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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180846
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】車載オーディオシステム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20231214BHJP
   H04R 5/02 20060101ALI20231214BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20231214BHJP
   H04R 3/12 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H04R5/02 F
B60R11/02 S
H04R3/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094478
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 豪
【テーマコード(参考)】
3D020
5D011
5D220
【Fターム(参考)】
3D020BA02
3D020BA10
3D020BB01
3D020BC01
3D020BD05
3D020BE03
5D011AA13
5D220AA05
5D220AA12
5D220AB08
(57)【要約】
【課題】車載オーディオシステムの電力消費を削減する。
【解決手段】車内の異なる箇所に設けられた複数のスピーカと、複数の増幅回路を有する増幅装置と、車内に設けられた複数の座席の各々における乗員の着席状況に関する乗員情報に基づいて、複数のスピーカの各々について音を出力させるか否かを決定する決定部と、決定部の決定結果に基づいて、増幅装置を制御する制御部と、を備え、複数の増幅回路の各々は、1または複数のスピーカと接続される、車載オーディオシステム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内の異なる箇所に設けられた複数のスピーカと、
複数の増幅回路を有する増幅装置と、
前記車内に設けられた複数の座席の各々における乗員の着席状況に関する乗員情報に基づいて、前記複数のスピーカの各々について音を出力させるか否かを決定する決定部と、
前記決定部の決定結果に基づいて、前記増幅装置を制御する制御部と、
を備え、
前記複数の増幅回路の各々は、1または複数のスピーカと接続される、
車載オーディオシステム。
【請求項2】
ユーザからの操作を受け付ける入力装置と、
前記複数の座席の各々における乗員の着席状況を設定する乗員設定操作を前記入力装置がユーザから受け付けた場合、前記乗員設定操作に応じて前記乗員情報を生成する生成部と、
を更に備える、
請求項1に記載の車載オーディオシステム。
【請求項3】
前記複数の座席の各々における乗員の有無に応じて異なる信号を生成する1または複数のセンサと、
前記1または複数のセンサが生成した信号に基づいて、前記乗員情報を生成する検出部と、
を更に備える、
請求項1に記載の車載オーディオシステム。
【請求項4】
前記複数の座席は、前後に配置された複数の列を形成し、
前記複数のスピーカは、前記複数の列の各々に対応する箇所に設けられ、
前記複数の列のうちの第1の列以外に乗員がいない場合、前記制御部は、前記増幅装置を制御することで、前記第1の列以外の列に対応する箇所に設けられたスピーカへ音信号を出力させない、
請求項1に記載の車載オーディオシステム。
【請求項5】
前記複数のスピーカは、第1のスピーカと、第2のスピーカと、第3のスピーカと、第4のスピーカとを含み、
前記複数の列は、前記第1の列と、前記第1の列とは異なる第2の列とを含み、
前記第1の列は、第1の座席と、第2の座席とを含み、
前記第2の列は、第3の座席と、第4の座席とを含み、
前記第1のスピーカは、前記第1の座席に対応する箇所に設けられ、
前記第2のスピーカは、前記第2の座席に対応する箇所に設けられ、
前記第3のスピーカは、前記第3の座席に対応する箇所に設けられ、
前記第4のスピーカは、前記第4の座席に対応する箇所に設けられ、
前記複数の座席のうちの前記第3の座席および前記第4の座席のいずれにも乗員がいない場合、前記制御部は、前記増幅装置を制御することで、前記第3のスピーカおよび前記第4のスピーカへ音信号を出力させない、
請求項4に記載の車載オーディオシステム。
【請求項6】
前記複数のスピーカは、第1のスピーカと、第2のスピーカと、第3のスピーカと、第4のスピーカとを含み、
前記複数の列は、前記第1の列と、前記第1の列とは異なる第2の列とを含み、
前記第1の列は、第1の座席と、第2の座席とを含み、
前記第2の列は、第3の座席と、第4の座席とを含み、
前記第1のスピーカは、前記第1の座席に対応する箇所に設けられ、
前記第2のスピーカは、前記第2の座席に対応する箇所に設けられ、
前記第3のスピーカは、前記第3の座席に対応する箇所に設けられ、
前記第4のスピーカは、前記第4の座席に対応する箇所に設けられ、
前記複数の座席のうちの前記第2の座席、前記第3の座席および前記第4の座席のいずれにも乗員がいない場合、前記制御部は、前記増幅装置を制御することで、前記第2のスピーカ、前記第3のスピーカおよび前記第4のスピーカへ音信号を出力させない、
請求項4に記載の車載オーディオシステム。
【請求項7】
ユーザからの操作を受け付ける入力装置を更に備え、
前記複数のスピーカから出力される音の音量を管理するための設定値を所定の値以上に設定する音量設定操作を前記入力装置がユーザから受け付けた場合、前記制御部は、前記増幅装置を制御することで、前記決定部が音を出力させないと決定したスピーカへ音信号を出力させる、
請求項1に記載の車載オーディオシステム。
【請求項8】
入力信号に前記乗員情報に基づく音響処理を施して出力信号を生成する信号処理回路を更に備え、
前記信号処理回路は、前記複数の増幅回路のうちの少なくとも1つの増幅回路と接続され、
前記信号処理回路から出力される出力信号は、前記信号処理回路と接続された増幅回路へ供給される、
請求項1に記載の車載オーディオシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載オーディオシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されるオーディオ(以下「車載オーディオ」という)に関する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、人体センサを備え、当該人体センサから出力される信号に基づいて、車載オーディオの音場を制御する自動音場調整装置が開示されている。当該自動音場調整装置において、例えば、人体センサが設けられた座席に乗員が着席すると、当該人体センサが乗員の存在を検出し、信号を出力する。自動音場調整装置は、人体センサから出力された信号に応じて、適切な音場となるように車載オーディオを制御し、音量の調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-24785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の自動音場調整装置は、乗員の着席状況に応じた音場の調整を目的としたものであることから、乗員が座席に着席していない場合であっても、当該座席に設けられた人体センサと対応するスピーカからは音が出力され、電力消費が生じる場合がある。このため、当該自動音場調整装置を用いる場合であっても、消費電力の削減には改善の余地があった。
【0005】
以上の事情を考慮して、本開示のひとつの態様は、乗員の着席状況に応じて車載オーディオシステムの備えるスピーカのオンオフを制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車載オーディオシステムの一態様は、車内の異なる箇所に設けられた複数のスピーカと、複数の増幅回路を有する増幅装置と、前記車内に設けられた複数の座席の各々における乗員の着席状況に関する乗員情報に基づいて、前記複数のスピーカの各々について音を出力させるか否かを決定する決定部と、前記決定部の決定結果に基づいて、前記増幅装置を制御する制御部と、を備え、前記複数の増幅回路の各々は、1または複数のスピーカと接続される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る車載オーディオシステムSysの構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る記憶装置10の構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る処理装置20の構成を示すブロック図である。
図4】自動車Vにおける装備品の位置関係を図示した説明図である。
図5】実施形態に係る車載オーディオシステムSysの動作について説明するためのフローチャートである。
図6】変形例1に係る車載オーディオシステムSysAの構成を示すブロック図である。
図7】変形例1に係る記憶装置10Aの構成を示すブロック図である。
図8】変形例1に係る処理装置20Aの構成を示すブロック図である。
図9】自動車VAにおける装備品の位置関係を図示した説明図である。
図10】変形例1に係る車載オーディオシステムSysAの動作について説明するためのフローチャートである。
図11】変形例2に係る車載オーディオシステムSysBの構成を示すブロック図である。
