(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180987
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20231214BHJP
F02P 5/145 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
F02D45/00 368Z
F02P5/145 E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094701
(22)【出願日】2022-06-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095566
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 隼人
(72)【発明者】
【氏名】小塚 悟史
(72)【発明者】
【氏名】飯田 潤
(72)【発明者】
【氏名】浅野 暢一
【テーマコード(参考)】
3G022
3G384
【Fターム(参考)】
3G022CA02
3G022GA10
3G384BA24
3G384CA03
3G384DA54
3G384EB03
3G384EB04
3G384EB17
3G384ED08
3G384FA08Z
3G384FA28Z
3G384FA32Z
3G384FA56Z
3G384FA58Z
(57)【要約】
【課題】失火が発生した気筒を特定するとともに、その気筒の失火を抑制し、燃焼状態を安定させることによって、排気ガス特性及びアイドル安定性を改善することができる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】本発明による内燃機関の制御装置では、複数の気筒を有する内燃機関3の回転速度を表す回転速度パラメータ(時間パラメータCRME)を検出し、複数の気筒の各燃焼行程において検出された回転速度パラメータに基づき、点火ごとの失火である単失火を気筒ごとに検出し(ステップ2~7、9)、単失火の検出回数を失火カウンタ値C_MF(k)として気筒ごとにカウントし(ステップ8、10)、失火カウンタ値C_MF(k)に基づき、その気筒において失火が発生しているか否かを判定し(ステップ11~12)、失火が発生していると判定された気筒の点火時期IGLOGを進角側に補正する(ステップ25、26、ステップ34)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒を有する内燃機関の回転速度を表す回転速度パラメータを検出する回転速度パラメータ検出手段と、
前記複数の気筒の各燃焼行程において検出された回転速度パラメータに基づき、点火ごとの失火である単失火を前記気筒ごとに検出する単失火検出手段と、
当該単失火が検出された回数を失火カウンタ値として前記気筒ごとにカウントする失火カウンタと、
当該失火カウンタ値に基づき、当該気筒において失火が発生しているか否かを判定する失火判定手段と、
当該失火が発生していると判定された気筒の点火時期を進角側に補正する点火時期補正手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記内燃機関は、排気ガスを浄化するための触媒を有し、
前記失火判定手段は、前記触媒の暖機を促進するために点火時期を遅角側に制御する触媒暖機制御中に、失火判定を実行することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記失火判定手段は、前記失火カウンタ値が所定値に達したときに、当該気筒において失火が発生していると判定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記点火時期補正手段は、前記点火時期を進角側に補正するための進角補正量を、所定のリミット値を超えないように制限することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、特に失火状態を判定し、その判定結果に応じて点火時期を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内燃機関の失火判定装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この装置では、所定の失火判定期間(例えば内燃機関の200回転相当)中に、内燃機関の回転変化量を点火動作ごとに算出し、この回転変化量が単失火判定値を上回ったときに、単失火(各点火における個々の失火)が検出されたとし、その検出回数を失火カウンタ値としてカウントする。また、単失火が検出されるごとに、そのときの内燃機関の運転状態(回転数、負荷や水温など)に応じて、総合失火判定値を更新する。
【0003】
