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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181048
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
H01L21/304 651H
H01L21/304 651G
H01L21/304 648L
H01L21/304 648A
H01L21/304 648G
H01L21/304 651K
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152834
(22)【出願日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2022094117
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】山本 滋
(72)【発明者】
【氏名】岩田 敬次
(72)【発明者】
【氏名】西野 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】枝光 建治
(72)【発明者】
【氏名】川井 侑哉
(72)【発明者】
【氏名】合田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 大樹
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB34
5F157AC03
5F157AC24
5F157BB05
5F157BB09
5F157CB14
5F157CB28
5F157CE10
5F157CE51
5F157CE62
5F157CF04
5F157CF22
5F157CF42
5F157CF44
5F157DB32
5F157DB33
5F157DB36
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】パーティクルの付着を防止することが可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、処理槽2と、処理槽2を囲うチャンバ3と、チャンバ3内に設けられ、かつ処理槽2よりも高い位置に配置された溶剤蒸気ノズル31,32と、処理槽2の上面よりも低い位置に配置された排気口47からチャンバ3内を排気する排気ポンプ51と、所定間隔を空けて鉛直姿勢で対向するように一列に整列配置された複数の基板Wを保持する保持部材7および、保持部材7の基端部7Bを支持する背板9を有する基板保持部5であって、チャンバ3内でかつ処理槽2内の位置H2と処理槽2の上方の位置H1とに亘って移動可能な基板保持部5と、基板保持部5が処理槽2の上方の位置H1にある状態で、複数の基板Wのうちの背板9から最も離れた先端基板WTと、保持部材7の先端部7A側が対向するチャンバ3の側壁3Aとの間に設けられた遮蔽板71とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を貯留する処理槽と、
前記処理槽を囲うチャンバと、
前記チャンバ内に設けられると共に前記処理槽よりも高い位置に配置された溶剤蒸気ノズルであって、前記チャンバ内に溶剤蒸気を供給する前記溶剤蒸気ノズルと、
前記処理槽の上面よりも低い位置に配置された排気口から前記チャンバ内を排気する排気ポンプと、
所定間隔を空けて鉛直姿勢で対向するように一列に整列配置された複数の基板を保持する保持部材および、前記保持部材の基端部を支持する背板を有する基板保持部であって、前記チャンバ内でかつ前記処理槽内の位置と前記処理槽の上方の位置とに亘って移動可能な前記基板保持部と、
前記基板保持部が前記処理槽の上方の位置にある状態で、前記複数の基板のうちの前記背板から最も離れた先端基板と、前記保持部材の先端部側が対向する前記チャンバの側壁との間に設けられた遮蔽板と、を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記溶剤蒸気ノズルは、前記チャンバ内で水平に直線状に延びる管部と、前記管部に設けられると共に管軸に沿って配置された複数の吐出口とを備え、
前記溶剤蒸気ノズルは、更に、前記複数の吐出口の上流の前記管部に設けられ、前記遮蔽板と前記チャンバの前記側壁との間に対応する領域に配置された液排出口を備え、
前記複数の吐出口は各々、前記チャンバ内に前記溶剤蒸気を吐出し、
前記液排出口は、前記溶剤蒸気が結露して生じた溶剤を前記遮蔽板と前記チャンバの前記側壁との間の領域に排出することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置において、
前記液排出口は、前記複数の吐出口とは異なる方向を向いていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記遮蔽板の上端は、前記先端基板の上端よりも高い位置に配置されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記遮蔽板の上端は、前記チャンバの天井面に到達するように配置されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記チャンバ内に設けられると共に前記処理槽よりも高い位置に配置された撥水剤蒸気ノズルであって、前記チャンバ内に撥水剤蒸気を供給する前記撥水剤蒸気ノズルを更に備え、
前記撥水剤蒸気ノズルは、前記チャンバ内で水平に直線状に延びる第2管部と、前記第2管部に設けられると共に管軸に沿って配置された複数の第2吐出口とを備え、
前記撥水剤蒸気ノズルは、更に、前記複数の第2吐出口の上流の前記第2管部に設けられ、前記遮蔽板と前記チャンバの前記側壁との間に対応する領域に配置された第2液排出口を備え、
前記複数の第2吐出口は各々、前記チャンバ内に前記撥水剤蒸気を吐出し、
前記第2液排出口は、前記撥水剤蒸気が結露して生じた撥水剤を前記遮蔽板と前記チャンバの前記側壁との間の領域に排出することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記遮蔽板は、前記処理槽に取り付けられていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記遮蔽板は、前記保持部材で保持されたダミー基板であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理装置において、
前記複数の基板を水平姿勢で収納するキャリアを載置するキャリア載置棚と、
前記ダミー基板を収納するダミー基板用キャリアと、
前記複数の基板を搬送し、また、前記ダミー基板を搬送する水平基板搬送機構と、
水平姿勢と鉛直姿勢との間で前記複数の基板および前記ダミー基板を姿勢変換する姿勢変換機構と、
鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を搬送するバッチ基板搬送機構と、
を更に備え、
前記水平基板搬送機構は、前記キャリア載置棚に載置された前記キャリアから前記姿勢変換機構に前記複数の基板を搬送し、また、前記ダミー基板用キャリアから前記姿勢変換機構に前記ダミー基板を搬送し、
前記姿勢変換機構は、前記水平基板搬送機構で搬送された前記複数の基板および前記ダミー基板を水平姿勢から鉛直姿勢に変換し、
前記バッチ基板搬送機構は、鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記姿勢変換機構から搬送し、
前記基板保持部は、鉛直姿勢の前記複数の基板を保持すると共に、前記複数の基板のうちの前記背板から最も離れた先端基板と、前記保持部材の先端部側が対向する前記チャンバの側壁との間に位置するように前記ダミー基板を保持し、
前記基板保持部は、前記複数の基板と前記ダミー基板とを保持した状態で前記処理槽内の位置と前記処理槽の上方の位置とに亘って移動し、
前記バッチ基板搬送機構は、前記処理槽で処理された鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記基板保持部から前記姿勢変換機構に搬送し、
前記姿勢変換機構は、前記バッチ基板搬送機構で搬送された前記複数の基板および前記ダミー基板を鉛直姿勢から水平姿勢に変換し、
前記水平基板搬送機構は、前記姿勢変換機構から前記キャリア載置棚に載置された前記キャリアに水平姿勢の前記複数の基板を戻し、また、前記姿勢変換機構から前記ダミー基板用キャリアに水平姿勢の前記ダミー基板を戻すことを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の基板処理装置において、
複数のキャリアを保管する保管棚と、
前記保管棚に保管された任意のキャリアを前記キャリア載置棚に搬送するキャリア搬送機構と、を更に備え、
前記ダミー基板用キャリアは、前記保管棚に予め保管されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
請求項8に記載の基板処理装置において、
前記複数の基板を水平姿勢で収納するキャリアを載置するキャリア載置棚と、
前記ダミー基板を収納するダミー基板用キャリアと、
前記複数の基板を搬送し、また、前記ダミー基板を搬送する水平基板搬送機構と、
水平姿勢と鉛直姿勢との間で前記複数の基板および前記ダミー基板を姿勢変換する姿勢変換機構と、
鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を搬送するバッチ基板搬送機構と、
前記キャリアに収納される基板の有無を検出する基板検出センサ部と、を更に備え、
を更に備え、
前記保持部材は、一列に整列された、前記複数の基板を保持する複数の保持溝を備え、
前記複数の保持溝は、前記保持部材の先端部側の最も端に位置する先端保持溝を有し、
前記基板検出センサ部は、前記キャリア載置棚に載置された前記キャリアに対して上下方向に移動しながら、前記キャリアに収納される基板の有無を検出し、
前記水平基板搬送機構は、前記キャリア載置棚に載置された前記キャリアから前記姿勢変換機構に前記複数の基板を搬送し、
前記基板検出センサ部が前記先端保持溝に対応する対応基板が前記キャリアに無いことを検出したときは、前記水平基板搬送機構は、前記姿勢変換機構に搬送された前記複数の基板の列の前記対応基板が無い部分に前記ダミー基板用キャリアから前記ダミー基板を搬送し、
前記姿勢変換機構は、前記水平基板搬送機構で搬送された前記複数の基板および前記ダミー基板を水平姿勢から鉛直姿勢に変換し、
前記バッチ基板搬送機構は、鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記姿勢変換機構から搬送し、
前記基板保持部は、前記保持部材の前記複数の保持溝で鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記バッチ基板搬送機構から受け取り、
前記バッチ基板搬送機構は、前記処理槽で処理された鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記基板保持部から前記姿勢変換機構に搬送し、
前記姿勢変換機構は、前記バッチ基板搬送機構で搬送された前記複数の基板および前記ダミー基板を鉛直姿勢から水平姿勢に変換し、
前記水平基板搬送機構は、前記姿勢変換機構から前記キャリア載置棚に載置された前記キャリアに水平姿勢の前記複数の基板を戻し、また、前記姿勢変換機構から前記ダミー基板用キャリアに水平姿勢の前記ダミー基板を戻すことを特徴とする基板処理装置。
【請求項12】
請求項8に記載の基板処理装置において、
2枚以上の基板からなる第1基板群の水平姿勢で収納する第1キャリアを載置するキャリア載置棚と、
前記ダミー基板を収納するダミー基板用キャリアと、
前記第1基板群を搬送し、2枚以上からなる第2基板群を搬送し、また、前記ダミー基板を搬送する水平基板搬送機構と、
水平姿勢と鉛直姿勢との間で前記第1基板群、前記第2基板群および前記ダミー基板を姿勢変換し、また、前記第1基板群と前記第2基板群とを組み合わせて鉛直姿勢の前記複数の基板を形成する姿勢変換機構と、
鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を搬送するバッチ基板搬送機構と、
前記第1キャリアに収納される基板の有無を検出する基板検出センサ部と、
を更に備え、
前記保持部材は、一列に整列された、前記複数の基板を保持する複数の保持溝を備え、
前記複数の保持溝は、前記保持部材の先端部側の最も端に位置する先端保持溝を有し、
前記基板検出センサ部は、前記キャリア載置棚に載置された前記第1キャリアに対して上下方向に移動しながら、前記第1キャリアに収納される基板の有無を検出し、
前記基板検出センサ部は、前記キャリア載置棚に載置された、前記第2基板群を水平姿勢で収納する第2キャリアに対して上下方向に移動しながら、前記第2キャリアに収納される基板の有無を検出し、
前記水平基板搬送機構は、前記キャリア載置棚に載置された前記第1キャリアから前記姿勢変換機構に前記第1基板群を搬送し、
前記水平基板搬送機構は、前記キャリア載置棚に載置された前記第2キャリアから前記姿勢変換機構に前記第2基板群を搬送し、
前記基板検出センサ部が、前記先端保持溝に対応する対応基板が前記第1キャリアまたは前記第2キャリアに無いことを検出したときは、前記水平基板搬送機構は、前記姿勢変換機構に搬送された前記第1基板群または前記第2基板群の列の前記対応基板が無い部分に前記ダミー基板用キャリアから前記ダミー基板を搬送し、
前記姿勢変換機構は、前記第1基板群、前記第2基板群および前記ダミー基板を水平姿勢から鉛直姿勢に変換し、また、前記第1基板群と前記第2基板群とを組み合わせて鉛直姿勢の前記複数の基板を形成し、
前記バッチ基板搬送機構は、鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記姿勢変換機構から搬送し、
前記基板保持部は、前記保持部材の前記複数の保持溝で鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記バッチ基板搬送機構から受け取り、
前記バッチ基板搬送機構は、前記処理槽で処理された鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記基板保持部から前記姿勢変換機構に搬送し、
前記姿勢変換機構は、前記バッチ基板搬送機構で搬送された前記複数の基板を前記第1基板群と前記第2基板群とに分け、また、前記第1基板群、前記第2基板群および前記ダミー基板を鉛直姿勢から垂直姿勢に変換し、
前記水平基板搬送機構は、前記姿勢変換機構から前記キャリア載置棚に載置された前記第1キャリアに水平姿勢の前記第1基板群を戻し、前記姿勢変換機構から前記キャリア載置棚に載置された前記第2キャリアに水平姿勢の前記第2基板群を戻し、また、前記姿勢変換機構から前記ダミー基板用キャリアに水平姿勢の前記ダミー基板を戻すことを特徴とする基板処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の基板処理装置において、
前記複数の基板は、前記第1基板群の基板と前記第2基板群の基板とが1枚ずつ交互に配置されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項14】
請求項11から13のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記先端基板は、前記チャンバの前記側壁を向いていることを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理するための基板処理装置に関する。基板は、例えば、半導体基板、FPD(Flat Panel Display)用の基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが挙げられる。FPDは、例えば、液晶表示装置、有機EL(electroluminescence)表示装置などが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
