IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日新電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-熱交換器、及び復水器 図1
  • 特開-熱交換器、及び復水器 図2
  • 特開-熱交換器、及び復水器 図3
  • 特開-熱交換器、及び復水器 図4
  • 特開-熱交換器、及び復水器 図5
  • 特開-熱交換器、及び復水器 図6
  • 特開-熱交換器、及び復水器 図7
  • 特開-熱交換器、及び復水器 図8
  • 特開-熱交換器、及び復水器 図9
  • 特開-熱交換器、及び復水器 図10
  • 特開-熱交換器、及び復水器 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180869
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】熱交換器、及び復水器
(51)【国際特許分類】
   F28D 1/053 20060101AFI20231214BHJP
   F28B 1/02 20060101ALI20231214BHJP
   F28F 17/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
F28D1/053 A
F28B1/02
F28F17/00 501A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094522
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】下村 智章
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA37
3L103DD08
3L103DD32
3L103DD42
(57)【要約】
【課題】凝縮液の排出を促進することを可能にした熱交換器、及び復水器を提供する。
【解決手段】熱交換器12は、冷媒流路を有する熱交換部材を備え、蒸気Vを凝縮させる用途に用いられる。熱交換部材は、第1の熱交換部材21と、第1の熱交換部材21と隣り合って配置される第2の熱交換部材22とを含む。熱交換器12は、第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間で上下に開口する空間部23を備える。第1の熱交換部材21は、第2の熱交換部材22の下端よりも下方に突出する突出部21aを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒流路を有するとともに上下に延びる形状を有する熱交換部材を備え、蒸気を凝縮させる用途に用いられる熱交換器であって、
前記熱交換部材は、第1の熱交換部材と、
前記第1の熱交換部材と隣り合って配置される第2の熱交換部材とを含み、
前記熱交換器は、前記第1の熱交換部材と前記第2の熱交換部材との間で上下に開口する空間部を備え、
前記第1の熱交換部材は、前記第2の熱交換部材の下端よりも下方に突出する突出部を有する、熱交換器。
【請求項2】
前記第1の熱交換部材及び前記第2の熱交換部材は、長径方向が上下に延びる扁平管を有する、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1の熱交換部材の前記突出部は、前記扁平管の下端部により構成される、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1の熱交換部材と前記第2の熱交換部材との間隔寸法は、5mm以下である、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第2の熱交換部材の下端から前記第1の熱交換部材の前記突出部の下端までの寸法である前記突出部の突出長さは、1mm以上である、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1の熱交換部材と前記第2の熱交換部材との間にフィンが配置されないフィンレス構造を有する、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項7】
水蒸気を凝縮させる熱交換器と、前記熱交換器を収容するとともに外部から水蒸気を導入する導入口を有する容器と、前記熱交換器との熱交換により凝縮した凝縮水を貯留する貯留部と、を備える復水器であって、
前記熱交換器は、冷媒流路を有するとともに上下に延びる形状を有する熱交換部材を備え、
前記熱交換部材は、第1の熱交換部材と、前記第1の熱交換部材と隣り合って配置される第2の熱交換部材とを含み、
前記熱交換器は、前記第1の熱交換部材と前記第2の熱交換部材との間で上下方向に延びる空間部を備え、
