(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181105
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】モータ制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H02P 27/06 20060101AFI20231214BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20231214BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20231214BHJP
【FI】
H02P27/06
H02M3/155 H
H02M7/48 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023085120
(22)【出願日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】2208546.8
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】522252637
【氏名又は名称】イーティーエー グリーンパワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ETA Green Power Limited
【住所又は居所原語表記】Hethel Engineering Centre Chapman Way Hethel NR14 8FB United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】リアム ボウマン
(72)【発明者】
【氏名】アリスター チーズマン
【テーマコード(参考)】
5H505
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5H505BB02
5H505CC04
5H505DD08
5H505EE48
5H505GG02
5H505GG05
5H505HB01
5H505HB05
5H505JJ26
5H505LL24
5H505LL25
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730AS13
5H730AS17
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB57
5H730DD04
5H730DD16
5H730FG05
5H770BA01
5H770BA20
5H770CA01
5H770DA03
5H770DA41
(57)【要約】
【課題】モータの異なる動作電圧に対して電力信号を最適化すること。
【解決手段】エネルギー管理システム200は、第1入出力端子201及び第2入出力端子202を備える双方向エネルギー変換器と、第1波形制御装置211と、第2波形制御装置212とを備える。双方向エネルギー変換器は、第1波形制御器211及び第2波形制御装置212に接続される。第1波形制御装置211は、第2入出力端子202に接続され、第2波形制御装置212は、第1入出力端子に接続される。双方向エネルギー変換器は、第1入出力端子201で第1入力電圧を受け取り、第1動作方向で第1出力電圧を生成し、第2入出力端子202で第2入力電圧を受け取り、第2動作方向で第2出力電圧を生成するように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータ用のエネルギー管理システムであって、
前記エネルギー管理システムは、
第1入出力端子と第2入出力端子と備える双方向エネルギー変換器と、
第1波形制御装置と、
第2波形制御装置と、
を備え、
前記双方向エネルギー変換器は、前記第1波形制御装置及び前記第2波形制御装置と接続され、
前記第1波形制御装置は、前記第2入出力端子と接続され、
前記第2波形制御装置は、前記第1入出力端子と接続され、
前記双方向エネルギー変換器は、
前記第1入出力端子で第1入力電圧を受け取り第1動作方向に第1出力電圧を生成し、前記第2入出力端子で第2入力電圧を受け取り第2動作方向に第2出力電圧を生成するように構成され、
第1モード及び第2モードで動作し、前記第1モードにおいて、前記双方向エネルギー変換器は入力電圧から出力電圧を生成するように構成され、前記出力電圧が前記入力電圧より大きく、前記第2モードにおいて、前記双方向エネルギー変換器は入力電圧から出力電圧を生成するように構成され、前記出力電圧が前記入力電圧より小さく、
前記第1動作方向及び前記第1モードにおいて、前記第1波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器からの第1出力電圧波形を修正し、前記第2入出力端子に第1の所望の出力電圧波形を供給するように構成され、
前記第2動作方向及び前記第1モードにおいて、前記第2波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器からの第2出力電圧波形を修正し、前記第1入出力端子に第2の所望の出力電圧波形を供給するように構成される、
エネルギー管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエネルギー管理システムにおいて、
前記第1動作方向及び前記第2モードにおいて、前記第2波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器からの前記第1出力電圧波形を修正し、前記第1入出力端子に前記第1の所望の出力電圧波形を供給するように構成され、
前記第2動作方向及び前記第2モードにおいて、前記第1波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器からの前記第2出力電圧波形を修正し、前記第2入出力端子に前記第2の所望の出力電圧波形を供給するように構成される、
