(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181008
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】有機デバイス及びマスク群
(51)【国際特許分類】
H05B 33/12 20060101AFI20231214BHJP
C23C 14/04 20060101ALI20231214BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20231214BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20231214BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20231214BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H05B33/12 B
C23C14/04 A
H05B33/10
H05B33/14 A
H01L27/32
G09F9/30 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094735
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】中村 友祐
(72)【発明者】
【氏名】西村 直起
(72)【発明者】
【氏名】宮谷 勲
(72)【発明者】
【氏名】矢野 宏志
【テーマコード(参考)】
3K107
4K029
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
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3K107EE07
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4K029HA03
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4K029JA01
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4K029KA01
5C094AA05
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094GB10
5C094HA08
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】有機デバイスの基板上に位置する第1電極は、複数の第1色電極と、複数の第2色電極と、複数の第3色電極とを含み、1つの第1色電極と、1つの第2色電極と、2つの第3色電極とにより、1つの画素が構成され、第1色電極と第3色電極は、第1方向に沿って交互に並んでおり、第1方向に直交する第2方向に沿って交互に並んでいる。第1表示領域及び第2表示領域に位置する第1色電極は、第1方向及び第2方向のそれぞれに沿って第1ピッチで並んでいる。第2表示領域に位置する第1色電極と第3色電極は、第1方向及び第2方向のそれぞれに沿って、第2ピッチ及び第3ピッチを繰り返すように並んでいる。第2ピッチは、第3ピッチと異なっている。
【効果】有機デバイスを透過する光によって生じる回折光の強度を低減できる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示領域と、平面視で前記第1表示領域とは異なる位置に位置する第2表示領域と、を有する有機デバイスであって、
基板と、
前記基板上に位置する第1電極と、
前記第1電極上に位置する有機層と、
前記有機層上に位置するとともに、平面視で前記第1電極に重なる第2電極と、を備え、
前記第1電極は、複数の第1色電極と、複数の第2色電極と、複数の第3色電極と、を含み、
前記有機層は、前記第1色電極上に位置する複数の第1色有機層と、前記第2色電極上に位置する複数の第2色有機層と、前記第3色電極上に位置する複数の第3色有機層と、を含み、
1つの前記第1色電極と、1つの前記第2色電極と、2つの前記第3色電極とにより、1つの画素が構成され、
前記第1色電極と前記第3色電極は、第1方向に沿って交互に並ぶとともに、前記第1方向に直交する第2方向に沿って交互に並び、
前記第1表示領域及び前記第2表示領域に位置する前記第1色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って第1ピッチで並び、
前記第2表示領域に位置する前記第1色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、第2ピッチ及び第3ピッチを繰り返すように並び、
前記第2ピッチは、前記第3ピッチと異なっている、
有機デバイス。
【請求項2】
前記第1表示領域に位置する前記第1色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、第4ピッチで並び、
前記第4ピッチは、前記第1ピッチの半分である、
請求項1に記載の有機デバイス。
【請求項3】
前記第1表示領域に位置する前記第1色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチ及び前記第3ピッチを繰り返すように並ぶ、
請求項1に記載の有機デバイス。
【請求項4】
前記第2表示領域に位置する1つの前記画素を構成する前記第1色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチで並び、
前記第2ピッチは、前記第3ピッチよりも小さい、
請求項1に記載の有機デバイス。
【請求項5】
前記第2色電極と前記第3色電極は、前記第1方向に沿って交互に並ぶとともに前記第2方向に沿って交互に並び、
前記第1表示領域及び前記第2表示領域のそれぞれにおいて、前記第2色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って前記第1ピッチで並び、
前記第2表示領域に位置する前記第2色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチ及び前記第3ピッチを繰り返すように並ぶ、
請求項1に記載の有機デバイス。
【請求項6】
前記第1表示領域に位置する前記第2色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、第4ピッチで並び、
前記第4ピッチは、前記第1ピッチの半分である、
請求項5に記載の有機デバイス。
【請求項7】
前記第1表示領域に位置する前記第2色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチ及び前記第3ピッチを繰り返すように並ぶ、
請求項5に記載の有機デバイス。
【請求項8】
前記第2表示領域に位置する1つの前記画素を構成する前記第2色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチで並び、
前記第2ピッチは、前記第3ピッチよりも小さい、
請求項5に記載の有機デバイス。
【請求項9】
前記第3ピッチに対する前記第2ピッチの比率は、0.50~0.70である、
請求項1~8のいずれか一項に記載の有機デバイス。
【請求項10】
マスク群であって、
第1貫通孔を含む第1マスクと、
第2貫通孔を含む第2マスクと、
第3貫通孔を含む第3マスクと、を備え、
前記第1マスク、前記第2マスク及び前記第3マスクが重ねられたマスク積層体は、マスク第1領域と、平面視で前記マスク第1領域とは異なる位置に位置するマスク第2領域と、を有し、
1つの前記第1貫通孔と、1つの前記第2貫通孔と、2つの前記第3貫通孔とにより、1つの貫通孔群が構成され、
前記マスク積層体の平面視において、前記第1貫通孔と前記第3貫通孔は、第1方向に沿って交互に並ぶとともに、前記第1方向に直交する第2方向に沿って交互に並び、
前記マスク第1領域及び前記マスク第2領域に位置する前記第1貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って第1ピッチで並び、
前記マスク第2領域に位置する前記第1貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、第2ピッチ及び第3ピッチを繰り返すように並び、
前記第2ピッチは、前記第3ピッチと異なっている、
マスク群。
【請求項11】
前記マスク第1領域に位置する前記第1貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、第4ピッチで並び、
前記第4ピッチは、前記第1ピッチの半分である、
請求項10に記載のマスク群。
【請求項12】
前記マスク第1領域に位置する前記第1貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチ及び前記第3ピッチを繰り返すように並ぶ、
請求項10に記載のマスク群。
【請求項13】
前記マスク第2領域に位置する1つの前記貫通孔群を構成する前記第1貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチで並び、
前記第2ピッチは、前記第3ピッチよりも小さい、
請求項10に記載のマスク群。
【請求項14】
前記第2貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向に沿って交互に並ぶとともに前記第2方向に沿って交互に並び、
前記マスク第1領域及び前記マスク第2領域のそれぞれにおいて、前記第2貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って前記第1ピッチで並び、
前記マスク第2領域に位置する前記第2貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチ及び前記第3ピッチを繰り返すように並ぶ、
請求項10に記載のマスク群。
【請求項15】
前記マスク第1領域に位置する前記第2貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、第4ピッチで並び、
前記第4ピッチは、前記第1ピッチの半分である、
請求項14に記載のマスク群。
【請求項16】
前記マスク第1領域に位置する前記第2貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチ及び前記第3ピッチを繰り返すように並ぶ、
請求項14に記載のマスク群。
【請求項17】
前記マスク第2領域に位置する1つの前記貫通孔群を構成する前記第2貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチで並び、
前記第2ピッチは、前記第3ピッチよりも小さい、
請求項14に記載のマスク群。
【請求項18】
前記第3ピッチに対する前記第2ピッチの比率は、0.50~0.70である、
請求項10~17のいずれか一項に記載のマスク群。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、有機デバイス及びマスク群に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン又はタブレットPC等のデバイスに、高精細な表示装置が求められている。表示装置は、例えば、400ppi以上の画素密度が求められる。ウルトラハイディフィニション(UHD)に対応する表示装置への需要もある。このような表示装置は、例えば800ppi以上の画素密度を有している場合がある。
【0003】
応答性の良さ及び/又は消費電力の低さを有するため、有機デバイスの一例としての有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、画素を構成する材料を蒸着により基板に付着させる方法が知られている。蒸着法においては、所望のパターンで配列された貫通孔が形成された蒸着マスクを用いて、所望のパターンで画素及び電極が形成される。例えば、まず、蒸着マスクを用いて基板上に導電性材料を付着させて、画素に対応するパターンで第1電極が形成される。続いて、他の蒸着マスクを用いて、第1電極上に有機材料を付着させて発光層が形成される。その後、発光層上に導電性材料を付着させて第2電極が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6143043号公報
【特許文献2】特許第6301610号公報
【特許文献3】特許第6672194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有機デバイスにおいて第1電極が存在しない領域で、光が透過しやすい場合がある。第1電極の配置の周期性が高い場合、光の回折が生じ、回折光の強度が高まる可能性が考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態による有機デバイスは、第1表示領域と、平面視で前記第1表示領域とは異なる位置に位置する第2表示領域と、を有する有機デバイスである。有機デバイスは、基板と、基板上に位置する第1電極と、第1電極上に位置する有機層と、有機層上に位置するとともに、平面視で第1電極に重なる第2電極と、を備えている。第1電極は、複数の第1色電極と、複数の第2色電極と、複数の第3色電極と、を含む。有機層は、第1色電極上に位置する複数の第1色有機層と、第2色電極上に位置する複数の第2色有機層と、第3色電極上に位置する複数の第3色有機層と、を含む。1つの第1色電極と、1つの第2色電極と、2つの第3色電極とにより、1つの画素が構成されている。第1色電極と第3色電極は、第1方向に沿って交互に並ぶとともに、第1方向に直交する第2方向に沿って交互に並んでいる。第1表示領域及び第2表示領域に位置する第1色電極は、第1方向及び第2方向のそれぞれに沿って第1ピッチで並んでいる。第2表示領域に位置する第1色電極と第3色電極は、第1方向及び第2方向のそれぞれに沿って、第2ピッチ及び第3ピッチを繰り返すように並んでいる。第2ピッチは、第3ピッチと異なっている。
【0007】
本開示の一実施形態によるマスク群は、第1貫通孔を含む第1マスクと、第2貫通孔を含む第2マスクと、第3貫通孔を含む第3マスクと、を備えている。第1マスク、第2マスク及び第3マスクが重ねられたマスク積層体は、マスク第1領域と、平面視でマスク第1領域とは異なる位置に位置するマスク第2領域と、を有している。1つの第1貫通孔と、1つの第2貫通孔と、2つの第3貫通孔とにより、1つの貫通孔群が構成されている。マスク積層体の平面視において、第1貫通孔と第3貫通孔は、第1方向に沿って交互に並ぶとともに、第1方向に直交する第2方向に沿って交互に並んでいる。マスク第1領域及びマスク第2領域に位置する第1貫通孔は、第1方向及び第2方向のそれぞれに沿って第1ピッチで並んでいる。マスク第2領域に位置する第1貫通孔と第3貫通孔は、第1方向及び第2方向のそれぞれに沿って、第2ピッチ及び第3ピッチを繰り返すように並んでいる。第2ピッチは、第3ピッチと異なっている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、有機デバイスを透過する光によって生じる回折光の強度を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態による有機デバイスの一例を示す平面図である。
【
図2】有機デバイスの第1表示領域及び第2表示領域における素子を示す拡大平面図である。
【
図3】第1表示領域における有機デバイスの断面図であって、
図2に示すA-A線に沿った断面図である。
【
図4】第2表示領域における有機デバイスの断面図であって、
図2に示すB-B線に沿った断面図である。
【
図5】第2表示領域における第1電極を示す
図2の拡大平面図である。
【
