(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180967
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20231214BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20231214BHJP
H01M 50/474 20210101ALI20231214BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20231214BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20231214BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/55 101
H01M50/474
H01G11/78
H01G11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094670
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】大井手 竜二
(72)【発明者】
【氏名】前田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
【テーマコード(参考)】
5E078
5H021
5H028
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AB02
5E078HA23
5E078JA07
5E078KA01
5E078KA06
5H021AA09
5H021CC09
5H021HH10
5H028AA05
5H028CC05
5H028CC07
5H028CC08
5H028CC11
5H028CC19
5H043AA04
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA13
5H043JA13D
5H043JA26D
(57)【要約】
【課題】バイポーラ電極と拘束板との間の絶縁性の低下を抑制できる蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置は、積層体、一対の集電板及び一対の絶縁板を第1方向から挟んで拘束する拘束板と、第1方向及び第2方向の両方に交差する第3方向と第1方向とに延在する拘束板の側面に設けられ、端子ボルトが固定された端子台と、を備え、拘束板は、第1方向から見て、端子台が固定された側面よりも第2方向に張り出した一対の張出部を有する、蓄電装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバイポーラ電極を含む電極が第1方向に沿って積層された蓄電モジュールを有する積層体と、
前記第1方向において前記積層体の両端に積層される一対の集電板と、
前記積層体及び前記一対の集電板を前記第1方向から挟む一対の絶縁板と、
前記積層体、前記一対の集電板及び前記一対の絶縁板を前記第1方向から挟んで拘束する拘束板と、
少なくとも一つの前記集電板の端子に電気的に接続された前記第1方向に交差する第2方向に突出する端子ボルトが固定され、前記拘束板における前記第1方向及び前記第2方向の両方に交差する第3方向と前記第1方向とに延在する第1側面に設けられた端子台と、を備え、
前記拘束板は、前記第1方向から見て、前記端子台が固定された前記第1側面よりも前記第2方向に張り出した一対の張出部を有し、
前記端子台は、前記第1方向から見て、前記一対の張出部同士の間に配置されており、
前記絶縁板は、前記端子台の少なくとも一部を覆う端子台保護部を含み、
前記第2方向において、前記一対の張出部は、前記端子台保護部よりも張り出している、蓄電装置。
【請求項2】
前記絶縁板は、前記第1方向に沿って起立する周壁を有し、
前記周壁は、
前記第3方向において前記張出部が形成された範囲で、隣接する前記拘束板から前記第1方向に沿って離れる向きに起立する第1壁部と、
前記第3方向において前記一対の張出部同士の間の範囲で、前記第1方向に沿って前記第1壁部とは逆向きに起立する第2壁部と、を有する、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記第1壁部は、前記第1方向から見て前記第3方向に沿った第1側壁を有し、
