(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180840
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 7/62 20060101AFI20231214BHJP
A47C 7/40 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A47C7/62 Z
A47C7/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094467
(22)【出願日】2022-06-10
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000116596
【氏名又は名称】愛知株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 工
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084JA04
3B084JC04
(57)【要約】
【課題】視認性がよい位置に表示板を備える椅子を提供する。
【解決手段】椅子は、背板と、後方部と、表示部と、を備える。背板は、当該椅子の使用者の背中を支持可能に構成される。後方部は、背板の上方端部の後方に設けられる。表示部は、上方から視認可能な表示面を有する。また、表示部は、後方部に設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子であって、
当該椅子の使用者の背中を支持可能に構成された背板と、
前記背板の上方端部の後方に設けられる後方部と、
上方から視認可能な表示面を有する表示部と、
を備え、
前記表示部は、前記後方部に設けられる、椅子。
【請求項2】
請求項1に記載の椅子であって、
前記表示部は、前記後方部の後端に設けられる、椅子。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の椅子であって、
前記背板の上端において左右方向に延び、かつ、左右方向の中央部が後方に突出する突出部を更に備え、
前記後方部は、前記突出部である、椅子。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の椅子であって、
前記後方部は、前記背板の上方端部から後方に延びる部分である、椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1には、個別の番号が表示されている表示面を有する表示板が設置された椅子が開示されている。表示板は、背もたれの上端部に設けられた開口溝と略同一形状であり、当該開口溝に嵌め込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1の椅子では、使用者が椅子に着席し、背もたれに凭れたときに、使用者の衣服が表示板に被さり、表示板が隠れてしまうという問題があった。
本開示の一局面は、視認性がよい位置に表示板を備える椅子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、椅子であって、背板と、後方部と、表示部と、を備える。背板は、当該椅子の使用者の背中を支持可能に構成される。後方部は、背板の上方端部の後方に設けられる。表示部は、上方から視認可能な表示面を有する。また、表示部は、後方部に設けられる。このような構成によれば、背板よりも後方に表示部が設けられる。よって、着席者の衣服などで表示部が隠れにくい位置、すなわち視認性がよい位置に表示部を備えることができる。
【0006】
本開示の一態様では、表示部は、後方部の後端に設けられてもよい。このような構成によれば、着席者から離れた位置に表示部が設けられる。よって、より視認性がよい位置に表示部を備えることができる。
【0007】
本開示の一態様は、背板の上端において左右方向に延び、かつ、左右方向の中央部が後方に突出する突出部を更に備えてもよい。上述した後方部は、突出部であってもよい。このような構成によれば、後方に突出する突出部を手掛けとして用いることができる。また、手掛けに表示部を設けることから、表示部を配置するための構造を別途に設ける必要がない。
【0008】
本開示の一態様では、後方部は、背板の上方端部から後方に延びる部分であってもよい。このような構成によれば、後方に延びる部分を手掛けとして用いることができる。また、手掛けに表示部を設けることから、表示部を配置するための構造を別途に設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図7】
図7Aは、
図5のVIIA-VIIA断面図である。
図7Bは、上方パイプ付近の断面図の拡大図である。
【
図8】背板の背面図であって、表示部以外を透過させた図である。
【
図10】変形例の椅子の背面側から見た斜視図である。
【
図11】変形例の椅子の正面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
[1-1.椅子]
図1及び
図2に示す椅子1は、支持体10と、座体20と、背板30と、後方部40と、を備える。以下の説明では、椅子1に正常に着席した使用者を基準に、上下方向、前後方向及び左右方向を表現する。
