(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180885
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】固体電池パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/11 20210101AFI20231214BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20231214BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20231214BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20231214BHJP
H01M 50/117 20210101ALI20231214BHJP
H01M 50/124 20210101ALI20231214BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20231214BHJP
H01M 6/18 20060101ALI20231214BHJP
H01M 10/054 20100101ALI20231214BHJP
H01M 50/547 20210101ALI20231214BHJP
H01M 50/141 20210101ALI20231214BHJP
H01M 10/0525 20100101ALI20231214BHJP
【FI】
H01M50/11
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M10/052
H01M50/117
H01M50/124
H01M50/119
H01M6/18 A
H01M10/054
H01M50/547 201
H01M50/141
H01M10/0525
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094553
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】馬場 彰
【テーマコード(参考)】
5H011
5H024
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA06
5H011CC02
5H011CC05
5H011CC06
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5H024FF22
5H029AJ14
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5H029AK02
5H029AK03
5H029AK05
5H029AK16
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL03
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5H029AL07
5H029AL12
5H029AM12
5H043AA17
5H043BA08
5H043BA19
5H043BA20
5H043CA04
5H043DA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】周縁に位置する電子部材の動作への干渉を回避可能な固体電池パッケージを提供すること。
【解決手段】本発明の一実施形態では、基板200と、前記基板上の固体電池100と、前記固体電池を覆う第1被覆絶縁層160と、前記第1被覆絶縁層を覆いかつ導電性を有する被覆無機層170と、前記被覆無機層の少なくとも一部を覆う第2被覆絶縁層180とを備える、固体電池パッケージが提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上の固体電池と、前記固体電池を覆う第1被覆絶縁層と、前記第1被覆絶縁層を覆いかつ導電性を有する被覆無機層と、前記被覆無機層の少なくとも一部を覆う第2被覆絶縁層とを備える、固体電池パッケージ。
【請求項2】
前記第2被覆絶縁層が固体電池パッケージの最外層である、請求項1に記載の固体電池パッケージ。
【請求項3】
前記第2被覆絶縁層が、少なくとも、周縁の電子部材と対向する部分に位置づけられる、請求項1に記載の固体電池パッケージ。
【請求項4】
前記第2被覆絶縁層が固体電池パッケージの外側側面の少なくとも一部をなす、請求項1に記載の固体電池パッケージ。
【請求項5】
固体電池パッケージの外側側面において、前記第2被覆絶縁層が下方に位置し、前記被覆無機層が上方に位置する、請求項1~4のいずれかに記載の固体電池パッケージ。
【請求項6】
前記第2被覆絶縁層は、前記外側側面の最下端部分から上方へと向かって延在する、請求項5に記載の固体電池パッケージ。
【請求項7】
前記第2被覆絶縁層が各外側側面に位置づけられる、請求項6に記載の固体電池パッケージ。
【請求項8】
前記被覆無機層が前記基板の側面を覆い、前記第2被覆絶縁層が少なくとも前記基板の側面を覆う前記被覆無機層を覆う、請求項1に記載の固体電池パッケージ。
【請求項9】
前記被覆無機層が前記基板の側面に連続する底面の一部を覆い、前記第2被覆絶縁層が前記基板の側面に連続する底面の一部を覆う前記被覆無機層を覆う、請求項8に記載の固体電池パッケージ。
【請求項10】
前記第2被覆絶縁層が前記被覆無機層の全体を覆う、請求項1~3のいずれかに記載の固体電池パッケージ。
【請求項11】
前記被覆無機層が局所的に外部に露出する、請求項1~3のいずれかに記載の固体電池パッケージ。
【請求項12】
前記被覆無機層が、周縁の前記電子部材と対向しない部分にて部分的に露出する、請求項3に記載の固体電池パッケージ。
【請求項13】
前記被覆無機層が金属めっき層である、請求項1に記載の固体電池パッケージ。
【請求項14】
外部基板に接続可能な外部電極が前記基板の底面に露出している、請求項1に記載の固体電池パッケージ。
【請求項15】
前記基板がプリント配線基板である、請求項1に記載の固体電池パッケージ。
【請求項16】
外部基板と、前記外部基板に実装される請求項1に記載の固体電池パッケージと、を備える固体電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電池パッケージに関する。より具体的には、本発明は、基板実装に資するようにパッケージ化された固体電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、繰り返しの充放電が可能な二次電池が様々な用途に用いられている。例えば、二次電池は、スマートフォンおよびノートパソコン等の電子機器の電源として用いられたりする。
【0003】
二次電池においては、充放電に寄与するイオン移動のための媒体として液体の電解質が一般に使用されている。つまり、いわゆる電解液が二次電池に用いられている。しかしながら、そのような二次電池においては、電解液の漏出防止点で安全性が一般に求められる。また、電解液に用いられる有機溶媒等は可燃性物質ゆえ、その点でも安全性が求められる。かかる点をふまえ、電解液に代えて、固体電解質を用いた固体電池について研究が進められている。
【0004】
固体電池の使用態様としては、基板と、基板上に配置された固体電池と、固体電池を覆いかつパッケージ外装部分を含む被覆部とを備えた固体電池パッケージの構成で用いられる場合がある。被覆部は、固体電池を覆う被覆絶縁層と、被覆絶縁層を覆う被覆無機層とを備える(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成において、固体電池パッケージの周縁に電子部材、例えば電子回路、電子部品が配置される場合、両者が接触する虞がある。特に、パッケージ外装部分としての被覆無機層が導電性を有する場合、当該被覆無機層と電子回路等との接触により、電子回路等が好適に動作しない虞がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の目的は、周縁に位置する電子部材の動作への干渉を回避可能な固体電池パッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、
