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特開2023-180904半導体装置及び半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180904
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/28 20060101AFI20231214BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20231214BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20231214BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20231214BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231214BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H01L21/28 301R
H01L21/28 301B
H01L21/90 D
H01L21/90 L
H01L27/11582
H01L27/11556
H01L29/78 371
H01L29/78 626A
H01L29/78 618B
H01L29/78 613B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094583
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】株柳 翔一
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤井 章輔
【テーマコード(参考)】
4M104
5F033
5F083
5F101
5F110
【Fターム(参考)】
4M104AA03
4M104BB04
4M104BB05
4M104BB06
4M104BB07
4M104BB09
4M104BB16
4M104BB34
4M104BB36
4M104DD08
5F033GG01
5F033JJ11
5F033JJ19
5F033PP15
5F033RR04
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP42
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA09
5F083HA02
5F083JA03
5F083JA05
5F083JA19
5F083JA37
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083LA12
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5F083MA16
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5F110CC09
5F110EE01
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5F110GG43
5F110HK01
5F110HK02
5F110HK03
5F110HK04
5F110HK08
5F110HK09
5F110HK33
5F110HK34
(57)【要約】
【課題】半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、第1導電体、第1酸化物半導体、第1絶縁体、第2導電体、第3導電体、及び第4導電体を備える。第1酸化物半導体は、一端が第1導電体と接し、第1導電体の表面と交差する第1方向に延びる。第1絶縁体は、第1酸化物半導体の側面を囲う。第2導電体は、第1酸化物半導体と共に第1絶縁体を挟む。第3導電体は、第1酸化物半導体の他端と接する。第4導電体は、第1方向と交差する第2方向に延び、且つ第1絶縁体の反対側において第2導電体と接する。第2導電体の材料は、第4導電体の材料よりも大きい仕事関数を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電体と、
一端が前記第1導電体と接し、前記第1導電体の表面と交差する第1方向に延びる第1酸化物半導体と、
前記第1酸化物半導体の側面を囲う第1絶縁体と、
前記第1酸化物半導体と共に前記第1絶縁体を挟む第2導電体と、
前記第1酸化物半導体の他端と接する第3導電体と、
前記第1方向と交差する第2方向に延び、且つ前記第1絶縁体の反対側において前記第2導電体と接する第4導電体と、
を備え、
前記第2導電体の材料は、前記第4導電体の材料よりも大きい仕事関数を有する、
半導体装置。
【請求項2】
前記第2導電体は、上面視で前記第1絶縁体の外周全体を囲う、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2導電体は、略均一な厚さで前記第1絶縁体を囲う、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第4導電体は、前記第2導電体よりも高い電気伝導度を有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2導電体は、Mo、Ni、Cu、Co、Se、TaC、Pd、Au、Ir、Pt、Re、RuO2、InSnO、SbSnO、WO、RhO、OsO、IrO、SrRuO、LaRhO、SrMoO、LaTiO、P型Si、及びP型Geの何れかを含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第4導電体は、W、Cu、Mo、Ru、Rh、Co、AlCu、NiAl、及びRuAlの何れかを含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2導電体は、4.8eVよりも大きい仕事関数を有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第4導電体は、上面視で前記第2導電体の外周全体を囲う部分を更に有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
第1導電体上に第1絶縁体、第2導電体、及び第2絶縁体を順に形成することと、
前記第1導電体の上面と、前記第1絶縁体、前記第2導電体、及び前記第2絶縁体の側面とが露出するホールを形成することと、
前記ホールから、前記第2導電体の一部をエッチングすることと、
前記エッチングされた部分に第3導電体を形成することと、
前記ホールに、犠牲部材を埋め込むことと、
前記第2絶縁体を除去し、前記第2導電体上に保護部材を塗布することと、
前記保護部材が塗布された領域及びその下方以外の部分において前記第2導電体をエッチングすることと、
前記第2導電体上に第3絶縁体を形成することと、
前記犠牲部材を除去した領域に酸化物半導体を含むピラーを形成することと、
を備え、
前記第3導電体は、前記ピラーの側面と接し、
前記第2導電体は、第1方向に延び、且つ前記ピラーの反対側において前記第3導電体と接し、
前記第3導電体の材料は、前記第2導電体の材料よりも大きい仕事関数を有する、
半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第3導電体は、上面視で前記ピラーの外周全体を囲う、
請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第3導電体は、Mo、Ni、Cu、Co、Se、TaC、Pd、Au、Ir、Pt、Re、RuO2、InSnO、SbSnO、WO、RhO、OsO、IrO、SrRuO、LaRhO、SrMoO、LaTiO、P型Si、及びP型Geの何れかを含む、
請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2導電体は、W、Cu、Mo、Ru、Rh、Co、AlCu、NiAl、及びRuAlの何れかを含む、
請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
第1導電体と、
一端が前記第1導電体と接し、前記第1導電体の表面と交差する第1方向に延びる第1酸化物半導体と、
前記第1酸化物半導体の側面を囲う第1絶縁体と、
前記第1方向と交差する第2方向に延び、前記第1酸化物半導体と共に前記第1絶縁体を挟む第2導電体と、
前記第1酸化物半導体の他端と接する第2酸化物半導体と、
前記第2酸化物半導体上の第3導電体と、
を備え、
前記第2酸化物半導体は、上面視で前記第1酸化物半導体よりも広く設けられる、
半導体装置。
【請求項14】
前記第2酸化物半導体及び前記第3導電体は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延びる、
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第2酸化物半導体と前記第1酸化物半導体との間に形成されるショットキー障壁は、前記第2酸化物半導体と前記第3導電体との間に形成されるショットキー障壁よりも小さい、
