(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180831
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/22 20060101AFI20231214BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231214BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20231214BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20231214BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20231214BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20231214BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H05B33/22 Z
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/04
H05B33/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094446
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 信雄
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC21
3K107DD21
3K107DD26
3K107DD44X
3K107DD44Y
3K107DD89
3K107DD95
3K107EE03
3K107EE07
3K107EE21
3K107EE46
3K107EE48
3K107FF15
5C094BA27
5C094EA07
5C094EC04
5C094FA03
5C094FB02
5C094FB12
5C094JA09
(57)【要約】
【課題】信頼性の低下を抑制する。
【解決手段】一実施形態によれば、表示装置は、基板と、前記基板の上方に配置された下電極と、無機絶縁材料で形成され、前記下電極と重なる開口を有するリブと、前記リブの上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、前記開口において前記下電極の上に配置された有機層と、前記有機層の上に配置された上電極と、前記上電極の上に配置されたキャップ層と、前記キャップ層を覆い、前記隔壁の前記下部に接する封止層と、を備え、前記開口のエッジは、第1直線部と、第2直線部と、前記第1直線部及び前記第2直線部に繋がる曲線部と、を含み、前記第1直線部と前記第2直線部とのなす角度は、90°以上である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方に配置された下電極と、
無機絶縁材料で形成され、前記下電極と重なる開口を有するリブと、
前記リブの上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、
前記開口において前記下電極の上に配置された有機層と、
前記有機層の上に配置された上電極と、
前記上電極の上に配置されたキャップ層と、
前記キャップ層を覆い、前記隔壁の前記下部に接する封止層と、を備え、
前記開口のエッジは、第1直線部と、第2直線部と、前記第1直線部及び前記第2直線部に繋がる曲線部と、を含み、
前記第1直線部と前記第2直線部とのなす角度は、90°以上である、表示装置。
【請求項2】
前記第1直線部及び前記第2直線部の各々の長さは、前記曲線部の曲率半径以上である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記開口のエッジは、さらに、前記第2直線部から離間した第3直線部を含み、
前記第2直線部及び前記第3直線部は、互いに平行であり、同一直線上に位置し、
前記下電極と画素回路とを電気的に接続するためのコンタクトホールは、前記第2直線部と前記第3直線部との間に位置している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2直線部及び前記第3直線部は、前記下電極の長辺に沿って延出している、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2直線部及び前記第3直線部は、前記下電極の短辺に沿って延出している、請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記リブは、シリコン窒化物、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、及び、酸化アルミニウムの少なくとも1つで形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記有機層の一部、前記上電極の一部、及び、前記キャップ層の一部は、前記隔壁の前記上部の上に配置され、前記上部よりも下方に位置する部分とは離間している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記封止層は、シリコン窒化物、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、及び、酸化アルミニウムの少なくとも1つで形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記上電極は、マグネシウム及び銀の合金で形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記キャップ層は、前記上電極の上に配置された透明層と、前記透明層の上に配置された無機層と、を有し、
前記無機層は、フッ化リチウムまたはシリコン酸化物で形成されている、請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、薄膜トランジスタを含む画素回路と、画素回路に接続された下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極と、を備えている。有機層は、発光層の他に、正孔輸送層や電子輸送層などの機能層を含んでいる。
