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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181060
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】撮像素子および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/70 20230101AFI20231214BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H04N25/70
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202458
(22)【出願日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2022094466
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土師 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小野 健太
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118DD04
4M118FA06
4M118FA38
4M118GC07
4M118GD03
4M118GD04
4M118HA25
4M118HA33
5C024CY16
5C024GY31
5C024HX01
5C024HX51
(57)【要約】
【課題】チップ面積の増大を抑制可能な撮像素子を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態の撮像素子は、複数の光電変換部を有する第1基板と、前記光電変換部で生成された電荷に基づく信号を取得し、信号処理を行うことが可能な第1信号処理部を有し、前記第1基板に積層される第2基板と、信号処理を行うことが可能な第2信号処理部を有し、前記第2基板に積層される第3基板と、前記第2基板の回路と前記第3基板の回路とを接続する第1電極が複数設けられた第1接続部と、前記第2基板の回路と前記第3基板の回路とを接続する第2電極が複数設けられた第2接続部と、を備える。前記第1接続部の大きさと、前記第2接続部の大きさとは異なっている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換により電荷を生成可能な複数の光電変換部を有する第1基板と、
前記光電変換部で生成された電荷に基づく信号を取得し、信号処理を行うことが可能な第1信号処理部を有し、前記第1基板に積層される第2基板と、
信号処理を行うことが可能な第2信号処理部を有し、前記第2基板に積層される第3基板と、
前記第2基板の回路と前記第3基板の回路とを接続する第1電極が複数設けられた第1接続部と、
前記第2基板の回路と前記第3基板の回路とを接続する第2電極が複数設けられた第2接続部と、を備え、
前記第1接続部の大きさと、前記第2接続部の大きさとは異なっている
撮像素子。
【請求項2】
前記複数の光電変換部は、前記第1基板において、第1方向と前記第1方向と直交する第2方向に並んで設けられる
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
複数の前記第1電極は、第1方向に並んで設けられ、
複数の前記第2電極は、前記第1方向に並んで設けられる
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記第1方向において、前記第1接続部の長さと、前記第2接続部の長さとは異なっている
請求項3に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記第1信号処理部の少なくとも一部は、平面視において、前記第1接続部と前記第2接続部との間に設けられる
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記光電変換部を有し、光電変換された電荷に基づく信号を出力可能な複数の画素と、
前記第2基板に設けられ、前記画素から出力される信号をデジタル信号に変換可能なAD変換部と、を有する
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記第1信号処理部は、前記光電変換部で生成された電荷に基づく第1デジタル信号を取得し、信号処理を行うことが可能であり、
前記第2信号処理部は、前記第1接続部を介して前記光電変換部で生成された電荷に基づく第2デジタル信号を取得し、信号処理を行うことが可能である
請求項6に記載の撮像素子。
【請求項8】
前記第1接続部は、平面視において、前記AD変換部と前記第1信号処理部との間に設けられる
請求項6に記載の撮像素子。
【請求項9】
前記第2接続部は、平面視において、前記第1信号処理部に対して前記第1接続部と反対側に設けられる
請求項8に記載の撮像素子。
【請求項10】
前記第1接続部は、第1クロック信号に同期して入力された信号を、第2クロック信号に同期して出力可能な出力部を有し、
前記第2クロック信号の周波数は、第1クロック信号の周波数よりも低い
請求項6に記載の撮像素子。
【請求項11】
前記第2基板に設けられ、信号を圧縮可能な圧縮部と、
前記第3基板に設けられ、信号を解凍可能な解凍部と、を有し、
前記第1接続部は、前記圧縮部により圧縮された信号を前記解凍部へ伝えることが可能である
請求項6に記載の撮像素子。
【請求項12】
前記圧縮部は、前記AD変換部と前記第1信号処理部との間に設けられる
請求項11に記載の撮像素子。
【請求項13】
前記第3基板に設けられる第3信号処理部を有し、
前記第3信号処理部は、前記第2接続部を介して前記光電変換部で生成された電荷に基づく第3デジタル信号を取得し、信号処理を行うことが可能である
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項14】
前記第3信号処理部は、前記第3デジタル信号に基づいて認識処理が可能である
請求項13に記載の撮像素子。
【請求項15】
前記第1接続部は、平面視において、前記第2信号処理部と前記第3信号処理部との間に設けられる
請求項13に記載の撮像素子。
【請求項16】
前記第2接続部は、平面視において、前記第3信号処理部に対して前記第1接続部と反対側に設けられる
請求項13に記載の撮像素子。
【請求項17】
前記第2接続部は、シリアル信号をパラレル信号に変換可能な第1変換部、及びパラレル信号をシリアル信号に変換可能な第2変換部の少なくとも一方を有する
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項18】
前記第2基板に設けられ、前記第1信号処理部から出力される信号及び前記第2信号処理部から出力される信号の少なくとも一方を外部へ出力可能なインタフェース部を有し、
前記第1接続部は、平面視において、前記第1信号処理部と前記インタフェース部との間に設けられる
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項19】
前記第1電極及び前記第2電極は、それぞれ、前記第2基板を貫通する貫通電極と、前記貫通電極に接続される第1の接合用電極と、前記第1の接合用電極に接続される第2の接合用電極とを有する
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項20】
光電変換により電荷を生成可能な複数の光電変換部を有する第1基板と、
前記光電変換部で生成された電荷に基づく信号を取得し、信号処理を行うことが可能な第1信号処理部を有し、前記第1基板に積層される第2基板と、
信号処理を行うことが可能な第2信号処理部を有し、前記第2基板に積層される第3基板と、
前記第2基板の回路と前記第3基板の回路とを接続する第1電極が複数設けられた第1接続部と、
前記第2基板の回路と前記第3基板の回路とを接続する第2電極が複数設けられた第2接続部と、を備え、
前記第1接続部の大きさと、前記第2接続部の大きさとは異なっている
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像素子および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
画素アレイ部が配された第1チップと、AD変換器が配された第2チップと、メモリ部が配された第3チップとが積層された構造である3層の積層構造を有する撮像素子が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/007004号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像素子では、チップ面積の増大を抑えることが求められている。
【0005】
チップ面積の増大を抑制可能な撮像素子を提供することが望まれる。
【0006】
本開示の一実施形態の撮像素子は、光電変換により電荷を生成可能な複数の光電変換部を有する第1基板と、光電変換部で生成された電荷に基づく信号を取得し、信号処理を行うことが可能な第1信号処理部を有し、第1基板に積層される第2基板と、信号処理を行うことが可能な第2信号処理部を有し、第2基板に積層される第3基板と、第2基板の回路と第3基板の回路とを接続する第1電極が複数設けられた第1接続部と、第2基板の回路と第3基板の回路とを接続する第2電極が複数設けられた第2接続部と、を備える。第1接続部の大きさと、第2接続部の大きさとは異なっている。
