(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180882
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】モータ制御システム
(51)【国際特許分類】
H02P 5/46 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
H02P5/46 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094550
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】田中 春希
(72)【発明者】
【氏名】岡本 政弘
【テーマコード(参考)】
5H572
【Fターム(参考)】
5H572AA14
5H572BB07
5H572CC01
5H572DD02
5H572HA05
5H572HA20
5H572HB07
5H572HC07
5H572MM01
5H572MM02
5H572MM03
(57)【要約】
【課題】共通の電源供給路を有する複数のサーボアンプにおいて、高圧電源による制御回路の破損を防止する。
【解決手段】モータ制御システムは、複数のモータと、複数のモータのそれぞれに対応して設けられ、複数のモータのそれぞれの動作を制御する複数のサーボアンプと、電源と複数のサーボアンプとの間をそれぞれ接続し、複数のサーボアンプを介して、複数のモータのそれぞれに駆動電力を供給する電源回路と、電源と複数のサーボアンプとの間をそれぞれ接続し、複数のサーボアンプのそれぞれに接続されたモータに制御指令を送信する制御回路と、電源回路と複数のサーボアンプのそれぞれとの間に接続され、接続された複数のサーボアンプを介した複数のモータへの駆動電力の供給と遮断とを開閉動作によって切り替える複数の切替部と、を備え、制御回路と複数のサーボアンプとの間には、それぞれ第1ダイオード、またはヒューズの少なくとも一方が設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモータと、
前記複数のモータのそれぞれに対応して設けられ、前記複数のモータのそれぞれの動作を制御する複数のサーボアンプと、
電源と前記複数のサーボアンプとの間をそれぞれ接続し、前記複数のサーボアンプを介して、前記複数のモータのそれぞれに駆動電力を供給する電源回路と、
前記電源と前記複数のサーボアンプとの間をそれぞれ接続し、前記複数のサーボアンプのそれぞれに接続された前記モータに制御指令を送信する制御回路と、
前記電源回路と前記複数のサーボアンプのそれぞれとの間に接続され、接続された前記複数のサーボアンプを介した前記複数のモータへの前記駆動電力の供給と遮断とを開閉動作によって切り替える複数の切替部と、を備え、
前記制御回路と前記複数のサーボアンプとの間には、それぞれ第1ダイオード、またはヒューズの少なくとも一方が設けられる、
モータ制御システム。
【請求項2】
前記電源回路と前記複数のサーボアンプのそれぞれとの間に設けられ、前記複数の切替部を迂回して前記電源回路と前記サーボアンプとを接続する複数のバイパス回路、をさらに備え、
前記複数のバイパス回路のそれぞれは、第2ダイオードが設けられる、
請求項1に記載のモータ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のロボットの電力供給を制御するロボット制御システムが開示されている。ロボット制御システムは、複数のロボットのそれぞれを動作させる複数のサーボアンプと、複数のサーボアンプに電力供給する共通の電源供給路に設けられ、複数のサーボアンプへの電力供給を一括して実行または遮断する電力供給スイッチと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、共通の電源供給路を有する複数のサーボアンプにおいて、高圧電源による制御回路の破損を防止するモータ制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、複数のモータと、前記複数のモータのそれぞれに対応して設けられ、前記複数のモータのそれぞれの動作を制御する複数のサーボアンプと、電源と