基板と、前記基板上の固体電池と、前記固体電池を覆う第1被覆絶縁層と、前記第1被覆絶縁層を覆いかつ導電性を有する被覆無機層と、前記被覆無機層の少なくとも一部を覆う第2被覆絶縁層とを備える、固体電池パッケージが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態に係る固体電池パッケージによれば、周縁に位置する電子部材の動作への干渉を回避可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した底面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係るパッケージ化された固体電池の周縁に電子部材が配置される態様を模式的に示した斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の別の実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の別の実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の別の実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した底面図である。
【
図8】
図8は、本発明の更に別の実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の更に別の実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した底面図である。
【
図10】
図10は、本発明の更に別の実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の更に別の実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した底面図である。
【
図12】
図12は、本発明の更に別の実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の更に別の実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した底面図である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施形態に係る固体電池パッケージの製造プロセスを模式的に示した工程断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の一実施形態に係る固体電池パッケージの製造プロセスを模式的に示した工程断面図である。
【
図16】
図16は、本発明の一実施形態に係る固体電池パッケージの製造プロセスを模式的に示した工程断面図である。
【
図17】
図17は、本発明の一実施形態に係る固体電池パッケージの製造プロセスを模式的に示した工程断面図である。
【
図18】
図18は、本発明の一実施形態に係る固体電池パッケージの製造プロセスを模式的に示した工程断面図である。
【
図19】
図19は、本発明の一実施形態に係る固体電池パッケージの製造プロセスを模式的に示した工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の固体電池パッケージを詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図示する内容は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。
【0012】
本明細書でいう「固体電池パッケージ」は、広義には、外部環境から固体電池が保護されるように構成された固体電池デバイス(又は固体電池品)のことを指しており、狭義には、実装に資する基板を備えると共に外部環境から固体電池が保護された固体電池品のことを指している。
【0013】
本明細書でいう「断面視」とは、固体電池の積層構造における積層方向に対して略垂直な方向から捉えた形態(端的にいえば、層の厚み方向に平行な面で切り取った場合の形態)に基づいている。また、本明細書で用いる「平面視」または「平面視形状」とは、かかる層の厚み方向(即ち、上記の積層方向)に沿って対象物を上側または下側からみた場合の見取図に基づいている。
【0014】
本明細書で直接的または間接的に用いる“上下方向”および“左右方向”は、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材・部位または同じ意味内容を示すものとする。ある好適な態様では、鉛直方向下向き(すなわち、重力が働く方向)が「下方向」/「底面側」に相当し、その逆向きが「上方向」/「頂面側」に相当すると捉えることができる。
【0015】
本発明でいう「固体電池」は、広義にはその構成要素が固体から成る電池を指し、狭義にはその構成要素(特に好ましくは全ての構成要素)が固体から成る全固体電池を指している。ある好適な態様では、本発明における固体電池は、電池構成単位を成す各層が互いに積層するように構成された積層型固体電池であり、好ましくはそのような各層が焼成体から成っている。「固体電池」は、充電および放電の繰り返しが可能な、いわゆる「二次電池」のみならず、放電のみが可能な「一次電池」をも包含する。本発明のある好適な態様に従うと「固体電池」は二次電池である。「二次電池」は、その名称に過度に拘泥されるものではなく、例えば、蓄電デバイスなども包含し得る。なお、本発明において、パッケージに含まれる固体電池は「固体電池素子」と称すこともできる。
【0016】
以下では、まず、本発明の固体電池の構成について説明する。ここで説明される固体電池の構成は、あくまでも発明の理解のための例示にすぎず、発明を限定するものではない。
【0017】
[固体電池の構成]
固体電池は、正極・負極の電極層と固体電解質層とを少なくとも備える。具体的には
図1に示すように、固体電池100は、正極層110、負極層120、およびそれらの間に少なくとも介在する固体電解質層130から成る電池構成単位を含んだ固体電池積層体を備える。
【0018】
固体電池は、それを構成する各層が焼成によって形成されていてもよく、正極層、負極層および固体電解質層などが焼成層をなしていてもよい。好ましくは、正極層、負極層および固体電解質層は、それぞれが互いに一体焼成されており、それゆえ固体電池積層体が一体焼成体を成していることが好ましい。
【0019】
正極層110は、少なくとも正極活物質を含んで成る電極層である。正極層は、更に固体電解質を含んで成っていてよい。ある好適な態様では、正極層は、正極活物質粒子と固体電解質粒子とを少なくとも含む焼成体から構成されている。一方、負極層は、少なくとも負極活物質を含んで成る電極層である。負極層は、更に固体電解質を含んで成っていてよい。ある好適な態様では、負極層は、負極活物質粒子と固体電解質粒子とを少なくとも含む焼結体から構成されている。
【0020】
正極活物質および負極活物質は、固体電池において電子の受け渡しに関与する物質である。固体電解質を介してイオンは正極層と負極層との間で移動(伝導)して電子の受け渡しが行われることで充放電がなされる。正極層および負極層の各電極層は特にリチウムイオンまたはナトリウムイオンを吸蔵放出可能な層であることが好ましい。つまり、固体電池は、固体電解質を介してリチウムイオンまたはナトリウムイオンが正極層と負極層との間で移動して電池の充放電が行われる全固体型二次電池であることが好ましい。
【0021】
(正極活物質)