図12】変形例2に係る記憶装置10Bの構成を示すブロック図である。
図13】変形例2に係る処理装置20Bの構成を示すブロック図である。
図14】自動車VBにおける装備品の位置関係を図示した説明図である。
図15】変形例3に係る車載オーディオシステムSysGの構成を示すブロック図である。
図16】変形例3に係る記憶装置10Gの構成を示すブロック図である。
図17】変形例3に係る処理装置20Gの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際と異なる場合があり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0009】
1.実施形態
1.1.車載オーディオシステムの構成および機能
以下、図1図4を参照しつつ、第1実施形態に係る車載オーディオシステムSysの構成および機能について説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る車載オーディオシステムSysおよびその周辺の構成を示すブロック図である。車載オーディオシステムSysは、音源Gから信号S0が供給される。音源Gは、例えば、CD(Compact Disc)プレイヤ、デジタルオーディオプレイヤまたはスマートフォン等が挙げられる。信号S0は、アナログ信号でもよいし、デジタル信号でもよい。信号S0がアナログ信号である場合、信号S0は、図示省略された変換器によってデジタル信号へ変換される。また、信号S0は、モノラル信号でもよいし、ステレオ信号でもよい。信号S0がステレオ信号である場合、信号S0は、2種類の信号を含む。
【0011】
車載オーディオシステムSysは、各種情報を記憶する記憶装置10と、車載オーディオシステムSysの動作を制御する処理装置20と、車載オーディオシステムSysのユーザからの操作を受け付ける入力装置30と、入力される信号に応じて音を出力するスピーカ400a~400fと、音源Gから出力される信号S0を取得する入力インターフェース回路70と、入力インターフェース回路70から出力される入力信号S1a~S1dに対して音響処理を施す信号処理装置60と、信号処理装置60から出力される出力信号S2a~S2dの振幅を調整する増幅装置50とを備える。
【0012】
増幅装置50は、増幅回路500a~500dを備える。信号処理装置60は、信号処理回路600a~600dを備える。信号処理回路600aは、増幅回路500aと接続される。信号処理回路600bは、増幅回路500bと接続される。信号処理回路600cは、増幅回路500cと接続される。信号処理回路600dは、増幅回路500dと接続される。増幅回路500aは、スピーカ400aおよびスピーカ400eと接続される。増幅回路500bは、スピーカ400bと接続される。増幅回路500cは、スピーカ400cと接続される。増幅回路500dは、スピーカ400dおよびスピーカ400fと接続される。
【0013】
記憶装置10は、例えば、RAM等の揮発性メモリーと、ROM等の不揮発性メモリーとを含んで構成される。ここで、RAMとはRandom Access Memoryの略称であり、ROMとはRead Only Memoryの略称である。
【0014】
図2は、実施形態に係る記憶装置10の構成を示すブロック図である。記憶装置10の有する不揮発性メモリーは、車載オーディオシステムSysの動作を規定するプログラム100と、後述する自動車Vにおける乗員の着席状況に関する乗員情報101と、スピーカ400a~400fから出力される音の音量を管理するための設定値を表す音量情報102とを含む。なお、以下において、当該設定値を「音量値」と称することがある。
【0015】
また、記憶装置10の有する揮発性メモリーは、プログラム100を実行する際のワークエリアとして処理装置20によって利用される。
【0016】
なお、記憶装置10の一部または全部は、外部記憶装置または外部サーバー等に設けてもよい。また、記憶装置10に記憶される各種情報の一部または全部は、予め記憶装置10に記憶されるものであってもよいし、外部記憶装置または外部サーバー等から取得されるものであってもよい。
【0017】
処理装置20は、1または複数のCPUを含んで構成される。但し、処理装置20は、CPUの代わりに、または、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを備えるものでもよい。ここで、CPUとはCentral Processing Unitの略称であり、FPGAとはField-Programmable Gate Arrayの略称である。
【0018】
図3は、実施形態に係る処理装置20の構成を示すブロック図である。処理装置20は、プログラム100を実行することで、制御部200、決定部201および生成部202として機能する。
【0019】
入力インターフェース回路70は、音源Gから出力された信号S0を取得する。また、入力インターフェース回路70は、信号S0に基づく入力信号S1a~S1dを信号処理装置60へ出力する。入力インターフェース回路70は、有線通信を利用して音源Gから信号S0を取得してもよいし、無線通信を利用して音源Gから信号S0を取得してもよい。無線通信を利用する場合、入力インターフェース回路70は、所定の通信規格に準拠した無線通信を行うためのアンテナを含んで構成される。
【0020】
信号処理回路600a~600dは、入力信号に対して乗員情報101に基づく音響処理を施し、当該音響処理が施された入力信号を出力信号として出力する。信号処理回路600a~600dが実施する音響処理として、例えば、出力される信号の遅延および周波数特性の調整等が挙げられる。
【0021】
入力信号S1aは、信号処理回路600aに入力される。信号処理回路600aは、入力信号S1aに対して乗員情報101に基づく音響処理を施すことで、出力信号S2aを生成する。また、信号処理回路600aは、出力信号S2aを増幅回路500aへ出力する。
【0022】
入力信号S1bは、信号処理回路600bに入力される。信号処理回路600bは、入力信号S1bに対して乗員情報101に基づく音響処理を施すことで、出力信号S2bを生成する。また、信号処理回路600bは、出力信号S2bを増幅回路500bへ出力する。
【0023】
入力信号S1cは、信号処理回路600cに入力される。信号処理回路600cは、入力信号S1cに対して乗員情報101に基づく音響処理を施すことで、出力信号S2cを生成する。また、信号処理回路600cは、出力信号S2cを増幅回路500cへ出力する。
【0024】
入力信号S1dは、信号処理回路600dに入力される。信号処理回路600dは、入力信号S1dに対して乗員情報101に基づく音響処理を施すことで、出力信号S2dを生成する。また、信号処理回路600dは、出力信号S2dを増幅回路500dへ出力する。
【0025】
増幅回路500aは、出力信号S2aの振幅を調整し、音信号S3aとして出力する。増幅回路500b~500dは、増幅回路500aと同様、出力信号S2b~S2dの振幅を調整し、音信号S3b~S3dとして出力する。増幅回路500aは、減衰器501aと、アンプ502aとを含む。増幅回路500bは、減衰器501bと、アンプ502bとを含む。増幅回路500cは、減衰器501cと、アンプ502cとを含む。増幅回路500dは、減衰器501dと、アンプ502dとを含む。
【0026】
減衰器501aは、出力信号S2aの振幅を減衰させて、アンプ502aへ出力する。減衰器501b~501dは、減衰器501aと同様、出力信号S2b~S2dの振幅を減衰させて、アンプ502b~502dへ出力する。
【0027】
減衰器501a~501dの各々の減衰率は、例えば、音量情報102と、決定部201の決定結果とに基づいて決定される。決定部201の決定結果に関する説明は後述する。減衰器501a~501dの各々の減衰率は、入力される信号の振幅を値Vin、出力される信号の振幅を値Voutとすると、100×(Vin-Vout)/Vinという式(百分率)で表される。
【0028】
アンプ502aは、減衰器501aから入力された信号の振幅を所定の増幅率で増幅し、音信号S3aとして出力する。アンプ502b~502dは、アンプ502aと同様、減衰器501b~501dから入力された信号の振幅を所定の増幅率で増幅し、音信号S3b~S3dとして出力する。アンプ502a~502dは、所謂アナログアンプであってもよいし、デジタルアンプであってもよい。
【0029】
出力信号S2aは、増幅回路500aに入力される。増幅回路500aは、出力信号S2aの振幅を、減衰器501aにおいて減衰させ、アンプ502aにおいて増幅することで、音信号S3aを生成する。また、増幅回路500aは、音信号S3aをスピーカ400aおよびスピーカ400eへ出力する。すなわち、スピーカ400aおよびスピーカ400eは、音信号S3aに応じた音を出力する。
【0030】
出力信号S2bは、増幅回路500bに入力される。増幅回路500bは、出力信号S2bの振幅を、減衰器501bにおいて減衰させ、アンプ502bにおいて増幅することで、音信号S3bを生成する。また、増幅回路500bは、音信号S3bをスピーカ400bへ出力する。すなわち、スピーカ400bは、音信号S3bに応じた音を出力する。
【0031】
出力信号S2cは、増幅回路500cに入力される。増幅回路500cは、出力信号S2cの振幅を、減衰器501cにおいて減衰させ、アンプ502cにおいて増幅することで、音信号S3cを生成する。また、増幅回路500cは、音信号S3cをスピーカ400cへ出力する。すなわち、スピーカ400cは、音信号S3cに応じた音を出力する。
【0032】