従来の基板処理装置は、鉛直姿勢の複数の基板を保持する基板保持部と、純水を貯留し、基板保持部で保持された複数の基板を収容する処理槽と、処理槽を囲うチャンバと、チャンバ内に溶剤蒸気を供給する溶剤蒸気ノズルと、チャンバ内を排気する排気ポンプと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
なお、特許文献2の基板処理装置は、外槽内に設けられた遮蔽部材(板状部材)を備える。この遮蔽部材は、ドライエアの露点を低く保つために外槽上でドライエアが多量の水分を含むことを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-070148号公報
【特許文献2】特開2006-278736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の基板処理装置は、特定の基板で多くのパーティクルが付着するという問題を有する。例えば、チャンバ内において、複数の基板が処理槽の上方に位置する時に、排気ポンプによりチャンバ下部に設けられた排気口を介してチャンバ内を排気するとする。この場合、基板保持部の保持部材の先端部側で気流が悪くなり、それにより、雰囲気が滞留しやすくなる。その結果、雰囲気に混在するパーティクルが基板に付着する場合がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、パーティクルの付着を防止することが可能な基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る基板処理装置は、処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽を囲うチャンバと、前記チャンバ内に設けられると共に前記処理槽よりも高い位置に配置された溶剤蒸気ノズルであって、前記チャンバ内に溶剤蒸気を供給する前記溶剤蒸気ノズルと、前記処理槽の上面よりも低い位置に配置された排気口から前記チャンバ内を排気する排気ポンプと、所定間隔を空けて鉛直姿勢で対向するように一列に整列配置された複数の基板を保持する保持部材および、前記保持部材の基端部を支持する背板を有する基板保持部であって、前記チャンバ内でかつ前記処理槽内の位置と前記処理槽の上方の位置とに亘って移動可能な前記基板保持部と、前記基板保持部が前記処理槽の上方の位置にある状態で、前記複数の基板のうちの前記背板から最も離れた先端基板と、前記保持部材の先端部側が対向する前記チャンバの側壁との間に設けられた遮蔽板と、を備えるものである。
【0008】
本発明に係る基板処理装置によれば、遮蔽板が設けられていることで、保持部材の先端部側で滞留した雰囲気に混在するパーティクルから基板を保護する。また、先端基板と遮蔽板との間で気体の流れを改善させることができる。これらにより、パーティクルが基板(先端基板)に付着することを防止することができる。
【0009】
また、上述の基板処理装置は、前記溶剤蒸気ノズルは、前記チャンバ内で水平に直線状に延びる管部と、前記管部に設けられると共に管軸に沿って配置された複数の吐出口とを備え、前記溶剤蒸気ノズルは、更に、前記複数の吐出口の上流の前記管部に設けられ、前記遮蔽板と前記チャンバの前記側壁との間に対応する領域に配置された液排出口を備え、前記複数の吐出口は各々、前記チャンバ内に前記溶剤蒸気を吐出し、前記液排出口は、前記溶剤蒸気が結露して生じた溶剤を前記遮蔽板と前記チャンバの前記側壁との間の領域に排出することが好ましい。
【0010】
従来の基板処理装置は、溶剤の液体(液滴)が基板に付着し、その液体がパーティクルの原因になるおそれがある問題を有する。すなわち、溶剤蒸気ノズルの上流側で配管温度の低下により溶剤蒸気が結露し、溶剤蒸気ノズルの上流側の所定の吐出口から、結露した溶剤の液体が例えばミスト状に吐出される場合がある。ミスト状の溶剤が基板に付着すると、付着した溶剤の液体がパーティクルの原因になるおそれがある。
【0011】
本発明によれば、溶剤蒸気ノズルの上流側で結露して生じた溶剤の液体が、複数の吐出口の上流の管部に設けられた液排出口から排出される。液排出口は、遮蔽板とチャンバの保持部材の先端部側の側壁との間に対応する領域に配置される。そのため、液排出口から排出された溶剤の液体が基板(先端基板)に付着することを防止できる。そのため、パーティクルが基板に付着することを防止できる。また、複数の吐出口のうちの所定の吐出口から溶剤の液体が基板に供給されることを防止できる。そのため、複数の吐出口の全てから溶剤蒸気を供給することができる。
【0012】
また、上述の基板処理装置において、前記液排出口は、前記複数の吐出口とは異なる方向を向いていることが好ましい。結露した溶剤の液体をパーティクル付着の問題などの基板に影響がない方向に向けることができる。
【0013】
また、上述の基板処理装置において、前記遮蔽板の上端は、前記先端基板の上端よりも高い位置に配置されることが好ましい。溶剤蒸気ノズルの液排出口から吐出されたミスト状の溶剤が、先端基板の上端よりも高い遮蔽板を乗り越えて複数の基板に向かうことを防止できる。
【0014】
また、上述の基板処理装置において、前記遮蔽板の上端は、前記チャンバの天井面に到達するように配置されることが好ましい。溶剤蒸気ノズルの液排出口から吐出されたミスト状の溶剤が、チャンバの天井面に到達する遮蔽板を乗り越えて複数の基板に向かうことを防止できる。
【0015】
また、上述の基板処理装置は、前記チャンバ内に設けられると共に前記処理槽よりも高い位置に配置された撥水剤蒸気ノズルであって、前記チャンバ内に撥水剤蒸気を供給する前記撥水剤蒸気ノズルを更に備え、前記撥水剤蒸気ノズルは、前記チャンバ内で水平に直線状に延びる第2管部と、前記第2管部に設けられると共に管軸に沿って配置された複数の第2吐出口とを備え、前記撥水剤蒸気ノズルは、更に、前記複数の第2吐出口の上流の前記第2管部に設けられ、前記遮蔽板と前記チャンバの前記側壁との間に対応する領域に配置された第2液排出口を備え、前記複数の第2吐出口は各々、前記チャンバ内に前記撥水剤蒸気を吐出し、前記第2液排出口は、前記撥水剤蒸気が結露して生じた撥水剤を前記遮蔽板と前記チャンバの前記側壁との間の領域に排出することが好ましい。
【0016】
撥水剤蒸気ノズルの上流側で結露して生じた撥水剤の液体が、複数の第2吐出口の上流の第2管部に設けられた第2液排出口から排出される。第2液排出口は、遮蔽板とチャンバの保持部材の先端部側の側壁との間に対応する領域に配置される。そのため、第2液排出口から排出された撥水剤の液体が基板(先端基板)に付着することを防止できる。そのため、パーティクルが基板に付着することを防止できる。また、複数の第2吐出口のうちの所定の第2吐出口から撥水剤の液体が基板に供給されることを防止できる。そのため、複数の第2吐出口の全てから撥水剤蒸気を供給することができる。
【0017】
また、上述の基板処理装置において、前記遮蔽板は、前記処理槽に取り付けられていることが好ましい。処理槽に取り付けられた遮蔽板によって、パーティクルが基板(先端基板)に付着することを防止することができる。
【0018】
また、上述の基板処理装置において、前記遮蔽板は、前記保持部材で保持されたダミー基板であることが好ましい。遮蔽板としてのダミー基板が設けられていることで、保持部材の先端部側で滞留した雰囲気に混在するパーティクルから基板を保護する。また、先端基板とダミー基板との間で気体の流れを改善させることができる。これらにより、パーティクルが基板(先端基板)に付着することを防止することができる。
【0019】
また、上述の基板処理装置において、前記複数の基板を水平姿勢で収納するキャリアを載置するキャリア載置棚と、前記ダミー基板を収納するダミー基板用キャリアと、前記複数の基板を搬送し、また、前記ダミー基板を搬送する水平基板搬送機構と、水平姿勢と鉛直姿勢との間で前記複数の基板および前記ダミー基板を姿勢変換する姿勢変換機構と、鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を搬送するバッチ基板搬送機構と、を更に備え、前記水平基板搬送機構は、前記キャリア載置棚に載置された前記キャリアから前記姿勢変換機構に前記複数の基板を搬送し、また、前記ダミー基板用キャリアから前記姿勢変換機構に前記ダミー基板を搬送し、前記姿勢変換機構は、前記水平基板搬送機構で搬送された前記複数の基板および前記ダミー基板を水平姿勢から鉛直姿勢に変換し、前記バッチ基板搬送機構は、鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記姿勢変換機構から搬送し、前記基板保持部は、鉛直姿勢の前記複数の基板を保持すると共に、前記複数の基板のうちの前記背板から最も離れた先端基板と、前記保持部材の先端部側が対向する前記チャンバの側壁との間に位置するように前記ダミー基板を保持し、前記基板保持部は、前記複数の基板と前記ダミー基板とを保持した状態で前記処理槽内の位置と前記処理槽の上方の位置とに亘って移動し、前記バッチ基板搬送機構は、前記処理槽で処理された鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記基板保持部から前記姿勢変換機構に搬送し、前記姿勢変換機構は、前記バッチ基板搬送機構で搬送された前記複数の基板および前記ダミー基板を鉛直姿勢から水平姿勢に変換し、前記水平基板搬送機構は、前記姿勢変換機構から前記キャリア載置棚に載置された前記キャリアに水平姿勢の前記複数の基板を戻し、また、前記姿勢変換機構から前記ダミー基板用キャリアに水平姿勢の前記ダミー基板を戻すことが好ましい。
【0020】
基板保持部は、鉛直姿勢の複数の基板を保持すると共に、複数の基板のうちの先端基板とチャンバの側壁との間に位置するようにダミー基板を保持する。そのため、パーティクルが先端基板に付着することを防止することができる。また、基板処理装置は、ダミー基板用キャリアを備え、ダミー基板用キャリアは、遮蔽用のダミー基板を収納する。ダミー基板は、処理槽で一括して処理される複数の基板毎に加えられる。そして、処理槽で処理された後、ダミー基板は、複数の基板とは別に、ダミー基板用キャリアに戻される。そのため、処理槽を囲うチャンバ内に遮蔽板を常設することなく、パーティクルが先端基板に付着することを防止することができる。
【0021】
また、上述の基板処理装置において、複数のキャリアを保管する保管棚と、前記保管棚に保管された任意のキャリアを前記キャリア載置棚に搬送するキャリア搬送機構と、を更に備え、前記ダミー基板用キャリアは、前記保管棚に予め保管されていることが好ましい。ダミー基板用キャリアは、予め保管されている保管棚からキャリア載置棚にキャリア搬送機構によって搬送される。水平基板搬送機構は、キャリア載置棚に載置されたダミー基板用キャリアからダミー基板を搬送することができる。
【0022】
また、上述の基板処理装置において、前記複数の基板を水平姿勢で収納するキャリアを載置するキャリア載置棚と、前記ダミー基板を収納するダミー基板用キャリアと、前記複数の基板を搬送し、また、前記ダミー基板を搬送する水平基板搬送機構と、水平姿勢と鉛直姿勢との間で前記複数の基板および前記ダミー基板を姿勢変換する姿勢変換機構と、鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を搬送するバッチ基板搬送機構と、前記キャリアに収納される基板の有無を検出する基板検出センサ部と、を更に備え、を更に備え、前記保持部材は、一列に整列された、前記複数の基板を保持する複数の保持溝を備え、前記複数の保持溝は、前記保持部材の先端部側の最も端に位置する先端保持溝を有し、前記基板検出センサ部は、前記キャリア載置棚に載置された前記キャリアに対して上下方向に移動しながら、前記キャリアに収納される基板の有無を検出し、前記水平基板搬送機構は、前記キャリア載置棚に載置された前記キャリアから前記姿勢変換機構に前記複数の基板を搬送し、前記基板検出センサ部が前記先端保持溝に対応する対応基板が前記キャリアに無いことを検出したときは、前記水平基板搬送機構は、前記姿勢変換機構に搬送された前記複数の基板の列の前記対応基板が無い部分に前記ダミー基板用キャリアから前記ダミー基板を搬送し、前記姿勢変換機構は、前記水平基板搬送機構で搬送された前記複数の基板および前記ダミー基板を水平姿勢から鉛直姿勢に変換し、前記バッチ基板搬送機構は、鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記姿勢変換機構から搬送し、前記基板保持部は、前記保持部材の前記複数の保持溝で鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記バッチ基板搬送機構から受け取り、前記バッチ基板搬送機構は、前記処理槽で処理された鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記基板保持部から前記姿勢変換機構に搬送し、前記姿勢変換機構は、前記バッチ基板搬送機構で搬送された前記複数の基板および前記ダミー基板を鉛直姿勢から水平姿勢に変換し、前記水平基板搬送機構は、前記姿勢変換機構から前記キャリア載置棚に載置された前記キャリアに水平姿勢の前記複数の基板を戻し、また、前記姿勢変換機構から前記ダミー基板用キャリアに水平姿勢の前記ダミー基板を戻すことが好ましい。
【0023】
基板保持部の保持部材の複数の保持溝は、保持部材の先端部側の最も端に位置する先端保持溝を有する。基板検出センサ部が先端保持溝に対応する対応基板がキャリアに無いことを検出したときは、水平基板搬送機構は、姿勢変換機構に搬送された複数の基板の列の対応基板がない部分にダミー基板を搬送する。これにより、先端基板と、保持部材の先端部側が対向するチャンバの側壁との間にダミー基板を自動的に配置することができる。また、基板処理装置は、ダミー基板用キャリアを備え、ダミー基板用キャリアは、遮蔽用のダミー基板を収納する。ダミー基板は、処理槽で一括して処理される複数の基板に選択的に加えられる。そして、処理槽で処理された後、ダミー基板は、複数の基板とは別に、ダミー基板用キャリアに戻される。そのため、処理槽を囲うチャンバ内に遮蔽板を常設することなく、パーティクルが先端基板に付着することを防止することができる。
【0024】
