(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018084
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】レーザビームの方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H01S 3/0941 20060101AFI20230131BHJP
H01S 3/067 20060101ALI20230131BHJP
G02F 1/37 20060101ALN20230131BHJP
【FI】
H01S3/0941
H01S3/067
G02F1/37
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187263
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2020564235の分割
【原出願日】2019-05-13
(31)【優先権主張番号】259364
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(31)【優先権主張番号】259366
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(31)【優先権主張番号】62/777,787
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/827,210
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520158344
【氏名又は名称】シヴァン アドバンスド テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィドネ、ヤニフ
(72)【発明者】
【氏名】ウルバッハ、ベナヤフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェレッド、ラン
(72)【発明者】
【氏名】ジャッケル、スティーブン・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アルベック、イーシャイ
(72)【発明者】
【氏名】グロス、ジヴ
(72)【発明者】
【氏名】ブーブリ、アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】テラー、ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】シェケル、イーヤル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】レーザビームを操作及び調節するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】本開示の方法及び装置は、レーザシステムがその動作出力を維持しながら、レーザビームのアクティブ化/非アクティブ化を可能にする。さらに、本開示は、コアと少なくとも1つのクラッドとを有する光ファイバに結合するように構成されたハイブリッド型ポンプモジュール2200であって、光ファイバの光路に配置された少なくとも1つの集束レンズと、クラッドの光路に配置された、マルチモードビームを出力するように各々構成された複数のダイオードモジュール2210と、コアの光路に配置され、選択された機能を提供するように構成された少なくとも1つのコア関連モジュールと、を備える、ハイブリッド型ポンプモジュール2200を提供する。さらに、本開示は、光放射の周波数を逓倍するように構成された装置及び方法を提供する。
【選択図】
図10A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのシードレーザ装置と、前記シードレーザ装置のシードビームを受け取り、増幅されたレーザビームを選択的に提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システムとを備えたレーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムは、
複数の位相調節器であって、CBCポイントでの建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、シードビーム、複数の光増幅器、少なくとも1つのビームスプリッタ、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナに対して光学的に接続されるように構成された、該複数の位相調節器と、
前記CBCポイントでの前記ビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、前記複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの制御回路と、を含み、
当該方法は、
前記CBCポイントでの建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御して前記レーザビームをアクティブ化することによって、前記レーザビームを提供するステップと、
前記CBCポイントでの破壊的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御して前記レーザビームを非アクティブ化することによって、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御して前記レーザビームをアクティブ化する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を最大強度で提供するように前記位相調節器を調節するステップを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記破壊的な干渉を提供するように前記位相調節器を制御して前記レーザビームを非アクティブ化する前記ステップは、調節された前記位相調節器のうちの半分を制御して前記レーザビームに対して半位相(π)を追加するステップを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記破壊的な干渉を提供するように前記位相調節器を制御して前記レーザビームを非アクティブ化する前記ステップは、調節された前記位相調節器のうちのいくつかを調節するステップを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記位相調節器の各々は個別に調節される、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、
前記レーザビームを最大強度で提供するように調節された前記位相調節器のうちのいくつかを調節することによって、前記レーザビームを調節するステップをさらに含み、
前記位相調節器の調節は、前記レーザビームの強度を、前記最大強度の所定の割合に等しい強度にすることを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記破壊的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御して前記レーザビームを非アクティブ化する前記ステップは、前記破壊的なビーム干渉を最小強度で提供するように前記位相調節器を調節するステップを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
レーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記レーザシステムは、
少なくとも1つのシードレーザ装置と、
前記シードレーザ装置のシードビームを受け取り、その帯域幅を調節するように構成された高速光調節器(FOM)と、
帯域幅が調節された前記シードビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システムと、を備え、
当該方法は、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムのCBCポイントでの建設的な干渉を可能にするように設定された第1の帯域幅(Δω1)を有する前記シードビームを提供するように前記高速光調節器(FOM)を制御することによって、前記レーザビームをアクティブ化し、それによって、前記レーザビームを提供するステップと、
前記CBCポイントでの建設的な干渉を不能にするように設定された第2の帯域幅(Δω2;Δω2>Δω1)を有する前記シードビームに提供するように前記高速光調節器(FOM)を制御することによって、前記レーザビームを非アクティブ化し、それによって、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムは、
複数の位相調節器であって、CBCポイントでの建設的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、調節された前記シードビーム、複数の光増幅器、少なくとも1つのビームスプリッタ、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナに対して光学的に接続されるように構成された、該複数の位相調節器と、
前記CBCポイントでの前記ビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、前記複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの制御回路と、を含み、
前記レーザビームをアクティブ化する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御するステップをさらに含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を最大強度で提供するように前記位相調節器を調節するステップを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
レーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記レーザシステムは、
シードレーザビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システムと、
第1の波長(λ1)を有する第1のシードビームを提供するように構成された第1のシードレーザ装置と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長(λ2;λ2≠λ1)を有する第2のシードビームを提供するように構成された第2のシードレーザ装置と、
前記第1のシードビーム及び前記第2のシードビームの一方のみを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクするように構成された光スイッチと、を備え、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムは、
複数の位相調節器であって、CBCポイントでの建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、リンクされたシードビーム、複数の光増幅器、少なくとも1つのビームスプリッタ、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナに対して光学的に接続されるように構成された、該複数の位相調節器と、
前記CBCポイントでの前記ビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、前記複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの制御回路と、を含み、
当該方法は、
前記光スイッチを制御して前記第1のシードビームを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクさせて前記レーザビームをアクティブ化し、かつ、前記位相調節器を制御して建設的なビーム干渉を可能にし、それによって、前記レーザビームを提供するステップと、
前記光スイッチを制御して前記第2のシードビームを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクさせて前記レーザビームを非アクティブ化して、前記建設的なビーム干渉を不能にし、それによって、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を最大強度で提供するように前記位相調節器を調節するステップを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
レーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記レーザシステムは、
シードレーザビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システムと、
第1の帯域幅(Δω1)を有する第1のシードビームを提供するように構成された第1のシードレーザ装置と、
前記第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅(Δω2;Δω2>Δω1)を有する第2のシードビームを提供するように構成された第2のシードレーザ装置と、
前記第1のシードビーム及び前記第2のシードビームの一方のみを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクするように構成された光スイッチと、を備え、
前記第1の帯域幅(Δω1)は、前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムのCBCポイントでの前記建設的なビーム干渉を有効にするように設定され、
前記第2の帯域幅(Δω2)は、前記CBCポイントでの前記建設的なビーム干渉を不能にするように設定されており、
当該方法は、
前記光スイッチを制御して前記第1のシードビームを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクさせて前記レーザビームをアクティブ化して前記建設的なビーム干渉を可能にし、それによって、前記レーザビームを提供するステップと、
前記光スイッチを制御して前記第2のシードビームをCBCシステムにリンクさせてレーザビームを非アクティブ化して前記建設的なビーム干渉を不能にし、それによって、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムは、
複数の位相調節器であって、前記CBCポイントでの建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、リンクされたシードビーム、複数の光増幅器、少なくとも1つのビームスプリッタ、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナに対して光学的に接続されるように構成された、該複数の位相調節器と、
前記CBCポイントでの前記ビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、前記複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの制御回路と、を含み、
前記レーザビームをアクティブ化する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御するステップをさらに含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を最大強度で提供するように前記位相調節器を調節するステップを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項16】
レーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記レーザシステムは、
シードレーザビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システムと、
第1の波長(λ1)を有する第1のシードビームを提供するように構成された第1のシードレーザ装置と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長(λ2;λ2≠λ1)を有する第2のシードビームを提供するように構成された第2のシードレーザ装置と、
前記第1のシードビーム及び前記第2のシードビームの一方のみを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクするように構成された光スイッチと、
増幅された前記レーザビームを受け取り、前記第1の波長(λ1)を有するビームを前記レーザシステムの出力に伝送し、前記第2の波長(λ2)を有するビームを反射し、それによって、出力レーザビームを選択的に提供するように構成されたダイクロイックミラーと、を備え、
当該方法は、
前記光スイッチを制御して前記第1のシードビームを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクさせて前記レーザビームをアクティブ化し、それによって、前記レーザビームを伝送して、前記レーザビームを提供するステップと、
前記光スイッチを制御して前記第2のシードビームを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクさせて前記レーザビームを非アクティブ化し、それによって、前記レーザビームを反射して、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムは、
複数の位相調節器であって、CBCポイントでの建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、リンクされたシードビーム、複数の光増幅器、少なくとも1つのビームスプリッタ、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナに対して光学的に接続されるように構成された、該複数の位相調節器と、
前記CBCポイントでの前記ビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、前記複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの制御回路と、を含み、
前記レーザビームをアクティブ化する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御するステップをさらに含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を最大強度で提供するように前記位相調節器を調節するステップを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項19】
レーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記レーザシステムは、
シードレーザビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成された主発振器出力増幅器(MOPA)と、
第1の波長(λ1)を有する第1のシードビームを提供するように構成された第1のシードレーザ装置と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長(λ2;λ2≠λ1)を有する第2のシードビームを提供するように構成された第2のシードレーザ装置と、
前記第1のシードビーム及び前記第2のシードビームの一方のみを前記主発振器出力増幅器(MOPA)にリンクするように構成された光スイッチと、
増幅された前記レーザビームを受け取り、前記第1の波長(λ1)を有するビームを前記レーザシステムの出力に伝送し、前記第2の波長(λ2)を有するビームを反射し、それによって、出力レーザビームを選択的に提供するように構成されたダイクロイックミラーと、を備え、
当該方法は、
前記光スイッチを制御して前記第1のシードビームを前記主発振器出力増幅器(MOPA)にリンクさせて前記レーザビームをアクティブ化し、それによって、前記レーザビームを伝送して、前記レーザビームを提供するステップと、
前記光スイッチを制御して前記第2のシードビームをコヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクさせて前記レーザビームを非アクティブ化し、それによって、前記レーザビームを反射して、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
レーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記レーザシステムは、
少なくとも1つのシードレーザ装置と、
前記シードレーザ装置のシードビームを受け取り、その偏光方向を調節するように構成された少なくとも1つの光偏光コンバイナ(OPC)であって、前記偏光方向の調節が、前記シードビームに少なくとも2つの偏光成分を提供することを含み、前記偏光成分のうちの1つが所定の偏光方向(P1)を有する、該光偏光コンバイナ(OPC)と、
偏光調節された前記シードビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システムと、
増幅された前記レーザビームを受け取り、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分のみを前記レーザシステムの出力に伝送し、他の偏光方向を有するビーム成分を反射し、それによって、前記レーザビームを選択的に提供するように構成された偏光ビームスプリッタ(PBS)と、を備え、
当該方法は、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御して、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、ビームの全体強度の50%よりも大きい強度(I1)で提供することによって前記レーザビームをアクティブ化し、それによって、前記レーザビームを提供するステップと、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御して、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、前記レーザビームの全体強度の50%以下の強度(I1)で提供することによって前記レーザビームを非アクティブ化し、それによって、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御して、前記シードレーザビームの全体強度の所定の割合に等しい強度(I1)を有する前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を提供することにより、前記レーザビームを調節するステップをさらに含む、ことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムは、
複数の位相調節器であって、CBCポイントでの建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、偏光調節された前記シードビーム、複数の光増幅器、少なくとも1つのビームスプリッタ、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナに対して光学的に接続されるように構成された、該複数の位相調節器と、
前記CBCポイントでの前記ビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、前記複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの制御回路と、を含み、
当該方法は、
前記位相調節器を制御して、少なくとも、前記レーザビームをアクティブ化する前記ステップ中に、前記CBCポイントでの前記建設的なビーム干渉を提供するステップをさらに含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法であって、
前記光偏光コンバイナ(OPC)は、
ビーム分割アセンブリであって、第1の偏光方向(P1)を有する入力ビームを受け取り、前記第1の偏光方向(P1)及び第1の強度(I1)を有する第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と、前記第1の偏光方向(P1)及び第2の強度(I2)を有する第2の出力ビーム(B2(I2、P1))とを出力するように構成され、前記第1の強度と前記第2の強度との和(I1+I2)が前記入力ビームの強度に等しい、該ビーム分割アセンブリと、
前記ビーム分割アセンブリから出力された前記第1の出力ビーム及び前記第2の出力ビームの一方(B1またはB2)を受け取り、その偏光を変換するように構成された偏光変換器と、
偏波ビームスプリッタ(PBS)であって、前記第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と偏光変換された前記第2の出力ビーム(B2(I2、P2))とを受け取り、それらを結合して第3のビームを生成するように構成された、該偏波ビームスプリッタ(PBS)、または、カプラであって、前記第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と偏光変換された前記第2の出力ビーム(B2(I2、P2))とを受け取り、それらを結合した後に2つの出力ビームに分割し、分割された前記2つの出力ビームの一方のみを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムへの入力として提供するように構成された、該カプラと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、
前記ビーム分割アセンブリは、
入力ビームを受け取り、前記入力ビームを2つのビームに分割するように構成されたビームスプリッタと、
前記2つのビームの一方のビームの位相を調節するように構成された位相調節器と、
前記2つのビームを受け取り、2つの干渉位置でのそれらの干渉を提供することによって、前記第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と前記第2の出力ビーム(B2(I2、P1))とを提供するように構成されたカプラと、
電子制御装置であって、前記2つの干渉位置の一方をモニタリングし、それに応じて、前記位相調節器を制御することによって、モニタリングされた干渉位置での建設的または破壊的なビーム干渉を可能し、かつ、モニタリングされていない干渉位置での破壊的または建設的なビーム干渉を提供するように構成された、該電子制御装置と、を含み、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御する前記ステップは、前記位相調節器を制御するステップを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項25】
レーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記レーザシステムは、
少なくとも1つのシードレーザ装置と、
前記シードレーザ装置のシードビームを受け取り、その偏光方向を調節するように構成された少なくとも1つの光偏光コンバイナ(OPC)であって、前記偏光方向の調節が、前記シードビームに少なくとも2つの偏光成分を提供することを含み、前記偏光成分のうちの1つが所定の偏光方向(P1)を有する、該光偏光コンバイナ(OPC)と、
偏光調節された前記シードビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成された主発振器出力増幅器(MOPA)と、
増幅された前記レーザビームを受け取り、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分のみを前記レーザシステムの出力に伝送し、他の偏光方向を有するビーム成分を反射し、それによって、前記レーザビームを選択的に提供するように構成された偏光ビームスプリッタ(PBS)と、を備え、
当該方法は、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御して、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、ビームの全体強度の50%よりも大きい強度(I1)で提供することによって前記レーザビームをアクティブ化し、それによって、前記レーザビームを提供するステップと、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御して、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、前記レーザビームの全体強度の50%以下の強度(I1)で提供することによって前記レーザビームを非アクティブ化し、それによって、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項26】
レーザビームを調節するように構成されたレーザシステムであって、
少なくとも1つのシードレーザ装置と、
前記シードレーザ装置のシードビームを受け取り、その偏光方向を調節するように構成された少なくとも1つの光偏光コンバイナ(OPC)であって、前記偏光方向の調節が、前記シードビームに少なくとも2つの偏光成分を提供することを含み、前記偏光成分のうちの1つが所定の偏光方向(P1)を有する、該光偏光コンバイナ(OPC)と、
偏光調節された前記シードビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システムと、
増幅された前記レーザビームを受け取り、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分のみを前記レーザシステムの出力に伝送し、他の偏光方向を有するビーム成分を反射し、それによって、前記レーザビームを選択的に提供するように構成された偏光ビームスプリッタ(PBS)と、
電子制御装置であって、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御して、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、ビームの全体強度の50%よりも大きい強度(I1)で提供することによって前記レーザビームをアクティブ化し、それによって、前記レーザビームを提供し、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御して、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、前記レーザビームの全体強度の50%以下の強度(I1)で提供することによって前記レーザビームを非アクティブ化し、それによって、前記レーザビームの提供を停止するように構成された、該電子制御装置と、
を備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項26に記載のシステムであって、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムは、
複数の位相調節器であって、CBCポイントでの建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、偏光調節された前記シードビーム、複数の光増幅器、少なくとも1つのビームスプリッタ、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナに対して光学的に接続されるように構成された、該複数の位相調節器と、
前記CBCポイントでの前記ビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、前記複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの制御回路と、を含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項26に記載のシステムであって、
前記光偏光コンバイナ(OPC)は、
ビーム分割アセンブリであって、第1の偏光方向(P1)を有する入力ビームを受け取り、前記第1の偏光方向(P1)及び第1の強度(I1)を有する第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と、前記第1の偏光方向(P1)及び第2の強度(I2)を有する第2の出力ビーム(B2(I2、P1))とを出力するように構成され、前記第1の強度と前記第2の強度との和(I1+I2)が前記入力ビームの強度に等しい、該ビーム分割アセンブリと、
前記ビーム分割アセンブリから出力された前記第1の出力ビーム及び前記第2の出力ビームの一方(B1またはB2)を受け取り、その偏光を変換するように構成された偏光変換器と、
偏波ビームスプリッタ(PBS)であって、前記第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と偏光変換された前記第2の出力ビーム(B2(I2、P2))とを受け取り、それらを結合して第3のビームを生成するように構成された、該偏波ビームスプリッタ(PBS)、または、前記第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と偏光変換された前記第2の出力ビーム(B2(I2、P2))とを受け取り、それらを結合した後に2つの出力ビームに分割し、前記2つの出力ビームの一方のみを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムへの入力として提供するように構成された、該カプラと、を含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムであって、
前記ビーム分割アセンブリは、
入力ビームを受け取り、前記入力ビームを2つのビームに分割するように構成されたビームスプリッタと、
前記2つのビームの一方のビームの位相を調節するように構成された位相調節器と、
前記2つのビームを受け取り、2つの干渉位置でのそれらの干渉を提供することによって、前記第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と前記第2の出力ビーム(B2(I2、P1))とを提供するように構成されたカプラと、
電子制御装置であって、前記2つの干渉位置の一方をモニタリングし、それに応じて、前記位相調節器を制御することによって、モニタリングされた干渉位置での建設的または破壊的なビーム干渉を可能し、かつ、モニタリングされていない干渉位置での破壊的または建設的なビーム干渉を提供するように構成された、該電子制御装置と、を含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項30】