出力信号S2dは、増幅回路500dに入力される。増幅回路500dは、出力信号S2dの振幅を、減衰器501dにおいて減衰させ、アンプ502dにおいて増幅することで、音信号S3dを生成する。また、増幅回路500dは、音信号S3dをスピーカ400dおよびスピーカ400fへ出力する。すなわち、スピーカ400dおよびスピーカ400fは、音信号S3dに応じた音を出力する。
【0033】
以下において、スピーカ400a~400fを区別しない場合、スピーカ400a~400fを「スピーカ400」と称することがある。また、増幅回路500a~500dを区別しない場合、増幅回路500a~500dを「増幅回路500」と称することがある。また、減衰器501a~501dを区別しない場合、減衰器501a~501dを「減衰器501」と称することがある。また、アンプ502a~502dを区別しない場合、アンプ502a~502dを「アンプ502」と称することがある。また、信号処理回路600a~600dを区別しない場合、信号処理回路600a~600dを「信号処理回路600」と称することがある。また、入力信号S1a~S1dを区別しない場合、入力信号S1a~S1dを「入力信号S1」と称することがある。また、出力信号S2a~S2dを区別しない場合、出力信号S2a~S2dを「出力信号S2」と称することがある。また、音信号S3a~S3dを区別しない場合、音信号S3a~S3dを「音信号S3」と称することがある。
【0034】
生成部202は、入力装置30が車載オーディオシステムSysのユーザから自動車Vにおける乗員の着席状況を設定する操作を受け付けた場合に、当該操作に応じて、乗員情報101を生成する。なお、以下において、自動車Vにおける乗員の着席状況を設定する操作を「乗員設定操作」ということがある。また、生成部202は、生成された乗員情報101を記憶装置10に記憶させる。
【0035】
決定部201は、乗員情報101に基づいて、スピーカ400a~400fの各々について音を出力させるか否かを決定する。
【0036】
制御部200は、車載オーディオシステムSysにおける各種動作を制御する。
【0037】
制御部200は、入力装置30が車載オーディオシステムSysのユーザから音量値を設定する操作を受け付けた場合に、当該操作に応じて、設定された音量値を表す音量情報102を生成する。また、制御部200は、生成された音量情報102を記憶装置10に記憶させる。
【0038】
音量値は、0から50までの51種類の整数から選択される値であってもよい。なお、音量値は、整数に限らず、例えば、小数を含む複数の数値の中から選択されてもよい。また、音量値は、51種類よりも多い数値の中から選択されてもよいし、51種類よりも少ない数値の中から選択されてもよい。
【0039】
制御部200は、音量情報102と、決定部201の決定結果とに基づいて、増幅装置50を制御する。
【0040】
制御部200は、音量情報102に基づいて、減衰器501a~501dの各々の減衰率を設定する。以下、音量情報102の示す音量値が0から50までの51種類の整数から選択される場合を想定する。例えば、ユーザが音量値を0に設定した場合、制御部は、減衰器501a~501dの各々の減衰率を100%に設定する。また、ユーザが音量値を50に設定した場合、制御部は、減衰器501a~501dの各々の減衰率を0%に設定する。また、制御部は、音量値の増加に伴って、減衰器501a~501dの各々の減衰率を減少させる。
【0041】
また、制御部200は、決定部201の決定結果に基づいて、減衰器501a~501dの各々の減衰率を設定する。例えば、制御部200は、決定部201が音を出力させないと決定したスピーカ400と接続された増幅回路500の備える減衰器の減衰率を、音量情報102の示す音量値に関わらず、100%に設定する。また、制御部200は、決定部201が音を出力させると決定したスピーカ400と接続された増幅回路500の備える減衰器501の減衰率を、音量情報102に基づく値に設定する。
【0042】
制御部200は、音量情報102と、決定部201の決定結果とに基づいて設定された減衰率を指定する制御信号S5aを減衰器501aへ出力する。減衰器501aは、制御信号S5aの指定する減衰率で、出力信号S2aの振幅を減衰させる。同様に、制御部200は、音量情報102と、決定部201の決定結果とに基づいて設定された減衰率を指定する、制御信号S5bを減衰器501bへ、制御信号S5cを減衰器501cへ、制御信号S5dを減衰器501dへ、各々出力する。減衰器501bは、制御信号S5bの指定する減衰率で、出力信号S2bの振幅を減衰させる。減衰器501cは、制御信号S5cの指定する減衰率で、出力信号S2cの振幅を減衰させる。減衰器501dは、制御信号S5dの指定する減衰率で、出力信号S2dの振幅を減衰させる。
【0043】
減衰率が100%の場合、出力される信号の振幅を示す値Voutは0となる。例えば、減衰器501aの減衰率が100%に設定された場合、増幅回路500aに入力される出力信号S2aの振幅は0となり、増幅回路500aから音信号S3aが出力されなくなる。このため、増幅回路500aと接続されたスピーカ400aおよびスピーカ400eは、音を出力しない。すなわち、制御部200は、決定部201の決定結果に基づいて、スピーカ400a~400fの各々のオンオフを制御する。
【0044】
なお、決定部201が音を出力させないと決定したスピーカ400であっても、全く音が出ないことに限定されるわけではない。すなわち、決定部201が音を出力させないと決定したスピーカ400から出力される音の音量が、決定部201が音を出力させると決定したスピーカ400から出力される音の音量に対して、所定の値(例えば、10dB)以上小さく減衰された音が出力しているとしても、決定部201が音を出力させないと決定したスピーカ400からは音が出力されていないと見做してもよい。
【0045】
制御部200は、乗員情報101に基づいて、信号処理回路600a~600dの各々における音響処理の方法を設定する。また、制御部200は、設定された音響処理方法を指定する制御信号S6aを信号処理回路600aへ出力する。信号処理回路600aは、制御信号S6aの指定する音響処理を入力信号S1aに施す。同様に、制御部200は、設定された音響処理方法を指定する、制御信号S6bを信号処理回路600bへ、制御信号S6cを信号処理回路600cへ、制御信号S6dを信号処理回路600dへ、各々出力する。信号処理回路600bは、制御信号S6bの指定する音響処理を入力信号S1bに施す。信号処理回路600cは、制御信号S6cの指定する音響処理を入力信号S1cに施す。信号処理回路600dは、制御信号S6dの指定する音響処理を入力信号S1dに施す。
【0046】
以下において、制御信号S5a~S5dを区別しない場合、制御信号S5a~S5dを「制御信号S5」と称することがある。また、制御信号S6a~S6dを区別しない場合、制御信号S6a~S6dを「制御信号S6」と称することがある。
【0047】
入力装置30は、車載オーディオシステムSysのユーザから、車載オーディオシステムSysに対する操作を受け付ける。入力装置30は、例えば、タッチパネルまたは操作ボタン等を含んで構成される。入力装置30がタッチパネルを含んで構成される場合、入力装置30は、検出したタッチ位置を示すデータを処理装置20へ出力する。また、入力装置30が操作ボタンを含んで構成される場合、入力装置30は、押下されたボタンを識別するデータを処理装置20へ出力する。これにより、車載オーディオシステムSysに対する操作の内容が処理装置20へ伝達される。
【0048】
図4は、自動車Vにおける装備品の位置関係を図示した説明図である。車載オーディオシステムSysは、自動車Vに搭載される。
【0049】
自動車Vは、座席P1~P4を備える。座席P1および座席P2は、自動車V内の前部に設けられた座席である。座席P1および座席P2は、座席列L1を形成する。また、座席P3および座席P4は、自動車V内の後部に設けられた座席である。座席P3および座席P4は、座席列L2を形成する。座席列L1は、座席列L2よりも前方に配置される。すなわち、自動車Vは、座席列L2から、座席列L1へ向かう方向が進行方向となる。自動車Vの乗員は、自動車Vの進行方向に向かって着席する。座席P1は、座席P2よりも、自動車Vの進行方向に向かって右側に設けられる。また、座席P3は、座席P4よりも、自動車Vの進行方向に向かって右側に設けられる。
【0050】
以下において、座席P1~P4を区別しない場合、座席P1~P4を「座席P」と称することがある。また、座席列L1および座席列L2を区別しない場合、座席列L1および座席列L2を「座席列L」と称することがある。また、座席列L1および座席列L2をまとめて「複数の座席列L」ということがある。
【0051】
また、自動車Vは、ドアD1~D4を備える。ドアD1は、座席P1に着席する乗員が乗り降りするためのドアである。ドアD2は、座席P2に着席する乗員が乗り降りするためのドアである。ドアD3は、座席P3に着席する乗員が乗り降りするためのドアである。ドアD4は、座席P4に着席する乗員が乗り降りするためのドアである。
【0052】
スピーカ400aおよびスピーカ400eは、ドアD1に設けられる。スピーカ400dおよびスピーカ400fは、ドアD2に設けられる。スピーカ400bは、ドアD3に設けられる。スピーカ400cは、ドアD4に設けられる。換言すれば、スピーカ400aおよびスピーカ400eは、座席P1に対応する箇所に設けられる。また、スピーカ400dおよびスピーカ400fは、座席P2に対応する箇所に設けられる。また、スピーカ400bは、座席P3に対応する箇所に設けられる。また、スピーカ400cは、座席P4に対応する箇所に設けられる。すなわち、スピーカ400a、スピーカ400d、スピーカ400eおよびスピーカ400fは、座席列L1に対応する箇所に設けられる。また、スピーカ400bおよびスピーカ400cは、座席列L2に対応する箇所に設けられる。
