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特開2023-180818複合材構造体の製造装置及び複合材構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180818
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】複合材構造体の製造装置及び複合材構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/54 20060101AFI20231214BHJP
   B29C 39/10 20060101ALI20231214BHJP
   B29C 39/24 20060101ALI20231214BHJP
   B29C 70/48 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B29C70/54
B29C39/10
B29C39/24
B29C70/48
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094427
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】徳冨 寛
(72)【発明者】
【氏名】清水 正彦
(72)【発明者】
【氏名】真能 翔也
(72)【発明者】
【氏名】新藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 健
【テーマコード(参考)】
4F204
4F205
【Fターム(参考)】
4F204AC05
4F204AD16
4F204AJ08
4F204EA03
4F204EB01
4F204EB11
4F204EK17
4F204EK24
4F204EK27
4F205AC05
4F205AD16
4F205AJ08
4F205HA06
4F205HA12
4F205HA23
4F205HA35
4F205HB01
4F205HB11
4F205HK05
4F205HK24
4F205HK31
4F205HM02
(57)【要約】
【課題】製造される複合材構造体の品質を向上させることを目的とする。
【解決手段】製造装置10は、所定の形状に賦形された繊維基材2に対して樹脂を含浸させることで複合材構造体1を製造する。製造装置10は、内部に空間が形成され、空間に設けられた繊維基材2を覆うカウルプレート12と、繊維基材2に対して樹脂を供給する供給部14と、カウルプレート12に形成された排出孔15cを介して空間から気体を排出する排出部15と、空間であってカウルプレート12と繊維基材2との間に設けられ、排出部15から気体が排出されることで繊維基材2を加圧する三角圧子13と、を備えている。三角圧子13は、繊維基材2と対向するウェブ部対向面13bと、カウルプレート12と対向するカウルプレート対向面13cとを有し、ウェブ部対向面13bとカウルプレート対向面13cとを繋ぐ第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eが形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状に賦形された繊維基材に対して樹脂を含浸させることで複合材構造体を製造する複合材構造体の製造装置であって、
内部に空間が形成され、該空間に設けられた前記繊維基材を覆う被覆部と、
前記繊維基材に対して樹脂を供給する供給部と、
前記被覆部に形成された排出孔を介して前記空間から気体を排出する排出部と、
前記空間であって前記被覆部と前記繊維基材との間に設けられ、前記排出部から気体が排出されることで前記繊維基材を加圧する治具と、を備え、
前記治具は、前記繊維基材と対向する繊維基材対向面と、前記被覆部と対向する被覆部対向面とを有し、前記繊維基材対向面と前記被覆部対向面とを繋ぐ貫通孔が形成されている複合材構造体の製造装置。
【請求項2】
前記繊維基材と前記治具の前記繊維基材対向面との間に、樹脂を遮るとともに気体を通過させる通気部が設けられている請求項1に記載の複合材構造体の製造装置。
【請求項3】
前記被覆部と前記治具の前記被覆部対向面との間に、樹脂を遮るとともに気体を通過させる通気部が設けられている請求項1に記載の複合材構造体の製造装置。
【請求項4】
前記治具は中実とされている請求項1に記載の複合材構造体の製造装置。
【請求項5】
所定の形状に賦形された繊維基材に対して樹脂を含浸させることで複合材構造体を製造する複合材構造体の製造装置を用いた複合材構造体の製造方法であって、
前記製造装置は、
内部に空間が形成され、該空間に設けられた前記繊維基材を覆う被覆部と、
前記繊維基材に対して樹脂を供給する供給部と、
前記被覆部に形成された排出孔を介して前記空間から気体を排出する排出部と、
前記空間であって前記被覆部と前記繊維基材との間に設けられ、前記排出部から気体が排出されることで前記繊維基材を加圧する治具と、を備え、
前記治具は、前記繊維基材と対向する繊維基材対向面と、前記被覆部と対向する被覆部対向面とを有し、前記繊維基材対向面と前記被覆部対向面とを繋ぐ貫通孔が形成されていて、
前記貫通孔を介して前記排出部から気体を排出する工程を備える複合材構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合材構造体の製造装置及び複合材構造体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂と繊維とが複合する複合材で形成された部品を製造する方法として、所定の形状に賦形した繊維基材に対して樹脂を含浸させて、繊維基材に含浸した樹脂を硬化させる方法が知られている。この方法では、繊維基材をバッグやカウルプレートを覆い、バッグやカウルプレートで覆った繊維基材に対して樹脂を供給するとともに、繊維基材が配置されている空間の気体を排出(真空吸引)することで繊維基材を加圧し樹脂を含浸させる。
