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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181003
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】電子回路
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/52 20060101AFI20231214BHJP
   H01Q 21/28 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H01Q1/52
H01Q21/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094722
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】佐野 誠
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
【Fターム(参考)】
5J021AA02
5J021AA11
5J021AA13
5J021AB02
5J021AB03
5J021AB05
5J021AB06
5J021HA10
5J021JA03
5J046AA03
5J046AB06
5J046AB07
5J046AB08
5J046AB13
5J046UA02
(57)【要約】
【課題】少ない回路素子数で放射素子間の電磁界結合を低減可能にする電子回路を提供する。
【解決手段】本実施形態の電子回路は、第1放射素子と、第2放射素子と、前記第1放射素子および前記第2放射素子のいずれか一方の一端に第1端が接続された第1回路素子と、前記第1回路素子の第2端と、前記第1放射素子および前記第2放射素子の他方の一端との間に接続された第2回路素子と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1放射素子と、
第2放射素子と、
前記第1放射素子および前記第2放射素子のいずれか一方の一端に第1端が接続された第1回路素子と、
前記第1回路素子の第2端と、前記第1放射素子および前記第2放射素子の他方の一端との間に接続された第2回路素子と、
を備えた電子回路。
【請求項2】
前記第1回路素子のリアクタンスまたはサセプタンス、および前記第2回路素子のリアクタンスまたはサセプタンスは、
前記いずれか一方の放射素子から前記他方の放射素子へ電磁界結合を介して入力される信号と、前記第1回路素子の前記第2端から前記第2回路素子を介して前記他方の放射素子の前記一端に入力される信号とが少なくとも部分的に相殺され、
前記他方の放射素子から前記一方の放射素子へ電磁界結合を介して入力される信号と、前記他方の放射素子の前記一端から前記第2回路素子を介して前記第1回路素子の前記第2端に入力される信号とが少なくとも部分的に相殺される値にそれぞれ設定されている、
請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記第1回路素子および前記第2回路素子のそれぞれは、コイル、キャパシタ、コイルとキャパシタとの直列接続、または、コイルとキャパシタとの並列接続を含む
請求項1に記載の電子回路。
【請求項4】
前記第1回路素子および前記第2回路素子はチップ部品である
請求項1に記載の電子回路。
【請求項5】
前記第1回路素子の前記第2端に接続され、前記一方の放射素子からの反射波を低減する第1整合回路
をさらに備えた請求項1に記載の電子回路。
【請求項6】
前記第1整合回路は、少なくとも第3回路素子および第4回路素子を含み、
前記第4回路素子の一端は前記第1回路素子の前記第2端に接続され、
前記第3回路素子の一端は、前記第4回路素子の前記一端または前記第4回路素子の他端に接続され、前記第3回路素子の他端は基準電圧に接続された
請求項5に記載の電子回路。
【請求項7】
前記第1整合回路は、1つ以上のチップ部品を含む
請求項5に記載の電子回路。
【請求項8】
前記他方の放射素子の前記一端に接続され、前記他方の放射素子からの反射波を低減する第2整合回路
をさらに備えた請求項1に記載の電子回路。
【請求項9】
前記第2整合回路は、少なくとも第5回路素子および第6回路素子を含み、
前記第6回路素子の一端は前記他方の放射素子の前記一端に接続され、
前記第5回路素子の一端は、前記第6回路素子の前記一端または前記第6回路素子の他端に接続され、前記第5回路素子の他端は基準電圧に接続された
請求項8に記載の電子回路。
【請求項10】
前記第2整合回路は、1つ以上のチップ部品を含む
請求項8に記載の電子回路。
【請求項11】
前記第1回路素子の前記第2端に接続され、前記一方の放射素子からの反射波を低減する第1整合回路と
前記他方の放射素子の前記一端に接続され、前記他方の放射素子からの反射波を低減する第2整合回路と
をさらに備えた請求項1に記載の電子回路。
【請求項12】
前記第1整合回路は、少なくとも第3回路素子および第4回路素子を含み、
前記第4回路素子の一端は前記第1回路素子の前記第2端に接続され、
