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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180824
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】無線通信装置、及び、通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/12 20230101AFI20231214BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20231214BHJP
   H04W 76/34 20180101ALI20231214BHJP
   H04W 72/566 20230101ALI20231214BHJP
【FI】
H04W72/12
H04W84/12
H04W76/34
H04W72/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094437
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠介
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA14
5K067AA23
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE22
5K067JJ17
(57)【要約】
【課題】無線LANにおいてPreemptionを実現することができる仕組みを提供する。
【解決手段】本開示の無線通信装置は、制御部を備える。制御部は、第一の信号の送信中に、前記第一の信号の送信を打ち切って、第二の信号を送信する制御を行う。前記第二の信号は、前記第一の信号を打ち切ったことを示す第一の情報を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の信号の送信中に、前記第一の信号の送信を打ち切って、第二の信号を送信する制御を行う制御部、
を備え、
前記第二の信号は、前記第一の信号を打ち切ったことを示す第一の情報を含む、
無線通信装置。
【請求項2】
前記第一の信号は、送信中に打ち切られることを許容することを示す第二の情報を含む、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第一の信号の送信中に、所定以下の遅延が要求されるデータが生成された場合に、前記第一の信号の送信を打ち切って、前記データを前記第二の信号として送信する制御を行う、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第一の情報は、前記第二の信号のPHYヘッダに格納される、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第一の信号の宛先である第一の無線通信装置に、前記第一の信号に対する応答信号の送信方法を通知する制御を行う、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、他の無線通信装置との間でケイパビリティチェックを行う際に、前記送信方法を通知する制御を行う、請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第一の信号の末尾に前記送信方法を示す第三の情報を付加して、前記第一の信号を送信する制御を行う、請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記送信方法に従って、前記第一の信号の宛先である第一の無線通信装置から前記第一の信号に対する前記応答信号、及び、前記第二の信号の宛先である第二の無線通信装置から前記第二の信号に対する応答信号の少なくとも一方を受信する制御を行う、請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項9】
送信装置が第一の信号の送信を打ち切って、第二の信号を送信する場合に、
前記送信装置による前記第一の信号の送信が打ち切られたことを示す情報を受信する制御を行い、
前記第一の信号に対する第一の応答信号、及び、前記第二の信号に対する第二の応答信号の少なくとも一方を、前記第一の信号に対する前記第一の応答信号の送信方法に応じて送信するか否かを決定する、制御部、
を備える、無線通信装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第一の信号が自身宛てである場合に、前記第一の応答信号の送信タイミングを算出し、
前記第二の信号の長さに基づき、算出した前記送信タイミングで前記第一の応答信号の送信を制御する、請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記送信方法は、前記送信装置によって通知される、請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記送信方法は、前記送信装置との間でケイパビリティチェックが行われる際に通知される、請求項11に記載の無線通信装置。
【請求項13】
前記送信方法は、前記第一の信号の末尾に格納される第三の情報によって通知される、請求項11に記載の無線通信装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記第一の信号が自身宛てでない場合に、前記第一の応答信号を送信せず、復調を停止しない、又は、省電力状態に移行しない、請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記第二の応答信号の送信を制御する、請求項14に記載の無線通信装置。
【請求項16】
第一の信号の送信中に、前記第一の信号の送信を打ち切って、第二の信号を送信すること、
を含み、
前記第二の信号は、前記第一の信号を打ち切ったことを示す第一の情報を含む、
通信方法。
【請求項17】
送信装置が第一の信号の送信を打ち切って、第二の信号を送信する場合に、
前記送信装置による前記第一の信号の送信が打ち切られたことを示す情報を受信することと、
前記第一の信号に対する第一の応答信号、及び、前記第二の信号に対する第二の応答信号の少なくとも一方を、前記第一の信号に対する前記第一の応答信号の送信方法に応じて送信するか否かを決定することと、
を含む、通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信装置、及び、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Factory Automationや、携帯機器におけるオンラインゲームの普及など、一定以下の遅延量(例えば、1ms~0.1ms以下)が要求されるデータを扱うユースケースが台頭している。
【0003】
一方、アンライセンス帯を使用した無線通信である無線LAN(Local Area Network)は、自立分散通信であるため、個々の通信が自発的に発生する。そのため、一定の遅延量に抑える必要がある通信であっても、すでに存在する他の通信により通信を行うことができず遅延量が超過してしまう場合がある。
【0004】
ここで、すでに存在する他の通信に対し、その通信に対して上書きしてまたは打ち切って異なる送信を行う技術としてPreemptionが知られている。例えば、セルラーシステムにおいて、通信装置がPreemption指示を監視することで、Preemptionを実施する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2022-502938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したPreemption技術は、セルラーシステムへの適用を想定しており、無線LANへの適用については十分に検討されているとは言えない。
【0007】
セルラーシステムでは、原則としてすべての通信がスケジュールされており、データの送信、及び、それに対する応答信号の送信が、決められたタイミング(スロット)で行われる。また、Preemptionによる送信は、元々データ送信がスケジュールされていたスロット内で行われる。
