(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180866
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】電源装置及び電源装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094517
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 中為
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 輝男
(72)【発明者】
【氏名】小林 貴之
(72)【発明者】
【氏名】木下 孝志
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA10
5H730BB27
5H730BB57
5H730DD04
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE59
5H730FD01
5H730FF09
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】DABコンバータの応答の高速化と安定動作の両立を可能にすること。
【解決手段】電源装置は、第1ブリッジ回路と、第1ブリッジ回路から出力される交流電圧が第1巻線に入力され、誘起された交流電圧を第2巻線から出力する変圧器と、第2巻線から出力される交流電圧を直流電圧に変換して出力する第2ブリッジ回路と、第1ブリッジ回路の複数のスイッチ素子に出力する複数の第1駆動パルスと、第2ブリッジ回路の複数のスイッチ素子に出力する複数の第2駆動パルスと、の間の位相差を制御する制御部と、を備える。制御部は、電流指令信号、スイッチング周波数、および第2ブリッジ回路からの出力電圧に基づいて、複数の第1駆動パルスと、複数の第2駆動パルスと、の間の位相差を制御するための位相差制御信号を所定の制御式に基づいて算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ブリッジ回路と、
前記第1ブリッジ回路から出力される交流電圧が第1巻線に入力され、誘起された交流電圧を第2巻線から出力する、変圧器と、
前記変圧器の前記第2巻線から出力される交流電圧を直流電圧に変換して出力する、第2ブリッジ回路と、
前記第1ブリッジ回路の複数のスイッチ素子に出力する複数の第1駆動パルスと、前記第2ブリッジ回路の複数のスイッチ素子に出力する複数の第2駆動パルスと、の間の位相差を制御する、制御部と、を備え、
前記制御部は、
電流指令信号、スイッチング周波数、および前記第2ブリッジ回路からの出力電圧に基づいて、複数の前記第1駆動パルスと、複数の前記第2駆動パルスと、の間の位相差を制御するための位相差制御信号を所定の制御式に基づいて算出する、
電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電流指令信号、前記第2ブリッジ回路からの出力電圧、およびクロック周波数に基づいて、前記位相差制御信号を算出する、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電流指令信号、前記スイッチング周波数、前記第2ブリッジ回路からの出力電圧、および前記第1駆動パルスと前記第2駆動パルスのデューティ比に基づいて、前記位相差制御信号を算出する、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電流指令信号、前記第2ブリッジ回路からの出力電圧、前記第1駆動パルスと前記第2駆動パルスのデューティ比、およびクロック周波数に基づいて、前記位相差制御信号を算出する、
請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記位相差制御信号に基づいて、前記第2ブリッジ回路の出力電圧をフィードバック制御する、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記位相差制御信号に基づいて、前記第2ブリッジ回路の入出力電流をフィードバック制御する、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項7】
第1ブリッジ回路と、前記第1ブリッジ回路から出力される交流電圧が第1巻線に入力され、誘起された交流電圧を第2巻線から出力する、変圧器と、前記変圧器の前記第2巻線から出力される交流電圧を直流電圧に変換して出力する、第2ブリッジ回路とを含む電源装置の制御方法であって、
前記第1ブリッジ回路の複数のスイッチ素子に出力する複数の第1駆動パルスと、前記第2ブリッジ回路の複数のスイッチ素子に出力する複数の第2駆動パルスと、の間の位相差を制御するステップと、
電流指令信号、スイッチング周波数、および前記第2ブリッジ回路からの出力電圧に基づいて、複数の前記第1駆動パルスと、複数の前記第2駆動パルスと、の間の位相差を制御するための位相差制御信号を算出するステップと、
を含む、電源装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置及び電源装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2には、DAB(Dual Active Bridge)方式のDABコンバータが記載されている。DABコンバータは、1次ブリッジ回路を駆動させる駆動パルスと、2次側ブリッジ回路を駆動させる駆動パルスとの間の位相を制御することで、双方向に電力の伝送が可能なコンバータである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-102933号公報
