝と連通しない第3溝を含み、
前記ダイパッドは、前記第1側面と前記第2側面とを繋ぐ第3側面、および、前記第1側面と前記第2側面とを繋ぎ、且つ、前記第3側面と反対側に位置する第4側面を有し、
前記第3溝は、平面視で前記第1方向と交差する第2方向に沿って延在し、且つ、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、
前記第3溝の一方の端部は、前記第3側面から開放され、
前記第3溝の他方の端部は、前記第4側面よりも前記ダイパッドの内側にある、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ダイパッドは、前記第1側面と反対側に位置する第2側面を有し、
前記第1溝の他方の端部は、前記第2側面から開放されている、半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の溝は、前記第1溝と連通しない第3溝を含み、
前記ダイパッドは、前記第1側面と前記第2側面とを繋ぐ第3側面、および、前記第1側面と前記第2側面とを繋ぎ、且つ、前記第3側面と反対側に位置する第4側面を有し、
前記第3溝は、平面視で前記第1方向と交差する第2方向に沿って延在し、且つ、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、
前記第3溝の一方の端部は、前記第3側面から開放され、
前記第3溝の他方の端部は、前記第4側面よりも前記ダイパッドの内側にある、半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項15に記載の半導体装置を有する半導体モジュールの製造方法であって、
(e)その上面に形成された導体パターンを含む配線基板を用意する工程、
(f)前記(d)工程および前記(e)工程後、前記複数の溝の内部が半田によって充填されるように、前記ダイパッドの下面を、前記半田を介して前記導体パターンに接続する工程、
を更に備える、半導体モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、半導体モジュールおよびそれらの製造方法に関し、特に、その下面に溝が形成されたダイパッドを備える半導体装置、その半導体装置を有する半導体モジュール、および、それらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ダイパッド上に半導体チップを備えた半導体装置を、導体パターンが設けられた配線基板上に、半田を介して実装することが行われている。
【0003】
導体パターン上に半田ペーストを設け、半田ペースト上に半導体装置の裏面から露出するダイパッドを載置した状態で、半田ペーストを溶融させるが、半田ペーストはフラックスを含有するので、半田ペーストが固まっていく際に、フラックス由来のガスが発生する。そして、このガスが半田の内部にボイドとして残留する場合がある。半導体装置で生じた熱は、半田を介して配線基板へと放熱されるが、半田にボイドが生じた箇所がある場合、その箇所では、半田の直下の導体パターンへの熱移動が、著しく阻害される。
【0004】
例えば、特許文献1および特許文献2には、ダイパッドの下面に複数の溝を形成し、これらの溝をガスの流路として利用することで、半田の内部におけるボイドの発生を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-228745号公報
【特許文献2】特開2018-6655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2では、平面視における上下方向に延在する溝と、平面視における左右方向に延在する溝とが交差している。本願発明者の検討によれば、溝の交差箇所において半田ペーストの流れが淀み易く、ガスが半田の内部から排出され難いという問題があることが判った。
【0007】
また、交差箇所の位置によっては、半田ペーストが流れる方向は、必ずしもダイパッドの外周(ダイパッドの側面)へ向かわず、ダイパッドの中心へ向かうこともある。そうすると、半田の厚さの均一性に、バラつきが生じる恐れもある。
【0008】
本願の主な目的は、フラックス由来のガスを半田の内部から排出され易くすることで、半田の内部におけるボイドの発生を抑制することにある。また、本願の他の目的は、半田の厚さの均一性を向上させることにある。すなわち、そのような目的を達成できる半導体装置を提供することで、半導体モジュールの性能を向上させる。
【0009】