前記第3回路素子の一端は、前記第4回路素子の前記一端または前記第4回路素子の他端に接続され、前記第3回路素子の他端は基準電圧に接続され、
前記第2整合回路は、少なくとも第5回路素子および第6回路素子を含み、
前記第6回路素子の一端は前記他方の放射素子の前記一端に接続され、
前記第5回路素子の一端は、前記第6回路素子の前記一端または前記第6回路素子の他端に接続され、前記第5回路素子の他端は前記基準電圧に接続された
請求項11に記載の電子回路。
【請求項13】
前記第1整合回路および前記第2整合回路のそれぞれは1つ以上のチップ部品を含む
請求項11に記載の電子回路。
【請求項14】
前記第1回路素子の前記第2端と、前記他方の放射素子の一端とに接続された無線回路をさらに備えた
請求項1に記載の電子回路。
【請求項15】
前記無線回路を前記第1回路素子の前記第2端と、前記他方の放射素子の一端とに選択的に接続するスイッチをさらに備えた
請求項14に記載の電子回路。
【請求項16】
前記無線回路は、前記第1放射素子および前記第2放射素子の少なくとも一方を介して測定対象物に測定信号を送信し、前記第1放射素子および前記第2放射素子の少なくとも一方を介して前記測定対象物からの反射信号を受信することにより、前記測定対象物のセンシングを行う
請求項14に記載の電子回路。
【請求項17】
前記無線回路は、前記第1放射素子および前記第2放射素子の少なくとも一方を介して無線信号を送受信することにより、他の無線通信装置と無線通信を行う
請求項14に記載の電子回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、電子回路に関する。
【背景技術】
【0002】
放射素子として複数のアンテナを備えた無線機器では、アンテナ間の電磁界結合が大きいとアンテナの動作利得が低減する問題がある。アンテナ間の結合を低減する減結合回路として、3個の回路素子を用いて2つのアンテナ間の電磁界結合を低減する構成が知られている。
【0003】
この構成では、3個の回路素子を調整する必要があるため、回路素子の調整に煩雑な作業が必要になる。例えば、回路素子としてチップ部品を用いる場合は、アンテナ間の電磁界結合を測定しながら、3個のチップ部品を入れ替える調整作業が必要になる。また製造コストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5871647号公報
【特許文献2】国際公開2013/175903号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態は、少ない回路素子数で放射素子間の電磁界結合を低減可能にする電子回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の電子回路は、第1放射素子と、第2放射素子と、前記第1放射素子および前記第2放射素子のいずれか一方の一端に第1端が接続された第1回路素子と、前記第1回路素子の第2端と、前記第1放射素子および前記第2放射素子の他方の一端との間に接続された第2回路素子と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る電子回路である減結合回路の構成例を示す図。
図2】リアクタンス素子およびサセプタンス素子の構成例を示す図。
図3】リアクタンス素子およびサセプタンス素子の回路定数を決定する例を説明する図。
図4】第1の実施形態に係る減結合回路の他の構成例を示す成図。
図5】第1の実施形態に係る減結合回路のアンテナ間結合の周波数特性を示す図。
図6】第1の実施形態に係る減結合回路のリアクタンス素子のリアクタンスを変化させたときのアンテナ間結合の周波数特性を示す図。
図7】第1の実施形態に係る減結合回路のサセプタンス素子のサセプタンスを変化させたときのアンテナ間結合の周波数特性を示す図。
図8】第1の実施形態に係る減結合回路により得られる効果を説明する図。
図9】第2の実施形態に係る減結合回路の構成例を示す図。
図10】第1整合回路の構成例を示す図。
図11】第2の実施形態に係る減結合回路の他の構成例を示す図。
図12】第2の実施形態に係る減結合回路のさらに他の構成例を示す図。
図13】第3の実施形態に係る無線装置の構成例を示す図。
図14】第3の実施形態に係る無線装置の他の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態について説明する。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係る電子回路である減結合回路100の構成を示す図である。
減結合回路100は、2つの放射素子(アンテナ)101a、101b間の電磁界結合(以下、結合と呼ぶ)を低減する技術に関する。
【0010】
減結合回路100は、第1放射素子101a、第2放射素子101b、回路素子102(第1回路素子)、回路素子103(第2回路素子)を備える。回路素子102は主にリアクタンスを回路定数(回路パラメータ)として調整する対象となる素子であり、リアクタンス素子102と記載することがある。回路素子103は主にサセプタンスを回路定数(回路パラメータ)として調整する対象となる素子であり、以下ではサセプタンス素子103と記載することがある。