【特許文献2】特開2020-150574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、ブリッジ回路の高レベル側または低レベル側のスイッチ素子を同時にオンまたはオフすることで、デューティ比を制御する技術が開示されている。特許文献1では、1次側または2次側のブリッジ回路の電圧や電流を検出し、1次側スイッチング信号と2次側スイッチング信号との間の位相差を算出することで、出力電圧または出力電流の制御を行っている。しかしながら、デューティ比の制御は、DABコンバータの動作の特性に大きく影響を与える。そのため、DABコンバータの動作の高速化及び安定化が困難となる。特許文献2には、動作を高速化するために、リアクトルの電流信号が緩やかに変化するタイミングで電流信号をサンプリングして、制御を行う技術が開示されている。しかしながら、特許文献2では、電流を検出するためのセンサの数が増えて高コスト化する可能性がある。また、デューティ比制御等の条件によっては電流信号が緩やかに変化する領域が存在しない場合があるため、正確な電流計測が困難となることもある。
【0005】
本開示は、DABコンバータの応答の高速化と安定動作の両立を可能とする電源装置及び電源装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電源装置は、第1ブリッジ回路と、前記第1ブリッジ回路から出力される交流電圧が第1巻線に入力され、誘起された交流電圧を第2巻線から出力する、変圧器と、前記変圧器の前記第2巻線から出力される交流電圧を直流電圧に変換して出力する、第2ブリッジ回路と、前記第1ブリッジ回路の複数のスイッチ素子に出力する複数の第1駆動パルスと、前記第2ブリッジ回路の複数のスイッチ素子に出力する複数の第2駆動パルスと、の間の位相差を制御する、制御部と、を備え、前記制御部は、電流指令信号、スイッチング周波数、および前記第2ブリッジ回路からの出力電圧に基づいて、複数の前記第1駆動パルスと、複数の前記第2駆動パルスと、の間の位相差を制御するための位相差制御信号を所定の制御式に基づいて算出する。
【0007】
本開示の電源装置において、前記制御部は、前記電流指令信号、前記第2ブリッジ回路からの出力電圧、およびクロック周波数に基づいて、前記位相差制御信号を算出する。
【0008】
本開示の電源装置において、前記制御部は、前記電流指令信号、前記スイッチング周波数、前記第2ブリッジ回路からの出力電圧、および前記第1駆動パルスと前記第2駆動パルスのデューティ比に基づいて、前記位相差制御信号を算出する。
【0009】
本開示の電源装置において、前記制御部は、前記電流指令信号、前記第2ブリッジ回路からの出力電圧、前記第1駆動パルスと前記第2駆動パルスのデューティ比、およびクロック周波数に基づいて、前記位相差制御信号を算出する。
【0010】
本開示の電源装置において、前記制御部は、前記位相差制御信号に基づいて、前記第2ブリッジ回路の出力電圧をフィードバック制御する。
【0011】
本開示の電源装置において、前記制御部は、前記位相差制御信号に基づいて、前記第2ブリッジ回路の入出力電流をフィードバック制御する。
【0012】
本開示の電源装置の制御方法は、第1ブリッジ回路と、前記第1ブリッジ回路から出力される交流電圧が第1巻線に入力され、誘起された交流電圧を第2巻線から出力する、変圧器と、前記変圧器の前記第2巻線から出力される交流電圧を直流電圧に変換して出力する、第2ブリッジ回路とを含む電源装置の制御方法であって、前記第1ブリッジ回路の複数のスイッチ素子に出力する複数の第1駆動パルスと、前記第2ブリッジ回路の複数のスイッチ素子に出力する複数の第2駆動パルスと、の間の位相差を制御するステップと、電流指令信号、スイッチング周波数、および前記第2ブリッジ回路からの出力電圧に基づいて、複数の前記第1駆動パルスと、複数の前記第2駆動パルスと、の間の位相差を制御するための位相差制御信号を算出するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、DABコンバータの応答の高速化と安定動作の両立を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る電源装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るトランス部の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、比較例に係る電源装置の入出力電流特性を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る制御部の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る電源装置の入出力電流特性を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る制御部の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る制御部の構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態に係る制御部の構成例を示す図である。
【
図9】
図9は、第5実施形態に係る制御部の構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、第6実施形態に係る制御部の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本開示に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0016】
[第1実施形態]
図1を用いて、第1実施形態に係る電源装置の構成例を説明する。