【0053】
入力装置30は、例えば、図示省略されたインストルメントパネルに設けられる。ユーザ(例えば、座席P1または座席P2の乗員)は、入力装置30を操作することで、自動車Vにおける乗員の着席状況を設定する。入力装置30は、ユーザから受け付けた乗員設定操作の内容を示す情報を処理装置20へ伝達する。生成部202は、乗員設定操作に応じて、乗員情報101を生成する。なお、本実施形態において、「乗員設定操作」は、具体的には、自動車Vの備える座席P1~P4の各々における乗員の着席状況を設定する操作である。
【0054】
乗員情報101は、必ずしも座席P1~P4における実際の着席状況を反映していなくてもよい。例えば、ユーザは、睡眠中等でスピーカ400から出力される音を聞いていない乗員が着席している座席Pについては、乗員がいないものと見做して、乗員設定操作を行ってもよい。以下では、乗員情報101の示す乗員の着席状況は、座席P1~P4における実際の着席状況を反映している場合を想定する。
【0055】
決定部201は、具体的には、乗員情報101の示す乗員の着席状況に基づいて、乗員が着席している座席Pに対応して設けられたスピーカ400から、音を出力させることを決定する。また、決定部201は、乗員情報101の示す乗員の着席状況に基づいて、乗員が着席していない座席Pに対応して設けられたスピーカ400から、音を出力させないことを決定する。
【0056】
例えば、座席P1~P4のいずれにも乗員が着席している場合、決定部201は、乗員情報101に基づいて、スピーカ400a~400fのいずれからも音を出力させることを決定する。制御部200は、決定部201の決定結果に基づいて増幅装置50を制御することで、スピーカ400a~400fの各々へ音信号S3を出力させる。
【0057】
また、座席列L1以外に乗員がいない場合、決定部201は、乗員情報101に基づいて、座席列L2に対応する箇所に設けられたスピーカ400bおよびスピーカ400cから音を出力させないことを決定する。制御部200は、決定部201の決定結果に基づいて増幅装置50の備える増幅回路500bを制御することで、スピーカ400bへ音信号S3bを出力させない。また、制御部200は、決定部201の決定結果に基づいて増幅装置50の備える増幅回路500cを制御することで、スピーカ400cへ音信号S3cを出力させない。
【0058】
座席列L1以外に乗員がいない場合であって、座席P1および座席P2の両方に乗員が着席している場合、決定部201は、乗員情報101に基づいて、スピーカ400a、スピーカ400d、スピーカ400eおよびスピーカ400fから音を出力させることを決定する。制御部200は、決定部201の決定結果に基づいて増幅装置50の備える増幅回路500aを制御することで、スピーカ400aおよびスピーカ400eへ音信号S3aを出力させる。また、制御部200は、決定部201の決定結果に基づいて増幅装置50の備える増幅回路500dを制御することで、スピーカ400dおよびスピーカ400fへ音信号S3dを出力させる。
【0059】
座席列L1以外に乗員がいない場合であって、座席P1にのみ乗員が着席している(すなわち、座席P2に乗員が着席していない)場合、決定部201は、乗員情報101に基づいて、スピーカ400aおよびスピーカ400eから音を出力させ、かつ、スピーカ400dおよびスピーカ400fから音を出力させないことを決定する。制御部200は、決定部201の決定結果に基づいて増幅装置50の備える増幅回路500aを制御することで、スピーカ400aおよびスピーカ400eへ音信号S3aを出力させる。また、制御部200は、決定部201の決定結果に基づいて増幅装置50の備える増幅回路500dを制御することで、スピーカ400dおよびスピーカ400fへ音信号S3dを出力させない。
【0060】
1.2.車載オーディオシステムの動作
図5は、実施形態に係る車載オーディオシステムSysの動作について説明するためのフローチャートである。当該フローチャートに示す一連の動作は、例えば、車載オーディオシステムSysの電源がオンになり、入力装置30がユーザから動作開始に係る入力操作を受け付けた際に開始される。また、車載オーディオシステムSysの電源がオンの場合、当該フローチャートに示す一連の動作は、所定の時間毎に繰り返し開始されてもよい。
【0061】
ステップS101において、生成部202は、入力装置30がユーザから乗員設定操作を受け付けたか否かを判定する。入力装置30がユーザから乗員設定操作を受け付けた場合、すなわちステップS101でYESの場合、生成部202は処理をステップS102へ進める。また、入力装置30がユーザから乗員設定操作を受け付けていない場合、すなわちステップS101でNOの場合、生成部202は処理をステップS103へ進める。
【0062】
ステップS102において、生成部202は、ユーザからの乗員設定操作に応じて、乗員情報101を生成する。また、生成部202は、生成された乗員情報101を記憶装置10に記憶させる。
【0063】
ステップS103において、生成部202は、記憶装置10に乗員情報101が記憶されているか否かを判定する。記憶装置10に乗員情報101が記憶されている場合、すなわちステップS103でYESの場合、生成部202は処理をステップS104へ進める。また、記憶装置10に乗員情報101が記憶されていない場合、すなわちステップS103でNOの場合、生成部202は処理をステップS101へ進める。
【0064】
ステップS104において、決定部201は、乗員情報101に基づいて、スピーカ400a~400fの各々について音を出力させるか否かを決定する。
【0065】
ステップS105において、制御部200は、乗員情報101に基づいて、信号処理回路600a~600dの各々における音響処理の方法を設定する。また、制御部200は、設定された音響処理方法を指定する制御信号S6a~S6dを、対応する信号処理回路600a~600dへ出力する。
【0066】
ステップS111において、制御部200は、入力装置30がユーザから音量値を設定する操作を受け付けたか否かを判定する。入力装置30がユーザから音量値を設定する操作を受け付けた場合、すなわちステップS111でYESの場合、制御部200は処理をステップS112へ進める。また、入力装置30がユーザから音量値を設定する操作を受け付けていない場合、すなわちステップS111でNOの場合、制御部200は処理をステップS113へ進める。
【0067】
ステップS112において、制御部200は、ユーザからの音量値を設定する操作に応じて、音量情報102を生成する。また、制御部200は、生成された音量情報102を記憶装置10に記憶させる。
【0068】
ステップS113において、制御部200は、記憶装置10に音量情報102が記憶されているか否かを判定する。記憶装置10に音量情報102が記憶されている場合、すなわちステップS113でYESの場合、制御部200は処理をステップS115へ進める。また、記憶装置10に音量情報102が記憶されていない場合、すなわちステップS113でNOの場合、制御部200は処理をステップS114へ進める。
【0069】
ステップS114において、制御部200は、所定の音量値を示す音量情報102を生成する。また、制御部200は、生成された音量情報102を記憶装置10に記憶させる。
【0070】
ステップS115において、制御部200は、音量情報102と、決定部201の決定結果とに基づいて、減衰器501a~501dの各々の減衰率を設定する。また、制御部200は、設定された減衰率を指定する制御信号S5a~S5dを、対応する減衰器501a~501dへ出力する。
【0071】
入力装置30がユーザから音量値を設定する操作を受け付けていない場合であって、記憶装置10に音量情報102が記憶されていない場合、処理装置20は、ステップS114において、初期状態の音量値を示す音量情報102を生成する。そして、処理装置20は、ステップS115において、当該音量情報102と、決定部201の決定結果とに基づいて設定された減衰率を指定する制御信号S5a~S5dを、増幅装置50の備える減衰器501a~501dへ出力する。
【0072】
ステップS115における処理が実行された後、処理装置20は、図5のフローチャートに示す一連の動作を終了させる。
【0073】
以上より、本実施形態によれば、車載オーディオシステムSysは、乗員の着席状況に関する乗員情報101に基づいて、スピーカ400a~400fの各々のオンオフを制御することができる。すなわち、車載オーディオシステムSysは、例えば、乗員が不在である座席Pに対応する箇所に設けられたスピーカ400をオフにすることで、消費電力を削減することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、車載オーディオシステムSysは、ユーザから乗員設定操作を受け付けることで、乗員情報101を生成することができる。例えば、ユーザは、睡眠中等でスピーカ400から出力される音を聞いていない乗員が着席している座席Pについては、乗員がいないものと見做して、乗員設定操作を行うことができる。すなわち、車載オーディオシステムSysは、出力される音を聞いていない乗員が着席している座席Pに対応して設けられたスピーカ400をオフにすることで、消費電力を更に削減することができる。
【0075】