このような表示素子を製造する過程において、信頼性の低下を抑制する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、表示装置は、
基板と、前記基板の上方に配置された下電極と、無機絶縁材料で形成され、前記下電極と重なる開口を有するリブと、前記リブの上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、前記開口において前記下電極の上に配置された有機層と、前記有機層の上に配置された上電極と、前記上電極の上に配置されたキャップ層と、前記キャップ層を覆い、前記隔壁の前記下部に接する封止層と、を備え、前記開口のエッジは、第1直線部と、第2直線部と、前記第1直線部及び前記第2直線部に繋がる曲線部と、を含み、前記第1直線部と前記第2直線部とのなす角度は、90°以上である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2に示したリブ5の開口AP1,AP2,AP3の各々の形状の一例を説明するための平面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示した開口のエッジに含まれる直線部の好ましい長さを説明するための平面図である。
【
図5】
図5は、
図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
【
図6】
図6は、表示素子201の構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、表示装置DSPの製造方法の一例を説明するためのフロー図である。
【
図8】
図8は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図10】
図10は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図11】
図11は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図12】
図12は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図13】
図13は、リブ5の開口AP1,AP2,AP3の各々の形状の他の例を説明するための平面図である。
【
図14】
図14は、リブ5の開口APの形状の比較例を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向と称し、Y軸に沿った方向を第2方向と称し、Z軸に沿った方向を第3方向と称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0009】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0010】
図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAと、を有している。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0011】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0012】
表示領域DAは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、第1色の副画素SP1、第2色の副画素SP2、及び、第3色の副画素SP3を含む。第1色、第2色、及び、第3色は、互いに異なる色である。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0013】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0014】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極及びドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極及びキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極及びドレイン電極の一方は電源線PL及びキャパシタ4に接続され、他方は表示素子20のアノードに接続されている。
【0015】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタ及びキャパシタを備えてもよい。
【0016】
表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)であり、有機EL素子と称する場合がある。
【0017】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図2の例においては、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに並んでいる。さらに、副画素SP2及び副画素SP3がそれぞれ副画素SP1と第1方向Xに並んでいる。
【0018】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP1が第2方向Yに繰り返し配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。
【0019】
なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは
図2の例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1,SP2,SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0020】
表示領域DAには、リブ5及び隔壁6が配置されている。リブ5は、副画素SP1,SP2,SP3においてそれぞれ開口AP1,AP2,AP3を有している。開口AP1,AP2,AP3の各々の形状については後述する。
【0021】
隔壁6は、平面視においてリブ5と重なっている。隔壁6は、第1方向Xに延びる複数の第1隔壁6xと、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6yと、を有している。複数の第1隔壁6xは、第2方向Yに隣り合う開口AP2,AP3の間、及び、第2方向Yに隣り合う2つの開口AP1の間にそれぞれ配置されている。第2隔壁6yは、第1方向Xに隣り合う開口AP1,AP2の間、及び、第1方向Xに隣り合う開口AP1,AP3の間にそれぞれ配置されている。
