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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018088
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】スピーカ装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 7/22 20060101AFI20230131BHJP
【FI】
H04R7/22
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022187365
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2021103720の分割
【原出願日】2017-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】新寺 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】古頭 晶彦
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 健一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】振動板の振動に起因するエッジの座屈変形の抑制を図ったスピーカ装置を提供する。
【解決手段】スピーカ装置は、振動板と、振動板の周囲を囲むエッジ10と、エッジ10を介して振動板を支持するフレームと、を備える。エッジ10は、複数の補強部14を有する。各補強部14は、少なくとも2つのリブ15A、15Bを有し、各リブは、エッジ10の径方向の内側から外側に延在しつつエッジ10の周方向に凸の弧状を有し、2つのリブは、少なくとも1箇所で交差している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動板と、
振動板の周囲を囲むエッジと、
前記エッジを介して前記振動板を支持するフレームと、を備え、
前記エッジは、複数の補強部を有し、
各前記補強部は、少なくとも2つのリブを有し、
各前記リブは、前記エッジの径方向の内側から外側に延在しつつ前記エッジの周方向に凸の弧状を有して構成され、
前記2つのリブは、少なくとも1箇所で交差していることを特徴とするスピーカ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカ装置として、フレームと、フレーム内に支持される振動部と、振動部を振動させて音を生じさせる磁気回路部と、を有して構成されたスピーカ装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたスピーカ装置は、振動部は、音声電流が供給されるボイスコイルと、このボイスコイルの駆動力により振動する振動板と、振動板を支持するボイスコイル支持部と、振動板とフレームとの間に設けられて、振動板の振動を減衰させるエッジと、を有している。
【0003】
エッジには、その周方向に等間隔をあけて複数のリブが設けられている。各リブは、エッジの径方向と交差して、エッジの内周縁から外周縁まで連続して設けられている。このような従来のスピーカ装置は、各リブが形成されていることで、振動板の振動によりエッジが座屈変形することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-48678
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスピーカ装置にあっては、振動板の振動により、エッジが座屈変形する場合があり、さらなる改良が求められていた。
【0006】
本発明は、振動板の振動に起因するエッジの座屈変形の抑制を図ったスピーカ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のスピーカ装置は、振動板と、振動板の周囲を囲むエッジと、前記エッジを介して前記振動板を支持するフレームと、を備え、前記エッジは、複数の補強部を有し、各前記補強部は、少なくとも2つのリブを有し、各前記リブは、前記エッジの径方向の内側から外側に延在しつつ前記エッジの周方向に凸の弧状を有して構成され、前記2つのリブは、少なくとも1箇所で交差していることを特徴とする。
【0008】
請求項9に記載の移動体は、請求項8に記載のスピーカ装置を備え、前記スピーカ装置が取り付けられることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例にかかるスピーカ装置を示す断面図である。
図2】前記スピーカ装置を構成するエッジの平面図である。
図3図2に示されたI-I線に沿う断面図である。
図4図2に示されたII-II線に沿う断面図である。
図5A】前記エッジを拡大して示す平面図である。
図5B図5Aを模式的に示す図である。
図6A】本発明の変形例を模式的に示す図である。
図6B】本発明の変形例を模式的に示す図である。