前記第2方向において、前記一対の張出部は、前記第1側壁よりも張り出している、請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記第2壁部は、前記第1方向から見て前記第3方向に沿って前記第1側面を覆う第2側壁を有し、
前記第2方向において、前記第1側壁は、前記第2側壁よりも張り出している、請求項3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第2壁部は、前記張出部における前記第2方向に沿う第2側面を覆うように、前記第1方向から見て前記第2方向に沿った第3側壁を有し、
前記第2側壁及び前記第3側壁は、互いに連続しており、前記拘束板の前記第1側面及び前記第2側面を覆っている、請求項4記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄電装置が開示されている。この蓄電装置は、積層された複数の電池と、複数の電池を挟み込む拘束部材と、複数の電池と拘束部材とを電気的に絶縁する絶縁スペーサと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2020/026966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、積層されたバイポーラ電極を拘束板によって積層方向に拘束する構成では、バイポーラ電極と拘束板とを電気的に絶縁するために、バイポーラ電極と拘束板との間に絶縁部材が配置され得る。このような構造においては、例えばバイポーラ電極の積層方向に交差する方向に沿って蓄電装置に外部からの力が加わった場合などに、絶縁部材が破損してしまうと、バイポーラ電極と拘束板との間の絶縁性が低下することが考えられる。
【0005】
本開示は、バイポーラ電極と拘束板との間の絶縁板の損傷を抑制できる蓄電装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の蓄電装置は、複数のバイポーラ電極を含む電極が第1方向に沿って積層された蓄電モジュールを有する積層体と、第1方向において積層体の両端に積層される一対の集電板と、積層体及び一対の集電板を第1方向から挟む一対の絶縁板と、積層体、一対の集電板及び一対の絶縁板を第1方向から挟んで拘束する拘束板と、少なくとも一つの集電板の端子に電気的に接続された第1方向に交差する第2方向に突出する端子ボルトが固定され、拘束板における第1方向及び第2方向の両方に交差する第3方向と第1方向とに延在する第1側面に設けられた端子台と、を備え、拘束板は、第1方向から見て、端子台が固定された第1側面よりも第2方向に張り出した一対の張出部を有し、端子台は、第1方向から見て、一対の張出部同士の間に配置されており、絶縁板は、端子台の少なくとも一部を覆う端子台保護部を含み、第2方向において、一対の張出部は、端子台保護部よりも張り出している。
【0007】
上記の蓄電装置では、一対の絶縁板が拘束板によって第1方向から挟まれている。そして、第2方向において、拘束板に形成された張出部は、第2方向において端子台保護部よりも張り出しており、この端子台保護部は、一対の張出部同士の間に配置された端子台を覆っている。このような構成により、蓄電装置に対して第2方向又は第3方向に加わる外力は、一対の張出部に作用しやすい。例えば、蓄電装置が第2方向に相対的に移動することで壁面等に接触した場合、第2方向に張り出した張出部のみが壁面等に接触する。この場合、一対の張出部同士の間に位置する絶縁板の端子台保護部の損傷が抑制される。このように、上記の蓄電装置では、絶縁板の損傷が抑制される。
【0008】
一例の絶縁板は、第1方向に沿って起立する周壁を有し、周壁は、第3方向において張出部が形成された範囲で、隣接する拘束板から第1方向に沿って離れる向きに起立する第1壁部と、第3方向において一対の張出部同士の間の範囲で、第1方向に沿って第1壁部とは逆向きに起立する第2壁部と、を有してもよい。この構成では、絶縁板に形成された周壁の内側に液体が溜まることが抑制される。
【0009】
一例の第1壁部は、第1方向から見て第3方向に沿った第1側壁を有し、第2方向において、一対の張出部は、第1側壁よりも張り出してもよい。この構成では、例えば、蓄電装置が第2方向に相対的に移動することで壁面等に接触した場合、第2方向に張り出した張出部のみが壁面等に接触する。この場合、張出部よりも第2方向に凹んでいる第1側壁の損傷が抑制される。
【0010】
一例の第2壁部は、第1方向から見て第3方向に沿って第1側面を覆う第2側壁を有し、第2方向において、第1側壁は、第2側壁よりも張り出してもよい。この構成では、周壁の分だけ集電板と拘束板との間の絶縁距離を長くすることができる。