その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施の形態における半導体装置は、導電性材料からなるダイパッドと、前記ダイパッドの上面上に設けられた半導体チップと、を備える。ここで、前記ダイパッドの下面には複数の溝が形成され、前記複数の溝は、平面視における第1方向に沿って延在する第1溝を含み、前記第1溝は、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、前記第1溝の一方の端部は、前記ダイパッドの第1側面から開放されている。
【0011】
一実施の形態における半導体装置の製造方法は、(a)半導体チップを用意する工程、(b)前記(a)工程後、前記半導体チップの下面が樹脂層から露出するように、前記半導体チップを前記樹脂層によって封止する工程、(c)前記(b)工程後、前記半導体チップの下面に、メッキ法によって第1ダイパッド層を形成する工程、(d)前記(c)工程後、前記第1ダイパッド層の下面の一部が露出するように、前記第1ダイパッド層の下面に、メッキ法によって複数の第2ダイパッド層を選択的に形成する工程、を備える。ここで、前記第1ダイパッド層および前記複数の第2ダイパッド層によって、ダイパッドが構成され、前記複数の第2ダイパッド層の各々の側面と、前記第1ダイパッド層の下面とによって、前記ダイパッドの下面に複数の溝が構成され、前記複数の溝は、平面視における第1方向に沿って延在する第1溝を含み、前記第1溝は、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、前記第1溝の一方の端部は、前記ダイパッドの第1側面から開放されている。
【0012】
一実施の形態における半導体装置の製造方法は、(a)半導体チップおよび第1ダイパッド層を用意する工程、(b)前記(a)工程後、前記第1ダイパッド層の上面に、前記半導体チップを設置する工程、(c)前記(b)工程後、前記第1ダイパッド層の下面が樹脂層から露出するように、前記半導体チップおよび前記第1ダイパッド層を前記樹脂層によって封止する工程、(d)前記(c)工程後、前記第1ダイパッド層の下面の一部が露出するように、前記第1ダイパッド層の下面に、メッキ法によって複数の第2ダイパッド層を選択的に形成する工程、を備える。ここで、前記第1ダイパッド層および前記複数の第2ダイパッド層によって、ダイパッドが構成され、前記複数の第2ダイパッド層の各々の側面と、前記第1ダイパッド層の下面とによって、前記ダイパッドの下面に複数の溝が構成され、前記複数の溝は、平面視における第1方向に沿って延在する第1溝を含み、前記第1溝は、前記複数の溝のうち他の溝と交差せず、前記第1溝の一方の端部は、前記ダイパッドの第1側面から開放されている。
【発明の効果】
【0013】
一実施の形態によれば、半田の内部におけるボイドの発生を抑制でき、半田の厚さの均一性を向上できる半導体装置を提供できる。また、そのような半導体装置を用いることで、半導体モジュールの性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態1における半導体装置を示す底面図である。
【
図2】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
【
図3】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
【
図4】実施の形態1における半導体モジュールを示す断面図である。
【
図5】実施の形態1における半導体モジュールを示す断面図である。
【
図6】実施の形態1における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図7】
図6に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図8】
図7に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図9】
図8に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図10】
図9に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図11】
図10に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図12】
図11に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図13】