前記第1の熱交換部材は、前記第2の熱交換部材の下端よりも下方に突出する突出部を有する、復水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器、及び復水器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、例えば、扁平管等の熱交換部材を備える熱交換器が知られている。このような熱交換器は、熱交換部材の有する流路に冷却媒体を流通することで、例えば、水蒸気中の水分を凝縮させる凝縮器に利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-145010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱交換器は、隣り合う熱交換部材の間に凝縮液が残留すると、この凝縮液により蒸気と熱交換部材との熱交換が妨げられる。このため、隣り合う熱交換部材の間において凝縮された凝縮液の排出を促進することは、熱交換器の熱交換効率を高めるという観点で重要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する熱交換器、及び復水器の各態様について説明する。
態様1の熱交換器は、冷媒流路を有するとともに上下に延びる形状を有する熱交換部材を備え、蒸気を凝縮させる用途に用いられる熱交換器であって、前記熱交換部材は、第1の熱交換部材と、前記第1の熱交換部材と隣り合って配置される第2の熱交換部材とを含み、前記熱交換器は、前記第1の熱交換部材と前記第2の熱交換部材との間で上下に開口する空間部を備え、前記第1の熱交換部材は、前記第2の熱交換部材の下端よりも下方に突出する突出部を有する。この構成によれば、第1の熱交換部材と第2の熱交換部材との間における凝縮液は、第1の熱交換部材の突出部に沿って下方に移動し易くなる。
【0006】
態様2の熱交換器では、態様1において、前記第1の熱交換部材及び前記第2の熱交換部材は、長径方向が上下に延びる扁平管を有してもよい。
態様3の熱交換器では、態様2において、前記第1の熱交換部材の前記突出部は、前記扁平管の下端部により構成されてもよい。
【0007】
態様4の熱交換器では、態様1から態様3のいずれか一つの態様において、前記第1の熱交換部材と前記第2の熱交換部材との間隔寸法は、5mm以下であってもよい。
態様5の熱交換器では、態様1から態様4のいずれか一つの態様において、前記第2の熱交換部材の下端から前記第1の熱交換部材の前記突出部の下端までの寸法である前記突出部の突出長さは、1mm以上であってもよい。
【0008】
態様6の熱交換器は、態様1から態様4のいずれか一つの態様において、前記第1の熱交換部材と前記第2の熱交換部材との間にフィンが配置されないフィンレス構造を有してもよい。
【0009】
態様7の復水器は、水蒸気を凝縮させる熱交換器と、前記熱交換器を収容するとともに外部から水蒸気を導入する導入口を有する容器と、前記熱交換器との熱交換により凝縮した凝縮水を貯留する貯留部と、を備える復水器であって、前記熱交換器は、冷媒流路を有するとともに上下に延びる形状を有する熱交換部材を備え、前記熱交換部材は、第1の熱交換部材と、前記第1の熱交換部材と隣り合って配置される第2の熱交換部材とを含み、前記熱交換器は、前記第1の熱交換部材と前記第2の熱交換部材との間で上下方向に延びる空間部を備え、前記第1の熱交換部材は、前記第2の熱交換部材の下端よりも下方に突出する突出部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、熱交換効率を高めることが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態における復水器を示す概略断面図である。
図2図2は、熱交換器の一部を切り欠いて示す斜視図である。
図3図3は、図2の3-3線に沿った断面図である。
図4図4は、熱交換器の試験体を用いた試験方法を説明する図である。
図5図5は、熱交換器の試験体を用いた試験方法を説明する図である。
図6図6は、熱交換器の試験体を用いた試験方法を説明する図である。
図7図7は、熱交換器の試験体の一部を示す模式図である。
図8図8は、試験例における試験体の突出長さL1と、保水率R1との関係を示すグラフである。
図9図9は、第1の変更例の熱交換器の一部を示す断面図である。
図10図10は、第2の変更例の熱交換器の一部を示す断面図である。
図11図11は、第3の変更例の熱交換器の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、熱交換器を備える復水器の一実施形態について図面を参照して説明する。
<復水器の概要>
図1に示すように、復水器11は、水蒸気Vを凝縮させる熱交換器12と、熱交換器12を収容する容器13と、熱交換器12との熱交換により凝縮した凝縮水CWを貯留する貯留部14とを備える。熱交換器12は、冷媒流路を有するとともに上下に延びる形状を有する熱交換部材を備えている。容器13は、外部から水蒸気Vを導入する導入口13aを有している。貯留部14は、容器13内の熱交換器12の下方の空間により構成されている。
【0013】
復水器11は、例えば、ケミカルヒートポンプに用いることができる。ケミカルヒートポンプは、例えば、工場等から発生する排熱を蓄熱し、排熱の温度よりも高い温度の熱を放熱可能とするシステムである。復水器11は、ケミカルヒートポンプの系内で発生する水蒸気を凝縮する。復水器11で得られた凝縮水CWは、再利用することができる。すなわち、復水器11の容器13には、図示を省略した排出口を有し、この排出口から貯留部14内の凝縮水CWを排出するように構成することができる。
【0014】
<熱交換器>
