(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180978
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】アンテナ装置、および通信装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/04 20060101AFI20231214BHJP
H01Q 5/371 20150101ALI20231214BHJP
H01Q 5/378 20150101ALI20231214BHJP
【FI】
H01Q9/04
H01Q5/371
H01Q5/378
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094690
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱邉 太一
(57)【要約】
【課題】超広帯域に対応可能であり、かつ、サイズを抑制可能なアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置は、給電点に接続される給電アンテナと、グランドに接続され、前記給電アンテナを囲むように配置されるループアンテナと、前記ループアンテナの内側、かつ、前記給電アンテナの短手方向の両側に設けられる2つの共振器と、を備え、前記2つの共振器それぞれは、前記ループアンテナに接続され、L字形状である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電点に接続される給電アンテナと、
グランドに接続され、前記給電アンテナを囲むように配置されるループアンテナと、
前記ループアンテナの内側、かつ、前記給電アンテナの短手方向の両側に設けられる2つの共振器と、
を備え、
前記2つの共振器それぞれは、前記ループアンテナに接続され、L字形状である、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記ループアンテナのエレメント長は、第1周波数の波長に対応した長さである、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記2つの共振器それぞれにおいて、前記L字形状のうちの、前記給電アンテナの短手方向に延伸する部位のエレメント長は、前記第1周波数よりも低い第2周波数の波長の1/4である、
請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1周波数は、7GHz帯であり、
前記第2周波数は、5GHz帯である、
請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナ装置を有する通信装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナ装置を複数備え、
当該複数のアンテナ装置それぞれのアンテナが形成される面の少なくとも一部が対向するように配置される、通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置、および通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンテナが対応可能な周波数をより広帯域の周波数へ拡張することが求められている。例えば、従来の無線通信技術であるWi-Fi(登録商標)のうちのWi-Fi6では、2400MHz帯と、5000MHz帯に対応可能に構成されたアンテナが知られている。特許文献1では、5000MHz帯よりも更に高い周波数帯域を含む超広帯域(UWB:Ultra-Wide Band)の周波数帯域に対応可能なアンテナを、コンパクトな構成で提供するための構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上述した従来の事情を鑑みて案出され、超広帯域に対応可能であり、かつ、サイズを抑制可能なアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、給電点に接続される給電アンテナと、グランドに接続され、前記給電アンテナを囲むように配置されるループアンテナと、前記ループアンテナの内側、かつ、前記給電アンテナの短手方向の両側に設けられる2つの共振器と、を備え、前記2つの共振器それぞれは、前記ループアンテナに接続され、L字形状である、アンテナ装置を提供する。
【0006】
また、本開示は、アンテナ装置を有する通信装置であって、アンテナ装置が、給電点に接続される給電アンテナと、グランドに接続され、前記給電アンテナを囲むように配置されるループアンテナと、前記ループアンテナの内側、かつ、前記給電アンテナの短手方向の両側に設けられる2つの共振器と、を備え、前記2つの共振器それぞれは、前記ループアンテナに接続され、L字形状である、通信装置を提供する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本開示の表現を装置やシステムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、超広帯域に対応可能であり、かつ、サイズを抑制可能なアンテナ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るアンテナ装置の構成例を示す図
【
図2】実施の形態1に係るアンテナ装置における5GHz帯での動作を説明するための図
【
図3】実施の形態1に係るアンテナ装置における7GHz帯での動作を説明するための図
