(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180982
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20231214BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H02J7/34 G
H02J9/06 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094694
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】丸山 晋一郎
(72)【発明者】
【氏名】杭谷 隆
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
【Fターム(参考)】
5G015GA02
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503DA05
5G503GB03
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】負荷が発生した回生電力を可能な限り蓄電池に供給して、回生効率を高めることができる無停電電源装置を得ること。
【解決手段】無停電電源装置100は、交流電源1の電力を直流電力に変換する第1の電力変換部2と、直流電力により充電されるコンデンサ3と、コンデンサ3の直流出力を交流電力に変換して負荷4に出力する第2の電力変換部5と、交流電源1の健全時には、コンデンサ3から蓄電部6に電荷を移動させ、交流電源1の異常時には、蓄電部6からコンデンサ3に電荷を移動させる第3の電力変換部7と、コンデンサ3の電圧であるコンデンサ電圧を検出するコンデンサ電圧検出部8とを備える。第3の電力変換部7は、交流電源1の異常時において、コンデンサ電圧検出部8が検出するコンデンサ電圧が第1の値以上の場合には、コンデンサ3の電荷を蓄電部6に移動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電部を備えた無停電電源装置であって、
交流電源の電力を直流電力に変換する第1の電力変換部と、
前記直流電力により充電されるコンデンサと、
前記コンデンサの直流出力を交流電力に変換して負荷に出力する第2の電力変換部と、
前記交流電源の健全時には、前記コンデンサから前記蓄電部に電荷を移動させ、前記交流電源の異常時には、前記蓄電部から前記コンデンサに電荷を移動させる第3の電力変換部と、
前記コンデンサの電圧であるコンデンサ電圧を検出する電圧検出部と、
を備え、
前記第3の電力変換部は、前記交流電源の異常時において、前記電圧検出部が検出する前記コンデンサ電圧が第1の値以上の場合には、前記コンデンサの電荷を前記蓄電部に移動させる
ことを特徴とする無停電電源装置。
【請求項2】
前記第3の電力変換部は、前記交流電源の異常時において、前記電圧検出部が検出する前記コンデンサ電圧が前記第1の値より小さい第2の値未満となった場合には、前記蓄電部から前記コンデンサに電荷を移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記負荷からの回生電力の有無を検出する回生検出部と、
前記蓄電部の充電率を算出する充電率算出部と、
を備え、
前記第3の電力変換部は、前記交流電源が健全であり、且つ前記回生検出部が前記回生電力を検出せず、且つ前記充電率が第1の閾値以上である場合には、前記蓄電部から前記コンデンサに電荷を移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記第3の電力変換部は、前記交流電源が健全であり、且つ前記回生検出部が前記回生電力を検出し、且つ前記充電率が100%未満である場合には、前記コンデンサから前記蓄電部に電荷を移動させる
ことを特徴とする請求項3に記載の無停電電源装置。
【請求項5】
前記コンデンサは、正側コンデンサ及び負側コンデンサで構成され、
前記正側コンデンサと前記負側コンデンサとの間で電荷を移動させる第4の電力変換部を備えた
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の無停電電源装置。
【請求項6】
前記第3の電力変換部は、
前記蓄電部と前記負側コンデンサとの間で電荷を移動させる動作を行う負極側昇降圧部を備えると共に、
前記交流電源の正常時には前記第1の電力変換部としても動作し、前記交流電源の異常時には前記蓄電部から前記正側コンデンサに電荷を移動させる動作を行うコンバータ部を備えた
ことを特徴とする請求項5に記載の無停電電源装置。
【請求項7】
前記交流電源が異常であり、且つ前記電圧検出部が検出する前記負側コンデンサの電圧が第1の値以上の場合、前記負極側昇降圧部は、前記負側コンデンサの電荷を前記蓄電部に移動させる
ことを特徴とする請求項6に記載の無停電電源装置。
【請求項8】
前記交流電源が異常であり、且つ前記電圧検出部が検出する前記正側コンデンサの電圧が前記第1の値より小さい第2の値未満である場合、前記コンバータ部は、前記蓄電部から前記正側コンデンサに電荷を移動させ、
前記交流電源が異常であり、且つ前記電圧検出部が検出する前記負側コンデンサの電圧が前記第1の値より小さい第2の値未満である場合、前記負極側昇降圧部は、前記蓄電部から前記負側コンデンサに電荷を移動させる
ことを特徴とする請求項6に記載の無停電電源装置。
【請求項9】
前記負荷からの回生電力の有無を検出する回生検出部と、
前記蓄電部の充電率を算出する充電率算出部と、
を備え、
前記負極側昇降圧部は、前記交流電源が健全であり、且つ前記回生検出部が前記回生電力を検出せず、且つ前記充電率が第1の閾値以上である場合、前記蓄電部から前記負側コンデンサに電荷を移動させる
ことを特徴とする請求項6に記載の無停電電源装置。
【請求項10】
前記交流電源が健全であり、且つ前記回生検出部が前記回生電力を検出し、且つ前記充電率が100%未満である場合、
前記負極側昇降圧部は、前記負側コンデンサから前記蓄電部に電荷を移動させ、前記第4の電力変換部は、前記正側コンデンサの電荷を前記負側コンデンサに移動させる
ことを特徴とする請求項9に記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交流電源からの電力を負荷に供給すると共に、交流電源の異常時には、蓄電部の電力を負荷へ供給する無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無停電電源装置は、交流を直流に変換する整流器と、当該直流を再び交流に変換するインバータと、整流器とインバータとを結ぶ直流母線に接続される蓄電池とを備える。下記特許文献1に示される無停電電源装置は、直流母線に接続されるスイッチ及び抵抗器からなる直列回路、及び当該スイッチの開閉を制御する開閉指令器を更に備えている。この特許文献1では、直流母線に流入する電流、又は直流母線電圧が既定値以上になった際には、スイッチをオン状態に制御して、負荷が発生した回生電力を抵抗器で消費させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1の技術では、負荷が発生した回生電力に起因する直流母線電流の増加、及び直流母線電圧の上昇を抑制して、蓄電池及び回路部品の劣化及び破損を防止することが可能である。しかしながら、特許文献1の無停電電源装置は、負荷が発生した回生電力の殆どを抵抗器にて消費させているので、回生電力を無駄にしており、回生効率が悪いという課題がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、負荷が発生した回生電力を可能な限り蓄電池に供給して、回生効率を高めることができる無停電電源装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本開示に係る無停電電源装置は、蓄電部を備えた無停電電源装置であって、交流電源の電力を直流電力に変換する第1の電力変換部と、直流電力により充電されるコンデンサと、コンデンサの直流出力を交流電力に変換して負荷に出力する第2の電力変換部とを備える。また、無停電電源装置は、交流電源の健全時には、コンデンサから蓄電部に電荷を移動させ、交流電源の異常時には、蓄電部からコンデンサに電荷を移動させる第3の電力変換部と、コンデンサの電圧であるコンデンサ電圧を検出する電圧検出部とを備える。第3の電力変換部は、交流電源の異常時において、電圧検出部が検出するコンデンサ電圧が第1の値以上の場合には、コンデンサの電荷を蓄電部に移動させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る無停電電源装置によれば、負荷が発生した回生電力を可能な限り蓄電池に供給できるので、回生効率を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る無停電電源装置の全体構成を示すブロック図