【0011】
一例の第2壁部は、張出部における第2方向に沿う第2側面を覆うように、第1方向から見て第2方向に沿った第3側壁を有し、第2側壁及び第3側壁は、互いに連続しており、拘束板の第1側面及び第2側面を覆ってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、バイポーラ電極と拘束板との間の絶縁性の低下を抑制できる蓄電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】一例の蓄電装置における、Y軸方向の一方側の端部の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】一例の蓄電装置において、端子カバーが装着された状態を示す斜視図である。
【
図4】一例の蓄電装置における、端子台の近傍を示す斜視図である。
【
図5】一例の蓄電装置における、Y軸方向の他方側の端部の構成を説明するための図である。
【
図6】一例の蓄電装置における、Y軸方向の他方側の端部の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。なお、図面には、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を有する直交座標系が示される。以下、Z軸方向を上下方向として説明する場合がある。また、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の一方側及び他方側を各座標軸の向きに応じて正側及び負側として説明する場合がある。
【0015】
図1は、一例の蓄電装置の概略図である。
図2は、一例の蓄電装置における、Y軸方向の端部の構成を示す分解斜視図である。蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。一例の蓄電装置1は、積層された複数のバイポーラ電極を含む積層体2と、集電板5A,5Bと、絶縁板20A,20Bと、拘束板8A,8Bと、端子台70とを含む。本明細書では、便宜上、バイポーラ電極を含む電極の積層方向をZ軸方向とし、積層方向に略直交する方向であって、積層方向から見た蓄電モジュール3の長手方向をY軸方向とし、積層方向に略直交する方向であって、蓄電モジュール3の短手方向をX軸方向としている。本実施形態において、Z軸方向は鉛直方向に一致しており、Z軸方向の正側が鉛直方向上側に一致し、Z軸方向の負側が鉛直方向下側に一致する。
【0016】
一例の積層体2は、複数(本実施形態では7つ)の蓄電モジュール3と、複数(本実施形態では6つ)の導電板5Cと、を含む。蓄電モジュール3は、バイポーラ電極を含む複数の電極が積層されることにより構成されている。積層体2は、蓄電モジュール3と導電板5Cとが、交互に積層されてなる。なお、積層体2は、蓄電モジュール3を1つのみ有していてもよく、その場合、導電板5Cを有さない。蓄電モジュール3は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池である。ただし、蓄電装置1は、上記二次電池に限られず、例えば電気二重層キャパシタであってもよい。本実施形態では、蓄電装置1は、ニッケル水素二次電池である。
【0017】
蓄電モジュール3のバイポーラ電極は、電極板の一方の面である第1面(例えば下面)に正極(正極活物質層)が形成され、他方の面である第2面(例えば上面)に負極(負極活物質層)が形成されている。蓄電モジュール3は、バイポーラ電極とセパレータとが交互に複数枚積層されることによって構成された電極積層体13を含む(
図2参照)。また、電極積層体13の側面には枠状の絶縁性の樹脂からなるシール部材14(封止部)が設けられている。すなわち、電極積層体13の側面は、シール部材14でシールされている。電極積層体13の内部では、Z軸方向に隣り合う電極とシール部材14とによって画成された空間内に電解液(電解質)が封入されている。
【0018】
なお、蓄電モジュール3は、Z軸方向において両端に正極側及び負極側の電流取出面13aを有する正極終端電極及び負極終端電極を備える。電流取出面13aは、蓄電モジュール3から電流を取り出す面であり、シール部材14から電極積層体13の電極が露出することによって形成される。すなわち、正極終端電極は、電極板と電極板の第1面に設けられた正極とを有し、電極板の第2面がシール部材14から露出することによって電流取出面13aを形成している。また、負極終端電極は、電極板と電極板の第2面に設けられた負極とを有し、電極板の第1面がシール部材14から露出することによって電流取出面13aを形成している。