【
図4】実施の形態1に係るアンテナ装置のVSWR特性を示す図
【
図5】実施の形態1に係るアンテナ装置の利得を説明するための図
【
図6】実施の形態2に係るアンテナ装置の構成例を示す図
【
図7】実施の形態2に係るアンテナ装置の利得を説明するための図
【
図8】実施の形態2に係るアンテナ装置の配置例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示に至る経緯)
従来、複数の周波数帯域に対応可能なアンテナ装置が知られている。例えば、無線通信技術の1つであるWi-Fi(登録商標)では、2GHz帯と5GHz帯の2つの周波数帯域に対応可能な構成のアンテナ装置がある。また、5GHz帯よりも更に高い周波数帯域に適用可能なアンテナ装置が求められている。
【0011】
帯域の拡張に応じてアンテナ装置を構成するエレメントも増加する。そのため、より広い周波数帯域に対応するためには、極力、アンテナ装置内のエレメントを共有化しつつ、アンテナサイズをコンパクト化することが求められる。また、より高い周波数帯域を含む帯域に適用可能なアンテナ装置を、例えば、一般的なダイポールアンテナを用いて構成すると比帯域幅が10%程度、MSL(Micro Strip Line)アンテナで構成すると比帯域幅が0.5%程度となり、対応可能な帯域が狭くなってしまうという課題もある。広帯域化の際に無給電素子などを用いて共振点を増加させることにより、比帯域幅を拡張する手法を用いた場合でも、比帯域幅は20%程度である。
【0012】
以下、添付図面を適宜参照しながら、本開示に係るアンテナ装置、および通信装置を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、あるいは、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されない。
【0013】
<実施の形態1>
以下に説明する実施の形態1では、Wi-Fi(登録商標)の無線LAN(Local Area Network)の規格に準拠した無線通信が可能なアンテナ装置を例に挙げて説明する。特に、5GHz帯(例えば、5150~5800MHz)の周波数帯域に加え、7GHz帯(例えば、5900~7150MHz)のより高い周波数帯域を対象として説明する。なお、上記の規格に限定するものではなく、他の規格に準拠した周波数帯域の無線通信を対象として適用してもよい。
【0014】
[装置構成]
図1は、本実施の形態に係るアンテナ装置100の構成例を示す概略図である。
図1において、X軸は、アンテナ装置100が構成される基板101の短手方向に対応する。Y軸は、アンテナ装置100が構成される基板101の長手方向に対応する。Z軸は、アンテナ装置100の基板101の厚み方向に対応する。
【0015】
アンテナ装置100は、例えば、Wi-Fi(登録商標)の無線通信が利用可能な通信装置(不図示)に搭載される。よって、通信装置は、アンテナ装置100を用いて、他の通信装置と、5GHz帯および7GHz帯を含む複数の周波数帯域にて無線通信が可能である。
【0016】
本実施の形態に係るアンテナ装置100の基板101は、矩形形状である。基板101の形状やサイズは特に限定するものではないが、後述する各エレメントの寸法を考慮した形状やサイズであることが望ましい。基板101は、複数の層を含む積層基板にて構成されてよい。
【0017】
本実施の形態に係るアンテナ装置100において、アンテナを構成する各部位は、例えば、複数の層を有する積層基板であるプリント配線基板上に形成され、表面の金属箔をエッチング等することによってパターンを形成している。複数の層のそれぞれは、例えば、銅箔或いはガラスエポキシ等で構成されてよい。
【0018】
基板101には、給電アンテナの一例としてのアンテナ導体104、および、非給電アンテナの一例としてのアンテナ導体105を備える。アンテナ導体104には、給電するための給電点103が設けられる。給電点103は、例えば、導線(不図示)を介して、電力源(不図示)に接続される。アンテナ導体105には、グランド(GND)に接続(短絡)するためのグランド点102が設けられる。グランド点102は、例えば、導線(不図示)を介して、接地レベルに接続される。なお、グランド点102および給電点103に接続される導線は、1つの同軸ケーブル(不図示)にて含めて構成されてもよい。
【0019】
詳細については後述するが、本実施の形態では、第1周波数の一例である7GHz帯に対しては、アンテナ導体105にて構成されるループアンテナで共振を行わせる。一方、第1周波数よりも低い第2周波数の一例である5GHz帯に対しては、アンテナ導体105にて構成されるT型アンテナおよびスロットアンテナで共振を行わせる。一方、アンテナを構成する各部の寸法はこれらの周波数帯域に対応して規定される。
【0020】
アンテナ導体104は、X軸方向に沿って給電点103から延伸して構成される。
【0021】
アンテナ導体105は、アンテナ導体104の周りを囲うように配置されるループアンテナを構成する部位と、ループアンテナの部位の内側にT型アンテナを構成する部位とを有する。ループアンテナを構成する部位は、グランド点102に接続されたエレメント部108から反時計回りに、エレメント部108、110、111、112、113、114、106を含んで構成される。また、T型アンテナを構成する部位は、エレメント部106、107から構成されるL字形状の部位と、エレメント部108、109から構成されるL字形状の部位とが、アンテナ導体104を挟むように配置される。
