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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180817
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/1627 20200101AFI20231214BHJP
【FI】
G01L5/1627
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094425
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】村上 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】癸生川 幸嗣
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB08
2F051AB09
2F051DA02
(57)【要約】
【課題】簡易な構成を有するセンサ装置を提供すること。
【解決手段】シャフトSと、シャフトSに直接的または間接的に配置された軸受20と、軸受20に配置されたホルダ10,210と、を備え、ホルダ10,210は、内周部材11と、外周部材12,212と、内周部材11と外周部材12,212とを接続する接続部13と、接続部13に配置された第1のひずみセンサ16と、を有し、径方向において、内周部材11は、軸受20の外側に配置され、接続部13は、内周部材11を、外周部材12,212に対して回動可能に支持する、センサ装置1,100,200。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトに直接的または間接的に配置された軸受と、
前記軸受に配置されたホルダと、を備え、
前記ホルダは、内周部材と、外周部材と、前記内周部材と前記外周部材とを接続する接続部と、前記接続部に配置された第1のひずみセンサと、を有し、
径方向において、前記内周部材は、前記軸受の外側に配置され、
前記接続部は、前記内周部材を、前記外周部材に対して回動可能に支持する、センサ装置。
【請求項2】
前記接続部は、前記外周部材に対して、ねじれ回転可能に配置される、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
軸方向視において、前記第1のひずみセンサは、前記接続部の延び方向に対して傾斜して配置されている、請求項1または2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記軸受は、前記内周部材を支持する外輪と、前記外輪に対して回転可能に配置される内輪を有し、
前記内輪は前記シャフトと一体に回転する、請求項1または2に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記シャフトの一方側に負荷部材を有し、
前記第1のひずみセンサは、前記負荷部材にかかる荷重を、前記軸受を介して検出する、請求項1または2に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記負荷部材にかかる前記荷重は、軸方向に対して直交する方向の成分を有する、請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記接続部は、軸方向に対して直交する延び方向を有し、
前記負荷部材にかかる前記荷重の方向は、前記接続部の前記延び方向とは異なる、請求項6に記載のセンサ装置。
【請求項8】
軸方向において、前記負荷部材と前記ホルダとは離間している、請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記ホルダの前記外周部材に配置される第2のひずみセンサを有する、請求項1または2に記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記第2のひずみセンサは、前記ホルダの、軸方向と直交する方向の変形を検出する、請求項9に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャフトにかかる複数方向の力を検出するためのセンサ装置として、従来、ひずみ発生部に貼り付けた複数のひずみゲージを互いに接続し、力に応じたひずみを検出するように構成したセンサ装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-78360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のセンサ装置は、機構が複雑化し、また、装置全体が大型化する傾向にあった。