以上に説明したように、実施形態に係る車載オーディオシステムSysは、自動車V内の異なる箇所に設けられたスピーカ400a~400fと、増幅回路500a~500dを有する増幅装置50と、自動車V内に設けられた座席P1~P4の各々における乗員の着席状況に関する乗員情報101に基づいて、スピーカ400a~400fの各々について音を出力させるか否かを決定する決定部201と、決定部201の決定結果に基づいて、増幅装置50を制御する制御部200と、を備え、増幅回路500a~500dの各々は、1または複数のスピーカ400と接続される。
【0076】
すなわち、車載オーディオシステムSysは、乗員の着席状況に応じて、スピーカ400a~400fの各々のオンオフを制御することができる。これにより、車載オーディオシステムSysは、例えば、乗員が不在である座席Pの近傍に設けられたスピーカ400をオフにすることで、不要な電力消費を抑制することが可能となり、エネルギー効率を向上させることができる。
【0077】
なお、本実施形態において、自動車Vは「車」の一例であり、スピーカ400a~400fは「複数のスピーカ」の一例であり、スピーカ400は「スピーカ」の一例であり、増幅回路500a~500dは「複数の増幅回路」の一例であり、増幅装置50は「増幅装置」の一例であり、座席P1~P4は「複数の座席」の一例であり、乗員情報101は「乗員情報」の一例であり、決定部201は「決定部」の一例であり、制御部200は「制御部」の一例である。
【0078】
また、実施形態に係る車載オーディオシステムSysは、ユーザからの操作を受け付ける入力装置30と、座席P1~P4の各々における乗員の着席状況を設定する乗員設定操作を入力装置30がユーザから受け付けた場合、乗員設定操作に応じて乗員情報101を生成する生成部202と、を更に備える。
【0079】
すなわち、ユーザは、乗員の着席状況を任意に設定することができる。これにより、車載オーディオシステムSysは、ユーザの操作に応じて、スピーカ400a~400fのオンオフを制御することができる。
【0080】
なお、本実施形態において、入力装置30は「入力装置」の一例であり、生成部202は「生成部」の一例である。
【0081】
また、実施形態に係る車載オーディオシステムSysにおいて、座席P1~P4は、前後に配置された複数の座席列Lを形成し、スピーカ400a~400fは、複数の座席列Lの各々に対応する箇所に設けられ、複数の座席列Lのうちの座席列L1以外に乗員がいない場合、制御部200は、増幅装置50を制御することで、座席列L1以外の列に対応する箇所に設けられたスピーカ400へ音信号S3を出力させない。
【0082】
これにより、車載オーディオシステムSysは、自動車V内が適切な音場となるようにスピーカ400a~400fのオンオフを制御しつつ、不要なスピーカ400をオフにすることで、消費電力を削減することができる。
【0083】
なお、本実施形態において、複数の座席列Lは「複数の列」の一例であり、座席列L1は「第1の列」の一例であり、音信号S3は「音信号」の一例である。
【0084】
また、実施形態に係る車載オーディオシステムSysにおいて、スピーカ400a~400fは、スピーカ400aと、スピーカ400dと、スピーカ400bと、スピーカ400cとを含む。複数の座席列Lは、座席列L1と、座席列L1とは異なる座席列L2とを含む。座席列L1は、座席P1と、座席P2とを含む。座席列L2は、座席P3と、座席P4とを含む。スピーカ400aは、座席P1に対応する箇所に設けられる。スピーカ400dは、座席P2に対応する箇所に設けられる。スピーカ400bは、座席P3に対応する箇所に設けられる。スピーカ400cは、座席P4に対応する箇所に設けられる。座席P1~P4のうちの座席P3および座席P4のいずれにも乗員がいない場合、制御部200は、増幅装置50を制御することで、スピーカ400bおよびスピーカ400cへ音信号S3を出力させない。
【0085】
これにより、車載オーディオシステムSysは、乗員がいない座席P3に対応するスピーカ400bと、同じく乗員がいない座席P4に対応するスピーカ400cとをオフにすることで、消費電力を削減することができる。
【0086】
なお、本実施形態において、スピーカ400aは「第1のスピーカ」の一例であり、スピーカ400dは「第2のスピーカ」の一例であり、スピーカ400bは「第3のスピーカ」の一例であり、スピーカ400cは「第4のスピーカ」の一例であり、座席列L2は「第2の列」の一例であり、座席P1は「第1の座席」の一例であり、座席P2は「第2の座席」の一例であり、座席P3は「第3の座席」の一例であり、座席P4は「第4の座席」の一例である。
【0087】
また、実施形態に係る車載オーディオシステムSysにおいて、座席P1~P4のうちの座席P2、座席P3および座席P4のいずれにも乗員がいない場合、制御部200は、増幅装置50を制御することで、スピーカ400d、スピーカ400bおよびスピーカ400cへ音信号S3を出力させない。
【0088】
これにより、車載オーディオシステムSysは、乗員がいない座席P2に対応するスピーカ400dと、同じく乗員がいない座席P3に対応するスピーカ400bと、同じく乗員がいない座席P4に対応するスピーカ400cとをオフにすることで、より効果的に消費電力を削減することができる。
【0089】
また、実施形態に係る車載オーディオシステムSysは、入力信号S1に乗員情報101に基づく音響処理を施して出力信号S2を生成する信号処理回路600を更に備え、信号処理回路600は、増幅回路500a~500dのうちの少なくとも1つの増幅回路500と接続され、信号処理回路600から出力される出力信号S2は、信号処理回路600と接続された増幅回路500へ供給される。
【0090】
すなわち、車載オーディオシステムSysは、乗員の着席状況に応じて、スピーカ400a~400fから出力される音を調整することができる。これにより、車載オーディオシステムSysは、例えば、スピーカ400a~400fの各々から出力された音が乗員に到達するタイミングを調整することで、音像定位や音質等を適切に調整することができる。
【0091】
なお、本実施形態において、入力信号S1は「入力信号」の一例であり、出力信号S2は「出力信号」の一例であり、信号処理回路600は「信号処理回路」の一例であり、増幅回路500は「増幅回路」の一例である。
【0092】
2.変形例
以上の実施形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。また、以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が前述の実施形態と同等である要素については、以上の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜省略する。
【0093】
2.1.変形例1
前述の実施形態において、ユーザからの乗員設定操作を受け付ける入力装置30を用いて、乗員情報101を生成する場合を例示したが、本開示はこのような態様に限定されるものではない。例えば、複数の座席の各々における乗員の有無に応じて異なる信号を生成するセンサを用いて、乗員情報101を生成してもよい。
【0094】
図6は、変形例1に係る車載オーディオシステムSysAの構成を示すブロック図である。車載オーディオシステムSysAは、記憶装置10の代わりに記憶装置10Aを備える点と、処理装置20の代わりに処理装置20Aを備える点と、カメラ80を更に備える点とを除き、車載オーディオシステムSysと同様に構成される。
【0095】
カメラ80は、集光のための撮像レンズと、集光された光を電気信号に変換するセンサ800とを備える。なお、図6において、撮像レンズの図示は省略する。センサ800は、例えば、CCDまたはCMOS等を一例とするイメージセンサである。ここで、CCDとはCharge Coupled Deviceの略称であり、CMOSとはComplementary Metal Oxide Semiconductorの略称である。カメラ80は、後述する自動車VAの車内に設けられる。カメラ80は、自動車VAの車内を撮像する。センサ800は、カメラ80による撮像の結果を示す信号S8を生成する。すなわち、信号S8は、撮像画像を表す信号である。また、カメラ80は、センサ800によって生成された信号S8を処理装置20Aへ出力する。
【0096】
図7は、変形例1に係る記憶装置10Aの構成を示すブロック図である。記憶装置10Aは、プログラム100の代わりにプログラム100Aを記憶する点において、記憶装置10と相違する。
【0097】
図8は、変形例1に係る処理装置20Aの構成を示すブロック図である。処理装置20Aは、生成部202の代わりに検出部203としての機能を有する点を除き、処理装置20と同様に構成される。処理装置20Aは、処理装置20Aが有するCPU等がプログラム100Aを実行し、プログラム100Aに従って動作することで、制御部200、決定部201および検出部203として機能する。
【0098】
検出部203は、信号S8を解析し、自動車VA内の乗員の有無を検出する。そして、検出部203は、当該検出の結果に基づいて、乗員情報101を生成する。また、検出部203は、生成された乗員情報101を記憶装置10Aに記憶させる。乗員の有無の検出には、例えば、パターンマッチング等の公知の画像処理技術が適用され得る。
【0099】
図9は、自動車VAにおける装備品の位置関係を図示した説明図である。自動車VAは、車載オーディオシステムSysの代わりに車載オーディオシステムSysAを備える点を除き、自動車Vと同様に構成される。なお、図9において、入力装置30の図示は省略する。
【0100】