【0003】
しかしながら、アンダーカット形状を有する部品や湾曲部を有する部品等を製造する場合、繊維基材をバッグで覆うとブリッジングが発生してしまい繊維基材を好適に加圧することができない可能性がある。また、カウルプレートで繊維基材を覆う場合には、カウルプレートを繊維基材になつかせようとすると繊維の引きずりが発生してしまう。このような問題を解決するために、繊維基材に断面が略三角形状の圧子を用いて、圧子を介して間接的に加圧する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1には、コンポーネント32をバキュームフィルム10で覆い、断面が略三角形状であって中空状のマンドレル78を介して間接的にコンポーネント32を加圧する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第10213970号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
三角形状の圧子を用いる場合には、圧子と接触する繊維基材の面は、直接真空吸引することはできない。したがって、圧子と接触する繊維基材の部分に含まれる気体(例えば、空気や揮発ガス)は、繊維基材内を伝って排出部へ導かれることとなる。この場合には、気体の流通経路の途中部分に樹脂が含浸してしまうと、当該部分で気体の流通が遮られることとなり、遮られた気体が排出部から排出されず繊維基材に残留してしまう場合がある。繊維基材に気体が残留してしまうと、当該部分に樹脂が含浸されないことから、完成後の部品の品質が低下する可能性があった。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、製造される複合材構造体の品質を向上させることができる複合材構造体の製造装置及び複合材構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の複合材構造体の製造装置及び複合材構造体の製造方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る複合材構造体の製造装置は、所定の形状に賦形された繊維基材に対して樹脂を含浸させることで複合材構造体を製造する複合材構造体の製造装置であって、内部に空間が形成され、該空間に設けられた前記繊維基材を覆う被覆部と、前記繊維基材に対して樹脂を供給する供給部と、前記被覆部に形成された排出孔を介して前記空間から気体を排出する排出部と、前記空間であって前記被覆部と前記繊維基材との間に設けられ、前記排出部から気体が排出されることで前記繊維基材を加圧する治具と、を備え、前記治具は、前記繊維基材と対向する繊維基材対向面と、前記被覆部と対向する被覆部対向面とを有し、前記繊維基材対向面と前記被覆部対向面とを繋ぐ貫通孔が形成されている。
【0009】
本開示の一態様に係る複合材構造体の製造方法は、所定の形状に賦形された繊維基材に対して樹脂を含浸させることで複合材構造体を製造する複合材構造体の製造装置を用いた複合材構造体の製造方法であって、前記製造装置は、内部に空間が形成され、該空間に設けられた前記繊維基材を覆う被覆部と、前記繊維基材に対して樹脂を供給する供給部と、前記被覆部に形成された排出孔を介して前記空間から気体を排出する排出部と、前記空間であって前記被覆部と前記繊維基材との間に設けられ、前記排出部から気体が排出されることで前記繊維基材を加圧する治具と、を備え、前記治具は、前記繊維基材と対向する繊維基材対向面と、前記被覆部と対向する被覆部対向面とを有し、前記繊維基材対向面と前記被覆部対向面とを繋ぐ貫通孔が形成されていて、前記貫通孔を介して前記排出部から気体を排出する工程を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、製造される複合材構造体の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の第1実施形態に係る複合材構造体の製造装置を示す模式的な縦断面図である。
図2】本開示の第1実施形態の変形例に係る複合材構造体の製造装置を示す模式的な縦断面図である。
図3】本開示の第1実施形態の変形例に係る複合材構造体の製造装置を示す模式的な縦断面図である。
図4】本開示の第2実施形態に係る複合材構造体の製造装置を示す模式的な縦断面図である。
図5】本開示の第3実施形態に係る複合材構造体の製造装置を示す模式的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係る複合材構造体の製造装置及び複合材構造体の製造方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態について、図1から図3を用いて説明する。
本実施形態に係る製造装置10は、複合材で形成された航空機部品(例えば、ストリンガ、スパー、フレーム、リブ等)を製造する際に用いられる。複合材の例として、例えば、樹脂と炭素繊維とが複合した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が挙げられる。なお、本実施形態に係る製造装置10が製造する部品は、航空機部品に限定されない。例えば、宇宙機器や自動車や風力発電機器等に用いられる部品であってもよい。また、以下の説明では、製造装置10によって製造される製品を「複合材構造体1」と称する。
【0014】
本実施形態に係る製造装置は、所望の形状に賦形された炭素繊維の基材(以下、「繊維基材2」と称する。)に対して液状の樹脂を含浸させて、繊維基材2に含浸した状態の樹脂を硬化させることで複合材構造体1を製造する装置である。
【0015】
本実施形態に係る複合材構造体1は、所定方向(図1等では紙面奥行方向)に延在する長尺状の部材である。複合材構造体1は、例えば、長手方向の長さが5m~10m程度とされている。複合材構造体1は、図1に示すように、長手方向(図1等では紙面奥行方向)に直交する面で切断した際の断面(以下、単に「断面」と称する)の形状が、いわゆるハット形状を為している。