【0011】
第1放射素子101aおよび第2放射素子101bは、無線信号である高周波信号を空間に電磁波として送信し、または空間から受信した電磁波を高周波信号として出力するアンテナである。
【0012】
第1放射素子101aおよび第2放射素子101bの例として、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、逆Lアンテナ、逆Fアンテナ、パッチアンテナ、スロットアンテナ、ノッチアンテナ、誘電体共振器アンテナ等が挙げられる。高周波信号を送受信できればアンテナの種類は問わない。
【0013】
第1放射素子101aおよび第2放射素子101bは同じ構造のアンテナでもよいし、異なる構造のアンテナであってもよい。
【0014】
また、第1放射素子101aおよび第2放射素子101bは、それぞれ単一の周波数で動作するアンテナでもよいし、複数の周波数帯で動作するアンテナでもよい。
【0015】
第1放射素子101aおよび第2放射素子101bは動作周波数帯で整合がとれていなくてもよい。第1放射素子101aおよび第2放射素子101bは、それぞれ単一の周波数で動作するアンテナでもよいし、複数の周波数帯で動作するアンテナでもよい。
【0016】
第1放射素子101aと第2放射素子101bはそれぞれ同じ偏波の高周波信号を送受信するアンテナでもよいし、異なる偏波の高周波信号を送受信するアンテナでもよい。
【0017】
第1放射素子101aおよび第2放射素子の位置および向きは任意である。例えば、第1放射素子101aと第2放射素子101bの放射指向性の相関係数が小さくなるように位置および向きを決定することで、通信品質等を向上させることができる。
【0018】
リアクタンス素子102の一端(第1端)は放射素子101aの一端に接続されている。サセプタンス素子103の一端は、リアクタンス素子102の他端(第2端)に接続され、サセプタンス素子103の他端は、放射素子101bの一端に接続されている。サセプタンス素子103は、リアクタンス素子102の他端(第2端)及び放射素子101bの他端間に接続されている。
【0019】
リアクタンス素子102は、サセプタンス素子103およびリアクタンス素子102間の接続点104aと、放射素子101aとの間に位置する。リアクタンス素子102の他端は、無線回路(図13および図14参照)との間で信号が入出力されるポート1に接続されている。接続点104aは、例えばリアクタンス素子102の他端をポート1に接続する配線におけるノードである。
【0020】
放射素子101bの一端は、無線回路との間で信号が入出力されるポート2に接続されている。放射素子101bおよびサセプタンス素子103間の接続点104b(ノード)は、放射素子101bの他端とポート2との間に位置する。接続点104bは、例えば放射素子101bの一端をポート2に接続する配線におけるノードである。
【0021】
図2に、リアクタンス素子102およびサセプタンス素子103の構成例を示す。
図2(A)のように、リアクタンス素子102およびサセプタンス素子103は、インダクタで構成してもよい。
図2(B)のように、リアクタンス素子102およびサセプタンス素子103は、キャパシタで構成してもよい。
図2(C)のように、リアクタンス素子102およびサセプタンス素子103は、インダクタとキャパシタを直列に接続したものとして構成してもよい。
図2(D)のように、リアクタンス素子102およびサセプタンス素子103は、インダクタとキャパシタを並列に接続したものとして構成してもよい。
【0022】
リアクタンス素子102およびサセプタンス素子103は、同じ構成でもよいし、異なる構成でもよい。例えば両方ともインダクタでもよいし、一方がインダクタで、他方がキャパシタでもよい。
【0023】
図1の減結合回路100ではリアクタンス素子102のリアクタンス、サセプタンス素子103のサセプタンスを適切に調整されている。これによって、第1放射素子101aおよび第2放射素子101bの間の結合を低減させることが可能になっている。本実施形態では結合を低減させるために調整する必要のある回路素子が2つであるため、調整作業が容易である。
【0024】
また、図2(A)または図2(B)のように、回路素子として、単一のインダクタまたはキャパシタを用いることで、リアクタンス素子102のリアクタンスおよびサセプタンス素子103のサセプタンスの調整作業が容易になる。また、製造コストを低減できる。
【0025】
また、図2(C)または図2(D)のように、回路素子として、インダクタとキャパシタを直列または並列に接続した構成を用いることで、複数の周波数帯で第1放射素子101aおよび第2放射素子101bの間の結合を低減させることができる。
【0026】
なお、図2(A)~図2(D)に示したインダクタまたはキャパシタには、寄生インダクタ、寄生キャパシタ、内部抵抗が含まれていてもよい。
【0027】
リアクタンス素子102およびサセプタンス素子103がインダクタの場合、チップインダクタまたはリード型インダクタ等のチップ部品を用いてよい。また、基板の導体パターンをメアンダ状またはスパイラル状などにすることで、インダクタを構成してもよい。基板のビアを用いてインダクタを構成してもよい。また、スタブをインダクタとして用いてもよい。インダクタは、固定インダクタおよび可変インダクタのどちらでもよい。