エネルギー管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエネルギー管理装置において、
前記第1波形制御装置及び前記第2波形制御装置は、前記電動モータの逆起電力プロファイルに一致するように前記双方向エネルギー変換器の出力電流をフィルタリングすることによって前記双方向エネルギー変換器からの出力電圧を修正するように構成される、
エネルギー管理装置。
【請求項4】
請求項1に記載のエネルギー管理装置において、
前記第1入出力端子及び前記第2波形制御装置と接続されたバッテリをさらに備え、
前記第1動作方向において、前記バッテリは、前記第1入力電圧を前記双方向エネルギー変換器に供給するように構成され、
前記第2動作方向において、前記バッテリは、前記第2の所望の出力波形を受信するように構成される、
エネルギー管理装置。
【請求項5】
請求項1に記載のエネルギー管理装置において、
多相モータの相数に等しい複数の出力ポートを備えるように構成された、前記第2入出力端子と接続された多相整流回路をさらに備え、
前記第2動作方向において、前記多相整流回路は、前記第2入力電圧を前記双方向エネルギー変換器に供給するように構成され、
前記第1動作方向において、前記多相整流回路は、前記第1の所望の出力波形を受け取るように構成される、
エネルギー管理装置。
【請求項6】
請求項1に記載のエネルギー管理装置において、
前記双方向エネルギー変換器は、前記双方向エネルギー変換器の前記第1入出力端子に供給される電圧レベルに少なくとも部分的に基づいて、前記第1モード又は前記第2モードで動作するように構成される、
エネルギー管理装置。
【請求項7】
請求項1に記載のエネルギー管理装置において、
前記双方向エネルギー変換器は、前記第2入出力端子に供給される電圧レベルに少なくとも部分的に基づいて、前記第1モード又は前記第2モードのいずれかで動作するように構成される、
エネルギー管理装置。
【請求項8】
請求項1に記載のエネルギー管理装置において、
前記第1波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器が前記第1動作方向又は前記第2動作方向のいずれかで動作しているかに少なくとも部分的に基づき、前記双方向エネルギー変換器からの前記第1出力電圧波形を修正するように構成される、
エネルギー管理装置。
【請求項9】
請求項1に記載のエネルギー管理装置において、
前記第2波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器が前記第1動作方向又は前記第2動作方向のいずれかで動作しているかに少なくとも部分的に基づき、前記双方向エネルギー変換器からの前記第2出力電圧波形を修正するように構成される、
エネルギー管理装置。
【請求項10】
請求項1に記載のエネルギー管理装置において、
前記第1波形制御装置は、前記第1入出力端子における電圧レベルと前記第2入出力端子に供給される電圧レベルとの比較に基づき前記第1出力電圧を修正するように構成される、
エネルギー管理装置。
【請求項11】
請求項1に記載のエネルギー管理装置において、
前記第2波形制御装置は、前記第1入出力端子における電圧レベルと前記第2入出力端子に供給される電圧レベルとの比較に基づき前記第2出力電圧を修正するように構成される、
エネルギー管理装置。
【請求項12】
電動モータと接続されたバッテリを充電するための充電システムであって、
第1動作方向及び第2動作方向で動作するように構成された双方向エネルギー変換器を備え、
前記双方向エネルギー変換器は、第1波形制御装置及び第2波形制御装置と接続され、
前記第1動作方向において、前記双方向エネルギー変換器は、前記バッテリから第1入力電圧を受け取り、第1出力電圧を生成するように構成され、
前記第2動作方向において、前記双方向エネルギー変換器は、前記電動モータから前記第2入力電圧を受け取り、第2出力電圧を生成するように構成され、
前記双方向エネルギー変換器は、前記第1入力電圧及び前記第2入力電圧に対して前記第1出力電圧及び第2出力電圧を増加又は減少させるように構成され、
前記第1波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器からの第1出力電圧波形を修正し、第1の所望の出力電圧波形を供給するように構成され、前記第2波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器からの第2出力電圧波形を修正し、第2の所望の出力電圧波形を供給するように構成される、
充電システム。
【請求項13】
請求項12に記載の充電システムにおいて、
前記第1波形制御装置及び第2波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器の出力電流をフィルタリングして出力電圧を修正し、前記電動モータの逆起電力プロファイルに一致させるように構成される、
充電システム。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の充電システムにおいて、
前記第1波形制御装置は、前記バッテリの電圧レベルと前記電動モータの電圧レベルとの比較に基づき前記第1出力電圧を修正するように構成される、
充電システム。
【請求項15】
請求項12に記載の充電システムにおいて、
前記第2波形制御装置は、前記バッテリの電圧レベルと前記電動モータの電圧レベルとの比較に基づき前記第2出力電圧を修正するように構成される、
充電システム。
【請求項16】
電動モータ用の4象限モータ駆動制御装置であって、
電源及び前記電動モータと接続可能な双方向エネルギー変換器と、
第1波形制御装置と、
第2波形制御装置と、
を備え、
前記双方向エネルギー変換器は、前記第1波形制御装置及び前記第2波形制御装置と接続され、前記第1波形制御装置は、前記電動モータと接続可能であり、前記第2波形制御装置は、前記電源と接続可能であり、