図12に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図14】実施の形態2における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図15】
図14に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図16】
図15に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図17】
図16に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図18】
図17に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図19】
図18に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図20】実施の形態3における半導体装置を示す底面図である。
【
図21】実施の形態4における半導体装置を示す底面図である。
【
図22】変形例1における半導体装置を示す底面図である。
【
図23】実施の形態5における半導体装置を示す要部底面図である。
【
図24】実施の形態6における半導体装置を示す要部断面図である。
【
図25】変形例2における半導体装置を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0016】
また、本願で説明されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差し、互いに直交している。本願では、Z方向をある構造体の上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明する。また、本願で用いられる「平面視」という表現は、X方向およびY方向によって構成される面を、Z方向から見ることを意味する。
【0017】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造>
以下に
図1~
図3を用いて、実施の形態1における半導体装置1について説明する。半導体装置1は、半導体チップCHPを樹脂層6で封止した半導体パッケージである。
図2は、
図1に示されるA-A線に沿った断面図である。
図3は、
図1に示されるB-B線に沿った断面図である。
【0018】
図2および
図3に示されるように、半導体装置1は、半導体チップCHP、ダイパッド2、リード端子3、導電性層4、配線5および樹脂層6を備える。半導体チップCHPの内部には、MOSFETおよび複数の配線層などが形成されている。半導体チップCHPの上面には、複数の配線層のうちの最上層配線の一部が、複数の電極EDとして形成されている。複数の電極EDは、複数の配線層を介してMOSFETに電気的に接続されている。
【0019】
ダイパッド2およびリード端子3は、それぞれ導電性材料からなり、例えば銅であるか、銅に錫、ジルコニウムまたは鉄などを添加した銅合金である。ダイパッド2およびリード端子3は、互いに物理的に離間している。半導体チップCHPは、ダイパッド2の上面上に設けられている。
【0020】
複数の電極EDの上面上には、これらに電気的に接続されるように、導電性層4が設けられている。これらの導電性層4は、複数の電極EDの各々の上面から突出した柱体を成している。また、これらの導電性層4は、複数の電極EDの各々の主体となる材料よりも低いシート抵抗値を有する材料を主体とする。具体的には、導電性層4は、相対的に薄いバリアメタル膜と、上記バリアメタル膜上に形成され、且つ、相対的に厚い銅膜とを含む。この銅膜が、導電性層4の主体となる。なお、上記バリアメタル膜は、例えばチタン膜である。
【0021】
半導体チップCHP、リード端子3および導電性層4は、樹脂層6によって封止されている。なお、樹脂層6は、絶縁性樹脂からなり、例えばエポキシ樹脂からなる。リード端子3の上面、リード端子3の下面を含む下部、導電性層4の上面および半導体チップCHPの下面は、樹脂層6から露出している。
【0022】
リード端子3、導電性層4および樹脂層6の各々の上面の位置は、ほぼ同じであり、5μm以下の範囲内で一致している。すなわち、リード端子3、導電性層4および樹脂層6の各々の上面は、実質的に同一平面上にあり、面一になっている。樹脂層6の上面上には、配線5が形成されている。配線5によって、リード端子3および導電性層4が電気的に接続されている。配線5は、それぞれ導電性材料からなり、例えば銅であるか、銅に錫、ジルコニウムまたは鉄などを添加した銅合金である。
【0023】