本開示の一実施形態の電子機器は、光電変換により電荷を生成可能な複数の光電変換部を有する第1基板と、光電変換部で生成された電荷に基づく信号を取得し、信号処理を行うことが可能な第1信号処理部を有し、第1基板に積層される第2基板と、信号処理を行うことが可能な第2信号処理部を有し、第2基板に積層される第3基板と、第2基板の回路と第3基板の回路とを接続する第1電極が複数設けられた第1接続部と、第2基板の回路と第3基板の回路とを接続する第2電極が複数設けられた第2接続部と、を備える。第1接続部の大きさと、第2接続部の大きさとは異なっている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施の形態に係る電子機器の概略構成の一例を示す図である。
図2】本開示の実施の形態に係る撮像素子の概略構成の一例を示す図である。
図3】本開示の実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。
図4】本開示の実施の形態に係る撮像素子の画素の構成例を示す図である。
図5】本開示の実施の形態に係る撮像素子の断面構成の一例を示す模式図である。
図6】本開示の実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。
図7A】本開示の実施の形態に係る撮像素子のレイアウト例を示す図である。
図7B】本開示の実施の形態に係る撮像素子のレイアウト例を示す図である。
図7C】本開示の実施の形態に係る撮像素子のレイアウト例を示す図である。
図8】本開示の実施の形態に係る撮像素子における信号伝送の一例を説明するための図である。
図9】本開示の実施の形態に係る撮像素子における信号伝送の一例を説明するための図である。
図10】本開示の実施の形態に係る撮像素子の第1接続部の構成例を説明するための図である。
図11】本開示の実施の形態に係る撮像素子の第1接続部におけるタイミング調整の一例を示す図である。
図12A】本開示の実施の形態に係る撮像素子の第1接続部の構成例を示す図である。
図12B】比較例に係る撮像素子の第1接続部の構成例を示す図である。
図13】本開示の変形例1に係る撮像素子の構成例を説明するための図である。
図14】本開示の変形例2に係る撮像素子の第1接続部の構成例を説明するための図である。
図15A】本開示の変形例3に係る撮像素子のレイアウト例を示す図である。
図15B】本開示の変形例3に係る撮像素子のレイアウト例を示す図である。
図16】本開示の変形例4に係る撮像素子の第1接続部の構成例を説明するための図である。
図17】本開示の変形例5に係る撮像素子の構成例を説明するための図である。
図18A】本開示の変形例5に係る撮像素子の第1接続部の構成例を説明するための図である。
図18B】本開示の変形例5に係る撮像素子の第1接続部の動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
3.使用例
4.応用例
【0009】
<1.実施の形態>
図1は、本開示の実施の形態に係る電子機器の概略構成の一例を示す図である。電子機器10は、撮像素子1と、光学系201と、制御部202と、処理部203とを備える。光学系201は、光学レンズを含み、被写体からの光を撮像素子1に導く。
【0010】
撮像素子1は、受光素子を有する複数の画素を有し、入射した光を光電変換して信号を生成するように構成される。受光素子(受光部)は、入射した光を電荷に変換し得る。撮像素子1は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。撮像素子1は、光学系201を介して、被写体からの入射光(像光)を取り込む。撮像素子1は、光学レンズにより形成される被写体の像を撮像する。撮像素子1は、受光した光を光電変換して画素信号を生成する。
【0011】
制御部202は、撮像素子1の動作を制御可能に構成される。制御部202は、撮像素子1に制御信号を供給して撮像素子1を制御し、撮像素子1から画素の信号を出力させる。処理部203は、信号処理部であり、撮像素子1から出力される信号の信号処理を行うように構成される。制御部202及び処理部203は、例えば、プロセッサ及びメモリ(ROM、RAM等)を有し、プログラムに基づいて信号処理(情報処理)を行う。処理部203は、撮像素子1から出力される各画素の信号に対して各種の信号処理を行い、画像データを出力し得る。
【0012】
[撮像素子の概略構成]
図2は、実施の形態に係る撮像素子の概略構成の一例を示す図である。図2に示す例では、撮像素子1は、複数の画素Pが行列状に2次元配置された領域(画素部100)を、撮像エリアとして有している。各画素Pの受光素子(受光部)は、光電変換により電荷を生成可能な光電変換部である。光電変換部は、例えばフォトダイオードであり、光を光電変換可能に構成される。撮像素子1は、図2に示す例のように、画素部100の周辺領域に、例えば、垂直駆動部110、カラム信号処理部112、及び、信号処理ブロック113等を有している。
【0013】
撮像素子1には、例えば、複数の画素駆動線Lreadと、複数の垂直信号線VSLが設けられる。例えば、画素部100には、水平方向(行方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素行ごとに、複数の画素駆動線Lreadが配線される。また、画素部100には、垂直方向(列方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素列ごとに、垂直信号線VSLが配線される。画素駆動線Lreadは、画素Pからの信号読み出しのための駆動信号を伝送するように構成される。垂直信号線VSLは、画素Pからの信号を伝えることが可能な信号線である。垂直信号線VSLは、画素Pから出力される信号を伝送するように構成される。
【0014】
垂直駆動部110は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成される。垂直駆動部110は、画素部100の各画素Pを駆動するように構成される。垂直駆動部110は、画素駆動部であり、画素Pを駆動するための信号を生成し、画素駆動線Lreadを介して画素部100の各画素Pへ出力する。垂直駆動部110は、例えば、転送トランジスタを制御する信号、及びリセットトランジスタを制御する信号等を生成し、画素駆動線Lreadによって各画素Pに供給する。
【0015】
垂直駆動部110によって選択走査された各画素Pから出力される信号は、垂直信号線VSLを通してカラム信号処理部112に供給される。カラム信号処理部112は、入力される画素の信号の信号処理を行うように構成される。カラム信号処理部112は、例えば、負荷回路部、AD(Analog Digital)変換部20、水平選択スイッチ等を有する。垂直信号線VSLの各々を通して伝送される各画素Pの信号は、カラム信号処理部112により信号処理が施され、信号処理ブロック113へ出力される。
【0016】
信号処理ブロック113は、入力される信号に対して信号処理を行い、信号を出力するように構成される。信号処理ブロック113は、カラム信号処理部112からデジタル信号に変換された画素の信号を取得し、信号処理を実行可能に構成される。信号処理ブロック113は、デジタル信号処理が可能なロジック回路部(デジタル回路部)ともいえる。
【0017】
信号処理ブロック113は、カラム信号処理部112から順次入力される画素の信号に対して信号処理を行い、処理後の信号を出力し得る。信号処理ブロック113は、後述するが、複数の信号処理部(信号処理回路)を含んで構成される。信号処理ブロック113は、例えば、ノイズ低減処理(例えば、黒レベル調整、列ばらつき補正等)、補間処理など、各種デジタル信号処理を行い得る。
【0018】
図3は、実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。図3に示すように、撮像素子1は、第1基板101、第2基板102、及び第3基板103を備える。第1基板101、第2基板102、及び第3基板103は、互いに重なり合って積層される。撮像素子1は、第1基板101と、第2基板102と、第3基板103とがZ軸方向に積層された構造(積層構造)を有している。なお、図3に示すように、被写体からの光の入射方向をZ軸方向、Z軸方向に直交する紙面左右方向をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に直交する方向をY軸方向とする。以降の図において、図3の矢印の方向を基準として方向を表記する場合もある。
【0019】
第1基板101には、画素部100が設けられる。画素部100では、複数の画素Pが、第1方向である水平方向(行方向)、及び第1方向と直交する第2方向である垂直方向(列方向)に配置される。画素部100は、画素Pが行列状に配置される画素アレイである。第2基板102には、垂直駆動部110及びカラム信号処理部112が設けられる。また、本実施の形態では、信号処理ブロック113は、複数のロジック回路を用いて構成され、複数の基板に分けて設けられる。
【0020】
信号処理ブロック113は、図3に示す例のように、第1信号処理部91、第2信号処理部92、及び第3信号処理部93を有し、第2基板102と第3基板103とに分けて配置される。図3に示す例では、第1信号処理部91は、第2基板102に配置される。第2信号処理部92及び第3信号処理部93は、第3基板103に配置される。信号処理ブロック113を複数の基板に分けて配置することで、チップ面積の増大を抑えることができる。チップ面積の増大を抑制しつつ、画素Pからの信号の処理が可能な複数の回路等を配置することが可能となる。
