(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180816
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】床面清掃具
(51)【国際特許分類】
A47L 13/20 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
A47L13/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094424
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 悠介
(72)【発明者】
【氏名】近藤 伴
【テーマコード(参考)】
3B074
【Fターム(参考)】
3B074AA08
3B074AB01
3B074EE01
(57)【要約】
【課題】清掃シートが清掃部から外れる虞れのない床面清掃具を提供する。
【解決手段】床面清掃具は、把持部1と、この把持部1の先端1aに固定された板状の取付部2と、この取付部2の裏面に取り付けられる同形の清掃部3とから構成されている。清掃部3の本体部3aの裏面3d全面には、繊維毛3eを複数本束ねた多数の繊維束3fが略均一に配置されており、繊維毛3eは、先端に向かって、把持部1を主に摺動させる方向に沿う一方の方向Aと、この一方の方向Aと逆方向である他方の方向Bとに拡げられている。繊維毛3eの先端は、床面清掃具をA、B方向に摺動させると、清掃シート4の表面4aに押し付けられ、清掃シート4に対して強い摩擦力が発生する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部と、該把持部の先端に固定された取付部と、軟性樹脂から成る本体部を有し、前記取付部の裏面に取り付けられる清掃部とから構成する清掃具であって、
前記取付部の表面には対となる複数の貫通孔が設けられ、
前記本体部には、前記清掃部を前記取付部に取り付けた際に、前記貫通孔内に位置する個所に、線状の切込み辺が設けられ、
前記本体部の裏面全面には、複数の繊維毛を束ねた多数の繊維束が略均一に配置されており、
該繊維束の繊維毛は、先端に向かって、少なくとも前記把持部を主に摺動させる方向に沿う一方の方向と、該一方の方向と逆方向であって前記摺動させる方向に沿う他方の方向とに拡がっていることを特徴とする床面清掃具。
【請求項2】
前記取付部に取り付けられた前記清掃部の直下に清掃シートを配置し、前記繊維毛を前記清掃シートの表面に当接した後に前記清掃シートの端部を、前記貫通孔を通して前記切込み辺に挿着することで、前記取付部及び清掃部に対して、前記清掃シートが固定されることを特徴とする請求項1に記載の床面清掃具。
【請求項3】
前記清掃部は面ファスナを介して前記取付部に面係合することを特徴とする請求項2に記載の床面清掃具。
【請求項4】
前記把持部における把持する個所は、前記取付部の表面と略平行であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の床面清掃具。
【請求項5】
前記把持部は棒状体であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の床面清掃具。
【請求項6】
前記把持部の先端は、前記把持部を回動自在とする回動部を介して、前記取付部に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の床面清掃具。
【請求項7】
前記取付部の辺部に沿って、弾性材から成るブレード部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の床面清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面の塵や埃を集めたり、床面に付着した汚れの拭き取りを可能とする床面清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、払拭具が開示されている。この払拭具は、把持部材と、この把持部材が連続する清掃ヘッドから成っている。清掃ヘッドの四隅には保持手段が設けられており、各保持手段は、可撓性及び弾発性を有する合成樹脂から成り、略矩形板状の天板と、この天板の周縁の稍々内側から立下がる周壁とから構成されている。
【0003】
天板には、保持手段を清掃ヘッドに装着した状態で清掃ヘッドの長手方向に延在する保持用スリットと、この保持用スリットに連なる第1、第2開き用スリットが形成されている。
【0004】
払拭シートの一部を保持用スリットに指で押込むことで、清掃ヘッドに払拭シートを保持させることができ、この際に、保持用スリットには第1及び第2開き用スリットが保持用スリットに連なって形成されているので、容易に鋸歯状部分と直線状部分とを、押し込み方向に変形させて払拭シートを保持用スリット内に押し込むことが可能である。
