(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180905
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】電池パック構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/284 20210101AFI20231214BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20231214BHJP
H01M 50/227 20210101ALI20231214BHJP
H01M 50/287 20210101ALI20231214BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20231214BHJP
【FI】
H01M50/284
H01M50/224
H01M50/227
H01M50/287
H01M50/271 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094584
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三和 健人
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AY08
5H040CC20
5H040JJ01
5H040JJ03
(57)【要約】
【課題】より容易に電池パックに取付ユニットを組み付けることのできる電池パック構造の製造方法を提供する。
【解決手段】電池パック構造1の製造方法は、電池パック10のケーシング11とジャンクションボックス20(取付ユニット)のロアケース21(第一樹脂筐体部材)および金属板30とを一体成型して第一部品2を製造するステップS1(第一ステップ)と、ジャンクションボックス20のアッパケース22(第二樹脂筐体部材)に通電部品40を固定して第二部品3を製造するステップS2(第二ステップ)と、第二部品3(一方)に設けられた爪部4を第一部品2(他方)に設けられた開口部5にスナップフィットによって固定するステップS3(第三ステップ)と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックのケーシングと取付ユニットの第一樹脂筐体部材および金属板とを一体成型して第一部品を製造する第一ステップと、
前記取付ユニットの第二樹脂筐体部材に通電部品を固定して第二部品を製造する第二ステップと、
前記第一部品および前記第二部品のうち一方に設けられた爪部を他方に設けられた開口部にスナップフィットによって固定するかまたは前記第一部品と前記第二部品とをリベットによって固定する第三ステップと、
を含む、電池パック構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パック構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、強度が必要な部分は金属板を利用し、強度が不要な部分は樹脂部材を利用することで、高剛性化と軽量化との両立が図られた電池パック構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の電池パック構造では、例えば、電池パックに対するジャンクションボックス等の取付ユニットの組付け方法に更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、より容易に電池パックに取付ユニットを組み付けることのできる電池パック構造の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる電池パック構造の製造方法は、電池パックのケーシングと取付ユニットの第一樹脂筐体部材および金属板とを一体成型して第一部品を製造する第一ステップと、前記取付ユニットの第二樹脂筐体部材に通電部品を固定して第二部品を製造する第二ステップと、前記第一部品および前記第二部品のうち一方に設けられた爪部を他方に設けられた開口部にスナップフィットによって固定するかまたは前記第一部品と前記第二部品とをリベットによって固定する第三ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ケーシングと第一樹脂筐体部材と金属板とがアッセンブリされた状態の第一部品に対して、第二樹脂筐体部材と通電部品とがアッセンブリされた状態の第二部品をスナップフィットまたはリベットによって組み付けることができる。これにより、例えば、電池パックのケーシングに対して、第一樹脂筐体部材と第二樹脂筐体部材と通電部品とがアッセンブリされた状態の取付ユニットをボルトや、ナット、カラー等の固定部材を用いて組み付ける場合と比べて、部品点数(固定部材)を削減することができ、ひいては電池パック構造の組付け工程をより簡素化することができたり、電池パック構造の軽量化や省スペース化を図ることができたりする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の電池パック構造の例示的かつ模式的な断面図であって、第一部品と第二部品との組付前の状態を示した図である。
【
図2】
図2は、実施形態の電池パック構造の例示的かつ模式的な断面図であって、第一部品と第二部品との組付後の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0010】
[実施形態]
図1は、実施形態の電池パック構造1の模式的な断面図であって、第一部品2と第二部品3との組付前の状態を示した図であり、
図2は、第一部品2と第二部品3との組付後の状態を示した図である。
【0011】
図1,2に示されるように、電池パック構造1は、例えば、第一部品2と、第二部品3と、を備えている。この電池パック構造1は、例えば、電池パック10のケーシング11とジャンクションボックス20との取付構造として構成されている。ジャンクションボックス20は、取付ユニットの一例である。