図6C】本発明の変形例を模式的に示す図である。
図6D】本発明の変形例を模式的に示す図である。
図6E】本発明の変形例を模式的に示す図である。
図6F】本発明の変形例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態にかかるスピーカ装置を説明する。本発明の一実施形態にかかるスピーカ装置は、振動板と、振動板の周囲を囲むエッジと、エッジを介して振動板を支持するフレームと、を備え、エッジは、複数の補強部を有し、各補強部は、少なくとも2つのリブを有し、各リブは、エッジの径方向の内側から外側に延在しつつエッジの周方向に凸の弧状を有して構成され、2つのリブは、少なくとも1箇所で交差している。即ち、各補強部が、少なくとも2つのリブを有し、これらリブが交差している部分(交差部)は、リブにおいて交差部ではない部分よりも剛性(物体に力を加えて変形しようとするとき,変形に抵抗する性質)が高くなる。これにより、各補強部に、リブにより剛性が高められた部分と、それよりも更に剛性が高められた部分(交差部)と、が設けられるから、エッジが座屈変形することを抑制することができる。
【0011】
また、各リブは、エッジの径方向の内側から外側に延在しつつエッジの周方向に凸の弧状を有して構成されているから、各リブが、エッジの径方向に沿って直線状である場合に比して、長さを長くすることができ、各補強部は、リブにより剛性が高められた部分をより多く確保することができる。
【0012】
また、2つのリブは、2箇所で交差していても構わない。即ち、各補強部に、リブにより剛性が高められた部分と、それよりも更に剛性が高められた部分が2箇所に設けられていることで、エッジが座屈変形することをより抑制することができる。
【0013】
また、各補強部は、エッジの径方向の中央部を含む位置に設けられていても構わない。即ち、各補強部は、エッジの径方向の中央部を含む位置に設けられるから、エッジが座屈変形することをさらに抑制することができる。
【0014】
また、各補強部は、振動板の中心を通って径方向に延在する仮想線を軸とした線対称となるように形成されていても構わない。即ち、各補強部が、振動板の中心を通って径方向に延在する仮想線を軸とした線対称となるように形成されているから、エッジが座屈変形することをより抑制することができる。
【0015】
また、複数の補強部は、振動板の中心に対して点対称となる位置に設けられていても構わない。即ち、複数の補強部が、バランスよく設けられていることにより、振動板の振動が各補強部に分散されて吸収される。
【0016】
また、複数の補強部は、エッジの周方向に等間隔をあけて設けられていても構わない。即ち、複数の補強部が、エッジの周方向に等間隔をあけて設けられているから、振動板の振動が、各補強部に略均等になるように分散されて吸収される。
【0017】
また、各リブの断面は、音放射方向に凹であっても構わない。これによれば、エッジが座屈変形することを抑制することができる。
【0018】
また、エッジの断面は、音放射方向に凸であっても構わない。これによれば、エッジが座屈変形することを抑制することができる。
【0019】
また、本発明の一実施形態にかかる移動体は、前記スピーカ装置を備え、前記スピーカ装置が取り付けられる。これにより、前記スピーカ装置を含んだ移動体を得ることができる。
【実施例0020】
(実施例)
以下、本発明の一実施例について具体的に説明する。図1は、本発明の一実施例にかかるスピーカ装置1を示す断面図である。図2は、スピーカ装置1を構成するエッジ10の平面図である。図3は、図2に示されたI-I線に沿う断面図である。図4は、図2に示されたII-II線に沿う断面図である。図5Aは、エッジ10を拡大して示す平面図である。図5Bは、図5Aを模式的に示す図である。
【0021】
スピーカ装置1は、移動体としての自動車の室内に取り付けられる。このスピーカ装置1は、図1に示すように、フレーム2と、フレーム2に支持される磁気回路部3と、磁気回路部3により振動されて音を放射する振動部4と、フレーム2と振動部4との間に設けられて、振動部4の振動を減衰させるエッジ10と、を備える。
【0022】
フレーム2は、円環状の底板21と、底板21の外周縁21a連続される円錐台状のフレーム本体22と、フレーム本体22の底板21から離れた上周縁22aから径方向の外側に延在するフランジ23と、を有して構成されている。なお、本実施例において上下方向(フレーム2の軸方向、後述する振動板43の軸方向、音放射方向)は、図1、3等に示す通りとする。また、図1において、符号Pは、スピーカ装置1の軸であり、磁気回路部3や振動部4が振動する方向を示している。
【0023】
磁気回路部3は、上下方向に厚みを有する円筒状の磁石31と、磁性体(所謂、常磁性体または強磁性体)から成るヨーク32及びヨークプレート33と、を有して構成されている。
【0024】
磁石31は、その内径が、ヨーク32の一部であるセンターポール35の外径より大きくなるように形成され、中心にセンターポール35が挿入されて、ボトムプレート34に重ねて設けられる。磁石31は、永久磁石または直流電源により励磁されるものであってもよい。