【0022】
図2の例においては、第1隔壁6x及び第2隔壁6yは、互いに接続されている。これにより、隔壁6は、全体として開口AP1,AP2,AP3を囲う格子状に形成されている。隔壁6は、リブ5と同様に副画素SP1,SP2,SP3において開口を有するということもできる。
【0023】
副画素SP1,SP2,SP3は、表示素子20として、それぞれ表示素子201,202,203を備えている。
副画素SP1は、開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1及び有機層OR1を備えている。副画素SP2は、開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2及び有機層OR2を備えている。副画素SP3は、開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3及び有機層OR3を備えている。
【0024】
図2の例においては、下電極LE1、LE2、LE3の外形は点線で示し、有機層OR1、OR2、OR3、及び、上電極UE1、UE2、UE3の外形は一点鎖線で示している。下電極LE1、LE2、LE3のそれぞれの周縁部は、リブ5に重なっている。なお、図示した下電極、有機層、上電極のそれぞれの外形は、正確な形状を反映したものとは限らない。
【0025】
下電極LE1、上電極UE1、及び、有機層OR1は、副画素SP1の表示素子201を構成する。下電極LE2、上電極UE2、及び、有機層OR2は、副画素SP2の表示素子202を構成する。下電極LE3、上電極UE3、及び、有機層OR3は、副画素SP3の表示素子203を構成する。
【0026】
下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、表示素子のアノードに相当する。上電極UE1、UE2、UE3は、表示素子のカソード、あるいは、共通電極に相当する。
【0027】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1の画素回路1(
図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2の画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0028】
図2の例においては、開口AP1の面積が開口AP2の面積よりも大きく、開口AP2の面積が開口AP3の面積よりも大きい。換言すると、開口AP1から露出した下電極LE1の面積は開口AP2から露出した下電極LE2の面積よりも大きく、開口AP2から露出した下電極LE2の面積は開口AP3から露出した下電極LE3の面積よりも大きい。
【0029】
例えば、副画素SP1の表示素子201は、青波長域の光を放つように構成される。また、副画素SP2の表示素子202は、緑波長域の光を放つように構成され、また、副画素SP3の表示素子203は、赤波長域の光を放つように構成される。
【0030】
図3は、
図2に示したリブ5の開口AP1,AP2,AP3の各々の形状の一例を説明するための平面図である。
【0031】
まず、開口AP1について説明する。
開口AP1のエッジは、直線部L11乃至L18と、曲線部C11乃至C18と、を有している。
【0032】
直線部L11及びL17は、互いに平行であり、第1方向Xに沿って延出し、下電極LE1の短辺LSとほぼ平行である。直線部L12、L14、L16、L18は、互いに平行であり、第2方向Yに沿って延出し、下電極LE1の長辺LLとほぼ平行である。特に、直線部L12、L16は、同一直線上に位置している。コンタクトホールCH1は、直線部L12と直線部L16との間に位置し、しかも、直線部L12、L16とともに同一直線上に位置している。直線部L14は、第1方向XにおいてコンタクトホールCH1と直線部L18との間に位置している。直線部L13及びL15は、第1方向X及び第2方向Yとは異なる斜め方向に延出している。
【0033】
曲線部C11乃至C18の各々は、ほぼ円弧状に形成されている。曲線部C11は、直線部L11及びL12に繋がっている。曲線部C12は、直線部L12及びL13に繋がっている。曲線部C13は、直線部L13及びL14に繋がっている。曲線部C14は、直線部L14及びL15に繋がっている。曲線部C15は、直線部L15及びL16に繋がっている。曲線部C16は、直線部L16及びL17に繋がっている。曲線部C17は、直線部L17及びL18に繋がっている。曲線部C18は、直線部L18及びL11に繋がっている。
【0034】
1つの曲線部を挟んで隣接する2つの直線部のなす角度は、90°以上である。なお、ここでのなす角度とは、各直線部の延長線を図中に点線で示したとき、互いに交差する延長線のなす角度に相当する。
【0035】
例えば、直線部L11と直線部L12とのなす角度θ11は、90°である。直線部L12と直線部L13とのなす角度θ12、直線部L13と直線部L14とのなす角度θ13、直線部L14と直線部L15とのなす角度θ14、及び、直線部L15と直線部L16とのなす角度θ15は、いずれも90°より大きい鈍角である。直線部L16と直線部L17とのなす角度θ16、直線部L17と直線部L18とのなす角度θ17、及び、直線部L18と直線部L11とのなす角度θ18は、いずれも90°である。
次に、開口AP2について説明する。
開口AP2のエッジは、直線部L21乃至L24と、曲線部C21乃至C24と、を有している。
【0036】
直線部L21及びL23は、互いに平行であり、第1方向Xに沿って延出している。直線部L22及びL24は、互いに平行であり、第2方向Yに沿って延出している。
曲線部C21乃至C24の各々は、ほぼ円弧状に形成されている。曲線部C21は、直線部L21及びL22に繋がっている。曲線部C22は、直線部L22及びL23に繋がっている。曲線部C23は、直線部L23及びL24に繋がっている。曲線部C24は、直線部L24及びL21に繋がっている。
直線部L21と直線部L22とのなす角度θ21、直線部L22と直線部L23とのなす角度θ22、直線部L23と直線部L24とのなす角度θ23、及び、直線部L24と直線部L21とのなす角度θ24は、いずれも90°である。
【0037】
次に、開口AP3について説明する。
開口AP3のエッジは、直線部L31乃至L34と、曲線部C31乃至C34と、を有している。
