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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181023
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20231214BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B62D1/06
G01B7/00 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022094760
(22)【出願日】2022-06-10
(71)【出願人】
【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ヴァレオジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【弁理士】
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176991
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100217696
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 英行
(72)【発明者】
【氏名】依田 直也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 学
【テーマコード(参考)】
2F063
3D030
【Fターム(参考)】
2F063AA22
2F063BA08
2F063DA02
2F063HA04
3D030DA11
3D030DB02
3D030DB12
(57)【要約】
【課題】ステアリングホイール加温の有無の影響を抑える。
【解決手段】検出装置1は、ステアリングホイールSWに設けられたヒータ線2と、ヒータ線2を、直流電源PSとグランドEGに接続する直列回路10と、ヒータ線2と直流電源PSの間に設けられたスイッチ51、52と、ヒータ線2とグランドEGの間に設けられたスイッチ53、54と、ヒータ線2の静電容量を検出する静電容量センサ30と、静電容量センサ30を、直列回路10におけるスイッチ52とスイッチ53の間に接続するセンサ回路3と、スイッチ51、52、53、54を制御する制御部7と、を有する。制御部7は、静電容量を検出する際のヒータの非駆動期間とは別の非駆動期間にヒータ線2の静電容量を検出する場合には、ヒータ線2の静電容量の検出に先立って、ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断した状態で、ヒータ線2と直流電源PSとを所定時間接続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングホイールに設けられたヒータと、
前記ヒータを、電源とグランドに接続する直列回路と、
前記直列回路において、前記ヒータと前記電源の間に設けられた電源側スイッチと、
前記直列回路において、前記ヒータと前記グランドの間に設けられたグランド側スイッチと、
前記ヒータの静電容量を検出する静電容量センサと、
前記静電容量センサを、前記直列回路における前記電源側スイッチと前記グランド側スイッチの間に接続するセンサ回路と、
前記電源側スイッチおよび前記グランド側スイッチを制御する制御部と、を有する検出装置であって、
前記制御部は、
前記ヒータの静電容量を検出する際の前記ヒータの非駆動期間とは別の非駆動期間に前記ヒータの静電容量を検出する場合には、前記ヒータの静電容量の検出に先立って、前記ヒータと前記グランドとの接続を遮断した状態で、前記ヒータと前記電源とを所定時間接続する、検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記グランド側スイッチは、前記直列回路上で直列に並んだ複数のスイッチから構成されており、
前記制御部は、
前記直列回路上で直列に並んだ複数のスイッチの少なくとも1つをオフにして、前記ヒータと前記グランドとの接続を遮断する、検出装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記グランド側スイッチは、
第1グランド側スイッチと、第2グランド側スイッチと、を有しており、
前記制御部は、
前記第1グランド側スイッチと、前記第2グランド側スイッチのうちの少なくとも一方をオフにして、前記ヒータと前記グランドとの接続を遮断する、検出装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記直列回路において前記第1グランド側スイッチと前記第2グランド側スイッチは、前記グランド側から、前記第1グランド側スイッチ、前記第2グランド側スイッチの順番で設けられており、
前記センサ回路は、
前記直列回路における前記第2グランド側スイッチと前記ヒータとの間に接続する第2センサ回路と、
前記直列回路における前記第1グランド側スイッチと前記第2グランド側スイッチとの間に接続する第2信号線と、を有しており、
前記制御部は、
前記ヒータの静電容量を検出する際に、第1の交流信号を、前記静電容量センサから前記第2センサ回路に入力すると共に、前記第1の交流信号と同電圧および同電位の第2の交流信号を、前記静電容量センサから前記第2信号線に入力する、検出装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記電源側スイッチは、第1電源側スイッチと、第2電源側スイッチと、を有しており、
前記直列回路において前記第1電源側スイッチと前記第2電源側スイッチは、前記電源側から、前記第1電源側スイッチ、前記第2電源側スイッチの順番で設けられており、
前記センサ回路は、
前記直列回路における前記第2電源側スイッチと前記ヒータとの間に接続する第1センサ回路と、
前記直列回路における前記第1電源側スイッチと前記第2電源側スイッチとの間に接続する第1信号線と、を有しており、
前記制御部は、
前記ヒータの静電容量を検出する際に、第1の交流信号を、前記静電容量センサから前記第1センサ回路に入力すると共に、
前記第1の交流信号と同電圧および同電位の第2の交流信号を、前記静電容量センサから前記第1信号線に入力する、検出装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記制御部は、
前記第1センサ回路への前記第1の交流信号の入力と、前記第2センサ回路への前記第1の交流信号の入力を、順番に実施し、
前記制御部は、
前記第1センサ回路に前記第1の交流信号が入力されている際の前記ヒータの静電容量値と、前記第2センサ回路に前記第1の交流信号が入力されている際の前記ヒータの静電容量値のうちの少なくとも一方を用いて、前記ステアリングホイールの把持状態を判定する、検出装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか一項において、
前記制御部は、前記静電容量センサが取得した前記静電容量値の変化量と、閾値との比較により、前記ステアリングホイールの把持状態を判断する、検出装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6の何れか一項において、
前記制御部は、前記静電容量センサが取得した前記静電容量値と、閾値との比較により、前記ステアリングホイールの把持状態を判断する、検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールの把持状態を検出する機能を持つ検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗員情報検知装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6145569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の乗員情報検知装置では、ステアリングホイールに設けられたヒータ電極を利用して、乗員によるステアリングホイールの把持状態を検知する。
