(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180860
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ミキシング装置およびミキシング方法
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
H04R3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094506
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000116068
【氏名又は名称】ローランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 正和
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220EE02
5D220EE05
5D220EE25
(57)【要約】
【課題】音声設定値の設定を行う対象の出力部の選択と音声設定値の設定とを直感的に行うことができるミキシング装置およびミキシング方法を提供すること。
【解決手段】ミキシング装置1において、対象出力先ボタン5で音量設定値等を変更する対象の出力先である対象出力先を選択し、つまみ2a等を操作することで、選択された対象出力先の音声設定値が設定される。対象出力先ごとに、対応する音声設定値がマイクの音声等に適用され、音声設定値が適用された音声がミキシングされる。ミキシングされた対象出力先ごとの音声がそれぞれの出力先に出力される。このように、音声設定値の変更と、その音声設定値を変更する対象出力先の選択とが、物理的なつまみ2a等と対象出力先ボタン5とによって行われる。これにより、ユーザHは対象出力先の選択と、その対象出力先への音声設定値の設定とを直感的に行うことができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を入力する入力部と、
前記音声を出力する複数の出力部と、
前記音声に関する設定値である音声設定値を設定する音声設定操作子と、
前記音声設定値の設定を行う対象の前記出力部を選択する選択操作子と、
その選択操作子で選択された出力部に対する前記音声設定操作子で設定された音声設定値を取得する設定値取得手段と、
前記出力部ごとに、前記設定値取得手段で取得された音声設定値であって、前記出力部に対応する音声設定値に基づいて前記入力部で入力された音声をミキシングするミキシング手段とを備えていることを特徴とするミキシング装置。
【請求項2】
前記音声設定操作子は、回転式のつまみで構成され、
当該つまみは、その操作方向への回転を無制限に行えるように構成されることを特徴とする請求項1記載のミキシング装置。
【請求項3】
前記音声設定操作子の操作方向に沿って、当該音声設定操作子に対応する音声設定値であって、前記選択操作子により選択された前記出力部に対応する音声設定値に基づく表示が表示される表示部が設けられることを特徴とする請求項1記載のミキシング装置。
【請求項4】
前記表示部には、前記音声設定値または前記入力部で入力された音声に前記音声設定値を適用した音声の出力レベルに基づく表示が表示されるものであることを特徴とする請求項3記載のミキシング装置。
【請求項5】
前記表示部には、前記音声設定値に基づく表示と前記出力レベルに基づく表示とが同一の領域に表示されるものであり、
前記表示部に前記出力レベルに基づく表示が表示されている状態で、前記音声設定操作子が操作された場合に、前記表示部の表示を前記出力レベルに基づく表示から前記音声設定値に基づく表示に変更することを特徴とする請求項4記載のミキシング装置。
【請求項6】
前記表示部に前記出力レベルに基づく表示が表示されている状態で、前記音声設定操作子が操作された場合に、前記表示部の表示が前記出力レベルに基づく表示から前記音声設定値に基づく表示に切替わるまでの間は、前記音声設定操作子の操作による前記音声設定値の設定を受け付けないことを特徴とする請求項4記載のミキシング装置。
【請求項7】
前記音声設定操作子の操作により、複数の前記出力部に対応する音声設定値がそれぞれ変更されるものであることを特徴とする請求項1記載のミキシング装置。
【請求項8】
前記音声設定操作子が操作され、それによっていずれかの前記出力部に対応する音声設定値が上限または下限を超えた場合、複数の前記出力部に対応する音声設定値をいずれも変更しないことを特徴とする請求項7記載のミキシング装置。
【請求項9】
1の前記出力部に出力される音声を、他の前記出力部でも出力することを特徴とする請求項1記載のミキシング装置。
【請求項10】
前記音声設定値は、前記音声の音量の設定値であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のミキシング装置。
【請求項11】
前記音声設定値は、前記音声に適用される音響効果の度合であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のミキシング装置。
【請求項12】
音声を入力する入力部と、前記音声を出力する複数の出力部と、前記音声に関する設定値である音声設定値を設定する音声設定操作子と、前記音声設定値の設定を行う対象の前記出力部を選択する選択操作子とを備えたミキシング装置で実行されるミキシング方法であって、
前記選択操作子で選択された出力部に対する前記音声設定操作子で設定された音声設定値を取得する設定値取得ステップと、
前記出力部ごとに、前記設定値取得ステップで取得された音声設定値であって、前記出力部に対応する音声設定値に基づいて前記入力部で入力された音声をミキシングするミキシングステップとを備えていることを特徴とするミキシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキシング装置およびミキシング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、ゲーム機の音やチャットの音声、BGM等、入力される複数の音声をミキシングし、ヘッドホンやゲームのプレイ動画のインターネット配信先等、複数の出力先に出力するアプリケーションソフト(以下「アプリ」と略す)が開示されている。当該アプリの画面上には、入力される音声の音量をそれぞれ変更する音量操作パーツや、音量操作パーツで音量を変更する出力先を指定する出力先操作パーツが表示され、ユーザはマウス等を介して音量操作パーツや出力先操作パーツを操作することで、音量の変更や、音量を変更する出力先を指定することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】[令和4年6月8日検索]、インターネット<URL:https://www.elgato.com/sites/default/files/2021-05/Get_Started_Guides_Wave_3_compressed.