【0038】
直線部L31及びL33は、互いに平行であり、第1方向Xに沿って延出している。直線部L32及びL34は、互いに平行であり、第2方向Yに沿って延出している。
曲線部C31乃至C34の各々は、ほぼ円弧状に形成されている。曲線部C31は、直線部L31及びL32に繋がっている。曲線部C32は、直線部L32及びL33に繋がっている。曲線部C33は、直線部L33及びL34に繋がっている。曲線部C34は、直線部L34及びL31に繋がっている。
直線部L31と直線部L32とのなす角度θ31、直線部L32と直線部L33とのなす角度θ32、直線部L33と直線部L34とのなす角度θ33、及び、直線部L34と直線部L31とのなす角度θ34は、いずれも90°である。
【0039】
開口AP1、AP2、AP3の形状は、図示した例に限らない。例えば、開口AP2、AP3の各々エッジは、図示した例よりも多くの直線部及び曲線部を含んでいてもよい。
【0040】
図4は、
図3に示した開口のエッジに含まれる直線部の好ましい長さを説明するための平面図である。
図4では、開口AP1のエッジのうち、直線部L11及び直線部L12のそれぞれの一部と、曲線部C11とが示されている。
【0041】
曲線部C11は、上記の通り円弧状に形成されており、半径aの円の円周の一部に相当する。つまり、曲線部C11の曲率半径は、「a」として表される。
直線部L11の第1方向Xに沿った長さLxは、直線部L11に隣接する曲線部C11の曲率半径aと同等以上であることが望ましい。同様に、直線部L12の第2方向Yに沿った長さLyは、直線部L12に隣接する曲線部C11の曲率半径aと同等以上であることが望ましい。また、開口AP1に含まれる他の直線部の長さも、それぞれの直線部に隣接する曲線部の曲率半径と同等以上であることが望ましい。
さらに、他の開口AP2,AP3に含まれる直線部の長さも、それぞれの直線部に隣接する曲線部の曲率半径と同等以上であることが望ましい。
【0042】
図5は、
図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
上述の基板10の上に回路層11が配置されている。回路層11は、
図1に示した画素回路1、走査線GL、信号線SLおよび電源線PLなどの各種回路や配線を含む。回路層11は、絶縁層12により覆われている。絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。
【0043】
下電極LE1,LE2,LE3は、絶縁層12の上に配置されている。リブ5は、絶縁層12及び下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。つまり、下電極LE1,LE2,LE3の端部は、絶縁層12とリブ5との間に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3のうち、互いに隣接する下電極の間では、絶縁層12がリブ5により覆われている。
【0044】
隔壁6は、リブ5の上に配置された下部(茎)61と、下部61の上に配置された上部(笠)62と、を含む。図の左側に示した隔壁6の下部61は、開口AP1と開口AP2との間に位置している。図の右側に示した隔壁6の下部61は、開口AP2と開口AP3との間に位置している。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状ということもできる。上部62のうち、下部61よりも開口AP1に向かって突出した部分は突出部621と称し、下部61よりも開口AP2に向かって突出した部分は突出部622と称し、下部61よりも開口AP3に向かって突出した部分は突出部623と称する。
【0045】
有機層OR1は、開口AP1を通じて下電極LE1に接触し、下電極LE1を覆うとともに、リブ5の一部に重なっている。上電極UE1は、下電極LE1と対向するとともに、有機層OR1の上に配置されている。さらに、上電極UE1は、下部61の側面に接触している。有機層OR1及び上電極UE1は、上部62よりも下方に位置している。
【0046】
有機層OR2は、開口AP2を通じて下電極LE2に接触し、下電極LE2を覆うとともに、リブ5の一部に重なっている。上電極UE2は、下電極LE2と対向するとともに、有機層OR2の上に配置されている。さらに、上電極UE2は、下部61の側面に接触している。有機層OR2及び上電極UE2は、上部62よりも下方に位置している。
【0047】
有機層OR3は、開口AP3を通じて下電極LE3に接触し、下電極LE3を覆うとともに、リブ5の一部に重なっている。上電極UE3は、下電極LE3と対向するとともに、有機層OR3の上に配置されている。さらに、上電極UE3は、下部61の側面に接触している。有機層OR3及び上電極UE3は、上部62よりも下方に位置している。
【0048】
図示した例では、副画素SP1,SP2,SP3は、有機層OR1,OR2,OR3の発光層が発する光の光学特性を調整するためのキャップ層(光学調整層)CP1、CP2、CP3を含む。
キャップ層CP1は、開口AP1に位置し、上部62よりも下方に位置し、上電極UE1の上に配置されている。キャップ層CP2は、開口AP2に位置し、上部62よりも下方に位置し、上電極UE2の上に配置されている。キャップ層CP3は、開口AP3に位置し、上部62よりも下方に位置し、上電極UE3の上に配置されている。
【0049】
副画素SP1,SP2,SP3には、封止層SE1,SE2,SE3がそれぞれ配置されている。
封止層SE1は、キャップ層CP1、及び、隔壁6の下部61及び上部62に接し、副画素SP1の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE2は、キャップ層CP2、及び、隔壁6の下部61及び上部62に接し、副画素SP2の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE3は、キャップ層CP3、及び、隔壁6の下部61及び上部62に接し、副画素SP3の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE1,SE2,SE3は、保護層13により覆われている。
【0050】
図示した例では、有機層OR1の一部、上電極UE1の一部、及び、キャップ層CP1の一部は、隔壁6と封止層SE1との間に位置し、上部62の上に配置され、上部62よりも下方に位置する部分とは離間している。