本発明は、簡易な構成を有するセンサ装置の提供を課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のセンサ装置は、シャフトと、前記シャフトに直接的または間接的に配置された軸受と、前記軸受に配置されたホルダと、を備え、前記ホルダは、内周部材と、外周部材と、前記内周部材と前記外周部材とを接続する接続部と、前記接続部に配置された第1のひずみセンサと、を有し、径方向において、前記内周部材は、前記軸受の外側に配置され、前記接続部は、前記内周部材を、前記外周部材に対して回動可能に支持する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一例である第1の実施の形態にかかるセンサ装置の斜視図である。
図2】本発明の一例である第1の実施の形態にかかるセンサ装置の使用状態の一例を示す模式図である。
図3】本発明の一例である第2の実施の形態にかかるセンサ装置の斜視図である。
図4】本発明の一例である第3の実施の形態にかかるセンサ装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の各実施の形態の説明において、説明の便宜上、シャフトSの中心軸(軸X)に沿った矢印b方向を背面側または軸方向一方側とする。軸Xに沿った矢印a方向を正面側または軸方向他方側とする。ここで、軸Xに沿った方向、すなわち矢印ab方向を奥行き方向または軸方向と称する。また、矢印cd方向、すなわち軸方向に直交する方向を径方向と称し、軸Xから離れる矢印c方向を外側または径方向一方側、軸Xに近づく矢印d方向を内側または径方向他方側と称する。さらに、軸Xの周りの円の接線に沿った方向を接線方向と称する。
【0008】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の一例である第1の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態にかかるセンサ装置1の外観構成を示す斜視図である。ただし、シャフトSと、出力ギヤGのボス部G2は断面で示されている。図2は、センサ装置1の使用状態の一例を示す模式図である。
【0009】
センサ装置1は、シャフトSと、ホルダ10と、軸受20とを有する。本実施の形態において、軸受20は、内輪21、外輪22および転動体を有するボールベアリングである。内輪21はシャフトSおよび後述する出力ギヤGのボス部G2と一体に固定されており、外輪22に対して回転可能に配置されている。なお、軸受20は、ボールベアリングに限られず、例えばスリーブベアリング等、その他種々の軸受であってもよい。
【0010】
シャフトSは、軸方向に延びる略円柱状の部材である。径方向において、シャフトSの外側(径方向一方側)には、出力ギヤGが固定されている。出力ギヤGは、歯車部G1(図2参照)と、歯車部G1と同軸に設けられた、歯車部G1から背面側(軸方向一方側)へ突出する略円筒状のボス部G2とを有する部材である。出力ギヤGは、シャフトSの外周面(径方向外側の面)に、接着または圧入されている。これにより、出力ギヤGは、シャフトSに固定され、シャフトSと一体に回転する。
【0011】
径方向において、出力ギヤGのボス部G2の外側には、軸受20が配置されている。すなわち、径方向において、軸受20は、シャフトSの外側に、他の部材を介して配置されている。具体的には、軸受20は、シャフトSの外側に、出力ギヤGを介して間接的に配置されている。軸受20の内輪21は、出力ギヤGのボス部G2の外周面(径方向外側の面)に接着または圧入されている。これにより、軸受20の内輪21は、出力ギヤGのボス部G2に固定され、シャフトSおよび出力ギヤGと一体に回転する。
【0012】
径方向において、軸受20の外側には、ホルダ10が配置されている。ホルダ10は、軸方向視(平面視)略正方形の筒形状であり、内周部材11および外周部材12を有する。内周部材11は、軸Xの周りに円筒状の内周面11iおよび略円筒状の外周面11oを有する、軸方向に延びる略円筒状の部材である。
【0013】
径方向において、内周部材11は、軸受20の外側に配置されている。軸受20の外輪22は、ホルダ10の内周部材11の内周面11iに圧入または接着されている。これにより、軸受20は、ホルダ10の内周部材11を内側から支持している。また、軸受20は、シャフトSおよび出力ギヤGを、ホルダ10に対して回転可能に支持している。
【0014】
外周部材12は、軸Xの周りに略円筒状の内周面12iを有する、軸方向視(平面視)略正方形の筒状の部材である。外周部材12は、径方向において、内周部材11よりも外側に配置されている。軸方向において、内周部材11の寸法は、外周部材12の寸法と同一である。軸方向において、内周部材11の正面側(他方側)の端面および背面側(一方側)の端面は、それぞれ外周部材12の正面側の端面および背面側の端面と同一平面上にある。
