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特開2023-181049ハードディスクドライブ用のジンバルアセンブリ形状
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181049
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ハードディスクドライブ用のジンバルアセンブリ形状
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/21 20060101AFI20231214BHJP
   G11B 5/60 20060101ALI20231214BHJP
   G11B 21/10 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
G11B21/21 D
G11B21/21 C
G11B5/60 P
G11B21/10 N
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022153786
(22)【出願日】2022-09-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】17/838,042
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517151084
【氏名又は名称】マグネコンプ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MAGNECOMPCORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クエン チー イー
(57)【要約】
【課題】ジンバルアセンブリを提供すること。
【解決手段】ジンバルアセンブリは、基部、先端部および取付部を有するフレームと、ネック領域によって先端部に接合されたクロスバーとを含む。クロスバーおよびネック領域の部分は、ネック領域の最小幅Dの点からクロスバーの縁部が略直線になる点までそれぞれ延在する移行縁部領域を画定する。移行縁部領域の各々は、移行長aおよび移行幅bを含む。フレームは、ネック領域と、0.6mmの長さを有するとともにネック領域を中心とするクロスバーの一部とを含み、さらに総面積Aと、重心Cと、重心Cとネック領域の遠方側との間の重心距離Hとを有する関心領域を備える。クロスバーおよびネック領域は、0.05未満の設計指標を満たす形状を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジンバルアセンブリであって、
厚さtを有するステンレス鋼のフレームを備えており、前記フレームはさらに、基部と、先端部と、基部と先端部との間に配置された取付部と、湾曲した対向縁部を有するネック領域によって先端部に接合されたクロスバーと、を有しており、
前記クロスバーとネック領域の部分は、ネック領域の湾曲した対向縁部の間の最小幅Dの第1の点から、クロスバーの縁部に沿って、ネック領域から離れる方向に延びるクロスバーの縁部が略直線になる第2の点までそれぞれ延びる1対の移行縁部領域を画定し、
前記移行縁部領域の各々は、最小幅Dが延びる方向と平行な第1の方向における移行長a、および第1の方向に対して直交する第2の方向における移行幅bを有しており、
前記フレームは、ネック領域と、0.6mmの長さを有するとともに前記ネック領域の中心に位置する前記クロスバーの一部と、を有する関心領域を含んでおり、
前記関心領域は、総面積A、関心領域内のすべての点の算術平均位置である重心C、および重心Cと前記ネック領域の遠方側との間の距離である重心距離Hを有しており、
前記クロスバーおよびネック領域は、
【数1】
で表すような形状を有している、ジンバルアセンブリ。
【請求項2】
前記取付部に取り付けられたスライダをさらに備えている、請求項1に記載のジンバルアセンブリ。
【請求項3】
ロードビームをさらに備えており、前記先端部は、該先端部がロードビームに溶接される溶接位置を含んでいる、請求項2に記載のジンバルアセンブリ。
【請求項4】
前記基部は、該基部が前記ロードビームに溶接される複数の溶接位置を含んでいる、請求項3に記載のジンバルアセンブリ。
【請求項5】
前記クロスバーは、前記先端部と前記取付部との間に配置されている、請求項1に記載のジンバルアセンブリ。