そして、失火判定期間の終了時に、失火カウンタ値と総合失火判定値を比較し、前者が後者を上回っているときに、失火判定期間において、失火が発生したと判定する。これにより、失火の発生しやすさに影響を及ぼす内燃機関の運転状態を反映させながら、失火判定期間における失火の有無が総合的に判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来の失火判定装置では、失火が発生した気筒が特定されることはなく、所定の失火判定期間における失火の有無が総合的に判定されるにすぎない。また、失火した気筒を特定できないため、その気筒を対象として、失火を抑制し、燃焼状態を安定させるための制御を適切に行えず、ひいては排気ガス特性やアイドル安定性の低下を招いてしまう。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、失火が発生した気筒を特定するとともに、その気筒の失火を抑制し、燃焼状態を安定させることによって、排気ガス特性及びアイドル安定性を向上させることができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明による内燃機関の制御装置は、複数の気筒を有する内燃機関3の回転速度を表す回転速度パラメータ(実施形態における(以下、本項において同じ)時間パラメータCRME、相対回転速度OMGREF)を検出する回転速度パラメータ検出手段(クランク角度位置センサ13、ECU2)と、複数の気筒の各燃焼行程において検出された回転速度パラメータに基づき、点火ごとの失火である単失火を気筒ごとに検出する単失火検出手段(ECU2、
図3のステップ2~7、9)と、単失火が検出された回数を失火カウンタ値C_MF(k)として気筒ごとにカウントする失火カウンタ(ECU2、ステップ8、10)と、失火カウンタ値C_MF(k)に基づき、当該気筒において失火が発生しているか否かを判定する失火判定手段(ECU2、ステップ11~12)と、失火が発生していると判定された気筒の点火時期IGLOGを進角側に補正する点火時期補正手段(ECU2、
図4のステップ25、26、
図5のステップ34)と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この制御装置では、内燃機関の回転速度パラメータを検出するとともに、各気筒の燃焼行程において検出された回転速度パラメータに基づき、単失火(点火ごとの失火)が気筒ごとに検出される。そして、単失火の検出回数をカウントした失火カウンタ値に基づき、その気筒における失火が発生しているか否かが判定される。このように、1つの気筒において単失火が1度検出されることをもって直ちに、その気筒において失火が発生したと判定するのではなく、気筒ごとの単失火の検出回数である失火カウンタ値に基づき、その気筒における失火の有無を判定する。これにより、内燃機関の回転速度の一時的な低下やその検出信号のノイズなどによる単失火の誤検出の影響をダイレクトに受けることなく、失火の有無の判定を気筒ごとに精度良く行えるとともに、失火が発生した気筒を特定することができる。
【0009】
また、失火が発生していると判定された気筒の点火時期を進角側に補正する。これにより、その気筒の失火を抑制し、燃焼状態を安定させることができ、したがって、排気ガス特性やアイドル安定性を向上させることができる。さらに、燃焼が不安定で失火が疑われる気筒の点火時期を進角させたときの燃焼状態を確認することによって、進角により燃焼が改善する場合と、進角しても燃焼が改善せず、何らかの原因で失火が発生している場合を、容易に識別でき、それにより、失火検知性を向上させることができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、内燃機関3は、排気ガスを浄化するための触媒(触媒コンバータ7)を有し、失火判定手段は、触媒の暖機を促進するために点火時期IGLOGを遅角側に制御する触媒暖機制御中に、失火判定を実行すること(
図3)を特徴とする。
【0011】
触媒暖機制御は、内燃機関の冷間始動直後に、触媒の暖機促進のために点火時期を遅角側に制御することによって行われるため、失火が発生しやすい。この構成によれば、そのような触媒暖機制御中に、失火判定とその判定結果に基づく点火時期の進角補正を行うので、失火を抑制し、燃焼状態を安定させるという本発明による効果を特に有効に得ることができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置において、失火判定手段は、失火カウンタ値C_MF(k)が所定値(しきい値CREF)に達したときに、当該気筒において失火が発生していると判定すること(
図3のステップ11、12)を特徴とする。
【0013】
この構成によれば、失火カウンタ値が所定値に達したときに、当該気筒において失火が発生していると判定するので、内燃機関の回転速度の一時的な低下やその検出信号のノイズなどによる単失火の誤検出の影響をダイレクトに受けることなく、失火の有無の判定と失火が発生した気筒の特定を精度良く行うことができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、点火時期補正手段は、点火時期IGLOGを進角側に補正するための進角補正量IGMF(k)を、所定のリミット値IGLMTを超えないように制限すること(