【0015】
外周部材12は、軸方向に延在する4つの外周面(径方向外側の面であり、軸方向視(平面視)時計回りにそれぞれ面12a、面12b、面12c、面12dと称する)を有する。面12aと面12cは互いに平行であり、面12bと面12dは互いに平行である。面12a、面12b、面12c、面12dのうち、隣り合う2つの面(面12aと面12b、面12bと面12c、面12cと面12d、面12dと面12a)は互いに直交している。
【0016】
外周部材の4つの角部の近傍には、それぞれ1つずつ、合計4つの軸方向視(平面視)円形の固定孔12hが設けられている。それぞれの固定孔12hは、外周部材12を軸方向に貫通する。図2に示すように、固定孔12hに挿通されたボルトBにより、ホルダ10(外周部材12)は、センサ装置1が配置されるハウジングHに固定される。
【0017】
内周部材11と、外周部材12とは、2つの接続部13によって一体に接続されている。2つの接続部13は、軸Xに関して対称となる位置に配置されている。2つの接続部13は、面12aに近い側と、面12cに近い側に、それぞれ配置されている。具体的には、本実施の形態において、2つの接続部13は、軸X、言い換えると、シャフトSの中心に関して点対称に配置されている。軸方向において、接続部13の正面側(他方側)の端面および背面側(一方側)の端面は、それぞれ内周部材11(および外周部材12)の正面側の端面および背面側の端面と同一平面上に延在している。2つの接続部13を結ぶ軸Yは、軸Xを通り、軸Xと直交する。それぞれの接続部13は、軸方向(軸Xに沿った方向)に対して直交する延び方向、すなわち軸Yに沿った延び方向を有する。
【0018】
また、2つの接続部13は、それぞれ、軸方向視(軸Xに関する軸方向視)において、軸Yに関して線対称の形状をしている。また、2つの接続部13は、それぞれ、軸方向視(軸Xに関する軸方向視)において、内周部材11と接続する部分の接線方向の幅および、外周部材12と接続する部分の接線方向の幅が、内周部材11と接続する部分と外周部材12と接続する部分の間の部分の接線方向の幅よりも大きい。言い換えると、2つの接続部13は、それぞれ、軸方向視において、内周部材11と接続する部分と外周部材12と接続する部分の間の部分に、接線方向に凹んだ凹部を有する。
【0019】
径方向において、内周部材11の外周面11oと、外周部材12の内周面12iとは、接続部13によって接続されている部分を除き、2つの略半円筒状の溝14を介して対向している。2つの溝14は、軸Xに関して対称に形成されている。それぞれの溝14は、ホルダ10を軸方向に貫通している。2つの溝14は、面12bに近い側と、面12dに近い側に、それぞれ配置されている。
【0020】
それぞれの溝14の両端は、ホルダ10を軸方向に貫通する、合計4つの軸方向視(平面視)円形の貫通孔15に接続されている。すなわち、一つの溝14の両端にそれぞれ貫通孔15が接続されており、溝14と2つの貫通孔15とは連通している。貫通孔15の直径は、外周部材12の固定孔12hの直径と同一または略同一であり、溝14の幅(径方向における、内周部材11と外周部材12との間の距離)よりも大きい。
【0021】
軸方向視(平面視)において、4つの固定孔12hのうちの2つの固定孔12hと、4つの貫通孔15のうちの2つの貫通孔15とは、外周部材12の面12aの近傍において、面12aと平行に、直線上に並んで配置されている。また、軸方向視(平面視)において、4つの固定孔12hのうちの他の2つの固定孔12hと、4つの貫通孔15のうちの他の2つの貫通孔15とは、外周部材12の面12cの近傍において、面12cと平行に、直線上に並んで配置されている。接続部13は、隣接する2つの貫通孔15の間の領域として形成されている。
【0022】
接続部13は、応力を受けることにより弾性変形または塑性変形をする変形部分である。接続部13は、内周部材11を、外周部材12に対して、回動可能に支持している。具体的には、接続部13は、内周部材11を、外周部材12に対して、ねじれ回転可能に支持している。言い換えると、接続部13は、内周部材11または外周部材12に対して、ねじれ回転可能に配置されている。ここでいうねじれ回転とは、2つの接続部13を結ぶ軸Yを中心とする周方向(矢印eで示された方向)のねじれ回転である。これにより、内周部材11は、外周部材12に対して、矢印e方向にねじれて変位できるようになっている。
【0023】
2つの接続部13における軸方向正面側の面には、それぞれ第1のひずみセンサ16が配置されている。すなわち、合計2つの第1のひずみセンサ16が、軸Xに関して対称となる位置に取り付けられている。第1のひずみセンサ16は、接続部13の、ねじれによるひずみ変形を検出できる。軸方向視において、それぞれの第1のひずみセンサ16は、接続部13の延び方向(軸Yに沿った方向)に対して傾斜して配置されている。この傾斜角度等については後述する。
