IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 王子ホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-トレイ 図1
  • 特開-トレイ 図2
  • 特開-トレイ 図3
  • 特開-トレイ 図4
  • 特開-トレイ 図5
  • 特開-トレイ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180984
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】トレイ
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/22 20060101AFI20231214BHJP
   B65D 21/02 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B65D5/22 E
B65D5/22 H
B65D21/02 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094697
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】青野 典生
【テーマコード(参考)】
3E006
3E060
【Fターム(参考)】
3E006AA01
3E006DA01
3E006DB05
3E060AA03
3E060AB18
3E060BB01
3E060BC02
3E060CD02
3E060CD12
3E060DA12
(57)【要約】
【課題】壁部の安定性を高めることができるトレイを提供する。
【解決手段】トレイ1Aであって、底板10と、前後の端壁30,30と、左右の側壁20,20と、を有している。端壁30は、底板10の縁部に連設された外壁40と、外壁40の上縁部に連設され、外壁40の内面側に折り返された内壁50と、外壁40の上縁部と内壁50の上縁部との間に形成された中間板60と、を備えている。側壁20には外壁40の内面に重ねられたフラップ21が連設されている。内壁50には支持片55が連設されており、支持片55の先端縁部がフラップ21に当接している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板の前後の縁部に立ち上げられた前後の端壁と、
前記底板の左右の縁部に立ち上げられた左右の側壁と、を有し、
前記端壁は、
前記底板の縁部に連設された外壁と、
前記外壁の上縁部に連設され、前記外壁の内面側に折り返された内壁と、
前記外壁の上縁部と前記内壁の上縁部との間に形成された中間板と、を備え、
前記側壁の前後方向の縁部には、前記外壁の内面に重ねられたフラップが連設され、
前記内壁の左右方向の縁部には、前記内壁の外面側に突出している支持片が連設されており、
前記支持片の先端縁部が前記フラップに当接していることを特徴とするトレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のトレイであって、
前記支持片は、前記内壁の縁部全体に亘って帯状に形成されていることを特徴とするトレイ。
【請求項3】
請求項1に記載のトレイであって、
前記フラップの上縁部には、前記フラップの内面側に突出している上支持片が連設されており、
前記上支持片の先端縁部が前記内壁に当接していることを特徴とするトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール製のトレイとしては、底板の縁部に連設された外壁と、外壁の上縁部に連設され、外壁の内面側に折り返された内壁と、外壁の上縁部と内壁の上縁部との間に形成された中間板と、を備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-140320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来のトレイでは、外壁と内壁とが間隔を空けて配置されており、外壁および内壁の安定性が低いため、複数のトレイを積み重ねた場合など、外壁および内壁に荷重が作用したときに、外壁および内壁が傾いてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、壁部の安定性を高めることができるトレイを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、トレイであって、底板と、前記底板の前後の縁部に立ち上げられた前後の端壁と、前記底板の左右の縁部に立ち上げられた左右の側壁と、を有している。前記端壁は、前記底板の縁部に連設された外壁と、前記外壁の上縁部に連設され、前記外壁の内面側に折り返された内壁と、前記外壁の上縁部と前記内壁の上縁部との間に形成された中間板と、を備えている。前記側壁の前後方向の縁部には、前記外壁の内面に重ねられたフラップが連設されている。前記内壁の左右方向の縁部には、前記内壁の外面側に突出している支持片が連設されており、前記支持片の先端縁部が前記フラップに当接している。
【0007】
本発明のトレイでは、内壁に連設された支持片が、外壁の内面に重ねられたフラップに当接することで、端壁の前後方向への傾きが規制される。また、側壁に連設されたフラップが、支持片と外壁との間に挟まれることで、側壁の左右方向への傾きが規制される。このように、本発明のトレイでは、端壁および側壁の安定性を高めることができる。
【0008】
また、本発明のトレイは、ブランクシートの状態において、内壁とフラップとが隣り合わせに配置される。そして、ブランクシートの内壁とフラップとの間に、支持片が配置される。これにより、ブランクシートの外縁部に支持片が突出しないため、支持片を形成してもブランクシートの面積を抑えることができる。