【0022】
エレメント部106、108、111、113は、長手方向がX軸に沿って延伸して構成される。また、エレメント部107、109、110、112、114は、長手方向がY軸に沿って延伸して構成される。
【0023】
エレメント部109の長手方向における、エレメント部108との接続位置からの長さをL1として示す。エレメント部107の長手方向における、エレメント部106との接続位置からの長さも同様にL1とする。エレメント部111、113、の長手方向の長さをL2として示す。エレメント部112の長手方向の長さをL3として示す。以下に示すλは周波数を示す。
【0024】
本実施の形態において、L1は、5GHz帯に対応した長さとして規定する。ここでは、L1をλ/4として構成することができる。
【0025】
本実施の形態において、L2とL3は、7GHz帯に対応した長さとして規定する。ここでは、L2をλ/4とし、L3をλとして構成することができる。
【0026】
[共振]
図2および
図3は、本実施の形態に係るアンテナ装置100の5GHz帯と7GHz帯での共振を説明するための図である。
【0027】
図2は、5GHz帯の共振を説明するための図である。
図2(a)において、太線105a、105bは、T型アンテナを構成する部位を概略的に示している。また、太線105a、105b、105cにより、スロットアンテナが構成される。このT型アンテナとスロットアンテナにより5GHz帯で共振し、
図2(b)は、その共振の状態の例をグラデーションにて示している。
【0028】
図3は、7GHz帯の共振を説明するための図である。
図3(a)において、太線105dは、ループアンテナを構成する部位を概略的に示している。このループアンテナにより7GHz帯で共振し、
図3(b)は、その共振の状態の例をグラデーションにて示している。
【0029】
[VSWR特性]
図4は、
図1に示す本実施の形態に係るアンテナ装置100の構成における、5GHz帯と7GHz帯に対するVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)特性を示すグラフ図である。
図4において、横軸は周波数[GHz]を示し、縦軸はVSWRを示す。
【0030】
実線401は、本実施の形態に係るアンテナ装置100のVSWRを示し、実線402は、比較例として5GHz帯のみに対応したアンテナ装置のVSWRを示す。まず、従来構成のVSWRに着目すると、U字状の特性を示し、5.10~6.60GHzの範囲においては、VSWRが3以下の値を示している。しかし、5.85GHz辺りを底として、範囲の端部に向かうほどVSWRの値は上昇している。そして、5.10~6.60GHzの範囲外については、VSWRが3以上の値となっている。
【0031】
一方、本実施の形態に係るアンテナ装置100のVSWRによると、5.00~7.00GHzの範囲において、VSWRが3以下の値を示し、特に、従来のアンテナ装置では十分な値を示すことができていなかった6.60~7.00GHzの範囲でも安定してVSWRを3以下(より具体的にはVSWRが2以下)の値を示すことができている。
【0032】
また、
図5は、本実施の形態に係るアンテナ装置100の利得を示す図である。ここでは
図1に示したX軸方向を前方方向とした場合、本実施の形態に係るアンテナ装置100の指向性は、
図5に示すような特性を示す。
【0033】
以上、本実施の形態により、アンテナ装置100は、給電点103に接続される給電アンテナ(アンテナ導体104)と、グランド点102に接続され、給電アンテナ(アンテナ導体104)を囲むように配置されるループアンテナ(アンテナ導体105)と、ループアンテナ(アンテナ導体105)の内側、かつ、給電アンテナ(アンテナ導体104)の短手方向の両側に設けられる2つの共振器(エレメント部106、107、108、109)と、を備え、共振器(エレメント部106、107、108、109)それぞれは、ループアンテナ(アンテナ導体105)に接続され、L字形状である。
【0034】
これにより、広帯域に対応可能、かつ、サイズを抑制可能なアンテナ装置を提供することが可能となる。
【0035】
また、ループアンテナ(アンテナ導体105)のエレメント長は、第1周波数(例えば、7GHz)の波長に対応した長さである。
【0036】
これにより、アンテナ装置100は、より高い周波数帯域である第1周波数に対応することが可能となる。
【0037】
また、共振器(エレメント部106、107、108、109)それぞれにおいて、L字形状のうちの、給電アンテナ(アンテナ導体104)の短手方向に延伸する部位のエレメント長は、第1周波数(例えば、7GHz帯)よりも低い第2周波数(例えば、5GHz帯)の波長の1/4である。
【0038】
これにより、アンテナ装置100は、第1周波数と第2周波数を含む広帯域に対応することが可能となる。
【0039】
また、アンテナ装置100は、様々な通信装置に搭載されて利用可能である。
【0040】
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1では、
図1に示すアンテナ装置100を1素子として構成した形態について説明した。実施の形態2では、
図1に示す構成を2素子に拡張することにより、所望の指向性を実現する形態について説明する。
【0041】
図6は、本実施の形態に係るアンテナ装置200の構成例を示す概略図である。実施の形態1にて
