(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180906
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】空調装置、車両、及び空調装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20231214BHJP
F24F 11/63 20180101ALI20231214BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B60H1/22 651C
B60H1/22 651A
F24F11/63
F25B1/00 399Y
F25B1/00 341P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094585
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 幸克
(72)【発明者】
【氏名】小倉 陽一
(72)【発明者】
【氏名】太田 篤治
(72)【発明者】
【氏名】林 邦彦
【テーマコード(参考)】
3L211
3L260
【Fターム(参考)】
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA02
3L211BA32
3L211CA18
3L211CA19
3L211DA23
3L211EA50
3L211EA51
3L211GA23
3L260BA03
3L260CB04
3L260CB18
3L260CB37
3L260DA03
3L260FB07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】機器の廃熱を用いた暖房運転が可能であるとともに、暖房の立ち上がりが早い空調装置、車両、及び空調装置の制御方法を提供すること。
【解決手段】空調装置は、圧縮機と、発熱機器と、放熱器と、前記冷媒と前記対象領域内の空気との間の熱交換を行う第1熱交換器と、アキュムレータと、前記冷媒と前記水との間の熱交換を行う第2熱交換器と、第1流路の途中に設けられている第1膨張弁と、第2流路の途中に設けられている第2膨張弁と、第3流路の途中に設けられている第3膨張弁と、前記圧縮機を起動する際、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を所定の開度にするとともに前記第3膨張弁を閉じ、その後所定の条件を満たしたと判定した場合、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を閉じるとともに前記第3膨張弁を開く制御を行うプロセッサと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
発熱可能な機器と、
前記機器に接続されている流路を流れる水の水流量を調整する水ポンプと、
前記冷媒の熱を放熱する放熱器と、
前記冷媒と前記対象領域内の空気との間の熱交換を行う第1熱交換器と、
前記冷媒を蓄積するアキュムレータと、
前記放熱器と前記アキュムレータとの間に前記第1熱交換器と並列に配置されており、前記冷媒と前記水との間の熱交換を行う第2熱交換器と、
前記圧縮機と前記アキュムレータの上流側とを連通する第1流路の途中に設けられている第1膨張弁と、
前記放熱器と前記第1熱交換器とを連通する第2流路の途中に設けられている第2膨張弁と、
前記放熱器と前記第2熱交換器とを連通する第3流路の途中に設けられている第3膨張弁と、
前記圧縮機を起動する際、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を所定の開度にするとともに前記第3膨張弁を閉じ、その後所定の条件を満たしたと判定した場合、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を閉じるとともに前記第3膨張弁を開く制御を行うプロセッサと、
を備える空調装置。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記水の温度が所定の温度より大きい、である請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記圧縮機を起動後、前記放熱器の放熱を増大させるとともに前記第1膨張弁の開度を小さくし、
前記冷媒の前記アキュムレータの入口側における温度が前記水の温度以下である場合、前記第3膨張弁を開く制御を行う請求項1に記載の空調装置。
【請求項4】
前記圧縮機と前記放熱器とを連通する第4流路の途中に設けられている第4膨張弁を備え、
前記プロセッサは、前記圧縮機を起動する際、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を所定の開度にするとともに前記第3膨張弁及び前記第4膨張弁を閉じ、所定時間経過後、前記第4膨張弁を開き、その後所定の条件を満たしたと判定した場合、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を閉じるとともに前記第3膨張弁を開く制御を行う請求項1に記載の空調装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記所定時間経過後、前記圧縮機の吐出圧の目標値に基づいて前記第4膨張弁の開度を調整する請求項4に記載の空調装置。
【請求項6】
吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
発熱可能な機器と、
前記機器に接続されている流路を流れる水の水流量を調整する水ポンプと、
前記冷媒の熱を放熱する放熱器と、
前記冷媒と前記対象領域内の空気との間の熱交換を行う第1熱交換器と、
前記冷媒を蓄積するアキュムレータと、
前記放熱器と前記アキュムレータとの間に前記第1熱交換器と並列に配置されており、前記冷媒と前記水との間の熱交換を行う第2熱交換器と、
前記圧縮機と前記アキュムレータの上流側とを連通する第1流路の途中に設けられている第1膨張弁と、
前記放熱器と前記第1熱交換器とを連通する第2流路の途中に設けられている第2膨張弁と、
前記放熱器と前記第2熱交換器とを連通する第3流路の途中に設けられている第3膨張弁と、
前記圧縮機を起動する際、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を所定の開度にするとともに前記第3膨張弁を閉じ、その後所定の条件を満たしたと判定した場合、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を閉じるとともに前記第3膨張弁を開く制御を行うプロセッサと、
を備える車両。
【請求項7】
吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
発熱可能な機器と、
前記機器に接続されている流路を流れる水の水流量を調整する水ポンプと、
前記冷媒の熱を放熱する放熱器と、
前記冷媒と対象領域内の空気との間の熱交換を行う第1熱交換器と、
前記冷媒を蓄積するアキュムレータと、
前記放熱器と前記アキュムレータとの間に前記第1熱交換器と並列に配置されており、前記冷媒と前記水との間の熱交換を行う第2熱交換器と、