ステアリングホイールには、通電により発熱する複数のヒータ電極が設けられている。ステアリングホイールの加温時には、ヒータ電源から複数のヒータ電極に給電する。乗員によるステアリングホイールの把持状態を検知する際には、ヒータ電極への給電を止めたのち、2つのヒータ電極のうちの一方に第1信号を入力し、他方のヒータ電極から出力される第2信号に基づいて、図示しない制御装置が、乗員によるステアリングホイールの把持状態を検出する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで、ヒータ電極から出力される第2信号は、ステアリングホイールの静電容量を反映する。
ステアリングホイールが乗員により把持されているときの静電容量値は、ステアリングホイールが乗員により把持されていないときの静電容量値よりも高くなる。
特許文献1の乗員情報検知装置では、第2信号に応じて決まる静電容量値と、閾値との比較により、ステアリングホイールの把持状態を検知する。
【0006】
ステアリングホイールの静電容量値は、ステアリングホイールが加温状態であるときと、加温されていない非加温状態であるときでも異なる。ステアリングホイールが加温状態であるときは、電力供給源からステアリングホイールに電力が供給されているため、電力の供給に伴うステアリングホイールへの電荷の移動により、ステアリングホイールの静電容量値が低くなる。
【0007】
そのため、ステアリングホイールの加温中にステアリングホイールの把持状態を検出する場合には、加温に起因する電荷の影響を抑える必要がある。よって、把持状態の検出を行う度に、静電容量値の取得に先立ってステアリングホイールの加温を中断して、ステアリングホイールに移動した電荷が外部に抜けるようにする。
しかし、ステアリングホイールの加温を中断しても、静電容量値の取得(把持状態の検出)までの間に、ステアリングホイールから電荷が完全に抜けない場合がある。かかる場合には、取得された静電容量値が、ステアリングホイールに残留する電荷の影響で、本来得られるべき値からズレてしまう可能性がある。
そのため、ステアリングホイールの把持状態の判定において、ステアリングホイールの加温の有無が影響を及ぼす可能性がある。
【0008】
そこで、ステアリングホイールの把持状態の判定において、ステアリングホイールの加温の有無の影響を抑えることが求められている。
【0009】
本発明は、
車両のステアリングホイールに設けられたヒータと、
前記ヒータを、電源とグランドに接続する直列回路と、
前記直列回路において、前記ヒータと前記電源の間に設けられた電源側スイッチと、
前記直列回路において、前記ヒータと前記グランドの間に設けられたグランド側スイッチと、
前記ヒータの静電容量を検出する静電容量センサと、
前記静電容量センサを、前記直列回路における前記電源側スイッチと前記グランド側スイッチの間に接続するセンサ回路と、
前記電源側スイッチおよび前記グランド側スイッチを制御する制御部と、を有する検出装置であって、
前記制御部は、
前記ヒータの静電容量を検出する際の前記ヒータの非駆動期間とは別の非駆動期間に前記ヒータの静電容量を検出する場合には、前記ヒータの静電容量の検出に先立って、前記ヒータと前記グランドとの接続を遮断した状態で、前記ヒータと前記電源とを所定時間接続する、検出装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ステアリングホイールの把持状態の判定において、ステアリングホイールの加温の有無の影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】検出装置の概略構成を説明する図である。
図2】静電容量センサが検出する静電容量値におけるヒータの作動の有無の影響を説明する図である。
図3】ステアリングホイールの把持状態の判定処理フローチャートである。
図4】ステアリングホイールの把持状態の判定処理を実施する際のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る検出装置を、ステアリングホイールSWの加温機能と、ステアリングホイールSWの把持状態を判定する判定機能を持つ検出装置1に適用した場合を例に挙げて説明する。
図1は、実施形態に係る検出装置1の概略構成を説明する図である。
【0013】
検出装置1は、直流電源PSに接続された第1直列回路11と、グランドEGに接続された第2直列回路12と、を有する。第1直列回路11と第2直列回路12で、検出装置1の直列回路10を構成する。
第1直列回路11は、ヒータ線2の一端21と、直流電源PSとを接続する。
第2直列回路12は、ヒータ線2の他端22と、グランドEGとを接続する。
直列回路10において第1直列回路11は、ヒータ線2から見て直流電源PS側に位置する。
直列回路10において第2直列回路12は、ヒータ線2から見てグランドEG側に位置する。
ヒータ線2(ヒータ)は、直列回路10(第1直列回路11、第2直列回路12)を介して、直流電源PSとグランドEGに接続する。
【0014】
ヒータ線2は、通電により発熱する帯状部材である。ヒータ線2は、車両に搭載された操舵用のステアリングホイールSWの全周に亘って設けられている。ヒータ線2は、一例として、ステアリングホイールSWの表面を覆う被覆部材の内側に配置される。
直流電源PS(電源)は、例えば、車載のバッテリである。直流電源PSは、ヒータ線2に給電するための電力供給源である。
【0015】
第1直列回路11には、スイッチ51、52と、サーモスタットTSが設けられている。第1直列回路11では、直流電源PS側から、スイッチ51、スイッチ52、サーモスタットTSの順番で、スイッチ51と、スイッチ52と、サーモスタットTSとが直列に並んでいる。
スイッチ51、52は、ヒータ線2と直流電源PSの間に設けられた電源側スイッチである。
【0016】
第2直列回路12には、スイッチ53、54が設けられている。第2直列回路12では、ヒータ線2側から、スイッチ53、スイッチ54の順番で、スイッチ53とスイッチ54が直列に並んでいる。スイッチ53、54は、ヒータ線2とグランドEGの間に設けられたグランド側スイッチである。
【0017】
サーモスタットTSは、第1直列回路11において、ヒータ線2とスイッチ52との間に位置している。サーモスタットTSは、設定温度になると、ヒータ線2とスイッチ52との接続を遮断して、ヒータ線2への電力供給を遮断する。サーモスタットTSは、ヒータ線2の過熱を防止するために設けられている。
【0018】
スイッチ51、52、53、54は、ヒータ線2への給電/非給電の切り替えに用いられるスイッチである。
スイッチ51、52、53、54は、一例として、FET(Field effect transistor:電界効果トランジスタ)で構成される。
図1に示すように、本実施形態では、Nチャネル型MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)を、FETとして採用している。
【0019】
Nチャネル型MOSFETは、ゲート電極(G)に電圧を印加することで、ソース電極(S)とドレイン電極(D)の間に電流が流れてオンするトランジスタである。
Nチャネル型MOSFETは、ゲート電極(G)に印加される電圧(ゲート電圧)がHighレベルになるとオンし、Lowレベルになるとオフする。Nチャネル型MOSFETを用いる場合は、ドレイン電極(D)を直流電源PS側に配置し、ソース電極(S)をグランドEG側に配置する。
【0020】
なお、Nチャネル型MOSFETに代えて、Pチャネル型MOSFETを、FETとして採用してもよい。
Pチャネル型MOSFETは、ゲート電極(G)に印加される電圧(ゲート電圧)がLowレベルになるとオンし、Highレベルになるとオフするトランジスタである。
Pチャネル型MOSFETを用いる場合は、Nチャネル型MOSFETとは反対に、ソース電極(S)を直流電源PS側に配置し、ドレイン電極(D)をグランドEG側に配置することになる。
【0021】
スイッチ51、52、53、54のゲート電極(G)は、それぞれ、信号線91、92、93、94を介して、制御部7に接続されている。
制御部7は、たとえば、MCU(Micro Control Unit)等の、マイクロプロセッサおよびメモリ等を搭載した集積回路から構成される。