また、有機層OR2の一部、上電極UE2の一部、及び、キャップ層CP2の一部は、隔壁6と封止層SE2との間に位置し、上部62の上に配置され、上部62よりも下方に位置する部分とは離間している。
また、有機層OR3の一部、上電極UE3の一部、及び、キャップ層CP3の一部は、隔壁6と封止層SE3との間に位置し、上部62の上に配置され、上部62よりも下方に位置する部分とは離間している。
【0051】
絶縁層12は、有機絶縁層である。リブ5、及び、封止層SE1,SE2,SE3は、無機絶縁層である。
【0052】
リブ5は、無機絶縁材料の一例であるシリコン窒化物(SiNx)で形成されている。なお、リブ5は、他の無機絶縁材料として、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)、または、酸化アルミニウム(Al2O3)のいずれかの単層体として形成されてもよい。また、リブ5は、シリコン窒化物層、シリコン酸化物層、シリコン酸窒化物層、及び、酸化アルミニウム層のうちの少なくとも2つの組合せによる積層体として形成されてもよい。
封止層SE1,SE2,SE3は、例えば、同一の無機絶縁材料で形成されている。
封止層SE1,SE2,SE3は、無機絶縁材料の一例であるシリコン窒化物(SiNx)で形成されている。なお、封止層SE1,SE2,SE3は、他の無機絶縁材料として、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)、または、酸化アルミニウム(Al2O3)のいずれかの単層体として形成されてもよい。また、封止層SE1,SE2,SE3は、シリコン窒化物層、シリコン酸化物層、シリコン酸窒化物層、及び、酸化アルミニウム層のうちの少なくとも2つの組合せによる積層体として形成されてもよい。このため、封止層SE1,SE2,SE3は、リブ5と同一材料で形成される場合があり得る。
【0053】
隔壁6の下部61は、導電材料によって形成され、各上電極UE1,UE2,UE3と電気的に接続されている。隔壁6の上部62も導電材料によって形成されてもよい。
【0054】
リブ5の厚さは、隔壁6や絶縁層12の厚さに比べて十分に小さい。一例では、リブ5の厚さは、200nm以上かつ400nm以下である。
隔壁6の下部61の厚さ(リブ5の上面から上部62の下面までの厚さ)は、リブ5の厚さより大きい。
封止層SE1の厚さ、封止層SE2の厚さ、及び、封止層SE3の厚さは、ほぼ同等であり、例えば、1μm以上である。
【0055】
下電極LE1,LE2,LE3は、ITOなどの透明導電材料で形成されてもよいし、銀(Ag)などの金属材料と透明導電材料との積層構造を有してもよい。上電極UE1,UE2,UE3は、例えばマグネシウム及び銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。上電極UE1,UE2,UE3は、ITOなどの透明導電材料で形成されてもよい。
【0056】
有機層OR1,OR2,OR3の各々は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などの複数の機能層を含む。また、有機層OR1は、発光層EM1を含む。有機層OR2は、発光層EM2を含む。発光層EM2は、発光層EM1とは異なる材料で形成されている。有機層OR3は、発光層EM3を含む。発光層EM3は、発光層EM1及びEM2とは異なる材料で形成されている。
【0057】
発光層EM1を形成する材料、発光層EM2を形成する材料、及び、発光層EM3を形成する材料は、互いに異なる波長域の光を放つ材料である。
一例では、発光層EM1は、青波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM2は、緑波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM3は、赤波長域の光を放つ材料によって形成されている。
【0058】
キャップ層CP1、CP2、CP3は、例えば、透明な薄膜の多層体によって形成されている。多層体は、薄膜として、無機材料によって形成された薄膜及び有機材料によって形成された薄膜を含んでいてもよい。また、これらの複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。多層体を構成する薄膜の材料は、上電極UE1、UE2、UE3の材料とは異なり、また、封止層SE1、SE2、SE3の材料とも異なる。なお、キャップ層CP1、CP2、CP3は、省略してもよい。
【0059】
保護層13は、透明な薄膜の多層体によって形成され、例えば、薄膜として、無機材料によって形成された薄膜及び有機材料によって形成された薄膜を含んでいる。
【0060】
隔壁6には、共通電圧が供給されている。この共通電圧は、下部61の側面に接触した各上電極UE1,UE2,UE3にそれぞれ供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、副画素SP1,SP2,SP3がそれぞれ有する画素回路1を通じて画素電圧が供給される。
【0061】
下電極LE1と上電極UE1の間に電位差が形成されると、有機層OR1のうちの発光層EM1が青波長域の光を放つ。下電極LE2と上電極UE2の間に電位差が形成されると、有機層OR2のうちの発光層EM2が緑波長域の光を放つ。下電極LE3と上電極UE3の間に電位差が形成されると、有機層OR3のうちの発光層EM3が青波長域の光を放つ。
【0062】
図6は、表示素子201の構成の一例を示す図である。なお、ここでは、下電極がアノードに相当し、上電極がカソードに相当する場合を例について説明する。
【0063】
表示素子201は、下電極LE1と上電極UE1との間に有機層OR1を含む。
有機層OR1において、正孔注入層HIL1、正孔輸送層HTL1、電子ブロッキング層EBL1、発光層EM1、正孔ブロッキング層HBL1、電子輸送層ETL1、及び、電子注入層EIL1は、この順に積層されている。
なお、有機層OR1は、上記した機能層の他に、必要に応じてキャリア発生層などの他の機能層を含んでいてもよいし、上記した機能層の少なくとも1つが省略されてもよい。
【0064】
キャップ層CP1は、透明層TL1及び無機層IL1を含む。透明層TL1は、上電極UE1の上に配置されている。無機層IL1は、透明層TL1の上に配置されている。封止層SE1は、無機層IL1の上に配置されている。