コアと少なくとも1つのクラッドとを有する光ファイバに結合するように構成されたハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記光ファイバによる光路に配置された少なくとも1つの集束レンズと、
前記クラッドによる光路に配置された、マルチモードビームを出力するように各々構成された複数のダイオードモジュールと、
前記コアによる光路に配置された少なくとも1つのコア関連モジュールであって、
(a)前記コアに向けてシングルモードビームを出力する機能、
(b)前記コアからビームを受け取り、受け取ったビームを出力光ファイバに結合する機能、
(c)前記コアからビームを受け取り、受け取ったビームを前記コアに反射して戻す機能、及び、
(d)前記コアからビームを受け取り、受け取ったビームの一部を前記コアに反射して戻し、受け取ったビームの別の部分を出力光ファイバに結合する機能、からなる群から選択される機能を提供するように構成された、該コア関連モジュールと、を備える、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項31】
請求項30に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
ビームの波長を所定の波長範囲に狭めてロックするように構成されたボリュームブラッグ回折格子(VBG)をさらに備える、ことを特徴とするモジュール。
【請求項32】
請求項30に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記複数のダイオードモジュール及び前記コア関連モジュールは、それらの出力ビームが列毎に互いに平行になるように、少なくとも1つの列に配置される、ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項33】
請求項32に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記複数のダイオードモジュール及び前記コア関連モジュールは、2列以上で配置されており、
当該ハイブリッド型ポンプモジュールは、
第1のビーム列の光路に配置された少なくとも1つの偏光子ビームコンバイナと、
追加のビーム列毎に設けられた1以上の折り畳みミラーであって、それに対応する列の平行ビームを、前記偏光子ビームコンバイナに向けて反射して方向転換させるように各々構成された、該折り畳みミラーと、をさらに備える、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項34】
請求項30に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記ダイオードモジュールの各々は、
広域レーザ(BAL)と、
前記広域レーザ(BAL)に関連付けられた折り畳みミラーであって、それに関連する前記広域レーザ(BAL)と前記クラッドとの間の光路を有するように構成された、該折り畳みミラーと、
任意選択で、前記広域レーザ(BAL)とそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、前記広域レーザ(BAL)のビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、をさらに含む、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項35】
請求項30に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記コア関連モジュールは、シード関連モジュールを含み、
前記シード関連モジュールは、
シードレーザ装置に結合するように構成された少なくとも1つのシード入力と、
前記シード入力と前記コアとの間の光路に設けられた、前記シード入力に関連付けられた折り畳みミラーと、
任意選択で、前記シード入力とそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、シードビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、を含む、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項36】
請求項35に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記シード関連モジュールは、
前記シードビームを増幅するように構成されたビーム増幅器と、
前記シードビームをサンプリングするように構成されたタップまたは部分ミラー、及びビーム後方伝送をモニタリングして警告するように構成されたモニタと、
一方向のみの光の伝送を可能にするように構成されたアイソレータとのうちの少なくとも1つをさらに含む、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項37】
請求項30に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記コア関連モジュールは、出力モジュールを含み、
前記出力モジュールは、
出力ファイバであって、任意選択でエンドキャップ要素を含む、該出力ファイバと、
前記コアと前記出力ファイバとの間の光路に設けられた、前記出力ファイバに関連する折り畳みミラーと、
任意選択で、前記出力ファイバとそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、受け取ったコアビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、
最適には、ポンプダンプと、を含む、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項38】
請求項30に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記コア関連モジュールは、高反射(HR)モジュールを含み、
前記高反射(HR)モジュールは、
高反射(HR)ミラーと、
前記コアと高反射(HR)ミラーとの間の光路に設けられた、前記高反射(HR)ミラーに関連付けられた折り畳みミラーと、
任意選択で、前記高反射(HR)ミラーとそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、それに関連するビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、を含む、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項39】
請求項38に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記高反射(HR)ミラーは、
前記高反射(HR)ミラーとそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、反射ビームを調節するように構成されたキャビティ内調節器をさらに含む、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項40】
請求項30に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記コア関連モジュールは、部分反射(PR)モジュールを含み、
前記部分反射(PR)モジュールは、
出力ファイバであって、任意選択でエンドキャップを含む、該出力ファイバと、
前記出力ファイバによる光路に配置された部分反射(PR)ミラーと、
前記コアと前記部分反射(PR)ミラーとの間の光路に設けられた、前記部分反射(PR)ミラーに関連付けられた折り畳みミラーと、
任意選択で、前記部分反射(PR)ミラーとそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、それに関連するビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、を含む、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項41】
請求項30に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
ベース面、リブ、ネジ、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの熱分配要素をさらに備える、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項42】
ファイバ増幅システムであって、
コアと少なくとも1つのクラッドとを含む光ファイバと、
前記光ファイバの第1の端部に結合された請求項35に記載のハイブリッド型ポンプモジュールと、を備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項43】
請求項42に記載のシステムであって、
ポンプダンプ及びエンドキャップエレメントの少なくとも一方をさらに備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項44】
請求項42に記載のシステムであって、
前記光ファイバの第2の端部に結合された、請求項37に記載のハイブリッド型ポンプモジュールをさらに備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項45】
ファイバレーザシステムであって、
コアと少なくとも1つのクラッドとを含む光ファイバと、
前記光ファイバの第1の端部に結合された、請求項38に記載のハイブリッド型ポンプモジュールと、
前記光ファイバの第2の端部に結合された、ファイバブラッグ回折格子(FBG)または請求項40に記載のハイブリッド型ポンプモジュールと、を備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項46】
請求項45に記載のシステムであって、
ポンプダンプ及びエンドキャップ要素のうちの少なくとも一方をさらに備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項47】
光放射の周波数を逓倍するように構成された装置であって、
第1の非線形結晶と少なくとも1つの第2の非線形結晶とを含む少なくとも2つの連続した非線形結晶(NLC)を備え、
前記第1の非線形結晶は、基本周波数(FF)の基本波ビームを受け取り、第2調波周波数(FH)の弱い第2調波ビームを、前記基本周波数(FF)の強い残留ビームと共に出射するように構成され、前記弱い第2調波ビームと前記基本波ビームとの出力比は5×10-3対1よりも小さく、
前記少なくとも1つの第2の非線形結晶は、その前の非線形結晶(NLC)からの、前記基本周波数(FF)の前記残留ビームと、前記第2調波周波数(FH)の前記第2調波ビームとを受け取り、前記第2調波周波数(FH)の強い周波数逓倍ビームを、前記基本周波数(FF)の前記残留ビームと共に出射するように構成され、前記強い周波数逓倍ビームと前記基本波ビームとの出力比は0.3:1よりも大きい、
ことを特徴とする装置。
【請求項48】
請求項47に記載の装置であって、
前記第2の非線形結晶によって受け取られる前に、前記基本周波数(FF)の前記残留ビームと前記第2調波周波数(FH)の前記第2調波ビームとの位相関係を補正するように構成された少なくとも1つの位相不整合補償器(PMC)をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項49】
請求項48に記載の装置であって、
前記強い周波数逓倍ビームをサンプリングし、それに応じて、前記強い周波数逓倍ビームの出力を最大化することを可能にするように前記位相不整合補償器(PMC)を調節するように構成された少なくとも1つのフィードバック及び制御システムをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項50】
請求項48に記載の装置であって、
前記フィードバック及び制御システムは、
少なくとも1つの測定要素と、
少なくとも1つの処理要素と、
前記位相不整合補償器(PMC)を調節するように構成された少なくとも1つの調節要素と、を含むことを特徴とする装置。
【請求項51】
請求項47に記載の装置であって、
前記非線形結晶(NLC)の温度を調節するように各々構成された、少なくとも1つのオーブンをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項52】
請求項47に記載の装置であって、
前記第1の非線形結晶の長さ(LS)は、前記第2の非線形結晶の長さ(LD)の10%以下である(LS≦0.1LD)ことを特徴とする装置。
【請求項53】
請求項52に記載の装置であって、
前記第2の非線形結晶はLBOを含み、
前記第2の非線形結晶の長さ(LD)は40mm以上であることを特徴とする装置。
【請求項54】
請求項47に記載の装置であって、
前記基本周波数(FF)は、赤外(IR)光の性質(λF=1064nm)を有し、
前記第2調波周波数(FH)は、可視光の性質(λH=532nm)を有することを特徴とする装置。
【請求項55】
請求項47に記載の装置であって、
前記非線形結晶(NLC)の各々は、その結晶軸に沿った基本波ビーム偏光を有するか、または、その結晶軸に対して45度の角度をなす基本波ビーム偏光を有するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項56】
請求項47に記載の装置であって、
前記非線形結晶(NLC)の各々は、BBO、KTP、LBO、CLBO、DKDP、ADP、KDP、LiIO3、KNbO3、LiNbO3、AgGaS2、及びAgGaSe2からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする装置。
【請求項57】
請求項47に記載の装置であって、
前記非線形結晶(NLC)の各々の側面積の寸法は、それが受け取る入力ビームの寸法よりも大きいことを特徴とする装置。
【請求項58】
請求項47に記載の装置であって、
前記非線形結晶(NLC)にビームを集束させるように構成された少なくとも1つの集束要素をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項59】
光放射の周波数を逓倍するための方法であって、
基本周波数(FF)の基本波ビームと、第2調波周波数(FH)の弱い第2調波ビームとを有する非線形結晶(NLC)を提供する提供ステップと、
前記非線形結晶(NLC)によって、前記第2調波周波数(FH)の強い周波数逓倍ビームを、前記基本周波数(FF)の前記残留ビームと共に出射する出射ステップと、を含み、
前記弱い第2調波ビームと前記基本波ビームとの出力比は5×10-3対1よりも小さく、
前記強い周波数逓倍ビームと前記基本波ビームとの出力比は0.3:1よりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項59に記載の方法であって、
前記提供ステップは、前記基本波ビームと前記弱い第2調波ビームとの位相不整合を補償するステップをさらに含み、
当該方法は、
前記強い周波数逓倍ビームの出力を最大化すること可能にするように位相不整合補償器(PMC)を制御するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項61】
光放射入力の周波数を逓倍して、第2調波周波数の出力ビームを提供するように構成された装置であって、
少なくとも2つの連続した非線形結晶(NLC)であって、前記非線形結晶の各々は、その前の非線形結晶(NLC)からの、基本周波数(FF)の第1のビーム、及び、任意選択で前記第2調波周波数(FH)の第2のビームを受け取り、前記第2調波周波数(FH)の強い周波数逓倍ビームを前記基本周波数(FF)の残留ビームと共に出射するように構成された、該非線形結晶(NLC)と、
2つの前記非線形結晶(NLC)の間に配置された少なくとも1つの位相不整合補償器(PMC)であって、後続の前記非線形結晶(NLC)によって受け取られる前に、前記基本周波数(FF)の前記残留ビームと前記第2調波周波数(FH)の第2調波ビームとの間の位相関係を補正するように構成された、該位相不整合補償器(PMC)と、
前記位相不整合補償器(PMC)毎に設けられた電動回転装置であって、前記位相不整合補償器(PMC)を能動的に回転させることができるように構成され、それによって、前記残留ビームと前記第2調波ビームとの位相関係の補正を能動的に調節する、該電動回転装置と、を備えたことを特徴とする装置。
【請求項62】
請求項61に記載の装置であって、
前記強い周波数逓倍ビームをサンプリングし、それに応じて、前記強い周波数逓倍ビームの最大出力を可能にするために、前記電動回転装置によって前記位相不整合補償器(PMC)を傾けるように構成された少なくとも1つのフィードバック及び制御システムをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項63】
請求項62に記載の装置であって、
前記フィードバック及び制御システムは、
少なくとも1つのビームスプリッタと、
少なくとも1つの測定要素と、
少なくとも1つの処理要素と、
前記電動回転装置を制御するように構成された少なくとも1つの制御要素と、を含むことを特徴とする装置。
【請求項64】
請求項61に記載の装置であって、
前記位相不整合補償器(PMC)は、色分散を示す光学的に透明な窓を含み、
前記ビームが前記窓を通過するのに要する距離が、前記窓の回転角度に対して相対的に変化するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項65】
請求項61に記載の装置であって、
前記電動回転装置は、前記位相不整合補償器(PMC)を段階的及び/または連続的な動作で回転させるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項66】
請求項65に記載の装置であって、
前記電動回転装置は、上限値と下限値とによって範囲が規定されるディザ形態で前記位相不整合補償器(PMC)を回転させるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項67】
請求項62に記載の装置であって、
前記電動回転装置は、上限値と下限値とによって範囲が規定されるディザ形態で前記位相不整合補償器(PMC)を回転させるように構成されており、
前記フィードバック及び制御システムは、前記ディザ形態を用いて、
(a)後続の前記非線形結晶(NLC)での逆変換を最小化し、それによって、前記出力ビームの出力を最大化すること、
(b)後続の前記非線形結晶(NLC)での逆変換を最大化し、それによって、前記出力ビームの出力を最小化すること、及び、
(c)前記出力ビームの出力をその最大値と最小値との間の所定の値に調節すること、
のうちの少なくとも1つを提供するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項68】
請求項61に記載の装置であって、
前記電動回転装置は、前記出力ビームをON/OFFするために、前記位相不整合補償器(PMC)を、最大調波変換状態と最小調波変換状態との間で、トグルモードで回転させるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項69】
請求項68に記載の装置であって、
前記電動回転装置は、制御された立ち上がり時間及び立ち下がり時間、及び制御可能な持続時間を有するフラットトップパルスを提供するように前記位相不整合補償器(PMC)を回転させるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項70】
請求項61に記載の装置であって、
前記電動回転装置は、ルックアップテーブルに従って前記位相不整合補償器(PMC)を回転させることによって、整形された調波パルスを提供するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項71】
請求項61に記載の装置であって、
前記出力ビームから前記残留ビームの少なくとも一部を分離するように構成された少なくとも1つのダイクロイックビームスプリッタをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項72】
請求項61に記載の装置であって、
前記強い周波数逓倍ビームと前記基本周波数の前記第1のビームとの出力比は0.3:1よりも大きいことを特徴とする装置。
【請求項73】
請求項61に記載の装置であって、
前記非線形結晶(NLC)の温度を調節するように各々構成された少なくとも1つのオーブンをさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項74】
請求項73に記載の装置であって、
前記位相不整合補償器(PMC)を能動的に制御することにより、前記非線形結晶(NLC)を収容する前記オーブンの温度の変動によって引き起こされる出力変動を最小限に抑えるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項75】
請求項61に記載の装置であって、
前記基本周波数(FF)は、赤外(IR)光の性質(λF=1064nm)を有し、
前記第2調波周波数(FH)は、可視光の性質(λH=532nm)を有することを特徴とする装置。
【請求項76】
請求項61に記載の装置であって、
前記非線形結晶(NLC)の各々は、その結晶軸に沿った基本波ビーム偏光を有するか、または、その結晶軸に対して45度の角度をなす基本波ビーム偏光を有するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項77】
請求項61に記載の装置であって、
前記非線形結晶(NLC)の各々は、BBO、KTP、LBO、CLBO、DKDP、ADP、KDP、LiIO3、KNbO3、LiNbO3、AgGaS2、及びAgGaSe2からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする装置。
【請求項78】
請求項61に記載の装置であって、
前記非線形結晶(NLC)の各々の側面積の寸法は、それが受け取る入力ビームの寸法よりも大きいことを特徴とする装置。
【請求項79】
請求項61に記載の装置であって、
前記非線形結晶(NLC)にビームを集束させるように構成された少なくとも1つの集束要素をさらに備えることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビームの方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ、レーザビームアレイ、及び光ファイバレイから放射されるビームを操作する能力は、溶接、切断、測量、衣料産業、レーザ核融合、通信、レーザ印刷、CDまたは光ディスク、分光法、熱処理、バーコードスキャナ、レーザ冷却、トラッキング技術、ターゲティング技術などの様々な分野で重要になってきている。これらの分野及び他の関連分野でのレーザの適用では、しばしば、レーザビームの高速のアクティブ化(照射開始)及び非アクティブ化(照射停止)を必要とする。
【0003】
現在、光ファイバビームを操作(アクティブ化/非アクティブ化)するために使用される方法は、レーザシステムの出力の操作を必要とする。例えば、シードビーム装置の「オン」/「オフ」(シャットダウン)、シードビームの伝送/遮断、または、それの電流をオフにすることである。これらの出力操作は、例えばファイバレーザの自発放出時間に起因して比較的遅く(1~5KHzの範囲内)、また、レーザが増幅された自発放出を放射するときには、レーザシステムの構成要素の一部を損傷する恐れがある。
【0004】
例えば、ビーム走査中または他の高速材料加工中に使用される、高出力レーザビームの高速操作(アクティブ化/非アクティブ化)を可能にする方法及び/または装置に対する長年の切実な要望が存在する。
【0005】
高出力ファイバレーザ及びファイバ増幅器は、イオンを励起してレーザプロセスを開始するためには、高輝度ポンプ源、そして、ドープファイバと結合するための効率的な技術を必要とする。信号出力とファイバコアとの結合も重要である。
【0006】
ポンプ及び/または信号光をドープファイバと結合させる一般的な方法は、端面ポンピング技術に基づくファイバコンバイナまたは融合テーパファイバ束(TFB)である融合カプラを用いて行われる。信号フィードスルーを有するTFBコンバイナは、中央の入力信号ファイバと、出力ピグテール(カールした)ダブルクラッド(DC)ファイバとを含み、信号及びポンプ光を単一のピグテールファイバに結合する。TFBの使用は、複数のマルチモードファイバで囲まれた信号光の誘導、及びポンプ光の誘導を含む。ファイバ束の直径を出力ピグテールファイバの直径と一致させるために、ファイバ束をゆっくりと溶融させてテーパ加工する。テーパ加工後、ファイバ束をテーパ腰の周りで切断し、出力ピグテールDCファイバに融着接続する。しかしながら、ファイバ束のテーパ加工は、本質的に、ポンプ光の開口数(NA)の増大、及び信号光のモードフィールド径(MFD)の変化を伴う。したがって、テーパ加工されたファイバ束と出力ピグテールDCファイバとの間に必要とされる光学的整合及び機械的整合要件は、例えば、TFB構造にいくつかの欠点をもたらす可能性がある。
そのような欠点としては、例えば、
テーパ加工後の、出力ピグテールDCファイバに適合する入力ファイバの選択のフレキシビリティが低いこと、
テーパ加工された入力信号ファイバと出力ピグテールDCファイバとの間の信号モードフィールド径(MFD)のわずかな不一致や不整合に起因して、主に信号挿入損失に関連してビーム品質が低下し、それによって、高出力動作時にファイバに壊滅的なダメージを与える恐れがあること、
例えば逆伝搬励起ファイバ増幅器のための逆伝搬信号の場合に、信号挿入損失(最大10%)が、増幅された信号光に対するそれらの絶縁が不十分であることに起因して、ポンプダイオードに損傷を与える恐れがあること、
が挙げられる。
【0007】
別の一般的な技術としては、マルチクラッドファイバの周囲にテーパ状のキャピラリを用いるか、または、マルチクラッドファイバの最外クラッドに1以上のテーパ状のマルチモードファイバを直接融着させることによる、漸進的伝達(GT)波カプラなどのモノリシックな全ファイバ結合器が挙げられる。
【0008】
しかしながら、現在のコンバイナの結合効率は、非常に高出力の増幅器及びレーザに使用するには十分ではない。加えて、信号ファイバがポンプファイバと共に先細にテーパ加工されるため、信号ファイバのコア径が小さくなり、それによって、大きなモードフィールド経を有するダブルクラッドファイバとの結合における著しい不一致が発生するという問題が生じる。このような大きなモードフィールド径との不一致は、許容できないほどの大きい信号損失を引き起こし、また、温度上昇及びTFBの損傷を引き起こす恐れもある。
【0009】
別の欠点は、寄生非線形プロセス、主に刺激ブリルアン散乱(SBS)の影響を受けやすいことであり、これは、レーザ信号の線幅が数十メガヘルツよりも狭い場合に発生する。これは、光信号場とファイバのコア材料との相互作用長さが長いこと(構成要素の追加のファイバ長に起因する)が原因である。
【0010】
したがって、上記の欠点を克服し、融着点の数を減らすことができ、かつエネルギー損失を低減することができる新しい技術が求められている。
【0011】
本発明は、いくつかの実施形態において、非線形結晶(NLC)における高平均出力レーザビームの周波数変換に関する。本発明は、単一または複数のNLCチェーンの最初に発生する基本周波数入力ビームと周波数変換出力ビームとの間の有害な不整合位相(MP)を補正するための手段に関する。
【0012】
高平均出力調波変換を達成するためのこれまでの試みは、損傷閾値(結晶のバルク内またはその反射防止コーティング上の損傷)または吸収誘起熱効果によって決定される限界に達している。
【0013】
結晶とその反射防止(AR)コーティングとの改良により、熱誘起不一致位相(TMP)が、高平均出力性能の主要な制限要因となっている。TMPを制御するための1つの選択肢は、超低吸収結晶を使用することである。一例は、1064nmレーザの周波数逓倍のための三ホウ酸リチウム(LBO)である。
【0014】
しかしながら、所定の出力レベルでは、水晶振動子の加熱によって性能の低下が開始されるため、何らかの補償方法を用いる必要がある。
【0015】
文献で報告されている1つのアプローチは、中間位相不整合補償器(PMC)を備えた2つの結晶を使用することである。PMCは、色分散及び/または偏光依存性屈折率を示す光学素子である。この分散は、材料固有の特性であり得る([D. Fluck、 and P. Gunter、 "Efficient second-harmonic generation by lens wave-guiding in KNbO crystals"、 Optics Comm. 147、 305-308 (1998); A. K. Hansen、 M. Tawfieq、 O. B. Jensen、 P. E. Andersen、 B. Sumpf、 G. Erbert、 and P. M. Petersen、 "Concept for power scaling second harmonic generation using a cascade of nonlinear crystals" Optics Express 23、 15921-15934 (2015); A. K. Hansen、 O. B. Jensen、 B. Sumpf、 G. Erbert、 A. Unterhuber、 W. Drexler、 P. E. Andersen、 P. M.l Petersen、 "Generation of 3.5 W of diffraction-limited green light from SHG of a single tapered diode laser in a cascade of nonlinear crystals" Proc. of SPIE Vol. 8964 (2016); X. Liu、 X. Shen、 J. Yin、 and X. Li、 "Three-crystal method for thermally induced phase mismatch compensation in second-harmonic generation"、 J. Opt. Soc. Am. B 34、 383-388 (2017)])。または、この分散は、外部場(例えばポッケルスセルなどの電気光学材料に印加される電界)によって課され得る([Z. Cui、 D. Liu、1、 M. Sun、 J. Miao、 and J. Zhu、 "Compensation method for temperature-induced phase mismatch during frequency conversion in high-power laser systems" JOSA B 33、 525-534 (2016)].)。
【0016】
PMCは、2つの水晶周波数逓倍チェーンの2つ目の水晶のMPの補償において非常に効果的であることが、実験とシミュレーションとによる証明された。しかしながら、十分に高い入力出力では、第1の周波数変換水晶のMPをより適切に対処する必要がある。
【0017】
入力レーザ光の波長を変換するために使用される周波数逓倍モジュールは、直列に配置された1以上の非線形結晶(NLC)から構成され得る。入力光は最初の結晶に集束され、次いで、後続の結晶間をアクロマート光学系でリレーイメージングすることにより、1結晶あたりの逓倍、及び逓倍システムあたりの逓倍を最大化する。結晶は、特定の結晶の高強度相互作用領域の前に、ダブリングプロセス中に発生する基本波ビームと調波ビームの間の位相不一致を補正する機能を有する位相不整合補償器(PMC)によって分離してもよい。
【0018】
一般に、このようなシステムは、結晶の動作温度を変化させることにより、ある程度の制御が試みられても、静的なシステムと見なされる。現在の周波数逓倍システムは、一定量の位相差を維持するようにPMCを調節することにより、単一の動作点で動作するように構成されている。したがって、強化された能力を提供するために、能動的なPMCが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、
少なくとも1つのシードレーザ装置と、前記シードレーザ装置のシードビームを受け取り、増幅されたレーザビームを選択的に提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システムとを備えたレーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムが、
複数の位相調節器であって、CBCポイントでの建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、シードビーム、複数の光増幅器、少なくとも1つのビームスプリッタ、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナに対して光学的に接続されるように構成された、該複数の位相調節器と、
前記CBCポイントでの前記ビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、前記複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの制御回路と、を含み、
当該方法が、
前記CBCポイントでの建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御して前記レーザビームをアクティブ化することによって、前記レーザビームを提供するステップと、
前記CBCポイントでの破壊的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御して前記レーザビームを非アクティブ化することによって、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、方法が提供される。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御して前記レーザビームをアクティブ化する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を最大強度で提供するように前記位相調節器を調節するステップを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記破壊的な干渉を提供するように前記位相調節器を制御して前記レーザビームを非アクティブ化する前記ステップは、調節された前記位相調節器のうちの半分を制御して前記レーザビームに対して半位相(π)を追加するステップを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記破壊的な干渉を提供するように前記位相調節器を制御して前記レーザビームを非アクティブ化する前記ステップは、調節された前記位相調節器のうちのいくつかを調節するステップを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記位相調節器の各々は個別に調節される。
【0024】