制御部7は、スイッチ51、52、53、54のオン/オフの切り替えを制御するスイッチ制御部71を有している。
【0022】
スイッチ制御部71は、電圧のレベルを変化させた制御信号(High信号、Low信号)を、信号線91、92、93、94を介して、各スイッチ51、52、53、54のゲート電極(G)に出力する。
【0023】
スイッチ51、52、53、54は、ゲート電極(G)に入力される制御信号が、High信号(Highレベル)である場合には「オン」すると共に、Low信号(Lowレベル)である場合には「オフ」する。
検出装置1では、制御部7が、各スイッチ51、52、53、54のオン/オフを切り替えることで、直流電源PSからヒータ線2への給電状態が切り替えられる。
例えば、総てのスイッチ51、52、53、54が「オン」になると、直流電源PSが、直列回路10とヒータ線2を介して、グランドEGに接続される。これにより、直流電源PSからヒータ線2に電力が供給されて、ヒータ線2が発熱する。
【0024】
このように、検出装置1では、スイッチ51、52と、サーモスタットTSと、ヒータ線2と、スイッチ53、54と、が直列回路10上で直列に並んでいる。スイッチ制御部71が出力する制御信号により、スイッチ51、52、53、54のオン/オフを切り替えることで、ヒータ線2への給電状態が制御される。ヒータ線2に給電されると、ヒータ線2が発熱して、ステアリングホイールSWが加温される。ヒータ線2への給電が停止すると、ヒータ線2の発熱が停止して、ステアリングホイールSWの加温が終了する。
【0025】
検出装置1は、センサ回路3(3A、3B)をさらに備えている。センサ回路3は、ステアリングホイールSWの把持状態を判定する判定機能を実現するために設けられている。
センサ回路3は、静電容量センサ30を有している。静電容量センサ30は、信号線311、312を介して、第1直列回路11に接続する経路(センサ回路3A:第1センサ回路)と、信号線321、322を介して、第2直列回路12に接続する経路(センサ回路3B:第2センサ回路)の、2つの経路を有する。
【0026】
信号線311は、静電容量センサ30と第1直列回路11とを接続する。第1直列回路11では、信号線311と第1直列回路11との接続点P11が、サーモスタットTSと、スイッチ52のソース電極(S)との間に位置している。なお、接続点P11は、ヒータ線2とスイッチ52との間に位置しているともいえる。静電容量センサ30は、信号線311と第1直列回路11を介して、ヒータ線2に接続している。
【0027】
信号線311には、インダクタンス素子L1と、抵抗素子R1および容量素子C1からなる並列回路が設けられている。信号線311においてインダクタンス素子L1は、並列回路と接続点P11との間に位置している。
これらインダクタンス素子L1と、抵抗素子R1および容量素子C1は、それぞれ、後記する交流信号Saの電磁ノイズを除去するために設けられている。交流信号Saは、後記する静電容量センサ30から、信号線311を介してヒータ線2に供給される。
【0028】
信号線312は、静電容量センサ30と第1直列回路11とを接続する。第1直列回路11では、信号線312と第1直列回路11との接続点P12が、スイッチ51のソース電極(S)とスイッチ52のドレイン電極(D)との間に位置している。
【0029】
信号線321は、静電容量センサ30と第2直列回路12とを接続する。第2直列回路12では、信号線321と第2直列回路12との接続点P21が、ヒータ線2と、スイッチ53のドレイン電極(D)との間に位置している。なお、接続点P21は、ヒータ線2とスイッチ53との間に位置しているともいえる。
静電容量センサ30は、信号線321と第2直列回路12を介して、ヒータ線2に接続している。
【0030】
信号線321には、インダクタンス素子L2と、抵抗素子R2および容量素子C2からなる並列回路が設けられている。信号線321においてインダクタンス素子L2は、並列回路と接続点P21との間に位置している。
これらインダクタンス素子L2と、抵抗素子R2および容量素子C2は、それぞれ、後記する交流信号Saの電磁ノイズを除去するために設けられている。交流信号Saは、後記する静電容量センサ30から、信号線321を介してヒータ線2に供給される。
【0031】
信号線322は、静電容量センサ30と第2直列回路12とを接続する。第2直列回路12では、信号線322と第2直列回路12との接続点P22は、スイッチ53のソース電極(S)と、スイッチ54のドレイン電極(D)との間に位置している。
【0032】
検出装置1の制御部7は、前記したスイッチ制御部71に加えて、センサ制御部72と、判定部73を、さらに有している。
【0033】
スイッチ制御部71は、ステアリングホイールSWを加温する際に、信号線91、92、93、94を介して、各スイッチ51、52、53、54のゲート電極(G)に、High信号を出力する。
これにより、総てのスイッチ51、52、53、54が「オン」になり、直流電源PSが、直列回路10とヒータ線2を介して、グランドEGに接続される。そうすると、直流電源PSからヒータ線2に電力が供給されて、ヒータ線2が発熱する。すなわち、ヒータが駆動状態になる。
【0034】
なお、スイッチ制御部71は、ステアリングホイールSWを加温しない間は、信号線91、92、93、94を介して、各スイッチ51、52、53、54のゲート電極(G)に、Low信号を出力する。
これにより、総てのスイッチ51、52、53、54が「オフ」になり、ヒータ線2と直流電源PSとの接続と、ヒータ線2とグランドEGとの接続が遮断される。この状態では、直流電源PSからヒータ線2に電力が供給されないので、ヒータ線2は発熱しない。すなわち、ヒータが非駆動状態になる。
【0035】
検出装置1では、ステアリングホイールSWの把持状態の判定処理が、所定の実施周期Ta毎(図4参照)に繰り返し実施される。
スイッチ制御部71は、ステアリングホイールSWを加温しているとき(ヒータの駆動期間)に、ステアリングホイールSWの把持状態の判定のタイミングになると、各スイッチ51、52、53、54のゲート電極(G)にLow信号を出力して、各スイッチ51、52、53、54を「オフ」にする。
これにより、ヒータ線2と直流電源PSとの接続と、ヒータ線2とグランドEGとの接続が遮断されて、直流電源PSからのヒータ線2への電力供給が遮断される。後記するステアリングホイールSWの把持状態の判定は、直流電源PSからヒータ線2に電力供給が行われていない状態で実施される。ヒータ線2への電力供給の遮断は、ステアリングホイールSWの把持状態の判定が実施される所定期間の間、継続される。ヒータ線2への電力供給は、ステアリングホイールSWの把持状態の判定が終了した後に、再開される。
【0036】
スイッチ制御部71は、ステアリングホイールSWを加温していないとき(ヒータの非駆動期間)に、ステアリングホイールSWの把持状態の判定を行う場合には、把持状態の判定に先だって、スイッチ51、52のオン/オフ操作を実施する。これにより、後記するステアリングホイールSWの把持状態の判定は、スイッチ51、52のオン/オフ操作に続いて、直流電源PSからヒータ線2に電力供給が行われていない状態で実施される。
なお、ここでいうヒータの非駆動期間は、ステアリングホイールSWの把持状態の判定のタイミングにおけるヒータの一時的な非駆動期間(停止期間)、すなわちヒータの静電容量を検出する際のヒータの非駆動期間とは別の非駆動期間である。
【0037】
センサ制御部72は、静電容量センサ30の動作を制御する。
具体的には、センサ制御部72は、静電容量センサ30からの交流信号Sa、Sbの出力を制御すると共に、静電容量センサ30によるヒータ線2の静電容量値の取得を制御する。
【0038】
静電容量センサ30は、センサ制御部72からの指示に基づいて、予め設定された実施周期Ta(図4参照)で、交流信号Sa(第1の交流信号)を信号線311、321に出力する。静電容量センサ30は、交流信号Saを出力する際に、交流信号Saと同電位かつ同電圧の交流信号Sb(第2の交流信号)を、信号線312、322に出力する。
【0039】
前記したように、検出装置1は、ヒータ線2に向けて交流信号Saを出力する経路を2つ有している。