【0016】
繊維基材2は、複合材構造体1と略同一の形状を為している。すなわち、繊維基材2は、断面の形状がハット形状を為している。詳細には、繊維基材2は、図1に示すように、幅方向(図1等では左右方向)へ延びる一対のフランジ部2aと、各フランジ部2aの内側端部から上方へ延びる一対のウェブ部2bと、一対のウェブ部2bの内側端部同士を連結するキャップ部2cと、を有している。フランジ部2aとウェブ部2bとは、湾曲部を介して接続されている。また、ウェブ部2bとキャップ部2cとは、湾曲部を介して接続されている。
【0017】
繊維基材2は、断面の形状が、長手方向の略全域で同様の形状とされている。なお、図1等では図示の関係上、繊維体の一部のみを図示している。また、繊維基材及び複合材構造体の形状は一例であって、これに限定されない。
【0018】
製造装置10は、繊維基材2が載置される型11と、繊維基材2及び繊維基材2が載置されている型11を上方から覆うカウルプレート(被覆部)12と、繊維基材2と当接する三角圧子(治具)13と、繊維基材2に対して樹脂を供給する供給部14と、カウルプレート12に覆われた空間から気体を排出する排出部15と、を備えている。
【0019】
型11は、載置面に繊維基材2が載置される。載置面の断面形状は、繊維基材2の形状に対応している。型11は、フランジ部2aと接触する第1部分11aと、ウェブ部2bと接触する第2部分11bと、キャップ部2cと接触する第3部分11cと、を一体的に有する。なお、型11と繊維基材2とは直接接触してもよく、何らかの部材を介して接触してもよい。なお、型11の材質は金属でもよく、木材でもよく、樹脂材料であってもよい。
【0020】
第2部分11bは、背面(繊維基材2が載置される面(載置面)とは反対側の面)から載置面に向かって樹脂を供給する供給部14が複数設けられている。複数の供給部14は、上下方向に沿って所定の間隔で並んで配置されている。また、複数の供給部14は、型11の長手方向(紙面奥行方向)に沿って所定の間隔で並んで配置されている。各供給部14は、液状の樹脂を繊維基材2に供給する。
【0021】
また、第3部分11cは、下面(繊維基材2が載置される面(載置面)とは反対側の面)から載置面に向かって樹脂を供給する供給部14が複数設けられている。複数の供給部14は、左右方向に沿って所定の間隔で並んで配置されている。また、複数の供給部14は、型11の長手方向(紙面奥行方向)に沿って所定の間隔で並んで配置されている。各供給部14は、液状の樹脂を繊維基材2に供給する。
【0022】
カウルプレート12は、板状の部材である。カウルプレート12は、型11に載置された繊維基材2及び繊維基材2と当接する三角圧子13を上方から覆っている。カウルプレート12は、内部に空間が形成されている。カウルプレート12の内部に形成される空間には、繊維基材2及び三角圧子13が設けられている。カウルプレート12は、空間に設けられた繊維基材2及び三角圧子13を覆っている。
【0023】
カウルプレート12は、型11の第1部分11aと対向する第1プレート部12aと、三角圧子13のカウルプレート対向面13cと対向する第2プレート部12bと、型11の第3部分11cと対向する第3プレート部12cと、第1プレート部12aと第2プレート部12bとを接続する段部12dと、を一体的に有している。第2プレート部12bと第3プレート部12cとは、湾曲部を介して接続されている。
カウルプレート12の内周面には、カウルプレート通気シート20が設けられている。カウルプレート通気シート20は、内周面と面接触している。詳細には、カウルプレート通気シート20は、第2プレート部12b、第3プレート部12c及び段部12dの一部の内周面と面接触している。カウルプレート通気シート20は、排出孔15cを内側から覆っている。カウルプレート通気シート20は、シート状の部材である。カウルプレート通気シート20は、樹脂を遮るとともに気体を通過させる。カウルプレート通気シート20の端部は、シールテープ22によってシールされている。
また、カウルプレート12の第3プレート部12cと、繊維基材2のキャップ部2cとの間には、カウルプレート離型シート21が設けられている。カウルプレート離型シート21は、カウルプレート12と繊維基材2とを離型し易くしている。
【0024】
カウルプレート12には、排出部15が設けられている。詳細には、カウルプレート12の第2プレート部12bには、排出部15が設けられている。第2プレート部12bには、カウルプレート12を板厚方向に貫通する排出孔15cが形成されている。排出部15は、排出孔15cを介して気体(例えば、空気や揮発ガス)を排出する。排出孔15cは、上下方向において、第2プレート部12bの略中央に設けられている。また、排出孔15cは、上下方向において、後述する三角圧子13に形成された第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eとの間に設けられている。
【0025】
排出部15は、排出孔15cを介してカウルプレート12の内部に形成された空間から気体を排出する。排出部15は、第2プレート部12bに形成された貫通孔に挿入される排出管15aと、排出管15aとカウルプレート12との間をシールするシール部15bと、を有している。排出管15aの一端はカウルプレート12の内側の空間に開口している。排出管15aの他端は、カウルプレート12の外側の空間に開口している。シール部15bは、カウルプレート12の外周面に設けられている。
【0026】
三角圧子13は、中実の部材であって、所定方向(図1等では紙面奥行方向)に延在する長尺状の部材である。三角圧子13は、長手方向の断面(長手方向と直交する面で切断した際の断面)が略三角形状の部材である。三角圧子13は、カウルプレート12によって形成された空間に設けられている。三角圧子13は、カウルプレート12と繊維基材2との間に設けられている。三角圧子13は、排出部15から気体が排出されることで繊維基材2を加圧する。詳細には、繊維基材2を型11に押し付けるように加圧する。