透明層TL1は、例えば有機材料によって形成された有機層であり、また、上電極UE1よりも大きい屈折率を有する高屈折率層である。無機層IL1は、例えば、フッ化リチウム(LiF)またはシリコン酸化物(SiOx)によって形成された透明な薄膜であり、透明層TL1よりも小さい屈折率を有する低屈折率層である。
なお、キャップ層CP1は、3層以上の積層体であってもよい。
【0065】
ここでは、表示素子201の構成の一例について説明したが、他の表示素子202及び203についても、表示素子201と同様の構成が適用可能であり、あるいは、表示素子201とは異なる構成が適用される場合もあり得る。
【0066】
次に、表示装置DSPの製造方法の一例について説明する。
【0067】
図7は、表示装置DSPの製造方法の一例を説明するためのフロー図である。
ここに示す製造方法は、大別して、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3を有する処理基板SUBを用意する工程(ステップST1)と、副画素SP1の表示素子201を形成する工程(ステップST2)と、副画素SP2の表示素子202を形成する工程(ステップST3)と、副画素SP3の表示素子203を形成する工程(ステップST4)と、を含む。
【0068】
ステップST1においては、まず、基板10の上に、副画素SP1の下電極LE1、副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3、リブ5、及び、隔壁6を形成した処理基板SUBを用意する。
図5に示したように、基板10と下電極LE1、LE2、LE3との間には、回路層11及び絶縁層12も形成される。
【0069】
ステップST2においては、まず、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3に亘って、発光層EM1を含む第1薄膜31を形成する(ステップST21)。第1薄膜31は、
図5に示した有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1の積層体である。その後、第1薄膜31の上に所定の形状にパターニングされた第1レジスト41を形成する(ステップST22)。その後、第1レジスト41をマスクとしたエッチングにより第1薄膜31の一部を除去する(ステップST23)。このとき、例えば、副画素SP2及び副画素SP3に配置された第1薄膜31が除去される。その後、第1レジスト41を除去する(ステップST24)。これにより、副画素SP1が形成される。副画素SP1は、所定の形状の第1薄膜31を有する表示素子201を備える。
【0070】
ステップST3においては、まず、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3に亘って、発光層EM2を含む第2薄膜32を形成する(ステップST31)。第2薄膜32は、
図5に示した有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、及び、封止層SE2の積層体である。その後、第2薄膜32の上に所定の形状にパターニングされた第2レジスト42を形成する(ステップST32)。その後、第2レジスト42をマスクとしたエッチングにより第2薄膜32の一部を除去する(ステップST33)。このとき、例えば、副画素SP1及び副画素SP3に配置された第2薄膜32が除去される。その後、第2レジスト42を除去する(ステップST34)。これにより、副画素SP2が形成される。副画素SP2は、所定の形状の第2薄膜32を有する表示素子202を備える。
【0071】
ステップST4においては、まず、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3に亘って、発光層EM3を含む第3薄膜33を形成する(ステップST41)。第3薄膜33は、
図5に示した有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、及び、封止層SE3の積層体である。その後、第3薄膜33の上に所定の形状にパターニングされた第3レジスト43を形成する(ステップST42)。その後、第3レジスト43をマスクとしたエッチングにより第3薄膜33の一部を除去する(ステップST43)。このとき、例えば、副画素SP1及び副画素SP2に配置された第3薄膜33が除去される。その後、第3レジスト43を除去する(ステップST44)。これにより、副画素SP3が形成される。副画素SP3は、所定の形状の第3薄膜33を有する表示素子203を備える。
【0072】
なお、第2薄膜32、第2レジスト42、第3薄膜33、及び、第3レジスト43の詳細な図示は省略する。
【0073】
以下、ステップST1及びステップST2について
図8乃至
図12を参照しながら説明する。なお、
図8乃至
図12に示す各断面は、例えば
図2中のA-B線に沿う断面に相当する。
【0074】
まず、ステップST1においては、
図8に示すように、処理基板SUBを用意する。処理基板SUBを用意する工程は、基板10の上に回路層11を形成する工程と、回路層11の上に絶縁層12を形成する工程と、絶縁層12の上に、副画素SP1の下電極LE1、副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3を形成する工程と、下電極LE1、LE2、LE3の各々と重なる開口AP1、AP2、AP3を有するリブ5を形成する工程と、リブ5の上に配置された下部61及び下部61の上に配置され下部61の側面から突出した上部62を含む隔壁6を形成する工程と、を含む。
【0075】
リブ5は、例えばシリコン窒化物で形成する。リブ5を形成する工程は、絶縁層12及び下電極LE1、LE2、LE3の上にシリコン窒化物層を形成する工程と、開口AP1、AP2、AP3に対応してパターニングされたレジストを形成する工程と、レジストをマスクとしたドライエッチングによりシリコン窒化物層を除去する工程と、レジストを除去する工程と、を含む。
【0076】
レジストを形成する工程では、開口AP1、AP2、AP3の各々のエッジが
図3を参照して説明したような形状となるように、レジストがパターニングされる。
シリコン窒化物層を除去する工程では、処理基板SUBが搬入されたチャンバー内にエッチング反応ガスとしてフッ素系ガスが導入される。フッ素系ガスとしては、例えば、六フッ化硫黄(SF