ひとつの経路は、信号線311と第1直列回路11を介して、ヒータ線2の一端21に交流信号Saを入力する第1経路である。もうひとつの経路は、信号線321と第2直列回路12を介して、ヒータ線2の他端22に交流信号Saを入力する第2経路である。
【0040】
そのため、センサ制御部72は、ステアリングホイールSWの把持状態を検出する際に、信号線311を介したヒータ線2への交流信号Saの出力と、信号線321を介したヒータ線2への交流信号Saの出力を順番に実施する。
さらに、センサ制御部72は、信号線311を介してヒータ線2に交流信号Saを出力している間、信号線312に、交流信号Saと同電位かつ同電圧の交流信号Sbを出力する。
センサ制御部72は、信号線321を介してヒータ線2に交流信号Saを出力している間、信号線322に、交流信号Saと同電位かつ同電圧の交流信号Sbを出力する。
【0041】
静電容量センサ30は、信号線311、321を介してヒータ線2に交流信号Sa(交流電圧)を出力する。静電容量センサ30は、交流信号Saをヒータ線2に出力した際の電流値から、静電容量の大きさを示す静電容量値を取得する。静電容量センサ30は、取得した静電容量値を、制御部7に出力する。
【0042】
ここで、電流値と静電容量値との関係を、センサ回路3Aに交流信号Saを入力する場合を例に挙げて説明する。
例えば、静電容量センサ30から、センサ回路3Aを介してヒータ線2に交流信号Saを入力すると、ヒータ線2に電荷が送り込まれてセンサ回路3Aを電流が流れる。
電流は、単位時間当たりの電荷の変化量である。直流電源PSからのヒータ線2への電力供給が遮断された状態で、ヒータ線2に交流信号Saを入力すると、ヒータ線2に電荷が送り込まれることで、センサ回路3Aを電流が流れる。センサ回路3Aを流れる電流は、交流信号Saの入力開始の直後が最も多い。そして、ヒータ線2に電荷が溜まることで、電流が徐々に流れ難くなって、最終的に電流が止まる。静電容量センサ30は、ヒータ線2に交流信号Saを入力した際に流れる電流の最大値から、静電容量値を取得する。
【0043】
ヒータ線2の静電容量の大きさは、ヒータ線2に送り込むことができる電荷の量に比例する。そして、ヒータ線2に送り込むことができる電荷の量が多くなるほど、静電容量センサ30で検出される電流値が大きくなる結果、静電容量値も大きくなる。静電容量センサ30は、検出した電流値に応じて決まる静電容量値を、制御部7に出力する。
【0044】
判定部73は、ステアリングホイールSWの把持状態を判定する。
一例として、ステアリングホイールSWの把持状態には、ステアリングホイールSWが乗員により把持されている「把持状態」と、ステアリングホイールSWが乗員により把持されていない「非把持状態」がある。
【0045】
本実施形態では、ステアリングホイールSWの把持状態の判定に、ステアリングホイールSWに巻き掛けられたヒータ線2(ヒータ)の静電容量を用いている。
ヒータ線2に前記した交流信号Saが入力されると、ヒータ線2に電流が流れて電界が生じる。生じた電界に乗員の手が近づくと、電界が変化して、ヒータ線2の静電容量が変化する。
ステアリングホイールSWが把持されているときと把持されていないときで、静電容量値は異なる値となる。
【0046】
具体的には、乗員により把持されているステアリングホイールSWには、把持されていないステアリングホイールSWよりも多くの電荷を送り込むことができる。そのため、静電容量センサ30で検出される電流値(静電容量値)は、ステアリングホイールSWが把持されている場合の方が、ステアリングホイールSWが把持されていない場合よりも大きくなる。
【0047】
判定部73は、静電容量センサ30で取得した静電容量値Aと、閾値ThA(図2参照)とを比較する。
ここで、閾値ThAが、ステアリングホイールSWが把持されていないときの静電容量値A1よりも、静電容量値が大きい側に設定されている場合を例に挙げて説明する。
判定部73は、静電容量値Aが、閾値ThAを含んで、閾値ThAよりも静電容量値が大きい側に位置する場合(A≧ThA)、ステアリングホイールSWの状態が、「把持状態」であると判定する。
ここで、本明細書における「ステアリングホイールSWが把持状態であると判定する」とは、「ステアリングホイールSWの静電容量値が、ステアリングホイールSWが把持状態であるときの値を示す」ことを意味する。
また、判定部73は、静電容量値Aが、閾値ThAよりも静電容量値が小さい側に位置する場合(A<ThA)、ステアリングホイールSWの状態が、「非把持状態」であると判定する。
【0048】
判定部73は、ステアリングホイールSWの把持状態の判定結果を、検出装置1に接続された外部の機器に出力する。
なお、静電容量センサ30が取得したヒータ線2の電流値や静電容量値Aを、外部機器に出力して、外部機器側で、ステアリングホイールSWの状態を判定するようにしても良い。
【0049】
ここで、検出装置1では、2つの経路(センサ回路3A、センサ回路3B)を介して、静電容量センサ30がヒータ線2に接続されている。静電容量センサ30は、ヒータ線2の静電容量値を取得して、制御部7に出力する。
判定部73は、ステアリングホイールSWの把持状態の判定に、センサ回路3Aを介して取得した静電容量値と、センサ回路3Bを介して取得した静電容量値の少なくとも一方を用いる。
なお、センサ回路3Aを介して取得した静電容量値に基づく判定結果と、センサ回路3Bを介して取得した静電容量値に基づく判定結果と、が一致した場合に、一致した判定結果を採用するようにしても良い。かかる場合には、ステアリングホイールSWの把持状態の判定の精度が向上する。
【0050】
図2は、ヒータの作動の有無の静電容量センサ30が検出する静電容量値への影響を説明するタイムチャートである。ここで、ヒータの作動の有無は、ヒータ線2への電力供給の有無、ステアリングホイールSWの加温の有無に相当する。
図2では、所定の実施周期Taで取得される静電容量値Aが、時間軸(横軸)に並んでいる(図2、拡大図参照)。さらに、静電容量値Aを取得した期間におけるヒータの作動の有無と、ステアリングホイールSWの実際の把持の有無が、静電容量値Aの時間軸に合わせて示されている。
【0051】
図2の場合には、時刻Tv~Twまでの間と、時刻Tx~Tyまでの間、静電容量値Aが、閾値ThAよりも静電容量値が小さい側に位置している。そのため、判定部73が、ステアリングホイールSWの状態が「非把持状態」であると判定する。
さらに、時刻Tw~Txまでの間、静電容量値Aが、閾値ThAよりも静電容量値が大きい側に位置している。そのため、判定部73が、ステアリングホイールSWの状態が「把持状態」であると判定する。これらの判定は、ヒータがオフであるときの判定結果である。
【0052】
ここで、ステアリングホイールSWの加温の有無(ヒータ線2への電力供給の有無)が、検出される静電容量値に影響を及ぼす。具体的には、ステアリングホイールSWが加温されているときにヒータ線2に供給される電荷が、静電容量値に影響する。
そのため、ステアリングホイールの加温中(ヒータ線2への給電中)にステアリングホイールの把持状態を検出する場合には、加温の影響を抑えるために、把持状態の検出を行う度に、静電容量値の取得に先立って、ヒータ線2への電力供給を中断する。
しかし、ヒータ線2への電力供給を中断しても、静電容量値の取得(把持状態の検出)までの間に、ヒータ線2から電荷が完全に抜けない場合がある。かかる場合には、取得された静電容量値が、ヒータ線2に残留する電荷の影響で、本来得られるべき値からズレてしまう可能性がある。
【0053】
ヒータ線2に電荷が残留していると、静電容量センサ30からヒータ線2に送り込むことができる電荷の量が少なくなる。そうすると、静電容量センサ30が検出する電流値が小さくなって、検出される静電容量値が、小さくなる側にズレてしまう。
図2の場合には、時刻TzにおいてステアリングホイールSWの加温が開始されている。そのため、時刻Tyと時刻Tzの間は、ステアリングホイールSWが加温されていない状態で取得された静電容量値である。時刻Tz以降の静電容量値Aは、加温に起因する電荷がヒータ線2に残留している状態で取得された値である。