また、上述の基板処理装置において、2枚以上の基板からなる第1基板群の水平姿勢で収納する第1キャリアを載置するキャリア載置棚と、前記ダミー基板を収納するダミー基板用キャリアと、前記第1基板群を搬送し、2枚以上からなる第2基板群を搬送し、また、前記ダミー基板を搬送する水平基板搬送機構と、水平姿勢と鉛直姿勢との間で前記第1基板群、前記第2基板群および前記ダミー基板を姿勢変換し、また、前記第1基板群と前記第2基板群とを組み合わせて鉛直姿勢の前記複数の基板を形成する姿勢変換機構と、鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を搬送するバッチ基板搬送機構と、前記第1キャリアに収納される基板の有無を検出する基板検出センサ部と、を更に備え、前記保持部材は、一列に整列された、前記複数の基板を保持する複数の保持溝を備え、前記複数の保持溝は、前記保持部材の先端部側の最も端に位置する先端保持溝を有し、前記基板検出センサ部は、前記キャリア載置棚に載置された前記第1キャリアに対して上下方向に移動しながら、前記第1キャリアに収納される基板の有無を検出し、前記基板検出センサ部は、前記キャリア載置棚に載置された、前記第2基板群を水平姿勢で収納する第2キャリアに対して上下方向に移動しながら、前記第2キャリアに収納される基板の有無を検出し、前記水平基板搬送機構は、前記キャリア載置棚に載置された前記第1キャリアから前記姿勢変換機構に前記第1基板群を搬送し、前記水平基板搬送機構は、前記キャリア載置棚に載置された前記第2キャリアから前記姿勢変換機構に前記第2基板群を搬送し、前記基板検出センサ部が、前記先端保持溝に対応する対応基板が前記第1キャリアまたは前記第2キャリアに無いことを検出したときは、前記水平基板搬送機構は、前記姿勢変換機構に搬送された前記第1基板群または前記第2基板群の列の前記対応基板が無い部分に前記ダミー基板用キャリアから前記ダミー基板を搬送し、前記姿勢変換機構は、前記第1基板群、前記第2基板群および前記ダミー基板を水平姿勢から鉛直姿勢に変換し、また、前記第1基板群と前記第2基板群とを組み合わせて鉛直姿勢の前記複数の基板を形成し、前記バッチ基板搬送機構は、鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記姿勢変換機構から搬送し、前記基板保持部は、前記保持部材の前記複数の保持溝で鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記バッチ基板搬送機構から受け取り、前記バッチ基板搬送機構は、前記処理槽で処理された鉛直姿勢の前記複数の基板および前記ダミー基板を前記基板保持部から前記姿勢変換機構に搬送し、前記姿勢変換機構は、前記バッチ基板搬送機構で搬送された前記複数の基板を前記第1基板群と前記第2基板群とに分け、また、前記第1基板群、前記第2基板群および前記ダミー基板を鉛直姿勢から垂直姿勢に変換し、前記水平基板搬送機構は、前記姿勢変換機構から前記キャリア載置棚に載置された前記第1キャリアに水平姿勢の前記第1基板群を戻し、前記姿勢変換機構から前記キャリア載置棚に載置された前記第2キャリアに水平姿勢の前記第2基板群を戻し、また、前記姿勢変換機構から前記ダミー基板用キャリアに水平姿勢の前記ダミー基板を戻すことが好ましい。
【0025】
基板保持部の保持部材の複数の保持溝は、保持部材の先端部側の最も端に位置する先端保持溝を有する。基板検出センサ部が先端保持溝に対応する対応基板が第1キャリアまたは第2キャリアに無いことを検出したときは、水平基板搬送機構は、姿勢変換機構に搬送された第1基板群または第2基板群の列の対応基板がない部分にダミー基板を搬送する。これにより、先端基板と、保持部材の先端部側が対向するチャンバの側壁との間にダミー基板を自動的に配置することができる。また、基板処理装置は、ダミー基板用キャリアを備え、ダミー基板用キャリアは、遮蔽用のダミー基板を収納する。ダミー基板は、処理槽で一括して処理される複数の基板に選択的に加えられる。そして、処理槽で処理された後、ダミー基板は、複数の基板とは別に、ダミー基板用キャリアに戻される。そのため、処理槽を囲うチャンバ内に遮蔽板を常設することなく、パーティクルが先端基板に付着することを防止することができる。
【0026】
また、上述の基板処理装置において、前記複数の基板は、前記第1基板群の基板と前記第2基板群の基板とが1枚ずつ交互に配置されていることが好ましい。複数の基板は、第1基板群の基板と第2基板群の基板とが1枚ずつ交互に配置されている場合において、パーティクルが基板(先端基板)に付着することを防止することができる。
【0027】
また、上述の基板処理装置において、前記先端基板は、前記チャンバの前記側壁を向いていることが好ましい。先端基板がチャンバの側壁を向いている場合において、パーティクルが基板(先端基板)に付着することを防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る基板処理装置によれば、パーティクルの付着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施例1に係る基板処理装置の正面の概略構成を示す縦断面図である。
図2】(a)は、リフタの基板保持部を示す左側面図であり、(b)は、(a)の平面図である。
図3】基板処理装置の左側面の概略構成を示す縦断面図である。
図4】(a)は、複数の基板を図示しないときの基板処理装置の左側面の概略構成を示す縦断面図であり、(b)は、溶剤蒸気ノズル(撥水剤蒸気ノズル)を示す図である。
図5】基板処理装置の正面の概略構成を示す縦断面図である。
図6】基板処理装置の動作を説明するための図である。
図7】基板処理装置の課題を説明するための図である。
図8】(a)~(c)は、基板処理装置の課題を説明するための図である。
図9】実施例2に係る洗浄処理部の左側面の概略構成を示す縦断面図である。
図10】実施例2に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
図11】基板ハンドリング機構の側面図である。
図12】(a)~(f)は、姿勢変換機構(姿勢変換部およびプッシャ機構)の構成および動作を説明するための側面図である。
図13】(a)は、実施例2に係るリフタの基板保持部を示す左側面図であり、(b)は、(a)の平面図である。
図14】実施例2の基板処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図15】実施例3に係る洗浄処理部の左側面の概略構成を示す縦断面図である。
図16】(a)は、オープナの構成を示す側面図であり、(b)は、基板検出センサの検出状態を示す平面図である。
図17】実施例3の基板処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図18】(a)~(f)は、実施例3に係る姿勢変換機構の動作を説明するための側面図である。
図19】リフタの基板保持部を示す左側面図である。
図20】(a)~(f)は、実施例4に係る姿勢変換機構の動作を説明するための側面図である。
図21】(a)は、変形例に係る遮蔽板を説明するための左側面図であり、(b)は、(a)の矢印の方向に見た図である。
図22】変形例に係る溶剤蒸気ノズル(撥水剤蒸気ノズル)を示す図である。
図23】変形例に係るダミー基板を説明するための左側面図である。
【実施例0030】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。図1は、実施例1に係る基板処理装置1の正面の概略構成を示す縦断面図である。図2(a)は、リフタ4の基板保持部5を示す左側面図である。図2(b)は、図2(a)の平面図である。
【0031】
<1.基板処理装置1の構成>
図1を参照する。基板処理装置1は、複数の基板Wを一括して処理する装置である。基板処理装置1は、処理液を貯留する処理槽2と、処理槽2を囲うチャンバ3と、リフタ4とを備える。処理槽2は、略鉛直姿勢とされた複数の基板Wを収容可能に構成される。処理槽2は、チャンバ3内の側面および底面から離れて配置される。
【0032】
リフタ4は、複数の基板Wを保持する基板保持部5と、基板保持部5を上下方向(Z方向)に昇降させる昇降機構6とを備える。昇降機構6は、処理槽2の上方でかつチャンバ3内の「乾燥位置H1」と、処理槽2の内部の「処理位置H2」との間で、基板Wを昇降させることが可能である。図1では、基板保持部5は、チャンバ3内でかつ処理槽2の上方の乾燥位置H1に位置する。昇降機構6は、基板保持部5を昇降させるために、電動モータまたはエアシリンダを備える。
【0033】
基板保持部5は、3つの保持部材7と背板9を備える。保持部材7は、図2(a)、図2(b)に示すように、水平方向(Y方向)に直線状に延びるように形成される。保持部材7は、所定間隔を空けて略鉛直姿勢で対向するように一列に整列配置された複数(例えば50枚)の基板Wを保持する。言い換えると、保持部材7は、水平方向に延びるY軸に沿って一列に配置された複数の基板Wを保持する。保持部材7は、略鉛直姿勢の複数の基板Wを保持する。複数の基板Wは、互いに平行に配置される。保持部材7は、所定のピッチ(例えば5mm(ハーフピッチ))でY方向に並んで形成された複数(例えば50個)の溝部を有する。
【0034】
50個の溝はそれぞれ、スロット(slot)1~50と呼ばれる。図2(a)および、後述する図8(a)~図8(c)において、例えば、スロット1を「SL1」と示し、スロット49を「SL49」と示す。背板9に最も近い溝は、スロット1である。背板9から離れるほど、スロット2、スロット3およびスロット4のように、スロットの番号が増えていく。そして、背板9から最も離れた溝は、スロット50である。例えば50枚の基板Wを50個の溝部に収めることで、保持部材7は、50枚の基板Wを保持することができる。
【0035】
なお、図1図2(b)に示すように、基板保持部5は、3つの保持部材7を有する。この点、基板保持部5は、1つ又は複数の保持部材7を有していればよい。
【0036】
背板9は、3つの保持部材7の基端部7Bを支持する。すなわち、3つの保持部材7は、背板9の下端部に連結される。例えば図2(a)の矢印AR1に示すように、背板9側から複数の基板Wを見たときに、背板9は、例えば、各基板Wを覆うように形成される。なお、3つの保持部材7の先端部7Aは、連結部材11で連結される(図2(b)参照)。
【0037】
図1に戻る。処理槽2内の底部には、処理槽2内に処理液を供給する2本の噴出管13が設けられる。各噴出管13は、複数の基板Wが整列されるY方向に沿って直線状に形成される。各噴出管13は、Y方向(管軸)に並ぶ複数の吐出口(図示しない)を有する。
【0038】
処理液配管15は、2本の噴出管13と処理液供給源17とを結ぶ。処理液供給源17は、処理液として純水を処理液配管15に送る。純水として、例えば脱イオン水(DIW:Deionized Water)が用いられる。処理液配管15には、開閉弁V1が設けられる。開閉弁V1は、純水の供給およびその停止を行う。開閉弁V1が開状態のとき、2本の噴出管13から処理槽2に純水が供給される。また、開閉弁V1が閉状態のとき、2本の噴出管13からの純水の供給が停止される。
【0039】
また、2本の噴出管13と開閉弁V1の間の処理液配管15には、処理液配管19の先端が接続される。処理液配管19の基端は、第2処理液供給源21に接続される。第2処理液供給源21は、純水(例えばDIW)で希釈されたイソプロピルアルコール液(以下、「希釈IPA液」と呼ぶ)を処理液配管19に送る。開閉弁V2は、処理液配管19に設けられる。開閉弁V2は、希釈IPA液の供給およびその停止を行う。2つの開閉弁V1,V2により、各噴出管13から純水と希釈IPA液との一方が選択的に供給される。
【0040】
処理槽2の底部には、処理槽2内の処理液をチャンバ3内の底面に放出するQDR弁(開閉弁)23が設けられている。QDR弁23を開状態にすると、処理槽2内の処理液がチャンバ3内の底面に急速放出される。QDR弁23を閉状態にすると、処理槽2に処理液を貯留することができる。
【0041】
チャンバ3は、処理槽2を収容する。チャンバ3は、その上面に開閉自在の上部カバー25を備えている。上部カバー25が閉じているとき、上部カバー25はチャンバ3の天井壁として機能する。
【0042】
チャンバ3内には、2本の不活性ガスノズル27、4本の溶剤蒸気ノズル31,32および2本の撥水剤蒸気ノズル33が設けられる。8本のノズル27,31,32,33は、処理槽2(または処理槽2の上面)よりも高い位置に配置される。また、2本の不活性ガスノズル27、2本の溶剤蒸気ノズル31、2本の溶剤蒸気ノズル32および2本の撥水剤蒸気ノズル33は、この順番で上から配置される。
【0043】
また、基板保持部5が乾燥位置H1に位置するときに、各基板Wの上端付近の高さには、2本の溶剤蒸気ノズル31が配置される。また、各基板Wの中心付近の高さには、2本の溶剤蒸気ノズル32が配置される。更に、各基板Wの下端付近の高さには、2本の撥水剤蒸気ノズル33が配置される。
【0044】
2本の不活性ガスノズル27は各々、チャンバ3内に不活性ガスを供給する。各不活性ガスノズル27には、供給管35の先端が接続される。供給管35の基端は、不活性ガス供給源37に接続される。不活性ガス供給源37は、不活性ガスとして例えば窒素ガスを供給管35に送る。供給管35には、開閉弁V4が設けられる。開閉弁V4は、不活性ガスの供給およびその停止を行う。
【0045】
2本の不活性ガスノズル27は、複数の基板Wの移動経路RTを挟み込むように水平に配置される。各不活性ガスノズル27は、水平(Y方向)に直線状に延びる管部27Aを備えている(後述する図4(a)参照)。管部27Aには、管軸(Y方向)に沿って複数の吐出口27Bが形成される。
【0046】
4本の溶剤蒸気ノズル31,32は各々、チャンバ3内に溶剤蒸気を供給する。各溶剤蒸気ノズル31,32には、供給管39の先端が接続される。供給管39の基端は、溶剤蒸気供給源41に接続される。溶剤蒸気供給源41は、溶剤蒸気として例えばイソプロピルアルコール蒸気(以下「IPA蒸気」と呼ぶ)を供給管39に送る。溶剤蒸気は、ヒータによって溶剤の液体を蒸発させて生成される。溶剤蒸気は、キャリアガスとして不活性ガス(窒素ガス)を含んでいてもよい。供給管39には、開閉弁V5が設けられる。開閉弁V5は、溶剤蒸気の供給およびその停止を行う。
【0047】
2本の溶剤蒸気ノズル31は、複数の基板Wの移動経路RTを挟み込むように水平に配置される。同様に、2本の溶剤蒸気ノズル32は、複数の基板Wの移動経路RTを挟み込むように水平に配置される。4本の溶剤蒸気ノズル31,32の更なる構成は後述する。
【0048】
2本の撥水剤蒸気ノズル33は各々、チャンバ3内に撥水剤蒸気を供給する。各撥水剤蒸気ノズル33には、供給管43の先端が接続される。供給管43の基端は、撥水剤蒸気供給源45に接続される。撥水剤蒸気供給源45は、撥水剤蒸気を供給管43に送る。撥水剤蒸気は、ヒータによって撥水剤(シリル化剤)の液体を蒸発させて生成される。撥水剤蒸気は、キャリアガスとして不活性ガス(窒素ガス)を含んでいてもよい。供給管43には、開閉弁V6が設けられる。開閉弁V6は、撥水剤蒸気の供給およびその停止を行う。
【0049】
2本の撥水剤蒸気ノズル33は、複数の基板Wの移動経路RTを挟み込むように水平に配置される。2本の撥水剤蒸気ノズル33の更なる構成は後述する。
【0050】
チャンバ3の側壁には、排気口47が設けられている。排気口47は、処理槽2の上面よりも低い位置に配置される。例えば、排気口47は、処理槽2の外側面2Aに対向するような高さに配置される。また、排気口47は、後述するシールド板55よりも低い位置に配置される。排気口47には、排気管49が接続される。排気管49には、排気口47側から順番に、開閉弁V7および排気ポンプ51が設けられる。排気ポンプ51は、排気口47からチャンバ3内の気体を排気する。これにより、チャンバ3内を大気圧よりも低い圧力に減圧する。
【0051】
なお、図1において、図示の便宜上、排気口47は、側壁3Cに設けられている。この点、後述する図3に示すように、排気口47は、側壁3Aに設けられる。
【0052】
さらに、チャンバ3の底壁には、排出管53が接続される。排出管53には、開閉弁V8が設けられる。開閉弁V8が開状態のとき、チャンバ3内の処理液をチャンバ3の外部に排出することができる。開閉弁V8が閉状態のとき、チャンバ3内の底部に処理液を貯留させることができる。
【0053】
また、チャンバ3は、シールド板55を備える。シールド板55は、処理槽2の上縁(または開口)からやや下方に、かつ、処理槽2の外側面2Aの全周にわたって設けられる。言い換えると、シールド板55は、処理槽2の外側壁とチャンバ3の内側壁との間に設けられる。シールド板55は、チャンバ3内の上部(上部空間)とチャンバ3内の下部(下部空間)との間で雰囲気を遮蔽する。シールド板55は、処理槽2から溢れた処理液をチャンバ3内の下部に流通させる隙間G1,G2(開口)を有する。すなわち、シールド板55は、処理槽2の外側壁との間に隙間G1を有すると共に、チャンバ3の内側壁との間に隙間G2を有する。なお、必要により、隙間G1,G2の一方は設けられていなくてもよい。