【請求項6】
前記先端部は、前記クロスバーと前記取付部との間に配置されている、請求項1に記載のジンバルアセンブリ。
【請求項7】
ジンバルアセンブリであって、
厚さtを有するステンレス鋼のフレームを備えており、前記フレームはさらに、基部と、先端部と、基部と先端部との間に配置された取付部と、湾曲した対向縁部を有するネック領域によって先端部に接合されたクロスバーと、を有しており、
前記クロスバーとネック領域の部分は、ネック領域の湾曲した対向縁部の間の最小幅Dの第1の点から、クロスバーの縁部に沿って、ネック領域から離れる方向に延びるクロスバーの縁部が略直線になる第2の点までそれぞれ延びる1対の移行縁部領域を画定し、
前記移行縁部領域の各々は、最小幅Dが延びる方向と平行な第1の方向における移行長a、および第1の方向に対して直交する第2の方向における移行幅bを有しており、
前記フレームは、ネック領域と、移行縁部領域の間に延びるクロスバーの一部と、を有する関心領域を含んでおり、
前記関心領域は、総面積A、関心領域内のすべての点の算術平均位置である重心C、および重心Cと前記ネック領域の遠方側との間の距離である重心距離Hを有しており、
前記クロスバーおよびネック領域は、
【数2】
で表すような形状を有している、ジンバルアセンブリ。
【請求項8】
前記取付部に取り付けられたスライダをさらに備えている、請求項7に記載のジンバルアセンブリ。
【請求項9】
ロードビームをさらに備えており、前記先端部は、該先端部がロードビームに溶接される溶接位置を含んでいる、請求項8に記載のジンバルアセンブリ。
【請求項10】
前記基部は、該基部が前記ロードビームに溶接される複数の溶接位置を含んでる、請求項9に記載のジンバルアセンブリ。
【請求項11】
前記クロスバーは、前記先端部と前記取付部との間に配置されている、請求項7に記載のジンバルアセンブリ。
【請求項12】
前記先端部は、前記クロスバーと前記取付部との間に配置されている、請求項7に記載のジンバルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年6月10日に出願された米国特許出願第17/838,042号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(発明の分野)
本開示は、ハードディスクドライブに関し、より詳細にはハードディスクドライブ用のサスペンションアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(HDD)は、磁気表面を有する1つまたは複数の円形ディスク上にデジタル符号化データを記憶する不揮発性記憶装置である。動作中、各ディスクは高速で回転する。ディスクへのデータの読み書きは、サスペンションアセンブリによってディスクの特定の位置に配置されるとともに、アクチュエータによって回転される読み書きヘッドを使用して行われる。サスペンションアセンブリは、ロードビームを含む。動作中、アクチュエータは、ロードビームの遠位端をディスクの所望の部分(例えば、ディスク表面の円形トラックのうちの1つ)上に位置決めする。ジンバルアセンブリは、ロードビームの遠位端に取り付けられる。ジンバルアセンブリは、読み書きヘッドを含むスライダ、および(アクチュエータによるスライダのより緩やかな位置決めとは対照的に)スライダの微細な位置決めのためにジンバルアセンブリの一部を回転させるPZTデバイスなどの構成要素を含む。スライダと回転するディスクとの間の空気粘性による圧力で、スライダはディスクの表面で(近接して)ホバリングする。ロードビームは比較的剛性であるが、ジンバルアセンブリはより可撓性であるため、スライダは、ディスク表面のすぐ上でその動作距離を維持するために、ディスク表面上を浮遊しながらピッチとローリングができるようになっている。
【0003】
図1および2は、従来のサスペンションアセンブリ2を示しており、サスペンションアセンブリ2は、ベースプレート8に接続されるヒンジ6によって近位端で終端するロードビーム4を有している。ジンバルアセンブリ10(読み取り/書き込みヘッドを備えたスライダを含む)は、ロードビーム4の遠位端に取り付けられる。ベースプレート8は、アクチュエータ(図示せず)によって動かされるアクチュエータアーム12に接続されている。図2に最もよく示されるように、ジンバルアセンブリ10は、スライダ14が(例えば、接着剤によって)取り付けられるシートメタル(例えば、ステンレス鋼)の薄い構成要素を備える。フレックス回路16(すなわち、電気トレース)は、読み取り/書き込みヘッドおよびPZTへの電気信号通信のために、ロードビーム4およびジンバルアセンブリに沿って延びる。