前記複数のサーボアンプとの間をそれぞれ接続し、前記複数のサーボアンプを介して、前記複数のモータのそれぞれに駆動電力を供給する電源回路と、前記電源と前記複数のサーボアンプとの間をそれぞれ接続し、前記複数のサーボアンプのそれぞれに接続された前記モータに制御指令を送信する制御回路と、前記電源回路と前記複数のサーボアンプのそれぞれとの間に接続され、接続された前記複数のサーボアンプを介した前記複数のモータへの前記駆動電力の供給と遮断とを開閉動作によって切り替える複数の切替部と、を備え、前記制御回路と前記複数のサーボアンプとの間には、それぞれ第1ダイオード、またはヒューズの少なくとも一方が設けられる、モータ制御システムを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、共通の電源供給路を有する複数のサーボアンプにおいて、高圧電源によるサーボアンプあるいは制御回路の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1に係るモータ制御システムのシステム構成例を示す図
【
図2】実施の形態1に係るモータ制御システムの構成例を示す図
【
図3】モータ制御システムにおけるサーボアンプ故障例を説明する図
【
図4】実施の形態1の変形例1に係るモータ制御システムの構成例を示す図
【
図5】モータ制御システムにおけるIPM故障例を説明する図
【
図6】実施の形態1の変形例2に係るモータ制御システムの構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示に至る経緯)
特許文献1のように、従来、複数のロボットのそれぞれを動作させる複数のサーボアンプに電力供給する共通の電源供給路に設けられ、複数のサーボアンプへの電力供給を一括して実行または遮断する電力供給スイッチを備えたロボット制御システムがある。ロボット制御システムは、電力供給スイッチが共通の電源供給路に設けられているため、すべてのサーボアンプへの電力供給を一括して遮断することができる。
【0009】
しかし、上述したロボット制御システムは、制御用電源を一括供給するため、いずれかのサーボアンプが故障した場合、故障したサーボアンプに流れる高圧電流が共通の電源供給路を通じて他のサーボアンプに流れ込み、故障する可能性があった。
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るモータ制御システムを具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
(実施の形態1)
まず、実施の形態に係るモータ制御システム100の構成について説明する。
図1は、実施の形態に係るモータ制御システム100のシステム構成例を示す概略図である。
図2は、実施の形態1に係るモータ制御システム100の構成例を示す図である。
【0012】
なお、
図1に示すモータ制御システム100は、一例であって、これに限定されない。例えば、モータおよびサーボアンプは、それぞれ2以上であればよい。また、第1サーボアンプAMP11~第NサーボアンプAMP1NおよびモータMT11~MT1Nは、それぞれ同様の構成および機能を有するため、以降の説明では、第1サーボアンプAMP11の構成および機能についてのみ説明し、他のサーボアンプおよびモータの構成,機能については説明を省略する。
【0013】
モータ制御システム100は、サーボ電源SPと、N(N:2以上の整数)台のモータMT11,MT12,MT13,…,MT1Nと、N台のサーボアンプ(第1サーボアンプ~第Nサーボアンプ)と、2N台のマグネットスイッチMS111,MS112,MS131,MS132,…,MS1N1,MS1N2と、電解コンデンサCONとを含む。
【0014】
電源の一例としてのサーボ電源SPは、DC(Direct Current)電源SP1を備え、第1サーボアンプAMP11,第2サーボアンプAMP12,第3サーボアンプAMP13,…,第NサーボアンプAMP1Nのそれぞれに電源を供給する。サーボ電源SPは、高圧電源(つまり強電)であって、モータMT11を駆動させるためのサーボ電源(DC300V)と、低圧電源(つまり弱電)であって、モータMT11の駆動制御(トルク,回転速度等)を実行するための制御電源(DC15V)とをそれぞれ供給する。
