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特開2023-180868画像形成装置、画像形成処理システム及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180868
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成処理システム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20231214BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231214BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231214BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G06K7/10 264
H04N1/00 885
H04N1/00 350
H04N1/00 E
B41J29/38 601
B41J29/00 E
G06K7/10 184
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094521
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 佳樹
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP03
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061CG02
2C061CG15
2C061HJ10
2C061HK05
2C061HK11
2C061HK19
2C061HN05
2C061HN08
2C061HN15
2C061HP00
2C061HQ05
5C062AA05
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB30
5C062AB31
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB35
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC35
5C062AC41
5C062AE03
5C062AE15
5C062AF12
5C062AF14
(57)【要約】
【課題】利用者の近接の検出のための専用のデバイスを設ける必要がなく、かつ検出すべき利用者ではない人間の近接を利用者の検出として誤検出する可能性を低減する。
【解決手段】実施形態の画像形成装置は、形成部、通信部、読み書き部、読出部及び判定部を備える。読み書き部は、形成部によりプリント媒体への画像形成を行う際に、この画像形成の対象となるプリント媒体に取り付けられている無線タグへのデータの書き込み、あるいは同無線タグからのデータの読み出しを通信部を用いて行う。読出部は、読み書き部によるデータの書き込みあるいはデータの読み出しを伴う画像形成が行われないときに、ユーザの識別子を記憶する無線タグと通信部との通信が可能となった場合に、当該無線タグから識別子を通信部を用いて読み出す。判定部は、読出部により読み出された識別子が予め定められた条件を満たす識別子である場合に利用者が近接していると判定する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント媒体に対して画像を形成する形成部と、
無線タグと無線通信する通信部と、
前記形成部によりプリント媒体への画像形成を行う際に、この画像形成の対象となるプリント媒体に取り付けられている無線タグへのデータの書き込み、あるいは画像形成の対象となるプリント媒体に取り付けられている無線タグからのデータの読み出し、の少なくともいずれかを前記通信部を用いて行う読み書き部と、
前記読み書き部によるデータの書き込み及びデータの読み出しの少なくともいずれかを伴う画像形成が行われないときに、ユーザの識別子を記憶する無線タグと前記通信部との通信が可能となった場合に、当該無線タグから識別子を前記通信部を用いて読み出す読出部と、
前記読出部により読み出された識別子が予め定められた条件を満たす識別子である場合に利用者が近接していると判定する判定部と、
を具備した画像形成装置。
【請求項2】
プリント媒体に取り付けられている無線タグへのデータの書き込み、あるいはプリント媒体に取り付けられている無線タグからのデータの読み出し、の少なくともいずれかを前記読み書き部が行うときに比べて、ユーザの識別子を記憶する無線タグからの識別子の読み出しを前記読出部が行うときには、前記通信部による通信可能範囲を大きくするように前記通信部を制御する通信制御部、
をさらに具備する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判定部により利用者が近接していると判定されたことに応じて、前記形成部による画像形成のための準備動作を開始するように前記形成部を制御する準備制御部、
をさらに備えた請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の画像形成装置と、サーバとを含み、
複数の前記画像形成装置はそれぞれ、
プリント媒体に対して画像を形成する形成部と、
無線タグと無線通信する通信部と、
前記形成部によりプリント媒体への画像形成を行う際に、この画像形成の対象となるプリント媒体に取り付けられている無線タグへのデータの書き込み、あるいは画像形成の対象となるプリント媒体に取り付けられている無線タグからのデータの読み出し、の少なくともいずれかを前記通信部を用いて行う読み書き部と、
前記読み書き部によるデータの書き込み及びデータの読み出しの少なくともいずれかを伴う画像形成が行われないときに、ユーザの識別子を記憶する無線タグと前記通信部との通信が可能となった場合に、当該無線タグから識別子を前記通信部を用いて読み出す読出部と、
前記読出部により読み出された識別子が予め定められた条件を満たす識別子である場合に利用者が近接していると判定する判定部と、
を具備し、
前記サーバは、
予め定められた条件が成立すると、複数の前記画像形成装置のうちの1つ又は複数を選択し、当該選択した画像形成装置に対して、利用者の近接を待機するように指示する指示部、
を備える、
画像形成処理システム。
【請求項5】
複数の画像形成装置と、サーバとを含み、
前記サーバは、
画像形成装置で形成すべき画像に関するプリントデータを利用者の識別子に関連付けて記憶する記憶部、
を備え、
複数の前記画像形成装置はそれぞれ、
プリント媒体に対して画像を形成する形成部と、
無線タグと無線通信する通信部と、
前記形成部によりプリント媒体への画像形成を行う際に、この画像形成の対象となるプリント媒体に取り付けられている無線タグへのデータの書き込み、あるいは画像形成の対象となるプリント媒体に取り付けられている無線タグからのデータの読み出し、の少なくともいずれかを前記通信部を用いて行う読み書き部と、
前記読み書き部によるデータの書き込み及びデータの読み出しの少なくともいずれかを伴う画像形成が行われないときに、ユーザの識別子を記憶する無線タグと前記通信部との通信が可能となった場合に、当該無線タグから識別子を前記通信部を用いて読み出す読出部と、
前記読出部により読み出された識別子が予め定められた条件を満たす識別子である場合に利用者が近接していると判定する判定部と、
複数の前記画像形成装置のそれぞれに設けられ、前記読出部により読み出された識別子と予め紐付けられた識別子に関連付けてプリントデータが前記記憶部により記憶されている場合に、該当のプリントデータを前記サーバから取得する取得部と、
複数の前記画像形成装置のそれぞれに設けられ、前記取得部により取得されたプリントデータに応じての画像を形成するように前記形成部を制御するプリント制御部と、
を具備する画像形成処理システム。
【請求項6】
プリント媒体に対して画像を形成する形成部と、
無線タグと無線通信する通信部と、
を具備した画像形成装置を制御するコンピュータを、
