(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180889
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】防草構造体およびその敷設方法
(51)【国際特許分類】
A01M 21/00 20060101AFI20231214BHJP
E01C 13/08 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
A01M21/00 Z
E01C13/08
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094563
(22)【出願日】2022-06-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】594177151
【氏名又は名称】株式会社大晃
(71)【出願人】
【識別番号】506416101
【氏名又は名称】株式会社M.I.T
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小▲崎▼ 國人
(72)【発明者】
【氏名】野間 たまき
(72)【発明者】
【氏名】小▲崎▼ 雪飛
【テーマコード(参考)】
2B121
2D051
【Fターム(参考)】
2B121BB27
2B121BB30
2B121CA51
2B121CA61
2D051AC12
2D051AF02
2D051AF15
2D051AG11
2D051HA01
2D051HA06
2D051HA10
(57)【要約】
【課題】地面に手軽に敷設されて雑草の生育を防止する防草構造体を提供する。
【解決手段】防草構造体10は、敷設面91Aに平行な面から立ち上がる複数の線状体12を有し、水硬性を有する粉末状の硬化剤15を複数の線状体12間の空間に保持する硬化剤保持部11と、複数の線状体12の各々の少なくとも一部121を覆い硬化剤保持部11と一体化する、硬化剤15が硬化した硬化層16と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷設面に平行な面から立ち上がる複数の線状体を有し、水硬性を有する粉末状の硬化剤を複数の前記線状体間の空間に保持する硬化剤保持部と、
前記複数の線状体の各々の少なくとも一部を覆い前記硬化剤保持部と一体化する、前記硬化剤が硬化した硬化層と、
を備える、防草構造体。
【請求項2】
前記硬化剤保持部は、前記線状体としての人工芝葉が基層に植設された人工芝を含み、
前記硬化層は、前記基層から表出する前記人工芝葉の根本部分を覆う、請求項1に記載の防草構造体。
【請求項3】
前記硬化剤保持部は、前記線状体で構成される立体網目が設けられた網目層を含み、
前記硬化層は、前記立体網目内の空間に充填される、請求項1に記載の防草構造体。
【請求項4】
前記硬化剤は、セメントまたは粉末状のシリカを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の防草構造体。
【請求項5】
前記シリカはケイ素含有植物に由来する、請求項4に記載の防草構造体。
【請求項6】
前記硬化剤保持部と前記敷設面との間に配置される柔軟層をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の防草構造体。
【請求項7】
前記柔軟層は5mm以上の厚さを有する、請求項6に記載の防草構造体。
【請求項8】
複数の線状体を有する硬化剤保持部を敷設面に配置する工程と、
複数の前記線状体間の空間に保持されるように、水硬性を有する粉末状の硬化剤を撒く工程と、
前記硬化剤に散水し、前記複数の線状体の各々の少なくとも一部を覆い前記硬化剤保持部と一体化する硬化層を形成する工程と、
を含む、防草構造体の敷設方法。
【請求項9】
前記硬化剤保持部を配置する工程は、前記線状体としての人工芝葉が基層に植設された人工芝を敷設面に配置することを含み、
前記硬化剤を撒く工程は、前記基層から表出する前記人工芝葉の根本部分を覆うように、前記硬化剤を撒くことを含み、
前記硬化層を形成する工程は、前記硬化剤に散水し、前記人工芝葉の根本部分を覆う硬化層を形成することを含む、請求項8に記載の防草構造体の敷設方法。
【請求項10】
前記硬化剤保持部を配置する工程は、前記線状体で構成される立体網目が設けられた網目層を敷設面に配置することを含み、
前記硬化剤を撒く工程は、前記立体網目内の空間を充填するように前記硬化剤を撒くことを含み、
前記硬化層を形成する工程は、前記硬化剤に散水し、前記立体網目内の空間に充填される硬化層を形成することを含む、請求項8に記載の防草構造体の敷設方法。
【請求項11】
前記敷設面と前記硬化剤保持部との間に柔軟層を配置する工程をさらに含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の防草構造体の敷設方法。
【請求項12】