【0021】
[画素の構成]
図4は、実施の形態に係る撮像素子の画素の構成例を示す図である。画素Pは、光電変換部12と、トランジスタTGLと、フローティングディフュージョン(FD)と、トランジスタAMPと、トランジスタSELと、トランジスタRSTとを有する。
【0022】
トランジスタTGL、トランジスタAMP、トランジスタSEL、及びトランジスタRSTは、それぞれ、ゲート、ソース、ドレインの端子を有するMOSトランジスタ(MOSFET)である。図4に示す例では、トランジスタTGL,AMP,SEL,RSTは、それぞれNMOSトランジスタにより構成される。なお、画素Pのトランジスタは、PMOSトランジスタにより構成されてもよい。
【0023】
光電変換部12は、光電変換により電荷を生成可能に構成される。図4に示す例では、光電変換部12は、フォトダイオード(PD)であり、入射する光を電荷に変換する。光電変換部12は、光電変換を行って受光量に応じた電荷を生成する。
【0024】
トランジスタTGLは、光電変換部12で光電変換された電荷をFDに転送可能に構成される。図4に示すように、トランジスタTGLは、信号STGLにより制御され、光電変換部12とFDとを電気的に接続または切断する。トランジスタTGLは、転送トランジスタであり、光電変換部12で光電変換されて蓄積された電荷をFDに転送し得る。
【0025】
FDは、電荷蓄積部であり、転送された電荷を蓄積可能に構成される。FDは、光電変換部12で光電変換された電荷を蓄積し得る。FDは、転送された電荷を保持可能な保持部ともいえる。FDは、転送された電荷を蓄積し、FDの容量に応じた電圧に変換する。
【0026】
トランジスタAMPは、FDに蓄積された電荷に基づく信号を生成して出力するように構成される。図4に示すように、トランジスタAMPのゲートは、FDと電気的に接続され、FDで変換された電圧が入力される。トランジスタAMPのドレインは、電源電圧が供給される電源線に接続され、トランジスタAMPのソースは、トランジスタSELを介して垂直信号線VSLに接続される。トランジスタAMPは、増幅トランジスタであり、FDに蓄積された電荷に基づく信号、即ちFDの電圧に基づく信号を生成し、垂直信号線VSLへ出力し得る。
【0027】
トランジスタSELは、画素の信号の出力を制御可能に構成される。トランジスタSELは、信号SSELにより制御され、トランジスタAMPからの信号を垂直信号線VSLに出力可能に構成される。トランジスタSELは、選択トランジスタであり、画素の信号の出力タイミングを制御し得る。なお、トランジスタSELは、電源電圧が与えられる電源線とトランジスタAMPとの間に設けられてもよい。また、必要に応じて、トランジスタSELを省略してもよい。
【0028】
トランジスタRSTは、FDの電圧をリセット可能に構成される。図4に示す例では、トランジスタRSTは、電源線と電気的に接続され、画素Pの電荷のリセットを行うように構成される。トランジスタRSTは、信号SRSTにより制御され、FDに蓄積された電荷をリセットし、FDの電圧をリセットし得る。なお、トランジスタRSTは、トランジスタTGLを介して、光電変換部12に蓄積された電荷を排出し得る。トランジスタRSTは、リセットトランジスタである。
【0029】
垂直駆動部110(図2図3参照)は、各画素PのトランジスタTGL、トランジスタSEL、トランジスタRST等のゲートに駆動信号を供給して、トランジスタをオン状態(導通状態)又はオフ状態(非導通状態)とする。トランジスタTGL、トランジスタSEL等は、垂直駆動部110によってオンオフ制御される。垂直駆動部110は、各画素Pに入力される信号STGL、信号SSEL、信号SRST等を制御することによって、各画素PのトランジスタAMPから信号を垂直信号線VSLに出力させる。
【0030】
各画素の信号は、垂直信号線VSLを介して、カラム信号処理部112に出力される。カラム信号処理部112は、上述したように、負荷回路部(不図示)、AD変換部20等を有する。負荷回路部は、垂直信号線VSLに接続される。負荷回路部は、例えば、画素PのトランジスタAMPに電流を供給可能な電流源により構成される。負荷回路部は、画素PのトランジスタAMPと共にソースフォロア回路を構成する。なお、カラム信号処理部112は、垂直信号線VSLを介して画素Pから読み出される信号を増幅するように構成された増幅回路部を有していてもよい。
【0031】
AD変換部20は、入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するように構成される。AD変換部20は、ADC(Analog to Digital Converter)である。AD変換部20は、複数の垂直信号線VSLの各々に対して設けられる。垂直方向(列方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素列ごとに、AD変換部20(AD変換回路)が設けられる。AD変換部20は、各画素Pから垂直信号線VSLを介して入力されるアナログ信号である画素の信号に対して、AD変換処理を行う。AD変換部20は、一例として、比較部(コンパレータ回路)とカウンタとを含み、入力される画素の信号を、所定のビット数のデジタル信号に変換する。カラム信号処理部112は、AD変換後の画素信号を信号処理ブロック113へ出力する。
【0032】
図5は、実施の形態に係る撮像素子の断面構成の一例を示す模式図である。撮像素子1は、第1基板101と、第2基板102と、第3基板103とがZ軸方向に積層された構成を有している。第1基板101、第2基板102、及び第3基板103は、それぞれ、半導体基板(例えばシリコン基板)によって構成される。
【0033】
第1基板101、第2基板102、及び第3基板103は、図5に示すように、それぞれトランジスタが設けられる第1面11S1,12S1,13S1と、第2面11S2,12S2,13S2とを有する。第1面11S1,12S1,13S1は、それぞれ、トランジスタ等の素子が形成される素子形成面である。第1面11S1,12S1,13S1の各々には、ゲート電極やゲート酸化膜等が設けられる。なお、第1基板101の第2面11S2側には、光を集光するレンズ部31、カラーフィルタ32等が画素P毎に設けられる。
【0034】
第1基板101の第1面11S1には、図5に示すように、配線層111が設けられる。また、第2基板102の第1面12S1には配線層121が設けられ、第2基板102の第2面12S2には配線層122が設けられる。第3基板103の第1面13S1には、配線層131が設けられる。配線層111,121,122,131は、例えば、導体膜および絶縁膜を含み、複数の配線およびビア等を有する。配線層111,121,122,131は、それぞれ、例えば2層以上の配線を含む。
【0035】
配線層111,121,122,131は、例えば、複数の配線が層間絶縁層(層間絶縁膜)を間に積層された構成を有している。配線層は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、ポリシリコン(Poly-Si)等を用いて形成される。層間絶縁層は、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、及び酸窒化シリコン(SiON)等のうちの1種よりなる単層膜、あるいはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜により形成される。
【0036】
なお、第1基板101と配線層111とを併せて、第1基板101(又は第1の回路層)ということもできる。第2基板102と配線層121,122とを併せて、第2基板102(又は第2の回路層)ということもできる。また、第3基板103と配線層131とを併せて、第3基板103(又は第3の回路層)ということもできる。
【0037】
第1基板101と第2基板102とは、電極間の接合により、トランジスタ等の素子がそれぞれ形成される第1面11S1と第1面12S1が互いに対向するように積層される。即ち、第1基板101と第2基板102とは、各々の表面同士が互いに対向するように接合される。
【0038】
第2基板102と第3基板103とは、電極間の接合により、第2面12S2とトランジスタ等の素子が形成される第1面13S1とが互いに対向するように積層される。即ち、第2基板102及び第3基板103は、第2基板102の裏面と第3基板103の表面が互いに対向するように接合される。
【0039】
一例として、銅(Cu)からなる金属電極間の接合、即ちCu-Cu接合によって、第1基板101の第1面11S1と第2基板102の第1面12S1とが貼り合わされる。また、第2基板102の第2面12S2と第3基板103の第1面13S1も、例えば、Cu-Cu接合によって貼り合わされる。なお、接合に用いる電極は、銅(Cu)以外の金属材料、例えばニッケル(Ni)、コバルト(Co)、スズ(Sn)等により構成されてもよいし、他の材料により構成されてもよい。
【0040】
図5に示す例では、配線層111における最上層の配線により構成される複数の電極15と、配線層121における最上層の配線により構成される複数の電極25とが接合されることで、第1基板101と第2基板102とが接続される。電極15,25は、接合用電極である。また、配線層122における最上層の配線により構成される複数の電極26と、配線層131における最上層の配線により構成される複数の電極35とが接合されることで、第2基板102と第3基板103とが接続される。電極26,35は、接合用電極である。
