(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181087
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
H02M3/28 K
H02M3/28 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073701
(22)【出願日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2022093678
(32)【優先日】2022-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊之
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730BB25
5H730BB62
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730FG05
5H730FG07
5H730FG26
(57)【要約】
【課題】入力電圧が変化した場合であっても、効率の低下を抑制することができる電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置は、電流共振コンバータと、電流共振コンバータの共振経路に直列接続され、静電容量が可変である可変容量回路と、電流共振コンバータの入力電圧に基づいて、静電容量を変更する制御回路と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流共振コンバータと、
前記電流共振コンバータの共振経路に直列接続され、静電容量が可変である可変容量回路と、
前記電流共振コンバータの入力電圧に基づいて、前記静電容量を変更する制御回路と、
を含む、
ことを特徴とする、電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記入力電圧が相対的に高い場合に、前記静電容量を相対的に大きくし、
前記入力電圧が相対的に低い場合に、前記静電容量を相対的に小さくする、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記可変容量回路は、
第1コンデンサと、
一端が前記第1コンデンサの一端に電気的に接続された第2コンデンサと、
寄生容量及び寄生ダイオードを有し、第1端子が前記第2コンデンサの他端に電気的に接続され、第2端子が前記第1コンデンサの他端に電気的に接続され、制御端子に前記制御回路からスイッチング信号が入力されるスイッチング素子と、
を含む、
ことを特徴とする、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記入力電圧が相対的に高い場合に、前記スイッチング信号のデューティを相対的に大きくし、
前記入力電圧が相対的に低い場合に、前記スイッチング信号のデューティを相対的に小さくする、
ことを特徴とする、請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記入力電圧が相対的に高い場合に、前記共振経路の共振周波数を相対的に低くし、
前記入力電圧が相対的に低い場合に、前記共振経路の共振周波数を相対的に高くする、
ことを特徴とする、請求項2に記載の電源装置。
【請求項6】
前記制御回路は、
前記電流共振コンバータのブリッジ回路のスイッチング周波数を一定にする、
ことを特徴とする、請求項2に記載の電源装置。
【請求項7】
前記制御回路は、
電流が前記スイッチング素子の前記第2端子の側から前記第1端子の側の方向に流れる場合に、前記スイッチング素子をオン状態に制御する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LLCコンバータ(電流共振コンバータ)は、入力電圧が変化した場合に、ブリッジ回路のスイッチング周波数を変更することにより、出力電圧を目標電圧に維持できる。但し、LLCコンバータは、ブリッジ回路のスイッチング周波数が共振周波数と同じ場合に効率が最も高い。そのため、LLCコンバータは、入力電圧が変化した場合に、ブリッジ回路のスイッチング周波数を変更すると、スイッチング周波数の増加による効率低下や、スイッチング周波数の減少によるトランスの磁気飽和などの課題がある。
【0003】