図6】第1表示領域における第1電極を示す
図2の拡大平面図である。
【
図7】第1表示領域及び第2表示領域における第1電極を示す
図2の拡大平面図である。
【
図8】マスク装置を備えた蒸着装置の一例を示す図である。
【
図9】
図8に示すマスク装置の一例を示す平面図である。
【
図10】
図9に示すマスク装置のマスクの一例を示す平面図である。
【
図14】
図10に示すマスクの断面構造の一例を示す断面図である。
【
図15】
図7に示す第1電極を形成するための第1貫通孔を含む第1マスクの一例を示す拡大平面図である。
【
図16】
図7に示す第1電極を形成するための第2貫通孔を含む第2マスクの一例を示す拡大平面図である。
【
図17】
図7に示す第1電極を形成するための第3貫通孔を含む第3マスクの一例を示す拡大平面図である。
【
図18】マスク第2領域におけるマスク群の貫通孔を示す拡大平面図である。
【
図19】マスク第1領域におけるマスク群の貫通孔を示す拡大平面図である。
【
図20】マスク第1領域及びマスク第2領域におけるマスク群の貫通孔を示す拡大平面図である。
【
図21】有機デバイスの製造方法の第1電極形成工程において、第1色電極を形成する工程を説明するための断面図である。
【
図22】有機デバイスの製造方法の第1電極形成工程において、第2色電極を形成する工程を説明するための断面図である。
【
図23】有機デバイスの製造方法の第1電極形成工程において、第3色電極を形成する工程を説明するための断面図である。
【
図24】有機デバイスの製造方法の絶縁層形成工程を説明するための断面図である。
【
図25】有機デバイスの製造方法の有機層形成工程を説明するための断面図である。
【
図26】有機デバイスの製造方法の第2電極形成工程を説明するための断面図である。
【
図28】例1における投影パターンの評価結果を示す図である。
【
図29】例2における投影パターンの評価結果を示す図である。
【
図30】例3における投影パターンの評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び本図面において、特別な説明が無い限りは、「基板」や「基材」や「板」や「シート」や「フィルム」などのある構成の基礎となる物質を意味する用語は、呼称の違いのみによっては互いから区別されない。
【0011】
本明細書及び本図面において、特別な説明が無い限りは、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待してもよい程度の範囲を含めて解釈する。
【0012】
本明細書及び本図面において、特別な説明が無い限りは、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に」や「下に」、「上側に」や「下側に」、又は「上方に」や「下方に」とする場合、ある構成が他の構成に直接的に接している場合を含む。さらに、ある構成と他の構成との間に別の構成が含まれている場合、つまり間接的に接している場合も含む。また、特別な説明が無い限りは、「上」や「上側」や「上方」、又は、「下」や「下側」や「下方」という語句は、上下方向が逆転してもよい。
【0013】
本明細書及び本図面において、特別な説明が無い限りは、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0014】
本明細書及び本図面において、本開示の実施形態は、特別な説明が無い限りは、矛盾の生じない範囲で、その他の実施形態や変形例と組み合わせられてもよい。また、その他の実施形態同士や、その他の実施形態と変形例も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられてもよい。また、変形例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられてもよい。
【0015】
本明細書及び本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して複数の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
【0016】
本明細書及び本図面において、特別な説明が無い限りは、「~」という記号によって表現される範囲は、「~」という符号の前後に置かれた数値や要素を含んでいる。例えば、「34~38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上且つ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。例えば、「マスク50A~50C」という表現によって画定される範囲は、マスク50A、50B、50Cを含んでいる。
【0017】
本明細書の一実施形態においては、複数のマスクを備えるマスク群が、有機EL表示装置を製造する際に電極を基板上に形成するために用いられる例について説明する。ただし、マスク群の用途が特に限定されることはなく、種々の用途に用いられるマスク群に対し、本実施形態を適用することができる。例えば、仮想現実いわゆるVRや拡張現実いわゆるARを表現するための画像や映像を表示又は投影するための装置の電極を形成するために、本実施形態のマスク群を用いてもよい。また、液晶表示装置の電極などの、有機EL表示装置以外の表示装置の電極を形成するために、本実施形態のマスク群を用いてもよい。また、圧力センサの電極などの、表示装置以外の有機デバイスの電極を形成するために、本実施形態のマスク群を用いてもよい。
【0018】
本開示の第1の態様は、
第1表示領域と、平面視で前記第1表示領域とは異なる位置に位置する第2表示領域と、を有する有機デバイスであって、
基板と、
前記基板上に位置する第1電極と、
前記第1電極上に位置する有機層と、
前記有機層上に位置するとともに、平面視で前記第1電極に重なる第2電極と、を備え、
前記第1電極は、複数の第1色電極と、複数の第2色電極と、複数の第3色電極と、を含み、
前記有機層は、前記第1色電極上に位置する複数の第1色有機層と、前記第2色電極上に位置する複数の第2色有機層と、前記第3色電極上に位置する複数の第3色有機層と、を含み、
1つの前記第1色電極と、1つの前記第2色電極と、2つの前記第3色電極とにより、1つの画素が構成され、
前記第1色電極と前記第3色電極は、第1方向に沿って交互に並ぶとともに、前記第1方向に直交する第2方向に沿って交互に並び、
前記第1表示領域及び前記第2表示領域に位置する前記第1色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って第1ピッチで並び、
前記第2表示領域に位置する前記第1色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、第2ピッチ及び第3ピッチを繰り返すように並び、
前記第2ピッチは、前記第3ピッチと異なっている、
有機デバイス、
である。
【0019】
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様による有機デバイスにおいて、
前記第1表示領域に位置する前記第1色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、第4ピッチで並び、
前記第4ピッチは、前記第1ピッチの半分である、
ようにしてもよい。
【0020】
本開示の第3の態様は、上述した第1の態様による有機デバイスにおいて、
前記第1表示領域に位置する前記第1色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチ及び前記第3ピッチを繰り返すように並ぶ、
ようにしてもよい。
【0021】
本開示の第4の態様は、上述した第1の態様から上述した第3の態様のそれぞれによる有機デバイスにおいて、
前記第2表示領域に位置する1つの前記画素を構成する前記第1色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチで並び、
前記第2ピッチは、前記第3ピッチよりも小さい、
ようにしてもよい。
【0022】
本開示の第5の態様は、上述した第1の態様から上述した第4の態様のそれぞれによる有機デバイスにおいて、
前記第2色電極と前記第3色電極は、前記第1方向に沿って交互に並ぶとともに前記第2方向に沿って交互に並び、
前記第1表示領域及び前記第2表示領域のそれぞれにおいて、前記第2色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って前記第1ピッチで並び、
前記第2表示領域に位置する前記第2色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチ及び前記第3ピッチを繰り返すように並ぶ、
ようにしてもよい。
【0023】
本開示の第6の態様は、上述した第5の態様による有機デバイスにおいて、
前記第1表示領域に位置する前記第2色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、第4ピッチで並び、
前記第4ピッチは、前記第1ピッチの半分である、
ようにしもよい。
【0024】
本開示の第7の態様は、上述した第5の態様による有機デバイスにおいて、
前記第1表示領域に位置する前記第2色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチ及び前記第3ピッチを繰り返すように並ぶ、
ようにしてもよい。
【0025】
本開示の第8の態様は、上述した第5の態様から上述した第7の態様のそれぞれによる有機デバイスにおいて、
前記第2表示領域に位置する1つの前記画素を構成する前記第2色電極と前記第3色電極は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチで並び、
前記第2ピッチは、前記第3ピッチよりも小さい、
ようにしてもよい。
【0026】
本開示の第9の態様は、上述した第1の態様から上述した第8の態様のそれぞれによる有機デバイスにおいて、
前記第3ピッチに対する前記第2ピッチの比率は、0.50~0.70である、
ようにしてもよい。
【0027】
本開示の第10の態様は、
マスク群であって、
第1貫通孔を含む第1マスクと、
第2貫通孔を含む第2マスクと、
第3貫通孔を含む第3マスクと、を備え、
前記第1マスク、前記第2マスク及び前記第3マスクが重ねられたマスク積層体は、マスク第1領域と、平面視で前記マスク第1領域とは異なる位置に位置するマスク第2領域と、を有し、
1つの前記第1貫通孔と、1つの前記第2貫通孔と、2つの前記第3貫通孔とにより、1つの貫通孔群が構成され、
前記マスク積層体の平面視において、前記第1貫通孔と前記第3貫通孔は、第1方向に沿って交互に並ぶとともに、前記第1方向に直交する第2方向に沿って交互に並び、
前記マスク第1領域及び前記マスク第2領域に位置する前記第1貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って第1ピッチで並び、
前記マスク第2領域に位置する前記第1貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、第2ピッチ及び第3ピッチを繰り返すように並び、
前記第2ピッチは、前記第3ピッチと異なっている、
マスク群、
である。
【0028】
本開示の第11の態様は、上述した第10の態様によるマスク群において、
前記マスク第1領域に位置する前記第1貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、第4ピッチで並び、
前記第4ピッチは、前記第1ピッチの半分である、
ようにしてもよい。
【0029】
本開示の第12の態様は、上述した第10の態様によるマスク群において、
前記マスク第1領域に位置する前記第1貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチ及び前記第3ピッチを繰り返すように並ぶ、
ようにしてもよい。
【0030】
本開示の第13の態様は、上述した第10の態様から上述した第12の態様のそれぞれによるマスク群において、
前記マスク第2領域に位置する1つの前記貫通孔群を構成する前記第1貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチで並び、
前記第2ピッチは、前記第3ピッチよりも小さい、
ようにしてもよい。
【0031】
本開示の第14の態様は、上述した第10の態様によるマスク群において、
前記第2貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向に沿って交互に並ぶとともに前記第2方向に沿って交互に並び、
前記マスク第1領域及び前記マスク第2領域のそれぞれにおいて、前記第2貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って前記第1ピッチで並び、
前記マスク第2領域に位置する前記第2貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチ及び前記第3ピッチを繰り返すように並ぶ、
ようにしてもよい。
【0032】
本開示の第15の態様は、上述した第14の態様によるマスク群において、
前記マスク第1領域に位置する前記第2貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、第4ピッチで並び、
前記第4ピッチは、前記第1ピッチの半分である、
ようにしてもよい。
【0033】
本開示の第16の態様は、上述した第15の態様によるマスク群において、
前記マスク第1領域に位置する前記第2貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチ及び前記第3ピッチを繰り返すように並ぶ、
ようにしてもよい。
【0034】
本開示の第17の態様は、上述した第14の態様から上述した第16の態様のそれぞれによるマスク群において、
前記マスク第2領域に位置する1つの前記貫通孔群を構成する前記第2貫通孔と前記第3貫通孔は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに沿って、前記第2ピッチで並び、
前記第2ピッチは、前記第3ピッチよりも小さい、
ようにしてもよい。
【0035】
本開示の第18の態様は、上述した第11の態様から上述した第17の態様のそれぞれによるマスク群において、
前記第3ピッチに対する前記第2ピッチの比率は、0.50~0.70である、
ようにしてもよい。
【0036】
本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態のみに限定して解釈されるものではない。
【0037】
有機デバイス100について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、有機デバイス100の基板110の法線方向に沿って見た場合の有機デバイス100の一例を示す平面図である。本明細書の説明において、基板などの基礎となる部材の面の法線方向に沿って見ることを、平面視とも称する。
【0038】
有機デバイス100は、
図1に示すように、平面視において第1表示領域101及び第2表示領域102を有していてもよい。第2表示領域102は、平面視で第1表示領域101とは異なる位置に位置していてもよい。第2表示領域102は、第1表示領域101よりも小さい面積を有していてもよい。
図1に示すように、第2表示領域102は、第1表示領域101によって囲まれていてもよい。
【0039】
第2表示領域102は、光を検出することにより何らかの機能を実現する光学部品が光を取り込む領域であってもよい。後述するように、第2表示領域102に素子115が存在している。このため、素子115が画素である場合、第2表示領域102に画像や映像を表示できる。以下では、画像や映像のことを画像等と記す。このように、第2表示領域102は、光を検出し、且つ画像等を表示できる。光を検出することによって実現される光学部品は、例えば、カメラ、指紋センサ、顔認証センサなどのセンサなどである。第2表示領域102の透過率が高いほど、センサが受光する光量を増やすことができる。