【0028】
リアクタンス素子102およびサセプタンス素子103がキャパシタの場合、チップキャパシタ、リード型のキャパシタ等のチップ部品を用いてよい。インターデジタルキャパシタ等のように基板上に形成した2本の導体パターンのギャップをキャパシタとして用いてもよい。基板の導体パターンと基材とで構成したMIM(metal-insulator-metal)キャパシタを用いてもよい。キャパシタは、固定キャパシタおよび可変キャパシタのどちらでもよい。バラクタダイオードを可変キャパシタとして用いてもよい。
【0029】
図3は、第1放射素子101aおよび第2放射素子101bの間の結合を低減させるためのリアクタンス素子102のリアクタンスおよびサセプタンス素子103のサセプタンスを決定する例を説明するための図である。以下、図3を参照しつつ、数式を用いてリアクタンス素子102のリアクタンスおよびサセプタンス素子103のサセプタンスを導出する例を示す。
【0030】
図3に示すように、リアクタンス素子102のリアクタンスをX、サセプタンス素子のサセプタンスをBと表す。また、図3のt面から見た第1放射素子101aおよび第2放射素子101bのインピーダンス行列を、以下の式(1)で表す。このインピーダンスは第1放射素子101aおよび第2放射素子101bのアンテナ特性を表す。
【数1】
11は、第1放射素子101aの入力インピーダンス、Z22は、第2放射素子101bの入力インピーダンスである。Z21およびZ12は、第1放射素子101aおよび第2放射素子101b間の相互インピーダンスであり、同じ値である。Z11、Z12、Z21、Z22は複素数である。R11、R12、R21、R22は実部、X11、X12、X21、X22は虚部である。式(1)のインピーダンス行列は、第1放射素子101aおよび第2放射素子101bに何も接続されていない場合を仮定したインピーダンス行列である。
【0031】
第1放射素子101a、第2放射素子101bおよびリアクタンス素子102を含めたt面から見たインピーダンス行列は、以下の式(2)で表される。Z11+jXは、リアクタンス素子102を含めた第1放射素子101aの入力インピーダンスである。Xは、リアクタンス素子102のリアクタンスである。
【数2】
【0032】
また、アドミタンス行列は以下の式(3)で表される。
【数3】
【0033】
サセプタンス素子103を含めたt面から見たアドミタンス行列は、以下の式(4)で表される。式(4)のアドミタンス行列は、第1放射素子101a、第2放射素子101b、リアクタンス素子102およびサセプタンス素子103の全部を含む全体の特性を表す。Bは、サセプタンス素子103のサセプタンスである。
【数4】

の(1,2)成分である
がゼロのとき、ポート1から入力した高周波信号がポート2側に出力されなくなる。すなわち、第1放射素子101aおよび第2放射素子101b間の結合がなくなる。
【0034】
したがって、
から導かれる、以下の式(5)で示されるリアクタンスXにリアクタンス素子102のリアクタンスを調整し、式(6)で示されるサセプタンスBにサセプタンス素子103のサセプタンスを調整する。これにより、第1放射素子101aおよび第2放射素子101b間の結合をなくすまたは低減ことができる。式(6)におけるImは、カッコ内の複素数の虚部を表す。
は、複数の周波数fで実現可能であり、したがって、複数の周波数帯域、または広周波数帯域で第1放射素子101aおよび第2放射素子101b間の結合をなくす、または低減することができる。
【数5】
【数6】
【0035】
リアクタンス素子102のリアクタンスX、サセプタンス素子103のサセプタンスBは、必ずしも式(5)および式(6)で導出される値と等しい必要はない。式(5)および式(6)で導出される値と概ね近い値であれば、第1放射素子101aおよび第2放射素子101b間の結合は十分に小さくなる。例えば回路のはんだの影響または配線の影響などにより、実際には式(5)および式(6)の値からずれた値の方が、放射素子間の結合を低減できる場合もあり得る。回路定数のE系列(標準数列)の中から、式(5)および式(6)に近い値を選んでもよい。回路定数の公差または製造誤差などによって、リアクタンス素子102のリアクタンスX、サセプタンス素子103のサセプタンスBが、式(5)および(6)の値から離れても問題ない。
【0036】
サセプタンスとリアクタンスは逆数の関係にあるため、回路素子102(リアクタンス素子102)のリアクタンスの調整は、回路素子102のサセプタンスの調整と読み替えることもできる。同様に、回路素子103(サセプタンス素子103)のサセプタンスの調整は、回路素子103のリアクタンスの調整と読み替えることもできる。
【0037】
図4は、図1の減結合回路100を変形した減結合回路110を示す図である。