特許文献1には、複数のLLCコンバータがインターリーブ接続された構成において、複数のLLCコンバータの電流に基づいて、前段の複数のPFC(力率改善回路)の出力電圧を調整することにより、複数のLLCコンバータの電流バランスを取る技術が、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0191168号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、入力電圧が変化した場合であっても、効率の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の電源装置は、
電流共振コンバータと、
前記電流共振コンバータの共振経路に直列接続され、静電容量が可変である可変容量回路と、
前記電流共振コンバータの入力電圧に基づいて、前記静電容量を変更する制御回路と、
を含む、
ことを特徴とする。
【0007】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記入力電圧が相対的に高い場合に、前記静電容量を相対的に大きくし、
前記入力電圧が相対的に低い場合に、前記静電容量を相対的に小さくする、
ことを特徴とする。
【0008】
前記電源装置において、
前記可変容量回路は、
第1コンデンサと、
一端が前記第1コンデンサの一端に電気的に接続された第2コンデンサと、
寄生容量及び寄生ダイオードを有し、第1端子が前記第2コンデンサの他端に電気的に接続され、第2端子が前記第1コンデンサの他端に電気的に接続され、制御端子に前記制御回路からスイッチング信号が入力されるスイッチング素子と、
を含む、
ことを特徴とする。
【0009】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記入力電圧が相対的に高い場合に、前記スイッチング信号のデューティを相対的に大きくし、
前記入力電圧が相対的に低い場合に、前記スイッチング信号のデューティを相対的に小さくする、
ことを特徴とする。
【0010】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記入力電圧が相対的に高い場合に、前記共振経路の共振周波数を相対的に低くし、
前記入力電圧が相対的に低い場合に、前記共振経路の共振周波数を相対的に高くする、
ことを特徴とする。
【0011】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
前記電流共振コンバータのブリッジ回路のスイッチング周波数を一定にする、
ことを特徴とする。
【0012】
前記電源装置において、
前記制御回路は、
電流が前記スイッチング素子の前記第2端子の側から前記第1端子の側の方向に流れる場合に、前記スイッチング素子をオン状態に制御する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様の電源装置は、入力電圧が変化した場合であっても、効率の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態の電源装置の第1スイッチング信号のデューティの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態の電源装置の、ブリッジ回路のスイッチング周波数を一定にした場合の、出力電圧-入力電圧特性の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第2の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、第1及び第2の実施の形態の電源装置の各部の波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の電源装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0016】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
【0017】
電源装置1は、入力電圧Vinの供給を直流電源2から受けて、直流の出力電圧Voutを負荷3に出力する。
【0018】
電源装置1は、LLCコンバータ11と、制御回路12と、を含む。
【0019】
LLCコンバータ11は、ブリッジ回路21と、可変容量回路22と、トランス23と、整流回路24と、コンデンサ25と、電圧センサ26と、を含む電流共振コンバータである。
【0020】
実施の形態では、電流共振コンバータの一例としてLLCコンバータを用いたが、本開示はこれに限定されない。本開示は、LLCコンバータ以外の電流共振コンバータにも適用可能である。