前記形成部によりプリント媒体への画像形成を行う際に、この画像形成の対象となるプリント媒体に取り付けられている無線タグへのデータの書き込み、あるいは画像形成の対象となるプリント媒体に取り付けられている無線タグからのデータの読み出し、の少なくともいずれかを前記通信部を用いて行う読み書き部と、
前記読み書き部によるデータの書き込み及びデータの読み出しの少なくともいずれかを伴う画像形成が行われないときに、ユーザの識別子を記憶する無線タグと前記通信部との通信が可能となった場合に、当該無線タグから識別子を前記通信部を用いて読み出す読出部と、
前記読出部により読み出された識別子が予め定められた条件を満たす識別子である場合に利用者が近接していると判定する判定部と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置、画像形成処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの画像形成装置は、待機中の消費電力を低減する省電力動作を行う。しかしながら、省電力動作を解除したのち、暫くの間は画像形成動作を実行できない場合がある。そこで、人間が近接したことに応じて省電力動作を解除し、画像形成動作の実行のための準備を行うようにした画像形成装置は知られている。
しかしながら、人間の近接を検出するための人感センサなどを備える必要がある。また、人感センサとして一般的な赤外線センサなどは、画像形成装置を利用しない人間が検出範囲を通過しただけでも近接として判定してしまう。
このような事情から、利用者の近接の検出機能を備えながら、その検出のための専用のデバイスを設ける必要がなく、かつ検出すべき利用者ではない人間の近接を利用者の検出として誤検出する可能性を低減できることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-234106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、利用者の近接の検出機能を備えながら、その検出のための専用のデバイスを設ける必要がなく、かつ検出すべき利用者ではない人間の近接を利用者の検出として誤検出する可能性を低減できる画像形成装置、画像形成処理システム及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像形成装置は、形成部、通信部、読み書き部、読出部及び判定部を備える。形成部は、プリント媒体に対して画像を形成する。通信部は、無線タグと無線通信する。読み書き部は、形成部によりプリント媒体への画像形成を行う際に、この画像形成の対象となるプリント媒体に取り付けられている無線タグへのデータの書き込み、あるいは画像形成の対象となるプリント媒体に取り付けられている無線タグからのデータの読み出し、の少なくともいずれかを通信部を用いて行う。読出部は、読み書き部によるデータの書き込み及びデータの読み出しの少なくともいずれかを伴う画像形成が行われないときに、ユーザの識別子を記憶する無線タグと通信部との通信が可能となった場合に、当該無線タグから識別子を通信部を用いて読み出す。判定部は、読出部により読み出された識別子が予め定められた条件を満たす識別子である場合に利用者が近接していると判定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係る画像形成処理システムの構成例を表すブロック図。
図2図1に表される複合機の機械的な構成を表す図。
図3図1に表される複合機の制御に関わる構成を概略的に表すブロック図。
図4図1に表されるサーバの要部回路構成を表すブロック図。
図5図3に表されるプロセッサによる制御処理での処理手順を表したフローチャート。
図6図3に表されるプロセッサによる制御処理での処理手順を表したフローチャート。
図7図3に表されるプロセッサによる制御処理での処理手順を表したフローチャート。
図8】サーバ及びユーザ端末の間で行われる通信のシーケンスを表す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、画像形成装置としての機能を備えた複合機を含んで構成された画像形成処理システムを例に説明する。
【0008】
図1は本実施形態に係る画像形成処理システムの構成例を表すブロック図である。
図1に表す画像形成処理システムは、オフィスなどのワークプレイスに設置された複数の複合機100を含んで構成する例である。そしてこの画像形成処理システムは、複数の複合機100、サーバ200及び複数のユーザ端末300を、通信ネットワーク400を介して通信可能として構成されている。
【0009】
複合機100は、プリント機能、コピー機能及びファクシミリ機能などの画像形成動作を伴う複数の機能を実現する装置である。複合機100は、スキャン機能及びデータフェイル管理機能などのような画像形成動作を伴わない機能を実現できてもよい。なお、複合機100は、ユーザ端末300からのプリント要求に応じたプリントを行う機能(以下、ネットワークプリント機能と称する)と、プリント用紙への画像形成を行いつつ、同じプリント用紙に取り付けられているRFID(radio frequency identification)タグとの通信を行う機能(以下、RFIDプリント機能と称する)とを少なくとも備え、その他の機能はどのような機能を備えていてもよい。複合機100は、MFP(multi function peripheral)とも称される。
【0010】
サーバ200は、ユーザ端末300から複合機100へのプリント要求を管理し、仲介するプリントサーバとしての機能を備える。サーバ200は、本実施形態ではローカルサーバである。しかしながらサーバ200は、ウェブサーバ、あるいはクラウドサーバであってもよい。
【0011】
ユーザ端末300は、各種のデータを管理し、それらデータに基づく複合機100でのプリントを通信ネットワーク400を介して要求する。ユーザ端末300は、ワークプレイス内で複合機100の利用者により使用される情報処理装置である。ユーザ端末300としては、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、あるいはスマートフォンなどの様々なタイプの情報処理装置が任意に用いられてよい。
【0012】
通信ネットワーク400は、インターネット、VPN(virtual private network)、LAN(local area network)、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。通信ネットワーク400としては、一例として、LANが用いられる。
【0013】
図2は複合機100の機械的な構成を表す図である。なお図2は、複合機100の機械的な構成を厳密に表している訳では無く、一部の要素の形状及び位置関係は実際とは異なる場合もある。
図2に表すように、複合機100は、スキャナ101、プリンタ102及びタグリーダライタ103を有する。
【0014】
スキャナ101は、原稿の画像を読み取って、これに対応する画像データを生成する。スキャナ101は、例えばCCD(charge-coupled device)を用いたラインセンサなどのイメージセンサを用い、原稿の読取面からの反射光像に応じた画像データを生成する。スキャナ101は、原稿台に載置された原稿を、当該原稿に沿って移動するイメージセンサによりスキャンする。スキャナ101はあるいは、ADF(auto document feeder)が搬送する原稿を、固定されたイメージセンサによりスキャンする。
【0015】
プリンタ102は、画像形成の対象となるプリント媒体に電子写真方式により画像を形成する。プリント媒体は、典型的にはカット紙等のプリント用紙である。そこで以下では、プリント媒体としてプリント用紙が用いられることとして説明する。ただし、プリント媒体としては、カット紙とは別の紙製のシート材が用いられてもよいし、紙以外の樹脂等の素材のシート材が用いられてもよい。プリンタ102は、カラー画像をプリント用紙に印刷するカラー印刷機能と、モノクロの画像をプリント用紙に印刷するモノクロ印刷機能とを有する。プリンタ102は、例えばイエロー、マゼンタ及びシアンの3色、あるいはこれにブラックを加えた4色のトナーをそれぞれ用いた要素画像を重ね合わせて形成することによってカラー画像を形成する。また、プリンタ102は、例えばブラックのトナーを用いてモノクロ画像を形成する。ただしプリンタ102は、カラー印刷機能及びモノクロ印刷機能のいずれか一方のみを備えてもよい。