【0008】
一方、無線LANは、上述したように自立分散通信であるため、セルラーシステムのようなスケジューリングが行われない。そのため、Preemptionによる送信が他の通信(例えば、元々のデータ送信に対する応答信号など)と重なり、Preemptionによる送信の通信品質が劣化する恐れがある。
【0009】
そこで、本開示では、無線LANにおいてPreemptionを実現することができる仕組みを提供する。
【0010】
なお、上記課題又は目的は、本明細書に開示される複数の実施形態が解決し得、又は達成し得る複数の課題又は目的の1つに過ぎない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の無線通信装置は、制御部を備える。制御部は、第一の信号の送信中に、前記第一の信号の送信を打ち切って、第二の信号を送信する制御を行う。前記第二の信号は、前記第一の信号を打ち切ったことを示す第一の情報を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
図3】本開示の実施形態に係る無線通信システムで実施されるフレームシーケンスの一例を示す図である。
図4】本開示の実施形態に係る第一の応答回復シーケンスの一例を示す図である。
図5】本開示の実施形態に係る第二の応答回復シーケンスの一例を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る第三の応答回復シーケンスの一例を示す図である。
図7】本開示の実施形態に係る第四の応答回復シーケンスの一例を示す図である。
図8】本開示の実施形態に係る無線通信システムで実施されるフレームシーケンスの他の例を示す図である。
図9】本開示の実施形態に係る第一、第二の信号のフレームフォーマットの一例を示す図である。
図10】本開示の実施形態に係る付加情報が用いるフォーマットの一例を示す図である。
図11】本開示の実施形態に係る第一の信号におけるA-MPDU contentsの一例を示す図表である。
図12】本開示の実施形態に係る第一の通信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13】本開示の実施形態に係る第二の通信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一または類似の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字、又は、アルファベットを付して区別する場合がある。ただし、実質的に同一または類似の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要が無い場合、同一符号のみを付する。例えば、STA200A、200Bを特に区別する必要が無い場合には、単にSTA200と称する。
【0015】
以下に説明される1又は複数の実施形態(実施例、変形例を含む)は、各々が独立に実施されることが可能である。一方で、以下に説明される複数の実施形態は少なくとも一部が他の実施形態の少なくとも一部と適宜組み合わせて実施されてもよい。これら複数の実施形態は、互いに異なる新規な特徴を含み得る。したがって、これら複数の実施形態は、互いに異なる目的又は課題を解決することに寄与し得、互いに異なる効果を奏し得る。
【0016】
<<1.はじめに>>
上述したように、すでに存在する他の通信に対し、その通信に対して上書きして、又は、打ち切って異なる送信を行う技術としてPreemptionが知られている。
【0017】
通常、無線LANにおいてデータを受信した場合、その直後(SIFS(Short Inter Frame Space)後)にAck信号が送信される。
【0018】
しかし、Preemption技術が無線LANに適応された場合、そのAck信号の送信がPreemptionにより開始された異なる送信と重なり、SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)の低下が起こる可能性がある。これによりシステムスループットが低下することに加え、再送が必要となり遅延量が超過してしまう可能性がある。
【0019】
上述したように、セルラーシステムでは、原則としてすべての通信がスケジュールされている。そのため、Preemptionによる送信に対しAck信号等の応答信号が重なることがなく、また、そういった問題に対する動作は考慮されていない。
【0020】
そこで、本開示の実施形態に係る第一の無線通信装置は、第一の信号の送信中に、第一の信号の送信を打ち切って(Preemptionして)第二の信号を送信する場合に、第二の信号に第一の信号を打ち切ったことを示す第一の情報を含めて、第二の信号を送信する。
【0021】
第二の無線通信装置は、第一の信号の送信が打ち切られたことを示す情報を受信すると、第一の信号に対する第一の応答信号、及び、第二の信号に対する第二の応答信号の少なくとも一方を、応答信号の送信方法に応じて送信するか否かを決定する。当該応答信号の送信方法は、例えば、第一の応答信号の送信方法である。
【0022】
例えば、第二の無線通信装置が、第一の信号の宛先であったとする。すなわち、第二の無線通信装置がPreemptionされた装置であるとする。この場合において、第二の無線通信装置が、第一の信号の送信が打ち切られたことを示す情報を受信したとする。
【0023】
このとき、第二の無線通信装置は、第一の信号に対する第一の応答信号を、Preemptionによる送信、すなわち第二の信号の送信と重ならないように、応答信号の送信方法に従って送信すると決定する。
【0024】
これにより、第二の無線通信装置は、第一の信号に対してPreemptionが行われたことを検知することができ、通常のタイミングでの第一の応答信号の送信を抑制することができる。また、第二の無線通信装置は、応答信号の送信方法に従って、第一の応答信号を送信することができる。
【0025】
一方、第二の無線通信装置が、第二の信号の宛先であったとする。この場合において、第二の無線通信装置が、第一の信号の送信が打ち切られたことを示す情報を受信したとする。
【0026】
このとき、第二の無線通信装置は、第二の信号に対する第二の応答信号を、応答信号の送信方法に従って送信するか否かを決定する。例えば、応答信号の送信方法が、第一の応答信号を第二の応答信号と同じタイミングで送信するという方法である場合、第二の無線通信装置は、第二の応答信号を応答信号の送信方法に従って送信すると決定する。
【0027】
なお、第一の無線通信装置は、通常の信号(例えば第一の信号)においてPreemptionが許可されていることや、Preemptionされた場合の応答信号の送信方法を第二の無線通信装置に通知してもよい。
【0028】
以上のように、本開示の実施形態に係る第一の無線通信装置及び第二の無線通信装置は、Preemptionにより開始された送信(例えば、第二の信号の送信)に対し、応答信号が重なることをより抑制することができる。
【0029】
また、第一の無線通信装置及び第二の無線通信装置は、応答信号の重複によるSINR低下によるシステムスループットの低下、及び、再送による要求遅延量の超過をより抑制することができる。
【0030】
また、これにより、無線LANにおいてPreemption技術を実現することができる。そのため、無線LANにおいて、一定以下の遅延量の通信を実現することができる。
【0031】
以下、第一の無線通信装置及び第二の無線通信装置を含む無線通信システムの一例について説明する。
【0032】
<<2.無線通信システム>>
<2.1.無線通信システムの構成例>
図1は、本開示の実施形態に係る無線通信システム1の構成例を示す図である。図1に示す無線通信システム1は、AP(Access Point)100及びSTA(Station)200を備える。
【0033】
AP100は、例えば基地局に相当する無線通信装置である。STA200は、端末装置に相当する無線通信装置である。AP100は、STA200と無線LAN通信を行う。図1に示す破線は、AP100、STA200A、200Bとの間の接続関係の一例を示している。STA200A、200Bは、接続先のAP100と通信を行う。また、STA200A、200B間で通信が行われてもよい。