カメラ80は、具体的には、座席P1~P4に着席する乗員全員がカメラ80の画角に収まる位置に設けられる。より具体的には、カメラ80は、自動車VAの天井またはルームミラー等に設けられる。カメラ80は、座席P1~P4の各々における乗員の有無に応じて、異なる撮像画像を取得する。すなわち、センサ800によって生成される信号S8は、座席P1~P4の各々における乗員の有無に応じて変化する。検出部203は、センサ800が生成した信号に基づいて、乗員情報101を生成する。
【0101】
図10は、変形例1に係る車載オーディオシステムSysAの動作について説明するためのフローチャートである。図10に示すフローチャートは、処理装置20Aが、ステップS101の代わりにステップS201の処理を実行する点と、ステップS102の代わりにステップS202の処理を実行する点と、ステップS103の処理を実行しない点とを除き、図5に示すフローチャートと同様である。
【0102】
ステップS201において、検出部203は、処理装置20Aが自動車VAの車内の撮像結果を示す信号S8を受け付けたか否かを判定する。処理装置20Aが自動車VAの車内の撮像結果を示す信号S8を受け付けた場合、すなわちステップS201でYESの場合、生成部202は処理をステップS202へ進める。また、処理装置20Aが自動車VAの車内の撮像結果を示す信号S8を受け付けていない場合、すなわちステップS201でNOの場合、生成部202はステップS201における処理を再度実行する。
【0103】
ステップS202において、検出部203は、信号S8を解析し、座席P1~P4の各々における乗員の有無を検出する。そして、検出部203は、当該検出の結果に基づいて、乗員情報101を生成する。また、検出部203は、生成された乗員情報101を記憶装置10Aに記憶させる。
【0104】
以上より、本変形例によれば、センサ800は、座席P1~P4の各々における乗員の有無に応じて異なる信号を生成する。また、検出部203は、センサ800が生成した信号に基づいて、乗員情報101を生成する。すなわち、車載オーディオシステムSysAは、乗員情報101を生成する際の乗員設定操作が不要となる。
【0105】
以上に説明したように、変形例1に係る車載オーディオシステムSysAは、座席P1~P4の各々における乗員の有無に応じて異なる信号を生成するセンサ800と、センサ800が生成した信号S8に基づいて、乗員情報101を生成する検出部203と、を更に備える。
【0106】
すなわち、車載オーディオシステムSysAは、乗員の着席状況を自動で検出し、スピーカのオンオフを制御することができる。これにより、ユーザは、乗員の着席状況を設定するための操作を省略することができる。
【0107】
なお、本変形例において、車載オーディオシステムSysAは「車載オーディオシステム」の一例であり、座席P1~P4は「複数の座席」の一例であり、センサ800は「1または複数のセンサ」の一例であり、信号S8は「1または複数のセンサが生成した信号」の一例であり、乗員情報101は「乗員情報」の一例であり、検出部203は「検出部」の一例である。
【0108】
なお、乗員情報101を生成する際に用いられるセンサは、ひとつに限らず、複数用いられてもよい。例えば、座席列L1に着席する乗員の有無を検出するためのカメラと、座席列L2に着席する乗員の有無を検出するためのカメラとを別々に設けてもよい。すなわち、ふたつのセンサを用いて、座席P1~P4の各々における乗員の着席状況を検出してもよい。
【0109】
また、座席P1~P4の各々に、乗員の有無に応じて異なる信号を生成するセンサを設けてもよい。座席P1~P4の各々に設けられるセンサは、例えば、圧力センサであってもよいし、温度センサであってもよい。
【0110】
圧力センサを用いて乗員の着席状況を検出する場合、圧力センサは、例えば、座席P1~P4の各々の座面もしくは背もたれに内蔵される。圧力センサは、乗員が着席中に圧力センサにはたらく圧力、または、乗員が離席中に圧力センサにはたらく圧力に応じて、異なる信号を生成する。すなわち、圧力センサは、座席P1~P4の各々における乗員の有無に応じて異なる信号を生成する。検出部203は、圧力センサによって生成された信号を解析し、座席P1~P4の各々における乗員の有無を検出する。そして、検出部203は、当該検出の結果に基づいて、乗員情報101を生成する。
【0111】
温度センサを用いて乗員の着席状況を検出する場合、温度センサは、例えば、座席P1~P4の各々の座面もしくは背もたれ、または座席P1~P4の各々の近辺に設けられる。温度センサは、乗員が着席中の温度、または、乗員が離席中の温度に応じて、異なる信号を生成する。すなわち、温度センサは、座席P1~P4の各々における乗員の有無に応じて異なる信号を生成する。検出部203は、温度センサによって生成された信号を解析し、座席P1~P4の各々における乗員の有無を検出する。そして、検出部203は、当該検出の結果に基づいて、乗員情報101を生成する。
【0112】
2.2.変形例2
前述の実施形態および変形例において、決定部201の決定結果に基づいて、スピーカ400a~400fの各々のオンオフを制御する場合を例示した。このような態様において、例えば、座席P1にのみ乗員が着席している場合、スピーカ400aおよびスピーカ400e以外からは音が出力されない。このような場合において、ユーザが音量値を設定することで車内の音量を大きくすることを試みたとしても、音が出力されるスピーカ400の数が制限させることから、ユーザが所望する音量を実現できないことがある。このような状況を鑑みて、本変形例では、決定部201が音を出力させないことを決定したスピーカ400がある場合においても、ユーザが所望する音量を実現する車載オーディオシステムSysBを開示する。
【0113】
図11は、変形例2に係る車載オーディオシステムSysBの構成を示すブロック図である。車載オーディオシステムSysBは、記憶装置10の代わりに記憶装置10Bを備える点と、処理装置20の代わりに処理装置20Bを備える点とを除き、車載オーディオシステムSysと同様に構成される。
【0114】
図12は、変形例2に係る記憶装置10Bの構成を示すブロック図である。記憶装置10Bは、プログラム100の代わりにプログラム100Bを記憶する点において、記憶装置10と相違する。
【0115】
図13は、変形例2に係る処理装置20Bの構成を示すブロック図である。処理装置20Bは、制御部200の代わりに制御部200Bとしての機能を有する点を除き、処理装置20と同様に構成される。処理装置20Bは、処理装置20Bが有するCPU等がプログラム100Bを実行し、プログラム100Bに従って動作することで、制御部200B、決定部201および生成部202として機能する。
【0116】
制御部200Bは、車載オーディオシステムSysBにおける各種動作を制御する。例えば、制御部200Bは、制御部200と同様、入力装置30がユーザから音量値を設定する操作を受け付けた場合に、当該操作に応じて、音量情報102を生成する。また、制御部200Bは、生成された音量情報102を記憶装置10Bに記憶させる。また、制御部200Bは、音量情報102と、決定部201の決定結果とに基づいて、増幅装置50を制御する。具体的には、制御部200Bは、音量情報102と、決定部201の決定結果とに基づいて、減衰器501a~501dの各々の減衰率を設定する。また、制御部200Bは、設定された減衰率を指定する制御信号S5a~S5dを、対応する減衰器501a~501dへ出力する。
【0117】
音量値が所定の値未満に設定された場合、制御部200Bは、決定部201が音を出力させないと決定したスピーカ400と接続された増幅回路500の備える減衰器の減衰率を、100%に設定する。また、制御部200Bは、決定部201が音を出力させると決定したスピーカ400と接続された増幅回路500の備える減衰器の減衰率を、音量情報102に基づく値に設定する。
【0118】
音量値が所定の値以上に設定された場合、制御部200Bは、決定部201が音を出力させないと決定したスピーカ400と接続された増幅回路500の備える減衰器の減衰率を、100%未満に設定する。また、制御部200Bは、決定部201が音を出力させると決定したスピーカ400と接続された増幅回路500の備える減衰器の減衰率を、音量情報102に基づく値に設定する。なお、決定部201が音を出力させないと決定したスピーカ400と接続された増幅回路500の備える減衰器の減衰率は、音量値の増加に伴って単調に減少させてもよい。また、音量値が最大の場合、当該増幅回路500の備える減衰器の減衰率は、0%でもよい。また、当該増幅回路500の備える減衰器の減衰率は、一定でもよい。
【0119】
すなわち、制御部200Bは、増幅装置50を制御することで、決定部201が音を出力させると決定したスピーカ400と、決定部201が音を出力させないと決定したスピーカ400とのいずれにも音信号S3を出力させる。従って、音量値が所定の値以上に設定された場合、制御部200Bは、通常使用するスピーカ400に加えて、本来はオフにするはずのスピーカ400を用いて音量を調整することで、ユーザが所望する音量を実現することができる。例えば、音量値が0から50までの51種類の整数から選択される値である場合、所定の値は、40であってもよい。所定の値は、40よりも小さい値であってもよいし、40よりも大きい値であってもよい。なお、以下において、音量値を所定の値以上に設定する操作を「音量設定操作」ということがある。
【0120】
図14は、自動車VBにおける装備品の位置関係を図示した説明図である。自動車VBは、車載オーディオシステムSysの代わりに車載オーディオシステムSysBを備える点を除き、自動車Vと同様に構成される。
【0121】