実施の形態1では、導電性層4および配線5が、半導体チップCHPの電極EDがリード端子3に電気的に接続するための外部接続用部材として機能している。
【0024】
ダイパッド2は、側面SS1~SS4を有する。側面SS2は、側面SS1と反対側に位置する。側面SS4は、側面SS3と反対側に位置する。側面SS3および側面SS4は、それぞれ側面SS1と側面SS2とを繋いでいる。
【0025】
ダイパッド2の下面には、それらの底部がダイパッド2の内部に位置するように、複数の溝21が形成されている。
【0026】
図1に示されるように、複数の溝21は、それぞれ平面視におけるY方向にのみ延在している。実施の形態1では、側面SS1側の複数の溝21は、側面SS2側の複数の溝21と連通していない。
【0027】
側面SS1側の複数の溝21の各々の一方の端部は、側面SS1から開放されている。側面SS1側の複数の溝21の各々の他方の端部は、ダイパッド2の内部で閉塞され、側面SS2よりも内側にある。同様に、側面SS2側の複数の溝21の各々の一方の端部は、側面SS2から開放されている。側面SS2側の複数の溝21の各々の他方の端部は、ダイパッド2の内部で閉塞され、側面SS1よりも内側にある。
【0028】
また、複数のリード端子3は、平面視においてダイパッド2の周囲に設けられている。ここでは、側面SS1側および側面SS2側に、それぞれ複数のリード端子3が設けられている。リード端子3の下面には、その底部がリード端子3の内部に位置するように、溝31が形成されている。溝31は、平面視におけるY方向にのみ沿って延在している。
【0029】
側面SS1側の溝31の一方の端部は、側面SS1に対向していないリード端子3の側面から開放され、側面SS1側の溝31の他方の端部は、リード端子3の内部に位置している。同様に、側面SS2側の溝31の一方の端部は、側面SS2に対向していないリード端子3の側面から開放され、側面SS2側の溝31の他方の端部は、リード端子3の内部に位置している。
【0030】
<半導体モジュールの構造>
以下に
図4および
図5を用いて、実施の形態1における半導体モジュール100について説明する。
【0031】
図4および
図5に示されるように、半導体モジュール100は、半導体装置1と、配線基板40とを有する。配線基板40は、配線基板40の上面に形成された複数の導体パターン41を含む。ダイパッド2のうち少なくともダイパッド2の下面と、リード端子3のうち少なくともリード端子3下面とは、半田50を介して、それぞれ導体パターン41に接続されている。なお、複数の導体パターン41は、それぞれ、例えば平板状になっている。
【0032】
<実施の形態1の主な効果>
半田50の形成には、フラックスを含有する半田ペーストが用いられる。ダイパッド2およびリード端子3と、導体パターン41とを接続させる際には、ダイパッド2の溝21およびリード端子3の溝31の各々の内部が半田ペーストによって充填される。半田ペーストが固まっていく際に、フラックス由来のガスが発生し、このガスが、半田50の内部にボイドとして残留する場合がある。
【0033】
従来技術では、Y方向に延在する溝と、X方向に延在する溝とが、連通し、互いに交差していた。それ故、各溝の交差箇所において半田ペーストの流れが淀み易く、ガスが半田の内部から排出され難いという問題があった。
【0034】
これに対して、実施の形態1では、溝21および溝31は、Y方向にのみ延在し、他の溝と交差せず、他の溝と連通していない。そのため、半田ペーストが流れる方向が、側面SS1または側面SS2のみへ向かう方向になり、フラックス由来のガスが半田50の内部から排出され易くなる。従って、半田50の内部におけるボイドの発生を抑制させ易くなる。また、半田50の厚さの均一性を向上させ易くなる。
【0035】
ダイパッド2から配線基板40への放熱経路を考慮すると、半田50にボイドが生じた箇所がある場合、その箇所では、半田50の直下の導体パターン41への熱移動は著しく阻害される。すなわち、熱伝導面積が低下する。
【0036】
実施の形態1のように、ボイドの発生を抑制させることができれば、熱伝導面積が低下することが抑制されるので、放熱効率が低下することが抑制される。すなわち、実施の形態1における半導体装置1を利用することで、半導体モジュール100の性能を向上させることができる。
【0037】
なお、ダイパッド2の面積が大きい程、半田ペーストに含ませるフラックスの量を多くする必要があるが、その分、ボイドが発生する確率も高くなる。従来技術では、ボイドが発生していない接合箇所から熱が逃げ易くなるように、ボイドが発生することを見越して、配線基板40の厚さを厚くしていた。横方向への熱伝導性を確保するために、そのような厚さを、例えば200μm~1mmとしていた。