【
図2】
図1に示す無停電電源装置に備えられる第1の電力変換部の構成を示すブロック図
【
図3】
図1に示す無停電電源装置に備えられる第2の電力変換部の構成を示すブロック図
【
図4】
図1に示す無停電電源装置に備えられる第3の電力変換部の構成を示すブロック図
【
図5】
図4に示す充放電制御部における交流電源が健全時の動作説明に供するフローチャート
【
図6】
図4に示す充放電制御部におけるバックアップ運転時の動作説明に供するフローチャート
【
図7】実施の形態2に係る無停電電源装置の全体構成を示す回路図
【
図8】実施の形態2に係る無停電電源装置に備えられる正側コンデンサ及び負側コンデンサに対する交流電源の健全時における充電動作の説明に供する第1の図
【
図9】実施の形態2に係る無停電電源装置に備えられる正側コンデンサ及び負側コンデンサに対する交流電源の健全時における充電動作の説明に供する第2の図
【
図10】実施の形態2に係る無停電電源装置に備えられる正側コンデンサ及び負側コンデンサに対する交流電源の健全時における充電動作の説明に供する第3の図
【
図11】実施の形態2に係る無停電電源装置に備えられる正側コンデンサ及び負側コンデンサに対する交流電源の健全時における充電動作の説明に供する第4の図
【
図12】実施の形態2に係る無停電電源装置に備えられる蓄電部に対する交流電源の健全時における充電動作の説明に供する第1の図
【
図13】実施の形態2に係る無停電電源装置に備えられる蓄電部に対する交流電源の健全時における充電動作の説明に供する第2の図
【
図14】実施の形態2に係る無停電電源装置に備えられる正側コンデンサに対する交流電源の異常時における充電動作の説明に供する第1の図
【
図15】実施の形態2に係る無停電電源装置に備えられる正側コンデンサに対する交流電源の異常時における充電動作の説明に供する第2の図
【
図16】実施の形態2に係る無停電電源装置に備えられる負側コンデンサに対する交流電源の異常時における充電動作の説明に供する第1の図
【
図17】実施の形態2に係る無停電電源装置に備えられる負側コンデンサに対する交流電源の異常時における充電動作の説明に供する第2の図
【
図18】実施の形態2に係る無停電電源装置に備えられる正側コンデンサ及び負側コンデンサのうちで負側コンデンサの電圧が高くなった場合の不平衡を解消するための動作説明に供する第1の図
【
図19】実施の形態2に係る無停電電源装置に備えられる正側コンデンサ及び負側コンデンサのうちで負側コンデンサの電圧が高くなった場合の不平衡を解消するための動作説明に供する第2の図
【
図20】実施の形態2に係る無停電電源装置に備えられる正側コンデンサ及び負側コンデンサのうちで正側コンデンサの電圧が高くなった場合の不平衡を解消するための動作説明に供する第1の図
【
図21】実施の形態2に係る無停電電源装置に備えられる正側コンデンサ及び負側コンデンサのうちで正側コンデンサの電圧が高くなった場合の不平衡を解消するための動作説明に供する第2の図
【
図22】実施の形態1における充放電制御部及び実施の形態2における制御回路の機能を実現するハードウェア構成の一例を示すブロック図
【
図23】実施の形態1における充放電制御部及び実施の形態2における制御回路の機能を実現するハードウェア構成の他の例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照し、本開示の実施の形態に係る無停電電源装置について詳細に説明する。なお、以下では、物理的な接続と電気的な接続とを区別せずに、単に「接続」と称して説明する。即ち、「接続」という文言は、構成要素同士が直接的に接続される場合と、構成要素同士が他の構成要素を介して間接的に接続される場合との双方を含んでいる。また、以下で使用する、電圧、電流、時間、比率等に関する数値は一例であり、これらの例示によって本開示の範囲が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る無停電電源装置100の全体構成を示すブロック図である。
図2は、
図1に示す無停電電源装置100に備えられる第1の電力変換部2の構成を示すブロック図である。
図3は、
図1に示す無停電電源装置100に備えられる第2の電力変換部5の構成を示すブロック図である。
図4は、
図1に示す無停電電源装置100に備えられる第3の電力変換部7の構成を示すブロック図である。
【0011】
無停電電源装置100は、停電又は電圧低下などの交流電源1の異常時において、電力が供給される機器である負荷4に対し、一定時間電力を供給し続けることで、機器の動作を保証し、データを保護することなどを目的とする電源装置である。即ち、無停電電源装置100は、交流電源1からの電力を負荷4に供給すると共に、交流電源1の異常時には、蓄電部6に蓄えられた直流電力を交流電力に変換して負荷4へ供給することができる。この機能を実現するため、実施の形態1に係る無停電電源装置100は、
図1に示すように、第1の電力変換部2と、コンデンサ3と、第2の電力変換部5と、蓄電部6と、第3の電力変換部7と、コンデンサ電圧検出部8と、設定部9と、出力電圧検出部10と、電流検出部11と、回生検出部12とを備える。
【0012】
第1の電力変換部2は、交流電源1に接続され、交流電源1の電力を直流電力に変換する。コンデンサ3は、第1の電力変換部2が供給する直流電力により、既定値である例えば200Vに充電される。第2の電力変換部5は、コンデンサ3に接続され、コンデンサ3の直流出力を交流電力に変換して負荷4に出力する。第2の電力変換部5によって、コンデンサ3から出力される例えば200Vの直流電圧は、例えば100Vの交流電圧に変換される。蓄電部6は、交流電源1の異常時において、負荷4に継続して交流電力を出力するため、第2の電力変換部5に電力を供給する。第3の電力変換部7は、蓄電部6に接続され、交流電源1が異常ではない交流電源1の健全時においては、交流電源1からの電力により蓄電部6に対する充電を行う。また、第3の電力変換部7は、交流電源1の異常時においては、蓄電部6の電力を放電させてコンデンサ3及び第2の電力変換部5に電力を供給する。
【0013】
コンデンサ電圧検出部8は、コンデンサ3の電圧であるコンデンサ電圧を検出し、その検出値を第3の電力変換部7に出力する。設定部9は、負荷4が回生を行うかどうかを設定し、その設定情報を第3の電力変換部7に出力する。出力電圧検出部10は、第2の電力変換部5の出力電圧を検出し、その検出値を回生検出部12に出力する。電流検出部11は、第2の電力変換部5と負荷4との間を流れる電流を検出し、その検出値を回生検出部12に出力する。回生検出部12は、出力電圧検出部10及び電流検出部11の検出値に基づいて、負荷4が回生運転を行っているのか、力行運転を行っているのかを検出し、その運転情報を第3の電力変換部7に出力する。
【0014】
第1の電力変換部2は、
図2に示すように、4つのダイオードを有するブリッジ整流回路2aと、コイル、スイッチング素子及びダイオードを有する昇圧回路2bとを備える。ブリッジ整流回路2aは、交流電源1の交流電力を直流電力に整流し、整流した直流電力を昇圧回路2bに出力する。昇圧回路2bは、直流電力の電圧を昇圧し、コンデンサ電圧を既定電圧に充電する。既定電圧の例は、上述したDC(Direct Current)200Vである。なお、コンデンサ電圧が予め定められた閾値電圧以上に上昇した場合、コンデンサ3に対する充電は行われない。