いくつかの実施形態では、当該方法は、前記レーザビームを最大強度で提供するように調節された前記位相調節器のうちのいくつかを調節することによって、前記レーザビームを調節するステップをさらに含み、前記位相調節器の調節は、前記レーザビームの強度を、前記最大強度の所定の割合に等しい強度にすることを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記破壊的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御して前記レーザビームを非アクティブ化する前記ステップは、前記破壊的なビーム干渉を最小強度で提供するように前記位相調節器を調節するステップを含む。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、
レーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記レーザシステムは、
少なくとも1つのシードレーザ装置と、
前記シードレーザ装置のシードビームを受け取り、その帯域幅を調節するように構成された高速光調節器(FOM)と、
帯域幅が調節された前記シードビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システムと、を備え、
当該方法は、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムのCBCポイントでの建設的な干渉を可能にするように設定された第1の帯域幅(Δω1)を有する前記シードビームを提供するように前記高速光調節器(FOM)を制御することによって、前記レーザビームをアクティブ化し、それによって、前記レーザビームを提供するステップと、
前記CBCポイントでの建設的な干渉を不能にするように設定された第2の帯域幅(Δω2;Δω2>Δω1)を有する前記シードビームに提供するように前記高速光調節器(FOM)を制御することによって、前記レーザビームを非アクティブ化し、それによって、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、方法が提供される。
【0027】
いくつかの実施形態では、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムは、
複数の位相調節器であって、CBCポイントでの建設的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、調節された前記シードビーム、複数の光増幅器、少なくとも1つのビームスプリッタ、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナに対して光学的に接続されるように構成された、該複数の位相調節器と、
前記CBCポイントでの前記ビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、前記複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの制御回路と、を含み、
前記レーザビームをアクティブ化する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御するステップをさらに含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を最大強度で提供するように前記位相調節器を調節するステップを含む。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、
レーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記レーザシステムは、
シードレーザビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システムと、
第1の波長(λ1)を有する第1のシードビームを提供するように構成された第1のシードレーザ装置と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長(λ2;λ2≠λ1)を有する第2のシードビームを提供するように構成された第2のシードレーザ装置と、
前記第1のシードビーム及び前記第2のシードビームの一方のみを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクするように構成された光スイッチと、を備え、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムは、
複数の位相調節器であって、CBCポイントでの建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、リンクされたシードビーム、複数の光増幅器、少なくとも1つのビームスプリッタ、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナに対して光学的に接続されるように構成された、該複数の位相調節器と、
前記CBCポイントでの前記ビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、前記複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの制御回路と、を含み、
当該方法は、
前記光スイッチを制御して前記第1のシードビームを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクさせて前記レーザビームをアクティブ化し、かつ、前記位相調節器を制御して建設的なビーム干渉を可能にし、それによって、前記レーザビームを提供するステップと、
前記光スイッチを制御して前記第2のシードビームを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクさせて前記レーザビームを非アクティブ化して、前記建設的なビーム干渉を不能にし、それによって、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、方法が提供される。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を最大強度で提供するように前記位相調節器を調節するステップを含む。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態では、
レーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記レーザシステムは、
シードレーザビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システムと、
第1の帯域幅(Δω1)を有する第1のシードビームを提供するように構成された第1のシードレーザ装置と、
前記第1の帯域幅よりも広い第2の帯域幅(Δω2;Δω2>Δω1)を有する第2のシードビームを提供するように構成された第2のシードレーザ装置と、
前記第1のシードビーム及び前記第2のシードビームの一方のみを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクするように構成された光スイッチと、を備え、
前記第1の帯域幅(Δω1)は、前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムのCBCポイントでの前記建設的なビーム干渉を有効にするように設定され、
前記第2の帯域幅(Δω2)は、前記CBCポイントでの前記建設的なビーム干渉を不能にするように設定されており、
当該方法は、
前記光スイッチを制御して前記第1のシードビームを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクさせて前記レーザビームをアクティブ化して前記建設的なビーム干渉を可能にし、それによって、前記レーザビームを提供するステップと、
前記光スイッチを制御して前記第2のシードビームをCBCシステムにリンクさせてレーザビームを非アクティブ化して前記建設的なビーム干渉を不能にし、それによって、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、方法が提供される。
【0032】
いくつかの実施形態では、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムは、
複数の位相調節器であって、前記CBCポイントでの建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、リンクされたシードビーム、複数の光増幅器、少なくとも1つのビームスプリッタ、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナに対して光学的に接続されるように構成された、該複数の位相調節器と、
前記CBCポイントでの前記ビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、前記複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの制御回路と、を含み、
前記レーザビームをアクティブ化する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御するステップをさらに含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を最大強度で提供するように前記位相調節器を調節するステップを含む。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態では、
レーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記レーザシステムは、
シードレーザビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システムと、
第1の波長(λ1)を有する第1のシードビームを提供するように構成された第1のシードレーザ装置と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長(λ2;λ2≠λ1)を有する第2のシードビームを提供するように構成された第2のシードレーザ装置と、
前記第1のシードビーム及び前記第2のシードビームの一方のみを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクするように構成された光スイッチと、
増幅された前記レーザビームを受け取り、前記第1の波長(λ1)を有するビームを前記レーザシステムの出力に伝送し、前記第2の波長(λ2)を有するビームを反射し、それによって、出力レーザビームを選択的に提供するように構成されたダイクロイックミラーと、を備え、
当該方法は、
前記光スイッチを制御して前記第1のシードビームを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクさせて前記レーザビームをアクティブ化し、それによって、前記レーザビームを伝送して、前記レーザビームを提供するステップと、
前記光スイッチを制御して前記第2のシードビームを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクさせて前記レーザビームを非アクティブ化し、それによって、前記レーザビームを反射して、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、方法が提供される。
【0035】
いくつかの実施形態では、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムは、
複数の位相調節器であって、CBCポイントでの建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、リンクされたシードビーム、複数の光増幅器、少なくとも1つのビームスプリッタ、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナに対して光学的に接続されるように構成された、該複数の位相調節器と、
前記CBCポイントでの前記ビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、前記複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの制御回路と、を含み、
前記レーザビームをアクティブ化する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御するステップをさらに含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記建設的なビーム干渉を提供するように前記位相調節器を制御する前記ステップは、前記建設的なビーム干渉を最大強度で提供するように前記位相調節器を調節するステップを含む。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態では、
レーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記レーザシステムは、
シードレーザビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成された主発振器出力増幅器(MOPA)と、
第1の波長(λ1)を有する第1のシードビームを提供するように構成された第1のシードレーザ装置と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長(λ2;λ2≠λ1)を有する第2のシードビームを提供するように構成された第2のシードレーザ装置と、
前記第1のシードビーム及び前記第2のシードビームの一方のみを前記主発振器出力増幅器(MOPA)にリンクするように構成された光スイッチと、
増幅された前記レーザビームを受け取り、前記第1の波長(λ1)を有するビームを前記レーザシステムの出力に伝送し、前記第2の波長(λ2)を有するビームを反射し、それによって、出力レーザビームを選択的に提供するように構成されたダイクロイックミラーと、を備え、
当該方法は、
前記光スイッチを制御して前記第1のシードビームを前記主発振器出力増幅器(MOPA)にリンクさせて前記レーザビームをアクティブ化し、それによって、前記レーザビームを伝送して、前記レーザビームを提供するステップと、
前記光スイッチを制御して前記第2のシードビームをコヒーレントビーム結合(CBC)システムにリンクさせて前記レーザビームを非アクティブ化し、それによって、前記レーザビームを反射して、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、方法が提供される。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態では、
レーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記レーザシステムは、
少なくとも1つのシードレーザ装置と、
前記シードレーザ装置のシードビームを受け取り、その偏光方向を調節するように構成された少なくとも1つの光偏光コンバイナ(OPC)であって、前記偏光方向の調節が、前記シードビームに少なくとも2つの偏光成分を提供することを含み、前記偏光成分のうちの1つが所定の偏光方向(P1)を有する、該光偏光コンバイナ(OPC)と、
偏光調節された前記シードビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システムと、
増幅された前記レーザビームを受け取り、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分のみを前記レーザシステムの出力に伝送し、他の偏光方向を有するビーム成分を反射し、それによって、前記レーザビームを選択的に提供するように構成された偏光ビームスプリッタ(PBS)と、を備え、
当該方法は、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御して、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、ビームの全体強度の50%よりも大きい強度(I1)で提供することによって前記レーザビームをアクティブ化し、それによって、前記レーザビームを提供するステップと、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御して、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、前記レーザビームの全体強度の50%以下の強度(I1)で提供することによって前記レーザビームを非アクティブ化し、それによって、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、方法が提供される。
【0039】
いくつかの実施形態では、当該方法は、前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御して、前記シードレーザビームの全体強度の所定の割合に等しい強度(I1)を有する前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を提供することにより、前記レーザビームを調節するステップをさらに含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムは、
複数の位相調節器であって、CBCポイントでの建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、偏光調節された前記シードビーム、複数の光増幅器、少なくとも1つのビームスプリッタ、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナに対して光学的に接続されるように構成された、該複数の位相調節器と、
前記CBCポイントでの前記ビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、前記複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの制御回路と、を含み、
当該方法は、
前記位相調節器を制御して、少なくとも、前記レーザビームをアクティブ化する前記ステップ中に、前記CBCポイントでの前記建設的なビーム干渉を提供するステップをさらに含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、
前記光偏光コンバイナ(OPC)は、
ビーム分割アセンブリであって、第1の偏光方向(P1)を有する入力ビームを受け取り、前記第1の偏光方向(P1)及び第1の強度(I1)を有する第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と、前記第1の偏光方向(P1)及び第2の強度(I2)を有する第2の出力ビーム(B2(I2、P1))とを出力するように構成され、前記第1の強度と前記第2の強度との和(I1+I2)が前記入力ビームの強度に等しい、該ビーム分割アセンブリと、
前記ビーム分割アセンブリから出力された前記第1の出力ビーム及び前記第2の出力ビームの一方(B1またはB2)を受け取り、その偏光を変換するように構成された偏光変換器と、
偏波ビームスプリッタ(PBS)であって、前記第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と偏光変換された前記第2の出力ビーム(B2(I2、P2))とを受け取り、それらを結合して第3のビームを生成するように構成された、該偏波ビームスプリッタ(PBS)、または、カプラであって、前記第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と偏光変換された前記第2の出力ビーム(B2(I2、P2))とを受け取り、それらを結合した後に2つの出力ビームに分割し、分割された前記2つの出力ビームの一方のみを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムへの入力として提供するように構成された、該カプラと、を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、
前記ビーム分割アセンブリは、
入力ビームを受け取り、前記入力ビームを2つのビームに分割するように構成されたビームスプリッタと、
前記2つのビームの一方のビームの位相を調節するように構成された位相調節器と、
前記2つのビームを受け取り、2つの干渉位置でのそれらの干渉を提供することによって、前記第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と前記第2の出力ビーム(B2(I2、P1))とを提供するように構成されたカプラと、
電子制御装置であって、前記2つの干渉位置の一方をモニタリングし、それに応じて、前記位相調節器を制御することによって、モニタリングされた干渉位置での建設的または破壊的なビーム干渉を可能し、かつ、モニタリングされていない干渉位置での破壊的または建設的なビーム干渉を提供するように構成された、該電子制御装置と、を含み、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御する前記ステップは、前記位相調節器を制御するステップを含む。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態では、
レーザシステムによって提供されるレーザビームを調節するための方法であって、
前記レーザシステムは、
少なくとも1つのシードレーザ装置と、
前記シードレーザ装置のシードビームを受け取り、その偏光方向を調節するように構成された少なくとも1つの光偏光コンバイナ(OPC)であって、前記偏光方向の調節が、前記シードビームに少なくとも2つの偏光成分を提供することを含み、前記偏光成分のうちの1つが所定の偏光方向(P1)を有する、該光偏光コンバイナ(OPC)と、
偏光調節された前記シードビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成された主発振器出力増幅器(MOPA)と、
増幅された前記レーザビームを受け取り、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分のみを前記レーザシステムの出力に伝送し、他の偏光方向を有するビーム成分を反射し、それによって、前記レーザビームを選択的に提供するように構成された偏光ビームスプリッタ(PBS)と、を備え、
当該方法は、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御して、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、ビームの全体強度の50%よりも大きい強度(I1)で提供することによって前記レーザビームをアクティブ化し、それによって、前記レーザビームを提供するステップと、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御して、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、前記レーザビームの全体強度の50%以下の強度(I1)で提供することによって前記レーザビームを非アクティブ化し、それによって、前記レーザビームの提供を停止するステップと、を含む、方法が提供される。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態では、
レーザビームを調節するように構成されたレーザシステムであって、
少なくとも1つのシードレーザ装置と、
前記シードレーザ装置のシードビームを受け取り、その偏光方向を調節するように構成された少なくとも1つの光偏光コンバイナ(OPC)であって、前記偏光方向の調節が、前記シードビームに少なくとも2つの偏光成分を提供することを含み、前記偏光成分のうちの1つが所定の偏光方向(P1)を有する、該光偏光コンバイナ(OPC)と、
偏光調節された前記シードビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システムと、
増幅された前記レーザビームを受け取り、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分のみを前記レーザシステムの出力に伝送し、他の偏光方向を有するビーム成分を反射し、それによって、前記レーザビームを選択的に提供するように構成された偏光ビームスプリッタ(PBS)と、
電子制御装置であって、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御して、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、ビームの全体強度の50%よりも大きい強度(I1)で提供することによって前記レーザビームをアクティブ化し、それによって、前記レーザビームを提供し、
前記光偏光コンバイナ(OPC)を制御して、前記所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、前記レーザビームの全体強度の50%以下の強度(I1)で提供することによって前記レーザビームを非アクティブ化し、それによって、前記レーザビームの提供を停止するように構成された、該電子制御装置と、
を備える、システムが提供される。
【0045】
いくつかの実施形態では、
前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムは、
複数の位相調節器であって、CBCポイントでの建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、偏光調節された前記シードビーム、複数の光増幅器、少なくとも1つのビームスプリッタ、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナに対して光学的に接続されるように構成された、該複数の位相調節器と、
前記CBCポイントでの前記ビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、前記複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの制御回路と、を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、
前記光偏光コンバイナ(OPC)は、
ビーム分割アセンブリであって、第1の偏光方向(P1)を有する入力ビームを受け取り、前記第1の偏光方向(P1)及び第1の強度(I1)を有する第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と、前記第1の偏光方向(P1)及び第2の強度(I2)を有する第2の出力ビーム(B2(I2、P1))とを出力するように構成され、前記第1の強度と前記第2の強度との和(I1+I2)が前記入力ビームの強度に等しい、該ビーム分割アセンブリと、
前記ビーム分割アセンブリから出力された前記第1の出力ビーム及び前記第2の出力ビームの一方(B1またはB2)を受け取り、その偏光を変換するように構成された偏光変換器と、
偏波ビームスプリッタ(PBS)であって、前記第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と偏光変換された前記第2の出力ビーム(B2(I2、P2))とを受け取り、それらを結合して第3のビームを生成するように構成された、該偏波ビームスプリッタ(PBS)、または、前記第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と偏光変換された前記第2の出力ビーム(B2(I2、P2))とを受け取り、それらを結合した後に2つの出力ビームに分割し、前記2つの出力ビームの一方のみを前記コヒーレントビーム結合(CBC)システムへの入力として提供するように構成された、該カプラと、を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、
前記ビーム分割アセンブリは、
入力ビームを受け取り、前記入力ビームを2つのビームに分割するように構成されたビームスプリッタと、
前記2つのビームの一方のビームの位相を調節するように構成された位相調節器と、
前記2つのビームを受け取り、2つの干渉位置でのそれらの干渉を提供することによって、前記第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と前記第2の出力ビーム(B2(I2、P1))とを提供するように構成されたカプラと、
電子制御装置であって、前記2つの干渉位置の一方をモニタリングし、それに応じて、前記位相調節器を制御することによって、モニタリングされた干渉位置での建設的または破壊的なビーム干渉を可能し、かつ、モニタリングされていない干渉位置での破壊的または建設的なビーム干渉を提供するように構成された、該電子制御装置と、を含む。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態では、
コアと少なくとも1つのクラッドとを有する光ファイバに結合するように構成されたハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記光ファイバの光路に配置された少なくとも1つの集束レンズと、
前記クラッドの光路に配置された、マルチモードビームを出力するように各々構成された複数のダイオードモジュールと、
前記コアの光路に配置された少なくとも1つのコア関連モジュールであって、
(a)前記コアに向けてシングルモードビームを出力する機能、
(b)前記コアからビームを受け取り、受け取ったビームを出力光ファイバに結合する機能、
(c)前記コアからビームを受け取り、受け取ったビームを前記コアに反射して戻す機能、及び、
(d)前記コアからビームを受け取り、受け取ったビームの一部を前記コアに反射して戻し、受け取ったビームの別の部分を出力光ファイバに結合する機能、からなる群から選択される機能を提供するように構成された、該コア関連モジュールと、を備える、ハイブリッド型ポンプモジュールが提供される。
【0049】
いくつかの実施形態では、当該ハイブリッド型ポンプモジュールは、ビームの波長を所定の波長範囲に狭めてロックするように構成されたボリュームブラッグ回折格子(VBG)をさらに備える。
【0050】
いくつかの実施形態では、前記複数のダイオードモジュール及び前記コア関連モジュールは、それらの出力ビームが列毎に互いに平行になるように、少なくとも1つの列に配置される。
【0051】
いくつかの実施形態では、
前記複数のダイオードモジュール及び前記コア関連モジュールは、2列以上で配置されており、
当該ハイブリッド型ポンプモジュールは、
第1のビーム列の光路に配置された少なくとも1つの偏光子ビームコンバイナと、
追加のビーム列毎に設けられた1以上の折り畳みミラーであって、それに対応する列の平行ビームを、前記偏光子ビームコンバイナに向けて反射して方向転換させるように各々構成された、該折り畳みミラーと、をさらに備える。
【0052】
いくつかの実施形態では、
前記ダイオードモジュールの各々は、
広域レーザ(BAL)と、
前記広域レーザ(BAL)に関連付けられた折り畳みミラーであって、それに関連する前記広域レーザ(BAL)と前記クラッドとの間の光路を有するように構成された、該折り畳みミラーと、
任意選択で、前記広域レーザ(BAL)とそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、前記広域レーザ(BAL)のビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、をさらに含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、
前記コア関連モジュールは、シード関連モジュールを含み、
前記シード関連モジュールは、
シードレーザ装置に結合するように構成された少なくとも1つのシード入力と、
前記シード入力と前記コアとの間の光路に設けられた、前記シード入力に関連付けられた折り畳みミラーと、
任意選択で、前記シード入力とそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、シードビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、
前記シード関連モジュールは、
前記シードビームを増幅するように構成されたビーム増幅器と、
前記シードビームをサンプリングするように構成されたタップまたは部分ミラー、及びビーム後方伝送をモニタリングして警告するように構成されたモニタと、
一方向のみの光の伝送を可能にするように構成されたアイソレータとのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、
前記コア関連モジュールは、出力モジュールを含み、
前記出力モジュールは、
出力ファイバであって、任意選択でエンドキャップ要素を含む、該出力ファイバと、
前記コアと前記出力ファイバとの間の光路に設けられた、前記出力ファイバに関連する折り畳みミラーと、
任意選択で、前記出力ファイバとそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、受け取ったコアビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、
最適には、ポンプダンプと、を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、
前記コア関連モジュールは、高反射(HR)モジュールを含み、
前記高反射(HR)モジュールは、
高反射(HR)ミラーと、
前記コアと高反射(HR)ミラーとの間の光路に設けられた、前記高反射(HR)ミラーに関連付けられた折り畳みミラーと、
任意選択で、前記高反射(HR)ミラーとそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、それに関連するビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、前記高反射(HR)ミラーは、前記高反射(HR)ミラーとそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、反射ビームを調節するように構成されたキャビティ内調節器をさらに含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、
前記コア関連モジュールは、部分反射(PR)モジュールを含み、
前記部分反射(PR)モジュールは、
出力ファイバであって、任意選択でエンドキャップを含む、該出力ファイバと、
前記出力ファイバの光路に配置された部分反射(PR)ミラーと、
前記コアと前記部分反射(PR)ミラーとの間の光路に設けられた、前記部分反射(PR)ミラーに関連付けられた折り畳みミラーと、
