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特開2023-180886自律型受光移動装置及び自律型受光移動システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180886
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】自律型受光移動装置及び自律型受光移動システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
A01G7/00 603
A01G7/00 601A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094555
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 隆
(72)【発明者】
【氏名】竹川 秀人
(72)【発明者】
【氏名】中居 葉子
(72)【発明者】
【氏名】山本 正美
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 正宜
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022DA01
2B022DA19
(57)【要約】
【課題】室内における日向の領域を適切に推定し、テーブルや椅子等が設置されている日常的な室内空間において自律的に移動する自律型受光移動装置を提供する。
【解決手段】設置された空間内を自律的に移動するための移動手段22と、空間の日の出日の入時刻及び太陽の方位を取得する日の出日の入時刻・方位情報取得部30と、を備え、移動手段22を制御することによって現在時刻における太陽の方位に基づき移動する方位の窓を決定し、その方位に向けて自律的に移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間内を自律的に移動するための移動手段と、
前記空間の日の出日の入時刻及び太陽の方位を取得する日の出日の入時刻・方位情報取得部と、
を備え、
前記移動手段を制御することによって現在時刻における前記太陽の方位に基づき移動する方位の窓を決定し、その方位に向けて自律的に移動することを特徴とする自律型受光移動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自律型受光移動装置であって、
前記空間内の物体との距離を取得する距離情報取得部と、
前記物体を検知する撮像部と、
を備え、
前記距離情報取得部で取得された距離に基づいて前記空間内の地図情報を作成し、前記地図情報に前記撮像部で検知した物体の位置情報を登録し、前記地図情報を用いて自律的に移動することを特徴とする自律型受光移動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の自律型受光移動装置であって、
SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)により前記地図情報を作成することを特徴とする自律型受光移動装置。
【請求項4】
請求項2に記載の自律型受光移動装置であって、
前記空間における物体の方位を取得する方位情報取得部を備え、
前記方位情報取得部で取得された方位に基づいて前記撮像部で検知された窓の方位を決定し、当該窓の方位を前記地図情報に登録し、前記地図情報を用いて移動する方位の窓を決定することを特徴とする自律型受光移動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自律型受光移動装置であって、
前記空間内の照度を取得する照度情報取得部を備え、
前記照度情報取得部で取得された照度に基づいて前記撮像部で検知された物体を発光体と特定し、前記方位情報取得部で取得された方位に基づいて前記発光体の方位を前記地図情報に登録し、現在時刻における前記太陽の方位に基づいて前記発光体の方位へ自律的に移動することを特徴とする自律型受光移動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の自律型受光移動装置であって、
前記窓の方位における受光量が所定値より低い場合は、前記発光体へ自動的に移動することを特徴とする自律型受光移動装置。
【請求項7】
請求項1に記載の自律型受光移動装置であって、
植物又は光触媒体を備えることを特徴とする自律型受光移動装置。
【請求項8】
請求項1に記載の自律型受光移動装置と、
前記窓から入射する光の強度を調整するための調光体と、を備え、
前記調光体を制御することによって、前記窓から入射する光の強度を制御することを特徴とする自律型受光移動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律型受光移動装置及び自律型受光移動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
植物工場や自然環境の農場現場等において複数の植物の成長を同時に管理する際に、植物同士の衝突を回避させながら、植物毎の状態に応じた最適な環境下へ各植物を移動させ、植物の成長を管理する植物栽培方法及び植物栽培システムが開示されている(特許文献1)。当該技術では、照度情報、二酸化炭素濃度情報、水分量情報、温度情報、湿度情報及び栽培環境内の障害物情報からなる群から選択される少なくとも1以上の情報に応じて植物を移動させる領域を設定するために人工ポテンシャル法が適用されている。
【0003】
また、室内で植物を好適に栽培するための植物栽培装置が開示されている(特許文献2)。本装置は、植物の設置が可能であり、バッテリモジュールからの電力供給を受ける植物栽培装置であって、照射される日光の照度を計測する照度センサと、日陰から日向へ移動した際の照度センサよって取得された日光の照度に基づいて照度が強いほど長い照射時間を設定する照射時間設定手段と、設定された照射時間経過後に日向から日陰へと移動制御する移動制御手段と、を備える。また、予め学習された部屋内の窓の位置と、タイマから取得される時刻情報とを参照して、日向の位置を予測して移動するようにしてもよいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-242777号公報