【0015】
第2の電力変換部5は、
図3に示すように、ダイオードが逆並列に接続されて複数個の自己消弧型半導体スイッチング素子5a,5b,5c,5dを有する単相フルブリッジインバータ5fと、コイル及びコンデンサを有するフィルタ回路5eとを備える。自己消弧型半導体スイッチング素子5a,5b,5c,5dの一例は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。なお、MOSFETに代えて、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、GCT(Gate Commutated Turn-off thyristor)、GTO(Gate Turn-Off thyristor)、バイポーラトランジスタなどの自己消弧型半導体スイッチング素子でもよい。また、単相フルブリッジインバータ5fが強制転流動作が可能な回路構成である場合、自己消弧機能を有さないサイリスタなどを用いてもよい。また、単相フルブリッジインバータ5fは、直流側のコンデンサを正側及び負側の2個用意することにより、ハーフブリッジインバータとしてもよい。
【0016】
第3の電力変換部7は、
図4に示すように、リアクトル7aと、自己消弧型半導体スイッチング素子7b,7cと、充放電制御部7dと、電圧センサ7eとを備えている。リアクトル7aは、蓄電部6の正極側に接続される。自己消弧型半導体スイッチング素子7bは、リアクトル7aの出力側、即ちリアクトル7aに対し、蓄電部6が接続される反対側において、蓄電部6に対して並列に接続される。自己消弧型半導体スイッチング素子7cは、リアクトル7aとコンデンサ3の正極側との間に接続される。自己消弧型半導体スイッチング素子7b,7cの一例は、図示のMOSFETであるが、IGBT、GCT、GTO、バイポーラトランジスタなどの自己消弧型半導体スイッチング素子でもよい。また、第3の電力変換部7が強制転流動作が可能な回路構成である場合、自己消弧機能を有さないサイリスタなどを用いてもよい。
【0017】
充放電制御部7dは、自己消弧型半導体スイッチング素子7bをスイッチング制御して蓄電部6の電圧を昇圧制御すると共に、自己消弧型半導体スイッチング素子7cをスイッチング制御してリアクトル7aを介して蓄電部6を充電制御する。電圧センサ7eは、蓄電部6の両端に接続され、蓄電部6の電圧を計測し、計測した電圧信号を充放電制御部7dに出力する。また、充放電制御部7dには、コンデンサ電圧検出部8の出力信号と、設定部9の出力信号と、回生検出部12の出力信号とが入力される。コンデンサ電圧検出部8の出力信号には、コンデンサ電圧の検出値に関する情報が含まれる。設定部9の出力信号には、負荷4が回生を行うかどうかを設定した設定情報が含まれる。回生検出部12の出力信号は、前述した運転情報を含む信号であり、当該運転情報には、負荷4が回生運転を行っているのか、力行運転を行っているのかを示す情報が含まれる。
【0018】
次に、実施の形態1に係る無停電電源装置100の動作について説明する。まず、交流電源1の健全時には、第1の電力変換部2は、印加された交流電源1の交流電圧をブリッジ整流回路2aにより直流電圧に変換し、変換した直流電圧を昇圧回路2bにより昇圧してコンデンサ3を既定電圧であるDC200Vに充電する。なお、本稿において、交流電源1の健全時とは、交流電源1が出力する交流電圧が、負荷4の許容できる電圧範囲内にある場合とする。以下、負荷4の許容できる電圧範囲を「許容電圧範囲」と呼ぶ。無停電電源装置100の定格電圧が、例えばAC(Alternate Current)100Vである場合、許容電圧範囲の例は、AC90VからAC110Vである。
【0019】
第2の電力変換部5は、コンデンサ3の直流電圧を既定の交流電圧に変換し、変換した交流電圧を負荷4に印加する。既定の交流電圧の例は、上述したAC100Vである。
【0020】
第3の電力変換部7は、蓄電部6に対し既定の定電流で充電する定電流充電機能を有している。既定の定電流の例は、1Aである。電圧センサ7eは、蓄電部6の電圧を計測する。第3の電力変換部7は、電圧センサ7eの計測値を使用し、蓄電部6の電圧が既定の電圧に達すると、定電流充電から定電圧充電に切り替える。定電圧充電は、蓄電部6に一定の電圧を印加して充電する充電方式である。なお、第3の電力変換部7は、蓄電部6の電圧等を使用して行う周知の方法により、蓄電部6の充電率を算出する充電率算出部を有しているものとする。
【0021】
また、前述したように、設定部9は、負荷4が回生を行うかどうかを設定し、その設定情報を第3の電力変換部7に出力する。負荷4が回生を行う負荷である場合、以下でも述べるように、交流電源1が健全であっても、蓄電部6の充電率を100%まで行わないようにする。一方、負荷4が回生を行わない負荷である場合、蓄電部6の充電を充電率100%まで行うものとする。なお、設定部9を設けず、回生検出部12の出力である運転情報、即ち負荷4が回生運転を行っているのか、力行運転を行っているのかの情報に基づいて、蓄電部6の充電率の上限値を定めてもよい。
【0022】
次に、交流電源1が健全であるときの、第3の電力変換部7の詳細動作を
図5を参照して説明する。
図5は、
図4に示す充放電制御部7dにおける交流電源1が健全時の動作説明に供するフローチャートである。
【0023】
まず、ステップS101において、充電率算出部は、蓄電部6の充電率を算出する。次のステップS102において、回生検出部12は、負荷4からの回生電力を検出しているか否かを判定し、回生ありの場合には(ステップS102,Yes)、ステップS104に進み、回生なしの場合には(ステップS102,No)、ステップS103に進む。
【0024】
ステップS103では、ステップS101で算出した蓄電部6の充電率が第1の閾値以上であるか否かが判定される。第1の閾値は、例えば70%に設定される。蓄電部6の充電率が第1の閾値以上の場合には(ステップS103,Yes)、ステップS105に進み、充電率が第1の閾値未満の場合には(ステップS103,No)、ステップS106に進む。
【0025】
ステップS105では、蓄電部6からコンデンサ3への放電が開始され、
図5の処理フローを終了する。
【0026】
ステップS105は、負荷4からの回生がなく、且つ充電率が第1の閾値以上の状態である。このため、ステップS105では、蓄電部6の充電率を下げるために、蓄電部6の放電が行われる。これにより、負荷4からの回生があったときには、回生電力を蓄電部6に充電できる状態にすることができる。
【0027】
ステップS106では、充電率が第2の閾値未満であるか否かが判定される。第2の閾値は第1の閾値より小さい値であり、例えば50%に設定される。充電率が第2の閾値未満の場合には(ステップS106,Yes)、ステップS107に進み、充電率が第2の閾値以上の場合には(ステップS106,No)、ステップS108に進む。
【0028】
ステップS107は、負荷4からの回生がなく、且つ充電率が第2の閾値未満の状態である。即ち、ステップS107は、蓄電部6の充電率が十分低い状態であるので、蓄電部6の充電を開始して、
図5の処理フローを終了する。
【0029】
ステップS108は、負荷4からの回生がなく、且つ充電率が第2の閾値以上の状態である。即ち、ステップS108は、回生があったときに回生電力を蓄電部6に充電できる状態なので、蓄電部6の充放電を停止して、
図5の処理フローを終了する。
【0030】
ステップS104では、充電率が100%未満であるか否かが判定される。充電率が100%未満の場合には(ステップS104,Yes)、ステップS109に進み、充電率が100%の場合には(ステップS104,No)、ステップS110に進む。
【0031】
ステップS109は、負荷4からの回生があり、且つ充電率が100%未満の状態である。即ち、ステップS109は、蓄電部6が満充電の状態ではないので、コンデンサ3から蓄電部6への充電が行われる。これにより、コンデンサ3の電荷が蓄電部6へ移動するので、負荷4からの回生電力をコンデンサ3が受け入れることができ、回生電力を有効に利用できる。
【0032】