固定具を用いて硬化剤保持部を前記敷設面に対して固定する工程をさらに含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の防草構造体の敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面に敷設されて雑草の生育を防止する構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では所有者の高齢化などを背景に、管理しきれない土地が増えてきている。例えば住宅地等の空地は、放置しておくと地面に雑草が生い茂る。雑草が生い茂る空地は、環境の美観を損ない、害虫の発生やごみの不法投棄、火災などを引き起こす原因となるおそれがある。住宅地に限らず、例えば鉄道の線路沿いや高速道路沿いや河川区域の空地や法面等に雑草が生い茂ると、美観が損なわれ好ましくない。空地の所有者や、鉄道および道路の維持管理者にとっては、草刈などの繁茂した雑草の処理に要する労力的および費用的な負担が発生する。
【0003】
地面に生える雑草の生育を抑制するために、これまでに様々な技術が提案されている。例えば地面にモルタルやコンクリート等を直接的に敷設することにより、雑草の生育を防止することがなされている。また例えば特許文献1には、遮光性を有する不織布を層構造に備える防草シートが開示されている。このような防草シートは、例えば釘等の固定具を打設することにより、平地や法面等の地面に直接的に敷設されている。
【0004】
また例えば特許文献2には人工芝構造体が開示されている。特許文献2の人工芝構造体では、基材層に人工芝葉(パイルまたは人工芝片とも呼ばれる)が設けられ、人工芝葉間に砂が撒設されることにより、雑草が人工芝構造体表面上へ成長してくることを抑制している。人工芝構造体が風で吹き飛ばされないように、通常、人工芝構造体には、重しとして機能する砂等の充填材が、人工芝葉間に敷き詰められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-41629号公報
【特許文献2】特開平11-107208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
地面にモルタルやコンクリート等を直接的に敷設することは労力的および費用的な負担が高く、近年では特許文献1に例示されるような防草シートが平地や法面等の地面に敷設されている。しかしながら防草シート単体では耐久性が低く、釘等が打設されて防草シートに穴が開けられて数年が経過すると、防草シートが地面から剥がれてしまい、最初の敷設から数年後に再び防草シートを敷設する必要に迫られる。雑草の繁茂を防止することができなくなるだけではなく、防草シートが剥がれることで美観も損なわれる。
【0007】
また例えば法面において雑草の繁茂を防止しようとして、特許文献2に例示するような人工芝構造体を法面に敷設すると、人工芝葉間に撒かれている充填材としての砂が流れ出してしまい防草効果が低減する。空地や法面等の地面に手軽に敷設することができ、比較的長期間にわたって雑草の生育を抑制することが求められている。
【0008】
本発明は、地面に手軽に敷設されて比較的長期間にわたって雑草の生育を抑制することができる防草構造体およびその敷設方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、例えば以下に示す態様を含む。
(項1)
敷設面に平行な面から立ち上がる複数の線状体を有し、水硬性を有する粉末状の硬化剤を複数の前記線状体間の空間に保持する硬化剤保持部と、
前記複数の線状体の各々の少なくとも一部を覆い前記硬化剤保持部と一体化する、前記硬化剤が硬化した硬化層と、
を備える、防草構造体。
項1に記載の防草構造体によると、地面が硬化層により遮光され、長期間にわたって雑草の生育が防止される。硬化層は粉末状の硬化剤を撒いて散水すれば形成することができ、防草構造体は、空地や法面等の地面に手軽に敷設することができる。硬化層は、複数の線状体の各々の少なくとも一部を覆い、硬化剤保持部と一体化している。防草構造体を敷設する際に、粉末状の硬化剤は複数の線状体間の空間に保持されているので、型枠等の準備も不要であり、法面での施工も手軽である。硬化層は重しとなり、防草構造体が風で吹き飛ばされたり、法面から防草構造体が滑り落ちることも防止される。
(項2)
前記硬化剤保持部は、前記線状体としての人工芝葉が基層に植設された人工芝を含み、
前記硬化層は、前記基層から表出する前記人工芝葉の根本部分を覆う、項1に記載の防草構造体。
項2に記載の防草構造体によると、地面が人工芝および硬化層により遮光され、長期間にわたって雑草の生育が防止される。硬化層は硬く硬化しており、人工芝を含む防草構造体は、人工芝単体と比較してもより高い防草効果が得られる。硬化層は、基層から表出する人工芝葉の根本部分を覆うように配置されていることから、人工芝自体の風合いは損なわれず、耐久性と美観とを両立することもできる。硬化剤は人工芝葉の根本部分に引っ掛かり法面を滑り落ちないから、硬化剤および硬化層の滑り落ちを防止する型枠等の準備も不要であり、法面での施工も手軽である。
(項3)
前記硬化剤保持部は、前記線状体で構成される立体網目が設けられた網目層を含み、
前記硬化層は、前記立体網目内の空間に充填される、項1に記載の防草構造体。
項3に記載の防草構造体によると、地面が硬化層により遮光され、長期間にわたって雑草の生育が防止される。立体網目が設けられた網目層は硬化層の補強材として機能するので、敷設に使用する粉末状の硬化剤の量を減らすことができる。これにより、硬化層による高い防草効果を維持したまま、空地等の地面に手軽に敷設することができる。