【0040】
図2は、
図1の第1表示領域101及び第2表示領域102における素子115を拡大して示す平面図である。
図2は、後述する第2電極140を省略した状態で素子115を示している。
【0041】
図2に示すように、有機デバイス100は、複数の素子115を含む。1つの素子115は、1つの画素を構成する。1つの素子115は、1つの第1素子115Aと、1つの第2素子115Bと、2つの第3素子115Cと、を含んでいてもよい。1つの素子115を構成する1つの第1素子115Aと1つの第2素子115Bと2つの第3素子115Cは、正方形の頂点に位置づけられていてもよい。このような素子115の配列は、ペンタイル配列とも称される。
【0042】
本明細書の説明において、素子115の構成のうち、第1素子115A、第2素子115B及び第3素子115Cに共通する構成を説明する場合には、「素子115」という用語及び符号を用いる。
図2のような平面図において、各素子115A、115B、115Cの輪郭は、平面視において、後述する色電極120A~120Cの輪郭であってもよく、色電極120A~120Cと重なる色有機層130A~130Cの輪郭であってもよい。有機デバイス100が後述する絶縁層160を備える場合、素子115の輪郭は平面視において有機層130のうち絶縁層160に重ならない部分の輪郭であってもよい。
【0043】
素子115は、45°傾いた状態で、第1表示領域101及び第2表示領域102に並んでいてもよい。素子115は、素子第1方向G1に沿って並んでいるとともに、素子第2方向G2に沿って並んでいる。素子第2方向G2は、素子第1方向G1に直交する方向であってもよい。素子第1方向G1及び素子第2方向G2は、有機デバイス100の外輪郭100a(
図1参照)に対して45°の角度をなしていてもよい。
【0044】
本実施形態においては、後述するように、第2表示領域102に位置する1つの素子115を構成する各色電極120A~120Cのピッチが、第1表示領域101に位置する同様のピッチよりも小さくなっている。一方、第2表示領域102の画素密度は、第1表示領域101の画素密度と等しくてもよい。画素密度は、素子115の密度に相当している。
【0045】
有機デバイス100について、
図3及び
図4を用いてより詳細に説明する。
図3は、第1表示領域101における有機デバイス100の断面図であり、
図2に示すA-A線に沿った断面図である。
図4は、第2表示領域102における有機デバイス100の断面図であり、
図2に示すB-B線に沿った断面図である。
【0046】
図3に示すように、有機デバイス100は、基板110と、基板110上に位置する素子115と、を含む。素子115は、基板110上に位置する第1電極120と、第1電極120上に位置する有機層130と、有機層130上に位置する第2電極140と、を含んでいてもよい。有機層130は、平面視で第1電極120に重なっていてもよい。第2電極140は、平面視で第1電極120に重なっていてもよい。
【0047】
有機デバイス100は、平面視において隣り合う2つの各色電極120A~120Cの間に位置する絶縁層160を含んでいてもよい。絶縁層160は、例えばポリイミドを含んでいてもよい。絶縁層160は、色電極120A~120Cの端部に重なっていてもよい。
【0048】
有機デバイス100は、アクティブマトリクス型であってもよい。例えば、図示しないが、有機デバイス100は、複数の素子115のそれぞれに電気的に接続されているスイッチを含んでいてもよい。スイッチは、例えばトランジスタであってもよい。スイッチは、対応する素子115に対する電圧又は電流のON/OFFを制御してもよい。
【0049】
素子115は、第1電極120と第2電極140との間に電圧が印加されることによって、何らかの機能を実現するように構成されていてもよい。あるいは、素子115は、第1電極120と第2電極140との間に電流が流れることによって、何らかの機能を実現するよう構成されていてもよい。例えば、素子115は、有機デバイス100の画素である場合、画像等を構成する光を放出してもよい。
【0050】
基板110の構成について説明する。
【0051】
基板110は、素子115が位置する第1面110aと、第1面110aとは反対側に位置する第2面110bと、を含んでいてもよい。基板110は、絶縁性を有する板状の部材であってもよい。基板110は、可視光を透過させる光透過性を有していてもよい。例えば、基板110は、ガラス基板であってもよい。
【0052】
基板110が、所定の光透過性を有する場合、基板110の光透過性は、有機層130から発せられた光を透過させて表示できる光透過性であってもよい。例えば、可視光領域における基板110の透過率が70%以上であってもよく、80%以上であってもよく、90%以上であってもよい。基板110の透過率は、550nmの波長を有する光に対する透過率であってもよい。基板110の透過率は、JIS K7361-1に準ずるプラスチック-透明材料の全光透過率の試験方法によって測定されてもよい。
【0053】
基板110は、可撓性を有していてもよく、又は可撓性を有していなくてもよい。有機デバイス100の用途に応じて基板110の材料は選択されてもよい。
【0054】
基板110の厚みは、基板110に用いられる材料又は有機デバイス100の用途等に応じて適宜選択されてもよい。例えば、基板110の厚みは、0.005mm以上であってもよい。基板110の厚みは、5mm以下であってもよい。
【0055】
第1電極120の構成について、
図3~
図7を用いて説明する。
図5は、第2表示領域102における第1電極120を示す拡大平面図であり、
図6は、第1表示領域101における第1電極120を示す拡大平面図である。
図7は、第1表示領域101及び第2表示領域102における第1電極120を示す拡大平面図である。
【0056】
図3及び
図4に示すように、第1電極120は複数の電極を含んでいてもよい。例えば、第1電極120は、第1色電極120Aと、第2色電極120Bと、第3色電極120Cと、を含んでいてもよい。1つの第1色電極120Aと、1つの第2色電極120Bと、2つの第3色電極120Cとにより、1つの画素又は素子115が構成されていてもよい。第1色電極120A、第2色電極120B及び第3色電極120Cはそれぞれ、蒸着法によって形成されてもよい。より具体的には、第1色電極120Aは、後述する第1マスク50A(
図11及び
図15参照)を用いる蒸着法によって形成されてもよい。第2色電極120Bは、後述する第2マスク50B(
図12及び
図16参照)を用いる蒸着法によって形成されてもよい。第3色電極120Cは、後述する第3マスク50C(
図13及び
図17参照)を用いる蒸着法によって形成されてもよい。本明細書の説明において、第1電極の構成のうち、第1色電極120A、第2色電極120B及び第3色電極120Cに共通する構成を説明する場合には、「第1電極120」という用語及び符号を用いる。
【0057】
第1色電極120Aは、後述する第1色有機層130Aに平面視で重なっていてもよい。第1色有機層130Aは、赤色発光層であってもよい。第2色電極120Bは、後述する第2色有機層130Bに平面視で重なっていてもよい。第2色有機層130Bは、青色有機層であってもよい。第3色電極120Cは、後述する第3色有機層130Cに平面視で重なっていてもよい。第3色有機層130Cは、緑色有機層であってもよい。
【0058】
図5~
図7に示すように、第1色電極120A、第2色電極120B及び第3色電極120Cは、平面視において、略円形状の輪郭若しくは略楕円形状の輪郭を有していてもよく、又は略多角形状の輪郭を有していてもよい。例えば、各電極120A~120Cは、略四角形状、略六角形状又は略八角形状の輪郭を有していてもよい。
図5~
図7に示す例においては、各色電極120A~120Cが略円形状の輪郭を有している。第2色電極120Bの直径は、第1色電極120Aの直径よりも大きくてもよい。第3色電極120Cの直径は、第1色電極120Aの直径よりも小さくてもよい。
【0059】
第2表示領域102に位置する各第1電極120の周囲に、非電極領域121が形成されていてもよい。より具体的には、非電極領域121は、各色電極120A~120Cの周囲に形成されている領域であって、各色電極120A~120Cが形成されていない領域である。有機デバイス100の第2表示領域102に到達した光は、主として、非電極領域121を通過して基板110の裏側に位置する光学部品などに到達できる。非電極領域121は、第1表示領域101に位置する各第1電極120の周囲にも形成されていてもよい。
【0060】
第1色電極120A、第2色電極120B及び第3色電極120Cの位置関係について説明する。本実施形態においては、第2表示領域102に位置する1つの素子115を構成する各色電極120A~120Cのピッチが小さくなっている。このことについて、以下説明する。
【0061】
図5に示すように、第2表示領域102において、第1色電極120Aは、素子第1方向G1に沿って並んでいてもよく、素子第2方向G2に沿って並んでいてもよい。素子第1方向G1に沿う第1色電極120Aのピッチは、第1ピッチP1であってもよい。素子第2方向G2に沿う第1色電極120Aのピッチは、第1ピッチP1であってもよい。第2表示領域102に位置する第1色電極120Aは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、等間隔で並んでいてもよい。
【0062】
図6に示すように、第1表示領域101において、第1色電極120Aは、素子第1方向G1に沿って並んでいてもよく、素子第2方向G2に沿って並んでいてもよい。素子第1方向G1に沿う第1色電極120Aのピッチは、第1ピッチP1であってもよい。素子第2方向G2に沿う第1色電極120Aのピッチは、第1ピッチP1であってもよい。第1表示領域101に位置する第1色電極120Aは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、等間隔で並んでいてもよい。
【0063】
図5に示すように、第2表示領域102において、第2色電極120Bは、素子第1方向G1に沿って並んでいてもよく、素子第2方向G2に沿って並んでいてもよい。素子第1方向G1に沿う第2色電極120Bのピッチは、第1ピッチP1であってもよく、第1色電極120Aのピッチと等しくてもよい。素子第2方向G2に沿う第2色電極120Bのピッチは、第1ピッチP1であってもよく、第1色電極120Aのピッチと等しくてもよい。第2表示領域102に位置する第2色電極120Bは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、等間隔で並んでいてもよい。
【0064】
図6に示すように、第1表示領域101において、第2色電極120Bは、素子第1方向G1に沿って並んでいてもよく、素子第2方向G2に沿って並んでいてもよい。素子第1方向G1に沿う第2色電極120Bのピッチは、第1ピッチP1であってもよく、第1色電極120Aのピッチと等しくてもよい。素子第2方向G2に沿う第2色電極120Bのピッチは、第1ピッチP1であってもよく、第1色電極120Aのピッチと等しくてもよい。第1表示領域101に位置する第2色電極120Bは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、等間隔で並んでいてもよい。
【0065】
図5及び
図6に示すように、第1表示領域101及び第2表示領域102のそれぞれにおいて、第3色電極120Cは、素子第1方向G1に沿って並んでいてもよく、素子第2方向G2に沿って並んでいてもよい。1つの素子115を構成する2つの第3色電極120Cは、1つの第3色電極120Caと、1つの第3色電極120Cbと、を含んでいてもよい。本明細書の説明において、第3色電極120Cの構成のうち、第3色電極120Ca及び第3色電極120Cbに共通する構成を説明する場合には、「第3色電極120C」という用語及び符号を用いる。
【0066】
第3色電極120Ca及び第3色電極120Cbは、互いに平行な素子第1方向G1に沿う配列を形成している。素子第1方向G1に沿う第3色電極120Caのピッチは、第1ピッチP1であってもよく、第1色電極120Aのピッチと等しくてもよい。素子第1方向G1に沿う第3色電極120Cbのピッチは、第1ピッチP1であってもよく、第1色電極120Aのピッチと等しくてもよい。
【0067】
第3色電極120Ca及び第3色電極120Cbは、互いに平行な素子第2方向G2に沿う配列を形成している。素子第2方向G2に沿う第3色電極120Caのピッチは、第1ピッチP1であってもよく、第1色電極120Aのピッチと等しくてもよい。素子第2方向G2に沿う第3色電極120Cbのピッチは、第1ピッチP1であってもよく、第1色電極120Aのピッチと等しくてもよい。
【0068】
図5及び
図6に示すように、第1表示領域101及び第2表示領域102のそれぞれにおいて、第1色電極120Aと第3色電極120Cは、素子第1方向G1に沿って交互に並んでいてもよく、素子第2方向G2に沿って交互に並んでいてもよい。
【0069】
図5に示すように、第2表示領域102に位置する第1色電極120Aと第3色電極120Caが、素子第1方向G1に沿う第1電極配列151を構成していてもよい。第2表示領域102に、複数の第1電極配列151が形成されていてもよい。第2表示領域102に位置する第1色電極120Aと第3色電極120Cbが、素子第2方向G2に沿う第2電極配列152を構成していてもよい。第2表示領域102に、複数の第2電極配列152が形成されていてもよい。
【0070】
第2表示領域102に位置する第1色電極120Aと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、第2ピッチP2及び第3ピッチP3を繰り返すように並んでいてもよい。上述した第1電極配列151において1つの素子115を構成する第1色電極120Aと第3色電極120Caのピッチは、第2ピッチP2であってもよい。第1電極配列151において隣り合う2つの素子115のうちの一方の素子115を構成する第1色電極120Aと、他方の素子115を構成する第3色電極120Caのピッチは、第3ピッチP3であってもよい。上述した第2電極配列152において1つの素子115を構成する第1色電極120Aと第3色電極120Cbのピッチは、第2ピッチP2であってもよい。第2電極配列152において隣り合う2つの素子115のうちの一方の素子115を構成する第1色電極120Aと、他方の素子115を構成する第3色電極120Cbのピッチは、第3ピッチP3であってもよい。第2ピッチP2と第3ピッチP3との和は、上述した第1ピッチP1に等しい。第2ピッチP2は、第3ピッチP3と異なっていてもよい。第2ピッチP2は、第3ピッチP3よりも小さくてもよい。第2ピッチP2は、第1ピッチP1の半分よりも小さくてもよい。
【0071】
