(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180877
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】基板洗浄装置
(51)【国際特許分類】
H05K 3/26 20060101AFI20231214BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H05K3/26 D
B08B3/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094532
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥山 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】大橋 忠文
(72)【発明者】
【氏名】大澤 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
【テーマコード(参考)】
3B201
5E343
【Fターム(参考)】
3B201AA02
3B201AB13
3B201BB22
3B201BB62
3B201BB92
3B201BB93
3B201CD22
5E343AA02
5E343EE04
5E343FF23
5E343GG20
(57)【要約】
【課題】基板から除去された異物の基板への再付着の抑制。
【解決手段】実施形態の基板洗浄装置1は、配線基板Sを洗浄する洗浄液CLを貯留する洗浄槽2と、洗浄槽2の洗浄液CLを浄化する浄化系統3と、を備えている。浄化系統3は、濾過によって、洗浄槽2の洗浄液CLから異物を除去する濾過機41を備える第1の浄化系統4と、遠心分離によって、洗浄槽2の洗浄液CLから異物を除去する遠心分離機51を備える第2の浄化系統5と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板を洗浄する洗浄液を貯留する洗浄槽と、
前記洗浄槽の洗浄液を浄化する浄化系統と、
を備える基板洗浄装置であって、
前記浄化系統は、
濾過によって、前記洗浄槽の洗浄液から異物を除去する濾過機を備える第1の浄化系統と、
遠心分離によって、前記洗浄槽の洗浄液から異物を除去する遠心分離機を備える第2の浄化系統と、
を備える。
【請求項2】
請求項1記載の基板洗浄装置であって、前記遠心分離機は、ゲル状の異物を除去可能に構成されている。
【請求項3】
請求項1記載の基板洗浄装置であって、前記第1の浄化系統は、さらに、新たな洗浄液を供給する洗浄液供給機と、前記洗浄槽の洗浄液を送る第1のポンプと、前記洗浄槽の上方で搬送されている前記配線基板の表面に、新たな洗浄液と前記洗浄槽の洗浄液とを混合した混合液を吐出するノズルとを備えている。
【請求項4】
請求項1記載の基板洗浄装置であって、前記遠心分離機は、前記洗浄槽からオーバーフローした前記洗浄液から異物を除去する。
【請求項5】
請求項1記載の基板洗浄装置であって、前記第2の浄化系統は、さらに、異物除去前の洗浄液を前記遠心分離機に送り、異物除去後の洗浄液を前記洗浄槽に送る第2のポンプを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板を洗浄するための基板洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォトリソグラフィによって電極パターンを配線基板上に形成した後に、配線基板を洗浄するための洗浄装置が開示されている。特許文献1に開示されている洗浄装置は、電極パターンの形成後に、配線基板の表面に残存する電極材料や現像液を洗浄液によって除去するために用いられている。洗浄装置には、使用後の洗浄液を浄化する浄化処理装置が設けられている。使用後の洗浄液は、浄化処理装置によって適宜浄化されることで、再利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている洗浄装置では、使用後の洗浄液は、配線基板の表面から除去された電極材料や現像液から構成される異物を含んでいると考えられる。