【0024】
第1のひずみセンサ16がひずみゲージである場合、グリッド(ゲージ)の向き(典型的には、ひずみゲージの長手方向)が、接続部13の延び方向(軸Yに沿った方向)に対して傾斜するように、接続部13に取り付けられている。第1のひずみセンサ16がひずみゲージである場合、接続部13のひずみ変形は抵抗値の変化として検出される。なお、第1のひずみセンサ16は、ひずみゲージに限られず、圧電素子等の、その他種々のセンサであってもよい。
【0025】
本実施の形態において、それぞれの第1のひずみセンサ16は、2つの接続部13を結ぶ軸Yに対して45°傾斜するように取り付けられている。2つの第1のひずみセンサ16は、同じ方向に傾斜するように取り付けられている。ただし、傾斜の角度は45°に限られない。例えば、傾斜の角度は、軸Yに対して5°~85°の範囲内であってもよく、軸Yに対して10°~80°の範囲内であってもよく、軸Yに対して20°~70°の範囲内であってもよく、軸Yに対して30°~60°の範囲内であってもよく、軸Yに対して40°~50°の範囲内であってもよい。なお、ここでいう傾斜の角度とは、軸Yと第1のひずみセンサ16の延び方向がなす角度のうち、小さいほうの角度を指す。また、2つの第1のひずみセンサ16がそれぞれ異なった角度で傾斜していてもよい。さらに、2つの第1のひずみセンサ16は、異なる方向に傾斜するように取り付けられていてもよい。
【0026】
外周部材12の面12aおよび面12cには、それぞれ2つずつ、合計4つの第2のひずみセンサ17が配置されている。それぞれの第2のひずみセンサ17は、貫通孔15の近傍に取り付けられている。具体的には、軸Yに沿った方向において、第2のひずみセンサ17は、貫通孔15と対向する位置に配置されている。第2のひずみセンサ17は、面12aおよび面12cの、軸方向(軸Xに沿った方向)に対して垂直な平面に沿った方向のひずみを検出できるように取り付けられている。第2のひずみセンサ17は、ホルダ10の、軸方向(軸Xに沿った方向)と直交する方向の変形を検出することができる。
【0027】
第2のひずみセンサ17がひずみゲージである場合、グリッド(ゲージ)の向き(典型的には、ひずみゲージの長手方向)が面12aおよび面12cの長手方向(軸方向に直交する方向)に沿うように取り付けられている。第2のひずみセンサ17がひずみゲージである場合、ホルダ10のひずみは抵抗値の変化として検出される。なお、第2のひずみセンサ17は、ひずみゲージに限られず、圧電素子等の、その他種々のセンサであってもよい。
【0028】
図2は、センサ装置1が電動アシスト自転車に装着された状態を示す模式図である。ホルダ10は、ボルトBにより、電動アシスト自転車のドライブユニット5のハウジングHに固定されている。図2においては、センサ装置1は、ホルダ10の軸方向背面側(軸方向一方側)がハウジングHに対向する向きで装着されている。ただし、センサ装置1は、ホルダ10の軸方向正面側(軸方向他方側)がハウジングHに対向する向きで装着されていてもよい。ハウジングHを挟んでホルダ10の反対側(以下、「ドライブユニット5の外側」とも称する)には、シャフトSおよび出力ギヤGのボス部G2が貫通して突出している。ドライブユニット5の外側において、シャフトSの端部には、図示しないペダルが固定されている。
【0029】
ドライブユニット5の外側において、出力ギヤGのボス部G2の外周面(径方向外側の面)には、チェーンリング(負荷部材)30が、図示しないハブ等を介して固定されている。チェーンリング(負荷部材)30は、シャフトSの軸方向一方側に配置されている。軸方向において、チェーンリング(負荷部材)30とホルダ10とは離間している。電動アシスト自転車は後輪シャフト3を軸とする図示しない後輪を有し、後輪シャフト3には、径の異なる5つのスプロケット2a,2b,2c,2d,2eを含むカセットスプロケット2が、図示しないハブ等を介して固定されている。
【0030】
チェーンリング(負荷部材)30と、カセットスプロケット2のいずれかのスプロケットとを跨るように、ローラーチェーン4が架けられている。チェーンリング(負荷部材)30の回転は、ローラーチェーン4により、カセットスプロケット2、ひいては後輪に伝達される。変速時には、図示しないディレーラーにより、ローラーチェーン4が架けられるスプロケットが変更される。
【0031】
図2においては、ローラーチェーン4が、5つのスプロケットのうち最も径が大きく、また最も後輪に近い側に配置されたスプロケット2aに架けられた状態(4a)と、5つのスプロケットのうち最も径が小さく、また最も後輪から遠い側に配置されたスプロケット2eに架けられた状態(4e)とが、それぞれ仮想線で示されている。