【0019】
複数の蓄電モジュール3は、導電板5Cを介してZ軸方向に積層されている。Z軸方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3同士は、導電板5Cを介して電気的に接続されている。すなわち、積層体2は、蓄電モジュール3と導電板5Cとが交互に積層されることによって構成されている。Z軸方向に互いに隣り合う蓄電モジュール3間において、導電板5Cは、矩形板状に形成されており、互いに対向する電極積層体13の電流取出面13a間に接触配置されている。
【0020】
図1に示すように、集電板5A,5Bは、積層体2の積層方向でもあるZ軸方向(第1方向)において積層体2の両端である一方端及び他方端に積層されている。すなわち、一対の集電板5A,5Bは、積層方向であるZ軸方向において積層体2を挟む位置に配置される。一例の集電板5Aは、積層体2の一方端に位置する蓄電モジュール3の電極積層体13の負極側の電流取出面13aに接触される矩形板状の本体部15と、本体部15の外縁部15aを基端としてY軸方向に突出する負極端子7(端子)とを有する。例えば、負極端子7は、板状をなしており、本体部15に対して一体的に形成されている。
【0021】
集電板5Bは、集電板5Aと同様の形状を有している。すなわち、集電板5Bは、積層体2の他方端に位置する蓄電モジュール3の電極積層体13の正極側の電流取出面13aに接触される矩形板状の本体部15と、本体部15の外縁部15aを基端としてY軸方向に突出する正極端子6(端子)とを有する。蓄電装置1の充放電は、負極端子7及び正極端子6を介して実施される。なお、一例において、負極端子7は、X軸方向の正側に寄った位置に設けられ、正極端子6は、X軸方向の負側に寄った位置に設けられる。以下の説明では、集電板5A,5Bを集電板5という場合がある。
【0022】
拘束板8は、積層体2及び集電板5A,5BをZ軸方向において拘束する。拘束板8は、Z軸方向から見た蓄電モジュール3の面積よりも一回り大きい面積を有する略矩形の金属板である。拘束板8は、Z軸方向から見て積層体2に重なる本体部11と、本体部11からX軸方向に延在するとともにZ軸方向から見て積層体2に重ならない縁部10と、を有する。本実施形態では、一対の縁部10は、X軸方向における本体部11の両側に設けられている。すなわち、本体部11は、一対の縁部10に挟まれている。
【0023】
縁部10は、Z軸方向の内側を向く内面10bと、Z軸方向の外側を向く外面10aと、を有している。本体部11は、Z軸方向の内側(Z軸方向における蓄電モジュール3側)を向く内面11bと、内面11bとは反対側の面である、Z軸方向の外側(Z軸方向における蓄電モジュール3とは反対側)を向く外面11aと、を有している。外面10aは、外面11aの端縁からX軸方向の外側に向かってZ軸方向の内側に傾斜するように延在している。内面10bは、内面11bよりもZ軸方向の内側に位置している。
【0024】
一対の縁部10は、拘束板8の長手方向(Y軸方向)に延在する外縁部分である。一対の縁部10は、Z軸方向から見て積層体2と重ならないように配置されている。各縁部10には、ボルト9aが挿通される複数の挿通孔10cが設けられている。
図2に示すように、一例の挿通孔10cは、外面10aがXY平面に沿うように形成された切欠き状部分に設けられている。各縁部10において、複数の挿通孔10cは、拘束板8の長手方向(Y軸方向)に沿って互いに離間するように配置されている。本実施形態では、複数の挿通孔10cは、拘束板8の長手方向における縁部10の一端から他端まで等間隔に配置されている。図示例では、縁部10のX軸方向の外端縁に、Z軸方向の内側に突出する突出部10dが形成されている。複数の挿通孔10cは、突出部10dを貫通している。
【0025】
ボルト9aの頭部は、拘束板8Aの外面10a上に配置されている。ボルト9aの軸部の先端部(ネジ先)は、拘束板8Bの外面10aから突出している。ボルト9aの先端部には、ナット9bが螺合されている。ナット9bは、拘束板8Bの外面10a上に配置されている。これにより、複数の蓄電モジュール3、複数の導電板5C及び集電板5A,5Bが、拘束板8A,8Bによって挟持されている。また、Z軸方向の拘束荷重が積層体2に対して付加されている。
【0026】