【0041】
第2基板102及び配線層121,122は、図5に模式的に示すように、複数の貫通電極28を有する。貫通電極28は、第2基板102を貫通する電極である。貫通電極28は、Z軸方向に延び、第2基板102の配線層122に達するように形成される。貫通電極28は、例えば、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)等によって構成される。なお、貫通電極28は、他の金属材料によって形成されてもよい。
【0042】
本実施の形態に係る撮像素子1では、貫通電極28と接合用の電極26,35とによって、第2基板102の第1面12S1側に設けられた回路と、第3基板103の第1面13S1側に設けられた回路とが電気的に接続される。貫通電極28と接合用の電極26,35は、第2基板102の回路と第3基板103の回路とを接続する電極(接続電極40)であり、信号を伝えることが可能に構成される。接続電極40は、異なる層に設けられた回路間を接続する。
【0043】
また、撮像素子1では、接合用の電極15,25によって、第1基板101の第1面11S1側に設けられた回路と、第2基板102の第1面12S1側に設けられた回路とが電気的に接続される。第1基板101の第1面11S1側の回路と第2基板102の第1面12S1側の回路とは、接続部60(後述する図7A図7Bを参照)によって電気的に接続される。接続部60は、複数の接合用の電極15,25を有し、第1基板101の回路と第2基板102の回路とを電気的に接続する。接続部60は、貫通電極、ビア等によって構成されてもよい。第1基板101の回路と第2基板102の回路とは、Cu-Cu接合、貫通電極、ビア等によって接続される。
【0044】
図6は、実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。図6では、撮像素子1のカラム信号処理部112と信号処理ブロック113を図示している。信号処理ブロック113は、図6に示すように、第1信号処理部91と、第2信号処理部92と、第3信号処理部93と、撮像制御部80と、インタフェース部90(I/F部)とを有する。撮像制御部80は、第1撮像制御部81および第2撮像制御部82を有する。例えば、第2基板102には、第1信号処理部91、第1撮像制御部81、及びインタフェース部90等が配置される。また、第3基板103には、第2信号処理部92、第3信号処理部93、及び第2撮像制御部82等が配置され得る。
【0045】
また、撮像素子1の信号処理ブロック113は、第1接続部71と、第2接続部72(図6では、第2接続部72a、第2接続部72b)を有する。第1接続部71及び第2接続部72には、それぞれ、上述した複数の接続電極40(貫通電極28及び電極26,35)が設けられる。第1接続部71及び第2接続部72は、それぞれ、第2基板102の回路と第3基板103の回路とを接続する。
【0046】
第1信号処理部91は、画素の信号を取得し、信号処理を行うことが可能に構成される。図6に示す例では、第1信号処理部91は、カラム信号処理部112から、デジタル信号に変換された画素信号を取得する。第1信号処理部91には、画素信号として、画素Pの光電変換部12で生成された電荷に基づくデジタル信号が入力される。
【0047】
第1信号処理部91は、画素信号に対して各種の信号処理を施す回路により構成される。第1信号処理部91は、演算回路、メモリ回路等を含んで構成される。第1信号処理部91は、例えば、AD変換された画素信号に、ノイズ低減処理、補間処理(リモザイク処理)、階調補正処理等の信号処理を行い得る。第1信号処理部91は、各画素の信号に対して各種の信号処理を行い、画像データD1(画像信号)を生成し得る。第1信号処理部91は、カラム信号処理部112からの信号を処理して得られた画像データD1を、インタフェース部90、第2接続部72a等へ出力し得る。
【0048】
第1接続部71は、複数の接続電極40を有し、第2基板102の回路と第3基板103の回路とを接続する。図6に示す例では、第1接続部71は、第2基板102の回路であるカラム信号処理部112及び第1信号処理部91と、第3基板103の回路である第2信号処理部92とを電気的に接続する。
【0049】
第1接続部71は、複数の第1出力部51と複数の第1入力部52を含み、信号を伝えることが可能に構成される。第1出力部51は、第2基板102に設けられ、第1入力部52は、第3基板103に設けられる。第1出力部51は、第3基板103の回路へ信号を出力する出力部(出力回路)である。第1入力部52は、第2基板102の回路から信号が入力される入力部(入力回路)である。第1出力部51、第1入力部52は、信号を伝送可能な伝送部ともいえる。
【0050】
第1接続部71には、伝送する信号の数(データ量など)に対応して、複数の接続電極40と、複数の第1出力部51及び第1入力部52が設けられる。第1接続部71の第1出力部51及び第1入力部52は、例えば、フリップフロップ(FF回路)、インバータ(INV回路)等により構成される。
【0051】
第1接続部71の第1出力部51は、カラム信号処理部112及び第1信号処理部91と電気的に接続される。第1接続部71の第1入力部52は、第2信号処理部92と電気的に接続される。第1出力部51には、カラム信号処理部112から、デジタル信号に変換された画素信号が入力される。第1出力部51に入力された画素信号は、第1出力部51によって接続電極40を介して第1入力部52に伝送される。第1接続部71は、画素信号を第1入力部52から出力し得る。
【0052】
第2信号処理部92は、画素の信号を取得し、信号処理を行うことが可能に構成される。図6に示す例では、第2信号処理部92は、第1接続部71から、デジタル信号である画素信号を取得する。第2信号処理部92には、画素信号として、画素Pの光電変換部12で生成された電荷に基づくデジタル信号が入力される。
【0053】
第2信号処理部92は、画素信号に対して各種の信号処理を施す回路により構成される。第2信号処理部92は、演算回路、メモリ回路等を含んで構成される。第2信号処理部92は、例えば、画素信号に、ノイズ低減処理、補間処理、クロップ処理等の信号処理を行い得る。第2信号処理部92は、各画素の信号に対して各種の信号処理を行い、画像データD2(画像信号)を生成し得る。第2信号処理部92は、画像データD2を第2接続部72a等へ出力し得る。
【0054】
第2接続部72aは、複数の接続電極40を有し、第2基板102の回路と第3基板103の回路とを接続する。図6に示す例では、第2接続部72aは、第1信号処理部91と第3信号処理部93とを電気的に接続する。また、第2接続部72aは、第2信号処理部92とインタフェース部90とを電気的に接続し、第3信号処理部93とインタフェース部90とを電気的に接続する。
【0055】
第2接続部72aは、複数の第2出力部61と複数の第2入力部62を含み、信号を伝えることが可能に構成される。第2接続部72aには、伝送する信号の数に対応して、複数の接続電極40と、複数の第2出力部61及び第2入力部62が設けられる。第2接続部72aの第2出力部61(図6では第2出力部61a~第2出力部61c)及び第2入力部62(第2入力部62a~第2入力部62c)は、例えば、フリップフロップ、インバータ等により構成される。なお、第2出力部61、第2入力部62は、信号を伝送可能な伝送部ともいえる。
【0056】
図6に示す例では、第2基板102に、第2出力部61a、第2入力部62b、及び第2入力部62cが設けられる。また、第3基板103には、第2入力部62a、第2出力部61b、及び第2出力部61cが設けられる。第2出力部61aは、第3基板103の回路へ信号を出力する出力部(出力回路)であり、第2入力部62aは、第2基板102の回路から信号が入力される入力部(入力回路)である。第2出力部61b,61cは、それぞれ、第2基板102の回路に信号を出力する出力部である。また、第2入力部62b,62cは、それぞれ、第3基板103の回路から信号が入力される入力部である。
【0057】
第2接続部72aの第2出力部61aは、第1信号処理部91と電気的に接続される。第2接続部72aの第2入力部62aは、第3信号処理部93と電気的に接続される。第2出力部61aには、第1信号処理部91から、信号処理後の各画素の信号を含む画像データD1が入力される。第2出力部61aに入力された画像データD1は、第2出力部61aによって接続電極40を介して第2入力部62aに伝送される。
【0058】
第2接続部72aの第2出力部61bは、第2信号処理部92と電気的に接続される。第2接続部72aの第2入力部62bは、インタフェース部90と電気的に接続される。第2出力部61bには、第2信号処理部92から、信号処理後の各画素の信号を含む画像データD2が入力される。第2出力部61bに入力された画像データD2は、第2出力部61bによって接続電極40を介して第2入力部62bに伝送される。
【0059】
第3信号処理部93は、画素の信号を取得し、信号処理を行うことが可能に構成される。図6に示す例では、第3信号処理部93は、第1信号処理部91から、第2接続部72aの第2出力部61a及び第2入力部62aを介して、デジタル信号である画像データD1を取得する。第3信号処理部93には、信号処理後の各画素の信号を含む画像データD1が入力される。
【0060】