【0025】
ヨーク32は、円環状のボトムプレート34と、ボトムプレート34の内周縁から円筒状に立設されたセンターポール35と、を一体に有して構成されている。このヨーク32は、外磁型磁気回路として機能する。
【0026】
なお、本実施例では、ヨーク32が外磁型磁気回路として機能する一例を説明するが、ヨークが、内磁型磁気回路や内磁型や外磁型を併用した磁気回路(後述するボイスコイルボビン42の内部と外部にマグネットを配置した磁気回路)であっても構わない。
【0027】
磁石31、ヨーク32及びヨークプレート33は、互いに同軸になるように配置されている。これら磁石31及びヨークプレート33は、それぞれの内周面が、ヨーク32のセンターポール35からスピーカ装置1(振動板43)の径方向に離隔して配置されている。また、ヨークプレート33とセンターポール35との間に、後述するボイスコイル41と協働して振動板43を駆動(振動)するための磁力を発生する磁気ギャップGが形成される。このような磁気回路部3は、ボイスコイル41と協働して振動板43を振動させる。
【0028】
振動部4は、音声電流が供給されるとともに磁気ギャップGの内部に配置されるボイス
コイル41と、ボイスコイル41が巻き付けられる円筒状のボイスコイルボビン42と、ボイスコイルボビン42に接続される振動板43と、ダンパ44と、ボイスコイルボビン42の上方側の開口を塞ぐセンターキャップ45と、を有して構成されている。
【0029】
ボイスコイルボビン42は、内径がヨーク32のセンターポール35の外径よりも大きくなるように形成され、外径がヨークプレート33の内径よりも小さくなるように形成されている。また、ボイスコイルボビン42は、軸が上下方向となるように設けられ、ヨーク32、ヨークプレート33及びボイスコイル41と同軸になるように設けられて、センターポール35の軸方向に移動自在に支持されている。
【0030】
振動板43は、図1に示すように、外形が切頭円錐状(円錐台状)に形成されて、中心部43Aにボイスコイルボビン42を挿入可能なように形成されている。即ち、本実施例のスピーカ装置1は、コーン型スピーカである。振動板43は、ボイスコイルボビン42と同軸になるようにボイスコイルボビン42に固定されるとともに、後述するエッジ10によりフレーム2に支持される。
【0031】
ダンパ44は、円環状に形成され、内縁部44aが、ボイスコイルボビン42に取り付けられ、外縁部44bがフレーム本体22の内周面2Aに取り付けられている。このダンパ44は、ボイスコイルボビン42や振動板43が振動することを許容しつつ、これらの振動を徐々に減衰させる。
【0032】
エッジ10は、ゴム等の弾性を有する材料から構成されている。エッジ10は、図2に示すように、上面視が円環状に形成されている。また、エッジ10は、断面が音放射方向に凸の円弧状になるように形成されたエッジ本体11と、エッジ本体11の内周縁11aに連続されて振動板43の上周縁43aに接合されるエッジ内周縁部12と、エッジ本体11の外周縁11bに連続されてフレーム2の上周縁22aに接合されるエッジ外周縁部13と、を一体に有して構成されている。エッジ10は、射出成形やプレス加工等の公知の方法によって形成されたものであり、エッジ本体11、エッジ内周縁部12及びエッジ外周縁部13は、略一定の厚みを有して構成されている。エッジ本体11は、図2に示すように、自然状態で、その内周縁11a及び外周縁11bの上下の位置が略同じ位置となるように形成されている。
【0033】
エッジ本体11には、図2図5A図5Bに示すように、複数(本実施例では16個)の補強部14が形成されている。各補強部14は、エッジ本体11の周方向に等間隔をあけて設けられている。各補強部14は、一対のリブ15A、15Bを有して構成されている。各リブ15A、15Bは、エッジ10の径方向の内外に延在しつつ、その内周縁11aから外周縁11bまで連続して設けられている。各リブ15A、15Bは、略同程度の曲率を有して同一形状に形成されている。
【0034】
一対のリブ15A、15Bのうち一方15Aは、エッジ本体11の周方向の一方(時計回り)に凸の円弧状に形成され、他方15Bは、エッジ本体11の周方向の他方(反時計回り)に凸の円弧状に形成されている。一対のリブ15A、15Bは、円弧の凹が対向するように、振動板43(スピーカ装置1)の中心Pを通って径方向に延在する仮想線PA(一点鎖線で示す)を軸とした線対称となるように設けられている。換言すると、各リブ15A、15Bの2つの交差部16は、中心Pを通った径方向に延在する同一の線上に設けられている。
【0035】
また、各リブ15A、15Bの断面は、音放射方向に凹と成るように形成されているとともに、各リブ15A、15Bは、全長の深さが略一定となるように形成されている。
【0036】
また、一対のリブ15A、15Bは、複数(本実施例では2箇所)で交差している。即ち、一対のリブ15A、15Bは、2つの交差部16、16を有している。2つの交差部16、16は、エッジ本体11の内外の周縁11a、11bから中心側に僅かに離隔した位置に設けられている。