図5のステップ35、36)を特徴とする。
【0015】
この構成によれば、点火時期を進角側に補正するための進角補正量がリミット値以下に制限されるので、単失火の検出やそれに基づく失火判定などに誤りが生じた場合においても、点火時期が進角側に過剰に補正されることがなくなる。その結果、排気ガス特性値を各種の規制値以内に収めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明を適用した内燃機関及び制御装置を概略的に示す図である。
【
図2】単失火の検出手法を説明するための図である。
【
図4】失火判定処理による判定結果を用いた点火時期制御処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図4の進角補正量の算出処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図3~
図5の処理による動作例を示すタイミングチャートである。
【
図7】
図3~
図5の処理による別の動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1に示す内燃機関(以下「エンジン」という)3は、例えば車両(図示せず)に動力源として搭載されており、複数(例えば4つ)の気筒(図示せず)を有する。エンジン3には、空気(新気)が流れる吸気管4と、排気ガスが流れる排気管5が、接続されている。吸気管4には、エンジン3への吸入空気量を調整するためのスロットル弁6が設けられ、排気管5には、排気ガスを浄化するための触媒コンバータ7が設けられている。
【0018】
吸気管4に接続された吸気マニホルド4aには、燃料を噴射する燃料噴射弁8が、気筒ごとに設けられている。燃料噴射弁8の開弁時間は、後述するECU(電子制御ユニット)2からの制御信号によって制御され、それにより各気筒の燃料噴射量が制御される。
【0019】
エンジン3には、燃焼室内の混合気を点火するための点火プラグ9が、気筒ごとに設けられている。点火プラグ9の点火時期IGLOGは、ECU2からの制御信号によって制御される。
【0020】
また、吸気管4のスロットル弁6のすぐ下流側には、吸気管4内の圧力(吸気圧)PBAを検出する吸気圧センサ11が設けられ、エンジン3には、その冷却水温(エンジン水温)TWを検出する水温センサ12が設けられている。それらの検出信号はECU2に出力される。
【0021】
さらに、エンジン3のクランク軸(図示せず)には、その回転角度を検出するクランク角度位置センサ13が設けられている。クランク角度位置センサ12は、マグネットロータとMREピックアップで構成されており、クランク軸の回転に伴い、いずれもパルス信号であるCYL信号、TDC信号及びCRK信号を、ECU2に出力する。
【0022】
CYL信号は、エンジン3の気筒を判別するためのものであり、特定の気筒の所定クランク角度位置において出力される。TDC信号は、いずれかの気筒において、ピストン(図示せず)が吸気行程の開始時の上死点よりも若干、手前の所定のクランク角度位置にあるタイミングで、出力される。また、CRK信号は、TDC信号よりも短い一定のクランク角度(例えば6度)ごとに出力される。
【0023】
これらのCYL信号、TDC信号及びCRK信号は、各気筒における燃料噴射時期及び点火時期などのタイミング制御や、エンジン回転数(回転速度)NEの検出に用いられる。後述するように、本実施形態では特に、CRK信号の発生時間間隔(以下「時間パラメータ」という)CRMEに基づいて、エンジン3の失火が判定される。
【0024】
ECU2は、CPU、RAM、ROM、及び入出力インターフェース(いずれも図示せず)などから成るマイクロコンピュータで構成されている。上記のRAMには、多数の時間パラメータCRMEを記憶するためのバッファメモリが設けられている。
【0025】
ECU2は、ROMに記憶された制御プログラムに従って、スロットル弁6を介した吸入空気量制御や、燃料噴射弁8を介した燃料噴射制御、点火プラグ9を介した点火時期制御を含むエンジン制御を実行する。本実施形態では特に、時間パラメータCRMEに基づき、エンジン3の失火を気筒ごとに判定する失火判定処理と、その判定結果に基づき、点火時期を気筒ごとに制御する点火時期制御処理が実行される。本実施形態では、ECU2によって、回転速度パラメータ検出手段、単失火検出手段、失火カウンタ、失火判定手段、及び点火時期補正手段が構成されている。
【0026】
次に、
図2を参照しながら、本実施形態における単失火(点火ごとの個々の失火)の検出手法について説明する。
図2(a)は、エンジン3の各気筒の圧縮上死点近傍で検出される回転速度(以下「基準回転速度」という)を基準とした相対回転速度OMGREFの推移を示す。この相対回転速度OMGREFは、CRK信号の発生間隔であるクランク角度6度ごとに検出される回転速度(時間パラメータCRMEから算出される)から基準回転速度を減算することによって算出される。
図2(a)の#1~#4は、4つの気筒を識別するために点火順に付した気筒識別番号である。