図1は、第1実施形態に係る電源装置の構成例を示す図である。
【0017】
図1に示す、電源装置100は、第1実施形態に係るDAB方式の電源装置である。電源装置100は、電源1から出力され平滑化コンデンサ2により平滑化された直流電圧である1次側電圧V1を受ける。電源装置100から出力された直流電圧は、平滑化コンデンサ3により平滑化され、2次側電圧V2が負荷4に入力される。
【0018】
電源装置100は、第1ブリッジ回路10と、第2ブリッジ回路20と、リアクトル31と、リアクトル32と、リアクトル33と、トランス部40と、制御部50と、を含む。
【0019】
第1ブリッジ回路10は、第1アーム10aと、第2アーム10bと、第3アーム10cと、を含む。第1ブリッジ回路10は、3個のアームを含む3相のブリッジ回路である。第1アーム10aは、U相のアームである。第2アーム10bは、V相のアームである。第3アーム10cは、W相のアームである。第1アーム10aと、第2アーム10bとの間の位相差は、120度である。第2アーム10bと、第3アーム10cとの間の位相差は、120度である。第3アーム10cと、第1アーム10aとの間の位相差は、120度である。
【0020】
第1アーム10aは、スイッチ素子11と、スイッチ素子12と、を含む。第2アーム10bは、スイッチ素子13と、スイッチ素子14と、を含む。第3アーム10cは、スイッチ素子15と、スイッチ素子16と、を含む。
【0021】
スイッチ素子11と、スイッチ素子13と、スイッチ素子15とは、ハイサイドのスイッチ素子である。スイッチ素子12と、スイッチ素子14と、スイッチ素子16とは、ローサイドのスイッチ素子である。
【0022】
スイッチ素子11からスイッチ素子16は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であるが、これに限定されない。スイッチ素子11からスイッチ素子16は、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などでも良い。
【0023】
スイッチ素子11からスイッチ素子16は、寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。寄生ダイオードは、トランジスタのオフ時の過渡的な逆起電力を逃すためのフリーホイールダイオードとして利用可能である。寄生ダイオードに加えて、各トランジスタのドレインとソース間にダイオード素子を付加しても良い。
【0024】
スイッチ素子11のソース端子は、スイッチ素子12のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子11のドレイン端子は、スイッチ素子13のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子12のソース端子は、スイッチ素子14のソース端子に電気的に接続されている。
【0025】
スイッチ素子13のソース端子は、スイッチ素子14のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子13のドレイン端子は、スイッチ素子15のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子14のソース端子は、スイッチ素子16のソース端子に電気的に接続されている。
【0026】
スイッチ素子15のソース端子は、スイッチ素子16のドレイン端子に電気的に接続されている。
【0027】
スイッチ素子11のドレイン端子と、スイッチ素子13のドレイン端子と、スイッチ素子15のドレイン端子との接続点N1は、電源装置100の一方の入力端子である。スイッチ素子12のソース端子と、スイッチ素子14のソース端子と、スイッチ素子16のソース端子との接続点N2は、電源装置100の他方の入力端子である。
【0028】
接続点N1は、平滑化コンデンサ2の高電位側に電気的に接続されている。接続点N2は、平滑化コンデンサ2の低電位側に電気的に接続されている。接続点N1と、接続点N2との間には、平滑化コンデンサ2により平滑化された直流電圧が入力される。
【0029】
スイッチ素子11のソース端子と、スイッチ素子12のドレイン端子との接続点N3は、第1ブリッジ回路10の1個目の出力端子である。スイッチ素子13のソース端子と、スイッチ素子14のドレイン端子との接続点N4は、第1ブリッジ回路10の2個目の出力端子である。スイッチ素子15のソース端子と、スイッチ素子16のドレイン端子との接続点N5は、第1ブリッジ回路10の3個目の出力端子である。
【0030】
第2ブリッジ回路20は、第1アーム20aと、第2アーム20bと、第3アーム20cと、を含む。第2ブリッジ回路20は、3個のアームを含む3相のブリッジ回路である。第1アーム20aは、U相のアームである。第2アーム20bは、V相のアームである。第3アーム20cは、W相のアームである。第1アーム20aと、第2アーム20bとの位相差は、120度である。第2アーム20bと、第3アーム20cとの位相差は、120度である。第3アーム20cと、第1アーム20aとの位相差は、120度である。
【0031】
第1アーム20aは、スイッチ素子21と、スイッチ素子22と、を含む。第2アーム20bは、スイッチ素子23と、スイッチ素子24と、を含む。第3アーム20cは、スイッチ素子25と、スイッチ素子26と、を含む。
【0032】
スイッチ素子21と、スイッチ素子23と、スイッチ素子25とは、ハイサイドのスイッチ素子である。スイッチ素子22と、スイッチ素子24と、スイッチ素子26とは、ローサイドのスイッチ素子である。
【0033】