【0009】
前記したトレイにおいて、前記支持片を前記内壁の縁部全体に亘って帯状に形成することで、端壁の安定性を高めることが好ましい。
【0010】
前記したトレイにおいて、前記フラップの上縁部に、前記フラップの内面側に突出している上支持片を連設し、前記上支持片の先端縁部を前記内壁に当接させて、端壁の安定性を高めてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のトレイでは、端壁および側壁の安定性を高めることができるため、複数のトレイを安定して積み重ねることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施形態に係るトレイを後方右上から見た斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るトレイのブランクシートを示した図である。
図3】本発明の第一実施形態に係るトレイの前部を示した平面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係るトレイを示した図で、外壁に対して内壁を折り返す前の状態を示した斜視図である。
図5】本発明の第二実施形態に係るトレイのブランクシートを示した図である。
図6】本発明の第二実施形態に係るトレイを示した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態のトレイを説明する上で便宜上設定したものであり、トレイの構成や使用状態を限定するものではない。
【0014】
[第一実施形態]
第一実施形態のトレイ1Aは、図1に示すように、底板10の左右の縁部にそれぞれ立ち上げられた左右の側壁20,20と、底板10と、底板10の前後の縁部にそれぞれ立ち上げられた前後の端壁30,30と、を備えている。
【0015】
第一実施形態のトレイ1Aは、図2に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS1を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図2に示すブランクシートS1は内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートS1の折れ線は、ブランクシートS1の表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、折れ線においてブランクシートS1を折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続して線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0016】
底板10は、図4に示すように、四角形の平板である。底板10の前縁部には、左右の係合穴11,11が貫通している(図2参照)。両係合穴11,11は、底板10の左右方向の中央部を挟んで、左右方向に間隔を空けて形成されている。同様に、底板10の後縁部にも、左右の係合穴11,11が形成されている(図2参照)。
【0017】
右側の側壁20は、折れ線を介して底板10の右縁部に連設されている。左側の側壁20は、折れ線を介して底板10の左縁部に連設されている。左右の側壁20,20は、底板10に対して垂直に立ち上げられている。左右の側壁20,20は、四角形の同じ形状に形成されている。
【0018】
側壁20の前後の縁部には、折れ線を介して前後のフラップ21,21がそれぞれ連設されている。両フラップ21,21は、側壁20に対して内面側(左右方向の中央側)に折り曲げられている。フラップ21の左右方向の長さは、底板10の前後方向の長さの半分よりも僅かに小さく形成されている。フラップ21は、後記する外壁40の内面に重ねられる部位である。
フラップ21の下縁部には、窪み部22が形成されている。窪み部22は、フラップ21の下縁部において、フラップ21の左右方向の略中央部から先端部(左右方向の中央側の端部)に亘って帯状に延びている。
【0019】
前側の端壁30は、図1に示すように、底板10の前縁部に連設された外壁40(図2参照)と、外壁40の上縁部に連設され、外壁40の内面側に折り返された内壁50と、外壁40の上縁部と内壁50の上縁部との間に形成された中間板60と、を備えている。
【0020】
外壁40は、図4に示すように、折れ線を介して底板10の前縁部に連設されている。外壁40は、底板10に対して垂直に立ち上げられている。外壁40は、左右のフラップ21,21の外面に重ねられている。
【0021】
外壁40の上縁部には、図4に示すように、前後二本の折れ線を介して内壁50が連設されている。内壁50は、四角形に形成されており、外壁40と同じ形状に形成されている。
内壁50は、外壁40の内面側に折り返されている。内壁50は、左右のフラップ21,21の内面側に配置されている。図3に示すように、内壁50の外面と、フラップ21の内面とは、前後方向に間隔を空けて配置されている。
【0022】
内壁50の下縁部は、図1に示すように、底板10の上面に接している。内壁50の下縁部には、左右の係合部51,51が突出している(図4参照)。両係合部51,51は、内壁50の左右方向の中央部を挟んで、左右方向に間隔を空けて形成されている。
係合部51が底板10の係合穴11に上側から差し込まれることで、内壁50の下縁部が底板10の上面に保持されている。
【0023】
外壁40の上縁部と内壁50の上縁部との間には、中間板60が形成されている。中間板60は、左右方向に延びている帯状の部位である。