前記双方向エネルギー変換器は、
第1入力電圧を受け取り、第1動作方向に第1出力電圧を生成し、第2入力電圧を受け取り、第2動作方向に第2出力電圧を生成するように構成され、
第1モード及び第2モードで動作し、前記第1モードにおいて、前記双方向エネルギー変換器は入力電圧から出力電圧を生成するように構成され、出力電圧は入力電圧より大きく、前記第2モードにおいて、前記双方向エネルギー変換器は、入力電圧から出力電圧を生成するように構成され、出力電圧は入力電圧より小さく、
前記第1動作方向及び前記第1モードにおいて、前記第1波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器からの第1出力電圧波形を修正し、第1の所望の出力電圧波形を供給するように構成され、
前記第2動作方向及び前記第1モードにおいて、前記第2波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器からの第2出力電圧波形を修正し、第2の所望の出力電圧波形を供給するように構成される、
4象限モータ駆動制御装置。
【請求項17】
請求項16に記載の4象限モータ駆動制御装置において、
前記第1動作方向及び前記第2モードにおいて、前記第2波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器からの前記第1出力電圧波形を修正し、第1入出力端子に前記第1の所望の出力電圧波形を供給するように構成され、
前記第2動作方向及び前記第2モードにおいて、前記第1波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器からの前記第2出力電圧波形を修正し、第2入出力端子に前記第2の所望の出力電圧波形を供給するように構成される、
4象限モータ駆動制御装置。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の4象限モータ駆動制御装置において、
前記第1波形制御装置及び前記第2波形制御装置は、前記電動モータの逆起電力プロファイルに一致するように前記双方向エネルギー変換器の出力電流をフィルタリングすることによって出力電圧を修正するように構成される、
4象限モータ駆動制御装置。
【請求項19】
請求項16に記載の4象限モータ駆動制御装置において、
前記4象限モータ駆動制御装置は、前記電動モータのトルク要求を決定するようにさらに構成され、前記双方向エネルギー変換器は、前記電動モータの前記トルク要求に応答して、前記第1モード又は前記第2モードのいずれかで動作するように構成される、
4象限モータ駆動制御装置。
【請求項20】
請求項16に記載の4象限モータ駆動制御装置において、
前記双方向エネルギー変換器は、所望のモータ動作象限に基づいて前記第1動作方向又は前記第2動作方向のいずれかで動作するように構成される、
4象限モータ駆動制御装置。
【請求項21】
請求項16に記載の4象限モータ駆動制御装置において、
前記第1波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器が前記第1動作方向又は前記第2動作方向のいずれで動作しているかに少なくとも部分的に基づき、前記双方向エネルギー変換器からの前記第1出力電圧波形を修正するように構成される、
4象限モータ駆動制御装置。
【請求項22】
請求項16に記載の4象限モータ駆動制御装置において、
前記第2波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器が前記第1動作方向又は前記第2動作方向のいずれで動作しているかに少なくとも部分的に基づき、前記双方向エネルギー変換器からの前記第2出力電圧波形を修正するように構成される、
4象限モータ駆動制御装置。
【請求項23】
エネルギー管理システムに接続されたモータを動作させる方法であって、
前記モータのロータは、(i)静止しているか、(ii)加速しているか又は一定速度で回転しているか、(iii)減速しているか、のいずれかであり、
前記ロータが静止していると判断することに応じて、
前記モータのロータの始動トルク又は必要な始動回転速度を達成するために、供給電圧を低下させ、前記モータへの供給電圧波形を修正し、
前記モータからの逆起電力が特定の閾値に達したと判断すると、前記ロータの所望の運転トルク又は運転回転速度を達成するために、前記モータへの供給電圧波形を増加及び修正し、
トルク要求の増大又はロータ回転速度の要求に応じて、前記モータの前記ロータの所望のトルク又は所望の回転速度を達成するために、前記モータへの供給電圧波形を増加及び修正し、
前記ロータが減速していると判断することに応じて、
前記モータから発生する電圧を供給電圧と比較し、
前記比較に基づき前記供給電圧を増加させるか減少させるかを決定する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ電力制御信号およびシステムに関する。より詳細には、本発明は、電気整流モータの異なる動作電圧に対して電力信号を最適化するためのモータコントローラシステムのエネルギー管理システムに関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
電動モータをより小型で効率的なものにしようという動きが活発になってきている。電動モータはステータ及びロータを備え、ブラシ付きモータ及びブラシレスモータの2種類に分類される。ブラシ付きモータでは、ステータは永久磁石を備え、ロータはコイルアセンブリを備える。ロータのコイルに電流を流すと磁界が発生し、コイルに流れる電流に対して接線方向のトルクがロータに発生する。ロータを一定方向に回転させるには、発生した磁場の極性を変える必要がある。これは、ロータに接触してコイルに供給される電流の方向を操作するブラシ(整流子)によって達成され、それによって発生磁界の極性が操作される。