【0021】
ブリッジ回路21は、第1アーム31と、第2アーム32と、を含む。実施の形態では、ブリッジ回路21は、フルブリッジ回路としたが、本開示はこれに限定されない。ブリッジ回路21は、例えば、ハーフブリッジ回路であっても良い。
【0022】
第1アーム31は、トランジスタQ1及びQ2を含む。第2アーム32は、トランジスタQ3及びQ4を含む。
【0023】
本開示では、各トランジスタがMOSFETであることとしたが、これに限定されない。各トランジスタは、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイスなどでも良い。
【0024】
各トランジスタは、積極的に電流を流すことができる寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する、又は、逆並列にダイオードが接続されている。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。
【0025】
トランジスタQ1のドレインは、第1入力端子21aに電気的に接続されている。第1入力端子21aは、直流電源2の高電位側端子に電気的に接続されている。トランジスタQ1のソースは、第1出力端子21cに電気的に接続されている。トランジスタQ2のドレインは、第1出力端子21c及びトランジスタQ1のソースに電気的に接続されている。トランジスタQ2のソースは、第2入力端子21bに電気的に接続されている。第2入力端子21bは、直流電源2の低電位側端子に電気的に接続されている。
【0026】
トランジスタQ3のドレインは、第1入力端子21aに電気的に接続されている。トランジスタQ3のソースは、第2出力端子21dに電気的に接続されている。トランジスタQ4のドレインは、第2出力端子21d及びトランジスタQ3のソースに電気的に接続されている。トランジスタQ4のソースは、第2入力端子21bに電気的に接続されている。
【0027】
可変容量回路22は、第1コンデンサ41と、第2コンデンサ42と、トランジスタQ5と、を含む。トランジスタQ5は、寄生容量43と、寄生ダイオード44と、を含む。
【0028】
トランジスタQ5が、本開示の「スイッチング素子」の一例に相当する。トランジスタQ5のドレインが、本開示の「第1端子」の一例に相当する。トランジスタQ5のソースが、本開示の「第2端子」の一例に相当する。トランジスタQ5のゲートが、本開示の「制御端子」の一例に相当する。
【0029】
第1コンデンサ41の一端は、第1出力端子21cに電気的に接続されている。第2コンデンサ42の一端は、第1コンデンサ41の一端及び第1出力端子21cに電気的に接続されている。
【0030】
トランジスタQ5のドレインは、第2コンデンサ42の他端に電気的に接続されている。トランジスタQ5のソースは、第1コンデンサ41の他端に電気的に接続されている。
【0031】
トランジスタQ5がオン状態の場合、可変容量回路22の静電容量は、第1コンデンサ41の静電容量と、第2コンデンサ42の静電容量と、の和になる。トランジスタQ5がオフ状態の場合、可変容量回路22の静電容量は、第1コンデンサ41の静電容量と、第2コンデンサ42及び寄生容量43の直列接続の静電容量と、の和になる。
【0032】
(第2コンデンサ42の静電容量)>(第2コンデンサ42及び寄生容量43の直列接続の静電容量)である。つまり、可変容量回路22の静電容量は、トランジスタQ5がオン状態の場合に相対的に大きくなり、トランジスタQ5がオフ状態の場合に相対的に小さくなる。
【0033】
従って、可変容量回路22の静電容量の時間平均は、トランジスタQ5のゲートに入力される第1スイッチング信号S1のデューティが相対的に大きい場合に相対的に大きくなり、第1スイッチング信号S1のデューティが相対的に小さい場合に相対的に小さくなる。
【0034】
第1スイッチング信号S1が、本開示の「スイッチング信号」の一例に相当する。
【0035】
トランス23は、1次巻線23aと、2次巻線23bと、コア23cと、を含む。1次巻線23a及び2次巻線23bは、コア23cに巻回されている。1次巻線23aは、励磁インダクタンス23dを含む。
【0036】
LLCコンバータ11は、ブリッジ回路21とトランス23との間に、インダクタンス23eを含む。インダクタンス23eは、トランス23の漏れインダクタンスでも良い。
【0037】