【特許文献2】特開2016-59304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、人工ポテンシャル法では、移動させる領域を求める際に局所最小解に嵌り、植物の移動が停止してしまう可能性がある。例えば、日常的な室内空間に適用する場合、テーブルや椅子などの障害物の大きさや設置場所によって日向に到達できないおそれがある。
【0006】
また、タイマから取得される時刻情報と部屋内の窓の位置とを参照して日向の領域を予測して植物を室内の日向の領域に移動させる場合、時刻情報と窓の位置情報とからでは日向の領域を正確に予測することが難しいという課題がある。また、植物を日向の領域に移動させた後、照度の強さに応じて日陰の領域に移動させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様は、空間内を自律的に移動するための移動手段と、前記空間の日の出日の入時刻及び太陽の方位を取得する日の出日の入時刻・方位情報取得部と、を備え、前記移動手段を制御することによって現在時刻における前記太陽の方位に基づき移動する方位の窓を決定し、その方位に向けて自律的に移動することを特徴とする自律型受光移動装置である。
【0008】
ここで、前記空間内の物体との距離を取得する距離情報取得部と、前記物体を検知する撮像部と、を備え、前記距離情報取得部で取得された距離に基づいて前記空間内の地図情報を作成し、前記地図情報に前記撮像部で検知した物体の位置情報を登録し、前記地図情報を用いて自律的に移動することが好適である。
【0009】
また、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)により前記地図情報を作成することが好適である。
【0010】
また、前記空間における物体の方位を取得する方位情報取得部を備え、前記方位情報取得部で取得された方位に基づいて前記撮像部で検知された窓の方位を決定し、当該窓の方位を前記地図情報に登録し、前記地図情報を用いて移動する方位の窓を決定することが好適である。
【0011】
また、前記空間内の照度を取得する照度情報取得部を備え、前記照度情報取得部で取得された照度に基づいて前記撮像部で検知された物体を発光体と特定し、前記方位情報取得部で取得された方位に基づいて前記発光体の方位を前記地図情報に登録し、現在時刻における前記太陽の方位に基づいて前記発光体の方位へ自律的に移動することが好適である。
【0012】
また、前記窓の方位における受光量が所定値より低い場合は、前記発光体へ自動的に移動することが好適である。
【0013】
また、植物又は光触媒体を備えることが好適である。
【0014】
本発明の別の態様は、上記自律型受光移動装置と、前記窓から入射する光の強度を調整するための調光体と、を備え、前記調光体を制御することによって、前記窓から入射する光の強度を制御することを特徴とする自律型受光移動システムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、テーブルや椅子等が設置されている日常的な室内空間において日向の領域を適切に推定し、当該日向の領域に自律的に移動する自律型受光移動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態における自律型受光移動装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態における自律型受光移動システムの制御系の構成を示す図である。
図3】本発明の実施の形態における自律型受光移動装置が置かれた環境の例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態における太陽光の方位を推定する太陽光方位推定方法を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態における地図情報作成方法を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施の形態における移動制御方法を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態における自律移動制御処理を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施の形態における自律移動制御処理を示すフローチャートである。
図9】本発明の変形例における自律型受光移動装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<自律型受光移動装置の構成>
本発明の実施の形態における自律型受光移動装置100は、図1に示すように、植物10、撮像部12、方位情報取得部14、照度情報取得部16、通信部18、距離情報取得部20、移動手段22及び制御部24を含んで構成される。図2は、自律型受光移動装置100を含む自律型受光移動システムの制御系を示すブロック図を示す。図2に示すように、自律型受光移動装置100は、さらに入力部26、時刻情報取得部28、日の出日の入時刻・方位情報取得部30及び自己位置推定部32を含んで構成される。
【0018】
自律型受光移動装置100は、撮像部12、方位情報取得部14、照度情報取得部16で取得した情報に基づいて環境空間の地図情報を作成し、地図情報に基づいて植物10を所望の場所に自律的に移動させる。
【0019】
植物10は、自律型受光移動装置100が置かれた環境において生育する生体植物である。植物10は、被子植物や裸子植物等の光の照射を必要とする品種である。
【0020】
撮像部12は、自律型受光移動装置100の周囲を撮像する手段を含む。撮像部12は、既存のカメラ、立体カメラ及びデプスカメラを用いることができる。撮像部12で取得された画像は制御部24へ出力される。撮像部12で取得された画像から自律型受光移動装置100が置かれた空間に存在する人や物体等の障害物を検出することができる。なお、立体カメラ及びデプスカメラは、上記障害物との距離を取得することができる。撮像部12で取得された画像は、後述するように地図情報を作成するために用いられる。
【0021】
