(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180865
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 3/14 20060101AFI20231214BHJP
A46B 7/10 20060101ALI20231214BHJP
B24D 13/10 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A46B3/14
A46B7/10
B24D13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094516
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(72)【発明者】
【氏名】高井 勉
【テーマコード(参考)】
3B202
3C063
【Fターム(参考)】
3B202AA24
3B202AA28
3B202AB19
3B202BA03
3B202BB06
3B202BB07
3B202EA01
3B202EA03
3B202EA04
3B202ED08
3B202EE07
3B202EG13
3C063AA07
3C063AB09
3C063BA17
3C063BG04
3C063BH03
3C063EE29
(57)【要約】
【課題】 毛材束の抜け止めを確実に行うことができると共に、製造コストの低減を図ることができるブラシを提供する。
【解決手段】 ブラシ10は、中空形状であると共に、側壁1aに複数の挿通孔1bが形成されたシャフト1と、挿通孔1bに挿入して固定される円筒状の保持体2と、保持体2に挿入して固定される毛材束3とを有しており、保持体2の一端側の外周面は、挿通孔の直径よりも径が大きい径大部2aを有し、毛材束3を保持体2に挿入し、保持体2を挿通孔1bに挿入した状態で、保持体2の他端側を加圧変形させることで、外周面が外径方向に拡大したカシメ部2bが形成されており、毛材束3と保持体2、保持体2とシャフト1は、各々圧着固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空形状であると共に、側壁に複数の挿通孔が形成されたシャフトと、
前記挿通孔に挿入して固定される円筒状の保持体と、
前記保持体に挿入して固定される毛材束と、を有するブラシにおいて、
前記保持体の一端側の外周面は、前記挿通孔の直径よりも径が大きい径大部を有し、
前記毛材束を前記保持体に挿入し、前記保持体を前記挿通孔に挿入した状態で、前記保持体の他端側を加圧変形させることで、外周面が外径方向に拡大したカシメ部が形成されており、
前記毛材束と前記保持体、前記保持体と前記シャフトは、各々圧着固定されていることを特徴とするブラシ
【請求項2】
カシメ部の最大外径は、挿通孔の直径以上であることを特徴とする請求項1に記載のブラシ
【請求項3】
カシメ部の外周面の一部は、挿通孔の開口縁近傍に当接していることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラシ
【請求項4】
保持体は、カシメ部より他端側の開口部が開拡していることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラシ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製品のバリ取り、洗車、道路清掃等の各種清掃、洗浄に使用することができるブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種清掃に使用されるブラシの発明が従来から知られており、その一例として、特許文献1に記載のコンクリート打設面清掃用ブラシがある。
【0003】
特許文献1に記載のブラシは、周方向および軸線方向に多数のスリーブ状の単体ブラシ取付部材が溶接等により固着されたブラシ芯を有し、そのブラシ芯の各単体ブラシ取付部材には所定の長さに切断されたワイヤロープの複数本をスリーブ状のワイヤロープ保持部材でかしめてなる単体ブラシのワイヤロープ保持部材が嵌入され、その単体ブラシのワイヤロープ保持部材とブラシ芯の単体ブラシ取付部材に形成した孔にロッドを挿通することによりブラシ芯に単体ブラシを着脱可能に取付けてなるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のブラシは、単体ブラシの抜け止めを防ぐことができるものであったが、製造工程が多いことから、さらに製造コストの低減を図るためには、製造工程を見直して簡略化する必要があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、毛材束の抜け止めを確実に行うことができると共に、製造コストの低減を図ることができるブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、中空形状であると共に、側壁に複数の挿通孔が形成されたシャフトと、前記挿通孔に挿入して固定される円筒状の保持体と、前記保持体に挿入して固定される毛材束と、を有するブラシにおいて、前記保持体の一端側の外周面は、前記挿通孔の直径よりも径が大きい径大部を有し、前記毛材束を前記保持体に挿入し、前記保持体を前記挿通孔に挿入した状態で、前記保持体の他端側を加圧変形させることで、外周面が外径方向に拡大したカシメ部が形成されており、前記毛材束と前記保持体、前記保持体と前記シャフトは、各々圧着固定されていることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明では、保持体の他端側を加圧変形させて形成されたカシメ部によって、毛材束と保持体、保持体とシャフトの各々が圧着固定されているので、毛材束の抜け止めを確実に行うことができると共に、従来と比較して製造工程を簡略化することができるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、カシメ部の最大外径は、挿通孔の直径以上であることを特徴としている。これにより、毛材束と保持体がシャフトから抜けるのを確実に防ぐことができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、カシメ部の外周面の一部は、挿通孔の開口縁近傍に当接していることを特徴としている。これにより、保持体がシャフトの挿通孔内でがたつくのを防ぐことができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、保持体は、カシメ部より他端側の開口部が開拡していることを特徴としている。これにより、ブラシに応力が加わった場合に、毛材束が保持体の端部に当接して擦り切れたり、折れたり、外側に向かって曲がる癖がつくのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明は、毛材束の抜け止めを確実に行うことができると共に、製造コストの低減を図ることができる。また、請求項2の発明は、毛材束と保持体がシャフトから抜けるのを確実に防ぐことができる。また、請求項3の発明は、保持体がシャフトの挿通孔内でがたつくのを防ぐことができる。また、請求項4の発明は、ブラシに応力が加わった場合に、毛材束が保持体の端部に当接して擦り切れたり、折れたり、外側に向かって曲がる癖がつくのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るブラシの第1実施形態を示す斜視図
【
図2】(a)第1実施形態のブラシを側面方向から視た一部断面図(b)第1実施形態のブラシを平面方向から視た一部断面図
【
図3】(a)
図2(a)のA-A断面図(b)
図2(a)のB-B断面図
【
図4】(a)本発明に係るブラシの第2実施形態を示す斜視図(b)同ブラシを側面方向から視た一部断面図(c)同ブラシを平面方向から視た一部断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明に係るブラシの第1実施形態を示す斜視図であり、
図2(a)は、第1実施形態のブラシを側面方向から視た一部断面図、
図2(b)は、第1実施形態のブラシを平面方向から視た一部断面図である。これらの図を用いて本発明に係るブラシの第1実施形態について以下に説明する。
【0015】
第1実施形態のブラシ10は、中空形状であると共に、側壁1aに複数の挿通孔1b、1b・・・が形成されたシャフト1と、挿通孔1bに挿入して固定される円筒状の保持体2と、保持体2に挿入して固定される毛材束3とを有しており、保持体2の一端側の外周面は、挿通孔1bの直径よりも径が大きい径大部2aを有している。
【0016】
尚、毛材束3は複数の毛材3aを収束させてなるものであり、直線状に限定するものではなく、波状等、種々の形状を採用することができる。また、毛材3aの材質は、金属に限定するものではなく、ナイロンやPP、PE等の合成樹脂、天然ゴム等の天然樹脂等、種々の材質を採用することができる。また、シャフト1の形状を中空の円筒形状としているが、これに限定するものではなく、種々の形状を採用することができる。
【0017】
また、シャフト1の側壁1aに形成されている複数の挿通孔1bの全てに毛材束3を固定しなくてもよく、ブラシの使用態様に応じて適宜選択的に配置されるものである。また、挿通孔1bの形状は、保持体2の外形に対応させて適宜変更できるものであって、その大きさは、保持体2の径大部2a以外の外周面が嵌入される程度の大きさが好ましい。
【0018】