ステップS110は、負荷4から回生があり、且つ充電率が100%の状態である。即ち、ステップS110は、負荷4からの回生電力を、これ以上、蓄電部6へ充電できない状態であるので、充電を停止する。
【0033】
なお、以上説明した
図5に示す処理フローは、既定時間ごとに実行されるものとする。既定時間は、例えば10m秒に設定される。
【0034】
実施の形態1に係る無停電電源装置100は、
図5に示す処理フローを実行しつつ、交流電源1の状態に応じた制御を実施する。具体的に、交流電源1の電圧が、例えば許容電圧範囲の下限値であるAC90V未満に低下した場合、無停電電源装置100は、交流電源1が異常状態になったと判定する。この場合、無停電電源装置100は、蓄電部6の電力を第3の電力変換部7を介してコンデンサ3に供給し、コンデンサ3が既定のDC200Vになるよう制御する。なお、無停電電源装置100は、交流電源1の電圧が許容電圧範囲の上限値であるAC110Vを超えた場合、或いはコンデンサ電圧が既定の下限値である例えば160V未満に低下した場合なども、交流電源1が異常状態であると判定する。
【0035】
また、第2の電力変換部5は、交流電源1の異常時において、負荷4に対し、AC100Vの交流電圧の出力を継続する。本稿では、この動作を「バックアップ運転」と呼ぶ。バックアップ運転は、蓄電部6の電圧が既定の下限値である例えばDC50Vになるまで継続される。また、蓄電部6の電圧がDC50V未満に低下した場合、蓄電部6の蓄積エネルギーが枯渇したとして、負荷4への電力供給は停止される。
【0036】
次に、交流電源1の異常時のバックアップ運転中における第3の電力変換部7の詳細動作を
図6を参照して説明する。
図6は、
図4に示す充放電制御部7dにおけるバックアップ運転時の動作説明に供するフローチャートである。
【0037】
まず、ステップS201では、コンデンサ電圧をコンデンサ電圧検出部8から取得する。次のステップS202では、ステップS201で取得した電圧値が第1の値以上であるか否かが判定される。第1の値は設定値であり、例えばDC215Vに設定される。当該電圧値が第1の値以上の場合には(ステップS202,Yes)、ステップS203に進み、当該電圧値が第1の値未満の場合には(ステップS202,No)、ステップS204に進む。
【0038】
ステップS203は、バックアップ運転中ではあるものの、負荷4からの回生があり、且つコンデンサ電圧が第1の値以上となっている。従って、回生電力を有効利用するため、コンデンサ3から蓄電部6への充電が開始され、ステップS206に進む。なお、ステップS203の処理により、コンデンサ3の電荷が蓄電部6へ移動する。
【0039】
ステップS206では、蓄電部6の充電率が算出され、ステップS207に進む。
【0040】
ステップS207では、充電率が100%未満であるか否かが判定される。充電率が100%未満の場合には(ステップS207,Yes)、
図6の処理フローを終了する。また、充電率が100%未満ではない場合、即ち充電率が100%の場合には(ステップS207,No)、ステップS208に進む。
【0041】
ステップS208は、バックアップ運転中において、負荷4から回生電力によりコンデンサ3の電圧が第1の値以上となったことで蓄電部6への充電を開始し、その後、充電が進行して蓄電部6の充電率が100%となった状態である。このため、蓄電部6に対するこれ以上の充電は不可能なので、蓄電部6の充電を停止する。
【0042】
ステップS204では、ステップS201で取得した電圧値が第2の値未満であるか否かが判定される。第2の値は第1の値よりも小さい設定値であり、例えばDC200Vに設定される。当該電圧値が第2の値未満の場合には(ステップS204,Yes)、ステップS205に進み、当該電圧値が第2の値以上の場合には(ステップS204,No)、
図6の処理フローを終了する。
【0043】
ステップS205は、コンデンサ電圧が低下した状態である。このため、ステップS205では、蓄電部6からコンデンサ3への放電が開始される。これにより、蓄電部6の電荷がコンデンサ3へ移動する。
【0044】
なお、以上説明した
図6に示す処理フローは、既定時間ごとに実行されるものとする。既定時間は、例えば10m秒に設定される。
【0045】
以上説明したように、実施の形態1に係る無停電電源装置によれば、第3の電力変換部は、交流電源の健全時には、コンデンサから蓄電部に電荷を移動させ、交流電源の異常時には、蓄電部からコンデンサに電荷を移動させるように動作する。一方、第3の電力変換部は、交流電源の異常時において、コンデンサ電圧検出部が検出するコンデンサ電圧が第1の値以上の場合には、コンデンサの電荷を蓄電部に移動させるように動作する。この動作により、コンデンサは、負荷からの回生があったときには、回生電力を受入可能な状態にすることができる。これにより、負荷の回生電力を有効に利用することができる。
【0046】
また、実施の形態1に係る無停電電源装置によれば、第3の電力変換部は、交流電源の異常時において、コンデンサ電圧検出部が検出するコンデンサ電圧が第1の値より小さい第2の値未満となった場合には、蓄電部からコンデンサに電荷を移動させるように動作する。これにより、負荷が回生運転から力行運転に変わっても、間断なく負荷への電力供給が継続できる。
【0047】
また、実施の形態1に係る無停電電源装置は、負荷からの回生電力の有無を検出する回生検出部と、蓄電部の充電率を算出する充電率算出部とを更に備えた構成とすることができる。この構成の無停電電源装置において、第3の電力変換部は、交流電源が健全であり、且つ回生検出部が回生電力を検出せず、且つ充電率が第1の閾値以上であるときには、蓄電部からコンデンサに電荷を移動させるように動作する。蓄電部からコンデンサに電荷を移動させることで、蓄電部の充電率を下げることができる。また、蓄電部の充電率を下げることで、負荷から回生があったときに、負荷の回生電力を蓄電部に充電できるようになる。これにより、負荷の回生電力を有効に利用することができる。
【0048】
また、実施の形態1に係る無停電電源装置によれば、第3の電力変換部は、交流電源が健全であり、且つ回生検出部が回生電力を検出し、且つ充電率が100%未満である場合には、コンデンサから蓄電部に電荷を移動させるように動作する。これにより、負荷からの回生電力を受け入れる際の電力容量を大きくすることができる。
【0049】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る無停電電源装置101の全体構成を示す回路図である。実施の形態2に係る無停電電源装置101は、実施の形態1に係る無停電電源装置100におけるコンデンサ3を正側コンデンサ24aと、負側コンデンサ24bとで構成したものである。このように構成された実施の形態2に係る無停電電源装置101は、実施の形態1と同等の機能を有している。また、実施の形態2に係る無停電電源装置101では、正側コンデンサ24aと負側コンデンサ24bとの間で電荷を移動させる動作を行うため、バランス部25が追加されている。
【0050】
図7において、実施の形態2に係る無停電電源装置101は、第1及び第2の逆流防止用ダイオード21,22と、インバータ部24と、前述したバランス部25と、負極側昇降圧部26と、コンバータ部27とを備える。第1及び第2の逆流防止用ダイオード21,22、並びにコンバータ部27は、実施の形態1における「第1の電力変換部2」に対応し、インバータ部24は、実施の形態1における「第2の電力変換部5」に対応し、負極側昇降圧部26及びコンバータ部27は、実施の形態1における「第3の電力変換部7」に対応する。また、実施の形態2において、バランス部25は、「第4の電力変換部」を構成する。
【0051】
実施の形態2に係る無停電電源装置101において、バランス部25は、正側コンデンサ24aと負側コンデンサ24bとの間で電荷を移動させる動作を行う。また、負極側昇降圧部26は、交流電源1の健全時には、負側コンデンサ24bから蓄電部6に電荷を移動させる動作を行う。一方、交流電源1の異常時には、蓄電部6から負側コンデンサ24bに電荷を移動させる動作を行う。また、コンバータ部27は、交流電源1の異常時には、蓄電部6から正側コンデンサ24aに電荷を移動させる動作を行う。