洗浄液に含まれる異物は、現像液や電極材料等から構成される異物に限らず、様々な異物を含んでいることがある。そのため、特許文献1の洗浄装置では、再利用される洗浄液の浄化の度合いが必ずしも高くなく、配線基板から除去された異物が配線基板に再付着し易いことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の基板洗浄装置は、配線基板を洗浄する洗浄液を貯留する洗浄槽と、前記洗浄槽の洗浄液を浄化する浄化系統と、を備えている。前記浄化系統は、濾過によって、前記洗浄槽の洗浄液から異物を除去する濾過機を備える第1の浄化系統と、遠心分離によって、前記洗浄槽の洗浄液から異物を除去する遠心分離機を備える第2の浄化系統と、を備えている。
【0006】
本発明の実施形態によれば、基板から除去された異物の基板への再付着を抑制し得ると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の基板洗浄装置によって洗浄される配線基板の一例を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態の基板洗浄装置を含む、基板製造装置の一例を示す模式図である。
【
図3】
図2に示される基板洗浄装置の一例を示す模式図である。
【
図4】
図2に示される基板洗浄装置に含まれる遠心分離機の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[配線基板]
まず、本発明の実施形態の基板洗浄装置によって洗浄される配線基板について説明する。
図1は、実施形態の基板洗浄装置によって洗浄される配線基板の一例である配線基板Sを示している。なお、配線基板Sは、本実施形態の基板洗浄装置によって洗浄される配線基板の一例に過ぎない。実施形態の基板洗浄装置によって洗浄される配線基板は、
図1に示される例に限定されない。
【0009】
図1に示されるように、配線基板Sは、所謂、多層配線基板であり得る。図示される例では、配線基板Sは、コア基板S1と、コア基板S1の厚さ方向において対向する2つの主面それぞれの上に交互に積層されている絶縁層及び導体層を含んでいる。コア基板S1は、コア絶縁層S11と、コア絶縁層S11の2つの主面それぞれの上に形成されているコア導体層S12とを含み得る。配線基板Sは、コア基板S1の主面それぞれの上に、当該主面側から順に積層されている、内層絶縁層S21、内層導体層S22、外層絶縁層S31、及び外層導体層S32を備え得る。異なる導体層は、当該導体層間に介在する絶縁層に含まれる接続導体S4(所謂、ビア導体)によって相互に接続され得る。外層絶縁層S31及び外層導体層S32の上には、ソルダーレジスト層S5が形成され得る。なお、配線基板Sの積層構造、及び導体層及び絶縁層それぞれの数は、
図1に示される例に限定されず、適宜変更され得る。配線基板Sは、例えば、コア基板S1のみから構成されている、所謂、両面配線基板であってもよい。
【0010】
図1に示されるように、配線基板Sの最外層(図示される例では、ソルダーレジスト層S5)の表面には、予期せず配線基板Sに付着した粒子等の固体状の異物F1や、有機材料(図示される例では、ソルダーレジスト等)が凝集した凝集物等のゲル状の異物F2、等の様々な異物Fが付着していることがある。なお、配線基板Sの最外層は、ソルダーレジスト層S5に限定されず、例えば、ドライフィルムレジスト層であってもよい。
【0011】
[基板製造装置]
次に、本発明の一実施形態の基板洗浄装置を含む基板製造装置について説明する。
図2は、本実施形態の基板洗浄装置の一例である基板洗浄装置1を含む基板製造装置Mを示している。なお、基板製造装置Mは、本実施形態の基板洗浄装置を含む基板製造装置の一例に過ぎない。基板製造装置を構成する装置、及び当該装置の配置は、
図2に示される例に限定されない。なお、以下の説明では、鉛直上方側が「上」と称され、鉛直下方側が「下」と称される。
【0012】