任意選択で、前記部分反射(PR)ミラーとそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、それに関連するビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、当該ハイブリッド型ポンプモジュールは、ベース面、リブ、ネジ、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの熱分配要素をさらに備える。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態では、
ファイバ増幅システムであって、
コアと少なくとも1つのクラッドとを含む光ファイバと、
前記光ファイバの第1の端部に結合された、上記の実施形態のいずれかに記載のハイブリッド型ポンプモジュールと、を備える、システムが提供される。
【0061】
いくつかの実施形態では、当該ファイバ増幅システムは、ポンプダンプ及びエンドキャップエレメントの少なくとも一方をさらに備える。
【0062】
いくつかの実施形態では、当該ファイバ増幅システムは、前記光ファイバの第2の端部に結合された、上記の実施形態のいずれかに記載のハイブリッド型ポンプモジュールをさらに備える。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態では、
ファイバレーザシステムであって、
コアと少なくとも1つのクラッドとを含む光ファイバと、
前記光ファイバの第1の端部に結合された、上記の実施形態のいずれかに記載のハイブリッド型ポンプモジュールと、
前記光ファイバの第2の端部に結合された、ファイバブラッグ回折格子(FBG)または上記の実施形態のいずれかに記載のハイブリッド型ポンプモジュールと、を備える、システムが提供される。
【0064】
いくつかの実施形態では、当該ファイバレーザシステムは、ポンプダンプ及びエンドキャップ要素のうちの少なくとも一方をさらに備える。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態は、非線形結晶の出力周波数逓倍器(PFD-NLC)の前に、高出力の基本波ビームに対して弱い第2調波シードビームを追加することに基づく。したがって、シードビームと基本ビームとの間の位相差は、第1のPFD-NLCにおいて生じる位相差に共役位相差が得られるように制御される。この結果、PFDの入力からNLCの調波変換領域を通じて最小の不整合位相(MP)が得られた。
【0066】
いくつかの実施形態では、最大変換ゾーン(レンズを使用する場合は焦点ウエスト、ビームがコリメートされる場合は結晶の全長)における最適な調波変換のために構成された、温度及び/または角度が調節されたPFD-NLCが提供される。したがって、シードビームを追加することにより、MPの非存在下で達成される変換効率の5%以内に到達するのに十分なパラメータが提供される。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態では、
光放射の周波数を逓倍するように構成された装置であって、
第1の非線形結晶と少なくとも1つの第2の非線形結晶とを含む少なくとも2つの連続した非線形結晶(NLC)を備え、
前記第1の非線形結晶は、基本周波数(FF)の基本波ビームを受け取り、第2調波周波数(FH)の弱い第2調波ビームを、前記基本周波数(FF)の強い残留ビームと共に出射するように構成され、前記弱い第2調波ビームと前記基本波ビームとの出力比は5×10-3対1よりも小さく、
前記少なくとも1つの第2の非線形結晶は、その前の非線形結晶(NLC)からの、前記基本周波数(FF)の前記残留ビームと、前記第2調波周波数(FH)の前記第2調波ビームとを受け取り、前記第2調波周波数(FH)の強い周波数逓倍ビームを、前記基本周波数(FF)の前記残留ビームと共に出射するように構成され、前記強い周波数逓倍ビームと前記基本波ビームとの出力比は0.3:1よりも大きい、装置が提供される。
【0068】
いくつかの実施形態では、当該装置は、前記第2の非線形結晶によって受け取られる前に、前記基本周波数(FF)の前記残留ビームと前記第2調波周波数(FH)の前記第2調波ビームとの位相関係を補正するように構成された少なくとも1つの位相不整合補償器(PMC)をさらに備える。
【0069】
いくつかの実施形態では、当該装置は、前記強い周波数逓倍ビームをサンプリングし、それに応じて、前記強い周波数逓倍ビームの出力を最大化することを可能にするように前記位相不整合補償器(PMC)を調節するように構成された少なくとも1つのフィードバック及び制御システムをさらに備える。
【0070】
いくつかの実施形態では、
前記フィードバック及び制御システムは、
少なくとも1つの測定要素と、
少なくとも1つの処理要素と、
前記位相不整合補償器(PMC)を調節するように構成された少なくとも1つの調節要素と、を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、当該装置は、前記非線形結晶(NLC)の温度を調節するように各々構成された、少なくとも1つのオーブンをさらに備える。
【0072】
いくつかの実施形態では、前記第1の非線形結晶の長さ(LS)は、前記第2の非線形結晶の長さ(LD)の10%以下である(LS≦0.1LD)。
【0073】
いくつかの実施形態では、前記第2の非線形結晶はLBOを含み、前記第2の非線形結晶の長さ(LD)は40mm以上である。
【0074】
いくつかの実施形態では、前記基本周波数(FF)は、赤外(IR)光の性質(λF=1064nm)を有し、前記第2調波周波数(FH)は、可視光の性質(λH=532nm)を有する。
【0075】
いくつかの実施形態では、前記非線形結晶(NLC)の各々は、その結晶軸に沿った基本波ビーム偏光を有するか、または、その結晶軸に対して45度の角度をなす基本波ビーム偏光を有するように構成されている。
【0076】
いくつかの実施形態では、前記非線形結晶(NLC)の各々は、BBO、KTP、LBO、CLBO、DKDP、ADP、KDP、LiIO3、KNbO3、LiNbO3、AgGaS2、及びAgGaSe2からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、前記非線形結晶(NLC)の各々の側面積の寸法は、それが受け取る入力ビームの寸法よりも大きい。
【0078】
いくつかの実施形態では、当該装置は、前記非線形結晶(NLC)にビームを集束させるように構成された少なくとも1つの集束要素をさらに備える。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態では、
光放射の周波数を逓倍するための方法であって、
基本周波数(FF)の基本波ビームと、第2調波周波数(FH)の弱い第2調波ビームとを有する非線形結晶(NLC)を提供する提供ステップと、
前記非線形結晶(NLC)によって、前記第2調波周波数(FH)の強い周波数逓倍ビームを、前記基本周波数(FF)の前記残留ビームと共に出射する出射ステップと、を含み、
前記弱い第2調波ビームと前記基本波ビームとの出力比は5×10-3対1よりも小さく、
前記強い周波数逓倍ビームと前記基本波ビームとの出力比は0.3:1よりも大きい、方法が提供される。
【0080】
いくつかの実施形態では、
前記提供ステップは、前記基本波ビームと前記弱い第2調波ビームとの位相不整合を補償するステップをさらに含み、
当該方法は、
前記強い周波数逓倍ビームの出力を最大化すること可能にするように位相不整合補償器(PMC)を制御するステップをさらに含む。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態では、
光放射入力の周波数を逓倍して、第2調波周波数の出力ビームを提供するように構成された装置であって、
少なくとも2つの連続した非線形結晶(NLC)であって、前記非線形結晶の各々は、その前の非線形結晶(NLC)からの、基本周波数(FF)の第1のビーム、及び、任意選択で前記第2調波周波数(FH)の第2のビームを受け取り、前記第2調波周波数(FH)の強い周波数逓倍ビームを前記基本周波数(FF)の残留ビームと共に出射するように構成された、該非線形結晶(NLC)と、
2つの前記非線形結晶(NLC)の間に配置された少なくとも1つの位相不整合補償器(PMC)であって、後続の前記非線形結晶(NLC)によって受け取られる前に、前記基本周波数(FF)の前記残留ビームと前記第2調波周波数(FH)の第2調波ビームとの間の位相関係を補正するように構成された、該位相不整合補償器(PMC)と、
前記位相不整合補償器(PMC)毎に設けられた電動回転装置であって、前記位相不整合補償器(PMC)を能動的に回転させることができるように構成され、それによって、前記残留ビームと前記第2調波ビームとの位相関係の補正を能動的に調節する、該電動回転装置と、を備えた装置が提供される。
【0082】
いくつかの実施形態では、当該装置は、強い周波数逓倍ビームをサンプリングし、それに応じて、前記強い周波数逓倍ビームの最大出力を可能にするために、前記電動回転装置によって前記位相不整合補償器(PMC)を傾けるように構成された少なくとも1つのフィードバック及び制御システムをさらに備える。
【0083】
いくつかの実施形態では、
前記フィードバック及び制御システムは、
少なくとも1つのビームスプリッタと、
少なくとも1つの測定要素と、
少なくとも1つの処理要素と、
前記電動回転装置を制御するように構成された少なくとも1つの制御要素と、を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、前記位相不整合補償器(PMC)は、色分散を示す光学的に透明な窓を含み、前記ビームが前記窓を通過するのに要する距離が、前記窓の回転角度に対して相対的に変化するように構成されている。いくつかの実施形態では、前記位相不整合補償器(PMC)は、色分散を示す板(例えば、両側が研磨された透明な板)を含み、前記ビームが前記板を通過するのに要する距離が、前記板の回転角度に対して相対的に変化するように構成されている。
【0085】
いくつかの実施形態では、前記電動回転装置は、前記位相不整合補償器(PMC)を段階的及び/または連続的な動作で回転させるように構成されている。
【0086】
いくつかの実施形態では、前記電動回転装置は、上限値と下限値とによって範囲が規定されるディザ形態で前記位相不整合補償器(PMC)を回転させるように構成されている。
【0087】
いくつかの実施形態では、
前記電動回転装置は、上限値と下限値とによって範囲が規定されるディザ形態で前記位相不整合補償器(PMC)を回転させるように構成されており、
前記フィードバック及び制御システムは、前記ディザ形態を用いて、
(a)後続の前記非線形結晶(NLC)での逆変換を最小化し、それによって、前記出力ビームの出力を最大化すること、
(b)後続の前記非線形結晶(NLC)での逆変換を最大化し、それによって、前記出力ビームの出力を最小化すること、及び、
(c)前記出力ビームの出力をその最大値と最小値との間の所定の値に調節すること、
のうちの少なくとも1つを提供するように構成されている。
【0088】
いくつかの実施形態では、前記電動回転装置は、前記出力ビームをON/OFFするために、前記位相不整合補償器(PMC)を、最大調波変換状態と最小調波変換状態との間で、トグルモードで回転させるように構成されている。
【0089】
いくつかの実施形態では、前記電動回転装置は、制御された立ち上がり時間及び立ち下がり時間、及び制御可能な持続時間を有するフラットトップパルスを提供するように前記位相不整合補償器(PMC)を回転させるように構成されている。
【0090】
いくつかの実施形態では、前記電動回転装置は、ルックアップテーブルに従って前記位相不整合補償器(PMC)を回転させることによって、整形された調波パルスを提供するように構成されている。
【0091】
いくつかの実施形態では、当該装置は、前記出力ビームから前記残留ビームの少なくとも一部を分離するように構成された少なくとも1つのダイクロイックビームスプリッタをさらに備える。
【0092】
いくつかの実施形態では、前記強い周波数逓倍ビームと前記基本周波数の前記第1のビームとの出力比は0.3:1よりも大きい。
【0093】
いくつかの実施形態では、当該装置は、前記非線形結晶(NLC)の温度を調節するように各々構成された少なくとも1つのオーブンをさらに備える。いくつかの実施形態では、当該装置は、前記非線形結晶(NLC)の温度を調節するように各々構成された少なくとも2つのオーブンをさらに備える。
【0094】
いくつかの実施形態では、当該装置は、前記位相不整合補償器(PMC)を能動的に制御することにより、前記非線形結晶(NLC)を収容する前記オーブンの温度の変動によって引き起こされる出力変動を最小限に抑えるように構成されている。
【0095】
いくつかの実施形態では、NLCの少なくとも1つはLBOを含み、その長さ(LD)は、有意な調波光を達成するのに十分である。いくつかの実施形態では、NLCの少なくとも1つはLBOを含み、その長さ(LD)は40mmよりも大きい。
【0096】
いくつかの実施形態では、前記基本周波数(FF)は、赤外(IR)光の性質(λF=1064nm)を有し、前記第2調波周波数(FH)は、可視光の性質(λH=532nm)を有する。
【0097】
いくつかの実施形態では、前記非線形結晶(NLC)の各々は、その結晶軸に沿った基本波ビーム偏光を有するか、または、その結晶軸に対して45度の角度をなす基本波ビーム偏光を有するように構成されている。
【0098】
いくつかの実施形態では、前記非線形結晶(NLC)の各々は、BBO、KTP、LBO、CLBO、DKDP、ADP、KDP、LiIO3、KNbO3、LiNbO3、AgGaS2、及びAgGaSe2からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、前記非線形結晶(NLC)の各々の側面積の寸法は、それが受け取る入力ビームの寸法よりも大きい。
【0100】
いくつかの実施形態では、当該装置は、前記非線形結晶(NLC)にビームを集束させるように構成された少なくとも1つの集束要素をさらに備える。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態では、上述した装置から周波数逓倍出力ビームをアクティブ化(「オン」)及び/または非アクティブ化(「オフ」)にするための方法であって、
リアルタイムでサンプリングし、出力ビームを測定するサンプリングステップと、
出力ビームが最大値(「オン」出力の場合)または最小値(「オフ」出力の場合)に達したか否かを継続的にまたは頻繁に判定する判定ステップと、
判定ステップでの判定が「NO」である場合に、PMCを回転させ、その後、サンプリングにステップ戻って当該方法を繰り返すステップと、
判定ステップでの判定が「YES」である場合に、現在のPMCの回転角度αMAX(またはαMIN)を維持し、その後、サンプリングステップに戻って、動的入力ビーム及び/または動的オーブン温度のいずれについても、当該方法を繰り返すステップと、を含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0102】
発明と見なされる主題は、明細書の結論部分で特に指摘され、明確に主張されている。しかしながら、本発明は、構成及び操作方法の両方に関して、また、その目的、特徴、及び利点と共に、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読むことによって最もよく理解されるであろう。
【0103】
【
図1】
図1は、コヒーレントビーム結合(CBC)システムの従来技術の例を模式的に示す。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態による、シードレーザ装置と、コヒーレントビーム結合(CBC)システムとを備え、増幅されたレーザビームを調節するように構成された、レーザシステムを模式的に示す。
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による、シードレーザデバイスと、高速光調節器(FOM)と、コヒーレントビーム結合(CBC)システムとを備え、増幅されたレーザビームを調節するように構成された、レーザシステムを模式的に示す。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による、互いに異なる波長のシードビームを各々提供する2つのシードレーザ装置と、光スイッチと、コヒーレントビーム結合(CBC)システムとを備え、増幅されたレーザビームを調節するように構成された、レーザシステムを模式的に示す。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による、互いに異なる波長のシードビームを各々提供する2つのシードレーザ装置と、光スイッチと、コヒーレントビーム結合(CBC)システムとを備え、増幅されたレーザビームを調節するように構成された、レーザシステムを模式的に示す。
【
図6A】
図6Aは、いくつかの実施形態による、レーザシステムを模式的に示しており、互いに異なる波長のシードビームを各々提供する2つのシードレーザ装置と、光スイッチと、ダイクロイックミラーと、コヒーレントビーム結合(CBC)システムとを備え、増幅されたレーザビームを調節するように構成された、レーザシステムを模式的に示す。
【
図6B】
図6Bは、いくつかの実施形態による、レーザシステムを模式的に示しており、互いに異なる波長のシードビームを各々提供する2つのシードレーザ装置と、光スイッチと、ダイクロイックミラーと、主発振器出力増幅器(MOPA)とを備え、増幅されたレーザビームを調節するように構成された、レーザシステムを模式的に示す。
【
図6C】
図6Cは、いくつかの実施形態による、レーザシステムを模式的に示しており、互いに異なる波長のシードビームを各々提供する2つのシードレーザ装置と、光スイッチと、ダイクロイックミラーと、コヒーレントビーム結合(CBC)システムとを備え、増幅されたレーザビームを調節するように構成された、レーザシステムを模式的に示す。
【
図7A】
図7Aは、いくつかの実施形態による、シードレーザ装置と、光偏光コンバイナ(OPC)と、偏光ビームスプリッタ(PBS)と、コヒーレントビームコンバイナ(CBC)システムとを備え、増幅されたレーザビームを調節するように構成された、レーザシステムを模式的に示す。
【
図7B】
図7Bは、いくつかの実施形態による、シードレーザ装置と、光偏光コンバイナ(OPC)と、偏光ビームスプリッタ(PBS)と、主発振器出力増幅器(MOPA)とを備え、増幅されたレーザビームを調節するように構成された、レーザシステムを模式的に示す。
【
図8A】
図8Aは、いくつかの実施形態による、光偏光コンバイナー(OPC)を模式的に示す。
【
図8B】
図8Bは、いくつかの実施形態による、別の光偏光コンバイナー(OPC)を模式的に示す。
【
図9】
図9は、ファイバ増幅システムの従来技術の例を模式的に示す。
【
図10A】
図10Aは、本発明の様々な実施形態による、ハイブリッド型ポンプモジュールを模式的に示す。
【
図10B】
図10Bは、本発明の様々な実施形態による、ハイブリッド型ポンプモジュールを模式的に示す。
【
図10C】
図10Cは、本発明の様々な実施形態による、ハイブリッド型ポンプモジュールを模式的に示す。
【
図10D】
図10Dは、本発明の様々な実施形態による、ハイブリッド型ポンプモジュールを模式的に示す。
【
図11A】
図11Aは、本発明のいくつかの実施形態による、コア関連モジュールがシード関連モジュールであるハイブリッド型ポンプモジュールを模式的に示す。
【
図11B】
図11Bは、本発明のいくつかの実施形態による、コア関連モジュールがシード関連モジュールであるハイブリッド型ポンプモジュールを模式的に示す。
【
図11C】
図11Cは、本発明のいくつかの実施形態による、コア関連モジュールがシード関連モジュールであるハイブリッド型ポンプモジュールを模式的に示す。
【
図12】
図12は、本発明のいくつかの実施形態による、コア関連モジュールが出力モジュールであるハイブリッド型ポンプモジュールを模式的に示す。
【
図13】
図13は、本発明のいくつかの実施形態による、コア関連モジュールが高反射モジュールであるハイブリッド型ポンプモジュールを模式的に示す。
【
図14】
図14は、本発明のいくつかの実施形態による、コア関連モジュールが部分反射モジュールであるハイブリッド型ポンプモジュールを模式的に示す。
【
図15】
図15は、本発明のいくつかの実施形態による、ファイバ増幅システムを模式的に示す。
【
図16】
図16(A)、(B)は、本発明のいくつかの実施形態による、ファイバレーザシステムを模式的に示す。
【
図17A】
図17Aは、本発明のいくつかの実施形態による、放射レーザビームの周波数を逓倍するための装置のためのいくつかのセットアップを模式的に示す。
【
図17B】
図17BCは、本発明のいくつかの実施形態による、放射レーザビームの周波数を逓倍するための装置のためのいくつかのセットアップを模式的に示す。
【
図17C】
図17Cは、本発明のいくつかの実施形態による、放射レーザビームの周波数を逓倍するための装置のためのいくつかのセットアップを模式的に示す。
【
図18】
図18(A)は、本発明のいくつかの実施形態による、低出力の周波数倍増のために設定されているが、高出力で動作した場合の、オーブン内に配置された単結晶の光軸に沿った温度変化の例を模式的に示す。
図18(B)は、結晶内の各点に至るまでに蓄積された基本波ビームと逓倍ビームとの間の位相差の例を模式的に示す。
【
図19】
図19(A)~(C)は、焦点領域における最小MP及び最適温度を達成する目的で、共役位相差を有する第2調波シードビームを加えた後のPFDの温度再調節を模式的に示す。
【
図20A】
図20Aは、500Wの入力ビーム及び50mmのシーダ結晶を用いたシミュレーションの概要を示す。
【
図20B】
図20Bは、500Wの入力ビーム及び50mmのシーダ結晶を用いたシミュレーションの概要を示す。
【
図20C】
図20Cは、500Wの入力ビーム及び50mmのシーダ結晶を用いたシミュレーションの概要を示す。
【
図21】
図21は、本発明のいくつかの実施形態による、非共振温度でのシーダビームプロファイルを示す。
【
図22A】
図22Aは、本発明のいくつかの実施形態による、シーダビームを使用した場合と使用しなかった場合におけるシミュレーション結果及びその比較を示す。
【
図22B】
図22Bは、本発明のいくつかの実施形態による、シーダビームを使用した場合と使用しなかった場合におけるシミュレーション結果及びその比較を示す。
【
図23】
図23は、本発明のいくつかの実施形態による、シーダビームを使用した場合の付加価値を示す。
【
図24】
図24は、本発明のいくつかの実施形態による、緑色出力ビーム対PMC回転を提示することによって、シーダビームが位相効果を提供することを示す。
【
図25A】
図25Aは、本発明のいくつかの実施形態による、周波数倍増装置の様々な構成を模式的に示す。
【
図25B】
図25Bは、本発明のいくつかの実施形態による、周波数倍増装置の様々な構成を模式的に示す。
【
図25C】
図25Cは、本発明のいくつかの実施形態による、周波数倍増装置の様々な構成を模式的に示す。
【
図26】
図26は、本発明のいくつかの実施形態による、PMCの回転角度または傾斜角度を模式的に示し、
図26(A)は正面図、
図26(B)は側面図である。
【
図27】
図27は、本発明のいくつかの実施形態による、PMCの回転角度を連続的に調節するために使用される任意選択のフィードバックアルゴリズムを模式的に示す。
【
図28A】
図28Aは、本発明のいくつかの実施形態による、オーブンコントローラのアンダーシュート/オーバーシュートに起因する、時間内の結晶温度及び逓倍出力の変動を模式的に示す。
【
図28B】
図28Bは、本発明のいくつかの実施形態による、オーブンコントローラのアンダーシュート/オーバーシュートに起因する、時間内の結晶温度及び逓倍出力の変動を模式的に示す。
【
図29】
図29は、本発明のいくつかの実施形態による、オーブンのアンダーシュート/オーバーシュートを克服するように構成された、PMCを回転させるためのディザ制御による出力安定化を模式的に示す。
【
図30】
図30は、本発明のいくつかの実施形態による、動作条件の変更後にPMCの角度を最適化するために使用されるフィードバックを伴うディザ制御の実験結果を示す。
【
図31】
図31(A)及び(B)は、本発明のいくつかの実施形態による、調波出力を最大値に維持するとともに、静的PMCまたは動的PMCによって変動を低減させた実験結果を示す。
【
図32】
図32は、本発明のいくつかの実施形態による、安定化アルゴリズムを使用した場合と使用しなかった場合の、1時間の実行についての調波の出力スペクトルを示す。
【
図33】
図33は、本発明のいくつかの実施形態による、逆変換位相差を模式的に示す。
【
図34A】
図34Aは、本発明のいくつかの実施形態による、
図34Aに示すようにレーザを迅速オンすることによって達成された立ち上がり時間と、PMCの位置をトグルすることによって達成された立ち上がり時間との比較を示す。
【
図34B】
図34Bは、本発明のいくつかの実施形態による、
図34Aに示すようにレーザを迅速オンすることによって達成された立ち上がり時間と、PMCの位置をトグルすることによって達成された立ち上がり時間との比較を示す。
【0104】
図示の簡略化と明確化のために、図示されている要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが理解されるだろう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確化のために、他の要素と比較して誇張されている場合がある。さらに、適切と考えられる場合には、対応する要素または類似する要素を示すために、参照数字が図面間で繰り返し使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0105】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が定められている。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細を用いることなく実施してもよいことは、当業者には理解されるであろう。他の実施例では、周知の方法、手順、及び構成要素は、本発明を不明瞭にしないように、詳細に記載されていない。
【0106】
本明細書で使用するときは、一実施形態では、「約」という用語は、±10%を指す。別の実施形態では、「約」という用語は、±9%を指す。別の実施形態では、「約」という用語は、±8%を指す。別の実施形態では、「約」という用語は、±7%を指す。別の実施形態では、「約」という用語は、±6%を指す。別の実施形態では、「約」という用語は、±5%を指す。別の実施形態では、「約」という用語は、±4%を指す。別の実施形態では、「約」という用語は、±3%を指す。別の実施形態では、「約」という用語は、±2%を指す。別の実施形態では、「約」という用語は、±1%を指す。
【0107】
レーザビームを調節するための方法及びシステム
【0108】
本発明は、レーザ、レーザビームアレイ、及び光ファイバレイからのレーザビームを操作及び調節するための方法及び装置に関する。より具体的には、本発明は、レーザシステムがその動作出力を維持しながら、例えば、レーザシステムの出力源をオフにしたり出力を減少させたりすることなく、またはシードレーザビームを遮断することなく、レーザビームのアクティブ化/非アクティブ化を可能にする方法及び装置を提供する。これにより、例えば増幅器などの構成要素を損傷することなく、より高い動作周波数(例えば、調節周波数は10GHzに達することができる)を可能にする手段によって、動作時間を節約(短縮)することができる。
【0109】
レーザ増幅システムの一例であるコヒーレントビーム結合(CBC)システムが、米国特許出願公開第2013/0107343号明細書に開示されている。この特許文献には、シードレーザと、シードレーザの出力を受け取り、増幅されたレーザ出力を提供する光増幅サブシステムとを備えたレーザシステムであって、光増幅サブシステムが、第1の複数の増幅アセンブリであって、その各々が第2の複数の光増幅アセンブリを有する、該第1の複数の増幅アセンブリと、第1の複数の増幅アセンブリの各々に関連付けられた複数の位相調節器を含む位相制御回路と、を含む、該レーザシステムが開示されている。
【0110】
図1は、コヒーレントビーム結合(CBC)の一般的または典型的なモデル/設計を示す。このレーザシステム1100は、コヒーレントビーム結合(CBC)システム1101にシードビームを提供するように構成されたシードレーザ1110を備える。CBCシステム1101は、シードレーザ1110の出力を受け取り、増幅された第1の出力ビームを提供する第1の光増幅器1121を含む。第1の出力ビームは、第1のビームスプリッタ1131によって第1の複数の入力ビームに分割され、分割された第1の複数の入力ビームは、並列配置された第2の複数の光増幅器1122によって受け取られる。第2の複数の光増幅器1122は、増幅された第2の複数の出力ビームを提供するように構成されている。次いで、第2の複数の出力ビームは、第2の複数のビームスプリッタ1132によって分割される。分割された第2の複数の入力ビームは、並列配置された第3の複数の光増幅器1123によって受け取られる。第3の複数の光増幅器1123は、増幅された第3の複数の出力ビームを提供するように構成されている。そして、増幅された第3の複数の出力ビームは、単一のCBC出力ビーム1170にコヒーレント結合される。コヒーレント結合は、例えば、CBCポイント1171として示される位置でビーム干渉を発生させることによってCBC出力ビーム1170を提供するように構成された少なくとも1つのビームコンバイナ1140によって提供することができる。代替的に、コヒーレントビーム結合は、CBCポイント1171として示される位置でビーム干渉が発生する自由空間(ビームコンバイナを用いることなくコリメートされた自由空間;図示せず)において提供され得る。
【0111】
CBCシステムは、第2の複数の入力ビームの各々に関連付けられた複数の位相調節器1150を含む位相制御回路1160をさらに備える。位相制御回路1160は、CBCポイント1171でのビーム干渉をモニタリングし、CBCポイント1171で建設的ビーム干渉が発生するように、複数の位相調節器1150によって、第2の複数の入力ビームの各々の位相を制御するように構成されている。すべての光接続は、光ファイバ1102によって提供されることに留意されたい。また、光増幅器1121、1122、1123は、互いに同一または異なる強度特性を有するように構成されてもよく、ビームコンバイナ1140は、米国特許出願公開第2013/0107343号明細書の
図4A及び
図4Bに記載されているように構成されてもよいことに留意されたい。
【0112】
レーザのパルス動作は、光出力が所定の繰り返し率で所定期間のパルスで現れるように、連続波(CW)として分類されない任意のレーザを指す。レーザ波のこの使用は、様々な動機に対処するための広範囲の技術を包含する。いくつかのレーザは、連続モードでは動作できないという単純な理由で、パルス化される。別の場合では、この用途は、可能な限り大きなエネルギーを有するパルスの生成を必要とする。パルスエネルギーは、平均出力を繰り返し率で割ったものに等しいので、この目標は、パルス間により多くのエネルギーを蓄積できるように、パルス率を低下させることによって達成することができる。別の用途では、特に非線形光学効果を得るために、(パルスのエネルギーではなく)ピークパルス出力に依存する。この場合、所与のパルスエネルギーに対して、可能な限り短い持続時間のパルスを生成することを必要とする。レーザの準連続波(QCW)動作とは、熱影響を大幅に低減させるのには十分に短いが、レーザプロセスをその定常状態に近い状態にする、すなわちレーザを光学的に連続波動作状態にするのには十分に長い所定の時間間隔だけ、そのポンプ源を「オン」にすることを意味する。デューティサイクル(「オン」時間の割合)は、例えば、数パーセントであり得る。これにより、例えば熱レンズ効果や過熱による損傷などの、加熱及びそれに関連するすべての熱影響を大幅に低減することができる。このように、QCW動作は、より低い平均出力を犠牲にして、より高い出力ピーク出力での動作を可能にする。出典:「https:// en.wikipedia.org/ wiki/Pulsed_laser; (https:// en.wikipedia.org/ wiki/ Wikipedia: Text of Creative Commons Attribution -ShareAlike 3.0 Unported Licenseも参照されたい)」。
【0113】
当業者であれば、「高速光調節器(FOM)」という用語が、電気制御信号を用いてレーザビームの出力、位相または偏光を制御するために使用されるように構成された電気光学調節器(EOM)(または電気光学調節器)を指すことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、動作原理は、線形電気光学効果(ポッケルス効果とも呼ばれる)、すなわち、非線形結晶の屈折率が電界によって電界強度に比例して変化することに基づく。
【0114】
当業者であれば、「位相調節器」という用語が、レーザビームの光位相を制御するために使用される光調節器を指すことを理解するであろう。よく使用されるタイプの位相調節器は、ポッケルスセルに基づく電気光学調節器や液晶調節器などであるが、例えば、熱的に誘起される光ファイバの屈折率の変化または長さの変化を利用したり、あるいは、延伸によって光ファイバ長さの変化を誘起したりすることも可能である。調節された光を導波路により伝搬する集積光学の分野では、様々な種類の位相調節器が使用されている。
【0115】
当業者であれば、「主発振器出力増幅器(MOPA)」という用語が、マスターレーザ(またはシードレーザ)と、出力を高めるための光増幅器とからなる構造を指すことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、出力増幅器は、ファイバデバイスである。他の実施形態では、MOPAは、固体バルクレーザとバルク増幅器とから構成してもよいし、調節可能な外部共振器ダイオードレーザと半導体光増幅器とから構成してもよい。
【0116】
当業者であれば、「ビームスプリッタ」という用語が、入射光ビーム(例えば、レーザビーム)を、互いに同一の光出力をするかまたは有していない2以上のビームに分割するように構成された光学装置を指すことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、ビームスプリッタは、いくつかのビームを単一のビームに結合するためのビームコンバイナとして使用される。いくつかの実施形態では、ビームスプリッタは、干渉計、自己相関器、カメラ、プロジェクタ、及びレーザシステムに必要とされる。
いくつかの実施形態では、ビームスプリッタは、誘電体ミラー、キューブ、光ファイバスプリッタ、平面光波回路(PLC)スプリッタ、回折格子、及びマルチモード干渉(MMI)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
誘電体ミラーは、光ビームを分割するために使用することができる任意の部分的に反射するミラーであり得る。レーザ技術では、誘電体ミラーが、このような目的でよく使用されている。入射角は、ビームスプリッタの特性に影響を与える出力ビームの角度分離、例えば45度の角度(この値は便利であることが多いが、他の値であってもよい)を決定する。誘電体コーティングの様々な設計により、広範囲の出力分割比を達成することができる。