【0052】
次に、
図7を参照して、各構成要素の配置、接続及び基本機能について説明する。なお、実施の形態1と同一又は同等の構成要素については、同一の符号を付して示し、重複する内容の説明は、適宜割愛する。
【0053】
無停電電源装置101は、交流電源1の一端と負荷4の一端を接続する共通線41と、直流の正極側となる正極側電圧線42と、直流の負極側となる負極側電圧線43とを備える。第1及び第2の逆流防止用ダイオード21,22は同極性に直列接続され、この直列接続の接続点44は、交流電源1の他端に接続される。第1の逆流防止用ダイオード21のカソードは正極側電圧線42に接続され、第1の逆流防止用ダイオード21のアノードは接続点44に接続される。また、第2の逆流防止用ダイオード22のアノードは負極側電圧線43に接続され、第2の逆流防止用ダイオード22のカソードは接続点44に接続される。蓄電部6は、負極側が共通線41に接続される。
【0054】
交流電源1とコンバータ部27との間には、コンデンサ28と、リアクトル29と、交流電源/バッテリ切替スイッチ30と、バッテリ運転用スイッチ31とが設けられている。コンデンサ28は、交流電源1側に交流電源1と並列に接続される。リアクトル29は、コンデンサ28とコンバータ部27との間に接続され、コンデンサ28と共にフィルタを形成する。交流電源/バッテリ切替スイッチ30は、コンデンサ28とリアクトル29との間に接続され、交流電源1と蓄電部6との入力を切り替える。交流電源/バッテリ切替スイッチ30の接点aは交流電源1に接続され、交流電源/バッテリ切替スイッチ30の接点cはリアクトル29に接続される。バッテリ運転用スイッチ31は、交流電源/バッテリ切替スイッチ30の接点bと蓄電部6の正極側との間に接続される。
【0055】
また、インバータ部24と負荷4との間には、リアクトル32と、コンデンサ33とが設けられている。リアクトル32はインバータ部24の出力線45に配置され、コンデンサ33は、リアクトル32の負荷4側において、負荷4と並列に接続され、リアクトル32と共にフィルタを形成する。
【0056】
インバータ部24は、前述した正側コンデンサ24a及び負側コンデンサ24bに加え、インバータ部第1の半導体スイッチ24cと、インバータ部第2の半導体スイッチ24eと、インバータ部ダイオード24dと、インバータ部ダイオード24fとを備える。正側コンデンサ24aは、共通線41と正極側電圧線42との間に接続され、負側コンデンサ24bは、共通線41と負極側電圧線43との間に接続される。インバータ部第1の半導体スイッチ24cは、コレクタが正極側電圧線42に接続され、エミッタがリアクトル32を介して出力線45に接続される。インバータ部第2の半導体スイッチ24eは、コレクタがインバータ部第1の半導体スイッチ24cのエミッタに接続され、エミッタが負極側電圧線43に接続される。インバータ部ダイオード24dはインバータ部第1の半導体スイッチ24cに逆並列に接続され、インバータ部ダイオード24fはインバータ部第2の半導体スイッチ24eに逆並列に接続される。
【0057】
バランス部25は、バランス部第1の半導体スイッチ25aと、バランス部第1のダイオード25bと、バランス部第2の半導体スイッチ25cと、バランス部第2のダイオード25dと、バランス部リアクトル25eとを備える。バランス部第1の半導体スイッチ25aは、コレクタが正極側電圧線42に接続され、エミッタがバランス部リアクトル25eの一端に接続される。バランス部リアクトル25eの他端は、共通線41に接続される。バランス部第2の半導体スイッチ25cは、コレクタがバランス部第1の半導体スイッチ25aのエミッタに接続され、エミッタが負極側電圧線43に接続される。バランス部第1のダイオード25bはバランス部第1の半導体スイッチ25aに逆並列に接続され、バランス部第2のダイオード25dはバランス部第2の半導体スイッチ25cに逆並列に接続される。
【0058】
負極側昇降圧部26は、負極側昇降圧部第1の半導体スイッチ26aと、負極側昇降圧部第1のダイオード26bと、負極側昇降圧部リアクトル26cと、負極側昇降圧部第2の半導体スイッチ26dと、負極側昇降圧部第2のダイオード26eとを備える。負極側昇降圧部第1の半導体スイッチ26aは、コレクタが蓄電部6の正極側に接続され、エミッタが負極側昇降圧部リアクトル26cの一端に接続される。負極側昇降圧部リアクトル26cの他端は、共通線41に接続される。負極側昇降圧部第2の半導体スイッチ26dは、コレクタが負極側昇降圧部第1の半導体スイッチ26aのエミッタに接続され、エミッタが負極側電圧線43に接続される。負極側昇降圧部第1のダイオード26bは負極側昇降圧部第1の半導体スイッチ26aに逆並列に接続され、負極側昇降圧部第2のダイオード26eは負極側昇降圧部第2の半導体スイッチ26dに逆並列に接続される。
【0059】
コンバータ部27は、ダイオードブリッジ27aを構成するダイオード27a1,27a2,27a3,27a4と、このダイオードブリッジ27aと並列に接続されるコンバータ部半導体スイッチ27bとを備える。
【0060】
更に、無停電電源装置101は、コンデンサ電圧検出部34と、制御回路35とを備える。コンデンサ電圧検出部34は、正側コンデンサ24aの電圧及び負側コンデンサ24bの電圧を検出する。制御回路35は、交流電源/バッテリ切替スイッチ30、バッテリ運転用スイッチ31、コンバータ部半導体スイッチ27b、バランス部第1の半導体スイッチ25a、バランス部第2の半導体スイッチ25c、負極側昇降圧部第1の半導体スイッチ26a、及び負極側昇降圧部第2の半導体スイッチ26dを制御する。また、図示は省略しているが、制御回路35は、インバータ部第1の半導体スイッチ24c及びインバータ部第2の半導体スイッチ24eも制御する。
【0061】
ここで、実施の形態2に係る無停電電源装置101の基本動作について説明する。まず、無停電電源装置101において、正側コンデンサ24a及び負側コンデンサ24bは、交流電源1の健全時には、交流電源1により充電され、交流電源1の異常時には、蓄電部6により及び充電される。また、交流電源1の健全時及び異常時において、インバータ部24は、正側コンデンサ24a及び負側コンデンサ24bを直流電源として、当該直流電源から出力される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を負荷4に供給する。負極側昇降圧部26は、交流電源1の健全時には、負側コンデンサ24bから蓄電部6に電荷を移動させ、交流電源1の異常時には、蓄電部6から負側コンデンサ24bに電荷を移動させる。また、コンバータ部27は、交流電源1の異常時には、蓄電部6から正側コンデンサ24aに電荷を移動させる。
【0062】
次に、交流電源1の健全時における正側コンデンサ24a及び負側コンデンサ24bに対する充電動作について、
図8から
図11を参照して説明する。
図8から
図11は、それぞれ実施の形態2に係る無停電電源装置101に備えられる正側コンデンサ24a及び負側コンデンサ24bに対する交流電源1の健全時における充電動作の説明に供する第1から第4の図である。なお、
図7において、交流電源1の一端側の電位が交流電源1の他端側の電位よりも高いときを「交流電源1の電圧が正」と呼び、これとは逆に、交流電源1の一端側の電位が交流電源1の他端側の電位よりも低いときを「交流電源1の電圧が負」と呼ぶ。
【0063】
まず、交流電源1の健全時において、交流電源/バッテリ切替スイッチ30の接点は、接点aに切り替えられている。そして、交流電源1の電圧が正の場合、
図8に示すように、コンバータ部半導体スイッチ27bがオンに制御される。このとき、交流電源1→交流電源/バッテリ切替スイッチ30→リアクトル29→ダイオード27a1→コンバータ部半導体スイッチ27b→ダイオード27a4→交流電源1というルートで電流が流れ、リアクトル29にエネルギーが蓄積される。続いて、コンバータ部半導体スイッチ27bがオフに制御される。このとき、