決定部201が、スピーカ400a、スピーカ400d、スピーカ400eおよびスピーカ400fから音を出力させ、かつ、スピーカ400bおよびスピーカ400cから音を出力させないことを決定した場合であって、入力装置30がユーザから音量設定操作を受け付けた場合、制御部200Bは、増幅装置50を制御することで、スピーカ400a、スピーカ400d、スピーカ400eおよびスピーカ400fに加え、スピーカ400bおよびスピーカ400cに対しても音信号S3を出力させる。また、決定部201が、スピーカ400aおよびスピーカ400eから音を出力させ、かつ、スピーカ400b、スピーカ400c、スピーカ400dおよびスピーカ400fから音を出力させないことを決定した場合であって、入力装置30がユーザから音量設定操作を受け付けた場合、制御部200Bは、増幅装置50を制御することで、スピーカ400aおよびスピーカ400eに加え、スピーカ400b、スピーカ400c、スピーカ400dおよびスピーカ400fに対しても音信号S3を出力させる。
【0122】
乗員情報101に基づく決定部201の決定結果と、制御部200Bが増幅装置50を制御することで実際に音信号S3を出力させる対象となるスピーカ400とが一致しない場合がある。具体例として、決定部201が、スピーカ400aおよびスピーカ400eから音を出力させ、かつ、スピーカ400b、スピーカ400c、スピーカ400dおよびスピーカ400fから音を出力させないことを決定した場合であって、入力装置30がユーザから音量設定操作を受け付けた場合を想定する。乗員情報101は、座席P1にのみ乗員が着席していることを示す。このような場合、信号処理装置60の備える信号処理回路600a~600dは、例えば、乗員情報101に基づいて出力信号S2a~S2dを適切に遅延させることで、スピーカ400a~400fの各々から出力された音が座席P1の乗員に到達するタイミングを調整することができる。すなわち、信号処理回路600a~600dは、乗員情報101に基づく音響処理を施した出力信号S2を出力することで、音像定位や音質等を適切に調整することができる。
【0123】
以上より、本変形例によれば、制御部200Bは、決定部201が音を出力させないことを決定したスピーカ400がある場合においても、音量値を所定の値以上に設定することで、当該スピーカ400から音を出力させる。すなわち、車載オーディオシステムSysBは、決定部201の決定結果に依らず、ユーザが所望する音量を実現することができる。
【0124】
また、本変形例によれば、車載オーディオシステムSysBは、スピーカ400a~400fの各々に入力される信号に対して、乗員情報101に基づく音響処理を施すことができる。例えば、車載オーディオシステムSysBは、乗員情報101に基づいて、スピーカ400a~400fの各々に入力される信号を適切に遅延させることで、スピーカ400a~400fの各々から出力された音が乗員に到達するタイミングを調整することができる。
【0125】
以上に説明したように、変形例2に係る車載オーディオシステムSysBは、ユーザからの操作を受け付ける入力装置30を更に備え、スピーカ400a~400fから出力される音の音量を管理するための音量値を所定の値以上に設定する音量設定操作を入力装置30がユーザから受け付けた場合、制御部200Bは、増幅装置50を制御することで、決定部201が音を出力させないと決定したスピーカ400へ音信号S3を出力させる。
【0126】
すなわち、車載オーディオシステムSysBは、音量値が所定の値以上に設定された場合、決定部201が音を出力させないことを決定したスピーカ400をオンにして自動車VB内の音量を調整する。これにより、車載オーディオシステムSysBは、決定部201の決定結果に依らず、ユーザが所望する音量を実現することができる。
【0127】
なお、本変形例において、車載オーディオシステムSysBは「車載オーディオシステム」の一例であり、入力装置30は「入力装置」の一例であり、スピーカ400a~400fは「複数のスピーカ」の一例であり、音量値は「設定値」の一例であり、制御部200Bは「制御部」の一例であり、増幅装置50は「増幅装置」の一例であり、決定部201は「決定部」の一例であり、スピーカ400は「スピーカ」の一例であり、音信号S3は「音信号」の一例である。
【0128】
2.3.変形例3
前述の実施形態および変形例において、決定部201の決定結果に基づいて減衰器501の減衰率を設定することで、スピーカ400a~400fの各々のオンオフを制御する場合を例示したが、本開示はこのような態様に限定されるものではない。例えば、決定部201の決定結果に基づいてアンプへの電力供給を制御することで、スピーカ400a~400fの各々のオンオフを制御してもよい。
【0129】
図15は、変形例3に係る車載オーディオシステムSysGの構成を示すブロック図である。車載オーディオシステムSysGは、記憶装置10の代わりに記憶装置10Gを備える点と、処理装置20の代わりに処理装置20Gを備える点と、増幅装置50の代わりに増幅装置50Gを備える点とを除き、車載オーディオシステムSysと同様に構成される。増幅装置50Gは、複数の増幅回路500(増幅回路500a~500d)の代わりに複数の増幅回路500Gを備える点を除き、増幅装置50と同様に構成される。増幅回路500Gは、アンプ502の代わりにアンプ502Gを備える点において、増幅回路500と相違する。なお、増幅装置50Gの備える増幅回路500Gの数は、増幅装置50の備える増幅回路500の数と同数の4である場合を想定する。また、複数の増幅回路500Gの各々は、増幅回路500a~500dと同様に、スピーカ400a~400fと接続される。
【0130】
図15において、増幅装置50Gの備える複数の増幅回路500Gは、便宜上、ひとつを除いて図示を省略する。また、入力装置30、スピーカ400a~400f、信号処理装置60、入力インターフェース回路70および音源Gの図示は省略する。
【0131】
アンプ502Gは、スイッチCsを介して、高位側の電位VDDに設定された給電線Wrと電気的に接続される。また、アンプ502Gは、低電位側のグランドGndと電気的に接続される。スイッチCsは、処理装置20Gから出力される制御信号S9に基づいて開閉する。スイッチCsが閉状態の場合、アンプ502Gは、給電線Wrから電位VDDが供給される。また、スイッチCsが開状態の場合、アンプ502Gは、給電線Wrから絶縁される。
【0132】
電位VDDが供給される場合、アンプ502Gは、減衰器501から入力された信号の振幅を所定の増幅率で増幅し、音信号S3として出力する。すなわち、スイッチCsが閉状態の場合、当該スイッチCsと接続されたアンプ502Gを備える増幅回路500Gと接続されたスピーカ400は、音信号S3に応じた音を出力する。
【0133】
他方、電位VDDが供給されない場合、アンプ502Gは、減衰器501から信号が入力されたとしても、音信号S3を出力しない。すなわち、スイッチCsが開状態の場合、当該スイッチCsと接続されたアンプ502Gを備える増幅回路500Gと接続されたスピーカ400は、音を出力しない。
【0134】
図16は、変形例3に係る記憶装置10Gの構成を示すブロック図である。記憶装置10Gは、プログラム100の代わりにプログラム100Gを記憶する点において、記憶装置10と相違する。
【0135】
図17は、変形例3に係る処理装置20Gの構成を示すブロック図である。処理装置20Gは、制御部200の代わりに制御部200Gとしての機能を有する点を除き、処理装置20と同様に構成される。処理装置20Gは、処理装置20Gが有するCPU等がプログラム100Gを実行し、プログラム100Gに従って動作することで、制御部200G、決定部201および生成部202として機能する。
【0136】
制御部200Gは、車載オーディオシステムSysGにおける各種動作を制御する。例えば、制御部200Gは、制御部200と同様、入力装置30がユーザから音量値を設定する操作を受け付けた場合に、当該操作に応じて、音量情報102を生成する。また、制御部200Gは、生成された音量情報102を記憶装置10Gに記憶させる。また、制御部200Gは、音量情報102に基づいて、減衰器501の減衰率を設定する。また、制御部200Gは、設定された減衰率を指定する制御信号S5を減衰器501へ出力する。
【0137】
また、制御部200Gは、決定部201の決定結果に基づいて、制御信号S9を生成する。例えば、制御部200Gは、決定部201が音を出力させないと決定したスピーカ400と接続された増幅回路500Gの備えるアンプ502Gと接続されたスイッチCsを開状態にするための制御信号S9を生成する。そして、制御部200Gは、当該制御信号S9をスイッチCsへ出力することで、スイッチCsを開状態にする。また、制御部200Gは、決定部201が音を出力させると決定したスピーカ400と接続された増幅回路500Gの備えるアンプ502Gと接続されたスイッチCsを閉状態にするための制御信号S9を生成する。そして、制御部200Gは、当該制御信号S9をスイッチCsへ出力することで、スイッチCsを閉状態にする。すなわち、制御部200Gは、決定部201の決定結果に基づいてアンプ502Gへの電力供給を制御することで、スピーカ400a~400fの各々のオンオフを制御することができる。
【0138】
2.4.変形例4
前述の実施形態および変形例において、ドアD1~D4の各々にスピーカ400が設けられる場合を例示したが、本開示はこのような態様に限定されるものではない。例えば、自動車の天井部分であって、座席P1~P4の各々の直上に設けられてもよい。また、座席P1~P4の各々が備えるヘッドレストに内蔵されてもよい。
【0139】
2.5.変形例5