【0034】
図1では、STA200が2台(STA200A、200B)である場合について示しているが、STA200の台数は、2台に限定されない。STA200の台数が3台以上であってもよい。
【0035】
AP100及びSTA200A、200Bは、上述した第一の無線通信装置及び第二の無線通信装置のいずれかとして機能する。なお、以下では、説明を簡略化するために、AP100が第一の無線通信装置であり、STA200A、200Bが第二の無線通信装置であるとして説明するが、第一、第二の無線通信装置は、これに限定されない。例えば、STA200Aが第一の無線通信装置であってもよく、STA200Bが第一の無線通信装置であってもよい。また、AP100が第二の無線通信装置であってもよい。
【0036】
<2.2.無線通信装置の構成例>
図2は、本開示の実施形態に係る無線通信装置300の構成例を示すブロック図である。図2に示す無線通信装置300は、図1に示すAP100又はSTA200として動作する。
【0037】
無線通信装置300は、通信部310、アンテナ320、制御部330、及び、記憶部340を有する。
【0038】
通信部310は、例えば、他の無線通信装置300(図示省略)と通信を行う。通信部310は、通信制御部311と、通信記憶部312と、データ処理部313と、信号処理部314と、無線インターフェース(IF)部315と、増幅部316と、を有する。
【0039】
通信制御部311は、通信部310の各部の動作及び各部間の情報伝達の制御を行う。また、通信制御部311は、他の無線通信装置300へ通知する制御情報及び管理情報をデータ処理部313へ受け渡す制御を行う。
【0040】
特に本実施形態では、無線通信装置300が第一の無線通信装置(すなわち、AP100)として機能する場合、通信制御部311は、以下の少なくともいずれか1つを含む信号を送信するよう各部を制御する。
・Preemptionが許可されていることを示す情報
・Preemptionされた場合のAck信号(応答信号の一例)の送信方法を示す情報
・Preemptionによって送信されていることに関する情報
【0041】
また、通信制御部311は、Preemptionによって信号が打ち切られたことを示す情報を含む信号を送信するよう各部を制御してもよい。
【0042】
また、無線通信装置300が第二の無線通信装置(すなわちSTA200)として機能する場合、通信制御部311は、Preemptionされた場合に通知されたAck信号の送信方法に基づき動作するよう各部を制御する。
【0043】
通信記憶部312は通信制御部311で使用する情報を保持する。また、通信記憶部312は送信するデータ及び受信したデータを保持する。また通信記憶部312は、信号処理部314における復調前の受信した信号のIQ尤度情報、信号処理部314における復号化前のビットストリーム情報を保持してもよい。
【0044】
データ処理部313は送信時には、通信記憶部312に保持されたデータ、通信制御部311から受け取った情報(例えば制御情報及び管理情報)等のシーケンス管理を行う。データ処理部313は、暗号化処理等を行ってデータユニットを生成する。データ処理部313は、キャリアセンスに基づくチャネルアクセス動作を行う。データ処理部313は、送信するデータへのMAC(Media Access Control)ヘッダの付加及び誤り検出符号の付加、及び、上述したデータユニットの複数連結処理等を行う。
【0045】
データ処理部313は受信時には、受信したデータユニットのMACヘッダの連結解除処理、解析及び誤り検出、再送要求動作、データユニットの解読処理、及び、リオーダー処理等を行う。
【0046】
信号処理部314は、送信信号処理部3141及び受信信号処理部3142を有する。送信信号処理部3141は、データユニットに対して、符号化、インターリーブ、及び、変調等を行い、物理ヘッダを付加しシンボルストリームを生成する。
【0047】
受信信号処理部3142は、物理ヘッダを解析し、シンボルストリームに対して、復調、デインターリーブ、及び、復号化等を行い、データユニットを生成する。また、受信信号処理部3142は、必要に応じて複素チャネル特性の推定及び空間分離処理を行う。
【0048】
無線IF部315は、送信無線インターフェース(IF)部3151及び受信無線インターフェース(IF)部3152を有する。送信無線IF部3151は、シンボルストリームに対して、デジタル-アナログ信号変換、フィルタリング、アップコンバート、及び、位相制御等を行い、送信信号を生成する。
【0049】
受信無線IF部3152は、受信信号に対してダウンコンバート、フィルタリング、及び、アナログ-デジタル信号変換等を行い、シンボルストリームを生成する。
【0050】
増幅部316は、送信増幅部3161及び受信増幅部3162を有する。送信増幅部3161は送信無線IF部3151から入力された信号を増幅する。送信増幅部3161で増幅された信号はアンテナ320を介して送信される。受信増幅部3162はアンテナ320から入力された信号を増幅する。
【0051】
増幅部316は一部が通信部310外の構成要素となってもよい。また、増幅部316の一部が無線IF部315に内包されてもよい。
【0052】
制御部330は、通信部310や通信制御部311の制御を行う。また、制御部330は、通信制御部311の一部の動作を代わりに行ってもよい。また、通信制御部311及び制御部330は、1つのブロックとして構成されてもよい。
【0053】
記憶部340は、制御部330及び通信部310で使用する情報を保持する。また記憶部340は、通信記憶部312の一部の動作を代わりに行ってもよい。記憶部340及び通信記憶部312は、1つのブロックとして構成されてもよい。
【0054】
無線IF部315、増幅部316、及び、アンテナ320を1つの組とした場合に、2つ以上の当該組が、無線通信装置300に含まれていてもよい。データ処理部313及び信号処理部314を1つの組とした場合に、2つ以上の当該組が、1つの無線IF部315と接続されていてもよい。
【0055】
通信部310、又は、その構成要素は、複数の通信システムの信号を受信しうる。この場合、複数の通信システムそれぞれに対応する通信部310又はその構成要素が、無線通信装置300に複数含まれてもよい。
【0056】
通信部310は、1つ以上のLSI(Large Scale Integration)によって実現されうる。
【0057】
なお、図2に示す通信部310又は無線通信装置300の構成は一例であり、通信部310又は無線通信装置300の構成はこれに限定されない。また、通信部310又は無線通信装置300の構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形されうる。
【0058】
<<3.Preemption動作>>
次に、本開示の実施形態に係る無線通信システム1で実施されるPreemption動作の一例について説明する。
【0059】
ここでは、第一の無線通信装置として機能するAP100が、第二の無線通信装置として機能するSTA200A宛に送信を行っている途中で、Preemptionによって当該送信を打ち切り、第二の無線通信装置として機能するSTA200B宛の送信を行うものとする。
【0060】
すなわち、AP100がSTA200A宛のダウンリンク送信を行っている途中で、Preemptionによって当該送信を打ち切り、STA200B宛のダウンリンク送信を行うものとする。
【0061】
ただし、これは一例であり、他の組み合わせでも成り立つ。例えば、STA200Aが第一の通信装置として機能し、AP100及びSTA200Bが第二の通信装置として機能するようにしてもよい。他の組み合わせの一例として、STA200AがAP100宛のアップリンク送信を行っている途中で、Preemptionによって当該送信を打ち切り、STA200B宛のピアツーピア送信を行う例が挙げられる。
【0062】
なお、以下、Preemptionされる第二の無線通信装置(例えばSTA200A)を第2-1無線通信装置と称し、Preemptionによる信号を受信する第二の無線通信装置(例えばSTA200B)を第2-2無線通信装置と称して区別する場合がある。
【0063】
<3.1.シーケンスの一例>