図9に示すように、リアクトル29→第1の逆流防止用ダイオード21→正側コンデンサ24a→交流電源1→交流電源/バッテリ切替スイッチ30→リアクトル29というルートで電流が流れ、リアクトル29に蓄積されたエネルギーによって正側コンデンサ24aが充電される。なお、負荷4からの回生電力により、正側コンデンサ24aの電圧が既定値に達し、もしくは既定値を超えた場合、コンバータ部27による充電は停止、もしくは実施されない。
【0064】
また、交流電源1の電圧が負の場合、
図10に示すように、コンバータ部半導体スイッチ27bがオンに制御される。このとき、交流電源1→ダイオード27a2→コンバータ部半導体スイッチ27b→ダイオード27a3→リアクトル29→交流電源/バッテリ切替スイッチ30→交流電源1というルートで電流が流れ、リアクトル29にエネルギーが蓄積される。続いて、コンバータ部半導体スイッチ27bがオフに制御される。このとき、
図11に示すように、リアクトル29→交流電源/バッテリ切替スイッチ30→交流電源1→負側コンデンサ24b→第2の逆流防止用ダイオード22→リアクトル29というルートで電流が流れ、リアクトル29に蓄積されたエネルギーによって負側コンデンサ24bが充電される。なお、負荷4からの回生電力により、負側コンデンサ24bの電圧が既定値に達し、もしくは既定値を超えた場合、コンバータ部27による充電は停止、もしくは実施されない。
【0065】
次に、交流電源1の健全時における蓄電部6に対する充電動作について、
図12及び
図13を参照して説明する。
図12及び
図13は、それぞれ実施の形態2に係る無停電電源装置101に備えられる蓄電部6に対する交流電源1の健全時における充電動作の説明に供する第1及び第2の図である。
【0066】
まず、
図12に示すように、負極側昇降圧部第2の半導体スイッチ26dがオンに制御される。このとき、負側コンデンサ24b→負極側昇降圧部リアクトル26c→負極側昇降圧部第2の半導体スイッチ26d→負側コンデンサ24bというルートで電流が流れ、負極側昇降圧部リアクトル26cにエネルギーが蓄積される。続いて、負極側昇降圧部第2の半導体スイッチ26dがオフに制御される。このとき、
図13に示すように、負極側昇降圧部リアクトル26c→負極側昇降圧部第1のダイオード26b→蓄電部6→負極側昇降圧部リアクトル26cというルートで電流が流れ、負極側昇降圧部リアクトル26cに蓄積されたエネルギーによって蓄電部6が充電される。
【0067】
次に、交流電源1の異常時における正側コンデンサ24a及び負側コンデンサ24bに対する充電動作について、
図14から
図17を参照して説明する。
図14及び
図15は、それぞれ実施の形態2に係る無停電電源装置101に備えられる正側コンデンサ24aに対する交流電源1の異常時における充電動作の説明に供する第1及び第2の図である。また、
図16及び
図17は、それぞれ実施の形態2に係る無停電電源装置101に備えられる負側コンデンサ24bに対する交流電源1の異常時における充電動作の説明に供する第1及び第2の図である。
【0068】
まず、交流電源1の異常時においては、
図14に示すように、交流電源/バッテリ切替スイッチ30の接点は接点bに切り替えられ、バッテリ運転用スイッチ31は短絡されている。そして、正側コンデンサ24aを充電する場合には、コンバータ部半導体スイッチ27bはオンに制御される。このとき、
図14に示すように、蓄電部6→バッテリ運転用スイッチ31→交流電源/バッテリ切替スイッチ30→リアクトル29→ダイオードブリッジ27aのダイオード27a1→コンバータ部半導体スイッチ27b→ダイオード27a4→蓄電部6というルートで電流が流れ、リアクトル29にエネルギーが蓄積される。続いて、コンバータ部半導体スイッチ27bがオフに制御される。このとき、
図15に示すように、リアクトル29→第1の逆流防止用ダイオード21→正側コンデンサ24a→蓄電部6→バッテリ運転用スイッチ31→交流電源/バッテリ切替スイッチ30→リアクトル29というルートで電流が流れ、リアクトル29に蓄積されたエネルギーによって正側コンデンサ24aが充電される。
【0069】
また、負側コンデンサ24bを充電する場合には、負極側昇降圧部第1の半導体スイッチ26aがオンに制御される。このとき、
図16に示すように、蓄電部6→負極側昇降圧部第1の半導体スイッチ26a→負極側昇降圧部リアクトル26c→蓄電部6というルートで電流が流れ、負極側昇降圧部リアクトル26cにエネルギーが蓄積される。続いて、負極側昇降圧部第1の半導体スイッチ26aがオフに制御される。このとき、
図17に示すように、負極側昇降圧部リアクトル26c→負側コンデンサ24b→負極側昇降圧部第2のダイオード26e→負極側昇降圧部リアクトル26cというルートで電流が流れ、負極側昇降圧部リアクトル26cに蓄積されたエネルギーによって負側コンデンサ24bが充電される。
【0070】
なお、負荷4に交流電力を供給する際に、負荷4の不平衡などにより、正側コンデンサ24aの電圧と負側コンデンサ24bの電圧とが不平衡になることがある。このような不平衡が生じた場合の動作について、
図18から
図21を参照して説明する。
図18及び
図19は、それぞれ実施の形態2に係る無停電電源装置101に備えられる正側コンデンサ24a及び負側コンデンサ24bのうちで負側コンデンサ24bの電圧が高くなった場合の不平衡を解消するための動作説明に供する第1及び第2の図である。また、
図20及び
図21は、それぞれ実施の形態2に係る無停電電源装置101に備えられる正側コンデンサ24a及び負側コンデンサ24bのうちで正側コンデンサ24aの電圧が高くなった場合の不平衡を解消するための動作説明に供する第1及び第2の図である。
【0071】
まず、負側コンデンサ24bの電圧が高くなった場合には、バランス部第2の半導体スイッチ25cがオンに制御される。このとき、
図18に示すように、負側コンデンサ24b→バランス部リアクトル25e→バランス部第2の半導体スイッチ25c→負側コンデンサ24bというルートで電流が流れ、バランス部リアクトル25eにエネルギーが蓄積される。続いて、バランス部第2の半導体スイッチ25cがオフに制御される。このとき、
図19に示すように、バランス部リアクトル25e→バランス部第1のダイオード25b→正側コンデンサ24a→バランス部リアクトル25eというルートで電流が流れ、バランス部リアクトル25eに蓄積されたエネルギーによって正側コンデンサ24aが充電される。この制御により、負側コンデンサ24bの電荷が正側コンデンサ24aに移動するので、正側コンデンサ24aと負側コンデンサ24bとの間の不平衡が解消される。
【0072】
また、正側コンデンサ24aの電圧が高くなった場合には、バランス部第1の半導体スイッチ25aがオンに制御される。このとき、
図20に示すように、正側コンデンサ24a→バランス部第1の半導体スイッチ25a→バランス部リアクトル25e→正側コンデンサ24aというルートで電流が流れ、バランス部リアクトル25eにエネルギーが蓄積される。続いて、バランス部第1の半導体スイッチ25aがオフに制御される。このとき、
図21に示すように、バランス部リアクトル25e→負側コンデンサ24b→バランス部第2のダイオード25d→バランス部リアクトル25eというルートで電流が流れ、バランス部リアクトル25eに蓄積されたエネルギーによって負側コンデンサ24bが充電される。この制御により、正側コンデンサ24aの電荷が負側コンデンサ24bに移動するので、正側コンデンサ24aと負側コンデンサ24bとの間の不平衡が解消される。
【0073】
また、実施の形態1と同様に、制御回路35は、蓄電部6の電圧等を使用して行う周知の方法により、蓄電部6の充電率を算出する充電率算出部を有している。また、実施の形態1と同様に、負荷4が回生を行うかどうかは、設定部9で設定される。負荷4が回生を行う負荷である場合には、交流電源1が健全であっても、充電率が100%までの充電は行われない。一方、負荷4が回生を行わない負荷である場合には、充電率が100%までの充電が行われる。また、実施の形態1と同様に、設定部9を設けずに、回生検出部12の出力である運転情報、即ち負荷4が回生運転を行っているのか、力行運転を行っているのかの情報に基づいて、蓄電部6の充電率の上限値を定めてもよい。
【0074】
次に、交流電源1が健全であるときの、バランス部25、負極側昇降圧部26及びコンバータ部27の詳細動作について説明する。なお、これらの構成部における健全時の動作も、実施の形態1の説明で参照した