前記圧縮機と前記アキュムレータの上流側とを連通する第1流路の途中に設けられている第1膨張弁と、
前記放熱器と前記第1熱交換器とを連通する第2流路の途中に設けられている第2膨張弁と、
前記放熱器と前記第2熱交換器とを連通する第3流路の途中に設けられている第3膨張弁と、
前記第1、第2及び第3膨張弁の開閉を制御するプロセッサと、
を備え、前記対象領域内の空調を行う空調装置の制御方法であって、
前記プロセッサが、
前記圧縮機を起動する際、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を所定の開度にするとともに前記第3膨張弁を閉じ、その後所定の条件を満たしたと判定した場合、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を閉じるとともに前記第3膨張弁を開く
空調装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調装置、車両、及び空調装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヒートポンプによる暖房と、エンジンの冷却水を用いる暖房とを切り替え可能な空調装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、初期暖房時、冷凍サイクルにおいて圧縮機が吐出した高温の冷媒を用いて暖房立ち上がり能力を向上し、その後、エンジンの冷却水を用いる暖房に移行する空調装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-149986号公報
【特許文献2】特開平6-2979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電気自動車の場合、エンジンを有しないため、エンジンの廃熱を暖房運転に利用することができない。また、電気自動車は、インバータやモータ等の発熱可能な機器を有するが、これらの機器を冷却する水の温度は低いため、そのままでは暖房運転に利用することができない。機器の廃熱をヒートポンプにより汲み上げる暖房方式も可能であるが、水の熱容量により水の温度の上昇速度は緩やかであり、暖房の立ち上がりに時間がかかる。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、機器の廃熱を用いた暖房運転が可能であるとともに、暖房の立ち上がりが早い空調装置、車両、及び空調装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る空調装置は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、発熱可能な機器と、前記機器に接続されている流路を流れる水の水流量を調整する水ポンプと、前記冷媒の熱を放熱する放熱器と、前記冷媒と前記対象領域内の空気との間の熱交換を行う第1熱交換器と、前記冷媒を蓄積するアキュムレータと、前記放熱器と前記アキュムレータとの間に前記第1熱交換器と並列に配置されており、前記冷媒と前記水との間の熱交換を行う第2熱交換器と、前記圧縮機と前記アキュムレータの上流側とを連通する第1流路の途中に設けられている第1膨張弁と、前記放熱器と前記第1熱交換器とを連通する第2流路の途中に設けられている第2膨張弁と、前記放熱器と前記第2熱交換器とを連通する第3流路の途中に設けられている第3膨張弁と、前記圧縮機を起動する際、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を所定の開度にするとともに前記第3膨張弁を閉じ、その後所定の条件を満たしたと判定した場合、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を閉じるとともに前記第3膨張弁を開く制御を行うプロセッサと、を備える。
【0008】
本開示に係る車両は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、発熱可能な機器と、前記機器に接続されている流路を流れる水の水流量を調整する水ポンプと、前記冷媒の熱を放熱する放熱器と、前記冷媒と前記対象領域内の空気との間の熱交換を行う第1熱交換器と、前記冷媒を蓄積するアキュムレータと、前記放熱器と前記アキュムレータとの間に前記第1熱交換器と並列に配置されており、前記冷媒と前記水との間の熱交換を行う第2熱交換器と、前記圧縮機と前記アキュムレータの上流側とを連通する第1流路の途中に設けられている第1膨張弁と、前記放熱器と前記第1熱交換器とを連通する第2流路の途中に設けられている第2膨張弁と、前記放熱器と前記第2熱交換器とを連通する第3流路の途中に設けられている第3膨張弁と、前記圧縮機を起動する際、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を所定の開度にするとともに前記第3膨張弁を閉じ、その後所定の条件を満たしたと判定した場合、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を閉じるとともに前記第3膨張弁を開く制御を行うプロセッサと、を備える。
【0009】
本開示に係る空調装置の制御方法は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、発熱可能な機器と、前記機器に接続されている流路を流れる水の水流量を調整する水ポンプと、前記冷媒の熱を放熱する放熱器と、前記冷媒と対象領域内の空気との間の熱交換を行う第1熱交換器と、前記冷媒を蓄積するアキュムレータと、前記放熱器と前記アキュムレータとの間に前記第1熱交換器と並列に配置されており、前記冷媒と前記水との間の熱交換を行う第2熱交換器と、前記圧縮機と前記アキュムレータの上流側とを連通する第1流路の途中に設けられている第1膨張弁と、前記放熱器と前記第1熱交換器とを連通する第2流路の途中に設けられている第2膨張弁と、前記放熱器と前記第2熱交換器とを連通する第3流路の途中に設けられている第3膨張弁と、前記第1、第2及び第3膨張弁の開閉を制御するプロセッサと、を備え、前記対象領域内の空調を行う空調装置の制御方法であって、前記プロセッサが、前記圧縮機を起動する際、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を所定の開度にするとともに前記第3膨張弁を閉じ、その後所定の条件を満たしたと判定した場合、前記第1膨張弁及び前記第2膨張弁を閉じるとともに前記第3膨張弁を開く。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、機器の廃熱を用いた暖房運転が可能であるとともに、暖房の立ち上がりが早い空調装置、車両、及び空調装置の制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る空調装置の構成図である。
【
図2】
図2は、運転モードの選択方法を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、モード切り換え制御における処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態2に係る空調装置の構成図である。
【
図5】