【0005】
清掃に際して、床面に払拭具の払拭シートを強く擦り付けても、特許文献1の保持手段では、天板のスリットによって強く挟持されているので、払拭シートが清掃ヘッドから外れることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、可撓性及び弾発性を有する合成樹脂から成る天板は破損し易く、また払拭シートの取り付け・取り外しを繰り返すことで、スリット部が変形してしまい、払拭シートの保持力が低下するという問題がある。更に、天板により払拭具の高コスト化に繋がるという問題もある。
【0008】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、清掃シートを保持する保持部が破損し難く、また保持力が低下しても、清掃シートが清掃部から外れる虞れのない床面清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る床面清掃具は、把持部と、該把持部の先端に固定された取付部と、軟性樹脂から成る本体部を有し、前記取付部の裏面に取り付けられる清掃部とから構成する清掃具であって、前記取付部の表面には対となる複数の貫通孔が設けられ、前記本体部には、前記清掃部を前記取付部に取り付けた際に、前記貫通孔内に位置する個所に、線状の切込み辺が設けられ、前記本体部の裏面全面には、複数の繊維毛を束ねた多数の繊維束が略均一に配置されており、該繊維束の繊維毛は、先端に向かって、少なくとも前記把持部を主に摺動させる方向に沿う一方の方向と、該一方の方向と逆方向であって前記摺動させる方向に沿う他方の方向とに拡がっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る床面清掃具によれば、清掃部の裏面に、清掃シートに対して強い摩擦力を発生させる繊維毛を配置することで、清掃部に設けた保持力の弱い切込み辺による清掃シートの保持であっても、床面に清掃シートを強く擦り付けた際に、清掃シートが清掃部から外れる虞れはない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】清掃シート上に床面清掃具を載置した状態の斜視図である。
【
図3】床面清掃具に清掃シートを取り付けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例0013】
図1は実施例1の床面清掃具の分解斜視図であり、組み立てた床面清掃具の大きさは、例えば横18cm、縦10cm、高さ8cm程度であり、片手で把持することができる。なお、床面清掃具の大きさは、片手で把持できる大きさであれば、適宜のサイズのものを選択することができる。
【0014】
床面清掃具は、把持部1と、この把持部1の先端1aに固定された板状の取付部2と、この取付部2の裏面に取り付けられる同形の清掃部3とから構成されている。
【0015】
把持部1は側面から見た際にコ字形状とされ、片手で把持する個所は取付部2の表面2aと略平行とされている。また、把持部1は両側の先端1aが、取付部2に連結されているが、片方だけが連結する構造としてもよい。
【0016】
硬質樹脂から成る矩形状の取付部2の表面2aには、対となる複数個、図示では2対で計4個の指を挿込可能な四角形の貫通孔2bが形成されている。また、取付部2の裏面2cには面ファスナを構成し、図示しないフック係合面が全面に渡って設けられている。
【0017】
清掃部3は所定の厚さ、例えば2cm程度の直方体であって、発泡樹脂等の軟性樹脂体から成る本体部3aを有している。この本体部3aの表面には、面ファスナを構成し、前述の取付部2のフック係合面と面係合する被係合面3bが設けられている。
【0018】
取付部2の裏面2cのフック係合面と、清掃部3の表面の被係合面3bとの面係合は、面ファスナ以外に両面テープ等の適宜に係合可能なものを用いてもよく、更には接着剤等を利用して、取付部2と清掃部3とを取り外すことができないように固定することもできる。
【0019】
また、清掃部3の本体部3aには、清掃部3を取付部2の下面に取り付けた場合に、取付部2の貫通孔2b内に位置する個所に、直線状の切込み辺3cが設けられている。
【0020】
図1に示すように、清掃部3の長手方向に沿って2対の直線状の切込み辺3cが設けられているが、これら以外に十字状等の適宜の線状の切込み辺を採用してもよい。また、切込み辺3cの深さは、清掃部3を貫通していてもよく、被係合面3bから適宜の深さを採用することもできる。
【0021】
本体部3aの裏面3d全面には、円形内に示す一部を拡大した清掃部3のように、例えばナイロン等の硬質樹脂から成る繊維毛3eを複数本束ねた多数の繊維束3fが略均一に配置されている。
【0022】