正極層110に含まれる正極活物質としては、例えば、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、リチウム含有層状酸化物、および、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも一種が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li3V2(PO4)3等が挙げられる。オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li3Fe2(PO4)3、LiFePO4、および/またはLiMnPO4等が挙げられる。リチウム含有層状酸化物の一例としては、LiCoO2、および/またはLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2等が挙げられる。スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の一例としては、LiMn2O4、および/またはLiNi0.5Mn1.5O4等が挙げられる。リチウム化合物の種類は、特に限定されないが、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物およびリチウム遷移金属リン酸化合物としてよい。リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウムと1種類または2種類以上の遷移金属元素とを構成元素として含む酸化物の総称であると共に、リチウム遷移金属リン酸化合物は、リチウムと1種類または2種類以上の遷移金属元素とを構成元素として含むリン酸化合物の総称である。遷移金属元素の種類は、特に限定されないが、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および鉄(Fe)などである。
【0022】
また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ナトリウム含有層状酸化物、および、スピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。例えば、ナトリウム含有リン酸化合物の場合、Na3V2(PO4)3、NaCoFe2(PO4)3、Na2Ni2Fe(PO4)3、Na3Fe2(PO4)3、Na2FeP2O7、Na4Fe3(PO4)2(P2O7)、およびナトリウム含有層状酸化物としてNaFeO2から成る群から選択される少なくとも一種が挙げられる。
【0023】
この他、正極活物質は、例えば、酸化物、二硫化物、カルコゲン化物または導電性高分子等でもよい。酸化物は、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムまたは二酸化マンガン等でもよい。二硫化物は、例えば、二硫化チタンまたは硫化モリブデン等である。カルコゲン化物は、例えば、セレン化ニオブ等でもよい。導電性高分子は、例えば、ジスルフィド、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラスチレン、ポリアセチレンまたはポリアセン等でもよい。
【0024】
(負極活物質)
負極層120に含まれる負極活物質としては、例えば、チタン(Ti)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニオブ(Nb)およびモリブデン(Mo)から成る群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む酸化物、黒鉛などの炭素材料、黒鉛-リチウム化合物、リチウム合金、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ならびに、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも一種が挙げられる。リチウム合金の一例としては、Li-Al等が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li3V2(PO4)3、および/またはLiTi2(PO4)3等が挙げられる。オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li3Fe2(PO4)3、および/またはLiCuPO4等が挙げられる。スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の一例としては、Li4Ti5O12等が挙げられる。
【0025】
また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、および、スピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0026】
なお、固体電池において、正極層と負極層とが同一材料から成っていてもよい。
【0027】
正極層および/または負極層は、導電性材料を含んでいてもよい。正極層および負極層に含まれる導電性材料として、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅およびニッケル等の金属材料、ならびに炭素などから成る少なくとも1種を挙げることができる。
【0028】
さらに、正極層および/または負極層は、焼結助剤を含んでいてもよい。焼結助剤としては、リチウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ビスマスおよび酸化リンから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
【0029】
正極層および負極層の厚みは特に限定されないが、例えば、それぞれ独立して2μm以上50μm以下、特に5μm以上30μm以下であってよい。
【0030】
(正極集電層/負極集電層)
電極層の必須要素ではないものの、正極層110および負極層120は、それぞれ正極集電層および負極集電層を備えていてもよい。正極集電層および負極集電層はそれぞれ箔の形態を有していてもよい。しかしながら、一体焼成による電子伝導性向上、固体電池の製造コスト低減および/または固体電池の内部抵抗低減などの観点をより重視するならば、正極集電層および負極集電層はそれぞれ焼成体の形態を有していてもよい。正極集電層を構成する正極集電体および負極集電体を構成する負極集電体としては、導電率が大きい材料を用いることが好ましく、例えば、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、および/またはニッケルなどを用いてよい。正極集電体および負極集電体はそれぞれ、外部と電気的に接続するための電気接続部を有してよく、端面電極と電気的に接続可能に構成されていてよい。なお、正極集電層および負極集電層が焼成体の形態を有する場合、それらは導電性材料および焼結助剤を含む焼成体により構成されてもよい。正極集電層および負極集電層に含まれる導電性材料は、例えば、正極層および負極層に含まれ得る導電性材料と同様の材料から選択されてよい。正極集電層および負極集電層に含まれる焼結助剤は、例えば、正極層・負極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。上述したように、固体電池において、正極集電層および負極集電層が必須というわけではなく、そのような正極集電層および負極集電層が設けられていない固体電池も考えられる。つまり、本発明のパッケージに含まれる固体電池は、集電層レスの固体電池であってもよい。
【0031】
(固体電解質)
固体電解質は、リチウムイオンまたはナトリウムイオンが伝導可能な材質である。特に固体電池で電池構成単位を成す固体電解質層130は、正極層110と負極層120との間においてリチウムイオンが伝導可能な層を成していてよい。なお、固体電解質層は、正極層と負極層との間に少なくとも設けられていればよい。つまり、固体電解質層は、正極層と負極層との間からはみ出すように当該正極層および/または負極層の周囲において存在していてもよい。固体電解質層に含まれる固体電解質としては、例えば、結晶性固体電解質、ガラス系固体電解質およびガラスセラミックス系固体電解質等のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。