方位情報取得部14は、自律型受光移動装置100の移動における進行方向、地図情報における方位、自律型受光移動装置100が置かれた空間における窓、調光体、障害物の方位を方位情報として検知する。方位情報取得部14は、例えば、方位センサ(地磁気センサ)によって自律型受光移動装置100の現在の位置に対して窓、調光体、障害物が東西南北等のどの方位にあるか検知する。方位情報取得部14で取得された方位情報は制御部24へ出力される。
【0022】
照度情報取得部16は、自律型受光移動装置100が置かれた環境下における光の照度を検知する手段を含む。照度情報取得部16は、既存の照度センサを用いることができる。照度情報取得部16は、植物10の育成に必要な波長帯域の光の照度を検知できることが好適である。照度情報取得部16で検知された照度情報は制御部24へ出力される。
【0023】
方位情報取得部14において取得された方位情報と照度情報取得部16において取得された照度情報とを組み合わせることによって、自律型受光移動装置100が置かれた空間の状況を示す地図情報の各方位における光の照度を検知して記憶することができる。
【0024】
なお、本実施の形態における自律型受光移動装置100では、方位情報取得部14と照度情報取得部16とを別々の手段としたが、これらを1つに纏めて方位・照度情報取得部としてもよい。
【0025】
通信部18は、調光体、外部送信機及び外部クラウド等の外部装置と情報通信するための手段を備える。通信部18は、例えば、インターネット、LAN等の情報通信網を通じて情報通信する手段とすることができる。通信部18は、有線通信であってもよいし、赤外線、Wi-Fi及びBleutooth(登録商標)等の無線通信のいずれであってもよい。
【0026】
距離情報取得部20は、自律型受光移動装置100が置かれた空間における人、物体等の障害物と自律型受光移動装置100との距離を測定する。距離情報取得部20は、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、ライダ、デプスカメラ、ステレオカメラとされる。距離情報取得部20は、測定によって得られた障害物との距離は制御部24へ出力され、地図情報を作成するために用いられる。
【0027】
移動手段22は、自律型受光移動装置100を移動させるための手段を含む。本実施の形態では、移動手段22は、車輪とされる。ただし、移動手段22は、特に限定されるものではなく、自律型受光移動装置100を平面的又は立体的に移動させることができればよい。移動手段22は、制御部24によって制御されて、自律型受光移動装置100を移動させる。なお、移動手段22は、リモートコントローラ等の外部手段によって、ユーザからの指示に応じて自律型受光移動装置100を移動させる構成を備えてもよい。
【0028】
制御部24は、自律型受光移動装置100を統合的に制御する手段を含む。制御部24は、メモリ等の記憶手段24aにアクセス可能なコンピュータで構成することができる。制御部24は、撮像部12、方位情報取得部14、照度情報取得部16で取得した情報に基づいて環境空間の地図情報を作成する。制御部24は、当該地図情報を参照して、距離情報取得部20で取得した障害物等との距離を保ちつつ植物10が受光できる場所に自律型受光移動装置100が自律的に移動するように移動手段22を制御する。これによって、自律型受光移動装置100は自律的に移動する。
【0029】
入力部26は、制御部24に対して情報を入力するための手段を備える。入力部26は、例えば、タッチパネル、キーボード等の入力手段を含むことで構成される。入力部26によって、ユーザは自律型受光移動装置100の制御に必要な情報を制御部24へ入力することができる。入力部26は、例えば、制御部24へ緯度・経度、郵便番号等の情報を入力するために用いられる。
【0030】
時刻情報取得部28は、現在の時刻を取得して制御部24へ出力する。時刻情報取得部28で取得された時刻は、自律型受光移動装置100が置かれた環境下における日の出、日の入り、現在時刻における太陽の方位を含めた日照状況を把握するために用いられる。
【0031】
日の出日の入時刻・方位情報取得部30は、自律型受光移動装置100が置かれた環境における日の出の時刻及びその方位、日の入りの時刻及びその方位、現在時刻における太陽の方位の情報を取得して制御部24へ出力する。例えば、制御部24に入力された自律型受光移動装置100を設置した場所を特定する情報及び時刻情報取得部28で取得された時刻に基づいて自律型受光移動装置100が置かれた環境における日の出の時刻及びその方位、日の入りの時刻及びその方位、現在時刻における太陽の方位を取得する。日の出の時刻及びその方位、日の入りの時刻及びその方位、現在時刻における太陽の方位は、例えば、通信部18を通じてインターネットに接続して外部から取得するようにすればよい。
【0032】
なお、自律型受光移動装置100を設置した場所を特定する情報は、自律型受光移動装置100を設置した場所の緯度及び経度とすることができる。自律型受光移動装置100にGPSを搭載し、GPSを利用して自律型受光移動装置100を設置した場所の緯度及び経度を取得する。また、自律型受光移動装置100を設置した場所の郵便番号から自律型受光移動装置100を設置した場所の緯度及び経度を取得してもよい。また、通信部18を介してGPS等の位置特定手段を備えたスマートフォン等の情報端末に接続し、自律型受光移動装置100を設置した場所の緯度及び経度を取得してもよい。
【0033】
自己位置推定部32は、自律型受光移動装置100の自己位置の推定を行う。自己位置推定部32は、自律型受光移動装置100に搭載されたGPSにより自律型受光移動装置100の位置を示す緯度及び経度から地図情報上における自律型受光移動装置100の自己位置を推定する。
【0034】
制御部24は、自己位置推定部32において推定された自己位置及び撮像部12で取得された画像情報に基づいて自律型受光移動装置100が設置された空間内の地図情報を作成する。地図情報は、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)技術によって作成することができる。すなわち、移動手段22によって自律型受光移動装置100を移動させつつ、移動手段22の車輪の回転量や撮像部12の撮像情報等から空間内の基準点に対する自律型受光移動装置100の自己位置を推定すると同時に、距離情報取得部20によって得られた自律型受光移動装置100と障害物との距離に基づいて撮像部12によって撮像された障害物を地図情報にマッピングする。これによって、地図情報は、自律型受光移動装置100を移動させる際に障害となる障害物の配置の情報を含むものとなる。地図情報は、制御部24からアクセス可能な記憶手段24aに記憶される。