図5のフローチャートに従う動作となる。以下、
図5を参照して説明する。
【0075】
まず、ステップS101において、制御回路35の充電率算出部は、蓄電部6の充電率を算出する。次のステップS102において、回生検出部12は、負荷4からの回生電力を検出しているか否かを判定し、回生ありの場合には(ステップS102,Yes)、ステップS104に進み、回生なしの場合には(ステップS102,No)、ステップS103に進む。
【0076】
ステップS103では、ステップS101で算出した蓄電部6の充電率が第1の閾値以上であるか否かが判定される。第1の閾値は、例えば70%に設定される。蓄電部6の充電率が第1の閾値以上の場合には(ステップS103,Yes)、ステップS105に進み、充電率が第1の閾値未満の場合には(ステップS103,No)、ステップS106に進む。
【0077】
ステップS105では、蓄電部6から負側コンデンサ24bへの放電が開始され、
図5の処理フローを終了する。
【0078】
ステップS105は、負荷4からの回生がなく、且つ充電率が第1の閾値以上の状態である。このため、ステップS105では、蓄電部6の充電率を下げるために、蓄電部6の放電が行われる。これにより、負荷4からの回生があったときには、回生電力を蓄電部6に充電できる状態にすることができる。
【0079】
ステップS106では、充電率が第2の閾値未満であるか否かが判定される。第2の閾値は第1の閾値より小さい値であり、例えば50%に設定される。充電率が第2の閾値未満の場合には(ステップS106,Yes)、ステップS107に進み、充電率が第2の閾値以上の場合には(ステップS106,No)、ステップS108に進む。
【0080】
ステップS107は、負荷4からの回生がなく、且つ充電率が第2の閾値未満の状態である。即ち、ステップS107は、蓄電部6の充電率が十分低い状態であるので、蓄電部6の充電を開始して、
図5の処理フローを終了する。具体的には、
図12及び
図13に示すように、負極側昇降圧部26を動作させ、蓄電部6の充電を開始して、負側コンデンサ24bから蓄電部6に電荷を移動させる。
【0081】
ステップS108は、負荷4からの回生がなく、且つ充電率が第2の閾値以上の状態である。即ち、ステップS108は、回生があったときに回生電力を蓄電部6に充電できる状態なので、蓄電部6の充放電を停止して、
図5の処理フローを終了する。
【0082】
ステップS104では、充電率が100%未満であるか否かが判定される。充電率が100%未満の場合には(ステップS104,Yes)、ステップS109に進み、充電率が100%の場合には(ステップS104,No)、ステップS110に進む。
【0083】
ステップS109は、負荷4からの回生があり、且つ充電率が100%未満の状態である。即ち、ステップS109は、蓄電部6が満充電の状態ではないので、負側コンデンサ24bから蓄電部6への充電が行われる。具体的には、
図12及び
図13に示すように、負極側昇降圧部26を動作させ、蓄電部6の充電を開始して、負側コンデンサ24bから蓄電部6に電荷を移動させる。これにより、負荷4からの回生電力を負側コンデンサ24bが受け入れることができるので、回生電力を有効に利用できる。
【0084】
ステップS110は、負荷4から回生があり、且つ充電率が100%の状態である。即ち、ステップS110は、負荷4からの回生電力を、これ以上蓄電部6へ充電できない状態であるので、充電を停止する。
【0085】
なお、以上説明した
図5に示す処理フローは、既定時間ごとに実行されるものとする。既定時間は、例えば10m秒に設定される。
【0086】
また、実施の形態2に係る無停電電源装置101は、
図5に示す処理フローを実行しつつ、交流電源1の状態に応じた制御を実施する。具体的に、交流電源1の電圧が、例えば許容電圧範囲の下限値であるAC90V未満に低下した場合、無停電電源装置101は、交流電源1が異常状態になったと判定する。この場合、無停電電源装置101は、蓄電部6の電力を負極側昇降圧部26又はコンバータ部27を介して正側コンデンサ24a又は負側コンデンサ24bに供給し、コンデンサ電圧が既定のDC200Vになるよう制御する。なお、無停電電源装置101は、交流電源1の電圧が許容電圧範囲の上限値であるAC110Vを超えた場合、或いはコンデンサ電圧が既定の下限値である例えば160V未満に低下した場合なども、交流電源1が異常状態であると判定する。
【0087】
また、実施の形態2に係る無停電電源装置101は、実施の形態1に係る無停電電源装置100と同様に、交流電源1の異常時においても、負荷4に対し、AC100Vの交流電圧の出力を継続するバックアップ運転を行う。バックアップ運転は、蓄電部6の電圧が既定の下限値である例えばDC50Vになるまでを継続され、蓄電部6の電圧がDC50V未満に低下した場合、蓄電部6の蓄積エネルギーが枯渇したとして、負荷4への電力供給は停止される。
【0088】
次に、交流電源1が異常時のバックアップ運転中におけるバランス部25、負極側昇降圧部26及びコンバータ部27の詳細動作について説明する。なお、これらの構成部におけるバックアップ運転中の動作も、実施の形態1の説明で参照した
図6のフローチャートに従う動作となる。以下、
図6を参照して説明する。
【0089】
まず、ステップS201では、正側コンデンサ24a及び負側コンデンサ24bの電圧をコンデンサ電圧検出部8から取得する。次のステップS202では、ステップS201で取得した電圧値が第1の値以上であるか否かが判定される。第1の値は設定値であり、例えばDC215Vに設定される。当該電圧値が第1の値以上の場合には(ステップS202,Yes)、ステップS203に進み、当該電圧値が第1の値未満の場合には(ステップS202,No)、ステップS204に進む。
【0090】
ステップS203は、バックアップ運転中ではあるものの、負荷4からの回生があり、且つ正側コンデンサ24a及び負側コンデンサ24bの電圧のうちの少なくとも1つが第1の値以上となっている。従って、回生電力を有効利用するため、蓄電部6への充電が開始される。具体的には、
図12及び
図13に示すように、負極側昇降圧部26を動作させ、蓄電部6の充電を開始して、負側コンデンサ24bから蓄電部6に電荷を移動させる。或いは、
図18及び
図19に示すように、バランス部25を動作させ、負側コンデンサ24bから正側コンデンサ24aに電荷を移動させる。ステップS203の処理の後、ステップS206に進む。
【0091】
ステップS206では、蓄電部6の充電率が算出され、ステップS207に進む。
【0092】
ステップS207では、充電率が100%未満であるか否かが判定される。充電率が100%未満の場合には(ステップS207,Yes)、
図6の処理フローを終了する。また、充電率が100%の場合には(ステップS207,No)、ステップS208に進む。
【0093】
ステップS208は、バックアップ運転中において、負荷4から回生電力によりコンデンサ電圧が第1の値以上となったことで蓄電部6への充電を開始し、その後、充電が進行して蓄電部6の充電率が100%となった状態である。このため、蓄電部6に対するこれ以上の充電は不可能なので、蓄電部6の充電を停止する。
【0094】
ステップS204では、ステップS201で取得した電圧値が第2の値未満であるか否かが判定される。第2の値は第1の値よりも小さい設定値であり、例えばDC200Vに設定される。当該電圧値が第2の値未満の場合には(ステップS204,Yes)、ステップS205に進み、当該電圧値が第2の値以上の場合には(ステップS204,No)、
図6の処理フローを終了する。
【0095】
ステップS205は、正側コンデンサ24a及び負側コンデンサ24bの電圧のうちの少なくとも1つの電圧が低下した状態である。このため、ステップS205では、正側コンデンサ24a及び負側コンデンサ24bのうちの何れかに電荷を移動させる。具体的には、
図14及び
図15に示すように、コンバータ部27を動作させ、蓄電部6から正側コンデンサ24aに電荷を移動させる。或いは、
図16及び
図17に示すように、負極側昇降圧部26を動作させ、蓄電部6から負側コンデンサ24bに電荷を移動させる。