【0032】
ローラーチェーン4が4aの位置にあるとき、チェーンリング(負荷部材)30には、ローラーチェーン4の張力に由来する荷重Faがかかる。荷重Faの方向は、ホルダ10の接続部13の延び方向(軸Yに沿った方向)とは異なる。荷重Faは、軸方向(軸Xに沿った方向)の成分Fa1と、軸方向に対して直交する方向の成分Fa2とを有する。また、ローラーチェーン4が4eの位置にあるとき、チェーンリング(負荷部材)30には、ローラーチェーン4の張力に由来する荷重Feがかかる。荷重Feは、軸方向(軸Xに沿った方向)の成分Fe1と、軸方向に対して直交する方向の成分Fe2とを有する。荷重Faの軸方向の成分Fa1と、荷重Feの軸方向の成分Fe1とは、軸方向(軸Xに沿った方向)において互いに反対方向を向いている。
【0033】
荷重Fa,Feは、軸方向(軸Xに沿った方向)の成分Fa1,Fe1を有するため、チェーンリング(負荷部材)30を軸方向(軸Xに沿った方向)に傾けるような応力が発生する。このような応力は、出力ギヤGおよび軸受20を介してホルダ10の内周部材11に伝達される。すると、内周部材11が、外周部材12に対し、当該応力に応じた角度で僅かに回動する(ねじれる)。当該回動は、第1のひずみセンサ16により検出することができる。以上のようにして、第1のひずみセンサ16は、チェーンリング(負荷部材)30にかかる荷重を、出力ギヤGおよび軸受20を介して検出することができる。
【0034】
ローラーチェーン4がカセットスプロケット2のいずれのスプロケットに架けられているかによって、チェーンリング(負荷部材)30にかかる荷重の軸方向の成分の大きさおよび向きは異なるため、それに応じて内周部材11の回動の角度も異なる。したがって、第1のひずみセンサ16によって、ローラーチェーン4がカセットスプロケット2のいずれのスプロケットに架けられているか(すなわち、電動アシスト自転車がいずれの変速段階にあるか)を検出することが可能である。
【0035】
また、センサ装置1が電動アシスト自転車に用いられる場合、シャフトSはペダルを備えるクランクシャフトである。一方のペダルが踏まれると、シャフトSの当該ペダル側が鉛直方向下向きに傾こうとする力が作用するため、軸受20が径方向に移動しようとし、ホルダ10の一部が径方向外側(鉛直方向下側)に向かって押圧される。ホルダ10においては、外周部材12の貫通孔15付近に応力が集中し、弾性的なひずみ変形が生じやすくなっている。このひずみ変形は、第2のひずみセンサ17により検出することが可能である。
【0036】
本実施の形態にかかるセンサ装置1は、接続部13がホルダ10の内周部材11を外周部材12に対して回動可能に支持しており、接続部13に、第1のひずみセンサ16が配置されているという簡易な構成によって、チェーンリング(負荷部材)30にかかる荷重をねじれとして検出することができる。また、本実施の形態にかかるセンサ装置1は、ホルダ10の外周部材12に配置された第2のひずみセンサ17によって、ペダルを踏みこむ力をひずみとして検出することもできる。このように、センサ装置1は、簡易な構成によって、複数種類の力を同時に検出することができる。
【0037】
本実施の形態にかかるセンサ装置1においては、それぞれの第1のひずみセンサ16が、2つの接続部13を結ぶ軸Yに対して傾斜するように取り付けられている。これにより、第1のひずみセンサ16が、ペダルを鉛直方向下向きに踏みこむ力に起因して発生する可能性のある、接続部13の僅かなひずみの影響を受けにくくなるため、内周部材11の回動に起因する接続部13のひずみをより精度よく検出することができる。
【0038】
本実施の形態にかかるセンサ装置1においては、外周部材12の面12aおよびその反対側の面12cに、それぞれ2つずつ、合計4つの第2のひずみセンサ17が配置されているため、ペダルを踏みこむ際に生じやすい、軸Yに沿った方向の応力(典型的には鉛直方向の応力)を高感度に検出することができる。検出された応力に応じて、電動アシスト自転車のモータの出力を調節することができる。
【0039】
[第2の実施の形態]
続いて、本発明の一例である第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図3は、本実施の形態にかかるセンサ装置100の外観構成を示す斜視図である。ただし、シャフトSおよび出力ギヤGは断面で示されている。センサ装置100は、第1のひずみセンサ16の代わりに第1のひずみセンサ116を備える点を除き、第1の実施の形態にかかるセンサ装置1と同様の構成を有する。以下、第1の実施の形態と同一の機能および構成を有する部材および部品については、第1の実施の形態と同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0040】