キューブは、その界面において、ビームを分割する。キューブは、多くの場合、2つの三角形のガラスプリズムを透明な樹脂やセメントで接着することにより作製される。その層の厚さを利用して、所定の波長の出力分割率を調節することができる。
光ファイバスプリッタは、光ファイバビームスプリッタとして使用される光ファイバカプラの一種である。このような装置は、光ファイバを融着接合することにより作製することができ、2以上の出力ポートを有していてもよい。バルクデバイスの場合と同様に、分割率は、入力の波長や偏光に強く依存してもよいし、依存しなくてもよい。
PLCは、光集積回路(IC)、または、光導波路を用いて作られた光回路基板のいずれかであり、光子をルーティングする。
回折格子は、光を互いに異なる方向に進む複数のビームに分割及び回折させる繰り返し構造を有する光学素子である。これらのビームの進行方向は、回折格子の間隔と、光の波長とに依存する。いくつかの実施形態では、回折格子は、ビームコンバイナとしても使用することができる。
マルチモード干渉(MMI)は、光を導くため、すなわち光を伝搬する空間領域を制限するための、空間的に不均一な構造を有する光導波路である。MMIは、例えば、集積型光干渉計において、光ビームの分割及び結合に用いることができる。
【0117】
当業者であれば、「ファイバカプラ」または「カプラ」という用語が、1本以上の入力ファイバ及び1本以上の出力ファイバを有する光ファイバ装置を指すことを理解するであろう。入力ファイバからの光は、1以上の出力に現れることができ、波長及び偏光に潜在的に依存する出力分布を有する。
【0118】
当業者であれば、「タップ(TAP)」という用語が、50:50、75:25、90:10、または99:1の結合出力比のために構成されたカプラを指すことを理解するであろう。ファイバのタッピングは、接続を切断することなく光ファイバから信号を抽出するネットワークタップ方式を用いることができる。光ファイバのタッピングは、ファイバのコア内で伝送されている信号の一部を、別のファイバまたは検出器に迂回させることを可能にする。
【0119】
当業者であれば、「ビーム干渉」または「干渉」という用語が、2以上の光波を重ね合わせて、より大きい、より低い、または同じ振幅の合波を形成する現象を指すことを理解するであろう。合波が元の2つの波のいずれよりも大きい場合は、「建設的干渉」と呼ばれる。元の2つの波の合計が一方の波よりも小さく、ゼロでさえある場合は、「破壊的干渉」と呼ばれる。
【0120】
当業者であれば、「光増幅器」という用語が、或る入力信号を伝送し、それよりも高い光出力を有する出力信号を生成する装置を指すことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、入力及び出力は、自由空間内またはファイバ内で伝搬されるレーザビームである。増幅は、いわゆる利得媒体内で行われ、外部ソースから「ポンピング」する必要がある(すなわち、エネルギーを供給する必要がある)。いくつの実施形態では、光増幅器は、光学的に、化学的に、または電気的にポンピングされる。
【0121】
当業者であれば、「ダイクロイックミラー」という用語が、2つの互いに異なる波長において、著しく異なる反射特性または透過特性を有するミラーを指すことを理解するであろう。
【0122】
当業者であれば、「シードレーザ」という用語が、本発明のいくつかの実施形態では、増幅器または別のレーザに注入されるレーザの出力を指すことを理解するであろう。シードレーザの代表的なタイプは、小型レーザダイオード(単周波またはゲインスイッチ)、ショートキャビティファイバレーザ、及び非平面リングオシレータ(NPRO)などの小型固体レーザである。
【0123】
次に、
図2を参照する。
図2は、本発明のいくつかの実施形態による、レーザビーム1270(より具体的には高出力レーザビーム)を提供し、調節するように構成されたレーザシステム1200を示す。
このレーザシステム1200は、
コヒーレントビーム結合(CBC)システム1201と、
CBCシステム1201に少なくとも1つの入力シードビームを提供するように構成された少なくとも1つのシードレーザ装置1210と、を備え、
出力レーザビーム1270は、CBCシステム1201によって選択的に提供される。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態では、CBCシステムの構成要素は、様々な設計及び構成(そのいくつかは当技術分野では既知である)で提供することができ、その非限定的な例は、
図1に示すようなCBCシステム1101であり、または別の非限定的な例は、
図2に示すようなCBCシステム1201である。
図2に示すCBCシステム1201は、
複数の位相調節器1250と、
少なくとも1つの制御回路1260と、を備え、
複数の位相調節器1250は、CBCポイント1271での建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、シードレーザ装置1210から提供されるシードビーム、複数の光増幅器1220、少なくとも1つのビームスプリッタ1230、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナ1240(ビームコヒーレント結合は、ビームコンバイナを使用せずに提供してもよく、例えば、コリメートされた自遊空間(図示せず)を用いてもよい)に対して、直接的または間接的に(例えば、光ファイバ1202によって)光学的に接続されるように構成され、
少なくとも1つの制御回路1260は、CBCポイント1271でのビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、複数の位相調節器1250のうちの少なくとも1つを制御して建設的または破壊的なビーム干渉を提供するように構成されている。
【0125】
いくつかの実施形態では、レーザシステム1200は、
レーザビーム1270をアクティブ化するために(換言すれば、レーザビーム1270を「オン」にすることが要求された場合)、CBCポイント1271での建設的干渉を可能にするように、制御回路1260によって位相調節器1250を制御し、それによって、出力レーザビーム1270を提供するステップと、
レーザビーム1270を非アクティブ化するために(換言すれば、レーザビーム1270を「オフ」にすることが要求された場合)、CBCポイント1271での破壊的干渉を可能にするように、制御回路1260によって位相調節器1250を制御し、それによって、出力レーザビーム1270の提供を停止するステップと、
を含む方法に従って、出力レーザビーム1270の高速かつ効果的な調節を提供するように構成されている。
【0126】
いくつかの実施形態では、建設的干渉を可能にするように位相調節器を制御する上記のステップは、CBCポイント1271にレーザビームを最大強度で提供するように位相調節器を調節するステップを含む。
いくつかの関連する実施形態では、破壊的干渉を可能にするように位相調節器を制御する上記のステップは、レーザビームを最大強度で提供するようにすでに調節された位相調節器1250のうちの半分を制御して、レーザビームに対してステップを含む。
他の関連する実施形態では、破壊的干渉を可能にするように位相調節器を制御する上記のステップは、レーザビームを最大強度で提供するようにすでに調節された位相調節器1250のうちのいくつかを調節するステップを含む。位相調節器1250の各々の調節は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
いくつかの実施形態では、レーザ強度が最大強度の約50%よりも大きい場合に、建設的干渉と見なされる。好ましくは、レーザ強度が最大強度の約100%である場合に、建設的干渉と見なされる。いくつかの実施形態では、レーザ強度が最大強度以下である場合に、破壊的干渉と見なされる。好ましくは、レーザ強度が最大強度の約0%である場合に、建設的干渉と見なされる。
【0127】
いくつかの他の関連する実施形態では、この方法は、レーザビームを最大強度で提供するようにすでに調節された位相調節器のうちのいくつかを(制御回路1260によって)調節することによって、レーザビーム1270を調節するステップをさらに含む。位相調節器の調節は、出力レーザビーム1270の強度を、最大強度の0%から100%の間の所定の割合(例えば、5%、10%、25%、50%、75%、90%、95%、または任意の他の割合)に等しい強度にすることを含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、破壊的干渉を可能にするように位相調節器を制御する上記のステップは、CBCポイント1271にレーザビームを最小強度で提供するように位相調節器を調節するステップを含む。
【0129】
次に、
図3を参照する。
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、レーザビーム1370(より具体的には高出力レーザビーム)を提供し、調節するように構成された別のレーザシステム1300を示す。
このレーザシステム1300は、
少なくとも1つのシードレーザ装置1310と、
シードレーザ装置のシードレーザビームを受け取り、その帯域幅を調節するように構成された高速光調節器(FOM)1316と、
帯域幅が調節されたシードビームを受け取り、増幅されたレーザビーム1370を提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システム1301と、
を備える。
【0130】
いくつかの実施形態では、高速光調節器(FOM)1316による調節は、予め定められた2つの帯域幅である、第1の帯域幅(Δω1)と、第1の帯域幅よりも大きい第2の帯域幅(Δω2;Δω2>Δω1)とのうちの一方を選択することを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、第1の帯域幅(Δω1)は、そのコヒーレンス長Lc1が、システム内の異なるチャネル間の光路差(OPD)の二乗平均平方根(RMS)よりも長くなる(Lc1>OPD)ように選択され、第2の帯域幅(Δω2)は、そのコヒーレンス長Lc2が、システム内の異なるチャネル間のOPDの二乗平均平方根(RMS)よりも短くなる(Lc2<OPD)ように選択される。
【0132】
本発明のいくつかの実施形態では、CBCシステムの構成要素は、様々な設計及び構成(そのいくつかは当技術分野では既知である)で提供することができ、その非限定的な例は、
図1に示すようなCBCシステム1101であり、または別の非限定的な例は、
図3に示すようなCBCシステム1301である。
図3に示すCBCシステム1301は、
複数の位相調節器1350と、
少なくとも1つの制御回路1360と、を備え、
複数の位相調節器1350は、CBCポイント1371での建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、シードレーザ装置1310から提供されるシードビーム、複数の光増幅器1320、少なくとも1つのビームスプリッタ1330、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナ1340(ビームコヒーレント結合は、ビームコンバイナを使用せずに提供してもよく、例えば、コリメートされた自遊空間(図示せず)を用いてもよい)に対して、直接的または間接的に(例えば、光ファイバによって)光学的に接続されるように構成され、
少なくとも1つの制御回路1360は、CBCポイント1371でのビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、複数の位相調節器1250のうちの少なくとも1つを制御して建設的または破壊的なビーム干渉を提供するように構成されている。
【0133】
いくつかの実施形態では、レーザシステム1300は、
レーザビーム1370をアクティブ化するために、CBCポイント1371での建設的干渉を可能にするように設定された狭い帯域幅(Δω1)を有するシードレーザビームを提供するようにFOM1316を制御し、それによって、出力レーザビーム1370を提供するステップと、
レーザビーム1370を非アクティブ化するために、CBCポイント1371での建設的干渉を不能にするように設定された広い帯域幅(Δω2;Δω2>Δω1)を有するシードレーザビームを提供するようにFOM1316を制御し、それによって出力レーザビーム1370の提供を停止するステップと、
を含む方法に従って、出力レーザビーム1370の高速かつ効果的な調節を提供するように構成されている。
【0134】
いくつかの実施形態では、シードレーザビームを狭い帯域幅で提供するようにFOM1316を制御する上記のステップは、CBCポイント1371での建設的干渉を可能にするように、制御回路1360によって位相調節器1350を制御するステップをさらに含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、建設的ビーム干渉を提供するように位相調節器を制御する上記のステップは、建設的ビーム干渉を最大強度で提供するように位相調節器を調節するステップを含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、レーザ強度が最大強度の約50%よりも大きい場合に、建設的干渉と見なされる。好ましくは、レーザ強度が最大強度の約100%である場合に、建設的干渉と見なされる。いくつかの実施形態では、レーザ強度が最大強度以下である場合に、破壊的干渉と見なされる。好ましくは、レーザ強度が最大強度の約0%である場合に、建設的干渉と見なされる。
【0137】
いくつかの実施形態では、FOM1316の制御は、CBCシステム1301の少なくとも1つの制御回路1360によって提供される。他の実施形態では、FOM1316の制御は、FOM1316と、CBCシステム1301の少なくとも1つの制御回路1360との両方を制御するように構成された上位制御回路1361によって提供される。
【0138】
次に、
図4を参照する。
図4は、本発明のいくつかの実施形態による、レーザビーム1470(より具体的には高出力レーザビーム)を提供し、調節するように構成された別のレーザシステム1400を示す。
このレーザシステム1400は、
シードレーザビームを受け取り、増幅されたレーザビーム1470を提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システム1401と、
第1の波長(λ1)を有する第1のシードビームを提供するように構成された第1のシードレーザ装置1410と、
第1の波長とは異なる第2の波長(λ2;λ2≠λ1)を有する第2のシードビームを提供するように構成された第2のシードレーザ装置1411と、
第1のシードレーザビーム及び第2のシードレーザビームの一方のみをCBCシステム1401にリンクするように構成された光スイッチ1415と、を備え、
出力レーザビーム1470は、CBCシステム1401によって提供される。
【0139】
本発明のいくつかの実施形態では、CBCシステムの構成要素は、様々な設計及び構成(そのいくつかは当技術分野では既知である)で提供することができ、その非限定的な例は、
図1に示すようなCBCシステム1101であり、または別の非限定的な例は、
図4に示すようなCBCシステム1401である。
図4に示すCBCシステム1401は、
複数の位相調節器1450と、
少なくとも1つの制御回路1460と、を備え、
複数の位相調節器1350は、CBCポイント1471での建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、リンクされた(第1または第2の)シードビーム、複数の光増幅器1420、少なくとも1つのビームスプリッタ1430、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナ1440(ビームコヒーレント結合は、ビームコンバイナを使用せずに提供してもよく、例えば、コリメートされた自遊空間(図示せず)を用いてもよい)に対して、直接的または間接的に(例えば、光ファイバによって)光学的に接続されるように構成され、
少なくとも1つの制御回路1460は、CBCポイント1471でのビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成されている。
【0140】
いくつかの実施形態では、位相調節器1450が、第1の波長(λ1)に基づく建設的ビーム干渉を可能にするように調節される場合、CBCポイント1471での建設的なビーム干渉を提供しないように、第2の波長(λ2)が選択される。
【0141】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのビームコンバイナ1440は、特定の波長、すなわち第1の波長(λ1)を有するビームを結合させ、第2の波長(λ2)を含む他の波長を有するビームを散乱させるように構成された、波長に敏感な回折光学素子(DOE)である。このようなビームコンバイナの非限定的な例は、ダンマン回折格子であり、これは、結合されたビーム間の最適な角度が波長に対して非常に敏感である。したがって、ビームは、第1の波長(λ1)を有する第1のシードレーザビームに対する最大の結合効率を達成するように構成されている。このため、シードレーザ光が、第2の波長を有する第2のレーザ光(λ2;λ2≠λ1)に切り替えられると結合効率が低下し、これにより、レーザビーム1470の出力が不能になる。
【0142】
いくつかの実施形態では、レーザシステム1400は、
レーザビーム1470をアクティブ化するために、第1シードビームをCBCシステム1401にリンクさせるように光スイッチ1415を制御し、かつ、CBCポイント1471での建設的干渉を可能にするように、制御回路1460によって位相調節器1450を制御し、それによって、出力レーザビーム1470を提供するステップと、
レーザビーム1470を非アクティブ化するために、(位相調節器1450を調節せずに)光スイッチ1415を制御して、第2シードビームをCBCシステム1401にリンクさせてCBCポイント1471での建設的干渉を不能にし、それによって、出力レーザビーム1470の提供を停止するステップと、
を含む方法に従って、出力レーザビーム1470の高速かつ効果的な調節を提供するように構成されている。
【0143】
明確化のために、レーザビーム1470をアクティブ化した後、位相調節器1450は、第1のシードレーザビームの第1の波長(λ1)に基づくCBCポイント1471での建設的干渉を可能にするように調節され、光スイッチ1415が第2の波長(λ2;λ2≠λ1)を有する第2のシードレーザビームをリンクさせたとき、位相調節器1450は再調節されないため、建設的干渉は発生せず、これにより、建設的干渉は不能になることに留意されたい。したがって、光スイッチ1415が第1の波長(λ1)を有する第1のシードレーザ光を再びリンクさせたとき、位相調節器1450は既に調節されている。
【0144】
いくつかの実施形態では、λ1及びλ2は、それらの差(λ2≠λ1)が、上述の実施形態及びそれらの選択された特徴に従って、ビームのアクティブ化/非アクティブ化を可能にするように選択される。
【0145】
いくつかの実施形態では、建設的ビーム干渉を提供するように位相調節器1450を制御する上記ステップは、建設的ビーム干渉を最大強度で提供するように位相調節器を調節するステップを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、レーザ強度が最大強度の約50%よりも大きい場合に、建設的干渉と見なされる。好ましくは、レーザ強度が最大強度の約100%である場合に、建設的干渉と見なされる。いくつかの実施形態では、レーザ強度が最大強度以下である場合に、破壊的干渉と見なされる。好ましくは、レーザ強度が最大強度の約0%である場合に、建設的干渉と見なされる。
【0147】
いくつかの実施形態では、光スイッチ1415の制御は、CBCシステム1401の少なくとも1つの制御回路1460によって提供される。他の実施形態では、光スイッチ1415の制御は、光スイッチ1415と、CBCシステム1401の少なくとも1つの制御回路1460との両方を制御するように構成された上位制御回路1461によって提供される。
【0148】
次に、
図5を参照する。
図5は、本発明のいくつかの実施形態による、レーザビーム1570(より具体的には高出力レーザビーム)を提供し、調節するように構成された別のレーザシステム1500を示す。
このレーザシステム1500は、
シードレーザビームを受け取り、増幅されたレーザビームを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システム1501と、
狭い帯域幅(Δω1)を有する第1のシードレーザビームを提供するように構成された第1のシードレーザ装置1510と、
第1の波長よりも広い帯域幅(Δω2;Δω2>Δω1)を有する第2のシードレーザビームを提供するように構成された第2のシードレーザ装置1511と、
第1のシードレーザビーム及び第2のシードレーザビームの一方のみをCBCシステム1501にリンクするように構成された光スイッチ1515と、を備え、
狭い帯域幅(Δω1)は、CBCシステム1501のCBCポイント1571での建設的なビーム干渉を可能にするように設定され、
広い帯域幅(Δω2)は、CBCポイント1571での建設的なビーム干渉を不能にするように設定され、
出力レーザビーム1570は、CBCシステム1501によって提供される。
【0149】
いくつかの実施形態では、第1の帯域幅(Δω1)は、そのコヒーレンス長Lc1が、システム内の異なるチャネル間の光路差(OPD)の二乗平均平方根(RMS)よりも長くなる(Lc1>OPD)ように選択され、第2の帯域幅(Δω2)は、そのコヒーレンス長Lc2が、システム内の異なるチャネル間のOPDの二乗平均平方根(RMS)よりも短くなる(Lc2<OPD)ように選択される。
【0150】
本発明のいくつかの実施形態では、CBCシステムの構成要素は、様々な設計及び構成(そのいくつかは当技術分野では既知である)で提供することができ、その非限定的な例は、
図1に示すようなCBCシステム1101であり、または別の非限定的な例は、
図5に示すようなCBCシステム1501である。
図5に示すCBCシステム1501は、
複数の位相調節器1550と、
少なくとも1つの制御回路1560と、を備え、
複数の位相調節器1550は、CBCポイント1571での建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、リンクされた(第1または第2の)シードビーム、複数の光増幅器1520、少なくとも1つのビームスプリッタ1530、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナ1540(ビームコヒーレント結合は、ビームコンバイナを使用せずに提供してもよく、例えば、コリメートされた自遊空間(図示せず)を用いてもよい)に対して、直接的または間接的に(例えば、光ファイバによって)光学的に接続されるように構成され、
少なくとも1つの制御回路1560は、CBCポイント1571でのビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成されている。
【0151】
いくつかの実施形態では、レーザシステム1500は、
レーザビーム1570をアクティブ化するために、光スイッチ1515を制御して、第1シードレーザビームをCBCシステム1501にリンクさせてCBCポイント1571での建設的干渉を可能にし、それによって、出力レーザビーム1570を提供するステップと、
レーザビーム1570を非アクティブ化するために、光スイッチ1515を制御して、第2シードレーザビームをCBCシステム1501にリンクさせてCBCポイント1571での建設的干渉を不能にし、それによって、出力レーザビーム1570の提供を停止するステップと、
を含む方法に従って、出力レーザビーム1570の高速かつ効果的な調節を提供するように構成されている。
【0152】
いくつかの実施形態では、レーザビーム1570をアクティブ化する上記のステップは、CBCポイント1571での建設的干渉を可能にするように、制御回路1560によって位相調節器1550を制御するステップをさらに含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、建設的ビーム干渉を提供するように位相調節器1550を制御する上記のステップは、建設的ビーム干渉を最大強度で提供するように位相調節器を調節するステップを含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、レーザ強度が最大強度の約50%よりも大きい場合に、建設的干渉と見なされる。好ましくは、レーザ強度が最大強度の約100%である場合に、建設的干渉と見なされる。いくつかの実施形態では、レーザ強度が最大強度以下である場合に、破壊的干渉と見なされる。好ましくは、レーザ強度が最大強度の約0%である場合に、建設的干渉と見なされる。
【0155】
いくつかの実施形態では、光スイッチ1515の制御は、CBCシステム1501の少なくとも1つの制御回路1560によって提供される。他の実施形態では、光スイッチ1515の制御は、光スイッチ1515と、CBCシステム1501の少なくとも1つの制御回路1560との両方を制御するように構成された上位制御回路1561によって提供される。
【0156】
次に、
図6A及び
図6Cを参照する。
図6A及び
図6Cは、本発明のいくつかの実施形態による、レーザビーム1670A/1670C(より具体的には高出力レーザビーム)を提供し、調節するように構成された別のレーザシステム1600A/1600Cを示す。
【0157】
図6Aに示すシステム1600Aは、
シードビームを受け取り、増幅されたレーザビーム1672Aを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システム1601Aと、
第1の波長(λ1)を有する第1のシードビームを提供するように構成された第1のシードレーザ1610と、
第1の波長とは異なる第2の波長(λ2;λ2≠λ1)を有する第2のシードビームを提供するように構成された第2のシードレーザ1611と、
第1のシードビーム及び第2のシードビームの一方のみをCBCシステム1601Aにリンクするように構成された光スイッチ1615と、
増幅されたレーザビーム1672Aを受け取り、第1の波長(λ1)を有するビームをレーザシステム1600Aの出力に伝送し、第2の波長(λ2)を有するビームを反射し、それによって、出力レーザビーム1670Aを選択的に提供するように構成されたダイクロイックミラー1680Aと、を備える。
【0158】
いくつかの実施形態では、第1の波長(λ1)、第2の波長(λ2)、及びダイクロイックミラー1680Aは、増幅されたレーザビーム1672Aが第1の波長(λ1)を有する場合には、ダイクロイックミラー1680Aがビームの50%以上(好ましくは約100%)を通過させ、増幅されたレーザビーム1672Aが第2の波長(λ2)を有する場合には、ダイクロイックミラー1680Aがビームの50%以上(好ましくは約100%)を反射するように選択される。
【0159】
図6Cに示すシステム1600Cは、
シードビームを受け取り、増幅されたレーザビーム1672Cを提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システム1601Cと、
第1の波長(λ1)を有する第1のシードビームを提供するように構成された第1のシードレーザ1610と、
第1の波長とは異なる第2の波長(λ2;λ2≠λ1)を有する第2のシードビームを提供するように構成された第2のシードレーザ1611と、
第1のシードビーム及び第2のシードビームの一方のみをCBCシステム1601Cにリンクするように構成された光スイッチ1615と、
増幅されたレーザビーム1672Cを受け取り、第1の波長(λ1)を有するビームをレーザシステム1600Cの出力に伝送し、第2の波長(λ2)を有するビームを反射し、それによって、出力レーザビーム1670Cを選択的に提供するように構成されたダイクロイックミラー1680Cと、を備える。
【0160】
いくつかの実施形態では、第1の波長(λ1)、第2の波長(λ2)、及びダイクロイックミラー1680Cは、増幅されたレーザビーム1672Cが第1の波長(λ1)を有する場合には、ダイクロイックミラー1680Cがビームの50%以上(好ましくは約100%)を通過させ、増幅されたレーザビーム1672Cが第2の波長(λ2)を有する場合には、ダイクロイックミラー1680Cがビームの50%以上(好ましくは約100%)を反射するように選択される。
【0161】
本発明のいくつかの実施形態では、CBCシステムの構成要素は、様々な設計及び構成(そのいくつかは当技術分野では既知である)で提供することができ、その非限定的な例は、
図1に示すようなCBCシステム1101であり、または別の非限定的な例は、
図6Aに示すようなCBCシステム1601Aである。
図6Aに示すCBCシステム1601Aは、
複数の位相調節器1650と、
少なくとも1つの制御回路1660と、を備え、
複数の位相調節器1650は、CBCポイント1671での建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、リンクされた(第1または第2の)シードビーム、複数の光増幅器1620、少なくとも1つのビームスプリッタ1630、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナ1640に対して、直接的または間接的に光学的に接続されるように構成され、
少なくとも1つの制御回路1660は、CBCポイント1671Aでのビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成されている。
【0162】
いくつかの実施形態では、
図6Aに示す、少なくとも1つのビームコンバイナ1640を含むCBCシステム1601Aでは、ダイクロイックミラー1680Aは、CBCポイント1671Aを越えた位置に配置される。いくつかの実施形態では、ダイクロイックミラー1680Aは、CBCポイントの手前の位置に配置してもよい。
【0163】
本発明の他の実施形態では、
図6Cに示す、CBCシステム1601Cは、
複数の位相調節器1650と、
少なくとも1つの制御回路1660と、を備え、
複数の位相調節器1650は、この実施形態では遠距離場に設けられたCBCポイント1671Cでの建設的なビーム干渉を可能にするように配置された、リンクされた(第1または第2の)シードビーム、複数の光増幅器1620、及び少なくとも1つのビームスプリッタ1630に対して直接的または間接的に光学的に接続されるように構成され、ビーム結合が自由空間(コリメートされた自由空間)で行われるように構成され、
少なくとも1つの制御回路1660は、CBCポイント1671でのビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成されている。
【0164】
図6Cに示す実施形態では、ダイクロイックミラー1680Cは、CBCポイント1671Cの手前の位置に配置される。
【0165】
いくつかの実施形態では、
図6A及び
図6Cに示すレーザシステム1600A/1600Cは、
レーザビーム1670A/1670Cをアクティブ化するために、光スイッチ1615を制御して、第1シードレーザビームをCBCシステム1601A/1601Cにリンクさせて出力レーザビーム1670A/1670Cを伝送し、それによって、出力レーザビーム1670A/1670Cを提供するステップと、
レーザビーム1670A/1670Cを非アクティブ化するために、光スイッチ1615を制御して、第2シードレーザビームをCBCシステム1601A/1601Cにリンクさせて出力レーザビーム1670A/1670Cを反射させ、それによって、出力レーザビーム1670A/1670Cの提供を停止するステップと、
を含む方法に従って、出力レーザビーム1670A/1670Cの高速かつ効果的な調節を提供するように構成されている。
【0166】
いくつかの実施形態では、この方法は、CBCポイント1671A/1671Cでの建設的干渉を可能にするように、制御回路1660によって位相調節器1650を制御するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、位相調節器を制御する上記のステップは、レーザビームをアクティブ化する上記のステップ中にのみ行われ、レーザビームを非アクティブ化する上記のステップ中には行われない。
【0167】
いくつかの実施形態では、建設的ビーム干渉を提供するように位相調節器1650を制御する上記のステップは、建設的ビーム干渉を最大強度で提供するように位相調節器を調節するステップを含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、レーザ強度が最大強度の約50%よりも大きい場合に、建設的干渉と見なされる。好ましくは、レーザ強度が最大強度の約100%である場合に、建設的干渉と見なされる。いくつかの実施形態では、レーザ強度が最大強度以下である場合に、破壊的干渉と見なされる。好ましくは、レーザ強度が最大強度の約0%である場合に、建設的干渉と見なされる。
【0169】
いくつかの実施形態では、光スイッチ1615の制御は、CBCシステム1601A/1601Cの少なくとも1つの制御回路1660によって提供される。他の実施形態では、光スイッチ1615の制御は、光スイッチ1615と、CBCシステム1601A/1601Cの少なくとも1つの制御回路1660との両方を制御するように構成された上位制御回路1661によって提供される。
【0170】
次に、
図6Bを参照する。
図6Bは、レーザビーム1670Bを提供し、調節するように構成されたレーザシステム1600Bを示す。
このレーザシステム1600Bは、
シードビームを受け取り、増幅されたレーザビーム1672Bを提供するように構成された主発振器出力増幅器(MOPA)1620Bと、
第1の波長(λ1)を有する第1のシードレーザビームを提供するように構成された第1のシードレーザ1610Bと、
第1の波長とは異なる第2の波長(λ2;λ2≠λ1)を有する第2のシードレーザビームを提供するように構成された第2のシードレーザ1611Bと、
第1のシードレーザビーム及び第2のシードレーザビームの一方のみをMOPA1620Bにリンクするように構成された光スイッチ1615Bと、
増幅されたレーザビーム1672Bを受け取り、第1の波長(λ1)を有するビームをレーザシステム1600Bの出力に伝送し、第2の波長(λ2)を有するビームを反射し、それによって、出力レーザビーム1670Bを選択的に提供するように構成されたダイクロイックミラー1680Bと、を備える。
【0171】
レーザシステム1600Bは、
レーザビーム1670Bをアクティブ化するために、光スイッチ1615Bを制御して、第1のシードビームをMOPA1620Bにリンクさせてレーザビーム1670Bを伝送し、それによって、レーザビーム1670を提供するステップと、
レーザビーム1670Bを非アクティブ化するために、光スイッチ1615Bを制御して、第2のシードビームをMOPA1620Bにリンクさせてレーザビーム1670Bを反射させ、それによって、レーザビーム1670の提供を停止するステップと、