第3信号処理部93は、画素信号に対して各種の信号処理を施す回路により構成される。第3信号処理部93は、演算回路、メモリ回路等を含んで構成される。第3信号処理部93は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)、ISP(Image Signal Processor)等である。第3信号処理部93は、各画素の信号を含む画像データD1に基づいて認識処理を行い得る。第3信号処理部93は、AI(Artificial Intelligence)回路ともいえる。
【0061】
第3信号処理部93は、一例として、各画素の信号を含む画像データD1に、補間処理、ゲイン調整処理、色調整処理、正規化処理等を行い、認識処理に用いるデータを生成する。第3信号処理部93は、例えば、生成したデータに基づいてDNN(Deep Neural Network)を利用した画像認識処理を行い、認識結果を示すデータD3を生成する。データD3は、例えば、画像データD1に含まれる特定被写体を示すデータ(信号)となる。第3信号処理部93は、データD3を第2接続部72aへ出力し得る。
【0062】
第2接続部72aの第2出力部61cは、第3信号処理部93と電気的に接続される。第2接続部72aの第2入力部62cは、インタフェース部90と電気的に接続される。第2出力部61cには、第3信号処理部93から、データD3が入力される。第2出力部61cに入力されたデータD3は、第2出力部61cによって接続電極40を介して第2入力部62cに伝送される。
【0063】
インタフェース部90は、送信回路を含み、入力される信号を伝送可能に構成される。インタフェース部90は、インタフェース回路である。インタフェース部90には、第1信号処理部91から画像データD1が入力される。また、インタフェース部90には、第2信号処理部92から、第2接続部72aの第2出力部61b及び第2入力部62bを介して、画像データD2が入力される。
【0064】
また、インタフェース部90には、第3信号処理部93から、第2接続部72aの第2出力部61c及び第2入力部62cを介して、データD3が入力される。インタフェース部90は、画像データD1、画像データD2、データD3を外部に高速に伝送し得る。こうして、本実施の形態に係る撮像素子1は、各画素の信号に基づいて画像データD1、画像データD2、データD3を生成して外部に出力することができる。
【0065】
撮像制御部80は、撮像素子1の各部を制御するように構成される。撮像制御部80は、外部から与えられるクロックや、動作モードを指令するデータ等を受け取り、撮像素子1の各部を制御する。撮像制御部80は、例えば、プロセッサ(例えばCPU)及びメモリを有し、各種の信号処理を行う。第1撮像制御部81は、第2基板102の回路、例えば第1信号処理部91等の動作を制御する。第2撮像制御部82は、第3基板103の回路、例えば第2信号処理部92及び第3信号処理部93等の動作を制御する。
【0066】
第2接続部72bは、複数の接続電極40を有し、第1撮像制御部81と第2撮像制御部82とを電気的に接続する。第2接続部72bは、信号を伝えることが可能に構成される。第2接続部72bには、伝送する信号の数に対応して、複数の接続電極40と、複数の第2出力部61及び第2入力部62が設けられる。第2接続部72bの第2出力部61(図6では第2出力部61d,61e)及び第2入力部62(第2入力部62d,62e)は、例えば、フリップフロップ、インバータ等により構成される。
【0067】
第2接続部72bの第2出力部61dは、第1撮像制御部81と電気的に接続される。第2接続部72bの第2入力部62dは、第2撮像制御部82と電気的に接続される。第1撮像制御部81から第2出力部61dに入力された信号は、接続電極40及び第2入力部62dを介して第2撮像制御部82に伝送される。
【0068】
第2接続部72bの第2出力部61eは、第2撮像制御部82と電気的に接続される。第2接続部72bの第2入力部62eは、第1撮像制御部81と電気的に接続される。第2撮像制御部82から第2出力部61eに入力された信号は、接続電極40及び第2入力部62eを介して第1撮像制御部81に伝送される。第1撮像制御部81及び第2撮像制御部82は、第2接続部72bによって信号を送受信し、撮像素子1の各部の制御を行い得る。
【0069】
図7A図7Cは、実施の形態に係る撮像素子のレイアウト例を示す図である。図7Aのレイアウト例は、第1基板101~第3基板103のうち、第1基板101におけるレイアウト例を示している。図7Bのレイアウト例は、第2基板102におけるレイアウト例を示している。また、図7Cのレイアウト例は、第3基板103におけるレイアウト例を示している。
【0070】
図7A及び図7Bに示す例では、第1基板101及び第2基板102において、2つの接続部60が設けられる。第1基板101では、画素部100の周囲に2つの接続部60が配置される。第2基板102では、垂直駆動部110よりも外側の領域と、カラム信号処理部112よりも外側の領域とに、接続部60が設けられる。接続部60には、伝送する信号の数に対応して、上述した複数の接合用の電極15,25等が設けられる。接続部60は、第1基板101の回路と第2基板102の回路とを接続する。
【0071】
第1接続部71及び第2接続部72(第2接続部72a,72b)には、上述したように、伝送する信号の数に対応して、複数の接続電極40が設けられる。第1接続部71では、複数の接続電極40が、X軸方向に並んで設けられる。第2接続部72においても、複数の接続電極40が、X軸方向に並んで設けられる。第1接続部71及び第2接続部72は、互いに異なる大きさを有する。即ち、第1接続部71が設けられる領域と、第2接続部72が設けられる領域とは、互いに異なる広さを有する。
【0072】
図7B及び図7Cに模式的に示すように、第1接続部71における接続電極40の数は、第2接続部72における接続電極40の数よりも多い。第1接続部71の大きさは、第2接続部72の大きさよりも大きい。X軸方向において、第1接続部71の長さが、第2接続部72の長さよりも大きくなっている。このため、撮像素子1では、多くの信号を同時に(並列に)伝送することが可能となる。
【0073】
また、第1接続部71は、図7Bに示すように、平面視において、複数のAD変換部20を有するカラム信号処理部112と、第1信号処理部91との間に設けられる。第1接続部71は、カラム信号処理部112と第1信号処理部91に隣り合って配置される。このため、本実施の形態に係る撮像素子1は、カラム信号処理部112から第1信号処理部91及び第1接続部71への信号伝送を効率よく行うことができる。
【0074】
また、第1接続部71は、図7Cに示すように、平面視において、第2信号処理部92と第3信号処理部93との間に設けられる。第1接続部71は、第2信号処理部92の隣に配置される。このため、撮像素子1は、第1接続部71によって、カラム信号処理部112と第2信号処理部92との間における信号伝送を効率よく行うことができる。
【0075】
第2接続部72は、図7Bに示すように、平面視において、第1信号処理部91と、インタフェース部90との間に設けられる。第1信号処理部91の少なくとも一部は、第1接続部71と第2接続部72との間に設けられる。第2接続部72は、第1信号処理部91に対して第1接続部71と反対側に設けられる。
【0076】
また、第2接続部72は、図7Cに示すように、第3信号処理部93に対して第1接続部71と反対側に設けられる。こうして、本実施の形態に係る撮像素子1は、第2接続部72によって、第2基板102の回路と第3基板103の回路との間における信号伝送を効率よく行うことができる。撮像素子1は、第1信号処理部91と第3信号処理部93との間における信号伝送、第3信号処理部93とインタフェース部90との間における信号伝送等を、効率よく行うことが可能となる。
【0077】
図8及び図9は、実施の形態に係る撮像素子における信号伝送の一例を説明するための図である。本実施の形態に係る撮像素子1は、第1方式の信号伝送と、第2方式の信号伝送とを行い得る。図8は、第1方式の信号伝送を示し、図9は、第2方式の信号伝送を示している。第1方式の信号伝送は、マルチサイクルを利用して信号伝送を行う方式、即ちマルチサイクルパス型の信号伝送である。第2方式の信号伝送は、シリアルパラレル変換およびパラレルシリアル変換を利用して信号伝送を行う方式であり、シリパラ-パラシリ変換型の信号伝送である。
【0078】
本実施の形態では、第1接続部71は、第1方式の信号伝送が可能に構成される。第1接続部71は、第1方式の信号伝送によって、第2基板102及び第3基板103間の信号伝送を行い得る。また、第2接続部72は、第2方式の信号伝送が可能に構成される。第2接続部72a及び第2接続部72bは、それぞれ、第2方式の信号伝送によって、第2基板102及び第3基板103間の信号伝送を行い得る。
【0079】
図8に示す例では、第1接続部71の第1出力部51は、フリップフロップC11を有する。第1接続部71の第1入力部52は、フリップフロップC12を有する。フリップフロップC11には、カラム信号処理部112のフリップフロップC10から、周波数f1のデータ信号が入力される。このデータ信号の信号レベルは、例えば、基準となるクロック信号に対して複数回に1回、例えば4回に1回の割合で遷移(変化)する。
【0080】
フリップフロップC11は、周波数f2(=f1/4)のクロック信号に同期して、フリップフロップC10からのデータ信号をサンプリングして第1入力部52へ出力する。第1入力部52のフリップフロップC12には、第1出力部51から接続電極40を介して、周波数f2のデータ信号が入力される。フリップフロップC12は、周波数f2のクロック信号に同期して、フリップフロップC11からのデータ信号をサンプリングして、第1接続部71の外部の回路(例えば、第2信号処理部92のフリップフロップC20)へ出力する。