【0004】
ジンバルアセンブリ10は、3つの溶接位置18、20、22で溶接することによってロードビーム4に取り付けることができる。剛性を高めるためにヒンジに向かう位置に溶接部を追加することもできる(図示せず)。そのような溶接による取り付けは、ロードビーム4とジンバルアセンブリ10との間のスポット溶接であってもよい。溶接部18、20の2つは、ジンバルアセンブリの基部(ロードビーム4の近位端により近い)に位置し、3番目の溶接部22は、ジンバルアセンブリの遠位端およびロードビーム4の遠位端に位置する。この3番目の溶接部22は、先端溶接部22と呼ぶことができる。
【0005】
ジンバルアセンブリ10は、撓むことができるように低い剛性を示すように構成され、それにより、動作中にスライダ14がディスク表面上を浮動することが可能になる。しかしながら、ジンバルアセンブリは、特にサスペンションが非動作中にディスクから離れて停止しているときに、避けられない高い衝撃事象の際の大きな変形の応力に耐えることができなければならない。図3は、従来のジンバルアセンブリが(ディスクから離れた)停止位置にあるときに極端な衝撃を受けた場合の変形を示したものである。図3に示すように、衝撃事象中、ジンバルアセンブリ10は、ロードビーム4から離れるように曲がる。応力耐性には、ジンバルアセンブリの構成要素の永久的な変形を回避することも含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、ジンバルアセンブリの剛性と応力耐性のバランスをとることに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の問題および必要性は、厚さtを有するステンレス鋼のフレームを含むジンバルアセンブリによって解決される。フレームは、基部と、先端部と、基部と先端部との間に配置された取付部と、湾曲した対向縁部を有するネック領域によって先端部に接合されたクロスバーと、を含む。クロスバーおよびネック領域の部分は、1対の移行縁部領域を画定し、1対の移行縁部領域の各々はネック領域の湾曲した対向縁部間の最小幅Dの第1の点から、ネック領域から離れて延びるクロスバーの縁部が略直線になるクロスバーの縁部に沿った第2の点まで延びる。移行縁部領域の各々は、最小幅Dが延在する方向に平行な第1の方向における移行長aと、第1の方向に対して直交する第2の方向における移行幅bとを含む。フレームは、ネック領域を含む関心領域と、クロスバーのうちネック領域を中心とした長さが0.6mmの部分とを含む。関心領域は、総面積A、関心領域内のすべての点の算術平均位置である重心C、および重心Cとネック領域の遠方側との間の距離である重心距離Hを有する。クロスバーおよびネック領域は、次式に表すような形状を有している。
【0008】
【数1】
ジンバルアセンブリは、厚さtを有するステンレス鋼のフレームを含む。フレームは、基部と、先端部と、基部と先端部との間に配置された取付部と、湾曲した対向縁部を有するネック領域によって先端部に接合されたクロスバーと、を含む。クロスバーおよびネック領域の部分は、1対の移行縁部領域を画定し、1対の移行縁部領域の各々は、ネック領域の湾曲した対向縁部間の最小幅Dの第1の点から、ネック領域から離れて延びるクロスバーの縁部が略直線になるクロスバーの縁部に沿った第2の点まで延びる。移行縁部領域の各々は、最小幅Dが延在する方向に平行な第1の方向における移行長aと、第1の方向に対して直交する第2の方向における移行幅bとを含む。フレームは、ネック領域を含む関心領域と、移行縁部領域間に延在するクロスバーの部分とを含む。関心領域は、総面積A、関心領域内のすべての点の算術平均位置である重心C、および重心Cとネック領域の遠方側との間の距離である重心距離Hを有する。クロスバーおよびネック領域は、次式に表すような形状を有している。
【0009】
【数2】
本開示の他の目的および特徴は、明細書、特許請求の範囲、および添付の図面を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来のサスペンションアセンブリの斜視図である。
図2】従来のサスペンションアセンブリの底面図である。