を含む方法に従って、出力レーザビーム1670Bの高速かつ効果的な調節を提供するように構成されている。
【0172】
いくつかの実施形態では、λ1及びλ2は、それらの差(λ2≠λ1)が、上述の実施形態及びそれらの選択された特徴に従って、ビームのアクティブ化/非アクティブ化を可能にするように選択される。
【0173】
次に、
図7Aを参照する。
図7Aは、本発明のいくつかの実施形態による、レーザビーム1770(より具体的には高出力レーザビーム)を提供し、調節するように構成されたレーザシステム1700Aを示す。
このレーザシステム1700Aは、
少なくとも1つのシードレーザ装置1710と、
シードレーザ装置のシードレーザビームを受け取り、その偏光方向を調節するように構成された光偏光コンバイナ(OPC)1717であって、偏光方向の調節が、シードビームに少なくとも2つの偏光成分を提供することを含み、偏光成分のうちの1つが所定の偏光方向(P1)を有する、該光偏光コンバイナ(OPC)1717と、
偏光調節されたシードレーザビーム1718を受け取り、増幅されたレーザビーム1772を提供するように構成されたコヒーレントビーム結合(CBC)システム1701と、
増幅されたレーザビーム1772を受け取り、所定の偏光方向(P1)を有するビームのみをレーザシステム1700Aの出力に伝送し、他の偏光方向を有するビームを反射し、それによって、レーザビーム1770を選択的に提供するように構成された偏光ビームスプリッタ(PBS)1790と、を備え、
出力レーザビーム1770は、CBCシステム1701によって提供される。
【0174】
本発明のいくつかの実施形態では、CBCシステムの構成要素は、様々な設計及び構成(そのいくつかは当技術分野では既知である)で提供することができ、その非限定的な例は、
図1に示すようなCBCシステム1101であり、または別の非限定的な例は、
図7Aに示すようなCBCシステム1701である。
図7Aに示すCBCシステム1701は、
複数の位相調節器1750と、
少なくとも1つの制御回路1760と、を備え、
複数の位相調節器1750は、CBCポイント1771での建設的または破壊的なビーム干渉を可能にするように各々配置された、偏光調節されたシードレーザビーム1718、複数の光増幅器1720、少なくとも1つのビームスプリッタ1730、及び任意選択の少なくとも1つのビームコンバイナ1740に対して、直接的または間接的に光学的に接続されるように構成され、
少なくとも1つの制御回路1760は、CBCポイント1771でのビーム干渉をモニタリングし、それに応じて、複数の位相調節器のうちの少なくとも1つを制御するように構成されている。
【0175】
いくつかの実施形態では、レーザシステム1700Aは、
レーザビーム1770をアクティブ化するために、OPC1717を制御して、所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、シードレーザビームの全体強度の50%よりも大きい(好ましくは約100%の)強度(I1)で提供し、それによって、出力レーザビーム1770を提供するステップと、
レーザビーム1770を非アクティブ化するために、OPC1717を制御して、所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、シードレーザビームの全体強度の50%以下(好ましくは約0%)の強度(I1)で提供し、それによって、出力レーザビーム1770の提供を停止するステップと、
を含む方法に従って、出力レーザビーム1770の高速かつ効果的な調節を提供するように構成されている。
【0176】
いくつかの実施形態では、この方法は、所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、シードレーザビームの全体強度の所定の割合に等しい強度(I1)で提供するようにOPC1717を制御することによって、レーザビームを調節するステップをさらに含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、この方法は、CBCポイント1771での建設的干渉を可能にするように、制御回路1760によって位相調節器1750を制御するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、位相調節器を制御する上記のステップは、レーザビームをアクティブ化する上記のステップ中にのみ行われ、レーザビームを非アクティブ化する上記のステップ中には行われない。
【0178】
いくつかの実施形態では、建設的ビーム干渉を提供するように位相調節器1650を制御する上記のステップは、建設的ビーム干渉を最大強度で提供するように位相調節器を調節するステップを含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、レーザ強度が最大強度の約50%よりも大きい場合に、建設的干渉と見なされる。好ましくは、レーザ強度が最大強度の約100%である場合に、建設的干渉と見なされる。いくつかの実施形態では、レーザ強度が最大強度以下である場合に、破壊的干渉と見なされる。好ましくは、レーザ強度が最大強度の約0%である場合に、建設的干渉と見なされる。
【0180】
いくつかの実施形態では、
図8A及び
図8Bに示すように、
光偏光コンバイナ(OPC)1717は、
ビーム分割アセンブリ1820であって、第1の偏光方向(P1)を有する入力ビームを受け取り、第1の偏光方向(P1)及び第1の強度(I1)を有する第1のビーム(B1(I1、P1))と、第1の偏光方向(P1)及び第2の強度(I2)を有する第2のビーム(B2(I2、P1))とを出力するように構成され、第1の強度と第2の強度との和(I1+I2)が入力シードビームの強度に等しい、該ビーム分割アセンブリ1820と、
偏光変換器1830であって、ビーム分割アセンブリ1820から出力された第1のビームB1及び第2のビームB2の一方を受け取り、その偏光を、SからPへ、またはPからSへ変換するように構成された(例えば、B2の偏光を変換する場合(
図8A及び
図8Bに示す場合)には、B1(I1、P1)及びB2(I2、P2)、P1≠P2;または別の例として、B1の偏光を変換する場合(図示せず)には、B1(I1、P2)及びB2(I2、P1))、該偏光変換器1830と、
偏波ビームスプリッタ(PBS)840A(
図8Aに示す)であって、第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と偏光変換された第2の出力ビーム(B2(I2、P2))とを受け取り、それらを結合(スーパーインポーズ)して第3のビームを生成するように構成された、該偏波ビームスプリッタ(PBS)840A、または、カプラ1840B(
図8Bに示す)であって、第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と偏光変換された第2の出力ビーム(B2(I2、P2))とを受け取り、それらを結合(スーパーインポーズ)した後に2つの出力ビームに分割し、分割された2つの出力ビームの一方のみをCBCシステム1701への入力として提供するように構成された、該カプラ1840Bと、を含む。いくつかの実施形態では、他の出力ビームは、別のシステムによって使用される。
【0181】
いくつかの実施形態では、
ビーム分割アセンブリ1820は、
入力ビームを受け取り、入力ビームを2つの出力ビームに分割するように構成されたビームスプリッタ1821と(いくつかの実施形態では、2つの出力ビームの強度の関係は一定である)、
2つの出力ビームの一方の位相を調節するように構成された位相調節器18222と、
(2つの出力ビームの一方の位相を調節した後)2つの出力ビームを受け取り、2つの位置1823A、1823Bでのそれらの干渉を提供し、それによって、第1の出力ビーム(B1(I1、P1))と第2の出力ビーム(B2(I2、P1))とを提供するように構成されたカプラ1823と、
電子制御装置1826であって、TAP1824及びダイオード1825によって、2つの干渉位置1823Aのうちの一方をモニタリングし、それに応じて、位相調節器1822を制御して、モニタリングされた位置1823Aでの建設的または破壊的なビーム干渉を可能にし、かつ、モニタリングされていない干渉位置1823Bでの破壊的または建設的なビーム干渉を提供するように構成された、該電子制御装置1826と、を備え、
それによって、第1の強度(I1)を決定し、
OPC1717の制御は、(電子制御装置1826によって)位相調節器1822を制御することを含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、OPC1717の制御は、CBCシステム1701の少なくとも1つの制御回路1760によって提供される。他の実施形態では、光スイッチ1717の制御は、光スイッチ1717と、CBCシステム1701の少なくとも1つの制御回路1760との両方を制御するように構成された上位制御回路1761によって提供される。
【0183】
次に、
図7Bを参照する。
図7Bは、本発明のいくつかの実施形態による、レーザビーム1770Bを提供し、調節するように構成されたレーザシステム1700Bを示す。
このレーザシステム1700Bは、
シードレーザ装置710Bと、
シードレーザ装置のシードレーザビームを受け取り、その偏光方向を調節するように構成された光偏光コンバイナ(OPC)1717と(偏光方向の調節は、シードビームに少なくとも2つの偏光成分を提供することを含み、偏光成分のうちの1つは、所定の偏光方向(P1)を有する)、
偏光調節されたシードビームを受け取り、増幅されたレーザビーム1772Bを提供するように構成された主発振器出力増幅器(MOPA)1720Bと、
増幅されたレーザビーム1772Bを受け取り、所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分のみをレーザシステム1700Bの出力に伝送し、他の偏光方向を有するビーム成分を反射し、それによって、出力レーザビーム1770Bを選択的に提供するように構成された偏光ビームスプリッタ(PBS)1790Bと、を備える。
【0184】
レーザシステム1700Bは、
レーザビーム1770Bをアクティブ化するために、所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、ビームの全体強度の50%よりも大きい(好ましくは約100%の)強度(I1)で提供するようにOPC1717を制御し、それによって、レーザビーム1770Bを提供するステップと、
レーザビーム1770Bを非アクティブ化するために、所定の偏光方向(P1)を有するビーム成分を、シードレーザビームの全体強度の50%以下(好ましくは約0%)の強度(I1)で提供し、それによって、出力レーザビーム1770Bの提供を停止するステップと、
を含む方法に従って、出力レーザビーム1770Bの高速かつ効果的な調節を提供するように構成されている。
【0185】
本発明のすべての実施形態は、シードレーザ及びCBCシステム(及びその様々な構成要素)を、両方の調節状態(ビーム「オン」/ビーム「オフ」)中にアクティブに保つレーザ調節方法及び/またはシステムを提供し、それによって、背景技術の欄に記載されているようなシードビームの「シャットダウン」または「ブロッキング」によって発生する恐れのある損傷を防止することに留意されたい。
【0186】
本発明のいくつかの実施形態では、上述のレーザ調節手段及び/またはシステム1200、1300、1400、1500、1600A、1600B、1600C、1700A、1700Bは、それらの制御回路によって制御され、スイッチング素子の制限に依存して、10のGHz(例えば、10MHz、100MHz、1GHz、100GHz、100GHz、及びそれらの任意の組み合わせ)までの非常に高い周波数で、レーザ手段の準連続波(QCW)動作のために使用することができる。本発明のいくつかの実施形態では、上述のレーザ調節手段及び/またはシステム1200、1300、1400、1500、1600A、1600B、1600C、1700A、1700Bは、それらの制御回路によって制御され、0%~100%の範囲の様々なデューティサイクル値(例えば、1%、5%、10%、25%、50%、75%、95%、99%、及びそれらの任意の組み合わせ)で、レーザ手段の準連続波(QCW)動作のために使用することが可能である。
【0187】
本発明のいくつかの実施形態では、上記のシステム1200、1300、1400、1500、1600A、1600B、1600C、1700A、1700Bを使用する上記の方法の少なくともいくつかは、レーザビームのよりフレキシブルな動作のために、組み合わせて1つのレーザシステムにすることができる。
【0188】
ハイブリッドファイバ結合型ダイオードポンプレーザモジュール
【0189】
いくつかの実施形態では、本発明は、光信号増幅器を提供するように構成された方法及び装置、より具体的には、光ファイバに結合されるように構成されたハイブリッドファイバ結合型ダイオードポンプレーザモジュール(略して、ハイブリッド型ポンプモジュール)に関する。当業者であれば、「ハイブリッド」という用語が、いくつかの実施形態では、ポンプと信号との組み合わせを指すことを理解するであろう。
【0190】
当業者であれば、ファイバ増幅システムが、複数のマルチモードポンプ及び通常は1つのシングルモードシードデバイスからのエネルギーを吸収して結合し、それを増幅して高出力のシングルモードビームを出力するように構成されていることを理解するであろう。
【0191】
ファイバ増幅システムの一般的または典型的なモデル/設計を
図9に示す。ファイバ増幅システム2100は、シードレーザ装置2110、シードレーザ装置2110に光ファイバによって接続された増幅器2120(光ファイバによる接続は線で示し、融着点は×で示す)、アイソレータ2130、タップ素子2140、モニタ2141、及びモードフィールドアダプタ(MFA)2150を含み、これらはすべて、マルチモードコンバイナ(MMMC)2170の入力として使用される。マルチモードコンバイナ(MMMC)2170は、6つのポンプモジュール2160の光ファイバを、シードデバイスから延びる1本の光ファイバとともに、アクティブファイバ2180に結合するように構成されている。アクティブファイバ2180は、入力信号を受け取り、より高い光出力を有する出力信号を生成するように構成されている。図示のように、アクティブファイバ2180は、その一端がMMCに接続され(上述したように)、その他端がポンプダンプ2190に接続され、残留ポンプ出力及び散乱信号をクラッド内にダンプするように構成されている。システムの出力は、通常、エンドキャップ2191を有する出力ファイバによって行われる。図示のように、光ビームを伝送するための光ファイバの使用は、「×」で記号的に示された複数の融着点2192を必要とする。
【0192】
当業者であれば、上記の「融着点」は、融着接合としても知られていることを理解するであろう。当業者であれば、融着接合は、熱を用いて2つの光ファイバの端部同士を接合する行為であることを理解するだろう。その目的は、光ファイバを通過する光が融着接合によって散乱したり反射したりしないように、かつ、融着接合とその周囲の領域が元の光ファイバとほぼ同じ強度を有するように、2つの光ファイバを互いに融着させることである。融着接合された光ファイバを融着接合機から取り出す前に、光ファイバの融着接合が、取り扱い、包装、及び長期使用に耐えるのに十分な強度を有することを確認するために、プルーフテストが行われる。裸の光ファイバ領域は、再コーティングまたはスプライスプロテクターによって保護される。したがって、融着点の数を減らすことができ、それによって、エネルギー損失及び製造コストを低減することができるファイバ増幅システムが求められている。
【0193】
当業者であれば、「マルチモードコンバイナ(MMC)」という用語が、ポンプモジュールからの光がクラッドに入り、シードからの光がコアに入るように、複数のファイバを、ファイバ増幅器と互換性のある1本のファイバに結合する(
図9の例では、6本のポンプ接続ファイバを1本のシード接続ファイバに結合する)ように構成された光学素子を指すことを理解するであろう。MMCは、複雑な装置(例えば、熱を分散させるための特別な機能を必要とする)であるため、高価である。
【0194】
当業者であれば、「ファイバ増幅器」または「アクティブファイバ増幅器」という用語が、いくつかの実施形態では、複数のポンプモジュール及びシード関連モジュール(例えば、
図9では、6つのマルチモードビーム及び1つのシングルモードビーム)から出力を受け取り、エンハンスメントを有するシングルモードビーム(シングルモードシードに起因する)を出力するドープファイバを指すことを理解するであろう。全直径は約400マイクロメートルであり得、コアの直径が約20マイクロメートルであり得る。ポンプモジュールからの光はクラッドに入り、シードからの光はコアに入る。例えば、ファイバ増幅器は、Er3+、Nd3+、またはYb3+などのレーザ活性イオンがドープされたファイバコアを有する「活性」ファイバに基づいている。通常は、入力信号光に加えて何らかの「ポンプ光」を導入するためにファイバカプラが使用される。このポンプ光は、レーザ活性イオンに吸収されて励起電子状態に遷移し、これにより、刺激発光による他の波長の光の増幅を可能にする。
【0195】
当業者であれば、「ポンプダンプ」という用語が、本発明のいくつかの実施形態では、クラッド内の残留未吸収ポンプ出力または散乱信号を吸収または偏向するように設計された装置であるビームダンプを指すことを理解するであろう。
図9の例では、活性ファイバのクラッド内に残留した発光を吸収する。
【0196】
当業者であれば、「アイソレータ」という用語が、本発明のいくつかの実施形態では、一方向のみの光の伝送を可能にするように構成された光学素子を指すことを理解するであろう。
【0197】
当業者であれば、「ポンプモジュール」という用語が、本発明のいくつかの実施形態では、マルチモードビームを提供するダイオードを有するモジュールを指すことを理解するであろう。当業者であれば、「広領域レーザ(BAL)ダイオード」という用語が、楕円形の断面形状を有するマルチモードビームを提供するダイオードを指すことを理解するであろう。BAL(ブロードストライプダイオード、ブロードエミッタレーザダイオード、シングルエミッタレーザダイオード、高輝度ダイオードレーザとも呼ばれる)は、前面ファセットの発光領域がブロードストライプの形状を有する端面発光型レーザダイオードである。
【0198】
当業者であれば、「シングルモード」という用語が、本発明のいくつかの実施形態では、励起された1つの横モードのみを有する光ビームを指すことを理解するであろう。
【0199】
当業者であれば、「偏光子ビームコンバイナ」という用語が、本発明のいくつかの実施形態では、垂直な偏光を有する2つの信号を互いに結合するように構成された光学素子を指すことを理解するであろう。
【0200】
当業者であれば、「ボリュームブラッグ回折格子(VBG:volume Bragg grating)」という用語が、本発明のいくつかの実施形態では、入射ビームを、入射ビームの波長に対して所定の角度で反射するように構成されたガラスブロック内の回折格子を含む光学的手段を指すことを理解するであろう。ボリュームブラッグ回折格子の一般的な用途は、レーザの波長安定化であり、多くの場合、レーザダイオードの波長安定化に使用される。
【0201】
当業者であれば、「エンドキャップ」という用語が、本発明のいくつかの実施形態では、ビームの断面を拡大するように構成された光学的手段を指すことを理解するであろう。ファイバエンドキャップは、ファイバの端面に短い長さの材料を融着接合またはレーザ融着することによって作製される。ファイバエンドキャップは、空気/シリカ界面の出力密度を低減させ、構造化ファイバを環境的侵入から保護するべく、高出力ファイバレーザビームの拡張を可能にするために、コリメータの作製を含む多くの用途で必要とされている。
【0202】
当業者であれば、「位相調節器」という用語が、レーザビームの光位相を制御するために使用される光調節器を指すことを理解するであろう。よく使用されるタイプの位相調節器は、ポッケルスセルに基づく電気光学調節器二オブ酸リチウム(LiNbO3)電気光学調節器、液晶調節器などであるが、例えば、熱的に誘起される光ファイバの屈折率の変化または長さの変化を利用したり、あるいは、延伸によって光ファイバ長さの変化を誘起したりすることも可能である。調節された光を導波路により伝搬する集積光学の分野では、様々な種類の位相調節器が使用されている。
【0203】
当業者であれば、「ビームスプリッタ」という用語が、本発明のいくつかの実施形態では、入射光ビーム(例えば、レーザビーム)を、同じ光学出力を有していても有していなくてもよい2以上のビームに分割するように構成された光学装置を指すことを理解するであろう。
いくつかの実施形態では、ビームスプリッタは、誘電体ミラー、キューブ、光ファイバスプリッタ、平面光波回路(PLC)スプリッタ、回折格子、及びマルチモード干渉(MMI)のうちの少なくとも1つを含むことができる。
誘電体ミラーは、光ビームを分割するために使用することができる任意の部分的に反射するミラーであり得る。レーザ技術では、誘電体ミラーが、このような目的でよく使用されている。入射角は、ビームスプリッタの特性に影響を与える出力ビームの角度分離、例えば45度の角度(この値は便利であることが多いが、他の値であってもよい)を決定する。誘電体コーティングの様々な設計により、広範囲の出力分割比を達成することができる。
キューブは、その界面において、ビームを分割する。キューブは、多くの場合、2つの三角形のガラスプリズムを透明な樹脂やセメントで接着することにより作製される。その層の厚さを利用して、所定の波長の出力分割率を調節することができる。
光ファイバスプリッタは、光ファイバビームスプリッタとして使用される光ファイバカプラの一種である。このような装置は、光ファイバを融着接合することにより作製することができ、2以上の出力ポートを有していてもよい。バルクデバイスの場合と同様に、分割率は、入力の波長や偏光に強く依存してもよいし、依存しなくてもよい。
PLCは、光集積回路(IC)、または、光導波路を用いて作られた光回路基板のいずれかであり、光子をルーティングする。
回折格子は、光を互いに異なる方向に進む複数のビームに分割及び回折させる繰り返し構造を有する光学素子である。これらのビームの進行方向は、回折格子の間隔と、光の波長とに依存する。いくつかの実施形態では、回折格子は、ビームコンバイナとしても使用することができる。
マルチモード干渉(MMI)は、光を導くため、すなわち光を伝搬する空間領域を制限するための、空間的に不均一な構造を有する光導波路である。MMIは、例えば、集積型光干渉計において、光ビームの分割及び結合に用いることができる。
【0204】
当業者であれば、「ファイバカプラ」または「カプラ」という用語が、1本以上の入力ファイバ及び1本以上の出力ファイバを有する光ファイバ装置を指すことを理解するであろう。入力ファイバからの光は、1以上の出力に現れることができ、波長及び偏光に潜在的に依存する出力分布を有する。
【0205】
当業者であれば、「タップ」または「タップ要素」という用語が、本発明のいくつかの実施形態では、50:50、75:25、90:10、または99:1の結合出力比のために構成されたカプラを指すことを理解するであろう。ファイバのタッピングは、接続を切断することなく光ファイバから信号を抽出するネットワークタップ方式を用いることができる。光ファイバのタッピングは、ファイバのコア内で伝送されている信号の一部を、別のファイバまたは検出器に迂回させることを可能にする。
【0206】
当業者であれば、「光増幅器」という用語が、或る入力信号を伝送し、それよりも高い光出力を有する出力信号を生成する装置を指すことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、入力及び出力は、自由空間内またはファイバ内で伝搬されるレーザビームである。増幅は、いわゆる利得媒体内で行われ、外部ソースから「ポンピング」する必要がある(すなわち、エネルギーを供給する必要がある)。いくつの実施形態では、光増幅器は、光学的に、化学的に、または電気的にポンピングされる。
【0207】
当業者であれば、「ダイクロイックミラー」という用語が、2つの互いに異なる波長において、著しく異なる反射特性または透過特性を有するミラーを指すことを理解するであろう。
【0208】
当業者であれば、「シードレーザ」という用語が、本発明のいくつかの実施形態では、増幅器または別のレーザに注入されるレーザの出力を指すことを理解するであろう。シードレーザの代表的なタイプは、小型レーザダイオード(単周波またはゲインスイッチ)、ショートキャビティファイバレーザ、及び非平面リングオシレータ(NPRO)などの小型固体レーザである。
【0209】
次に、
図10A~
図10Dを参照する。
図10A~
図10Dは、光ファイバ2240に結合されるように構成されたハイブリッド型ポンプモジュールを模式的に示す。いくつかの実施形態では、光ファイバは、ドープされた(アクティブ)ファイバまたはパッシブファイバ(データフォーマット透過型)である。光ファイバは、コア2241と、少なくとも1つのクラッド2242とを含む。
図10A~
図10Dに示すように、
ポンプモジュール2200は、
光ファイバ2240の自由空間光路に配置された少なくとも1つの集束レンズ2230と、
光ファイバのクラッド2242の自由空間光路に配置された、光学レンズを介してマルチモードビームを出力するように各々構成された複数のダイオードモジュール2210と、
光ファイバのコア2241の自由空間光路に配置された少なくとも1つのコア関連モジュール2220と、を備え、
コア関連モジュール2220は、
(a)光学レンズを介して、光ファイバのコア2241に向けてシングルモードのビームを出力する機能、
(b)集束レンズを介して、光ファイバのコア2241からのビームを受け取り、受け取ったビームを出力光ファイバ2411(
図12)に結合する機能、
(c)集束レンズを介して、光ファイバのコア2241からビームを受け取り、受け取ったビームを再び集束レンズを介してコア2241に反射して戻す機能、及び、
(d)集束レンズを介して、光ファイバのコア2241からビームを受け取り、受け取ったビームの一部を再び集束レンズを介してコアに反射して戻し、受け取ったビームの別の部分を出力光ファイバ2610(
図14)に結合する機能、からなる群から選択される機能を提供するように構成されている。
【0210】
いくつかの実施形態では、「シングルモードビーム」という用語は、1~10モードの範囲の1つまたは数個のビームモードからなるビームを指す。
【0211】
いくつかの実施形態では、複数のダイオードモジュール2210は、光ファイバのクラッド2242の自由空間光路に配置される。いくつかの実施形態では、この光路は、光路用の光ファイバを含まない。いくつかの実施形態では、ダイオードモジュール2210の一部は、光ファイバのコア2241の自由空間光路にも配置される。
【0212】
いくつかの実施形態では、コア関連モジュール2220は、光ファイバのコア2241の自由空間光路にのみ配置される。これは、光ファイバ2240のクラッド2242に光が結合されないことを意味する。いくつかの実施形態では、この光路は、光路用の光ファイバを含まない。
【0213】
いくつかの実施形態では、ハイブリッド型ポンプモジュール2200は、ダイオードのビームの波長を狭い所定範囲の波長に狭めてロックするように構成されたボリュームブラッグ回折格子(VBG)2250をさらに備える。いくつかの実施形態では、一般的なVGBは、高吸収の狭い線幅のイットリウムホウ化物(Yb)イオンと完全に一致する976波長ロックモジュールである。いくつかの実施形態では、
図10Dに示すように、VGB2250は、集束レンズ2230と光ファイバ2240との間に配置される。
【0214】
いくつかの実施形態では、複数のダイオードモジュール2210及びコア関連モジュール2220は、それらの出力ビームが列毎に互いに平行になるように、少なくとも1つの列2281に配置される。
図10A、
図10B、及び
図10Cは、複数のダイオードモジュール2210(この例では、8個のダイオードモジュール)とコア関連モジュール2220とが一列に配置されているシステムの等角図、上面図及び正面図を示す。
図10Dは、複数のダイオードモジュール2210(この例では、17個のダイオードモジュール)とコア関連モジュール2220を有するシステムが、2つの列2281、2282に配置されていることを示す等角図である。
【0215】
いくつかの実施形態では、
図10Dに示すように、2列以上の2181、2182で配置される場合には、ポンプモジュールは、
第1のビーム列2281の光路に配置された少なくとも1つの偏光子ビームコンバイナ2260と、
追加のビーム列毎に設けられた1以上の折り畳みミラー2282Aであって、それに対応する列の平行ビームを偏光子ビームコンバイナ2260に向けて反射して方向転換させるように各々構成された、該折り畳みミラー2282Aと、をさらに備える。
【0216】
いくつかの実施形態では、
図10A及び
図10Bに示すように、
ダイオードモジュール2210の各々は、
マルチモードビームを出力するように構成された広域レーザ(BAL)2211と、
BAL2211に関連付けられた折り畳みミラー2212であって、それに関連するBAL2211と光ファイバのクラッド2242との間の光路を有するように構成された(集束レンズ2230を介して)、該折り畳みミラー2212と、
任意選択で、BAL2211とそれに関連する折り畳みミラー2212との間に配置され、BAL2211のビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズ2213、2214と、を含む。
【0217】
次に、
図11A~
図11Cを参照する。
図11A~
図11Cは、
図10A~
図10Dに示したハイブリッド型ポンプモジュール2200と同様の少なくともいくつかの特徴及び要素を含むハイブリッド型ポンプモジュール2300を模式的に示す。いくつかの実施形態では、コア関連モジュールは、光学レンズを介して、光ファイバのコアに向けてシングルモードビームを出力するように構成されたシード関連モジュール2301である。
このシード関連モジュール2301は、
光ファイバ2310を介して、シードレーザ装置2702(
図15)に結合されるように構成された少なくとも1つのシード入力2311と、
集束レンズ2230を介して、シード入力と光ファイバのコア2241との間の光路に設けられたシード入力に関連付けられた折り畳みミラー2312と、
任意選択で、シード入力とそれに関連する折り畳みミラー2312の間に配置され、シードビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズ2313と、を含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、
シード関連モジュール2301は、
図11Aに示すように、シード入力2311と光学レンズ2313または折り畳みミラー2312との間に配置され、シードビームをサンプリングしてモニタリングし、後方ビーム伝送(シード入力2311へ戻る伝送)を警告するように構成された、タップ(図示せず)または部分ミラー2305及びモニタ2306、
図11Bに示すように、シード入力2311と光学レンズ2313または折り畳みミラー2312との間に配置され、シードビームを増幅するように構成されたビーム増幅器2315、及び、
図11Cに示すように、シード入力2311と光学レンズ2313または折り畳みミラー2312との間に配置され、一方向のみの光の伝送を可能にするように構成されたアイソレータ2316、
のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0219】
次に、
図12を参照する。
図12は、
図10A~10Dに示したハイブリッド型ポンプモジュール2200と同様の少なくともいくつかの特徴及び要素を含むハイブリッド型ポンプモジュール2400を模式的に示す。いくつかの実施形態では、コア関連モジュールは、集束レンズを介して、光ファイバのコアからのビームを受け取り、受け取ったビームを出力光ファイバ2411に結合するように構成された出力モジュール2401である。
この出力モジュール2401は、
出力ファイバ2411であって、任意選択でエンドキャップ要素4209を含む、該出力ファイバ2411と、
光ファイバのコア2241と出力ファイバ2411との間の光路に設けられた、出力ファイバ2411に関連付けられた折り畳みミラー2412と、
任意選択で、出力ファイバ2411とそれに関連する折り畳みミラー2409との間に配置され、受け取ったコアビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズ2413と、
最適には、ポンプダンプ(図示せず)と、を含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、出力モジュール2400は、出力ファイバ2411と光学レンズ2413または折り畳みミラー2412との間に配置され、シードビームをサンプリングするように構成された、タップ(図示せず)または部分ミラー2405と、ビーム後方伝送(折り畳みミラー2412へ戻る伝送)をモニタリングして警告するように構成されたモニタ2406とをさらに含む。
【0221】
次に、
図13を参照する。
図13は、
図10A~10Dに示したハイブリッド型ポンプモジュール2200と同様の少なくともいくつかの特徴及び要素を含むハイブリッド型ポンプモジュール2500を模式的に示す。いくつかの実施形態では、コア関連モジュールは、集束レンズを介して、光ファイバのコア2241からビームを受け取り、受け取ったビームを再び集束レンズを介してコア2241に反射して戻すように構成された高反射(HR)モジュール2501である。
この高反射(HR)モジュール2501は、
高反射(HR)ミラー2511と、
光ファイバのコア2241とHRミラーとの間の光路に設けられた、HRミラー2511に関連付けられた折り畳みミラー2512と、
任意選択で、HRミラー2511とそれに関連する折り畳みミラー2512との間に配置され、それに関連するビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズ2513と、を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、(HR)モジュール2501は、受け取ったビームを、ファイバ共振器の形態で前後に反射するように構成されている。
【0223】
いくつかの実施形態では、HRモジュール2501は、HRミラー2511とそれに関連する折り畳みミラー2512との間に配置され、反射ビームの振幅、位相、偏光、またはそれらの任意の組み合わせを調節するように構成されたキャビティ内調節器2510をさらに含む。いくつかの実施形態では、キャビティ内調節器は、音響光学調節器、または電気光学調節器を含む。いくつかの実施形態では、キャビティ内調節器は、パルスレーザの挙動を可能にする。
【0224】
次に、
図14を参照する。
図14は、
図10A~10Dに示したハイブリッド型ポンプモジュール2200と同様の少なくともいくつかの特徴及び要素を含むハイブリッド型ポンプモジュール2600を模式的に示す。いくつかの実施形態では、コア関連モジュールは、部分反射(PR)モジュール2601である。