図5は、実施の形態2に係る空調装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、冷凍サイクルの各パラメータの時間変化を表す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態3に係る空調装置の構成図である。
【
図8】
図8は、実施の形態4に係る空調装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態に係る空調装置、車両、及び空調装置の制御方法について、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
(実施の形態1)
〔空調装置の構成〕
図1は、実施の形態1に係る空調装置の構成図である。空調装置100は、冷凍サイクル1と、第1水回路5と、HVAC(Heating Ventilation and Air Conditioning)ユニット7と、第2水回路9と、プロセッサとしての制御部10と、を備える。空調装置100は、例えば対象領域である車内の空調を行う車両用の空調装置であり、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)等に搭載され、車内の空気の温度を調整する。
【0014】
〔冷凍サイクルの構成〕
冷凍サイクル1は、冷媒が循環する流路であり、圧縮機11と、放熱器としての水冷媒熱交換器12と、第1熱交換器としての室内熱交換器13と、アキュムレータ15と、これらを連通する冷媒配管と、を備える。また、冷凍サイクル1は、第1膨張弁21~第3膨張弁23と、圧力検知器31と、逆止弁32と、温度検知器311と、を備える。
【0015】
圧縮機11は、吸入部から吸入した冷媒を圧縮して吐出部41から吐出する。圧縮機11の吐出部41から連通する配管は二つに分岐し、一方は水冷媒熱交換器12に連通し、他方はアキュムレータ15に直接連通する。
【0016】
水冷媒熱交換器12は、冷凍サイクル1と第1水回路5との間の熱交換を行い、冷媒の熱を放熱する。水冷媒熱交換器12から連通する配管は二つに分岐し、一方は室内熱交換器13に連通し、他方は第2水冷媒熱交換器92に連通する。
【0017】
室内熱交換器13は、冷媒と対象領域である室内の空気との間の熱交換を行う。
【0018】
アキュムレータ15は、冷凍サイクル1内の余剰冷媒を蓄積する機能を有し、アキュムレータ15の内部空間の下部に液冷媒が貯まる。
【0019】
第1膨張弁21~第3膨張弁23は、全閉機能を有する膨張弁であり、制御部10による制御のもと、開度を調整可能である。そして、全閉する第1膨張弁21~第3膨張弁23の組み合わせを変えることにより、冷媒が流れる流路を切り換えることができる。
【0020】
第1膨張弁21は、圧縮機11の吐出部41とアキュムレータ15の上流側とを連通するバイパス流路(第1流路)の途中に設けられている。第2膨張弁22は、水冷媒熱交換器12と室内熱交換器13とを連通する流路(第2流路)の途中に設けられている。第3膨張弁23は、水冷媒熱交換器12と第2水冷媒熱交換器92とを連通する流路(第3流路)の途中に設けられている。
【0021】
圧力検知器31は、圧縮機11の吐出部41から吐出される冷媒の圧力を測定する。
【0022】
逆止弁32は、第2水冷媒熱交換器92からアキュムレータ15に連通する流路に設けられており、アキュムレータ15側から第2水冷媒熱交換器92側に冷媒が流れることを防止する。
【0023】
温度検知器311は、冷凍サイクル1の低圧側における冷媒の温度を検知する。温度検知器311は、具体的には、冷凍サイクル1を循環する冷媒のアキュムレータ15の入口側における温度を検知する。
【0024】
〔第1水回路の構成〕
第1水回路5は、不凍液が循環する流路であるが、本明細書において水とも記載する。第1水回路5は、第1水ポンプ51と、水冷媒熱交換器12と、第1室内水熱交換器52と、第1室外水熱交換器53と、これらを連通する水配管と、を備える。また、第1水回路5は、第1三方弁54と、温度検知器55と、を備える。
【0025】
第1水ポンプ51は、電動のポンプであり、制御部10による制御のもと、水流量を制御する。
【0026】
水冷媒熱交換器12から連通する水配管は二つに分岐し、一方は第1室内水熱交換器52に連通し、他方は第1室外水熱交換器53に連通する。
【0027】
第1室内水熱交換器52は、水と室内の空気との間の熱交換を行う。第1室内水熱交換器52から連通する水配管には、第1三方弁54が設けられている。
【0028】
第1室外水熱交換器53は、水と室外との間の熱交換を行う。また、第1室外水熱交換器53は、室外に空気を排出する送風用ファン530を有する。
【0029】
第1三方弁54は、水冷媒熱交換器12、第1室内水熱交換器52、及び第1室外水熱交換器53にそれぞれ連通する水配管の分岐部に設けられており、水が流れる方向を切り換えることができる。
【0030】
温度検知器55は、第1水回路5を循環する水の温度を測定する。
【0031】
〔HVACユニットの構成〕
HVACユニット7は、車両のHVACユニットであり、ブロア71と、ダンパ72と、を備える。
【0032】
ブロア71は、室内の空調のための空気を送る。
【0033】
ダンパ72は、第1室内水熱交換器52を通過する空気の流量を調節する。ダンパ72を塞ぐことにより、第1室内水熱交換器52を通過する空気の流量をゼロにすることができる。
【0034】
〔第2水回路の構成〕
第2水回路9は、第2水ポンプ91と、第2水冷媒熱交換器92と、第2室外水熱交換器93と、機器950と熱交換を行う第2熱交換器としての機器用熱交換器95と、を備える。また、第2水回路9は、第2三方弁94と、温度検知器96と、を備える。
【0035】
第2水ポンプ91は、電動のポンプであり、制御部10による制御のもと、水流量を制御する。
【0036】
第2水冷媒熱交換器92は、第2水回路9を循環する水と、冷凍サイクル1を循環する冷媒との間の熱交換を行う。
【0037】
第2室外水熱交換器93は、水と室外との間の熱交換を行う。また、第2室外水熱交換器93は、室外に空気を排出する送風用ファン930を有する。
【0038】
第2三方弁94は、第2水ポンプ91、第2室外水熱交換器93、及び機器用熱交換器95にそれぞれ連通する水配管の分岐部に設けられており、水が流れる方向を切り換えることができる。
【0039】
機器用熱交換器95は、第2水回路9を循環する水と、機器950との間の熱交換を行う。機器950は、インバータ、モータ、電池等の車両に搭載されており、発熱可能な機器である。
【0040】
温度検知器96は、第2水回路9を循環する水の温度を測定する。
【0041】
〔制御部の構成〕
制御部10は、例えば車両のECU(Electronic Control Unit)であり、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等からなるプロセッサと、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等からなるメモリ(主記憶部)と、を備える。
【0042】