【0038】
これに対して、実施の形態1では、ボイドの発生が抑制されているので、配線基板40の厚さを、例えば50μm~100μmにすることができ、半導体モジュール100の小型化を促進できる。
【0039】
また、ダイパッド2の側面SS1側について説明すると、リード端子3の溝31の一方の端部は、側面SS1に対向していないリード端子3の側面から開放されている。そのため、溝31を流れる半田ペーストは、ダイパッド2へ向かわなくなるので、リード端子3に形成される半田50と、ダイパッド2に形成される半田50とが、互いに干渉し難くなり、互いに接触し難くなる。従って、リード端子3とダイパッド2との間で、ショート不良が起き難くなる。ダイパッド2の側面SS2側についても同様である。従って、半導体モジュール100の信頼性を向上できる。
【0040】
<半導体装置の製造方法>
以下に
図6~
図13を用いて、実施の形態1における半導体装置1の製造方法について説明する。なお、
図6~
図13は、
図3と同様に、B-B線に沿った断面図である。
【0041】
まず、
図6に示されるように、リード端子層3aを用意し、支持基材7の上面上にリード端子層3aを設置する。リード端子層3aは、例えば、レジストパターンなどをマスクとして用いたエッチング処理によって、金属板の一部を選択的に加工することで形成されたリードフレームの一部である。また、支持基材7は、搭載物を支持できるものであればよく、例えばポリイミドテープなどの樹脂テープである。
【0042】
リード端子層3aは、メッキ法によって形成されてもよい。その場合、支持基材7としては、導電性を有するステンレス板などが用いられる。ステンレス板の上面上に選択的にレジストパターンを形成し、このレジストパターンから露出した領域にメッキ処理を施すことで、リード端子層3aを形成できる。
【0043】
次に、
図7に示されるように、半導体チップCHPを用意し、支持基材7の上面上に半導体チップCHPを設置する。なお、この時点で、半導体チップCHPの電極EDの上面上には、導電性層4が設けられている。半導体チップCHPは、半導体ウェハをダイシングなどで個片化することで製造されるが、導電性層4は、半導体ウェハの状態でメッキ法などを用いることで、各電極EDの上面上に形成される。
【0044】
次に、
図8に示されるように、半導体チップCHPおよびリード端子層3aの各々の下面が樹脂層6から露出するように、リード端子層3a、導電性層4および半導体チップCHPを樹脂層6によって封止する。次に、樹脂層6の上面を研磨することで、リード端子層3aおよび導電性層4の各々の上面を樹脂層6から露出させる。次に、図示はしないが、樹脂層6の上面上に選択的にレジストパターンを形成し、このレジストパターンから露出した領域にメッキ処理を施すことで、配線5を形成する。配線5は、リード端子層3aおよび導電性層4に電気的に接続される。
【0045】
次に、
図9に示されるように、支持基材7を除去する。この状態で、半導体チップCHPおよびリード端子層3aの各々の下面は、樹脂層6から露出している。次に、半導体チップCHP、リード端子層3aおよび樹脂層6の各々の下面上に、スパッタリング法を用いて、シード層SDを形成する。シード層SDは、例えばチタンおよび銅からなる。
【0046】
次に、シード層SD上に、半導体チップCHPおよびリード端子層3aの各々の下面を開口するパターンを有するレジストパターンRP1を形成する。レジストパターンRP1は、塗布法によって第1レジスト膜を形成し、上記第1レジスト膜に対して選択的に露光処理を行い、上記第1レジスト膜をパターニングすることで形成される。
【0047】
次に、
図10に示されるように、電解メッキ法によって、レジストパターンRP1から露出しているシード層SD上に、ダイパッド層2aおよびリード端子層3bを形成する。これにより、半導体チップCHPの下面にダイパッド層2aが形成され、リード端子層3aの下面にリード端子層3bが形成される。その後、レジストパターンRP1を除去する。
【0048】
なお、ダイパッド層2aおよびリード端子層3bに覆われているシード層SDは、ダイパッド2およびリード端子3の一部となるので、以降の説明では、その図示を省略する。
【0049】
次に、
図11に示されるように、ダイパッド層2aおよびリード端子層3bの各々の下面の一部を開口するパターンを有するレジストパターンRP2を形成する。レジストパターンRP2は、塗布法によって第2レジスト膜を形成し、上記第2レジスト膜に対して選択的に露光処理を行い、上記第2レジスト膜をパターニングすることで形成される。