そのため、時刻Tz以降では、残留している電荷の分だけ流れる電流の量が少なくなって電流値が低くなる結果、取得される静電容量値Aもまた低下する(小さくなる)。そうすると、ステアリングホイールSWが把持されているにもかかわらず、取得した静電容量値Aが、閾値ThAよりも静電容量値が小さい側の値となる場合がある。かかる場合、ステアリングホイールSWが把持されているにもかかわらず、「非把持状態」であると判定されてしまう(図2、残留電荷の影響参照)。
【0054】
そのため、本実施形態では、ステアリングホイールSWの把持状態の判定において、ステアリングホイールSWの加温の有無の影響を抑制するために、以下の構成を採用している。
(a)ヒータが作動中でない場合(ステアリングホイールSWが加温されていない場合)には、ヒータ線2の静電容量の検出に先立って、ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断した状態で、ヒータ線2と直流電源PSとを所定時間Tx接続する(図4参照)。
【0055】
ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断した状態で、ヒータ線2と直流電源PSとを接続すると、直流電源PSからヒータ線2に向かう電荷の移動が生じて、ヒータ線2の静電容量が上昇する。すなわち、ステアリングホイールが加温されていない場合に、静電容量値の取得に先立って、ヒータを作動させずに、ヒータ線2に電荷を供給している。
【0056】
これにより、ステアリングホイールSWが加温されていない場合にも、ステアリングホイールSWが加温されている場合と同様に、ヒータ線2から電荷が抜けきらない状態で、静電容量値の取得が行われる。
すなわち、ステアリングホイールが加温されていない場合(ヒータの非駆動期間である場合)に、ヒータ線2の静電容量の検出前に、ヒータ線2の静電容量を、ステアリングホイールSWが加温されている場合(ヒータの駆動期間である場合)の静電容量に近づけるようにしている。
【0057】
これにより、ヒータが作動中である場合と、ヒータが作動中でない場合の何れにおいても、静電容量値を取得する際に、ヒータ線2に残留している電荷の影響を抑えることができる。これにより、1つの閾値、例えばThAを用いて、ステアリングホイールの把持状態の判定を実施しても、ステアリングホイールSWが把持されているにもかかわらず、「非把持状態」であると誤判定する可能性を低減できる。
【0058】
以下、検出装置1の動作を説明する。
図3は、検出装置1におけるステアリングホイールSWの把持状態の判定処理のフローチャートである。
図4は、ステアリングホイールSWの把持状態の判定処理を実施する際のタイミングチャートである。
【0059】
検出装置1では、あらかじめ決められた実施周期Taごとに、ステアリングホイールSWの把持状態を判定するための処理(判定処理)が実施される。
さらに、検出装置1では、判定処理の実施に先立って、ヒータの作動の有無が、あらかじめ決められた確認周期Tbで実施される。
図4に示すように、実施周期Taと確認周期Tbは、同じ周期である。検出装置1では、判定処理が開始される所定時間ΔT前に、ヒータの作動の有無が確認される。
【0060】
検出装置1では、ヒータの作動の有無を確認する確認周期Tbになると(ステップS101、Yes)、ヒータの作動の有無が確認される(ステップS102)。具体的には、スイッチ51~54の総てがオンであるか否かが確認される。
図4の場合には、時刻t1、t3、t5、t12、t16、t20において、ヒータの作動の有無が確認される。
一例として、スイッチ制御部71が、信号線91、92、93、94にHigh信号を出力しているか否かに基づいて、ヒータが作動しているか否かを確認する。信号線91、92、93、94にHigh信号が出力されている場合には、総てのスイッチ51、52、53、54がオンになるからである。
【0061】
総てのスイッチ51、52、53、54がオンである場合には、直流電源PSからヒータ線2に電力が供給されて、ヒータ線2が発熱する。このヒータ線2に電力が供給されている状態が、ヒータが作動している状態(ヒータ作動中:ヒータの駆動期間)である。
【0062】
ヒータが作動中でない場合(ステップS102、No)、センサ制御部72が、High信号を所定時間Txの間、信号線91、92に出力する(ステップS103)。これにより、所定時間Txの間、スイッチ51、52がオンされる。
図4の場合、時刻t1、t3、t5のタイミングは、ヒータが作動していない状態(ヒータの非駆動期間)である。そのため、時刻t1、t3、t5から所定時間Txの間、スイッチ51、52がオンされる。
【0063】
スイッチ51、52がオンされると、直流電源PSと、ヒータ線2とが、第1直列回路11を介して接続される。この状態では、スイッチ53、54がオフなので、直流電源PSからヒータ線2に電力は供給されない。すなわち、ヒータ線2は発熱しないものの、直流電源PSに接続されているので、ヒータ線2に電荷が供給されて、ヒータ線2の電位が、直流電源PSに近づく側に上昇する。
【0064】
そして、ステアリングホイールSWの把持状態の判定を実施するタイミング(判定処理の実施周期Ta)になると(ステップS104、Yes)、センサ制御部72が、静電容量センサ30から、センサ回路3Aの信号線311に、交流信号Saを出力させると共に、交流信号Saと同電圧かつ同電位の交流信号Sbを、信号線312に出力させる(ステップS105)。
これにより、ヒータ線2には、信号線311と第1直列回路11を介して交流信号Saが供給される。静電容量センサ30は、交流信号Saがヒータ線2に供給されている際のヒータ線2の静電容量値を取得する(ステップS106)。
【0065】
この際に、第1直列回路11には、スイッチ51とスイッチ52との間の信号線312との接続点P12に、交流信号Saと同電圧かつ同電位の交流信号Sbが供給される。
そうすると、直列回路10では、スイッチ52の直流電源PS側と、スイッチ52のヒータ線2側との電位差を抑える(電位差を略無くす)ことができる。これにより、スイッチ52の直流電源PS側から、スイッチ52のヒータ線2側への電磁ノイズの流入を抑制できるので、電磁ノイズが交流信号Saに流入して、静電容量センサ30によるヒータ線2の静電容量値の検出に影響が及ぶ可能性を低減させている。
【0066】
センサ制御部72は、静電容量値の取得が完了したか否かを確認する(ステップS107)。
上記したように、本実施形態では、静電容量センサ30が、2つの経路を用いて、ヒータ線2の静電容量値を取得する。
よって、センサ回路3A側での静電容量値の取得のみが完了している場合(ステップS107、No)、ステップS105の処理にリターンする。
これにより、新たに実施されるステップS105では、センサ制御部72が、静電容量センサ30から、センサ回路3Bの信号線321に、交流信号Saを出力させると共に、交流信号Saと同電圧かつ同電位の交流信号Sbを、信号線322に出力させる。
これにより、ヒータ線2には、信号線321と第2直列回路12を介して交流信号Saが供給される。静電容量センサ30は、交流信号Saがヒータ線2に供給されている際の電流値から、ヒータ線2の静電容量値を取得する(ステップS106)。
【0067】
図4の場合には、ステアリングホイールSWの把持状態の判定を実施するタイミングの時刻t2、t4、t6で、ヒータ線2の静電容量値Aが取得されることになる。
【0068】
センサ回路3A側での静電容量値の取得と、センサ回路3B側での静電容量値の取得が完了すると、ステップS107が肯定されて、ステップS108の処理に移行する。
ステップS108では、判定部73が、取得した静電容量値Aと、閾値ThAとを比較する。
【0069】
一例として、判定部73は、静電容量値Aが、閾値ThAを含んで、閾値ThAよりも大きい側の値である場合に(A≧ThA)、ステアリングホイールSWの状態が、「把持状態」であると判定する。
判定部73は、静電容量値Aが、閾値ThAよりも小さい側の値である場合に(A<ThA)、ステアリングホイールSWの状態が、「非把持状態」であると判定する。
そして、ステップS108の処理が終了すると、ステップS101の処理にリターンする。
【0070】