スイッチ素子21からスイッチ素子26は、例えば、MOSFETであるが、これに限定されない。スイッチ素子21からスイッチ素子26は、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBTなどでも良い。
【0034】
スイッチ素子21からスイッチ素子26は、寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。寄生ダイオードは、トランジスタのオフ時の過渡的な逆起電力を逃すためのフリーホイールダイオードとして利用可能である。寄生ダイオードに加えて、各トランジスタのドレインとソース間にダイオード素子を付加しても良い。
【0035】
スイッチ素子21のソース端子は、スイッチ素子22のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子21のドレイン端子は、スイッチ素子23のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子22のソース端子は、スイッチ素子24のソース端子に電気的に接続されている。
【0036】
スイッチ素子23のソース端子は、スイッチ素子24のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子23のドレイン端子は、スイッチ素子25のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子24のソース端子は、スイッチ素子26のソース端子に電気的に接続されている。
【0037】
スイッチ素子25のソース端子は、スイッチ素子26のドレイン端子に電気的に接続されている。
【0038】
スイッチ素子21のソース端子と、スイッチ素子22のドレイン端子との接続点N6は、第2ブリッジ回路20の1個目の入力端子である。スイッチ素子23のソース端子と、スイッチ素子24のドレイン端子との接続点N7は、第2ブリッジ回路20の2個目の入力端子である。スイッチ素子25のソース端子と、スイッチ素子26のドレイン端子との接続点N8は、第2ブリッジ回路20の3個目の入力端子である。
【0039】
スイッチ素子21のドレイン端子と、スイッチ素子23のドレイン端子と、スイッチ素子25のドレイン端子との接続点N9は、電源装置100の一方の出力端子である。スイッチ素子22のソース端子と、スイッチ素子24のソース端子と、スイッチ素子26のソース端子との接続点N10は、電源装置100の他方の出力端子である。
【0040】
接続点N9は、平滑化コンデンサ3の高電位側に電気的に接続されている。接続点N10は、平滑化コンデンサ3の低電位側に電気的に接続されている。平滑化コンデンサ3の2次側電圧V2が、電源装置100の出力電圧となる。
【0041】
平滑化コンデンサ3の高電位側は、負荷4の高電位側に電気的に接続されている。平滑化コンデンサ3の低電位側は、負荷4の低電位側に電気的に接続されている。
【0042】
リアクトル31の一端は、接続点N3に電気的に接続されている。リアクトル31の他端は、トランス部40に電気的に接続されている。
【0043】
リアクトル32の一端は、接続点N4に電気的に接続されている。リアクトル32の他端は、トランス部40に電気的に接続されている。
【0044】
リアクトル33の一端は、接続点N5に電気的に接続されている。リアクトル33の他端は、トランス部40に電気的に接続されている。
【0045】
トランス部40は、第1巻線と、第2巻線と、コアと、を含む。トランス部40は、変圧器の一種である。
【0046】
図2は、第1実施形態に係るトランス部の構成例を示す図である。
図2に示すように、トランス部40は、トランス40aと、トランス40bと、トランス40cと、を含む。第1実施形態において、トランス部40は、3相変圧器である。
図2に示す例では、トランス部40は、Y結線方式の3相変圧器である。
図2では、トランス部40は、Y結線方式の3相変圧器であるものとして示しているが、本開示はこれに限定されない。例えば、トランス部40は、デルタ結線方式の3相変圧器であってもよい。
【0047】
トランス40aは、第1巻線41aと、第2巻線42aと、コア43aと、第1端子44aと、第2端子45aと、を含む。トランス40aは、U相のトランスである。
【0048】
第1巻線41aは、1次側の巻線である。第2巻線42aは、2次側の巻線である。第1巻線41aと、第2巻線42aとは、コア43aに巻かれている。第1巻線41aの一端は、第1端子44aに電気的に接続されている。第1端子44aは、リアクトル31の他端に電気的に接続されている。第2巻線42aの一端は、第2端子45aに電気的に接続されている。第2端子45aは、接続点N6に電気的に接続されている。
【0049】
トランス40bは、第1巻線41bと、第2巻線42bと、コア43bと、第1端子44bと、第2端子45bと、を含む。トランス40bは、V相のトランスである。
【0050】
第1巻線41bは、1次側の巻線である。第2巻線42bは、2次側の巻線である。第1巻線41bと、第2巻線42bとは、コア43bに巻かれている。第1巻線41bの一端は、第1端子44bに電気的に接続されている。第1端子44bは、リアクトル32の他端に電気的に接続されている。第2巻線42bの一端は、第2端子45bに電気的に接続されている。第2端子45bは、接続点N7に電気的に接続されている。
【0051】
トランス40cは、第1巻線41cと、第2巻線42cと、コア43cと、第1端子44cと、第2端子45cと、を含む。トランス40cは、W相のトランスである。
【0052】
第1巻線41cは、1次側の巻線である。第2巻線42cは、2次側の巻線である。第1巻線41cと、第2巻線42cとは、コア43cに巻かれている。第1巻線41cの一端は、第1端子44cに電気的に接続されている。第1端子44cは、リアクトル33の他端に電気的に接続されている。第2巻線42cの一端は、第2端子45cに電気的に接続されている。第2端子45cは、接続点N8に電気的に接続されている。