減結合回路110では、リアクタンス素子102が第2放射素子101bと第2接続点104bとの間に接続されている。リアクタンス素子102のリアクタンスXおよびサセプタンス素子103のサセプタンスBがそれぞれ以下の式(7)および式(8)で示す値のときに、第1放射素子101aおよび第2放射素子101bの間の結合をゼロにすることができる。
【数7】
【数8】
【0038】
図1の減結合回路100の場合と同様、リアクタンス素子102のリアクタンスX、サセプタンス素子103のサセプタンスBは、必ずしも式(7)および式(8)と等しい必要はない。式(7)および(8)と概ね近い値であれば、第1放射素子101aおよび第2放射素子101b間の結合を十分に小さくできる。
【0039】
図5は、図1の減結合回路100におけるアンテナ間結合の周波数特性を示す実線のグラフG1と、図1の減結合回路100からリアクタンス素子102およびサセプタンス素子103を除去した構成(比較例)におけるアンテナ間結合の周波数特性を示す破線のグラフG2とを示す。
【0040】
より詳細には、実線のグラフG1は、動作周波数帯域の中心周波数において、式(5)で与えられる値をリアクタンスXとしてリアクタンス素子102に適用し、式(6)で与えられる値をサセプタンスBとしてサセプタンス素子103に適用した場合の第1接続点104aおよび第2接続点104bから見たアンテナ間結合を示している。破線のグラフG2は、リアクタンス素子102を接続せず第1放射素子101aと第1接続点104aの間を直結し、かつ、サセプタンス素子103を接続せず第1接続点104aと第2接続点104bの間を開放した場合のアンテナ間結合を示す。
【0041】
グラフG2に示すように、リアクタンス素子102およびサセプタンス素子103を接続しない場合は、中心周波数においてアンテナ間結合が大きく、-7dBである。これに対して、グラフG1に示すように、リアクタンス素子102およびサセプタンス素子103を接続することで、アンテナ間結合を-40dB以下に抑圧できる。
【0042】
図6は、図1の減結合回路100において、リアクタンス素子102のリアクタンスXを式(5)で与えられる値から変化させた場合のアンテナ間結合の周波数特性を説明する図である。サセプタンス素子103のサセプタンスBは式(6)で与えられる値を用いている。
【0043】
グラフ_Xは、リアクタンス素子102のリアクタンスXを式(5)で与えられる値にした場合の周波数特性を表す。グラフ_0.5Xは、リアクタンス素子102のリアクタンスXを式(5)で与えられる値の0.5倍とした場合の周波数特性を表す。グラフ_2Xは、リアクタンス素子102のリアクタンスXを式(5)で与えられる値の2倍とした場合の周波数特性を表す。図6に示す通り、式(5)で与えられるリアクタンスXの0.5倍、2倍の値を用いた場合でも、中心周波数におけるアンテナ間結合が-32dB以下と小さい。
【0044】
図7は、図1の減結合回路100において、サセプタンス素子103のサセプタンスBを式(6)で与えられる値から変化させた場合のアンテナ間結合の周波数特性を説明する図である。リアクタンス素子102のリアクタンスXは式(5)で与えられる値を用いている。
【0045】
グラフ_Bは、サセプタンス素子103のサセプタンスBを式(6)で与えられる値にした場合の周波数特性を表す。グラフ_0.5Bは、サセプタンス素子103のサセプタンスBを式(5)で与えられる値の0.5倍にした場合の周波数特性を表す。グラフ_2Bは、サセプタンス素子103のサセプタンスBを式(5)で与えられる値の2倍にした場合の周波数特性を表す。図7に示す通り、式(6)で与えられるサセプタンスBの0.5倍、2倍の値を用いた場合でも、中心周波数におけるアンテナ間結合が-32dB以下と小さい。
【0046】
図6および図7からも理解できるように、減結合回路100のリアクタンス素子102のリアクタンスXおよびサセプタンス素子103のサセプタンスBは、必ずしも式(5)および(6)で与えられた値と同一である必要はない。式(5)および式(6)で与えられた値の0.5倍または2倍の値など、式(5)および式(6)で与えられる値から離れた値を用いても、アンテナ間結合を低減できる。
【0047】
図3の減結合回路110のリアクタンス素子102およびサセプタンス素子103についても同様であり、式(7)および式(8)で与えられたリアクタンスXおよびサセプタンスBのそれぞれの値と必ずしも同一である必要はない。式(7)および式(8)で与えられる値の0.5倍または2倍の値など、式(7)および式(8)で与えられる値から離れた値を用いてもアンテナ間結合を低減できる。
【0048】
図8は、本実施形態における第1放射素子101aと第2放射素子101b間の結合を低減する効果を説明する図である。前述した方法により決定された値が、リアクタンス素子102のリアクタンス、サセプタンス素子103のサセプタンスとして設定されている。
【0049】
これにより図8(A)に示すように、第1放射素子101aを用いてポート1から送信信号を送信する場合に、第1放射素子101aから第2放射素子101bへ結合(電磁界結合)を介して入力される信号と、リアクタンス素子102(第1回路素子)の第2端からサセプタンス素子103(第2回路素子)を介して第2放射素子101bの一端に入力される信号とが少なくとも部分的に相殺される。より詳細には両信号の振幅が等しくまたは振幅の差が許容範囲で、かつ位相差が逆相(180度)または許容範囲内のときに両信号が少なくとも部分的に相殺される。これにより第1放射素子101aから第2放射素子101bへの結合が低減される。