【0054】
基板処理装置1は、制御部61と記憶部(図示しない)を備えている。制御部61は、基板処理装置1の各構成を制御する。制御部61は、例えば中央演算処理装置(CPU)などの1つ以上のプロセッサを備える。記憶部は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、およびハードディスクの少なくとも1つを備えている。記憶部は、基板処理装置1の各構成を制御するために必要なコンピュータプログラムを記憶する。
【0055】
<2.遮蔽板71>
次に、本実施例の特徴部分の1つである遮蔽板71について説明する。図3は、基板処理装置1の左側面の概略構成を示す縦断面図である。図4(a)は、複数の基板Wを図示しないときの基板処理装置1の左側面の概略構成を示す縦断面図である。図4(b)は、溶剤蒸気ノズル31,32(撥水剤蒸気ノズル33)を示す図である。図5は、基板処理装置1の正面の概略構成を示す縦断面図である。
【0056】
基板処理装置1は、遮蔽板71を備える。遮蔽板71は、パーティクルおよびミストなどが、後述する先端基板WTのデバイス面に付着することを防止する。遮蔽板71は、図示しない取付部材を介して処理槽2に取り付けられる。遮蔽板71は、上下方向(Z方向)に延びるように形成される。なお、遮蔽弁71は、チャンバ3に取り付けられてもよい。
【0057】
遮蔽板71は、「先端基板WT」と、保持部材7の先端部7A側が対向するチャンバ3の側壁3Aとの間に設けられる。先端基板WTは、複数(例えば49枚)の基板Wのうちの背板9から最も離れた基板Wである。なお、保持部材7の基端部7B側および背板9側のチャンバ3の側壁は、符号3Bで示される。
【0058】
図5において、遮蔽板71は、保持部材7の先端部7A側から基端部7B側に向かう方向(+Y方向)に見たときに、各基板Wの全体を覆うように配置される。先端基板WTのデバイス面(表面)は、保持部材7の基端部7B側から先端部7A側に向かう方向(-Y方向)を向いている。図2(a)に示すスロット49(SL49)が先端基板WTであるとする。図2(a)の矢印AR2が示すように、先端基板WTのデバイス面は、遮蔽板71と対向する。
【0059】
スロット49の先端基板WTのデバイス面と遮蔽板71との間の距離K1は、例えば13mmである(図3参照)。なお、遮蔽板71と側壁3Aとの間の距離を距離K2と仮定する。距離K1は、距離K2よりも小さい(距離K1<距離K2)。
【0060】
なお、先端基板WTを含む基板Wのデバイス面とは、電子回路が形成される面であり、「表面」と呼ばれる。また、基板Wの裏面とは、電子回路が形成されない面をいう。デバイス面の反対側の面が裏面である。
【0061】
また、図3図5に示すように、遮蔽板71の上端72は、チャンバ3の天井面3Eに到達するように配置される。すなわち、遮蔽板71の上端72は、チャンバ3の天井面3Eと略同じ高さに配置される(例えば遮蔽板71の上端72と天井面3Eの間には、隙間を有する)。例えば溶剤蒸気ノズル31,32の後述する液排出口76から吐出されたミスト状の溶剤が、チャンバ3の天井面3Eに到達するような遮蔽板71を乗り越えて複数の基板Wに向かうことを防止できる。なお、遮蔽板71の下端側は、気流が比較的速いので、ミスト状の溶剤が複数の基板W側に向かわないと考えられる。撥水剤蒸気ノズル33の後述する第2液排出口86から吐出されたミスト状の撥水剤の場合も同様である。
【0062】
<3.溶剤蒸気ノズル31,32および撥水剤蒸気ノズル33の液排出口76,86>
次に、本実施例の他の特徴部分である各溶剤蒸気ノズル31,32および撥水剤蒸気ノズル33の液排出口76,86について説明する。
【0063】
図3図4(a)、図4(b)を参照する。各溶剤蒸気ノズル31,32は、水平に(Y方向)直線状に延びる管部73と、管部73に設けられた複数(例えば50個)の吐出口75を備える。50個の吐出口75は、予め設定された間隔で管軸AX(図4(b)参照)に沿って配置される。例えば、50個の吐出口75は、5mm間隔(ピッチ)で配置される。50個の吐出口75は各々、チャンバ3内に溶剤蒸気を吐出する。
【0064】
50個の吐出口75は互いに同じ直径D1の円状の開口を有する。50個の吐出口75は、基板保持部5が保持可能な例えば50枚の基板Wに対応するように配置される。すなわち、50個の吐出口75は、基板保持部5で保持された50枚の基板Wの領域に対応する領域に配置される。各吐出口75は、溶剤蒸気を基板Wに向けて吐出するために、例えば、水平方向(X方向)または、斜め下方向(XZ方向)に向いている。
【0065】
また、従来の基板処理装置は、溶剤の液体(液滴)が基板Wに付着し、その液体がパーティクルの原因になるおそれがある問題を有する。すなわち、各溶剤蒸気ノズル31,32の上流側で配管温度の低下により溶剤蒸気が結露し、各溶剤蒸気ノズル31,32の上流側の1以上の吐出口から、結露した溶剤の液体が例えばミスト状に吐出される場合がある。ミスト状の溶剤がスロット49側の基板Wに付着すると、付着した溶剤の液体がパーティクルの原因になるおそれがある。なお、撥水剤蒸気ノズル33も同様である。
【0066】
そこで、本実施例において、各溶剤蒸気ノズル31,32は、更に、複数の吐出口75の上流の管部73に設けられた液排出口76を備える。液排出口76は、溶剤蒸気が結露して生じた溶剤の液体をチャンバ3内に排出する。液排出口76は、図3図4(a)に示すように、遮蔽板71とチャンバ3の側壁3Aとの間に対応する領域78に配置される。液排出口76は、例えば、溶剤の液体を遮蔽板71とチャンバ3の側壁3Aとの間の領域(すなわち、遮蔽板71とチャンバ3の側壁3Aとで挟まれた空間)に排出する。
【0067】
50個の吐出口75のうちの保持部材7の先端部7A側の吐出口75を「吐出口75A」とする。この場合、吐出口75Aから液排出口76までの距離LN1は、2つの吐出口75の間隔LN2よりも長くなるように構成される。液排出口76は、直径D2の円状の開口を有する。液排出口76の直径D2は、各吐出口75の直径D1と同じである(直径D1=直径D2)。また、例えば溶剤蒸気ノズル32の各吐出口75が水平方向(X方向)に溶剤蒸気を吐出する場合、液排出口76も、各吐出口75と同じ方向である水平方向(X方向)に結露した溶剤を排出する。
【0068】
各撥水剤蒸気ノズル33も、溶剤蒸気ノズル31と略同様に構成される。すなわち、各撥水剤蒸気ノズル33は、水平(Y方向)に直線状に延びる第2管部83と、第2管部83に設けられた複数(例えば50個)の第2吐出口85を備える。50個の第2吐出口85は、予め設定された間隔(例えば5mm)で管軸AX(Y方向)に沿って配置される。第2吐出口85は各々、チャンバ3内に撥水剤蒸気を吐出する。各第2吐出口85も、例えば、水平方向(X方向)または、斜め下方向(XZ方向)に向いている。
【0069】
撥水剤蒸気ノズル33は、更に、50個の第2吐出口85の上流の第2管部83に設けられた第2液排出口86を備える。第2液排出口86は、遮蔽板71とチャンバ3の側壁3Aとの間に対応する領域78に配置される。図4(a)において、50個の第2吐出口85のうちの保持部材7の先端部7A側の第2吐出口85を「第2吐出口85A」とする。この場合、第2吐出口85Aから第2液排出口86までの距離LN1は、2つの第2吐出口85の間隔LN2(例えば5mm)よりも大きい。第2液排出口86は、撥水剤蒸気が結露して生じた撥水剤の液体(液滴)をチャンバ3内に排出する。第2液排出口86は、例えば、撥水剤の液体を遮蔽板71とチャンバ3の側壁3Aとの間の領域に排出する。第2液排出口86は、例えば、撥水剤の液体をミスト状に排出する。
【0070】
本実施例において、各溶剤蒸気ノズル31,32は、1つの液排出口76を備えるが、Y方向に並ぶ2以上の液排出口76を備えてもよい。これと同様に、撥水剤蒸気ノズル33は、1つの第2液排出口86を備えるが、Y方向に並ぶ2以上の第2液排出口86を備えてもよい。
【0071】
<4.基板処理装置1の動作>
図6を参照しながら、基板処理装置1の動作について説明する。なお、図6において、基板保持部5の図示を省略する。図6において、排気ポンプ51および開閉弁V7による排気動作を符号「VAC」で示す。
【0072】
処理槽2には、噴出管13により処理液として純水が貯留されている。基板保持部5は、乾燥位置H1に位置する。図示しない搬送ロボットは、例えば49枚の基板Wを基板保持部5に搬送する。基板保持部5は、鉛直姿勢の例えば49枚の基板Wを保持している。リフタ4は、乾燥位置H1から処理位置H2に基板保持部5を下降させることで、予め設定された期間、49枚の基板Wを処理槽2の純水に浸漬させる(ステップS01)。これにより、基板Wは洗浄される。基板保持部5を下降させた後、上部カバー25を閉じる。
【0073】
なお、49枚の基板Wについて、奇数のスロット(例えばスロット1,3,5,・・・,47,49)の基板Wのデバイス面は、遮蔽板71側(-Y方向)を向いており、偶数のスロット(例えばスロット2,4,6,・・・,46,48)の基板Wのデバイス面は、背板9側を向いている。すなわち、49枚の基板Wは、フェース・ツー・フェース(face to face)方式で配置される。スロット49(SL49)の基板Wは、先端基板WTである(図2(a)、図3参照)。
【0074】
その後、不活性ガスノズル27からチャンバ3内に窒素ガスを供給する。また、排気ポンプ51を作動させながら開閉弁V7を開くことで、排気口47からチャンバ3内を排気してチャンバ3内を大気圧よりも低い圧力に減圧する(ステップS02)。その後、排気ポンプ51等によりチャンバ3内の排気を継続する。また、不活性ガスノズル27からの窒素ガスの供給を停止すると共に、溶剤蒸気ノズル31,32からチャンバ3内にIPA蒸気を供給する(ステップS03)。
【0075】
その後、排気ポンプ51を停止すると共に開閉弁V7を閉じる。また、IPA蒸気の供給は継続される。リフタ4は、処理位置H2から乾燥位置H1に基板保持部5を移動させることで、処理槽2の純水から49枚の基板Wを引き上げる(ステップS04)。これにより、基板Wのデバイス面に付着した純水をIPAに置換する。
【0076】
ここで、液排出口76および遮蔽板71の効果を説明する。結露した溶剤の液体(液滴)は、液排出口76から排出されるので、スロット49の基板W側にミスト状の溶剤を吐出することを防止する。そのため、50個の吐出口75から49枚の基板WにIPA蒸気を均等に供給することができる。また、遮蔽板71により、液排出口76から排出された溶剤の液体が基板Wに付着することを防止することができる。後述するステップS07,S12も同様である。
【0077】
ステップS04の後、QDR弁23を開き、処理槽2内の純水をチャンバ3の底面に放出する(ステップS05)。その後、排気ポンプ51を作動させながら開閉弁V7を開くことで、チャンバ3内を排気する。また、溶剤蒸気ノズル31,32からのIPA蒸気の供給を停止する共に、撥水剤蒸気ノズル33からチャンバ3内に撥水剤蒸気を供給する(ステップS06)。これにより、基板Wに付着したIPAを撥水剤に置換する。撥水剤により基板Wのデバイス面は改質される。
【0078】
ここでも、複数の第2吐出口85から49枚の基板Wに撥水剤蒸気を均等に供給することができる。また、遮蔽板71により、第2液排出口86から排出された撥水剤の液体が基板Wに付着することを防止することができる。
【0079】
ステップS06の後、排気ポンプ51等によりチャンバ3内の排気を継続する。また、撥水剤蒸気ノズル33からの撥水剤蒸気の供給を停止すると共に、溶剤蒸気ノズル31,32からチャンバ3内にIPA蒸気を供給する(ステップS07)。これにより、基板Wに付着した撥水剤をIPAに置換しつつ、例えば撥水剤および撥水剤由来のパーティクルを洗い流す。
【0080】
その後、排気ポンプ51を停止すると共に開閉弁V7を閉じる。また、溶剤蒸気ノズル31,32からのIPA蒸気の供給を停止すると共に、不活性ガスノズル27からチャンバ3内に窒素ガスを供給する(ステップS08)。これにより、減圧状態のチャンバ3内を大気圧に戻す。その後、排出管53を通じて、チャンバ3内の下部の純水をチャンバ3の外部に排出する(ステップS08)。
【0081】
ここで、遮蔽板71の効果を説明する。図7は、遮蔽板71が設けられていない基板処理装置201を示す。なお、基板処理装置201の各構成は、図3に示す基板処理装置1と同じ符号を付けているものとする。図7において、排気ポンプ51は、側壁3Aに設けられた排気口47からチャンバ3内を排気して、チャンバ3内を減圧する。このとき、保持部材7の先端部7A側の領域91は、気流が遅い領域である。それにより、雰囲気が滞留しやすくなる。例えば、ステップS06で生じたパーティクル(汚れ)、およびステップS07で生じたパーティクル(汚れ)が領域91に集まって滞留する場合がある。なお、パーティクルには、パーティクルの原因になる例えばミストを含む。
【0082】
そして、窒素ガスを供給してチャンバ3内を大気圧に戻す際に、排気ポンプ51が停止され、窒素ガスによって領域91に滞留するパーティクルが巻き上げられて、そのパーティクルがスロット49の基板W(先端基板WT)に付着する場合がある。
【0083】
なお、図8(a)に示すように、基板保持部5がフェース・ツー・フェース式で配置された50枚の基板Wを保持する場合、スロット50(SL50)の基板Wのデバイス面は、背板9側を向く。なお、矢印AR2は、デバイス面の向きを示す。すなわち、スロット50の基板Wの裏面は、保持部材7の先端部7A側(-Y方向)を向く。この場合、スロット50の基板Wの裏面で遮蔽されるためか、領域91の気流が遅くなることによるデバイス面へのパーティクル付着の問題は生じない。
【0084】
図8(b)に示すように、基板保持部5がフェース・ツー・フェース式で配置された49枚の基板Wを保持する場合、スロット49(SL49)の基板Wのデバイス面は、保持部材7の先端部7A側(-Y方向)を向く。そのため、スロット49の基板Wのデバイス面は領域91に対向するため、そのデバイス面にはパーティクルが付着しやすい。
【0085】
また、図8(c)に示すように、基板保持部5がフェース・ツー・フェース式で配置された25枚の基板Wを保持する場合、スロット25(SL25)の基板Wのデバイス面は、保持部材7の先端部7A側(-Y方向)を向く。そのため、スロット25の基板Wのデバイス面は、領域91に対向するためパーティクルが付着しやすい。しかし、スロット25の基板Wは、領域91から離れているため、図8(c)のスロット25の基板Wに付着するパーティクル数は、図8(b)のスロット49の基板Wに付着するパーティクル数よりも少ない。
【0086】
なお、図8(a)~図8(c)において、「良」は、デバイス面へのパーティクルの付着が確認されないことを示す。また、「不良」は、デバイス面へのパーティクルの付着が確認されることを示す。また、スロット1の基板Wは、背板9が存在し、かつ背板9側にデバイス面が向いていないので、デバイス面へのパーティクルの付着の問題が生じないと考えられる。
【0087】
遮蔽板71が設けられていることで、保持部材7の先端部7A側で滞留した領域91の雰囲気に混在するパーティクルからスロット49の先端基板WTのデバイス面を保護する。また、先端基板WTと遮蔽板71との間の気体の流れを改善させることでできる。これにより、領域91のように、先端基板WTに対向して雰囲気が滞留することを防止する。これらにより、パーティクルが基板Wのデバイス面に付着することを防止することができる。
【0088】
ステップS08の後、ステップS09,S10において、噴出管13から処理槽2に純水を供給することで処理槽2内の洗浄を行い、その後、QDR弁23および開閉弁V8により、処理槽2内の純水を処理槽2およびチャンバ3の外部に排出する。なお、ステップS09~S11において、窒素ガスの供給が継続される。
【0089】