【0016】
タグリーダライタ103は、例えば複合機100の本体とは別体のオプションユニットとして提供され、図2に表すように複合機100の本体の側面に取り付けられる。ただしタグリーダライタ103は、複合機100の本体の前面などの別の位置に取り付けられてもよい。またタグリーダライタ103は、複合機100の本体に内蔵されるのでも構わない。タグリーダライタ103は、無線タグの一例であるRFIDタグと無線通信する通信部である。タグリーダライタ103は、RFIDタグが記憶しているデータを読み取る。タグリーダライタ103は、RFIDタグに任意のデータを書き込む。RFIDタグは、プリンタ102内で画像形成のために搬送されるプリント用紙に取り付けられている。あるいはRFIDタグは、例えば利用者が所持するID(identification)カードに内蔵されている。
【0017】
図2に表す構成例において、プリンタ102は、給紙ユニット1、プリントエンジン2、定着ユニット3、ADU(automatic duplexing unit)4及び排紙トレイ5を含む。
給紙ユニット1は、給紙カセット10-1,10-2,10-3、ピックアップローラ11-1,11-2,11-3、搬送ローラ12-1,12-2,12-3、搬送ローラ13及びレジストローラ14を含む。
給紙カセット10-1~10-3は、プリント用紙を積み重ねた状態で収納する。給紙カセット10-1~10-3がそれぞれ収納するプリント用紙は、サイズ及び材質が異なる別種のプリント用紙であっても、同種のプリント用紙であってもよい。給紙ユニット1は、他に、手差しトレイを含んでもよい。
【0018】
ピックアップローラ11-1~11-3は、各給紙カセット10-1~10-3からプリント用紙を一枚ずつ取り出す。ピックアップローラ11-1~11-3は、取り出したプリント用紙を搬送ローラ12-1~12-3へと送り込む。
搬送ローラ12-1~12-3は、ピックアップローラ11-1~11-3から送り込まれたプリント用紙を、図示しないガイド部材などにより形成された搬送路を介して搬送ローラ13へと送り込む。
【0019】
搬送ローラ13は、搬送ローラ12-1~12-3のいずれかから送り込まれたプリント用紙を更に搬送し、レジストローラ14へと送り込む。
【0020】
レジストローラ14は、プリント用紙の傾きを正す。レジストローラ14は、プリントエンジン2へとプリント用紙を送り込むタイミングを調整する。
給紙カセット、ピックアップローラ及び搬送ローラは、3組に限定されるものではなく、任意の組数が設けられてよい。また、手差しトレイを設けるのであれば、給紙カセットと、それと対をなすピックアップローラ及び搬送ローラとは、1組も設けなくてもよい。
【0021】
プリントエンジン2は、ベルト20、支持ローラ21,22,23,24、画像形成ユニット25-1,25-2,25-3,25-4、供給ユニット26-1,26-2,26-3,26-4、露光ユニット27、転写ローラ28及びベルトクリーナ29を含む。
ベルト20は、無端状をなし、図2に表す状態を維持するように支持ローラ21,22,23,24により支持される。ベルト20は、支持ローラ21の回転に伴って、図2中の反時計回りに回転する。ベルト20は、外側に位置する面(以下、像担持面と称する)に、プリント用紙に形成すべきトナーの像を一時的に担持する。つまりベルト20は、像担持体の一例である。ベルト20には、耐熱性及び対磨耗性の点から、例えば半導電性ポリイミドが用いられる。ベルト20の回転に伴う像担持面の移動により、いわゆる副走査が実現されるのであり、像担持面の移動方向は副走査方向とも呼ばれる。
【0022】
画像形成ユニット25-1~25-4は、それぞれが感光体、帯電器、現像器、転写器及びクリーナを含み、露光ユニット27との協働により電子写真方式による画像形成を行う。なお、転写器は、画像形成ユニット25-1~25-4に含まれず、ベルト20を含むユニットなどの別のユニットに含まれてもよいし、いずれのユニットにも属さない状態で存在していてもよい。画像形成ユニット25-1~25-4は、それぞれの感光体の軸方向が互いに平行する状態で、ベルト20に沿って配列されている。画像形成ユニット25-1~25-4は、用いるトナーの色が異なるのみであり、構造及び動作は同様である。画像形成ユニット25-1は、例えばブラックの要素画像を形成する。画像形成ユニット25-2は、例えばシアンの要素画像を形成する。画像形成ユニット25-3は、例えばマゼンタの要素画像を形成する。画像形成ユニット25-4は、例えばイエローの要素画像を形成する。画像形成ユニット25-1~25-4は、各色の要素画像を、ベルト20の像担持面上で互いに重なり合うようにする。これにより、画像形成ユニット25-1~25-4は、画像形成ユニット25-1を通過した時点におけるベルト20の像担持面上に、各色の各要素画像を重ね合わせたカラー画像を形成する。
【0023】
供給ユニット26-1,26-2,26-3,26-4は、トナーを収容したトナーボトルを着脱可能であり、装着されているトナーボトルに収容されているトナーを画像形成ユニット25-1~25-4にそれぞれ供給する。トナーボトルには、トナーが単独で、つまりいわゆる1成分現像剤として収容されていてもよいし、トナーとキャリアなどの他の物質とを混合した、いわゆる多成分現像剤として収容されていてもよい。トナーボトルが多成分現像剤を収容する場合、供給ユニット26-1,26-2,26-3,26-4は、キャリア等の物質とともにトナーを供給する。ただし、供給ユニット26-1~26-4から画像形成ユニット25-1~25-4へと供給されるトナーが通過する通路の図示は図2では省略している。
【0024】
露光ユニット27は、画像形成ユニット25-1~25-4のそれぞれの感光体を、各色の要素画像を表した画像データに従って露光する。露光ユニット27としては、レーザスキャナ又はLED(light emitting diode)ヘッドなどが用いられる。露光ユニット27は、レーザスキャナが用いられるならば例えば、半導体レーザ素子、ポリゴンミラー、結像レンズ系及びミラーを含む。そしてこの場合の露光ユニット27は例えば、半導体レーザ素子から画像データに従って出射されたレーザビームを、ミラーによる出射方向の切り替えによって画像形成ユニット25-1~25-4のそれぞれの感光体に選択的に入射させる。また露光ユニット27は、上記のレーザビームを、ポリゴンミラーによって感光体の軸方向(図2中の奥行き方向)に走査する。このレーザビームの走査は、いわゆる主走査であり、その方向は主走査方向と呼ばれる。
【0025】
転写ローラ28は、支持ローラ24と平行に配置され、支持ローラ24との間にベルト20を挟み込む。転写ローラ28は、レジストローラ14から送り出されたプリント用紙を、ベルト20の像担持面との間に挟み込む。そして転写ローラ28は、ベルト20の像担持面に形成されたトナーの像を、静電力を利用してプリント用紙に対して転写する。
ベルトクリーナ29は、プリント用紙に転写し切れずにベルト20の像担持面に残留したトナーを除去する。
【0026】
かくしてプリントエンジン2は、レジストローラ14により送り込まれるプリント用紙に対して、電子写真方式により画像を形成する。つまりプリントエンジン2は、形成部の一例である。
【0027】
定着ユニット3は、定着ローラ30及び加圧ローラ31を含む。
定着ローラ30は、例えば耐熱性の金属ローラの内部にヒータを収容する。ヒータは、例えばIH(induction heating)ヒータであるが、他の任意のタイプのヒータを適宜に利用できる。定着ローラ30は、プリントエンジン2から送り出されるプリント用紙に付着したトナーを溶融させることによって、当該トナーをプリント用紙に定着させる。
【0028】
加圧ローラ31は、定着ローラ30と平行して、かつ定着ローラ30に対して押圧された状態で設けられている。加圧ローラ31は、プリントエンジン2から送り出されたプリント用紙を定着ローラ30との間に挟み込み、定着ローラ30へと押しつける。
【0029】