【0015】
第1サーボアンプAMP11は、サーボ電源SP、電解コンデンサCONおよびモータMT11との間で電気的に接続される。第1サーボアンプAMP11は、2台のマグネットスイッチMS111,MS112と、IPM11とを備える。
【0016】
2台のマグネットスイッチMS111,MS112のそれぞれは、サーボ電源SPとIPM11との間に接続されて、開閉によりIPM11へのサーボ電源の供給をON,OFFする。マグネットスイッチMS111,MS112のそれぞれは、閉(ON)状態でIPM11へサーボ電源を供給し、開(OFF)状態でIPM11へのサーボ電源の供給を遮断する。なお、マグネットスイッチMS111,MS112は、それぞれ手動操作あるいは遠隔操作により開閉可能であってよい。
【0017】
IPM11は、直流電圧を交流電圧に変換するインバータ(不図示)と、インバータを駆動する駆動回路(不図示)とを少なくとも含んで構成される。インバータは、サーボ電源SPから供給されたサーボ電源(直流電源)を交流電源に変換して、モータMT11に供給する。駆動回路は、サーボ電源SPから供給された制御電源を用いて、インバータを駆動制御する。
【0018】
電解コンデンサCONは、第1サーボアンプAMP11~第NサーボアンプAMP1NのそれぞれのモータMT11~MT1Nの回生動作時(つまり、減速時)に発生した回生エネルギー(回生電力)を充電(蓄電)したり、放電したりする。
【0019】
以上により、実施の形態1に係るモータ制御システム100は、各サーボアンプ(第1サーボアンプAMP11~第NサーボアンプAMP1Nのそれぞれ)が備える2台のマグネットスイッチにより、各サーボアンプへの電源供給を個別にON,OFFできる。
【0020】
しかし、上述したモータ制御システム100の構成では、サーボアンプ内でサーボ電源と制御電源とが短絡するような故障が発生した場合、制御電源用の電気回路にサーボ電源(高圧電流)が流れ込み、制御回路が故障する可能性がある。
【0021】
図3を参照して、実施の形態1に係るモータ制御システム100において、モータへのサーボ電源が供給されている状態でのIPMの故障例について説明する。
図3は、モータ制御システム100におけるサーボアンプ故障例を説明する図である。なお、
図3では、第1サーボアンプAMP11が故障した例について説明する。
【0022】
モータMT11へサーボ電源が供給されている状態でIPM11が故障した第1サーボアンプAMP11は、IPM11内部でサーボ電源(強電,DC300V)用の電気回路(
図3に示す電気回路のうち太線で示す電気回路)と、制御電源(弱電,15V)用の電気回路(
図3に示す電気回路のうち細線で示す電気回路)とが短絡して、経路RT11,RT13を形成することがある。このような場合、サーボ電源は、経路RT11を通じて制御電源用の電気回路に流れ込み、制御電源用の電気回路(経路RT12,RT15)を通じてDC電源SP1に流れ込んで、制御回路を破壊したり、制御電源用の電気回路(経路RT13,RT16)を通じて他のサーボアンプ(例えば、第NサーボアンプAMP1N)に流れ込んで、他のサーボアンプを破壊したりする。
【0023】
(実施の形態1の変形例1)
そこで、
図4を参照して、IPM内部でのサーボ電源用の電気回路と、制御電源用の電気回路との短絡を防止し、制御回路あるいは他のサーボアンプの破壊を防止可能なモータ制御システム100Aについて説明する。
図4は、実施の形態1の変形例1に係るモータ制御システム100Aの構成例を示す図である。
【0024】
なお、実施の形態1に係るモータ制御システム100と同様の構成には、同一の符号を付与して、説明を省略する。また、第1サーボアンプAMP21~第NサーボアンプAMP2Nは、それぞれ同様の構成および機能を有するため、以降の説明では、第1サーボアンプAMP21の構成および機能についてのみ説明し、他のサーボアンプの構成および機能については説明を省略する。
【0025】
モータ制御システム100Aは、サーボ電源SPと、N台のモータMT11,…,MT1Nと、N台のサーボアンプ(第1サーボアンプAMP21~第NサーボアンプAMP2N)と、2N台のマグネットスイッチMS211,MS212,…,MS2N1,MS2N2と、N個のダイオードDO21,…,DO2Nと、N個のヒューズFS21,…,FS2Nと、電解コンデンサCONとを含む。