【0032】
結晶性固体電解質は、例えば酸化物系結晶材および硫化物系結晶材などである。酸化物系結晶材は、例えば、ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物、酸化物ガラスセラミックス系リチウムイオン伝導体等が挙げられる。ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物としては、LixMy(PO4)3(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)およびジルコニウム(Zr)から成る群より選ばれた少なくとも一種)が挙げられる。ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、例えば、Li1.2Al0.2Ti1.8(PO4)3等が挙げられる。ペロブスカイト構造を有する酸化物の一例としては、La0.55Li0.35TiO3等が挙げられる。ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物の一例としては、Li7La3Zr2O12等が挙げられる。また、硫化物系結晶材は、thio-LISICONが挙げられ、例えばLi3.25Ge0.25P0.75S4およびLi10GeP2S12などである。結晶性固体電解質は、高分子材(例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)など)を含んでいてもよい。
【0033】
ガラス系固体電解質は、例えば、酸化物系ガラス材および硫化物系ガラス材などがある。酸化物系ガラス材は、例えば、50Li4SiO4・50Li3BO3などがある。また、硫化物系ガラス材は、例えば、30Li2S・26B2S3・44LiI、63Li2S・36SiS2・1Li3PO4、57Li2S・38SiS2・5Li4SiO4、70Li2S・30P2S5および50Li2S・50GeS2などがある。
【0034】
ガラスセラミックス系固体電解質は、例えば、酸化物系ガラスセラミックス材および硫化物系ガラスセラミックス材などである。酸化物系ガラスセラミックス材としては、例えば、リチウム、アルミニウムおよびチタンを構成元素に含むリン酸化合物(LATP)、リチウム、アルミニウムおよびゲルマニウムを構成元素に含むリン酸化合物(LAGP)を用いることができる。LATPは、例えばLi1.07Al0.69Ti1.46(PO4)3などである。また、LAGPは、例えばLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)などである。また、硫化物系ガラスセラミックス材としては、例えば、Li7P3S11およびLi3.25P0.95S4などがある。
【0035】
また、ナトリウムイオンが伝導可能な固体電解質としては、例えば、ナシコン構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物等が挙げられる。ナシコン構造を有するナトリウム含有リン酸化合物としては、NaxMy(PO4)3(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれた少なくとも一種)が挙げられる。
【0036】
固体電解質層は、焼結助剤を含んでいてもよい。固体電解質層に含まれる焼結助剤は、例えば、正極層・負極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。
【0037】
固体電解質層の厚みは特に限定されない。正極層と負極層との間に位置する固体電解質層の厚みは、例えば1μm以上15μm以下、特に1μm以上5μm以下であってよい。
【0038】
(端面電極)
固体電池には、一般に端面電極140が設けられている。特に、固体電池の側面に端面電極が設けられている。より具体的には、正極層110と接続された正極側の端面電極140Aと、負極層120と接続された負極側の端面電極140Bとが設けられている(
図1参照)。そのような端面電極は、導電率が大きい材料を含んで成ることが好ましい。端面電極の具体的な材質としては、特に制限されるわけではないが、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズおよびニッケルから成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0039】
[固体電池パッケージの構成]
本発明は、固体電池がパッケージ化されたものである。つまり、実装可能な基板を備え、外部環境から固体電池が保護された構成を有する固体電池パッケージである。
【0040】
図1は、本発明の一実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した断面図である。
図3は、本発明の一実施形態に係るパッケージ化された固体電池の構成を模式的に示した底面図である。
図4は、本発明の一実施形態に係るパッケージ化された固体電池の周縁に電子部材が配置される態様を模式的に示した斜視図である。
【0041】
図1および
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る固体電池パッケージ1000は、固体電池100が支持されるように基板200を備えている。具体的には、固体電池パッケージ1000は、実装可能な基板200と、基板200に設けられかつ外部環境から保護された固体電池100とを含む。
【0042】
基板200は、例えば固体電池100よりも大きい主面を有している。基板200は、樹脂基板であってよく、あるいは、セラミック基板であってもよい。端的にいえば、基板200は、プリント配線基板、フレキシブル基板、LTCC基板、またはHTCC基板などの範疇に入るものであってもよい。基板200が樹脂基板である場合、基板200は母材として樹脂を含むように構成された基板、例えば基板の積層構造に樹脂層が含まれたものであり得る。そのような樹脂層の樹脂材料は、いずれの熱可塑性樹脂、および/または、いずれの熱硬化性樹脂であってもよい。また、樹脂層は、例えば、ガラス繊維布にエポキシ樹脂などの樹脂材料を含浸して構成されたものであってよい。
【0043】
基板は、好ましくは、パッケージ化された固体電池の外部端子または外部電極のための部材となっている。つまり、基板が固体電池の外部端子または外部電極のための端子基板となっているともいえる。このような基板を備えた固体電池パッケージは、基板が介在するような形態で固体電池をプリント配線基板などの別の2次基板(又は外部基板)上に実装できる。例えば、半田リフローなどを通じて、基板を介して固体電池を表面実装できる。このようなことから、本発明の固体電池パッケージは、好ましくは、SMD(SMD:Surface Mount Device)タイプの電池パッケージとなっている。
【0044】
かかる基板は、固体電池を支持するように設けられ得るところ、支持基板と解することもできる。また、上記のとおり、基板は、端子基板ゆえ、配線または電極層などを有していることが好ましく、特に、上側主面230と下側主面240にそれぞれ電気的に結線された基板電極層を備えていることが好ましい。具体的には、基板200は、上側主面230と下側主面240に電気的に結線された基板電極層(上側基板電極層210、下側基板電極層220)を備え、パッケージ化された固体電池の外部端子または外部電極のための部材となっている(
図2および
図3参照)。
【0045】
基板電極層210自体は、固体電池100との電気接続が可能なものであることから、金属層から構成され得る。この金属層は、例えば、銅に金がめっきされたもの、又は銅にニッケルおよび金がめっきされたもの等から構成され得る。特に限定されるものではないが、基板電極層210の厚みは、2~50μm、例えば30μmであることができる。