ADU4は、複数のローラを含み、次の2つの動作を選択的に行う。第1の動作は、定着ユニット3を通過したプリント用紙をそのまま排紙トレイ5に向けて送り出す。この第1の動作は、片面プリント又は両面プリントを終えた場合に行われる。第2の動作は、定着ユニット3を通過したプリント用紙を、一旦は排紙トレイ5の側へと搬送したのち、スイッチバックさせてプリントエンジン2へと送り込む。この第2の動作は、両面プリントにおける一面のみへの画像形成を終えた場合に行われる。
排紙トレイ5は、画像が形成されて排出されたプリント用紙を受ける。
【0030】
図3は複合機100の制御に関わる要部回路構成を概略的に表すブロック図である。なお図3において、図1及び図2に示されるのと同一の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
複合機100は、スキャナ101、プリンタ102及びタグリーダライタ103に加えて、通信ユニット104、システムコントローラ105及びコントロールパネル106を含む。
【0031】
通信ユニット104は、通信ネットワーク400を介して、サーバ200などと通信するための処理を行う。通信ユニット104としては、通信ネットワーク400に適用される通信方式に準拠した周知の通信デバイスを適用できる。つまり、通信ネットワーク400としてLANが用いられるならば、通信ユニット104としてはLANに準拠した通信デバイスを用いることができる。
【0032】
システムコントローラ105は、複合機100としての所期の動作を実現するために、複合機100を構成する各部を統括的に制御する。なお、複合機100としての所期の動作は、例えば既存のMFPにより実現される周知の種々の機能と、後述する機能を実現するための動作である。
【0033】
コントロールパネル106は、入力デバイス及び表示デバイスを含む。コントロールパネル106は、入力デバイスにより、操作者による指示を入力する。コントロールパネル106は、表示デバイスにより、操作者に対して通知すべき各種の情報を表示する。コントロールパネル106としては例えば、タッチパネル、各種のスイッチ及び各種のランプ等を単独で、あるいは適宜に組み合わせて利用できる。
【0034】
タグリーダライタ103は、信号処理ユニット1031、送信ユニット1032、アンテナ共用器1033、アンテナ1034、受信ユニット1035、制御ユニット1036及びインタフェースユニット1037を含む。
【0035】
信号処理ユニット1031は、予め定められた電波を放射させるためのベースバンドの送信信号を生成して送信ユニット1032へと与える。信号処理ユニット1031は、受信ユニット1035から与えられるベースバンドの受信信号から、タグ501,502からの送信データを抽出する。なお、タグ501は、プリント用紙に取り付けられたRFIDタグである。タグ502は、IDカードに内蔵されているRFIDタグである。
【0036】
送信ユニット1032は、信号処理ユニット1031から与えられるベースバンドの送信信号を、無線バンドの送信信号に変換する。送信ユニット1032は、送信信号のレベルを変更することで、アンテナ1034からの電波の送信強度を調整する機能を備える。
アンテナ共用器1033は、送信ユニット1032から与えられる送信信号をアンテナ1034に供給する。アンテナ共用器1033は、アンテナから出力される受信信号を受信ユニット1035に与える。
【0037】
アンテナ1034は、アンテナ共用器1033から供給される送信信号に応じた電波を空間に放射する。アンテナ1034は、タグ501,502から放射される応答波を受けて、電気的な受信信号をアンテナ共用器1033へと出力する。
受信ユニット1035は、アンテナ共用器1033から与えられる無線バンドの受信信号をベースバンドの受信信号に変換し、信号処理ユニット1031へと出力する。受信ユニット1035は、RSSI(received signal strength indicator)を測定する機能を備える。受信ユニット1035は、測定したRSSIが予め定められた受信閾値以上である場合にのみ受信信号を出力する機能を有する。さらに受信ユニット1035は、上記の閾値を制御ユニット1036からの指示に応じて変更する機能を有する。かくして受信ユニット1035は、受信感度を変更する機能を有する。
【0038】
制御ユニット1036は、システムコントローラ105の制御の下に、タグ501,502へのデータの書き込み及びタグ501,502からのデータの読み出しが所要のタイミングで行われるように信号処理ユニット1031を制御する。制御ユニット1036は、システムコントローラ105の制御の下に、信号処理ユニット1031、送信ユニット1032及び受信ユニット1035の動作の起動/停止を制御する。制御ユニット1036は、システムコントローラ105の制御の下に、送信出力及び受信感度を変更するように送信ユニット1032及び受信ユニット1035の動作状態を制御する。
インタフェースユニット1037は、システムコントローラ105との間でのデータの授受を仲介する。
【0039】
システムコントローラ105は、プロセッサ1051、メインメモリ1052、補助記憶ユニット1053、インタフェースユニット1054及び伝送路1055を含む。
プロセッサ1051、メインメモリ1052及び補助記憶ユニット1053を伝送路1055で接続することによって、MFP100を構成する各部を統括的に制御するための情報処理を行うコンピュータを構成する。
プロセッサ1051は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ1051は、オペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラム等の情報処理プログラムに従って、後述する情報処理を実行する。プロセッサ1051は例えば、CPU(central processing unit)及びASIC(application-specific integrated circuit)を含む。
【0040】
メインメモリ1052は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ1052は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メインメモリ1052は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメインメモリ1052は、プロセッサ1051が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ1052は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ1051によるワークエリアとして使用する。
【0041】
補助記憶ユニット1053は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット1053としては、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)及びSSD(solid state drive)等の周知の記憶デバイスを単独で又は複数組み合わせて用いることができる。補助記憶ユニット1053は、プロセッサ1051が各種の処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ1051での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット1053は、情報処理プログラムを記憶する場合もある。本実施形態では、補助記憶ユニット1053は、制御プログラムPRAを記憶する。制御プログラムPRAは、MFP100の制御のための情報処理について記述された情報処理プログラムである。
インタフェースユニット1054は、スキャナ101、プリンタ102、タグリーダライタ103、通信ユニット104及びコントロールパネル106などとの間でのデータの授受を仲介する。
伝送路1055は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0042】