図2に示されるように、基板製造装置Mは、上述の配線基板Sを製造する装置であり、基板洗浄装置1とは別に、所定の処理を配線基板Sに対して行う他の装置を備え得る。基板製造装置Mにおいて、基板洗浄装置1は、基板洗浄装置1による配線基板Sの洗浄処理より前の処理において、配線基板Sに付着した異物F(
図1参照)を除去し得る。図示される例では、基板製造装置Mは、複数の基板洗浄装置1を備えている。後述される一実施形態の基板洗浄装置1は、複数の基板洗浄装置1のうちのいずれか1つ以上であってもよく、複数の基板洗浄装置1のうちの全てであってもよい。実施形態の基板洗浄装置が複数の基板洗浄装置1のうちのいずれか1つ以上である場合、実施形態の基板洗浄装置は、好ましくは、最初に洗浄処理を行う基板洗浄装置1を少なくとも含んでおり、より好ましくは、最初に洗浄処理を行う基板洗浄装置1である。
【0013】
基板製造装置Mは、例えば、上述のソルダーレジスト層S5(
図1参照)を形成するために用いられる。
図2に示される例では、基板洗浄装置1による洗浄処理の前に、前の処理側から順に、液状のソルダーレジストを配線基板Sに塗布する塗布装置M1、配線基板Sに塗布したソルダーレジストを露光する露光装置M2、露光したソルダーレジストを現像する現像装置M3、配線基板Sに付着した現像液を洗い流すリンス装置M4、配線基板Sに付着したリンス液を除去する液切装置M5が設けられている。また、基板洗浄装置1による洗浄処理の後に、前の処理側から順に、配線基板Sに付着した洗浄液を除去する液切装置M6、配線基板Sを乾燥させる乾燥装置M7が設けられている。なお、基板製造装置Mは、ソルダーレジスト層S5(
図1参照)を形成するために用いられる装置に限定されない。上述のように、基板製造装置Mは、ドライフィルムレジスト層を形成するために用いられる装置等、その他の装置であってもよい。基板製造装置Mは、配線基板Sに含まれるコア導体層S12、内層導体層S22、外層導体層S32等のその他の層を形成するための装置であってもよい。また、基板製造装置Mにおいて、基板洗浄装置1は、リンス装置M4であってもよい。
【0014】
[基板洗浄装置]
次に、本発明の一実施形態の基板洗浄装置について説明する。
図3は、本実施形態の基板洗浄装置の一例である基板洗浄装置1を示している。なお、基板洗浄装置1は、本実施形態の基板洗浄装置の一例に過ぎない。基板洗浄装置を構成する装置、及び当該装置の配置は、
図3に示される例に限定されない。
【0015】
図3に示されるように、基板洗浄装置1は、洗浄液CLによって配線基板Sに付着した異物F(
図1参照)を除去することで、配線基板Sを洗浄する装置である。基板洗浄装置1において、配線基板Sは、後述される洗浄槽2の上方で搬送され得る。洗浄液CLは、例えば、水又はアルカリ水から構成され、好ましくは、10.6~10.8のpHを有するアルカリ水から構成される。なお、実施形態において、「水」は、例えば、工業用水道によって供給される工業用水を意味している。上述のように、基板洗浄装置1がリンス装置である場合、洗浄液CLは、リンス液から構成され、好ましくは、超純水から構成されている。なお、実施形態において、「超純水」は、一般的な工業用水より純度の高い水を意味している。基板洗浄装置1は、配線基板Sを洗浄する洗浄液CLを貯留する洗浄槽2と、洗浄槽2の洗浄液CLを浄化する浄化系統3と、を備えている。
【0016】
洗浄槽2は、その上方で搬送されている配線基板Sを洗浄した洗浄液CLを貯留し得る。洗浄槽2は、例えば、所定量を超える洗浄液CLを貯留すると、洗浄液CLを外部にオーバーフローさせるように構成されている。
図3に示される例では、洗浄槽2の側壁の所定の高さに、浄化系統3の配管5p(具体的には、後述する第2の浄化系統5の第2の配管5p)が接続されており、洗浄槽2内の洗浄液CLの液面が、配管5pの設置高さを超えると、洗浄槽2内の洗浄液CLを配管5pからオーバーフローさせる。なお、洗浄液CLのオーバーフローの形態は、特に限定されない。例えば、洗浄液CLが洗浄槽2の容量を超えるときに、洗浄液CLを洗浄槽2の側壁の上端を超えてオーバーフローさせてもよい。
【0017】