(項4)
前記硬化剤は、セメントまたは粉末状のシリカを含む、項1から3のいずれか一項に記載の防草構造体。
(項5)
前記シリカはケイ素含有植物に由来する、項4に記載の防草構造体。
項5に記載の防草構造体によると、環境に優しい硬化層を提供することができる。敷設箇所の地面を防草構造体を敷設する前の状態に復帰したい場合には、硬化層を粉砕すれば、硬化層の粉砕片はその場で土に還すことができる。
(項6)
前記硬化剤保持部と前記敷設面との間に配置される柔軟層をさらに備える、項1から5のいずれか一項に記載の防草構造体。
項6に記載の防草構造体によると、地面上の小石や瓦礫といった敷設面の凹凸を吸収し、硬化剤保持部が保護される。
(項7)
前記柔軟層は5mm以上の厚さを有する、項6に記載の防草構造体。
(項8)
複数の線状体を有する硬化剤保持部を敷設面に配置する工程と、
複数の前記線状体間の空間に保持されるように、水硬性を有する粉末状の硬化剤を撒く工程と、
前記硬化剤に散水し、前記複数の線状体の各々の少なくとも一部を覆い前記硬化剤保持部と一体化する硬化層を形成する工程と、を含む、防草構造体の敷設方法。
項8に記載の防草構造体の敷設方法によると、防草構造体を地面に手軽に敷設できるうえに、比較的長期間にわたって雑草の生育を抑制することができる。
(項9)
前記硬化剤保持部を配置する工程は、前記線状体としての人工芝葉が基層に植設された人工芝を敷設面に配置することを含み、
前記硬化剤を撒く工程は、前記基層から表出する前記人工芝葉の根本部分を覆うように、前記硬化剤を撒くことを含み、
前記硬化層を形成する工程は、前記硬化剤に散水し、前記人工芝葉の根本部分を覆う硬化層を形成することを含む、項8に記載の防草構造体の敷設方法。
(項10)
前記硬化剤保持部を配置する工程は、前記線状体で構成される立体網目が設けられた網目層を敷設面に配置することを含み、
前記硬化剤を撒く工程は、前記立体網目内の空間を充填するように前記硬化剤を撒くことを含み、
前記硬化層を形成する工程は、前記硬化剤に散水し、前記立体網目内の空間に充填される硬化層を形成することを含む、項8に記載の防草構造体の敷設方法。
(項11)
前記敷設面と前記硬化剤保持部との間に柔軟層を配置する工程をさらに含む、項8から10のいずれか一項に記載の防草構造体の敷設方法。
(項12)
固定具を用いて硬化剤保持部を前記敷設面に対して固定する工程をさらに含む、項8から11のいずれか一項に記載の防草構造体の敷設方法。
項12に記載の敷設方法によると、防草構造体の硬化剤保持部を敷設面に対して固定することができ、法面に敷設する場合に好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、地面に手軽に敷設されて雑草の生育を防止する防草構造体およびその敷設方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る防草構造体を地面に敷設した状態を示す断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る防草構造体を敷設する工程を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る防草構造体を敷設する工程を示す断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る防草構造体を敷設する工程を示す断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る防草構造体を敷設する工程を示す断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る防草構造体を敷設する工程を示す断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る防草構造体を敷設する工程を示す断面図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る防草構造体を地面に敷設した状態を示す断面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る防草構造体において用いる網目層の模式的な図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る防草構造体を法面に敷設する前の状態と敷設した後の状態とを示す図である。
【
図11】第1の実施形態に係る防草構造体を固定具を用いて地面に固定した状態を示す断面図である。
【
図12】第1の実施形態のさらに別の態様に係る防草構造体において用いる人工芝の斜視図である。
【
図13】第2の実施形態のさらに別の態様に係る防草構造体において用いる網目層の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明および図面において、同じ符号は同じまたは類似の構成要素を示すこととし、よって、同じまたは類似の構成要素に関する重複した説明を省略する。
【0013】