【0053】
第1巻線41aの他端と、第1巻線41bの他端と、第1巻線41cの他端とは、それぞれ、電気的に接続されている。第2巻線42aの他端と、第2巻線42bの他端と、第2巻線42cの他端とは、それぞれ、電気的に接続されている。
【0054】
制御部50は、第1ブリッジ回路10および第2ブリッジ回路20を制御する。制御部50は、例えば、例えば、ディジタルPWM(Pulse Width Modulation)回路を内蔵したDSP(Digital Signal Processor)、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの情報処理装置と、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)などの記憶装置とを有する。制御部50は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部50は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0055】
制御部50は、1次側駆動パルスP1を第1ブリッジ回路10に出力することで、スイッチ素子11からスイッチ素子16のオン状態とオフ状態とを切り替える。具体的には、制御部50は、ハイレベルの1次側駆動パルスP1をスイッチ素子11からスイッチ素子16のゲート端子に出力することで、スイッチ素子11からスイッチ素子16をオン状態に切り替える。制御部50は、ローレベルの1次側駆動パルスP1をスイッチ素子11からスイッチ素子16のゲート端子に出力することで、スイッチ素子11からスイッチ素子16をオフ状態に切り替える。
【0056】
制御部50は、2次側駆動パルスP2を第2ブリッジ回路20に出力することで、スイッチ素子21からスイッチ素子26のオン状態とオフ状態とを切り替える。具体的には、制御部50は、ハイレベルの2次側駆動パルスP2をスイッチ素子21からスイッチ素子26のゲート端子に出力することで、スイッチ素子21からスイッチ素子26をオン状態に切り替える。制御部50は、ローレベルの2次側駆動パルスP2をスイッチ素子21からスイッチ素子26のゲート端子に出力することで、スイッチ素子21からスイッチ素子26をオフ状態に切り替える。
【0057】
(比較例の入出力電流特性)
本実施形態の制御方法を説明する前に、比較例に係る電源装置の入出力電流特性について説明する。
図3は、比較例に係る電源装置の入出力電流特性を説明するための図である。比較例に係る電源装置の構成は、
図1に示す電源装置100と同一である。
【0058】
図3において、横軸は位相差(度(deg.))であり、縦軸は1次側入出力電流(A(アンペア))を示す。
図3は、波形101と、波形102と、波形103とを示す。波形101は、周波数がf1、デューティ比が95%の場合の入出力電流特性を示す波形である。波形102は、周波数がf1とは異なるf2、デューティ比が95%の場合の入出力電流特性を示すグラフである。波形103は、周波数がf2、デューティ比が90%の場合の入出力電流特性を示す波形である。
【0059】
波形101から波形103に示すように、比較例では、周波数を切り替えたり、デューティ比を切り替えたりすることにより、入出力電流特性は大きく変化する。例えば、周波数f2、かつデューティ比95%をターゲットに制御をチューニングすると、周波数f1、かつデューティ比95%の場合に応答が遅くなる。その逆で、周波数f1、かつデューティ比95%をターゲットに制御をチューニングすると、オーバーシュートが大きくなったり振動したりする。
【0060】
そこで、本実施形態では、電流指令、デューティ比、スイッチング周波数、1次側又は2次側電圧から、位相差を算出する。これにより、周波数およびデューティ比などの条件に依らず、動作特性が略同じになるので、応答の高速化と安定性の両立が可能となる。
【0061】
[制御部の構成例]
図4を用いて、第1実施形態に係る制御部の構成例について説明する。
図4は、第1実施形態に係る制御部の構成例を示す図である。
【0062】
図4に示すように、制御部50は、減算器51と、制御信号算出部52と、位相差算出部53と、駆動パルス生成部54と、1次側パルス駆動部55と、2次側パルス駆動部56と、を含む。
【0063】
以下では、制御部50は、第2ブリッジ回路20からの出力電圧を制御する場合の処理について説明する。
【0064】
減算器51は、第2ブリッジ回路20に指令された電圧指令値Vrefと、第2ブリッジ回路20が実際に出力している2次側電圧V2とに基づいて、電圧指令値Vrefから2次側電圧V2を減算した信号S11を算出する。減算器51は、算出した信号S11を制御信号算出部52に出力する。
【0065】
制御信号算出部52は、信号S11に基づいて、電流指令信号irefを算出する。制御信号算出部52は、例えば、信号S11に基づいて、PID(比例積分微分)演算などを実行して、電流指令信号irefを算出する。制御信号算出部52は、算出した電流指令信号irefを位相差算出部53に出力する。
【0066】
位相差算出部53は、電流指令信号iref、スイッチング周波数fsw、および第2ブリッジ回路20からの2次側電圧V2に基づいて、1次側の第1駆動パルスと、2次側の第2駆動パルスとの間の位相差を制御するための位相差制御信号を所定の制御式に従って算出する。第1実施形態では、下記の式(1)に従って、位相差φを算出する。位相差φは、位相差制御信号の一種である。
【0067】
【0068】
Lは、
図1における、リアクトル31からリアクトル33のインダクタンス値と、トランス部40の漏れインダクタンス値とを含めたインダクタンス値である。Kは、