さて、複合機100の譲渡は一般に、補助記憶ユニット1053に制御プログラムPRAが記憶された状態にて行われる。しかし、制御プログラムPRAが補助記憶ユニット1053に記憶されない状態、あるいは同種の別バージョンのアプリケーションプログラムが補助記憶ユニット1053に記憶された状態のハードウェアと、制御プログラムPRAとが個別に譲渡されてもよい。そして、任意の作業者の操作に応じて、補助記憶ユニット1053に制御プログラムPRAが書き込まれることによって、複合機100が構成されてもよい。これは例えば、複合機100の本体とは別体のオプションユニットとして提供されてタグリーダライタ103を取り付けるとともに、タグリーダライタ103に対応しない制御プログラムを制御プログラムPRAに置き換えるような場合である。制御プログラムPRAの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。
【0043】
図4はサーバ200の要部回路構成を表すブロック図である。
サーバ200は、プロセッサ2001、メインメモリ2002、補助記憶ユニット2003、通信ユニット2004及び伝送路2005等を備える。プロセッサ2001と、メインメモリ2002、補助記憶ユニット2003及び通信ユニット2004とは、伝送路2005を介して通信可能とされている。
【0044】
プロセッサ2001、メインメモリ2002及び補助記憶ユニット2003を伝送路2005で接続することによって、サーバ200を制御するための情報処理を行うコンピュータを構成する。
【0045】
プロセッサ2001は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ2001は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムに従って、サーバ200としての各種の機能を実現するべく各部を制御するための情報処理を実行する。
【0046】
メインメモリ2002は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ2002は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メインメモリ2002は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメインメモリ2002は、プロセッサ2001が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ2002は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ2001によるワークエリアとして使用する。
【0047】
補助記憶ユニット2003は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット2003は、例えばEEPROM、HDD、SSD、あるいはその他の周知の各種の記憶デバイスを利用できる。補助記憶ユニット2003は、プロセッサ2001が各種の処理を行う上で使用するデータと、プロセッサ2001での処理によって生成されたデータとを記憶する。補助記憶ユニット2003は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニット2003は、本実施形態では、情報処理プログラムの1つであるサーバプログラムPRBを記憶する。サーバプログラムPRBは、プリンタサーバとしての動作を実現するための後述する処理の手順について記述されたアプリケーションプログラムである。補助記憶ユニット2003の記憶領域の一部は、利用者データベースDBAを記憶する領域として利用される。利用者データベースDBAは、複合機100の利用者を管理するためのデータベースである。利用者データベースDBAは、複合機100の利用者のそれぞれに関連付けられたデータレコードの集合である。1つのデータレコードは、関連付けられた利用者を複合機100にて識別するための第1の識別子と、同じ利用者をユーザ端末300で識別するための第2の識別子とを互いに紐付ける。第1の識別子は、当該のユーザが所持するIDカードに内蔵されているタグ502に記憶される。第2の識別子は、第1の識別子とは無関係に定められる。
【0048】
通信ユニット2004は、通信ネットワーク400を介したデータ通信を行うための通信処理を実行する。通信ユニット2004としては、通信ネットワーク400に適用される通信方式に準拠した周知の通信デバイスを適用できる。つまり、通信ネットワーク400としてLANが用いられるならば、通信ユニット2004としてはLANに準拠した通信デバイスを用いることができる。
伝送路2005は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0049】
さて、サーバ200のハードウェアとしては、例えば汎用のサーバ装置を用いることができる。そしてサーバ200の譲渡は一般に、補助記憶ユニット2003にサーバプログラムPRBが記憶され、利用者データベースDBAが記憶されない状態にて行われる。しかし、サーバプログラムPRBが補助記憶ユニット2003に記憶されない状態、あるいは同種の別バージョンのアプリケーションプログラムが補助記憶ユニット2003に記憶された状態のハードウェアと、サーバプログラムPRBとが個別に譲渡されてもよい。そして、任意の作業者の操作に応じて、補助記憶ユニット2003にサーバプログラムPRBが書き込まれることによって、サーバ200が構成されてもよい。サーバプログラムPRBの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。
【0050】
次に以上のように構成された画像形成処理システムの動作について説明する。以下に説明する各種の動作及び各種の処理の内容は一例であって、一部の動作及び処理の順序の変更、一部の動作及び処理の省略、あるいは別の動作及び処理の追加などは適宜に可能である。例えば、以下の説明では、本実施形態の特徴的な動作を分かり易く説明するために、一部の処理についての説明を省略している。例えば、何らかのエラーが発生した場合に、そのエラーに対処するための処理が行われる場合があるが、そのような処理については記載を省略している。
【0051】
複数の複合機100が各種の機能を利用者に提供するための動作状態にあるとき、システムコントローラ105にてプロセッサ1051は、制御プログラムPRAに基づく情報処理(以下、制御処理と称する)をそれぞれに実行する。つまり複数の複合機100は、以下に説明する制御処理の下で同様に動作する。そこで以下においては、1つの複合機100の動作について説明する。
図5及び図6は制御処理におけるプロセッサ1051の処理手順を表したフローチャートである。
【0052】
ACT1としてプロセッサ1051は、コントロールパネル106での利用者による何らかの操作がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ1051は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT2へと進む。
ACT2としてプロセッサ1051は、サーバ200から後述するように待機指示がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ1051は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT1へと戻る。
かくしてプロセッサ1051は、利用者による操作がなされるか、待機指示がなされるのを待ち受ける。
【0053】
利用者は、複合機100のコピー機能などの一部の機能を利用する場合は、該当の複合機100に近接して、利用する機能を指定するためのコントロールパネル106での予め定められた操作を開始する。このような操作がコントロールパネル106からシステムコントローラ105へと通知されると、プロセッサ1051はACT1にてYESと判定し、ACT3へと進む。
ACT3としてプロセッサ1051は、機能制御処理を実行する。機能制御処理は、利用者が利用を希望する機能を実行するためのジョブを各部に行わせる処理である。
【0054】
図7は機能制御処理におけるプロセッサ1051の処理手順の一例を表すフローチャートである。