【0026】
サーボ電源SPは、直流電源であって、第1サーボアンプAMP21~第NサーボアンプAMP2Nのそれぞれに電源を供給する。
【0027】
第1サーボアンプAMP21は、サーボ電源SP、電解コンデンサCONおよびモータMT11との間で電気的に接続される。第1サーボアンプAMP21は、2台のマグネットスイッチMS211,MS212と、IPM21とを備える。第1サーボアンプAMP21は、IPM21と、サーボ電源SPとの間にダイオードDO21と、ヒューズFS21とを備える。
【0028】
切替部の一例としての2台のマグネットスイッチMS211,MS212のそれぞれは、サーボ電源SPとIPM21との間に接続されて、開閉によりIPM21へのサーボ電源の供給をON,OFFする。マグネットスイッチMS211,MS212のそれぞれは、閉(ON)状態でIPM21へサーボ電源を供給し、開(OFF)状態でIPM21へのサーボ電源の供給を遮断する。なお、マグネットスイッチMS211,MS212は、それぞれ手動操作あるいは遠隔操作により開閉可能であってよい。
【0029】
IPM21は、直流電圧を交流電圧に変換するインバータ(不図示)と、インバータを駆動する駆動回路(不図示)とを少なくとも含んで構成される。インバータは、サーボ電源SPから供給されたサーボ電源(直流電源)を交流電源に変換して、モータMT11に供給する。駆動回路は、サーボ電源SPから供給された制御電源を用いて、インバータを駆動制御する。
【0030】
また、IPM21は、DC電源SP1との間にダイオードDO21が設けられ、サーボ電源SPのグランド(GND)との間にヒューズFS21が設けられる。
【0031】
第1ダイオードの一例としてのダイオードDO21は、DC電源SP1からIPM21に向かう方向に制御電源(制御電流)を供給可能にする。つまり、ダイオードDO21は、IPM21から制御回路(つまり、弱電用の電気回路)にサーボ電源(サーボ電流)が流れることを防止する。
【0032】
これにより、実施の形態1の変形例1に係るモータ制御システム100Aは、IPM21が故障しても、
図3に示す経路RT11の形成を防止し、制御回路あるいは他のサーボアンプの故障を防止できる。
【0033】
ヒューズFS21は、サーボ電源SPのグランド(GND)とIPM21との間の電気回路に設けられる。ヒューズFS21は、短絡等により過電流が発生した場合に溶断し、サーボ電源SPのグランド(GND)とIPM21との間の電気回路を遮断する。
【0034】
これにより、実施の形態1の変形例1に係るモータ制御システム100Aは、IPM21が故障しても、
図3に示す経路RT14の形成を防止し、制御回路あるいは他のサーボアンプの故障を防止できる。
【0035】
なお、
図4では、一例として、各サーボアンプにそれぞれ1つのダイオードと、1つのヒューズとが設けられたモータ制御システム100Aの例を示しているが、これに限定されない。N台のサーボアンプのそれぞれは、ダイオードあるいはヒューズのすくなくとも一方が設けられていればよい。
【0036】
また、上述したモータ制御システム100の構成の場合、モータの回生動作中に2台のマグネットスイッチが開(OFF)状態となった場合には、発生した回生エネルギー(電流)によりIPMが故障する可能性がある。
【0037】
図5を参照して、実施の形態1に係るモータ制御システム100において、モータの回生動作中に2台のマグネットスイッチが開(OFF)状態となった場合のIPMの故障例について説明する。
図5は、モータ制御システム100におけるIPM故障例を説明する図である。なお、
図5では、第1サーボアンプAMP11のIPM11が故障した例について説明する。
【0038】
モータMT11の回生動作中に2台のマグネットスイッチMS11が開(OFF)状態となった場合、第1サーボアンプAMP11は、発生した回生エネルギーが電解コンデンサCONに流れず、IPM11におけるインバータのP-N間電圧(P端子とN端子の間の電圧)が急上昇して過電圧状態となり、IPM11が故障する可能性がある。
【0039】
(実施の形態1の変形例2)
そこで、