【0081】
第2信号処理部92のフリップフロップC20には、第1入力部52から、周波数f2のデータ信号が入力される。フリップフロップC20は、周波数f1’のクロック信号に同期して、フリップフロップC12からのデータ信号をサンプリングし、データ信号を取り込んで保持し得る。
【0082】
このように、第1接続部71では、第1方式の信号伝送によって、周波数f1よりも低い周波数f2(例えば、周波数f1の4分の1の周波数)のクロック信号に同期させてデータ信号の伝送が行われる。このため、第2基板102及び第3基板103の層間において、誤ったデータ信号が送受信されることを抑制することができ、信号を正しく送受信することが可能となる。図8に示す例では、撮像素子1は、カラム信号処理部112からの各画素の信号を、第2信号処理部92に適切に伝送することが可能となる。
【0083】
図9に示す例では、第2接続部72の第2出力部61は、シリアルパラレル変換部65と複数のフリップフロップC21を有する。第2接続部72の第2入力部62は、複数のフリップフロップC22とパラレルシリアル変換部66を有する。シリアルパラレル変換部65は、シリアルパラレル変換回路(デシリアライザ)であり、シリアル信号をパラレル信号に変換可能に構成される。パラレルシリアル変換部66は、パラレルシリアル変換回路(シリアライザ)であり、パラレル信号をシリアル信号に変換可能に構成される。なお、シリアルパラレル変換部65、パラレルシリアル変換部66は、第2接続部72の外部に設けられてもよい。
【0084】
シリアルパラレル変換部65には、第2接続部72の外部の回路(例えば、第1信号処理部91のフリップフロップC15)から、周波数f1のデータ信号が入力される。シリアルパラレル変換部65は、フリップフロップC15から入力されるシリアル信号であるデータ信号をパラレル信号に変換し、各フリップフロップC21へ出力する。フリップフロップC21は、周波数f2(=f1/4)のクロック信号に同期して、シリアルパラレル変換部65からのデータ信号を第2入力部62へ出力する。
【0085】
第2入力部62の複数のフリップフロップC22には、第2出力部61から接続電極40を介して、パラレル信号であるデータ信号が入力される。フリップフロップC22は、周波数f2のクロック信号に同期して、フリップフロップC21からのデータ信号をサンプリングして、パラレルシリアル変換部66へ出力する。
【0086】
パラレルシリアル変換部66には、周波数f2のデータ信号が入力される。パラレルシリアル変換部66は、複数のフリップフロップC22から入力されるパラレル信号であるデータ信号をシリアル信号に変換し、第2接続部72の外部の回路(例えば、第3信号処理部93のフリップフロップC25)に出力する。第3信号処理部93のフリップフロップC25は、周波数f1’のクロック信号に同期して、パラレルシリアル変換部66からのデータ信号をサンプリングし、データ信号を取り込んで保持し得る。
【0087】
このように、第2接続部72では、第2方式の信号伝送によって、周波数f1よりも低い周波数f2のクロック信号に同期させてデータ信号の送受信が行われる。このため、第2基板102及び第3基板103間において、誤ったデータ信号が送受信されることを防ぎ、適切にデータ伝送を行うことが可能となる。シリパラ変換及びパラシリ変換を利用して、効率良くデータ伝送を行うことができる。図9に示す例では、撮像素子1は、第1信号処理部91からの各画素の信号を、第3信号処理部93に適切に伝送することが可能となる。
【0088】
撮像素子1は、第2接続部72aにおける第2方式の信号伝送によって、第2信号処理部92とインタフェース部90との間における信号伝送と、第3信号処理部93とインタフェース部90との間における信号伝送を適切に行うことができる。また、撮像素子1は、第2接続部72bにおける第2方式の信号伝送によって、第1撮像制御部81と第2撮像制御部82との間における信号伝送を適切に行うことができる。
【0089】
図10は、実施の形態に係る撮像素子の第1接続部の構成例を説明するための図である。図11は、実施の形態に係る撮像素子の第1接続部におけるタイミング調整の一例を示す図である。図10に示す例では、撮像素子1は、クロック信号生成部54を有する。カラム信号処理部112のフリップフロップC10は、クロック信号VCKに同期して、データ信号CH_DATAを第1信号処理部91と第1接続部71に出力する。データ信号CH_DATAの信号レベル(電圧)は、図11に示すように、クロック信号VCKに対して4回に1回の割合で、ハイレベル又はローレベルに遷移する。
【0090】
クロック信号生成部54は、クロック信号を生成して出力するように構成される。クロック信号生成部54は、フリップフロップ、インバータ等により構成される。クロック信号生成部54には、クロック信号IFCK1が入力される。また、クロック信号生成部54には、データ信号CH_DATAの遷移タイミング(立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジ)を示す信号が、位置合わせ信号S1として入力される。
【0091】
クロック信号生成部54は、位置合わせ信号S1(位相合わせ信号)に応じて、クロック信号IFCK1の位相(出力タイミング)を変更する。位置合わせ信号S1のタイミングに合わせて、クロック信号IFCK1の位相が調整される。クロック信号生成部54は、位相調整後のクロック信号として、図11に示すように、周波数f2(=f1/4)のクロック信号IFCK2を出力する。クロック信号生成部54は、データ信号CH_DATAの位相に合わせて調整されたクロック信号IFCK2を再生成するともいえる。なお、第1接続部71は、クロック信号生成部54を含んで構成されてもよい。
【0092】
クロック信号生成部54は、クロック信号IFCK2を、第1接続部71の第1出力部51及び第1入力部52に供給する。第1出力部51の各フリップフロップC11と、第1入力部52の各フリップフロップC12とに、位相調整された周波数f2のクロック信号IFCK2が入力される。これにより、第1接続部71は、第1方式の信号伝送によって、低い周波数f2のクロック信号IFCK2に応じてデータ信号CH_DATAの送受信を行うことができる。このため、スキュー・タイミング調整が困難となってしまうことを回避することができ、設定難易度を低減させることができる。基板間における信号伝送を適切に行うことが可能となる。
【0093】
また、本実施の形態では、第1接続部71の第1出力部51及び第1入力部52には、複数のバッファ回路が設けられる。図12Aは、実施の形態に係る撮像素子の第1接続部の構成例を示す図である。第1接続部71は、バッファ55、バッファ56(図12Aではバッファ56a~バッファ56c)、バッファ57を有する。バッファ55、バッファ56、及びバッファ57は、第1出力部51及び第1入力部52の少なくとも一方に配置され得る。
【0094】
図12Aに示す例では、X軸方向に延びる第1接続部71において、所定の間隔で、複数のバッファ56が設けられる。バッファ56は、例えば、図12Aに示す例のように、基準位置(起点位置)となるバッファ55の位置から、所定の間隔毎に配置される。バッファ55は、バッファ56a~バッファ56cと電気的に接続され、クロック信号CLKをバッファ56a~バッファ56cへ出力する。バッファ56a~バッファ56cは、それぞれ、バッファ55から入力されるクロック信号CLKを、第3基板103の回路へ出力する。
【0095】
撮像素子1では、複数のバッファ56によってクロック信号を分岐して伝送することができ、クロック信号経路のうちの非共通部分(非共通パス)を短くすることができる。このため、スキュー・タイミング調整が困難となることを防ぐことができ、第2基板102及び第3基板103の界面において適切に信号伝送を行うことが可能となる。
【0096】
図12Bは、比較例に係る撮像素子の第1接続部の構成例を示す図である。比較例は、バッファ55及び1つのバッファ56によってクロック信号を伝送する場合であり、クロック信号経路の分割を行わない場合である。この場合、図12Bに図示するように、破線で示す領域R1における非共通パスが長く、領域R1に配置されるバッファも多くなり、スキュー・タイミング調整が困難となる。
【0097】
これに対し、本実施の形態では、図12Aに図示したように、クロック信号経路の分割によって、領域R1における非共通パスが短くなり、領域R1内のバッファも削減される。これにより、第3基板103のフリップフロップC16は、バッファ56cから入力されるクロック信号に応じて、フリップフロップC15からバッファ57を介して入力されるデータ信号を正しく受信することが可能となる。
【0098】
[作用・効果]
本実施の形態に係る撮像素子(撮像素子1)は、光電変換により電荷を生成可能な複数の光電変換部(光電変換部12)を有する第1基板(第1基板101)と、光電変換部で生成された電荷に基づく信号を取得し、信号処理を行うことが可能な第1信号処理部(第1信号処理部91)を有し、第1基板に積層される第2基板(第2基板102)と、信号処理を行うことが可能な第2信号処理部(第2信号処理部92)を有し、第2基板に積層される第3基板(第3基板103)と、第2基板の回路と第3基板の回路とを接続する第1電極が複数設けられた第1接続部(第1接続部71)と、第2基板の回路と第3基板の回路とを接続する第2電極が複数設けられた第2接続部(第2接続部72)と、を備える。第1接続部の大きさと、第2接続部の大きさとは異なっている。