その後、噴出管13から処理槽2に第2処理液として予め設定された量の希釈IPA液を供給する。その後、リフタ4は、予め設定された期間、49枚の基板Wを処理槽2の希釈IPA液に浸漬させる(ステップS11)。これにより、ステップS07で残ったパーティクル等を除去する基板Wの追加の洗浄を行う。
【0090】
その後、排気ポンプ51を作動させながら開閉弁V7を開くことで、チャンバ3内を排気する。また、不活性ガスノズル27からの窒素ガスの供給を停止すると共に、溶剤蒸気ノズル31,32からチャンバ3内にIPA蒸気を供給する(ステップS12)。その後、リフタ4は、49枚の基板Wを上昇させて、処理槽2の希釈IPA液から49枚の基板Wを引き上げる(ステップS12)。これにより、基板Wに付着した希釈IPA液をIPAに置換させる。その後、溶剤蒸気ノズル31,32からのIPA蒸気の供給を停止して、基板Wを乾燥させる(ステップS12)。
【0091】
その後、排気ポンプ51を停止すると共に開閉弁V7を閉じる。また、溶剤蒸気ノズル31,32からのIPA蒸気の供給を停止すると共に、不活性ガスノズル27からチャンバ3内に窒素ガスを供給する(ステップS13)。これにより、減圧状態のチャンバ3内を大気圧に戻す。
【0092】
ここで、ステップS12で生じたパーティクル(汚れ)が領域91(図7参照)に集まって滞留する場合がある。そして、窒素ガスを供給してチャンバ3内を大気圧に戻す際に、排気ポンプ51が停止され、窒素ガスによって領域91に滞留するパーティクルがスロット49(SL49)の基板W(先端基板WT)に付着する場合がある。しかし、遮蔽板71が設けられていることで、保持部材7の先端部7A側で滞留した領域91の雰囲気に混在するパーティクルからスロット49の先端基板WTのデバイス面を保護する。
【0093】
ステップS13の後、不活性ガスノズル27からの窒素ガスの供給を停止する。その後、上部カバー25を開いて、図示しない搬送ロボットは、49枚の基板Wを次の目的地に搬送する(ステップS14)。
【0094】
本実施例によれば、遮蔽板71が設けられていることで、保持部材7の先端部7A側で滞留した雰囲気に混在するパーティクルから基板Wを保護する。また、先端基板WTと遮蔽板71との間で気体の流れを改善させることができる。これらにより、パーティクルが基板W(先端基板WT)に付着することを防止することができる。
【0095】
また、基板処理装置1は、溶剤蒸気ノズル31,32は、チャンバ3内で水平(Y方向)に沿って直線状に延びる管部73と、管部73に設けられると共に管軸AX(Y方向)に沿って配置された複数の吐出口75とを備える。溶剤蒸気ノズル31.32は、更に、複数の吐出口75の上流の管部73に設けられ、遮蔽板71とチャンバ3の側壁3Aとの間に対応する領域78に配置された液排出口76を備える。複数の吐出口75は各々、チャンバ3内に溶剤蒸気を吐出する。液排出口76は、溶剤蒸気が結露して生じた溶剤を遮蔽板71とチャンバ3の側壁3Aとの間の領域に排出する。
【0096】
溶剤蒸気ノズル31、32の上流側で結露して生じた溶剤の液体が、複数の吐出口75の上流の管部73に設けられた液排出口76から排出される。液排出口76は、遮蔽板71とチャンバ3の保持部材7の先端部7A側の側壁3Aとの間に対応する領域78に配置される。そのため、液排出口76から排出された溶剤の液体が基板W(先端基板WT)に付着することを防止することができる。また、複数の吐出口75のうちの所定の吐出口75(例えば吐出口75A)から溶剤の液体が基板Wに供給されることを防止できる。そのため、複数の吐出口の全てから溶剤蒸気を供給することができる。
【0097】
また、基板処理装置1は、チャンバ3内に設けられると共に処理槽2よりも高い位置に配置された撥水剤蒸気ノズル33であって、チャンバ3内に撥水剤蒸気を供給する撥水剤蒸気ノズル33を更に備える。撥水剤蒸気ノズル33は、チャンバ3内で水平(Y方向)に沿って直線状に延びる第2管部83と、第2管部83に設けられると共に管軸AX(Y方向)に沿って配置された複数の第2吐出口85とを備える。撥水剤蒸気ノズル33は、更に、複数の第2吐出口85の上流の第2管部83に設けられ、遮蔽板71とチャンバ3の側壁3Aとの間に対応する領域78に配置された第2液排出口86を備える。複数の第2吐出口85は各々、チャンバ3内に撥水剤蒸気を吐出する。第2液排出口86は、撥水剤蒸気が結露して生じた撥水剤を遮蔽板71とチャンバ3の側壁3Aとの間の領域に排出する。
【0098】
撥水剤蒸気ノズル33の上流側で結露して生じた撥水剤の液体が、複数の第2吐出口85の上流の第2管部83に設けられた第2液排出口86から排出される。第2液排出口86は、遮蔽板71とチャンバ3の保持部材7の先端部7A側の側壁3Aとの間に対応する領域78に配置される。そのため、第2液排出口86から排出された撥水剤の液体が基板W(先端基板WT)に付着することを防止することができる。また、複数の第2吐出口85のうちの所定の第2吐出口85(例えば第2吐出口85A)から撥水剤の液体が基板Wに供給されることを防止できる。そのため、複数の第2吐出口85の全てから撥水剤蒸気を供給することができる。
【実施例0099】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。なお、実施例1と重複する説明は省略する。
【0100】
図9は、実施例2に係る各洗浄処理部BT2,BT4の左側面の概略構成を示す縦断面図である。図10は、実施例2に係る基板処理装置1Aの概略構成を示す平面図である。図11は、基板ハンドリング機構HTRの側面図である。
【0101】
実施例1の遮蔽板71は、図示しない取付部材を介して処理槽2に取り付けられた。この点、実施例2の遮蔽板は、図9に示すように、保持部材7で保持された、パターンが形成されていないダミー基板(ダミーウエハ)100であってもよい。ダミー基板100は、パーティクルを遮蔽するための遮蔽用のダミー基板である。ダミー基板100は、シリコンで形成される。また、ダミー基板100は、セラミックで形成されていてもよい。
【0102】
なお、実施例1の基板処理装置1は、本実施例では、各洗浄処理部BT2,BT4として説明する。なお、各洗浄処理部BT2,BT4は、図3に示される遮蔽板71を備えていない。
【0103】
<5.基板処理装置の構成>
図10を参照する。本実施例の基板処理装置1Aは、ダミー基板100を自動的にセッティングする機能を備える。基板処理装置1Aは、ストッカーブロック103、移載ブロック105および処理ブロック107を備える。
【0104】
<5-1.ストッカーブロック>
ストッカーブロック103は、少なくとも1個のキャリアCを収容するものである。ストッカーブロック103は、少なくとも1個のロードポート109を備える。また、ストッカーブロック103は、キャリア搬送機構(ロボット)111と、複数の保管棚113とを備える。複数の保管棚113は、ダミー基板用キャリアCDを含む複数のキャリアCをそれぞれ保管する。キャリア搬送機構111は、保管棚113に保管された任意のキャリアCを載置棚119(後述する)に搬送する。キャリア搬送機構111は、ロードポート109、複数の保管棚113および載置棚119(後述する)の間でキャリアCを搬送する。キャリア搬送機構111は、キャリアCの上面の突起部を把持する把持部、あるいは、キャリアCの底面に接触しつつキャリアCを支持するハンドを備える。
【0105】
ストッカーブロック103は、1枚以上のダミー基板100を水平姿勢で収納するダミー基板用キャリアCDを備える。ダミー基板用キャリアCDは、保管棚113に予め保管されている。キャリア搬送機構111は、通常、保管棚113と、後述する載置棚119との間で、ダミー基板用キャリアCDを搬送する。
【0106】
<5-2.移載ブロック>
移載ブロック105は、ストッカーブロック103に隣接して配置される。移載ブロック105は、オープナ115、基板ハンドリング機構(ロボット)HTRおよび姿勢変換機構117を備える。オープナ115は、キャリアCを載置する載置棚119を備える。載置棚119は、複数のキャリアCを1個ずつ順番に載置する。なお、移載ブロック105は、複数のオープナ115を備えていてもよい。また、基板ハンドリング機構HTRは、本発明の水平基板搬送機構に相当する。載置棚119は、本発明のキャリア載置棚に相当する。
【0107】
キャリアCは、複数(例えば25枚)の基板Wを水平姿勢で所定間隔(例えば10mm間隔(フルピッチ))を空けて鉛直方向Zに収納する。なお、基板Wは、基板Wの厚み方向に整列される。例えば、キャリアCは、最大で25枚の基板Wを収納することができる。キャリアCとして、例えば、FOUP(Front Opening Unify Pod)が用いられる。FOUPは、密閉型容器である。キャリアCは、開放型容器でもよく、種類を問わない。ダミー基板用キャリアCDは、キャリアCと同様に構成される。
【0108】
<5-2-1.基板ハンドリング機構>
図10図11を参照する。基板ハンドリング機構HTRは、載置棚119に載置されたキャリアCから複数の基板Wを取り出して搬送する。すなわち、基板ハンドリング機構HTRは、載置棚119に載置されたキャリアCと姿勢変換機構117の間で水平姿勢の複数(例えば25枚)の基板Wを一括して搬送することができる。また、基板ハンドリング機構HTRは、載置棚119に載置されたキャリアCと姿勢変換機構117との間で水平姿勢の基板Wを1枚ずつ搬送することができる。そのため、基板ハンドリング機構HTRは、載置棚119に載置されたダミー基板用キャリアCDから1枚のダミー基板100を取り出して搬送することができる。
【0109】
基板ハンドリング機構HTRは、バッチハンド125と枚葉ハンド127を備える。
バッチハンド125は、複数個(例えば25個)のハンド125Aを備える。図11において、図示の便宜上、バッチハンド125は、3個のハンド125Aを備えるものとする。各ハンド125Aは、1枚の基板Wを保持する。また、枚葉ハンド127は、1枚の基板Wを保持する。
【0110】
また、基板ハンドリング機構HTRは、バッチハンド支持部129、枚葉ハンド支持部131、進退部133および昇降回転部135を備える。バッチハンド支持部129は、バッチハンド125(複数個のハンド125A)を支持する。これにより、複数個のハンド125Aは、一体的に移動する。枚葉ハンド支持部131は、枚葉ハンド127を支持する。
【0111】
進退部133は、バッチハンド125および枚葉ハンド127を独立して前進および後退させることができる。具体的には、進退部133は、枚葉ハンド127と独立して、バッチハンド支持部129を介して、複数個のハンド125Aを前進および後退させる。また、進退部133は、バッチハンド125と独立して、枚葉ハンド127を前進および後退させることができる。昇降回転部135は、鉛直軸AX1周りに進退部133を回転させることで、鉛直軸AX1周りにバッチハンド125および枚葉ハンド127を回転させる。また、昇降回転部135は、進退部133を昇降させることで、バッチハンド125および枚葉ハンド127を昇降させる。なお、進退部133および昇降回転部135は各々、電動モータを備える。
【0112】
<5-2-2.姿勢変換機構>
図10を参照する。姿勢変換機構117は、水平姿勢と鉛直姿勢との間で複数の基板Wおよびダミー基板100を姿勢変換する。例えば、姿勢変換機構117は、基板ハンドリング機構HTRで搬送された複数の基板Wおよびダミー基板100を水平姿勢から鉛直姿勢に変換する。また、姿勢変換機構117は、後述する搬送機構WTRで搬送された複数の基板Wおよびダミー基板100を鉛直姿勢から水平姿勢に変換する。
【0113】
また、複数の基板Wは、第1基板群および第2基板群を有する。そのため、姿勢変換機構117は、第1基板群の2枚以上の基板W1と第2基板群の2枚以上の基板W2とを組み合わせて複数の基板W(W1,W2)を形成する。
【0114】
姿勢変換機構117は、姿勢変換部137とプッシャ機構139を備える。図10において、基板ハンドリング機構HTR、姿勢変換部137およびプッシャ機構139は、この順番で幅方向Yに配置される。図12(a)~図12(f)は、移載ブロック105の姿勢変換機構117(姿勢変換部137およびプッシャ機構139)を説明するための図である。
【0115】
図12(a)を参照する。姿勢変換部137は、支持台137A、1対の水平保持部137B、1対の鉛直保持部137C、および回転駆動部137Dを備える。1対の水平保持部137Bおよび1対の鉛直保持部137Cは、支持台137Aに設けられる。水平保持部137Bおよび鉛直保持部137Cは、基板ハンドリング機構HTRよって搬送された複数の基板Wを受け取る。基板Wが水平姿勢であるとき、1対の水平保持部137Bは、各基板Wの下面に接触しつつ、基板Wを下方から支持する。
【0116】
また、基板Wが鉛直姿勢であるとき、1対の鉛直保持部137Cは、基板Wを保持する。各鉛直保持部137Cは、複数(例えば26枚)の基板Wを保持するための複数(例えば26個)の保持溝と、複数(例えば26枚)の基板を通過させるための複数(例えば26個)の通過溝を備える。複数の保持溝と複数の通過溝は、1個ずつ交互に設けられる。
【0117】
回転駆動部137Dは、水平軸AX2周りに支持台137Aを回転可能に支持する。また、回転駆動部137Dは、水平軸AX2周りに支持台137Aを回転させることで、保持部137B,137Cに保持された複数の基板Wの姿勢を水平から鉛直に変換する。
【0118】
図12(f)を参照する。プッシャ機構139は、プッシャ139A、昇降回転部139B、水平移動部139Cおよびレール139Dを備える。プッシャ139Aは、複数(例えば52個)の保持溝を備える。プッシャ139Aは、鉛直姿勢の複数(例えば52枚)の基板Wおよびダミー基板100の各々の下部を支持する。なお、図12(a)~図12(f)において、図示の便宜上、プッシャ139Aは、ダミー基板100を含む8枚の基板Wを保持できるように構成される。なお、後述する図18(a)、図20(a)において、図示の便宜上、プッシャ139Aは、6枚の基板Wを保持できるように構成される。
【0119】
昇降回転部139Bは、プッシャ139Aの下面に連結される。昇降回転部139Bは、伸縮することでプッシャ139Aを上下方向に昇降させる。また、昇降回転部139Bは、鉛直軸AX3周りにプッシャ139Aを回転させる。水平移動部139Cは、昇降回転部139Bを支持する。水平移動部139Cは、プッシャ139Aおよび昇降回転部139Bをレール139Dに沿って水平移動させる。レール139Dは、幅方向Yに延びるように形成される。なお、回転駆動部137D、昇降回転部139Bおよび水平移動部139Cは各々、電動モータを備える。
【0120】
<5-3.処理ブロック>
図10を参照する。処理ブロック107は、移載ブロック105に隣接する。処理ブロック107は、移載ブロック105を介してストッカーブロック103の反対側に配置される。処理ブロック107は、4つのバッチ処理部BT1~BT4と搬送機構WTRとを備える。
【0121】
4個のバッチ処理部BT1~BT4は、この順番で前後方向Xに沿って配置される。図10において、バッチ処理部BT1は、移載ブロック105から最も遠い位置に配置される。4個のバッチ処理部BT1~BT4は各々、複数の基板Wおよびダミー基板100を一括して処理する。例えば、4個のバッチ処理部BT1~BT4は、2つの薬液処理部BT1,BT3と、2つの洗浄処理部BT2,BT4とで構成される。薬液処理部BT1と洗浄処理部BT2を1組とし、薬液処理部BT3と洗浄処理部BT4を他の1組とする。なお、1組のバッチ処理部は、1個以上の薬液処理部と1個以上の洗浄処理部とを備えていればよい。
【0122】
2個の薬液処理部BT1,BT3は各々、処理槽141を備える。2個の薬液処理部BT1,BT3は各々、薬液によるエッチング処理を行う。薬液として、例えば燐酸が用いられる。薬液処理部BT1,BT3の2個の処理槽141は各々、図示しない薬液噴出管から供給された薬液を貯留する。薬液噴出管は、各処理槽141の内壁に設けられる。