図1における、トランス部40の1次側の巻き数と、2次側の巻き数との比である。式(1)は、
図1に示す電源装置100の固有の制御式である。
【0069】
位相差算出部53は、電流指令信号iref、スイッチング周波数fsw、2次側電圧V2、インダクタンス値L、および巻き数比Kを、式(1)に代入することで、位相差φを直接的に算出する。位相差算出部53は、算出した位相差φを駆動パルス生成部54に出力する。
【0070】
駆動パルス生成部54は、ディジタルPWM回路が例示される。駆動パルス生成部54は、制御式に従って算出された位相差φに基づいて、1次側パルス信号S12を1次側パルス駆動部55に出力し、2次側パルス信号S13を2次側パルス駆動部56に出力する。
【0071】
1次側パルス駆動部55は、1次側パルス信号S12の電圧レベルを変換した1次側駆動パルスP1を第1ブリッジ回路10に出力する。すなわち、第1ブリッジ回路10は、制御式に従って算出された位相差φに基づく、1次側パルス信号S12により駆動される。
【0072】
2次側パルス駆動部56は、2次側パルス信号S13の電圧レベルを変換した2次側駆動パルスP2を第2ブリッジ回路20に出力する。すなわち、第2ブリッジ回路20は、制御式に従って算出された位相差φに基づく、2次側パルス信号S13により駆動される。
【0073】
(第1実施形態の入出力電流特性)
図5を用いて、第1実施形態に係る電源装置の入出力電流特性について説明する。
図5は、第1実施形態に係る電源装置の入出力電流特性を説明するための図である。
【0074】
図5において、横軸は制御指令(電流指令信号)(A)であり、縦軸は1次側入出力電流(A)を示す。
図5は、波形201と、波形202と、波形203とを示す。波形201は、周波数がf1、デューティ比が95%の場合の入出力電流特性を示す波形である。波形202は、周波数がf1とは異なるf2、デューティ比が95%の場合の入出力電流特性を示すグラフである。波形203は、周波数がf2、デューティ比が90%の場合の入出力電流特性を示す波形である。
【0075】
図5に示すように、波形201から波形203は、電流指令信号i
refが-10(A)から10(A)の範囲において、1次側入出力電流(A)の値が略一致している。本実施形態では、位相差φは、所定の制御式により算出されるため、スイッチング周波数f
sw及び2次側電圧V2が電源装置100に与える影響を補正することができる。
【0076】
第1実施形態は、電流指令信号iref、スイッチング周波数fsw、2次側電圧V2、インダクタンス値L、および巻き数比Kから直接的に算出された位相差φに基づいて、第1ブリッジ回路10および第2ブリッジ回路20を駆動させる。これにより、第1実施形態は、DABコンバータの応答の高速化と安定動作の両立を可能にすることができる。
【0077】
[第2実施形態]
[制御部の構成例]
図6を用いて、第2実施形態に係る制御部の構成例について説明する。
図6は、第2実施形態に係る制御部の構成例を示す図である。
【0078】
図6に示すように、制御部50Aは、減算器51と、制御信号算出部52と、位相差算出部53Aと、駆動パルス生成部54Aと、1次側パルス駆動部55Aと、2次側パルス駆動部56Aと、を含む。
【0079】
第2実施形態は、位相差算出部53Aが位相差を算出するために使用する制御式が、
図4に示す位相差算出部53と異なる。第2実施形態では、位相差算出部53Aは、位相差に相当するPWMのクロック周波数のシフト量を直接算出する。
【0080】
位相差算出部53Aは、電流指令信号i
ref、クロック周波数f
clk、および2次側電圧V2に基づいて、1次側駆動パルスP1と、2次側駆動パルスP2との間のクロック周波数f
clkのシフト量δ
cntを所定の制御式に従って算出する。第2実施形態では、下記の式(2)に従って、シフト量δ
cntを算出する。式(2)は、
図1に示す電源装置100の固有の制御式である。シフト量δ
cntは、位相差制御信号の一種である。
【0081】
【0082】
位相差算出部53Aは、電流指令信号iref、クロック周波数fclk、2次側電圧V2、インダクタンス値L、および巻き数比Kを、式(2)に代入することで、シフト量δcntを直接的に算出する。位相差算出部53Aは、算出したシフト量δcntを駆動パルス生成部54Aに出力する。
【0083】
駆動パルス生成部54は、制御式に従って算出されたシフト量δcntに基づいて、1次側パルス信号S12Aを1次側パルス駆動部55Aに出力し、2次側パルス信号S13Aを2次側パルス駆動部56Aに出力する。
【0084】
1次側パルス駆動部55Aは、1次側パルス信号S12Aの電圧レベルを変換した1次側駆動パルスP1Aを第1ブリッジ回路10に出力する。すなわち、第1ブリッジ回路10は、制御式に従って算出されたシフト量δcntに基づく、1次側パルス信号S12Aにより駆動される。
【0085】
2次側パルス駆動部56Aは、2次側パルス信号S13Aの電圧レベルを変換した2次側駆動パルスP2Aを第2ブリッジ回路20に出力する。すなわち、第2ブリッジ回路20は、制御式に従って算出されたシフト量δcntに基づく、2次側パルス信号S13Aにより駆動される。
【0086】
第2実施形態は、電流指令信号iref、クロック周波数fclk、2次側電圧V2、インダクタンス値L、および巻き数比Kから直接的に算出されたシフト量δcntに基づいて、第1ブリッジ回路10および第2ブリッジ回路20を駆動させる。これにより、第2実施形態は、DABコンバータの応答の高速化と安定動作の両立を可能にすることができる。
【0087】
[第3実施形態]
[制御部の構成例]
図7を用いて、第3実施形態に係る制御部の構成例について説明する。
図7は、第3実施形態に係る制御部の構成例を示す図である。
【0088】