ACT31としてプロセッサ1051は、実行すべき機能についての利用者による指定がなされるのを待ち受ける。そしてプロセッサ1051は、上述のように利用者により、機能を指定する操作が行われたならばYESと判定し、ACT32へと進む。
【0055】
ACT32としてプロセッサ1051は、指定された機能を実行するために行うジョブにタグ501との通信を伴うジョブが含まれるか否かを確認する。プロセッサ1051は、例えばRFIDプリント機能のような予め定められた機能が指定されている場合に、タグ501との通信を伴うとしてYESと判定し、ACT33へと進む。
ACT33としてプロセッサ1051は、タグリーダライタ103に対して狭範囲モードでの通信開始を指示する。プロセッサ1051は例えば、当該指示のための予め定められたコマンドをインタフェースユニット1054からタグリーダライタ103に向けて出力する。
【0056】
タグリーダライタ103は、通信開始が指示されるまでは、信号処理ユニット1031、送信ユニット1032及び受信ユニット1035の動作を停止しており、送受信を行っていない。そして通信開始が指示されると制御ユニット1036は、信号処理ユニット1031、送信ユニット1032及び受信ユニット1035を動作させ、送受信可能な状態に移行する。ここで狭範囲モードが指定されているので制御ユニット1036は、送信強度を予め定められた第1の送信強度とするように送信ユニット1032の動作状態を設定するとともに、受信閾値として第1の受信閾値を用いるように受信ユニット1035の動作状態を設定する。第1の送信強度は、プリンタ102での画像形成のためにプリンタ102内で搬送されている際に予め定められた範囲に位置するタグ501が、アンテナ1034からの放射電波を所要の強度で受信するのに適する強度に予め定められる。なお、上記の範囲は、一例としてはレジストローラ14から定着ユニット3までの範囲である。第1の受信閾値は例えば、上記の範囲に位置するタグ501からの反射波に関して得られるRSSIに関して想定される最小値程度として定められる。第1の送信強度及び第1の受信閾値は、タグリーダライタ103と上記の範囲に位置しているタグ501との通信特性などを考慮して、複合機100の設計者などにより適宜に定められる。上記の範囲に位置するタグ501とアンテナ1034との距離は、例えば数cmから十数cm程度である。第1の送信強度及び第1の受信閾値は、この程度の通信距離に適応するように定められることになる。かくして狭範囲モードにおける通信可能範囲は、複合機100からは大きく離れることのない狭い範囲となる。
【0057】
ACT34としてプロセッサ1051は、指定された機能を実行するための1つ又は複数のジョブの開始を各部に指示する。例えば、プリント用紙への画像形成と連携して、同じプリント用紙に取り付けられたタグ501へのデータ書き込みを行うRFIDプリント機能が指定されているのであれば、プロセッサ1051は、プリンタ102に画像形成ジョブの開始を指示するとともに、タグリーダライタ103に、タグ501へのデータ書き込みジョブの開始を指示する。この指示に応じて、指示を受けた各部は、予め定められたジョブを実行する。かくして制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ1051が実行することによって、プロセッサ1051を中枢部分とするコンピュータは読み書き部として機能する。
【0058】
ACT35としてプロセッサ1051は、上記のように開始させた1つ又は複数のジョブによる機能実行が終了するのを待ち受ける。そしてプロセッサ1051は、機能実行が終了したならばYESと判定し、ACT36へと進む。
ACT36としてプロセッサ1051は、タグリーダライタ103に対して通信停止を指示する。この指示に応じてタグリーダライタ103にて制御ユニット1036は、信号処理ユニット1031、送信ユニット1032及び受信ユニット1035の動作を停止させ、送受信を行わない状態に戻す。そしてプロセッサ1051はこののち、機能制御処理を終了し、図5中のACT1及びACT2の待ち受け状態に戻る。
【0059】
ところでプロセッサ1051は、予め定められた機能とは別の機能が指定されている場合には、タグ501との通信を伴わないとしてACT32にてNOと判定し、ACT37へと進む。
ACT37としてプロセッサ1051は、ACT34と同様にジョブ開始を指示する。
ACT38としてプロセッサ1051は、機能実行が終了するのを待ち受ける。そしてプロセッサ1051は、機能実行が終了したならばYESと判定し、機能制御処理を終了して図5中のACT1及びACT2の待ち受け状態に戻る。
つまりタグ501との通信を伴わない機能の実行中は、タグリーダライタ103は、信号処理ユニット1031、送信ユニット1032及び受信ユニット1035の動作を停止させ、送受信を行わない状態のままとされる。
【0060】
利用者は、ユーザ端末300で管理されているドキュメントのプリントを複合機100により行いたい場合には、ユーザ端末300での予め定められた操作によるプリント指示を行うこともできる。
【0061】
図8はユーザ端末300でのプリント指示に応じて複合機100、サーバ200及びユーザ端末300の間で行われる通信のシーケンスを表す図である。
プリント指示に応じてユーザ端末300は、イベントEAとして、サーバ200に対してプリント要求を行う。ユーザ端末300は、プリントの対象とされているドキュメントに関するプリントデータを、プリント要求に際してサーバ200に通知する。またユーザ端末300は、サインインの際に利用者による入力を受けるなどして取得しておいた利用者の第1の識別子を、プリント要求に際してサーバ200に通知する。サーバ200は、通知されたプリントデータ及び第1の識別子を、メインメモリ2002又は補助記憶ユニット2003に保存する。かくしてメインメモリ2002又は補助記憶ユニット2003は、プリントデータを利用者の識別子である第1の識別子に関連付けて記憶する記憶部に相当する。
【0062】
サーバ200は、プリント要求を受けると、予め定められたルールに従って、複数の複合機100のうちの一部又は全てを、利用者の近接を待ち受ける待受機として選択する。そしてサーバ200は、イベントEBとして、待受機として選択した複合機100に対して待機指示を行う。サーバ200は、プリント要求に際して通知された第1の識別子に利用者データベースDBAで紐付けられている第2の識別子を、待受機として選択した複合機100に、待機指示に際して通知する。なお、ここでのサーバ200が行う処理及び後述するようにサーバ200が行う処理は、実際にはプロセッサ2001がサーバプログラムPRBに基づく情報処理を実行することにより実現される。かくしてサーバプログラムPRBに基づく情報処理をプロセッサ2001が実行することによって、プロセッサ2001を中枢部分とするコンピュータは指示部として機能する。
【0063】
選択ルールは一例として、「プリント要求を行った際のユーザ端末300の位置からの離間距離が規定距離以下となる複合機100を待受機とする。」のように定められる。この場合は例えば、サーバ200の補助記憶ユニット2003には、複合機100及びユーザ端末300のそれぞれの設置位置を表す三次元座標又は二次元座標を表した位置データベースを記憶させておく。そしてプロセッサ2001は例えば、プリント要求を行ったユーザ端末300の位置に対する離間距離が規定距離以下となる位置にある複合機100を位置データベースを参照しながら判定し、該当の複合機100を待受機とする。なお、ユーザ端末300が移動端末である場合には、例えばプリント要求のための通信ネットワーク400へのアクセスのために用いられた無線アクセスポイントの位置をユーザ端末300の位置とすればよい。なお、選択ルールは、例えばサーバプログラムPRBの作成者又はサーバ200の管理者などにより任意に定められてよい。選択ルールの別の例は、「ユーザ端末300毎に予め定められた複合機100を待受機とする。」あるいは「無条件に全ての複合機100を待受機とする。」などが想定される。
【0064】
さて、上記の待機指示を受けた複合機100においては、システムコントローラ105にてプロセッサ1051は、図5中のACT2にてYESと判定し、ACT4へと進む。
ACT4としてプロセッサ1051は、タグリーダライタ103に対して広範囲モードでの通信開始を指示する。