6)が適用される。なお、上記の通り、開口AP1、AP2、AP3の各々のエッジに含まれる直線部同士のなす角度がすべて90°以上である場合、フッ素系ガスとして、例えば、四フッ化メタン(CF
4)が適用されてもよい。
これにより、開口AP1、AP2、AP3の各々の内側でのシリコン窒化物の残渣の生成が抑制される。
【0077】
隔壁6のうち、少なくとも下部61は、導電材料で形成する。
【0078】
開口AP1、AP2、AP3を形成する工程は、隔壁6を形成する前に行ってもよいし、隔壁6を形成した後に行ってもよい。
【0079】
図9乃至
図12の各図においては、絶縁層12よりも下層の基板10及び回路層11の図示を省略する。
【0080】
続いて、ステップST21においては、
図9に示すように、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3に亘って、第1薄膜31を形成する。第1薄膜31を形成する工程は、処理基板SUBの上に、発光層EM1を含む有機層OR1を形成する工程と、有機層OR1の上に上電極UE1を形成する工程と、上電極UE1の上にキャップ層CP1を形成する工程と、キャップ層CP1の上に封止層SE1を形成する工程と、を含む。つまり、図示した例では、第1薄膜31は、有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1を含む。
【0081】
有機層OR1は、下電極LE1、下電極LE2、及び、下電極LE3の上にそれぞれ形成されるとともに、隔壁6の上にも形成されている。有機層OR1のうち、上部62の上に形成された部分は、各下電極の上に形成された部分から離間している。有機層OR1の各種機能層及び発光層EM1は、蒸着法により形成される。
【0082】
上電極UE1は、下電極LE1、下電極LE2、及び、下電極LE3の直上において、有機層OR1の上にそれぞれ形成され、リブ5を覆い、隔壁6の下部61に接している。また、上電極UE1は、上部62の直上において、有機層OR1の上にも形成されている。上電極UE1のうち、上部62の直上に形成された部分は、各下電極の直上に形成された部分から離間している。上電極UE1は、蒸着法により形成される。
【0083】
キャップ層CP1は、下電極LE1、下電極LE2、及び、下電極LE3の直上において、上電極UE1の上にそれぞれ形成されるとともに、上部62の直上において、上電極UE1の上にも形成されている。キャップ層CP1のうち、上部62の直上に形成された部分は、各下電極の直上に形成された部分から離間している。キャップ層CP1に含まれる透明層及び無機層は、蒸着法により形成される。
【0084】
封止層SE1は、キャップ層CP1、及び、隔壁6を覆うように形成されている。つまり、封止層SE1は、下電極LE1、下電極LE2、及び、下電極LE3の直上において、キャップ層CP1の上にそれぞれ形成されるとともに、上部62の直上において、キャップ層CP1の上にも形成されている。封止層SE1において、上部62の直上に形成された部分は、各下電極の直上に形成された部分と繋がっている。封止層SE1は、CVD法により形成される。上電極UE1はリブ5と封止層SE1との間に介在し、封止層SE1はリブ5から離間している。
【0085】
続いて、ステップST22においては、
図10に示すように、封止層SE1の上のパターニングした第1レジスト41を形成する。第1レジスト41は、副画素SP1の第1薄膜31を覆い、副画素SP2及び副画素SP3の第1薄膜31を露出する。つまり、第1レジスト41は、下電極LE1の直上に位置する封止層SE1に重なっている。また、第1レジスト41は、副画素SP1から隔壁6の上方に延出している。副画素SP1と副画素SP2との間の隔壁6上において、第1レジスト41は、副画素SP1側(図の左側)に配置され、副画素SP2側(図の右側)では封止層SE1を露出している。また、第1レジスト41は、副画素SP2及び副画素SP3において、封止層SE1を露出している。
【0086】
その後、ステップST23においては、
図11に示すように、第1レジスト41をマスクとしてエッチングを行い、第1レジスト41から露出した副画素SP2及び副画素SP3の第1薄膜31を除去し、副画素SP1に第1薄膜31が残留する。
【0087】
第1薄膜31を除去する工程は、例えば、以下の通りである。
まず、第1レジスト41をマスクとして利用し、ドライエッチングを行い、第1レジスト41から露出した封止層SE1を除去する。
その後、第1レジスト41をマスクとして利用し、ウエットエッチングを行い、封止層SE1から露出したキャップ層CP1の無機層を除去する。
その後、第1レジスト41をマスクとして利用し、ドライエッチングを行い、無機層から露出したキャップ層CP1の透明層を除去する。
その後、第1レジスト41をマスクとして利用し、ウエットエッチングを行い、透明層から露出した上電極UE1を除去する。
その後、第1レジスト41をマスクとして利用し、ドライエッチングを行い、上電極UE1から露出した有機層OR1を除去する。
これにより、副画素SP2において下電極LE2が露出し、また、下電極LE2を囲むリブ5が露出する。また、副画素SP3において下電極LE3が露出し、また、下電極LE3を囲むリブ5が露出する。また、副画素SP1と副画素SP2との間の隔壁6において、副画素SP2側が露出する。また、副画素SP2と副画素SP3との間の隔壁6が露出する。
【0088】
その後、ステップST24においては、
図12に示すように、第1レジスト41を除去する。これにより、副画素SP1の封止層SE1が露出する。これらのステップST21乃至ST24を経て、副画素SP1において、表示素子201が形成される。表示素子201は、下電極LE1、発光層EM1を含む有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1によって構成される。また、表示素子201は、封止層SE1によって覆われている。
【0089】
副画素SP1と副画素SP2との間の隔壁6上には、発光層EM1を含む有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1の積層体が形成される。また、隔壁6のうち、副画素SP1の側の部分は、封止層SE1で覆われる。なお、
図12に示した隔壁6上の積層体は、完全に除去される場合があり得る。
【0090】
図7に示したステップST31乃至ST34は、上記のステップST21乃至ST24と同様である。これらのステップST31乃至ST34を経て、