【0050】
また図8(B)に示すように、第2放射素子101Bを用いてポート2から送信信号を送信する場合も同様に、第2放射素子101bから第1放射素子101aへ結合を介して入力される信号と、第2放射素子101bの一端からサセプタンス素子103(第2回路素子)を介してリアクタンス素子102(第1回路素子)の第2端に入力される信号とが少なくとも部分的に相殺される。より詳細には両信号の振幅が等しくまたは振幅の差が許容範囲で、かつ位相差が逆相(180度)または許容範囲内のときに両信号が少なくとも部分的に相殺される。これにより第2放射素子101Bから第1放射素子101aへの結合が低減される。
【0051】
以上、本実施形態によれば、第1放射素子101aと第2放射素子101b間の結合を低減するために用いる回路素子が2個のみであり、2個の回路素子のリアクタンスおよびサセプタンスを上述した方法により設定する。これにより、減結合回路の構成を簡単にしつつ、第1放射素子101aと第2放射素子101b間の結合を低減することができる。よって、アンテナの動作利得の低減を抑制し、周波数特性を向上させることができる。また回路素子の構成としてチップ部品を用いる場合に、回路素子の回路定数(リアクタンスまたはサセプタンス等)の調整作業が容易になる。また、減結合回路の製造コストを低減させることができる。
【0052】
[第2の実施形態]
図9は、第2の実施形態に係る減結合回路200の構成を示す図である。減結合回路200は、減結合回路100においてさらに第1整合回路205aを備えている。第1整合回路205aを備えることで、第1放射素子201aからの反射を低減(抑圧)する。これにより、不整合による損失を低減できるため、通信品質などを向上させることができる。第1整合回路205aは、例えば、1つ以上のチップ部品で構成することができる。
【0053】
図10は第1整合回路205aの具体例を示す。図10(A)のように、第1整合回路205aは、例えば、サセプタンス素子206とリアクタンス素子207とを含むL型回路である。L型回路は第1接続点204aとポート1との間に接続されている。リアクタンス素子207の一端は、第1接続点204aに接続され、リアクタンス素子207の他端はポート1に接続されている。サセプタンス素子206の一端は、リアクタンス素子207の第1接続点204a側の一端に接続されている。サセプタンス素子206の他端は基準電圧に接続されている。図10(B)のように、図10(A)におけるサセプタンス素子206の一端を、リアクタンス素子207の他端に接続しもよい。リアクタンス素子207は、回路素子(第4回路素子または第6回路素子)によって構成され、サセプタンス素子206は、回路素子(第3回路素子または第5回路素子)によって構成される。リアクタンス素子207を構成する回路素子とサセプタンス素子206を構成する回路素子とは同じ構成の回路素子でも、異なる構成の回路素子でもよい。
【0054】
例えば、サセプタンス素子206およびリアクタンス素子207は、上述した図2(A)のインダクタで構成してもよいし、図2(B)のキャパシタで構成してもよい。サセプタンス素子206およびリアクタンス素子207は、図2(C)のようにインダクタとキャパシタを直列に接続することにより構成してもよいし、図2(D)のように、インダクタとキャパシタを並列に接続することにより構成してもよい。リアクタンス素子207およびサセプタンス素子206がインダクタの場合、チップインダクタまたはリード型インダクタ等のチップ部品を用いてよいし、上述した基板を用いて形成する方法などで構成してもよい。リアクタンス素子207およびサセプタンス素子206がインダクタの場合、チップインダクタまたはリード型インダクタ等のチップ部品を用いてよいし、上述した基板を用いて形成する方法などで構成してもよい。サセプタンス素子206およびリアクタンス素子207の両方を含む1つのチップ部品を用いてもよい。
【0055】
また、図10(A)または図10(B)の整合回路205aを複数個直列に接続したものを図9の整合回路205aとして用いてもよい。図10(A)または図10(B)の整合回路205aを複数個直列に接続することで、広い周波数範囲で第1放射素子201aからの反射を抑圧することができる。第1整合回路はL型回路ではなく、Π型回路またはT型回路で構成してもよいし、スタブなどで構成してもよい。
【0056】
図11は、減結合回路200の変形例210を示す図である。減結合回路210は、第2接続点204bとポート2の間に接続された第2整合回路205bを備える。第2整合回路205bを備えることで、第2放射素子201bからの反射を抑圧することができる。第2整合回路205bの構成は、第1整合回路205aと同様でよい(図10参照)。
【0057】
図12は、減結合回路200の変形例220を示す図である。減結合回路220は、第1整合回路205aおよび第2整合回路205bの両方を備える。第1整合回路205aおよび第2整合回路205bの両方を備えることで、第1放射素子201aおよび第2放射素子201bからの反射をそれぞれ抑圧することができる。