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1のアプリにおいて、ゲームのプレイ中に音量等を変更する場合は、ゲームのプレイ操作を一時中断し、画面を当該アプリに切替え、更にマウス等で操作パーツを操作しなければならない。このような音量等を変更するための煩雑な操作によりゲームのプレイに支障が生じるので、プレイ結果に悪影響を及ぼしたり、配信されているゲーム動画の視聴者に違和感を覚えさせてしまう虞があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、音声設定値の設定を行う対象の出力部の選択と音声設定値の設定とを直感的に行うことができるミキシング装置およびミキシング方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明のミキシング装置は、音声を入力する入力部と、前記音声を出力する複数の出力部と、前記音声に関する設定値である音声設定値を設定する音声設定操作子と、前記音声設定値の設定を行う対象の前記出力部を選択する選択操作子と、その選択操作子で選択された出力部に対する前記音声設定操作子で設定された音声設定値を取得する設定値取得手段と、前記出力部ごとに、前記設定値取得手段で取得された音声設定値であって、前記出力部に対応する音声設定値に基づいて前記入力部で入力された音声をミキシングするミキシング手段とを備えている。
【0007】
本発明のミキシング方法は、音声を入力する入力部と、前記音声を出力する複数の出力部と、前記音声に関する設定値である音声設定値を設定する音声設定操作子と、前記音声設定値の設定を行う対象の前記出力部を選択する選択操作子とを備えたミキシング装置で実行されるミキシング方法であって、前記選択操作子で選択された出力部に対する前記音声設定操作子で設定された音声設定値を取得する設定値取得ステップと、前記出力部ごとに、前記設定値取得ステップで取得された音声設定値であって、前記出力部に対応する音声設定値に基づいて前記入力部で入力された音声をミキシングするミキシングステップとを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態であるミキシング装置の概略図である。
【
図2】(a)は、ミキシング装置の上面図であり、(b)は、つまみを操作し始めた直後のミキシング装置の上面図であり、(c)は、つまみを操作している最中のミキシング装置の上面図である。
【
図3】(a)は、対象出力先ボタンがオフの場合のミキシング装置の上面図であり、(b)は、対象出力先ボタンがオンの場合のミキシング装置の上面図である。
【
図5】ミキシング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図8】(a)は、レベル表示処理のフローチャートであり、(b)は、音声出力処理のフローチャートである。
【
図10】(a)は、変形例におけるミキシング装置の上面図であり、(b)は、別の変形例におけるミキシング装置の上面図であり、(c)は、更に別の変形例におけるミキシング装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。
図1を参照して、本実施形態のミキシング装置1の概要を説明する。
図1は、ミキシング装置1の外観図である。ミキシング装置1は、入力された複数の音声をミキシング(合成)し、ミキシングされた音声を複数の出力先に出力する装置である。ミキシング装置1には、ヘッドセット50とPC70とが接続される。
【0010】
ヘッドセット50は、音声を入力するマイクロフォン(以下「マイク」と略す)と、音声を出力するヘッドホンとを有する入出力装置である。ヘッドセット50はユーザHに装着され、ユーザHの発する音声がマイクからミキシング装置1に入力され、更にその音声がミキシング装置1からPC70に入力される。また、ミキシング装置1からの音声がヘッドホンに入力される。
【0011】
PC70は、接続されるゲーム機60からの動画および音声と、後述のボイスチャットアプリ70aによる音声のやり取りとを配信サーバ120に出力する情報処理装置(コンピュータ)である。本実施形態においてゲーム機60は、ゲームサーバ100を介して他のゲーム機160,161等に接続され、ゲーム機60とゲーム機160,161等との間でゲームによる対戦プレイができるように構成される。ゲーム機60から、他のゲーム機160,161等との間の対戦プレイによるプレイ動画や音声がPC70に出力され、そのうちの音声がPC70からミキシング装置1に出力される。
【0012】
PC70には、主にボイスチャットアプリ70a及び配信アプリ70bが搭載される。ボイスチャットアプリ70aは、インターネットN上に接続されたボイスチャットサーバ110に接続された他のPC170,171等と音声によるやり取り(即ちボイスチャット)を行うアプリケーションソフトである。
【0013】
ヘッドセット50からミキシング装置1を介して入力された、ゲーム機60をプレイしているユーザHの音声がボイスチャットサーバ110に送信され、ボイスチャットサーバ110からその音声を他のPC170,171等のボイスチャットアプリ70aに送信される。
【0014】
一方、本実施形態においては、他のゲーム機160,161等のユーザHとPC170,171等のユーザHとは同一とされ、ゲーム機160,161等でゲームをプレイしているユーザHの音声が、PC170,171等のボイスチャットアプリ70aを介してボイスチャットサーバ110に送信され、ボイスチャットサーバ110からPC70のボイスチャットアプリ70aに送信される。
【0015】
そして、PC70のボイスチャットアプリ70aで受信された音声がミキシング装置1に出力され、ミキシング装置1からヘッドセット50に出力される。このようにして、PC70のユーザHと、他のPC170,171等のユーザHとのボイスチャットが実現される。
【0016】
配信アプリ70bは、ゲーム機60からのプレイ動画や音声と、ボイスチャットアプリ70aで他のPC170,171等から受信したボイスチャットの音声(以下「ボイスチャットの音声」と略す)と、ヘッドセット50のマイクから入力された音声(以下「マイクの音声」と略す)とによるコンテンツである配信コンテンツを作成し、配信サーバ120に送信するアプリケーションソフトである。詳細は後述するが、配信コンテンツのうちの音声、即ちゲーム機60からの音声、ボイスチャットの音声およびマイクの音声は、ミキシング装置1によってミキシングされた音声が用いられる。