【0123】
2個の薬液処理部BT1,BT3は、2個のリフタLF1,LF3をそれぞれ備える。2個のリフタLF1,LF3は各々、所定間隔(例えば5mm(ハーフピッチ))で配置された鉛直姿勢の複数の基板Wおよびダミー基板100を保持する。また、各リフタLF1,LF3は、処理槽141の内部の処理位置と、処理槽141の上方の受け渡し位置との間で、複数の基板Wおよびダミー基板100を昇降させる。
【0124】
なお、上述のように、洗浄処理部BT2,BT4は各々、遮蔽板71を除いて、図1図3に示す実施例1の構成を備える。洗浄処理部BT2,BT4は各々、処理液を貯留する処理槽2と、処理槽2を囲うチャンバ3と、リフタ4とを備える。リフタ4は、基板保持部5と、基板保持部5を昇降させる昇降機構6とを備える。基板保持部5は、3つの保持部材7と背板9を備える。
【0125】
図13(a)、図13(b)を参照する。各保持部材7は、所定のピッチ(例えば5mm(ハーフピッチ))でY方向に並んで形成された複数(例えば51個)の溝部を有する。51個の溝はそれぞれ、スロット1~51(SL1~SL51)と呼ばれる。背板9に最も近い溝は、スロット1であり、背板9から最も離れた溝は、スロット51である。
【0126】
言い換えると、各保持部材7は、複数(例えば50個)の基板Wを保持する複数(例えば50個)の溝SL1~SL50および、ダミー基板100を保持する溝SL51を有する。溝SL51(ダミー基板用保持溝)は、溝SL1~SL50に対して各保持部材7の先端部7A側に配置される。すなわち、溝SL51は、溝SL50を介して溝SL49の反対側に配置される。また、溝SL1~SL50および溝SL51は、所定間隔(ハーフピッチ)を空けて一列に整列配置される。なお、各溝SL1~SL50は、本発明の保持溝に相当する。
【0127】
本実施例では、各洗浄処理部BT2,BT4で複数の基板Wを処理するために、毎回、複数の基板Wにダミー基板100が加えられる。そのため、溝SL51には、遮蔽用のダミー基板100以外の基板Wが配置されないように構成される。また、図9に示すように、液排出口76および第2液排出口86は、ダミー基板100よりもチャンバ3の側壁3Aの近くに配置される。
【0128】
搬送機構WTRは、鉛直姿勢の複数の基板Wおよびダミー基板100を一括して搬送する。搬送機構WTRは、姿勢変換機構117と4個のバッチ処理部BT1~BT4との間で鉛直姿勢の複数の基板Wおよびダミー基板100を搬送する。搬送機構WTRは、1対のチャック143,145、ガイドレール147および昇降部(図示しない)を備える。チャック143,145は各々、例えば、50枚の基板Wおよび1枚のダミー基板100を保持するために51個の保持溝を備える。搬送機構WTRは、2つのチャック143,145を開いたり閉じたりする。搬送機構WTRは、一対のチャック143,145をガイドレール147に沿って移動させる。昇降部は、1対のチャック143,145を昇降させる。搬送機構WTRは、電動モータで駆動される。
【0129】
基板処理装置1Aは、制御部61と記憶部(図示しない)を備えている。制御部61は、基板処理装置1Aの各構成を制御する。記憶部は、基板処理装置1Aの各構成を制御するために必要なコンピュータプログラムを記憶する。
【0130】
<6.基板処理装置の動作>
図14のフローチャートを参照しながら、基板処理装置1Aの動作について説明する。図10を参照する。図示しない外部搬送ロボットは、2個のキャリアCをロードポート109に順番に搬送する。
【0131】
基板処理装置1Aは、第1キャリアCの第1基板群の2枚以上の基板W1と第2キャリアCの第2基板群の2枚以上の基板W2とを組み合わせて、フェース・ツー・フェース方式でかつハーフピッチで整列された基板Wである処理基板群を形成する。また、基板処理装置1Aは、例えば第1薬液処理部BT1、第2洗浄処理部BT2に順番に処理基板群を搬送して、処理基板群を一括して処理する。これらの詳細を説明する。
【0132】
〔ステップS21〕姿勢変換機構への第1基板群の搬送
ストッカーブロック103のキャリア搬送機構111は、ロードポート109から載置棚119に第1キャリアCを搬送する。ここで、第1キャリアCは、25枚の基板W1からなる第1基板群を収納する。なお、2個のキャリアCは、保管棚113を介して、ロードポート109から載置棚119に搬送されてもよい。
【0133】
図12(a)を参照する。なお、図12(a)~図12(f)において、図示の便宜上、第1基板群は3枚の基板W1で構成され、第2基板群は3枚の基板W2で構成される。また、基板W1と基板W2とを特に区別しない場合、基板W1および基板W2は「基板W」と記載される。
【0134】
基板ハンドリング機構HTRは、バッチハンド125を用いて、載置棚119に載置された第1キャリアCから姿勢変換部137に第1基板群の25枚の基板W1を一括して搬送する。ここで、基板ハンドリング機構HTRは、図13(a)、図13(b)に示される奇数番号の25個の溝SL1,SL3,SL5,・・・SL47,SL49に対応するように、25枚の基板W1を姿勢変換部137に搬送する。姿勢変換部137は、2対の保持部137B,137Cと用いて、基板ハンドリング機構HTRから25枚の基板W1を受け取る。この際、25枚の基板W1は、水平姿勢であり、デバイス面は上向きである。25枚の基板W1は、所定の間隔(フルピッチ)で配置される。フルピッチは、例えば10mm間隔である。フルピッチは、ノーマルピッチとも呼ばれる。なお、ハーフピッチは、フルピッチの半分の間隔(例えば5mm)である。
【0135】
〔ステップS22〕ダミー基板の挿入
基板ハンドリング機構HTRが第1キャリアCから25枚の基板W1を取り出した後、キャリア搬送機構111は、載置棚119から保管棚113に空の第1キャリアCを搬送し、その後、保管棚113から載置棚119にダミー基板用キャリアCDを搬送する(図10参照)。
【0136】
その後、基板ハンドリング機構HTRは、図12(a)に示すように、枚葉ハンド127を用いて、ダミー基板用キャリアCDから姿勢変換部137にダミー基板100を搬送する。ここで、基板ハンドリング機構HTRは、溝SL51に対応するように、ダミー基板100を姿勢変換部137に搬送する。姿勢変換部137は、図12(a)に示すように、水平姿勢の25枚の基板W1の上方の保持溝で水平姿勢のダミー基板100を受け取る。図12(a)において、水平姿勢の25枚の基板W1およびダミー基板100は、フルピッチ(例えば10mm)で鉛直方向Zに整列される。
【0137】
基板ハンドリング機構HTRがダミー基板用キャリアCDから1枚のダミー基板100を取り出した後、キャリア搬送機構111は、載置棚119から保管棚113にダミー基板用キャリアCDを搬送し、その後、ロードポート109から載置棚119に第2キャリアCを搬送する(図10参照)。
【0138】
〔ステップS23〕第1基板群の鉛直姿勢への姿勢変換
図12(b)を参照する。姿勢変換部137にダミー基板100が搬送された後、回転駆動部137Dは、支持台137Aに設けられた2対の保持部137B,137Cを水平軸AX2周りに90度回転させる。これにより、姿勢変換部137は、25枚の基板W1およびダミー基板100を水平姿勢から鉛直姿勢に変換する。
【0139】
図12(c)を参照する。その後、プッシャ機構139の昇降回転部139Bは、姿勢変換部137の保持部137B,137Cよりも高い位置にプッシャ139Aを上昇させる。これにより、プッシャ139Aは、保持部137B,137Cから25枚の基板W1およびダミー基板100を受け取る。プッシャ139Aで保持された25枚の基板W1は、左方Yを向く。なお、図12(a)~図12(f)中、基板W(W1,W2)に付された矢印AR2は、基板Wのデバイス面の向きを示す。
【0140】
図12(d)を参照する。プッシャ機構139は、鉛直軸AX3周りに鉛直姿勢の25枚の基板W1およびダミー基板100を180度回転させる。これにより、25枚の基板W1は、反転されて右方Yを向く。更に、反転された25枚の基板W1は、回転前の位置から左方Yにハーフピッチ分(例えば5mm)移動する。また、姿勢変換部137は、保持部137B,137Cを水平軸AX2周りに-90度回転させて、次の基板W2を受け取ることができる状態にする。なお、姿勢変換部137とプッシャ機構139は互いに干渉しないように動作される。
【0141】
〔ステップS24〕姿勢変換機構への第2基板群の搬送
第2キャリアCは、載置棚119に載置されている。第2キャリアCは、25枚の基板W2からなる第2基板群を収納している。基板ハンドリング機構HTRは、バッチハンド125を用いて、載置棚119に載置された第2キャリアCから姿勢変換部137に第2基板群の25枚の基板W2を一括して搬送する。ここで、基板ハンドリング機構HTRは、図13(a)、図13(b)に示される偶数番号の25個の溝SL2,SL4,SL6,・・・SL48,SL50に対応するように、25枚の基板W2を姿勢変換部137に搬送する。図12(d)に示すように、姿勢変換部137は、2つの保持部137B,137Cで、水平姿勢の25枚の基板W2を受け取る。この際、25枚の基板W2の各々のデバイス面は上向きである。
【0142】
〔ステップS25〕第2基板群の鉛直姿勢への姿勢変換
図12(e)を参照する。プッシャ機構139は、25枚の基板W1およびダミー基板100を保持するプッシャ139Aを退避位置に下降させる。その後、姿勢変換部137は、25枚の基板W2の姿勢を水平から鉛直に変換する。姿勢変換後の25枚の基板W2は、左方Yを向く。図12(f)を参照する。その後、プッシャ機構139は、第2基板群の25枚の基板W2を保持するプッシャ139Aを上昇させる。これにより、プッシャ機構139は、姿勢変換部137から25枚の基板W2を更に受け取る。
【0143】
そのため、第1基板群と第2基板群とダミー基板100とが組み合わされて、処理基板群(50枚の基板W1,W2およびダミー基板100)が形成される。処理基板群は、ハーフピッチで整列される。50枚の基板W1,W2は、第1基板群の25枚の基板W1と第2基板群の25枚の基板W2とが1枚ずつ交互に配置される。25枚の基板W1は、25枚の基板W2と逆方向を向いている。そのため、50枚の基板W1,W2は、フェース・ツー・フェース方式で配置される。すなわち、隣接する2枚の基板W1,W2は、2つのデバイス面(または2つの裏面)が向き合っている。
【0144】
その後、プッシャ機構139は、移載ブロック105内に定められた基板受け渡し位置PPにレール139Dに沿って処理基板群を搬送する。基板受け渡し位置PPは、搬送機構WTRの1対のチャック143,145の下方に定められている。
【0145】
〔ステップS26〕薬液処理
搬送機構WTRは、基板受け渡し位置PPでプッシャ機構139から鉛直姿勢の処理基板群(50枚の基板W1,W2と1枚のダミー基板100)を搬送する。すなわち、搬送機構WTRは、基板受け渡し位置PPで鉛直姿勢の処理基板群を受け取り、2個の薬液処理部BT1,BT3の2個のリフタLF1,LF3の一方に処理基板群を搬送する。例えば、リフタLF1は、薬液処理部BT1の処理槽141の上方の位置で、搬送機構WTRによって搬送された処理基板群を受け取る。リフタLF1は、処理槽141に貯留された燐酸(処理液)に処理基板群を浸漬させる。これにより、50枚の基板Wは、エッチング処理が行われる。この処理の際に、ダミー基板100はカウントせずに、50枚の基板Wに応じた燐酸を補充する。
【0146】
エッチング処理後、リフタLF1は、処理基板群を処理槽141内の燐酸から引き上げる。なお、リフタLF3に処理基板群が搬送された場合も、薬液処理部BT3は、処理基板群に対して薬液処理部BT1と同様の処理を行う。
【0147】
〔ステップS27〕洗浄処理および乾燥処理
搬送機構WTRは、例えばリフタLF1から鉛直姿勢の処理基板群(50枚の基板W1,W2と1枚のダミー基板100)を受け取り、図1図9図13(a)、図13(b)に示す洗浄処理部BT2のリフタ4の基板保持部5にその処理基板群を搬送する。処理基板群を受け取るとき、昇降機構6(図1参照)は、基板保持部5を乾燥位置H1に位置させる。基板保持部5は、鉛直姿勢の50枚の基板W1,W2を保持すると共に、50枚の基板W1,W2のうちの背板9から最も離れた先端基板WTと、各保持部材7の先端部7A側が対向するチャンバ3の側壁3Aとの間に位置するようにダミー基板100を保持する。具体的には、基板保持部5は、各保持部材7の50個の溝SL1~SL50と1個の溝SL51で50枚の基板W1,W2とダミー基板100を受け取って保持する。なお、基板保持部5は、処理基板群を保持した状態で処理槽2内の処理位置H2と処理槽2の上方の乾燥位置H1とに亘って移動する。
【0148】
洗浄処理部BT2は、処理基板群に対して図6に示すステップS01~S14の洗浄処理および乾燥処理を行う。この際、遮蔽用のダミー基板100が設けられていることで、各保持部材7の先端部7A側で滞留した雰囲気を遮蔽する。そのため、その雰囲気に混在するパーティクルから基板Wを保護する。
【0149】
なお、処理基板群が薬液処理部BT3で処理された場合、搬送機構WTRは、薬液処理部BT3から洗浄処理部BT4に処理基板群を搬送する。洗浄処理部BT4は、処理基板群に対して洗浄処理部BT2と同様の処理を行う。
【0150】
〔ステップS28〕水平姿勢への姿勢変換
その後、搬送機構WTRは、処理槽2等で処理された鉛直姿勢の処理基板群を2個の基板保持部5の一方から姿勢変換機構117に搬送する。すなわち、搬送機構WTRは、2個の洗浄処理部BT2,BT4の2個の基板保持部5の一方から処理基板群を受け取り、その処理基板群を姿勢変換機構117に搬送する。プッシャ139Aは、水平移動部139Cによって、基板受け渡し位置PPに移動されている。プッシャ139Aは、搬送機構WTRによって搬送された処理基板群の50枚の基板W(W1,W2)とダミー基板100とを鉛直姿勢で保持する。
【0151】
姿勢変換機構117は、搬送機構WTRで搬送された50枚の基板W1,W2を第1基板群の25枚の基板W1と第2基板群の25枚の基板W2とに分ける。また、姿勢変換機構117は、第1基板群、第2基板群およびダミー基板100を鉛直姿勢から垂直姿勢に変換する。具体的に説明する。
【0152】
姿勢変換機構117は、例えば、図12(f)から図12(a)に向かう順番で動作する。すなわち、姿勢変換機構117は、処理基板群から第2基板群の25枚の基板W2を抜き出し、これらを水平姿勢から鉛直姿勢に変換する。その後、姿勢変換機構117は、第1基板群の25枚の基板W1およびダミー基板100を鉛直姿勢から水平姿勢に変換する。なお、姿勢変換機構117は、第2基板群よりも先に空のキャリアCに第1基板群を戻すために、処理基板群から第1基板群の25枚の基板W1およびダミー基板100を抜き出してもよい。
【0153】
〔ステップS29〕キャリアへの基板搬送
キャリア搬送機構111は、第1キャリアC、第2キャリアCおよびダミー基板用キャリアCDのいずれか1つを載置棚119に選択的に搬送する。基板ハンドリング機構HTRは、バッチハンド127を用いて、姿勢変換部137から載置棚119の第2キャリアCに第2基板群の25枚の基板W2を搬送する。また、基板ハンドリング機構HTRは、枚葉ハンド127を用いて、姿勢変換部137から載置棚119のダミー基板用キャリアCDにダミー基板100を搬送する。また、更に、基板ハンドリング機構HTRは、バッチハンド125を用いて、姿勢変換部137から載置棚119の第1キャリアCに第1基板群の25枚の基板W1を搬送する。
【0154】
キャリア搬送機構111は、ダミー基板100が収納されたダミー基板用キャリアCDを載置棚119から保管棚113に搬送する。また、キャリア搬送機構111は、処理済の基板W1が収納された第1キャリアCと、処理済の基板W2が収納された第2キャリアCとを載置棚119からロードポート109に各々搬送する。外部搬送ロボットは、ロードポート109に各々搬送された2個のキャリアCを次の目的地に順番に搬送する。