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1酸化物半導体は、前記第2酸化物半導体と同じ材料である、
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第1酸化物半導体は、In、Zn、Snのうち少なくとも1つを含む、
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第2酸化物半導体と前記第3導電体との間に、第4導電体を更に備え、
前記第3導電体はWを含み、
前記第4導電体は、ITO及び前記第1酸化物半導体とは異なる酸化物半導体の何れかを含む、
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第1酸化物半導体の上部は、前記第1酸化物半導体の下部と比較して太く、
前記第1酸化物半導体の上部の側面の延長上に、前記第1酸化物半導体の下部の側面が位置しない、
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記第2酸化物半導体は、前記第3導電体の底面及び側面に設けられる、
請求項13に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、様々な電子機器に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-109426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の性能を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1導電体、第1酸化物半導体、第1絶縁体、第2導電体、第3導電体、及び第4導電体を備える。第1酸化物半導体は、一端が第1導電体と接し、第1導電体の表面と交差する第1方向に延びる。第1絶縁体は、第1酸化物半導体の側面を囲う。第2導電体は、第1酸化物半導体と共に第1絶縁体を挟む。第3導電体は、第1酸化物半導体の他端と接する。第4導電体は、第1方向と交差する第2方向に延び、且つ第1絶縁体の反対側において第2導電体と接する。第2導電体の材料は、第4導電体の材料よりも大きい仕事関数を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置100の構成例である斜視図を示す。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体装置100の断面構造の一例を示す。
図3図3は、第1実施形態に係る半導体装置100の断面構造の一例である、図2のIII-III線に沿った断面図を示す。
図4図4は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造工程の一例であるフローチャートを示す。
図5図5は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例を示す。
図6図6は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例を示す。
図7図7は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例である、図6のVII-VII線に沿った断面図を示す。
図8図8は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例を示す。
図9図9は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例を示す。
図10図10は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例を示す。
図11図11は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例を示す。
図12図12は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例を示す。
図13図13は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の平面レイアウトの一例を示す。
図14図14は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例を示す。
図15図15は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例を示す。
図16図16は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例を示す。
図17図17は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例を示す。
図18図18は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例を示す。
図19図19は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例を示す。
図20図20は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例を示す。
図21図21は、第1実施形態の比較例に係る半導体装置100rにおける断面構造の一例を示す。
図22図22は、第1実施形態の比較例に係る半導体装置100rにおける断面構造の一例を示す。
図23図23は、第1実施形態の比較例に係る半導体装置100rにおける断面構造の一例を示す。
図24図24は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置100bにおける断面構造の一例を示す。
図25図25は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置100bの製造途中の平面レイアウトの一例を示す。
図26図26は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置100bの製造途中の断面構造の一例を示す。
図27図27は、第2実施形態に係る半導体装置200平面レイアウトの一例である平面図を示す。
図28図28は、第2実施形態に係る半導体装置200の断面構造の一例であり、図27のXXVIII-XXVIII線に沿った断面図を示す。
図29図29は、第2実施形態に係る半導体装置200の断面構造の一例であり、図27のXXIX-XXIX線に沿った断面図を示す。
図30図30は、第2実施形態に係る半導体装置200の製造工程の一例であるフローチャートを示す。
図31図31は、第2実施形態に係る半導体装置200の製造途中の断面構造の一例を示す。
図32図32は、第2実施形態に係る半導体装置200の製造途中の断面構造の一例を示す。
図33図33は、第2実施形態に係る半導体装置200の製造途中の断面構造の一例を示す。
図34図34は、第2実施形態に係る半導体装置200の製造途中の断面構造の一例を示す。
図35図35は、第2実施形態に係る半導体装置200の製造途中の断面構造の一例を示す。
図36図36は、第2実施形態に係る半導体装置200の製造途中の断面構造の一例である、図35のXXXVI-XXXVI線に沿った断面図を示す。
図37図37は、第2実施形態の比較例に係る半導体装置200r及び第2実施形態に係る半導体装置200の平面図を示す。
図38図38は、第2実施形態の第1変形例に係る半導体装置200bの断面構造の一例を示す。
図39図39は、第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置200cの断面構造の一例を示す。
図40図40は、第2実施形態の第3変形例に係る半導体装置200dの断面構造の一例を示す。
図41図41は、第2実施形態の第4変形例に係る半導体装置200eの断面構造の一例を示す。
図42図42は、第2実施形態の第4変形例に係る半導体装置200eの製造途中の断面構造の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に実施形態が図面を参照して記述される。以下の記述において、略同一の機能及び構成を有する構成要素は同一の参照符号を付され、繰返しの説明は省略される場合がある。略同一の機能及び構成を有する複数の構成要素が相互に区別されるために、参照符号の末尾にさらなる数字又は文字が付される場合がある。
【0008】
図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なり得る。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断されるべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、或る実施形態についての記述は全て、明示的に又は自明的に排除されない限り、別の実施形態の記述としても当てはまる。各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施形態の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定しない。