制御部10は、車両全体を制御する。具体的には、制御部10は、圧力検知器31が検知した圧力、温度検知器55及び温度検知器96が検知した温度を取得する。また、制御部10は、第1膨張弁21~第3膨張弁23の開度を制御する。また、制御部10は、圧縮機11、第1水ポンプ51、第1三方弁54、ブロア71、第2水ポンプ91、第2三方弁94、送風用ファン530、送風用ファン930等の動作を制御する。
【0043】
次に、空調装置100の動作を説明する。空調装置100には、圧縮機11の電力を使って暖房運転を行う「圧縮機創熱運転モード」と、第2水回路9に配置されている機器950を発熱させ、その熱をヒートポンプにより吸熱して暖房運転に使用する「機器創熱ヒートポンプ運転モード」との2つの運転モードがある。空調装置100は、圧縮機11を起動した直後には、「圧縮機創熱運転モード」で運転し、その後「機器創熱ヒートポンプ運転モード」に運転モードを切替える。
【0044】
〔圧縮機創熱運転モード〕
このモードでは、圧縮機11が消費する電力を使って暖房運転を行う。そのため、冷凍サイクル1において、制御部10は、第1膨張弁21を初期開度Vo1、第2膨張弁22を初期開度Vo2、第3膨張弁23を全閉にする。
【0045】
圧縮機11を起動すると、冷凍サイクル1において冷媒は2つの経路を流れる。一つ目の経路は、冷媒が圧縮機11、第1膨張弁21、アキュムレータ15、圧縮機11の順に流れる経路である。2つ目の経路は、冷媒が圧縮機11、水冷媒熱交換器12、第2膨張弁22、室内熱交換器13、アキュムレータ15、圧縮機11の順に流れる経路である。これらの経路は、低圧側(アキュムレータ15の入口側)で合流する。
【0046】
圧縮機11を起動する際、第1水回路5の第1水ポンプ51は停止しており、水流量は0である。そのため、水冷媒熱交換器12では、冷媒と第1水回路5の水との熱交換は行われず、冷凍サイクル1の暖機にエネルギーが使われる。このとき、圧縮機11が吐出した高温の冷媒を第1膨張弁21が設けられたバイパス流路を経由して低圧側に流すため、低圧側にもエネルギーが分配され、低圧側も加熱される。その結果、低圧側の圧力が上昇し、圧縮機11の吸入圧が高くなる。圧縮機11の吸入圧が高くなると、圧縮機11に吸入される冷媒の密度が大きくなり、圧縮機11の消費電力を増大することができる。圧縮機11の消費電力が増大すると暖房能力が向上する。
【0047】
なお、逆止弁32は、第2水冷媒熱交換器92側へ冷媒が逆流するのを防止するために設けられている。低圧側を加熱すると、相対的に低圧側より第2水冷媒熱交換器92の温度が低くなり、逆止弁32がないと逆流した冷媒が第2水冷媒熱交換器92で放熱及び凝縮してしまい、放熱損失が発生するため暖房能力が低下する。
【0048】
その後、制御部10は、冷凍サイクル1の暖機運転が完了したか否かを判定する。制御部10は、例えば温度検知器311が検知した温度が所定値Tr0以上なった場合、冷凍サイクル1の暖機運転が完了したと判定する。また、制御部10は、圧縮機11の消費電力が所定値Wcomp0以上になった場合、冷凍サイクル1の暖機運転が完了したと判定してもよい。また、制御部10は、圧縮機11を起動してからの経過時間が、所定時間以上となった場合、冷凍サイクル1の暖機運転が完了したと判定してもよい。
【0049】
制御部10が、冷凍サイクル1の暖機運転が完了したと判定した場合、制御部10は、第1水回路5の第1水ポンプ51を起動し、水冷媒熱交換器12において水の加熱を開始する。さらに、制御部10は、温度検知器55が検知した温度が所定値Twh0以上となった場合、HVACユニット7のブロア71からの送風を開始する。
【0050】
図1に示す構成では、水冷媒熱交換器12、第2膨張弁22、室内熱交換器13の順に冷媒が流れており、ブロア71からの送風を開始する前に、冷凍サイクル1の低圧側が加熱されて温度が上昇している。そのため、室内熱交換器13を通過する冷媒の温度は、ブロア71が送風する空気の温度より高くなる。第2膨張弁22で減圧された冷媒は、室内熱交換器13において冷媒の飽和温度より低温の空気で冷却されてエンタルピが減少し、空気が加熱される。
【0051】
空調装置100において、空気の加熱は第1室内水熱交換器52に加えて、室内熱交換器13でも行われることとなり、同等体格の第1室内水熱交換器52のみを用いる構成と比較すると最大暖房能力を大きくすることができる。また、空調装置100において、空気の加熱を第1室内水熱交換器52と室内熱交換器13とで行うことにより、第1室内水熱交換器52のみで空気を加熱する同等の最大暖房能力の構成と比較すると、第1室内水熱交換器52を小型化することができる。
【0052】
圧縮機創熱運転モードにおいては、第1膨張弁21が設けられたバイパス流路により冷凍サイクル1の低圧側を加熱することにより、吸入圧を高くして圧縮機11の消費電力を増大し、暖房能力を向上させることができる。また、次に説明する機器創熱ヒートポンプ運転モードにおいて、圧縮機11を起動する際の暖機時間に比べ、第2水回路9の暖機が必要ないことにより、暖機時間を短くすることができ、ブロア71からの送風を開始するまでの時間を短縮することができる。
【0053】
〔機器創熱ヒートポンプ運転モード〕
このモードでは、第2水回路9により温度を調整しているインバータ、モータ、電池等の機器950に発熱させ、その熱を暖房に利用する。冷凍サイクル1において、制御部10は、第1膨張弁21を全閉、第2膨張弁22を全閉、第3膨張弁23の開度を制御して室温を調整する。このとき、冷媒は、圧縮機11、水冷媒熱交換器12、第3膨張弁23、第2水冷媒熱交換器92、アキュムレータ15、圧縮機11の順に流れる。そして、冷媒は、第2水冷媒熱交換器92において第2水回路9から吸熱し、水冷媒熱交換器12において第1水回路5の水を加熱する。
【0054】
第2水回路9において、水は、第2水ポンプ91、第2三方弁94、機器用熱交換器95、第2水冷媒熱交換器92、第2水ポンプの順に流れる。機器950は、制御部10による制御により発熱量の大きな運転を行い、発生した熱は機器用熱交換器95により水に伝えられる。そして、加熱された水が、第2水冷媒熱交換器92において冷媒を加熱する。
【0055】
第1水回路5において、水は、第1水ポンプ51、水冷媒熱交換器12、第1三方弁54、第1室内水熱交換器52、第1水ポンプ51の順に流れる。水冷媒熱交換器12において冷媒が水を加熱し、第1室内水熱交換器52において水が空気を加熱する。
【0056】
この運転モードにおいては、暖房に圧縮機11の消費電力に加え、機器950で発生した熱を使うことができる。そのため、圧縮機創熱運転モードと比較して、最大暖房能力が大きくすることができ、同じ暖房能力で比べると圧縮機11の回転数を抑えることが可能となる。圧縮機11の回転数を抑えると振動や騒音を小さくすることができ、利便性が向上する。
【0057】
しかしながら、この運転モードでは、第2水回路9の水の温度が低いと圧縮機11の吸入圧が低くなり、圧縮機11が吸入する冷媒の密度が低いため、圧縮機11の消費電力が小さくなってしまう。また、圧縮機11の吸入圧が低いと吐出する冷媒の温度が高くなってしまうので、過昇により長時間運転ができない場合がある。これを回避するためには、第2水回路9の水の温度を上昇させる暖機運転をすればよい。
【0058】
そのため、空調装置100では、圧縮機11の起動時には「圧縮機創熱運転モード」で運転する。このとき、第2水回路9からの吸熱を行わずに、機器950を発熱させて第2水回路9の水を暖機して温度を上昇させる。その後、空調装置100は、「機器創熱ヒートポンプ運転モード」に運転モードを切替える。