【0003】
ブラシレスモータでは、ステータがコイル巻線を備え、ロータが永久磁石を備える。典型的なブラシレスモータでは、ロータは4極の永久磁石を内蔵することがある。一方、ステータは3相コイル巻線を備えることがある。ロータシャフトの位置を示すためにセンサマグネットを使用し、コントローラが最適なタイミングで各巻線に電流を切り替えることができる。この方法では、半導体スイッチが適切なタイミングで適切なステータ巻線の位相を「オン」及び「オフ」にする。位相が「オン」の場合、電流の流れる方向はどちらでもよい。このプロセスは電子整流と呼ばれ、整流子と呼ばれるDCモータの機構に使われる用語を借用したもので、電流を巻線から巻線に切り替え、ロータを強制的に回転させる。
【0004】
典型的なモータは、モータリングと制動の2つのモードで作動することができる。さらに、両方の回転方向でモータを制御するように構成されたモータ駆動装置を備えている。モータリングモードでは、機械は電源からの電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、その運動すなわちロータの回転を支える。制動モードでは、機械はジェネレータとして働き、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する。モータは、正方向及び逆方向の両方のモードで動作することができる。
【0005】
モータ駆動コントローラは、モータの動作の4つの象限:正進制動1054、正進モータリング1051、逆進モータリング1053、及び逆進制動1052で動作することができ、これらの象限は
図1に示されている。理解されるように、正進制動1054及び逆進制動1052の象限は、正進回生制動1054及び逆進回生制動1052とも呼ばれる。4つの象限すべてで動作し、モータリング及び回生の両方を生成できるモータ駆動装置は、4象限モータ駆動装置と呼ばれる。
【0006】
電動モータのエネルギー管理システムでは、逆起電力によるモータのコイル内の過電流を防ぐために、例えばバッテリ等の電圧源からの電圧源からの電圧を降圧して始動トルクを低くする必要がある場合がある。一般的なモータ駆動の1つに「チョッパ回路」又は「チョッパ駆動」があり、バッテリからの電圧をモータの必要動作電圧まで降圧する。この回路は、
図1の正進モータリング1053の象限で動作する。モータのロータが回転し始めると、バッテリからの電圧はより高い所望の動作速度を提供するために使用される。例えば、フル充電のバッテリパックを、チョッパドライブなしで3000rpmで作動するモータにマッチングさせた場合、バッテリが例えば48ボルトから40ボルトに放電すると、到達可能な最高速度は2500rpmに低下する可能性がある。このため、ほとんどのチョッパドライブは、モータの最高回転数がバッテリの最高電圧よりわずかに低い電圧を必要とするように設計されている。別の例では、バッテリからの電圧は、チョッパドライブによって降圧されることなく、より高い所望の動作速度を提供するために使用される。
【0007】
しかし、場合によっては、モータのコイル巻線の各相を高い動作速度で駆動するのに必要な高電圧を供給するために、電圧を昇圧することがある。これは、電源電圧がモータの動作電圧より低い場合に起こり得る。
【0008】
電圧レベルが第1レベルから第2レベルに変化すると、電圧の上昇、下降にかかわらず、常に電力損失が生じることはよく知られている。モータはバッテリの動作電圧と一致させる必要があり、電流が動作範囲を超える可能性があるため、これによりモータで達成可能な効率が制限される。
【0009】
非効率及び電力損失のもう一つの重大な原因は、モータの動作要件を満たすためにバッテリからの電圧を増減するために必要なスイッチング機能により、大きな電流スパイクが発生する可能性があることである。これらはバッテリに過剰な電流スパイクを引き起こし、バッテリの温度を上昇させ、バッテリの充電容量を長期的に減少させる。モータの始動時にはコイル巻線に大電流が必要となるため、この現象はさらに大きくなる。誘導される逆起電力は、各相に供給される電流の立ち上がりエッジで大きな電流リップルを引き起こす。
【0010】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様は独立項に記載されている通りであり、任意の特徴は従属項に記載されている通りである。本発明の態様は互いに連携して提供することができ、ある態様の特徴を他の態様に適用することができる。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、電動モータのエネルギー管理システムが提供される。 管理システムは、
第1入出力端子と第2入出力端子と備える双方向エネルギー変換器と、
第1波形制御装置と、
第2波形制御装置と、
を備え、
双方向エネルギー変換器は、第1波形制御装置及び第2波形制御装置と接続され、
第1波形制御装置は、第2入出力端子と接続され、
第2波形制御装置は、第1入出力端子と接続され、
双方向エネルギー変換器は、
第1入出力端子で第1入力電圧を受け取り第1動作方向に第1出力電圧を生成し、第2入出力端子で第2入力電圧を受け取り第2動作方向に第2出力電圧を生成するように構成され、
第1モード及び第2モードで動作し、第1モードにおいて、双方向エネルギー変換器は入力電圧から出力電圧を生成するように構成され、出力電圧が入力電圧より大きく、第2モードにおいて、双方向エネルギー変換器は入力電圧から出力電圧を生成するように構成され、出力電圧が入力電圧より小さく、
第1動作方向及び第1モードにおいて、第1波形制御装置は、双方向エネルギー変換器からの第1出力電圧波形を修正し、第2入出力端子に第1の所望の出力電圧波形を供給するように構成され、
第2動作方向及び第1モードにおいて、第2波形制御装置は、双方向エネルギー変換器からの第2出力電圧波形を修正し、第1入出力端子に第2の所望の出力電圧波形を供給するように構成される。