第3ピッチP3に対する第2ピッチP2の比率は、例えば、0.50以上でもよく、0.51以上でもよく、0.52以上でもよい。比率を0.50以上とすることにより、各色電極120A~120C間の距離を確保でき、混色の発生を抑制できる。比率は、例えば、0.66以下でもよく、0.68以下でもよく、0.70以下でもよい。比率を0.70以下とすることにより、各色電極120A~120Cの配置の規則性を効果的に低下できる。比率の範囲は、0.50、0.51及び0.52からなる第1グループ、及び/又は、0.66、0.68及び0.70からなる第2グループによって定められてもよい。比率の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。比率の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。比率の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、0.50以上0.70以下でもよく、0.50以上0.68以下でもよく、0.50以上0.66以下でもよく、0.50以上0.52以下でもよく、0.50以上0.51以下でもよく、0.51以上0.70以下でもよく、0.51以上0.68以下でもよく、0.51以上0.66以下でもよく、0.51以上0.52以下でもよく、0.52以上0.70以下でもよく、0.52以上0.68以下でもよく、0.52以上0.66以下でもよく、0.66以上0.70以下でもよく、0.66以上0.68以下でもよく、0.68以上0.70以下でもよい。
【0072】
図6に示すように、第1表示領域101に位置する第1色電極120Aと第3色電極120Caが、素子第1方向G1に沿う第3電極配列153を構成していてもよい。第1表示領域101に、複数の第3電極配列153が形成されていてもよい。第1表示領域101に位置する第1色電極120Aと第3色電極120Cbが、素子第2方向G2に沿う第4電極配列154を構成していてもよい。第1表示領域101に、複数の第4電極配列154が形成されていてもよい。
【0073】
第1表示領域101に位置する第1色電極120Aと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、第4ピッチP4で並んでいてもよい。上述した第3電極配列153において、第1色電極120Aと第3色電極120Caのピッチは、第4ピッチP4であってもよい。上述した第4電極配列154において、第1色電極120Aと第3色電極120Cbのピッチは、第4ピッチP4であってもよい。第1表示領域101に位置する第1色電極120Aと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、等間隔で並んでいてもよい。第4ピッチP4は、第1ピッチP1の半分であってもよい。第4ピッチP4は、第2ピッチP2よりも大きくてもよく、第3ピッチP3よりも小さくてもよい。
【0074】
図5及び
図6に示すように、第1表示領域101及び第2表示領域102のそれぞれにおいて、第2色電極120Bと第3色電極120Cは、素子第1方向G1に沿って交互に並んでいてもよく、素子第2方向G2に沿って交互に並んでいてもよい。
【0075】
図5に示すように、第2表示領域102に位置する第2色電極120Bと第3色電極120Cbが、素子第1方向G1に沿う第5電極配列155を構成していてもよい。第2表示領域102に、複数の第5電極配列155が形成されていてもよい。第2表示領域102に位置する第2色電極120Bと第3色電極120Caが、素子第2方向G2に沿う第6電極配列156を構成していてもよい。第2表示領域102に、複数の第6電極配列156が形成されていてもよい。
【0076】
第2表示領域102に位置する第2色電極120Bと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、第2ピッチP2及び第3ピッチP3を繰り返すように並んでいてもよい。上述した第5電極配列155において1つの素子115を構成する第2色電極120Bと第3色電極120Cbのピッチは、第2ピッチP2であってもよい。第5電極配列155において隣り合う2つの素子115のうちの一方の素子115を構成する第2色電極120Bと、他方の素子115を構成する第3色電極120Cbのピッチは、第3ピッチP3であってもよい。上述した第6電極配列156において1つの素子115を構成する第2色電極120Bと第3色電極120Caのピッチは、第2ピッチP2であってもよい。第6電極配列156において隣り合う2つの素子115のうちの一方の素子115を構成する第2色電極120Bと、他方の素子115を構成する第3色電極120Caのピッチは、第3ピッチP3であってもよい。
【0077】
図6に示すように、第1表示領域101に位置する第2色電極120Bと第3色電極120Cbが、素子第1方向G1に沿う第7電極配列157を構成していてもよい。第1表示領域101に、複数の第7電極配列157が形成されていてもよい。第1表示領域101に位置する第2色電極120Bと第3色電極120Caが、素子第2方向G2に沿う第8電極配列158を構成していてもよい。第1表示領域101に、複数の第8電極配列158が形成されていてもよい。
【0078】
第1表示領域101に位置する第2色電極120Bと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、第4ピッチP4で並んでいてもよい。上述した第7電極配列157において、第2色電極120Bと第3色電極120Cbのピッチは、第4ピッチP4であってもよい。上述した第8電極配列158において、第2色電極120Bと第3色電極120Caのピッチは、第4ピッチP4であってもよい。
【0079】
図7に示すように、第1表示領域101に位置する素子115と、第2表示領域102に位置する素子115は、素子第1方向G1に沿って並んでいてもよく、素子第2方向G2に沿って並んでいてもよい。より具体的には、第1表示領域101に位置する素子115の中心115Oと、第2表示領域102に位置する素子115の中心115Oが、素子第1方向G1に沿って並んでいてもよく、素子第2方向G2に沿って並んでいてもよい。素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、第2表示領域102に位置する素子115の中心115Oは、第1表示領域101に位置する素子115の中心115Oの配列の延長上に位置していてもよい。素子115の中心115Oは、第1色電極120Aの中心と第2色電極120Bの中心とを結ぶ線分と、第3色電極120Caの中心と第3色電極120Cbの中心とを結ぶ線分との交点であってもよい。この場合、素子115の中心115Oは、第1色電極120Aの中心と第2色電極120Bの中心の中間位置に位置するとともに、第3色電極120Caの中心と第3色電極120Cbの中心の中間位置に位置する。
【0080】
図7に示すように、上述した第1電極配列151は、上述した第3電極配列153と、素子第2方向G2においてずれていてもよい。上述した第2電極配列152は、上述した第4電極配列154と、素子第1方向G1においてずれていてもよい。上述した第5電極配列155は、上述した第7電極配列157と、素子第2方向G2においてずれていてもよい。上述した第6電極配列156は、上述した第8電極配列158と、素子第1方向G1においてずれていてもよい。
【0081】
有機層130の構成について、
図3及び
図4を用いて説明する。
【0082】
図3及び
図4に示す有機層130は、有機材料を含む。有機層130に通電されると、有機層130は、何らかの機能を発揮できる。通電とは、有機層130に電圧が印加されること、又は有機層130に電流が流れることを意味する。有機層130には、通電によって光を放出する発光層、又は通電によって光の透過率若しくは屈折率が変化する層等であってもよい。有機層130は、有機半導体材料を含んでいてもよい。
【0083】
図3及び
図4に示すように、有機層130は、第1色有機層130Aと、第2色有機層130Bと、第3色有機層130Cと、を含んでいてもよい。各色有機層130A~130Cは、本実施形態による蒸着マスク20を用いる蒸着法によって形成されてもよい。例えば、第1色有機層130Aは、第1色電極120A上に位置していてもよく、赤色発光層であってもよい。例えば、第2色有機層130Bは、第2色電極120B上に位置していてもよく、青色発光層であってもよい。例えば、第3色有機層130Cは、第3色電極120C上に位置していてもよく、緑色発光層であってもよい。例えば、第1色有機層130Aの形成に用いられるマスクの貫通孔は、第1色有機層130Aのパターンに対応するように形成されていてもよい。第2色有機層130Bの形成に用いられるマスクの貫通孔は、第2色有機層130Bのパターンに対応するように形成されていてもよい。第3色有機層130Cの形成に用いられるマスクの貫通孔は、第3色有機層130Cのパターンに対応するように形成されていてもよい。本明細書の説明において、有機層の構成のうち、第1色有機層130A、第2色有機層130B及び第3色有機層130Cに共通する構成を説明する場合には、「有機層130」という用語及び符号を用いる。
【0084】
第2電極140の構成について
図3及び
図4を用いて説明する。
【0085】
図3及び
図4に示すように、第2電極140は、第1色有機層130A、第2色有機層130B及び第3色有機層130Cに平面視で重なっていてもよい。第2電極140は、第1色有機層130A、第2色有機層130B及び第3色有機層130Cに跨がるように形成されていてもよい。第2電極140は、有機層130の全体に、連続状に形成されていてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、第2電極140は、各素子115A、115B、115Cに対応するようにパターン状に形成されていてもよい。この場合、第2電極140は、複数の層を含んでいてもよい。第2電極140の各層は、第1色有機層130A、第2色有機層130B及び第3色有機層130Cの少なくとも1つに平面視で重なるようにパターン状に形成され、第2電極140の層同士が、部分的に重なっていてもよい。
【0086】
上述した第1素子115Aは、第1色電極120A、第1色有機層130A及び第2電極140を含んでいてもよい。第2電極140が、各素子115A、115B、115Cに対応するようにパターン状に形成されている場合、第2電極140のうち第1色有機層130A上に位置する層が、第1素子115Aを構成してもよい。第2素子115Bは、第2色電極120B、第2色有機層130B及び第2電極140を含んでいてもよい。第2電極140が、各素子115A、115B、115Cに対応するようにパターン状に形成されている場合、第2電極140のうち第2色有機層130B上に位置する層が、第2素子115Bを構成してもよい。第3素子115Cは、第3色電極120C、第3色有機層130C及び第2電極140を含んでいてもよい。第2電極140が、各素子115A、115B、115Cに対応するようにパターン状に形成されている場合、第2電極140のうち第3色有機層130C上に位置する層が、第3素子115Cを構成してもよい。第1素子115A、第2素子115B及び第3素子115Cはそれぞれ、サブ画素である。1つの第1素子115Aと、1つの第2素子115Bと、2つの第3素子115Cの組み合わせによって、1つの画素が構成されてもよい。
【0087】
第1電極120と第2電極140との間に電圧を印加すると、両者の間に位置する有機層130が駆動される。有機層130が発光層である場合、有機層130から光が放出され、光が第2電極140を通って外部へ、又は第1電極120を通って外部へ取り出される。
【0088】
有機層130が、通電によって光を放出する発光層である場合、有機層130は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などを含んでいてもよい。
【0089】
例えば、第1電極120が陽極である場合、有機層130は、発光層と第1電極120との間に正孔注入輸送層を有していてもよい。正孔注入輸送層は、正孔注入機能を有する正孔注入層であってもよい。あるいは、正孔注入輸送層は、正孔輸送機能を有する正孔輸送層であってもよく、又は正孔注入機能及び正孔輸送機能の両機能を有していてもよい。正孔注入輸送層は、正孔注入層及び正孔輸送層が積層された構成を有していてもよい。
【0090】
第2電極140が陰極である場合、有機層130は、発光層と第2電極140との間に電子注入輸送層を有していてもよい。電子注入輸送層は、電子注入機能を有する電子注入層であってもよい。あるいは、電子注入輸送層は、電子輸送機能を有する電子輸送層であってもよく、又は電子注入機能及び電子輸送機能の両機能を有していてもよい。電子注入輸送層は、電子注入層及び電子輸送層が積層された構成を有していてもよい。
【0091】
第1電極120は、導電性を有する材料を含む。例えば、第1電極120は、金属、導電性を有する金属酸化物、又はその他の導電性を有する無機材料等を含んでいてもよい。第1電極120は、インジウム・スズ酸化物等の、光透過性及び導電性を有する金属酸化物を含んでいてもよい。第1電極120を構成する材料としては、ITOと称される酸化インジウム錫、IZOと称される参加インジウム亜鉛等を用いてもよい。
【0092】
有機層130が発光層である場合、有機層130は、発光材料を含む。発光層は、レベリング性を良くする添加剤を含んでいてもよい。発光材料には、公知の材料を用いてもよい。例えば、発光材料には、色素系材料、金属錯体系材料、又は高分子系材料を用いてもよい。
【0093】
第2電極140は、金属などの、導電性を有する材料を含む。第2電極140は、有機層130の上に形成されてもよい。第2電極140を構成する材料には、白金、金、銀、銅、鉄、錫、クロム、アルミニウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、クロム、又は炭素等が用いられてもよい。これらの導電性材料は、単独で用いられてもよく、又は2種類以上の材料を組み合わせて用いられてもよい。2種類以上の材料を用いる場合には、各材料からなる層が積層されてもよい。導電性材料に、2種類以上の材料を含む合金が用いられてもよい。例えば、導電性材料に、MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、アルカリ金属類又はアルカリ土類金属類の合金等が用いられてもよい。第2電極140を構成する材料としては、ITOと称される酸化インジウム錫、IZOと称される酸化インジウム亜鉛等を用いてもよい。
【0094】
有機デバイス100は、有機層130等の基板110上の要素を覆う封止層(図示せず)を備えていてもよい。封止層は、有機デバイス100の外部の水蒸気等が有機デバイス100の内部に入ることを抑制できる。これにより、有機層130等が水分に起因して劣化することを抑制できる。封止層は、例えば有機材料で構成された層を含んでいてもよい。有機材料は、封止層で光の屈折が生じることを抑制するために、有機層130と等しい屈折率を有していてもよく、又は有機層130に近い屈折率を有していてもよい。有機材料は、例えば、窒化シリコン(SiN)等の無機材料で封止されていてもよい。この場合、封止層は、有機材料の層と無機材料の層とが積層された積層構造を有していてもよい。第2電極140と封止層との間には、平坦化層(図示せず)が介在されていてもよい。平坦化層は、基板110上の要素の凹凸に入り込むことにより、封止層の密着性を向上させるための層であってもよい。
【0095】
平面視における第1電極120及び有機層130の位置は、高倍率のデジタルマイクロスコープを用いて有機デバイス100を観察することによって検出される。検出結果に基づいて、第1電極120及び有機層130の寸法が算出できるとともに、第1電極120の上述したピッチが算出できる。基板110が、所望の透光性を有している場合、第1電極120の各色電極120A~120Cのピッチは、基板110を通して観察することによって算出できる。基板110が、所望の透光性を有していない場合、各色電極120A~120Cのピッチは、第2電極140及び有機層130を取り除いた後、第1電極120を観察することによって算出できる。
【0096】
上述の有機デバイス100の第1電極120を蒸着法によって形成する方法について
図8を用いて説明する。
図8は、蒸着装置10を示す図である。蒸着装置10は、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する。