【0065】
タグリーダライタ103は、通信開始が指示されると制御ユニット1036は、信号処理ユニット1031、送信ユニット1032及び受信ユニット1035を動作させ、送受信可能な状態に移行する。ここで広範囲モードが指定されているので制御ユニット1036は、送信強度を予め定められた第2の送信強度とするように送信ユニット1032の動作状態を設定するとともに、受信閾値として第2の受信閾値を用いるように受信ユニット1035の動作状態を設定する。第2の送信強度は、複合機100の周辺の予め定められた検出範囲に位置しているタグ502が、アンテナ1034からの放射電波を所要の強度で受信するのに適する強度に予め定められる。なお、上記の検出範囲は、一例としては複合機100を中心に、数mから10m程度までの範囲とすることが想定される。第2の受信閾値は、検出範囲に位置するタグ502からの反射波に関して得られるRSSIに関して想定される最小値程度として定められる。第2の送信強度及び第2の受信閾値は、タグリーダライタ103と検出範囲に位置しているタグ502との通信特性などを考慮して、複合機100の設計者などにより適宜に定められる。なお、検出範囲の大きさを複合機100の管理者などが任意に設定可能とし、設定された検出範囲の大きさに応じて第2の送信強度及び第2の受信閾値が変更されてもよい。かくして広範囲モードにおける通信可能範囲は、複合機100の周囲、数mから10m程度離れた位置までを含む範囲となり、狭範囲モードのときよりも広い範囲となる。
従って、第2の送信強度及び第2の受信閾値は、第1の送信強度及び第1の受信閾値に対して大きな値となる。そしてプロセッサ1051が狭範囲モード及び広範囲モードのいずれを指定するかにより、送信強度及び受信閾値が変更されることにより通信可能範囲の大きさが変更されるのである。かくして制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ1051が実行することによって、プロセッサ1051を中枢部分とするコンピュータは通信制御部として機能する。
【0066】
ACT5としてプロセッサ1051は、コントロールパネル106での利用者による何らかの操作がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ1051は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT6へと進む。
ACT6としてプロセッサ1051は、サーバ200から後述するように解除指示がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ1051は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT7へと進む。
ACT7としてプロセッサ1051は、ACT4にてタグリーダライタ103に通信を開始させることで始まる待機状態に関して予め定められた制限時間がタイムアウトしたか否かを確認する。そしてプロセッサ1051は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT8へと進む。
ACT8としてプロセッサ1051は、利用者が近接したか否かを確認する。そしてプロセッサ1051は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT5へと戻る。
かくしてプロセッサ1051は、利用者による操作がなされるか、解除指示がなされるか、タイムアウトとなるか、あるいは利用者が近接するのを待ち受ける。プロセッサ1051がこのACT5~ACT8の待受状態にあるときの複合機100の動作状態を待機状態と称する。
【0067】
タグリーダライタ103がタグ502から第2の識別子を読み出したとしても、当該の第2の識別子がACT4で通知された第2の識別子と一致しないならば、プロセッサ1051はACT8にてYESと判定しない。また複合機100に近接した利用者がIDカードを所持していないならば、タグ502からの第2の識別子の読み出しが行われず、プロセッサ1051はACT8にてYESと判定しない。つまりプロセッサ1051はこれらの場合には、利用者が近接してもACT8にて近接とは判定しない。そしてそのような形で複合機100に近接した利用者が、複合機100の機能を利用するべくコントロールパネル106での操作を行うと、プロセッサ1051はACT5にてYESと判定し、ACT9へと進む。
【0068】
ACT9としてプロセッサ1051は、タグリーダライタ103に対して通信停止を指示する。この指示に応じてタグリーダライタ103にて制御ユニット1036は、信号処理ユニット1031、送信ユニット1032及び受信ユニット1035の動作を停止させ、送受信を行わない状態に戻す。これにより複合機100は、待機状態ではなくなる。
【0069】
ACT10としてプロセッサ1051は、ACT3と同様に、図7に表す手順で機能制御処理を実行する。ただしプロセッサ1051は、ここでの機能制御処理を終えたならば、図5中のACT1及びACT2の待受状態に戻るのではなく、ACT4を経てACT5~ACT8の待受状態に戻り、複合機100を待機状態に戻す。つまり複合機100は、待機状態にあるときに、待機指示に際して通知された第2の識別子で識別される利用者とは別の利用者により利用が開始された場合には、一旦はタグリーダライタ103の動作を停止して待機状態を解除するが、当該の利用の終了後には待機状態に戻る。
【0070】
プリントを指示した利用者又は別の利用者がIDカードを持って複合機100に近づき、そのIDカードに内蔵されたタグ502にアンテナ1034からの送信電波が十分に到達するようになると、タグ502がこの送信電波に応答し、記憶している第2の識別子を含んだ応答波を放射する。そしてこの応答波がアンテナ1034及びアンテナ共用器1033を介して受信ユニット1035により受信された上で、信号処理ユニット1031により第2の識別子が抽出される。さらにこのように抽出された第2の識別子は、制御ユニット1036によってシステムコントローラ105へと通知される。そうするとシステムコントローラ105にてプロセッサ1051は、このように通知された第2の識別子と、ACT4で通知された第2の識別子とを照合し、それらが一致するならばプリントを指示した利用者の近接としてACT8にてYESと判定し、図6中のACT21へと進む。
なお、プリントを指示した利用者とは別の利用者の近接の場合は、制御ユニット1036によってシステムコントローラ105へと通知された第2の識別子と、ACT4で通知された第2の識別子とが一致しないので、プロセッサ1051は利用者の近接とは判定しない。
【0071】
かくしてプロセッサ1051は、タグリーダライタ103を用いてタグ502から読み出した第2の識別子が、待機指示に際して通知された第2の識別子と一致するという条件を満たす識別子である場合に利用者が近接していると判定するのである。かくして制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ1051が実行することによって、プロセッサ1051を中枢部分とするコンピュータは判定部として機能する。
【0072】
ACT21としてプロセッサ1051は、タグリーダライタ103に対して通信停止を指示する。この指示に応じてタグリーダライタ103にて制御ユニット1036は、信号処理ユニット1031、送信ユニット1032及び受信ユニット1035の動作を停止させ、送受信を行わない状態に戻す。つまりプロセッサ1051は、待機していた利用者近接が確認できたならば、待機状態を解除する。
【0073】
ACT22としてプロセッサ1051は、画像形成を開始するための準備動作を開始する。プロセッサ1051は例えば、プリンタ102にウォーミングアップを開始させる。かくして制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ1051が実行することによって、プロセッサ1051を中枢部分とするコンピュータは準備制御部として機能する。
【0074】