図2及び図3に示すように、熱交換器12の熱交換部材は、第1の熱交換部材21と、第1の熱交換部材21と隣り合って配置される第2の熱交換部材22とを備えている。第1の熱交換部材21は、第1の冷媒流路C1を有している。第2の熱交換部材22は、第2の冷媒流路C2を有している。第1の冷媒流路C1と第2の冷媒流路C2とは、互いに平行となるように延びている。すなわち、第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22とは、平行に延びる長手方向を有している。第1の冷媒流路C1と第2の冷媒流路C2とは、水平方向に沿って冷媒が流通するように配置されている。このような第1の熱交換部材21及び第2の熱交換部材22の流路方向は、図面においてY軸に沿った方向である。
【0015】
第1の冷媒流路C1と第2の冷媒流路C2とは、水平方向に対して傾斜する方向に沿って冷媒が流通するように配置されていてもよい。水平方向に対する第1の冷媒流路C1と第2の冷媒流路C2の傾斜角度は、例えば、30°以下であることが好ましい。第1の熱交換部材21及び第2の熱交換部材22は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅等の金属材料から構成されている。
【0016】
熱交換器12は、第1の熱交換部材21及び第2の熱交換部材22に冷媒F1を供給する供給管31と、第1の熱交換部材21及び第2の熱交換部材22から冷媒F1を排出する排出管32とを備えている。供給管31には、第1の熱交換部材21及び第2の熱交換部材22の流路方向における両端部のうち一端部が接続されている。排出管32には、第1の熱交換部材21及び第2の熱交換部材22の流路方向における両端部のうち他端部が接続されている。供給管31及び排出管32は、第1の熱交換部材21及び第2の熱交換部材22の流路方向と交差する方向に延びる流路を有している。
【0017】
図3に示すように、第1の熱交換部材21は、扁平管FTから構成されている。第2の熱交換部材22についても扁平管FTから構成されている。扁平管FTは、流路断面において長径方向と短径方向とを有している。扁平管FTは、長径方向が上下方向に延びるように配置されている。上下方向は、図面においてZ軸方向に沿った方向である。なお、扁平管FTの短径方向は、図面においてX軸に沿った左右方向である。
【0018】
扁平管FTは、短径方向において互いに対向する一対の平板部FTaと、平板部FTaの両端部をそれぞれ接続する曲部FTbとを有している。本実施形態の第1の熱交換部材21を構成する扁平管FTと、第2の熱交換部材22を構成する扁平管FTとは、互いに同じ断面形状及び外形寸法を有している。
【0019】
なお、扁平管FTの流路の数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。扁平管FTは、図示を省略するが、例えば、管内を区画する区画壁により仕切られることで形成された複数の流路を有していてもよい。
【0020】
熱交換器12は、第1の熱交換部材21と、第2の熱交換部材22との間で上下に開口する空間部23を有している。熱交換器12の使用時には、空間部23における上側の開口から空間部23に水蒸気Vを流入させる。なお、熱交換器12の使用時には、空間部23における下側の開口から空間部23に水蒸気Vを流入させてもよい。空間部23に流入した水蒸気Vは、第1の熱交換部材21及び第2の熱交換部材22と熱交換することで凝縮する。水蒸気Vが凝縮して得られる凝縮水CWは、空間部23を挟んで対向する第1の熱交換部材21の外面と第2の熱交換部材22の外面とに付着する。凝縮水CWは、空間部23を下方に流動して熱交換器12から下方に排出される。
【0021】
本実施形態の熱交換器12は、第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間にフィンが配置されないフィンレス構造を有している。
第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間隔寸法D1は、5mm以下であることが好ましく、より好ましくは、4mm以下であり、さらに好ましくは、3.5mm以下である。この間隔寸法D1を小さくするほど、熱交換器12を小型化することが可能となる。
【0022】
第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間隔寸法D1は、例えば、1mm以上であることが好ましく、より好ましくは、1.5mm以上であり、さらに好ましくは、2mm以上である。この間隔寸法D1を大きくするほど、空間部23からの凝縮水CWの排出をより促進することができる。
【0023】
図2及び図3に示すように、第1の熱交換部材21は、第2の熱交換部材22の下端よりも下方に突出する突出部21aを有している。本実施形態の第1の熱交換部材21における突出部21aは、扁平管FTの下端部である。詳述すると、第1の熱交換部材21を構成する扁平管FTの下端が、第2の熱交換部材22を構成する扁平管FTの下端よりも下方となるように、第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22とを配置している。
【0024】
第2の熱交換部材22の下端から第1の熱交換部材21の突出部21aの下端までの寸法である突出長さL1は、1mm以上であることが好ましく、より好ましくは、2mm以上であり、さらに好ましくは、3mm以上であり、最も好ましくは、4mm以上である。この突出長さL1が長くなるほど、隣り合う第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間において凝縮された水の排出が促進され易くなる。