インダクタンス23eの一端は、第1コンデンサ41の他端及びトランジスタQ5のソースに電気的に接続されている。インダクタンス23eの他端は、1次巻線23aの一端に電気的に接続されている。1次巻線23aの他端は、第2出力端子21dに電気的に接続されている。
【0038】
可変容量回路22、インダクタンス23e及び励磁インダクタンス23dが、LLCコンバータ11の共振経路51を構成する。
【0039】
共振経路51の共振周波数は、次の式(1)で表される。式(1)において、fは共振周波数であり、Lは励磁インダクタンス23d及びインダクタンス23eのインダクタンスであり、Cは可変容量回路22の静電容量である。
【数1】
【0040】
従って、共振経路51の共振周波数は、可変容量回路22の静電容量が相対的に大きい場合に相対的に低くなり、可変容量回路22の静電容量が相対的に小さい場合に相対的に高くなる。
【0041】
つまり、共振経路51の共振周波数は、トランジスタQ5のゲートに入力される第1スイッチング信号S1のデューティが相対的に大きい場合に相対的に低くなり、第1スイッチング信号S1のデューティが相対的に小さい場合に相対的に高くなる。
【0042】
なお、実施の形態では、共振経路51がトランス23の1次側にあることとしたが、本開示はこれに限定されない。共振経路51は、トランス23の2次側にあっても良い。
【0043】
また、実施の形態では、可変容量回路22は、ブリッジ回路21と、インダクタンス23eと、の間に直列に挿入されていることとしたが、本開示はこれに限定されない。可変容量回路22は、例えば、インダクタンス23eと、励磁インダクタンス23dと、の間に直列に挿入されても良い。
【0044】
ブリッジ回路21は、トランジスタQ1及びQ4がオン状態、且つ、トランジスタQ2及びQ3がオフ状態の場合、正方向の直流電圧をトランス23の1次巻線23aに出力する。
【0045】
ブリッジ回路21は、トランジスタQ1及びQ4がオフ状態、且つ、トランジスタQ2及びQ3がオン状態の場合、負方向の直流電圧をトランス23の1次巻線23aに出力する。
【0046】
ブリッジ回路21は、トランジスタQ1からトランジスタQ4までがオフ状態の場合、トランス23の1次巻線23aを開放する。若しくは、トランジスタQ2及びQ3の寄生ダイオードを通じて直流電源2にトランス23の電流が還流される。若しくは、トランジスタQ4及びQ1の寄生ダイオードを通じて直流電源2にトランス23の電流が還流される。
【0047】
整流回路24は、トランス23の2次巻線23bに誘起される電圧を整流して、コンデンサ25に出力する。整流回路24は、ブリッジダイオードが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0048】
コンデンサ25は、整流回路24で整流された電圧を平滑化する。コンデンサ25の電圧が、出力電圧Voutである。電圧センサ26は、出力電圧Voutを表す信号S21を制御回路12に出力する。
【0049】
制御回路12は、第1制御部61と、第2制御部62と、を含む。
【0050】
第1制御部61は、誤差アンプ71と、基準電圧源72と、コンパレータ73と、三角波電圧源74と、レベルシフト回路75と、を含む。
【0051】
誤差アンプ71の非反転入力端子(+端子)には、入力電圧Vin又は入力電圧Vinをレベルシフトした電圧が入力される。誤差アンプ71の反転入力端子(-端子)には、目標電圧に応じた基準電圧V11が基準電圧源72から入力される。誤差アンプ71は、入力電圧Vinと、基準電圧V11と、の差に応じた電圧V12を、コンパレータ73の非反転入力端子(+端子)に出力する。
【0052】
コンパレータ73の反転入力端子(-端子)には、トランジスタQ1及びQ4、又は、トランジスタQ2及びQ3に同期した三角波電圧V13が三角波電圧源74から入力される。
【0053】
コンパレータ73は、電圧V12が三角波電圧V13よりも高い場合には、ハイレベルの信号S11を出力し、三角波電圧V13が電圧V12よりも高い場合には、ローレベルの信号S11を出力する。
【0054】
レベルシフト回路75は、信号S11をレベルシフトした第1スイッチング信号S1を、トランジスタQ5のゲートに出力する。
【0055】
図2は、実施の形態の電源装置の第1スイッチング信号のデューティの一例を示す図である。
【0056】
図2において、縦軸は、第1スイッチング信号S1の電圧(ハイレベル又はローレベル)を表し、横軸は、第1スイッチング信号S1のデューティを表す。