本発明は、防草構造体およびその敷設方法を提供する。防草構造体10,20は、敷設面91Aに平行な面から立ち上がる複数の線状体12,22を有し、水硬性を有する粉末状の硬化剤15を複数の線状体12,22間の空間に保持する硬化剤保持部11,21と、線状体12,22の少なくとも一部を覆い硬化剤保持部11,21と一体化する、硬化剤15が硬化した硬化層16と、を備える。防草構造体の敷設方法は、複数の線状体12,22を有する硬化剤保持部11,21を敷設面91Aに配置する工程と、複数の線状体12,22間の空間に保持されるように、水硬性を有する粉末状の硬化剤15を撒く工程と、硬化剤15に散水し、線状体12,22の少なくとも一部を覆い硬化剤保持部11,21と一体化する硬化層16を形成する工程と、を含む。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る防草構造体を地面に敷設した状態を示す断面図である。本発明に係る防草構造体の第1の実施形態では、線状体として機能する人工芝葉12が基層13に植設された人工芝11を、硬化剤保持部として用いる。
【0015】
第1の実施形態に係る防草構造体10は、基層13に人工芝葉12が植設された人工芝11と、基層13から表出する人工芝葉12の根本部分121を覆う硬化層16とを備える。水硬性を有する粉末状の硬化剤15は水と混合することにより硬化して硬化層16となり、硬化層16は人工芝11と一体化している。防草構造体10が地面91に敷設されることにより、地面91が人工芝11および硬化層16により遮光され、雑草の生育が防止される。
【0016】
人工芝11は、人工芝葉12と、基層13と、合成樹脂、合成ゴム等よりなる層(以下、「樹脂層」と総称する。)14とを備えている。人工芝葉12は、植設部分が基層13の裏側へ貫通し、表出部分が基層13の表側に突出するように植設されている。基層13は、合成樹脂または天然繊維を用いて、編物状にまたは織物状に織成されている。本実施形態では、基層13はシート状である。好ましくは基層13は合成樹脂製である。樹脂層14は、基層13の裏側に貫通する人工芝葉12の植設部分を、基層13の裏側から固定している。基層13および樹脂層14は可撓性を有している。人工芝11には、種々の既製の人工芝を使用することができる。なお、本実施形態では人工芝11は樹脂層14を備えているが、人工芝11において樹脂層14は任意の構成であり省略することができる。
【0017】
硬化層16は、粉末状の硬化剤15が水と混合することにより硬化している。硬化層16は、防草構造体10を敷設する際に、硬化前の粉末状の硬化剤15として撒かれている。硬化剤15は水硬性を有しており、基層13から表出する人工芝葉12の根本部分121に撒かれた後、散水により水と混合して硬化し、硬化層16となる。水硬性を有する材料としては、例えばセメント、石灰および石膏等が挙げられる。硬化剤15は、好ましくはセメントまたは粉末状のシリカを含んでいる。シリカとは、二酸化ケイ素によって構成される物質を意味する。
【0018】
本実施形態では、硬化剤15は、ケイ素含有植物に由来するシリカを含んでいる。ケイ素含有植物とは例えば稲の籾殻であり、ケイ素含有植物に由来するシリカとは、例えば稲の籾殻を燃焼させてできた灰である。籾殻の成分は、約75%が炭水化物であり約20%がシリカである。稲の籾殻に由来するシリカ(以下では籾殻シリカとも呼ぶ)は、植物構造の非晶質な多孔質材料であり空気を多く含んでいることから、断熱性を有していることが知られている。籾殻シリカは稲の籾殻に由来していることから、環境に優しい硬化剤15として好適である。防草構造体10を敷設した後、敷設箇所の地面91を防草構造体10を敷設する前の状態に復帰したい場合には、硬化層16を細かく粉砕すれば、硬化層16の粉砕片はその場で土に還すことができる。例示的には、硬化剤15には、籾殻シリカと砂とを含む土壌硬化剤(株式会社M.I.T社製、製品名:防草一番)を用いることができる。籾殻シリカは水硬性を有しており、セメントと同様に水と混合することにより硬化する。なお硬化剤15の比重は約2.0~約2.2であり、人工芝11に備えられる合成樹脂、合成ゴム等よりなる樹脂層14の比重(約1.0~約1.8)よりも大きい。
【0019】
他の実施形態では、硬化剤15はセメントを含んでいる。例えば硬化剤15がセメントと砂とを含む場合、硬化層16はモルタルを意味する。例えば硬化剤15がセメントと砂(細骨材)と砂利(粗骨材)とを含む場合、硬化層16はコンクリートを意味する。
【0020】
本実施形態では、柔軟層17が人工芝11の基層13と敷設面91Aとの間に配置される。柔軟層17は柔軟性を有しており、地面91上の小石や瓦礫といった敷設面91Aの凹凸を吸収して、人工芝11の基層13または樹脂層14の破れを防止する。好ましくは、柔軟層17は人工芝11の基層13または樹脂層14と接着されることが好ましい。好ましくは、柔軟層17は可撓性を有している。例示的には、柔軟層17にはフェルト(不織布)を用いることができる。柔軟層17の厚さは、好ましくは5mm以上であり、より好ましくは10mm以上である。本実施形態では、柔軟層17には、約10mmの厚さを有する目付が大きいリサイクル品のフェルトを用いる。
【0021】
図2~
図7は、本発明の第1の実施形態に係る防草構造体を敷設する工程を示す断面図である。
【0022】