図3は、本開示の実施形態に係る無線通信システム1で実施されるフレームシーケンスの一例を示す図である。
【0064】
図3に示すフレームシーケンスの前に、AP100、STA200A、200Bは、ケイパビリティチェックを行ってもよい。このケイパビリティチェックで、AP100、STA200A、200Bは、例えば、以下の機能に対応しているか否かを確認する。
・送信中の信号の送信を打ち切り、他の信号の送信を開始する機能(Preemption)
・Preemptionされた場合の応答信号の送信に関する機能
【0065】
以降、AP100、STA200A、200Bが上述した機能に対応していることが、AP100、STA200A、200Bの間で確認されたものとして説明する。
【0066】
図3に示すように、AP100は、時刻t01において、STA200AにPreemptionにより打ち切られることを許容する第一の信号(Preemptable signal)を送信する。
【0067】
第一の信号には、送信開始時点(時刻t01)での第一の信号の予定の長さに関する第一の長さ情報(Planned length of Preemptable signal)が含まれる。また第一の信号には、Preemptionにより途中で送信が打ち切られる可能性があること(打ち切られることを許容すること)を示す許容情報(第二の情報の一例)が含まれてもよい。
【0068】
次に、STA200Aは、第一の信号の受信を開始する。STA200Aは、第一の信号に含まれる第一の長さ情報から第一の信号の受信完了タイミング(時刻t04)を算出する。STA200Aは、受信完了タイミング(時刻t04)から事前に決められた時間間隔(Predetermined space)後のタイミング(時刻t05)を、第一の信号に対する応答信号を送信する応答タイミングとして算出する。
【0069】
この時間間隔は法制によって求められる時間間隔であってもよく、IEEE 802.11で規定されるSIFS(Short Inter Frame Space)であってもよい。
【0070】
あわせて、STA200Bは、第一の信号の受信を開始する。通常STA200Bは、第一の信号の宛先が他装置(ここではSTA200A)であり、自装置でないと判断すると復調を停止する、又は、省電力状態(Doze state)に移行する。
【0071】
しかしながら、第一の信号に上述した許容情報(Preemptionを許容する信号であることを示す情報)が含まれる場合、STA200Bは、第一の信号が自身宛でないと判断されても復調を停止しない、又は、省電力状態(Doze state)に入らないように制御してもよい。
【0072】
ここで、第一の信号の送信途中である時刻t02において、AP100で一定の遅延時間内に送信を完了する必要がある低遅延データ(Low latency required data)が生成されたとする。
【0073】
この時、AP100は、第一の信号の送信及び想定される応答信号の受信後に、低遅延データを送信した場合に、一定の遅延時間内に当該低遅延データの送信が完了するか否かを計算する。この計算は、低遅延データの情報量、及び、送信に用いる通信パラメータ(変調符号化方式、周波数帯域幅、空間ストリーム数、信号フォーマット等)を用いて行われる。
【0074】
低遅延データの送信が一定の遅延時間内に完了すると計算される場合、AP100は、第一の信号の送信及び想定される応答信号の受信後に、通常の送信手順に従って低遅延データを送信する。低遅延データの送信が一定の遅延時間内に完了しないと計算される場合、AP100は、Preemptionの実行を決定する。ここでは、AP100がPreemptionの実行を決定するものとする。
【0075】
Preemptionを実行することを決定したAP100は、送信中の第一の信号の送信を打ち切る動作を行う。この動作は、特別な処理なく行われてもよく、符号化ブロックの境界まで送信した後に行われてもよい。
【0076】
あるいは、この動作は、第一の信号の中に連結して格納される情報単位の境界まで送信したあとに行われてもよい。この情報単位は、IEEE 802.11で規定されるA-MPDU(Aggregation MAC Protocol Data Unit)内のMPDUであってもよい。
【0077】
また、この動作は、末尾に以下のいずれかの情報が付加された第一の信号が送信された後に行われてもよい。この第一の信号の末尾に付加される情報を、付加情報とも記載する。
・Preemptionによって打ち切られたことを示す情報
・応答信号の送信(送信方法)に関する応答情報
・第一の信号の中に連結して格納される最後の情報単位であることを示す情報(EOF(End Of File)=1)
・長さ調整のための情報(Padding)
【0078】
なお、応答信号はIEEE 802.11で規定されるAck、Block Ack、Multi-STA Block Ackのいずれであってもよい。
【0079】
第一の信号の送信を打ち切る動作を行ったAP100は、時刻t03において、STA200B宛にPreemptionにより他の送信(ここでは、第一の信号の送信)を打ち切って送信される第二の信号(Preempting signal)を送信する。当該送信は、第一の信号が打ち切られてから所定の時間間隔以内に開始される。この所定の時間間隔は法制によって求められる時間間隔であってもよく、IEEE 802.11で規定されるSIFSであってもよい。
【0080】
第二の信号には、例えば、第二の信号の長さに関する第二の長さ情報と、Preemptionにより他の送信を打ち切って送信されたことを示すPreemption情報(第一の情報の一例)とが含まれる。
【0081】
次に、STA200Aは、第二の信号の受信を開始する。STA200Aは第二の信号に含まれるPreemption情報から、受信していた第一の信号がPreemptionによって打ち切られたことを検知する。
【0082】
また、STA200Aは、第二の信号に含まれる第二の長さ情報から第二の信号の送信完了タイミング(以下、第二の送信完了タイミングとも記載する)を算出してもよい。また、STA200Aは、算出した第二の送信完了タイミングから事前に決められた時間間隔(Predetermined space)後にSTA200Bから送信される第二の信号に対する応答信号(以下、第二の応答信号とも記載する)の送信完了タイミング(以下、第二の応答送信完了タイミングとも記載する)を算出してもよい。この時間間隔は法制によって求められる時間間隔であってもよく、IEEE 802.11で規定されるSIFSであってもよい。
【0083】
例えば、第二の応答送信完了タイミングが、第一の信号の受信時に算出した応答信号(以下、第一の応答信号とも記載する)を送信するタイミング(時刻t05)より前であったとする。この場合、STA200Aは、そのまま第一の応答信号を送信するタイミング(時刻t05)に第一の応答信号を送信する。このフレームシーケンスの別例は、図8を用いて後述する。
【0084】
一方、第二の応答送信完了タイミングが、第一の信号の受信時に算出した応答信号を送信するタイミングより後である場合、STA200Aは、第一の応答信号を送信するタイミング(時刻t05)で第一の応答信号の送信を行わないように制御する。
【0085】
また、応答信号の送信に関する応答情報(第三の情報の一例)が第一の信号に付加されている場合、STA200Aは、当該応答情報に従って応答信号回復シーケンス(Response Recovery Sequence)を行う。すなわち、第二の応答送信完了タイミングが、第一の信号の受信時に算出した第一の応答信号を送信するタイミング(時刻t05)より後であった場合、STA200Aは、応答情報に従った応答回復シーケンスを行うと決定する。
【0086】
なお、応答情報相当の情報はケイパビリティチェックにおいてAP100とSTA200A間でやり取りされてもよい。この応答信号回復シーケンスについては、図4図7を用いて後述する。応答信号回復シーケンスの例(例えば、図7)によっては、応答情報相当の情報が、AP100とSTA200Bとの間でやり取りされてもよい。
【0087】
また、STA200Aは、途中まで受信した第一の信号に含まれる情報を復調、デインターリーブ、復号しデータユニット(MPDU)を生成してもよく、復号まで行ったデータを保持してもよく、復調した信号のIQ尤度情報を保持してもよい。