【0027】
上述した定義から、相対回転速度OMGREFは、圧縮上死点後の燃焼行程では、失火が発生した場合には、点火が正常に行われた場合と比較して、より小さな値になる。すなわち、
図2(a)の例では、#1、#2及び#4気筒において燃焼が正常に行われ、#3気筒において失火が発生していると推定される。
【0028】
したがって、クランク角度6度ごとに算出される相対回転速度OMGREFを、燃焼行程に相当する1TDC期間(クランク角度180度の期間)にわたって積分することによって得られる積算値(以下「失火判定パラメータ」という)は、
図2(b)の棒グラフに示すように、失火が発生した#3気筒では負値になり、燃焼が正常に行われた#1、#2及び#4気筒では正値になる。以上から、失火判定パラメータを用いて、単失火を気筒ごとに判定(検出)することが可能になる。
【0029】
図3は、上述した単失火の検出を含む失火判定処理のフローチャートである。この処理は、TDC信号の発生に同期して、ECU2によって実行される。なお、クランク角度6度ごとに発生するCRK信号の時間間隔である時間パラメータCRME(i)は、クランク角度720度分のデータ(データ識別番号i=0~ND-1,データ数ND=120)がRAM内のバッファメモリに格納されている。
【0030】
また、点火順の気筒識別番号をk(1~4)とし、1TDC期間内のデータ数をNTDC(本実施形態ではNTDC=30)とすると、本処理の1回の実行で、データ識別番号iが(k-1)・NTDCから(k・NTDC-1)までの演算が行われる。例えば、今回の処理が#1気筒(k=1)を対象とするときには、データ識別番号iは0から(NTDC-1)(=29)までの値をとり、#4気筒(k=4)を対象とするときには、データ識別番号iは3NTDC(=90)から(4NTDC-1)(=119)までの値をとる。
【0031】
図3の処理では、まずステップ1(「S1」と図示、以下同じ)において、触媒暖機制御フラグF_FIREが「1」であるか否かを判別する。この触媒暖機制御フラグF_FIREは、エンジン3の冷間始動後などにおいて、触媒コンバータ7の活性化を促進するために、点火時期を遅角側に制御し、触媒コンバータ7を暖機する触媒暖機制御の実行中に「1」にセットされるものである。このステップ1の答えがNOで、触媒暖機制御中でないときには、そのまま本処理を終了する。
【0032】
一方、ステップ1の答えがYESで、触媒暖機制御中のときには、ステップ2に進み、次式(1)により、時間パラメータCRME(i)を回転速度OMG(i)(rad/s)に変換する。
【数1】
ここで、Dθは、時間パラメータCRMEを計測する角度間隔4π/NDであり、本実施形態では、π/30(rad)である。
【0033】
次に、ステップ3では、次式(2)により、回転速度OMGに720度フィルタ処理を施すことによって、フィルタ処理後回転速度OMGR(i)を算出する。
【数2】
この720度フィルタ処理は、1サイクル(クランク角度720度)の期間における線形変化分をキャンセルし、比較的周期の短い変動を抽出する処理である。
【0034】
次に、ステップ4では、次式(3)により、相対回転速度OMGREF(i)を算出する。
【数3】
ここで、OMGR((k-1)NTDC)は、基準回転速度であり、失火判定対象の気筒の圧縮上死点におけるフィルタ処理後回転速度OMGRに相当する。
【0035】
次に、ステップ5では、次式(4)により、相対回転速度OMGREFの積算値を、失火判定パラメータMFJUD(k)として算出する。
【数4】
【0036】
次に、ステップ6では、失火判定パラメータMFJUD(k)が負値(<0)であるか否かを判別する。この答えがNOで、MFJUD(k)≧0のときには、今回の判定対象である#k気筒において燃焼が正常に行われたと判定し、単失火フラグF_MF(k)を「0」にセットする(ステップ7)とともに、失火カウンタの値(失火カウンタ値)C_MF(k)を前回値に維持し(ステップ8)、その後、ステップ13に進む。なお、失火カウンタ値C_MF(k)は、触媒暖機制御の開始時に「0」にリセットされるものであり、後述するように、気筒ごとの単失火の検出回数を表す。
【0037】
一方、ステップ6の答えがYESで、失火判定パラメータMFJUD(k)が負値のときには、#k気筒において単失火が発生したと判定し、単失火フラグF_MF(k)を「1」にセットする(ステップ9)とともに、失火カウンタ値C_MF(k)を「1」だけインクリメントする(ステップ10)。
【0038】
次に、ステップ11において、インクリメントした失火カウンタ値C_MF(k)が所定のしきい値CREF以上であるか否かを判別する。この答えがNOのとき、すなわち、#k気筒における単失火の検出回数がしきい値CREFに達していないときには、点火時期IGLOGの進角補正はまだ行わないものとし、ステップ13に進む。
【0039】
一方、ステップ11の答えがYESで、#k気筒における単失火の検出回数がしきい値CREFに達したときには、#k気筒において、失火が発生していると判定するとともに、点火時期IGLOGの進角補正を行うべきとして、ステップ12に進み、進角補正フラグF_ADV(k)を「1」にセットする。