【0155】
本実施例によれば、遮蔽板としてのダミー基板100が設けられていることで、保持部材7の先端部7A側で滞留した雰囲気に混在するパーティクルから基板Wを保護する。また、先端基板WTとダミー基板100との間で気体の流れを改善させることができる。これらにより、パーティクルが基板W(先端基板WT)に付着することを防止することができる。
【0156】
基板保持部5は、鉛直姿勢の複数の基板Wを保持すると共に、複数の基板Wのうちの先端基板WTとチャンバ3の側壁3Aとの間に位置するようにダミー基板100を保持する。そのため、パーティクルが先端基板WTに付着することを防止することができる。また、基板処理装置1Aは、ダミー基板用キャリアCDを備え、ダミー基板用キャリアCDは、遮蔽用のダミー基板100を収納する。ダミー基板100は、処理槽2で一括して処理される複数の基板W毎に加えられる。そして、処理槽2で処理された後、ダミー基板100は、複数の基板Wとは別に、ダミー基板用キャリアCDに戻される。そのため、処理槽2を囲うチャンバ3内に遮蔽板71を常設することなく、パーティクルが先端基板WTに付着することを防止することができる。
【0157】
なお、図12(f)において、符号EE1で示される第2基板群の基板W2が先端基板WTであった。この状態からプッシャ139Aを鉛直軸AX3周りに180度回転させると、符号EE2で示される第1基板群の基板W1が先端基板WTになる。そのため、50枚の基板Wの形成手法によって、先端基板WTが変化する。この場合、ダミー基板100は、図12(a)において、姿勢変換部137に搬送されず、図12(d)において、姿勢変換部137に搬送されてもよい。その後、姿勢変換部137は、第2基板群とダミー基板100とを水平姿勢から鉛直姿勢に変換する。
【実施例0158】
次に、図面を参照して本発明の実施例3を説明する。なお、実施例1,2と重複する説明は省略する。図15は、実施例3に係る各洗浄処理部BT2,BT4の左側面の概略構成を示す縦断面図である。
【0159】
実施例2では、毎回、バッチ処理を行う1組の複数の基板W(W1,W2)に対してダミー基板100を追加した。この点、実施例3では、基板検出センサ部153が溝SL50(先端保持溝)に対応する基板WがキャリアCに無いことを検出したときに、バッチ処理を行う1組の複数の基板Wに対してダミー基板100を追加する。ダミー基板100は、図15に示すように、溝SL50で保持される。
【0160】
図16(a)は、オープナ115の構成を示す側面図である。図16(b)は、基板検出センサの検出状態を示す平面図である。オープナ115は、キャリアCを載置する載置棚119と、キャリアCのドアDRを着脱するシャッタ151と、基板検出センサ部153とを備える。載置棚119は、ストッカーブロック103の領域に突出するように配置される。
【0161】
基板検出センサ部153は、載置棚119に載置されたキャリアCに対して上下方向に移動しながら、キャリアCに収容される基板Wの有無を検出する。基板検出センサ部153は、センサ本体153A、アーム153B、センサ昇降部153Cおよびセンサ進退部153Dを備える。
【0162】
センサ本体153Aは、例えば、投光器と受光器を有する透過型センサ(光学式センサ)を備える。制御部61は、投光器からの光が基板Wに遮られて、受光器が光を検出しないときは、基板Wが有ることを検出する。また、制御部61は、受光器が投光器からの光を検出するときは、基板Wが無いことを検出する。
【0163】
アーム153Bは、センサ本体153Aを支持する。センサ昇降部153Cは、センサ本体153Aおよびアーム153Bを昇降させる。すなわち、センサ昇降部153Cは、センサ本体153A等を上下方向Zに移動させる。センサ進退部153Dは、センサ本体153Aおよびアーム153Bを前後方向Xに進退させる。センサ昇降部153Cおよびセンサ進退部153Dは各々、電動モータを備える。また、センサ昇降部153Cは、センサ本体153A(検出される基板W)の高さ位置を検出するための高さセンサ(例えば、リニアエンコーダまたはロータリーエンコーダ)を備える。
【0164】
図2(a)、図2(b)に示すように、本実施例の基板保持部5の各保持部材7は、例えば50個の溝SL1~SL50を備える。また、本実施例の搬送機構WTRの2個のチャック143,145は各々、例えば50個の保持溝を備える。各鉛直保持部137Cは、例えば、25個の保持溝と25個の通過溝とを備える。プッシャ139Aは、50個の保持溝を有する。
【0165】
<7.基板処理装置の動作>
図17のフローチャートを参照しながら、基板処理装置1Aの動作について説明する。なお、図18(a)~図18(f)は、実施例3に係る姿勢変換機構を説明するための側面図である。
【0166】
基板処理装置1Aは、第1キャリアCの第1基板群の基板W1と第2キャリアCの第2基板群の基板W2とを組み合わせて、フェース・ツー・フェース方式でかつハーフピッチで整列された基板Wである処理基板群を形成する。これらの詳細を説明する。
【0167】
〔ステップS41〕第1キャリア内の基板の有無の検出
ストッカーブロック103のキャリア搬送機構111は、ロードポート109から載置棚119に第1キャリアCを搬送する。ここで、第1キャリアCは、25枚の基板W1を収納する。
【0168】
オープナ115のシャッタ151は、第1キャリアCのドアDRを取り外す。その後、基板検出センサ部153(センサ昇降部153Cおよびセンサ進退部153D)は、図16(b)に示すように、センサ本体153AをキャリアC内に進入させる。その後、センサ昇降部153Cは、センサ本体153Aを上昇または下降させることで、第1キャリアC内の基板W1の有無を検出する。
【0169】
また、基板検出センサ部153は、溝SL50に対応する基板W1(対応基板)が第1キャリアC内に無いこと(第1の基板無し状態)を検出することが可能である。基板処理装置1Aの記憶部には、処理基板群の形成手法に基づいて、フェース・ツー・フェース方式でかつハーフピッチで整列された基板W(処理基板群)と、第1キャリアCの基板W1(第1基板群)と、第1キャリアCの基板W2(第2基板群)との対応関係が記憶されている。そのため、基板処理装置1Aは、第1キャリアC内で所定の基板W1が無い場合、その基板W1が処理基板群のどの位置の基板W1が無いか判定することができる。
【0170】
なお、図18(a)~図18(f)に示す処理基板群の形成手法において、第1基板群の基板W1は、各保持部材7の奇数の溝SL1,SL3,SL5,・・・.SL47,SL49で保持される。また、第2基板群の基板W2は、各保持部材7の偶数の溝SL2,SL4,SL6,・・・,SL48,SL50で保持される。
【0171】
〔ステップS42〕姿勢変換機構への第1基板群の搬送
図18(a)に示すように、基板ハンドリング機構HTRは、バッチハンド125を用いて、載置棚119に載置された第1キャリアCから姿勢変換機構117の姿勢変換部137に25枚の基板W1を一括して搬送する。ここで、基板検出センサ部153は、溝SL50に対応する基板W1(対応基板W1)が第1キャリアCに無いことを検出しない。そのため、ダミー基板100の挿入は行われない。
【0172】
〔ステップS43〕第1基板群の鉛直姿勢への姿勢変換
その後、姿勢変換部137は、25枚の基板W1を水平姿勢から鉛直姿勢に変換する。図18(b)を参照する。その後、プッシャ機構139の昇降回転部139Bは、プッシャ139Aを上昇させることで、姿勢変換部137から鉛直姿勢の25枚の基板W1を受け取る。図18(c)を参照する。その後、昇降回転部139Bは、鉛直軸AX3周りに25枚の基板W1を180度回転させる。
【0173】
〔ステップS44〕第2キャリア内の基板の有無の検出
第1キャリアCから25枚の基板W1が搬送された後、オープナ115のシャッタ151は、第1キャリアCに対してドアDRを取り付ける。その後、キャリア搬送機構111は、空の第1キャリアCを保管棚113に搬送する。その後、キャリア搬送機構111は、ロードポート9から載置棚119に第2キャリアCを搬送する。ここで、第2キャリアCは、最大で25枚の基板W2を収納することができる。しかし、第2キャリアCには、第2基板群の24枚の基板W2が収納されているとする。
【0174】
その後、オープナ115のシャッタ151は、第2キャリアCのドアDRを取り外す。その後、基板検出センサ部153は、第2キャリアC内の基板W2の有無を検出する。そして、基板検出センサ部153は、溝SL50に対応する基板W2(対応基板W2)が第2キャリアC内に無いこと(第1の基板無し状態)を検出する。
【0175】
〔ステップS45〕姿勢変換機構への第2基板群の搬送
図18(c)に示すように、基板ハンドリング機構HTRは、バッチハンド125を用いて、第1キャリアCに代えて載置棚119に載置された第2キャリアCから姿勢変換機構117の姿勢変換部137に24枚の基板W2を一括して搬送する。
【0176】
〔ステップS46〕ダミー基板の挿入
その後、基板検出センサ部153が溝SL50に対応する対応基板W2が第2キャリアCに無いことを検出したときは、基板処理装置1Aは、次のように動作する。すなわち、第2キャリアCから24枚の基板W2が搬送された後、オープナ115のシャッタ151は、第2キャリアCに対してドアDRを取り付ける。その後、キャリア搬送機構111は、空の第2キャリアCを保管棚113に搬送する。その後、キャリア搬送機構111は、保管棚113から載置棚119に1枚以上のダミー基板100が収納されたダミー基板用キャリアCDを搬送する。
【0177】
その後、オープナ115のシャッタ151は、ダミー基板用キャリアCDのドアDRを外す。そして、基板ハンドリング機構HTRは、枚葉ハンド127を用いて、姿勢変換部137に搬送された24枚の基板W2の列の対応基板W2がない部分にダミー基板100を搬送する。具体的に説明する。基板ハンドリング機構HTRは、枚葉ハンド127を用いて、第2キャリアCに代わって載置棚119に載置されたダミー基板用キャリアCDからダミー基板100を取り出す。その後、図18(d)に示すように、基板ハンドリング機構HTRは、姿勢変換部137の鉛直保持部137Cの複数対の保持溝のうちの対応基板W2(各保持部材7の溝SL50に対応する基板W2)がない保持溝(部分)にそのダミー基板100を搬送する。
【0178】
〔ステップS47〕第2基板群の鉛直姿勢への姿勢変換
図18(e)を参照する。25枚の基板W1(第1基板群)を鉛直姿勢で保持するプッシャ139Aは、プッシャ機構139の昇降回転部139Bによって、姿勢変換部137の保持部137B,137Cの下方に下降されている。24枚の基板W2とダミー基板100が姿勢変換部137に搬送された後、姿勢変換部137は、24枚の基板W2とダミー基板100を水平姿勢から鉛直姿勢に変換する。
【0179】
図18(f)を参照する。その後、昇降回転部139Bは、プッシャ139Aを上昇させることで、姿勢変換部137から鉛直姿勢の24枚の基板W2(第2基板群)とダミー基板100とを更に受け取る。これにより、第1基板群と第2基板群とダミー基板100とが組み合わされて、ハーフピッチでかつフェース・ツー・フェース方式で整列された処理基板群(49枚の基板W1,W2と1枚のダミー基板100)が形成される。プッシャ機構139の水平移動部139Cは、移載ブロック5内に定められた基板受け渡し位置PPに処理基板群を搬送する。
【0180】
ステップS48,S49は、実施例2のステップS26,S27と同様の処理が行われる。なお、ステップS48のエッチング処理の際に、ダミー基板100はカウントせずに、49枚の基板Wに応じた燐酸を補充する。また、ステップS49の洗浄処理および乾燥処理において、基板保持部5の各保持部材7は、50個の溝SL1~SL50で49枚の基板Wとダミー基板100を保持する。この際、先端基板WTは、図15に示すように、溝(スロット)SL49で保持される。ダミー基板100は、溝SL50で保持される。ダミー基板100により、パーティクルが基板W(先端基板WT)に付着することを防止することができる。
【0181】
〔ステップS50〕水平姿勢への姿勢変換
その後、搬送機構WTRは、2個の洗浄処理部BT2,BT4の2個の基板保持部5の一方から処理基板群を受け取り、その処理基板群を姿勢変換機構117に搬送する。プッシャ139Aは、水平移動部139Cによって、基板受け渡し位置PPに移動されている。プッシャ139Aは、搬送機構WTRによって搬送された処理基板群の49枚の基板W(W1,W2)とダミー基板100とを鉛直姿勢で保持する。
【0182】
姿勢変換機構117は、例えば、図18(f)から図18(a)に向かう順番で動作する。すなわち、姿勢変換機構117は、処理基板群から第2基板群の24枚の基板W2と1枚のダミー基板100とを抜き出し、これらを水平姿勢から鉛直姿勢に変換する。その後、姿勢変換機構117は、第1基板群の25枚の基板W1を鉛直姿勢から水平姿勢に変換する。なお、姿勢変換機構117は、第2基板群よりも先に空のキャリアCに第1基板群を戻すために、処理基板群から第1基板群の25枚の基板W1を抜き出してもよい。
【0183】
〔ステップS51〕キャリアへの基板搬送
キャリア搬送機構111は、第1キャリアC、第2キャリアCおよびダミー基板用キャリアCDのいずれか1つを載置棚119に選択的に搬送する。基板ハンドリング機構HTRは、枚葉ハンド127を用いて、姿勢変換部137から載置棚119のダミー基板用キャリアCDにダミー基板100を搬送する。また、基板ハンドリング機構HTRは、バッチハンド125を用いて、姿勢変換部137から載置棚119の第2キャリアCに第2基板群の24枚の基板W2を搬送する。更に、基板ハンドリング機構HTRは、バッチハンド125を用いて、姿勢変換部137から載置棚119の第1キャリアCに第1基板群の25枚の基板W1を搬送する。
【0184】
キャリア搬送機構111は、ダミー基板100が収納されたダミー基板用キャリアCDを保管棚113に搬送する。また、キャリア搬送機構111は、処理済の基板W1が収納された第1キャリアCと、処理済の基板W2が収納された第2キャリアCとをロードポート109に各々搬送する。外部搬送機構は、ロードポート109に各々搬送された2個のキャリアCを次の目的地に順番に搬送する。
【0185】
本実施例によれば、基板保持部5の各保持部材7の50個の溝SL1~SL50は、各保持部材7の先端部7A側の最も端に位置する溝SL50(先端保持溝)を有する。基板検出センサ部153が溝SL50に対応する対応基板W2が第2キャリアCに無いことを検出したときは、基板ハンドリング機構HTRは、姿勢変換機構117に搬送された第2基板群の列の対応基板Wがない部分にダミー基板100を搬送する。これにより、先端基板WTと、各保持部材7の先端部7A側が対向するチャンバ3の側壁3Aとの間にダミー基板100を自動的に配置することができる。また、基板処理装置1Aは、ダミー基板用キャリアCDを備え、ダミー基板用キャリアCDは、遮蔽用のダミー基板100を収納する。ダミー基板100は、処理槽2で一括して処理される複数の基板Wに選択的に加えられる。そして、処理槽2で処理された後、ダミー基板100は、49枚の基板Wとは別に、ダミー基板用キャリアCDに戻される。そのため、処理槽2を囲うチャンバ3内に遮蔽板71を常設することなく、パーティクルが先端基板WTに付着することを防止することができる。
【0186】