【0099】
本実施の形態に係る撮像素子1は、第1信号処理部91と第2信号処理部92とが、別々の基板に配置される。また、撮像素子1では、第1信号処理部91を有する第2基板102の回路と、第2信号処理部92を有する第3基板103の回路とを接続する第1接続部71及び第2接続部72が設けられる。このため、第1信号処理部91と第2信号処理部92を同一基板に配置する場合と比較して、チップ面積の増大を抑制することが可能となる。
【0100】
次に、本開示の変形例について説明する。以下では、上記実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0101】
<2.変形例>
(2-1.変形例1)
図13は、変形例1に係る撮像素子の構成例を説明するための図である。撮像素子1には、圧縮部75、解凍部76(不図示)を設けるようにしてもよい。圧縮部75は、圧縮回路であり、信号を圧縮可能に構成される。解凍部76は、解凍回路であり、信号を解凍可能に構成される。例えば、圧縮部75は、図13に示すように、第2基板102に設けられる。解凍部76は、第3基板103に設けられる。図13に示す例では、圧縮部75は、カラム信号処理部112のAD変換部20と、第1信号処理部91との間に設けられる。なお、圧縮部75を、カラム信号処理部112と第1接続部71との間に配置してもよい。
【0102】
圧縮部75には、カラム信号処理部112からデジタル信号に変換された各画素の信号が入力される。圧縮部75は、各画素の信号に対して圧縮処理を行い、処理後の画素信号を含む画像データを第1接続部71へ出力する。第1接続部71は、圧縮された画像データを第3基板103の回路へ伝送する。第3基板103の解凍部76には、第1接続部71から圧縮された画像データが入力される。解凍部76は、圧縮された画像データに対して解凍処理を行い、処理後の画素信号を含む画像データを第2信号処理部92へ出力する。
【0103】
本変形例では、各画素の信号は、圧縮部75によって圧縮されて第1接続部71に入力され、第3基板103へ伝送される。このため、第1接続部71によって伝送する信号数を減らすことができ、第1接続部71における接続電極40の数、フリップフロップ等の数を削減することができる。これにより、図13に示す例のように、第1接続部71の面積を低減することが可能となる。伝送する信号数が少なくなることで、スキュー・タイミング調整が困難となることを回避することができ、設定難易度を低減させることが可能となる。
【0104】
(2-2.変形例2)
図14は、変形例2に係る撮像素子の第1接続部の構成例を説明するための図である。図14に示す例では、第1接続部71は、インバータ58を有する。インバータ58は、入力された信号の反転信号を出力し得る。第1入力部52のフリップフロップC12には、インバータ58から、クロック信号IFCKの反転信号が入力される。このため、フリップフロップC12におけるホールドタイミングを改善させることが可能となる。なお、第2接続部72に、クロック信号の反転用のインバータを設けるようにしてもよい。本変形例の場合も、スキュー・タイミング調整が困難となることを防ぐことができる。撮像素子1の設定難易度を低減させることが可能となる。
【0105】
(2-3.変形例3)
図15A及び図15Bは、変形例3に係る撮像素子のレイアウト例を示す図である。図15Aのレイアウト例は、第1基板101~第3基板103のうち、第2基板102におけるレイアウト例を示している。また、図15Bのレイアウト例は、第3基板103におけるレイアウト例を示している。第1接続部71を、複数段に分けて配置するようにしてもよい。図15A及び図15Bに示す例では、第1接続部71は2段に分けて配置される。第1接続部71では、X軸方向に並ぶ複数の接続電極40により構成される電極ブロックがY軸方向に2つ配置される。電極ブロックが2段に縦方向に積んで設けられるともいえる。
【0106】
本変形例では、第1接続部71の左右の空間を確保して、設計及びレイアウトの自由度を向上させることができる。また、回路間における信号配線(データ信号の配線、クロック信号の配線等)の引き回しを低減し、信号伝送を効率よく行うことが可能となる。例えば、図15Bに示す例のように、第3信号処理部93を配置する領域を広く(大きく)することができる。また、図15Bに示す例では、第2信号処理部92及び第2撮像制御部82は、第2接続部72に対して比較的近くに配置される。このため、第2信号処理部92と第2接続部72との間における信号伝送、第2撮像制御部82と第2接続部72との間における信号伝達を効率よく行うことが可能となる。
【0107】
(2-4.変形例4)
図16は、変形例4に係る撮像素子の第1接続部の構成例を説明するための図である。図16に示す例のように、撮像素子1の第3基板103に設けられたPLL(Phase Locked Loop)160により生成されるクロック信号を用いて、第2基板102及び第3基板103間の信号の受け渡しを行うようにしてもよい。
【0108】
PLL160は、位相同期回路であり、ハイレベルとローレベルを繰り返す信号であるクロック信号を生成して出力するように構成される。PLL160は、例えば外部から入力される基準クロック信号に基づいて所定の周波数を有するクロック信号CK2を生成し、第1接続部71に供給する。本変形例では、第1接続部71の第1入力部52には、複数の非同期バッファ152(図16では、非同期バッファ152a,152b)が設けられる。非同期バッファ152は、例えば、データの書き込みとデータの読み出しとを非同期に実行可能に構成される。
【0109】
図16に示す例では、第1入力部52は、非同期バッファ152aと非同期バッファ152bを有する。非同期バッファ152a及び非同期バッファ152bは、それぞれ、例えば、非同期FIFO(First In First Out)回路を用いて構成される。非同期バッファ152a,152bは、非同期バッファメモリともいえる。また、第1入力部52は、セレクタ151aとセレクタ151bを有する。セレクタ151aは、選択回路であり、入力される信号を非同期バッファ152a,152bへ出力可能に構成される。セレクタ151bは、選択回路であり、非同期バッファ152a,152bから入力される信号のうち選択した信号をフリップフロップC12へ出力するように構成される。
【0110】
非同期バッファ152a及び非同期バッファ152bには、それぞれ、第2基板102側から接続電極40を介して、クロック信号IFCKが入力される。また、非同期バッファ152a,152bには、それぞれ、PLL160から、クロック信号CK2が入力される。非同期バッファ152a,152bは、クロック信号IFCKに同期して、フリップフロップC11からのデータ信号の書き込み(サンプリング)を行い得る。また、非同期バッファ152a,152bは、クロック信号CK2に同期して、セレクタ151b及びフリップフロップC12へのデータ信号の読み出しを行い得る。
【0111】
本変形例に係る撮像素子1は、非同期バッファ152を用いた非同期通信によって、第2基板102及び第3基板103間の信号伝送を行い得る。このため、クロック信号IFCKとは独立して、第3基板103の回路(第2信号処理部92、第3信号処理部93、第2撮像制御部82等)で用いるクロック信号CK2の周波数を設定可能となる。例えば、クロック信号CK2の周波数を、クロック信号IFCKの周波数よりも高い周波数に上げることができる。このため、第3基板103のロジック回路等における処理速度を向上させることが可能となる。
【0112】
(2-5.変形例5)
図17は、変形例5に係る撮像素子の構成例を説明するための図である。撮像素子1は、非同期通信によって、第2基板102及び第3基板103間の信号伝送を実行可能に構成される。例えば、第1接続部71及び第2接続部72の少なくとも一方が、図17に模式的に示すような回路構成を有していてもよい。非同期通信を用いることで、比較的容易にスキュー・タイミング調整を行うことが可能となる。
【0113】
図17に示す例では、第2基板102のフリップフロップC25は、クロック信号CK1に応じて、データ信号を第3基板103のフリップフロップC26へ出力する。第3基板103のフリップフロップC26は、クロック信号CK2に応じて、フリップフロップC25から入力されるデータ信号を受信する。撮像素子1では、例えば、1フレーム期間において1回しか変化(遷移)しない信号(例えばパラメータ)については、非同期通信によって受け渡すようにしてもよい。本変形例の場合、同期通信用の回路の面積、貫通電極の本数等を削減することが可能となる。
【0114】
図18Aは、変形例5に係る撮像素子の第1接続部の構成例を説明するための図である。図18Bは、変形例5に係る撮像素子の第1接続部の動作例を説明するためのタイミングチャートである。図18Aは、第1接続部71が非同期通信を実行可能に構成された場合の一例を示している。なお、第2接続部72が非同期通信を実行可能に構成されていてもよい。
【0115】
図18に示す例では、第1出力部51のフリップフロップC11bは、クロック信号CK1に同期してラッチパルス(Latch_Pulse)をサンプリングし、図18Bのタイミングチャートにおいて破線L1で示すようにラッチパルスを第1入力部52へ出力する。第1出力部51のフリップフロップC11aには、イネーブル信号として、ラッチパルスが入力される。フリップフロップC11aは、例えばラッチパルスがハイレベルの場合、クロック信号CK1に同期してデータ信号である信号Dataをサンプリングし、図18Bにおいて破線L2で示すように信号Dataを第1入力部52へ出力する。