図2では、入力電圧Vinが350Vから450Vまで変化した場合を示している。波形201は、入力電圧Vinが350Vの場合を表す。波形202は、入力電圧Vinが370Vの場合を表す。波形203は、入力電圧Vinが390Vの場合を表す。波形204は、入力電圧Vinが410Vの場合を表す。波形205は、入力電圧Vinが430Vの場合を表す。波形206は、入力電圧Vinが450Vの場合を表す。
【0057】
コンパレータ73は、入力電圧Vinが相対的に低い場合(波形201参照)に、第1スイッチング信号S1のデューティを相対的に小さくする(静電容量小、共振周波数高)。コンパレータ73は、入力電圧Vinが相対的に高くなる(波形206参照)ほど、
図2中の矢印207で示すように、第1スイッチング信号S1のデューティを相対的に大きくする(静電容量大、共振周波数低)。
【0058】
第2制御部62には、出力電圧Voutを表す信号S21が電圧センサ26から入力される。第2制御部62は、第2スイッチング信号S2をブリッジ回路21に出力し、出力電圧Voutを目標電圧に維持する。
【0059】
入力電圧Vinが相対的に高い場合、出力電圧Voutが高くなる。従って、第2制御部62は、第2スイッチング信号S2のスイッチング周波数を相対的に高くすることが例示される。
【0060】
但し、入力電圧Vinが相対的に高い場合には、共振経路51の共振周波数が相対的に低くなり、出力電圧Voutの上昇が抑制される。従って、第2制御部62は、第2スイッチング信号S2のスイッチング周波数を相対的に高くすることを抑制できる。
【0061】
入力電圧Vinが相対的に低い場合、出力電圧Voutが低くなる。従って、第2制御部62は、第2スイッチング信号S2のスイッチング周波数を相対的に低くすることが例示される。
【0062】
但し、入力電圧Vinが相対的に低い場合には、共振経路51の共振周波数が相対的に高くなり、出力電圧Voutの下降が抑制される。従って、第2制御部62は、第2スイッチング信号S2のスイッチング周波数を相対的に低くすることを抑制できる。
【0063】
なお、本開示は上記に限定されない。例えば、後述するように、第2制御部62は、第2スイッチング信号S2のスイッチング周波数を一定としても良い。
【0064】
また、第2制御部62は、パルス幅変調信号である信号S11が入力されることとし、この信号S11を参照し、共振経路51の共振周波数と、ブリッジ回路21のスイッチング周波数と、が同じになるようにブリッジ回路21を周波数制御しても良い。これにより、電源装置1は、出力電圧Voutを一定に制御することができる。
【0065】
(まとめ)
電源装置1は、入力電圧Vinが相対的に高い場合に、共振経路51の共振周波数が相対的に低くなる。それとともに、ブリッジ回路21のスイッチング周波数が相対的に高くなることが抑制される。これにより、電源装置1は、効率の低下を抑制できる。
【0066】
また、電源装置1は、入力電圧Vinが相対的に低い場合に、共振経路51の共振周波数が相対的に高くなる。それとともに、ブリッジ回路21のスイッチング周波数が相対的に低くなることが抑制される。これにより、電源装置1は、トランス23の磁気飽和などの問題を回避できる。
【0067】
なお、可変容量回路22の静電容量を変更することは、共振経路51の共振周波数、共振インピーダンス、共振インダクタンス、共振コンデンサ容量を変更することと等価である。
【0068】
(付記)
図3は、実施の形態の電源装置の、ブリッジ回路のスイッチング周波数を一定にした場合の、出力電圧-入力電圧特性の一例を示す図である。
図3において、縦軸は、出力電圧Voutを表し、横軸は、入力電圧Vinを表す。
【0069】
図3において、波形211は、可変容量回路22の静電容量を初期値に固定した場合を表す。波形212は、可変容量回路22の静電容量を入力電圧Vinに応じて可変した場合を表す。
【0070】
波形211に示すように、可変容量回路22の静電容量を初期値に固定した場合、入力電圧Vinが高くなるとともに、出力電圧Voutが高くなってしまう。
【0071】
一方、波形212に示すように、可変容量回路22の静電容量を入力電圧Vinに応じて可変した場合、ブリッジ回路21のスイッチング周波数を一定にしても、出力電圧Voutを略一定に維持することができる。
【0072】
このように、電源装置1は、可変容量回路22の静電容量を入力電圧Vinに応じて可変することにより、ブリッジ回路21のスイッチング周波数を一定にしても、出力電圧Voutを略一定に維持することができる。これにより、電源装置1は、制御が容易になる。
【0073】
<第2の実施の形態>