【0096】
なお、以上説明した
図6に示す処理フローは、既定時間ごとに実行されるものとする。既定時間は、例えば10m秒に設定される。
【0097】
なお、上記の説明では、正側コンデンサ24aの電圧と負側コンデンサ24bの電圧とを区別せず、負極側昇降圧部26又はコンバータ部27を動作させたが、正側コンデンサ24aの電圧と負側コンデンサ24bの電圧とを区別して、負極側昇降圧部26又はコンバータ部27を動作させてもよい。例えば、正側コンデンサ24aの電圧が第2の値未満の場合には、
図14及び
図15に示すように、コンバータ部27を動作させて蓄電部6を放電させ、蓄電部6から正側コンデンサ24aに電荷を移動させればよい。また、例えば、負側コンデンサ24bの電圧が第2の値未満の場合には、
図16及び
図17に示すように、負極側昇降圧部26を動作させて蓄電部6を放電させ、蓄電部6から負側コンデンサ24bに電荷を移動させればよい。
【0098】
以上説明したように、実施の形態2に係る無停電電源装置によれば、第3の電力変換部は、蓄電部と負側コンデンサとの間で電荷を移動させる動作を行う負極側昇降圧部を備える。負極側昇降圧部は、交流電源が異常であり、且つコンデンサ電圧検出部が検出する負側コンデンサの電圧が第1の値以上の場合、負極側昇降圧部は、負側コンデンサの電荷を蓄電部に移動させるように動作する。この動作により、コンデンサは、負荷からの回生があったときには、回生電力を受入可能な状態にすることができる。これにより、負荷の回生電力を有効に利用することができる。
【0099】
また、実施の形態2に係る無停電電源装置は、交流電源の正常時には第1の電力変換部としても動作し、交流電源の異常時には蓄電部から正側コンデンサに電荷を移動させる動作を行うコンバータ部を備える。このコンバータ部は、交流電源が異常であり、且つコンデンサ電圧検出部が検出する正側コンデンサの電圧が第1の値より小さい第2の値未満である場合には、蓄電部から正側コンデンサに電荷を移動させるように動作する。また、負極側昇降圧部は、交流電源が異常であり、且つコンデンサ電圧検出部が検出する負側コンデンサの電圧が第1の値より小さい第2の値未満である場合には、蓄電部から負側コンデンサに電荷を移動させるように動作する。これにより、負荷が回生運転から力行運転に変わっても、間断なく負荷への電力供給が継続できる。
【0100】
また、実施の形態2に係る無停電電源装置は、負荷からの回生電力の有無を検出する回生検出部と、蓄電部の充電率を算出する充電率算出部とを更に備えた構成とすることができる。この構成の無停電電源装置において、負極側昇降圧部は、交流電源が健全であり、且つ回生検出部が回生電力を検出せず、且つ充電率が第1の閾値以上である場合、蓄電部から負側コンデンサに電荷を移動させるように動作する。蓄電部からコンデンサに電荷を移動させることで、蓄電部の充電率を下げることができる。また、蓄電部の充電率を下げることで、負荷から回生があったときに、負荷の回生電力を蓄電部に充電できるようになる。これにより、負荷の回生電力を有効に利用することができる。
【0101】
また、実施の形態2に係る無停電電源装置によれば、交流電源が健全であり、且つ回生検出部が回生電力を検出し、且つ充電率が100%未満である場合、負極側昇降圧部は、負側コンデンサから蓄電部に電荷を移動させ、第4の電力変換部は、正側コンデンサの電荷を負側コンデンサに移動させるように動作する。これにより、負荷からの回生電力を受け入れる際の電力容量を大きくすることができる。
【0102】
最後に、上述した充放電制御部7d及び制御回路35の機能を実現するためのハードウェア構成について、
図22及び
図23を参照して説明する。
図22は、実施の形態1における充放電制御部7d及び実施の形態2における制御回路35の機能を実現するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図23は、実施の形態1における充放電制御部7d及び実施の形態2における制御回路35の機能を実現するハードウェア構成の他の例を示すブロック図である。
【0103】
実施の形態1における充放電制御部7d及び実施の形態2における制御回路35の機能の一部又は全部を実現する場合には、
図22に示すように、演算を行うプロセッサ300、プロセッサ300によって読みとられるプログラムが保存されるメモリ302、及び信号の入出力を行うインタフェース304を含む構成とすることができる。
【0104】
プロセッサ300は、演算手段の一例である。プロセッサ300は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)と称される演算手段であってもよい。また、メモリ302には、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)といった不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)を例示することができる。
【0105】
メモリ302には、実施の形態1における充放電制御部7d及び実施の形態2における制御回路35の機能を実行するプログラムが格納されている。プロセッサ300は、インタフェース304を介して必要な情報を授受し、メモリ302に格納されたプログラムをプロセッサ300が実行し、メモリ302に格納されたテーブルをプロセッサ300が参照することにより、上述した処理を行うことができる。プロセッサ300による演算結果は、メモリ302に記憶することができる。
【0106】
また、実施の形態1における充放電制御部7d及び実施の形態2における制御回路35の機能の一部を実現する場合には、
図23に示す処理回路303を用いることもできる。処理回路303は、単一回路、複合回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらを組み合わせたものが該当する。処理回路303に入力する情報、及び処理回路303から出力する情報は、インタフェース304を介して入手することができる。
【0107】
なお、充放電制御部7d及び制御回路35における一部の処理を処理回路303で実施し、処理回路303で実施しない処理をプロセッサ300及びメモリ302で実施してもよい。
【0108】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 交流電源、2 第1の電力変換部、2a ブリッジ整流回路、2b 昇圧回路、3,28,33 コンデンサ、4 負荷、5 第2の電力変換部、5a,5b,5c,5d,7b,7c 自己消弧型半導体スイッチング素子、5e フィルタ回路、5f 単相フルブリッジインバータ、6 蓄電部、7 第3の電力変換部、7a,29,32 リアクトル、7d 充放電制御部、7e 電圧センサ、8,34 コンデンサ電圧検出部、9 設定部、10 出力電圧検出部、11 電流検出部、12 回生検出部、21 第1の逆流防止用ダイオード、22 第2の逆流防止用ダイオード、24 インバータ部、24a 正側コンデンサ、24b 負側コンデンサ、24c インバータ部第1の半導体スイッチ、24d,24f インバータ部ダイオード、24e インバータ部第2の半導体スイッチ、25 バランス部、25a バランス部第1の半導体スイッチ、25b バランス部第1のダイオード、25c バランス部第2の半導体スイッチ、25d バランス部第2のダイオード、25e バランス部リアクトル、26 負極側昇降圧部、26a 負極側昇降圧部第1の半導体スイッチ、26b 負極側昇降圧部第1のダイオード、26c 負極側昇降圧部リアクトル、26d 負極側昇降圧部第2の半導体スイッチ、26e 負極側昇降圧部第2のダイオード、27 コンバータ部、27a ダイオードブリッジ、27a1,27a2,27a3,27a4 ダイオード、27b コンバータ部半導体スイッチ、30 交流電源/バッテリ切替スイッチ、31 バッテリ運転用スイッチ、35 制御回路、41 共通線、42 正極側電圧線、43 負極側電圧線、44 接続点、45 出力線、100,101 無停電電源装置、300 プロセッサ、302 メモリ、303 処理回路、304 インタフェース、a,b,c 接点。