【0046】
このような基板を備えた固体電池パッケージでは、基板電極層と固体電池の端面電極とが互いに接続されている。具体的には、同極の基板電極層と固体電池の端面電極同士が互いに電気的に接続されている。固体電池の正極側の端面電極140Aは上側基板正極層210Aと電気的に接続されている。固体電池の負極側の端面電極140Bは上側基板負極層210Bと電気的に接続されている。
【0047】
上側基板電極層210と下側基板電極層220とは、基板200の内部に設けられた導電部分を介して電気接続可能に構成されている。導電部分は、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銀、金およびスズなどから成る群から選択される少なくとも1種の金属材料から成るものであってよい。これにより、下側基板電極層220(基板の底面に位置する基板電極層に相当)または同下側基板電極層に接続されたランドが電池パッケージの外部電極または外部端子として供される。
【0048】
又、上記の固体電池100と基板200の基板電極層210との電気接続を可能とするために、固体電池100の端面電極140と基板200の基板電極層210とを接合部材600を介して接続することができる。この接合部材600は、固体電池100の端面電極140と基板200との電気的接続を少なくとも担うものであり、例えば導電性接着剤やはんだなどがあげられる。一例としては、接合部材600は、Agなどの金属フィラーを含有したエポキシ系導電性接着剤から構成されていてよい。
【0049】
更に、基板200のみならず固体電池パッケージ1000自体が、全体として水蒸気透過を防止できるように構成され得る。例えば、本発明の一実施形態に係る固体電池パッケージ1000は、基板200上に設けられた固体電池100が全体的に包囲されるように被覆部150で覆うことができる。具体的には、基板200上の固体電池100の主面100Aおよび側面100Bが被覆部150で包囲されるようにパッケージ化され得る。かかる構成によれば、固体電池100を成す全ての面は外部に露出することがなく、水蒸気の透過防止を図ることができる。
【0050】
なお、本明細書でいう「水蒸気」は、特に気体状態の水に限定されず、液体状態の水なども包含している。つまり、物理的な状態を問わず、気体状態の水、液体状態の水などを広く包含するものとして「水蒸気」といった用語を用いている。よって、「水蒸気」は、水分などとも称すことができ、特に液体状態の水には、気体状態の水が凝縮した結露水なども包含され得る。固体電池への水蒸気の浸入は電池特性の劣化の要因となることから、上述のようにパッケージ化された固体電池の形態は、固体電池の電池特性の長寿命化に資する。
【0051】
又、被覆部150は、被覆絶縁層160および被覆無機層170を含む構成となっている。被覆無機層170は、被覆絶縁層160を覆うように設けられている。被覆無機層170は、被覆絶縁層160上に位置付けられるので、被覆絶縁層160とともに、基板200上の固体電池100を全体として大きく包み込む形態を有している。更に、被覆無機層170は、基板200の側面250も覆う形態を採ることができる。
【0052】
被覆無機層170は、好ましくは、水蒸気バリア層として機能する。つまり、固体電池への水分浸入を阻止するバリアとして好適に供されるように、被覆無機層が少なくとも固体電池の天面および側面を覆っている。本明細書でいう「バリア」とは、広義には、外部環境の水蒸気が被覆無機層を通過して固体電池にとって不都合な特性劣化を引き起す、といったことがない程度の水蒸気透過の阻止特性を有することを意味しており、狭義には、水蒸気透過率が1.0×10-3g/(m2・Day)未満となっていることを意味している。よって、端的にいえば、水蒸気バリア層は、好ましくは0g/(m2・Day)以上1.0×10-3g/(m2・Day)未満の水蒸気透過率を有しているといえる。なお、ここでいう「水蒸気透過率」は、アドバンス理工(株)社製、型式GTms-1のガス透過率測定装置を用いて、測定条件は40℃ 90%RH 差圧1atmによって得られた透過率のことを指している。
【0053】
被覆絶縁層160と被覆無機層170とは互いに一体化している。これにより、被覆無機層は、被覆絶縁層とともに固体電池のための水蒸気バリアを成している。つまり、一体化した被覆絶縁層と被覆無機層との組合せによって、外部環境の水蒸気の固体電池への浸入が好適に防止されている。
【0054】
被覆無機層は、例えば、乾式めっき層と乾式めっき層上に形成された湿式めっき層とを有し得る。外部環境の水蒸気の固体電池への浸入を抑制可能ならば、特に限定されるものではないが、湿式めっき層は、例えば、主成分としてCu、Ni、およびCrから成る群から選択される少なくとも一種の金属が含まれていてよい。乾式めっき層は、例えばスパッタ膜であってよい。スパッタ膜は、スパッタリングによって得られる薄膜である。つまり、ターゲットにイオンをスパッタリングしてその原子を叩き出して堆積させた膜が乾式めっき層として用いられ得る。
【0055】
スパッタ膜は、ナノオーダーないしはマイクロオーダーの非常に薄い形態を有しつつも、比較的緻密および/または均質な層となるため、固体電池のための水蒸気透過防止に寄与し得る。また、スパッタ膜は、原子堆積により成膜されたものゆえ、ターゲット上に好適に付着し得る。そのため、スパッタ膜は、外部環境の水蒸気が固体電池へと浸入することを防ぐバリアとして好適に供され得る。そのため、被覆無機層が乾式めっき層としてスパッタ膜をさらに有することで、固体電池への水蒸気の透過防止性をより向上させることが可能となる。なお、乾式めっき層は、他の乾式めっきである真空蒸着法、またはイオンプレーティング法等によって形成されてもよい。乾式めっき層は、例えばAl(アルミニウム)、Cu(銅)、Ti(チタン)、およびステンレス鋼(SUS)から成る群から選択される少なくとも1種を含んでいてよい。
(別送修正原稿で削除された部分)
【0056】
スパッタリングによる成膜では、膜が被覆絶縁層に食い込むように形成されることで、スパッタ膜は被覆絶縁層に対して好適に密着し得る。よって、スパッタ膜は、被覆絶縁層とともに、固体電池のための水蒸気の透過防止において好適に寄与し得る。又、湿式めっき層の内側に乾式めっき層を設けることで、湿式めっき層の形成に用いられるめっき液の固体電池への浸入をより好適に防止可能となる。したがって、被覆絶縁層上に乾式めっき層を設けることで、より信頼性の高い固体電池パッケージが供され得る。
【0057】
[本発明の特徴部分]
本願発明者は、固体電池パッケージ1000の周縁に位置する電子部材の動作への干渉を回避するための構成について鋭意検討した。その結果、本願発明者は、パッケージ外装部分150Xとしての被覆無機層170が導電性を有する場合に、導電性の被覆無機層170の少なくとも一部を覆う第2被覆絶縁層180を更に供するという思想を有する本発明を案出するに至った(
図1~
図3参照)。導電性を有する被覆無機層170としては、例えば金属めっき層を用いることができる。
【0058】
かかる技術的思想によれば、導電性の被覆無機層170の少なくとも一部が第2被覆絶縁層180により覆われ得る。この場合、パッケージ外装部分150X(即ち、固体電池パッケージ1000の外から見える部分)に、第2被覆絶縁層180が含まれ得る。又、第2被覆絶縁層180は固体電池パッケージ1000の最外層であり得る。
【0059】
かかる構成によれば、第2被覆絶縁層180により、導電性の被覆無機層170と固体電池パッケージ1000周縁の電子部材との直接接触を抑制することができる。以上により、固体電池パッケージ1000周縁の電子部材の動作への干渉を回避可能となる。これにより、電子部材の電圧、電流が干渉されにくく、同電子部材におけるインピーダンスのずれを抑制することが可能となる。
【0060】