【0025】
<試験例>
次に、熱交換器12の試験例について説明する。
試験例1では、図4図6に示すように、熱交換器12の試験体51を水槽52内の水Wに沈めた後、試験体51を引き上げた。試験体51を引き上げてから10秒後、試験体51の保水量W1[g]を求めた。保水量W1[g]は、試験体51を水から引き上げてから10秒後の質量から、乾燥状態の試験体51の質量を差し引くことで求めた。この保水量W1から試験体51の保水率R1[%]を算出した。図7には、第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間が水で満たされたときの状態を模式的に示している。保水率R1は、第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間が水で満たされたときの水の質量W2[g]に対する上記保水量W1[g]の割合であり、下記式により算出される。この保水率R1が小さいほど、熱交換器12における凝縮水CWの排出性能が高いと言える。
【0026】
R1=W1/W2×100
試験例1の試験体51において、第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間隔寸法D1は、2mmである。試験例1の試験体51において、第1の熱交換部材21の突出部21aの突出長さL1は、4mmである。この試験例1の試験体51の保水率R1は、5.6%であった。なお、保水率R1は、試験体51の浸漬操作を10回行ったときの平均値である。
【0027】
試験例2では、第1の熱交換部材21の突出部21aの突出長さL1を8mmに設定した試験体51を用いた以外は、試験例1と同様に保水率R1を求めた。試験例2の保水率R1は、5.2%であった。
【0028】
試験例3では、第1の熱交換部材21の突出部21aの突出長さL1を16mmに設定した試験体51を用いた以外は、試験例1と同様に保水率R1を求めた。試験例3の保水率R1は、6.0%であった。
【0029】
試験例4では、突出部21aを有しない熱交換部材(突出部21aの突出長さL1=0mm)から構成した試験体を用いた以外は、試験例1と同様に保水率R1を求めた。試験例4の保水率R1は、9.4%であった。
【0030】
図8には、各試験例の突出長さL1と保水率R1との関係を示している。試験例1~3の保水率R1は、試験例4の保水率R1よりも低いことが分かる。試験例4の試験体では、隣り合う扁平管の間をつなぐブリッジ状に水が滞留していた。一方、試験例1~3の試験体51では、隣り合う扁平管FTをつなぐブリッジ状の水の残留は確認されず、扁平管FTの表面に水滴が付着している程度であった。この結果から、試験例1~3では、試験例4よりも水の排出を促進できることが分かる。
【0031】
<作用及び効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)熱交換器12は、冷媒流路を有する熱交換部材を備え、蒸気を凝縮させる用途に用いられる。熱交換部材は、第1の熱交換部材21と、第1の熱交換部材21と隣り合って配置される第2の熱交換部材22とを含む。熱交換器12は、第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間で上下に開口する空間部23を備えている。第1の熱交換部材21は、第2の熱交換部材22の下端よりも下方に突出する突出部21aを有している。この構成によれば、第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間における凝縮液(凝縮水CW)は、第1の熱交換部材21の突出部21aに沿って下方に移動し易くなる。このため、第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間をつなぐブリッジ状に凝縮液が滞留し難くなる。すなわち、第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間における凝縮液(凝縮水CW)の排出を促進することが可能となる。
【0032】
上記のように熱交換器12における凝縮液の排出が促進されることで、第1の熱交換部材21及び第2の熱交換部材22と、蒸気(水蒸気V)との熱交換を促進することが可能となる。従って、熱交換器12の熱交換効率を高めることが可能となる。
【0033】
(2)第1の熱交換部材21及び第2の熱交換部材22は、長径方向が上下に延びる扁平管FTを有している。この場合、第1の熱交換部材21及び第2の熱交換部材22の熱交換効率を高めることができる。
【0034】
(3)第1の熱交換部材21の突出部21aは、扁平管FTの下端部により構成されることで、第1の熱交換部材21の構造を簡素化することができる。
(4)熱交換器12は、第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間にフィンが配置されないフィンレス構造を有している。この場合、第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間における凝縮液(凝縮水CW)の排出をさらに促進することができる。
【0035】