【0088】
あわせて、STA200Bは、第二の信号の受信を開始する。STA200Bは第二の信号の受信完了後、当該応答情報に従って応答信号回復シーケンス(Response Recovery sequence)を実行する。なお、一部の例(例えば図7)を除き、STA200Bは、応答回復シーケンスとして、通常通り第二の応答信号の送信を行う。あるいは、STA200Bは、応答回復シーケンスとは別に、すなわち、応答回復シーケンスを実行せずに、通常通り第二の応答信号を送信するようにしてもよい。
【0089】
AP100は、第二の信号の送信後、応答信号回復シーケンスを実行する。これにより、AP100は、STA200Aから第一の信号に対する応答信号を受信し、STA200Bから第二の信号に対する応答信号を受信する。
【0090】
[応答回復シーケンス]
以下、第二の信号の送受信後に、無線通信システム1で実行される応答回復シーケンスの例を説明する。STA200Aは、応答回復シーケンスで、応答信号の送信方法に従って第一の応答信号を送信する。本実施形態では、応答信号の送信方法が異なる第一~第四の応答回復シーケンスの例について説明する。
【0091】
(第一の応答回復シーケンス)
図4は、本開示の実施形態に係る第一の応答回復シーケンスの一例を示す図である。
【0092】
まず、STA200Bは、時刻t11において、第二の信号に対する第二の応答信号(Response signal)をAP100に送信する。この第二の応答信号は、通常通り、すなわち、第二の信号の受信完了タイミングから事前に決められた時間間隔(Predetermined space)後にSTA200BからAP100に送信される信号である。この時間間隔は法制によって求められる時間間隔であってもよく、IEEE 802.11で規定されるSIFSであってもよい。
【0093】
次に、STA200Aはキャリアセンスを実施し送信権を獲得後、時刻t12において、AP100宛に第一の信号に対する第一の応答信号(Response signal)を送信する。この第一の応答信号は、途中まで受信した第一の信号に含まれる情報の復号の成否に関する情報を含む。第一の応答信号はIEEE 802.11で規定されるAck、Block Ack、Multi-STA Block Ackであってもよい。
【0094】
このように、第一の応答回復シーケンスでは、STA200Bは、通常の送信方法で第二の応答信号を送信し、STA200Aは、送信権を獲得後に送信する送信方法(以下、第一の送信方法とも記載する)で第一の応答信号を送信する。
【0095】
(第二の応答回復シーケンス)
図5は、本開示の実施形態に係る第二の応答回復シーケンスの一例を示す図である。なお、STA200Bによる第二の応答信号の送信は、図4と同じであるため説明を省略する。
【0096】
AP100はキャリアセンスを実施し送信権を獲得後、時刻t22において、STA200A宛に第一の信号に対する第一の応答信号(Response signal)を要求する要求信号(Request signal)を送信する。この要求信号は、第一の応答信号の送信に用いる通信パラメータ(変調符号化方式、周波数帯域幅、空間ストリーム数、信号フォーマット等)に関する情報を含んでもよい。
【0097】
要求信号を受信したSTA200Aは、事前に決められた時間間隔後の時刻t23にAP100宛に第一の信号に対する第一の応答信号(Response signal)を送信する。この時間間隔は法制によって求められる時間間隔であってもよく、IEEE 802.11で規定されるSIFSであってもよい。第一の応答信号は図4に示す第一の応答信号と同様である。
【0098】
このように、第二の応答回復シーケンスでは、STA200Bは、通常の送信方法で第二の応答信号を送信し、STA200Aは、AP100からの要求に応じて送信する送信方法(以下、第二の送信方法とも記載する)で第一の応答信号を送信する。
【0099】
(第三の応答回復シーケンス)
図6は、本開示の実施形態に係る第三の応答回復シーケンスの一例を示す図である。なお、STA200Bによる第二の応答信号の送信は、図4と同じであるため説明を省略する。
【0100】
AP100はキャリアセンスを実施し送信権を獲得後、時刻t32において、STA200A宛にPreemptionによって打ち切られた第一の信号の続きとなる再開信号(Resumed signal)を送信する。
【0101】
この再開信号は、第一の信号の送信開始時点で送信予定であり、Preemptionによって送信されなかったデータユニット(MPDU)を含む。また、再開信号は新たなデータユニットを含んでもよい。また、再開信号は、送信された符号化ブロックの続きとなる符号化ブロックを含んでもよい。
【0102】
再開信号を受信したSTA200Aは、事前に決められた時間間隔後の時刻t33にAP100宛に第一の信号に対する第一の応答信号(Response signal)を送信する。この時間間隔は法制によって求められる時間間隔であってもよく、IEEE 802.11で規定されるSIFS(Short Inter Frame Space)であってもよい。
【0103】
この第一の応答信号は、例えば、途中まで受信した第一の信号に含まれる情報の復号の成否に関する情報、及び、第一の信号の続きとなる再開信号に含まれる情報の復号の成否に関する情報を含む。
【0104】
また、STA200Aは、第一の信号に含まれる符号化ブロック、及び、第一の信号の続きとなる再開信号に含まれる符号化ブロックを合成することで誤り検出を行い、その成否を第一の応答信号に含めてもよい。
【0105】
また、STA200Aは、復調した第一の信号のIQ尤度情報、及び、復調した第一の信号の続きとなる再開信号のIQ尤度情報を合成し、それを復号した際の成否に関する情報を第一の応答信号に含めてもよい。第一の応答信号はIEEE 802.11で規定されるAck、Block Ack、Multi-STA Block Ackであってもよい。
【0106】
このように、第三の応答回復シーケンスでは、STA200Bは、通常の送信方法で第二の応答信号を送信し、STA200Aは、AP100からの再開信号に応じて送信する送信方法(以下、第三の送信方法とも記載する)で第一の応答信号を送信する。
【0107】
(第四の応答回復シーケンス)
図7は、本開示の実施形態に係る第四の応答回復シーケンスの一例を示す図である。ここでは、STA200Bは、通常の第二の応答信号の送信を行わず、応答信号の送信方法に従って第二の応答信号の送信を行う。
【0108】
まず、AP100は、時刻t41において、STA200A、200Bに対し応答信号の送信を要求する要求信号(MU(Multi-User)-Request signal)を送信する。この要求信号はブロードキャスト宛に送信されてもよい。この要求信号はIEEE 802.11で規定されるTrigger frameであってもよく、Trigger frameのMU-BAR variantであってもよい。
【0109】
この要求信号はSTA200A、200Bを示す識別子に関する情報を含んでもよい。この識別子はSTA200A、200BのMACアドレスであってもよく、IEEE 802.11で規定されるAID(Association ID)であってもよい。
【0110】
この要求信号はSTA200A、200Bがそれぞれ応答信号(例えば、第一、第二の応答信号)の送信に用いる通信パラメータ(変調符号化方式、周波数帯域幅、空間ストリーム数、信号フォーマット等)に関する情報を含む。
【0111】
この要求信号を受信したSTA200A、200Bは、当該要求信号に含まれる通信パラメータに関する情報を用いて多重化して、時刻t42で第一、第二の応答信号をAP100に送信する。第一、第二の応答信号は、図4に示す第一、第二の応答信号と同様である。
【0112】
また、ここでの多重化は、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)であってもよくMU-MIMO(Multi User Multiple Input Multiple Output)であってもよい。また、第一、第二の応答信号はIEEE 802.11で規定されるHE TB PPDUフォーマットまたはEHT TB PPDUフォーマットを用いて送信されてもよい。