特に、導電性の被覆無機層170と周縁の電子部材2000との直接接触を好適に抑制する観点から、第2被覆絶縁層180は、少なくとも、この電子部材2000と対向する部分に位置づけられ得る(
図4参照)。この場合、被覆無機層170は、同電子部材2000と対向しない部分では部分的に露出し得る。
【0061】
固体電池パッケージ1000が直方体形状を有する場合を例に採ると、第2被覆絶縁層180は固体電池パッケージ1000の外側側面500の少なくとも一部をなすことができる。この場合、導電性の被覆無機層170と周縁の電子部材2000との直接接触を好適に抑制する観点から、この外側側面500にて、第2被覆絶縁層180が下方に位置し、被覆無機層170が上方に位置することが好ましい。具体的には、第2被覆絶縁層180は、上記外側側面500の最下端部分510から上方へと向かって延在することが好ましい。
【0062】
固体電池パッケージ1000Iは、直方体形状を有する場合に複数の外側側面500を有し得る。この場合に、固体電池パッケージの全方位における導電性の被覆無機層170と周縁の電子部材2000との直接接触を好適に抑制する観点から、第2被覆絶縁層180Iは複数の外側側面500の各々、即ち各外側側面500に位置づけられ得る(
図5~7参照)。
【0063】
固体電池100への水分浸入をより好適に抑制する観点から、第1被覆絶縁層160に加え基板200の側面250が被覆無機層170で覆われ得る。この場合には、第2被覆絶縁層180は、第1被覆絶縁層160および基板200の側面250を覆う被覆無機層170を覆うことが好ましい。なお、本明細書では、被覆絶縁層160と第2被覆絶縁層180とを区別して用いる必要がある場合、被覆絶縁層160を第1被覆絶縁層160と称する。
【0064】
固体電池100への水分浸入を更により好適に抑制する観点から、基板200の側面250に連続する底面240の一部も被覆無機層170で覆われ得る。この場合、第2被覆絶縁層180は、被覆無機層170(具体的には、第1被覆絶縁層160、基板200の側面250および側面250に連続する底面240の一部を覆う被覆無機層170)を覆うことが好ましい(
図5~
図7参照)。
【0065】
固体電池パッケージ1000II周縁の電子部材のサイズが相対的に大きい場合、特に固体電池パッケージ1000IIの高さと電子部材の高さが略同一となり得る。この場合、直方体形状の固体電池パッケージ1000Iにおいては、導電性の被覆無機層170と周縁の電子部材との直接接触を好適に抑制する観点から、1つの外側側面500の全体が第2被覆絶縁層180IIで覆われることが好ましい(
図8および
図9参照)。
【0066】
又、第2被覆絶縁層180IIIは被覆無機層170の全体を覆うことができる(
図10および
図11参照)。これにより、周縁の電子部材2000のサイズにかかわらず、固体電池パッケージ1000IIIの全方位における導電性の被覆無機層170と周縁の電子部材との直接接触を好適に抑制することができる。
【0067】
更に、被覆無機層170が局所的に外部に露出することができる(
図12および
図13参照)。かかる構成では、被覆無機層170の局所的な露出部分を印字部として用いることができる。又、内部の固体電池と被覆無機層170とが導通可能となっている場合、被覆無機層170を水蒸気バリア層としてだけでなく電極、好ましくは負極として用いることができる。
【0068】
なお、本発明の上記態様のいずれにおいても、外部基板に接続可能な2つの外部電極(2つの下側基板電極層220に相当)は、外部基板に実装可能とする観点から基板200の底面240に露出することを前提とする点に留意する。
【0069】
又、外部基板と2つの外部電極(2つの下側基板電極層220に相当)とが接続された場合、外部基板と本発明の一実施形態に係る固体電池パッケージとを備えた固体電池モジュールが供され得る。
【0070】
なお、本発明の一実施形態に係る固体電池パッケージでは、下記態様を採ることもできる。一態様では、基板200と固体電池100との間にレジスト層が配置され得る。特に、基板200上に設けられたレジストに起因して、基板200と固体電池100との間にレジスト層が設けられていてよい。
【0071】
レジスト層は、特に、基板200の主面上に設けられている。レジスト層は、物理的加工あるいは化学的反応が及ばないように基板表面を少なくとも部分的に覆う層である。よって、レジスト層は、基板200の主面上に設けられた樹脂材を含んで成る絶縁層であってよい。このようなレジスト層は、基板200の主面上に設けられた耐熱性のコーティングに相当すると捉えることもできる。例えば、固体電池と基板との接続時に絶縁性を保ち、基板電極層などの導体部分を保護するのに供するレジストであってもよい。このような基板200の主面上に設けられるレジスト層は、例えばソルダレジストの層であってよい。
【0072】
一例としては、レジスト層は、基板200の主面に設けられていてよい。この場合、水蒸気バリア層が少なくともレジスト層400上に配置されていてよい。水蒸気バリア層とレジスト層とが互いに積層するように、レジスト層に直接的に接するように水蒸気バリア層が配置される。このようにレジスト層上に水蒸気バリア層が設けられていると、基板200およびその上のレジスト層400を経由して外部環境から浸入してくる水蒸気をより効果的に阻止できる。
【0073】
水蒸気バリア層は電気絶縁性を有する絶縁層であり得る。つまり、水蒸気バリア層は、電気的絶縁性が高い材質を含んで成る膜であってよい。ショートなどの不都合な事象をより抑制し易くなるからである。つまり、水蒸気透過防止を図りつつも、それによる電気的に不都合な影響などを抑制できる。このような水蒸気バリア層は、絶縁性を呈する素材であれば特に限定されず、その素材の具体例としては、例えば、ガラス、アルミナ等の無機絶縁体、樹脂等の有機絶縁体等が挙げられ、これらが1種単独で使用されてよく、あるいは2種以上を併用されてもよい。
【0074】
水蒸気バリア層は、好ましくはケイ素を含んだ層である。電気絶縁性の点で好適な層になり易いからである。ケイ素を含んだ水蒸気バリア層としては、ケイ素原子のみならず、窒素原子および酸素原子を含んだ分子構造から構成された層であってよい。電気絶縁性および薄膜化の点で好適な層となり易いからである。例えば、水蒸気バリア層はSi-O結合およびSi-N結合の双方を備える。つまり、水蒸気バリア層の材質を構成する分子構造中にSi-O結合およびSi-N結合の双方が存在していてよい。層の分子構造にSi-O結合およびSi-N結合の双方を有していると、薄い層でありながらも緻密な層となり易く、より水蒸気透過防止特性をも呈し得る水蒸気バリア層となり易い。
【0075】
ここでいう「Si-O結合」および「Si-N結合」は、例えば、フーリエ変換赤外分光分析(FT-IR)に基づいて確認できるものを指している。つまり、かかる態様に係る水蒸気バリア層は、赤外領域の光の吸収を測定することによってSi-O結合およびSi-N結合を確認することができる。なお、本明細書においてFT-IRは、例えばSpotlight 150 パーキンエルマー社製を用い、顕微ATR法で測定されるものを指している。
【0076】
[固体電池パッケージの製造方法]
以下、本発明の一実施形態にかかる固体電池パッケージの製造方法について説明する。
【0077】
固体電池パッケージは、正極層、負極層、およびそれらの電極間に固体電解質を有する電池構成単位を含んだ固体電池を調製し、次いで、その固体電池をパッケージ化するプロセスを経ることで得ることができる。
【0078】
本発明の固体電池の製造は、パッケージ化の前段階に相当する固体電池自体(以下では、「パッケージ前電池」とも称する)の製造と、基板の調製と、パッケージ化とに大きく分けることができる。
【0079】
≪パッケージ前電池の製造方法≫
パッケージ前電池は、スクリーン印刷法等の印刷法、グリーンシートを用いるグリーンシート法、またはそれらの複合法により製造することができる。つまり、パッケージ前電池自体は、常套的な固体電池の製法に準じて作製してよい(よって、下記で説明する固体電解質、有機バインダ、溶剤、任意の添加剤、正極活物質、負極活物質などの原料物質は、既知の固体電池の製造で用いられるものを使用してよい)。