図5に示した副画素SP2において、表示素子202が形成される。表示素子202は、下電極LE2、発光層EM2を含む有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2によって構成される。また、表示素子202は、封止層SE2によって覆われている。
【0091】
図7に示したステップST41乃至ST44も、上記のステップST21乃至ST24と同様である。これらのステップST41乃至ST44を経て、
図5に示した副画素SP3において、表示素子203が形成される。表示素子203は、下電極LE3、発光層EM3を含む有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3によって構成される。また、表示素子203は、封止層SE3によって覆われている。
【0092】
以上説明したように、開口AP1、AP2、AP3を有するリブ5が形成される際に、シリコン窒化物の残渣の生成が抑制される。例えば、開口AP1のエッジの近傍に残渣が生成された場合、この残渣の影響で有機層OR1にクラックが生じ、下電極LE1と上電極UE1との短絡を招くおそれがある。
【0093】
本実施形態によれば、シリコン窒化物の残渣の生成が抑制されるため、下電極LE1と上電極UE1との短絡が抑制される。また、下電極LE1と上電極UE1との短絡に起因した表示素子201の滅点化が抑制される。したがって、信頼性の低下を抑制することができる。
【0094】
また、シリコン窒化物の残渣に起因した上電極UE1やキャップ層CP1のクラックも抑制される。このため、封止層SE1、上電極UE1、有機層OR1をそれぞれ除去するエッチング工程において、副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3、及び、リブ5へのダメージを回避することができる。
【0095】
次に、変形例について説明する。
【0096】
図13は、リブ5の開口AP1,AP2,AP3の各々の形状の他の例を説明するための平面図である。
【0097】
開口AP1のエッジは、直線部L11乃至L18と、曲線部C11乃至C18と、を有している。
【0098】
直線部L11及びL17は、互いに平行であり、第2方向Yに沿って延出し、下電極LE1の長辺LLとほぼ平行である。直線部L12、L14、L16、L18は、互いに平行であり、第1方向Xに沿って延出し、下電極LE1の短辺LSとほぼ平行である。特に、直線部L12、L16は、同一直線上に位置している。コンタクトホールCH1は、直線部L12と直線部L16との間に位置し、しかも、直線部L12、L16とともに同一直線上に位置している。直線部L14は、第2方向YにおいてコンタクトホールCH1と直線部L18との間に位置している。直線部L13及びL15は、第1方向X及び第2方向Yとは異なる斜め方向に延出している。
【0099】
曲線部C11乃至C18の各々は、ほぼ円弧状に形成されている。曲線部C11は、直線部L11及びL12に繋がっている。曲線部C12は、直線部L12及びL13に繋がっている。曲線部C13は、直線部L13及びL14に繋がっている。曲線部C14は、直線部L14及びL15に繋がっている。曲線部C15は、直線部L15及びL16に繋がっている。曲線部C16は、直線部L16及びL17に繋がっている。曲線部C17は、直線部L17及びL18に繋がっている。曲線部C18は、直線部L18及びL11に繋がっている。
【0100】
図13に示す例においても、
図3に示した例と同様に、1つの曲線部を挟んで隣接する2つの直線部のなす角度は、90°以上である。
【0101】
なお、開口AP2及びAP3については、
図3に示した例の形状と同様の形状であり、説明を省略する。
【0102】
図3及び
図13に示した例において、直線部L11は第1直線部に相当し、直線部L12は第2直線部に相当し、直線部L16は第3直線部に相当する。
【0103】
このような例においても、上記したのと同様の効果が得られる。
【0104】
次に、比較例について説明する。
【0105】
図14は、リブ5の開口APの形状の比較例を説明するための平面図である。
【0106】
開口APのエッジは、直線部L41と、直線部L42と、曲線部C41と、を含んでいる。曲線部C41は、直線部L41及び直線部L42に繋がっている。比較例においては、直線部L41と直線部L42とのなす角度θ40は、90°より小さい鋭角である。
【0107】
このようなエッジを含む開口APを形成する工程について説明する。
まず、シリコン窒化物層を形成し、シリコン窒化物層の上にレジストを形成し、その後、レジストをマスクとしたドライエッチングによりシリコン窒化物層を除去する。
【0108】
ここで、エッチング反応ガスとして四フッ化メタン(CF4)を適用したドライエッチングを行い、シリコン窒化物の残渣の有無を確認する実験を行った。複数の処理基板について、同一条件でドライエッチングを行ったところ、いくつかの処理基板において、曲線部C41の内側に、シリコン窒化物の残渣が発生することが確認された。
【0109】
また、エッチング反応ガスとして六フッ化硫黄(SF6)を適用したドライエッチングを行い、シリコン窒化物の残渣の有無を確認する実験を行った。複数の処理基板について、同一条件でドライエッチングを行ったところ、ほとんどの処理基板において、シリコン窒化物の残渣が発生しないことが確認された。
【0110】
以上説明したように、本実施形態によれば、信頼性の低下を抑制し、製造歩留まりを向上することが可能な表示装置を提供することができる。
【0111】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0112】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0113】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0114】
DSP…表示装置
10…基板 SUB…処理基板
5…リブ AP1,AP2,AP3…開口
L11~L18…直線部 C11~C18…曲線部
6…隔壁 61…下部 62…上部
SP1,SP2,SP3…副画素
20,201,202,203…表示素子(有機EL素子)
LE1,LE2,LE3…下電極(アノード)
UE1,UE2,UE3…上電極(カソード)
OR1,OR2,OR3…有機層
CP1,CP2,CP3…キャップ層
SE1,SE2,SE3…封止層