【0017】
作成された配信コンテンツが配信アプリ70bから配信サーバ120に送信され、配信サーバ120に送信された配信コンテンツが視聴者端末200,201等に配信される。視聴者端末200,201等において配信された配信コンテンツが再生されることで、ゲーム機60によるプレイ動画やその音声、またその際にユーザH間で行われたボイスチャットの様子を視聴者端末200,201等のユーザHが視聴できる。本実施形態において視聴者端末200,201等として、PCや携帯端末、タブレット端末が例示されるが、これ以外の情報処理装置でも良い。
【0018】
以上のように、本実施形態においてミキシング装置1から出力される音声は、主にヘッドセット50のヘッドホンから出力される音声と、配信コンテンツに含まれる音声との2つである。ヘッドセット50のヘッドホンから出力される音声と配信コンテンツに含まれる音声とはいずれも、ゲーム機60による音声と、ボイスチャットの音声と、マイクの音声とをミキシングした音声である。
【0019】
しかしながら、ヘッドセット50から出力される音声と配信コンテンツに含まれる音声とで、ゲーム機60による音声等のそれぞれの音量設定値(ボリューム)や音響効果(例えばリバーブやディレイ等)の度合を異ならせたい場合がある。
【0020】
そこで本実施形態のミキシング装置1は、ヘッドセット50から出力される音声と配信コンテンツに含まれる音声とのそれぞれの音量や音響効果の度合を、容易かつ直感的に変更できるように構成される。
図2,3を参照して、ミキシング装置1における音声の音量設定値や音響効果の度合の設定を説明する。
【0021】
図2(a)は、ミキシング装置1の上面図であり、
図2(b)は、つまみ2aを操作し始めた直後のミキシング装置1の上面図であり、
図2(c)は、つまみ2aを操作している最中のミキシング装置1の上面図である。
図2(a)に示す通り、ミキシング装置1には、第1操作子2と、第2操作子3と、第3操作子4と、対象出力先ボタン5と、リンクボタン6と、効果設定ボタン7と、確認ボタン8とが設けられる。
【0022】
第1操作子2は、マイクから入力された音声の音量設定値や音響効果の度合を設定するための部材である。以下、音声や音響効果等の音声に関するパラメータのことを「音声設定」といい、音声の音量設定値や音響効果の度合等、音声設定の設定値のことを「音声設定値」という。
【0023】
第1操作子2には、つまみ2aとLED(Light Emitting Diode)2b~2hとが設けられる。つまみ2aは、上面視において円形に形成される回転式の操作子であり、マイクの音声に対応する音声設定値を変更(設定)するものである。具体的につまみ2aを右方向(時計回り)に回転させることで音声設定値を増加させ、つまみ2aを左方向(反時計回り)に回転させることで音声設定値を減少させる。
【0024】
またつまみ2aは、操作方向(右方向または左方向)への回転が無制限に行えるように構成される。従って、つまみ2aを右方向に回転させ続けてもその回転が途中で止まることはなく、つまみ2aを左方向に回転させ続けてもその回転が途中で止まることはない。
【0025】
LED2b~2hは、つまみ2aの外周に沿って設けられる表示装置である。LED2b~2hには、マイクの音声に適用される音声設定値と、マイクの音声にその音声設定値を適用した結果の音声のリアルタイムの出力レベル(レベルメータ)とのいずれかが表示され、音声設定値または出力レベルが大きくなるほど順にLED2b→LED2c→LED2d→LED2e→LED2f→LED2g→LED2hが点灯される。
【0026】
本実施形態において、音声設定値または出力レベルは、ミキシングされた音声の出力先ごと、即ちヘッドセット50と配信コンテンツとのそれぞれについて設けられている。これらのうち、LED2b~2hで表示し、つまみ2aで音声設定値(即ち音声の音量設定値や音響効果の度合等)を変更する対象の出力先(以下「対象出力先」という)を後述の対象出力先ボタン5で切替え可能に構成される。従って、LED2b~2hには、対象出力先ボタン5の設定状態に応じた出力先に対応する音声設定値または出力レベルが表示される。
【0027】
更にLED2b~2hによる音声設定値の表示と出力レベルの表示との切替えは、つまみ2aの右方向または左方向への操作に応じて行われる。
図2(a)においては、ユーザHがつまみ2aを操作していない状態であり、その場合はLED2b~2hには出力レベルが表示される。
図2及び以降の図においては、出力レベルの場合のLED2b~2hの表示を、LED2b~2hへのハッチングで表す。
【0028】
かかる状態でユーザHが音声設定値を増加させようと、つまみ2aを右方向に回転させる。そうすると、
図2(b)に示す通り、LED2b~2hの表示が音声設定値に切替わる。この際、LED2b~2hの表示態様(例えば点灯色)が出力レベルと異なったものに変更されても良い。
図2において、音声設定値の場合のLED2b~2hの表示を黒塗りで表す。ここでつまみ2aが操作され、LED2b~2hの表示が出力レベルから音声設定値に変更されるまでタイムラグが存在するため、つまみ2aが操作されているにもかかわらず、LED2b~2hには出力レベルが表示されている場合も存在する。かかる場合に、つまみ2aの操作に応じて音声設定値を変更してしまうと、ユーザHの想定外の音声設定値が設定される虞がある。
【0029】
そこで、つまみ2aが操作され、LED2b~2hの表示が出力レベルから音声設定値に変更されるまでの間は、つまみ2aの操作による設定値の変更を受け付けず、LED2b~2hの表示が音声設定値に変更された後に、つまみ2aの操作による音声設定値の変更を受け付ける(
図2(c)参照)。これにより、つまみ2aの操作による音声設定値の変更をLED2b~2hの表示によりユーザHが音声設定値を視認できる状態のみとすることができるので、ユーザHの想定外の音声設定値が設定される事態を抑制できる。
【0030】
また、つまみ2aを右方向に回転させることにより音声設定値を増加させた場合は、これに応じてLED2b→LED2c→LED2d→LED2e→LED2f→LED2g→LED2hの順に点灯していき、反対につまみ2aを左方向に回転させることにより音声設定値を減少させた場合は、これに応じてLED2h→LED2g→LED2f→LED2e→LED2d→LED2c→LED2bの順に消灯していく。
【0031】
つまり、音声設定値を増減させるつまみ2aの操作方向と、LED2b~2hの点灯/消灯の方向とが一致している。これにより、つまみ2aの操作による音声設定値の増減とLED2b~2hの点灯/消灯とに一体感を持たせることができるので、ユーザHは直感的につまみ2aによる音声設定値の設定を行うことができる。