【0059】
〔運転モードの選択方法〕
次に、「圧縮機創熱運転モード」と「機器創熱ヒートポンプ運転モード」との選択方法について説明する。
図2は、運転モードの選択方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、制御部10は、外気温が所定値Ta0以下であるか否かを判定する(ステップS1)。
【0060】
制御部10が、外気温が所定値Ta0以下であると判定した場合(ステップS1:Yes)、制御部10は、温度検知器96が検知した第2水回路9の水の温度が所定値Tw0以下であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0061】
制御部10が、第2水回路9の水の温度が所定値Tw0以下であると判定した場合(ステップS2:Yes)、制御部10は、機器950の創熱を開始させる(ステップS3)。さらに、制御部10は、第2水ポンプ91を駆動し、第2水ポンプ91、機器用熱交換器95、第2水冷媒熱交換器92、第2水ポンプ91の順に水を循環させる。制御部10が、機器950を発熱させることにより、機器用熱交換器95において水が加熱され、水の温度が上昇する。このとき、第2水冷媒熱交換器92には冷媒が流れていないので、水と冷媒との熱交換は行われない。
【0062】
続いて、制御部10は、冷凍サイクル1を圧縮機創熱運転モードに設定する(ステップS4)。具体的には、制御部10は、第1膨張弁21を初期開度Vo1、第2膨張弁22を初期開度Vo2、第3膨張弁23を全閉にする。
【0063】
そして、制御部10は、圧縮機11の運転を開始する(ステップS5)。
【0064】
その後、制御部10は、所定の条件として、第2水回路9の水の温度が所定値Tw0を超えたか否かを判定する(ステップS6)。制御部10が、第2水回路9の水の温度が所定値Tw0以下であると判定した場合(ステップS6:No)、ステップS6の処理を繰り返す。換言すると、空調装置100は、第2水回路9の水の温度が所定値Tw0を超えるまで待機状態となる。
【0065】
制御部10が、第2水回路9の水の温度が所定値Tw0を超えたと判定した場合(ステップS6:Yes)、制御部10は、圧縮機創熱運転モードから機器創熱ヒートポンプ運転モードに切替える後述するモード切り換え制御を開始する(ステップS7)。
【0066】
そして、制御部10は、冷凍サイクル1を機器創熱ヒートポンプ運転モードに設定する(ステップS8)。具体的には、制御部10は、第1膨張弁21を全閉、第2膨張弁22を全閉、第3膨張弁23の開度を制御して室温を調整する。
【0067】
その後、制御部10は、機器創熱ヒートポンプ運転モードへの切り替えを完了する(ステップS9)。
【0068】
ステップS2において、制御部10が、第2水回路9の水の温度が所定値Tw0より大きいと判定した場合(ステップS2:No)、制御部10は、ステップS8と同様に、冷凍サイクル1を機器創熱ヒートポンプ運転モードに設定する(ステップS10)。
【0069】
その後、制御部10は、機器創熱ヒートポンプ運転モードの運転を開始する(ステップS11)。
【0070】
ステップS1において、制御部10が、外気温が所定値Ta0より大きいと判定した場合(ステップS1:No)、制御部10は、冷凍サイクル1を後述する外気吸熱ヒートポンプ運転モードに設定する(ステップS12)。
【0071】
その後、制御部10は、外気吸熱ヒートポンプ運転モードの運転を開始する(ステップS13)。
【0072】
〔モード切り換え制御〕
モード切り換え制御では、第2水冷媒熱交換器92において冷媒が水から吸熱できるようにするため、冷凍サイクル1の低圧側の冷媒の飽和温度を水の温度以下にする必要がある。また、第1膨張弁21が設けられているバイパス冷媒を止めるため、第1膨張弁21を全閉にする。さらに、冷媒が室内熱交換器13を流れる経路から、冷媒が第2水冷媒熱交換器92を流れる経路に切り換えるため、第2膨張弁22を全閉にするとともに第3膨張弁23を開く。
【0073】
まず、圧縮機創熱運転モードでは、冷凍サイクル1の低圧側を加熱し、圧縮機11の吸入圧を上昇させ圧縮機11の消費電力を増大させている。このため、低圧側の冷媒の飽和温度は、機器創熱ヒートポンプ運転モードにおける第2水回路9の水の温度より高くなっている。
【0074】
図3は、モード切り換え制御における処理を示すフローチャートである。
図3に示すように、制御部10は、第1水ポンプ51を制御して第1水回路5の水流量を大きくし、水冷媒熱交換器12の放熱量を増加させる(ステップS21)。
【0075】
さらに、制御部10は、第1膨張弁21の開度を調整し、所定値Pd0を目標に吐出圧Pdを制御する(ステップS22)。これにより、水冷媒熱交換器12の放熱量を増加させるとともに、圧縮機11の吐出圧Pdを維持することができる。吐出圧Pdを維持しつつ放熱量を増加させると水冷媒熱交換器12の出口側における冷媒のエンタルピが小さくなる。これに伴って、冷凍サイクル1の低圧側に流入する冷媒のエンタルピが小さくなるため、冷媒の低圧側において吸熱作用が発生し、加熱されていた配管やアキュムレータ15等の温度を低下させて、冷凍サイクル1の低圧側の圧力が低下する。低圧側の圧力が低下すると圧縮機11の吸入圧も低下する。その結果、圧縮機11から吐出される冷媒の流量が少なくなり、このままでは吐出圧Pdが低下してしまう。そこで、バイパス流路に設けられた第1膨張弁21の開度を小さくし、吐出圧Pdを所定値Pd0を目標に制御する。すると、圧縮機11における冷媒の流量の低下分をバイパス流路の冷媒の流量の減少分で補い、吐出圧Pdを維持することができる。
【0076】
続いて、制御部10は、温度検知器311が検知した冷凍サイクル1の低圧側の冷媒の温度Trlと、温度検知器96が検知した第2水回路9の水の温度Twとを比較し、温度Twが温度Trl以上であるか否かを判定する(ステップS23)。制御部10が、温度Twが温度Trlより小さいと判定した場合(ステップS23:No)、ステップS22、S23の処理を繰り返す。換言すると、空調装置100は、温度Twが温度Trl以上となるまで、吐出圧Pdを所定値Pd0に維持しながら待機する。
【0077】
制御部10が、温度Twが温度Trl以上であると判定した場合(ステップS23:Yes)、第2水冷媒熱交換器92において冷媒が水から熱をもらえる状態であるから、第3膨張弁23をΔV3開いて第2水冷媒熱交換器92に冷媒を流す(ステップS24)。
【0078】
その後、制御部10は、第1膨張弁21の開度を調整し、所定値Pd0を目標に吐出圧Pdを制御する(ステップS25)。
【0079】
さらに、制御部10は、第1膨張弁21の開度がゼロであるか否かを判定する(ステップS26)。制御部10が、第1膨張弁21の開度がゼロではないと判定した場合(ステップS26:No)、ステップS24、S25の処理を繰り返す。
【0080】
制御部10が、第1膨張弁21の開度がゼロであると判定した場合(ステップS26:Yes)、第3膨張弁23をΔV3開く(ステップS27)。
【0081】
その後、制御部10は、第2膨張弁22の開度を調整し、所定値Pd0を目標に吐出圧Pdを制御する(ステップS28)。
【0082】