【0040】
前記ステップ8、11又12に続くステップ13では、今回の気筒識別番号kが気筒数Nと等しいか否かを判別し、その答えがNOのときには、気筒識別番号kを「1」だけインクリメントし(ステップ14)、本処理を終了する。一方、k=Nのときには、気筒識別番号kを「1」に戻し(ステップ15)、本処理を終了する。
【0041】
以上の
図3の失火判定処理が繰り返し実行されることにより、気筒ごとに、単失火の有無が検出され、失火の検出回数が失火カウンタ値C_MF(k)としてカウントされるとともに、失火カウンタ値C_MF(k)がしきい値CREFに達したときに、その気筒において失火が発生していると判定され、進角補正フラグF_ADV(k)が「1」にセットされる。
【0042】
次に、
図4を参照しながら、上記の失火判定処理による判定結果に基づいて実行される点火時期制御処理について説明する。この処理は、TDC信号の発生に同期して、気筒ごとに実行される。なお、本実施形態では、点火時期IGLOGは、各気筒における圧縮上死点からの進角量として定義される。すなわち、点火時期IGLOGは、圧縮上死点を基準(0度)として、進角側が正値で表され、遅角側の補正量は負値として算出される。
【0043】
本処理では、まずステップ21において、最適点火時期IGMBTを算出する。最適点火時期IGMBTは、エンジン3の最大トルクが得られる点火時期であり、例えば、検出されたエンジン回転数NE及び吸気圧PBAに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって算出される。
【0044】
次に、ステップ22において、触媒暖機制御フラグF_FIREが「1」であるか否かを判別する。この答えがNOで、触媒暖機制御中でないときには、点火時期IGLOG(k)を最適点火時期IGMBTに設定し(ステップ23)、本処理を終了する。
【0045】
前記ステップ22の答えがYESで、触媒暖機制御中のときには、ステップ24に進み、触媒暖機用の点火時期の遅角量IGFIREを算出する。この触媒暖機用遅角量IGFIREは、例えば、検出されたエンジン水温TWなどに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することにより、負値として算出される。
【0046】
次に、ステップ25において、失火抑制用の点火時期の進角補正量IGMFを算出する。その算出は、
図5の処理によって行われる。この処理では、まずステップ31において、進角補正フラグF_ADV(k)が「1」であるか否かを判別する。この答えがNOのときには、進角補正量IGMF(k)を値0に設定し(ステップ32)、本処理を終了する。
【0047】
一方、ステップ31の答えがYESで、F_ADV(k)=1であり、#k気筒において、失火の抑制のために点火時期を進角補正すべきと判定されているときには、ステップ33に進み、暖機要求フラグF_FIREREQが「1」であるか否かを判別する。この暖機要求フラグF_FIREEQは、触媒暖機制御が要求されたときに「1」にセットされ、触媒暖機制御中、これを終了すべきと判定されたときに「0」にセットされるものである。
【0048】
このステップ33の答えがYESのときには、ステップ34において、次式(5)により、進角補正量IGMF(k)を算出する。
【数5】
【0049】
ここで、ΔIGは、進角補正量IGMFを設定するための所定量である。この式(5)から理解されるように、進角補正量IGMF(k)は、失火カウンタ値C_MF(k)がしきい値CREFに達したときに所定量ΔIGに設定され、その後、単失火が検出されるごとに、所定量ΔIGが加算される。
【0050】
次に、算出した進角補正量IGMF(k)が所定のリミット値IGLMTよりも大きいか否かを判別する(ステップ35)。この答えがNOで、進角補正量IGMF(k)がリミット値IGLMT以下のときには、そのまま本処理を終了する。
【0051】
一方、ステップ35の答えがYESで、進角補正量IGMF(k)がリミット値IGLMTを上回ったときには、ステップ36に進み、進角補正量IGMF(k)をリミット値IGLMTに設定することにより制限し、本処理を終了する。
【0052】
また、前記ステップ33の答えがNOで、暖機要求フラグF_FIREREQが「0」にリセットされたときには、ステップ37において、それまでの進角補正量IGMF(k)から所定量ΔIGを減算した値を、今回の進角補正量IGMF(k)として算出する。
【0053】
次に、算出した進角補正量IGMF(k)が値0よりも小さいか否かを判別する(ステップ38)。この答えがNOで、進角補正量IGMF(k)が値0以上のときには、そのまま本処理を終了する。一方、ステップ38の答えがYESで、進角補正量IGMF(k)が負値になったときには、ステップ39に進み、進角補正量IGMF(k)を値0に設定し、本処理を終了する。以上のように、進角補正量IGMF(k)は、触媒暖機制御の終了時において、その気筒に対する処理が実行されるごとに、所定量ΔIGずつ値0までステップ状に減少する。