ACT23としてプロセッサ1051は、プリントデータをサーバ200からダウンロードする。プロセッサ1051は例えば、通信ネットワーク400を介してサーバ200にアクセスし、図8中のイベントECとして、ダウンロード要求を行う。このダウンロード要求に応じてサーバ200は、イベントEDとして、前述のように保存しておいたプリントデータを、要求元の複合機100に送信する。かくして制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ1051が実行することによって、プロセッサ1051を中枢部分とするコンピュータは取得部として機能する。
【0075】
ACT24としてプロセッサ1051は、プリンタ102に対して、ダウンロードしたプリントデータに基づく画像形成の開始を指示する。この指示に応じてプリンタ102は、ウォーミングアップが終了するのを待って、画像形成を開始する。かくして制御プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ1051が実行することによって、プロセッサ1051を中枢部分とするコンピュータはプリント制御部として機能する。
【0076】
ACT25としてプロセッサ1051は、画像形成が終了するのを待ち受ける。そしてプロセッサ1051は、画像形成が終了したならばYESと判定し、ACT26へと進む。
ACT26としてプロセッサ1051は、サーバ200に対してプリントの完了を通知する。そしてプロセッサ1051は、図5中のACT1及びACT2の待受状態に戻る。
【0077】
上記の複合機100からサーバ200への完了通知は、ACT8中のイベントEEとして行われる。そしてこの完了通知を受けるとサーバ200は、イベントEFとして、イベントEBにて待機指示を与えた複合機100のうちの完了通知を行ったのとは異なる複合機100に対して解除指示を行う。
【0078】
プロセッサ1051は、図5中のACT5~ACT8の待受状態にあるときに、上記のような解除指示がサーバ200からなされたならば、ACT6にてYESと判定し、ACT11へと進む。またプロセッサ1051は、ACT9及びACT10を実行中に解除指示がサーバ200からなされたならば、ACT10の終了後にACT5~ACT8の待受状態に戻った際に、ACT6にてYESと判定する。
【0079】
またプロセッサ1051は、図5中のACT5~ACT8の待受状態にあるときに、ACT5、ACT6又はACT8にて上記のようにYESと判定することがないままに制限時間が経過したならば、タイムアウトとしてACT7にてYESと判定し、ACT11へと進む。
ACT11としてプロセッサ1051は、タグリーダライタ103に対して通信停止を指示する。この指示に応じてタグリーダライタ103にて制御ユニット1036は、信号処理ユニット1031、送信ユニット1032及び受信ユニット1035の動作を停止させ、送受信を行わない状態に戻す。そしてプロセッサ1051は、ACT1及びACT2の待受状態に戻る。かくしてプロセッサ1051は、解除指示又はタイムアウトに応じて待機状態を解消する。
【0080】
以上のように複合機100は、プリント用紙に取り付けられているタグ501からのデータ読み取り及びタグ501へのデータ書き込みのための通信と、利用者が所持するタグ502との利用者の近接検出のための通信とを、いずれもタグリーダライタ103を用いて行う。これにより、利用者の近接の検出機能を備えながら、その検出のための専用のデバイスを設ける必要がない。しかも、タグ502を所持しない人間を利用者として検出しないから、検出すべき利用者ではない人間の近接を利用者の検出として誤検出する可能性を低減できる。
【0081】
また複合機100は、タグ501に関する読み書きを行うべき場合と、利用者の近接を検出すべき場合とで、タグリーダライタ103による通信可能範囲の大きさを変更する。これにより、複合機100からある程度は離れた位置で利用者の近接を検出できるとともに、タグ501に関する読み書きに際しては、複合機100の外部に位置しているような読み書きの対象ではないタグ501との通信が行われてしまうことを防止できる。
【0082】
また複合機100は、利用者の近接を待機する状態となると、プリンタ102のウォーミングアップなどの準備動作を開始する。かくして、利用者が複合機100まで移動する間を用いて準備動作を進めることができ、利用者が複合機100に近接してから画像形成を開始できるまでの待ち時間を短縮できる。
【0083】
また本実施形態の画像形成処理システムは、複数の複合機100の中から待受機とする複合機100をサーバ200が選択し、待受機とされた複合機100のみがサーバ200からの指示に応じて利用者の近接を待機する。かくして、例えば利用者による利用が想定される複合機100に限って待機動作を行わせることができ、無用な待機動作の実行による無駄を省くことができる。
【0084】
また本実施形態の画像形成処理システムは、プリントを指示した利用者が近接した複合機100が、その利用者によるプリント指示の対象となるプリントデータをサーバ200からダウンロードする。かくして、画像形成処理システム内でのプリントデータの無駄な転送を行うことがない。
【0085】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
サーバ200は、プリント指示以外の利用者の指示を受けるようにしてもよい。例えば、コピー機能を利用する旨の利用者の宣言を、利用者の指示としてサーバ200で受けてもよい。この場合、プリントデータのダウンロードは不要であるが、サーバ200から複合機100に待機指示が与えられることで複合機100の準備動作が開始されることにより、利用者がコピー機能を利用すべく複合機に近接したときには既に準備動作が進んでいることとなり、コピー機能の利用に関する利用者の待ち時間を短縮できることになる。
【0086】
複合機100では、タグ501との通信を行う必要の無い期間に、連続的に、あるいは断続的に広範囲モードでの通信をタグリーダライタ103に行わせてもよい。そしてタグリーダライタ103により任意の第2の識別子が読み取れた場合に、準備動作を開始するようにしてもよい。このようにすれば、IDカードを所持している利用者が複合機100に近接したことに応じて準備動作を開始することができ、その利用者が近づいた複合機100を利用開始するならば、そのときには既に準備動作が進んでいることとなり、各種の機能の利用に関する利用者の待ち時間を短縮できることになる。
【0087】
複合機100又はサーバ200に、第2の識別子のリストを表したデータを保存して置き、タグリーダライタ103により読み取られた第2の識別子が上記のリストに含まれる場合に利用者の検出とするなど、近接と判定するための条件は適宜に変更が可能である。
【0088】
サーバ200の機能を複合機100に備えてもよい。
【0089】
画像形成を行う装置であれば、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などのMFP以外の各種装置においても上記と同様の実施が可能である。
【0090】
画像形成ユニットの数は4つには限らず、少なくとも1つを有していればよい。
【0091】
例えばインクジェット方式などのような電子写真方式とは別の方式により画像形成を行う画像形成装置であってもよい。
【0092】
情報処理によりプロセッサ1051が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
100…複合機、101…スキャナ、102…プリンタ、103…タグリーダライタ、1031…信号処理ユニット、1032…送信ユニット、1033…アンテナ共用器、1034…アンテナ、1035…受信ユニット、1036…制御ユニット、1037…インタフェースユニット、104…通信ユニット、105…システムコントローラ、1051…プロセッサ、1052…メインメモリ、1053…補助記憶ユニット、1054…インタフェースユニット、1055…伝送路、106…コントロールパネル、200…サーバ、2001…プロセッサ、2002…メインメモリ、2003…補助記憶ユニット、2004…通信ユニット、2005…伝送路、300…ユーザ端末、400…通信ネットワーク、501,502…タグ。
図1
図2
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図6
図7
図8