図7に示すように、制御部50Bは、減算器51と、制御信号算出部52と、位相差算出部53Bと、駆動パルス生成部54Bと、1次側パルス駆動部55Bと、2次側パルス駆動部56Bと、周波数算出部57と、デューティ比算出部58と、を含む。第3実施形態では、2次側駆動パルスのデューティ比を加味して、位相差算出部53Bは、位相差φを直接算出する。
【0089】
制御信号算出部52は、信号S11に基づいて、PID演算などで算出した電流指令信号irefを位相差算出部53B、周波数算出部57、およびデューティ比算出部58に出力する。
【0090】
周波数算出部57は、スイッチング周波数fswを算出する。周波数算出部57は、例えば、第1ブリッジ回路10の1次側電圧V1と、第2ブリッジ回路20の2次側電圧V2と、電流指令信号irefとに基づいて、スイッチング周波数fswを算出する。周波数算出部57は、例えば、算出したスイッチング周波数fswを、位相差算出部53Bおよび駆動パルス生成部54Bに出力する。
【0091】
デューティ比算出部58は、デューティ比dを算出する。デューティ比算出部58は、例えば、第1ブリッジ回路10の1次側電圧V1と、第2ブリッジ回路20の2次側電圧V2と、電流指令信号irefとに基づいて、デューティ比dを算出する。デューティ比算出部58は、例えば、算出したデューティ比dを、位相差算出部53Bおよび駆動パルス生成部54Bに出力する。
【0092】
位相差算出部53Bは、電流指令信号i
ref、スイッチング周波数f
sw、デューティ比d、および2次側電圧V2に基づいて、1次側の第1駆動パルスと、2次側の第2駆動パルスとの間の位相差φを制御するための位相差制御信号を所定の制御式に従って算出する。第3実施形態では、下記の式(3)に従って、位相差φを算出する。式(3)は、
図1に示す電源装置100の固有の式である。
【0093】
【0094】
位相差算出部53Bは、電流指令信号iref、スイッチング周波数fsw、デューティ比d、2次側電圧V2、インダクタンス値L、および巻き数比Kを、式(3)に代入することで、位相差φを直接的に算出する。位相差算出部53Bは、算出した位相差φを駆動パルス生成部54Bに出力する。
【0095】
駆動パルス生成部54Bは、式(3)に従って算出された位相差φ、スイッチング周波数fsw、およびデューティ比dに基づいて、1次側パルス信号S12Bを1次側パルス駆動部55Bに出力し、2次側パルス信号S13Bを2次側パルス駆動部56Bに出力する。
【0096】
1次側パルス駆動部55Bは、1次側パルス信号S12Bの電圧レベルを変換した1次側駆動パルスP1Bを第1ブリッジ回路10に出力する。すなわち、第1ブリッジ回路10は、式(3)に従って算出された位相差φに基づく、1次側パルス信号S12Bにより駆動される。
【0097】
2次側パルス駆動部56Bは、2次側パルス信号S13Bの電圧レベルを変換した2次側駆動パルスP2Bを第2ブリッジ回路20に出力する。すなわち、第2ブリッジ回路20は、式(3)に従って算出された位相差φに基づく、2次側パルス信号S13Bにより駆動される。
【0098】
第3実施形態は、電流指令信号iref、スイッチング周波数fsw、デューティ比d、2次側電圧V2、インダクタンス値L、および巻き数比Kから直接的に算出された位相差φに基づいて、第1ブリッジ回路10および第2ブリッジ回路20を駆動させる。これにより、第3実施形態は、DABコンバータの応答の高速化と安定動作の両立を可能にすることができる。
【0099】
[第4実施形態]
[制御部の構成例]
図8を用いて、第4実施形態に係る制御部の構成例について説明する。
図8は、第4実施形態に係る制御部の構成例を示す図である。
【0100】
図8に示すように、制御部50Cは、減算器51と、制御信号算出部52と、位相差算出部53Cと、駆動パルス生成部54Cと、1次側パルス駆動部55Cと、2次側パルス駆動部56Cと、周波数算出部57と、デューティ比算出部58と、を備える。
【0101】
第4実施形態は、位相差算出部53Cが位相差を算出するために使用する制御式が、
図7に示す位相差算出部53Bと異なる。第4実施形態では、位相差算出部53Cは、位相差に相当するPWMのクロック周波数のシフト量を直接算出する。
【0102】
本実施形態では、周波数算出部57は、算出したスイッチング周波数fswを、駆動パルス生成部54Cに出力する。
【0103】
位相差算出部53Cは、電流指令信号iref、クロック周波数fclk、デューティ比d、および2次側電圧V2に基づいて、クロック周波数fclkのシフト量δcntを所定の制御式に従って算出する。第4実施形態では、下記の式(4)に従って、シフト量δcntを算出する。式(4)は、電源装置100の固有の式である。
【0104】
【0105】
位相差算出部53Cは、電流指令信号iref、クロック周波数fclk、デューティ比d、2次側電圧V2、インダクタンス値L、および巻き数比Kを、式(4)に代入することで、シフト量δcntを直接的に算出する。位相差算出部53Cは、算出したシフト量δcntを駆動パルス生成部54Cに出力する。
【0106】
駆動パルス生成部54Cは、式(4)に従って算出されたシフト量δcntに基づいて、1次側パルス信号S12Aを1次側パルス駆動部55Cに出力し、2次側パルス信号S13Aを2次側パルス駆動部56Cに出力する。
【0107】
1次側パルス駆動部55Cは、1次側パルス信号S12Cの電圧レベルを変換した1次側駆動パルスP1Cを第1ブリッジ回路10に出力する。すなわち、第1ブリッジ回路10は、式(4)に従って算出されたシフト量δcntに基づく、1次側パルス信号S12Cにより駆動される。
【0108】