【0009】
本明細書において「実質的に同じ」「略同じ」「略均一」は、同じであることを意図されているものの、製造技術及び(又は)測定技術の限界に起因して完全に同一ではないとともに誤差を許容することを指す。
【0010】
[1]第1実施形態
以下では、第1実施形態に係る半導体装置100について説明される。
【0011】
[1-1]構成(構造)
以下では、第1実施形態に係る半導体装置100の構造の一例について説明される。尚、以下の説明では、X軸、Y軸、Z軸からなる直交座標系が使用される。以下の記述において、「下」との記述及びその派生語並びに関連語は、Z軸上のより小さい座標の位置を指し、「上」との記述及びその派生語並びに関連語は、Z軸上のより大きい座標の位置を指す。平面図には、図を見易くするためにハッチングが適宜付加されている。平面図に付加されたハッチングは、ハッチングが付加された構成要素の素材や特性とは必ずしも関連していない。断面図では、図を見易くするために絶縁体層(層間絶縁膜)、基板SU、配線、コンタクト等の構成要素が適宜省略されている。
【0012】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置100の構成例を示す斜視図である。半導体装置100は、図1に示されるように、基板SU、下部電極BE、上部電極TE、ゲート電極GE、及びピラーPIを備える。下部電極BEは、例えば基板SUの上方に設けられる。上部電極TEは、下部電極BEの上方に設けられる。ゲート電極GEは、下部電極BEと上部電極TEとの間に設けられる。ピラーPIは、例えばZ軸に沿って延びる柱状に設けられる。ピラーPIの側面は、ゲート電極GEに接している。ピラーPIの下端は下部電極BEに電気的に接続され、ピラーPIの上端は上部電極TEに電気的に接続される。
【0013】
半導体装置100は、トランジスタとして機能する。下部電極BE及び上部電極TEのそれぞれは、半導体装置100のソース電極又はドレイン電極として機能する。ゲート電極GEは、半導体装置100のゲート電極として機能する。ピラーPIは、半導体装置100の電流経路(チャネル)として機能する。このように、半導体装置100は、下部電極BEと上部電極TEとの間において、Z軸に沿って延びるピラーPIを介した電流が流れることから、縦型トランジスタと称される場合がある。
【0014】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置100の断面構造の一例を示す。半導体装置100は、図2に示されるように、導電体11~14、絶縁体15及び16、並びにピラーPIを含む。ここで、導電体11は前述の下部電極BEとして機能する。導電体12及び13は前述のゲート電極GEとして機能する。導電体14は前述の上部電極TEとして機能する。
【0015】
導電体11上には、絶縁体15が設けられる。絶縁体15上には、ゲート電極GE(導電体12及び13)が設けられる。導電体12及び13の詳細については後述される。ゲート電極GE上には、絶縁体16が設けられる。絶縁体16上には、導電体14が設けられる。導電体11及び14のそれぞれは、例えば銅(Cu)又はタングステン(W)を含む。絶縁体15及び16のそれぞれは、例えば酸化シリコン(SiO)を含む。
【0016】
導電体11と導電体14との間には、ピラーPIが設けられる。ピラーPIは、第1ゲート絶縁膜17、第2ゲート絶縁膜18、及び酸化物半導体19を含む。
【0017】
酸化物半導体19は、Z軸に沿って延伸し、ピラーPIの中央部に設けられる。酸化物半導体19は、例えば、円柱状に設けられる。酸化物半導体19の下端は、導電体11に接触する。酸化物半導体19の上端は、導電体14に接触する。酸化物半導体19は、例えば、酸化インジウム、酸化ガリウム、及び酸化亜鉛を含む。また、酸化物半導体19としては、インジウム、亜鉛、スズのうち少なくとも1つを含む酸化物(例えば、InO、InZnO、InSnO、SnO、ZnO、ZnSnO)が使用されてもよい。
【0018】
第1ゲート絶縁膜17は、例えば、酸化物半導体19の周囲を覆う。第1ゲート絶縁膜17は、例えば、ピラーPIにおいて円筒状に設けられる。第1ゲート絶縁膜17は、例えば酸化シリコン等の絶縁体を含む。
【0019】
第2ゲート絶縁膜18は、例えば、第1ゲート絶縁膜17の周囲を覆う。第2ゲート絶縁膜18は、例えば、ピラーPIにおいて円筒状に設けられる。第2ゲート絶縁膜18は、例えば窒化シリコン(SiN)等の絶縁体を含む。第2ゲート絶縁膜18は、第1ゲート絶縁膜17よりも薄く設けられる場合がある。第2ゲート絶縁膜18は、設計によっては設けられない場合がある。
【0020】
前述の通り、ゲート電極GEは、導電体12及び13を含む。導電体13は、絶縁体15及び16と第2ゲート絶縁膜18とが接触する部分を除いて、第2ゲート絶縁膜18の周囲を覆う。言い換えると、導電体13は、例えば、絶縁体15と絶縁体16との間の層において、第2ゲート絶縁膜18の周囲を覆う。導電体13は、例えば、ピラーPIの周囲において円筒状に設けられる。導電体13は、例えば、第1のゲート電極と称される場合がある。
【0021】
導電体12は、例えば、絶縁体15と絶縁体16との間の層において、導電体13と接する。導電体12は、例えば、X軸に沿って延びる。導電体12は、例えば、第2のゲート電極と称される場合がある。
【0022】
ここで、導電体13は、例えば、導電体12よりも仕事関数の大きい材料を含む。導電体13は、例えば、Mo、Ni、Cu、Co、Se、TaC、Pd、Au、Ir、Pt、Re、RuO2、InSnO、SbSnO、WO、RhO、OsO、IrO、SrRuO、LaRhO、SrMoO、LaTiO、P型Si、又はP型Geを含む。導電体13は、例えば、4.8eVよりも大きい仕事関数を有する。
【0023】
導電体12は、例えば、導電体13よりも電気伝導度の大きい材料を含む。導電体12は、例えば、W、Cu、Mo、Ru、Rh、Co、AlCu、NiAl、又はRuAlを含む。
【0024】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置100の断面構造の一例を示し、図2のIII-III線に沿った断面図である。より具体的には、図3は、基板SUの表面に平行且つゲート電極GEを含む層における半導体装置100の断面構造を示している。図3に示されるように、ゲート電極GEを含む断面において、酸化物半導体19は、ピラーPIの中央部に設けられる。第1ゲート絶縁膜17は、酸化物半導体19の側面を囲っている。言い換えると、酸化物半導体19は、例えば円筒状に設けられた第1ゲート絶縁膜17の内側に埋め込まれている。第2ゲート絶縁膜18は、第1ゲート絶縁膜17の側面を囲っている。
【0025】
導電体13は、第2ゲート絶縁膜18の側面を囲っている。言い換えると、導電体13は、+Z側から見たXY平面視(上面視)において第2ゲート絶縁膜18の側面を囲っている。前述の通り、導電体12は、X軸に沿って延伸し、導電体13に接する。
【0026】
このように、酸化物半導体19とゲート電極として機能する導電体12及び13との間は、第1ゲート絶縁膜17及び第2ゲート絶縁膜18によって絶縁されている。
【0027】
以上で説明された各メモリピラーMPにおいて、酸化物半導体19は、半導体装置100のチャネル(電流経路)として使用される。
【0028】
図2及び図3に示されるように、絶縁体15上には、ゲート電極GE、すなわち導電体12及び13が設けられている領域と設けられていない領域とがある。絶縁体15上のゲート電極GEが設けられていない領域には、絶縁体16が設けられる。絶縁体16の上面は、例えば、ゲート電極GEを有する領域とそうでない領域とで高さが揃っている。すなわち、絶縁体16は、ゲート電極GEを有する領域とそうでない領域とで厚さが異なる。
【0029】
[1-2]半導体装置100の製造方法
図4は、第1実施形態に係る半導体装置100の製造工程の一例を示すフローチャートである。図5図20のそれぞれは、第1実施形態に係る半導体装置100の製造途中の断面構造の一例である。図5図6図8図10図12図14図16図18、及び図20のそれぞれは、図2と同じ領域の断面を示す。図7図9図11図15図17、及び図19のそれぞれは、図3と同じ領域の断面を示す。以下に、図4を適宜参照して、第1実施形態に係る半導体装置100の形成に関する製造工程の一例について説明される。図4に示されるように、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法は、例えば、ステップS11~S19の処理を順に実行する。
【0030】
ステップS11の処理では、図5に示されるように、導電体121が形成される。具体的には、まず、基板SU(図示せず)の上方において、下部電極BEとして機能する導電体11が形成される。導電体11の形成には、例えばスパッタリングが使用される。
【0031】
次に、導電体11上に、絶縁体15、導電体121、及び絶縁体161が順に形成される。導電体121の形成には、例えばスパッタリングが使用される。絶縁体161は、例えば、絶縁体16が形成される予定の領域を含んだ領域に形成される。この後の処理が実行されることにより、導電体121の一部から、導電体12が形成される。すなわち、導電体121がエッチングされ、導電体12が形成される。