浄化系統3は、洗浄槽2の洗浄液CLを浄化しながら洗浄液CLを循環させている。浄化系統3は、濾過によって洗浄液CLを浄化する第1の浄化系統4と、遠心分離によって洗浄液CLを浄化する第2の浄化系統5と、を備えている。なお、実施形態の基板洗浄装置1の説明では、洗浄槽2から出て、洗浄槽2に戻る洗浄液CLの循環経路において、洗浄槽2から出る側が「上流」と称され、洗浄槽2に戻る側が「下流」と称される。
【0018】
図3の例では、第1の浄化系統4は、洗浄液CLを濾過する濾過機41と、濾過機41を経由して洗浄槽2の洗浄液CLを循環させる第1のポンプ42と、新たな洗浄液CLを供給する洗浄液供給機43と、洗浄液CLを洗浄槽2に供給するノズル44と、を備えている。濾過機41、第1のポンプ42、洗浄液供給機43、及びノズル44は、第1の配管4pによって直接的又は間接的に接続されている。
【0019】
濾過機41は、任意のフィルタから構成することができる。
図3の例では、濾過機41は、上流側で、第1の配管4pによって第1のポンプ42と接続されており、第1のポンプ42によって、洗浄槽2の洗浄液CLが濾過機41に供給されている。さらに、
図3の例では、濾過機41は、下流側で、第1の配管4pによってノズル44と接続されており、濾過後の洗浄液CLをノズル44に供給している。
【0020】
第1のポンプ42は、洗浄槽2から濾過機41に洗浄液CLを送り、濾過後の洗浄液CLを配線基板Sに向かってノズル44から吐出させる能力を有し得る。第1のポンプ42は、そのような能力を有する任意のポンプから構成することができる。
図3の例では、第1のポンプ42は、濾過機41に対して上流側で、第1の配管4pによって濾過機41と接続されている。しかし、第1のポンプ42は、第1の浄化系統4内に複数設けられてもよく、その設置位置も、
図3の例に限定されず、濾過機41を経由する洗浄液CLの循環を適切にするために、適宜変更され得る。
【0021】
洗浄液供給機43は、新たな洗浄液CLを貯留するタンク43aと、タンク43aに貯留されている新たな洗浄液CLをノズル44に送るポンプ43bとを備え得る。
図3の例では、洗浄液供給機43は、濾過機41に対して上流側で、第1の配管4pによって第1のポンプ42及び濾過機41と接続されている。その結果、濾過機41には、新たな洗浄液CL及び濾過前の洗浄液CLの混合液が供給されている。しかし、
図3において二点鎖線で示されるように、洗浄液供給機43は、濾過機41の下流側で、濾過機41及びノズル44と接続されていてもよい。この場合、ノズル44に、新たな洗浄液CL及び濾過後の洗浄液CLの混合液が供給される。
【0022】
ノズル44は、洗浄槽2の上方で搬送されている配線基板Sの表面に向かって洗浄液CLを吐出することによって、配線基板Sを洗浄し得る。ノズル44は、所定の方向に洗浄液CLを吐出可能な任意のノズルから構成することができるが、
図3の例では、配線基板Sの表面全体を一様に洗浄するために、スプレー状の洗浄液CLを吐出可能なノズルから構成されている。
【0023】
図3の例では、第2の浄化系統5は、洗浄液CLを遠心分離する遠心分離機51と、遠心分離機51を経由して洗浄槽2の洗浄液CLを循環させる第2のポンプ52と、を備えている。
【0024】
遠心分離機51は、配線基板Sの表面に付着している異物F(
図1参照)のうち、少なくともゲル状の異物F2(
図1参照)を除去可能に構成される。遠心分離機51は、ゲル状の異物F2を除去可能であれば、特に限定されない。そのような遠心分離機51の詳細については、後述される。
【0025】
第2のポンプ52は、洗浄槽2から遠心分離機51に洗浄液CLを送り、洗浄液CLを洗浄槽2に戻す能力を有し得る。第2のポンプ52は、そのような能力を有する任意のポンプから構成することができる。
図3の例では、第2のポンプ52は、遠心分離機51に対して上流側で、第2の配管5pによって遠心分離機51と接続されている。しかし、第2のポンプ52は、第2の浄化系統5内に複数設けられてもよく、その設置位置も、
図3の例に限定されず、遠心分離機51を経由する洗浄液CLの循環を適切にするために、適宜変更され得る。
【0026】
図4には、上述の遠心分離機51の一例が示されている。なお、