【0054】
図4に戻り、前記ステップ25に続くステップ26では、次式(6)により、最適点火時期IGMBTに触媒暖機用遅角量IGFIREと進角補正量IGMF(k)を加算することによって、触媒暖機制御中のIGLOG(k)を算出し、本処理を終了する。
【数6】
【0055】
次に、
図6を参照しながら、
図3~
図5の処理によって得られる動作例について説明する。この動作例は、4つの気筒のうち、#1、#2及び#4気筒では燃焼が正常に行われるため、単失火が検出されないのに対し、#3気筒では燃焼が不安定であるため、単失火が繰り返し発生する場合の例である。
【0056】
この例では、時刻t1において、暖機要求フラグF_FIREREQが「1」にセット」されると、それと同時に触媒暖機制御フラグF_FIREが「1」にセットされ、触媒暖機制御が開始される。これに伴い、触媒暖機用遅角量IGFIREが設定され(
図4のステップ24)、その分、点火時期IGLOGが遅角側に制御される(ステップ26)。
【0057】
その後、時刻t2において、#3気筒の失火判定パラメータMFJUD(3)が失火しきい値(=0)未満になると、#3気筒において単失火が検出されたとして、単失火フラグF_MF(3)が「1」にセットされるとともに、失火カウンタ値C_MF(3)が0から「1」だけインクリメントされる(
図3のステップ6:YES、ステップ9、10)。他の気筒(#1、#2及び#4)については、燃焼が安定しているため、失火判定パラメータMFJUD(k)が失火しきい値未満にならないことで、単失火は検出されず、失火カウンタ値C_MFは「0」のままである(ステップ6:NO、ステップ7、8)。
【0058】
その後、#3気筒において単失火が検出されるごとに、失火カウンタ値C_MF(3)が「1」ずつインクリメントされる。そして、失火カウンタ値C_MF(3)がしきい値CREFに達したときに(時刻t3)、#3気筒において失火が発生したと判定され、進角補正フラグF_ADV(3)が「1」にセットされる(
図3のステップ11:YES、ステップ12)とともに、進角補正量IGMF(3)が所定量ΔIGに設定され、この所定量ΔIGの分、#3気筒の点火時期IGLOGが進角側に補正される(
図5のステップ34、
図4のステップ26)。
【0059】
その後、#3気筒において単失火が検出されるごとに(時刻t4~t8)、失火カウンタ値C_MF(3)がインクリメントされるとともに、進角補正量IGMF(3)が所定量ΔIGずつステップ状に増加し、それに伴い、#3気筒の点火時期IGLOGがより進角側に補正される。この例では、進角補正量IGMF(3)はリミット値IGLMTに達しないため、それによる制限を受けない。
【0060】
そして、時刻t9において、暖機要求フラグF_FIREREQが「0」にリセットされると、#3気筒に対する処理が実行されるごとに、進角補正量IGMF(k)は、所定量ΔIGずつ値0になるまで(時刻t10)、ステップ状に減少する(
図5のステップ37~39)。そして、時刻t11において触媒暖機制御フラグF_FIREが「0」にリセットされると、触媒暖機制御が終了するのに伴い、単失火の検出に基づく失火判定が終了するとともに、点火時期制御は通常の制御に移行する。
【0061】
なお、この例では、#1、#2及び#4気筒については、上述したように、触媒暖機制御中、単失火は検出されず、失火カウンタ値C_MFが「0」のままであるため、#3気筒のような失火判定は行われず、進角補正量IGMFは0に維持され、点火時期IGLOGの進角補正は行われない。
【0062】
次に、
図7を参照しながら、
図3~
図5の処理によって得られる、
図6とは異なる動作例について説明する。この動作例は、#1~#4のいずれの気筒においても、燃焼が不安定であり、単失火が繰り返し頻繁に検出される場合の例である。このため、#1~#4気筒における動作は概ね互いに同じであり、
図7の失火カウンタ値C_MF(k)以下のパラメータは、図示の簡略化のために、ある1つの気筒における値を代表的に示している。
【0063】
この例では、時刻t21において、暖機要求フラグF_FIREREQ及び触媒暖機制御フラグF_FIREが「1」にセットされ、触媒暖機制御が開始される。その後、各気筒において、失火判定パラメータMFJUD(k)が失火しきい値(=0)未満になることで、単失火が頻繁に検出され、その都度、単失火フラグF_MF(k)が「1」にセットされ、失火カウンタ値C_MF(k)が「1」ずつインクリメントされる。
【0064】
そして、例えば時刻t22において、ある1つの気筒の失火カウンタ値C_MF(k)がしきい値CREFに達すると、その気筒において失火が発生したと判定され、進角補正フラグF_ADV(k)が「1」にセットされるとともに、進角補正量IGMF(k)が所定量ΔIGに設定される。その後、その気筒において単失火が検出されるごとに、失火カウンタ値C_MF(k)のインクリメントと、進角補正量IGMF(k)への所定量ΔIGの加算が行われ、それに伴い、その気筒の点火時期IGLOGが進角側に補正される。