これらの互いに等間隔で配置された繊維束3fを構成する繊維毛3eは、先端に向かって、少なくとも把持部1を主に摺動させる方向に沿う一方の方向Aと、この一方の方向Aと逆方向であって、把持部1を主に摺動させる方向に沿う他方の方向Bとに拡げられている。
【0023】
片手で把持部1を把持した際に、摺動させる主な方向は矢印で示すように清掃部3の長手方向に沿う一方の方向A及び他方の方向Bとなることから、繊維毛3eは少なくとも一方の方向A及び他方の方向Bに沿う方向に拡がって配置されている。
【0024】
また、床面清掃具に取り付ける清掃シート4は、例えば市販の横20cm、縦30cm、厚さ0.5mm程度の不織布が用いられ、アルコール等の液体を含有したウェットタイプの清掃シートや、乾燥した清掃シートを適宜に選択して、取り付けることができる。
【0025】
床面清掃具を使用する際は、先ず取付部2の裏面のフック係合面と、清掃部3の表面の被係合面3bとを面係合させる。
図2に示すように、切込み辺3cが取付部2の貫通孔2b内に位置するように位置合わせをして取り付ける。
【0026】
続いて、拡げられた清掃シート4の略中央に、取付部2に取り付けられた清掃部3を載置して、清掃シート4の表面4aに繊維束3fを当接させる。更に
図3に示すように、清掃シート4の長手方向の両側の端部4bを、取付部2の貫通孔2bに通して、清掃部3の切込み辺3c内に指で押し込む。
【0027】
図4は清掃シート4を押し込んだ際の
図3におけるC-C’断面図であり、本体部3aは軟質樹脂から成るので、容易に切込み辺3cに清掃シート4の端部4bを押し込むことができる。このようにして、4個所の切込み辺3cに清掃シート4の端部4bをそれぞれ挿着させることで、一体化した取付部2と清掃部3に対して、清掃シート4が固定されることになる。
【0028】
そして、清掃シート4の端部4bを切込み辺3c内に押し込むことにより、清掃シート4が長手方向に引っ張られ、清掃シート4の表面4aは繊維毛3eに押し付けられる。
【0029】
一方の方向A及び他方の方向Bに拡がっている繊維毛3eの先端は、床面清掃具の主な摺動方向である一方の方向A及び他方の方向Bに摺動させると、清掃シート4の表面4aに引っ掛かることになり、清掃シート4に対して強い摩擦力が発生する。従って、清掃シート4が清掃部3に最初に当接した位置から、清掃シート4はずれることはなく、清掃時に床面に清掃シート4を強く擦り付けても、清掃シート4が床面清掃具から外れることもない。
【0030】
また、清掃部3と清掃シート4との間には強い摩擦力が生ずるので、前述の従来の払拭具のように保持手段によって強く払拭シートを保持する必要がなく、清掃シート4の端部4bを押し込む程度の保持力が発生していれば、清掃シート4の固定は十分である。
【0031】
このようにして、清掃シート4を取り付けた床面清掃具を、一方の方向A及び他方の方向Bに摺動させて、床面に擦り付けることで、床面の塵や埃を集めたり、床面に付着した汚れを拭き取ることができる。
【0032】
床面を清掃後に、塵、埃、汚れが付着した清掃シート4を床面清掃具から取り外して廃棄する。再度、床面を清掃する場合は、新たな清掃シート4を前述のように清掃部3に取り付けて使用すればよい。
面ファスナによって清掃部3に対して取り付け、取り外し可能な取付部2には、清掃部3を取り付けずに、単独で使用することもできる。この際に用いるブレード部2dが取付部2の辺部に長手方向に沿って形成され、端辺が外側に向かって鋭角とされている。このブレード部2dはシリコン等の弾性材から成り、床面にこびり付いた付着物を削ぐように取り除くことができる。
実施例2の床面清掃具の主たる使用方法は、実施例1の床面清掃具と同様に、清掃前に清掃シート4を床面清掃具に取り付け、清掃後に清掃シートを取り外して廃棄する。清掃時における主に摺動させる方向は、矢印で示すように清掃部3の短手方向に沿う一方の方向D及び他方の方向Eとなり、繊維毛3eは少なくとも清掃部3の一方の方向D及び他方の方向Eに向けて拡がって配置されている。
また、実施例1、2の床面清掃具は、何れも清掃シート4を取り付けずに、清掃部3により床面を清掃することも可能である。この場合に、清掃部3の裏面に設けられた繊維毛3eはブラシ体のように機能するため、繊維毛3eを床面に直接に擦り付けて使用することもできる。
清掃シート4を取り付けずに使用した場合には、清掃後に清掃部3の裏面3dを水洗い等により洗浄する。この場合に、清掃部3を取付部2から取り外して、洗浄するようにしてもよい。
このように、本発明に係る床面清掃具によれば、清掃部3の裏面に清掃シート4に対して強い摩擦力を発生させる繊維毛3eを配置することで、清掃部3に設けた保持力の弱い切込み辺3cによる清掃シート4の保持であっても、床面に清掃シート3を強く擦り付けた際に、清掃シート4が清掃部3から外れる虞れはない。また、従来の払拭具の天板は破損し易いのに対して、床面清掃具の切込み辺3cは単純な構造であるため長期間使用しても破損することはない。