【0032】
ステップS12の処理では、図6及び図7に示されるように、ピラーPIが形成される予定の領域に、ホールHLが形成される。図7は、図6をZ軸に沿った+Z側から見た導電体121を含む層における半導体装置100の断面構造を示している。ホールHLは、例えばフォトリソグラフィと異方性エッチングとによって、絶縁体161の上面から導電体11の上面に達するように形成される。異方性エッチングとしては、例えばRIE(Reactive ion etching)が利用される。
【0033】
ステップS13の処理では、図8及び図9に示されるように、ゲート電極GEとして機能する導電体13が形成される。まず、導電体121の一部がリセスされる。具体的には、ホールHLを介してウェットエッチングが実行され、ホールHLの側面において露出した導電体121の一部が除去される。これにより、ホールHLの側面は、導電体121が一部除去された形状に加工される。
【0034】
次に、導電体121の一部が除去されたことにより生じた空間に、導電体13が埋め込まれる。このように、導電体121の一部を等方的にエッチングした空間に導電体13は埋め込まれる。このため、理想的には、導電体13の厚さは、略均一に形成される。“略均一”とは、製造ばらつきによる誤差を含む。
【0035】
ステップS14の処理では、図10及び図11に示されるように、犠牲部材50が埋め込まれる。ホールHLに犠牲部材50が埋め込まれる。犠牲部材50は、ピラーPIが形成される予定の領域に形成される。犠牲部材50は、例えばアモルファスシリコンである。
【0036】
ステップS15の処理では、図12及び図13に示されるように、レジスト51が塗布される。図13は、図12をZ軸に沿った+Z側から見たXY平面図である。まず、絶縁体161が除去される。次に、例えばフォトリソグラフィによって、導電体121の内、導電体12(ゲート電極)が形成される予定の領域の上にレジストが塗布される。レジスト51は、少なくとも導電体12が形成される予定の領域を覆うように塗布される。例えば、レジスト51は、X軸に沿って延びる形状に塗布される。
【0037】
ステップS16の処理では、図14及び図15に示されるように、導電体12が形成される。ステップS15の処理でレジストが塗布された領域及びその下方以外の部分において、導電体121がエッチングされ、絶縁体15が露出する。エッチングには、例えば、RIEのような異方性エッチングが用いられる。エッチング処理が実行された後の導電体121は、導電体12と称される。すなわち、導電体121がエッチングされ、導電体12が形成される。次に、ステップS15の処理で塗布されたレジストが除去される。
【0038】
ステップS17の処理では、図16及び図17に示されるように、絶縁体16が形成される。具体的には、導電体121及び絶縁体161が除去された空間に、絶縁体16が形成される。導電体121が除去された空間において、絶縁体16は、絶縁体15上に形成される。
【0039】
ステップS18の処理では、図18及び図19に示されるように、ピラーPIが形成される。まず、ステップS14の処理で形成された犠牲部材50がエッチングされる。犠牲部材50が除去されることにより、ホールHLが形成される。ホールHLにおいて、導電体11及び13が露出する。
【0040】
次に、ホールHLの表面上に第2ゲート絶縁膜18が形成される。その後、第2ゲート絶縁膜18の表面上に、第1ゲート絶縁膜17が形成される。第1ゲート絶縁膜17及び第2ゲート絶縁膜18は、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)等によって成膜される。そして、例えばRIE等の異方性エッチングによって、例えばホールHLの底部に形成された第1ゲート絶縁膜17及び第2ゲート絶縁膜18の一部が除去される。これにより、ホールHLにおいて、導電体11の表面が露出する。
【0041】
その後、酸化物半導体19が形成される。酸化物半導体19は、例えばALD(Atomic Layer Deposition)等によってホールHLの内部全体に埋め込まれる。酸化物半導体19は、ホールHLの底面において導電体11と接触する。酸化物半導体19は、例えば、ホールHLの側面において第1ゲート絶縁膜17と接触する。
【0042】
ステップS19の処理では、図20に示されるように、上部電極TEとして機能する導電体14が形成される。具体的には、まず酸化物半導体19がエッチバックされる。当該エッチバック処理では、例えば絶縁体16が形成された層よりも上層に形成された酸化物半導体19が除去される。尚、当該エッチバック処理の後に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)によって、絶縁体16、第1ゲート絶縁膜17、第2ゲート絶縁膜18、及び酸化物半導体19のそれぞれの上面が平坦化されてもよい。次に、絶縁体16、第1ゲート絶縁膜17、第2ゲート絶縁膜18、及び酸化物半導体19の上面に、導電体14が形成される。導電体14は、例えばスパッタリングによって形成される。
【0043】
以上で説明された第1実施形態に係る半導体装置100の製造工程によって、半導体装置100が形成される。尚、以上で説明された製造工程はあくまで一例であり、これに限定されない。例えば、各製造工程の間にはその他の処理が挿入されてもよいし、一部の工程が省略又は統合されてもよい。また、各製造工程の順番は問題が生じない範囲で入れ替えられてもよい。
【0044】
[1-3]第1実施形態の利点(効果)
以上で説明された第1実施形態に係る半導体装置100によれば、半導体装置100の性能を向上させることができる。以下では、第1実施形態に係る半導体装置100の詳細な効果について説明される。
【0045】
図21及び図22を参照して、第1実施形態の比較例に係る半導体装置100について説明される。第1実施形態の比較例に係る半導体装置100並びに導電体12は、以下では、半導体装置100r並びに導電体12rとそれぞれ称される場合がある。図21は、第1実施形態の比較例に係る半導体装置100rにおける断面構造の一例を示す。図21は、図2と同様の領域の断面が抽出して示される。図22は、基板SUの表面に平行且つゲート電極GEを含む層における半導体装置100rの断面構造を示している。すなわち、図22は、図3と同様の領域の断面が抽出して示される。
【0046】
半導体装置100rは、主に、導電体13を有しないことと、導電体12rの形状及び形成方法とにおいて、第1実施形態に係る半導体装置100と異なる。導電体12rは、導電体12と異なり、第2ゲート絶縁膜18と接する。導電体12rの材料は、導電体12と同様である。
【0047】
第2ゲート絶縁膜18は、例えば、回路面積を縮小するために、薄くしたいという要請がある。しかしながら、第2ゲート絶縁膜18を薄くした場合、酸化物半導体19に含まれる酸素が、絶縁体15及び16等の層間絶縁膜や、ゲート電極に抜け出してしまう場合がある。特にゲート電極に含まれる金属は、酸化物半導体19と直接接触していない場合でも、酸化物半導体19に含まれる酸素を引き抜く場合がある。
【0048】
酸化物半導体19に含まれる酸素が抜け出してしまった場合、酸化物半導体19のフェルミ準位に変動が生じる。具体的には、酸化物半導体19のフェルミ準位が、ゲート電極のフェルミ準位に近い値に変動する場合がある。酸化物半導体19のフェルミ準位がゲート電極のフェルミ準位に近い値に変動することで、半導体装置100の閾値電圧が下がってしまう場合がある。
【0049】
これに対して、第1実施形態に係る半導体装置100は、閾値電圧の低下を効果的に抑制するように、ゲート電極が設計されている。前述の通り、半導体装置100は、導電体12と第2ゲート絶縁膜18との間に、導電体13を有する。また、導電体13は、導電体12よりも仕事関数の大きい材料を含む。
【0050】
例えば、ゲート電極に仕事関数の大きい材料を用いた場合と仕事関数の小さい材料を用いた場合では、仕事関数の大きい材料を用いた場合の方が、半導体装置の閾値電圧は高くなる。このため、仕事関数の大きい材料である導電体13をゲート電極に有する半導体装置100は、導電体13を有しない半導体装置100rよりも閾値電圧を大きく設計することができる。この為、半導体装置100は、酸化物半導体19に含まれる酸素が抜け出してしまった場合でも、半導体装置100rと比較して、閾値電圧を高い値に設定することができる。
【0051】
また、仕事関数の大きい材料は、仕事関数の小さい材料と比較して、酸素と結合し辛い傾向がある。これは、例えば、仕事関数の大きい材料は、仕事関数の小さい材料と比較して、電子を放出するために多くのエネルギーを必要とする為である。このため、酸化物半導体19は、導電体13と近接している場合の方が、導電体12と近接している場合と比較して、酸素が抜け出しにくい。半導体装置100は、導電体12と第2ゲート絶縁膜18との間に導電体13を有する為、第2ゲート絶縁膜18と導電体12rとが接触している半導体装置100rと比較して、酸化物半導体19から酸素が抜け出しにくい。半導体装置100は、酸化物半導体19から酸素が抜け出しにくいことにより、閾値電圧の低下を抑制し得る。