そして、制御部10は、第2膨張弁22の開度がゼロであるか否かを判定する(ステップS29)。制御部10が、第2膨張弁22の開度がゼロではないと判定した場合(ステップS29:No)、ステップS27、S28の処理を繰り返す。
【0083】
制御部10が、第2膨張弁22の開度がゼロであると判定した場合(ステップS29:Yes)、モード切り換え制御を終了する。
【0084】
モード切り換え制御の順番として、第2膨張弁22を先に閉じてから、第1膨張弁21を閉じることも考えられる。しかし、この順番では、室内熱交換器13で放熱していた熱量を水冷媒熱交換器12で放熱することになるため、水冷媒熱交換器12の出口側のエンタルピが小さくなり、冷媒が液相域に入り、過冷却度が大きくなる。過冷却度が大きくなると冷媒の流量の変化や、第2膨張弁22、第3膨張弁23の開度の変化に対する圧縮機11の吐出圧の変化が大きくなるため、制御が不安定になりやすい。これらのことを考慮して、実施の形態1では、第1膨張弁21を第2膨張弁22より先に閉じる制御を行う。
【0085】
以上説明した実施の形態1によれば、暖房の立ち上がりに、圧縮機創熱運転モードで運転することにより、圧縮機11の起動からの立ち上がり時間を短くすることができる。さらに、圧縮機創熱運転モードの間に機器950の発熱により第2水回路9を暖機し、暖気が完了したら機器創熱ヒートポンプ運転モードに切り換えることで、機器950の廃熱を利用してより暖房能力を大きくすること、圧縮機11の回転数を抑えて振動騒音の少ない運転を実現することができる。
【0086】
次に、空調装置100の急速暖房運転以外の運転方法について説明する。
【0087】
〔外気吸熱ヒートポンプ運転モード〕
図2のステップS12で設定され、ステップS13で運転が開始される運転モードである。外気温が所定値Ta0より高い場合、制御部10は、外気吸熱ヒートポンプ運転モードを選択する。外気吸熱ヒートポンプ運転モードは、ヒートポンプにより外気から吸熱し暖房に利用する運転モードである。
【0088】
冷凍サイクル1において、制御部10は、第1膨張弁21を全閉、第2膨張弁22を全閉とし、第3膨張弁23の開度を制御して室温を調整する。冷凍サイクル1において、冷媒は、圧縮機11、水冷媒熱交換器12、第3膨張弁23、第2水冷媒熱交換器92、アキュムレータ15、圧縮機11の順に流れる。
【0089】
第1水回路5において、水は、第1水ポンプ51、水冷媒熱交換器12、第1三方弁54、第1室内水熱交換器52、第1水ポンプ51の順に流れる。水冷媒熱交換器12で冷媒により水が加熱され、第1室内水熱交換器52で水が空気を加熱する。
【0090】
第2水回路9において、水は、第2水ポンプ91、第2三方弁94、第2室外水熱交換器93、第2水冷媒熱交換器92、第2水ポンプ91の順に流れる。第2室外水熱交換器93で外気から吸熱し、第2水冷媒熱交換器92で水から冷媒に熱を与える。
【0091】
〔冷房モード〕
冷凍サイクル1において、制御部10は、第1膨張弁21を全閉、第2膨張弁22の開度を制御して室温を調整し、第3膨張弁23を全閉とする。また、制御部10は、第1三方弁54を水冷媒熱交換器12、第1室外水熱交換器53の順に水が流れる方向に設定する。
【0092】
圧縮機11から吐出した冷媒は、水冷媒熱交換器12で水に放熱、第2膨張弁22で減圧、室内熱交換器13で冷媒が蒸発して空気を冷却する。
【0093】
第1水回路5では、水冷媒熱交換器12で水が加熱され、第1室外水熱交換器53で水が冷却される。
【0094】
〔除湿モード〕
冷凍サイクル1において、制御部10は、第1膨張弁21を全閉、第2膨張弁22の開度を制御して室温を調整し、第3膨張弁23を全閉とする。また、制御部10は、第1三方弁54を水冷媒熱交換器12、第1室内水熱交換器52の順に水が流れる方向に設定する。
【0095】
圧縮機11から吐出した冷媒は、水冷媒熱交換器12で水に放熱、第2膨張弁22で減圧、室内熱交換器13で冷媒が蒸発して除湿する。水回路では、水冷媒熱交換器12で水が加熱され、第1室内水熱交換器52で除湿された空気を温める。
【0096】
〔機器冷却モード〕
冷凍サイクル1において、制御部10は、第1膨張弁21を全閉、第2膨張弁22を全閉、第3膨張弁23の開度を制御して室温を調整する。
【0097】
圧縮機11から吐出した冷媒は、水冷媒熱交換器12で水に放熱、第3膨張弁23で減圧、第2水冷媒熱交換器92で冷媒が蒸発して第2水回路9の水を冷却する。
【0098】
第2水回路9において、水は、第2水ポンプ91、第2三方弁94、機器用熱交換器95、第2水冷媒熱交換器92、第2水ポンプの順に流れる。その結果、第2水冷媒熱交換器92で冷却された水により、機器950を冷やすことができる。
【0099】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2に係る空調装置の構成図である。
図4に示すように、空調装置100Aの冷凍サイクル1Aは、第4膨張弁24を備える。この構成は、圧縮機創熱運転モードにおける暖房運転の立ち上がり時間を短縮するのに有効である。
【0100】
第4膨張弁24は、圧縮機11の吐出部41と水冷媒熱交換器12とを連通する流路(第4流路)の途中に設けられている。第4膨張弁24は、圧縮機創熱運転モードにおいて開閉する制御が行われ、それ以外の運転モードでは全開で使用するため、ここでは圧縮機創熱運転モードについて説明する。
【0101】
〔圧縮機創熱運転モード〕
図5は、実施の形態2に係る空調装置が実行する処理を示すフローチャートである。
図6には、ブロア71が室内に送風を開始するまでの処理を示す。
【0102】
まず、制御部10は、第1膨張弁21を開度Vo1、第2膨張弁22を開度Vo2、第3膨張弁23、第4膨張弁24を全閉にする(ステップS31)。
【0103】
続いて、制御部10は、圧縮機11を起動する(ステップS32)。圧縮機11を起動すると、冷媒は圧縮機11の吐出部41から第1膨張弁21、アキュムレータ15の順に循環し、圧縮機11に戻る。圧縮機11と第1膨張弁21及び第4膨張弁24との間には、熱交換器のような熱容量や内容積の大きなものが設置されていないので、熱容量や内容積が小さい。その結果、圧縮機11の吐出圧の上昇速度を大きくすることができ、吐出圧が大きいほど圧縮機11の圧縮仕事が増大し、圧縮機11の消費電力が増加する。
【0104】
そして、制御部10は、圧縮機11の吐出圧Pdが所定値Pd0以上であるか否かを判定する(ステップS33)。吐出圧Pdが大きいほど圧縮機11の圧縮仕事は増加するが、冷凍サイクル1Aの耐圧設計や運転上の制約などの条件を考慮して制御目標となる所定値Pd0が決定される。制御部10が、吐出圧Pdが所定値Pd0以上ではないと判定した場合(ステップS33:No)、ステップS33の処理を繰り返す。すなわち、制御部10は、吐出圧Pdが所定値Pd0以上になるまで待機する。
【0105】
制御部10が、吐出圧Pdが所定値Pd0以上であると判定した場合(ステップS33:Yes)、制御部10は、第1膨張弁21の開度を調整し、所定値Pd0を目標に吐出圧Pdを制御する(ステップS34)。
【0106】