前記したステップS102において、ヒータが作動中である場合(ステップS102、Yes)、スイッチ制御部71が、ステアリングホイールSWの把持状態の判定を実施するタイミングから、所定時間前の段階で、各スイッチ51、52、53、54をオフにする(ステップS109)
具体的には、スイッチ制御部71が、信号線91、92、93、94を介して各スイッチ51、52、53、54に入力する制御信号を、High信号からLow信号に切り替える。
【0071】
図4の場合、時刻t13、t17、t21のタイミングでは、スイッチ51、52、53、54がオンであり、ヒータが作動している。
そのため、スイッチ制御部71が、時刻t13、t17、t21の時点で、各スイッチ51、52、53、54に入力する制御信号を、High信号からLow信号に切り替える。これにより、ステアリングホイールSWの把持状態の判定を実施するタイミングまでの間に、ヒータ線2への電力の供給が遮断される。
図4の場合、時刻t14、t18、t22までの間に、ヒータ線2への電力の供給が遮断されて、ヒータがオフになっている。
【0072】
そして、ステアリングホイールSWの把持状態の判定を実施するタイミング(判定処理の実施周期Ta)になると(ステップS110、Yes)、センサ制御部72が、静電容量センサ30から、センサ回路3Aの信号線311に、交流信号Saを出力させると共に、交流信号Saと同電圧かつ同電位の交流信号Sbを、信号線312に出力させる(ステップS111)。
これにより、ヒータ線2には、信号線311と第1直列回路11を介して交流信号Saが供給される。静電容量センサ30は、交流信号Saがヒータ線2に供給されている際の電流値から、ヒータ線2の静電容量値を取得する(ステップS112)。
【0073】
センサ制御部72は、静電容量値の取得が完了したか否かを確認する(ステップS113)。
例えば、センサ回路3A側での静電容量値の取得のみが完了している場合(ステップS113、No)、ステップS111の処理にリターンする。
これにより、新たに実施されるステップS111では、センサ制御部72が、静電容量センサ30から、センサ回路3Bの信号線321に、交流信号Saを出力させると共に、交流信号Saと同電圧かつ同電位の交流信号Sbを、信号線322に出力させる。
これにより、ヒータ線2には、信号線321と第2直列回路12を介して交流信号Saが供給される。静電容量センサ30は、交流信号Saがヒータ線2に供給されている際のヒータ線2の電流値から、静電容量値を取得する(ステップS112)。
【0074】
図4の場合には、ステアリングホイールSWの把持状態の判定を実施するタイミングの時刻t14、t18、t22で、ヒータ線2の静電容量値が取得されることになる。
【0075】
センサ回路3A側での静電容量値の取得と、センサ回路3B側での静電容量値の取得が完了すると、ステップS113が肯定されてステップS114の処理に移行する。
ステップS114では、スイッチ制御部71が、信号線91、92、93、94を介して各スイッチ51、52、53、54に入力する制御信号を、Low信号からHigh信号に切り替えて、各スイッチ51、52、53、54をオンにする(ステップS114)。
これにより、各スイッチ51、52、53、54がオンにされた時刻t15、t19、t23以降、ヒータ線2への電力供給が再開されて、ステアリングホイールSWの加温が再開される。
【0076】
ヒータ線2への電力供給を再開すると、判定部73が、ステップS112で取得した静電容量値Aと、閾値ThAとを比較して、ステアリングホイールSWの状態を判定する(ステップS108)。そして、ステップS108の処理が終了すると、ステップS101の処理にリターンする。
【0077】
ここで、ヒータが駆動されているヒータの駆動期間に、ヒータ線2への電力供給を止めてヒータ線2の静電容量を検出する場合と、ヒータの非駆動期間(ヒータの駆動期間にヒータの静電容量を検出する際のヒータの非駆動期間とは別の非駆動期間)に、ヒータ線2の静電容量を検出する場合では、静電容量センサ30で検出されるヒータ線2の静電容量値は、異なる値となる。
上記したように、ヒータ線2の静電容量値は、ヒータ線2に残留している電荷の量の影響を受ける。ヒータ線2に電力を供給しているときは、ヒータ線2に供給される電荷の量が多いため、ヒータ線2に電力を供給している状態で静電容量値を検出すると、検出される静電容量値が低くなってしまう。
【0078】
そのため、ステアリングホイールの加温中(ヒータ線2への給電中)にステアリングホイールの把持状態を検出する場合には、加温の影響を抑えるために、把持状態の検出を行う度に、静電容量値の取得に先立って、ヒータ線2への電力供給を中断する。
しかし、ヒータ線2への電力供給を中断しても、把持状態の検出までの間に、ヒータ線2から電荷が完全に抜けない場合がある。かかる場合に取得される静電容量値は、ステアリングホイールを加温していないとき(ヒータ線2に給電していないとき)に取得される静電容量値よりも、小さくなる。
【0079】
そうすると、ステアリングホイールを加温していないとき(ヒータ線2に給電していないとき)に取得される静電容量値と、ステアリングホイールを加温しているとき(ヒータ線2に給電しているとき)に取得される静電容量値との間に、ヒータ線2に残留する電荷の影響で、ズレが生じる可能性がある。
【0080】
かかる場合に、取得した静電容量値Aと閾値ThAとの比較により、ステアリングホイールSWの把持状態を判定すると、取得される静電容量値のズレに起因して、把持状態の判定を誤る可能性がある。
【0081】
そのため、ヒータの非駆動時に、ヒータ線2の静電容量を検出する場合には、ヒータ線2の静電容量値の検出に先立って、ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断した状態で、ヒータ線2と直流電源PSとを所定時間Tx接続する。これにより、ヒータ線2と直流電源PSとの間での電荷の移動が生じて、ヒータ線2の静電容量値が、直流電源PSから電力が供給されているときの静電容量値に近づく方向に変化する。
これにより、ヒータが駆動されていないときに取得した静電容量値と、ヒータが駆動されているときに取得した静電容量値とのズレを抑えることができる。ヒータが駆動されていないときに取得した静電容量値と、ヒータが駆動されているときに取得した静電容量値とのズレが大きいと、ステアリングホイールSWが把持されているにもかかわらず、「非把持状態」と誤って判定する可能性がある。ズレ量を抑えることができるので、かかる事態の発生を好適に抑制できる。
【0082】
前記した実施形態では、判定部73が、取得した静電容量値Aと閾値ThAとを比較して、ステアリングホイールSWの状態を判定する場合を例示した。
ステアリングホイールSWが乗員に把持されていないときの静電容量値(基準値As)からの変化量ΔA(=A-As)と、閾値ThBとを比較して、ステアリングホイールSWの状態を判定するようにしても良い。
例えば判定部73は、静電容量センサ30が検出した静電容量値Aと基準値Asとの差、すなわち、基準値Asからの変化量ΔAが閾値ThB以上である場合(ΔA≧ThB)に、ステアリングホイールSWが「把持状態」であると判定することができる。
なお、前記した基準値As、閾値ThA、ThBは、実験やシミュレーションを通じて予め設定してメモリに記憶させおいても良い。また、閾値ThA、ThBは、湿度、温度などの環境の変化等に応じて適宜変更するようにしても良い。
【0083】
前記した実施形態では、ヒータ線2と直流電源PSの間のスイッチ(電源側スイッチ)と、ヒータ線2とグランドEG側のスイッチ(グランド側スイッチ)が、それぞれ2つずつである場合を例示した。電源側スイッチとグランド側スイッチの総数は、それぞれ3つ以上であっても良い。
また、ヒータ線2に電力を供給していないヒータの非駆動時にヒータ線2の静電容量を検出する場合に、総てのグランド側スイッチをオフにして、ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断する場合を例示した。グランド側スイッチが複数ある場合には、少なくとも1つのグランド側スイッチをオフにするようにしても良い。少なくとも1つのグランド側スイッチをオフにすることで、ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断できる。
【0084】