【0013】
本願請求項のエネルギー管理システムは、有利には双方向に動作し、入力電圧源からの電圧を増加又は減少させ、出力における電圧を形成することが可能である。第1及び第2波形制御装置は、モータの逆起電力プロファイルに適合するように、双方向エネルギー変換器から第2入出力端子、例えば整流回路、及び、その逆、すなわち動作方向に依存する第1入出力端子への出力電流をフィルタリングする。例えば、第1動作方向において、第1波形コントローラは、双方向エネルギー変換器からの第1出力電圧をフィルタリングして、第2入出力端子におけるモータの逆起電力プロファイルに一致させる。これにより、システム内のピーク電流を低減することができ、したがって、入力に供給される電力の効率を最大化するために、電源の内部I2R損失を低減することができる。さらに、電圧源における電流スパイクの減少により、電圧源の動作温度を下げることができ、その結果、電圧源の寿命を延ばすことができる。例えば、双方向エネルギー変換器は、電圧源、例えばバッテリからの第1入出力端子における入力電圧を、第2入出力端子における電動モータの必要動作電圧まで上昇させる。第1又は第2波形制御装置は、多相整流回路によって各相に供給される電流が電流リップルを低減するように、モータの逆起電力プロファイルに合わせて出力電圧波形を整形する。これにより、バッテリから供給される電力の効率を最大化することができる。したがって、エネルギー管理システムにより、設定された動作電圧のバッテリを、さまざまな動作電圧を必要とする電動モータで効率的に使用することができる。
【0014】
いくつかの例では、第1動作方向及び第2モードにおいて、第2波形制御装置は、双方向エネルギー変換器からの第1出力電圧波形を修正し、第1入出力端子に第1の所望の出力電圧波形を供給するように構成され、第2動作方向及び第2モードにおいて、第1波形制御装置は、双方向エネルギー変換器からの第2出力電圧波形を修正し、第2入出力端子に第2の所望の出力電圧波形を供給するように構成される。
【0015】
いくつかの例では、エネルギー管理システムは、第1入出力端子及び第2波形制御装置と接続されたバッテリをさらに備え、第1動作方向において、バッテリは、第1入力電圧を双方向エネルギー変換器に供給するように構成され、第2動作方向において、バッテリは、第2の所望の出力波形を受信するように構成される。
【0016】
いくつかの例では、エネルギー管理システムは、多相モータの相数に等しい複数の出力ポートを備えるように構成された、第2入出力端子と接続された多相整流回路をさらに備え、第2動作方向において、多相整流回路は、第2入力電圧を双方向エネルギー変換器に供給するように構成され、第1動作方向において、多相整流回路は、第1の所望の出力波形を受け取るように構成される。
【0017】
いくつかの例では、双方向エネルギー変換器は、前記双方向エネルギー変換器の前記第1入出力端子に供給される電圧レベルに少なくとも部分的に基づいて、前記第1モード又は前記第2モードで動作するように構成される。例えば、第1入出力端子のバッテリは110Vを供給することができるが、第2入出力端子の電動モータの動作電圧は60Vであるため、バッテリからの電圧は電動モータの動作電圧まで低下する。
【0018】
いくつかの例では、双方向エネルギー変換器は、少なくとも部分的に、電気モータによって供給される電圧に基づき、第1モード又は第2モードのいずれかで動作するように構成される。例えば、モータは正進回生制動象限1054で動作している可能性があり、バッテリ電圧レベルよりも大きい電圧を生成している可能性があるため、バッテリからの電圧は、バッテリをより効率的に充電することを可能にする生成された電圧レベルまでステップアップされてもよい。
【0019】
いくつかの例では、第1波形制御装置は、双方向エネルギー変換器が第1方向又は第2方向のいずれで動作しているかに少なくとも部分的に基づき、双方向エネルギー変換器からの第1出力電圧波形を修正するように構成される。いくつかの例では、第1波形コントローラは、第2入出力端子の電圧レベルと比較した第1入出力端子の電圧レベルに基づいて、第1出力電圧を修正するように構成される。
【0020】
いくつかの例では、第2波形コントローラは、双方向エネルギー変換器が第1方向又は第2方向のいずれで動作しているかに少なくとも部分的に基づいて、双方向エネルギー変換器からの第2出力電圧波形を修正するように構成される。いくつかの例では、第2波形コントローラは、第2入出力端子の電圧レベルと比較した第1入出力端子の電圧レベルに基づいて、第2出力電圧を修正するように構成される。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、電動モータに接続されたバッテリを充電するための充電システムが提供される。
システムは、第1動作方向及び第2動作方向で動作するように構成された双方向エネルギー変換器を備え、
双方向エネルギー変換器は、第1波形制御装置及び第2波形制御装置と接続され、
第1動作方向において、双方向エネルギー変換器は、バッテリから第1入力電圧を受け取り、第1出力電圧を生成するように構成され、
第2動作方向において、双方向エネルギー変換器は、電動モータから第2入力電圧を受け取り、第2出力電圧を生成するように構成され、
双方向エネルギー変換器は、第1入力電圧及び第2入力電圧に対して第1出力電圧及び第2出力電圧を増加又は減少させるように構成され、
第1波形制御装置は、双方向エネルギー変換器からの第1出力電圧波形を修正し、第1の所望の出力電圧波形を供給するように構成され、第2波形制御装置は、双方向エネルギー変換器からの第2出力電圧波形を修正し、第2の所望の出力電圧波形を供給するように構成される。
【0022】