続いて、制御部10は、圧縮機11起動からの経過時間tが所定時間t0より大きいか否かを判定する(ステップS35)。所定時間t0は、空調装置100を稼働させた際の圧縮仕事や急速暖気運転の暖気時間(ブロア71を稼働させるまでの時間)等を考慮して定めることができる。制御部10が、時間tが所定時間t0以下であると判定した場合(ステップS35:No)、ステップS34に戻り処理を繰り返す。すなわち、制御部10は、時間tが所定時間t0より大きくなるまでステップS34の処理を継続して実行する。この間、圧縮機11の電力により冷凍サイクル1Aが暖機され、そのエネルギーの一部は低圧側にも分配され、圧縮機11の吸入部に連通する低圧側の配管やアキュムレータ15等が加熱されて温度が上昇する。
【0107】
なお、低圧側が加熱され、圧縮機11の吸入圧は上昇するが、冷凍サイクル1Aは低温のままである。そのため、冷凍サイクル1Aが低圧側の配管と連通していると、ヒートパイプと同様の効果により、低圧側の配管内の冷媒が冷凍サイクル1A内に流入し、そこで冷媒が放熱してしまう。これを防止するために、逆止弁32が設けられている。逆止弁32により、冷媒が冷凍サイクル1A内に流入することが防止されているため、放熱損失を低減することができ、効率的に吸入圧を上昇させて圧縮機11の消費電力を増大させることができる。
【0108】
制御部10が、時間tが所定時間t0より大きいと判定した場合(ステップS35:Yes)、制御部10は、第4膨張弁24の開度を調整し、所定値Pd0を目標に吐出圧Pdを制御する(ステップS36)。第4膨張弁24を開くと、冷媒は第4膨張弁24、水冷媒熱交換器12、第2膨張弁22、室内熱交換器13の順に流れ、第1膨張弁21を経由するバイパス配管と合流し、アキュムレータ15を経て圧縮機11に吸入される。
【0109】
図6は、冷凍サイクルの各パラメータの時間変化を表す図である。
図6の(a)は、圧縮機11の吐出圧Pdと、水冷媒熱交換器12の入り口側(第4膨張弁24側)の圧力Pcの時間変化を表す。
図4の(b)~(d)は、第1膨張弁21、第2膨張弁22、第4膨張弁24の開度の時間変化を表す。
図4の(e)は、第1水回路5を流れる水の水流量の時間変化を表す。
【0110】
圧縮機11の吸入圧が時間とともに上昇することにより、圧縮機11の吐出部41から吐出される冷媒の量が増加する。吐出圧Pdを所定値Pd0付近に制御するために、時間t≦t0では第1膨張弁21の開度を調整し、時間t>t0では第1膨張弁21の開度を一定にして第4膨張弁24の開度を調整する。第4膨張弁24の開度が大きくなると、水冷媒熱交換器12の入り口側の圧力Pcが上昇する。
【0111】
空調装置100では、水冷媒熱交換器12の入口側と出口側とにそれぞれ第4膨張弁24と第2膨張弁22とが設けられており、2段膨張を行うことにより水冷媒熱交換器12を加熱するエネルギーの量を調整することができる。その結果、第1膨張弁21を開いても、エネルギーの一部は低圧側の加熱のために分配され、低圧側の加熱が継続されるため、圧縮機11の吸入圧はさらに上昇し消費電力の増大が継続する。
【0112】
続いて、制御部10は、第4膨張弁24の開度が全開に近い開度Vo4以上であるか否かを判定する(ステップS37)。制御部10が、第4膨張弁24の開度が開度Vo4より小さいと判定した場合(ステップS37:No)、ステップS36に戻り処理を繰り返す。すなわち、制御部10は、第4膨張弁24の開度が開度Vo4以上になるまでステップS36の処理を継続して実行する。
【0113】
制御部10が、第4膨張弁24の開度が開度Vo4以上であると判定した場合(ステップS37:Yes)、制御部10は、第1水ポンプ51を起動し、第1水回路5の暖機を開始する(ステップS38)。
【0114】
その後、制御部10は、第1水ポンプ51を制御することにより第1水回路5の水流量を調整し、所定値Pd0を目標に吐出圧Pdを制御する(ステップS39)。なお、制御部10は、
図4の(e)に示すように、第1水ポンプ51の出力を制御して連続流の水流量を調整することにより、水への放熱量を制御してもよい。また、制御部10は、第1水ポンプ51のオン/オフを制御することにより流量を調整し、水への放熱量を制御してもよい。この場合、第1水ポンプ51による微小な流量制御を回避することができ、制御の安定性を向上させること、制御の簡素化を図ることができる。
【0115】
続いて、制御部10は、温度検知器55が検知した水流量Twaが所定水流量Twa0以上であるか否かを判定する(ステップS40)。制御部10が、水流量Twaが所定水流量Twa0より小さいと判定した場合(ステップS40:No)、ステップS39に戻り処理を繰り返す。すなわち、制御部10は、水流量Twaが所定水流量Twa0以上になるまでステップS39の処理を継続して実行する。
【0116】
制御部10が、水流量Twaが所定水流量Twa0以上であると判定した場合(ステップS40:Yes)、制御部10は、第1水回路5の暖機が終了したと判断し、ブロア71からの送風を開始させる(ステップS41)。
【0117】
空調装置100では、水冷媒熱交換器12、第2膨張弁22、室内熱交換器13の順に冷媒が流れ、ブロア71からの送風を開始する前に冷凍サイクル1Aの低圧側が加熱されて温度が上昇している。その結果、室内熱交換器13を通過する冷媒の温度は、送風開始時の空気の温度より高くなる。
【0118】
空調装置100において、空気の加熱は第1室内水熱交換器52に加えて、室内熱交換器13でも行われることとなり、同等体格の第1室内水熱交換器52のみを用いる構成と比較すると最大暖房能力を大きくすることができる。また、空調装置100において、空気の加熱を第1室内水熱交換器52と室内熱交換器13とで行うことにより、第1室内水熱交換器52のみで空気を加熱する同等の最大暖房能力の構成と比較すると、第1室内水熱交換器52を小型化することができる。
【0119】
以上説明した実施の形態2によれば、制御部10は、圧縮機11を起動する際、第1膨張弁21及び第2膨張弁22を所定の開度にするとともに第3膨張弁23及び第4膨張弁24を閉じ、所定時間t0が経過後、第4膨張弁24を開き、その後所定の条件を満たしたと判定した場合、水流量を調整する。その結果、圧縮機11の吐出部41と第1膨張弁21及び第4膨張弁24との間の空間の熱容量及び内容積を小さくすることにより、圧縮機11の起動時における吐出圧の上昇速度を増大させ、圧縮機11の消費電力の立ち上がり速度を向上させることができる。圧縮機11の消費電力が増大すると、圧縮機11の仕事量が増大し、急速暖房時の暖房能力を向上させることができる。
【0120】
〔モード切り換え制御〕
実施の形態2の構成にて圧縮機創熱運転モードで運転をすると、冷凍サイクル1Aの暖機運転の終了時には、第4膨張弁24の開度が全開となっているので、モード切り換え制御については実施の形態1と同じ制御を行えばよい。
【0121】
(実施の形態3)
図7は、実施の形態3に係る空調装置の構成図である。
図7に示すように、空調装置100Bの冷凍サイクル1Bは、室内放熱器121を備え、第1水回路5Bは、室内放熱器を備えていない。
図1に示す第1水回路5が室内放熱器を備え、水回路の熱により暖房運転を行う構成では、水の熱容量のため圧縮機11の起動からブロア71をオンにするまで時間がかかる。これに対して、実施の形態3では、第1水回路5の暖機が不要となるので、暖房運転開始までの立ち上がり時間を短縮することができる。
【0122】