以上の通り、実施形態に係る検出装置1は、以下の構成を有している。
(1)検出装置1は、
車両のステアリングホイールSWに設けられたヒータ線2(ヒータ)と、
ヒータ線2を、直流電源PS(電源)とグランドEGに接続する直列回路10と、
直列回路10において、ヒータ線2と直流電源PSの間に設けられたスイッチ51、52(電源側スイッチ)と、
直列回路10において、ヒータ線2とグランドEGの間に設けられたスイッチ53、54(グランド側スイッチ)と、
ヒータ線2の静電容量を検出する静電容量センサ30と、
静電容量センサ30を、直列回路10におけるスイッチ52(電源側スイッチ)とスイッチ53(グランド側スイッチ)の間に接続するセンサ回路3と、
スイッチ51、52(電源側スイッチ)およびスイッチ53、54(グランド側スイッチ)を制御する制御部7と、を有する。
制御部7は、ヒータ線2に電力を供給しているときにヒータの静電容量を検出するためにヒータ線2への電力供給を一時的に停止するヒータの非駆動期間とは別の非駆動期間にヒータ線2の静電容量を検出する場合には、ヒータ線2の静電容量の検出に先立って、ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断した状態で、ヒータ線2と直流電源PSとを所定時間接続する。
【0085】
ヒータの駆動時に、ヒータ線2への電力供給を止めてヒータ線2の静電容量を検出する場合と、ヒータの非駆動時に、ヒータ線2の静電容量を検出する場合では、静電容量センサ30で検出されるヒータ線2の静電容量は、異なる値となる場合がある。
これは、ヒータ線2への電力供給を中断しても、静電容量値の取得までの間に、ヒータ線2から電荷が完全に抜けない場合があり、かかる場合には、取得された静電容量値が、ヒータ線2に残留する電荷の影響で、本来得られるべき値からズレてしまう可能性があるためである。
ヒータが駆動されていないときに取得した静電容量値と、ヒータが駆動されているときに取得した静電容量値とのズレが大きいと、ステアリングホイールSWが把持されているにもかかわらず、「非把持状態」と誤って判定する可能性がある。
【0086】
上記のように、ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断した状態で、ヒータ線2と直流電源PSとが接続されると、ヒータ線2と直流電源PSとの間での電荷の移動が生じて、ヒータ線2の静電容量値が、直流電源PSから電力が供給されているときの静電容量値に近づく方向に変化する。
これにより、ヒータが駆動されていないときに取得した静電容量値と、ヒータが駆動されているときに取得した静電容量値とのズレを抑えることができる。ヒータが駆動されていないときに取得した静電容量値と、ヒータが駆動されているときに取得した静電容量値とのズレが大きいと、ステアリングホイールSWが把持されているにもかかわらず、「非把持状態」と誤って判定する可能性があるが、上記の通り、ズレ量を抑えることができるので、かかる事態の発生を好適に抑制できる。これにより、ステアリングホイールの把持状態の判定において、ステアリングホイールの加温の有無の影響を抑えることができる。
【0087】
(i)制御部7は、ヒータの駆動時に、直流電源PSとヒータ線2とグランドEGとを接続してヒータ線2に電力を供給する。
制御部7は、ヒータ線2の静電容量を検出する際に、スイッチ51、52、53、54をオフにして、ヒータ線2と直流電源PSとの接続と、ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断した状態で、交流信号Sa(第1の交流信号)を、センサ回路3からヒータ線2に入力する。
制御部7は、交流信号Saが入力されているヒータ線2の静電容量値を、静電容量センサ30を介して取得する。
【0088】
このように構成すると、ステアリングホイールSWに巻き掛けられたヒータ線2を、ステアリングホイールSWの加温と、ステアリングホイールSWの把持の検出の両方で、用いることができる。
【0089】
(2)グランド側スイッチは、直列回路10の第2直列回路12上で直列に並んだ複数のスイッチ53、54から構成される。
制御部7は、
第2直列回路12上で直列に並んだ複数のスイッチ53、54の少なくとも1つをオフにして、ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断する。
【0090】
グランド側スイッチの少なくとも1つをオフにすることで、ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断できるので、ヒータ線2の静電容量の検出に先立って、ヒータ線2とグランドEGとの接続を速やかに遮断できる。
これにより、ステアリングホイールSWの把持状態の判定の実施周期Taに影響を及ぼすことなく、ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断した状態で、ヒータ線2と直流電源PSとを所定時間接続できる。
【0091】
(3)グランド側スイッチは、スイッチ53(第2グランド側スイッチ)と、スイッチ54(第1グランド側スイッチ)と、を有している。
制御部7は、スイッチ53と、スイッチ54のうちの少なくとも一方をオフにして、ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断する。
【0092】
このように構成すると、ヒータ線2の静電容量の検出に先立って、ヒータ線2とグランドEGとの接続を速やかに遮断できる。
これにより、ステアリングホイールSWの把持状態の判定の実施周期Taに影響を及ぼすことなく、ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断した状態で、ヒータ線2と直流電源PSとを所定時間接続できる。
【0093】
(4)直列回路10においてスイッチ54とスイッチ53は、グランドEG側から、スイッチ54、スイッチ53の順番で設けられている。
センサ回路3は、
直列回路10におけるスイッチ53とヒータ線2との間に接続するセンサ回路3B(第2センサ回路)、と、
直列回路10におけるスイッチ53とスイッチ54との間に接続する信号線322(第2信号線)と、を有している。
制御部7は、
ヒータ線2の静電容量を検出する際に、交流信号Sa(第1の交流信号)を静電容量センサ30からセンサ回路3B(第2センサ回路)に入力すると共に、交流信号Saと同電圧および同電位の交流信号Sb(第2の交流信号)を、静電容量センサ30から信号線322に入力する。
【0094】
このように構成すると、スイッチ53とスイッチ54との間に接続する信号線322を介して、交流信号Saと同電圧および同電位の交流信号Sbが、直列回路10に入力される。そうすると、直列回路10では、スイッチ53のグランドEG側と、スイッチ53のヒータ線2側との電位差を抑える(電位差を略無くす)ことができる。これにより、スイッチ53のグランドEG側から、スイッチ53のヒータ線2側への電磁ノイズの流入を抑制できるので、電磁ノイズが交流信号Saに流入して、静電容量センサ30によるヒータ線2の静電容量値の検出に影響が及ぶ可能性を低減できる。
【0095】
(5)電源側スイッチは、スイッチ51(第1電源側スイッチ)と、スイッチ52(第2電源側スイッチ)と、を有している。
直列回路10においてスイッチ51とスイッチ52は、直流電源PS側から、スイッチ51、スイッチ52の順番で設けられている。
センサ回路3は、
直列回路10におけるスイッチ52とヒータ線2との間に接続するセンサ回路3A(第1センサ回路)と、
直列回路10におけるスイッチ51とスイッチ52との間に接続する信号線312(第1信号線)と、を有している。
制御部7は、
ヒータ線2の静電容量を検出する際に、交流信号Sa(第1の交流信号)を、静電容量センサ30からセンサ回路3A(第1センサ回路)に入力すると共に、交流信号Saと同電圧および同電位の交流信号Sb(第2の交流信号)を、静電容量センサ30から信号線312に入力する。
【0096】
交流信号Saをセンサ回路3Aを介して、直列回路10に出力する際には、スイッチ51~54をオフにして、直列回路10における各スイッチ51~54の上流側と下流側との間に、電流が流れないようにする。