【0011】
支持体10は、管状の金属パイプを屈曲及び溶接して形成され、座体20及び背板30を支持する。支持体10は、右脚体11と、左脚体12と、前方連結部13と、後方連結部14と、背もたれフレーム15と、を有する。
【0012】
右脚体11及び左脚体12は、左右方向から見て略矩形の環状形状を有する環状部材である。
前方連結部13は、真っすぐ延びて、右脚体11及び左脚体12の前方のパイプを連結する部材である。
【0013】
後方連結部14は、後方側に向かって凸となるように湾曲し、右脚体11及び左脚体12の後方のパイプを連結する部材である。
背もたれフレーム15は、右脚体11及び左脚体12の後方連結部14との連結部分に接続し、前後方向から見て下方側が開口する略U字状に屈曲する部材である。背もたれフレーム15は、左右パイプ151,152と、上方パイプ153と、を有する。背もたれフレーム15の上方パイプ153は、後方側に向かって凸となるように湾曲し、右脚体11及び左脚体12の後方連結部14との連結部分から上方に延びる背もたれフレーム15の左右パイプ151,152を連結する。背もたれフレーム15は、一本の金属パイプを曲げ加工することにより、左右パイプ151,152と、上方パイプ153と、を形成している。背もたれフレーム15は、左右方向から見て上方端部が後方に屈曲する略L字状を有する。
【0014】
座体20は、使用者が着席可能に構成されている。座体20は、上面視で略矩形であり、後方端部が後方側に向かって凸となるように湾曲した形状を有する。座体20は、左右方向から見て前方端部が下方に屈曲する略L字状を有する。座体20は、右脚体11、左脚体12、前方連結部13及び後方連結部14によって支持される。具体的には、座体20の左右方向の両側端部が右脚体11及び左脚体12の上方のパイプに連結し、座体20の前方端部が前方連結部13に連結し、座体20の後方端部が後方連結部14に連結する。
【0015】
背板30は、正面視で略矩形であり、着席する使用者の背中を支持可能に構成されている。また、背板30は、平面視では、左右の両側端部ほど前方に位置し、中央部ほど後方に位置するように緩やかにカーブしている。換言すると、背板30は、後方側に向かって凸となるように湾曲した形状を有する。背板30は、背もたれフレーム15によって支持される。
【0016】
後方部40は、背板30の後方に設けられる。後方部40は、背板30の上方端部から後方に突出した形状であって、背板30と後方部40とを合わせると、左右方向から見て略L字状の形状を有する。後方部40は、延出部41と、上方パイプ153と、を備える。延出部41は、背板30と一体に形成されており、背板30の上方端部から後方に延び出す板状の部材である。延出部41は、上面視で略三日月状の形状を有する。延出部41の下面には窪みが設けられており、使用者が窪みに手を掛けることで、延出部41を手掛けとして用いることができる。
【0017】
[1-2.表示部]
図3~
図7に示されるように、後方部40には表示部50が設けられる。表示部50は、上方から視認可能な表示面を有するプレートである。表示部50は、後方部40の後端に設けられる。本実施形態では、表示部50は、上方パイプ153の上面に設けられる。より詳しくは、表示部50は、上方パイプ153の上面であって、左右方向の中央部に設けられる。表示部50は、上方パイプ153の湾曲形状に沿って、後方側に向かって凸となるように突出した形状を有する。
【0018】
図8に示されるように、表示部50は、第1板部51と、第2板部52と、を有する。第1板部51は、表示部50の下側の部分を構成する、上方が開口した平たい箱状の部材である。第2板部52は、表示部50の上側の部分を構成する、板状の部材である。第1板部51の下面には2つの孔(図示省略)が形成されている。上方パイプ153に設けられた2つの孔(図示省略)と、第1板部51に設けられた2つの孔とを合わせて、上方から2つのネジ53を挿通することにより、第1板部51が上方パイプ153に固定される。その後、第1板部51に第2板部52をかぶせて、接合面を接着することで、表示部50が構成される。なお、ネジ53の替わりにリベットを用いて、第1板部51を上方パイプ153に固定してもよい。また、上方パイプ153に設けられた2つの孔と、第1板部51に設けられた2つの孔とを合わせて、下方から2つのネジ53を挿通することにより、第1板部51を上方パイプ153に固定してもよい。
【0019】
第1板部51には、
図7A,7Bに示されるように、下側面が上方パイプ153上面に沿って上に凸となる溝511が形成されている。溝511は、上方パイプ153の湾曲に沿って、後方側に向かって凸となるように湾曲している。このような構成によれば、上方パイプ153の湾曲に沿って表示部50を固定することができるため、表示部50が傾くことなく、表示面を上向きに維持することができる。
【0020】
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2a)表示部50は、後方部40の後端に設けられる。このような構成によれば、背板30から離れた位置に表示部50が設けられる。よって、使用者が椅子1に着席し、背板30に凭れても、使用者の衣服が表示部50に被さり、表示部50が隠れてしまうことを抑制できる。したがって、より視認性がよい位置に表示部50を備えることができる。