いくつかの例では、第1波形制御装置は、バッテリの電圧レベルと電動モータの電圧レベルとの比較に基づいて第1出力電圧を修正するように構成される。いくつかの例では、第2波形コントローラは、バッテリの電圧レベルと電動モータの電圧レベルとの比較に基づいて第2出力電圧を修正するように構成される。いくつかの例では、第1及び第2波形制御装置は、双方向エネルギー変換器の出力電流をフィルタリングしてモータの逆起電力プロファイルに一致させることにより、双方向エネルギー変換器からの出力電圧を修正するように構成される。
【0023】
本発明の第3の態様によれば、電気モータ用の4象限モータ駆動制御装置が提供される。
4象限モータ駆動制御装置は、
電源及び前記電動モータと接続可能な双方向エネルギー変換器と、
第1波形制御装置と、
第2波形制御装置と、
を備え、
前記双方向エネルギー変換器は、前記第1波形制御装置及び前記第2波形制御装置と接続され、前記第1波形制御装置は、前記電動モータと接続可能であり、前記第2波形制御装置は、前記電源と接続可能であり、
前記双方向エネルギー変換器は、
第1入力電圧を受け取り、第1動作方向に第1出力電圧を生成し、第2入力電圧を受け取り、第2動作方向に第2出力電圧を生成するように構成され、
第1モード及び第2モードで動作し、前記第1モードにおいて、前記双方向エネルギー変換器は入力電圧から出力電圧を生成するように構成され、出力電圧は入力電圧より大きく、前記第2モードにおいて、前記双方向エネルギー変換器は、入力電圧から出力電圧を生成するように構成され、出力電圧は入力電圧より小さく、
前記第1動作方向及び前記第1モードにおいて、前記第1波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器からの第1出力電圧波形を修正し、第1の所望の出力電圧波形を供給するように構成され、
前記第2動作方向及び前記第1モードにおいて、前記第2波形制御装置は、前記双方向エネルギー変換器からの第2出力電圧波形を修正し、第2の所望の出力電圧波形を供給するように構成される。
【0024】
いくつかの例では、第1動作方向及び第2モードにおいて、第2波形制御装置は、第1入出力端子に第1の所望の出力電圧波形を提供するように双方向エネルギー変換器からの第1出力電圧波形を修正するように構成され、第2動作方向及び第2モードにおいて、第1波形コントローラは、第2入出力端子に第2の所望の出力電圧波形を提供するように双方向エネルギー変換器からの第2出力電圧波形を修正するように構成される。
【0025】
いくつかの例では、モータ駆動制御装置は、モータのトルク要求を決定するようにさらに構成され、双方向エネルギー変換器は、電動モータのトルク要求に応答して、第1モード又は第2モードのいずれかで動作するように構成される。モータ駆動制御装置は、システムに要求されるトルク要求を決定し、決定されたトルク要求が選択されたトルク要求閾値に達することに応答して、モータとの間でエネルギーを供給するために電動モータの動作象限を管理するように構成されてもよい。例えば、一定速度で動作するモータは、モータのトルク要求の増加により、最初に速度を低下させる負荷が発生する可能性がある。その場合、モータ駆動コントローラは、電源(例えばバッテリ)からモータにより多くの電力を供給することができる。
【0026】
モータが供給する電力(P)と、このトルク(T)が供給される回転速度(w)との関係は、以下の式1で与えられる。
【0027】
【0028】
いくつかの例では、モータ駆動制御装置は、モータ駆動制御装置に接続されたセンサに基づいてトルク要求を決定するように構成される。いくつかの例では、モータ駆動制御装置は、電動モータに電力を供給するためにモータ駆動制御装置に接続された電源の充電状態の決定に基づいて、第1モードで動作するか第2モードで動作するかを決定するように構成される。例えば、フル充電されたバッテリパックが3000rpmで回転するモータにマッチングされている場合、バッテリが例えば48ボルトから40ボルトに放電すると、モータ駆動制御装置は3000rpmの回転数を維持するためにバッテリからの電圧を「ブースト」することができる。
【0029】
いくつかの例では、双方向エネルギー変換器は、現在のモータ動作象限に基づいて、第1動作方向又は第2動作方向のいずれかで動作するように構成される。いくつかの例では、双方向エネルギー変換器は、所望のモータ動作象限に基づいて、第1動作方向又は第2動作方向のいずれかで動作するように構成される。
【0030】
いくつかの例では、第1波形コントローラは、双方向エネルギー変換器が第1方向又は第2方向のいずれで動作しているかに少なくとも部分的に基づいて、双方向エネルギー変換器からの第1の出力電圧波形を修正するように構成される。いくつかの例では、第2波形制御装置は、双方向エネルギー変換器が第1方向又は第2方向のいずれで動作しているかに少なくとも部分的に基づいて、双方向エネルギー変換器からの第2出力電圧波形を修正するように構成される。いくつかの例では、第1及び第2波形制御装置は、双方向エネルギー変換器の出力電流をフィルタリングしてモータの逆起電力プロファイルに一致させることにより、双方向エネルギー変換器からの出力電圧を修正するように構成される。
【0031】
本発明の第4の態様によれば、エネルギー管理システムに接続されたモータを動作させる方法が提供される。
モータのロータは、(i)静止しているか、(ii)加速しているか又は一定速度で回転しているか、(iii)減速しているか、のいずれかであり、
ロータが静止していると判断することに応じて、
モータのロータの始動トルク又は必要な始動回転速度を達成するために、供給電圧を低下させ、モータへの供給電圧波形を修正し、
モータからの逆起電力が特定の閾値に達したと判断すると、ロータの所望の運転トルク又は運転回転速度を達成するために、モータへの供給電圧波形を増加及び修正し、
トルク要求の増大又はロータ回転速度の要求に応じて、モータのロータの所望のトルク又は所望の回転速度を達成するために、モータへの供給電圧波形を増加及び修正し、
ロータが減速していると判断することに応じて、
モータから発生する電圧を供給電圧と比較し、