この部分反射(PR)モジュール2601は、
出力ファイバ2610であって、任意選択でエンドキャップ2609を含む、該出力ファイバ2610と、
出力ファイバ2610の光路に配置された部分反射(PR)ミラー2611と、
光ファイバのコア241とPRミラー2611との間の光路に設けられた、PRミラー2611に関連付けられた折り畳みミラー2612と、
任意選択で、PRミラー2611とそれに関連する折り畳みミラー2612との間に配置され、それに関連するビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズ2613と、を含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、ハイブリッド型ポンプモジュール2200、2300、2400、2500、2600のアセンブリは、ビーム経路を測定し、上述したように構成要素の位置及び/または配向を調節することにより、光学機械的に整列されるように構成されている。いくつかの実施形態では、この調節は、ジグ真空キャッチャーによって提供される。いくつかの実施形態では、調節される構成要素は、コアモジュールのうちの任意の1つ、ダイオードモジュールのうちの任意の1つ、シードデバイスのうちの任意の1つ、BALのうちの任意の1つ、折り畳みミラーのうちの任意の1つ、レンズのうちの任意の1つ、ビーム増幅器のうちの任意の1つ、タップまたはパーシャルミラー及びモニタのうちの任意の1つ、アイソレータのうちの任意の1つ、HRミラーのうちの任意の1つ、PRミラーのうちの任意の1つ、シード入力のうちの任意の1つ、集束レンズ、及びVGBから選択される少なくとも1つである。
【0226】
いくつかの実施形態では、ビームの断面を形成するように構成されたレンズ2213、2214、2313、2413、2513、2613のうちの少なくとも一部は、高速アクセスコリメータ(FAC)2213及び低速アクセスコリメータ(SAC)2214から選択される。
【0227】
いくつかの実施形態では、折り畳みミラー2212、2312、2412、2512、2612の少なくとも一部は、(例えば、
図11の2399で示されるように)さらなるモニタリング目的のために、反射ビームの一部をタップ(通過)させるように構成されている。
【0228】
図15は、ファイバ増幅システム2700を模式的に示す。本発明のいくつかの実施形態では、
このファイバ増幅システム2700は、
コアと少なくとも1つのクラッドとを含むアクティブ光ファイバ2740と、
上述の実施形態では、光ファイバの第1の端部2744に結合されたシード関連モジュール2301を含むハイブリッド型ポンプモジュール2300と、を備える。
【0229】
図15に示すように、ファイバ増幅システム2700は、シードレーザ装置2702からシードレーザビームを受け取り、それを高出力シングルモードレーザビームに増幅するように構成されている。
【0230】
いくつかの実施形態では、ファイバ増幅システム2700は、光ファイバの第2の端部2745に結合された、出力モジュール2401を含むハイブリッド型ポンプモジュール2400をさらに備える。
当業者であれば、ハイブリッド型ポンプモジュール2400が、アクティブ光ファイバ2745におけるビーム増幅を増加させるように構成されたカウンタポンプモジュールとして動作することを理解するであろう。
【0231】
いくつかの実施形態では、ファイバ増幅システム2700は、ポンプダンプ2703と、アクティブ光ファイバ2740の第2の端部2745に結合された、エンドキャップ要素2704を有する出力ファイバ2411と、から選択される少なくとも1つをさらに含む。
【0232】
当業者であれば、上述したような様々な実施形態によれば、ファイバ増幅システム2700は、ダイオードモジュールの数に依存しないことを可能にしながら、必要とされる融着接合の数を大幅に削減できることを理解するであろう。例えば、
図9に示す従来技術のシステム2100は、6つのダイオードを含み、少なくとも9つの融着接合を必要とする。本発明のシステム2700は、少なくとも8つの(それ以上であってもよい)のダイオードモジュールを含むが、それにもかかわらず、2つの融着接合しか必要としない。
【0233】
次に、
図16A及び
図16Bを参照する。
図16A及び
図16Bは、本発明のいくつかの実施形態による、ファイバレーザシステム2800を模式的に示す。
このファイバレーザシステム2800は、
コアと少なくとも1つのクラッドとを含む光ファイバ2840と、
光ファイバの第1の端部2844に結合された、高反射(HR)モジュール2501を含むハイブリッド型ポンプモジュール2500と、
光ファイバの第2の端部2845に結合された、ファイバブラッグ回折格子(FBG:fiber Bragg grating)2804(
図16Bに示す)、または、部分反射(PR)モジュール2601(
図16Aに示す)を含むハイブリッド型ポンプモジュール2600と、を備える。
【0234】
当業者であれば、ハイブリッド型ポンプモジュール2600が、アクティブ光ファイバ2840におけるビーム増幅を増加させるように構成されたカウンタポンプモジュールとして動作することを理解するであろう。
【0235】
いくつかの実施形態では、ファイバレーザシステム2800は、ポンプダンプ2803と、エンドキャップ要素2804を含む出力ファイバとのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0236】
一次ビーム内で共線的に生成された弱い高周波シードビームを用いた周波数変換の強化
【0237】
本発明のいくつかの実施形態は、非線形結晶(NLC)における高平均出力レーザビームの周波数変換に関する。いくつかの実施形態では、1064nmの波長を有する光の周波数逓倍の例では、「高平均出力」という用語は、連続レーザからの300Wよりも大きい出力を指し、低吸収LBOでは、「高緑色光出力」は100Wよりも大きい。
【0238】
いくつかの実施形態では、本発明は、非線形結晶(NLC)の単一または複数の出力周波数逓倍器(PFD)チェーンの最初で発生し得る、基本周波数入力ビームと周波数変換された出力ビームとの間の有害な不整合位相(MP)を補正するための手段を提供する。
【0239】
本出願は、いくつかの実施形態では、「非線形結晶」、略して「NLC」、または「結晶」を開示する、これらの用語は、互換的に使用されることに留意されたい。本出願は、いくつかの実施形態では、「出力周波数逓倍器」、略して「PFD」、または「逓倍器」を開示する。これらの用語は、互換的に使用されることに留意されたい。本出願は、いくつかの実施形態では、「非線形結晶の出力周波数逓倍器」、略して「PFD-NLC」、または「NLC逓倍器」、または「結晶逓倍器」を開示する。これらの用語は、互換的に使用されることに留意されたい。本出願は、いくつかの実施形態では、「第2調波」、すなわち略して「調波」を開示する。これらの用語は、互換的に使用されることに留意されたい。
【0240】
いくつかの実施形態では、効率的な周波数変換のために、2つの要因、すなわち、結晶の相互作用領域の温度、及び、基本波ビームとNLCの出力調波ビームとの間の相対位相が制御される。
【0241】
従来技術では、第1のNLC逓倍器に関連して、調波変換領域における最適に近い結晶パラメータのみがオーブンによって維持されていたが、このオーブンは、第1のNLC逓倍器の入口(第1の調波光子が発生した場所)からその第1のNLC逓倍器の主要調波変換領域へビームが伝播されるときに蓄積される位相不整合は制御しなかった。この結果、高出力の周波数変換が不良となった。その理由は、均一温度オーブン(UTO)は、変更可能なパラメータが1つだけ(オーブン温度)であり、オーブンの入力面付近のビームの不整合位相(MP)がその位置の局所温度によって決定されるためである。いくつかの実施形態では、本発明は、ビームが調波変換領域に伝搬されるまでに最適化されるように、第1のNLC逓倍器の前面に、ビーム間で必要とされる任意の位相差を課す手段を提供する。
【0242】
文献で報告されたアプローチは、中間的な位相不整合補償器(PMC)を有する2つのPFD-NLCの使用である。PMCは、色分散及び/または偏光依存性屈折率を示す光学素子である。この分散は、材料の固有の特性であり得るか、または、外部場、例えば、ポッケルスセルなどの電気光学材料に印加される電場によって課され得る。
【0243】
このインライン、結晶-PMC-結晶のアプローチの利点は、分散素子が、2つの波長の共伝搬ビーム間に制御可能な位相差を発生させるように作用するだけであり、別々に生成されたビームに対する干渉(サブ波長)光路長制御を達成する必要がないことである。これにより、感度及び安定性の要件が、大幅に減少する。
【0244】
位相不整合補正の従来技術についての重要点は、下記の(i)~(v)である。
(i)各NLCは、最大周波数変換を達成するように構成されている。すなわち、各NLCは、PFDとして機能する。使用される結晶のタイプ毎に、最も低い吸収等級が求められる。
(ii)PMCは、第1の結晶を出た後にのみ、第1の結晶の熱誘起不一致位相(TMP)を補正する。
(iii)PMCは、温度及び/または角度の調節と共に、第2の二結晶逓倍器のTMPを補正することができる。
(iv)今日まで、第1のPFD結晶の温度調節または角度調節のためのもの以外に、均一温度オーブン(UTO)に配置された第1の結晶内のTMPを補償するための手段、または、主要調波変換領域(集束レンズを使用する場合は焦点領域)での最適な調波変換のための条件を維持するための手段は存在しなかった。
(v)より複雑な勾配温度オーブン(GTO)は、単一のオーブン内でのMPの発生を排除することができる。しかし、GTOでは、直線的な勾配が必要な場合は、オーブンの入出力温度を制御する必要があり、また、光吸収に起因する温度上昇が結晶の長さに沿って変化する場合は(結晶の中央にビームが集束される場合と同様に)、オーブンの軸に沿った複数の点の温度を制御する必要がある。
【0245】
いくつかの実施形態では、本明細書に提示された本発明は、(iv)に記載された制限を克服するための手段、第1のPFD-NLCにおけるMPを補償するための手段、すなわち、第1の(及び後続の)PFDにおける逓倍効率を改善するための手段に関する。
【0246】
本発明のいくつかの実施形態では、
図17Aに示すように、上記の改善は、第1のPFD-NLC3200の前に、高出力基本波ビーム3101の光路上に配置された「シーダ」NLC3100において低出力の第2調波シードビームを生成することによって提供される。基本波ビーム3101と、シーダNLC3100からの調波ビーム3202との位相差は、PMC3501の追加によって制御される。いくつかの実施形態では、
図17Bに示すように、シーダNLC3100は、温度制御されたオーブン3701内に配置される。いくつかの実施形態では、シーダ結晶3100の後に配置されたPMC3502が、フィードバック制御システム3602と共に設けられる。フィードバック制御システム3602は、第1のPFD-NLC3200の後に調波光3202をサンプリングして、調波光3202を最大化するように、PMCを制御するように構成されている。
【0247】
シーダ結晶3100は、基本波ビーム3101との関係で位相が制御可能な低出力調波ビーム3102を生成するだけでよいことを強調しておく。したがって、シーダ結晶3100内の小さなスポットに基本波ビームを集束させる必要はなく、また、シーダ結晶が第1のNLC逓倍器3200に使用される長さ(Ls)と略同一の長さ(Ls)を有する必要もない。
【0248】
高出力での光吸収は、調波変換に影響を与える横方向及び軸方向の温度変化を発生させる。したがって、伝搬軸に沿ったすべての位置(前面から任意の焦点を通って、後面まで)において、温度は、レーザ出力の増加に伴って上昇する。このため、レーザ出力が増加するにしたがって、オーブンの温度を下げる必要がある。
【0249】
いくつかの実施形態では、均一温度オーブン(UTO)を使用するすべての場合において、光軸に沿った温度は、吸収の変化(緑色光の吸収は、IR光の吸収よりも高い)に起因して変化するため、及び、レーザ強度を増加させるために集束レンズが用いられる場合には、冷却は、レーザビーム半径に依存して変化するため、結晶の後半部分に向うにしたがってより高度になる。従来技術のシナリオでは、第1のPFD-NLCにおける基本波ビームと調波ビームとの間の初期位相整合の独立制御は存在しない。唯一の観測可能なパラメータは出力調波出力であり、これは、結晶の長さの全体に沿って起こることの影響を受ける。従来技術のシナリオは、オーブンの温度を変化させることによって生成される調波光の量を最大化することである。集束ビームの位相整合の場合、主な関心事は、焦点領域において正しい温度を維持することである。焦点領域における調波変換を最適化するために温度を変化させるということは、結晶の始点では最適な温度ではないことを意味する。その結果生じるMPは、調波変換を劣化させる。本発明によれば、以下のような改善が提供される。
【0250】
いくつかの実施形態では、焦点領域での位相整合を得るためにオーブン温度を再調節することができるが、UTO内では、第1のPFD-NLCの前面から中間部分に蓄積されたMPを補正することができない。
【0251】
いくつかの実施形態では、第1のPFD-NLC3200の前に、高出力基本波ビーム3101よりも弱い第2調波シードビーム3102を追加することにより、焦点領域での位相整合の制御とは独立して、第1のPFD-NLCの前に、入力位相差を調節することが可能になる。
【0252】
本発明の実施形態によれば、「短い」非線形結晶(シーダ結晶)3100が、第1の長いPFDのNLC3200の前に設けられる。シーダ結晶3100は、制御可能な位相である、強い基本波ビームよりも弱い第2調波ビームを生成するように構成されている。
【0253】
いくつかの実施形態では、PMC3501が、シーダNLC3100の後に、IR-緑色のMPを調節するために設けられる。IR-緑色のMPは、シーダNLCのMPに、第1のPFD-NLCの前半部分の第1のPFDのMPを加えたものがゼロに等しくなるように調節される。
ΣMP=MPシーダ+MP1/2PFD=0
【0254】
PFD結晶の前半部分に蓄積されたMPは、後半部分に蓄積されたMPよりも重要であることに留意されたい。これは、焦点に至るまでのMPが焦点領域の逓倍に強く影響するためである。焦点領域の後に蓄積したMPは、その強度がすでに低下しているので、その結晶の逓倍を強く劣化させることはない。加えて、このMPの後半部分は、次のPMCによって修正することができる。
【0255】
NLCの吸収によって熱が発生した場合、温度は、位相整合、特に非臨界相整合(NCPM)に必要な温度から外れることに留意されたい。
悪影響としては、
温度、角度、スペクトル帯域幅が減少すること(これは、逓倍の大部分が起こる焦点領域において最も重要である)、及び、
ビームが結晶中を伝搬するにつれて位相の不整合が生じること(弱い逓倍領域でさえも。この位相不整合は、後での逓倍効率を低下させ、逆変換を引き起こす可能性がある。MPの蓄積は、入射面と、焦点領域の端部との間で、最も重要である)、
が挙げられる。
【0256】
いくつかの実施形態では、熱的影響の一部を緩和するために、均一なオーブン温度の再調節技術が提供される。
【0257】
いくつかの実施形態では、オーブン温度の調節は、焦点領域でのT=T位相整合を達成するか、またはNLCの焦点領域に至るまでにΣMP=0を達成するかのいずれか1つの効果のみを補正することができる。
【0258】
いくつかの実施形態では、シーダNLC及びPMCを追加することにより、入力位相を、結晶の位相不整合に対す共役として設定することができる。
Δφシーダ=(-)MPPFD
すなわち、PFD-NLCの焦点領域の温度から独立している。
【0259】
いくつかの実施形態では、PMCを必要としない場合がある。シーダ結晶自体が、出力結晶逓倍器における最適な逓倍に必要な位相不整合を発生させることができる。この不整合の原因は、IRビームの通過中の、制御されたレベルのシーダ結晶の加熱、または、操作者により課されたオーブン温度の変化によって引き起こされる意図的なシフトによって提供され得る。しかしながら、オーブンの温度を変化させることは、PMCを回転させることや、電気光学PMC装置に電圧を印加することよりも、反応を大幅に遅くすることを思い出されたい。
【0260】
いくつかの実施形態では、PMCは、たとえ、どのような位相差(基本波ビームと調波ビームとの間の)がシーダ結晶で生じても、要求された位相差または所定の位相差を生成することができる。いくつかの実施形態では、PMCは、オーブン温度を変化させる場合よりもはるかに速く調節することができる。いくつかの実施形態では、PMCは、位相差が調節されるように、シーダ結晶の出力を一定に固定したままにすることを可能にする。
【0261】
いくつかの実施形態では、PFD-NLC内で発生する任意の位相不整合は、シーダNLCの使用によって緩和することができ、レーザ波長及び/またはオーブン温度の変化に起因して発生したMPを緩和するための共役不整合を伴う。
【0262】
いくつかの実施形態では、上述の技術は、一定のポーリング周期を有する任意の周期的にポーリングされた結晶に適用することができる。
【0263】
次に、
図17A~
図17Cを参照する。
図17A~
図17Cは、本発明の様々な実施形態による、弱い第2調波シードビーム3102を生成し、それの高出力入力ビーム(基本波ビーム)3101に対する位相を制御するように構成された装置3000のためのいくつかのセットアップ3100を示す。いくつかの実施形態では、第2調波シードビーム3102の生成及び位相オフセットの調節の後、ビームは、出力周波数逓倍(PFD)結晶3200に伝搬される。図示の例では、1つの長波長ビームが、周波数逓倍される。アクロマート光学素子3402(アクロマートレンズまたは多波長ミラー)は、第1のPFD結晶3200の同一の点に両ビーム3102、3103を集束させるために使用することができ、それによって、強度を増加させ、したがって周波数変換を強化することができる。
【0264】
いくつかの実施形態では、位相整合が発生した場合に、周波数逓倍が効率的である。
【0265】
いくつかの実施形態では、入力波3102、3103は、第1の高周波光子の開始から、PFD結晶3200を通って、全く同じ速度で伝搬され、周波数変換領域の端部から出る。いくつかの実施形態では、2つの波長間の位相整合は、結晶軸に対するビームの偏光方向を制御することによって、特定の結晶において行うことができる。高周波数のビームは、その優先的な位相整合軸に沿って自動的に偏光される。
【0266】
いくつかの実施形態では、位相整合は、屈折率の関数であり、これは、結晶軸に対する伝播、偏光、及び結晶温度の関数である。いくつかの実施形態では、特定の入力波長に対して特定の温度に維持される特定の結晶は、伝搬角度及び/または帯域幅に対して特に鈍感である。このような場合の周波数変換は、非臨界位相整合(NCPM)と呼ばれる。このように、例えば、149.1℃に維持されたLBOを用いて1064nmのビームの周波数を逓倍すると、ビームを、比較的長い結晶に集束させることができる。いくつかの実施形態では、焦点距離及び相互作用の長さは、その後に、最適化される。しかしながら、NCPMは、温度に敏感であり、おそらくは、光の吸収にも敏感である。緑色光の吸収率は、赤外光の吸収率の約4倍である。
【0267】
本発明のいくつかの実施形態では、
図17A~
図17Cに示すように、光放射の周波数逓倍のために構成された新規な装置3000が提供される。
この装置3000は、
第1のNLC100と、少なくとも1つの第2のNLC3200と、任意選択の後続のNLC3300とを含む少なくとも2つの連続した非線形結晶(NLC)3100、3200、330を備え、
第1のNLC100は、基本周波数(FF)の基本波ビーム3101を受け取り、第2調波周波数(FH)の弱い第2調波ビーム3102を、基本周波数(FF)の強い残留ビーム3103と共に出射するように構成され、弱い第2調波ビーム3102と基本波ビーム3101との出力比は5×10
-3:1よりも小さく、
少なくとも1つの第2のNLC3200及び任意選択の後続のNLC3300は、その前のNLC3100、3200からの、基本周波数(FF)の残留ビーム3103、3203と、第2調波周波数(FH)の第2調波ビーム3102、3202とを受け取り、任意選択で、それらの位相差を最適な周波数逓倍のために調節した後、第2調波周波数(FH)の強い周波数逓倍ビーム3202、3302を、基本周波数(FF)の残留ビーム3203、3303と共に出射するように構成され、強い周波数逓倍ビーム3202、3302と基本波ビーム3101との出力比は0.3対1よりも大きい。
【0268】
いくつかの実施形態では、装置3000は、第2のNLC3200及び/または後続の任意選択のNLC3300によって受け取られる前に、基本周波数(FF)の残留ビーム3103、3203と、第2調波周波数(FH)の第2調波ビーム3102、3202との位相関係を補正するように構成された少なくとも1つの位相不整合補償器(PMC)3502、3503をさらに備える。いくつかの実施形態では、PMCは、その積分値を、傾斜または印加電圧によって制御することができる色分散素子を含む。
【0269】
図17A及び
図17Bは、1つのNLC逓倍器3200のみを有する装置3000を示し、
図17Cは、2つのNLC逓倍器3200、3300(第1のNLC逓倍器3200及び第2のNLC逓倍器3300)を有する装置を示す。
図17A及び
図17Bは、第1のNLC逓倍器3200の前にPMC3502が配置された装置3000を示す。
図17Cは、2つのPMC3502、3503を含み、一方のPMC3502が第1のNLC逓倍器3200の前に配置され、他方のPMC3502が第2のNLC逓倍器3300の前に配置された装置を示す。
【0270】
いくつかの実施形態では、装置3000は、強い周波数逓倍ビーム3202、3302をサンプリングし、それに応じて、PMC3502、3503を調節して、広範囲の動作条件にわたって強い周波数逓倍ビーム3202、3302の出力を最大化することを可能にするように構成された少なくとも1つのフィードバック及び制御システム3602、3603をさらに備える。
【0271】
図17Bは、第2のNLC3200(これは、第1のNLC逓倍器である)から出射された強い周波数逓倍ビーム3202をサンプリングし、それに応じて、第1のNLC逓倍器3200の前に配置されたPMC3502を調節するように構成された、フィードバック及び制御システム3602を示す。
図17Cは、第3のNLC3300(これは、第2のNLC逓倍器である)から出射された強い周波数逓倍ビーム3302をサンプリングし、それに応じて、第2のNLC逓倍器3300の前に配置されたPMC3503を調節するように構成されたフィードバック及び制御システム3603を示す。フィードバック及び制御システム3602及びシステム3603の両方は、連続して配置することができる。
【0272】
いくつかの実施形態では、フィードバック制御システム3602、3603は、
少なくとも1つの測定要素(図示せず)(例えば、光検出器)と、
少なくとも1つの測定要素から受け取ったデータを分析し、それに応じて、PMC調節のための制御命令を提供するように構成された少なくとも1つの処理要素(図示せず)と、
制御命令に従ってPMC3502、3503を調節する(例えば、電動回転装置によって及び/またはPMCへの印加電圧によって、PMCを傾ける)ように構成された、少なくとも1つの調節要素(図示せず)と、を含む。
【0273】
いくつかの実施形態では、装置3000は、NLC3100、3200(シーダNLC3100及び/またはNLC逓倍器3200)の温度を調節するように各々構成された少なくとも1つのオーブン3701、3702(
図17Bに示す)をさらに備える。
【0274】
いくつかの実施形態では、第1のNLC3100(シーダNLC)の長さ(LS)は、第2のNLC3100(NLC逓倍器)の長さ(LD)よりも大幅に小さい。いくつかの実施形態では、LSは、LDの10%以下である(LS≦0.1LD)。
【0275】
いくつかの実施形態では、第2のNLC3200及び任意の後続のNLC3300は、(連続波レーザを変換するための)LBO材料を含み、その長さ(LD)は40mmよりも大きい。
【0276】
いくつかの実施形態では、基本周波数(FF)は、赤外(IR)光(λF=1064nm)の特性を有し、そのため、第2調波周波数(FH)は、可視光(λH=532nm)の特性を有する。
【0277】
いくつかの実施形態では、NLCの各々は、その結晶軸に沿った基本波ビーム偏光を有するか(タイプ1)、または、その結晶軸に対して45度の角度をなす基本波ビーム偏光を有するように構成されている(タイプ2)。
【0278】
いくつかの実施形態では、NLCの各々は、BBBO、KTP、LBO、CLBO、DKDP、ADP、KDP、LiIO3、KNbO3、LiNbO3、AgGaS2、及びAgGaSe2からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0279】
いくつかの実施形態では、NLCの各々の側面積3210の寸法は、それが受け取る入力ビームの寸法よりも大きい。
【0280】
いくつかの実施形態では、装置300は、入力光線を正確にコリメートするように構成された少なくとも1つのコリメートレンズ3401をさらに備える。いくつかの実施形態では、装置300は、周波数逓倍ビームと残留ビームとの両方を後続の要素、例えばNLCまたはPMCに、任意選択でその中央に(
図17Aの3215)、集束させるように構成された少なくとも1つの集束要素3402、3403をさらに備える。
【0281】
本発明のいくつかの実施形態では、光放射の周波数を逓倍するための新規な方法が提供される。
この方法は、
基本周波数(FF)の基本波ビームと、第2調波周波数(FH)の弱い第2調波ビームを有する非線形結晶(NLC)とを提供する提供ステップと、
NLCによって、第2調波周波数(FH)の強い周波数逓倍ビームを、基本周波数(FF)の残留ビームと共に出射する出射ステップと、を含み、
弱い第2調波ビームと基本波ビームとの出力比は、5×10-3対1よりも小さく、
強い周波数逓倍ビームと基本波ビームとの間の出力比は、0.3:1よりも大きい。
【0282】
いくつかの実施形態では、上記の提供ステップは、位相不整合補償器(PMC)によって、基本波ビームと弱い第2調波ビームとの位相不整合を補償するステップをさらに含み、上記の方法は、強い周波数逓倍ビームの出力を最大化すること可能にするようにPMCを制御するステップをさらに含む。
【0283】
次に、
図18(A)及び
図18(B)を参照する。
図18(A)は、低出力変換のために温度調節されているが、高出力で動作した場合に加熱を受ける単結晶の光軸に沿った温度変化を模式的に示す。
図18(B)は、結晶内の任意の位置Zに至るまでの累積位相を示す。所与の温度は(T0=149.1°C)であり、T0(Z)は軸上温度である。図示のように、この結晶は、焦点領域で最も高温になる。これは、熱が通過する発熱ゾーン(ビーム)の周辺の領域が焦点位置で最も低く、熱輸送ゾーン(非照射結晶)を出る前に熱が通過するのに要する距離が焦点位置において最も長くなるからである。温度分布は焦点領域に関して非対称である。なぜなら、ビームが伝搬するにつれてより多くの緑色光が発生し、結晶の後半部分においてより多くの光が吸収されるからである。この場合、結晶内のすべてのポイントが非常に高温になるので、MPは単調に増加する。
【0284】
上述したように、
図18(A)は、1064nmのビームの低出力周波数逓倍のためにセットされたオーブン内に配置された単一のLBO結晶における光軸に沿った温度変化を模式的に示す。いくつかの実施形態では、最適逓倍は149.1℃で起こる。T0は、レーザビームによる加熱を原因として、最適な温度よりも高い。ビームは結晶の中央に集束されるため、そして、緑色の吸収は赤外吸収の約4倍であるため、温度プロファイルは不均一である。この加熱のため、最適な逓倍は起こらない。
【0285】
図18(B)は、基本波ビームと逓倍ビームとの間の全位相差を模式的に示す。逓倍の大部分が焦点領域で発生するにもかかわらず、位相不整合は結晶の前面で始まって蓄積していくことに留意されたい。このようなMPの蓄積は、焦点領域での周波数変換に大きな影響を与える。
【0286】
次に、
図19(A)~(C)を参照する。
図19(A)~(C)は、PFD結晶の温度を再調節した後、周波数変換の大部分が行われる焦点領域におけるMPの最小化及び最適温度を達成することを目的として、共役シード位相差を追加することを示す。いくつかの実施形態では、
図18(A)及び
図18(B)に示された条件は、開始条件と見なされる。
【0287】
図19(A)は、いくつかの実施形態による、シーダ結晶によって提供される温度の再調節及び位相オフセットに基づいた解決策を示す。第1のステップでは、
図19(B)に示すように、従来のアプローチと同様に、PFDの温度を再調節する。フィードバックパラメータは、第1のPFD後の最大調波出力である。いくつかの実施形態では、シーダ結晶によって生成された第2調波シードビームの位相は最適ではない。シーダ結晶との最適な位相差を得るために、
図19(C)に示すように、PMCを変化させる。この2段階のプロセスは、これ以上の改善が達成されなくなるまで繰り返される。シミュレーションの結果、初期の位相差に関係なく、ほぼ常に、最適な位相差が得られ、この最適な位相差が完全なPMで得られた変換効率に非常に近いことが分かった。
【0288】
いくつかの実施形態では、上述したような装置3000は、様々なシステムに組み込むことができる。
その非限定的な例としては、
切断、溶接、表面処理、または追加的加工を目的とする、赤外線吸収性の低いワークピースへの照射などの産業用用途のシステム、
フェムト秒パルスを高繰り返し率及び高平均出力で生成することを目的とする、あるいは、さらなる和周波数混合/追加的な周波数逓倍によるより高い周波数、または光パラメトリック発振器の追加による第2調波以下の調節可能な周波数の生成を目的とする、Ti:サファイアのポンピングなどの科学的用途のシステム、及び、
侵襲的な処置を迅速に行う必要がある医療用用途のシステムが、挙げられる。
【0289】
シミュレーションテスト
【0290】
図20A、
図20B、
図20Cを参照して、500Wの入力ビームを用いて実施した一連のシミュレーションの結果を示す。厚さ50mmのシーダ結晶を使用して、PFD-NLCのMP補正に必要な共役位相差とは著しく異なる位相差を有する第2調波シードビームを生成した。必要とされるシーダビーム出力の観点から、はるかに薄い結晶を使用してもよいことに留意されたい。
【0291】
シミュレーションに組み込まれたモデルは、下記の(a)~(g)である。
(a)波長あたりの吸収は軸方向に依存する。
(b)ビームは水晶の中央に集束される。
(c)ビーム内(加熱ゾーン)及び未照射ゾーン(熱輸送ゾーン)で計算された横方向の温度。
(d)熱光学係数とセグメント伝搬長さに基づいて計算された位相。
(e)SNLOを使用してセグメント毎に逓倍する。
(f)結晶は7つのセグメントに分割される。各ビーム径は一定である。
(g)出力を定性分析に用いる。
【0292】
図20A~
図20Cは、最適温度(破線の青線)からオフセットした軸方向温度の3つの場合を示す。入力レーザ出力は500Wであり、50mmのシーダ結晶を使用した。
試験結果は以下の通りである。
・黒色の線と黒丸は、オーブンを低出力から再調節しない場合の温度変化を示す。
・オレンジ色の線と四角は、最大逓倍出力を得るために温度調節を行った後の温度オフセットを示す。
・緑色の線と三角は、PMCの再調節の温度と、最終的な(小さな)再調節後の温度を示す。
最適化目標は、焦点領域の中央でT0(Z)=149.1℃に設定した。入力面に沿った熱輸送は、内部の熱輸送と等しいと仮定した。入力面を横切る熱輸送はゼロと仮定した。他の境界条件を試験した。
【0293】
図20Bは、シーダNLCを用いた場合の、基本波(入力)と逓倍ビームとの位相差を示す図である。PFD-NLCの中央で最適な逓倍が得られるように、PMCの位相を調節した。このストラテジーにより、常に最適な逓倍が得られた。
【0294】
図20Cは、ビームがPFDを伝搬するときの緑色のビーム出力を示す。温度及びPMCの再調節の前の変換の悪さが顕著であることに留意されたい。また、温度調節の後にPMCを追加することにより、出力が1.3倍に増加し、位相不整合を生じることなく計算された出力に達することに留意されたい。
【0295】
表1は、50mmシーダ結晶を使用した場合と使用しなかった場合における、500Wの入力ビームを逓倍した場合のシミュレーション結果の概要を示す。
【0296】
【0297】
表2は、10mmシーダ結晶を使用した場合と使用しなかった場合における、500Wの入力ビームを逓倍した場合の試験結果の概要を示す。
【0298】
【0299】
上記のシミュレーションテストから分かる重要な点は、下記の通りである。
・温度とPMCの位相不整合を補正するためには、2つの独立したパラメータが必要である。温度により誘起された位相不整合を解析したが、温度+PMC補正技術は、MPの他の原因にも適用可能である。
・解析した集束形状及び均一温度オーブンの使用において、PFDの長い断面にわたって許容可能な位相整合が達成された。
・補正により、性能を大幅に向上させることができる。MPを発生させることなく、PFDの性能レベルまで向上させることができる。
【0300】
(シーダ結晶+PMC)の使用は、複数のPFDに完全に適合する。この場合、追加するPFD毎に、その前に、それに対応するPMCが設けられる。第2のPFD結晶を用いてシミュレーションを続けると、約350W(変換効率70%)が達成されることが示唆される。
【0301】
1つの実験試験の目的は、上記のいくつかの実施形態のように、制御された基本調波位相差を有する弱いシードビームの入射が、シーダ結晶を使用しない構成よりも「出力逓倍器」からより良好な周波数逓倍を生成し得ることを実証することであった。
この試験は、下記の(a)~(c)を特徴とする。
(a)弱いシードビームを発生させるための第1のオーブン温度を低くすること。異なる非共鳴温度についてのシードビームプロファイルを
図21に示す。温度が、所望の出力を提供する第2のピークに対応する場合に、最良のプロファイルが得られる。この場合、190mWが選択された。
(b)Pw≒220W+P2w≒30Wの最適な第2のオーブン温度を決定する。
(c)追加の加熱をシミュレートするために第2のオーブン温度を上げる。これを2回行う。1回目はPMCを一定の角度で保持した状態で行い、2回目は、最大逓倍を得るためにPMCを回転させた状態で行う。入力出力増幅と位相効果とを区別するために、2つのシーダ出力を試験した。
【0302】
図22A及び
図22Bは、シーダビームを使用した場合と使用しなかった場合における実験結果とその比較を示す。
図22Aは0.643Wのシーダ、
図22Bは0.188Wのシーダであり、オレンジ色(上側)が「シーダビームを使用した場合」、青色(下側)が「シーダビームを使用しなかった場合」である。
図22A及び
図22Bは、
(1)0.643Wシーダの最適温度では、「シーダビームを使用した場合」と「シーダビームを使用した場合」の結果に差異がある。これは、出力増幅と位相効果を示す。