【0065】
また、時刻t23において、加算された進角補正量IGMF(k)がリミット値IGLMTを上回ると(
図5のステップ35:YES)、進角補正量IGMF(k)はリミット値IGLMTに制限される(ステップ36)。
【0066】
その後の動作は、
図6の場合と同じであり、時刻t24において、暖機要求フラグF_FIREREQが「0」にリセットされると、その気筒に対する処理が実行されるごとに、進角補正量IGMF(k)が、所定量ΔIGずつ値0になるまでステップ状に減少する。そして、時刻t25において触媒暖機制御フラグF_FIREが「0」にリセットされると、触媒暖機制御が終了し、それに伴い、単失火の検出に基づく失火判定が終了するとともに、点火時期制御は通常の制御に移行する。
【0067】
以上のように、本実施形態によれば、1つの気筒において単失火が1度検出されることをもって直ちに、その気筒において失火が発生したと判定するのではなく、気筒ごとの単失火の検出回数である失火カウンタ値C_MF(k)に基づき、その気筒における失火の有無を判定する。これにより、エンジン3の回転速度の一時的な低下やその検出信号のノイズなどによる単失火の誤検出の影響をダイレクトに受けることなく、失火の有無の判定を気筒ごとに精度良く行えるとともに、失火が発生した気筒を特定することができる。
【0068】
また、失火が発生していると判定された気筒の点火時期IGLOG(k)を、進角補正量IGMF(k)によって進角側に補正する。これにより、その気筒の失火を抑制し、燃焼状態を安定させることができ、したがって、排気ガス特性やアイドル安定性を向上させることができる。さらに、燃焼が不安定で失火が疑われる気筒の点火時期IGLOG(k)を進角させたときの燃焼状態を確認することによって、進角により燃焼が改善する場合と、進角しても燃焼が改善せず、何らかの原因で失火が発生している場合を、容易に識別でき、それにより、失火検知性を向上させることができる。
【0069】
さらに、進角補正量IGMFをリミット値IGLMT以下に制限するので、単失火の検出やそれに基づく失火判定などに誤りが生じた場合においても、点火時期IGLOGが進角側に過剰に補正されることがなくなる。その結果、排気ガス特性値を各種の規制値以内に収めることができる。
【0070】
また、失火判定やその判定結果に基づく点火時期の進角補正を、失火が特に発生しやすい触媒暖機制御中に実行するので、失火を抑制し、燃焼状態を安定させるという効果を特に有効に得ることができる。
【0071】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、失火判定やその判定結果に基づく点火時期の進角補正を、失火が特に発生しやすい触媒暖機制御中であることを条件として実行している。本発明は、これに限らず、失火の発生のおそれがある他の条件において実行してもよいことは、もちろんである。
【0072】
また、実施形態では、失火判定パラメータMFJUDと比較される失火しきい値を一定値(=0)に設定しているが、これに限らず、エンジン回転数NEやエンジン水温TWなどに応じて可変に設定してもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
2 ECU(回転速度パラメータ検出手段、単失火検出手段、失火カウンタ、
失火判定手段、点火時期補正手段)
3 エンジン(内燃機関)
7 触媒コンバータ(触媒)
13 クランク角度位置センサ(回転速度パラメータ検出手段)
CRME 時間パラメータ(回転速度パラメータ)
OMGREF 相対回転速度(回転速度パラメータ)
C_MF 失火カウンタ値
IGLOG 点火時期
CREF しきい値(所定値)
IGMF 進角補正量
IGLMT リミット値
【手続補正書】
【提出日】2023-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
前記点火時期補正手段は、前記点火時期を進角側に補正するための進角補正量を、所定のリミット値を超えないように制限することを特徴とする、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項
1又は2に記載の内燃機関の制御装置において、点火時期補正手段は、点火時期IGLOGを進角側に補正するための進角補正量IGMF(k)を、所定のリミット値IGLMTを超えないように制限すること(
図5のステップ35、36)を特徴とする。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒を有する内燃機関の回転速度を表す回転速度パラメータを検出する回転速度パラメータ検出手段と、
前記複数の気筒の各燃焼行程において検出された回転速度パラメータに基づき、点火ごとの失火である単失火を前記気筒ごとに検出する単失火検出手段と、
当該単失火が検出された回数を失火カウンタ値として前記気筒ごとにカウントする失火カウンタと、
当該失火カウンタ値に基づき、当該気筒において失火が発生しているか否かを判定する失火判定手段と、