【0097】
蒸着装置10は、蒸着源6と、ヒータ8と、マスク装置40と、を含んでいてもよい。蒸着装置10は、蒸着装置10の内部を真空雰囲気にするための排気手段を含んでいてもよい。蒸着源6は、例えばるつぼである。蒸着源6は、導電性材料などの蒸着材料7を収容する。ヒータ8は、蒸着源6を加熱して、真空雰囲気の下で蒸着材料7を蒸発させる。マスク装置40は、るつぼ6と対向するよう配置されている。
【0098】
図8に示すように、マスク装置40は、少なくとも1つのマスク50と、マスク50を支持するフレーム41と、を含んでいてもよい。フレーム41は、第1フレーム面41aと、第2フレーム面41bと、を含んでいてもよい。第1フレーム面41aにはマスク50が固定されていてもよい。第2フレーム面41bは、第1フレーム面41aの反対側に位置する。フレーム41は、フレーム開口42を含んでいてもよい。フレーム開口42は、第1フレーム面41aから第2フレーム面41bに貫通している。マスク50は、平面視においてフレーム開口42を横切るようにフレーム41に固定されていてもよい。フレーム41は、第1フレーム面41aに沿う方向にマスク50を引っ張った状態で支持していてもよい。これにより、マスク50が撓むことを抑制できる。
【0099】
マスク50としては、後述する第1マスク50A、第2マスク50B又は第3マスク50Cが用いられてもよい。本明細書の説明において、第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cに共通するマスクの構成を説明する場合には、「マスク50」という用語及び符号を用いる。この場合、後述する貫通孔又は遮蔽領域などのマスクの構成要素についても同様に、アルファベットが付されていない数字のみの符号であって、「53」又は「54」などの数字のみの符号を用いる。一方、第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cのそれぞれに特有の内容を説明する場合には、数字の後に「A」、「B」又は「C」などの対応するアルファベットを付した符号を用いることもある。
【0100】
マスク装置40のマスク50は、基板110の第1面110aに対向している。マスク50を用いて蒸着材料7を付着させる対象物が基板110である。マスク50は、複数の貫通孔53を含む。貫通孔53は、蒸着源6から飛来した蒸着材料7を通過させる。貫通孔53を通過した蒸着材料7は、基板110の第1面110aに付着する。マスク50は、第1面51a及び第2面51bを含む。第1面51aは、第1面110aに対向している。第2面51bは、第1面51aの反対側に位置しており、フレーム41の第1フレーム面41aに対向している。貫通孔53は、第1面51aから第2面51bに貫通している。
【0101】
蒸着装置10は、基板110を保持する基板ホルダ2を含んでいてもよい。基板ホルダ2は、基板110の厚み方向において移動可能であってもよい。基板ホルダ2は、基板110の第1面110aに沿う方向において移動可能であってもよい。基板ホルダ2は、基板110の傾きを変更可能であってもよい。例えば、基板ホルダ2は、基板110の外縁を保持する複数のチャックを含んでもよい。各チャックは、基板110の厚み方向及び第1面110aに沿う方向において独立に移動可能であってもよい。
【0102】
蒸着装置10は、マスク装置40を保持するマスクホルダ3を備えていてもよい。マスクホルダ3は、マスク50の厚み方向において移動可能であってもよい。マスクホルダ3は、マスク50の第1面51aに沿う方向において移動可能であってもよい。例えば、マスクホルダ3は、フレーム41の外縁を保持する複数のチャックを含んでいてもよい。各チャックは、マスク50の厚み方向及び第1面51aに沿う方向において独立に移動可能であってもよい。
【0103】
基板ホルダ2及びマスクホルダ3の少なくとも一方を移動させることにより、基板110に対するマスク装置40のマスク50の位置を調整できる。
【0104】
蒸着装置10は、冷却板4を含んでいてもよい。冷却板4は、基板110の第2面110bに対向していてもよい。冷却板4は、冷却板4の内部に冷媒を循環させるための流路を有していてもよい。冷却板4は、蒸着工程の際に基板110の温度が上昇することを抑制できる。
【0105】
蒸着装置10は、冷却板4を介して第2面110bに対向する磁石5を含んでいてもよい。磁石5は、冷却板4に重ねられていてもよい。磁石5は、磁力によってマスク50を基板110に引き寄せる。これにより、マスク50と基板110との間の隙間を低減したり、隙間を無くしたりできる。このことにより、蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制できる。このため、第1電極120の寸法精度や位置精度を高めることができる。あるいは、磁石5の代わりに、静電気力を利用する静電チャックを用いてマスク50を基板110に引き寄せてもよい。
【0106】
マスク装置40について説明する。
図9は、マスク装置40を示す平面図である。マスク装置40は、2つ以上のマスク50を含んでいてもよい。マスク50は、例えば溶接によってフレーム41に固定されていてもよい。
【0107】
フレーム41は、一対の第1辺411と、一対の第2辺412と、を含む。フレーム41は、矩形の輪郭を有していてもよい。第1辺411には、張力を加えられた状態のマスク50が固定されていてもよい。第1辺411は、第2辺412よりも長くてもよい。一対の第1辺411及び一対の第2辺412はフレーム開口42を囲んでいてもよい。
【0108】
フレーム41を構成する材料としては、後述するマスク50の材料と同一でもよい。例えば、フレーム41を構成する材料に、ニッケルを含む鉄合金を用いてもよい。
【0109】
マスク50について、
図9~
図14を用いて説明する。
図10は、マスク50の一例を拡大して示す平面図である。
図11は、第1マスク50Aを含む第1マスク装置40Aを示す平面図である。
図12は、第2マスク50Bを含む第2マスク装置40Bを示す平面図であり、
図13は、第3マスク50Cを含む第3マスク装置40Cを示す平面図である。
図14は、マスク50の断面構造の一例を示す断面図である。
【0110】
図9及び
図10に示すように、マスク50は、少なくとも1つのセル52を含む。セル52は、貫通孔53及び貫通孔53の周囲に位置する遮蔽領域54を含む。セル52は、複数の貫通孔53によって構成されている。マスク50は、2つ以上のセル52を含んでいてもよい。マスク50を用いて有機EL表示装置などの表示装置を作製する場合、1つのセル52は、1つの有機EL表示装置の表示領域に、すなわち1つの画面に対応していてもよい。1つのセル52が複数の表示領域に対応していてもよい。2つのセル52の間に、遮蔽領域54が位置していてもよい。図示はしないが、マスク50は、2つのセル52の間に位置する貫通孔を含んでいてもよい。
【0111】
セル52は、例えば、平面視において略四角形、さらに正確には平面視において略矩形の輪郭を有していてもよい。各セル52は、有機EL表示装置の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有していてもよい。例えば各セル52は、円形の輪郭を有していてもよい。
【0112】
マスク50は、マスク第3方向D3及びマスク第4方向D4を有する。マスク第4方向D4は、マスク第3方向D3に交差していてもよく、マスク第3方向D3に直交していてもよい。マスク第3方向D3は、素子第1方向G1及び素子第2方向G2と45°の角度をなしていてもよい。マスク第4方向D4は、素子第1方向G1及び素子第2方向G2と45°の角度をなしていてもよい。マスク第3方向D3及びマスク第4方向D4は、マスク50の外輪郭50aに沿う方向であってもよい。マスク第3方向D3は、
図9に示すマスク装置40において、マスク50が並ぶ方向であってもよく、マスク50の幅方向であってもよい。マスク第4方向D4は、マスク50の長手方向であってもよい。
【0113】
図10に示すように、マスク50は、上述した貫通孔53及び遮蔽領域54を含む。貫通孔53は、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2に並んでいる。マスク第1方向D1は、素子第1方向G1に沿っており、マスク第2方向D2は、素子第2方向G2に沿っている。マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2は、マスク50の外輪郭50aに対して45°の角度をなしていてもよく、マスク第3方向D3及びマスク第4方向D4に対して45°の角度をなしていてもよい。
【0114】
以下では、上述した有機デバイス100の第1電極120を蒸着法によって形成するためのマスク50について説明する。
【0115】
図10に示すように、第1面51aの法線方向に沿ってマスク50を見た場合、マスク50は、マスク第1領域M1及びマスク第2領域M2を含む。マスク第1領域M1は、有機デバイス100の第1表示領域101に対応している。マスク第2領域M2は、有機デバイス100の第2表示領域102に対応している。マスク第2領域M2は、平面視でマスク第1領域M1とは異なる位置に位置している。
【0116】
マスク第1領域M1に複数の貫通孔53が位置していてもよい。マスク第1領域M1における複数の貫通孔53は、パターン状に位置していてもよい。例えば、複数の貫通孔53は、第1表示領域101における第1電極120の第1色電極120A、第2色電極120B及び第3色電極120Cのいずれかに対応するように位置していてもよい。
【0117】
マスク第2領域M2に複数の貫通孔53が位置していてもよい。マスク第2領域M2における複数の貫通孔53は、パターン状に位置していてもよい。例えば、複数の貫通孔53は、第2表示領域102における第1電極120の第1色電極120A、第2色電極120B及び第3色電極120Cのいずれかに対応するように位置していてもよい。
【0118】
マスク50は、アライメントマーク50Mを有していてもよい。アライメントマーク50Mは、例えばマスク50のセル52の隅に形成されている。アライメントマーク50Mは、マスク50を用いる蒸着法によって基板110に第1電極120を形成する工程において、基板110に対するマスク50の位置合わせのために用いられてもよい。アライメントマーク50Mは、例えば、フレーム開口42と重なる位置に形成されてもよく、あるいはフレーム41と重なる位置に形成されてもよい。マスク装置40を作製する際、マスク50とフレーム41の位置合わせのためにアライメントマーク50Mが用いられてもよい。
【0119】
第1電極120を形成する後述の第1電極形成工程においては、複数のマスク50が用いられてもよい。例えば
図11~
図13に示すように、複数のマスク50は、第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cを含んでいてもよい。第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cは、異なるマスク装置40を構成してもよい。
図11に示すように、第1マスク50Aを含むマスク装置40を第1マスク装置40Aとも称する。
図12に示すように、第2マスク50Bを含むマスク装置40を第2マスク装置40Bとも称する。
図13に示すように、第3マスク50Cを含むマスク装置40を第3マスク装置40Cとも称する。
【0120】
第1電極形成工程においては、例えば、蒸着装置10に、
図11に示す第1マスク装置40Aが取り付けられて、基板110に第1電極120の第1色電極120Aが形成される。続いて、蒸着装置10に、
図12に示す第2マスク装置40Bが取り付けられて、基板110に第1電極120の第2色電極120Bが形成される。続いて、蒸着装置10に、
図13に示す第3マスク装置40Cが取り付けられて、基板110に第1電極120の第3色電極120Cが形成される。このように、第1電極形成工程においては、第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cなどの複数のマスク50が順に用いられる。有機デバイス100の第1電極120を形成するために用いられる複数のマスク50を、「マスク群」とも称する。
【0121】
図14に示すように、マスク50は、複数の貫通孔53が形成された金属板51によって構成されている。貫通孔53は、第1面51aから第2面51bに金属板51を貫通している。
【0122】
貫通孔53は、第1凹部531及び第2凹部532を含んでいてもよい。第1凹部531は、第1面51aに位置する。第1凹部531は、第1面51aに凹状に形成されている。第2凹部532は、第2面51bに位置する。第2凹部532は、第2面51bに凹状に形成されている。第1凹部531は、金属板51の厚み方向において第2凹部532に接続されている。
【0123】
平面視において、第2凹部532の寸法r2は、第1凹部531の寸法r1よりも大きくてもよい。第1凹部531は、金属板51を第1面51aからエッチングなどで加工することによって形成されてもよい。第2凹部532は、金属板51を第2面51bからエッチングなどで加工することによって形成されてもよい。第1凹部531と第2凹部532とは接続部533において接続されている。第1面51aからの接続部533の高さhは、断面高さとも称される。断面高さは、後述するシャドーの影響要因になり得る。
【0124】
符号534は、貫通部を表す。平面視における貫通孔53の開口面積は、貫通部534において最小になる。貫通部534は接続部533によって画定されてもよい。
図14において、貫通部534は、寸法rによって示されている。寸法rは、寸法r1よりも小さく、寸法r2よりも小さい。
【0125】
マスク50を用いた蒸着法においては、第2面51bから第1面51aへ貫通孔53の貫通部534を蒸着材料7が通過する。通過した蒸着材料7が基板110に付着することによって、基板110に上述の第1電極120が形成される、より具体的には、基板110に上述の第1色電極120A、第2色電極120B及び第3色電極120C等の層が形成される。基板110に形成される各色電極120A~120Cの平面輪郭は、主として、貫通部534の平面輪郭によって画定される。
【0126】
貫通孔53は、平面視において、略円形状の輪郭若しくは略楕円形状の輪郭を有していてもよく、又は略多角形状の輪郭を有していてもよい。例えば、貫通孔53は、略四角形状、略六角形状又は略八角形状の輪郭を有していてもよい。貫通孔53は、マスク50の厚み方向において、相似形状で形成されていてもよい。
図15~
図17に示す例においては、貫通孔53は、上述した第1色電極120A、第2色電極120B及び第3色電極120Cと同様に、略円形状の輪郭を有している。後述する第2貫通孔53Bの直径は、第1貫通孔53Aの直径よりも大きくてもよい。第3貫通孔53Cの直径は、第1貫通孔53Aの直径よりも小さくてもよい。
【0127】
貫通部534以外の金属板51の領域は、上述した遮蔽領域54である。遮蔽領域54は、基板110に向かう蒸着材料7を遮蔽することができる。
【0128】
マスク第2領域M2の遮蔽領域54は、金属板51を貫通しない凹部を含んでいてもよい。マスク第2領域M2に凹部を設けることにより、マスク第2領域M2の剛性を低下させることができる。これにより、マスク第2領域M2の剛性とマスク第1領域M1の剛性との間の差を低減できる。このため、剛性の差に起因してマスク50に皺が生じることを抑制できる。皺は、例えば、マスク50に張力を加える時に生じやすい。
【0129】