【0113】
このように、第四の応答回復シーケンスでは、STA200A、200Bは、AP100からの要求信号に応じて多重化して送信する送信方法(以下、第四の送信方法とも記載する)で第一、第二の応答信号を送信する。
【0114】
なお、AP100及びSTA200Aが複数のリンクを用いた通信(Multi-Link Operation)に対応している場合において、STA200Aは、第一の信号及び第二の信号の送信が行われる第一のリンクとは異なる第二のリンクで第一の応答信号を送信してもよい。例えば、第一~第三の送信方法で第一の応答信号が送信される場合、STA200Aは、第一の信号及び第二の信号の送信が行われる第一のリンクとは異なる第二のリンクで第一の応答信号を送信し得る。
【0115】
また、AP100及びSTA200Aが、同時送受信が可能な複数のリンクを用いた通信(Simultaneous Tx Rx Multi-Link Operation)に対応しているとする。この場合において、第一のリンクとは異なる第二のリンクを用いる場合、第一の応答信号の送信は、STA200Bが送信する第二の応答信号の後に行われなくてもよい。例えば、STA200Aは、第二の信号の送信や第二の応答信号の送信と平行して第一の応答信号を送信してもよい。
【0116】
<3.2.シーケンスの他の例>
図8は、本開示の実施形態に係る無線通信システム1で実施されるフレームシーケンスの他の例を示す図である。なお、時刻t02で第二の信号を送信するまでのシーケンスは、図3と同じであるため説明を省略する。
【0117】
上述したように、STA200Aは、第二の信号の送信が完了する第二の送信完了タイミング(図8の時刻t52)、及び、第二の信号に対する第二の応答信号の送信が完了する第二の応答送信完了タイミング(図8の時刻t53)を算出しうる。
【0118】
ここで、図8に示すように、第二の応答送信完了タイミング(時刻t53)が、第一の信号の受信時に算出した第一の応答信号を送信するタイミング(時刻t05)より前であったとする。この場合、STA200Aは、第一の信号の受信時に算出した第一の応答信号を送信するタイミング(時刻t05)で第一の応答信号を送信する。
【0119】
このように、第二の応答送信完了タイミング(時刻t53)が、第一の信号の受信時に算出した第一の応答信号を送信するタイミング(時刻t05)より前であった場合、STA200Aは、応答情報に従った応答回復シーケンスを行わないと決定する。すなわち、STA200Aは、第一~第四の送信方法に従った第一の応答信号の送信を行わないと決定する。
【0120】
<<4.フレームフォーマット>>
図9は、本開示の実施形態に係る第一、第二の信号のフレームフォーマットの一例を示す図である。本フォーマットはIEEE 802.11におけるPHYフォーマットに対応する。本フォーマットはL-STF、L-LTF、L-SIG、RL-SIG、U-SIG、X-SIG、X-STF、X-LTF、Payloadを含む。
【0121】
L-STFとL-LTFは、受信端末(例えば、STA200A、200B)が周波数オフセット推定、タイミング同期、受信利得調整等を行うための既知信号系列である。L-SIGおよびRL-SIGは、本信号の長さ及び本フィールド以降の変調符号化方式に関する情報(例えば、第一、第二の長さ情報)を含む。
【0122】
U-SIGは、本フォーマットのバージョンに関する情報及びPreemptionに関する情報を含む。X-SIGは本信号の各種通信パラメータに関する情報を含む。Preemptionに関する情報はX-SIGに含まれてもよい。
【0123】
X-STFとX-LTFは、受信端末が周波数オフセット推定、タイミング同期、受信利得調整等を行うための既知信号系列である。Payloadは本信号の情報本体を含む。
【0124】
Preemptionに関する情報は、Preemptionにより他の送信を打ち切って送信されたことを示すPreemption情報を含む。またPreemptionに関する情報は、Preemptionにより打ち切られることを許容することを示す許容情報を含んでもよい。例えば、第一の信号に含まれるPreemptionに関する情報は、許容情報を含みうる。また、例えば、第二の信号に含まれるPreemptionに関する情報は、Preemption情報を含みうる。
【0125】
Preemptionに関する情報は、例えばU-SIGのDisregardに割り当てられたbitを用いて通知されてもよい。例えば1bitを用いて、Preemptionにより他の送信を打ち切って送信された場合は「1」を、そうでない場合は「0」を設定することで通知してもよい。
【0126】
また、例えば2bitを用いて、1bit目はPreemptionにより他の送信を打ち切って送信されたかどうかを、2bit目はPreemptionにより打ち切られることを許容するかどうかを通知してもよい。
【0127】
また、2bit用いる場合には、一部の組み合わせが無効化されるようにしてもよい。例えばPreemptionにより他の送信を打ち切って送信された通知(Preemption情報)とPreemptionにより打ち切られることを許容する通知(許容情報)とを同時に通知しないようにしてもよい。
【0128】
また、Preemptionにより打ち切られることを許容する通知を行った場合には、本信号に対し空間再利用を用いて並列して送信することを許容しない通知がされないようにしてもよい。例えばIEEE 802.11で規定されるSpatial Reuse fieldがPSR_AND_NON_SRG_OBSS_PD_PROHIBITED又はPSR_DISALLOWに設定されるようにしてもよい。
【0129】
図10は、本開示の実施形態に係る付加情報が用いるフォーマットの一例を示す図である。付加情報は、第一の信号の末尾に付加される情報である。本フォーマットは図9のPayloadに格納される。図10に示すように、本フォーマットはDelimiter、MPDU、Paddingを含む。
【0130】
Delimiterは連結されるMPDUの境界を示すフィールドであり、EOF、Reserve、MPDU Length、CRC(Cyclic Redundancy Check)、Delimiter Signatureを含む。
【0131】
EOFにはDelimiterに続くMPDUが連結されるMPDUの最後かどうかを示す情報が含まれる。本フォーマットにおいては、EOFは、最後であることを示すよう設定(EOF=1)される。
【0132】
Reserveは予約フィールドである。MPDU LengthはDelimiterに続くMPDUの長さに関する情報を含む。CRCは誤り検出に関する情報を含む。Delimiter SignatureはDelimiterを検出するための情報を含む。
【0133】
MPDUはMAC Header、Behavior Type、Link Informationを含む。MAC Headerは本MPDUの送信元MACアドレス、送信先MACアドレス、本フォーマットがPreemptionに関するMPDUであることを示す情報、その他MPDUに関する情報を含む。
【0134】
Behavior Typeは応答信号の送信に関する情報が含まれる。例えば、図4図7で示した応答信号の送信方法のいずれかを示す情報が含まれる。Behavior Typeは例えば2bitを用いて、図4図7で示した応答信号の送信方法を特定する。例えば「00」は図4で示した応答信号の送信方法(第一の送信方法)、「11」は図7で示した応答信号の送信方法(第四の送信方法)を示す。なお、Behavior Typeは、応答信号の送信方法が事前に規定される場合などは省略されてもよい。
【0135】
STA200A、200Bは、この情報を受信し、当該送信方法に従って応答信号を送信するか否かを決定する。例えば、STA200Aは、この情報を受信し、第二の応答信号のタイミング(図8の時刻t53参照)等に応じて当該送信方法に従って第一の応答信号を送信するか否かを決定する。この情報は、例えば、上述した応答信号の送信に関する応答情報に相当する。
【0136】