また、拘束板8は、張出部18を有する。張出部18は、本体部11の側面8a(第1側面)よりもY軸方向に張り出した部分である。すなわち、張出部18は、Z軸方向から見て、Y軸方向に沿って外方に向かって突出している。側面8aは、拘束板8の本体部11において、X軸方向(第3方向)とZ軸方向とに沿って延在しており、後述のように端子台70の設置が可能な面である。一例の張出部18は、本体部11の側面8aのうち、X軸方向の両端であって、縁部10が形成された範囲を含む位置に形成されている。図示例の張出部18は、拘束板8のX軸方向の両端縁から縁部10を越える位置まで形成されている。一対の張出部18は、X軸方向に互いに対面する側面8b(第2側面)を有する。また、一対の張出部18は、側面8aに平行な側面8c(第3側面)を有する。側面8cは、Y軸方向における端面である。
【0027】
絶縁板20A,20Bは、拘束板8と集電板5A,5Bとの間を電気的に絶縁する。集電板5Aと拘束板8Aとの間には、絶縁板20Aが設けられる。絶縁板20Aは、集電板5Aと拘束板8Aとの間の絶縁性を確保するための部材であり、例えば絶縁性を有する樹脂によって形成されている。また、集電板5Bと拘束板8Bとの間には、絶縁板20Bが設けられる。絶縁板20Bは、集電板5Bと拘束板8Bとの絶縁性を確保するための部材であり、例えば絶縁性を有する樹脂によって形成されている。
【0028】
端子台70は、拘束板8の端子台設置面である側面8aに設けられている。端子台70は、Z軸方向から見て、一対の張出部18同士の間に配置されている。一例の蓄電装置1では、拘束板8A,8Bのそれぞれに同様に端子台70が設けられている。拘束板8Aに設けられた端子台70には、集電板5Aの負極端子7が固定されている。拘束板8Bに設けられた端子台70には、集電板5Bの正極端子6が固定されている。一例の端子台70は、X軸方向に長手方向を有する略直方体形状の台座部71を有する。台座部71は、例えば絶縁性を有する樹脂によって形成されている。図示例の台座部71では、X軸方向の両端側の部分におけるY軸方向に沿った大きさが、X軸方向の中央部分におけるY軸方向に沿った大きさよりも小さい。すなわち、台座部71は、X軸方向の中央においてY軸方向に突出した中央部72と、X軸方向の両端側において中央部72よりもY軸方向に凹んだ一対の端部73,75とを含む。台座部71の中央部72にはZ軸方向に突出する端子ボルト32が設けられている。
【0029】
端子台70の台座部71は、拘束板8の側面8aに固定ボルト19で固定されている。一例では、台座部71を構成する一対の端部73,75にY軸方向に端子台70を貫通する貫通孔がそれぞれ形成されている。台座部71は、貫通孔に挿通された固定ボルト19が拘束板8Aの側面8aに締結されることにより、側面8aに固定される。台座部71は、少なくとも蓄電モジュール3よりもY軸方向の負側へ突出する。
【0030】
図3は、一例の蓄電装置において、端子カバーが装着された状態を示す斜視図である。
図3では、負極端子7側の端子台70に装着された端子カバー100が示されているが、正極端子6側の端子台70についても、同様に端子カバー100が装着されてよい。
図3に示すように、蓄電装置1の端子台70には、負極端子7及び端子ボルト32を覆う端子カバー100が装着されてもよい。端子ボルト32に接続された配線36は、端子カバー100によって、端子ボルト32の軸方向であるY軸方向に沿うように保持される。一例において、端子カバー100は、端子ボルト32に接続された配線36を外部に導くための開口128を備えてもよい。なお、配線36をY軸方向に沿って保持するとは、配線36がXZ平面に交差した状態で保持されていればよく、配線36の延在方向がY軸方向に完全に一致している必要はない。
【0031】
一例の端子カバー100は、樹脂によって形成されている。例えば、端子カバー100を構成する樹脂は、蓄電モジュール3の電解液に対する耐性を有していてもよい。例えば、蓄電モジュール3がニッケル水素二次電池である場合、樹脂の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0032】
端子カバー100は、Z軸方向から見て、一対の張出部18同士の間に配置された端子台70に取り付けられている。端子カバー100は端子台70を覆っているため、
図3において端子台70は描画されていない。端子カバー100は、一対の張出部18同士の間において、一方の張出部18の側に偏って配置されてもよい。一例においては、負極端子7がX軸方向の正側に寄った位置に設けられているため、負極端子7に装着される端子カバー100は、X軸方向の正側に設けられた張出部18に近接して配置されている。例えば、端子カバー100と張出部18との間の距離は、配線36の直径よりも小さくてもよい。また、端子カバー100と張出部18とは、互いに接触していてもよい。