マスク50の厚みTは、例えば、5μm以上でもよく、10μm以上でもよく、15μm以上でもよく、20μm以上でもよい。マスク50の厚みTは、例えば、25μm以下でもよく、30μm以下でもよく、50μm以下でもよく、100μm以下でもよい。マスク50の厚みTの範囲は、5μm、10μm、15μm及び20μmからなる第1グループ、及び/又は、25μm、30μm、50μm及び100μmからなる第2グループによって定められてもよい。マスク50の厚みTの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。マスク50の厚みTの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。マスク50の厚みTの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、5μm以上100μm以下でもよく、5μm以上50μm以下でもよく、5μm以上30μm以下でもよく、5μm以上25μm以下でもよく、5μm以上20μm以下でもよく、5μm以上15μm以下でもよく、5μm以上10μm以下でもよく、10μm以上100μm以下でもよく、10μm以上50μm以下でもよく、10μm以上30μm以下でもよく、10μm以上25μm以下でもよく、10μm以上20μm以下でもよく、10μm以上15μm以下でもよく、15μm以上100μm以下でもよく、15μm以上50μm以下でもよく、15μm以上30μm以下でもよく、15μm以上25μm以下でもよく、15μm以上20μm以下でもよく、20μm以上100μm以下でもよく、20μm以上50μm以下でもよく、20μm以上30μm以下でもよく、20μm以上25μm以下でもよく、25μm以上100μm以下でもよく、25μm以上50μm以下でもよく、25μm以上30μm以下でもよく、30μm以上100μm以下でもよく、30μm以上50μm以下でもよく、50μm以上100μm以下でもよい。
【0130】
マスク50の厚みTを測定する方法としては、接触式の測定方法を採用する。接触式の測定方法としては、ボールブッシュガイド式のプランジャーを含む、ハイデンハイン社製の長さゲージHEIDENHAIN-METROの「MT1271」を用いる。
【0131】
貫通孔53の断面形状は、
図14に示す形状には限られることはない。貫通孔53の形成方法は、エッチングに限られることはなく、様々な方法を採用可能である。例えば、貫通孔53が形成されるようにめっきを行うことによってマスク50を形成してもよい。
【0132】
マスク50を構成する材料としては、例えば、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。鉄合金は、ニッケルに加えてコバルトを更に含んでいてもよい。例えば、マスク50の材料として、ニッケル及びコバルトの含有量が合計で30質量%以上且つ54質量%以下であり、且つコバルトの含有量が0質量%以上且つ6質量%以下である鉄合金を用いてもよい。ニッケル若しくはニッケル及びコバルトを含む鉄合金としては、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、又は38質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe-Ni系めっき合金等を用いてもよい。このような鉄合金を用いることにより、マスク50の熱膨張係数を低くすることができる。例えば、基板110としてガラス基板が用いられる場合に、マスク50の熱膨張係数を、ガラス基板と同等の低い値にすることができる。これにより、蒸着工程の際、基板110に形成される蒸着層の寸法精度及び位置精度がマスク50と基板110との間の熱膨張係数の差に起因して低下することを抑制できる。
【0133】
マスク群56について説明する。マスク群56は、2つ以上のマスク50を含む。本実施形態においては、マスク群56は、上述した第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cを含んでいてもよい。第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cを重ねることにより得られる積層体を、マスク積層体55とも称する。
【0134】
第1マスク50Aについて、
図15を用いてより詳細に説明する。
図15は、第1マスク50Aの第1面51aにおいてマスク第1領域M1及びマスク第2領域M2を拡大して示す平面図である。
【0135】
図15に示すように、第1マスク50Aは、第1貫通孔53A及び第1遮蔽領域54Aを含む。マスク第1領域M1及びマスク第2領域M2のそれぞれにおいて、第1貫通孔53Aは、第1電極120の第1色電極120Aに対応する位置に位置している。
【0136】
図15並びに後述する
図16~
図20に示す貫通孔53の輪郭は、マスク50A~50Cの第1面51aにおける貫通孔53A~53Cの輪郭である。第1面51aにおける貫通孔53A~53Cの輪郭は、第1面51aにおける第1凹部531の輪郭に相当する。
【0137】
図15に示すように、マスク第1領域M1及びマスク第2領域M2のそれぞれにおいて、第1貫通孔53Aは、マスク第1方向D1に沿って並んでいてもよく、マスク第2方向D2に沿って並んでいてもよい。
【0138】
マスク第2領域M2に位置する第1貫通孔53Aは、マスク第1方向D1に沿う後述の第1孔配列61に沿って並んでいてもよい。マスク第2領域M2に位置する第1貫通孔53Aは、マスク第2方向D2に沿う後述の第2孔配列62に沿って並んでいてもよい。マスク第1領域M1に位置する第1貫通孔53Aは、マスク第1方向D1に沿う後述の第3孔配列63に沿って並んでいてもよい。マスク第1領域M1に位置する第1貫通孔53Aは、マスク第2方向D2に沿う後述の第4孔配列64に沿って並んでいてもよい。
【0139】
マスク第1方向D1に沿う第1貫通孔53Aのピッチは、上述した第1色電極120Aと同様に、第1ピッチP1であってもよい。マスク第2方向D2に沿う第1貫通孔53Aのピッチは、第1ピッチP1であってもよい。マスク第1領域M1に位置する第1貫通孔53Aは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2のそれぞれに沿って、等間隔で並んでいてもよい。マスク第2領域M2に位置する第1貫通孔53Aは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2のそれぞれに沿って、等間隔で並んでいてもよい。
【0140】
第2マスク50Bについて、
図16を用いてより詳細に説明する。
図16は、第2マスク50Bの第1面51aにおいてマスク第1領域M1及びマスク第2領域M2を拡大して示す平面図である。
【0141】
図16に示すように、第2マスク50Bは、第2貫通孔53B及び第2遮蔽領域54Bを含む。マスク第1領域M1及びマスク第2領域M2のそれぞれにおいて、第2貫通孔53Bは、第1電極120の第2色電極120Bに対応する位置に位置している。
【0142】
図16に示すように、マスク第1領域M1及びマスク第2領域M2のそれぞれにおいて、第2貫通孔53Bは、マスク第1方向D1に沿って並んでいてもよく、マスク第2方向D2に沿って並んでいてもよい。
【0143】
マスク第2領域M2に位置する第2貫通孔53Bは、マスク第1方向D1に沿う後述の第5孔配列65に沿って並んでいてもよい。マスク第2領域M2に位置する第2貫通孔53Bは、マスク第2方向D2に沿う後述の第6孔配列66に沿って並んでいてもよい。マスク第1領域M1に位置する第2貫通孔53Bは、マスク第1方向D1に沿う後述の第7孔配列67に沿って並んでいてもよい。マスク第1領域M1に位置する第2貫通孔53Bは、マスク第2方向D2に沿う後述の第8孔配列68に沿って並んでいてもよい。
【0144】
マスク第1方向D1に沿う第2貫通孔53Bのピッチは、上述した第2色電極120Bと同様に、第1ピッチP1であってもよく、第1貫通孔53Aのピッチと等しくてもよい。マスク第2方向D2に沿う第2貫通孔53Bのピッチは、第1ピッチP1であってもよく、第1貫通孔53Aのピッチと等しくてもよい。マスク第1領域M1に位置する第2貫通孔53Bは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2のそれぞれに沿って、等間隔で並んでいてもよい。マスク第2領域M2に位置する第2貫通孔53Bは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2のそれぞれに沿って、等間隔で並んでいてもよい。
【0145】
第3マスク50Cについて、
図17を用いてより詳細に説明する。
図17は、第3マスク50Cの第1面51aにおいてマスク第1領域M1及びマスク第2領域M2を拡大して示す平面図である。
【0146】
図17に示すように、第3マスク50Cは、第3貫通孔53C及び第3遮蔽領域54Cを含む。マスク第1領域M1及びマスク第2領域M2のそれぞれにおいて、第3貫通孔53Cは、第1電極120の第3色電極120Cに対応する位置に位置している。
【0147】
後述する1つの貫通孔群53Gを構成する2つの第3貫通孔53Cは、1つの第3貫通孔53Caと、1つの第3貫通孔53Cbと、を含んでいてもよい。第3貫通孔53Caは、第1電極120の第3色電極120Caに対応する位置に位置しており、第3貫通孔53Cbは、第1電極120の第3色電極120Cbに対応する位置に位置している。本明細書の説明において、第3貫通孔53Cの構成のうち、第3貫通孔53Ca及び第3貫通孔53Cbに共通する構成を説明する場合には、「第3貫通孔53C」という用語及び符号を用いる。
【0148】
図17に示すように、マスク第1領域M1及びマスク第2領域M2のそれぞれにおいて、第3貫通孔53Cは、マスク第1方向D1に沿って並んでいてもよく、マスク第2方向D2に沿って並んでいてもよい。
【0149】
マスク第2領域M2に位置する第3貫通孔53Caは、マスク第1方向D1に沿う後述の第1孔配列61に沿って並んでいてもよい。マスク第2領域M2に位置する第3貫通孔53Cbは、マスク第2方向D2に沿う後述の第2孔配列62に沿って並んでいてもよい。マスク第2領域M2に位置する第3貫通孔53Cbは、マスク第1方向D1に沿う後述の第5孔配列65に沿って並んでいてもよい。マスク第2領域M2に位置する第3貫通孔53Caは、マスク第2方向D2に沿う後述の第6孔配列66に沿って並んでいてもよい。
【0150】
マスク第1領域M1に位置する第3貫通孔53Caは、マスク第1方向D1に沿う後述の第3孔配列63に沿って並んでいてもよい。マスク第1領域M1に位置する第3貫通孔53Cbは、マスク第2方向D2に沿う後述の第4孔配列64に沿って並んでいてもよい。マスク第1領域M1に位置する第3貫通孔53Cbは、マスク第1方向D1に沿う後述の第7孔配列67に沿って並んでいてもよい。マスク第1領域M1に位置する第3貫通孔53Caは、マスク第2方向D2に沿う後述の第8孔配列68に沿って並んでいてもよい。
【0151】
マスク第1方向D1に沿う第3貫通孔53Caのピッチは、上述した第3色電極120Caと同様に、第1ピッチP1であってもよく、第1貫通孔53Aのピッチと等しくてもよい。マスク第1方向D1に沿う第3貫通孔53Cbのピッチは、第1ピッチP1であってもよく、第1貫通孔53Aのピッチと等しくてもよい。マスク第2方向D2に沿う第3貫通孔53Caのピッチは、第1ピッチP1であってもよく、第1貫通孔53Aのピッチと等しくてもよい。マスク第2方向D2に沿う第3貫通孔53Cbのピッチは、第1ピッチP1であってもよく、第1貫通孔53Aのピッチと等しくてもよい。
【0152】
マスク第1領域M1に位置する第3貫通孔53Caは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2のそれぞれに沿って、等間隔で並んでいてもよい。マスク第1領域M1に位置する第3貫通孔53Cbは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2のそれぞれに沿って、等間隔で並んでいてもよい。マスク第2領域M2に位置する第3貫通孔53Caは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2のそれぞれに沿って、等間隔で並んでいてもよい。マスク第2領域M2に位置する第3貫通孔53Cbは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2のそれぞれに沿って、等間隔で並んでいてもよい。
【0153】
各マスク50A~50Cの貫通孔53A~53Cの形状及び位置を測定する方法について説明する。各マスク50A~50Cの第1面51aにおける貫通孔53A~53Cの形状及び位置は、第1面51aを画像処理することによって測定する。撮影装置を用いて、各マスク50A~50Cの第1面51aを撮像し、第1面51aにおける貫通孔53A~53Cの輪郭に関する画像データを取得する。取得された画像データに基づいて、各貫通孔53A~53Cの形状及び位置が算出されるとともに、各貫通孔53A~53Cの上述したピッチが算出される。
【0154】
第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cの位置関係を、
図18~
図20を用いて説明する。
図18は、マスク第2領域M2におけるマスク群56の貫通孔53を示す拡大平面図である。
図19は、マスク第1領域M1におけるマスク群56の貫通孔53を示す拡大平面図である。
図20は、マスク第1領域M1及びマスク第2領域M2におけるマスク群56の貫通孔53を示す拡大平面図である。
【0155】
マスク群56は、マスク積層体55であってもよく、マスク積層体55は、重ねられた2つ以上のマスク50を含む。
図18~
図20に示すマスク積層体55は、重ねられた第1マスク50A、第2マスク50B及び第3マスク50Cを含む。1つの素子115に対応する貫通孔53の集まりを貫通孔群53Gと称して、以下説明する。1つの貫通孔群53Gは、1つの第1貫通孔53Aと、1つの第2貫通孔53Bと、2つの第3貫通孔53Cと、を含む。
【0156】
マスク積層体55においては、各マスク50A~50Cのアライメントマーク50M(
図11~
図13参照)が重なっていてもよい。あるいは、各マスク50A~50Cのセル52の位置に基づいて、各マスク50A~50Cが重ねられていてもよい。あるいは、各マスク50A~50Cの貫通孔53A~53C及び遮蔽領域54A~54Cの位置に基づいて、各マスク50A~50Cが重ねられていてもよい。各マスク50A~50Cを重ねる際、各マスク50A~50Cには張力が加えられていてもよい。
【0157】
2つ以上のマスク50を重ねた状態を示す図は、各マスク50の画像データを重ねることによって得られてもよい。例えば、画像処理装置を用いて、上述のようにして取得された各マスク50A~50Cの第1面51aの画像データを重ねる。これにより、
図18~
図20のような図を作製できる。画像データを取得する際、各マスク50A~50Cには張力が加えられていてもよい。2つ以上のマスク50を重ねた状態の図は、各マスク50A~50Cを製造するための設計図面を重ねることによって得られてもよい。
【0158】
図18及び
図19に示すように、マスク第1領域M1及びマスク第2領域M2のそれぞれにおいて、第1貫通孔53Aと第3貫通孔53Cは、マスク第1方向D1に沿って交互に並んでいてもよく、マスク第2方向D2に沿って交互に並んでいてもよい。
【0159】
図18に示すように、マスク第2領域M2に位置する第1貫通孔53Aと第3貫通孔53Caが、マスク第1方向D1に沿う第1孔配列61を構成していてもよい。第1孔配列61は、上述した第1電極配列151に対応している。マスク第2領域M2に、複数の第1孔配列61が形成されていてもよい。マスク第2領域M2に位置する第1貫通孔53Aと第3貫通孔53Cbが、マスク第2方向D2に沿う第2孔配列62を構成していてもよい。第2孔配列62は、上述した第2電極配列152に対応している。マスク第2領域M2に、複数の第2孔配列62が形成されていてもよい。
【0160】