図4においては、各構成要素の正確な比率を示すことは意図されておらず、遠心分離機51の特徴が理解され易いように描かれている。
図4に示されるように、遠心分離機51は、ケース511と、ケース511の内部に収容される回転ドラム512と、回転ドラム512に回転軸A周りの駆動力を付与するモータ513と、を備えている。なお、以下の説明では、回転軸Aに沿う一方向(好ましくは、鉛直上方)側が「上」と称され、一方向の反対(好ましくは、鉛直下方)側が「下」と称される。従って、各構成要素における一方向側の面は「上面」とも称され、一方向側の反対側を向く面は「下面」とも称される。
【0027】
図4の例では、ケース511は、略円筒形状を有しており、回転ドラム512は、ケース511より小さい略円筒形状を有している。ケース511は、回転ドラム512を回転可能に収容し得る。ケース511の側面には、下方から順に、洗浄液CLを受け入れるための入口511aと、浄化された洗浄液CLを取り出すための浄化液出口511cと、異物Fを含む廃液WLを取り出すための廃液出口511bとが設けられ得る。ケース511の内側面には、下方から順に、略円盤状に径方向内側にそれぞれ突出する、第1の内向き仕切盤5111及び第2の内向き仕切盤5112が設けられ得る。回転ドラム512の下面には、洗浄液CLを内部空間R3に受け入れるための受入口512aが設けられ得る。回転ドラム512の上面には、異物Fを含む廃液WLを取り出すための廃液取出口512bが設けられ得る。廃液取出口512bは、内部空間R3と回転軸Aに対して径方向外側で連通し得る。回転ドラム512の側面には、浄化された洗浄液CLを取り出すための浄化液取出口512cが設けられ得る。浄化液取出口512cは、内部空間R3と回転軸Aに対して径方向内側で連通し得る。回転ドラム512の外側面には、下方から順に、略円盤状に径方向外側にそれぞれ突出する、第1の外向き仕切盤5121及び第2の外向き仕切盤5122が設けられ得る。
【0028】
第1の内向き仕切盤5111及び第1の外向き仕切盤5121は、第1の内向き仕切盤5111を下側とし、第1の外向き仕切盤5121を上側とするように、上下方向で互いに重ねられ得る。また、第2の内向き仕切盤5112及び第2の外向き仕切盤5122は、第2の内向き仕切盤5112を下側とし、第2の外向き仕切盤5122を上側とするように、上下方向で互いに重ねられ得る。ケース511の内面と回転ドラム512の外面との間の空間には、第1の内向き仕切盤5111及び第1の外向き仕切盤5121で仕切られることによって、第1の空間R1が下側に形成され得る。また、第2の内向き仕切盤5112及び第2の外向き仕切盤5122で仕切られることによって、第2の空間R2が上側に形成され得る。ケース511の入口511aは、第1の空間R1を介して、回転ドラム512の受入口512aと連通し得る。回転ドラム512の廃液取出口512bは、第2の空間R2を介して、ケース511の廃液出口511bと連通し得る。回転ドラム512の浄化液取出口512cは、ケース511の浄化液出口511cと連通し得る。
【0029】
[洗浄液の浄化方法]
次に、
図3及び
図4に示される基板洗浄装置1を用いて、
図1に示される配線基板Sを洗浄する洗浄液CLを浄化する方法が、
図3及び
図4等を参照しながら説明される。なお、以下の洗浄液CLの浄化方法は、本実施形態の洗浄液の浄化方法の一例に過ぎない。
【0030】
図3に示されるように、第1の浄化系統4では、洗浄槽2の洗浄液CLは、第1の配管4pを介して、第1のポンプ42によって濾過機41に送られる。洗浄槽2から濾過機41に送られる過程において、洗浄槽2の洗浄液CLは、洗浄液供給機43によって供給される新たな洗浄液CLと混合される。洗浄液供給機43は、濾過機41による濾過後の洗浄液に、新たな洗浄液CLを加えてもよい(
図3の二点鎖線)。濾過機41において、異物F(主に、固体状の異物F1(
図1参照))が洗浄液CLから除去される。異物Fが除去された洗浄液CLは、第1の配管4pを介して、洗浄槽2の上方で搬送されている配線基板Sの表面に向かってノズル44から突出される。ノズル44から突出された洗浄液CLは、配線基板Sの表面に付着している異物Fを洗い流した後、異物Fと共に、配線基板Sの下方に配置されている洗浄槽2に戻される。