【0116】
第1入力部52のフリップフロップC12には、第1出力部51のフリップフロップC11aから、信号Dataが入力される。また、フリップフロップC12には、フリップフロップC11bから遅延回路153を介して、ラッチパルスがイネーブル信号として入力される。遅延回路153は、例えば、Delayバッファであり、フリップフロップを用いて構成される。また、フリップフロップC12には、クロック信号CK1とは異なるクロック信号CK2が入力される。
【0117】
フリップフロップC12は、例えばラッチパルスがハイレベルの場合、クロック信号CK2に同期して信号Dataをサンプリングし、第1接続部71の外部の回路へ出力し得る。このように、撮像素子1では、第2基板102及び第3基板103間において、ラッチパルスとデータ信号の受け渡しが行われ、非同期通信を行うことができる。非同期通信を用いることで、比較的容易にスキュー・タイミング調整を行うことが可能となる。
【0118】
<3.使用例>
上述した撮像素子1及び電子機器10は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、テレビジョンや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0119】
<4.応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、撮像素子1等は、カメラ、携帯電話等、撮像機能を有する種々の電子機器に適用され得る。本開示に係る技術を適用することにより、電子機器を小型化することが可能となる。
【0120】
以上、実施の形態、変形例および使用例ならびに応用例を挙げて本開示を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上述した変形例は、上記実施の形態の変形例として説明したが、各変形例の構成を適宜組み合わせることができる。
【0121】
本開示の一実施形態の撮像素子は、光電変換により電荷を生成可能な複数の光電変換部を有する第1基板と、光電変換部で生成された電荷に基づく信号を取得し、信号処理を行うことが可能な第1信号処理部を有し、第1基板に積層される第2基板と、信号処理を行うことが可能な第2信号処理部を有し、第2基板に積層される第3基板と、第2基板の回路と第3基板の回路とを接続する第1電極が複数設けられた第1接続部と、第2基板の回路と第3基板の回路とを接続する第2電極が複数設けられた第2接続部と、を備える。第1接続部の大きさと、第2接続部の大きさとは異なっている。このため、撮像素子のチップ面積の増大を抑制することが可能となる。
【0122】
本開示の一実施形態の電子機器は、光電変換により電荷を生成可能な複数の光電変換部を有する第1基板と、光電変換部で生成された電荷に基づく信号を取得し、信号処理を行うことが可能な第1信号処理部を有し、第1基板に積層される第2基板と、信号処理を行うことが可能な第2信号処理部を有し、第2基板に積層される第3基板と、第2基板の回路と第3基板の回路とを接続する第1電極が複数設けられた第1接続部と、第2基板の回路と第3基板の回路とを接続する第2電極が複数設けられた第2接続部と、を備える。第1接続部の大きさと、第2接続部の大きさとは異なっている。このため、チップ面積の増大を抑制可能な電子機器を実現することが可能となる。
【0123】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。また、本開示は以下のような構成をとることも可能である。
(1)
光電変換により電荷を生成可能な複数の光電変換部を有する第1基板と、
前記光電変換部で生成された電荷に基づく信号を取得し、信号処理を行うことが可能な第1信号処理部を有し、前記第1基板に積層される第2基板と、
信号処理を行うことが可能な第2信号処理部を有し、前記第2基板に積層される第3基板と、
前記第2基板の回路と前記第3基板の回路とを接続する第1電極が複数設けられた第1接続部と、
前記第2基板の回路と前記第3基板の回路とを接続する第2電極が複数設けられた第2接続部と、を備え、
前記第1接続部の大きさと、前記第2接続部の大きさとは異なっている
撮像素子。
(2)
前記複数の光電変換部は、前記第1基板において、第1方向と前記第1方向と直交する第2方向に並んで設けられる
前記(1)に記載の撮像素子。
(3)
複数の前記第1電極は、第1方向に並んで設けられ、
複数の前記第2電極は、前記第1方向に並んで設けられる
前記(1)または(2)に記載の撮像素子。
(4)
前記第1方向において、前記第1接続部の長さと、前記第2接続部の長さとは異なっている
前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の撮像素子。
(5)
前記第1信号処理部の少なくとも一部は、平面視において、前記第1接続部と前記第2接続部との間に設けられる
前記(1)から(4)のいずれか1つに記載の撮像素子。
(6)
前記光電変換部を有し、光電変換された電荷に基づく信号を出力可能な複数の画素と、
前記第2基板に設けられ、前記画素から出力される信号をデジタル信号に変換可能なAD変換部と、を有する
前記(1)から(5)のいずれか1つに記載の撮像素子。
(7)
前記第1信号処理部は、前記光電変換部で生成された電荷に基づく第1デジタル信号を取得し、信号処理を行うことが可能であり、
前記第2信号処理部は、前記第1接続部を介して前記光電変換部で生成された電荷に基づく第2デジタル信号を取得し、信号処理を行うことが可能である
前記(1)から(6)のいずれか1つに記載の撮像素子。
(8)
前記第1接続部は、平面視において、前記AD変換部と前記第1信号処理部との間に設けられる
前記(6)に記載の撮像素子。
(9)
前記第2接続部は、平面視において、前記第1信号処理部に対して前記第1接続部と反対側に設けられる
前記(1)から(7)のいずれか1つに記載の撮像素子。
(10)
前記第1接続部は、第1クロック信号に同期して入力された信号を、第2クロック信号に同期して出力可能な出力部を有し、
前記第2クロック信号の周波数は、第1クロック信号の周波数よりも低い
前記(1)から(9)のいずれか1つに記載の撮像素子。
(11)
前記第2基板に設けられ、信号を圧縮可能な圧縮部と、
前記第3基板に設けられ、信号を解凍可能な解凍部と、を有し、
前記第1接続部は、前記圧縮部により圧縮された信号を前記解凍部へ伝えることが可能である
前記(1)から(10)のいずれか1つに記載の撮像素子。
(12)
前記圧縮部は、前記AD変換部と前記第1信号処理部との間に設けられる
前記(11)に記載の撮像素子。
(13)
前記第3基板に設けられる第3信号処理部を有し、
前記第3信号処理部は、前記第2接続部を介して前記光電変換部で生成された電荷に基づく第3デジタル信号を取得し、信号処理を行うことが可能である
前記(1)から(12)のいずれか1つに記載の撮像素子。
(14)
前記第3信号処理部は、前記第3デジタル信号に基づいて認識処理が可能である
前記(13)に記載の撮像素子。
(15)
前記第1接続部は、平面視において、前記第2信号処理部と前記第3信号処理部との間に設けられる
前記(13)または(14)に記載の撮像素子。
(16)
前記第2接続部は、平面視において、前記第3信号処理部に対して前記第1接続部と反対側に設けられる
前記(13)から(15)のいずれか1つに記載の撮像素子。
(17)
前記第2接続部は、シリアル信号をパラレル信号に変換可能な第1変換部、及びパラレル信号をシリアル信号に変換可能な第2変換部の少なくとも一方を有する
前記(1)から(16)のいずれか1つに記載の撮像素子。
(18)
前記第2基板に設けられ、前記第1信号処理部から出力される信号及び前記第2信号処理部から出力される信号の少なくとも一方を外部へ出力可能なインタフェース部を有し、
前記第1接続部は、平面視において、前記第1信号処理部と前記インタフェース部との間に設けられる
前記(1)から(17)のいずれか1つに記載の撮像素子。
(19)
前記第1電極及び前記第2電極は、それぞれ、前記第2基板を貫通する貫通電極と、前記貫通電極に接続される第1の接合用電極と、前記第1の接合用電極に接続される第2の接合用電極とを有する
前記(1)から(18)のいずれか1つに記載の撮像素子。
(20)
光電変換により電荷を生成可能な複数の光電変換部を有する第1基板と、
前記光電変換部で生成された電荷に基づく信号を取得し、信号処理を行うことが可能な第1信号処理部を有し、前記第1基板に積層される第2基板と、
信号処理を行うことが可能な第2信号処理部を有し、前記第2基板に積層される第3基板と、
前記第2基板の回路と前記第3基板の回路とを接続する第1電極が複数設けられた第1接続部と、
前記第2基板の回路と前記第3基板の回路とを接続する第2電極が複数設けられた第2接続部と、を備え、
前記第1接続部の大きさと、前記第2接続部の大きさとは異なっている
電子機器。
【符号の説明】
【0124】
1…撮像素子、10…電子機器、12…光電変換部、71…第1接続部、72…第2接続部、91…第1信号処理部、92…第2信号処理部、93…第3信号処理部、101…第1基板、102…第2基板、103…第3基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18A
図18B