【0035】
なお、地図情報を作成する技術は、レーザスキャナ、単眼カメラ、ステレオカメラ、及び距離画像カメラを用いたSLAM技術が用いられるが、上記の態様に限定されるものではない。
【0036】
図3は、自律型受光移動装置100を設置した部屋の例を示す。図3の例では、テーブル40、椅子42、壁46等が障害物として地図情報に登録される。制御部24は、作成された地図情報に基づいて移動手段22を制御して、室内において障害物等を避けて自律型受光移動装置100を移動させる。
【0037】
部屋には窓50が設けられている。図3の例では、北側に設けられた北窓50a、東側に設けられた東窓50b、南東側に設けられた南東窓50c、南側に設けられた南窓50d、南西側に設けられた南西窓50e、西側に設けられた西窓50fが設けられている。撮像部12で取得された画像及び方位情報取得部14で取得された方位情報に基づいて部屋に設けられた窓50(北窓50a,東窓50b,南東窓50c,南窓50d,南西窓50e,西窓50f)の方位を決定し、当該窓50の方位が地図情報に登録される。制御部24は、時刻情報取得部28で取得された現在の時刻に基づいて日の出日の入時刻・方位情報取得部30で太陽の方位を推定し、当該方位に位置する窓50に自律型受光移動装置100を自律的に移動させる。
【0038】
また、部屋には人工光を発する発光体52が設けられている。図3の例では、部屋の北西側の隅に給電付LED発光体52aが設けられている。照度情報取得部16で取得された照度情報に基づいて撮像部12で取得された画像に含まれる物体を発光体52(給電付LED発光体52a)として特定し、方位情報取得部14で取得された方位情報に基づいて当該発光体52の方位が地図情報に登録される。制御部24は、照度情報取得部16で取得された照度情報に基づいて、太陽光による受光量が所定値より低い場合に発光体52に自律型受光移動装置100を自律的に移動させる。
【0039】
なお、本実施の形態では、発光体52の一例として給電付LED発光体52aを配置した構成としたが、天井吊り下げLED発光体、スタンド型LED発光体、蛍光灯、白熱灯等の植物10の生育に有効な波長領域の光を発する手段を備えるものであればよい。
【0040】
また、自律型受光移動装置100に加えて、窓50から部屋に入射する光の強度を調整する調光体54を備えた自律型受光移動システムとしてもよい。図3の例では、北窓50aに対してブラインド型調光体54a、東窓50bに対してカーテン型調光体54b、南窓50dに対してロールスクリーン型調光体54d及び西窓50fに対してブラインド型調光体54fがそれぞれ設けられている。ブラインド型調光体54a,54fは、スラット(ルーバー)と呼ばれる帯状の板を複数備え、スラット(ルーバー)の角度や高さを調整することによって、北窓50a,西窓50fからの光の入射量を調整可能としたものである。カーテン型調光体54bは、主に布等の部材を吊り下げて、当該布の開く量を調整することによって、東窓50bからの光の入射量を調整可能としたものである。ロールスクリーン型調光体54dは、主に布やプラスチック等の部材を吊り下げて、当該部材をロール状に巻き取り・引き出しできるようにすることで、南窓50dからの光の入射量を調整可能としたものである。
【0041】
本実施の形態では、図2に示すように、発光体52や調光体54の各々に通信部34及び制御部36を設け、自律型受光移動装置100から制御信号を送信することによって発光体52及び調光体54を制御可能とする。自律型受光移動装置100の制御部24は、通信部18を介して発光体52及び調光体54を制御するための制御信号を送信する。発光体52及び調光体54の制御部36は、通信部34を介して制御信号を受信し、当該制御信号にしたがって発光体52における発光強度を調整し、調光体54による窓50からの光の入射量を調整する。
【0042】
自律型受光移動装置100の制御部24は、照度情報取得部16によって取得された照度情報に応じて発光体52の発光の強度を制御する。具体的には、例えば、発光体52の発光強度が弱く、発光強度(Lx)と発光時間の積で表される受光量が所定値より低い場合、発光体52の発光強度を現在より大きくするように制御することが好適である。また、例えば、発光体52の発光強度が強く、発光強度(Lx)と発光時間の積で表される受光量が所定値以上である場合、発光体52の発光強度を現在より小さくするように制御することが好適である。
【0043】
また、自律型受光移動装置100の制御部24は、照度情報取得部16によって取得された照度情報に応じて調光体54による窓50からの光の入射の強度を制御する。具体的には、窓50から入射する光の強度(Lx)と入射時間の積で表される入射強度が所定値より低い場合、調光体54を制御することによって窓50からの光の入射強度を現在より大きくするように制御することが好適である。また、入射する光の強度(Lx)と入射時間の積で表される入射強度が所定値以上である場合、調光体54を制御することによって窓50からの光の入射強度を現在より小さくするように制御することが好適である。
【0044】
<太陽光の方位推定処理>
図4は、太陽光の方位を推定する太陽光方位推定方法のフローチャートを示す。以下、図4を参照して、現在時刻における太陽光の方位を推定する方法を説明する。
【0045】
ステップS10では、自律型受光移動装置100が設置された場所の取得又は推定が行われる。制御部24は、GPSを用いて自律型受光移動装置100が設置された場所の緯度及び経度を取得、又は、自律型受光移動装置100が設置された場所の郵便番号に基づいて自律型受光移動装置100が設置された場所の緯度及び経度を推定する。
【0046】
ステップS12では、自律型受光移動装置100が設置された場所における日の出及び日の入の時刻の推定が行われる。制御部24は、ステップS10において推定された自律型受光移動装置100の設置場所の緯度及び経度に基づいて、当該緯度及び経度における日の出及び日の入の時刻を推定する。