(2)0.188Wシーダの最適温度では、「シーダビームを使用した場合」と「シーダビームを使用した場合」の結果に差異がない。高温になると、位相不整合効果のみを示す。その差(横と/または縦)は、改善を示す。
【0303】
図23は、下記のようにして計算した、シーダビームを使用した場合の付加価値を示す。
(P
2W-シーダあり-P
2W-シーダなし)/(P
2W-シーダあり) vs 第2のオーブン温度
最大値がウイングに現れ、ピーク時の倍には戻らないので控えめに見える。
【0304】
いくつかの実施形態では、市販品の場合、SD=±1.5%のオーダーの変動を有する一定の出力のビームが生成される。逓倍器の温度帯域幅が広いほど、この安定性を維持することが容易になる。
【0305】
表3は、98.5%レベルでの温度調節曲線の幅を示す。したがって、「シーダビームを使用しなかった場合(シーダなし)」の帯域幅は、オーブン制御回路の能力よりも狭い。「シーダビームを使用した場合(シーダあり)」の帯域幅は実行可能である。
【0306】
【0307】
図24は、緑色の出力ビーム対PMC回転を提示することにより、シーダビームが位相効果を提供することを示す。
(1)位相制御のみで逆変換(出力低下)を引き起こすことができる。
(2)オーブン温度を一定に固定するためのPMCを回転させることによって、出力を調節することができる。
(3)0.19Wのシーダのみが、7Wの出力低下を引き起こした。したがって、位相制御が確認された。
【0308】
したがって、上述したいくつかの実施形態によれば、上述したシーダシミュレーション試験は、単一のビームからの緑色光出力>200Wの出力を、シードビームを使用して提供することができるという結論が導かれる。
【0309】
2つの結晶間の能動的に制御された位相不整合補償器を使用した調波変換システムの性能強化
【0310】
いくつかの実施形態では、本発明は、周波数変換システムの性能を拡張するために、フィードバックまたはルックアップテーブルを用いたPMCに対する動的制御の追加を提供する。いくつかの実施形態では、これにより、結晶を収容するオーブン内の温度変動の存在下での安定性の向上、レーザの平均出力の変化、及び、調波ビームを調節する能力のうちの少なくとも1つを実現することができる。
【0311】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPMCは、ガラス窓からなる。いくつかの実施形態では、PMCは、一般的に、外部から制御可能なパラメータの関数である色分散を示す任意の光学素子に適用可能である。
【0312】
図25A、
図25B、及び
図25Cは、光放射4101の入力の周波数を逓倍して、第2調波周波数4302を有する出力ビーム4400を提供するように構成された装置4000を示す。
この装置400は、
少なくとも2つの連続した非線形結晶(NLC)4200、4300であって、NLCの各々が、基本周波数(FF)の第1のビーム4201、4203、及び、任意選択で、その前のNLCからの第2調波周波数(FH)の第2のビーム4202を受け取り、第2調波周波数(FH)で強い周波数逓倍倍数ビーム4202、4302を、基本周波数(FF)の残留ビーム4203、4303と共に出射するように構成された、該少なくとも2つの連続した非線形結晶(NLC)4200、4300と、
2つのNLCの間に配置された少なくとも1つの位相不整合補償器(PMC)4503であって、基本周波数(FF)の残留ビーム4203と、第2調波周波数(FH)の第2調波ビーム4202との間の位相関係を、後続のNLCによって受け取られる前に補正するように構成された、該少なくとも1つの位相不整合補償器(PMC)4503と、
PMC毎に設けられた電動回転装置4650であって、PMCを能動的に回転させることができるように構成され、それによって、残留ビームと第2調波ビームとの位相関係の補正を能動的に調節する、該電動回転装置4650と、を備える。
【0313】
いくつかの実施形態では、
この装置4000は、
強い周波数逓倍ビームをリアルタイムでサンプリングし、それに応じて、強い周波数逓倍ビームの最大出力を継続的に可能にするために、電動回転装置によって、連続的または段階的な態様でPMCを傾斜させるように構成された少なくとも1つのフィードバック及び制御システムをさらに備える。
【0314】
いくつかの実施形態では、フィードバック及び制御システムは、少なくとも1つのビームスプリッタ4610と、少なくとも1つの測定要素(例えば、フォトダイオード4620)と、少なくとも1つの処理要素4630と、電動回転装置4650を制御するように構成された少なくとも1つの制御要素4640とを含む。
【0315】
いくつかの実施形態では、PMCは、色分散を示す光学的に透明な窓を含み、ビームが窓を通過するのに要する距離が窓の回転角度に対して変化するように構成されている。いくつかの実施形態では、PMCは、色分散を示す板(例えば、両側が研磨された透明な板)を含み、ビームが板を通過するのに要する距離が板の回転角度に対して相対的に変化するように構成されている。
【0316】
いくつかの実施形態では、電動回転装置4650は、連続したリアルタイム態様で、PMCを段階的及び/または連続動作で回転させるように構成されている。
【0317】
いくつかの実施形態では、電動回転装置は、上限値と下限値とによって範囲が規定されるディザ形態でPMCを回転させるようにさらに構成されている。
【0318】
いくつかの実施形態では、フィードバック及び制御システムは、下記のうちの少なくとも1つを提供するようにディザ形態を使用するように構成されている。
後続のNLCでの逆変換を最小化し、それによって、出力ビームの出力を最大化すること、
後続のNLCで逆変換を最大化し、それによって、出力ビームの出力を最小化すること、
出力ビームの出力を、最大値と最小値との間の所定の値に調節すること(任意選択で、入力レーザ出力の変更及びオーブン温度の変更から選択される、静的または動的な動作条件中に)。
【0319】
いくつかの実施形態では、電動回転装置は、出力ビームをON/OFFするために、PMCを、最大調波変換状態と最小調波変換状態との間で、トグルモードで回転させるように構成されている。
【0320】
いくつかの実施形態では、電動回転装置は、制御された上昇時間と下降時間、及び制御可能な持続時間を有するフラットトップパルスを提供するように、PMCを回転させるように構成されている。
【0321】
いくつかの実施形態では、電動回転装置は、ルックアップテーブルに従ってPMCを回転させることによって、整形された調波パルスを提供するように構成されている。
【0322】
いくつかの実施形態では、装置4000は、出力ビーム4400から残留ビーム4303の少なくとも一部を分離するように構成された少なくとも1つのダイクロイックビームスプリッタ4801をさらに備える。
【0323】
いくつかの実施形態では、出射された強い周波数逓倍ビームと、出射された基本波ビームとの出力比は、0.3:1よりも大きい。
【0324】
いくつかの実施形態では、装置4000は、NLCの温度を調節するように各々構成された少なくとも1つのオーブンをさらに備える。
【0325】
いくつかの実施形態では、PMCを能動的に制御することにより、NLCを収容するオーブンの温度の変動に起因する出力変動を最小限に抑えるように構成される。
【0326】
いくつかの実施形態では、NLCの少なくとも1つはLBOを含み、その長さ(LD)は、有意な調波光を達成するのに十分である。いくつかの実施形態では、NLCの少なくとも1つはLBOを含み、その長さ(LD)は40mmよりも大きい。
【0327】
いくつかの実施形態では、基本周波数(FF)は、赤外(IR)光(λF=1064ナノメートルnm)の特性を有し、そのため、第2調波周波数(FH)は、可視光(λH=532nm)の特性を有する。
【0328】
いくつかの実施形態では、NLCの各々は、その結晶軸に沿った基本波ビーム偏光を有するか、または、その結晶軸に対して45度の角度をなす基本波ビーム偏光を有するように構成されている。
【0329】
いくつかの実施形態では、NLCの各々は、BBBO、KTP、LBO、CLBO、DKDP、ADP、KDP、LiIO3、KNbO3、LiNbO3、AgGaS2、AgGaSe2からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0330】
いくつかの実施形態では、NLCの各々の側面積の寸法は、それが受け取る入力ビームの寸法よりも大きい。
【0331】
いくつかの実施形態では、装置4000は、基本波ビーム及び調波ビームをNLCに集束するように構成された、少なくとも1つのアクロマート集束要素4231、4232、4232をさらに備える。
【0332】
本発明のいくつかの実施形態では、装置4000は、その通過ビーム光線を正確にほぼ平行にするように構成された少なくとも1つのコリメートレンズ4406をさらに備える。いくつかの実施形態では、装置4000は、周波数逓倍ビームと残留ビームとの両方を、後続の要素、例えば追加のNLCに集束するように構成された、アクロマートレンズまたはミラーなどの少なくとも1つの集束要素4404、4405をさらに備える。
【0333】
いくつかの実施形態では、PMCは、薄い(約1mmの)反射防止コーティングされた溶融シリカ窓からなる。いくつかの実施形態では、その材料の固有の色分散を用いて、その材料を通過する基本波ビームと調波ビームとの間に、制御可能な量の位相差を加える。
【0334】
以下の実施例は、いくつかの実施形態によれば、強化された性能が、PMCの能動的な制御によって達成されることを示す。いくつかの実施形態では、PMCは、電動回転(または傾斜)ベース4650に取り付けられる。いくつかの実施形態では、
図26(A)及び
図26(B)に示すように、基本調波位相差は、PMCの回転角度αに応じて増加する。回転(または傾斜)角度α(ビームに対して垂直に配置されたPMC、α=0、からの角度)が増加すると、PMCを介した光路が増加する。
図26(B):P1>P0、P0は、α=0の場合の光路であり、P1は、α>0の場合の光路である。
【0335】
いくつかの実施形態では、最適な出力ビーム(例えば、ユーザが指定した出力のビーム)4400を提供する最適な回転角度は、ルックアップテーブル(以前のデータベースに基づく、予め定められたテーブル)に基づいて、または、
図25A及び
図25Bに示したフィードバックシステム4603を使用して、予め定められた位置に回転させた結果として選択される。
図25Cは、フィードバックシステムを使用しない装置を示している。いくつかの実施形態では、
図25A及び
図25Bに示すように、フィードバックは、出力測定検出器(例えば、フォトダイオード、
図25Bの4620)を使用して出力ビーム4400をサンプリングすることによって達成される。いくつかの実施形態では、両方の実施形態(ルックアップテーブル及びフィードバックシステム)において、コンピュータ(またはマイクロプロセッサ)4630を使用して、ドライバエレクトロニクス4640を用いて電動回転装置4650に制御信号を伝送する。
【0336】
いくつかの実施形態では、例えば
図27に示すように、フィードバックアルゴリズムを使用して、PMCの回転角度を連続的に調節して、最大逓倍効率を見つけてそれを維持することによって、一定の結晶温度を維持するために使用されるオーブンの温度安定性制限によって引き起こされる緑色光出力変動を低減させる(例えば、2の倍数で)。いくつかの実施形態では、フィードバック制御を使用してPMCの角度を補正することにより、光吸収量の差異に起因して結晶温度の変化を引き起こすレーザ入力出力の変化を克服することができる。
【0337】
いくつかの実施形態では、周波数逓倍の反対は逆変換である。第1の結晶で生成された周波数逓倍光は、位相差を調節することによって、第2の結晶で基本周波数に逆変換することができる。このような逆変換位相差の導入には、PMCが有効である。したがって、PMCを回転させることによって、周波数の逓倍を最大にするか、または最小にするためことができる。この結果、PMCの角度を低緑色光出力(LG)と高緑色光出力(HG)との間で切り替えて、ビーム出力を「オフ」または「オン」との間でトグル(切り替える)ことによって、調波パルスを発生させることができる。
【0338】
いくつかの実施形態では、
図27に示すように、上述した装置4000から周波数逓倍出力ビームをアクティブ化(「オン」)及び/または非アクティブ化(「オフ」)にするための方法5000が提供される。
この方法5000は、
リアルタイムでサンプリングし、出力ビームを測定するサンプリングステップ4710と、
出力ビームが最大値(「オン」出力の場合)または最小値(「オフ」出力の場合)に達したか否かを継続的にまたは頻繁に判定する判定ステップ4720と、
判定ステップ4720での判定が「NO」である場合に、PMCを回転させ、その後、サンプリングステップ4710に戻って当該方法を繰り返すステップ4740と、
判定ステップ4720での判定が「YES」である場合に、現在のPMCの回転角度αMAX(またはαMIN)を維持し、その後、サンプリングステップ4710に戻って、動的入力ビーム及び/または動的オーブン温度のいずれについても、当該方法を繰り返すステップと、を含む。
【0339】
いくつかの実施形態では、「オン」状態/「オフ」状態は、最適な最大値/最小値を達成することができるように、十分に長い。いくつかの実施形態では、より速い「立ち上がり」時間または「立ち下がり」時間(「オン」/「オフ」)のために、PMCを回転させるステップは、2つの所定の状態の間でPMCをトグルして、調波出力ビームを高速で調節するステップを含む。
【0340】
装置4000と方法5000を試験し、出力ビーム4400アクティブ化(「オン」)の立ち上がり時間(30ミリ秒)が、使用される特定のデータ通信ハードウェアによってのみ制限されることが実証された。いくつかの実施形態では、立ち上がり時間は、回転システムの慣性と、トルクと、2つの位置(「オン」/「オフ」)の間でトグルする電動回転装置の精度とによってのみ制限される。このようにして、位相トグルモードにおける立ち上がり時間を1ms未満にすることができる。
【0341】
いくつかの実施形態では、
図25Bは、2つの非線形結晶(NLC)4200、4300を含む上記の装置4000を、以下の実証試験に使用された構成で模式的に示す。実証された調波変換セットアップは、オーブン内に配置され、能動的に制御される位相不整合補償器(PMC)プレートによって互いに分離された2つの非線形結晶を使用する。PMC4503は、ルックアップテーブル、または、調波出力ビームをサンプリングするフォトダイオードによって提供されるフィードバックを使用してポジションがコンピュータ制御される電動回転装置に取り付けられる。このセットアップでは、ビームは、結晶あたりの変換効率が最大になるように、各結晶に集束される。いくつかの実施形態では、この試験セットアップで使用されるように、NLCは、タイプ1の非臨界相整合のために配向された三ホウ酸リチウム(LBO)を含む。図示のように、NLCは、約149.1±0.15℃の温度を維持する抵抗性オーブン内に収容される。最適温度は、基本波長及び調波波長での光吸収に起因する、入力出力の関数として変化する。結晶吸収の程度は、重要な因子である。最適温度の典型的な変化は、10Wから250Wの間の基本波ビーム出力のいくつかの程度である。
【0342】
いくつかの実施形態では、温度スケールの変化に対する感度は、結晶の長さに反比例する。試験した装置では、個々の結晶の長さは少なくとも40ミリメートル(mm)であり、装置あたり2つの出力結晶逓倍器が設けられる。要件は、通常、±1%の調波出力安定性である。これは、この例では同一の温度変化を受けている2つの結晶パス(1つの結晶を2回通過させることによって試験される)によって、約±0.04℃のオーブン温度安定性の要件に変換される。このような温度安定性は、ほとんどのオーブンと制御回路の性能を超えている。オーブンの制御回路は、温度が所定のレベル以下に下がると、加熱抵抗器に電気パルスを印加することによって動作する。これは結晶温度を上昇させるが、必ずオーバーシュートを引き起こす。
【0343】
図28A及び
図28Bは、本発明のいくつかの実施形態による、オーブンの制御回路のアンダーシュート/オーバーシュートに起因する、時間内の結晶温度、及び逓倍出力の変動を模式的に示す。
図28Aは、周波数逓倍の最適温度を超えないオーブン温度の変化を示し、
図28Bは、周波数逓倍の最適温度を超えるオーブン温度を示す。一般的なシステムでは、加熱及び冷却の特性時間は約1分である。
図28Aに示すように、調波光出力の変動は、温度が最適温度点を超えない場合、オーブンの温度変動の周波数を模倣する。
図28Bに示すように、オーブン温度が最適温度点を超えると、調波出力変動の周波数は、温度変動周波数の2倍まで増加する(温度変動が最適温度点の付近で対称的である場合)。この結果は、調波出力は、最適温度点を超えるたびに(上昇の途中または下降の途中で)ピークに達するが、正負の両方のΔTに対して出力が低下するという事実によって引き起こされる。
【0344】
いくつかの実施形態では、温度変化は、基本光と調波光との間の位相不整合をもたらすので、位相不整合補償器(PMC)プレートを使用して共役位相を追加することにより、オーブンで生じた位相不整合を無効にすることができる。いくつかの実施形態では、オーブンの温度は連続的に変化するので、PMCの回転も連続的に変化させる。この理由から、PMCは、電動回転ステージ上に配置される。いくつかの実施形態では、PMCの回転角度は、ディザ制御によって変化させる。いくつかの実施形態では、ディザ制御は、量子化誤差をランダム化するために使用され、大規模なパターンを防止する、意図的に適用された形態のノイズである。
【0345】
図29は、本発明のいくつかの実施形態による、オーブンのアンダーシュート/オーバーシュートを克服するように構成された、PMCを回転させるためのディザ制御による出力安定化を示す。図示のように、アクティブなPMC応答は、時間の垂直線で示されている。各応答期間の終了時に、回転方向及び速度を評価する。結晶が加熱または冷却を開始するまで、及び、PMCが再方向転換するまでの時間遅延に起因して、エラーが発生し、出力が低下する。図示のように、高周波、小振幅、回転ディザ制御が、PMCに適用される。いくつかの実施形態では、ディザ周波数の上限は、物理的慣性に、フィードバック信号の積分及びとシステムの応答時間を加えることによって決定される。いくつかの実施形態では、ディザ周波数の下限値は、用途の要件によって、または、ディザによって引き起こされる出力変動の高さ/深さによって決定される。いくつかの実施形態では、最適なPMC誘導相は、一定ではなく、オーブンの温度変動の周期と等しい周期を有する鋸歯状である。この遅い変化に加えて、ディザ位相の変化が存在する。ディザ制御がオーブンの変動に適切に追従する場合、調波出力は、ディザ周波数の2倍で変動する。PMC位相にエラーがある場合(例えば、オーブンの電源を入れた後に水晶の発熱が開始された直後や、フィードバック信号の処理とPMCへの制御信号の伝送との間にラグが存在する場合)、出力は低下し、高周波数変動はディザ周波数まで低下する。
【0346】
いくつかの実施形態では、フィードバックを伴うディザ制御は、
図30に示すように、動作条件の変更後に、PMCの角度を最適化するために用いられる。また、いくつかの実施形態によれば、フィードバックを伴うディザ制御は、
図31(A)に示すように、静的PMCにより、約±3.7%の典型的な値からの変動を低減しながら、調波出力を最大値に維持するために使用される。また、いくつかの実施形態によれば、
図31(B)に示すように、PMCを能動的なフィードバック制御により操作する場合には、連続的なディザ制御を用いて、PMCを約±1.6%まで低減させる(右上の部分は、1440.5~1442.7秒の時間帯の拡大図を示す)。これらの測定のために、フィードバックフォトダイオードをモニタリングした。注:
図30は、フィードバック制御されるPMCを回転させて出力を最大レベル(P2ω=80W)にしたときの出力の緑色光出力を示す。出力上昇時の鋸歯状は、PMCのディザ制御の結果である。データは、フィードバックフォトダイオードを使用して取得した。
図31(A)及び
図31(B)は、連続的なフィードバック制御によるPMC安定化を行わなかった場合(
図31(A))と、連続的なフィードバック制御によるPMC安定化を行った場合(
図31(B))との出力変動の比較を示す。
図31(A)及び
図31(B)は、60分の実行時間のうちの10分間のウィンドウを示す。これらの測定のために、フィードバックフォトダイオードをモニタリングした。
【0347】
いくつかの実施形態では、周波数領域の出力計データを見ることによって、追加的な洞察を得ることができる。このことを、高速フーリエ変換(FFT)を使用した1時間の実行を解析した
図32に示す。下側のグラフは、安定化アルゴリズムを使用した場合を示し、上側のグラフは、安定化アルゴリズムを使用しなかった場合を示す。安定化アルゴリズムを使用せずに実行した場合、調波変換は最適な位相整合で開始されたが、時間の経過とともにドリフトした。このように、オーブンの特性温度応答周波数と、その2倍の周波数とにおいて、2つのオフセットピークが観測された。また、0Hzでの定出力スパイクをちょうど超えたところで、上昇した低周波出力が存在することにも留意されたい。注:0Hzでは、1に等しい値の点がある。これは、信号の定出力成分である。いくつかの実施形態では、完全に安定したビームは、この1つの点のみを含む。これは、出力ドリフトの別の指標である。継続的なディザ安定化を行った場合、結果は大きく異なる。オーブンによって発生する出力変動は約5倍低減し、低周波ドリフトも大幅に低減した。ディザ安定化アルゴリズムにより、プロットの範囲を超える高周波数成分が生成された。これらの周波数は、使用していたOphir50(150)の出力メーターの周波数特性を超えた。
【0348】
いくつかの実施形態では、高レベルの逆変換は、2つのNLC装置4000において調波変換を最大化するために使用される技術と同じ技術を用いて達成され、維持される。いくつかの実施形態では、変更される唯一のパラメータは、赤外(IR)-緑色の位相差である。この効果のシミュレーションを
図33に示す。
図33は、様々な入力出力についての、PMCプレートを回転させた場合の調波出力に対する影響のスミス非線形光学(SNLO)シミュレーションを示す。10倍以上の典型的な低緑色光出力対高緑色光出力の比率は、高出力(LG/HG<0.10)で実験的に達成された。いくつかの実施形態では、この結果を用いて、高出力連続波(CW)緑色ビームを調節(「オン」/「オフ」)することができる。基本波ビームをオン/オフするだけで、立ち上がり時間はわずかしか長くならないので、このことは重要である。注:その理由は、高出力逓倍のために、IR+緑の吸収を考慮してオーブン温度が低下するためである。レーザを最初にオンにしたときは、温度が低すぎるので逓倍効率が低い。赤外光が吸収されると、結晶の温度が上昇し、緑色がより多く発生する。緑色光を吸収すると結晶の温度がさらに上昇し、最適な高出力値に近づく。いくつかの実施形態では、完全な逓倍効率は、基本光の吸収とその後の緑色光の吸収によって結晶の熱平衡がもたらされるまで達成することができない。
【0349】
図34A及び
図34Bは、
図34Aに示す入力レーザビームを迅速に「オン」にすることによって、あるいは、
図34Bに示すようにPMCの位置をトグルすることによって、いくつかの実施形態に従って達成された(最小出力から最大出力までの)上昇時間の比較を示す。IR入力出力は246Wであり、最大緑色出力は75Wであった。サーモパイル出力メータ(τ
rise=2秒)を使用して
図34Aに示す測定を行い、フィードバックフォトダイオードを使用して
図34Bに示すトレース(τ
rise=30ms)を得た。この試験セットアップでは、PMCアクティブ化システムの立ち上がり時間は、フォトダイオードとコンピュータとの通信時間、及び、コンピュータとPMC回転ステージとの通信時間によって制限される。破線は、高速ターンオン時のファイバレーザの立ち上がり時間を示す。点線は、緑色出力の立ち上がりが、はるかに遅いことを示す。この遅い応答は、熱平衡に達するのに必要な時間に起因し、まず、IR吸収に起因し、次いで、より多くの緑色出力の生成に応じた緑色吸収に起因する。PMCトグルを使用した場合の応答が非常に速いのは、第1の結晶が熱平衡状態にあり、その一方で、第2の結晶が赤外吸収により部分的に加熱されるという事実の結果である。慣性を最小化し、電動回転装置と制御回路を適切に選択することによって、サブミリ秒の立ち上がり時間を達成することができる。
【0350】
より複雑なパルス整形は、この技術の単純な拡張であることを指摘しておく。いくつかの実施形態では、時間依存性のPMC相対角度が得られ、プログラムされ、次いで、実行されることができる限り、任意の形状のパルスを生成することができる。
【0351】
いくつかの実施形態では、上述したような装置4000は、様々なシステムに組み込むことができる。
その非限定的な例としては、
切断、溶接、表面処理、または追加的加工を目的とする、赤外線吸収性の低いワークピースへの照射などの産業用用途のシステム、
フェムト秒パルスを高繰り返し率及び高平均出力で生成することを目的とする、あるいは、さらなる和周波数混合/追加的な周波数逓倍によるより高い周波数、または光パラメトリック発振器の追加による第2調波以下の調節可能な周波数の生成を目的とする、Ti:サファイアのポンピングなどの科学的用途のシステム、及び、
侵襲的な処置を迅速に行う必要がある医療用用途のシステムが、挙げられる。
【0352】
本発明の特定の特徴を図示し、本明細書に記載したが、様々な改変、置換、変更、及び均等物は、当業者であれば想到し得るであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の要旨の範囲内に含まれるそのような修正及び変更をすべてカバーすることを意図していることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと少なくとも1つのクラッドとを有する光ファイバに結合するように構成されたハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記光ファイバによる光路に配置された少なくとも1つの集束レンズと、
前記クラッドによる光路に配置された、マルチモードビームを出力するように各々構成された複数のダイオードモジュールと、
前記コアによる光路に配置された少なくとも1つのコア関連モジュールであって、
(a)前記コアに向けてシングルモードビームを出力する機能、
(b)前記コアからビームを受け取り、受け取ったビームを出力光ファイバに結合する機能、
(c)前記コアからビームを受け取り、受け取ったビームを前記コアに反射して戻す機能、及び、
(d)前記コアからビームを受け取り、受け取ったビームの一部を前記コアに反射して戻し、受け取ったビームの別の部分を出力光ファイバに結合する機能、からなる群から選択される機能を提供するように構成された、該コア関連モジュールと、を備える、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
ビームの波長を所定の波長範囲に狭めてロックするように構成されたボリュームブラッグ回折格子(VBG)をさらに備える、ことを特徴とするモジュール。
【請求項3】
請求項1に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記複数のダイオードモジュール及び前記コア関連モジュールは、それらの出力ビームが列毎に互いに平行になるように、少なくとも1つの列に配置される、ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項4】
請求項3に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記複数のダイオードモジュール及び前記コア関連モジュールは、2列以上で配置されており、
当該ハイブリッド型ポンプモジュールは、
第1のビーム列の光路に配置された少なくとも1つの偏光子ビームコンバイナと、
追加のビーム列毎に設けられた1以上の折り畳みミラーであって、それに対応する列の平行ビームを、前記偏光子ビームコンバイナに向けて反射して方向転換させるように各々構成された、該折り畳みミラーと、をさらに備える、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項5】
請求項1に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記ダイオードモジュールの各々は、
広域レーザ(BAL)と、
前記広域レーザ(BAL)に関連付けられた折り畳みミラーであって、それに関連する前記広域レーザ(BAL)と前記クラッドとの間の光路を有するように構成された、該折り畳みミラーと、
任意選択で、前記広域レーザ(BAL)とそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、前記広域レーザ(BAL)のビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、をさらに含む、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項6】
請求項1に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記コア関連モジュールは、シード関連モジュールを含み、
前記シード関連モジュールは、
シードレーザ装置に結合するように構成された少なくとも1つのシード入力と、
前記シード入力と前記コアとの間の光路に設けられた、前記シード入力に関連付けられた折り畳みミラーと、
任意選択で、前記シード入力とそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、シードビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、を含む、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項7】
請求項6に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記シード関連モジュールは、
前記シードビームを増幅するように構成されたビーム増幅器と、
前記シードビームをサンプリングするように構成されたタップまたは部分ミラー、及びビーム後方伝送をモニタリングして警告するように構成されたモニタと、
一方向のみの光の伝送を可能にするように構成されたアイソレータとのうちの少なくとも1つをさらに含む、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項8】
請求項1に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記コア関連モジュールは、出力モジュールを含み、
前記出力モジュールは、
出力ファイバであって、任意選択でエンドキャップ要素を含む、該出力ファイバと、
前記コアと前記出力ファイバとの間の光路に設けられた、前記出力ファイバに関連する折り畳みミラーと、
任意選択で、前記出力ファイバとそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、受け取ったコアビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、
最適には、ポンプダンプと、を含む、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項9】
請求項1に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記コア関連モジュールは、高反射(HR)モジュールを含み、
前記高反射(HR)モジュールは、
高反射(HR)ミラーと、
前記コアと高反射(HR)ミラーとの間の光路に設けられた、前記高反射(HR)ミラーに関連付けられた折り畳みミラーと、
任意選択で、前記高反射(HR)ミラーとそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、それに関連するビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、を含む、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項10】
請求項9に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記高反射(HR)モジュールは、
前記高反射(HR)ミラーとそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、反射ビームを調節するように構成されたキャビティ内調節器をさらに含む、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項11】
請求項1に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
前記コア関連モジュールは、部分反射(PR)モジュールを含み、
前記部分反射(PR)モジュールは、
出力ファイバであって、任意選択でエンドキャップを含む、該出力ファイバと、
前記出力ファイバによる光路に配置された部分反射(PR)ミラーと、
前記コアと前記部分反射(PR)ミラーとの間の光路に設けられた、前記部分反射(PR)ミラーに関連付けられた折り畳みミラーと、
任意選択で、前記部分反射(PR)ミラーとそれに関連する前記折り畳みミラーとの間に配置され、それに関連するビームの形状を調節するように構成された少なくとも1つのレンズと、を含む、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項12】
請求項1に記載のハイブリッド型ポンプモジュールであって、
ベース面、リブ、ネジ、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの熱分配要素をさらに備える、
ことを特徴とするハイブリッド型ポンプモジュール。
【請求項13】
ファイバ増幅システムであって、
コアと少なくとも1つのクラッドとを含むドープ光ファイバと、
前記光ファイバの第1の端部に結合された請求項6に記載のハイブリッド型ポンプモジュールと、を備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、
ポンプダンプ及びエンドキャップエレメントの少なくとも一方をさらに備える、ことを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムであって、
前記光ファイバの第2の端部に結合された、請求項8に記載のハイブリッド型ポンプモジュールをさらに備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項16】
ファイバレーザシステムであって、
コアと少なくとも1つのクラッドとを含む光ファイバと、
前記光ファイバの第1の端部に結合された、請求項9に記載のハイブリッド型ポンプモジュールと、
前記光ファイバの第2の端部に結合された、ファイバブラッグ回折格子(FBG)と、を備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、
ポンプダンプ及びエンドキャップ要素のうちの少なくとも一方をさらに備える、ことを特徴とするシステム。