マスク第2領域M2に位置する第1貫通孔53Aと第3貫通孔53Cは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2のそれぞれに沿って、第2ピッチP2及び第3ピッチP3を繰り返すように並んでいてもよい。上述した第1孔配列61において1つの貫通孔群53Gを構成する第1貫通孔53Aと第3貫通孔53Caのピッチは、上述した第2ピッチP2であってもよい。第1孔配列61において隣り合う2つの貫通孔群53Gのうちの一方の貫通孔群53Gを構成する第1貫通孔53Aと、他方の貫通孔群53Gを構成する第3貫通孔53Caのピッチは、上述した第3ピッチP3であってもよい。上述した第2孔配列62において1つの貫通孔群53Gを構成する第1貫通孔53Aと第3貫通孔53Cbのピッチは、第2ピッチP2であってもよい。第2孔配列62において隣り合う2つの貫通孔群53Gのうちの一方の貫通孔群53Gを構成する第1貫通孔53Aと、他方の貫通孔群53Gを構成する第3貫通孔53Cbのピッチは、第3ピッチP3であってもよい。
【0161】
図19に示すように、マスク第1領域M1に位置する第1貫通孔53Aと第3貫通孔53Caが、マスク第1方向D1に沿う第3孔配列63を構成していてもよい。第3孔配列63は、上述した第3電極配列153に対応している。マスク第1領域M1に、複数の第3孔配列63が形成されていてもよい。マスク第1領域M1に位置する第1貫通孔53Aと第3貫通孔53Cbが、マスク第2方向D2に沿う第4孔配列64を構成していてもよい。第4孔配列64は、上述した第4電極配列154に対応している。マスク第1領域M1に、複数の第4孔配列64が形成されていてもよい。
【0162】
マスク第1領域M1に位置する第1貫通孔53Aと第3貫通孔53Cは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2のそれぞれに沿って、第4ピッチP4で並んでいてもよい。上述した第3孔配列63において、第1貫通孔53Aと第3貫通孔53Caのピッチは、第4ピッチP4であってもよい。上述した第4孔配列64において、第1貫通孔53Aと第3貫通孔53Cbのピッチは、第4ピッチP4であってもよい。マスク第1領域M1に位置する第1貫通孔53Aと第3貫通孔53Cは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2のそれぞれに沿って、等間隔で並んでいてもよい。
【0163】
図18及び
図19に示すように、マスク第1領域M1及びマスク第2領域M2のそれぞれにおいて、第2貫通孔53Bと第3貫通孔53Cは、マスク第1方向D1に沿って交互に並んでいてもよく、マスク第2方向D2に沿って交互に並んでいてもよい。
【0164】
図18に示すように、マスク第2領域M2に位置する第2貫通孔53Bと第3貫通孔53Cbが、マスク第1方向D1に沿う第5孔配列65を構成していてもよい。第5孔配列65は、上述した第5電極配列155に対応している。マスク第2領域M2に、複数の第5孔配列65が形成されていてもよい。マスク第2領域M2に位置する第2貫通孔53Bと第3貫通孔53Caが、マスク第2方向D2に沿う第6孔配列66を構成していてもよい。第6孔配列66は、上述した第6電極配列156に対応している。マスク第2領域M2に、複数の第6孔配列66が形成されていてもよい。
【0165】
マスク第2領域M2に位置する第2貫通孔53Bと第3貫通孔53Cは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2のそれぞれに沿って、第2ピッチP2及び第3ピッチP3を繰り返すように並んでいてもよい。上述した第5孔配列65において1つの貫通孔群53Gを構成する第2貫通孔53Bと第3貫通孔53Cbのピッチは、上述した第2ピッチP2であってもよい。第5孔配列65において隣り合う2つの貫通孔群53Gのうちの一方の貫通孔群53Gを構成する第2貫通孔53Bと、他方の貫通孔群53Gを構成する第3貫通孔53Cbのピッチは、上述した第3ピッチであってもよい。上述した第6孔配列66において1つの貫通孔群53Gを構成する第2貫通孔53Bと第3貫通孔53Caのピッチは、第2ピッチP2であってもよい。第6孔配列66において隣り合う2つの貫通孔群53Gのうちの一方の貫通孔群53Gを構成する第2貫通孔53Bと、他方の貫通孔群53Gを構成する第3貫通孔53Caのピッチは、第3ピッチP3であってもよい。
【0166】
図19に示すように、マスク第1領域M1に位置する第2貫通孔53Bと第3貫通孔53Cbが、マスク第1方向D1に沿う第7孔配列67を構成していてもよい。第7孔配列67は、上述した第7電極配列157に対応している。マスク第1領域M1に、複数の第7孔配列67が形成されていてもよい。マスク第1領域M1に位置する第2貫通孔53Bと第3貫通孔53Caが、マスク第2方向D2に沿う第8孔配列68を構成していてもよい。第8孔配列68は、上述した第8電極配列158に対応している。マスク第1領域M1に、複数の第8孔配列68が形成されていてもよい。
【0167】
マスク第1領域M1に位置する第2貫通孔53Bと第3貫通孔53Cは、マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2のそれぞれに沿って、第4ピッチP4で並んでいてもよい。上述した第7孔配列67において、第2貫通孔53Bと第3貫通孔53Cbのピッチは、第4ピッチP4であってもよい。上述した第8孔配列68において、第2貫通孔53Bと第3貫通孔53Caのピッチは、第4ピッチP4であってもよい。
【0168】
図20に示すように、マスク第1領域M1に位置する貫通孔群53Gと、マスク第2領域M2に位置する貫通孔群53Gは、マスク第1方向D1に沿って並んでいてもよく、マスク第2方向D2に沿って並んでいてもよい。より具体的には、マスク第1領域M1に位置する貫通孔群53Gの中心53Oと、マスク第2領域M2に位置する貫通孔群53Gの中心53Oが、マスク第1方向D1に沿って並んでいてもよく、マスク第2方向D2に沿って並んでいてもよい。マスク第1方向D1及びマスク第2方向D2のそれぞれに沿って、マスク第2領域M2に位置する貫通孔群53Gの中心53Oは、マスク第1領域M1に位置する貫通孔群53Gの中心53Oの配列の延長上に位置していてもよい。貫通孔群53Gの中心53Oは、第1貫通孔53Aの中心と第2貫通孔53Bの中心とを結ぶ線分と、第3貫通孔53Caの中心と第3貫通孔53Cbの中心とを結ぶ線分との交点であってもよい。この場合、貫通孔群53Gの中心53Oは、第1貫通孔53Aの中心と第2貫通孔53Bの中心の中間位置に位置するとともに、第3貫通孔53Caの中心と第3貫通孔53Cbの中心の中間位置に位置する。
【0169】
図20に示すように、上述した第1孔配列61は、上述した第3孔配列63と、マスク第2方向D2においてずれていてもよい。上述した第2孔配列62は、上述した第4孔配列64と、マスク第1方向D1においてずれていてもよい。上述した第5孔配列65は、上述した第7孔配列67と、マスク第2方向D2においてずれていてもよい。上述した第6孔配列66は、上述した第8孔配列68と、マスク第1方向D1においてずれていてもよい。
【0170】
有機デバイス100の製造方法の一例について、
図21~
図26を用いて説明する。
図21は、第1電極120の第1色電極120Aを形成する工程を説明するための断面図である。
図22は、第1電極120の第2色電極120Bを形成する工程を説明するための断面図であり、
図23は、第1電極120の第3色電極120Cを形成する工程を説明するための断面図である。
図24は、絶縁層形成工程を説明するための断面図である。
図25は、有機層形成工程を説明するための断面図である。
図26は、第2電極形成工程を説明するための断面図である。以下では、第2表示領域102の断面図を用いて有機デバイス100の製造方法について説明するが、第1表示領域101においても同様にして有機デバイス100を製造することができる。
【0171】
まず、基板110を準備する。
【0172】
続いて、第1電極形成工程が実施されてもよい。
【0173】
第1電極形成工程においては、上述のマスク群56を用いて基板110上に第1電極120が形成される。
【0174】
まず、
図21に示すように、第1マスク50Aを用いる蒸着法によって第1電極120の第1色電極120Aを形成する工程が実施されてもよい。例えば、第1マスク50Aの第1貫通孔53Aを介して、金属等の導電性材料等が基板110上に蒸着されてもよい。これにより、第1色電極120Aが形成される。
【0175】
続いて、
図22に示すように、第2マスク50Bを用いる蒸着法によって第1電極120の第2色電極120Bを形成する工程が実施されてもよい。例えば、第2マスク50Bの第2貫通孔53Bを介して、金属等の導電性材料等が基板110上に蒸着されてもよい。これにより、第2色電極120Bが形成される。
【0176】
続いて、
図23に示すように、第3マスク50Cを用いる蒸着法によって第2電極140の第3色電極120Cを形成する工程が実施されてもよい。例えば、第3マスク50Cの第3貫通孔53Cを介して、金属等の電電性材料等が基板110上に蒸着されてもよい。これにより、第3色電極120Cが形成される。
【0177】
第1色電極120A、第2色電極120B及び第3色電極120Cを形成する順序は特には限定されない。例えば、第3色電極120C、第2色電極120B及び第1色電極120Aの順に工程が実施されてもよい。
【0178】
続いて、
図24に示すように、絶縁層形成工程が実施されてもよい。絶縁層160は、第1電極120の各色電極120A~120Cの間に形成される。絶縁層160は、各色電極120A~120Cの端部に重なっていてもよい。
【0179】
続いて、
図25に示すように、有機層形成工程が実施されてもよい。第1色有機層130A、第2色有機層130B及び第3色有機層130Cを含む有機層130が第1電極120上に形成される。第1色有機層130Aは、例えば、第1色有機層130Aに対応する貫通孔を有するマスクを用いる蒸着法によって形成されてもよい。例えば、マスクを介して第1色電極120A上に有機材料等を蒸着させることにより、第1色有機層130Aが形成されてもよい。第2色有機層130Bも、第2色有機層130Bに対応する貫通孔を有するマスクを用いる蒸着法によって形成されてもよい。第3色有機層130Cも、第3色有機層130Cに対応する貫通孔を有するマスクを用いる蒸着法によって形成されてもよい。
【0180】
続いて、
図26に示すように、第2電極形成工程が実施されてもよい。第2電極140は、第1色有機層130A、第2色有機層130B及び第3色有機層130C上に形成される。第2電極140は、有機層130の全体に、連続状に形成されてもよい。例えば、マスクを介して有機層130上に金属等の導電性材料等が有機層130上に蒸着させることにより、第2電極140が形成されてもよい。
【0181】
このようにして製造された有機デバイス100の第2表示領域102を透過する光について説明する。
【0182】
第2表示領域102において、基板110の裏側に光学部品が位置している場合がある。有機デバイス100に到達した光は、第2表示領域102を透過して光学部品に到達する。第2表示領域102に、素子115がパターン状に形成されており、各素子115を構成する第1電極120が、パターン状に形成されている。第1電極120の周囲に、第1電極120が存在しない非電極領域121が形成されており、第2表示領域102に到達した光は、非電極領域121を通過して、光学部品に到達する。
【0183】
第2表示領域102を透過する光は、第1電極120のパターンに応じて回折する。第1電極120の配置の規則性が高い場合、回折光の強度が高まり得る。この場合、光学部品によって生成される画像の鮮明度が低下し得る。例えば、素子第1方向G1に沿う第1色電極120Aと第3色電極120Caのピッチが一定である場合には、素子第1方向G1に沿う第1色電極120Aと第3色電極120Caの配置の規則性が高まり得る。同様に、素子第2方向G2に沿う第1色電極120Aと第3色電極120Cbのピッチが一定である場合には、素子第2方向G2に沿う第1色電極120Aと第3色電極120Cbの配置の規則性が高まり得る。素子第1方向G1に沿う第2色電極120Bと第3色電極120Cbのピッチが一定である場合には、素子第1方向G1に沿う第2色電極120Bと第3色電極120Cbの配置の規則性が高まり得る。素子第2方向G2に沿う第2色電極120Bと第3色電極120Caのピッチが一定である場合には、素子第2方向G2に沿う第2色電極120Bと第3色電極120Caの配置の規則性が高まる。
【0184】
一方、本実施形態による有機デバイス100の第2表示領域102において、第1電極120の配置の規則性は低下し得る。より具体的には、素子第1方向G1に沿う第1色電極120Aと第3色電極120Caのピッチは、第2ピッチP2及び第3ピッチP3を繰り返すように並んでいる。このことにより、素子第1方向G1に沿う第1色電極120Aと第3色電極120Caの配置の規則性を低下できる。同様に、素子第2方向G2に沿う第1色電極120Aと第3色電極120Cbのピッチは、第2ピッチP2及び第3ピッチP3を繰り返すように並んでいる。このことにより、素子第2方向G2に沿う第1色電極120Aと第3色電極120Cbの配置の規則性を低下できる。素子第1方向G1に沿う第2色電極120Bと第3色電極120Cbのピッチは、第2ピッチP2及び第3ピッチP3を繰り返すように並んでいる。このことにより、素子第1方向G1に沿う第2色電極120Bと第3色電極120Cbの配置の規則性を低下できる。素子第2方向G2に沿う第2色電極120Bと第3色電極120Caのピッチは、第2ピッチP2及び第3ピッチP3を繰り返すように並んでいる。このことにより、素子第2方向G2に沿う第2色電極120Bと第3色電極120Caの配置の規則性を低下できる。
【0185】
このように本実施形態によれば、第2表示領域102に位置する第1電極120の第1色電極120Aと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、第2ピッチP2及び第3ピッチP3を繰り返すように並んでいる。第2ピッチP2は、第3ピッチP3と異なっている。このことにより、第1色電極120Aと第3色電極120Cの配置の規則性を低下でき、第2表示領域102を透過する光の回折を弱めることができる。このため、有機デバイス100を透過する光によって生じる回折光の強度を低減できる。
【0186】
また、本実施形態によれば、第1表示領域101及び第2表示領域102に位置する第1電極120の第1色電極120Aは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って第1ピッチP1で並んでいる。このことにより、第2表示領域102に位置する第1色電極120Aのピッチと、第1表示領域101に位置する第1色電極120Aのピッチを、等しくできる。この場合、第2表示領域102の画素密度を、第1表示領域101の画素密度と等しくできる。このため、第2表示領域102の画素密度が低下することを防止でき、第2表示領域102から表示される画像の品質を向上できる。
【0187】
また、本実施形態によれば、第1表示領域101に位置する第1色電極120Aと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って第4ピッチP4で並んでいる。第4ピッチP4は、第1ピッチP1の半分である。このことにより、第1表示領域101に位置する第1色電極120Aと第3色電極120Cを、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って等間隔に並べることができる。このため、第1表示領域101から表示される画像の品質を向上できる。
【0188】