【0037】
このようなスピーカ装置1は、振動板43と、振動板43の周囲を囲むエッジ10と、エッジ10を介して振動板43を支持するフレーム2と、を備え、エッジ10は、複数の補強部14を有し、各補強部14は、(少なくとも)2つのリブ15A、15Bを有し、各リブ15A、15Bは、エッジ10の径方向の内側から外側に延在しつつエッジ10の周方向に凸の弧状を有して構成され、2つのリブ15A、15Bは、2箇所(少なくとも1箇所)で交差している。即ち、各補強部14が、少なくとも2つのリブ15A、15Bを有し、これらリブ15A、15Bが交差している部分(交差部16)は、リブ15A、15Bにおいて交差部16ではない部分よりも剛性(物体に力を加えて変形しようとするとき,変形に抵抗する性質)が高くなる。これにより、各補強部14に、リブ15A、15Bにより剛性が高められた部分と、それよりも更に剛性が高められた部分(交差部16)と、が設けられるから、エッジ10が座屈変形することを抑制することができる。
【0038】
また、各リブ15A、15Bは、エッジ10の径方向の内側から外側に延在しつつエッジ10の周方向に凸の弧状を有して構成されているから、各リブ15A、15Bが、エッジ10の径方向に沿って直線状である場合に比して、長さを長くすることができ、各補強部14は、リブ15A、15Bにより剛性が高められた部分をより多く確保することができる。
【0039】
また、2つのリブ15A、15Bは、2箇所で交差している。即ち、各補強部14に、リブにより剛性が高められた部分と、それよりも更に剛性が高められた部分(交差部16)が2箇所に設けられていることで、エッジ10が座屈変形することをより抑制することができる。
【0040】
また、各補強部14は、エッジ10の径方向の中央部を含む位置に設けられている。即ち、各補強部14は、エッジ10の径方向の中央部を含む位置に設けられるから、エッジ10が座屈変形することをさらに抑制することができる。
【0041】
また、各補強部14は、振動板43(スピーカ装置1)の中心Pを通って径方向に延在する仮想線PAを軸とした線対称となるように形成されている。即ち、各補強部14が、振動板43(スピーカ装置1)の中心Pを通っての径方向に延在する仮想線PAを軸とした線対称となるように形成されているから、エッジ10が座屈変形することをより抑制することができる。
【0042】
また、複数の補強部14は、振動板43(スピーカ装置1)の中心Pに対して点対称となる位置に設けられている。即ち、複数の補強部14が、バランスよく設けられていることにより、振動板43の振動が各補強部14に分散されて吸収される。
【0043】
また、複数の補強部14は、エッジ10の周方向に等間隔をあけて設けられている。即ち、複数の補強部14が、エッジ10の周方向に等間隔をあけて設けられているから、振動板43の振動が、各補強部14に略均等になるように分散されて吸収される。
【0044】
また、各リブ15A、15Bの断面は、音放射方向に凹と成るように形成されている。これによれば、エッジ10が座屈変形することを抑制することができる。
【0045】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる
他の構成等を含み、以下に示すような変形例も本発明に含まれる。
【0046】
上記実施例のエッジ10において、各補強部14は、16個形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。各補強部の数は、エッジに求められる性能に応じて適宜な数だけ形成されていてもよい。
【0047】
また、各リブ15A、15Bの断面は、音放射方向に凹と成るように形成されているとともに、各リブ15A、15Bは、全長の深さが略一定となるように形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。各リブ15A、15Bは、その深さが、各リブ15A,15Bの延在方向(長手方向)に深さが徐々に変化するように形成されていてもよい。
【0048】
また、上記実施例の各リブ15A、15Bの2つの交差部16は、中心Pを通った径方向に延在する同一の線上に設けられているが、一方の交差部16と中心Pを通った径方向に延在する線上に他方の交差部16が設けられていなくても構わない。すなわち、2つの交差部16を結ぶ線は中心Pを通った径方向に対して角度を有するように設けても構わない。
【0049】
上記実施例のエッジ10において、各補強部14は、一対のリブ15A、15Bを有して構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。各補強部14Aは、図6Aに示すように、一対のリブ15A、15Bに加えて、さらに直線リブ15Cを有して構成されていてもよい。直線リブ15Cは、2つの交差部16A、16Aを通って、エッジ本体11の内周縁11aから外周縁11bまで連続して設けられていてもよい。これによれば、上記実施例と略同様の効果が奏される。
【0050】