そして、保持体2を挿通孔1bに挿入し、毛材束3を保持体2に挿入した状態で、保持体2の他端側を加圧変形させることで、外周面が外径方向に拡大したカシメ部2bが形成されている。また、カシメ部2bが形成されることによって、毛材束3と保持体2、保持体2とシャフト1は、各々圧着固定された状態となっている。
【0019】
第1実施形態のブラシ10は前述のように構成されているので、毛材束3の抜け止めを確実に行うことができると共に、従来と比較して製造工程を簡略化することができるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0020】
また、カシメ部2bの最大外径は、挿通孔1bの直径以上となるようにしている。これにより、毛材束3と保持体2がシャフト1から抜けるのを確実に防ぐことができる。
【0021】
また、
図2(a)に示すように、カシメ部2bの外周面の一部は、挿通孔1bの開口縁近傍に当接している。具体的には、第1当接部5aで、保持体2がシャフト1に当接すると共に、シャフト1側に向かって圧力が加わっており、第2当接部5bでも保持体2がシャフト1に当接すると共に、シャフト1側に向かって圧力が加わることによって、保持体2とシャフト1は、圧着固定された状態となっている。これにより、保持体2がシャフト1の挿通孔1b内でがたつくのを防ぐことができる。尚、第2当接部5bがシャフト1側に向かって圧力が加わっていない場合でも、第1当接部5aをシャフト1側へ強く押圧させることで、保持体2をシャフト1に確実に固定することができる。
【0022】
また、
図2(b)に示すように、保持体2は、カシメ部2bより他端側の開口部6が開拡している。これにより、ブラシ10に応力が加わった場合に、毛材束3が保持体2の端部に当接して擦り切れたり、折れたり、外側に向かって曲がる癖がつくのを防ぐことができる。
【0023】
図3(a)は、
図2(a)のA-A断面図であり、
図3(b)は、
図2(a)のB-B断面図である。
図3(a)に示すように、カシメ部2bの中心よりも他端側では、略円形状の保持体2がカシメられることによって略楕円形状に変形している。また、毛材3aと保持体2の内壁との間に空間部4が形成されている。したがって、保持体2内での毛材3aの自由度は大きくなっている。
【0024】
一方、
図3(b)に示すように、カシメ部2bの中心では、保持体2が略扁平形状に変形している。また、保持体2の内壁側に位置する毛材3aは、保持体2の内壁に当接しているため、空間部4は形成されておらず、毛材束3と保持体2とはカシメによって圧着固定されている。したがって、保持体2内での毛材3aの自由度は小さくなっている。
【0025】
図4(a)本発明に係るブラシの第2実施形態を示す斜視図であり、
図4(b)は、同ブラシを側面方向から視た一部断面図である。また、
図4(c)は、同ブラシを平面方向から視た一部断面図である。これらの図を用いて本発明に係るブラシの第2実施形態について以下に説明する。
【0026】
第2実施形態のブラシ20では、保持体12の径大部12aとカシメ部12bの位置が第1実施形態のブラシ10とは反対になるようにしている。即ち、径大部12a側に毛材束3の長手方向が延出する構成としている。また、カシメ部12bが形成されることによって、毛材束3と保持体12、保持体12とシャフト1は、各々圧着固定された状態となっている。第2実施形態のブラシ20では、カシメ部12bが内周側に形成されるので、毛材束3が多く毛丈が長い場合や毛材3aが金属の場合等、外周側からカシメ作業を行うことが困難な場合に有効である。
【0027】
また、第1当接部15aで、保持体12がシャフト1に当接すると共に、シャフト1側に向かって圧力が加わっており、第2当接部15bでも保持体12がシャフト1に当接すると共に、シャフト1側に向かって圧力が加わることによって、保持体12とシャフト1は、圧着固定された状態となっている。これにより、保持体12がシャフト1の挿通孔1b内でがたつくのを防ぐことができる。
【0028】
また、シャフト1から外側に突出する保持体12の長さを短くすることができると共に、カシメ部12bが外周側に無いので、毛材束3の根元近傍まで被清掃面がある場合でも被清掃面に保持体12が接触して変形し、毛材束3が抜けるのを防ぐことができる。また、径大部12aは、開拡しているので、ブラシ20に応力が加わった場合に、毛材束3が保持体12の端部に当接して擦り切れたり、折れたり、外側に向かって曲がる癖がつくのを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係るブラシは、金属製品のバリ取り、洗車、道路清掃等の各種清掃、洗浄に利用される。
【符号の説明】
【0030】
1 シャフト
1a 側壁
1b 挿通孔
2、12 保持体
2a、12a 径大部
2b、12b カシメ部
3 毛材束
3a 毛材
4 空間部
5a、15a 第1当接部
5b、15b 第2当接部
6 開口部
10、20 ブラシ