【0080】
以下では、本発明のより良い理解のために、ある1つの製法を例示説明するが、本発明は当該方法に限定されない。また、以下の記載順序など経時的な事項は、あくまでも説明のための便宜上のものにすぎず、必ずしもそれに拘束されない。
【0081】
(積層体ブロック形成)
・固体電解質、有機バインダ、溶剤および任意の添加剤を混合してスラリーを調製する。次いで、調製されたスラリーから、焼成によって固体電解質を含んで成るシートを形成する。
・正極活物質、固体電解質、導電性材料、有機バインダ、溶剤および任意の添加剤を混合して正極用ペーストを作製する。同様にして、負極活物質、固体電解質、導電性材料、有機バインダ、溶剤および任意の添加剤を混合して負極用ペーストを作製する。
・シート上に正極用ペーストを印刷し、また、必要に応じて集電層および/またはネガ層を印刷する。同様にして、シート上に負極用ペーストを印刷し、また、必要に応じて集電層および/またはネガ層を印刷する。
・正極用ペーストを印刷したシートと、負極用ペーストを印刷したシートとを交互に積層して積層体を得る。なお、積層体の最外層(最上層および/または最下層)についていえば、それが電解質層でも絶縁層でもよく、あるいは、電極層であってもよい。
【0082】
(電池焼成体形成)
積層体を圧着一体化させた後、所定のサイズにカットする。得られたカット済み積層体を脱脂および焼成に付す。これにより、焼成積層体を得る。なお、カット前に積層体を脱脂および焼成に付し、その後にカットを行ってもよい。
【0083】
(端面電極形成)
正極側の端面電極は、焼成積層体における正極露出側面に対して導電性ペーストを塗布することを通じて形成できる。同様にして、負極側の端面電極は、焼成積層体における負極露出側面に対して導電性ペーストを塗布することを通じて形成できる。正極側および負極側の端面電極は、焼成積層体の主面にまで及ぶように設けてよい。端面電極の成分としては、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズおよびニッケルから選択される少なくとも一種から選択され得る。
【0084】
なお、正極側および負極側の端面電極は、積層体の焼成後に形成することに限らず、焼成前に形成し、同時焼成に付してもよい。
【0085】
以上の如くの工程を経ることによって、最終的に所望のパッケージ前電池(後述する
図16に示す固体電池100に相当)を得ることができる。
【0086】
≪基板の調製≫
本工程では、基板の調製を行う。
【0087】
特に限定されるものではないが、基板として樹脂基板を用いる場合、その調製は、複数の層を積層して加熱および加圧処理することによって行ってよい。例えば、基材となる繊維布に樹脂原料が含浸して構成された樹脂シートの積層と樹脂シートへの導電部分の形成により基板前駆体を形成する。一方、基板としてセラミック基板を用いる場合、その調製は、例えば、複数のグリーンシートの熱圧着とグリーンシートへの導電部分の形成によりグリーンシート積層体を形成する。その後、グリーンシート積層体を焼成に付すことによって、セラミック基板を得ることができる。セラミック基板の調製は、例えばLTCC基板の作製に準じで行うことができる。導電部分の形成としては、シートへのパンチプレスまたは炭酸ガスレーザなどによる孔形成と、その孔への導電性ペースト材料の充填、あるいは、印刷法などにより形成することができる。この際、基板内の正極用の導電部分および負極用の導電部分についてはそれぞれ、一端が基板200の上側主面230に露出し、他端が基板200の下側主面240に露出するように形成する。
【0088】
その後、電気的に接続するため基板200の上下主面230、240に上側基板電極層210と下側基板電極層220を形成する(
図14参照)。基板電極層については適宜パターニング処理されてよい。なお、基板電極層の形成後、基板200の基板電極層を除く主面230上に、例えばソルダレジストから構成されるレジスト層400を形成してよい(
図14参照)。このレジスト層400の形成工程は省略してもよい。
【0089】
次に、固体電池100と基板200との間の電気的接続を担う接合部材前駆体600’を基板電極層に供する(
図15参照)。これにより、基板電極層と後刻に配置する固体電池の端面電極とを互いに電気的に接続可能とする。このような接合部材前駆体600’は、Ag導電ペーストの他、ナノペーストや合金系ペースト、ロー材など、形成後にフラックスなどの洗浄を必要としない導電性ペーストを印刷することで設けることができる。
【0090】
≪パッケージ化≫
次に、上記で得られた電池および基板を用いてパッケージ化を行う。
【0091】
まず、基板200上にパッケージ前電池100を配置する(
図16参照)。つまり、基板上に“パッケージ化されていない固体電池”を配置する(以下、パッケージ化に用いる電池を単に「固体電池」とも称する)。
【0092】
具体的には、基板電極層と固体電池の端面電極とが互いに電気的に接続されるように固体電池を基板上に配置する。固体電池の端面電極と接合部材の前駆体600’とが互いに接するように基板上に固体電池100を配した後、加熱処理に付すことで前駆体600’から固体電池100と基板200との間の電気的接続に資する接合部材600を形成する。
【0093】
次いで、被覆部150を形成する。被覆部としては、被覆絶縁層160および被覆無機層170を設けてよい。
【0094】
まず、基板200上の固体電池100が覆われるように被覆絶縁層160を形成する(
図17参照)。それゆえ、基板上の固体電池が全体的に覆われるように被覆絶縁層の原料を供する。被覆絶縁層が樹脂材から成る場合、樹脂前駆体を基板上に設けて硬化などに付して被覆絶縁層を成型する。金型で加圧に付すことを通じて被覆絶縁層の成型を行ってもよい。例示にすぎないが、コンプレッション・モールドを通じて基板上の固体電池を封止する被覆絶縁層を成型してよい。一般的にモールドで用いられる樹脂材であるならば、被覆絶縁層の原料の形態は、顆粒状でもよく、また、その種類は熱可塑性であってもよい。なお、このような成型は、金型成型に限らず、研磨加工、レーザー加工および/または化学的処理などを通じて行ってもよい。
【0095】
被覆絶縁層160の形成後、被覆無機層170を形成する(
図18参照)。具体的には、「個々の固体電池100が基板200上にて被覆絶縁層160で覆われた被覆前駆体」に対して被覆無機層170を形成する。例えば、乾式めっきを実施して乾式めっき層を形成し、次いで湿式めっきを実施し湿式めっき層を形成してよい。
【0096】
被覆無機層170の形成後、被覆無機層170の少なくとも一部を覆う第2被覆絶縁層180を形成する(
図19参照)。具体的には、少なくとも、周縁の電子部材と対向する部分に第2被覆絶縁層180を形成する。第2被覆絶縁層180については、液体原料または樹脂材の塗布および紫外線照射を通じて形成する。つまり、CVDやPVDなどの気相蒸着法を利用せず比較的低温の条件(例えば、100℃程度の温度条件)で第2被覆絶縁層180を形成する。具体的には、液体原料として例えばシラザン、シリコーン等を含んで成るガラス原料を用意し、その液体原料をスピンコートまたはスプレーコートなどによって被覆無機層170に塗布、乾燥して第2被覆絶縁層の前駆体を形成する。次いで、窒素を含む環境雰囲気において、第2被覆絶縁層の前駆体をUV照射に付すことによって、第2被覆絶縁層180を得ることができる。又、樹脂材として、例えば絶縁性樹脂材(エポキシ系樹脂材、ポリイミド系樹脂材等の熱硬化性樹脂材)を用意し、その樹脂材をスピンコートまたはスプレーコートなどによって被覆無機層170に塗布、乾燥加熱、硬化して第2被覆絶縁層180を得ることができる。
【0097】
以上のような工程を経ることによって、基板上の固体電池が被覆部で覆われたパッケージ品を得ることができる。つまり、本発明に係る「固体電池パッケージ」を最終的に得ることができる。