上記実施例のエッジ10において、2つの交差部16、16は、エッジ本体11の内外の周縁11a、11bから中心側に僅かに離隔した位置に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。図6Bに示すように、各補強部14Bにおいて、2つの交差部16B、16Bは、エッジ本体11の内外の周縁11a、11bに重なる位置に設けられていてもよい。これによれば、上記実施例と略同様の効果が奏される。
【0051】
上記実施例のエッジ10において、一対のリブ15A、15Bは、円弧の凹が対向するように、振動板43(スピーカ装置1)の中心Pを通って径方向に延在する仮想線PAを軸とした線対称となるように設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。各補強部14Cにおいて、一対のリブ15A、15Bは、図6Cに示すように、円弧の凹が、エッジ本体11の径方向に対向せずに位置をずらし、一方のリブ15Aは、一端がエッジ本体11の内周縁11aに連続しつつ他端が外周縁11bから離間して設けられ、他方のリブ15Bは、一端がエッジ本体11の外周縁11bに連続しつつ他端が内周縁11aから離間して設けられていてもよい。また、リブ15Aの他端は、リブ15Bに交差して、リブ15Bの他端は、リブ15Aに交差して、交差部16C、16Cとして機能してもよい。これによれば、上記実施例と略同様の効果が奏される。
【0052】
上記実施例のエッジ10において、各補強部14は、2つの交差部16、16を有しているが、本発明はこれに限定されるものではない。各補強部14Dは、1つの交差部16Dを有して構成されていてもよい。その場合には、図6Dに示すように、各補強部14Dにおいて、一対のリブ15A、15Bは、同程度の曲率を有しつつ、エッジ本体11の周方向に同じ方向に凸の弧状を有しているとともに、エッジ本体11の径方向に位置をずらして設けられていてもよい。この場合において、1つの交差部16Dを有していてもよい。また、一方のリブ15Aは、一端がエッジ本体11の内周縁11aに連続しつつ他端が外周縁11bから離間して設けられ、他方のリブ15Bは、一端がエッジ本体11の外周
縁11bに連続しつつ他端が内周縁11aから離間して設けられていてもよい。これによれば、上記実施例と略同様の効果が奏される。
【0053】
上記実施例のエッジ10において、一対のリブ15A、15Bは、円弧の凹が対向するように設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。各補強部14Eにおいて、一対のリブ15A、15Bは、図6Eに示すように、円弧の凸が対向するように設けられていてもよい。この場合において、1つの交差部16Eを有していてもよい。このように、各補強部14Eは、エッジ10の径方向の中央部を含む位置に設けられていてもよい。また、各補強部14Fにおいて、一対のリブ15A、15Bは、図6Fに示すように、それぞれ円形となるように形成されていてもよい。この場合において、1つの交差部16Fを有していてもよい。これによれば、上記実施例と略同様の効果が奏される。
【0054】
上記実施例では、エッジ10は、ゴム等の弾性を有する材料から構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。エッジは、コーン紙から構成されていてもよい。即ち、エッジは、弾性変形することで、振動板43の振動を減衰するように機能すれば、如何なる部材から構成されていてもよい。
【0055】
上記実施例では、エッジ10は、スピーカ用エッジとして用いられているが、本発明はこれに限定されるものではない。ヘッドホン用エッジとして用いてもよく、イヤホン用エッジとして用いてもよい。或いは、スピーカ用ダンパに用いてもよく、携帯電話用スピーカのダイヤフラムとしても用いてもよい。
【0056】
また、スピーカ装置として、低音域用(ウーファー)を用いてもよく、中高音域用(スコーカー)を用いてもよく、高音域用(ツイータ)を用いてもよい。また、振動板43の形状は特に限定されず、コーン型であってもよいしドーム型であってもよい。
【0057】
また、スピーカ装置1は、移動体としての自動車の室内に取り付けられて用いられているが、本発明はこれに限定されるものではない。スピーカ装置は、建築物の室内に取り付けられて用いられてもよい。或いは、スピーカ装置は、野外用として用いるために、公知の被取付部に設置されていてもよい。即ち、本発明のスピーカ装置は、何れの被取付部に取り付けられていてもよく、如何なる用途で用いられてもよいものである。
【0058】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び、目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
1 スピーカ装置
2 フレーム
10 エッジ
14、14A、14B、14C、14D、14E、14F 補強部
15A、15B 2つのリブ
43 振動板
PA 仮想線
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F