【0052】
また、導電体13のような仕事関数が大きい材料は、導電体12のような仕事関数が小さい材料と比較して、電気伝導度が低い場合がある。このため、半導体装置100のゲート電極GEは、第1のゲート電極及び第2のゲート電極を有している。具体的には、半導体装置100のゲート電極は、導電体12及び13を有する。ゲート電極GEは、ピラーPIに接触する部分において仕事関数が大きい材料である導電体13が用いられ、それ以外の部分において導電体12が用いられる。導電体12は導電体13よりも電気伝導度が高い材料である。このため、ゲート電極GEの全体に導電体13が用いられる場合と比較して、電気伝導度を高くすることが可能である。
【0053】
すなわち、第1実施形態に係る半導体装置100は、導電体13によって閾値電圧の低下を抑制しつつ、導電体12によってゲート電極GE全体の電気伝導度を高く維持することができる。
【0054】
また、半導体装置100rは、製造工程において、半導体装置100と異なり、例えば、ステップS13からステップS17の処理を有しない。すなわち、ステップS12の処理において形成されたホールHLに、ピラーPIが形成される。
【0055】
このため、半導体装置100rは、ステップS11の時点で導電体12rの形状が決定される。すなわち、ステップS11の時点で、導電体12rは、最終形状として調整された寸法である必要があるため、Y軸に沿った幅のマージンを充分確保できない場合がある。このため、図23に示されるように、ステップS12の処理において形成されるホールHLが、導電体12rからY軸に沿ってずれた場所に形成されてしまう場合がある。これは、例えばリソグラフィの合わせずれ等に起因する。図23は、第1実施形態の比較例に係る半導体装置100rのステップS12の処理において、合わせずれが生じた場合の断面図である。
【0056】
ホールHLが導電体12rからY軸に沿ってずれた場所に形成されてしまった場合、最終的に、ピラーPIに導電体12rが接しない場所が生じ得る。すなわち、ピラーPIの一部においてゲート電極を有しない形状となる。このような形状では、ゲート電極を有しない部分において断線が生じる場合がある。また、ピラーPIの周囲全体をゲート電極が囲う形状ではなくなることにより、半導体装置100rの閾値電圧にばらつきが生じ得る。
【0057】
これに対して、第1実施形態に係る半導体装置100は、合わせずれによる影響を効果的に抑制するように、ゲート電極を形成し得る。半導体装置100は、ステップS11の時点では、導電体12の形状は決定されない。このため、導電体121(後の導電体12)は、後の工程のマージンを考慮し、Y軸に沿った幅を広く確保することができる。導電体121のY軸に沿った幅を広く確保することで、半導体装置100は、導電体121内からはみ出すことなく、ホールHLを形成することができる。すなわち、半導体装置100は、ゲート電極が欠損することによる断線を防ぎ得る。Y軸に沿って広く確保された導電体121の幅は、ステップS16の処理によって、最終形状(導電体12)に調整される。
【0058】
更に、半導体装置100のステップS13の処理において、ホールHLの側面から導電体121の一部がリセスされ、導電体13が形成される。すなわち、前述の通り、導電体121の一部を等方的にエッチングした空間に導電体13は埋め込まれる。このため、理想的には、導電体13は、ピラーPIの周囲に略均一な厚さで形成される。“略均一”とは、製造ばらつきによる誤差を含む。ゲート電極がピラーPIの周囲全体を略均一に囲う形状であることにより、半導体装置100は、閾値電圧のばらつきを抑制し得る。
【0059】
すなわち、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法によれば、リソグラフィの合わせずれの影響を受けることなく、ピラーPIの周囲に略均一な厚さのゲート電極を形成し得る。
【0060】
[2]第1実施形態の変形例
[2-1]構成(構造)
上述された第1実施形態に係る半導体装置100では、導電体12が、X軸に沿って延びる形状である例について示された。しかしながら、導電体12は、上述された構造に限定されない。第1実施形態の変形例に係る半導体装置100及び導電体12は、以下では、半導体装置100b及び導電体12bとそれぞれ称される場合がある。
【0061】
図24は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置100bの断面構造の一例を示す。図24は、図3と同様に、基板SUの表面に平行且つゲート電極GEを含む層における半導体装置100bの断面構造を示している。
【0062】
図24に示されるように、変形例に係る半導体装置100bにおいて、導電体12bは、導電体13の周囲を囲う形状を有していてもよい。具体的な構造は以下に示される。ゲート電極GEを含む断面において、酸化物半導体19、第1ゲート絶縁膜17、第2ゲート絶縁膜18、及び導電体13は、第1実施形態に係る半導体装置100と同様の構造を有する。
【0063】
導電体12bは、導電体13の側面を囲う部分と、X軸に沿って延びる部分とを有する。このように、導電体12bは、導電体13の側面を囲うため、半導体装置100の導電体12と比較して、導電体13と接触する面積が大きくなる。導電体12bの材料は、導電体12と同様であるため、説明は省略される。
【0064】
[2-2]半導体装置100bの製造方法
以下では、第1実施形態の変形例に係る半導体装置100bの製造工程の一例について説明される。図25は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置100bの製造途中の平面レイアウトの一例である。図26は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置100bの製造途中の断面構造の一例である。図25及び図26は、それぞれ図13及び図15と同様の領域を示している。
【0065】
まず、半導体装置100と同様に、ステップS10~ステップS14の処理が順に実行される。
【0066】
次に、ステップS15bの処理では、図25に示されるように、レジスト(保護部材)が塗布される。まず、絶縁体161が除去される。次に、例えばフォトリソグラフィによって、導電体121の内、導電体12b(ゲート電極)が形成される予定の領域の上にレジストが塗布される。レジストは、少なくとも導電体12bが形成される予定の領域を覆うように塗布される。例えば、レジストは、少なくとも導電体13の周囲を囲う導電体121の上方の領域に塗布される。また、レジストは、少なくとも当該領域同士を繋ぐように、X軸に沿って延びる形状にも塗布される。レジストは、犠牲部材50の上方を覆っていてもよい。
【0067】
ステップS16bの処理では、図26に示されるように、導電体12bが形成される。ステップS15bの処理でレジストが塗布された領域及びその下方以外の部分において、導電体121がエッチングされ、絶縁体15が露出する。エッチングには、例えば、RIEのような異方性エッチングが用いられる。エッチング処理が実行された後の導電体121は、導電体12bと称される。すなわち、導電体121がエッチングされ、導電体12bが形成される。導電体12bは、例えば、形状において導電体12と異なる。次に、ステップS15bの処理で塗布されたレジストが除去される。
【0068】
それから、半導体装置100と同様に、ステップS17~ステップS19の処理が順に実行される。これにより、第1実施形態の変形例に係る半導体装置100bが形成される。尚、以上で説明した製造工程はあくまで一例であり、各製造工程の間にはその他の処理が挿入されてもよい。
[2-3]半導体装置100bの利点(効果)
以上で説明された第1実施形態の変形例に係る半導体装置100bによれば、半導体装置100と同様に、半導体装置100bの性能を向上させることができる。
【0069】
まず、半導体装置100と同様に、半導体装置100bは、仕事関数の大きい材料である導電体13をゲート電極に有することで、閾値電圧の低下を抑制することができる。
【0070】
また、半導体装置100と同様に、半導体装置100bの製造方法によれば、リソグラフィの合わせずれの影響を受けることなく、ピラーPIの周囲に略均一な厚さのゲート電極を形成し得る。
【0071】
更に、半導体装置100bによれば、ゲート電極GE全体の電気伝導度を更に高く維持することができる。半導体装置100bのゲート電極GEは、半導体装置100と同様に、第1のゲート電極及び第2のゲート電極を有している。具体的には、半導体装置100bのゲート電極は、導電体12b及び13を有する。導電体12bは、導電体13を囲う形状を有している。導電体13の周囲に電気伝導度の高い材料である導電体12bを設けることにより、半導体装置100bは、半導体装置100よりも更に電気伝導度を高くすることが可能である。すなわち、半導体装置100bは、導電体13によって閾値電圧の低下を抑制しつつ、導電体12bによってゲート電極GE全体の電気伝導度を更に高く維持することができる。
【0072】
[3]第2実施形態
以下では、第2実施形態に係る半導体装置200について説明される。