【0027】
三角圧子13は、フランジ部2aの内周面と対向及び接触するフランジ部対向面13aと、ウェブ部2bの内周面と対向及び接触するウェブ部対向面(繊維基材対向面)13bと、カウルプレート12の内周面と対向及び接触するカウルプレート対向面(被覆部対向面)13cと、を有する。ウェブ部対向面13bは、フランジ部対向面13aの端部から略直角に湾曲して延在している。
【0028】
三角圧子13は、ウェブ部対向面13bとカウルプレート対向面13cとを繋ぐ第1貫通孔(貫通孔)13d及び第2貫通孔(貫通孔)13eが形成されている。第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eは、上下方向に所定の間隔で並んで配置されている。第1貫通孔13dは、カウルプレート12に形成された排出孔15cよりも上方に設けられている。第2貫通孔13eは、カウルプレート12に形成された排出孔15cよりも下方に設けられている。第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eは、直線状に形成されている。
また、第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eは、各々、長手方向(紙面奥行方向)に所定の間隔で並んで配置されている。
【0029】
三角圧子13のウェブ部対向面13bと、繊維基材2のウェブ部2bとの間には、入口側通気シート(通気部)16及び入口側離型シート17が設けられている。詳細には、三角圧子13のウェブ部対向面13bと、繊維基材2のウェブ部2bとの間には、三角圧子13側から順番に、入口側通気シート16及び入口側離型シート17が順番に設けられている。三角圧子13と繊維基材2とは、入口側通気シート16及び入口側離型シート17を介して接触している。
【0030】
入口側通気シート16は、シート状の部材である。入口側通気シート16は、樹脂を遮るとともに気体を通過させる。入口側通気シート16は、三角圧子13のウェブ部対向面13bと面接触している。入口側通気シート16は、第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eの入口(繊維基材2側の端部に形成された開口)を覆っている。また、入口側通気シート16の上端及び下端には、シールテープ16aが設けられている。シールテープ16aは、入口側通気シート16の上端及び下端と三角圧子13との間に樹脂が入り込まないように、シールしている。
入口側離型シート17は、孔のあいた離型シート(または、離型フィルム)であって、繊維基材2と三角圧子13とを離型し易くしている。入口側離型シート17は、入口側通気シート16よりも大きい。
【0031】
三角圧子13のカウルプレート対向面13cと、カウルプレート12の第2プレート部12bの内周面(詳細には、第2プレート部12bの内周面に設けられたカウルプレート通気シート20)との間には、出口側通気シート18及び出口側離型シート19が設けられている。具体的には、三角圧子13側から順番に、出口側通気シート18及び出口側離型シート19が順番に設けられている。三角圧子13とカウルプレート12とは、出口側通気シート18及び出口側離型シート19を介して接触している。
【0032】
出口側通気シート18は、シート状の部材である。出口側通気シート18は、樹脂を遮るとともに気体を通過させる。出口側通気シート18は、三角圧子13のカウルプレート対向面13cと面接触している。出口側通気シート18は、第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eの出口(カウルプレート12側の端部に形成された開口)を覆っている。また、出口側通気シート18の上端及び下端には、シールテープ18aが設けられている。シールテープ18aは、出口側通気シート18の上端及び下端と三角圧子13との間に樹脂が入り込まないように、シールしている。
出口側離型シート19は、孔のあいた離型シート(または、離型フィルム)であって、三角圧子13とカウルプレート12とを離型し易くしている。出口側離型シート19は、出口側通気シート18よりも大きい。
【0033】
次に、製造装置を用いた複合材構造体の製造方法について説明する。
本実施形態では、RTM(Resin Transfer Molding)成形、もしくは、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)成形を行って複合材構造体を製造する。
まず、炭素繊維の織物を所定の形状に裁断し、裁断した炭素繊維の織物を積層する。積層した状態の炭素繊維の織物を型に押し付けることで所望の形状(本実施形態では断面がハット形状の長尺部材)の繊維基材2を製造する。
【0034】
次に、繊維基材2を型11に載置する。繊維基材2を型11に載置すると、次に三角圧子13を所定の位置に配置する。なお、繊維基材2及び三角圧子13を配置する際には、必要に応じて、各種通気シート、離型シート及びシールテープを所定の位置に配置する。三角圧子13を所定の位置に配置すると、次に、繊維基材2及び三角圧子13をカウルプレート12で上方から覆う。このようにして、各部品を所定の位置に配置する。
【0035】
次に、供給部14から繊維基材2に液状の樹脂を供給するとともに、排出部15からカウルプレート12と型11とで規定された空間から気体を排出する。これにより、繊維基材2に含まれる気体が繊維基材2の外部へ吸い出されるとともに、繊維基材2の内部に樹脂が流入する。このようにして、繊維基材2に樹脂が含浸する。なお、繊維基材2のうち、三角圧子13と接触している部分(特に、ウェブ部2bの上下方向の略中央領域)に含まれる気体は、第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eを通過して、排出部15から排出される。