【0031】
また、
図3に示されるように、第2の浄化系統5では、洗浄槽2からオーバーフローした洗浄液CLは、第2の配管5pを介して、遠心分離機51に送られる。オーバーフローする洗浄液CLには、洗浄液CLより比重が大きい異物F(特に、ゲル状の異物F2(
図1参照))が含まれている。
図4に示されるように、遠心分離機51において、回転ドラム512を回転させつつ、ケース511の入口511aから洗浄液CLを供給すると、洗浄液CLは、第1の空間R1を経由して、回転ドラム512の下面の受入口512aから回転ドラム512の内部空間R3に入る。内部空間R3に入った洗浄液CLは、内部空間R3を満たすように上方に移動する。その際に、異物Fは、回転ドラム512の回転による遠心力の影響を大きく受けるため、回転軸Aに対して径方向外側に移動し、異物Fより比重が小さい洗浄液CLそのものは、遠心力の影響をあまり受けないため、回転軸Aに対して軸方向(径方向内側)に移動する。これにより、内部空間R3と径方向外側で連通する廃液取出口512bからは、高濃度の異物Fを含む廃液WLが取り出され、内部空間R3と径方向内側で連通する浄化液取出口512cからは、異物Fを実質的に含まない洗浄液CLが取り出される。廃液取出口512bから取り出された廃液WLは、第2の空間R2を経由して、廃液出口511bから排出される。浄化液取出口512cから取り出された洗浄液CLは、浄化液出口511cから遠心分離機51を出て、その後、第2の配管5pを介して洗浄槽2に戻される(
図3参照)。
【0032】
予期せず配線基板Sに付着した粒子などの固体状の異物F1や、ソルダーレジストが凝集した凝集物等のゲル状の異物F2のうち、ゲル状の異物F2は、フィルタの網目等に入り込んで、フィルタを通過することがある。そのため、ゲル状の異物F2は、濾過機41によっても除去されないことがある。実施形態の基板洗浄装置1は、濾過機41によって洗浄液CLから異物Fを除去する第1の浄化系統4、及び、遠心分離機51によって洗浄液CLから異物Fを除去する第2の浄化系統5の2つの浄化系統を備えている。実施形態の基板洗浄装置1では、濾過機41を通過し得るゲル状の異物F2は、遠心分離機51によって除去し得ると考えられる。一方、遠心分離機51によって除去され難い異物(例えば、固体状の異物F1)は、濾過機41によって除去し得ると考えられる。そのため、実施形態の基板洗浄装置1を用いることによって、再利用される洗浄液CLの浄化の度合いが向上し得ると考えられる。
【0033】
図3に図示される基板洗浄装置1において、濾過機41及び遠心分離機51はそれぞれ、別個に形成されている第1の浄化系統4及び第2の浄化系統5に設けられている。そのため、濾過機41及び遠心分離機51はそれぞれ、他方の浄化時間に依らずに、それぞれの浄化系統において、最適な浄化時間で洗浄液CLを浄化し得ると考えられる。
【0034】
実施形態の基板洗浄装置は、各図面に例示される構造や、本明細書において例示されている構造を備えるものに限定されない。例えば、基板洗浄装置1は、第1の浄化系統4に、複数の濾過機41を備えていてもよく、第2の浄化系統5に、複数の遠心分離機51を備えていてもよい。例えば、基板洗浄装置1は、第1の浄化系統4において、濾過機41に加え、濾過機41の上流側又は下流側に、遠心分離機をさらに備えている場合もあり、第2の浄化系統5において、遠心分離機51に加え、遠心分離機51の上流側又は下流側に、濾過機を備えている場合もある。換言すれば、実施形態において、基板洗浄装置1は、第1の浄化系統4に、少なくとも1つの濾過機41を備えていればよく、第2の浄化系統5に、少なくとも1つの遠心分離機51を備えていればよい。
【符号の説明】
【0035】
1 基板洗浄装置
2 洗浄槽
3 浄化系統
4 第1の浄化系統
41 濾過機
42 第1のポンプ
43 洗浄液供給機
44 ノズル
51 遠心分離機
52 第2のポンプ
CL 洗浄液
F 異物
F2 ゲル状の異物
S 配線基板