【0032】
また、つまみ2aの操作に応じてLED2b~2hの表示を出力レベルと音声設定値とに切替えることで、音声設定値を設定する際に実際に出力される音声の出力レベルを確認または見比べることができる。これによっても、ユーザHは音声設定値の設定を直感的に行うことができる。更にLED2b~2hに出力レベルと音声設定値との両方が表示されることで、出力レベルと音声設定値とのそれぞれに表示装置を設ける必要がない。これにより、ミキシング装置1をコンパクトに構成できると共に、ミキシング装置1の製造コストを低減できる。
【0033】
第2操作子3は、ボイスチャットの音声の音量設定値や音響効果の度合を設定するための部材であり、つまみ3aと、LED3b~3hとが設けられる。つまみ3aは、上面視において円形に形成される回転式の操作子であり、ボイスチャットの音声の音量設定値を変更するものである。LED3b~3hは、つまみ3aの周囲に沿って設けられる表示装置であり、ボイスチャットの音声に対応する音声設定値または出力レベルを表示するものである。つまみ3aは上記したつまみ2aと同様の構成であり、LED3b~3hは上記したLED2b~2hと同様の構成なので、これらの詳細な説明は省略する。
【0034】
また、第3操作子4は、ゲーム機60からの音声の音量設定値や音響効果の度合を設定するための部材であり、つまみ4aと、LED4b~4hとが設けられる。つまみ4aは、上面視において円形に形成される回転式の操作子であり、ゲーム機60からの音声の音量設定値を変更するものである。LED4b~4hは、つまみ4aの周囲に沿って設けられる表示装置であり、ゲーム機60からの音声に対応する音声設定値または出力レベルを表示するものである。つまみ4aもつまみ2aと同様の構成であり、LED4b~4hもLED2b~2hと同様の構成なので、これらの詳細な説明は省略する。
【0035】
対象出力先ボタン5は、第1~3操作子2~4において、つまみ2a~4aによる音声設定値の変更やLED2b~4hによる音声設定値や出力レベルの表示を行う対象出力先(即ちヘッドセット50又は配信コンテンツ)を選択する操作子である。
図3を参照して、対象出力先ボタン5の動作を説明する。
【0036】
図3(a)は、対象出力先ボタン5がオフの場合のミキシング装置1の上面図であり、
図3(b)は、対象出力先ボタン5がオンの場合のミキシング装置1の上面図である。本実施形態において、対象出力先ボタン5がオフの場合は、対象出力先としてヘッドセット50が設定され、対象出力先ボタン5がオンの場合は対象出力先として配信コンテンツが設定される。
【0037】
これによって、
図3(a)に示すように対象出力先ボタン5がオフの場合は、LED2b~4hには、ヘッドセット50に対応する出力レベル等が表示され、対象出力先ボタン5がオフの状態でつまみ2a~4aが操作されることで、ヘッドセット50に対応するマイクの音声、ボイスチャットの音声、ゲーム機60からの音声のそれぞれの音声設定値が変更される。
【0038】
同様に、
図3(b)に示すように対象出力先ボタン5がオンの場合は、LED2b~4hには、配信コンテンツに対応する出力レベル等表示され、対象出力先ボタン5がオンの状態でつまみ2a~4aが操作されることで、配信コンテンツに対応するマイクの音声、ボイスチャットの音声、ゲーム機60からの音声のそれぞれの音声設定値が変更される。
【0039】
対象出力先ボタン5で対象出力先を選択し、つまみ2a~4aを操作することで、選択された対象出力先の、つまみ2a~4aのそれぞれに対応する音声設定値が設定される。そして、対象出力先ごとにつまみ2a~4aで設定された音声設定値が、マイクの音声、ボイスチャットの音声、ゲーム機60からの音声のそれぞれに適用され、音声設定値が適用された音声がミキシングされる。ミキシングされた対象出力先ごとの音声がそれぞれの出力先に出力される。
【0040】
以上のように、音声設定値の変更と、その音声設定値を変更する対象出力先の選択とが、物理的なつまみ2a~4aと対象出力先ボタン5とによって行われる。これにより、ユーザHは対象出力先の変更とその対象出力先への音声設定値の設定とを、PC70に接続される表示装置およびマウス等の入力装置(共に図示せず)で行う場合と比較して、より直感的に行うことができる。
【0041】
また、つまみ2a~4aは操作方向への回転が無制限に行えるように構成される。これにより、例えば、対象出力先ボタン5をオフにして、つまみ2aを右方向へ回転させてヘッドセット50の音声設定値を増加させた後に、対象出力先ボタン5をオンにして、配信コンテンツの音声設定値を増加させるためにつまみ2aを右方向へ回転させても、途中でつまみ2aの回転が止まることがない。これにより、同一のつまみ2a~4aによってヘッドセット50の音声設定値の設定と配信コンテンツの音声設定値の設定とを連続して行う場合の、ユーザHの操作性を向上させることができる。
【0042】
リンクボタン6は、つまみ2a~4aを操作による音声設定値の設定を、両方の対象出力先(即ちヘッドセット50及び配信コンテンツ)で同時に行うか否かを切替える操作子である。リンクボタン6がオフの場合は、つまみ2a~4aの操作に応じて対象出力先ボタン5で選択された対象出力先の音声設定値のみが設定される。
【0043】
一方で、リンクボタン6がオンの場合は、つまみ2a~4aの操作に応じてヘッドセット50と配信コンテンツとのそれぞれの音声設定値が設定される。具体的には、つまみ2a~4aの操作に応じた音声設定値の変化量が、ヘッドセット50と配信コンテンツとのそれぞれの音声設定値に加算される。なお、つまみ2a~4aを左方向に回転させた場合は、音声設定値の変化量がマイナスとなるので、ヘッドセット50と配信コンテンツとのそれぞれの音声設定値が変化量の絶対値の大きさだけが減算されることになる。
【0044】
よって、リンクボタン6がオンにすることで、一度のつまみ2a~4aの操作によりヘッドセット50と配信コンテンツとの両方の音声設定値が、同じ変化量だけ加算される。これにより、対象出力先ボタン5によって出力先をヘッドセット50と配信コンテンツとに切替えながら音声設定値を変更する場合と比較して、ユーザHの音声設定値の変更にかかる手間を省略することができる。
【0045】
ところで、リンクボタン6がオンした場合でもLED4b~4hに表示される音声設定値は、対象出力先ボタン5で選択された対象出力先の音声設定値のみである。よって、対象出力先ボタン5で選択されていない方の音声設定値はLED4b~4hに表示されないので、リンクボタン6がオンにしてつまみ2a~4aを操作することで、対象出力先ボタン5で選択されていない方の音声設定値が上限または下限を超えてしまう場合がある。
【0046】