【0058】
[第3の実施形態]
図13は、第3の実施形態に係る無線装置300の構成を示す図である。無線装置300は、図12に示した減結合回路220に加えてさらに無線回路308を備える。
【0059】
無線装置300は、例えば第1放射素子301aおよび第2放射素子301bを介して電磁波を放射および受信し、他の無線通信装置と通信を行うことができる。
【0060】
無線装置300が他の無線通信装置と無線通信を行う場合、無線回路308は無線通信に用いる高周波信号を無線信号として生成する。無線回路308は、無線信号を変調し、変調信号を第1放射素子301aおよび第2放射素子301bに供給することにより、空間に電波を放射する。また、無線回路308は、他の無線通信装置からの電波が第1放射素子301aおよび第2放射素子301bで受信され、無線回路308に無線信号である高周波信号が供給される。無線回路308は、供給された高周波信号を復調することにより他の無線通信装置からデータを取得する。無線装置300は、伝搬環境などに応じて第1放射素子301aと第2放射素子301bの一方を選択して無線通信を行ってもよいし、第1放射素子301aおよび第2放射素子の高周波信号にそれぞれ重み係数を乗じて無線通信を行ってもよい。
【0061】
第1放射素子301aおよび第2放射素子301bのうち一方を用いて無線通信を行ってもよい。この場合の無線装置の構成例を図14に示す。
【0062】
図14は、無線回路308にスイッチを設けた例を示す。スイッチ309がポート1およびポート2のいずれか一方に選択的に接続される。無線回路308は第1放射素子301aを用いる場合は、スイッチ309をポート1側に接続し、第2放射素子301Bを用いる場合は、スイッチ309をポート2側に接続する。
【0063】
また、無線装置300は、第1放射素子301aおよび第2放射素子301bを用いてセンシングを行ってもよい。例えば、無線装置300は、第1放射素子301aおよび第2放射素子301bから放射された電磁波を測定対象物に照射し、測定対象物で反射した電磁波を第1放射素子301aおよび第2放射素子301bで受信し、測定対象物の位置、形状、移動速度などを推定する。
【0064】
無線装置300が測定対象物のセンシングを行う場合、無線回路308はセンシングに使用する高周波信号を測定信号として生成する。無線回路308は、測定信号を第1放射素子301aおよび第2放射素子301bに供給することにより、空間に電波を放射する。この際、無線回路308は高周波信号を変調してもよいし、変調しなくてもよい。無線回路308は、第1放射素子301aおよび第2放射素子301bに供給する高周波信号に重み係数を乗じてもよい。測定対象物からの反射波が第1放射素子301aおよび第2放射素子301bで受信され、無線回路308に高周波信号が供給される。無線回路308は、第1放射素子301aおよび第2放射素子301bから受信した高周波信号の電力、位相、周波数の少なくとも1つなどに基づき、測定対象物の位置、形状、移動速度の少なくとも1つなどを推定してもよい。
【0065】
第1放射素子301aおよび第2放射素子301bのうち一方を用いてセンシングを行ってもよい。この場合、ポート1およびポート2のいずれか一方に選択的に接続するスイッチを無線回路308が備えていてもよい。無線装置の構成例は図14と同様でよい。
【0066】
また、無線装置300は、第1放射素子301aおよび第2放射素子301bで受信された電磁波を利用して発電してもよい。例えば、無線回路308は、受信された電磁波を整流し、整流した電磁波を蓄電池に蓄積したり、電子機器に入力して電源として使用したりする。第1放射素子301aおよび第2放射素子301bのうち一方を用いて電磁波を受信し、発電してもよい。この場合、ポート1およびポート2のいずれか一方に選択的に接続するスイッチを無線回路308が備えていてもよい。無線装置の構成例は図14と同様でよい。
【0067】
(応用技術分野)
本実施形態は、複数のアンテナを搭載した無線機器に応用できる。特に小型な無線機器では複数のアンテナが近接することでアンテナの特性が変化し、アンテナ間の電磁界結合によって無線通信の通信品質などが劣化する。本実施形態の減結合回路を用いることで、アンテナ間の結合を低減し、通信品質などを向上させることができる。本実施形態の減結合回路は2つの回路素子のみを用いるため、回路定数の調整が容易な上、製造コストを低減することができる。
【0068】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0069】
なお、本実施形態は以下のような構成を取ることもできる。
[項目1]
第1放射素子と、
第2放射素子と、
前記第1放射素子および前記第2放射素子のいずれか一方の一端に第1端が接続された第1回路素子と、
前記第1回路素子の第2端と、前記第1放射素子および前記第2放射素子の他方の一端との間に接続された第2回路素子と、
を備えた電子回路。
[項目2]
前記第1回路素子のリアクタンスまたはサセプタンス、および前記第2回路素子のリアクタンスまたはサセプタンスは、