前述の実施形態および変形例において、ひとつの増幅回路500に接続された複数のスピーカ400、例えば、スピーカ400aおよびスピーカ400e、に同じ信号を入力させる場合を例示したが、本開示はこのような態様に限定されるものではない。例えば、増幅回路500から出力された音信号S3を、所謂パッシブネットワークによって、高音域の音を出力させるための信号と、中低音域の音を出力させるための信号とに分割し、分割された2種類の信号を別々のスピーカ400へ入力させてもよい。パッシブネットワークは、ハイパスフィルタと、ローバスフィルタとを含んで構成される。ハイパスフィルタは、入力信号の所定の周波数未満の成分を減衰させて出力する。ローパスフィルタは、入力信号の所定の周波数以上の成分を減衰させて出力する。ハイパスフィルタから出力された信号は、例えば、ツイータ等の高音域の音を出力するスピーカ400に入力される。ローパスフィルタから出力された信号は、例えば、ミッドレンジスピーカ等の中低音域の音を出力するスピーカ400に入力される。すなわち、特定の音域に特化したスピーカを用いる場合、入力されるスピーカに合わせて信号の周波数を調整することで、スピーカの性能を活かした音を出力することが可能となり、音質を改善することができる。
【0140】
2.6.変形例6
前述の実施形態および変形例において、4個の座席P1~P4に対応してスピーカ400が設けられる場合を例示したが、例えば、座席の数は4個より多くてもよいし、4個より少なくてもよい。具体的には、本開示に係る車載オーディオシステムは、8人乗りの、所謂ミニバンタイプの自動車に搭載されてもよい。また、本開示に係る車載オーディオシステムは、2人乗りの、所謂2シータータイプの自動車に搭載されてもよい。座席数の増減に合わせて、増幅回路およびスピーカ等の数を適宜変更することで、本開示に係る車載オーディオシステムを利用することができる。
【0141】
2.7.変形例7
前述の実施形態および変形例において、信号処理回路600a~600dと、増幅回路500a~500dとが1体1で対応する場合を例示したが、本開示はこのような態様に限定されるものではない。例えば、信号処理回路600は、複数の増幅回路500と接続されてもよい。すなわち、信号処理回路600から出力された出力信号S2は、当該信号処理回路600と接続された複数の増幅回路500へ入力されてもよい。これにより、増幅回路500の数に対して、信号処理回路600の数が少なくなることから、信号処理装置60を小型化することが可能となり、低コスト化、省スペース化に寄与する。
【0142】
3.付記
上述した実施形態および変形例の少なくともひとつから、以下の態様が把握される。
【0143】
3.1.態様1
本開示の態様1に係る車載オーディオシステムは、車内の異なる箇所に設けられた複数のスピーカと、複数の増幅回路を有する増幅装置と、前記車内に設けられた複数の座席の各々における乗員の着席状況に関する乗員情報に基づいて、前記複数のスピーカの各々について音を出力させるか否かを決定する決定部と、前記決定部の決定結果に基づいて、前記増幅装置を制御する制御部と、を備え、前記複数の増幅回路の各々は、1または複数のスピーカと接続される。
【0144】
この態様によれば、乗員の着席状況に応じて、複数のスピーカの各々のオンオフを制御することができる。これにより、例えば、乗員が不在である座席の近傍に設けられたスピーカをオフにすることで、不要な電力消費を抑制することが可能となり、エネルギー効率を向上させることができる。
【0145】
3.2.態様2
本開示の態様2に係る車載オーディオシステムは、態様1に係る車載オーディオシステムにおいて、ユーザからの操作を受け付ける入力装置と、前記複数の座席の各々における乗員の着席状況を設定する乗員設定操作を前記入力装置がユーザから受け付けた場合、前記乗員設定操作に応じて前記乗員情報を生成する生成部と、を更に備えるものである。
【0146】
この態様によれば、ユーザは、乗員の着席状況を任意に設定することが可能となり、設定に応じて複数のスピーカの各々のオンオフを制御することができる。
【0147】
3.3.態様3
本開示の態様3に係る車載オーディオシステムは、態様1に係る車載オーディオシステムにおいて、前記複数の座席の各々における乗員の有無に応じて異なる信号を生成する1または複数のセンサと、前記1または複数のセンサが生成した信号に基づいて、前記乗員情報を生成する検出部と、を更に備えるものである。
【0148】
この態様によれば、乗員の着席状況を検出し、スピーカのオンオフを自動で制御することができる。
【0149】
3.4.態様4
本開示の態様4に係る車載オーディオシステムは、態様1に係る車載オーディオシステムにおいて、前記複数の座席は、前後に配置された複数の列を形成し、前記複数のスピーカは、前記複数の列の各々に対応する箇所に設けられ、前記複数の列のうちの第1の列以外に乗員がいない場合、前記制御部は、前記増幅装置を制御することで、前記第1の列以外の列に対応する箇所に設けられたスピーカへ音信号を出力させないものである。
【0150】
この態様によれば、車内が適切な音場となるように複数のスピーカの各々のオンオフを制御しつつ、不要なスピーカをオフにすることで、消費電力を削減することができる。
【0151】
3.5.態様5
本開示の態様5に係る車載オーディオシステムは、態様4に係る車載オーディオシステムにおいて、前記複数のスピーカは、第1のスピーカと、第2のスピーカと、第3のスピーカと、第4のスピーカとを含み、前記複数の列は、前記第1の列と、前記第1の列とは異なる第2の列とを含み、前記第1の列は、第1の座席と、第2の座席とを含み、前記第2の列は、第3の座席と、第4の座席とを含み、前記第1のスピーカは、前記第1の座席に対応する箇所に設けられ、前記第2のスピーカは、前記第2の座席に対応する箇所に設けられ、前記第3のスピーカは、前記第3の座席に対応する箇所に設けられ、前記第4のスピーカは、前記第4の座席に対応する箇所に設けられ、前記複数の座席のうちの前記第3の座席および前記第4の座席のいずれにも乗員がいない場合、前記制御部は、前記増幅装置を制御することで、前記第3のスピーカおよび前記第4のスピーカへ音信号を出力させないものである。
【0152】
この態様によれば、乗員がいない第3の座席に対応する第3のスピーカと、同じく乗員がいない第4の座席に対応する第4のスピーカとをオフにすることで、消費電力を削減することができる。
【0153】
3.6.態様6
本開示の態様6に係る車載オーディオシステムは、態様4に係る車載オーディオシステムにおいて、前記複数のスピーカは、第1のスピーカと、第2のスピーカと、第3のスピーカと、第4のスピーカとを含み、前記複数の列は、前記第1の列と、前記第1の列とは異なる第2の列とを含み、前記第1の列は、第1の座席と、第2の座席とを含み、前記第2の列は、第3の座席と、第4の座席とを含み、前記第1のスピーカは、前記第1の座席に対応する箇所に設けられ、前記第2のスピーカは、前記第2の座席に対応する箇所に設けられ、前記第3のスピーカは、前記第3の座席に対応する箇所に設けられ、前記第4のスピーカは、前記第4の座席に対応する箇所に設けられ、前記複数の座席のうちの前記第2の座席、前記第3の座席および前記第4の座席のいずれにも乗員がいない場合、前記制御部は、前記増幅装置を制御することで、前記第2のスピーカ、前記第3のスピーカおよび前記第4のスピーカへ音信号を出力させないものである。
【0154】
この態様によれば、乗員がいない第2の座席に対応する第2のスピーカと、同じく乗員がいない第3の座席に対応する第3のスピーカと、同じく乗員がいない第4の座席に対応する第4のスピーカとをオフにすることで、より効果的に消費電力を削減することができる。
【0155】
3.7.態様7
本開示の態様7に係る車載オーディオシステムは、態様1に係る車載オーディオシステムにおいて、ユーザからの操作を受け付ける入力装置を更に備え、前記複数のスピーカから出力される音の音量を管理するための設定値を所定の値以上に設定する音量設定操作を前記入力装置がユーザから受け付けた場合、前記制御部は、前記増幅装置を制御することで、前記決定部が音を出力させないと決定したスピーカへ音信号を出力させるものである。
【0156】
この態様によれば、設定値が所定の値以上に設定された場合、通常オンにするスピーカに加えて、決定部が音を出力させないことを決定したスピーカを用いて音量を調整することが可能となり、ユーザが所望する音量を実現することができる。
【0157】
3.8.態様8
本開示の態様8に係る車載オーディオシステムは、態様1に係る車載オーディオシステムにおいて、入力信号に前記乗員情報に基づく音響処理を施して出力信号を生成する信号処理回路を更に備え、前記信号処理回路は、前記複数の増幅回路のうちの少なくとも1つの増幅回路と接続され、前記信号処理回路から出力される出力信号は、前記信号処理回路と接続された増幅回路へ供給されるものである。
【0158】
この態様によれば、乗員の着席状況に応じて、例えば、複数のスピーカの各々から出力される音が乗員に到達するタイミングを調整することで、音像定位や音質等を適切に調整することができる。
【符号の説明】
【0159】
10…記憶装置、100…プログラム、101…乗員情報、102…音量情報、20…処理装置、200…制御部、201…決定部、202…生成部、203…検出部、30…入力装置、400…スピーカ、50…増幅装置、500…増幅回路、501…減衰器、502…アンプ、60…信号処理装置、600…信号処理回路、70…入力インターフェース回路、80…カメラ、800…センサ、G…音源、D1…ドア、P1…座席、L1…前列、L2…後列、V…自動車、Sys…車載オーディオシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17