そこで本実施形態では、リンクボタン6がオンにしてつまみ2a~4aを操作した際、ヘッドセット50と配信コンテンツとのいずれかの音声設定値が上限または下限を超えた場合は、いずれの音声設定値の設定も行わないように構成される(即ちいずれかの音声設定値が上限または下限までは設定が行われる)。これにより、LED4b~4hに表示されない対象出力先ボタン5で選択されていない方の音声設定値が上限または下限を超えて設定される事態を抑制できるので、ヘッドセット50と配信コンテンツとの音声設定値の設定を適正な範囲で行うことができる。
【0047】
また、ヘッドセット50と配信コンテンツとのいずれかの音声設定値が上限または下限を超えた場合に、いずれの音声設定値の設定も行わないように構成されることで、いずれかの音声設定値が上限または下限を超えた場合に、つまみ2a~4aを操作してもLED2b~4hの表示に変化が生じない。これにより、ユーザHにいずれかの音声設定値が上限または下限を超えて設定されることを、LED2b~4hの表示によって認識させることができる。
【0048】
効果設定ボタン7は、つまみ2a~4aで設定され、LED4b~4hで表示される音声設定の対象(以下「対象設定」という)を、音量設定値または音響効果の度合いずれかに切替えるための操作子である。効果設定ボタン7がオンの場合は、対象設定に「音響効果の度合」が設定され、効果設定ボタン7がオフの場合は、対象設定に「音量設定値」が設定される。
【0049】
特に効果設定ボタン7をオンにして、つまみ2a~4aで設定等がされる対象設定を「音響効果の度合」にし、つまみ2a~4aによって音響効果の度合を最低値(例えば0)にすることで、音響効果をオフにすることができる。また、つまみ2a~4aによって音響効果の度合を最低値より大きな値にすることで、音響効果をオンにし、更にその音響効果の度合をつまみ2a~4aによって調整することができる。
【0050】
確認ボタン8は、配信コンテンツ用にミキシングされた音声を、ヘッドセット50にも出力するかを切替える操作子である。確認ボタン8がオンの場合は、ヘッドセット50にも配信コンテンツ用にミキシングされた音声が出力される。一方で確認ボタン8がオフの場合は、ヘッドセット50には、ヘッドセット50用にミキシングされた本来の音声が出力される。確認ボタン8をオンにすることで、ヘッドセット50用にミキシングされた本来の音声に代わり、配信コンテンツ用にミキシングされた音声をヘッドセット50で確認できるので、ユーザHはかかる音声を聞きながら、つまみ2a~4aで配信コンテンツの音声設定値を変更・調整することができる。
【0051】
なお、上記した対象出力先ボタン5に確認ボタン8と同等の機能を持たせて、ミキシング装置1から確認ボタン8を省略しても良い。具体的には、対象出力先ボタン5がオフの場合はヘッドセット50からヘッドセット50用にミキシングされた音声を出力し、対象出力先ボタン5がオンの場合はヘッドセット50から配信コンテンツ用にミキシングされた音声を出力しても良い。
【0052】
次に
図4を参照して、ミキシング装置1の機能を説明する。
図4は、ミキシング装置1の機能ブロック図である。
図4に示すように、ミキシング装置1は、入力部300と、複数の出力部301と、音声設定操作子302と、選択操作子303と、設定値取得部304と、ミキシング部305とを有する。
【0053】
入力部300は、音声を入力するものであり、
図5で後述のCPU10、音声入出力装置15及び外部入出力装置16で実現される。出力部301は、音声を出力するものであり、音声入出力装置15及び外部入出力装置16で実現される。音声設定操作子302は、音声設定値を設定する操作子であり、つまみ2a~4aで実現される。選択操作子303は、音声設定値の設定を行う対象の出力部301を選択する操作子であり、対象出力先ボタン5で実現される。
【0054】
設定値取得部304は、選択操作子303で選択された出力部301に対する音声設定操作子302で設定された音声設定値を取得するものであり、CPU10で実現される。ミキシング部305は、出力部301ごとに、設定値取得部304で取得された音声設定値であって、出力部301に対応する音声設定値に基づいて入力部300で入力された音声をミキシングするものであり、CPU10で実現される。
【0055】
即ち音声設定値の設定を行う対象の出力部301の選択と、その出力部301に対する音声設定値の設定とが、物理的な操作子である選択操作子303及び音声設定操作子302で行われる。これにより、ユーザHはこれらの音声設定値の設定を行う対象の出力部301の選択および音声設定値の設定を直感的に行うことができる。
【0056】
次に、
図5,6を参照してミキシング装置1の電気的構成を説明する。
図5は、ミキシング装置1の電気的構成を示すブロック図である。ミキシング装置1には、CPU10と、フラッシュROM11と、RAM12とを有し、これらはバスライン13を介して入出力ポート14にそれぞれ接続されている。入出力ポート14には更に、上記の第1操作子2、第2操作子3、第3操作子4、対象出力先ボタン5、リンクボタン6、効果設定ボタン7及び確認ボタン8と、音声入出力装置15と、外部入出力装置16とが接続される。
【0057】
CPU10は、バスライン13により接続された各部を制御する演算装置である。フラッシュROM11は、CPU10により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、制御プログラム11aと、設定値テーブル11bとを含む。CPU10において制御プログラム11aが実行されると、
図7のメイン処理が実行される。
図6を参照して設定値テーブル11bを説明する。
【0058】
図6は、設定値テーブル11bを模式的に表す図である。
図6に示す通り、設定値テーブル11bには、第1~3操作子2~4及び対象出力先(即ち配信コンテンツ又はヘッドセット50)の組み合わせごとに、音声設定値(即ち音量設定値および音響効果の度合)が記憶される。
【0059】
図5に戻る。RAM12は、CPU10が制御プログラム11aの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリであり、対象出力先が記憶される対象出力先メモリ12aと、音声設定の対象設定が記憶される対象設定メモリ12bとを含む。
【0060】
音声入出力装置15は、ヘッドセット50のマイクから音声を入力し、ヘッドセット50のヘッドホンに音声を出力する装置である。外部入出力装置16は、外部の機器と通信するための装置であり、PC70と接続される。外部入出力装置16を介して、PC70から、ボイスチャットの音声や、PC70に接続されるゲーム機60からの音声がミキシング装置1に入力される。この際、外部入出力装置16からはゲーム機60からの音声とボイスチャットの音声とが区別されて入力される。また、ミキシング装置1からミキシングされた配信コンテンツ用の音声が外部入出力装置16を介してPC70に出力される。