図4は、第2の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
【0074】
電源装置1Aは、電源装置1(
図1参照)と比較して、LLCコンバータ11に代えて、LLCコンバータ11Aを含む。また、電源装置1Aは、制御回路12に代えて、制御回路12Aを含む。
【0075】
LLCコンバータ11Aは、LLCコンバータ11と比較して、可変容量回路22に代えて、可変容量回路22Aを含む。可変容量回路22Aは、可変容量回路22と比較して、抵抗45を更に含む。抵抗45は、トランジスタQ5の電流を検出するための電流検出抵抗である。なお、可変容量回路22Aは、抵抗45に代えて、電流センサを含むこととしても良い。
【0076】
抵抗45の一端45aは、トランジスタQ5のソースに電気的に接続されている。抵抗45の他端45bは、第1コンデンサ41の他端に電気的に接続されている。
【0077】
トランジスタQ5のドレインの側からソースの側の方向に電流が流れる場合、(抵抗45の一端45aの電位)>(抵抗45の他端45bの電位)となる。トランジスタQ5のソースの側からドレインの側の方向に電流が流れる場合、(抵抗45の一端45aの電位)<(抵抗45の他端45bの電位)となる。
【0078】
制御回路12Aは、制御回路12と比較して、第1制御部61に代えて、第1制御部61Aを含む。
【0079】
第1制御部61Aは、第1制御部61と比較して、コンパレータ76と、電圧源77と、ORゲート回路78と、を更に含む。
【0080】
コンパレータ76の非反転入力端子(+端子)は、抵抗45の他端45bに電気的に接続されている。コンパレータ76の反転入力端子(-端子)は、電圧源77の高電位側端に電気的に接続されている。電圧源77の低電位側端は、抵抗45の一端45aに電気的に接続されている。電圧源77は、電圧V14をコンパレータ76の反転入力端子(-端子)に出力する。
【0081】
コンパレータ76は、抵抗45の他端45bと一端45aとの間の電位差(電圧)が電圧V14以上の場合に、ハイレベルの信号S13を出力する。コンパレータ76は、抵抗45の他端45bと一端45aとの間の電位差が電圧V14未満の場合に、ローレベルの信号S13を出力する。
【0082】
なお、コンパレータ76の反転入力端子(-端子)に電圧V14が入力されることとしたのは、抵抗45に流れる微少な電流(ノイズ電流)によって信号S13が頻繁に反転することを抑制するためである。
【0083】
ORゲート回路78は、2入力1出力の論理和回路である。ORゲート回路78には、レベルシフト回路75から出力される信号S12及びコンパレータ76から出力される信号S13が入力される。ORゲート回路78は、信号S12と信号S13との論理和である第1スイッチング信号S1をトランジスタQ5のゲートに出力する。
【0084】
なお、抵抗45に代えて絶縁タイプの電流センサを用いる場合には、電圧源77の低電位側端は、基準電位に接続できる。そして、ORゲート回路78とレベルシフト回路75との順番を入れ替えることができる。つまり、ORゲート回路78は、信号S11と信号S13との論理和である出力信号をレベルシフト回路75に出力し、レベルシフト回路75は、ORゲート回路78の出力信号の電圧レベルを変換して第1スイッチング信号S1を出力することとしても良い。
【0085】
図5は、第1及び第2の実施の形態の電源装置の各部の波形を示す図である。
図5(a)は、第1の実施の形態の電源装置1の各部の波形を示す。
図5(b)は、第2の実施の形態の電源装置1Aの各部の波形を示す。
【0086】
線221は、ブリッジ回路21の中の1つのトランジスタ(例えば、トランジスタQ1(
図1参照))のゲート信号の波形を示す。
【0087】
線222は、信号S11(
図1及び
図4参照)の波形を示す。
【0088】
線223は、トランジスタQ5(
図1及び
図4参照)のドレインの側からソースの側の方向に流れる電流の波形を示す。
【0089】
線224は、トランジスタQ5(
図1及び
図4参照)のドレイン-ソース間電圧の波形を示す。
【0090】
【0091】
線226は、第1スイッチング信号S1(
図4参照)の波形を示す。
【0092】
図5(a)を参照すると、第1の実施の形態の電源装置1では、タイミングt
0において、線221で示すように、トランジスタQ1のゲート信号がハイレベルになる。それとともに、線222で示すように、信号S11がハイレベルになり、トランジスタQ5がオン状態になる。従って、線224で示すように、トランジスタQ5のドレイン-ソース間電圧は、ゼロになる。また、線223で示すように、トランジスタQ5のドレインからソースの方向に電流が流れる。