図6を参照して、回生エネルギー(回生電流)によるIPMの故障を防止し、IPM(サーボアンプ)の破壊を防止可能なモータ制御システム100Bについて説明する。
図6は、実施の形態1の変形例2に係るモータ制御システム100Bの構成例を示す図である。
【0040】
なお、実施の形態1に係るモータ制御システム100と同様の構成には、同一の符号を付与して、説明を省略する。また、第1サーボアンプAMP31~第NサーボアンプAMP3Nは、それぞれ同様の構成および機能を有するため、以降の説明では、第1サーボアンプAMP31の構成および機能についてのみ説明し、他のサーボアンプの構成および機能については説明を省略する。
【0041】
モータ制御システム100Bは、サーボ電源SPと、N台のモータMT11,…,MT1Nと、N台のサーボアンプ(第1サーボアンプAMP31~第NサーボアンプAMP3N)と、2N台のマグネットスイッチMS311,MS312,…,MS3N1,MS3N2と、2N個のダイオードDO311,DO312,…,DO3N1,DO3N2と、電解コンデンサCONとを含む。
【0042】
サーボ電源SPは、直流電源であって、第1サーボアンプAMP31~第NサーボアンプAMP3Nのそれぞれに電源を供給する。
【0043】
第1サーボアンプAMP31は、サーボ電源SP、電解コンデンサCONおよびモータMT11との間で電気的に接続される。第1サーボアンプAMP31は、2台のマグネットスイッチMS311,MS312と、IPM31とを備える。第1サーボアンプAMP31は、IPM31と電解コンデンサCONとの間に2つのダイオードDO311,DO312を備える。
【0044】
2台のマグネットスイッチMS311,MS312のそれぞれは、サーボ電源SPとIPM31との間に接続されて、開閉によりIPM21へのサーボ電源の供給をON,OFFする。マグネットスイッチMS311,MS312のそれぞれは、閉(ON)状態でIPM21へサーボ電源を供給し、開(OFF)状態でIPM31へのサーボ電源の供給を遮断する。なお、マグネットスイッチMS311,MS312のそれぞれは、手動操作あるいは遠隔操作により開閉可能であってよい。
【0045】
2台のマグネットスイッチMS311,MS312のそれぞれは、接点CN311と接点CN312との間が電気的に接続される。2つのダイオードDO311,DO312のそれぞれは、接点CN311と接点CN312との間に設けられて、バイパス回路を構成する。具体的に、接点CN311と接点CN312との間の電気回路は、P側にダイオードDO311が設けられ、N側にダイオードDO312が設けられる。
【0046】
IPM31は、直流電圧を交流電圧に変換するインバータ(不図示)と、インバータを駆動する駆動回路(不図示)とを少なくとも含んで構成される。インバータは、サーボ電源SPから供給されたサーボ電源(直流電源)を交流電源に変換して、モータMT11に供給する。駆動回路は、サーボ電源SPから供給された制御電源を用いて、インバータを駆動制御する。
【0047】
ダイオードDO311は、IPM31から電解コンデンサCONに向かう方向に回生エネルギー(回生電流)を流す。つまり、ダイオードDO311は、モータMT11により発生した回生エネルギー(回生電流)をサーボ電源SPあるいは電解コンデンサCONに向かって流すことができる。
【0048】
これにより、実施の形態1の変形例2に係るモータ制御システム100Bは、モータMT11の回生動作中に2台のマグネットスイッチMS311,MS312が開(OFF)状態となっても、モータMT11の回生エネルギー(回生電流)を、ダイオードDO31,DO32を通ってサーボ電源SPあるいは電解コンデンサCONに流すことで、IPM31の故障を防止できる。
【0049】
これにより、実施の形態1の変形例2に係るモータ制御システム100Bは、モータMT11の回生動作中に2台のマグネットスイッチMS311,MS312が開(OFF)状態となっても、IPM31のP-N間電圧の急上昇を抑制できる。
【0050】
なお、
図4に示す制御回路あるいは他のサーボアンプの破壊を防止可能なモータ制御システム100Aの構成と、
図6に示すIPM(サーボアンプ)の破壊を防止可能なモータ制御システム100Bの構成とは、任意に組み合わされてよい。これにより、制御回路あるいはサーボアンプの破壊と、IPM(サーボアンプ)の破壊とを防止可能なモータ制御システムを実現できる。