本実施の形態において、それぞれの接続部13の、軸方向正面側の面には、第1のひずみセンサ116が配置されている。すなわち、合計2つの第1のひずみセンサ116が、軸Xに関して対称となる位置に取り付けられている。それぞれの第1のひずみセンサ116は、それぞれの接続部13の、ねじれ回転によるひずみ変形を検出できる。軸方向視において、それぞれの第1のひずみセンサ116は、接続部13の延び方向(軸Yに沿った方向)に対して垂直に延在するように配置されている。
【0041】
第1のひずみセンサ116がひずみゲージである場合、グリッド(ゲージ)の向き(典型的には、ひずみゲージの長手方向)が、接続部13の延び方向(軸Yに沿った方向)に対して直交するように、接続部13に取り付けられている。第1のひずみセンサ116がひずみゲージである場合、接続部13のひずみ変形は抵抗値の変化として検出される。なお、第1のひずみセンサ116は、ひずみゲージに限られず、圧電素子等の、その他種々のセンサであってもよい。
【0042】
本実施の形態にかかるセンサ装置100においては、第1の実施の形態にかかるセンサ装置1とは異なり、それぞれの第1のひずみセンサ116が、2つの接続部13を結ぶ軸Yに対して傾斜するようには取り付けられていない。したがって、本実施の形態にかかるセンサ装置100においては、第1のひずみセンサ116が、ペダルを鉛直方向下向きに踏みこむ力に起因して発生する可能性のある、接続部13の僅かなひずみの影響を多少受ける可能性はある。
【0043】
しかしながら、本実施の形態にかかるセンサ装置100は、依然として、簡易な構成によって、チェーンリング(負荷部材)30にかかる荷重およびペダルを踏みこむ力を同時に検出することができる。また、本実施の形態にかかるセンサ装置100は、第1の実施の形態にかかるセンサ装置1について上記したその他の特性も同様に有する。
【0044】
また、本実施の形態にかかるセンサ装置100においては、それぞれの第1のひずみセンサ116を、2つの接続部13を結ぶ軸Yに対して傾斜するように取り付ける必要がない。したがって、センサ装置100を製造する際、第1のひずみセンサ116の取り付け作業が単純化し、作業効率が向上する。
【0045】
[第3の実施の形態]
続いて、本発明の一例である第3の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図4は、本実施の形態にかかるセンサ装置200の外観構成を示す斜視図である。ただし、シャフトSおよび出力ギヤGは断面で示されている。センサ装置200は、ホルダ10の代わりにホルダ210を備える点を除き、第1の実施の形態にかかるセンサ装置1と同様の構成を有する。以下、第1の実施の形態と同一の機能および構成を有する部材および部品については、第1の実施の形態と同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0046】
本実施の形態において、軸受20の径方向外側には、ホルダ210が配置されている。ホルダ210は、第1の実施の形態にかかるセンサ装置1のホルダ10において、外周部材12の一部(面12bの近傍の2つの固定孔12hの間において、面12bに沿って延在している部分と、面12dの近傍の2つの固定孔12hの間において、面12dに沿って延在している部分)が切り落とされた形状となっている。
【0047】
ホルダ210は、軸方向視(平面視)略正方形の筒形状であり、内周部材11および2つの外周部材212を有する。外周部材212は、径方向において、内周部材11よりも外側に配置されている。軸方向において、内周部材11の寸法は、外周部材212の寸法と同一である。軸方向において、内周部材11の正面側(他方側)の端面および背面側(一方側)の端面は、それぞれ外周部材212の正面側の端面および背面側の端面と同一平面上にある。
【0048】
2つの外周部材212は、軸Xを含む平面に対して鏡面対称となるように、それぞれ接続部13によって内周部材11に接続されている。それぞれの外周部材212は、接線方向を長手方向とする略直方体状であり、長手方向の中央部において、径方向の寸法の半分程度まで、内周部材11の外周面11oに沿って略円弧状に欠けた形状をなしている。2つの外周部材212は同一の構成を有するため、以降、1つの外周部材212のみを詳細に説明し、他の外周部材212については詳細な説明を省略する。
【0049】
外周部材の両端部近傍には、それぞれ1つずつ、軸方向視(平面視)円形の固定孔212hが設けられている。それぞれの固定孔212hは、外周部材212を軸方向に貫通する。固定孔212hに挿通される図示しないボルトBによって、ホルダ210(外周部材212)は、図示しないハウジングHに固定することができる。