また、本実施形態によれば、第2表示領域102に位置する1つの画素を構成する第1色電極120Aと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、第2ピッチP2で並んでいる。第2ピッチP2は、第3ピッチP3よりも小さい。このことにより、第2表示領域102から表示される画像の品質を向上できる。
【0189】
また、本実施形態によれば、第2表示領域102に位置する第1電極120の第2色電極120Bと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、第2ピッチP2及び第3ピッチP3を繰り返すように並んでいる。第2ピッチP2は、第3ピッチP3と異なっている。このことにより、第2色電極120Bと第3色電極120Cの配置の規則性を低下でき、第2表示領域102を透過する光の回折を弱めることができる。このため、有機デバイス100を透過する光によって生じる回折光の強度を低減できる。
【0190】
また、本実施形態によれば、第1表示領域101及び第2表示領域102に位置する第1電極120の第2色電極120Bは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って第1ピッチP1で並んでいる。このことにより、第2表示領域102に位置する第2色電極120Bのピッチと、第1表示領域101に位置する第2色電極120Bのピッチを、等しくすることができる。この場合、第2表示領域102の画素密度を、第1表示領域101の画素密度と等しくすることができる。このため、第2表示領域102の画素密度が低下することを防止でき、第2表示領域102から表示される画像の品質を向上できる。
【0191】
また、本実施形態によれば、第1表示領域101に位置する第2色電極120Bと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って第4ピッチP4で並んでいる。第4ピッチP4は、第1ピッチP1の半分である。このことにより、第1表示領域101に位置する第2色電極120Bと第3色電極120Cを、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って等間隔に並べることができる。このため、第1表示領域101から表示される画像の品質を向上できる。
【0192】
また、本実施形態によれば、第2表示領域102に位置する1つの画素を構成する第2色電極120Bと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、第2ピッチP2で並んでいる。第2ピッチP2は、第3ピッチP3よりも小さい。このことにより、第2表示領域102から表示される画像の品質を向上できる。
【0193】
また、本実施形態によれば、マスク群56は、第1貫通孔53Aを含む第1マスク50Aと、第2貫通孔53Bを含む第2マスク50Bと、第3貫通孔53Cを含む第3マスク50Cと、を備えている。第1貫通孔53Aは、第1電極120の第1色電極120Aを形成することができる。第2貫通孔53Bは、第1電極120の第2色電極120Bを形成することができ、第3貫通孔53Cは、第1電極120の第3色電極120Cを形成することができる。このことにより、配置の規則性を低下した第1電極120を形成できる。このため、回折光の強度を低減できる有機デバイス100を得ることができる。
【0194】
上述した実施形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。本明細書の説明及び本明細書の説明で用いる図面では、上述した実施形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
【0195】
第1変形例について説明する。
【0196】
上述した本実施形態においては、第1表示領域101に位置する第1色電極120Aと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、第4ピッチP4で並んでいる例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。
【0197】
例えば、第1表示領域101に位置する第1色電極120Aと第3色電極120Cは、第2表示領域102に位置する第1色電極120Aと第3色電極120Cと同様に並んでいてもよい。
【0198】
より具体的には、第1表示領域101に位置する第1色電極120Aと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、第2ピッチP2及び第3ピッチP3を繰り返すように並んでいてもよい。この場合、有機デバイス100の製造効率を向上できる。例えば、上述した第3電極配列153において1つの素子115を構成する第1色電極120Aと第3色電極120Caのピッチは、第2ピッチであってもよい。第3電極配列153において隣り合う2つの素子115のうちの一方の素子115を構成する第1色電極120Aと、他方の素子115を構成する第3色電極120Caのピッチは、第3ピッチP3であってもよい。上述した第4電極配列154において1つの素子115を構成する第1色電極120Aと第3色電極120Cbのピッチは、第2ピッチP2であってもよい。第4電極配列154において隣り合う2つの素子115のうちの一方の素子115を構成する第1色電極120Aと、他方の素子115を構成する第3色電極120Cbのピッチは、第3ピッチP3であってもよい。
【0199】
第2変形例について説明する。
【0200】
上述した本実施形態においては、第1表示領域101に位置する第2色電極120Bと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、第4ピッチP4で並んでいる例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。
【0201】
例えば、第1表示領域101に位置する第2色電極120Bと第3色電極120Cは、第2表示領域102に位置する第2色電極120Bと第3色電極120Cと同様に並んでいてもよい。
【0202】
より具体的には、第1表示領域101に位置する第2色電極120Bと第3色電極120Cは、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、第2ピッチP2及び第3ピッチP3を繰り返すように並んでいてもよい。この場合、有機デバイス100の製造効率を向上できる。例えば、上述した第7電極配列157において1つの素子115を構成する第2色電極120Bと第3色電極120Cbのピッチは、第2ピッチであってもよい。第7電極配列157において隣り合う2つの素子115のうちの一方の素子115を構成する第2色電極120Bと、他方の素子115を構成する第3色電極120Cbのピッチは、第3ピッチP3であってもよい。上述した第8電極配列158において1つの素子115を構成する第2色電極120Bと第3色電極120Caのピッチは、第2ピッチP2であってもよい。第8電極配列158において隣り合う2つの素子115のうちの一方の素子115を構成する第2色電極120Bと、他方の素子115を構成する第3色電極120Caのピッチは、第3ピッチP3であってもよい。
【0203】
第3変形例について説明する。
【0204】
上述した本実施形態においては、第1表示領域101に位置する素子115の中心115Oと、第2表示領域102に位置する素子115の中心115Oが、素子第1方向G1に沿って並ぶとともに、素子第2方向G2に沿って並ぶ例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。
【0205】
例えば、第1表示領域101に位置する素子115の中心115Oと、第2表示領域102に位置する素子115の中心115Oは、素子第2方向G2においてずれていてもよい。この場合、上述した第1電極配列151が、第3電極配列153の延長上に位置していてもよい。より具体的には、第2表示領域102に位置する第1色電極120A及び第3色電極120Caと、第1表示領域101に位置する第1色電極120A及び第3色電極120Caは、素子第1方向G1に沿って並ぶ。あるいは、第5電極配列155が、第7電極配列157の延長上に位置していてもよい。より具体的には、第2表示領域102に位置する第2色電極120B及び第3色電極120Cbと、第1表示領域101に位置する第2色電極120B及び第3色電極120Cbは、素子第1方向G1に沿って並ぶ。
【0206】
例えば、第1表示領域101に位置する素子115の中心115Oと、第2表示領域102に位置する素子115の中心115Oは、素子第1方向G1においてずれていてもよい。この場合、上述した第2電極配列152が、第4電極配列154の延長上に位置していてもよい。より具体的には、第2表示領域102に位置する第1色電極120A及び第3色電極120Cbと、第1表示領域101に位置する第1色電極120A及び第3色電極120Cbは、素子第2方向G2に沿って並ぶ。あるいは、第6電極配列156が、第8電極配列158の延長上に位置していてもよい。より具体的には、第2表示領域102に位置する第2色電極120B及び第3色電極120Caと、第1表示領域101に位置する第2色電極120B及び第3色電極120Caは、素子第2方向G2に沿って並ぶ。
【0207】
第4変形例について説明する。
【0208】
上述した本実施形態においては、平面視において隣り合う2つの第1電極120の間に絶縁層160が位置している例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。隣り合う2つの各色電極120A~120Cが離間している場合、絶縁層160は形成されていなくてもよい。
【0209】
第5変形例について説明する。
【0210】
上述した本実施形態においては、第1色有機層130Aが赤色発光層であり、第2色有機層130Bが青色発光層である例について説明した。しかしながら、本開示は、このことに限られることはない。第1色有機層130Aが青色発光層であり、第2色有機層130Bが赤色発光層であってもよい。この場合、第1色電極120Aの直径は、第2色電極120Bの直径よりも大きくてもよい。
【0211】
上述した実施形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【実施例0212】
次に、
図27~
図30を用いて、本開示の実施形態を実施例により更に具体的に説明するが、本開示の実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
図27は、回折光の評価方法を示す図である。
図28は、例1における投影パターンの評価結果を示す図である。
図29は、例2における投影パターンの評価結果を示す図であり、
図30は、例3における投影パターンの評価結果を示す図である。
【0213】
例1~例3の第1電極120が形成された第2表示領域102を透過した光に生じる回折を、シミュレーションにより検証した。
【0214】
図5~
図7に示す第1電極120を備える有機デバイス100の第2表示領域102を設計した。各例における、第1ピッチP1、第2ピッチP2及び第3ピッチP3の寸法を、以下に示す。また、第3ピッチP3に対する第2ピッチP2の比率も示す。
(例1)
P1:87.8μm
P2:43.9μm
P3:43.9μm
P3に対するP2の比率:1.00
(例2)
P1:87.8μm
P2:35.4μm
P3:52.4μm
P3に対するP2の比率:0.68
(例3)
P1:87.8μm
P2:29.5μm
P3:58.3μm
P3に対するP2の比率:0.51
【0215】
各色電極120A~120Cの平面形状は、円形である。各色電極120A~120Cの直径は、各例で同一であり、以下に示す。
第1色電極120Aの直径:26.1μm
第2色電極120Bの直径:32.8μm
第3色電極120Cの直径:20.7μm
【0216】
図3及び
図4に示す第2電極140は、有機層130の全体に、連続状に形成されている。シミュレーションのモデルとして、
図27に示すように、第1電極120の周囲に位置する非電極領域121に、第2電極140を模擬した。
【0217】
例1~例3のそれぞれについてシミュレーションを行い、第2表示領域102を透過することにより生じた回折光の強度を得た。より具体的には、
図27に示すように、基板110の第1面110aの法線方向に沿って光L1を基板110に入射させた。光L1の波長は、550nmであり、光L1の直径は、3mmである。続いて、非電極領域121を通過した光及び第1電極120を透過した光に生じる回折をシミュレーションによって算出した。符号L2は、回折されることなく直進してスクリーン170に到達する光を表す。符号Pcは、スクリーン170上の光L2の到達点を表す。符号L3は、非電極領域121を通過することにより生じた回折光を表す。基板110の第2面110bとスクリーン170との間の距離は、5000mmである。
【0218】
各色電極120A~120Cの透過率は、0%である。透過率は、550nmの波長を有する光に対する透過率とした。各色電極120A~120Cの透過率は、上述した基板110の透過率と同様に測定できる。
【0219】
第2電極140の透過率は、38%に設定した。有機層130の透過率は、第2電極140の透過率に比べて著しく大きく、無視できる。このため、非電極領域121の透過率を、第2電極140の透過率に設定した。
【0220】
例1~例3におけるスクリーン170に到達する光の投影パターンを
図28~
図30に示す。
図28~
図30においては、光L2の到達点Pcの周囲に現れる回折光が、ドット状に現れている。より具体的には、到達点Pcに到達した光L2が、0次の回折光のピークを表している。0次の回折光のピークから離れるに従って、1次の回折光のピーク、2次の回折光のピーク、3次の回折光のピーク、及び4次の回折光のピークが順に現れている。
図28~
図30に示されている各回折光の大きさが大きい程、回折光の強度が強いことを示している。
【0221】
図28に示す光の投影パターンにおいては、回折光が特定の位置に集中し、回折光の強度が大きいことが分かる。より具体的には、素子第1方向G1及び素子第2方向G2において2次の回折光のピークが比較的強く表れている。素子第1方向G1及び素子第2方向G2に沿う位置に位置する1次の回折光のピークは、2次の回折光のピークより弱く現れている。1次の回折光の強度と2次の回折光の強度の差が比較的大きい。
【0222】
一方、
図29及び
図30に示す光の投影パターンにおいては、
図28に示す光の投影パターンに比べて、回折光が分散していることが分かる。より具体的には、素子第1方向G1及び素子第2方向G2のそれぞれに沿って、1次の回折光の強度と2次の回折光の強度の差が低減されている。このことにより、例2及び例3によれば、例1の場合に比べて、回折光の強度が低減されていると言える。このため、例2及び例3によれば、センサ等の光学部品に入射する回折光の強度を低減できる。
【0223】
図30に示す光の投影パターンにおいては、
図29に示す光の投影パターンに比べて、回折光がより一層分散していることが分かる。より具体的には、素子第1方向G1及び素子第2方向G2において、1次の回折光の強度と2次の回折光の強度の差がより一層低減されている。このため、
図5等に示す第2ピッチP2と第3ピッチP3との差を大きくすることにより、回折光の分散を促進できると言える。
【0224】
例1~例3における回折光の最大強度を以下に示す。最大強度は、0次の回折光の強度に対する1次以降の回折光の強度の割合を示している。例1~例3では、素子第1方向G1及び素子第2方向G2における1次以降の回折光の強度が最も高くなっている。
例1:5.2%
例2:3.5%
例3:3.2%
【0225】
このように、例2における回折光の最大強度が、例1における回折光の最大強度よりも小さく、例3における回折光の最大強度が、例2における回折光の最大強度よりも小さいことが分かる。