【0051】
以上により、実施の形態1の変形例1に係るモータ制御システム100Aは、複数のモータMT11,…,MT1Nと、複数のモータMT11,…,MT1Nのそれぞれに対応して設けられ、複数のモータMT11,…,MT1Nのそれぞれの動作を制御する複数のサーボアンプ(つまり、第1サーボアンプAMP21~第NサーボアンプAMP2Nのそれぞれ)と、サーボ電源SP(電源の一例)と複数のサーボアンプとの間をそれぞれ接続し、複数のサーボアンプのそれぞれを介して、複数のモータMT11,…,MT1Nのそれぞれに駆動電力を供給する電源回路と、電源と複数のサーボアンプとの間をそれぞれ接続し、複数のサーボアンプのそれぞれに接続されたモータMT11,…,MT1Nに制御指令を送信する制御回路と、電源回路と複数のサーボアンプのそれぞれとの間に接続され、接続された複数のサーボアンプを介した複数のモータMT11,…,MT1Nへの駆動電力の供給と遮断とを開閉動作によって切り替える複数のマグネットスイッチMS211,MS212,…,MS2N1,MS2N2(切替部の一例)と、を備え、制御回路と複数のサーボアンプとの間には、それぞれダイオード(第1ダイオードの一例であって、例えば、ダイオードDO21,…,DO2N)、またはヒューズ(例えば、ヒューズFS21,…,FS2N)の少なくとも一方が設けられる。
【0052】
なお、ここでいう電源回路は、サーボ電源(強電,DC300V)用の電気回路(各図において太線で示す電気回路)を示す。また、ここでいう制御回路は、制御電源(弱電,15V)用の電気回路(各図において細線で示す電気回路)である。
【0053】
これにより、実施の形態1の変形例1に係るモータ制御システム100Aは、ダイオードDO21,…,DO2Nにより、IPM21,…,2Nから制御回路にサーボ電源(サーボ電流)が流れることを防止できる。また、モータ制御システム100Aは、ヒューズFS21,…,FS2Nにより、サーボ電源SPのグランド(GND)とIPM21との間の電気回路を遮断することで、IPM21,…,2Nから制御回路にサーボ電源(サーボ電流)が流れることを防止できる。
【0054】
以上により、実施の形態1の変形例2に係るモータ制御システム100Bは、電源回路と複数のサーボアンプのそれぞれ(つまり、第1サーボアンプAMP31~第NサーボアンプAMP3Nのそれぞれ)との間に設けられ、複数のマグネットスイッチMS311,MS312,…,MS3N1,MS3N2を迂回して電源回路とサーボアンプとを接続する複数のバイパス回路、をさらに備える。複数のバイパス回路のそれぞれは、ダイオード(第2ダイオードの一例であって、例えば、ダイオードDO311,…,DO3N2)が設けられる。これにより、実施の形態1の変形例2に係るモータ制御システム100Bは、モータMT11,…,MT1Nのそれぞれで発生した回生エネルギー(回生電流)を、各サーボアンプに設けられたバイパス回路に流すことで、IPM31,…,PSM3NのそれぞれのP-N間電圧の急上昇を抑制し、サーボアンプの故障を防止できる。
【0055】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本開示は、共通の電源供給路を有する複数のサーボアンプにおいて、高圧電源による制御回路の破損を防止するモータ制御システムとして有用である。
【符号の説明】
【0057】
11,1N,21,2N,31,3N IPM
100,100A,100B モータ制御システム
AMP11,AMP21,AMP31 第1サーボアンプ
AMP12 第2サーボアンプ
AMP13 第3サーボアンプ
AMP1N,AMP2N,AMP3N 第Nサーボアンプ
CN311,CN312,CN3N1,CN3N2 接点
CON 電解コンデンサ
DO21,DO2N,DO311,DO312,DO3N1,DO3N2 ダイオード
FS21,FS2N ヒューズ
MT11,MT12,MT13,MT1N モータ
MS111,MS112,MS121,MS122,MS131,MS132,MS1N1,MS1N2,MS211,MS212,MS2N1,MS2N2 マグネットスイッチ
SP サーボ電源
SP1 DC電源