【0033】
図4は、一例の蓄電装置における、端子台の近傍の構造を説明するための図である。
図4では、蓄電装置1における正極側の端子台の近傍が示されている。
図4では、蓄電装置1から端子カバー100が取り外された状態が示されている。なお、一例の蓄電装置1においては、負極端子の近傍も同様の構成を有している。
【0034】
図4に示すように、正極端子6は、第1の片部41と、第2の片部42と、屈曲部47とを有することで、X軸方向から見て略L字状に構成される。第1の片部41は、Z軸方向からみて、本体部15の縁である外縁部15aからY軸方向へ延びる板状の部分である。第2の片部42は、第1の片部41の先端部から端子台70側(Z軸方向の正側)へ積層方向に沿って屈曲し、端子台70に取り付けられる板状の部分である。第2の片部42の略中央位置には、Y軸方向に貫通する貫通孔43が形成される。当該貫通孔43には、端子ボルト32が挿通される。
【0035】
端子ボルト32は、台座部71における中央部72の端面からY軸方向に突出している(
図2参照)。Y軸方向における端子ボルト32の先端は、例えば、張出部18の側面8cよりもY軸方向の負側に位置していてよい。端子ボルト32は、Y軸方向の負側へ向かって、Y軸方向と平行に延びる。この端子ボルト32に対しては、正極端子6の第2の片部42と、配線36に接続された接続端子とが、端子ボルト32に締結されたナット(不図示)に押圧される形で取り付けられる。
【0036】
第1の片部41及び第2の片部42は、いずれもX軸方向に平行に広がっており、両者のX軸方向の大きさは同一である。屈曲部47は、第1の片部41と第2の片部42とを接続する部分であり、正極端子6を構成する板材が屈曲することで形成される。
【0037】
正極端子6には、当該正極端子6に作用する応力を緩和するバネ部50が形成される。このバネ部50は、端子ボルト32に取付けられた正極端子6に作用する応力を緩和し得る。一例のバネ部50は、曲げ部51と、延在部53と、曲げ部52とを含む。曲げ部51は、正極端子6のY軸方向の正側の端部であって外縁部15aと正極端子6とが接続される領域に形成されており、第1の片部41をZ軸方向において端子台70側に湾曲させる部分である。延在部53は、曲げ部51からY軸方向に沿って延びる部分である。曲げ部52は、延在部53のY軸方向の負側の端部から曲げ部51と逆側に第1の片部41を湾曲させる部分である。
【0038】
絶縁板20は、本体部21と、壁部24(周壁)と、を有する。絶縁板20の本体部21は、集電板5の本体部15と拘束板8の本体部11との間に配置される平板状の部分である。本体部21は、Y軸方向に長手方向を有する略長方形状をなしている。
【0039】
壁部24は、絶縁板20の周縁からY軸方向の正側又は負側に向かって起立する。例えば、壁部24は、第1壁部24Aと第2壁部24Bとを含む。第1壁部24Aは、X軸方向において張出部18が形成された範囲に形成されている。第1壁部24Aは、隣接する拘束板8からZ軸方向に沿って離れる向きに起立している。すなわち、第1壁部24Aは、Z軸方向の正側に向かって起立している。また、第2壁部24Bは、X軸方向において一対の張出部18同士の間の範囲に形成されている。第2壁部24Bは、隣接する拘束板8の側面8aに沿う向きに起立している。すなわち、第2壁部24Bは、Z軸方向の負側に向かって起立している。
【0040】
第1壁部24Aは、Z軸方向から見てX軸方向に沿った側壁25a(第1側壁)と、Y軸方向に沿った側壁25bとを含む。側壁25aと側壁25bとは本体部21の角で互いに接続されている。側壁25a及び側壁25bは、Z軸方向において互いに同じ高さを有していてもよい。図示例では、側壁25a及び側壁25bは、Z軸方向において突出部10dと略同じ高さを有している。側壁25aは、張出部18の側面8cよりもY軸方向の正側に位置している。すなわち、張出部18は、側壁25aよりもY軸方向に張り出している。側壁25bは、突出部10dに沿って形成されている。側壁25bと突出部10dとの間には間隙が形成されていてよい。
【0041】