第1の実施形態に係る防草構造体の敷設方法は、柔軟層17を敷設面91Aに配置する工程と、基層13に人工芝葉12が植設された人工芝11を柔軟層17上に配置する工程と、基層13から表出する人工芝葉12の根本部分121を覆うように、粉末状の硬化剤15を撒く工程と、硬化剤15に散水し、人工芝葉12の根本部分121を覆う硬化層16を形成する工程とを含む。
【0023】
以下、
図2~
図7を参照して、
図1に例示する防草構造体10を、
図2に示すような雑草99が繁茂した平地の地面91に敷設する方法を説明する。
【0024】
まず準備工程として、地面91に繁茂している雑草99を刈り取る。その後
図3に示すように、根切り工程として、敷設面91Aに枯草剤92を散布して雑草99の根を枯らす。例示的には、枯草剤92には、籾殻シリカと酸化ナトリウム(Na
2O)とを含む粉末状の枯草剤(株式会社M.I.T社製、製品名:枯草満足)を用いることができる。籾殻シリカと酸化ナトリウム(Na
2O)とを含むこのような粉末状の枯草剤は、pH値(水素イオン濃度指数)の変化によって雑草99を脱水状態にすることにより、雑草99の根を枯らす。具体的には、根切り工程において枯草剤92を土壌へ散布することにより、雑草99の根細胞の外側で濃度が上昇する。根細胞の内側よりも外側の方が濃度が高いので、水分は濃度の低い根から濃度の高い土壌側へと移動し、脱水状態となり雑草99の根が枯れる。
【0025】
次に、
図4に示すように敷設面91Aに柔軟層17を配置し、その後
図5に示すように、基層13に人工芝葉12が植設された人工芝11を柔軟層17上に配置する。これにより、柔軟層17は敷設面91Aと基層13との間に配置される。
図5中、基層13から表出する人工芝葉12の根本部分を符号121で示す。
【0026】
次に、
図6に示すように、基層13から表出する人工芝葉12の根本部分121を覆うように、粉末状の硬化剤15を撒く。例示的には、硬化剤15には、上記した籾殻シリカと砂とを含む土壌硬化剤を用い、1m
2当たり約15kg~約18kgの割合で人工芝11上に撒く。人工芝11上に撒かれた硬化剤15は、その後トンボ等の器具を用いて表面がならされて、基層13から表出する人工芝葉12の根本部分121を覆うように配置される。
【0027】
次に、
図7に示すように、符号93で示すように硬化剤15に散水し、人工芝葉12の根本部分121を覆う硬化層16を形成する。硬化剤15は、散水により水と混合して硬化し、硬化層16となる。
【0028】
なお参考として、人工芝11や柔軟層17を下地層として用いずに、粉末状の硬化剤15として上記した籾殻シリカと砂とを含む土壌硬化剤を敷設面91A(地面91)上に直接的に敷設して硬化層16を形成し、硬化層16単体として防草効果を得ようとする場合、敷設面91Aには1m2当たり約54kgの割合で硬化剤15が必要となる。
【0029】
以上、本発明の第1の実施形態によると、雑草の生育を防止する防草構造体およびその敷設方法を提供することができる。第1の実施形態に係る防草構造体10では、硬化層16が基層13の表面に形成されており、硬化層16はモルタルやコンクリート等のように水と混合することにより硬く硬化している。これにより、第1の実施形態に係る防草構造体10は、人工芝11単体を地面91にそのまま敷設した場合と比較しても、より高い防草効果が得られる。
【0030】
第1の実施形態に係る防草構造体10では、地面91が人工芝11および硬化層16により遮光されることにより、雑草99の生育が防止される。人工芝11の基層13には人工芝葉12が貫通しているので、光が基層13を通る可能性があり、充填材としての砂等が人工芝葉12間に撒かれていない場合には、地面91の遮光が不十分となる。第1の実施形態に係る防草構造体10では、硬化層16が基層13の表面に形成されており、人工芝葉12が貫通する基層13の穴を硬化層16が塞いでいるので、地面91の遮光性が向上し、より高い防草効果が得られる。さらに、万が一硬化層16に穴が生じた場合であっても、第1の実施形態に係る防草構造体10では、目付が大きいフェルトを用いて柔軟層17が設けられているので、光が地面91に届くことが抑制される。
【0031】
基層13の表面に形成された硬化層16は重しとなり、第1の実施形態に係る防草構造体10が風で吹き飛ばされることが防止される。硬化層16は、基層13から表出する人工芝葉12の根本部分121を覆うように配置されていることから、人工芝11自体の風合いは損なわれず、耐久性と美観とを両立することもできる。
【0032】
硬化層16は、硬化剤15と水とを先に混合して練り上げて、練り上げた混合物を、人工芝葉12の根本部分121を覆うように配置して形成するのではなく、粉末状の硬化剤15を撒いて人工芝葉12の根本部分121を覆うように配置し、その後散水により硬化剤15を硬化させることにより形成する。このように、硬化層16は粉末状の硬化剤15を撒いて散水すれば形成することができ、第1の実施形態に係る防草構造体10は、空地等の地面91に手軽に敷設することができる。
【0033】
また、第1の実施形態に係る防草構造体10は、硬化層16単体を地面91にそのまま敷設する場合と比較して、敷設に使用する粉末状の硬化剤15の量を1/3~1/4程度に減らすことができる。このように、第1の実施形態に係る防草構造体10は、空地等の地面91に手軽に敷設することができる。敷設に使用する硬化剤15の量が1/3~1/4程度に減少するので、第1の実施形態に係る防草構造体10は、後述するように法面に敷設する場合に好適である。