【0036】
繊維基材2に樹脂が含浸すると、次に、樹脂を硬化させる。樹脂を硬化させることで、複合材構造体1が完成する。次に、カウルプレート12を取り外すとともに、複合材構造体1から三角圧子13を取り外す。最後に、型11から複合材構造体1を取り外す。
本実施形態では、このようにして複合材構造体1を製造する。
【0037】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、三角圧子13にウェブ部対向面13bとカウルプレート対向面13cとを繋ぐ第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eが形成されている。これにより、排出部15から気体を排出する際に、三角圧子13と繊維基材2との間の気体や三角圧子13と接触する繊維基材2の部分が含む気体が第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eを介して排出部15まで流通し排出部15から排出することができる。これにより、繊維基材2(特に、三角圧子13と対向する部分)に好適に樹脂を含浸させることができる。したがって、製造される複合材構造体1の品質を向上させることができる。
【0038】
なお、三角圧子と接触する繊維基材の部分が含む気体を排出する方法として、三角圧子を中空状とし、気体のみを透過させ樹脂を遮断する通気シートを中空状の三角圧子に巻き付け、一旦気体を中空状の三角圧子内に流入させ、三角圧子の内部の気体を吸引することで、気体を排出する方法も考えられる。しかしながら、この方法は、中空の三角圧子の内部の気体をバッグフィルムやカウルプレートの外部まで吸引することが難しく、構造が複雑化する可能性があった。特に、繊維基材をカウルプレートで覆う場合には、三角圧子の内部とカウルプレートの外部に配置される吸引装置との間において、気体が漏れないようにするためには複雑な構造が必要となってしまう可能性があった。
一方で、本実施形態では、三角圧子13に第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eを形成しているだけなので、比較的構造を簡素化することができる。
【0039】
本実施形態では、繊維基材2と三角圧子13のウェブ部対向面13bとの間には、樹脂を遮るとともに気体を通過させる入口側通気シート16が設けられている。これにより、繊維基材2から三角圧子13に向かう樹脂が入口側通気シート16によって遮られる。したがって、ウェブ部対向面13b側から第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eへ樹脂を進入し難くすることができる。よって、第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eが樹脂によって閉塞する事態を発生し難くすることができる。
【0040】
また、入口側通気シート16は気体を通過させる。これにより、入口側通気シート16は第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eを介した気体の排出を妨げない。したがって、第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eを介して三角圧子13と繊維基材2との間の気体や三角圧子13と接触する部分の繊維基材2が含む気体を好適に排出することができる。
【0041】
本実施形態では、カウルプレート12と三角圧子13のカウルプレート対向面13cとの間に、樹脂を遮るとともに気体を通過させる出口側通気シート18が設けられている。これにより、第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eを通過した気体がカウルプレート12と三角圧子13との間を流通する。カウルプレート12と三角圧子13との間を流通した気体は排出部15へ導かれる。このように、第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eと排出部15とを直接接続しなくとも第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eを通過した気体を排出部15へ導くことができる。したがって、第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eと排出部15とを直接接続する構造を設ける場合と比較して、構造を簡素化することができる。
【0042】
また、樹脂が出口側通気シート18によって遮られるので、カウルプレート対向面13c側から第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eへ樹脂を進入し難くすることができる。よって、第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eが樹脂によって閉塞する事態を発生し難くすることができる。
【0043】
本実施形態では、三角圧子13が中実とされている。これにより、三角圧子13を中空とする場合と比較して、三角圧子13の強度及び剛性を向上させることができる。したがって、三角圧子13を大型化することができる。よって、大型の複合材構造体1を製造することができる。
また、本実施形態では、三角圧子13が中実とされているので、三角圧子13を中空とする場合と比較して、容易に三角圧子13を製造することができる。
【0044】
また、本実施形態では、三角圧子13に2種類の貫通孔(第1貫通孔13d及び第2貫通孔13e)が形成されている。これにより、どちらか1種類の貫通孔が閉塞した場合であっても、閉塞していない方の貫通孔で気体を排出部15へ導くことができる。したがって、好適に気体を排出することができる。