【0073】
[3-1]構成(構造)
以下では、第2実施形態に係る半導体装置200の構造の一例について説明される。
【0074】
図27は、第2実施形態に係る半導体装置200平面レイアウトの一例を示す平面図である。図27に示されるように、半導体装置200は、複数のピラーPI2及び複数のビット線BLを備える。
【0075】
複数のピラーPI2は、Z軸に沿って延びる。複数のピラーPI2は、XY平面において、例えば9列のピラーPI2を含む。各列において、ピラーPI2はX軸に沿って並ぶ。隣り合う2列のピラーPI2の一方の列のピラーPI2のそれぞれのX方向の位置と、他方の列のピラーPI2のそれぞれのX方向の位置はずらされている。言い換えると、隣り合う2列のメモリピラーMPは、XY平面においてジグザグに配置される。図27は、ピラーPI2が9列である例について例示されているが、ピラーPI2の個数及び配置はこれに限定されず、適宜変更され得る。ピラーPI2の各々は、例えば1つの縦型トランジスタとして機能する。
【0076】
複数のビット線BLは、それぞれがY軸に沿って延び、X軸に沿って並ぶ。各ビット線BLは、複数のピラーPI2の各列毎に、1つのピラーPI2と重なるように配置される。このとき、例えば各ビット線BLは、奇数番目の列のピラーPI2のX軸に沿った+X側と重なり、偶数番目の列のピラーPI2のX軸に沿った-X側と重なる。
【0077】
ピラーPI2に重なっているビット線BLと、当該ピラーPI2との間は、電気的に接続される。ピラーPI2とビット線BLとの接続については後述される。各ビット線BLと重なるピラーPI2の数は、任意の数に設計され得る。
【0078】
図28は、第2実施形態に係る半導体装置200の断面構造の一例を示し、図27のXXVIII-XXVIII線に沿った断面図である。図29は、第2実施形態に係る半導体装置200の断面構造の一例を示し、図27のXXIX-XXIX線に沿った断面図である。半導体装置200は、図28及び29に示されるように、導電体21及び22、絶縁体30~32、ビット線BL、部材SLT、並びにピラーPI2を含む。
【0079】
導電体21は、例えば図示されない基板SUの上方に設けられる。導電体21上には、絶縁体30が設けられる。絶縁体30上には、導電体22が設けられる。導電体22上には、絶縁体31が設けられる。絶縁体31上には、ビット線BLが設けられる。ビット線BL上には、絶縁体32が設けられる。
【0080】
導電体21は、例えばCu又はWを含む。絶縁体30~32のそれぞれは、例えばSiOを含む。導電体22は、例えば、W、Cu、Mo、Ru、Rh、Co、AlCu、NiAl、又はRuAlを含む。
【0081】
ビット線BLは、酸化物半導体23及び導電体24~26を含む。酸化物半導体23は、絶縁体31上に設けられる。酸化物半導体23は、例えば、酸化インジウム、酸化ガリウム、及び酸化亜鉛を含む。また、酸化物半導体23としては、インジウム、亜鉛、スズのうち少なくとも1つを含む酸化物(例えば、InO、InZnO、InSnO、SnO、ZnO、ZnSnO)が使用されてもよい。
【0082】
導電体24は、酸化物半導体23上に設けられる。導電体25は、導電体24上に設けられる。導電体26は、導電体25上に設けられる。
【0083】
導電体24は、例えば、窒化チタン(TiN)を含む。導電体25は、例えば、Wを含む。導電体26は、例えば、TiNを含む。導電体24及び26は、例えばバリアメタルとして機能する。導電体24及び26は、例えば、導電体25に含まれるWが隣接する絶縁体に拡散することを防ぎ得る。導電体24及び26は、設計によっては設けられない場合がある。
【0084】
導電体21と酸化物半導体23との間には、ピラーPI2が設けられる。ピラーPI2は、例えばZ軸に沿って延びる柱状に設けられる。ピラーPI2の側面は、導電体22に接している。ピラーPI2の下端は導電体21に電気的に接続される。ピラーPI2の上端はビット線BLと電気的に接続される。
【0085】
ピラーPI2は、第1ゲート絶縁膜27、第2ゲート絶縁膜28、及び酸化物半導体29を含む。酸化物半導体29は、Z軸に沿って延び、ピラーPI2の中央部に設けられる。酸化物半導体29は、例えば、円柱状に設けられる。酸化物半導体29の下端は、導電体21に接触する。酸化物半導体29の上端は、酸化物半導体23に接触する。
【0086】
酸化物半導体29は、例えば、酸化インジウム、酸化ガリウム、及び酸化亜鉛を含む。また、酸化物半導体19としては、インジウム、亜鉛、スズのうち少なくとも1つを含む酸化物(例えば、InO、InZnO、InSnO、SnO、ZnO、ZnSnO)が使用されてもよい。酸化物半導体29と酸化物半導体23とは、同じ材料であってもよい。
【0087】
第1ゲート絶縁膜27は、例えば、酸化物半導体29の周囲を覆う。第1ゲート絶縁膜27は、例えば、ピラーPI2において円筒状に設けられる。第1ゲート絶縁膜27は、例えば酸化シリコン等の絶縁体を含む。
【0088】
第2ゲート絶縁膜28は、例えば、第1ゲート絶縁膜27の周囲を覆う。第2ゲート絶縁膜28は、例えば、ピラーPI2において円筒状に設けられる。第2ゲート絶縁膜28は、例えば窒化シリコン(SiN)等の絶縁体を含む。第2ゲート絶縁膜28は、第1ゲート絶縁膜27よりも薄く設けられる場合がある。第2ゲート絶縁膜28は、設計によっては設けられない場合がある。
【0089】
図27では記載が省略されていたが、X軸に沿って隣り合うビット線BL同士の間には、部材SLTが設けられる。複数の部材SLTは、それぞれがY軸に沿って延び、X軸に沿って並ぶ。X軸に沿って隣り合うビット線BL同士の間は、部材SLTによって絶縁されている。
【0090】
各部材SLTは、複数のピラーPI2の各列毎に、1つのピラーPI2と重なるように配置される。このとき、例えば各部材SLTは、奇数番目の列のピラーPI2のX軸に沿った-X側と重なり、偶数番目の列のピラーPI2のX軸に沿った+X側と重なる。
【0091】
部材SLTは、絶縁体31及び32、酸化物半導体23、並びに導電体24~26のそれぞれを分断する。部材SLTの底面は、例えば絶縁体31に達していればよい。第1ゲート絶縁膜27、第2ゲート絶縁膜28、及び酸化物半導体29の上端の一部は、部材SLTに接する。酸化物半導体29の上端は、部材SLTに接する部分と、酸化物半導体23に接する部分とを有する。酸化物半導体29と酸化物半導体23とは、一体化していてもよい。
【0092】
酸化物半導体23並びに導電体24~26は、Y軸に沿って延びる。言い換えると、酸化物半導体23は、+Z側から見たXY平面視(上面視)で酸化物半導体29よりも広く設けられる。
【0093】
ここで、導電体21は下部電極BEとして機能する。導電体22はゲート電極GEとして機能する。下部電極BE及びビット線BLのそれぞれは、半導体装置200のソース電極又はドレイン電極として機能する。ゲート電極GEは、半導体装置200のゲート電極として機能する。ピラーPI2は、半導体装置200の電流経路(チャネル)として機能する。
【0094】
[3-2]半導体装置200の製造方法
図30は、第2実施形態に係る半導体装置200の製造工程の一例を示すフローチャートである。図31図36のそれぞれは、第2実施形態に係る半導体装置200の製造途中の断面構造の一例である。図31図35のそれぞれは、図28と同じ領域の断面を示す。以下に、図30を適宜参照して、第2実施形態に係る半導体装置200の形成に関する製造工程の一例について説明される。図30に示されるように、第2実施形態に係る半導体装置200の製造方法は、例えば、ステップS21~S25の処理を順に実行する。
【0095】
ステップS21の処理では、図31に示されるように、ホールHL2が形成される。具体的には、まず、基板SU(図示せず)の上方において、下部電極BEとして機能する導電体21が形成される。導電体21の形成には、例えばスパッタリングが使用される。次に、導電体21上に、絶縁体30、導電体22、及び絶縁体31が順に形成される。導電体22の形成には、例えばスパッタリングが使用される。
【0096】
次に、ピラーPI2が形成される予定の領域に、ホールHL2が形成される。ホールHL2は、例えばフォトリソグラフィと異方性エッチングとによって、絶縁体31の上面から導電体21の上面に達するように形成される。異方性エッチングとしては、例えばRIEが利用される。
【0097】
ステップS22の処理では、図32に示されるように、ピラーPI2が形成される。まず、ホールHL2の表面上に第2ゲート絶縁膜28が形成される。その後、第2ゲート絶縁膜28の表面上に、第1ゲート絶縁膜27が形成される。第1ゲート絶縁膜27及び第2ゲート絶縁膜28は、例えばCVD等によって成膜される。
【0098】
次に、例えばRIE等の異方性エッチングによって、例えばホールHL2の底部に形成された第1ゲート絶縁膜27及び第2ゲート絶縁膜28の一部が除去される。これにより、ホールHL2において、導電体21の表面が露出する。
【0099】
その後、酸化物半導体29が形成される。酸化物半導体29は、例えばALD等によってホールHL2の内部全体に埋め込まれる。酸化物半導体29は、ホールHL2の底面において導電体21と接触する。酸化物半導体29は、例えば、ホールHL2の側面において第1ゲート絶縁膜27と接触する。