【0034】
[第2の実施形態]
図8は、本発明の第2の実施形態に係る防草構造体を地面に敷設した状態を示す断面図である。本発明に係る防草構造体の第2の実施形態では、線状体で構成される立体網目22が設けられた網目層21を、硬化剤保持部として用いる。立体網目22の第1の態様は、
図9に例示する、合成繊維製の糸(すなわち線状体)が編物状(または織物状)に編成されて構成されている、平面視でハニカム状の立体網目22である。立体網目22の第2の態様は、
図13に例示する、例えば直径が約0.1mm程度~約0.8mm程度の合成樹脂繊維(すなわち線状体)が絡み合わされて構成されている、略円錐形状の立体網目22である。以下において説明する第2の実施形態に係る防草構造体20の構成は、特に言及しない限り、第1の実施形態に係る防草構造体10と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0035】
第2の実施形態に係る防草構造体20は、線状体で構成される立体網目22が設けられた網目層21と、立体網目22内の空間に充填される硬化層16とを備える。硬化層16は網目層21と一体化している。防草構造体20が地面91に敷設されることにより、地面91が硬化層16により遮光され、雑草の生育が防止される。
【0036】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る防草構造体において用いる網目層の模式的な図である。本実施形態では、網目層21は、網目基層23と、網目基層23の表面に設けられた立体網目22との層構造を有している。網目基層23および立体網目22はいずれも、合成繊維製の糸(すなわち線状体)が編物状(または織物状)に編成されて構成されており、網目層21は可撓性を有している。例示的には、本実施形態において用いる網目層21には、ユニチカ株式会社製のキュービックアイ(登録商標)を使用することができる。
【0037】
図9(A)は網目層21の表側の平面図である。
図9(A)に示すように、網目基層23の表面に設けられた立体網目22はハニカム状の網目模様を有している。例示的には、立体網目22のハニカム状の網目の目開きは、図中に符号d1で示すものが約5mm~約10mmであり、符号d2で示すものが約12mm~約17mmであり、符号d3で示すものが約7mm~約12mmである。立体網目22の目開きは、粉末状の硬化剤15が流入可能であればよい。
【0038】
図9(B)は網目層21の裏側の平面図である。
図9(B)に示すように、網目基層23は網目模様を有している。例示的には、網目基層23の網目の目開きd4は、粉末状の硬化剤15が堆積しその位置に定着可能な約3mm程度である。
【0039】
図9(C)は網目層21の断面図である。
図9(C)に示すように、網目基層23の表面と立体網目22の上部表面22Aとの間には、弾性を有する複数の連結糸24(すなわち線状体)が介在している。連結糸24は、網目基層23の表面と立体網目22の上部表面22Aとを連結し、立体網目22が自立するように設けられている。複数の連結糸24で区画される立体網目22内の空間は、凹状の空間25になっている。平面視において、連結糸24は立体網目22の上部表面22Aから下方に向けて延伸しており、平面視において、凹状の空間25はハニカム状の形状を有している。例示的には、立体網目22の厚みは約5mmである。
【0040】
本実施形態では、網目層21は、
図8に例示するように立体網目22が敷設面91Aの側とは逆側を向くように配置されている。網目基層23の表面に立体網目22が設けられていることにより、ハニカム状の立体網目22内の凹状の空間25内には、粉末状の硬化剤15が堆積する。これにより、基布2の下方に位置する網目層21の凹状の空間25内に粉末状の硬化剤15が供給される。
【0041】
なお、立体網目22の網目模様はハニカム状(六角形状)に限らず、種々の形状とすることができる。立体網目22の網目模様は、例えば三角形状であってもよいし、多角形状であってもよい。網目模様は、規則性を有する模様に限らず、種々の形状が不規則に組み合わされた、規則性を有しない乱雑な模様であってもよい。
【0042】
第2の実施形態に係る防草構造体の敷設方法は、柔軟層17を敷設面91Aに配置する工程と、線状体で構成される立体網目22が設けられた網目層21を柔軟層17上に配置する工程と、立体網目22内の空間25を充填するように、粉末状の硬化剤を撒く工程と、硬化剤15に散水し、立体網目22内の空間25に充填される硬化層16を形成する工程とを含む。
【0043】
以上、本発明の第2の実施形態によると、雑草の生育を防止する防草構造体およびその敷設方法を提供することができる。第2の実施形態に係る防草構造体20では、硬化層16が立体網目22内の空間25を充填するように形成されており、硬化層16はモルタルやコンクリート等のように水と混合することにより硬く硬化している。立体網目22が設けられた網目層21は硬化層16の補強材として機能し、硬化層16単体を地面91にそのまま敷設する場合と比較して、敷設に使用する粉末状の硬化剤15の量を1/3~1/4程度に減らすことができる。これにより、第2の実施形態に係る防草構造体20は、硬化層16単体を地面91にそのまま敷設した場合と比較しても、硬化層16による高い防草効果を維持したまま、空地等の地面91に手軽に敷設することができる。