例えば、STA200Bは、この情報を受信し、送信方法等に応じて当該送信方法に従って第二の応答信号を送信するか否かを決定する。例えば、この情報が指定する送信方法が第一~第三の送信方法のいずれかである場合、STA200Bは、当該送信方法に従って第二の応答信号を送信しない、すなわち、通常通り第二の応答信号を送信すると決定する。一方、この情報が指定する送信方法が第四の送信方法である場合、STA200Bは、当該送信方法に従って第二の応答信号を送信すると決定する。
【0137】
図10のLink Informationは、AP100、STA100Aが複数のリンクを用いた通信(Multi-Link Operation)に対応している場合、図4図7の動作を行うリンクに関する情報を含む。なおLink Informationは、AP100、STA100Aが複数のリンクを用いた通信(Multi-Link Operation)に対応していない場合は省略されてもよい。
【0138】
また、図10に示すBehavior Type、Link InformationはMAC Headerに含まれてもよい。例えばIEEE 802.11で規定されるMAC HeaderのA-Control fieldに含まれてもよい。この場合MPDUはMAC Header以外の情報を含まないQoS-Nullを用いてもよい。
【0139】
Paddingは長さ調整に関する情報が含まれる。
【0140】
図11は、本開示の実施形態に係る第一の信号におけるA-MPDU contentsの一例を示す図表である。ここでの第一の信号は、第二の信号によってPreemptionされた信号であるものとする。
【0141】
本フォーマットを用いて送信されるPreemptionに関するMPDU(Preemptionに関する情報を含むMPDU)は、他のデータユニット(MPDU)と連結して送信される場合、他のMPDUを先に連結し、Preemptionに関するMPDUは最後に連結される。
【0142】
例えば、図11に示すように、Typ1の種類に該当するMPDUが最初に、Typ2の種類に該当するMPDUが次に、Preemptionに関するMPDUは最後に連結される順番となる。
【0143】
ただしPreemptionに関するMPDUは、第一の信号がPreemptionによって打ち切られる場合、Preemptionに関するMPDU以降に他のMPDUが連結しないことを条件に、任意の順番に割り込んで連結される。
【0144】
<<5.通信処理>>
<5.1.第一の通信処理>
図12は、本開示の実施形態に係る第一の通信処理の流れの一例を示すフローチャートである。第一の通信処理は、例えば、第一の無線通信装置(例えばAP100)によって実行される。
【0145】
図12に示すように、第一の無線通信装置は、例えば、他の無線通信装置(例えば、STA100A、200B)とケイパビリティチェックを行う(ステップS101)。
【0146】
第一の無線通信装置は、第一の信号の送信を開始する(ステップS102)。例えば、第一の無線通信装置がAP100である場合、AP100は、STA200A宛に第一の信号を送信する。
【0147】
次に、第一の無線通信装置は、一定の遅延時間内で送信する必要があるデータ(低遅延データ)が生成されたか否かを判定する(ステップS103)。生成されていないと判定した場合(ステップS103;No)、第一の無線通信装置は、ステップS105に進む。
【0148】
一方、一定の遅延時間内で送信する必要があるデータが生成されたと判定した場合(ステップS103;Yes)、第一の無線通信装置は、当該データを第一の信号の通信完了後に通信して遅延時間が満たせるか否かを判定する(ステップS104)。
【0149】
遅延時間が満たせると判定した場合(ステップS104;Yes)、第一の無線通信装置は、第一の信号の通信が完了したか否かを判定する(ステップS105)。第一の信号の通信が完了していないと判定した場合(ステップS105;No)、第一の無線通信装置は、ステップS103に戻り、低遅延データが生成されたか否かを判定する。
【0150】
一方、第一の信号の通信が完了したと判定した場合(ステップS105;Yes)、第一の無線通信装置は、第一の通信処理を終了する。その後、第一の無線通信装置は、一定の遅延時間内で送信する必要があるデータを第二の信号として送信しうる。
【0151】
上述したステップS104で、一定の遅延時間内で送信する必要があるデータを第一の信号の通信完了後に通信すると、遅延時間が満たせないと判定した場合(ステップS104;No)、第一の無線通信装置は、第一の信号の送信を打ち切る(ステップS106)。
【0152】
続いて、第一の無線通信装置は、一定の遅延時間内で送信する必要があるデータを第二の信号として、当該第二の信号の通信を実施する(ステップS107)。例えば、第一の無線通信装置がAP100である場合、AP100は、STA200B宛に第二の信号を送信する。
【0153】
その後、第一の無線通信装置は、応答信号回復シーケンスを実施し(ステップS108)、第一の通信処理を終了する。例えば、第一の無線通信装置は、上述した第一~第四の応答信号回復シーケンスを実施する(図4図7参照)。
【0154】
<5.2.第二の通信処理>
図13は、本開示の実施形態に係る第二の通信処理の流れの一例を示すフローチャートである。第二の通信処理は、例えば、第二の無線通信装置(例えばSTA200A、200B)によって実行される。
【0155】
図13に示すように、第二の無線通信装置は、例えば、他の無線通信装置(例えば、AP100)とケイパビリティチェックを行う(ステップS201)。
【0156】
第二の無線通信装置は、第一の信号の受信を開始する(ステップS202)。第二の無線通信装置は、受信した第一の信号は自身宛であるか否かを判定する(ステップS203)。第一の信号が自身宛でないと判定した場合(ステップS203;No)、第二の無線通信装置は、後述するステップS211以降の処理を実行する。例えば、第二の無線通信装置がSTA200Bである場合は、後述するステップS211以降の処理を実行する。
【0157】
第一の信号が自身宛であると判定した場合(ステップS203;Yes)、第二の無線通信装置は、ステップS204~S210の処理を実行する。例えば、第二の無線通信装置がSTA200Aである場合は、ステップS204~S210の処理を実行する。
【0158】
例えば、第一の信号が自身宛であると判定した場合(ステップS203;Yes)、第二の無線通信装置は、第一の信号に対する応答信号(第一の応答信号)の送信タイミングを算出する(ステップS204)。
【0159】
次に、第二の無線通信装置は、第一の信号がPreemptionされたことを示す情報を受信したか否かを判定する(ステップS205)。
【0160】
Preemptionされたことを示す情報を受信していないと判定した場合(ステップS205;No)、第二の無線通信装置は、算出した応答信号(第一の応答信号)の送信タイミングであるか否かを判定する(ステップS206)。
【0161】
算出した送信タイミングでないと判定した場合(ステップS206;No)、第二の無線通信装置は、ステップS205に戻り、第一の信号がPreemptionされたか否かを判定する。
【0162】
応答信号(第一の応答信号)の送信タイミングであると判定した場合(ステップS206;Yes)、第二の無線通信装置は、第一の信号に対する応答信号(第一の応答信号)を送信し(ステップS207)、第二の通信処理を終了する。
【0163】
ステップS205において、第一の信号がPreemptionされたことを示す情報を受信したと判定した場合(ステップS205;Yes)、第二の無線通信装置は、第二の信号の通信は、算出した応答信号の送信タイミングより後に完了するか否かを判定する(ステップS208)。
【0164】
算出した送信タイミングより後に完了しない、すなわち、第二の信号の通信が第一の応答信号の送信タイミングより前に完了すると判定した場合(ステップS208;No)、第二の無線通信装置は、ステップS206に進む。
【0165】
一方、算出した送信タイミングより後に第二の信号の通信が完了すると判定した場合(ステップS208;Yes)、第二の無線通信装置は、第一の信号に対する応答信号(第一の応答信号)の送信を抑制する(ステップS209)。
【0166】
その後、第二の無線通信装置は、応答信号回復シーケンスを実施し(ステップS210)、第二の通信処理を終了する。