【0050】
外周部材212は、内周部材11の外周面11oと対向する、軸Xを中心とする軸方向視(平面視)円弧状の2つの内周面212iを有する。径方向において、外周部材212のそれぞれの内周面212iは、接続部13によって接続されている部分および後述する貫通孔215が存在する部分を除き、それぞれ軸方向視円弧状の溝214を介して内周部材11の外周面11oと対向している。それぞれの溝214は、ホルダ210を軸方向に貫通している。
【0051】
それぞれの溝214の端部(接続部13に近い側の端部)は、ホルダ10を軸方向に貫通する、軸方向視(平面視)円形の貫通孔215に接続されている。すなわち、一つの溝214の端部に貫通孔215が接続されており、溝214と貫通孔215とは連通している。貫通孔215の直径は、外周部材212の固定孔212hの直径と同一または略同一であり、溝214の幅(径方向における、内周部材11と外周部材212との間の距離)よりも大きい。
【0052】
軸方向視(平面視)において、2つの固定孔212hと、2つの貫通孔215とは、外周部材212の長手方向に直線上に並んで配置されている。接続部13は、隣接する2つの貫通孔215の間の領域として形成されている。
【0053】
外周部材212の、内周部材11に接続されている側とは反対側の面212aには、2つの第2のひずみセンサ17が配置されている。それぞれの第2のひずみセンサ17は、貫通孔215の近傍に取り付けられている。具体的には、軸Yに沿った方向において、第2のひずみセンサ17は、貫通孔215と対向する位置に配置されている。第2のひずみセンサ17は、面212aの、軸方向(軸Xに沿った方向)に対して垂直な平面に沿った方向のひずみを検出できるように取り付けられている。第2のひずみセンサ17は、ホルダ210の、軸方向(軸Xに沿った方向)と直交する方向の変形を検出することができる。なお、外周部材212は2つ存在するため、センサ装置200は、全体として合計4つの第2のひずみセンサ17を有する。
【0054】
第2のひずみセンサ17がひずみゲージである場合、グリッド(ゲージ)の向き(典型的には、ひずみゲージの長手方向)が面212aの長手方向(軸方向に直交する方向)に沿うように取り付けられている。第2のひずみセンサ17がひずみゲージである場合、ホルダ210のひずみは抵抗値の変化として検出される。なお、第2のひずみセンサ17は、ひずみゲージに限られず、圧電素子等の、その他種々のセンサであってもよい。
【0055】
本実施の形態にかかるセンサ装置は、第1の実施の形態にかかるセンサ装置1について上記した特性を同様に有する。加えて、本実施の形態にかかるトルクセンサは、ホルダ210が第1の実施の形態にかかるセンサ装置1のホルダ10と比較して軽量であるため、装置の軽量化が可能となる。
【0056】
以上、本発明のセンサ装置について、好ましい実施の形態を挙げて説明したが、本発明のセンサ装置は上記実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態にかかるセンサ装置1,100,200は、電動アシスト自転車に用いられるものであるが、本発明のセンサ装置は、電動アシスト自転車に用いられるものに限られない。
【0057】
上記実施の形態にかかるセンサ装置1,100,200において、負荷部材はチェーンリング30であったが、負荷部材は、荷重によって軸方向に傾くような応力が発生するものであれば、他の部材であってもよい。
【0058】
上記実施の形態にかかるセンサ装置1,100,200においては、ホルダ10,210の外周部材12,212に第2のひずみセンサ17が取り付けられているが、本発明のセンサ装置は、第2のひずみセンサ17を有していなくてもよい。
【0059】
上記実施の形態にかかるセンサ装置1,100,200においては、軸受20は、出力ギヤGのボス部G2を介してシャフトSに固定されていたが、本発明のセンサ装置は、軸受が直接シャフトに固定されていてもよい。なお、その場合、チェーンリング等の負荷部材も、出力ギヤGのボス部G2を介さずにシャフトSに固定される。
【0060】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のセンサ装置を適宜改変し、また各種構成の組み合わせを変更することができる。かかる変更によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0061】
1,100,200…センサ装置、10,210…ホルダ、11…内周部材、12,212…外周部材、13…接続部、16…第1のひずみセンサ、17…第2のひずみセンサ、20…軸受、21…内輪、22…外輪、30…チェーンリング(負荷部材)、S…シャフト、Fa,Fe…荷重。
図1
図2
図3
図4