【0050】
次に、
図12に示されるように、電解メッキ法によって、レジストパターンRP2から露出しているダイパッド層2aの下面上に、複数のダイパッド層2bを選択的に形成する。同時に、リード端子層3bの下面上に、リード端子層3cを選択的に形成する。ここで、ダイパッド層2aの下面の一部は、複数のダイパッド層2bから露出し、リード端子層3bの下面の一部は、リード端子層3cから露出している。
【0051】
このようにして形成されたダイパッド層2aおよび複数のダイパッド層2bは、ダイパッド2を構成する。また、リード端子層3a、リード端子層3bおよびリード端子層3cは、リード端子3を構成する。
【0052】
次に、
図13に示されるように、レジストパターンRP2を除去し、更に、ダイパッド層2a、複数のダイパッド層2b、リード端子層3bおよびリード端子層3cに覆われていないシード層SDを除去する。以上の各製造工程によって、半導体装置1が製造される。
【0053】
ダイパッド層2の複数の溝21は、複数のダイパッド層2bの各々の側面と、ダイパッド層2aの下面とによって構成される。また、リード端子3の溝31は、リード端子層3cの側面と、リード端子層3bの下面とによって構成される。すなわち、溝21の底部は、ダイパッド層2aの下面に相当し、溝31の底部は、リード端子層3bの下面に相当する。
【0054】
<半導体モジュールの製造方法>
図13の製造工程後、以下の製造工程を経ることで、
図4および
図5に示される半導体モジュール100が製造される。
【0055】
まず、その上面に形成された複数の導体パターン41を含む配線基板40を用意する。次に、複数の導体パターン41の上面上に、例えばスクリーン印刷によって、それぞれフラックスを含有する半田ペーストを設ける。次に、半田ペースト上に半導体装置1を設置する。次に、リフロー処理によって半田ペーストを溶解する。その後、半田ペーストが固まり、半導体装置1が配線基板40に固定される。
【0056】
これにより、複数の溝21の内部が半田50によって充填されるように、ダイパッド2の下面(ダイパッド層2bの下面)を、半田50を介して導体パターン41に接続することができる。同時に、溝31の内部が半田50によって充填されるように、リード端子3の各々の下面(リード端子層3cの下面)を、半田50を介して導体パターン41に接続することができる。
【0057】
(実施の形態2)
以下に
図14~
図19を用いて、実施の形態2における半導体装置1の製造方法および構造について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0058】
まず、
図14に示されるように、実施の形態2では、リード端子層3aだけでなく、ダイパッド層2aも予め用意し、支持基材7の上面上にダイパッド層2aおよびリード端子層3aを設置する。ダイパッド層2aおよびリード端子層3aは、実施の形態1と同様に、リードフレームの一部として構成されていてもよいし、メッキ法によって形成されてもよい。
【0059】
次に、
図15に示されるように、半導体チップCHPを用意し、ダイパッド層2aの上面上に半導体チップCHPを設置する。
【0060】
次に、
図16に示されるように、ダイパッド層2aおよびリード端子層3aの各々の下面が樹脂層6から露出するように、ダイパッド層2a、リード端子層3a、導電性層4および半導体チップCHPを樹脂層6によって封止する。次に、樹脂層6の上面を研磨することで、リード端子層3aおよび導電性層4の各々の上面を樹脂層6から露出させる。次に、図示はしないが、樹脂層6の上面上に選択的にレジストパターンを形成し、このレジストパターンから露出した領域にメッキ処理を施すことで、配線5を形成する。配線5は、リード端子層3aおよび導電性層4に電気的に接続される。
【0061】
次に、
図17に示されるように、支持基材7を除去する。この状態で、ダイパッド層2aおよびリード端子層3aの各々の下面は、樹脂層6から露出している。次に、ダイパッド層2a、リード端子層3aおよび樹脂層6の各々の下面上に、スパッタリング法を用いて、シード層SDを形成する。
【0062】
ダイパッド層2aおよびリード端子層3aの各々の下面の一部を開口するパターンを有するレジストパターンRP2を形成する。このレジストパターンRP2は、実施の形態1のものと同じである。
【0063】
次に、
図18に示されるように、電解メッキ法によって、レジストパターンRP2から露出しているダイパッド層2aの下面上に、複数のダイパッド層2bを選択的に形成する。同時に、リード端子層3aの下面上に、リード端子層3cを選択的に形成する。ここで、ダイパッド層2aの下面の一部は、複数のダイパッド層2bから露出し、リード端子層3aの下面の一部は、リード端子層3cから露出している。