【0044】
硬化層16は粉末状の硬化剤15を撒いて散水すれば形成することができ、敷設に使用する硬化剤15の量も1/3~1/4程度に減少するので、第2の実施形態に係る防草構造体20は、空地等の地面91に手軽に敷設することができ、後述するように法面に敷設する場合に好適である。
【0045】
[その他の形態]
以上、本発明を特定の実施形態によって説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
【0046】
図10は、本発明の第1の実施形態に係る防草構造体を法面に敷設する前の状態と敷設した後の状態とを示す図である。
【0047】
上記した第1の実施形態では、防草構造体10は、
図2に例示するような平地の地面91に敷設されているが、防草構造体10を敷設する地面91は平地に限られない。防草構造体10は、
図10(A)に例示するような、雑草99が繁茂していた法面にも敷設することができる。
図10(A)に例示する法面の雑草99を刈り取った後に防草構造体10を敷設した状態を
図10(B)に示す。
【0048】
図10(B)に符号98で示すように、小石や瓦礫よりも大きめな、窪みや盛り上がり等の凹凸98が敷設面91Aとなる法面に生じている場合であっても、第1の実施形態に係る防草構造体10は敷設が可能である。防草構造体10を構成する人工芝11の基層13(および樹脂層14)は可撓性を有しているから、人工芝11は敷設面91Aの凹凸98に沿ってなだらかに変形が可能である。粉末状の硬化剤15は人工芝葉12の根本部分121を覆うように撒かれているから、硬化剤15は人工芝葉12の根本部分121に引っ掛かり法面を滑り落ちない。人工芝葉12の根本部分121に撒かれた硬化剤15は、その後散水により水と混合して硬化し硬化層16となるから、硬化剤15および硬化層16の滑り落ちを防止する型枠等の準備も不要であり、法面での施工も手軽である。第1の実施形態に係る防草構造体10は、上記したように硬化層16単体を地面91にそのまま敷設する場合と比較して、敷設に使用する硬化剤15の量が1/3~1/4程度に減少するので、このような法面に敷設する場合に好適である。なお、窪みや盛り上がり等の凹凸98は、例示するように敷設面91Aとなる法面にそのまま残しておくことができるし、勿論、事前に敷設面91Aを地均ししておくことで、凹凸98を解消または弱めておくこともできる。
【0049】
また、第1の実施形態に係る防草構造体10と同様に、第2の実施形態に係る防草構造体20も、法面に敷設する場合に好適である。防草構造体20を構成する網目層21の立体網目22および網目基層23は可撓性を有しているから、網目層21は敷設面91Aの凹凸98に沿ってなだらかに変形が可能である。
【0050】
上記した第1の実施形態では、防草構造体10は敷設面91Aに載置され、自重により配置が固定されているが、防草構造体10を敷設面91Aに固定する方法はこれに限定されない。例えば防草構造体10は、
図11に例示するように固定具19により人工芝11または柔軟層17が敷設面91Aすなわち地面91に固定されてもよい。この場合、防草構造体10の敷設方法は、固定具19を地面91に打設して、人工芝11または柔軟層17を敷設面91Aに対して固定する工程をさらに含むことができる。第1の実施形態に係る防草構造体10と同様に、第2の実施形態に係る防草構造体20も、固定具19により網目層21または柔軟層17が敷設面91Aすなわち地面91に固定されてもよい。硬化剤保持部は、第1の実施形態に係る防草構造体10の人工芝11と、第2の実施形態に係る防草構造体20の網目層21とを包含する表現であり、固定具19を用いて硬化剤保持部を敷設面91Aに対して固定することは、固定具19を用いて人工芝11または網目層21を敷設面91Aに対して直接的または間接的に固定することを意味する。またこの場合、硬化剤保持部と敷設面91Aとの間には、柔軟層17が存在していてもよい。
【0051】
人工芝11の基層13を貫通して固定具19を打設する場合、固定具19を打設する工程は、粉末状の硬化剤15を撒く工程の前に行うことが好ましい。これにより、固定具19の頭部19Aは硬化剤15(硬化層16)の内部に埋没され、硬化層16に穴が生じることで防草効果が低下することを防止する。または柔軟層17を貫通して固定具19を打設する場合、固定具19を打設する工程は、人工芝11を柔軟層17上に配置する工程の前に行うこともできる。固定具19には、例えば図示するようなU字状の釘19(ステープルとも呼ぶ)やスクリューねじ、犬釘等を用いることができる。固定具19は基層13や柔軟層17を押さえ付けることができる形状(例えば、図示する頭部19A)を有していればよい。固定具19は、防草構造体10を
図10に例示する法面に敷設する場合にも適用することができ好適である。
【0052】
上記した第1の実施形態では、防草構造体10は柔軟層17を備えているが、柔軟層17は任意の構成であり省略することができる。同様に、