比較に基づき供給電圧を増加させるか減少させるかを決定する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】モータの4つの象限のグラフを示す図である。
【
図2】双方向エネルギー変換回路を備える例示的なエネルギー管理システムを示す図である。
【
図3】双方向エネルギー変換回路を備える例示的なエネルギー管理システムを示す図である。
【
図4A】双方向エネルギー変換器の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本開示の実施形態について、添付の図面を参照しながら、例としてのみ説明する。
【0034】
特許請求の範囲のいくつかの実施形態は、電動モータの異なる動作電圧に対して電力信号を最適化するためのモータ制御システムのエネルギー管理システムに関する。特に、特許請求の範囲の実施形態は、「昇圧」または「降圧」された可変出力電圧を提供するように電圧源の電圧波形を操作する多相電気整流モータのエネルギー管理システムに関する。その結果、このエネルギーシステムは、電圧源の電力効率を高めながら、さまざまな電動モータに必要な動作電圧を提供することができる。
【0035】
図2は、第1波形制御装置211及び第2波形制御装置212に接続された双方向エネルギー変換器、例えば降圧/昇圧コンバータから成る例示的なエネルギー管理システム200を示している。エネルギー管理システム200は、双方向エネルギー変換器の第1入出力端子201及びグラウンドに接続されたバッテリ204と、双方向エネルギー変換器の第2入出力端子202及びグラウンドに接続された多相整流回路205と、インダクタ203と、インダクタ203の第1の側で第1入出力端子201に接続された第1及び第2スイッチングMOSFET対221a,221b,222a,222bと、インダクタ203の第2の側で第2入出力端子202に接続された第3及び第4スイッチングMOSFET対223a,223b,224a,224bを備えることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、エネルギー管理システム200の双方向エネルギー変換器は、MOSFETの内部電流の一部がMOSFETの内部ボディダイオードを通る代わりにショットキーダイオードを介して流れることを可能にするために、MOSFET対に接続されたショットキーダイオード230をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、MOSFET対は内部ボディダイオードを含んでもよい。ショットキーダイオードの使用は、MOSFETの効率を高め、MOSFETのボディダイオードの逆回復特性を改善することができる。いくつかの実施形態では、双方向エネルギー変換器は、TVSダイオード231をさらに備える。TVSダイオードは、回路内の過渡電圧によって引き起こされる追加の電気的ストレスからMOSFETを保護することができる。いくつかの実施形態において、エネルギー管理システム200は、第1波形制御装置211又は第2波形制御装置212のキャパシタに蓄積された電流を排出するように機能する抵抗器232を備える。いくつかの実施形態では、エネルギー管理システム200の双方向エネルギー変換器は、MOSFET対221a~224bに蓄積された電荷を排出するのを補助する抵抗器233を備える。
【0037】
図2には、TVSダイオード231とショットキーダイオード230とで構成されるエネルギー管理システム200の双方向エネルギー変換回路が示されているが、他の適切な電子部品によってこの機能を提供する他の手段が可能であることが理解されるであろう。いくつかの例では、MOSFETの適切な選択により、上述の問題に対処することができる。例えば、内部ボディダイオードを追加したMOSFET、高電圧レギュレーテッドMOSFETすなわち炭化ケイ素FET、又はこれら2つの組み合わせの使用である。
【0038】
第1及び第2スイッチングMOSFET対221a~222bは、バッテリ204及び第2波形制御装置212と接続されている。第3及び第4スイッチングトランジスタ対223a~224bは、多相整流回路205及び第1波形制御装置211と接続されている。
【0039】
第1、第2、第3及び第4トランジスタスイッチング対221a~224bは、ゲート端子にブリード抵抗233を備えたMOSFETであり、MOSFETトランジスタは、ゲート(図示せず)における制御信号、例えばパルス幅変調制御信号を用いて断続的にオンオフされるように構成されている。 第1波形制御装置211は、バッテリ204と第1及び第2トランジスタスイッチング対221a~222bとに接続されたキャパシタのバンクである。第2波形制御装置212は、第3及び第4スイッチングトランジスタ対223a~224b及び整流回路に接続されたキャパシタのバンクである。したがって、第1及び第2波形制御装置211,212は、動作方向に応じて入力フィルタ又は出力フィルタとして動作することができる。これにより、入力電流が有利に平滑化され、それにより双方向コンバータの出力の前縁における電流リップルが、いずれの方向においても低減される。キャパシタの低い等価直列抵抗は、有利なことに回路の動作に大きな影響を与えない。第1及び第2波形制御装置211,212はキャパシタのバンクを構成すると説明したが、等価キャパシタンスを有する単一のキャパシタも本構成で機能することが理解されるであろう。さらに、スイッチングPFC回路や部分スイッチングPFC回路等、他の能動的又は受動的な電子部品も同様の機能を提供する。
【0040】
図3は、双方向エネルギー変換器が、エネルギーがバッテリ304に接続された第1入出力端子301から第2入出力端子302に接続された多相整流回路305に伝達される第1動作方向と、エネルギーが多相整流回路305からバッテリ304に伝達される第2動作方向とを有するように構成された例示的なエネルギー管理システム300を示す。したがって、エネルギー管理システム300は、所望の動作及び/又は動作方向に応じて、第1入出力端子301又は第2入出力端子302のいずれかで入力電圧を受け取ることができる。例えば、第1動作方向では、エネルギー管理システム300の双方向エネルギー変換器は、バッテリ304から入力電圧を受け取り、多相整流回路305に供給される出力電圧を生成するように構成される。