【0064】
実施の形態2では、ダイパッド層2aおよび複数のダイパッド層2bは、ダイパッド2を構成する。また、リード端子層3aおよびリード端子層3cは、リード端子3を構成する。
【0065】
次に、
図19に示されるように、レジストパターンRP2を除去し、更に、複数のダイパッド層2bおよびリード端子層3cに覆われていないシード層SDを除去する。以上の各製造工程によって、実施の形態2における半導体装置1が製造される。
【0066】
実施の形態2では、ダイパッド2の複数の溝21は、複数のダイパッド層2bの各々の側面と、ダイパッド層2aの下面とによって構成される。また、リード端子3の溝31は、リード端子層3cの側面と、リード端子層3aの下面とによって構成される。すなわち、溝21の底部は、ダイパッド層2aの下面に相当し、溝31の底部は、リード端子層3aの下面に相当する。
【0067】
実施の形態2における半導体装置1は、ダイパッド2の側面SS1~SS4の一部(ダイパッド層2aの各側面)が樹脂層6によって覆われている点と、リード端子3がリード端子層3aおよびリード端子層3cの2層構造であるという点とを除いて、実施の形態1における半導体装置1とほぼ同じ構造となる。
【0068】
また、実施の形態1と同様の手法によって、ダイパッド2の下面(ダイパッド層2bの下面)を、半田50を介して導体パターン41に接続し、リード端子3の各々の下面(リード端子層3cの下面)を、半田50を介して導体パターン41に接続することで、半導体モジュール100が製造される。
【0069】
(実施の形態3)
以下に
図20を用いて、実施の形態3における半導体装置1について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0070】
実施の形態1では、側面SS1側および側面SS2側に、それぞれ複数の溝21を設け、複数の溝21の各々の他方の端部が、ダイパッド2の内部で閉塞されていた。
【0071】
図20に示されるように、実施の形態3では、複数の溝21がY方向にのみ延在し、互いに連通していない点については、実施の形態1と同様であるが、複数の溝21がストライプ状に設けられている。すなわち、複数の溝21の各々の一方の端部は、側面SS1から開放され、複数の溝21の各々の他方の端部は、側面SS2から開放されている。
【0072】
実施の形態3でも、複数の溝21の交差箇所が無く、半田ペーストが流れる方向が、側面SS1または側面SS2へ向かう方向になり、フラックス由来のガスが、半田50の内部から排出され易くなる。従って、半田50の内部におけるボイドの発生を抑制させ易くなる。また、半田50の厚さの均一性を向上させ易くなる。
【0073】
なお、実施の形態3における半導体装置1は、実施の形態2の製造方法によって形成されたものであってもよい。
【0074】
(実施の形態4)
以下に
図21を用いて、実施の形態4における半導体装置1について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0075】
実施の形態1では、全ての溝21がY方向にのみ延在していた。実施の形態3では、
図21に示されるように、複数の溝21は、側面SS3側および側面SS4側において、X方向にのみ延在する溝21を含む。X方向にのみ延在する溝21は、他の溝と交差せず、互いに連通せず、Y方向にのみ延在する溝21とも連通していない。
【0076】
側面SS3側の複数の溝21の各々の一方の端部は、側面SS3から開放されている。側面SS3側の複数の溝21の各々の他方の端部は、ダイパッド2の内部で閉塞され、側面SS4よりも内側にある。同様に、側面SS4側の複数の溝21の各々の一方の端部は、側面SS4から開放されている。側面SS4側の複数の溝21の各々の他方の端部は、ダイパッド2の内部で閉塞され、側面SS3よりも内側にある。
【0077】
実施の形態4でも、複数の溝21の交差箇所が無いので、半田50の内部におけるボイドの発生を抑制させ易くなる。また、半田50の厚さの均一性を向上させ易くなる。また、実施の形態4では、半田ペーストが流れる方向が、側面SS1~SS4の何れかへ向かう方向になる。そのため、フラックス由来のガスが排出される方向が増えるので、ガスの排出効率を向上させることができる。
【0078】
なお、実施の形態4における半導体装置1は、実施の形態2の製造方法によって形成されたものであってもよい。
【0079】
(変形例1)