【0100】
次に、絶縁体31が形成された層よりも上層に形成された酸化物半導体29が除去される。その後、CMPによって、絶縁体31、第1ゲート絶縁膜27、第2ゲート絶縁膜28、及び酸化物半導体29のそれぞれの上面が平坦化されてもよい。
【0101】
ステップS23の処理では、図33に示されるように、酸化物半導体23が形成される。具体的には、絶縁体31、第1ゲート絶縁膜27、第2ゲート絶縁膜28、及び酸化物半導体29の上面に、酸化物半導体23が形成される。酸化物半導体23は、酸化物半導体29と一体化していてもよい。
【0102】
ステップS24の処理では、図34に示されるように、ビット線BLとして機能する材料が形成される。具体的には、まず、酸化物半導体23の上面に、導電体24が形成される。次に、導電体24の上面に、導電体25が形成される。次に、導電体25の上面に、導電体26が形成される。次に、導電体26の上面に、絶縁体32が形成される。
【0103】
ステップS25の処理では、図35及び図36に示されるように、ビット線BLが加工される。図36は、図35をZ軸に沿った+Z側から見た絶縁体31を含む層における半導体装置200の断面構造を示している。まず、部材SLTが形成される予定の領域に、図示しないスリットSHが形成される。具体的には、フォトリソグラフィ等によってスリットSHが形成される予定の領域が開口したマスクが形成され、当該マスクを用いた異方性エッチングによってスリットSHが形成される。
【0104】
スリットSHは、例えば絶縁体31及び32、酸化物半導体23、並びに導電体24~26のそれぞれを分断する。導電体22、第1ゲート絶縁膜27、第2ゲート絶縁膜28、及び酸化物半導体29の一部がスリットSHによって露出する。酸化物半導体29の上端は、酸化物半導体23に接する部分と、スリットSHによって露出する部分とを有する。
【0105】
次に、スリットSHを埋め込むように、部材SLTが形成される。部材SLTは、XY平面視において、複数のピラーPI2の各列毎に、1つのピラーPI2と重なるように配置される。
【0106】
部材SLTが形成されることにより、Y軸に沿って延び、X軸に沿って並ぶビット線BLが形成される。言い換えると、隣り合うビット線BL同士の間には、部材SLTが埋め込まれている。
【0107】
以上で説明された第2実施形態に係る半導体装置200の製造工程によって、半導体装置200が形成される。尚、以上で説明された製造工程はあくまで一例であり、これに限定されない。例えば、各製造工程の間にはその他の処理が挿入されてもよいし、一部の工程が省略又は統合されてもよい。また、各製造工程の順番は問題が生じない範囲で入れ替えられてもよい。
【0108】
[3-3]第1実施形態の利点(効果)
以上で説明された第2実施形態に係る半導体装置200によれば、半導体装置200の性能を向上させることができる。以下では、第2実施形態に係る半導体装置200の詳細な効果について説明される。
【0109】
前述の通り、第2実施形態に係る半導体装置200は、ビット線BLの最下層に酸化物半導体23を有している。以下では、ビット線BLの最下層に酸化物半導体23を有しない半導体装置は、第2実施形態の比較例に係る半導体装置100rと称される場合がある。
【0110】
半導体装置100rは、酸化物半導体23を有しない為、例えば、導電体24又は25と、酸化物半導体29とが接触する。導電体24又は25と、酸化物半導体29とが接触した場合、接触抵抗が大きくなってしまう場合がある。これは、酸化物半導体29に導電体24又は25を接触させた場合、材料に起因するショットキー障壁が大きく形成され得る為である。
【0111】
物体間の接触抵抗を下げるためには、物体間の接触面積を増加させることが有効である。このため、第2実施形態に係る半導体装置200は、ビット線BLの最下層に酸化物半導体23を有している。図37は、第2実施形態の比較例に係る半導体装置200r及び第2実施形態に係る半導体装置200の平面図を示す。図37に示されるように、半導体装置200rにおいて、導電体24又は25と、酸化物半導体29とが接触する領域の面積は、面積Aである。
【0112】
これに対して、半導体装置200において、導電体24又は25と、酸化物半導体23とが接触する領域の面積は、面積Bである。面積Bは、ビット線BLの平面形状の面積に等しく、ビット線BLはY軸に沿って延びる。よって、面積Bは、面積Aよりも大きい。すなわち、半導体装置200の方が、半導体装置200rよりも、導電体24又は25と酸化物半導体との間の接触面積が大きい。このため、半導体装置200の方が、半導体装置200rよりも、導電体24又は25と酸化物半導体との間の接触抵抗が小さい。
【0113】
また、酸化物半導体23と酸化物半導体29とは、酸化物半導体同士であるので、酸化物半導体23と酸化物半導体29との間に形成されるショットキー障壁は極小さい。このため、酸化物半導体23と酸化物半導体29とが接触する面積は面積Aであるが、酸化物半導体23と酸化物半導体29との間の接触抵抗は小さい。
【0114】
酸化物半導体23と酸化物半導体29との間に形成されるショットキー障壁は、酸化物半導体23と導電体24又は25との間に形成されるショットキー障壁よりも小さい。
【0115】
このように、半導体装置200は、ビット線BLの最下層に酸化物半導体23を有することで、ビット線BLと、ピラーPI2との間に生じる接触抵抗を低減することができる。
【0116】
また、酸化物半導体29とビット線BLとの間の接触抵抗を低減させる構造として、酸化物半導体29とビット線BLとの間にコネクタを設ける構造(第2実施形態の比較例に係る半導体装置200rbと称される)も考えられる。コネクタとは、例えば上部電極等を含む。しかしながらコネクタは多層構造を有し、製造するために複数の工程を必要とする場合がある。
【0117】
これに対し、第2実施形態に係る半導体装置200は、ビット線BLの最下層に酸化物半導体23を設けるだけでよい。このため、半導体装置200は、半導体装置200rbと比較して、製造コストを低減することができる。また、半導体装置200は、半導体装置200rbと比較して、装置の大きさを縮小することができる。
【0118】
[4]第2実施形態の変形例
(第1変形例)
上述された第2実施形態に係る半導体装置200のビット線BLでは、導電体24が酸化物半導体29上に設けられる例について示された。しかしながら、第2実施形態に係るビット線BLは、上述された構造に限定されない。第2実施形態の第1変形例に係る半導体装置200及びビット線BLは、半導体装置200b及びビット線BLbと称される場合がある。
【0119】
図38は、第2実施形態の第1変形例に係る半導体装置200bの断面構造の一例を示す。図38は、図28と同様の領域を示す。図38に示されるように、第1変形例に係る半導体装置200bのビット線BLbは、酸化物半導体29と導電体24との間に、導電体40を更に有していてもよい。
【0120】
導電体40は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性酸化物を含む。導電体40は、例えば、酸化物半導体29に含まれる材料以外の酸化物半導体を含んでいてもよい。
【0121】
導電体40は、酸化物半導体29と導電体24との間に設けられることで、酸化物半導体29と導電体24との間の接触抵抗を下げることができる。また、導電体40は、酸化物半導体29と導電体24との間に設けられることで、酸化物半導体29と導電体24との間の密着性を高めることができる。
【0122】
(第2変形例)
上述された第2実施形態に係る半導体装置200のピラーPI2では、ピラーPI2の上部と下部とでピラーPI2の直径に大きな差が設けられない例について示された。しかしながら、第2実施形態に係るピラーPI2は、上述された構造に限定されない。第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置200、ピラーPI2、第1ゲート絶縁膜27、第2ゲート絶縁膜28、及び酸化物半導体29は、以下では、半導体装置200c、ピラーPI2c、第1ゲート絶縁膜27c、第2ゲート絶縁膜28c、及び酸化物半導体29cとそれぞれ称される場合がある。
【0123】
図39は、第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置200cの断面構造の一例を示す。図39は、図28と同様の領域を示す。図39に示されるように、第2変形例に係る半導体装置200cにおけるピラーPI2cは、上部ピラーPI2c1及び下部ピラーPI2c2を含む。下部ピラーPI2c2は、ピラーPI2cの下部に位置し、上部ピラーPI2c1は、ピラーPI2cの上部に位置する。下部ピラーPI2c2は、ピラーPI2の下部と同様の形状を有する。上部ピラーPI2c1は、例えば下部ピラーPI2c2と比較して、大きい角度のテーパー形状を有する。すなわち、ピラーPI2cの上部の方が、ピラーPI2cの下部よりも直径が大きい。具体的には、上部ピラーPI2c1に含まれる酸化物半導体29c1は、下部ピラーPI2c2に含まれる酸化物半導体29c2と比較して、大きい角度のテーパー形状を有する。
【0124】