【0012】
第一部品2は、電池パック10のケーシング11と、ジャンクションボックス20のロアケース21と、金属板30とを一体成型したものである。第一部品2は、例えば、底壁2aや、立壁2b等を有している。
【0013】
底壁2aは、ケーシング11の底壁とロアケース21の底壁とを一体に構成している。立壁2bは、底壁2aから上方に突出しており、ロアケース21の側壁を構成している。底壁2aおよび立壁2bは、例えば、合成樹脂等の絶縁材料によって作られている。ロアケース21は、第一樹脂筐体部材の一例である。
【0014】
また、立壁2bの底壁2aとは反対側の端部には、取付壁2cが設けられている。取付壁2cは、立壁2bから横方向(水平方向)に張り出しており、後述する第二部品3の爪部4が係合される開口部5が設けられている。
【0015】
また、底壁2aには、金属板30が設けられている。金属板30は、例えば、底壁2aに沿って延びた一つあるいは複数の板金部材であり、第一部品2の剛性や強度を確保する機能と、EMC(Electro Magnetic Compatibility)等の対策を行う機能と、を担っている。
【0016】
第二部品3は、ジャンクションボックス20のアッパケース22に通電部品40を固定したものである。第二部品3は、例えば、アッパケース22の天壁を構成する天壁3aや、アッパケース22の側壁を構成する側壁3b等を有している。天壁3aおよび側壁3bは、例えば、合成樹脂等の絶縁材料によって作られている。アッパケース22は、第二樹脂筐体部材の一例である。
【0017】
また、側壁3bの天壁3aとは反対側の端部には、爪部4が設けられている。爪部4は、側壁3bから横方向(水平方向)に張り出しており、上述した第一部品2の開口部5にスナップフィットによって結合される。
【0018】
通電部品40は、例えば、複数の高圧機器41と、この複数の高圧機器41を電気的に接続するバスバ42と、を有している。高圧機器41は、例えば、スナップフィット(樹脂はめ込み)や、ネジやボルト等の結合具、接着剤等によって第二部品3の天壁3aに固定される。
【0019】
次に、電池パック構造1の製造方法の一例について説明する。まず、
図1に示されるように、電池パック10のケーシング11と、ジャンクションボックス20のロアケース21と、金属板30とを一体成型して第一部品2を製造する(ステップS1)。ステップS1は、第一ステップの一例である。
【0020】
次に、
図1に示されるように、ジャンクションボックス20のアッパケース22に通電部品40を固定して第二部品3を製造する(ステップS2)。ステップS2は、第二ステップの一例である。
【0021】
そして、
図2に示されるように、第二部品3を第一部品2の上方から押し込んで爪部4と開口部5とをスナップフィットによって固定する(ステップS3)。
図2の状態では、爪部4と開口部5の縁部とが上下方向に引っ掛かることによって第二部品3が第一部品2に対して外れるのが抑制される。ステップS3は、第三ステップの一例である。
【0022】
なお、本実施形態では、第二部品3に爪部4が設けられ、第一部品2に開口部5が設けられた場合が例示されたが、この例には限定されず、第一部品2に爪部4が設けられ、第二部品3に開口部5が設けられてもよい。
【0023】
以上のように、本実施形態では、電池パック構造1の製造方法は、電池パック10のケーシング11とジャンクションボックス20(取付ユニット)のロアケース21(第一樹脂筐体部材)および金属板30とを一体成型して第一部品2を製造するステップS1(第一ステップ)と、ジャンクションボックス20のアッパケース22(第二樹脂筐体部材)に通電部品40を固定して第二部品3を製造するステップS2(第二ステップ)と、第二部品3(一方)に設けられた爪部4を第一部品2(他方)に設けられた開口部5にスナップフィットによって固定するステップS3(第三ステップ)と、を含む。
【0024】
このような構成によれば、ケーシング11とロアケース21と金属板30とがアッセンブリされた状態の第一部品2に対して、アッパケース22と通電部品40とがアッセンブリされた状態の第二部品3をスナップフィットによって組み付けることができる。これにより、例えば、電池パック10のケーシング11に対して、ロアケース21とアッパケース22と通電部品40とがアッセンブリされた状態のジャンクションボックス20をボルトや、ナット、カラー等の固定部材を用いて組み付ける場合と比べて、部品点数(固定部材)を削減することができ、ひいては電池パック構造1の組付け工程をより簡素化することができたり、電池パック構造1の軽量化や省スペース化を図ることができたりする。
【0025】
なお、本実施形態では、第一部品2と第二部品3とが爪部4によるスナップフィットによって結合された場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、第一部品2の取付壁2cと第二部品3の取付壁(爪部4)とが上下方向に貫通するリベットによって結合されてもよい。この場合、リベットの分、部品点数は増えるが、上述したボルトや、ナット、カラー等の固定部材を用いた場合よりかは部品点数を削減できるため、電池パック構造1の組付け工程をより簡素化することができたり、電池パック構造1の軽量化や省スペース化を図ることができたりする。
【0026】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 …電池パック構造
2 …第一部品
3 …第二部品
4 …爪部
5 …開口部
10 …電池パック
11 …ケーシング
20 …ジャンクションボックス(取付ユニット)
21 …ロアケース(第一樹脂筐体部材)
22 …アッパケース(第二樹脂筐体部材)
30 …金属板
40 …通電部品
S1 …第一ステップ
S2 …第二ステップ
S3 …第三ステップ