(5)復水器11は、熱交換器12と、熱交換器12を収容する容器13と、熱交換器12との熱交換により凝縮した凝縮水CWを貯留する貯留部14を有している。この場合、凝縮水CWを再利用することができる。このような復水器11は、例えば、ケミカルヒートポンプの蓄熱部から排出される水蒸気Vの回収に用いることができる。
【0036】
<変更例>
上記実施形態を次のように変更してもよい。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0037】
・上記熱交換器12は、水蒸気Vを凝縮する復水器11に用いられているが、水蒸気V以外の蒸気を凝縮する凝縮器に用いることもできる。水蒸気V以外の蒸気としては、例えば、アルコール等の有機溶媒の蒸気が挙げられる。
【0038】
・上記復水器11の容器13には、100%の水蒸気Vを導入してもよいし、例えば、空気等の復水器11で凝縮しない気体と、水蒸気Vとの混合気体を導入してもよい。
・上記復水器11の容器13における導入口13aの位置は、容器13の上壁部以外の位置に変更することもできる。導入口13aの位置は、例えば、熱交換器12よりも下方となる容器13の側壁であってもよい。
【0039】
・上記熱交換器12は、フィンレス構造を有しているが、上記熱交換器12を第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間にフィンが配置されたフィン付き熱交換器に変更することもできる。フィンとしては、例えば、上下に開口するコルゲートフィン等が挙げられる。フィンの厚さは、例えば、0.2mm以上、1mm以下の範囲内である。フィン付き熱交換器の場合、第1の熱交換部材21と第2の熱交換部材22との間隔寸法D1は、例えば、1.5mm以上であることが好ましく、より好ましくは、2mm以上であり、さらに好ましくは、2.5mm以上である。
【0040】
・上記実施形態の熱交換器12では、第2の熱交換部材22の上端位置は、第1の熱交換部材21の上端位置よりも高く構成されているが、この構成に限定されない。例えば、図7に示すように、熱交換器12における第2の熱交換部材22の上端位置は、第1の熱交換部材21の上端位置よりも低く構成することもできる。また、例えば、図9に示すように、熱交換器12における第1の熱交換部材21の上端位置と、第2の熱交換部材22の上端位置とは、同じ高さ位置となるように構成することもできる。
【0041】
・熱交換器12における第1の熱交換部材21及び第2の熱交換部材22は、左右方向において交互となるように配列されているが、この配列に限定されない。例えば、図9に示すように、第1の熱交換部材21と第1の熱交換部材21との間に複数の第2の熱交換部材22が位置するように配列することもできる。第1の熱交換部材21と第1の熱交換部材21との間に配置される第2の熱交換部材22の数は、3つ以上であってもよい。
【0042】
図10に示すように、第1の熱交換部材21の突出部21aは、扁平管FTの下端部から下方に延びる下部突出部材P1により構成することもできる。下部突出部材P1の形状としては、例えば、板状、柱状等が挙げられる。下部突出部材P1の材料は、例えば、金属材料、樹脂材料等が挙げられる。下部突出部材P1の材料は、熱伝導性を容易に高めることができるという観点から、金属材料であることが好ましい。
【0043】
・熱交換器12の第1の熱交換部材21の第1の冷媒流路C1は、扁平管FTにより構成されているが、扁平管FT以外の流路部材により構成することもできる。例えば、図11に示すように、流路部材を円管CTに変更することもできる。この変更例の熱交換器12における第1の熱交換部材21及び第2の熱交換部材22は、円管CTと、円管CTの下端部から下方に延びる下部突出部材P1と、円管CTの上端部から上方に延びる上部突出部材P2とを備えている。上部突出部材P2の形状としては、例えば、板状、柱状等が挙げられる。上部突出部材P2の材料は、例えば、金属材料、樹脂材料等が挙げられる。上部突出部材P2の材料は、熱伝導性を容易に高めることができるという観点から、金属材料であることが好ましい。
【0044】
・熱交換器12における複数の第1の熱交換部材21の突出部21aの突出長さL1は、同じであってもよいし、互いに異なってもよい。
・熱交換器12における第1の熱交換部材21の数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。熱交換器12における第2の熱交換部材22の数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0045】
・上記第1の熱交換部材21と上記第2の熱交換部材22の流路方向に沿った形状は、直線状であるが、曲線状であってもよい。
・上記復水器11の貯留部14は、容器13内に設けられているが、貯留部14を容器13の外部に設けた別の貯留容器から構成してもよい。
【符号の説明】
【0046】
11…復水器
12…熱交換器
13…容器
13a…導入口
14…貯留部
21…第1の熱交換部材
21a…突出部
22…第2の熱交換部材
23…空間部
C1…第1の冷媒流路
C2…第2の冷媒流路
CW…凝縮水
D1…間隔寸法
F1…冷媒
FT…扁平管
L1…突出長さ
V…水蒸気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11