ここで、FETで構成されたスイッチ51~54は、ダイオードを含んでいる。そして、FETから構成されたスイッチ51~54では、僅かな漏れ電流が発生する。
そのため、ダイオードや漏れ電流に起因する電磁ノイズが、交流信号Saに流入する可能性がある。電磁ノイズが交流信号Saに流入すると、静電容量センサ30によるヒータ線2の静電容量値の検出に影響が及ぶ可能性がある。
【0097】
上記のように構成すると、スイッチ51とスイッチ52との間に接続する信号線312を介して、交流信号Saと同電圧および同電位の交流信号Sbが、直列回路10に入力される。そうすると、直列回路10では、スイッチ52の直流電源PS側と、スイッチ52のヒータ線2側との電位差を抑える(電位差を略無くす)ことができる。これにより、スイッチ52の直流電源PS側から、スイッチ52のヒータ線2側への電磁ノイズの流入を抑制できるので、電磁ノイズが交流信号Saに流入して、静電容量センサ30によるヒータ線2の静電容量値の検出に影響が及ぶ可能性を低減できる。
【0098】
(6)制御部7は、
センサ回路3A(第1センサ回路)への交流信号Sa(第1の交流信号)の入力と、センサ回路3B(第2センサ回路)への交流信号Sa(第1の交流信号)の入力を順番に実施する。
制御部7は、
センサ回路3Aに交流信号Saが入力されている際のヒータ線2(ヒータ)の静電容量値と、センサ回路3Bに交流信号Saが入力されている際のヒータ線2(ヒータ)の静電容量値のうちの少なくとも一方を用いて、ステアリングホイールSWの把持状態を判定する。
【0099】
例えば、センサ回路3Aに交流信号Saが入力されている際のヒータ線2(ヒータ)の静電容量値と、センサ回路3Bに交流信号Saが入力されている際のヒータ線2(ヒータ)の静電容量値の両方を用いてステアリングホイールSWの把持状態を判定すると、一方の静電容量値を用いて、ステアリングホイールSWの把持状態が判定する場合に比べて、ステアリングホイールSWの把持状態の判定精度が向上する。
さらに、ステアリングホイールSWの把持状態を検出する回路を2系統有しているので、ステアリングホイールSWの把持状態の判定における冗長性を確保できる。
【0100】
(7)静電容量センサ30は、交流信号Saを直列回路10に入力しているときのヒータ線2の静電容量値を取得する。
制御部7は、静電容量センサ30が取得した静電容量値の変化量ΔAと、閾値ThBとの比較により、ステアリングホイールSWの把持状態を判断する。
【0101】
上記のように、ヒータ線2とグランドEGとの接続を遮断した状態で、ヒータ線2と直流電源PSとが接続されると、ヒータ線2と直流電源PSとの間での電荷の移動が生じて、ヒータ線2の静電容量が、直流電源PSから電力が供給されているときの静電容量値に近づく方向に変化する。
これにより、ヒータが駆動されていないときに取得した静電容量値と、ヒータが駆動されているときに取得した静電容量値とのズレを抑えることができる。ヒータが駆動されていないときに取得した静電容量値と、ヒータが駆動されているときに取得した静電容量値とのズレが大きいと、ステアリングホイールSWが把持されているにもかかわらず、「非把持状態」と誤って判定する可能性があるが、上記の通り、ズレ量を抑えることができるので、かかる事態の発生を好適に抑制できる。
【0102】
(8)静電容量センサ30は、交流信号Saを直列回路10に入力しているときのヒータ線2の静電容量値を取得する。
制御部7は、静電容量センサ30が取得した静電容量値Aと、閾値ThAとの比較により、ステアリングホイールSWの把持状態を判断する。
【0103】
このように構成すると、ヒータが駆動されていないときに取得した静電容量値と、ヒータが駆動されているときに取得した静電容量値とのズレを抑えることができる。ヒータが駆動されていないときに取得した静電容量値と、ヒータが駆動されているときに取得した静電容量値とのズレが大きいと、ステアリングホイールSWが把持されているにもかかわらず、「非把持状態」と誤って判定する可能性があるが、上記の通り、ズレ量を抑えることができるので、かかる事態の発生を好適に抑制できる。
【0104】
(ii)直列回路10は、ヒータ線2からみて直流電源PS側の第1直列回路11と、ヒータ線2からみてグランドEG側の第2直列回路12と、を有している。
第1直列回路11においてスイッチ51とスイッチ52(電源側スイッチ)は、直流電源PS側から、スイッチ51、スイッチ52の順番で設けられている。
第2直列回路12においてスイッチ54とスイッチ53(グランド側スイッチ)は、グランドEG側から、スイッチ54、スイッチ53の順番で設けられている。
センサ回路3は、
静電容量センサ30と第1直列回路11とを接続するセンサ回路3A(第1センサ回路)と、
静電容量センサ30と第2直列回路12とを接続するセンサ回路3B(第2センサ回路)と、を有している。
静電容量センサ30は、センサ回路3Aを介して、第1直列回路11におけるスイッチ52とヒータ線2との間に接続する。
静電容量センサ30は、信号線312(第1信号線)を介して、第1直列回路11におけるスイッチ51とスイッチ52との間に接続している。
静電容量センサ30は、センサ回路3Bを介して、第2直列回路12におけるスイッチ53とヒータ線2との間に接続する。
静電容量センサ30は、信号線322(第2信号線)を介して、第2直列回路12におけるスイッチ54とスイッチ53との間に接続している。
制御部7は、
ヒータ線2の静電容量を検出する際に、交流信号Saをセンサ回路3Aから第1直列回路11に入力すると共に、交流信号Saと同電圧および同電位の交流信号Sbを、信号線312から第1直列回路11に入力する。
制御部7は、
ヒータ線2の静電容量を検出する際に、交流信号Saをセンサ回路3Bから第2直列回路12に入力すると共に、交流信号Saと同電圧および同電位の交流信号Sbを、信号線322から第2直列回路12に入力する。
【0105】
このように構成すると、センサ回路3Aと第1直列回路11を用いた静電容量の検出と、センサ回路3Bと第2直列回路12を用いた静電容量の検出を行うことができる。これにより、2系統で、静電容量の検出を行うことができるので、静電容量の検出精度の向上が期待できる。
【0106】
(iii)スイッチ51、52、53、54は、ゲートGに入力される制御信号の電圧に応じて動作するFETを用いて構成される。
制御部7は、
ヒータ線2の静電容量を検出する際に、交流信号Saをセンサ回路3(3A、3B)から直列回路10(第1直列回路11、第2直列回路12)に入力すると共に、交流信号Saと同電圧および同電位の交流信号Sbを、信号線(信号線312:第1信号線、信号線322:第2信号線)から直列回路10(第1直列回路11、第2直列回路12)に入力する。
【0107】
このように構成すると、直列回路10では、スイッチ52の直流電源PS側と、スイッチ52のヒータ線2側との電位差を抑えることができる。さらに、スイッチ53のグランドEG側と、スイッチ53のヒータ線2側との電位差を抑えることができる。
これにより、スイッチ52の直流電源PS側や、スイッチ53のグランドEG側から、ヒータ線2側への電磁ノイズの流入を抑制できるので、電磁ノイズが交流信号Saに流入して、静電容量センサ30によるヒータ線2の静電容量値の検出に影響が及ぶ可能性を低減できる。
【0108】
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、本発明は、これらのものに限定されるものではなく、発明の技術的な思想の範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 検出装置
2 ヒータ線(ヒータ)
3 センサ回路
3A 第1センサ回路
3B 第2センサ回路
7 制御部
10 直列回路
11 第1直列回路
12 第2直列回路
51 スイッチ(電源側スイッチ:第1電源側スイッチ)
52 スイッチ(電源側スイッチ:第2電源側スイッチ)
53 スイッチ(グランド側スイッチ:第2グランド側スイッチ)
54 スイッチ(グランド側スイッチ:第1グランド側スイッチ)
312 信号線(第1信号線)
322 信号線(第2信号線)
Sa 交流信号(第1の交流信号)
Sb 交流信号(第2の交流信号)
PS 直流電源(電源)
EG グランド
図1
図2
図3
図4