【0061】
次に
図7~9を参照して、CPU10で実行される処理を説明する。
図7は、メイン処理のフローチャートである。メイン処理は、ミキシング装置1の電源投入後にCPU10で実行される処理である。
【0062】
メイン処理はまず、対象出力先ボタン5がオフかを確認する(S1)。S1の処理において、対象出力先ボタン5がオフの場合は(S1:Yes)、対象出力先メモリ12aに「ヘッドセット50」を設定する(S2)。一方でS1の処理において、対象出力先ボタン5がオンの場合は(S1:No)、対象出力先メモリ12aに「配信コンテンツ」を設定する(S3)。
【0063】
S2,S3の処理の後、効果設定ボタン7がオンかを確認する(S4)。S4の処理において、効果設定ボタン7がオンの場合は(S4:Yes)、対象設定メモリ12bに「音響効果の度合」を設定する(S5)。一方でS4の処理において、効果設定ボタン7がオフの場合は(S4:No)、対象設定メモリ12bに「音量」を設定する(S6)。
【0064】
S5,S6の処理の後、PC70からゲーム機60からの音声と、ボイスチャットの音声とを取得し、ヘッドセット50からマイクの音声を取得する(S7)。S7の処理の後、取得したゲーム機60からの音声、ボイスチャットの音声及びマイクの音声に、設定値テーブル11bの音声設定値を適用させた音声を作成する(S8)。
【0065】
具体的に、設定値テーブル11bから第1操作子2の配信コンテンツに対応する音声設定値を取得し、マイクの音声に、取得された音声設定値を適用させた音声、即ちマイクの音声の音量に第1操作子2の配信コンテンツに対応する音量設定値(
図6では「30」)を適用させ、更にその音声に第1操作子2の配信コンテンツに対応する音響効果の度合(
図6では「20」)に基づく音響効果を適用させた音声を作成する。また、設定値テーブル11bから第1操作子2のヘッドセット50に対応する音声設定値を取得し、マイクの音声に、取得された音声設定値を適用させた音声を作成する。
【0066】
同様に、設定値テーブル11bから第2操作子3の配信コンテンツに対応する音声設定値とヘッドセット50に対応する音声設定値とを取得し、ボイスチャットの音声に、取得されたそれぞれの音声設定値を適用させた音声をそれぞれ作成する。また、設定値テーブル11bから第3操作子4の配信コンテンツに対応する音声設定値とヘッドセット50に対応する音声設定値とを取得し、ゲーム機60の音声に、取得されたそれぞれの音声設定値を適用させた音声をそれぞれ作成する。
【0067】
S8の処理の後、レベル表示処理(S9)を実行し、その後、音声出力処理(S10)を実行する。ここで
図8を参照して、レベル表示処理および音声出力処理を説明する。
【0068】
図8(a)は、レベル表示処理のフローチャートである。レベル表示処理はまず、
図7のS8の処理で作成された音声のうち、対象出力先メモリ12aの対象出力先に該当する音声の出力レベルをそれぞれ取得する(S20)。S20の処理の後、取得された音声の出力レベルをそれぞれ対応する第1~3操作子2~4のLED2b~4hに表示させ(S21)、レベル表示処理を終了する。
【0069】
図8(b)は、音声出力処理のフローチャートである。音声出力処理はまず、確認ボタン8がオンかを確認する(S30)。S30の処理において、確認ボタン8がオンの場合は(S30:Yes)、
図7のS8の処理で作成された音声のうち、配信コンテンツに対応する音声を取得してミキシングし、PC70及びヘッドセット50にそれぞれ出力する(S31)。これにより、ヘッドセット50においても、配信コンテンツで出力される音声が出力される。
【0070】
一方でS30の処理において、確認ボタン8がオフの場合は(S30:No)、S8の処理で作成された音声のうち、配信コンテンツに対応する音声を取得してミキシングし、PC70に出力する(S32)。S32の処理の後、S8の処理で作成された音声のうち、ヘッドセット50に対応する音声を取得してミキシングし、ヘッドセット50に出力する(S33)。S31,S33の処理の後、音声出力処理を終了する。
【0071】
ここで、上記した通り、ミキシング装置1から確認ボタン8を省略し、対象出力先ボタン5の設定状態に応じてヘッドセット50に出力される音声を切り替えても良い。具体的には、S30の処理において対象出力先ボタン5がオンの場合に、S31の処理を行い、S30の処理において対象出力先ボタン5がオフの場合に、S32,S33の処理を行えば良い。
【0072】
図7に戻る。S10の音声出力処理の後、第1~第3操作子2~4のつまみ2a~4aのいずれかが操作されたかを確認する(S11)。S11の処理において、つまみ2a~4aのいずれかが操作された場合は(S11:Yes)、操作処理(S12)を実行する。ここで
図9を参照して、操作処理を説明する。
【0073】
図9は、操作処理のフローチャートである。操作処理はまず、操作されたつまみ2a~4aに対応するLED2b~4hの表示を、出力レベルからそのつまみ2a~4aに対応する対象出力先メモリ12aの対象出力先の対象設定メモリ12bの対象設定の音声設定値に変更する(S40)。
【0074】
具体的には、操作されたつまみ2a~4aを特定し、そのつまみ2a~4aに対応する対象出力先メモリ12aの対象出力先の対象設定メモリ12bの対象設定の音声設定値を設定値テーブル11bから取得し、取得された音声設定値をLED2b~4hに表示させる。
【0075】
S40の処理の後、S40の処理によってLED2b~4hの表示が出力レベルから対象出力先の対象設定の音声設定値に切り替わったかを確認する(S41)。S41の処理において、LED2b~4hの表示が出力レベルから対象出力先の対象設定の音声設定値に切り替わっていない場合は(S41:No)、S41の処理を繰り返す。これによって、LED2b~4hの表示が出力レベルから対象出力先の対象設定の音声設定値に切り替わるまでの間の、つまみ2a~4aの操作による音声設定値の変更を受け付けない。
【0076】
一方で、LED2b~4hの表示が出力レベルから対象出力先の対象設定の音声設定値に切り替わった場合は(S41:Yes)、LED2b~4hの表示が切り替わった後からのつまみ2a~4aの操作量を取得する(S42)。S42の処理の後、取得された操作量に対応する対象出力先メモリ12aの対象出力先の対象設定メモリ12bの対象設定の変化量を算出する(S43)。
【0077】
S43の処理の後、リンクボタン6がオンかを確認する(S44)。S44の処理において、リンクボタン6がオンの場合は(S44:Yes)、設定値テーブル11bから、つまみ2a~4aが操作された第1~3操作子2~4の配信コンテンツの対象設定メモリ12bの対象設定の音声設定値を取得する。取得した音声設定値にS43の処理で算出された変化量を加算する(S45)。