【0093】
次に、タイミングt1において、線222で示すように、信号S11がローレベルになり、トランジスタQ5がオフ状態になる。従って、線223で示すように、トランジスタQ5には、電流が流れない。また、線224で示すように、トランジスタQ5のドレイン-ソース間電圧は、上昇し、その後下降する。
【0094】
次に、タイミングt2において、線224で示すように、トランジスタQ5のドレイン-ソース間電圧がゼロになる。また、線223で示すように、電流が寄生ダイオード44のアノードからカソードの方向に流れる。この電流により、矢印227で指し示す損失が、寄生ダイオード44で発生する。
【0095】
次に、タイミングt3において、線221で示すように、トランジスタQ1のゲート信号がハイレベルになる。それとともに、線222で示すように、信号S11がハイレベルになり、トランジスタQ5がオン状態になる。従って、線224で示すように、トランジスタQ5のドレイン-ソース間電圧は、ゼロになる。また、線223で示すように、トランジスタQ5のドレインからソースの方向に電流が流れる。
【0096】
以上のように、第1の実施の形態の電源装置1では、タイミングt2からタイミングt3までの期間で、矢印227で指し示す損失が、寄生ダイオード44で発生する。
【0097】
一方、
図5(b)を参照すると、第2の実施の形態の電源装置1Aでは、タイミングt
0において、信号S11(線222)がハイレベルであるので、線226で示すように、第1スイッチング信号S1がハイレベルになる。これにより、トランジスタQ5がオン状態になる。従って、線224と同様に、トランジスタQ5のドレイン-ソース間電圧は、ゼロになる。また、線223と同様に、トランジスタQ5のドレインからソースの方向に電流が流れる。
【0098】
次に、タイミングt1において、信号S11(線222)がローレベルであり、且つ、信号S13(線225)がローレベルであるので、線226で示すように、第1スイッチング信号S1がローレベルになる。従って、線223と同様に、トランジスタQ5には、電流が流れない。また、線224と同様に、トランジスタQ5のドレイン-ソース間電圧は、上昇し、その後下降する。
【0099】
次に、タイミングt2において、線224と同様に、トランジスタQ5のドレイン-ソース間電圧がゼロになる。また、線223と同様に、電流が寄生ダイオード44のアノードからカソードの方向に流れる。コンパレータ76は、この電流を検出し、ハイレベルの信号S13を出力する。信号S13がハイレベルになると、ORゲート回路78は、線226で示すように、ハイレベルの第1スイッチング信号S1を出力する。これにより、トランジスタQ5がオン状態になる。従って、線224と同様に、トランジスタQ5のドレイン-ソース間電圧は、ゼロになる。また、電流が、線223と同様に、トランジスタQ5のソースからドレインに向かって流れる。この電流により、矢印227で指し示す損失が、トランジスタQ5のオン抵抗で発生する。
【0100】
(まとめ)
第1の実施の形態の電源装置1では、タイミングt2からタイミングt3の期間で、電流が、寄生ダイオード44のアノードからカソードへ流れ、損失が、寄生ダイオード44で発生する。
【0101】
一方、第2の実施の形態の電源装置1Aでは、タイミングt2からタイミングt3の期間で、電流が、トランジスタQ5のソースからドレインへ流れ、損失が、トランジスタQ5のオン抵抗で発生する。
【0102】
トランジスタQ5のオン抵抗での損失は、寄生ダイオード44での損失よりも少ない。従って、電源装置1Aは、電源装置1と比較して、損失を抑制し、効率を向上させることができる。
【0103】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0104】
1、1A 電源装置
2 直流電源
3 負荷
11、11A LLCコンバータ
12、12A 制御回路
21 ブリッジ回路
22、22A 可変容量回路
23 トランス
24 整流回路
25 コンデンサ
26 電圧センサ
31 第1アーム
32 第2アーム
41 第1コンデンサ
42 第2コンデンサ
43 寄生容量
44 寄生ダイオード
61、61A 第1制御部
62 第2制御部
71 誤差アンプ
72 基準電圧源
73、76 コンパレータ
74 三角波電圧源
75 レベルシフト回路
77 電圧源
78 ORゲート回路
Q1、Q2、Q3、Q4、Q5 トランジスタ