上部ピラーPI2c1において、下部ピラーPI2c2よりも大きい角度のテーパー形状を形成する方法については、以下に示される。例えば、半導体装置200cでは、ステップS21の処理において、ホールHL2の調整が行われる。例えば、上部ピラーPI2c1が形成される予定の領域のホールHL2及び下部ピラーPI2c2が形成される予定の領域のホールHL2は、それぞれホールHL2c1及びホールHL2c2と称される場合がある。
【0125】
半導体装置200と同様の方法でホールHL2c2が形成された後、例えばホールHL2c2の上部以外を覆っているレジストの一部が除去される。その後、レジストが除去された部分の下方がエッチングされることにより、ホールHL2c1が形成される。このように、半導体装置200cでは、意図的に、ホールHL2c1の直径をホールHL2c2の直径よりも大きく形成することができる。その後の製造方法は半導体装置200と同様である。
【0126】
このため、半導体装置200cにおいて、酸化物半導体29c1は、酸化物半導体29c2と比較して、大きい角度のテーパー形状を有する。言い換えると、酸化物半導体29c1は、酸化物半導体29c2と比較して太く、酸化物半導体29c1の側面の延長上に、酸化物半導体29c2の側面が位置しない。
【0127】
このため、酸化物半導体23と酸化物半導体29cとが接触する面積は、酸化物半導体23と酸化物半導体29とが接触する面積よりも大きい。その結果、半導体装置200cの方が、半導体装置200よりも、酸化物半導体23と酸化物半導体29cとの間の接触抵抗が小さい。
【0128】
このように、半導体装置200cは、上部ピラーPI2c1が大きい角度のテーパー形状を有することで、ビット線BLと、ピラーPI2cとの間に生じる接触抵抗を低減することができる。
【0129】
(第3変形例)
上述された第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置200cのピラーPI2cでは、ピラーPI2cの上部と下部とでテーパーの角度が異なる例について示された。しかしながら、第2実施形態に係るピラーPI2は、上述された構造に限定されない。第2実施形態の第3変形例に係る半導体装置200、ピラーPI2、第1ゲート絶縁膜27、第2ゲート絶縁膜28、及び酸化物半導体29は、以下では、半導体装置200d、ピラーPI2d、第1ゲート絶縁膜27d、第2ゲート絶縁膜28d、及び酸化物半導体29dとそれぞれ称される場合がある。
【0130】
図40は、第2実施形態の第3変形例に係る半導体装置200dの断面構造の一例を示す。図40は、図28と同様の領域を示す。図40に示されるように、第3変形例に係る半導体装置200dにおけるピラーPI2dは、上部ピラーPI2d1及び下部ピラーPI2d2を含む。下部ピラーPI2d2は、ピラーPI2dの下部に位置し、上部ピラーPI2d1は、ピラーPI2dの上部に位置する。
【0131】
下部ピラーPI2d2は、ピラーPI2の下部と同様の形状を有する。上部ピラーPI2d1は、例えば下部ピラーPI2d2と比較して、大きい直径を有する。すなわち、上部ピラーPI2d1の方か、下部ピラーPI2d2よりも直径が大きい。
【0132】
上部ピラーPI2d1の直径を、下部ピラーPI2d2の直径よりも大きく形成する方法については、第2変形例と同様である。第2変形例との違いは、例えばエッチングを行う時間等である。
【0133】
上部ピラーPI2d1に含まれる酸化物半導体29d1は、下部ピラーPI2d2に含まれる酸化物半導体29d2と比較して、大きい直径を有する。言い換えると、酸化物半導体29d1は、酸化物半導体29d2と比較して太く、酸化物半導体29d1の側面の延長上に、酸化物半導体29d2の側面が位置しない。
【0134】
このため、酸化物半導体23と酸化物半導体29dとが接触する面積は、酸化物半導体23と酸化物半導体29とが接触する面積よりも大きい。その結果、半導体装置200dの方が、半導体装置200よりも、酸化物半導体23と酸化物半導体29dとの間の接触抵抗が小さい。
【0135】
このように、半導体装置200dは、上部ピラーPI2d1が大きい直径を有することで、ビット線BLと、ピラーPI2dとの間に生じる接触抵抗を低減することができる。
【0136】
(第4変形例)
上述された第2実施形態に係る半導体装置200のでは、ビット線BLとして機能する材料を積層した後に部材SLTを形成する例について示された。しかしながら、第2実施形態に係るビット線BLは、上述された製造方法及び構造に限定されない。第2実施形態の第2変形例に係る半導体装置200、ビット線BL、酸化物半導体23、導電体24、導電体25は、以下では、それぞれ半導体装置200e、ビット線BLe、酸化物半導体23e、導電体24e、導電体25eと称される場合がある。
【0137】
図41は、第2実施形態の第4変形例に係る半導体装置200eの断面構造の一例を示す。図41は、図28と同様の領域を示す。第4変形例に係る半導体装置200eのビット線BLeは、ダマシンによって形成されていてもよい。
【0138】
図41に示されるように、例えば、ダマシンによって形成されたビット線BLeの構造は、ビット線BLと異なる。例えば、ビット線BLeは、酸化物半導体23e及び導電体24eを、ビット線の底面だけでなく側面にも有する場合がある。また、ビット線BLeは、導電体26を有しない場合がある。
【0139】
ダマシンによるビット線BLeの製造方法については、以下に示される。例えば、半導体装置200eにおいて、ステップS22の処理の後に、絶縁体34が形成される。絶縁体34は、絶縁体31、第1ゲート絶縁膜27、第2ゲート絶縁膜28、及び酸化物半導体29の上面に形成される。
【0140】
その後、図42に示されるように、ビット線BLeが形成される予定の領域がエッチングされ、スリットSH2が形成される。スリットSH2は、絶縁体34を分断する。スリットSH2によって、絶縁体31、第1ゲート絶縁膜27、第2ゲート絶縁膜28、及び酸化物半導体29の一部が露出する。酸化物半導体29の上面は、絶縁体34に接する部分と、スリットSH2によって露出する部分とを有する。
【0141】
次に、スリットSH2の表面に、酸化物半導体23eが形成される。酸化物半導体23eは、絶縁体31、第1ゲート絶縁膜27、第2ゲート絶縁膜28、及び酸化物半導体29の上面並びに、絶縁体34の側面に形成される。酸化物半導体23eは、酸化物半導体29と一体化していてもよい。
【0142】
次に、酸化物半導体23eの表面に、導電体24eが形成される。次に、導電体24eの表面に、導電体25eが形成され、スリットSH2が埋め込まれる。すなわち、ビット線BLeは、酸化物半導体23e、導電体24e、及び導電体25eを含む。その後、絶縁体34及びビット線BLeの上面に、絶縁体35が形成される。
【0143】
[4]その他の変形例等
第1乃至第2実施形態において、半導体装置100乃至200の構造はその他の構造であってもよい。第1実施形態における構造は、第2実施形態に対しても適用され得る。第1実施形態及び第2実施形態の変形例において示された構造は、その一部のみ、又は複数を組み合わせた構造であっても、第1実施形態及び第2実施形態に対して適用され得る。
【0144】
ピラーPI及びPI2は、テーパー形状や逆テーパー形状を有していてもよいし、中間部分が膨らんだ形状を有していてもよい。
【0145】
本明細書において“接続”は、電気的に接続されている事を示し、例えば間に別の素子を介することを除外しない。“電気的に接続される”は、電気的に接続されたものと同様に動作することが可能であれば、絶縁体を介していてもよい。
【0146】
本発明の第1乃至第2実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。第1乃至第2実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。第1乃至第2実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0147】
100,200…半導体装置、11~14,21,22,24~26,40…導電体、15,16,30~32,34,35…絶縁体、17,18,27,28…ゲート絶縁膜、19,23,29…酸化物半導体、PI,PI2…ピラー、SLT…部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図18
図19
図20
図21
図22
図23
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図26
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図28
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図30
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図34
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図40
図41
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