【0047】
ステップS14では、現在時刻において太陽光が入射する方位の推定が行われる。制御部24は、ステップS12において推定された日の出・日の入の時刻に基づいて時刻情報取得部28において取得された現在時刻における太陽が位置する方位、すなわち太陽光が入射する方位を推定する。方位は、方位情報取得部14の方位センサによって取得することができる。
【0048】
<地図作成処理>
図5は、自律型受光移動装置100が設置された空間における地図情報を作成する地図作成方法のフローチャートを示す。以下、図5を参照して、地図作成方法について説明する。
【0049】
ステップS20では、自律型受光移動装置100を自律移動させる処理が行われる。制御部24は、移動手段22を制御することによって自律型受光移動装置100が設置された空間内において自律型受光移動装置100を自律的に移動させる。このとき、移動を開始する場所を基準点として、当該基準点に対する自律型受光移動装置100の相対的な位置(空間内の座標や方位)を自己位置として推定しながら自律移動を行う。
【0050】
ステップS22では、障害物、窓50、発光体52、及び調光体54等を検出する処理が行われる。自律型受光移動装置100を移動させつつ、距離情報取得部20によって空間内の障害物との距離を取得し、撮像部12によってテーブル40、椅子42、人44、壁46、窓50、調光体54、発光体52等の障害物を検出し、方位情報取得部14によって上記障害物の方位を取得する。制御部24は、上記SLAM技術を適用して、自律型受光移動装置100が配置された空間において検出された障害物の位置を特定して地図情報として登録する。
【0051】
なお、制御部24は、通信部18及び通信部34を介して発光体52及び調光体54と通信を行うことによって発光体52及び調光体54を検出するようにしてもよい。このとき、照度情報取得部16で取得された照度情報を利用することによって、撮像部12によって検知された物体のうち他の場所よりも照度が高い物体を窓50や発光体52として特定するようにしてもよい。また、方位情報取得部14で取得された方位情報を利用することによって、窓50、発光体52及び調光体54の方位を特定するようにしてもよい。例えば、自律型受光移動装置100を360°回転させ、その際に方位情報取得部14で取得された方位情報及び照度情報取得部16で取得された照度情報に基づいて所定の基準値以上の照度であった方位に窓50又は発光体52が配置されていると特定してもよい。
【0052】
ステップS24では、地図情報を保存する処理が行われる。制御部24は、ステップS22において作成された地図情報を記憶手段24aに記憶させる。
【0053】
<自律型受光移動装置の移動制御処理>
図6は、植物10が受光できるように自律型受光移動装置100を自律的に移動させる移動制御方法を示すフローチャートである。以下、図6を参照して、自律型受光移動装置100を自律的に移動させる処理について説明する。
【0054】
ステップS30では、地図情報が既に作成されて保存されているか否かが判定される。制御部24は、記憶手段24aに地図情報が記憶されていればステップS34に処理を移行させ、地図情報が記憶されていなければステップS32に処理を移行させる。ステップS32では、上記地図作成処理において説明した方法で自律型受光移動装置100が設置されている空間の地図情報を作成して記憶手段24aに記憶させる。その後、ステップS34に処理を移行させる。
【0055】
ステップS34では、記憶手段24aから地図情報が読み出される。制御部24は、記憶手段24aにアクセスし、自律型受光移動装置100が設置されている空間に対する地図情報を読み出す。
【0056】
ステップS36では、自律型受光移動装置100の自己位置が推定できるか否かが判定される。制御部24は、ステップS34において読み出した地図情報に基づいて、自律型受光移動装置100が置かれた位置、すなわち自己位置が推定できればステップS40に処理を移行させ、自己位置が推定できなければステップS38に処理を移行させる。ただし、自律移動を開始した初期において自己位置の推定の精度が一番低くなるので、初期においては自律型受光移動装置100を移動させて自己位置の推定を繰り返すようにしてもよい。これによって、自律型受光移動装置100の自己位置の推定が可能となる場合がある。ステップS38では、上記地図作成処理において説明した方法で自律型受光移動装置100が設置されている空間の地図情報を作成して更新する。作成された地図情報は記憶手段24aに記憶させる。その後、ステップS40に処理を移行させる。ステップS40では、自律型受光移動装置100の自己位置を推定する処理を行う。
【0057】
ステップS42では、地図情報に窓50の情報が含まれているか否かが判定される。制御部24は、地図情報に窓50の方位位置情報が含まれていればステップS44に処理を移行させ、地図情報に窓50の方位位置情報が含まれていなければステップS46に処理を移行させる。
【0058】
ステップS44では、地図情報に含まれる窓50の方位位置情報に基づいて自律型受光移動装置100を自律的に移動させる処理が行われる。当該ステップS44における処理は、図7に示す自律移動制御処理のフローチャートに沿って行われる。窓50の方位位置情報に基づいた自律型受光移動装置100の自律移動処理では、自律型受光移動装置100の自己位置及び現在時刻から日の出の時刻及び日の入の時刻、さらには現在の太陽の方位を推定し、当該推定に基づいて自律型受光移動装置100を自律移動させる制御を行う。
【0059】
具体的には、現在時刻における太陽の方位と窓50の方位に応じて受光する窓50を決定し、自律型受光移動装置100を自律移動させる制御を行う。すなわち、現在時刻における太陽の方位に基づいて太陽光が入射する窓50を特定し、当該窓50の近傍が日向の領域であるとして推定し、当該領域に自律型受光移動装置100を移動させる。本実施の形態では、太陽の方位に応じて、日の出方位から南東方位であるときの制御(ステップS50-1~S50-13)、南東方位から南中方位であるときの制御(ステップS52-1~S52-13)、南中方位から南西方位であるときの制御(ステップS54-1~S54-13)、南西方位から日の入方位であるときの制御(ステップS56-1~S56-13)、及び、日の入方位から日の出方位であるときの制御(ステップS58-1~S58-4)の5つに分けて自律型受光移動装置100の移動制御を行う。