図3】従来のサスペンションアセンブリの側面図である。
図4】本開示によるジンバルアセンブリの上面図である。
図5】ジンバルアセンブリの先端部形状を示す部分上面図である。
図6】ジンバルアセンブリの先端部形状を示す部分上面図である。
図7】Kr対剛性係数のグラフである。
図8】最大応力対応力係数のグラフである。
図9】最適化関数対設計指標(design metric)のグラフである。
図10】最適化関数対設計指標のグラフである。
図11】ロール剛性に対する厚さ効果のグラフである。
図12】厚さ効果対非動作応力のグラフである。
図13】ジンバルアセンブリの代替例の先端部形状を示す部分上面図である。
図14】代替例の最適化関数対設計指標のグラフである。
図15】ジンバルアセンブリの代替例の先端部形状を示す部分上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図4はジンバルアセンブリ30を示しており、ジンバルアセンブリ30は、基部34、先端部36、および基部34と先端部36との間に取付部32aを含む様々な部分を有するフレーム32を含んでおり、すべてステンレス鋼からなるシートメタルで形成されている。基部34は2つの溶接位置38、40を含み、先端部36は溶接位置42を含む。これらの溶接位置38、40、42において、フレーム32がロードビームに溶接される。フレーム32の取付部32aには、読み取り/書き込みヘッドを含むスライダ(上述したスライダ14と同様)が取り付けられている(図4では隠れていて見えない)。PZT(圧電素子)46は、フレーム32の2つの部分の間に取り付けられており、PZT46の伸縮によって、スライダが取り付けられたフレーム32の取付部32aを回転させる(スライダの微調整位置決めのため)。フレックス回路48は、PZT46およびスライダの読み取り/書き込みヘッドに接続され、これらとの間で電気信号を供給する電気トレースを含む。フレーム32は、ネック52によって先端部36に接続されたクロスバー50を含む。本開示は、従来のジンバルフレーム設計に対して優れた性能を提供する、先端部36、ネック52、およびクロスバー50の形状ならびに寸法に関する。
【0012】
図5は、ジンバルアセンブリフレーム32の先端部36、ネック領域52およびクロスバー50を示す。ネック領域52は、クロスバー50と先端部36とを接合するフレームの部分である。ネック領域52は、ネック領域52の湾曲した対向縁部52a間に最小幅Dを含む形状を有する。ネック領域の縁部52aは、最小幅Dが存在するネック領域52の中心に存在する曲率半径Rを有するフレーム32の縁部の部分(すなわち、フレーム32の縁部が真っ直ぐになり始めて先端部36の縁部36aおよびクロスバー50の縁部50aに移行する点まで)を含むことができる。ネック領域52の縁部52aおよびクロスバー50の縁部50aは、最小幅Dの点(本明細書では第1の点とも呼ばれる)からクロスバー50の縁部に沿った第2の点までそれぞれ延在する1対の移行縁部領域54を画定し、第2の点でネック領域52から離れて延在するクロスバー50の縁部は略直線になる。各移行縁部領域54は、最小幅Dが延在する方向(例えば、図5のy方向)に平行な第1の方向に移行長さ「a」を画定し、最小幅Dが延在する第1の方向に対して直交する第2の方向(例えば、図5のx方向)に移行幅「b」を画定する。
【0013】
ネック領域52およびクロスバー50の一部は、図6に示す関心領域56を共に画定する。関心領域56は、ネック領域52を含み、移行縁部領域54の遠端の間(すなわち、第2の点の間)のクロスバー50の部分を越えて延在する。具体的には、関心領域56は、D+(2・a)よりも長いクロスバー50に沿った長さLを有することができることが見出された。現代のディスクドライブのサイズ制約を考慮すると、クロスバー50に沿った関心領域56の長さLは、ネック領域の中心にあるときに0.6mmであり得ることがさらに認定されている。関心領域56は、総面積Aと、関心領域56内のすべての点の算術平均位置である重心Cとを有する。重心距離Hは、重心Cと関心領域56の遠方側(すなわち、ネック領域52の遠方側)との距離である。
【0014】