第2壁部24Bは、Z軸方向から見てX軸方向に沿った側壁25c(第2側壁)と、Y軸方向に沿った側壁25d(第3側壁)とを含む。側壁25cは、拘束板8の側面8aに沿って延在し、側面8aを覆っている。側壁25cは、側壁25aよりもY軸方向の正側に位置している。側壁25dは、側壁25cにおけるX軸方向の両端において、側壁25cに連続して形成されている。側壁25dは、張出部18の側面8bに沿って形成されており、側面8bの一部(図示例ではY軸方向の正側の領域)を覆っている。側壁25dは、張出部18の側面8cよりもY軸方向の正側に位置している。側壁25dのY軸方向の負側の端縁の位置は、側壁25aの位置に一致している。
【0042】
一例において、側壁25cには、端子台70及び固定ボルト19の少なくとも一部を被覆する端子台保護部16が形成される。端子台保護部16は、側壁25cからY軸方向の負側へ突出するように設けられる。端子台保護部16は、内部に端子台70の台座部71を収容するような、箱形の形状を有している。
【0043】
端子台保護部16は、本体部21からY軸方向の負側へ延びる上壁部22と、側壁25cからY軸方向負側へ延びる一対の側壁部23,23と、上壁部22及び側壁部23,23のY軸方向の負側の端部において側壁25cと平行に延在する端壁部26と、を有する。上壁部22は、端子台70を上から覆うように配置される。上壁部22には、他の領域よりも下方へ向かって窪んだ凹部27が形成されている。凹部27は、Z軸方向からみて、正極端子6のバネ部50と重複しており、バネ部50を収容するようになっている。
【0044】
側壁部23,23は、端子台70をX軸方向の両側から覆うように配置される。端壁部26は、Y軸方向において、端子台70の端部(端面)を覆うように配置される。端壁部26は、端子台70の中央部72の位置において、当該中央部72が露出するように開口している。また、端壁部26の開口が形成された位置には、側壁部23に対向する袖壁部26aが形成されている(
図2参照)。端子台70を側面8aに固定する固定ボルト19は、側壁部23、上壁部22、端壁部26及び袖壁部26aによって形成される空間内に収容され得る。
【0045】
端子台保護部16の端壁部26は、張出部18の側面8cよりも、Y軸方向の正側に位置している。換言すると、張出部18は、端子台保護部16よりもY軸方向の負側に突出している。すなわち、張出部18は、端子台70よりもY軸方向の負側に突出している。一例において、Y軸方向における端壁部26の位置は、側壁25aの位置と同じであってもよい。なお、図示例においては、X軸方向のいずれの位置においても、絶縁板20は張出部18の側面8cよりもY軸方向の正側に位置している。
【0046】
図5及び
図6は、一例の蓄電装置における、Y軸方向の正側の端部の構成を説明するための図である。
図5は、
図6の分解図である。
図5及び
図6では、拘束板8と絶縁板20のみが示されている。Y軸方向の正側において、拘束板8は、一対の張出部18を有している。一対の張出部18の構成は、Y軸方向の正側と負側とで同様となっている。ただし、拘束板8は、Y軸方向の正側に端子台を有していない。一対の張出部18同士の間において、拘束板8は、XZ平面に沿った側面8aを有している。
【0047】
絶縁板20は、X軸方向において張出部18が形成された範囲では、Y軸方向の負側と同様に、第1壁部24Aを有している。X軸方向において一対の張出部18同士の間の範囲では、絶縁板20は液受部24Cを有している。液受部24Cは、蓄電モジュール3に設けられた圧力調整弁(不図示)から排出された電解液を受けるための部分である。
【0048】
液受部24Cは、底壁部28及び収容側壁部29を有しており、底壁部28及び収容側壁部29によって凹状に構成されている。収容側壁部29は、四方を囲む枠状を呈しており、絶縁板20の本体部21よりもZ軸方向の負側に突出している。底壁部28は、収容側壁部29によって囲まれる矩形の空間の底面を形成する。図示例の底壁部28は、X軸方向の正側に向かうにつれて、Z軸方向の負側に傾斜している。底壁部28には、受止めた電解液を外部に排出するための排出口28aが設けられている。
【0049】
液受部24Cは、一対の張出部18の側面8cよりもY軸方向の負側に位置している。すなわち、一対の張出部18は、液受部24CよりもY軸方向の正側に張り出している。また、液受部24Cは、一対の張出部18よりもZ軸方向において正側に位置していてよい。すなわち、一対の張出部18は、液受部24CよりもZ軸方向の負側に張り出している。
【0050】