なお、本実施例において、基板検出センサ部153が溝SL50に対応する基板W2が第2キャリアCに無いことを検出しなかった場合、例えば、1組の50枚の基板W1,W2には、ダミー基板100が挿入されない。これは、図2(a)に示すように、デバイス面が保持部材7の先端部7A側に向く例えば溝SL49のデバイス面が溝SL50で保持される基板W1で保護されるためである。また、溝SL50で保持される基板W1のデバイス面が溝SL49で保持される基板W2を向くので、溝SL50で保持される基板W1のデバイス面にパーティクルが付着することを防止する。この場合、溝SL50で保持される基板W1の裏面には、パーティクルが付着するが、本実施例では、このパーティクルの付着は許容されている。
【0187】
なお、図18(a)~図18(f)の処理基板群の作成手法では、第2キャリアCに収納される第2基板群の1枚の基板W2が溝SL50に対応する対応基板W2に該当した。この点、例えば、図18(f)の状態で、鉛直姿勢の基板W(W1,W2)が鉛直軸AX3周りに180度回転される場合、第1基板群の基板W1が溝SL50に対応する対応基板W1に該当する。
【実施例0188】
次に、図面を参照して本発明の実施例4を説明する。なお、実施例1~3と重複する説明は省略する。
【0189】
図19は、リフタ4の基板保持部5を示す左側面図である。図20(a)~図20(f)は、実施例4に係る姿勢変換機構117のダミー基板100の挿入を含む動作を説明するための側面図である。
【0190】
実施例3では、基板検出センサ部153が溝SL50に対応する対応基板W(W2)が第2キャリアCに無いことを検出した場合に、基板ハンドリング機構HTRは、姿勢変換部137に搬送された第2基板群の列の対応基板W2(溝SL50に対応する)がない部分に1枚のダミー基板100を搬送した。溝SL48,SL49に対応する基板Wが無い場合も同様で有る。この点、実施例3では、図19に示すように、基板検出センサ部153が溝SL50だけでなく例えば2個の溝SL48~SL49に対応する基板W(対応基板W)が無いことを検出した場合に、基板ハンドリング機構HTRは、1枚のダミー基板100を搬送する。
【0191】
図19を参照する。例えば、リフタ4の基板保持部5は、47個の溝SL1~SL47で47枚の基板Wを保持している。すなわち、基板保持部5の3個の溝SL48~SL50は各々、基板Wを保持していない。この場合、基板処理装置1Aは、2個の溝SL48,SL50のいずれかにダミー基板100を配置するように動作する。
【0192】
図16(a)に示される基板検出センサ部153は、溝SL50に対応する対応基板がキャリアC内に無いこと(第1の基板無し状態)を検出することが可能である。更に、基板検出センサ部153は、50個の溝SL1~SL50のうちの先端基板WTを保持する溝(先端保持溝)と溝SL50との間の1個以上の溝に対応する第2対応基板Wが第1キャリアCおよび第2キャリアの少なくとも一方に無いこと(第2の基板無し状態)を検出することが可能である。例えば、図19において、溝SL50に対応する対応基板Wがないこと、および、先端基板WTを保持する溝SL47と溝SL50との間の2個の溝SL48,SL49に対応する第2対応基板Wが無いことが、基板検出センサ部153によって検出される。基板ハンドリング機構HTRは、枚葉ハンド127を用いて、第2基板群の複数の基板W2の列の溝SL48,SL50のいずれかに対応する部分に1枚のダミー基板100を搬送する。
【0193】
次に、図17のフローチャートを参照しながら、本実施例の基板処理装置1Aの動作について説明する。
【0194】
キャリア搬送機構111は、第1キャリアCを載置棚119に搬送する。基板検出センサ部153は、載置棚119に載置された第1キャリアCに対して上下方向に移動しながら、第1キャリアCに収納される基板W1の有無を検出する。これにより、基板検出センサ部153は、各保持部材7の溝SL49に対応する対応基板W1が無いことを検出する(ステップS41)。
【0195】
その後、図20(a)に示すように、基板ハンドリング機構HTRは、バッチハンド125を用いて、載置棚119に載置された第1キャリアCから姿勢変換部137に第1基板群の24枚の基板W1を搬送する(ステップS42)。その後、姿勢変換部137は、搬送された24枚の基板W1を水平姿勢から鉛直姿勢に変換する。図20(b)に示すように、プッシャ機構139は、鉛直姿勢に変換された24枚の基板W1をプッシャ139Aで受け取る。図20(c)に示すように、プッシャ機構139は、プッシャ139Aで保持される鉛直姿勢の24枚の基板W1を鉛直軸AX3周りに回転させる(ステップS43)。
【0196】
その後、キャリア搬送機構111は、第1キャリアCに代えて第2キャリアCを載置棚119に搬送する。基板検出センサ部153は、載置棚119に載置された第2キャリアCに対して上下方向に移動しながら、第2キャリアCに収納される基板W2の有無を検出する。これにより、基板検出センサ部153は、各保持部材7の溝SL48,50に対応する対応基板Wが無いことを検出する(ステップS44)。
【0197】
その後、図20(c)に示すように、基板ハンドリング機構HTRは、バッチハンド125を用いて、載置棚119に載置された第1キャリアCから姿勢変換部137に第1基板群の23枚の基板W2を搬送する(ステップS45)。ここで、ステップS44により、溝SL50に対応する対応基板Wがないこと(第1の基板無し状態)、および、先端基板WTを保持する溝SL47と溝SL50との間の2個の溝SL48,SL49に対応する第2対応基板が無いこと(第2の基板無し状態)が、基板検出センサ部153によって検出された。
【0198】
この場合、図20(d)に示すように、基板ハンドリング機構HTRは、枚葉ハンド127を用いて、対応基板Wが無い3個の溝SL48~SL50のうちの先端基板WTに最も近い偶数番号である例えば溝SL48に対応する対応基板W2が無い部分にダミー基板100を搬送する(ステップS46)。また、溝SL50に対応する基板Wがない部分にダミー基板100が搬送されてもよい。また、例えば、連続する5個の溝SL46~SL50に対応する対応基板Wが無い場合、溝SL46,LS48,LS50に対応する対応基板W2がない部分のいずれかにダミー基板100が搬送されてもよい。
【0199】
その後、図20(e)に示すように、姿勢変換部137は、搬送された23枚の基板W2および1枚のダミー基板100を水平姿勢から鉛直姿勢に変換する。図20(f)に示すように、プッシャ機構139は、鉛直姿勢に変換された23枚の基板W2および1枚のダミー基板100をプッシャ139Aで受け取る(ステップS47)。
【0200】
これにより、第1基板群と第2基板群とダミー基板100とが組み合わされて、ハーフピッチでかつフェース・ツー・フェース方式で整列された処理基板群(47枚の基板W1,W2と1枚のダミー基板100)が形成される。この後の説明は、実施例3と同じなので省略する。
【0201】
本実施例によれば、基板検出センサ部153は、溝SL50(先端保持溝)に対応する対応基板が第2キャリアCに無いこと(第1の基板無し状態)を検出することが可能である。基板検出センサ部153は、50個の溝SL1~SL50のうちの先端基板WTを保持する例えば溝SL47と溝SL50との間の例えば2個の溝SL48,SL49(1個以上の溝)に対応する2枚の第2対応基板(1枚以上の第2対応基板)が第1キャリアCおよび第2キャリアC内に無いこと(第2の基板無し状態)を検出することが可能である。基板検出センサ部153が第1の基板無し状態および第2の基板無し状態を検出したときは、基板ハンドリング機構HTRは、姿勢変換機構117に搬送された第2基板群の列における第1対応基板および第2対応基板のいずれかが無い部分にダミー基板を搬送する。
【0202】
ダミー基板100は例えば溝SL48,50のいずれかに挿入されることができる。ダミー基板100が溝SL50に保持されるとき、ダミー基板100は、保持部材7の先端部7A側で滞留した雰囲気の近くで、その雰囲気を遮蔽することができる。また、基板W1,W2の枚数に関わらず同じ位置でパーティクルの付着を防止することができる。また、先端基板WTの近くにダミー基板100が配置されると、先端基板WTの近くからパーティクルを防止できる。
【0203】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0204】
(1)上述した実施例では、基板保持部5の保持部材7は、複数の基板Wとして、例えば50枚の基板Wを保持できるように構成された。この点、例えば25枚の基板Wを保持できるように構成されていてもよい。この場合、保持部材7は、10mm間隔で25個の溝を設けてもよい。
【0205】
(2)上述した実施例および変形例(1)では、保持部材7は49枚(奇数枚)の基板Wを保持した。これにより、先端基板WTのデバイス面へのパーティクルの付着を防止した。この点、保持部材7は50枚(偶数枚)の基板Wを保持してもよい。これにより、先端基板WTの「裏面」へのパーティクルの付着を防止することができる。
【0206】
(3)上述した実施例および各変形例では、保持部材7は49枚の基板Wを保持した。奇数のスロットの基板Wのデバイス面を保持部材7の基端部7Bから先端部7Aに向かう方向(-Y方向)に向けた。また、偶数のスロットの基板Wのデバイス面を基端部7Bに向かう方向(+Y方向)に向けた。すなわち、隣接する2枚の基板Wの2つのデバイス面または2つの裏面を対向させた。この点、49枚の基板Wの全てを先端部7Aに向かう方向(-Y方向)に向けてもよい。また、49枚の基板Wの全てを基端部7Bに向かう方向(+Y方向)に向けてもよい。すなわち、隣接する2枚の基板Wのデバイス面と裏面が対向する。
【0207】
(4)上述した実施例および各変形例の遮蔽板71は、次のように構成されていてもよい。すなわち、図21(a)に示すように、遮蔽板95は、本体95Aと、円柱部95Bとを備えてもよい。円柱部95Bは、基板保持部5側に配置され、先端基板WTと対向する。円柱部95Bの直径は、各基板Wの直径と略同じである。これにより、図21(b)に示すように、乾燥位置H1に位置する複数の基板Wを搬送ロボットが搬送する時に、搬送ロボットの2本のアーム96が遮蔽板95と干渉しないことを更に実現できる。図21(b)は、図21(a)の矢印AR1の方向に見た図である。
【0208】
(5)上述した実施例および各変形例では、液排出口76は、複数の吐出口75と同じ方向を向いていた。この点、図22に示すように、液排出口76は、複数の吐出口75と異なる方向(例えば下方向)を向いていてもよい。これにより、結露した溶剤の液体をパーティクル付着の問題などの基板Wに影響がない方向に向けることができる。また、撥水剤蒸気ノズル33の第2液排出口86も、複数の第2吐出口85と異なる方向を向いていてもよい。
【0209】
(6)上述した実施例および各変形例では、排気口47は、図3に示すように、チャンバ3の側壁3Aに設けられた。この点、図7に示す領域91で流速が遅くなり、それにより、雰囲気が滞留しやすくなっていれば、排気口47は、保持部材7の先端部7A側と対向する側壁3Aに設けられなくてもよい。
【0210】
(7)上述した各実施例および各変形例では、図2(a)の矢印AR1に示すように、背板9側から複数の基板Wを見たときに、背板9は、各基板Wの一部を覆うように形成されていた。この点、背板9は、各基板Wの全体を覆うように形成されてもよい。
【0211】
(8)上述した各実施例および各変形例では、遮蔽板71の上端72は、チャンバの天井面3Eに到達するように配置された。この点、遮蔽板71の上端は、先端基板WTの上端よりも高い位置に配置されてもよい。ノズル31,32,33の液排出口76,86から吐出されたミスト状の溶剤が、先端基板WTの上端よりも高い遮蔽板71を乗り越えて複数の基板Wに向かうことを防止できる。
【0212】
(9)上述した各実施例および各変形例では、遮蔽板71の上端72は、チャンバの天井面3Eに到達するように配置された。この点、遮蔽板71の上端72は、不活性ガスノズル27の上端よりも高い位置に配置されてもよい。ノズル31,32,33の液排出口76,86から吐出されたミスト状の溶剤が、不活性ガスノズル27の上端よりも高い遮蔽板71を乗り越えて複数の基板Wに向かうことを防止できる。
【0213】
(10)上述した各実施例および各変形例では、基板処理装置1は、4本の溶剤蒸気ノズル31,32を備えた。この点、基板処理装置1は、1本または複数本の溶剤蒸気ノズル31を備えていてもよい。噴出管13、不活性ガスノズル27、および撥水剤蒸気ノズル33も同様である。
【0214】
(11)上述した各実施例および各変形例では、ダミー基板100は、ダミー基板用キャリアCDに収納されると共に、ダミー基板用キャリアCDは、ストッカーブロック103の保管棚113に保管されていた。この点、図10の二点鎖線で示すように、基板処理装置1Aは、基板ハンドリング機構HTRがアクセス可能な位置に基板バッファ部(キャリアを含む)160を備えてもよい。この場合、基板バッファ部160は、鉛直方向Zに配置された複数の基板載置棚を備えている。複数の基板載置棚は各々、1枚のダミー基板100を載置できるように構成される。これにより、ダミー基板100が必要な場合に、基板ハンドリング機構HTRは、ダミー基板100を直ぐに搬送することができる。
【0215】
(12)上述した各実施例および各変形例では、1枚のダミー基板100が挿入された。この点、2枚以上のダミー基板100が挿入されてもよい。図23に示すように、例えば、基板保持部5の保持部材7は、47枚の基板Wおよび3枚のダミー基板100を50個の溝SL1~SL50で保持してもよい。基板保持部5の保持部材7が2枚以上の基板Wを保持していない場合に、保持部材7は、1枚のダミー基板100を保持するのではなく、複数のダミー基板100を保持するので、1枚のダミー基板100に比べて整流機能を向上させることができる。
【0216】
(13)上述した各実施例および各変形例では、洗浄処理部BT2,BT4は各々、ハーフピッチでかつフェース・ツー・フェース方式で配置された複数の基板Wおよび1枚のダミー基板100を一括して処理した。この点、洗浄処理部BT2,BT4は各々、ハーフピッチでかつフェース・ツー・バック方式で配置された複数の基板Wおよび1枚のダミー基板100を一括して処理してもよい。フェース・ツー・バック方式は、全ての基板Wが同じ方向を向いて配置される方式である。
【0217】
また、洗浄処理部BT2,BT4は各々、フルピッチでかつフェース・ツー・バック方式で配置された1個のキャリア分の25枚の基板Wを一括して処理してもよい。フェース・ツー・バック方式の場合、基板Wの向きは、先端部7A側を向いていてもよいし、基端部7B側を向いていてもよい。
【0218】
(14)上述した各実施例および各変形例において、遮蔽用のダミー基板100以外の複数(例えば50枚または49枚)の基板Wは、基板処理の状態をチェックするためのチェック用のダミー基板を含んでいてもよい。チェック用のダミー基板は、第1キャリアCまたは第2キャリアCに収納されている。また、チェック用のダミー基板は、ダミー基板用キャリアCDに戻されない。
【符号の説明】
【0219】
1,1A … 基板処理装置
2 … 処理槽
3 … チャンバ
5 … 基板保持部
7 … 保持部材
7A … 先端部
7B … 基端部
9 … 背板
31,32 … 溶剤蒸気ノズル
33 … 撥水剤蒸気ノズル
47 … 排気口
51 … 排気ポンプ
61 … 制御部
71,95 … 遮蔽板
72 … 上端
73 … 管部
AX … 管軸
75 … 吐出口
76 … 液排出口
78 … 領域
83 … 第2管部
85 … 第2吐出口
86 … 第2液排出口
WT … 先端基板
RT … 移動経路
AR2 … デバイス面の向き
H1 … 乾燥位置
H2 … 処理位置
100 … ダミー基板
HTR … 基板ハンドリング機構
117 … 姿勢変換機構
119 … 載置棚
137 … 姿勢変換部
139 … プッシャ機構
153 … 基板検出センサ部
WTR … 搬送機構
C … キャリア
SL1~SL51 … 溝
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