【0078】
S45の処理の後、設定値テーブル11bから、つまみ2a~4aが操作された第1~3操作子2~4のヘッドセット50の対象設定メモリ12bの対象設定の音声設定値を取得する。取得した音声設定値にS43の処理で算出された変化量を加算する(S46)。
【0079】
S46の処理の後、S45,S46の処理で加算された音声設定値のいずれかが、対象設定メモリ12bの対象設定の上限または下限を超えたかを確認する(S47)。具体的には、S45,S46の処理で加算された音声設定値のいずれかが対象設定の上限以下の値から、対象設定の上限より大きい値となったか、又は、S45,S46の処理で加算された音声設定値のいずれかが対象設定の下限以上の値から下限より小さい値になったかを確認する。
【0080】
S47の処理において、S45,S46の処理で加算された音声設定値のいずれも対象設定メモリ12bの対象設定の上限または下限を超えていない場合は(S47:No)、S45,S46の処理で加算された音声設定値をそれぞれ設定値テーブル11bの該当する領域に保存する(S48)。一方でS47の処理において、S45,S46の処理で加算された音声設定値のいずれかが、対象設定メモリ12bの対象設定の上限または下限を超えた場合は(S47:Yes)、S48の処理をスキップする。
【0081】
これにより、リンクボタン6がオンの場合に、つまみ2a~4aの操作により、対応するヘッドセット50及び配信コンテンツの音声設定値を同時に変更できる。一方で、ヘッドセット50及び配信コンテンツのいずれかの音声設定値が上限または下限を超えた場合は、いずれの音声設定値も変更されない。
【0082】
一方でS44の処理において、リンクボタン6がオフの場合は(S44:No)、設定値テーブル11bから、つまみ2a~4aが操作された第1~3操作子2~4の対象出力先メモリ12aの対象出力先の対象設定メモリ12bの対象設定に該当する音声設定値を取得する。取得した音声設定値に、S43の処理で算出された変化量を加算する(S49)。
【0083】
S49の処理の後、S49の処理で加算された音声設定値が対象出力先メモリ12aの対象出力先の対象設定メモリ12bの対象設定の上限または下限を超えたかを確認する(S50)。S50の処理において、S49の処理で加算された音声設定値が対象出力先の対象設定の上限または下限を超えていない場合は(S50:No)、S49の処理で加算された音声設定値を設定値テーブル11bの該当する領域に保存する(S51)。一方でS50の処理において、S49の処理で加算された音声設定値が対象出力先の対象設定の上限または下限を超えた場合は(S50:Yes)、S51の処理をスキップする。
【0084】
S47,S48,S50,S51の処理の後、設定値テーブル11bから、つまみ2a~4aが操作された第1~3操作子2~4の対象出力先メモリ12aの対象出力先の対象設定メモリ12bの対象設定に該当する音声設定値を取得し、取得した音声設定値を対応するLED2b~4hに表示させる(S52)。
【0085】
図7に戻る。S11の処理において、つまみ2a~4aのいずれかが操作されていない場合は(S11:No)、S12の操作処理(S12)をスキップする。S11,S12の処理の後、S1以下の処理を繰り返す。
【0086】
以上、上記実施形態に基づき説明したが、種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0087】
上記実施形態では、音声設定値を変更する操作子(音声設定操作子)として、回転式のつまみ2a~4aを例示したが、これに限られない。例えば、
図10(a)に示すミキシング装置500のように、音声設定操作子を、ノブを上下方向に操作させるスライダ方式の操作子20aとしても良い。この場合、LED20b~20hを操作子20aの操作方向、即ち上下方向に配置すれば良い。
【0088】
また、
図10(b)に示すミキシング装置501のように、音声設定操作子を、音声設定値を増加させる上ボタン21auと音声設定値を減少させる下ボタン21adとで構成しても良い。更には
図10(c)に示すミキシング装置502のように、音声設定操作子を、予め0~9等の数値が割り当てられた回転式の操作子22aで構成しても良い。この場合、操作子22aにおいて正面に位置する数値(例えば
図10(c)の操作子22aにおいては「2」が該当する)に応じた値(例えば数値に所定の係数を乗じた値)が音声設定値として取得される。なお、操作子22aは数値が割り当てられるものに限られない。例えば、操作子22aにA,B,C等の文字を割り当て、操作子22aにおいて正面に位置する文字に応じた値の音声設定値を取得しても良い。
【0089】
また、音声設定操作子をつまみやノブで構成するものに限られず、タッチパネルで構成しても良い。この際、例えば、タッチパネルに上方向のスワイプが入力された場合は、音声設定値を増加させ、タッチパネルに下方向のスワイプが入力された場合は、音声設定値を減少させれば良い。
【0090】
上記実施形態では、第1~第3操作子2~4にそれぞれにマイクの音声と、ボイスチャットの音声と、ゲーム機60の音声とをそれぞれ割り当てたが、これに限られない。例えば、第1操作子2にボイスチャットの音声を割り当て、第2操作子3にマイクの音声を割り当て、第3操作子4にゲーム機60の音声を割り当てても良い。
【0091】
また、第1~第3操作子2~4に割り当てる音声の入力先を切り替える操作子等を設けても良い。更にPC70からの指示に応じて第1~第3操作子2~4に割り当てる入力先を切り替えても良い。この場合、PC70からの指示に用いられる制御信号としてMIDI(Musical Instrument Digital Interface)規格の制御信号が例示される。
【0092】
更には、ミキシング装置1でミキシングする音声はマイクの音声、ボイスチャットの音声、ゲーム機60からの音声に限られない。例えば、マイクの音声の代わりに音楽プレーヤーで再生された楽曲の音声を用いても良いし、電子楽器で演奏された楽音を用いても良い。これらの場合、第1~第3操作子2~4に、マイクの音声の代わりに音楽プレーヤーで再生された楽曲の音声や電子楽器で演奏された楽音を割り当てれば良い。同様に、ボイスチャットの音声やゲーム機60からの音声の代わりに、他の装置やPC70で実行される他のアプリケーションソフトから入力された音声を用いても良い。例えば、ゲーム機60の代わりに、PC70にゲームのアプリケーションソフト(以下「ゲームアプリ」という)を搭載し、PC70で実行されるゲームアプリのプレイ時の音声を用いても良い。