【0060】
なお、南東方位は、日の出の方位と南中方位の中間の方位である。南中方位は、日の出の方位と日の入の方位の中間の方位である。南西方位は、南中方位と日の入の方位の中間の方位である。
【0061】
太陽の方位が日の出の方位から南東方位の場合(ステップS50-1)、窓50が南東方位にあるか否かを調べ(ステップS50-2)、窓50が南東方位にある場合には南東方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS50-3)。窓50が南東方位にない場合、窓50が東方位にあるか否かを調べ(ステップS50-4)、窓50が東方位にある場合には東方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS50-5)。窓50が東方位にない場合、窓50が南方位にあるか否かを調べ(ステップS50-6)、窓50が南方位にある場合には南方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS50-7)。窓50が南方位にない場合、窓50が南西方位にあるか否かを調べ(ステップS50-8)、窓50が南西方位にある場合には南西方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS50-9)。なお、いずれかの方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させた場合、当該窓50にブラインド型、カーテン型、ロールスクリーン型等の調光体54が設けられていれば、通信部18及び通信部34を介して制御部24から制御部36へ制御信号を送信することで窓50からの受光量を適切な値に調整する(ステップS50-10)。南西方位に窓50がない場合、地図情報に含まれている発光体52に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS50-11)。その後、受光量が十分であるか否かの判定が行われる(ステップS50-12)。照度情報取得部16によって受光した光の強度(Lx)を取得し、当該光の強度(Lx)と入射時間の積で表される受光量が所定値以上であれば十分な受光が行われたと判断する。受光量が所定値以上であれば受光を終了し、自律型受光移動装置100を所定の帰還場所に自律移動させる(ステップS58-5)。なお、受光量が所定値より低い場合、地図情報に含まれる発光体52に自律型受光移動装置100を自律移動させてさらに受光を行うこともできる(ステップS50-13)。
【0062】
太陽の方位が南東方位から南中方位の場合(ステップS52-1)、窓50が南方位にあるか否かを調べ(ステップS52-2)、窓50が南方位にある場合には南方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS52-3)。窓50が南方位にない場合、窓50が南東方位にあるか否かを調べ(ステップS52-4)、窓50が南東方位にある場合には南東方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS52-5)。窓50が南東方位にない場合、窓50が南西方位にあるか否かを調べ(ステップS52-6)、窓50が南西方位にある場合には南西方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS52-7)。窓50が南西方位にない場合、窓50が東方位にあるか否かを調べ(ステップS52-8)、窓50が東方位にある場合には東方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS52-9)。なお、いずれかの方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させた場合、当該窓50にブラインド型、カーテン型、ロールスクリーン型等の調光体54が設けられていれば、通信部18及び通信部34を介して制御部24から制御部36へ制御信号を送信することで窓50からの受光量を適切な値に調整する(ステップS52-10)。東方位に窓50がない場合、地図情報に含まれている発光体52に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS52-11)。その後、受光量が十分であるか否かの判定が行われる(ステップS52-12)。照度情報取得部16によって受光した光の強度(Lx)を取得し、当該光の強度(Lx)と入射時間の積で表される受光量が所定値以上であれば十分な受光が行われたと判断する。受光量が所定値以上であれば受光を終了し、自律型受光移動装置100を所定の帰還場所に自律移動させる(ステップS58-5)。なお、受光量が所定値より低い場合、地図情報に含まれる発光体52に自律型受光移動装置100を自律移動させてさらに受光を行うこともできる(ステップS52-13)。
【0063】
太陽の方位が南中方位から南西方位の場合(ステップS54-1)、窓50が南方位にあるか否かを調べ(ステップS54-2)、窓50が南方位にある場合には南方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS54-3)。窓50が南方位にない場合、窓50が南西方位にあるか否かを調べ(ステップS54-4)、窓50が南西方位にある場合には南西方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS54-5)。窓50が南西方位にない場合、窓50が西方位にあるか否かを調べ(ステップS54-6)、窓50が西方位にある場合には西方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS54-7)。窓50が西方位にない場合、窓50が南東方位にあるか否かを調べ(ステップS54-8)、窓50が南東方位にある場合には南東方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS54-9)。