前記いずれか一方の放射素子から前記他方の放射素子へ電磁界結合を介して入力される信号と、前記第1回路素子の前記第2端から前記第2回路素子を介して前記他方の放射素子の前記一端に入力される信号とが少なくとも部分的に相殺され、
前記他方の放射素子から前記一方の放射素子へ電磁界結合を介して入力される信号と、前記他方の放射素子の前記一端から前記第2回路素子を介して前記第1回路素子の前記第2端に入力される信号とが少なくとも部分的に相殺される値にそれぞれ設定されている、
項目1に記載の電子回路。
[項目3]
前記第1回路素子および前記第2回路素子のそれぞれは、コイル、キャパシタ、コイルとキャパシタとの直列接続、または、コイルとキャパシタとの並列接続を含む
項目1または2に記載の電子回路。
[項目4]
前記第1回路素子および前記第2回路素子はチップ部品である
項目1~3のいずれか一項に記載の電子回路。
[項目5]
前記第1回路素子の前記第2端に接続され、前記一方の放射素子からの反射波を低減する第1整合回路
をさらに備えた項目1~4のいずれか一項に記載の電子回路。
[項目6]
前記第1整合回路は、少なくとも第3回路素子および第4回路素子を含み、
前記第4回路素子の一端は前記第1回路素子の前記第2端に接続され、
前記第3回路素子の一端は、前記第4回路素子の前記一端または前記第4回路素子の他端に接続され、前記第3回路素子の他端は基準電圧に接続された
項目5に記載の電子回路。
[項目7]
前記第1整合回路は、1つ以上のチップ部品を含む
項目5または6に記載の電子回路。
[項目8]
前記他方の放射素子の前記一端に接続され、前記他方の放射素子からの反射波を低減する第2整合回路
をさらに備えた項目1~7のいずれか一項に記載の電子回路。
[項目9]
前記第2整合回路は、少なくとも第5回路素子および第6回路素子を含み、
前記第6回路素子の一端は前記他方の放射素子の前記一端に接続され、
前記第5回路素子の一端は、前記第6回路素子の前記一端または前記第6回路素子の他端に接続され、前記第5回路素子の他端は基準電圧に接続された
項目8に記載の電子回路。
[項目10]
前記第2整合回路は、1つ以上のチップ部品を含む
項目8または9に記載の電子回路。
[項目11]
前記第1回路素子の前記第2端に接続され、前記一方の放射素子からの反射波を低減する第1整合回路と
前記他方の放射素子の前記一端に接続され、前記他方の放射素子からの反射波を低減する第2整合回路と
をさらに備えた項目1~10のいずれか一項に記載の電子回路。
[項目12]
前記第1整合回路は、少なくとも第3回路素子および第4回路素子を含み、
前記第4回路素子の一端は前記第1回路素子の前記第2端に接続され、
前記第3回路素子の一端は、前記第4回路素子の前記一端または前記第4回路素子の他端に接続され、前記第3回路素子の他端は基準電圧に接続され、
前記第2整合回路は、少なくとも第5回路素子および第6回路素子を含み、
前記第6回路素子の一端は前記他方の放射素子の前記一端に接続され、
前記第5回路素子の一端は、前記第6回路素子の前記一端または前記第6回路素子の他端に接続され、前記第5回路素子の他端は前記基準電圧に接続された
項目11に記載の電子回路。
[項目13]
前記第1整合回路および前記第2整合回路のそれぞれは1つ以上のチップ部品を含む
項目11または12に記載の電子回路。
[項目14]
前記第1回路素子の前記第2端と、前記他方の放射素子の一端とに接続された無線回路をさらに備えた
項目1~13のいずれか一項に記載の電子回路。
[項目15]
前記無線回路を前記第1回路素子の前記第2端と、前記他方の放射素子の一端とに選択的に接続するスイッチをさらに備えた
項目14に記載の電子回路。
[項目16]
前記無線回路は、前記第1放射素子および前記第2放射素子の少なくとも一方を介して測定対象物に測定信号を送信し、前記第1放射素子および前記第2放射素子の少なくとも一方を介して前記測定対象物からの反射信号を受信することにより、前記測定対象物のセンシングを行う
項目14または15に記載の電子回路。
[項目17]
前記無線回路は、前記第1放射素子および前記第2放射素子の少なくとも一方を介して無線信号を送受信することにより、他の無線通信装置と無線通信を行う
項目14~16のいずれか一項に記載の電子回路。
【符号の説明】
【0070】
1 ポート
2 ポート
100 減結合回路
101a 第1放射素子
101a 放射素子(アンテナ)
101b 第2放射素子
101b 放射素子(アンテナ)
102 回路素子
102 リアクタンス素子
103 回路素子
103 サセプタンス素子
104a 第1接続点(ノード)
104b 第2接続点(ノード)
110 減結合回路
200 減結合回路
201a 第1放射素子
201b 第2放射素子
204a 第1接続点
204b 第2接続点
205a 第1整合回路
205a 整合回路
205b 第2整合回路
206 サセプタンス素子
207 リアクタンス素子
210 減結合回路
220 減結合回路
300 無線装置
301a 第1放射素子
301b 第2放射素子
308 無線回路
309 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14