中間板60には、前後の受け部61,61が前後方向に間隔を空けて形成されている。受け部61は、中間板60を前後方向に二つ折りにした部位である。受け部61の頂部は、中間板60の上面よりも上方に突出している。この受け部61は、トレイ1Aの上に他のトレイ1Aを重ねたときに、他のトレイ1Aの係合穴11(図2参照)に差し込まれて、他のトレイ1Aの底板10の下面を受ける部位である。
【0024】
第一実施形態のトレイ1Aでは、図4に示すように、内壁50の左右の縁部にそれぞれ支持片55,55が連設されている。支持片55は、内壁50の縁部に折れ線を介して連設されている。支持片55は、内壁50の縁部全体に亘って帯状に形成されている。
支持片55は、図3に示すように、内壁50に対して前方に向けて垂直に折り曲げられており、内壁50の縁部から内壁50の外面側に突出している。すなわち、支持片55は、内壁50の縁部からフラップ21に向かって突出している。支持片55の前後方向の長さは、内壁50と外壁40との間隔と略同じ大きさに形成されている。
【0025】
支持片55の先端縁部(前縁部)は、フラップ21に当接している。これにより、支持片55の先端縁部と外壁40の内面との間にフラップ21が挟み込まれている。
このように、内壁50に連設された支持片55と外壁40との間に、側壁20に連設されたフラップ21が挟み込まれることで、側壁20が底板10に対して立ち上げられた状態に保たれている。
【0026】
後側の端壁30は、図1に示すように、前側の端壁30と前後対称に形成されている。つまり、後側の端壁30は、底板10の後縁部に連設された外壁40と、外壁40の上縁部に連設され、外壁40の内面側に折り返された内壁50と、外壁40の上縁部と内壁50の上縁部との間に形成された中間板60と、を備えている。また、後側の端壁30の内壁50の左右の縁部にもそれぞれ支持片55,55が連設されている(図4参照)。
【0027】
以上のようなトレイ1Aでは、図1に示すように、内壁50の縁部全体に亘って連設された支持片55が、外壁40の内面に重ねられたフラップ21に当接することで、端壁30の前後方向への傾きが規制される。
また、図3に示すように、側壁20に連設されたフラップ21が、支持片55と外壁40との間に挟まれることで、側壁20の左右方向への傾きが規制される。
このように、第一実施形態のトレイ1Aでは、端壁30および側壁20の安定性を高めることができるため、端壁30および側壁20に対して上方から荷重が作用したときに、端壁30および側壁20が傾くのを防ぐことができる。これにより、複数のトレイ1Aを安定して積み重ねることができる。
【0028】
また、本実施形態のトレイ1Aは、図2に示すブランクシートS1の状態において、内壁50とフラップ21とが隣り合わせに配置される。そして、内壁50に連設された支持片55は、内壁50とフラップ21との間に配置される。また、支持片55は、フラップ21の窪み部22内に入り込んでいる。
このように、ブランクシートS1の外縁部に支持片55が突出しないため、支持片55を形成してもブランクシートS1の面積を抑えることができる。
【0029】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記第一実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
第一実施形態のトレイ1Aでは、図1に示すように、内壁50の縁部全体に亘って支持片55が連設されているが、内壁50の縁部の一部に支持片55を連設してもよい。
【0030】
第一実施形態のトレイ1Aは段ボール製であるが、各種公知の板紙によってトレイを形成してもよい。
【0031】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態のトレイ1Bについて説明する。第二実施形態のトレイ1Bは、図6に示すように、前記第一実施形態のトレイ1A(図1参照)と略同様な構成であり、フラップ21の上縁部に上支持片56が形成されている点が異なる。
【0032】
第二実施形態のトレイ1Bは、図5に示すブランクシートS2を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図5に示すブランクシートS2は内面側が見えるように配置されている。
【0033】
第二実施形態のトレイ1Bでは、図6に示すように、フラップ21の上縁部に折れ線を介して上支持片56が連設されている(図5参照)。上支持片56は、フラップ21の上縁部からフラップ21の内面側に向けて突出している。上支持片56の前後方向の長さは、中間板60の前後方向の長さと略同じ大きさに形成されている。
上支持片56は、中間板60の下面に重ねられているとともに、上支持片56の先端縁部が内壁50に当接している。
【0034】
第二実施形態のトレイ1Bでは、上支持片56が内壁50に当接することで、端壁30の前後方向への傾きが規制される。
このように、第二実施形態のトレイ1Bでは、支持片55および上支持片56によって、端壁30の安定性を高めることができる。
【0035】
以上、本発明の第二実施形態について説明したが、前記第一実施形態と同様に、本発明は前記第二実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
第二実施形態のトレイ1Bでは、図5に示すように、フラップ21の上縁部の一部に上支持片56が連設されているが、フラップ21の上縁部全体に亘って上支持片56を連設してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1A トレイ(第一実施形態)
1B トレイ(第二実施形態)
10 底板
11 係合穴
20 側壁
21 フラップ
22 窪み部
30 端壁
40 外壁
50 内壁
51 係合部
55 支持片
56 上支持片
60 中間板
61 受け部
S1 ブランクシート(第一実施形態)
S2 ブランクシート(第二実施形態)
図1
図2
図3
図4
図5
図6