当該失火が発生していると判定された気筒の点火時期を進角側に補正する点火時期補正手段と、を備え、
前記失火判定手段は、前記失火カウンタ値が所定値に達したときに、当該気筒において失火が発生していると判定し、
前記点火時期補正手段は、前記失火カウンタ値が前記所定値に達した後、前記単失火が検出されるごとに、当該気筒の点火時期を所定量ずつ進角側に補正することを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記内燃機関は、排気ガスを浄化するための触媒を有し、
前記失火判定手段は、前記触媒の暖機を促進するために点火時期を遅角側に制御する触媒暖機制御中に、失火判定を実行することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記点火時期補正手段は、前記点火時期を進角側に補正するための進角補正量を、所定のリミット値を超えないように制限することを特徴とする、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明による内燃機関の制御装置は、複数の気筒を有する内燃機関3の回転速度を表す回転速度パラメータ(実施形態における(以下、本項において同じ)時間パラメータCRME、相対回転速度OMGREF)を検出する回転速度パラメータ検出手段(クランク角度位置センサ13、ECU2)と、複数の気筒の各燃焼行程において検出された回転速度パラメータに基づき、点火ごとの失火である単失火を気筒ごとに検出する単失火検出手段(ECU2、
図3のステップ2~7、9)と、単失火が検出された回数を失火カウンタ値C_MF(k)として気筒ごとにカウントする失火カウンタ(ECU2、ステップ8、10)と、失火カウンタ値C_MF(k)に基づき、当該気筒において失火が発生しているか否かを判定する失火判定手段(ECU2、ステップ11~12)と、失火が発生していると判定された気筒の点火時期IGLOGを進角側に補正する点火時期補正手段(ECU2、
図4のステップ25、26、
図5のステップ34)と、を備え
、失火判定手段は、失火カウンタ値C_MF(k)が所定値(しきい値CREF)に達したときに、当該気筒において失火が発生していると判定し(図3のステップ11、12)、点火時期補正手段は、失火カウンタ値C_MF(k)が所定値に達した後、単失火が検出されるごとに、当該気筒の点火時期IGLOGを所定量ΔIGずつ進角側に補正すること(図5のステップ31、34)を特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、失火が発生していると判定された気筒の点火時期を進角側に補正する。これにより、その気筒の失火を抑制し、燃焼状態を安定させることができ、したがって、排気ガス特性やアイドル安定性を向上させることができる。さらに、燃焼が不安定で失火が疑われる気筒の点火時期を進角させたときの燃焼状態を確認することによって、進角により燃焼が改善する場合と、進角しても燃焼が改善せず、何らかの原因で失火が発生している場合を、容易に識別でき、それにより、失火検知性を向上させることができる。
さらに、失火カウンタ値が所定値に達したときに、当該気筒において失火が発生していると判定するので、内燃機関の回転速度の一時的な低下やその検出信号のノイズなどによる単失火の誤検出の影響をダイレクトに受けることなく、失火の有無の判定と失火が発生した気筒の特定を精度良く行うことができる。
また、失火カウンタ値が所定値に達した後、単失火が検出されるごとに、当該気筒の点火時期を所定量ずつ進角側に補正する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項
3に係る発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置において、点火時期補正手段は、点火時期IGLOGを進角側に補正するための進角補正量IGMF(k)を、所定のリミット値IGLMTを超えないように制限すること(
図5のステップ35、36)を特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
さらに、エンジン3のクランク軸(図示せず)には、その回転角度を検出するクランク角度位置センサ13が設けられている。クランク角度位置センサ13は、マグネットロータとMREピックアップで構成されており、クランク軸の回転に伴い、いずれもパルス信号であるCYL信号、TDC信号及びCRK信号を、ECU2に出力する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
次に、
図7を参照しながら、
図3~
図5の処理によって得られる、
図6とは異なる動作例について説明する。この動作例は、#1~#4のいずれの気筒においても、燃焼が不安定であり、単失火が繰り返し頻繁に検出される場合の例である。このため、#1~#4気筒における動作は概ね互いに同じであり、
図7の失火カウンタ値C_MF(k)
以外のパラメータは、図示の簡略化のために、ある1つの気筒における値を代表的に示している。