冷凍サイクル1Bは、圧縮機11から吐出した冷媒をさらに分岐した配管に設けられた室内放熱器121を備える。さらに、冷凍サイクル1Bは、室内放熱器121の入口側に設けられた第4膨張弁211と、出口側に設けられた逆止弁321と、を備える。また、冷凍サイクル1Bは、水冷媒熱交換器12の入口側に設けられた第4膨張弁210と、出口側に設けられた逆止弁320と、を備える。
【0123】
〔圧縮機創熱運転モード〕
外気温-20℃のような極低温における急速暖房運転では、制御部10は、第4膨張弁210を常時全閉とすることにより水冷媒熱交換器12への冷媒の流入を防止する。また、水冷媒熱交換器12の出口側には、逆止弁320が設けられているので、出口側から冷媒が流入することも防止されている。制御部10は、第4膨張弁211を実施の形態1の第4膨張弁24と同様に制御する。
【0124】
制御部10が、第4膨張弁211を全閉として圧縮機11を起動すると、冷媒は、第1膨張弁21を経由してアキュムレータ15の吸入側に流れる。圧縮機11起動からの経過時間tが所定時間t0になると、制御部10は、第4膨張弁211を開いて室内放熱器121側にも冷媒を流す。室内放熱器121側を流れる冷媒は、第4膨張弁211、室内放熱器121、逆止弁321、第2膨張弁22、室内熱交換器13の順に流れ、低圧側の配管において第1膨張弁21を通過したバイパス配管側の冷媒と合流し、アキュムレータ15を経て圧縮機11に吸入される。制御部10は、圧縮機11の吐出圧Pdが所定値Pd0となるように、第4膨張弁211の開度を調整する。すると、第4膨張弁211の開度が大きくなるに従って、室内放熱器121内の圧力が上昇する。第4膨張弁211の開度が全開に近い開度である開度Vo4以上となったら、制御部10は、ブロア71を起動して、室内の空気を加熱して暖房を開始する。
【0125】
〔機器創熱ヒートポンプ運転モード〕
冷凍サイクル1Bにおいて、制御部10は、第1膨張弁21を全閉、第2膨張弁22を全閉、第3膨張弁23の開度を制御して室温を調整し、第4膨張弁210を全閉、第4膨張弁211は全開にする。冷凍サイクル1Bにおいて、冷媒は、圧縮機11、第4膨張弁211、室内放熱器121、逆止弁321、第3膨張弁23、第2水冷媒熱交換器92、アキュムレータ15、圧縮機11の順に流れる。第2水冷媒熱交換器92で第2水回路9から吸熱し、室内放熱器121で空気を加熱する。
【0126】
第2水回路9において、水は、第2水ポンプ91、第2三方弁94、機器用熱交換器95、第2水冷媒熱交換器92、第2水ポンプの順に流れる。機器950は、制御部10による制御により、発熱量の大きな運転を行い、発生した熱は、機器用熱交換器95により循環する水に伝えられる。第2水冷媒熱交換器92において、水により冷媒が加熱される。
【0127】
〔モード切り換え制御〕
モード切り換え制御は、実施の形態1と同様に行えばよい。ただし、ステップS21の水冷媒熱交換器12の放熱量を増加させる処理においては、ブロア71の風量を増大させることにより水冷媒熱交換器12の放熱量を増加させる。ブロア71の風量を増大させることにより、暖房能力が増大するが、この増加分は暖機で冷凍サイクル1Bの低圧側を加熱して蓄熱していたものを有効活用したものである。冷凍サイクル1Bの低圧側を加熱することは、圧縮機11の吸入圧の上昇による消費電力の向上だけでなく、モード切り換え制御時に蓄熱したものを有効活用することにより、機器創熱ヒートポンプ運転モードに完全に切り換わる前から暖房能力を向上させることができる。
【0128】
次に、空調装置100Bの急速暖房運転以外の運転方法について説明する。
【0129】
〔冷房運転〕
制御部10は、第1膨張弁21を全閉、第2膨張弁22の開度を制御して室温を調整し、第3膨張弁23を全閉、第4膨張弁210を全開、第4膨張弁211を全閉にする。
【0130】
圧縮機11の吐出部41から吐出した冷媒は、水冷媒熱交換器12で第1水回路5Bに放熱し、第2膨張弁22で減圧、室内熱交換器13で冷媒が蒸発して空気を冷却する。第1水回路5Bでは、水冷媒熱交換器12で水が加熱され、第1室外水熱交換器53で水が冷却される。
【0131】
〔暖房運転〕
制御部10は、第1膨張弁21を全閉、第2膨張弁22を全閉にし、第3膨張弁23の開度を制御して室温を調整し、第4膨張弁210を全閉、第4膨張弁211を全開にする。
【0132】
圧縮機11の吐出部41から吐出した冷媒は、室内放熱器121で室内の空気を温める。その後、冷媒は、第3膨張弁23で減圧され、第2水冷媒熱交換器92で冷媒が蒸発して第2水回路9から吸熱する。
【0133】
〔除湿運転(1)〕
制御部10は、第1膨張弁21を全閉、第2膨張弁22の開度を調整して室温を調整し、第3膨張弁23を全閉、第4膨張弁210を全閉、第4膨張弁211を全開にする。
【0134】
圧縮機11の吐出部41から吐出した冷媒は、室内放熱器121で車室内空気を加熱し、第2膨張弁22で減圧され、室内熱交換器13で冷媒が蒸発して除湿する。
【0135】
〔除湿運転(2)〕
除湿運転(2)は、除湿運転(1)に対して、外気への放熱量を増やして、除湿した空気の温度上昇を抑える運転モードである。
【0136】
制御部10は、第4膨張弁210、及び第4膨張弁211を開き、冷媒は、水冷媒熱交換器12と室内放熱器121とを並列で流れる。水冷媒熱交換器12では、第1水回路5Bに放熱し、室内放熱器121では、室内の空気を温める。第1水ポンプ51により第1水回路5Bの水流量を調整することにより、水への放熱量を調整することができる。水への放熱量が小さい場合、第1水ポンプ51による水流量の調整が難しい場合があるが、その場合には、第1水ポンプ51のオン/オフを切り替える制御を行ってもよい。水冷媒熱交換器12からの冷媒と、室内放熱器121からの冷媒とは合流し、第2膨張弁22で減圧され、室内熱交換器13で冷媒が蒸発して除湿する。
【0137】
(実施の形態4)
図8は、実施の形態4に係る空調装置の構成図である。
図8に示すように、空調装置100Cの第2水回路9Cは、発熱可能なインバータ等である機器950と、第2水回路9Cを循環する水と機器950との間の熱交換を行う機器用熱交換器95と、発熱可能な電池等である機器970と、第2水回路9Cを循環する水と機器970との間の熱交換を行う機器用熱交換器97と、を備える。空調装置100Cは、複数の発熱可能な機器を備えていてもよい。
【0138】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わしかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0139】
1、1A、1B 冷凍サイクル
5、5B 第1水回路
7 HVACユニット
9、9c 第2水回路
10 制御部
11 圧縮機
12 水冷媒熱交換器
13 室内熱交換器
14 室外熱交換器
15 アキュムレータ
21 第1膨張弁
22 第2膨張弁
23 第3膨張弁
24、210、211 第4膨張弁
31 圧力検知器
32 逆止弁
41 吐出部
51 第1水ポンプ
52 第1室内水熱交換器
53 第1室外水熱交換器
54 第1三方弁
55 温度検知器
71 ブロア
72 ダンパ
91 第2水ポンプ
92 第2水冷媒熱交換器
93 第2室外水熱交換器
94 第2三方弁
95 機器用熱交換器
100、100A、100B、100C 空調装置
121 室内放熱器
140 送風用ファン
311 温度検知器
320 逆止弁
321 逆止弁
530、930 送風用ファン
950、970 機器