【0093】
また上記実施形態では、ミキシング装置1に第1~3操作子2~4の3つの操作子を設けたが、これに限られない。ミキシング装置1に設けられる操作子の数は、ミキシング装置1に入力される音声の数に応じて、2以下でも良いし、4以上でも良い。
【0094】
上記実施形態では、対象出力先ボタン5がオフの場合は、対象出力先としてヘッドセット50が設定され、オンの場合は対象出力先として配信コンテンツが設定されたが、これに限られない。対象出力先ボタン5がオンの場合に、対象出力先としてヘッドセット50が設定され、オフの場合に対象出力先として配信コンテンツが設定されても良い。また、対象出力先ボタン5の代わりに、複数の出力先から1つの出力先を選択する選択操作子(例えばロータリースイッチ)を設け、選択操作子により選択されている出力先が対象出力先として設定されても良い。この場合、選択操作子で選択可能な出力先としてヘッドセット50、配信コンテンツ以外の出力先を含めることで、ヘッドセット50、配信コンテンツ以外の出力先に対する音声設定値の変更や出力レベルの表示も行うことができる。
【0095】
上記実施形態では、リンクボタン6がオンにしてつまみ2a~4aを操作した際、ヘッドセット50と配信コンテンツとのいずれかの音声設定値が上限または下限を超えた場合は、いずれの音声設定値の設定も行わないように構成した。しかし、これに限られず、リンクボタン6がオンにしてつまみ2a~4aを操作した際、ヘッドセット50と配信コンテンツとのいずれかの音声設定値が上限または下限を超えた場合に、上限または下限を超えた方の音声設定値の設定は行わない一方で、上限または下限を超えていない方の音声設定値の設定を、その音声設定値の上限または下限となるまで継続しても良い。
【0096】
上記実施形態では、ミキシング装置1に接続されるものとしてヘッドセット50を例示したが、これに限られない。マイクとヘッドホンとを別々の装置としても良いし、ヘッドホンの代わりにスピーカを用いても良い。
【0097】
上記実施形態では、LED2a~4hに、出力レベルと音声設定値とを切り替えて表示したが、これに限られない。例えば、出力レベル用のLEDと音声設定値用のLEDとをそれぞれ別々に設け、出力レベルと音声設定値とを同時に表示するようにしても良い。また、表示装置はLEDに限られず、表示装置として7セグメントLEDを用い、7セグメントLEDに出力レベル又は音声設定値の大きさに応じた数値を表示しても良い。
【0098】
更には表示装置を、つまみ2a~4aの外周に沿って設けられたLCD(Liquid Crystal Display)としても良い。この場合、LCDに出力レベル又は音声設定値の大きさに応じた長さの棒状の表示パーツを表示しても良いし、出力レベル又は音声設定値の大きさに応じた色をLCDに表示させても良い(例えば、出力レベル等が小さいほど青色を表示し、出力レベル等が大きいほど赤色を表示する)。また、LCDに出力レベル又は音声設定値の大きさに応じた数値や文字(例えば、出力レベル等が大きい順にA,B,C,・・・)を表示しても良い。
【0099】
上記実施形態では、音響効果の度合をつまみ2a~4aによって最低値に設定することで音響効果をオフするようにしたが、これに限られない。例えば、音響効果のオン/オフを切り替えるボタンを第1~3操作子2~4にそれぞれ設け、当該ボタンの状態に応じて、対応するマイクの音声、ボイスチャットの音声またはゲーム機60の音声への音響効果のオン/オフを個別に切り替えても良い。
【0100】
上記実施形態では、つまみ2a~4aを操作した際、LED2b~4hの表示が出力レベルから音声設定値に切り替わった後に、つまみ2a~4aによる音声設定値の変更を可能とする構成したが、これに限られない。LED2b~4hの表示に関わらず、つまみ2a~4aの操作に応じて音声設定値を変更しても良い。
【0101】
また、LED2b~4hの表示が出力レベルから音声設定値に切り替わった後、更に所定時間後(例えば0.5秒後)に音声設定値を変更可能にしても良い。これにより、ユーザHの想定外の音声設定値が設定されるのをより好適に抑制できる。更にこの際、LED2b~4hの表示が出力レベルから音声設定値に切り替わった直後のLED2b~4hの表示をある表示態様(例えば点灯色が「赤」)とし、それから所定時間が経過した後のLED2b~4hの表示を別の表示態様(例えば点灯色が「青」)とすることで、ユーザHに音声設定値が変更可能になった旨を通知しても良い。
【0102】
上記実施形態では、
図8(b)のS41~S43の処理において、確認ボタン8がオンの場合、ヘッドセット50に、ヘッドセット50に対応する音声に代わり、配信コンテンツに対応する音声を出力したが、これに限られない。例えば、確認ボタン8がオンの場合、ヘッドセット50に、ヘッドセット50に対応する音声と配信コンテンツに対応する音声との両方の音声を出力しても良い。
【0103】
この際、例えば、ヘッドセット50のヘッドホンにおける右側のチャンネル(右耳に対応するチャンネル)にヘッドセット50に対応する音声を出力し、ヘッドセット50のヘッドホンにおける左側のチャンネル(左耳に対応するチャンネル)に配信コンテンツに対応する音声を出力しても良い。
【0104】
上記実施形態では、ゲーム機60が接続されたPC70に、ミキシング装置1を接続する構成としたが、これに限られない。例えば、ゲーム機60の代わりに、PC70に電子楽器等その他の音を出力する電子機器を接続し、電子楽器等で出力される音声をミキシング装置1でミキシングしても良い。また、PC70を省略し、ゲーム機60や電子楽器等に直接ミキシング装置1を接続しても良い。
【0105】
上記実施形態では、制御プログラム11aをミキシング装置1で実行したが、これに限られない。例えば、制御プログラム11aをPC70や携帯端末等の情報処理装置(コンピュータ)で実行しても良い。この場合、制御プログラム11aを実行する情報処理装置に、第1~3操作子2~4、対象出力先ボタン5、リンクボタン6、効果設定ボタン7及び確認ボタン8を設ければ良い。
【符号の説明】
【0106】
1,500,501,502 ミキシング装置
15 音声入出力装置(入力部の一部、出力部の一部)
16 外部入出力装置(入力部の一部、出力部の一部)
2a,3a,4a つまみ(音声設定操作子)
2b~2h,3b~3h,4b~4h,20b~20h,21b~21h,22b~22h LED(表示部)
5 対象出力先ボタン(選択操作子)
20a 操作子(音声設定操作子)
21au 上ボタン(音声設定操作子)
21ad 下ボタン(音声設定操作子)
22a 操作子(音声設定操作子)
S8 設定値取得手段、ミキシング手段の一部、設定値取得ステップ、ミキシングステップの一部
S31~S33 ミキシング手段の一部、ミキシングステップの一部