図1を用いて説明した構成を2素子に拡張した構成であり、基本的な構成は同じである。なお、本実施の形態では、2素子に拡張した場合であっても、グランド点202、および給電点203については1つとして構成した例を示している。アンテナ導体204は、給電点203に接続される給電アンテナである。アンテナ導体205は、グランド点202に接続される非給電アンテナである。
【0042】
図7は、
図6のアンテナ装置200の利得を示す図である。ここでは
図6に示したX軸方向を前方方向とした場合、本実施の形態に係るアンテナ装置200の指向性は、ZX平面上において、
図7に示すような特性を示す。実施の形態1の
図5にて示した1素子のアンテナ装置100の利得と比較すると指向性の特性が異なっている。
【0043】
図7に示したアンテナ装置200の指向性は、2素子の相対的な位置関係を調整することで、更に調整することができる。例えば、アンテナ装置200をフィルム上に実装し、折り曲げたりすることが可能なように実装することを想定する。これにより、アンテナ装置200の指向性や、信号の照射方向を調整することができる。
【0044】
図8は、アンテナ装置200の配置の例を示す図である。
図8(a)は、アンテナ装置200をU字に折り曲げ、横から見た状態を示す。ここでは、非給電アンテナであるアンテナ導体205の端部が同じ高さにて対向するように配置している。このとき、給電点203は、アンテナ装置200を折り曲げた際の底部であって、アンテナ導体205の両端部の中心位置に配置された例である。つまり、
図8(a)の例では、アンテナ導体205の両端部が給電点203を基準として線対称となるように対向(正対)した配置を示している。
【0045】
このとき、アンテナ導体205の端部間の距離を調整することで、所定の方向への照射する強度を調整させてよい。例えば、対向するアンテナ導体205の両端部の距離が近い(狭い)ほど外部への照射強度は強くなり、一方、距離が遠い(離れる)ほど外部への照射強度は弱くなる。
【0046】
図8(b)は、アンテナ装置200をU字に折り曲げ、横から見た状態の別の例を示す。ここでは、非給電アンテナであるアンテナ導体205の端部が異なる高さとなるように配置している。このとき、給電点203は、アンテナ装置200を折り曲げた際の底部であって、アンテナ導体205の両端部から中心では無い位置に配置された例である。つまり、給電位置は、必ずしもアンテナ導体205の両端からの中央に限定するものではない。
図8(b)の例では、アンテナ導体205の両端が対向しているが、これらが真正面の位置関係では無い場合の構成例を示している。つまり、本実施の形態において、用語「対向する」とは、各部位が正対することのみに限定することを意図するものではない。
【0047】
図8(c)は、アンテナ装置200をU字に折り曲げ、折り曲げた面を上側から見た状態を示す。ここでは、非給電アンテナであるアンテナ導体205の端部が同じ高さとしているが、アンテナ導体205の端部の面がハの字となるように配置している。このとき、給電点203は、アンテナ装置200を折り曲げた際の底部であって、アンテナ導体205の両端部の中心位置に配置された例である。
【0048】
上記の例では、アンテナ導体205が形成されている面が内側になるように折り曲げた例を示したが、これに限定するものではない。例えば、アンテナ導体205が形成されている面が外側になるように折り曲げてもよい。また、U字に限らず、V字などであってもよい。
【0049】
このように、本実施の形態に係る2素子のアンテナ装置200では、2素子の相対的な位置関係を調整することで、所望の指向性や照射方向を調整することが可能となる。例えば、アンテナ装置200が配置される空間の形状に応じて、信号を照射する範囲や方向を調整することが可能となる。そのため、空間の形状に応じて、電波が届かない範囲の発生を抑制することが可能となる。アンテナ装置200が配置される空間としては、例えば、航空機内など、前後方向と左右方向の長さが極端に異なる空間などが挙げられる。
【0050】
以上、本実施の形態により、アンテナ装置200は、複数のアンテナ素子を有し、その複数のアンテナ素子が形成される面の少なくとも一部が対向するように配置される。
【0051】
これにより、アンテナ装置200は、設置空間等に応じた所望の指向性や通信範囲を容易に実現することが可能となる。
【0052】
<その他の実施形態>
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に相当し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0053】
上記の実施の形態では、アンテナ装置100は、後期内に設置されるシートモニタ内に搭載される例を示した。しかし、シートモニタに限らず、本発明は、例えば、コードレス電話機の親機あるいは子機、電子棚札(例えば、小売店の陳列棚に貼り付けされる、商品の売価が表示されたカード型の電子機器)、スマートスピーカ、車載機器、電子レンジ、冷蔵庫等の多くのIoT(Internet of Things)機器などに搭載されてもよい。
【0054】
また、本発明に係るアンテナ装置は、電磁波の送受信がともに可能なアンテナ装置の他、例えば、送信専用あるいは受信専用のアンテナ装置に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示は、所定の空間に複数台が設置されるアンテナ装置、および通信装置として有用である。
【符号の説明】
【0056】
100 アンテナ装置
101 基板
102 グランド点
103 給電点
104、105 アンテナ導体
106、107、108、109、110、111、112、113、114 エレメント部