2次側パルス駆動部56Cは、2次側パルス信号S13Cの電圧レベルを変換した2次側駆動パルスP2Cを第2ブリッジ回路20に出力する。すなわち、第2ブリッジ回路20は、制御式に従って算出されたシフト量δcntに基づく、2次側パルス信号S13Cにより駆動される。
【0109】
第4実施形態は、電流指令信号iref、クロック周波数fclk、デューティ比d、2次側電圧V2、インダクタンス値L、および巻き数比Kから直接的に算出されたシフト量δcntに基づいて、第1ブリッジ回路10および第2ブリッジ回路20を駆動させる。これにより、第4実施形態は、DABコンバータの応答の高速化と安定動作の両立を可能にすることができる。
【0110】
[第5実施形態]
[制御部の構成例]
図9を用いて、第5実施形態に係る制御部の構成例について説明する。
図9は、第5実施形態に係る制御部の構成例を示す図である。
【0111】
図9に示すように、制御部50Dは、減算器51Dと、制御信号算出部52Dと、位相差算出部53Dと、駆動パルス生成部54Dと、1次側パルス駆動部55Dと、2次側パルス駆動部56Dと、周波数算出部57と、デューティ比算出部58と、を備える。
【0112】
第5実施形態では、入出力電流に基づいて、位相差を算出する。以下では、1次側の入出力電流に基づいて、位相差を算出する例について説明する。
【0113】
減算器51Dは、第1ブリッジ回路10に指令された電流指令値i1refと、第1ブリッジ回路10が実際に入出力している入出力電流i1とに基づいて、電流指令値i1refから入出力電流i1を減算した信号S14を算出する。減算器51Dは、算出した信号S14を制御信号算出部52Dに出力する。
【0114】
制御信号算出部52Dは、信号S14に基づいて、電流指令信号irefを算出する。制御信号算出部52Dは、例えば、信号S14に基づいて、PID演算などを実行して、電流指令信号irefを算出する。制御信号算出部52Dは、電流指令信号irefを位相差算出部53D、周波数算出部57、およびデューティ比算出部58に出力する。
【0115】
位相差算出部53Dから2次側パルス駆動部56Dは、それぞれ、
図7に示す位相差算出部53Bから2次側パルス駆動部56Bと同一なので、説明を省略する。
【0116】
第5実施形態は、電流指令信号iref、スイッチング周波数fsw、デューティ比d、2次側電圧V2、インダクタンス値L、および巻き数比Kから直接的に算出された位相差φに基づいて、第1ブリッジ回路10および第2ブリッジ回路20を駆動させる。これにより、第5実施形態は、DABコンバータの応答の高速化と安定動作の両立を可能にすることができる。
【0117】
なお、第5実施形態は、1次側の入出力電流に基づいた制御例を説明したが、本発明はこれに限定されない。本開示は、2次側の入出力電流に基づいた制御にも利用することができる。この場合、位相差算出部53Dは、式(3)に含まれる2次側電圧V2を1次側電圧V1に置き換えて、位相差φを算出するようにすればよい。
【0118】
[第6実施形態]
[制御部の構成例]
図10を用いて、第6実施形態に係る制御部の構成例について説明する。
図10は、第6実施形態に係る制御部の構成例を示す図である。
【0119】
図10に示すように、制御部50Eは、減算器51Eと、制御信号算出部52Eと、位相差算出部53Eと、駆動パルス生成部54Eと、1次側パルス駆動部55Eと、2次側パルス駆動部56Eと、周波数算出部57と、デューティ比算出部58と、を備える。
【0120】
第6実施形態では、入出力電流に基づいて、クロック周波数のシフト量を直接算出する。以下では、1次側の入出力電流に基づいて、クロック周波数のシフト量を直接算出する例について説明する。
【0121】
減算器51Eおよび制御信号算出部52Eは、それぞれ、
図9に示す減算器51Dおよび制御信号算出部52Dと同一なので、説明を省略する。
【0122】
位相差算出部53Eから2次側パルス駆動部56Eは、それぞれ、位相差算出部53Dから2次側パルス駆動部56Dと同じなので、説明を省略する。
【0123】
第6実施形態は、電流指令信号iref、スイッチング周波数fsw、デューティ比d、2次側電圧V2、インダクタンス値L、および巻き数比Kから直接的に算出された位相差φに基づいて、第1ブリッジ回路10および第2ブリッジ回路20を駆動させる。これにより、第6実施形態は、DABコンバータの応答の高速化と安定動作の両立を可能にすることができる。
【0124】
なお、第6実施形態は、1次側の入出力電流に基づいた制御例を説明したが、本発明はこれに限定されない。本開示は、2次側の入出力電流に基づいた制御にも利用することができる。この場合、位相差算出部53Eは、式(4)に含まれる2次側電圧V2を1次側電圧V1に置き換えて、位相差φを算出するようにすればよい。
【0125】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0126】
1 電源
2,3 平滑化コンデンサ
4 負荷
10 第1ブリッジ回路
20 第2ブリッジ回路
10a,20a 第1アーム
10b,20b 第2アーム
10c,20c 第3アーム
11,12,13,14,15,16,21,22,23,24,25,26 スイッチ素子
31,32,33 リアクトル
40 トランス部
40a,40b,40c トランス
41a,41b,41c 第1巻線
42a,42b,42c 第2巻線
43a,43b,43c コア
44a,44b,44c 第1端子
45a,45b,45c 第2端子
50 制御部
51,51D 減算器
52,52D,52E 制御信号算出部
53,53A,53B,53C,53D,53E 位相差算出部
54,54A,54B,54C,54D,54E 駆動パルス生成部
55,55A,55B,55C,55D,55E 1次側パルス駆動部
56,56A,56B,56C,56D,56E 2次側パルス駆動部
57 周波数算出部
58 デューティ比算出部