【0021】
(2b)後方部40の下面には窪みが設けられており、使用者が窪みに手を掛けることで、後方部40を手掛けとして用いることができる。このような構成によれば、手掛けに表示部50を設けることから、表示部50を配置するための構造を別途に設ける必要がない。
【0022】
(2c)表示部50は、上方パイプ153の湾曲形状に沿って、後方側に向かって凸となるように突出した形状を有する。このような構成によれば、上方パイプ153を手掛けとして用いたときに、手に表示部の角が当たるといった違和感を軽減することができる。
【0023】
(2d)表示部50は、上方パイプ153に設けられる。上方パイプ153は金属パイプにより形成されている。このような構成によれば、上方パイプ153を手掛けに使用するのに好適であり、また、表示部50を固い金属に固定するため、表示部50を布地やプラスチック素材に固定する場合と比較して、固定強度が向上する。
【0024】
また、上方パイプ153は後方側に向かって凸となるように湾曲している。そして、表示部50の溝511も上方パイプ153の表面形状に沿って後方側に凸となるように湾曲している。そのため、湾曲した溝511に湾曲した上方パイプ153が入り込むことで、上方パイプ153を軸として表示部50が回転してしまうことを抑制できる。よって、表示部50の固定強度を向上させることができる。
【0025】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0026】
(3a)上記実施形態では、後方部40は、背板30の上方端部から後方に突出した形状であって、後方部40には、上方パイプ153も含まれる構成を例示した。しかし、後方部の形状はこれに限定されるものではない。後方部140は、延出部41を備えていなくてもよい。例えば、後方部140は、上方パイプ153のように、背板130の上端において左右方向に延び、かつ、左右方向の中央部が後方に突出する構成であってもよい。
図9に示されるように、椅子100の背板130の上方端部は後方に屈曲していなくてもよい。背板130の上端と、上方パイプ153との間に隙間131を有するように、背板130が背もたれフレーム15により支持されていてもよい。このような構成では、隙間131が手掛け穴として機能する。表示部50は、上方パイプ153の上面に設けられる。なお、本変形例では、上方パイプ153が突出部及び後方部に相当する。
【0027】
また、例えば、
図10、
図11に示されるように、椅子200は、上方パイプ153を備えなくてもよい。後方部240は、背板30の上方端部から後方に延びる部分である。このような構成では、後方部240が手掛けとして機能する。表示部50は、後方部240の後端に設けられる。
【0028】
(3b)上記実施形態では、表示部50は、後方部40の後端に設けられる構成を例示した。しかし、表示部が設けられる位置はこれに限定されるものではない。表示部350は、背板30の後端よりも後ろ側に設けられていればよい。背板30の後端よりも後ろ側とは、背板30の厚みの後端から後ろ側に突出した部分のことである。例えば、
図12に示されるように、表示部350は、背板30の後端よりも後ろ側であって、上方パイプ153の前端よりも前側に設けられていてもよい。つまり、表示部350は、延出部41に設けられてもよい。延出部41の上面が平らな形状である場合、表示部350の下側面は、平らな形状であってもよい。
【0029】
また、上記実施形態では、上から見たときに、表示部50が背板30と重ならない構成を例示した。しかし、表示部50の一部は、上から見たときに、背板30と重なる構成であってもよい。表示部50は、後方部40の少なくとも一部に設けられていればよい。表示部50の一部が後方部40からはみ出して、上から見たときに背板30と重なっていてもよいし、上方パイプ153よりも後方に突出していてもよい。また、表示部50のうち、実質的に情報を示す文字等が表示された領域が後方部40上に配置されていればよい。例えば、表示部50のうち文字等が表示されていない領域が背板30の上面に配置され、表示部50のうち文字等が表示されている領域が延出部41の上面に配置されていてもよい。
【0030】
(3c)上記実施形態では、表示部50がプレートの形状を有する構成を例示した。しかし、表示部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、表示部450は、
図13に示されるように、左右方向に長さを有する三角柱の形状であってもよい。
【0031】
(3d)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1,100,200…椅子、10…支持体、11…右脚体、12…左脚体、13…前方連結部、14…後方連結部、15…背もたれフレーム、20…座体、30,130…背板、40,240…後方部、41…延出部、50,350,450…表示部、51…第1板部、52…第2板部、53…ネジ、131…隙間、151…左右パイプ、152…左右パイプ、153…上方パイプ、511…溝。