【0045】
〔変形例1〕
次に、本実施形態の変形例について、図2を用いて説明する。
本変形例では、三角圧子13のカウルプレート対向面13cに凹部を形成し、凹部内にシール部材30を設けた点で上記第1実施形態と異なっている。その他の点は上記第1実施形態と同様であるので、同一の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0046】
図2に示すように、本変形例に係るカウルプレート対向面13cには、表面から凹む凹部が形成されている。凹部は、第1貫通孔13dの上方及び第2貫通孔13eの下方に設けられている。各凹部内にはカウルプレート対向面13cとカウルプレート12とが接触することで加圧され断線変形するシール部材30が設けられている。出口側通気シート18及び出口側離型シート19は、2つの凹部の間に設けられている。
【0047】
本変形例によれば、第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eの出口側の空間に向かう樹脂がシール部材30によって遮られる。これにより、カウルプレート対向面13c側から第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eへ樹脂を進入し難くすることができる。よって、第1貫通孔13d及び第2貫通孔13eが樹脂によって閉塞する事態を発生し難くすることができる。
【0048】
〔変形例2〕
次に、本実施形態の変形例について、図3を用いて説明する。
本変形例では、排出部15を複数設けた点で上記第1実施形態と異なっている。その他の点は上記第1実施形態と同様であるので、同一の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0049】
図3に示すように、本変形例では、カウルプレート12の第3プレート部12cにも排出部15が設けられている。また、カウルプレート通気シート20が、第2プレート部12bの内周面に設けられるカウルプレート通気シート20aと、第3プレート部12cの内周面に設けられるカウルプレート通気シート20bとに分かれている。また、各通気シートの端部にはシールテープ20cが設けられている。
【0050】
本変形例によれば、カウルプレート通気シートが、カウルプレート通気シート20aとカウルプレート通気シート20bとに分割されているので、1つのカウルプレート通気シートの長さが短くなっている。これにより、よりカウルプレート通気シートをカウルプレート12に密着させることができる。よって、カウルプレート通気シートとカウルプレート12との間に樹脂が入り難くすることができる。
【0051】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態について、図4を用いて説明する。
本実施形態では、複合材構造体(繊維基材)の形状が上記第1実施形態と異なっている。また、繊維基材の形状の変更に伴って、型、治具及びカウルプレートの形状が異なっている点で上記第1実施形態と異なっている。上記第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0052】
図4に示すように、本実施形態に係る製造装置40は、断面の形状が略T字形状の複合材構造体41を製造する。樹脂が含浸される前の繊維基材42も略T字形状を為している。
【0053】
型51は、平板状の部材である。型51の上面には繊維基材42が載置される。型51の下面には、繊維基材42へ樹脂を供給する供給部14が複数設けられている。
【0054】
また、繊維基材42に対応するように圧子(治具)53が設けられる。圧子53は型51の上面に載置された状態の繊維基材42を上方から覆っている。圧子53には、繊維基材42と対向する面からカウルプレート52と対向する面とを繋ぐ貫通孔53aが形成されている。繊維基材42と圧子53との間には入口側通気シート56が設けられている。
【0055】
また、圧子53を上方から覆うようにカウルプレート52が設けられている。カウルプレート52は内部に空間が形成されていて、この空間に圧子53及び繊維基材42が設けられている。また、カウルプレート52の内周面には、カウルプレート通気シート60が設けられている。カウルプレート52と圧子53との間には、貫通孔53aの出口側の開口を覆う出口側通気シート58が設けられている。また、出口側通気シート58とカウルプレート通気シート60との間には、出口側離型シート59が設けられている。カウルプレート52の頂点には排出部15が設けられている。
【0056】
本実施形態においても、繊維基材42内に含まれる気体が貫通孔53aを通過して排出部15から排出される。したがって、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0057】
〔第3実施形態〕
以下、本開示の第3実施形態について、図5を用いて説明する。本実施形態では、カウルプレート52の代わりにバッグフィルム71を設けた点で上記第2実施形態と異なっている。その他の点は上記第2実施形態と同様であるので、同一の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
図5に示すように、本実施形態に係る製造装置70は、型51と供給部14との間には樹脂通過フィルム72が設けられている。
また、本実施形態に係る製造装置70は、出口側離型フィルムが設けられていない。
バッグフィルム71は、上方から繊維基材42、圧子53及び型51を覆っている。
【0058】
本実施形態においても、上記第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0059】