図22は、実施の形態4の変形例1を示している。変形例1では、Y方向に延在する溝21が、実施の形態3のようにストライプ状に設けられている。すなわち、Y方向に延在する複数の溝21の各々の一方の端部は、側面SS1から開放され、Y方向に延在する複数の溝21の各々の他方の端部は、側面SS2から開放されている。変形例1においても、半田ペーストが流れる方向を、側面SS1~SS4の何れかへ向かう方向にさせることができる。
【0080】
(実施の形態5)
以下に
図23を用いて、実施の形態5における半導体装置1について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1および実施の形態2との相違点について主に説明し、実施の形態1および実施の形態2と重複する点については説明を省略する。
【0081】
図23は、
図1に示される複数の溝21のうち、ダイパッド2の内部で閉塞されている端部を拡大した要部底面図である。
図23に示されるように、複数の溝21の各々の他方の端部は、平面視において曲面状に加工されている。このような平面視における曲面加工は、実施の形態1の
図11および実施の形態2の
図17で設けるレジストパターンRP2の開口パターンを変更し、ダイパッド層2bの平面形状を変更することで、達成できる。
【0082】
また、ダイパッド2の溝21の端部だけでなく、リード端子3の溝31の端部についても、平面視において曲面状に加工できる。この場合の曲面加工も、レジストパターンRP2の開口パターンを変更し、リード端子層3cの平面形状を変更することで、達成できる。
【0083】
溝21および溝31の各々の端部が平面視において曲面状に加工されていることで、フラックス由来のガスが溝の角部においても留まり難くなり、ボイドが発生する恐れを更に抑制できる。すなわち、実施の形態5における半導体装置1を利用することで、半導体モジュール100の性能を更に向上させることができる。
【0084】
なお、実施の形態5に開示した技術は、実施の形態4に対しても適用できる。
【0085】
(実施の形態6)
以下に
図24を用いて、実施の形態6における半導体装置1について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1および実施の形態2との相違点について主に説明し、実施の形態1および実施の形態2と重複する点については説明を省略する。
【0086】
図24は、
図2に示される複数の溝21を拡大した要部断面図である。
図24に示されるように、複数の溝21の底部は、断面視において曲面状に形成されている。
【0087】
このような断面視における曲面形成は、実施の形態1の
図10の工程の後、ダイパッド層2a、リード端子層3b下面上にレジストパターンを形成し、エッチングによりダイパッド層2a、リード端子層3bを掘り下げ、溝21、溝31を形成することにより行う事が出来る。
【0088】
溝21および溝31の各々の底部が断面視において曲面状に加工されていることで、フラックス由来のガスが溝の角部においても留まり難くなり、ボイドが発生する恐れを更に抑制できる。すなわち、実施の形態6における半導体装置1を利用することで、半導体モジュール100の性能を更に向上させることができる。
【0089】
(変形例2)
図25は、実施の形態2の変形例2を示している。
【0090】
実施の形態2では、半導体チップCHPの電極EDがリード端子3に電気的に接続するための外部接続用部材として、導電性層4および配線5を適用していた。しかし、外部接続用部材は、これらの形態に限られない。例えば
図25に示されるように、外部接続用部材としてワイヤー8を適用してもよい。
【0091】
変形例2では、実施の形態2の
図14で製造されるリード端子層3aをダイパッド層2aと同程度の厚さに形成しておく。その後、電極EDとリード端子3とをワイヤー8によって接続し、半導体チップCHPと共にワイヤー8を樹脂層6によって封止する。
【0092】
このような実装形態であっても、ダイパッド2の下面に複数の溝21が形成され、リード端子3の下面に溝31が形成されているので、ボイドが発生する恐れを抑制できる。
【0093】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 半導体装置
2 ダイパッド
2a、2b ダイパッド層
3 リード端子
3a~3c リード端子層
4 導電性層
5 配線
6 樹脂層
7 支持基材
8 ワイヤー
40 配線基板
41 導体パターン
50 半田
100 半導体モジュール
CHP 半導体チップ
ED 電極
SD シード層
SS1~SS4 ダイパッドの側面