図4に例示する、敷設面91Aに柔軟層17を配置する工程は省略することができ、敷設面91Aに人工芝11を直接的に配置することができる。第2の実施形態でも同様に、柔軟層17は任意の構成であり省略することができる。
【0053】
上記した第1の実施形態では、柔軟層17が人工芝11の基層13と敷設面91Aとの間に配置されているが、
図11に例示するような枯草層18が柔軟層17と敷設面91Aとの間にさらに配置されていてもよい。枯草層18の材料には、例えば上記した実施形態の準備工程において刈り取った雑草99を用いることができる。すなわち準備工程において刈り取った雑草99を、枯草剤92を散布した後の敷設面91Aに配置して、その後の敷設工程を施すことができる。枯草層18は、柔軟層17と同様の機能を有することができる。または、枯草層18の厚さを場所毎に変化させて起伏を設けることにより、見た目に自然なアンジュレーションを有するように防草構造体10を敷設することができる。第2の実施形態でも同様に、枯草層18が柔軟層17と敷設面91Aとの間にさらに配置されていてもよい。
【0054】
上記した第1の実施形態では、人工芝11の基層13はシート状であるが、基層13はシート状である必要は必ずしもない。例えば第1の実施形態のさらに別の態様に係る防草構造体10では、
図12に例示するように、人工芝11´は網目状の基層13´を備えていてもよい。例示する態様では、基層13´は、合成樹脂または天然繊維を用いて、網目状の模様を有するように構成されている。人工芝葉12は、植設部分が網目状の基層13´に植設されている。粉末状の硬化剤15は、網目状の基層13´から表出する人工芝葉12の根本部分121を覆うように撒かれて、その後、硬化剤15が散水により水と混合して硬化し、硬化層16となる。
【0055】
上記した第2の実施形態では、網目層21は立体網目22と網目基層23との層構造を有しているが、網目基層23は省略することができる。例えば第2の実施形態のさらに別の態様に係る防草構造体20では、
図13に例示するように、網目層21´は複数の立体網目22のみで構成することができる。例示する態様では、網目層21´を構成する複数の立体網目22の各々は、粉末状の硬化剤15が入り込むことが可能であり粉末状の硬化剤15を保持することが可能な空間25を画定している。網目層21´および立体網目22は、例えば直径が約0.1mm程度~約0.8mm程度の合成樹脂繊維(すなわち線状体)が絡み合わされて構成されており、保形性および弾力性を有している。粉末状の硬化剤15は、合成樹脂繊維(すなわち線状体)が絡み合わされて構成されている立体網目22内の空間25を充填するように撒かれて、空間25に保持される。その後、空間25内に位置する硬化剤15は散水により水と混合して硬化し、硬化層16となる。これにより、硬化層16は、硬化剤保持部として機能する網目層21´と一体化する。
【符号の説明】
【0056】
10,20 防草構造体
11 人工芝
12 人工芝葉
13 基層
14 樹脂層
15 硬化剤
16 硬化層
17 柔軟層
18 枯草層
19 固定具(ステープル)
21 網目層
22 立体網目
23 網目基層
24 連結糸
25 空間
91 地面
91A 敷設面
92 枯草剤
98 凹凸
99 雑草
【手続補正書】
【提出日】2022-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷設面に平行な面から立ち上がる複数の線状体を有し、水硬性を有する粉末状の硬化剤を複数の前記線状体間の空間に保持する硬化剤保持部と、
前記複数の線状体の各々の少なくとも一部を覆い前記硬化剤保持部と一体化する、前記硬化剤が硬化した硬化層と、
を備え、
前記硬化剤保持部は、前記線状体としての人工芝葉が基層に植設された人工芝を含み、
前記硬化層は、前記基層から表出する前記人工芝葉の根本部分を覆う、防草構造体。
【請求項2】
前記硬化剤は、セメントまたは粉末状のシリカを含む、請求項1に記載の防草構造体。
【請求項3】
前記シリカはケイ素含有植物に由来する、請求項2に記載の防草構造体。
【請求項4】
前記硬化剤保持部と前記敷設面との間に配置される柔軟層をさらに備える、請求項1に記載の防草構造体。
【請求項5】
前記柔軟層は5mm以上の厚さを有する、請求項4に記載の防草構造体。
【請求項6】
複数の線状体を有する硬化剤保持部を敷設面に配置する工程と、
複数の前記線状体間の空間に保持されるように、水硬性を有する粉末状の硬化剤を撒く工程と、
前記硬化剤に散水し、前記複数の線状体の各々の少なくとも一部を覆い前記硬化剤保持部と一体化する硬化層を形成する工程と、
を含み、
前記硬化剤保持部を配置する工程は、前記線状体としての人工芝葉が基層に植設された人工芝を敷設面に配置することを含み、
前記硬化剤を撒く工程は、前記基層から表出する前記人工芝葉の根本部分を覆うように、前記硬化剤を撒くことを含み、
前記硬化層を形成する工程は、前記硬化剤に散水し、前記人工芝葉の根本部分を覆う硬化層を形成することを含む、防草構造体の敷設方法。
【請求項7】
前記敷設面と前記硬化剤保持部との間に柔軟層を配置する工程をさらに含む、請求項6に記載の防草構造体の敷設方法。
【請求項8】
固定具を用いて硬化剤保持部を前記敷設面に対して固定する工程をさらに含む、請求項6に記載の防草構造体の敷設方法。