なお、いずれかの方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させた場合、当該窓50にブラインド型、カーテン型、ロールスクリーン型等の調光体54が設けられていれば、通信部18及び通信部34を介して制御部24から制御部36へ制御信号を送信することで窓50からの受光量を適切な値に調整する(ステップS54-10)。南東方位に窓50がない場合、地図情報に含まれている発光体52に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS54-11)。その後、受光量が十分であるか否かの判定が行われる(ステップS54-12)。照度情報取得部16によって受光した光の強度(Lx)を取得し、当該光の強度(Lx)と入射時間の積で表される受光量が所定値以上であれば十分な受光が行われたと判断する。受光量が所定値以上であれば受光を終了し、自律型受光移動装置100を所定の帰還場所に自律移動させる(ステップS58-5)。なお、受光量が所定値より低い場合、地図情報に含まれる発光体52に自律型受光移動装置100を自律移動させてさらに受光を行うこともできる(ステップS54-13)。
【0064】
太陽の方位が南西方位から日の入の方位の場合(ステップS56-1)、窓50が南西方位にあるか否かを調べ(ステップS56-2)、窓50が南西方位にある場合には南西方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS56-3)。窓50が南西方位にない場合、窓50が西方位にあるか否かを調べ(ステップS56-4)、窓50が西方位にある場合には西方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS56-5)。窓50が西方位にない場合、窓50が南方位にあるか否かを調べ(ステップS56-6)、窓50が南方位にある場合には南方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS56-7)。窓50が南方位にない場合、窓50が南東方位にあるか否かを調べ(ステップS56-8)、窓50が南東方位にある場合には南東方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS56-9)。なお、いずれかの方位の窓50に自律型受光移動装置100を自律移動させた場合、当該窓50にブラインド型、カーテン型、ロールスクリーン型等の調光体54が設けられていれば、通信部18及び通信部34を介して制御部24から制御部36へ制御信号を送信することで窓50からの受光量を適切な値に調整する(ステップS56-10)。南東方位に窓50がない場合、地図情報に含まれている発光体52に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS56-11)。その後、受光量が十分であるか否かの判定が行われる(ステップS56-12)。照度情報取得部16によって受光した光の強度(Lx)を取得し、当該光の強度(Lx)と入射時間の積で表される受光量が所定値以上であれば十分な受光が行われたと判断する。受光量が所定値以上であれば受光を終了し、自律型受光移動装置100を所定の帰還場所に自律移動させる(ステップS58-5)。なお、受光量が所定値より低い場合、地図情報に含まれる発光体52に自律型受光移動装置100を自律移動させてさらに受光を行うこともできる(ステップS56-13)。
【0065】
太陽の方位が日の入の方位から日の出の方位の場合(ステップS58-1)、受光量が十分であるか否かが判定される(ステップS58-2)。照度情報取得部16によって受光した光の強度(Lx)を取得し、当該光の強度(Lx)と入射時間の積で表される受光量が所定値以上であれば十分な受光が行われたと判断する。受光量が所定値以上であれば受光を終了し、自律型受光移動装置100を所定の帰還場所に自律移動させる(ステップS58-5)。受光量が所定値より低いと判定された場合、地図情報に含まれる発光体52に自律型受光移動装置100を自律移動させ(ステップS58-3)、受光量が所定値以上となるまで受光を行う(ステップS58-4)。受光量が所定値以上になれば、所定の帰還場所に自律型受光移動装置100を自律移動させる(ステップS58-5)。
【0066】
図6のステップS42において、地図情報に窓50の情報が含まれていない場合、ステップS46において窓50の方位位置情報に基づかずに自律型受光移動装置100を自律的に移動させる処理が行われる。当該ステップS46における処理は、図8に示す自律移動制御処理のフローチャートに沿って行われる。
【0067】
制御部24は、照度情報取得部16によって自律型受光移動装置100が置かれた空間において最大の照度を有する方位を検出し(ステップS60)、当該最大照度方位に自律型受光移動装置100を自律移動させて受光を行う(ステップS62)。その後、受光量が所定値以上であるか否かが判定される(ステップS64)。受光量が所定値以上であるなら受光を終了し、自律型受光移動装置100を所定の帰還場所に自律移動させる(ステップS66)。受光量が所定値より低いと判定された場合、地図情報に含まれる発光体52に自律型受光移動装置100を自律移動させ(ステップS68)、受光量が所定値以上となるまで受光を行う(ステップS64)。
【0068】
なお、所定の帰還場所に自律型受光移動装置100を充電するための充電器を設けておき、自律型受光移動装置100を当該帰還場所に移動させることによって自動的に充電が行われるようにしてもよい。この場合、自律型受光移動装置100の充電量が低下したときに自律型受光移動装置100を当該帰還場所に自律的に移動させるように制御してもよい。
【0069】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、室内における日向の領域を適切に推定し、テーブルや椅子等が設置されている日常的な室内空間において自律的に移動する自律型受光移動装置100を提供することができる。植物10への光の照射が強くなる位置へ自律型受光移動装置100が自律的に移動するので、植物10に対する光照射の効果を向上させ、植物10の育種を促進することができる。
【0070】
<変形例>
上記実施の形態では、自律型受光移動装置100は、受光の対象物を生体である植物10とした構成を備えたが、受光の対象物はこれに限定されるものではない。図9は、本発明の変形例における自律型受光移動装置102の構成を示す。