ネック領域52およびネック領域52からクロスバー50への移行部は、剛性および応力の両方に関してジンバルフレーム32の性能に強く影響を及ぼすことが分かっている。より具体的には、ネック領域52およびクロスバー50の形状、特に、上記で特定された幾何学的パラメータD、a、b、HおよびAを、これらの位置におけるフレーム32の厚さtとともに、ある基準を満たすように形成することによって、剛性および応力性能の向上が達成できると判断された。パラメータD、a、b、Hの単位はmmであり、Aの単位はmmである。
【0015】
溶接位置42付近のフレーム32の形状を、非動作時の衝撃事象における低いロール剛性および低い応力集中の2つの機械的性能要件とより良く関連付けるために、最適化関数が、式(1)(材料がステンレス鋼である場合)で表されるように最初に定義される。
【0016】
【数3】
ロール剛性は0.7uNm/deg、最大応力は650MPaで正規化される。ロール剛性と最大応力には、式(1)に示すように0.8と0.2の重み付け値(weighting value)が与えられている。式(1)に示すように、最適化関数の値を小さくすることで、Krと最大応力の組み合わせがより良くなる。
【0017】
次に、Kr(ロール剛性)および最大応力を、対象となる先端溶接領域の幾何学的パラメータと相関させる。剛性係数および応力係数は、Krと最大応力に相関するように、式(2)および式(3)で示すように別々に定義することができる。
【0018】
【数4】
【0019】
【数5】
図7および8は、Kr対剛性係数のプロット、および最大応力対応力係数のプロットを示す。
【0020】
式(2)および式(3)を式(1)に代入すると、式(4)に示すように、ロール剛性および最大応力を最適化するための設計指標dmが得られる。
【0021】
【数6】
本発明者は、設計指標dmが0.05未満である場合、先端溶接位置42に隣接するジンバルフレーム32の性能が、Krおよび最大応力の両方において優れていることを見出した。設計指標に対する最適化関数のプロットを図9に示す。
【0022】
最適化において応力がより重要な役割を果たす場合、式(1)で使用する重み付け値が変わる可能性があるため、式(5)に示すように重み付け値を0.6と0.4で比較を行い、図10にプロットした。図9図10を比較すると、データポイントが右と下にシフトしている。つまり、式(5)により、最適化目的を満たすことができる設計候補がより多く除外されることになる。
【0023】
【数7】
ステンレス鋼フレーム32の厚さが性能に影響を及ぼすことも判明している。異なるフレクシャ厚さを分析した結果を図11および12に示す。したがって、フレーム厚さt(tはμm単位)の影響を考慮して式(4)を展開すると、式(6)のようになる。
【0024】
【数8】
フレーム32(および特に先端部36、クロスバー50ならびにネック領域52)の形状が式(6)を満たす場合、優れた複合応力および剛性性能が実現される。
【0025】
図13および14は代替例を示す。関心領域58は、図6に示した領域よりも小さくすることができると判断された。具体的には、関心領域58は、図13に示すように、ネック領域52と、移行縁部領域54間に延在するクロスバー50の部分とを含むことができる。この代替例の関心領域58の面積Aが小さいことに対応するために、設計指標式を次のように定義することが決定された。
【0026】
【数9】
式(7)の設計指標に対する最適化関数のプロットを図14に示す。上記で定義されかつ図13に示すような関心領域58が、面積A、重心C、およびそこから生じる重心距離Hを有する場合、定義された形状は、式(7)が満たされると、優れた複合応力および剛性性能を提供する。
【0027】
図15は、溶接位置42を含む先端部36がクロスバー50の内側に配置される(すなわち、クロスバー50がフレーム32の遠端に位置し、先端部36がクロスバー50とスライダが取り付けられるフレーム32の取付部32aとの間に配置される)代替例を示す。
【0028】
本開示は、上述し、かつ本明細書に例示した実施例に限定されるものではなく、任意の請求項の範囲に属する任意のおよびすべての変形例を包含することを理解されたい。例えば、本明細書における本発明、実施形態または例への言及は、任意の請求項または請求項の用語の範囲を限定することを意図するものではなく、その代わりに、請求項のうちの1つまたは複数によってカバーされ得る1つまたは複数の特徴に言及することを意図するものである。上述した材料、プロセス、および数値例は例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【外国語明細書】