以上説明したように、蓄電装置1は、Z軸方向に積層された複数のバイポーラ電極を含む積層体2と、Z軸方向において積層体2の両端に積層される一対の集電板5と、積層体2及び一対の集電板5をZ軸方向から挟む一対の絶縁板20と、積層体2、一対の集電板5及び一対の絶縁板20をZ軸方向から挟んで拘束する拘束板8と、集電板5の端子に電気的に接続されたY軸方向に突出する端子ボルト32が固定され、拘束板8におけるX軸方向とZ軸方向とに延在する側面8aに設けられた端子台70と、を備え、拘束板8は、Z軸方向から見て、端子台70が固定された側面8aから、Y軸方向に張り出した一対の張出部18を有し、端子台70は、Z軸方向から見て、一対の張出部18同士の間に配置されており、Y軸方向において、一対の張出部18は、端子台保護部16よりも張り出している。
【0051】
上記の蓄電装置1では、一対の絶縁板20が拘束板8によってZ軸方向から挟まれている。そして、Y軸方向(第2方向)において、拘束板8に形成された張出部18は、Y軸方向において端子台保護部16よりも張り出しており、この端子台保護部16は、一対の張出部18同士の間に配置されている。このような構成により、蓄電装置1に対してY軸方向又はX軸方向に加わる外力は、一対の張出部18に作用しやすく、端子台保護部16が外力から保護されやすい。例えば、蓄電装置1がY軸方向に相対的に移動することで壁面等に接触した場合、Y軸方向に張り出した張出部18のみが壁面等に接触する。この場合、一対の張出部18同士の間に位置する絶縁板20の端子台保護部16の損傷が抑制される。また、Y軸方向の端部においてX方向に沿って蓄電装置1に物体が衝突した場合、一対の張出部18同士の間に位置する端子台保護部16の損傷が抑制される。蓄電装置1では、絶縁板20(端子台保護部16)の損傷が抑制されるため、バイポーラ電極と拘束板8との間の絶縁性の低下を抑制できる。
【0052】
なお、上記の蓄電装置1では、Y軸方向の正側の端部において、液受部24Cは、Z軸方向から見て、一対の張出部18同士の間に配置されており、Y軸方向において、一対の張出部18は、液受部24Cよりも張り出している。そのため、Y軸方向の正側においても、一対の張出部が保護部材として機能することにより、液受部24C(絶縁板)の損傷が抑制される。
【0053】
一例の絶縁板20は、Z軸方向に沿って起立する壁部24を有し、壁部24は、X軸方向において張出部18が形成された範囲で、隣接する拘束板8からZ軸方向に沿って離れる向きに起立する第1壁部24Aと、X軸方向において一対の張出部18同士の間の範囲で、Z軸方向に沿って第1壁部24Aとは逆向きに起立する第2壁部24Bと、を有してもよい。この構成では、絶縁板20に形成された壁部24の内側に液体が溜まることが抑制される。
【0054】
一例の第1壁部24Aは、Z軸方向から見てX軸方向に沿った側壁25aを有し、Y軸方向において、一対の張出部18は、側壁25aよりも張り出してもよい。この構成では、例えば、蓄電装置1がY軸方向に相対的に移動することで壁面等に接触した場合、Y軸方向に張り出した張出部18のみが壁面等に接触する。この場合、張出部18よりもY軸方向に凹んでいる側壁25aの損傷が抑制される。
【0055】
一例の第2壁部24Bは、Z軸方向から見てX軸方向に沿って側面8aを覆う側壁25cを有し、Y軸方向において、側壁25aは、側壁25cよりも張り出してもよい。この構成では、側壁25aの位置における集電板と拘束板8との間の絶縁距離を側壁25aの張り出し長の分だけ長くすることができる。
【0056】
一例の第2壁部24Bは、張出部18におけるY軸方向に沿う側面8bを覆うように、Z軸方向から見てY軸方向に沿った側壁25dを有し、側壁25c及び側壁25dは、互いに連続しており、拘束板8の側面8a及び側面8bを覆ってもよい。この構成では、絶縁板20に形成された壁部24の内側に溜まった液体を側壁25c及び側壁25dに沿って排出することができる。
【0057】
以上、実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られない。
【0058】
Y軸方向における端子ボルト32の先端が、張出部18の側面8cよりもY軸方向の負側に位置した例を示したが、端子ボルト32の先端は、張出部18の側面よりもY軸方向の正側に位置してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…蓄電装置、2…積層体、5…集電板、6…正極端子(端子)、8…拘束板、8a…側面(第1側面)、8b…側面(第2側面)、16…端子台保護部、18…張出部、20…絶縁板、24…壁部(周壁)、25a…側壁(第1側壁)、25c…側壁(第2側壁)、25d…側壁(第3側壁)、32…端子ボルト、70…端子台、100…端子カバー。