【0071】
自律型受光移動装置102は、光触媒装飾品48、撮像部12、方位情報取得部14、照度情報取得部16、通信部18、距離情報取得部20、移動手段22及び制御部24を含んで構成される。
【0072】
自律型受光移動装置102は、自律型受光移動装置100における植物10に代えて、光触媒装飾品48を備える。ただし、自律型受光移動装置102は、光触媒装飾品48に加えて、植物10を備える構成としてもよい。自律型受光移動装置102において光触媒装飾品48以外の構成は、自律型受光移動装置100と同様であるので、以下では光触媒装飾品48のみについて説明する。
【0073】
光触媒装飾品48は、光触媒によって有機物を分解するための部材を含む。光触媒装飾品48は、例えば、光触媒を表面に塗布した部材とすることができる。本実施の形態では、自律型受光移動装置102を使用した際の装飾性を高めるために、植物の形状をした人工観葉植物の表面に光触媒を塗布した光触媒装飾品48としている。
【0074】
光触媒は、自律型受光移動装置100が置かれた環境において有機物を分解する触媒である。光触媒は、これに限定されるものではないが、窒素を含有する酸化チタニウム(TiO)とすることが好適である。具体的には、光触媒は、周期表における8~11族の遷移金属及び亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)のうち1種類以上の担持金属の合計成分を8重量%以下含む窒素を含有する酸化チタン(TiO)であることが好適である。特に、鉄(Fe)、銅(Cu)及び銀(Ag)のうち1種類以上の担持金属の合計成分を8重量%以下含む窒素を含有する酸化チタニウム(TiO)であることが好適である。
【0075】
このような光触媒に光を照射することによって、自律型受光移動装置102が置かれた環境下における臭気の原因となる化学物質を光触媒の効果で分解することができる。臭気の原因となる化学物質は、特に限定されるものではないが、例えばアセトアルデヒド、アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、イソブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエン、スチレン、キシレン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸等が挙げられる。
【0076】
特に、自律型受光移動装置102では、光触媒装飾品48への光の照射が強くなる位置へ自律型受光移動装置102が自律的に移動するので、光触媒装飾品48の光触媒による化学物質の分解の効果を向上させることができる。これにより、自律型受光移動装置102が設置された環境を改善し、人の知的生産性の向上、リラックス度の向上、ストレス低減の効果を発揮することができる。
【0077】
[本発明の構成]
構成1:
空間内を自律的に移動するための移動手段と、
前記空間の日の出日の入時刻及び太陽の方位を取得する日の出日の入時刻・方位情報取得部と、
を備え、
前記移動手段を制御することによって現在時刻における前記太陽の方位に基づき移動する方位の窓を決定し、その方位に向けて自律的に移動することを特徴とする自律型受光移動装置。
構成2:
構成1に記載の自律型受光移動装置であって、
前記空間内の物体との距離を取得する距離情報取得部と、
前記物体を検知する撮像部と、
を備え、
前記距離情報取得部で取得された距離に基づいて前記空間内の地図情報を作成し、前記地図情報に前記撮像部で検知した物体の位置情報を登録し、前記地図情報を用いて自律的に移動することを特徴とする自律型受光移動装置。
構成3:
構成2に記載の自律型受光移動装置であって、
SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)により前記地図情報を作成することを特徴とする自律型受光移動装置。
構成4:
構成2又は3に記載の自律型受光移動装置であって、
前記空間における物体の方位を取得する方位情報取得部を備え、
前記方位情報取得部で取得された方位に基づいて前記撮像部で検知された窓の方位を決定し、当該窓の方位を前記地図情報に登録し、前記地図情報を用いて移動する方位の窓を決定することを特徴とする自律型受光移動装置。
構成5:
構成4に記載の自律型受光移動装置であって、
前記空間内の照度を取得する照度情報取得部を備え、
前記照度情報取得部で取得された照度に基づいて前記撮像部で検知された物体を発光体と特定し、前記方位情報取得部で取得された方位に基づいて前記発光体の方位を前記地図情報に登録し、現在時刻における前記太陽の方位に基づいて前記発光体の方位へ自律的に移動することを特徴とする自律型受光移動装置。
構成6:
構成5に記載の自律型受光移動装置であって、
前記窓の方位における受光量が所定値より低い場合は、前記発光体へ自動的に移動することを特徴とする自律型受光移動装置。
構成7:
構成1~6のいずれか1つに記載の自律型受光移動装置であって、
植物又は光触媒体を備えることを特徴とする自律型受光移動装置。
構成8:
構成1に記載の自律型受光移動装置と、
前記窓から入射する光の強度を調整するための調光体と、を備え、
前記調光体を制御することによって、前記窓から入射する光の強度を制御することを特徴とする自律型受光移動システム。
【符号の説明】
【0078】
10 植物、12 撮像部、14 方位情報取得部、16 照度情報取得部、18 通信部、20 距離情報取得部、22 移動手段、24 制御部、24a 記憶手段、26 入力部、28 時刻情報取得部、30 日の出日の入時刻・方位情報取得部、32 自己位置推定部、34 通信部、36 制御部、40 テーブル、42 椅子、44 人、46 壁、48 光触媒装飾品、50 窓、50a 北窓、50b 東窓、50c 南東窓、50d 南窓、50e 南西窓、50f 西窓、52 発光体、52a 給電付LED発光体、54 調光体、54a ブラインド型調光体、54b カーテン型調光体、54d ロールスクリーン型調光体、54f ブラインド型調光体、100 自律型受光移動装置、102 自律型受光移動装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9