【0098】
なお、上記では、被覆部150が固体電池100を覆う形態について触れたが、固体電池100が被覆部150によって大きく覆われた形態を有していてもよい。例えば、基板200上の固体電池100を包む被覆絶縁層160上に設けられた被覆無機層170と被覆無機層170を覆う第2被覆絶縁層180が基板200の下側主面にまで及んでいてよい(
図6参照)。このような形態の場合、水分透過(外部から固体電池積層体へと至るような水分透過)がより好適に防止された固体電池パッケージがもたらされ得る。なお、被覆無機層170は、少なくとも2層から成る複数層構造として設けることもできる。かかる複数層構造は、特に異種材間に限らず、同種材間であってもよい。このような複数層構造の被覆無機層が設けられる場合、固体電池のための水蒸気バリアをより好適に構成し易い。
【0099】
なお、好ましくは、水蒸気バリア層を基板に対して形成しておいてよい。つまり、基板と固体電池を組み合わせるパッケージ化に先立って基板に水蒸気バリアを形成しておいてよい。
【0100】
水蒸気バリア層は、所望のバリア層を形成できるのであれば、特に制限はない。例えば「Si-O結合およびSi-N結合を有する水蒸気バリア層」の場合、好ましくは、液体原料の塗布および紫外線照射を通じて形成する。つまり、CVDやPVDなどの気相蒸着法を利用せず比較的低温の条件(例えば、100℃程度の温度条件)で水蒸気バリア層を形成する。具体的には、液体原料として例えばシラザンを含んで成る原料を用意し、その液体原料をスピンコートまたはスプレーコートなどによって基板に塗布、乾燥してバリア前駆体を形成する。次いで、窒素を含む環境雰囲気において、バリア前駆体をUV照射に付すことによって、「Si-O結合およびSi-N結合を有する水蒸気バリア層」を得ることができる。
【0101】
なお、基板電極層と固体電池の端面電極との接合箇所には水蒸気バリア層が存在しないように、その箇所のバリア層を局所除去することが好ましい。あるいは、接合箇所に水蒸気バリア層が形成されないようにマスクを利用してもよい。つまり、接合箇所となる領域にマスクを施して水蒸気バリア層を全体的に形成し、その後にマスクを除してもよい。
【0102】
基板の主面にレジスト層を設ける場合、レジスト層上に水蒸気バリア層を形成してよい。この際、上述したように、固体電池100との接合領域を除くように水蒸気バリア層を形成することが好ましい。つまり、基板の基板電極層210が露出することになるようにレジスト層および水蒸気バリア層が形成された基板200を用意することが好ましい。
【0103】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
【0104】
なお、本発明は、固体電池パッケージに関するが、かかるパッケージがその基板と別個の外部基板に実装されたまたはソケットに挿入された電子デバイスとして供されてもよい。つまり、固体電池パッケージの基板は固体電池の外部端子のための端子基板となり得るところ、かかる端子基板を介して、固体電池パッケージが例えばプリント配線板などの外部基板(即ち、2次基板)に表面実装されていてよく、そのような電子デバイスとして固体電池パッケージが供されていてもよい。
【0105】
本開示の固体電池パッケージの態様は、以下のとおりである。
<1>
基板と、前記基板上の固体電池と、前記固体電池を覆う第1被覆絶縁層と、前記第1被覆絶縁層を覆いかつ導電性を有する被覆無機層と、前記被覆無機層の少なくとも一部を覆う第2被覆絶縁層とを備える、固体電池パッケージ。
<2>
前記第2被覆絶縁層が固体電池パッケージの最外層である、<1>に記載の固体電池パッケージ。
<3>
前記第2被覆絶縁層が、少なくとも、周縁の電子部材と対向する部分に位置づけられる、<1>または<2>に記載の固体電池パッケージ。
<4>
前記第2被覆絶縁層が固体電池パッケージの外側側面の少なくとも一部をなす、<1>~<3>のいずれかに記載の固体電池パッケージ。
<5>
固体電池パッケージの外側側面において、前記第2被覆絶縁層が下方に位置し、前記被覆無機層が上方に位置する、<1>~<4>のいずれかに記載の固体電池パッケージ。
<6>
前記第2被覆絶縁層は、前記外側側面の最下端部分から上方へと向かって延在する、<1>~<5>のいずれかに記載の固体電池パッケージ。
<7>
前記第2被覆絶縁層が各外側側面に位置づけられる、<4>~<6>のいずれかに記載の固体電池パッケージ。
<8>
前記被覆無機層が前記基板の側面を覆い、前記第2被覆絶縁層が少なくとも前記基板の側面を覆う前記被覆無機層を覆う、<1>~<7>のいずれかに記載の固体電池パッケージ。
<9>
前記被覆無機層が前記基板の側面に連続する底面の一部を覆い、前記第2被覆絶縁層が前記基板の側面に連続する底面の一部を覆う前記被覆無機層を覆う、<8>に記載の固体電池パッケージ。
<10>
前記第2被覆絶縁層が前記被覆無機層の全体を覆う、<1>~<3>のいずれかに記載の固体電池パッケージ。
<11>
前記被覆無機層が局所的に外部に露出する、<1>~<9>のいずれかに記載の固体電池パッケージ。
<12>
前記被覆無機層が、周縁の前記電子部材と対向しない部分にて部分的に露出する、<3>に記載の固体電池パッケージ。
<13>
前記被覆無機層が金属めっき層である、<1>~<12>のいずれかに記載の固体電池パッケージ。
<14>
外部基板に接続可能な外部電極が前記基板の底面に露出している、<1>~<13>のいずれかに記載の固体電池パッケージ。
<15>
前記基板がプリント配線基板である、<1>~<14>のいずれかに記載の固体電池パッケージ。
<16>
外部基板と、前記外部基板に実装される<1>~<15>のいずれかに記載の固体電池パッケージと、を備える固体電池モジュール。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の固体電池パッケージは、電池使用または蓄電が想定される様々な分野に利用することができる。あくまでも例示にすぎないが、本発明の固体電池パッケージは、モバイル機器などが使用される電気・情報・通信分野(例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコンおよびデジタルカメラ、活動量計、アームコンピューター、電子ペーパーなどや、RFIDタグ、カード型電子マネー、スマートウォッチなどの小型電子機などを含む電気・電子機器分野あるいはモバイル機器分野)、家庭・小型産業用途(例えば、電動工具、ゴルフカート、家庭用・介護用・産業用ロボットの分野)、大型産業用途(例えば、フォークリフト、エレベーター、湾港クレーンの分野)、交通システム分野(例えば、ハイブリッド車、電気自動車、バス、電車、電動アシスト自転車、電動二輪車などの分野)、電力系統用途(例えば、各種発電、ロードコンディショナー、スマートグリッド、一般家庭設置型蓄電システムなどの分野)、医療用途(イヤホン補聴器などの医療用機器分野)、医薬用途(服用管理システムなどの分野)、ならびに、IoT分野、宇宙・深海用途(例えば、宇宙探査機、潜水調査船などの分野)などに利用することができる。
【符号の説明】
【0107】
100 固体電池
110 正極層
120 負極層
130 固体電解質
140 端面電極
140A 正極側の端面電極
140B 負極側の端面電極
150 被覆部
150X パッケージ外装部分
160 被覆絶縁層
170 被覆無機層
180、180I~180IV 第2被覆絶縁層
200 基板
210 基板電極層(基板上側)
210A 基板正極層
210B 基板負極層
220 実装側基板電極層(基板下側)
220A 実装側基板正極層
220B 実装側基板負極層
230 基板の上側主面
240 基板の下側主面
250 基板の側面
400 レジスト層
500 パッケージの外側側面
510 パッケージの外側側面の最下端部分
600 接合部材
600’ 接合部材の前駆体
1000、1000I~1000IV 固体電池パッケージ
2000 固体電池パッケージ周縁の電子部材