【0167】
上述したステップS203において、第一の信号が自身宛でないと判定した場合(ステップS203;No)、第二の無線通信装置は、自身宛の第二の信号を受信したか否かを判定する(ステップS211)。
【0168】
第二の信号を受信していないと判定した場合(ステップS211;No)、第二の無線通信装置は、第二の通信処理を終了する。
【0169】
一方、第二の信号を受信したと判定した場合(ステップS211;Yes)、第二の無線通信装置は、第二の信号の通信を実施する(ステップS212)。
【0170】
第二の無線通信装置は、第二の信号に対する応答信号(第二の応答信号)を第四の送信方法に従って送信するか否かを判定する(ステップS213)。
【0171】
第四の送信方法に従って送信しないと判定した場合(ステップS213;No)、第二の無線通信装置は、通常通り第二の信号に対する応答信号を送信し(ステップS214)、第二の通信処理を終了する。
【0172】
一方、第四の送信方法に従って送信すると判定した場合(ステップS213;Yes)、第二の無線通信装置は、第四の送信方法に従って第二の信号に対する応答信号を送信し(ステップS215)、第二の通信処理を終了する。
【0173】
<<6.その他の実施形態>>
上述の各実施形態及び各適用例は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
【0174】
例えば、本実施形態の無線通信装置300を制御する制御装置は、専用のコンピュータシステムにより実現してもよいし、汎用のコンピュータシステムによって実現してもよい。
【0175】
例えば、上述の動作を実行するためのプログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布する。そして、例えば、該プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行することによって制御装置を構成する。このとき、制御装置は、無線通信装置300の外部の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)であってもよい。また、制御装置は、無線通信装置300の内部の装置(例えば、制御部330)であってもよい。
【0176】
また、上記プログラムをインターネット等のネットワーク上のサーバ装置が備えるディスク装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をサーバ装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
【0177】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0178】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。なお、この分散・統合による構成は動的に行われてもよい。
【0179】
また、上述の実施形態は、処理内容を矛盾させない領域で適宜組み合わせることが可能である。また、上述の実施形態のシーケンス図及びフローチャートに示された各ステップは、適宜順序を変更することが可能である。
【0180】
また、例えば、本実施形態は、装置又はシステムを構成するあらゆる構成、例えば、システムLSI等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
【0181】
なお、本実施形態において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0182】
また、例えば、本実施形態は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0183】
<<7.まとめ>>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0184】
また、本明細書に記載された実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0185】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
第一の信号の送信中に、前記第一の信号の送信を打ち切って、第二の信号を送信する制御を行う制御部、
を備え、
前記第二の信号は、前記第一の信号を打ち切ったことを示す第一の情報を含む、
無線通信装置。
(2)
前記第一の信号は、送信中に打ち切られることを許容することを示す第二の情報を含む、(1)に記載の無線通信装置。
(3)
前記制御部は、前記第一の信号の送信中に、所定以下の遅延が要求されるデータが生成された場合に、前記第一の信号の送信を打ち切って、前記データを前記第二の信号として送信する制御を行う、(1)又は(2)に記載の無線通信装置。
(4)
前記第一の情報は、前記第二の信号のPHYヘッダに格納される、(1)~(3)のいずれか1つに記載の無線通信装置。
(5)
前記制御部は、前記第一の信号の宛先である第一の無線通信装置に、前記第一の信号に対する応答信号の送信方法を通知する制御を行う、(1)~(4)のいずれか1つに記載の無線通信装置。
(6)
前記制御部は、他の無線通信装置との間でケイパビリティチェックを行う際に、前記送信方法を通知する制御を行う、(5)に記載の無線通信装置。
(7)
前記制御部は、前記第一の信号の末尾に前記送信方法を示す第三の情報を付加して、前記第一の信号を送信する制御を行う、(5)に記載の無線通信装置。
(8)
前記制御部は、前記送信方法に従って、前記第一の信号の宛先である第一の無線通信装置から前記第一の信号に対する前記応答信号、及び、前記第二の信号の宛先である第二の無線通信装置から前記第二の信号に対する応答信号の少なくとも一方を受信する制御を行う、(5)に記載の無線通信装置。
(9)
送信装置が第一の信号の送信を打ち切って、第二の信号を送信する場合に、
前記送信装置による前記第一の信号の送信が打ち切られたことを示す情報を受信する制御を行い、
前記第一の信号に対する第一の応答信号、及び、前記第二の信号に対する第二の応答信号の少なくとも一方を、前記第一の信号に対する前記第一の応答信号の送信方法に応じて送信するか否かを決定する、制御部、
を備える、無線通信装置。
(10)
前記制御部は、
前記第一の信号が自身宛てである場合に、前記第一の応答信号の送信タイミングを算出し、
前記第二の信号の長さに基づき、算出した前記送信タイミングで前記第一の応答信号の送信を制御する、(9)に記載の無線通信装置。
(11)
前記送信方法は、前記送信装置によって通知される、(9)又は(10)に記載の無線通信装置。
(12)
前記送信方法は、前記送信装置との間でケイパビリティチェックが行われる際に通知される、(11)に記載の無線通信装置。
(13)
前記送信方法は、前記第一の信号の末尾に格納される第三の情報によって通知される、(11)に記載の無線通信装置。
(14)
前記制御部は、前記第一の信号が自身宛てでない場合に、前記第一の応答信号を送信せず、復調を停止しない、又は、省電力状態に移行しない、(9)~(13)のいずれか1つに記載の無線通信装置。
(15)
前記制御部は、前記第二の応答信号の送信を制御する、(14)に記載の無線通信装置。
(16)
第一の信号の送信中に、前記第一の信号の送信を打ち切って、第二の信号を送信すること、
を含み、
前記第二の信号は、前記第一の信号を打ち切ったことを示す第一の情報を含む、
通信方法。
(17)
送信装置が第一の信号の送信を打ち切って、第二の信号を送信する場合に、
前記送信装置による前記第一の信号の送信が打ち切られたことを示す情報を受信することと、
前記第一の信号に対する第一の応答信号、及び、前記第二の信号に対する第二の応答信号の少なくとも一方を、前記第一の信号に対する前記第一の応答信号の送信方法に応じて送信するか否かを決定することと、
を含む、通信方法。
【符号の説明】
【0186】
1 無線通信システム
100 AP
200 STA
300 無線通信装置
310 通信部
320 アンテナ
330 制御部
340 記憶部
図1
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