なお、本開示は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、上記各実施形態では、長手方向に直交する面で切断した際の断面形状がハット形状の複合材構造体1やT形状の複合材構造体41を製造する場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、長手方向に直交する面で切断した際の断面形状がC形状やL形状やZ形状の成形品を製造する場合に、本開示に係る製造装置及び製造方法を用いてもよい。
【0060】
また、上記第1実施形態では、繊維基材2をカウルプレート12で覆う例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、繊維基材2をバッグフィルムで覆ってもよい。
【0061】
以上説明した実施形態に記載の複合材構造体の製造装置及び複合材構造体の製造方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る複合材構造体の製造装置は、所定の形状に賦形された繊維基材(2)に対して樹脂を含浸させることで複合材構造体(1)を製造する複合材構造体の製造装置(10)であって、内部に空間が形成され、該空間に設けられた前記繊維基材を覆う被覆部(12)と、前記繊維基材に対して樹脂を供給する供給部(14)と、前記被覆部に形成された排出孔(15c)を介して前記空間から気体を排出する排出部(15)と、前記空間であって前記被覆部と前記繊維基材との間に設けられ、前記排出部から気体が排出されることで前記繊維基材を加圧する治具(13)と、を備え、前記治具は、前記繊維基材と対向する繊維基材対向面(13b)と、前記被覆部と対向する被覆部対向面(13c)とを有し、前記繊維基材対向面と前記被覆部対向面とを繋ぐ貫通孔(13d,13e)が形成されている。
【0062】
上記構成では、治具に繊維基材対向面と被覆部対向面とを繋ぐ貫通孔が形成されている。これにより、排出部から気体を排出する際に、治具と繊維基材との間の気体や治具と接触する繊維基材の部分が含む気体が貫通孔を介して排出部まで流通し排出部から排出することができる。これにより、繊維基材(特に、治具と対向する部分)に好適に樹脂を含浸させることができる。したがって、製造される複合材構造体の品質を向上させることができる。
また、治具に貫通孔を形成しているだけなので、比較的構造を簡素化することができる。
【0063】
また、本開示に係る複合材構造体の製造装置は、上記第1態様において、前記繊維基材と前記治具の前記繊維基材対向面との間に、樹脂を遮るとともに気体を通過させる通気部(16)が設けられている。
【0064】
上記構成では、繊維基材と治具の基材対向面との間には、樹脂を遮るとともに気体を通過させる通気部が設けられている。これにより、繊維基材から治具に向かう樹脂が通気部によって遮られる。したがって、繊維基材対向面側から貫通孔へ樹脂を進入し難くすることができる。よって、貫通孔が樹脂によって閉塞する事態を発生し難くすることができる。
また、通気部は気体を通過させる。これにより、通気部は貫通孔を介した気体の排出を妨げない。したがって、貫通孔を介して治具と繊維基材との間の気体や治具と接触する部分の繊維基材が含む気体を好適に排出することができる。
【0065】
また、本開示に係る複合材構造体の製造装置は、上記第1態様または第2態様において、前記被覆部と前記治具の前記被覆部対向面との間に、樹脂を遮るとともに気体を通過させる通気部(18)が設けられている。
【0066】
上記構成では、被覆部と治具の被覆部対向面との間に、樹脂を遮るとともに気体を通過させる通気部が設けられている。これにより、貫通孔を通過した気体が被覆部と治具との間を流通する。被覆部と治具との間を流通した気体は排出部へ導かれる。このように、貫通孔と排出部とを直接接続しなくとも貫通孔を通過した気体を排出部へ導くことができる。したがって、貫通孔と排出部とを直接接続する構造を設ける場合と比較して、構造を簡素化することができる。
また、樹脂が通気部によって遮られるので、被覆部対向面側から貫通孔へ樹脂を進入し難くすることができる。よって、貫通孔が樹脂によって閉塞する事態を発生し難くすることができる。
【0067】
また、本開示に係る複合材構造体の製造装置は、上記第1態様から第3態様のいずれかにおいて、前記治具は中実とされている。
【0068】
上記構成では、治具が中実とされている。これにより、治具を中空とする場合と比較して、治具の強度及び剛性を向上させることができる。したがって、治具を大型化することができる。よって、大型の複合材構造体を製造することができる。
また、上記構成では、治具が中実とされているので、治具を中空とする場合と比較して、容易に治具を製造することができる。
【0069】
本開示に係る複合材構造体の製造方法は、所定の形状に賦形された繊維基材(2)に対して樹脂を含浸させることで複合材構造体(1)を製造する複合材構造体の製造装置(10)を用いた複合材構造体の製造方法であって、前記製造装置は、内部に空間が形成され、該空間に設けられた前記繊維基材を覆う被覆部(12)と、前記繊維基材に対して樹脂を供給する供給部(14)と、前記被覆部に形成された排出孔(15c)を介して前記空間から気体を排出する排出部(15)と、前記空間であって前記被覆部と前記繊維基材との間に設けられ、前記排出部から気体が排出されることで前記繊維基材を加圧する治具(13)と、を備え、前記治具は、前記繊維基材と対向する繊維基材対向面(13b)と、前記被覆部と対向する被覆部対向面(13c)とを有し、前記繊維基材対向面と前記被覆部対向面とを繋ぐ貫通孔(13d,13e)が形成されていて、前記貫通孔を介して前記排出部から気体を排出する工程を備える。
【符号の説明】
【0070】
1 :複合材構造体
2 :繊維基材
2a :フランジ部
2b :ウェブ部
2c :キャップ部
10 :製造装置
11 :型
11a :第1部分
11b :第2部分
11c :第3部分
12 :カウルプレート(被覆部)
12a :第1プレート部
12b :第2プレート部
12c :第3プレート部
12d :段部
13 :三角圧子(治具)
13a :フランジ部対向面
13b :ウェブ部対向面(繊維基材対向面)
13c :カウルプレート対向面(被覆部対向面)
13d :第1貫通孔(貫通孔)
13e :第2貫通孔(貫通孔)
14 :供給部
15 :排出部
15a :排出管
15b :シール部
15c :排出孔
16 :入口側通気シート(通気部)
16a :シールテープ
17 :入口側離型シート
18 :出口側通気シート
18a :シールテープ
19 :出口側離型シート
20 :カウルプレート通気シート
20a :カウルプレート通気シート
20b :カウルプレート通気シート
20c :シールテープ
21 :カウルプレート離型シート
22 :シールテープ
30 :シール部材
40 :製造装置
41 :複合材構造体
42 :繊維基材
51 :型
52 :カウルプレート
53 :圧子
53a :貫通孔
56 :入口側通気シート
58 :出口側通気シート
59 :出口側離型シート
60 :カウルプレート通気シート
70 :製造装置
71 :バッグフィルム
72 :樹脂通過フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状に賦形された繊維基材に対して樹脂を含浸させることで複合材構造体を製造する複合材構造体の製造装置であって、
内部に空間が形成され、該空間に設けられた前記繊維基材を覆う被覆部と、
前記繊維基材に対して樹脂を供給する供給部と、
前記被覆部に形成された排出孔を介して前記空間から気体を排出する排出部と、
前記空間であって前記被覆部と前記繊維基材との間に設けられ、前記排出部から気体が排出されることで前記繊維基材を加圧する治具と、を備え、
前記治具は、前記繊維基材と対向する繊維基材対向面と、前記被覆部と対向する被覆部対向面とを有し、前記繊維基材対向面と前記被覆部対向面とを繋ぐ貫通孔が形成されていて、
前記被覆部は、前記被覆部対向面と対向する対向部を有し、
前記排出部は、前記対向部に設けられていて、
前記繊維基材と前記治具の前記繊維基材対向面との間に、樹脂を遮るとともに気体を通過させる通気部が設けられている複合材構造体の製造装置。
【請求項2】
前記被覆部と前記治具の前記被覆部対向面との間に、樹脂を遮るとともに気体を通過させる通気部が設けられている請求項1に記載の複合材構造体の製造装置。
【請求項3】
前記治具は中実とされている請求項1に記載の複合材構造体の製造装置。
【請求項4】
所定の形状に賦形された繊維基材に対して樹脂を含浸させることで複合材構造体を製造する複合材構造体の製造装置を用いた複合材構造体の製造方法であって、
前記製造装置は、
内部に空間が形成され、該空間に設けられた前記繊維基材を覆う被覆部と、
前記繊維基材に対して樹脂を供給する供給部と、
前記被覆部に形成された排出孔を介して前記空間から気体を排出する排出部と、
前記空間であって前記被覆部と前記繊維基材との間に設けられ、前記排出部から気体が排出されることで前記繊維基材を加圧する治具と、を備え、
前記治具は、前記繊維基材と対向する繊維基材対向面と、前記被覆部と対向する被覆部対向面とを有し、前記繊維基材対向面と前記被覆部対向面とを繋ぐ貫通孔が形成されていて、
前記被覆部は、前記被覆部対向面と対向する対向部を有し、
前記排出部は、前記対向部に設けられていて、
前記繊維基材と前記治具の前記繊維基材対向面との間に、樹脂を遮るとともに気体を通過させる通気部が設けられていて、
前記貫通孔を介して前記排出部から気体を排出する工程を備える複合材構造体の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形状に賦形された繊維基材に対して樹脂を含浸させることで複合材構造体を製造する複合材構造体の製造装置であって、
内部に空間が形成され、該空間に設けられた前記繊維基材を覆う被覆部と、
前記繊維基材に対して樹脂を供給する供給部と、
前記被覆部に形成された排出孔を介して前記空間から気体を排出する排出部と、
前記空間であって前記被覆部と前記繊維基材との間に設けられ、前記排出部から気体が排出されることで前記繊維基材を加圧する治具と、を備え、
前記治具は、前記繊維基材と対向する繊維基材対向面と、前記被覆部と対向する被覆部対向面とを有し、前記繊維基材対向面と前記被覆部対向面とを繋ぐ貫通孔が形成されていて、
前記被覆部は、前記被覆部対向面と対向する対向部を有し、
前記排出部は、前記対向部に設けられていて、
前記繊維基材と前記治具の前記繊維基材対向面との間に、樹脂を遮るとともに気体を通過させる第1通気部が設けられていて、
前記被覆部と前記治具の前記被覆部対向面との間に、樹脂を遮るとともに気体を通過させる第2通気部が設けられている複合材構造体の製造装置。
【請求項2】
前記治具は中実とされている請求項1に記載の複合材構造体の製造装置。
【請求項3】
所定の形状に賦形された繊維基材に対して樹脂を含浸させることで複合材構造体を製造する複合材構造体の製造装置を用いた複合材構造体の製造方法であって、
前記製造装置は、
内部に空間が形成され、該空間に設けられた前記繊維基材を覆う被覆部と、
前記繊維基材に対して樹脂を供給する供給部と、
前記被覆部に形成された排出孔を介して前記空間から気体を排出する排出部と、
前記空間であって前記被覆部と前記繊維基材との間に設けられ、前記排出部から気体が排出されることで前記繊維基材を加圧する治具と、を備え、
前記治具は、前記繊維基材と対向する繊維基材対向面と、前記被覆部と対向する被覆部対向面とを有し、前記繊維基材対向面と前記被覆部対向面とを繋ぐ貫通孔が形成されていて、
前記被覆部は、前記被覆部対向面と対向する対向部を有し、
前記排出部は、前記対向部に設けられていて、
前記繊維基材と前記治具の前記繊維基材対向面との間に、樹脂を遮るとともに気体を通過させる第1通気部が設けられていて、
前記被覆部と前記治具の前記被覆部対向面との間に、樹脂を遮るとともに気体を通過させる第2通気部が設けられていて、
前記貫通孔を介して前記排出部から気体を排出する工程を備える複合材構造体の製造方法。