【0041】
エネルギー管理システム300の双方向エネルギー変換器は、第1モード又は第2モードのいずれかで動作するようにさらに構成され、第1モードでは、双方向エネルギー変換器は、動作方向に応じて、第1又は第2入出力端子301,302のいずれかにおける入力電圧を、出力電圧が入力電圧よりも大きい出力電圧に変換するように構成される、すなわち「ブースト」コンバータとして機能する。第2モードでは、双方向エネルギー変換器300は、動作方向に応じて、第1又は第2入出力端子301,302のいずれかにおける入力電圧を、出力電圧が入力電圧よりも小さい出力電圧に変換するように構成される。
【0042】
いくつかの実施形態において、双方向エネルギー変換器は、動作方向に応じて第1入出力端子301又は第2入出力端子302のいずれかにおける、供給された入力電圧と出力端子、すなわち第1入出力端子301又は第2入出力端子302のいずれかにおける電圧要件との比較に基づいて、第1モード又は第2モードのいずれかで動作するように構成される。例えば、エネルギー管理システム300の双方向エネルギー変換器が第1方向に動作し、バッテリ304が第1入出力端子301に接続されている場合、バッテリ304は110Vを供給することができるが、第2入出力端子302に接続された多相整流回路305に接続された電動モータの必要な動作電圧は60Vしかないため、第1入出力端子301のバッテリ304からの電圧は、第2入出力端子302の電動モータの動作電圧まで低下する。エネルギー管理システム300の双方向エネルギー変換器が逆方向に動作する場合も同様である。例えば、双方向エネルギー変換器が第2方向で動作する場合、第2入出力端子302の多相整流回路305が入力電圧を供給し、第1入出力端子301に接続されたバッテリ304が双方向エネルギー変換器からの結果としての出力電圧を受け取るように構成される。この例では、双方向エネルギー変換器は、バッテリ304の現在の電圧レベルに応じてバッテリ304に充電電圧を供給することができる多相整流回路305に接続された多相電気モータ(図示せず)から入力電圧を受け取る。
【0043】
図2及び
図3に示す実施例は、エネルギー管理システム300の第1入出力端子301に接続されたバッテリ304と、第2入出力端子302に接続された多相整流回路305とを備えて説明されているが、他の構成も可能であることが理解されるであろう。例えば、主電源への接続など、他の電圧源を第1入出力端子301で使用してもよい。別の例では、第2入出力端子302はDCモータと接続される。
【0044】
図4A~
図4Dに関連して説明されるように、エネルギー伝達の方向、及び双方向エネルギー変換器が降圧モードで動作しているか昇圧モードで動作するかは、スイッチングトランジスタ対421a~424bの状態によって制御される。
【0045】
図4A~
図4Dは、第1モード又は第2モードで動作するエネルギー管理システム400の双方向エネルギー変換器を示しており、スイッチングトランジスタ対421a~424bは、入力電圧が増加するか、すなわち双方向エネルギー変換器が第1モードで動作するか、又は双方向エネルギー変換器が第2モードで動作するかだけでなく、エネルギー伝達の方向も制御する。
【0046】
図4Aは、バッテリからの電圧が増加した実施形態を示し、すなわちバッテリ404からの電圧が多相整流回路405によって必要とされる電圧よりも小さい。第1スイッチングトランジスタ対421a,421bは「オン」状態、すなわち導電線又は閉状態のスイッチとしてモデル化することができ、一方、第2スイッチングトランジスタ対422a,422bは「オフ」状態、すなわち開回路又は開状態のスイッチとしてモデル化することができるため、第2波形制御装置412は双方向エネルギー変換器の機能に影響を与えない。第3スイッチングトランジスタ対423a,423bは整流状態にあり、すなわち整流動作を行うダイオードとしてモデル化することができる。第4スイッチングトランジスタ対424a,424bはスイッチング状態にあり、すなわち、「オン」状態から「オフ」状態に切り替わるスイッチング回路としてモデル化することができる。第4トランジスタ対424a,424bがスイッチングされる速度は、第4トランジスタ対424a,424bのゲートにおける信号、例えばPWM信号によって制御される。このスイッチングにより、電圧が昇圧される量が制御されるとともに、双方向エネルギー変換器が昇圧コンバータとして動作するのか、降圧コンバータとして動作するのかが制御される。この例では、双方向エネルギー変換器は、バッテリ404からの電圧を多相整流回路405の電圧レベルまで上昇、すなわち「昇圧」する。
【0047】
第1波形制御装置411は、多相整流回路405に入力される前に、双方向エネルギー変換器からの昇圧出力電圧波形を修正する。この例では、第2波形制御装置412は、第3及び第4スイッチングトランジスタ対423a~424bと接続されたインダクタ403の右側で生成される出力電圧に影響を与えない。したがって、この構成では、第1波形制御装置411は、第2波形制御装置412からの干渉を受けることなく、双方向エネルギー変換器400からの出力電圧を修正するように構成される。
【0048】
図4Bは、バッテリからの電圧が低下している、すなわちバッテリ404からの電圧が多相整流回路405によって必要とされる電圧よりも大きい実施形態を示す。一部の実施形態では、これはモータのコイルに過電流を生じさせない始動トルクをモータに提供するためである。第1スイッチングトランジスタ対421a,421bはスイッチング状態にあり、すなわちスイッチング回路としてモデル化することができ、「オン」状態から「オフ」状態に切り替わる、一方、第2スイッチングトランジスタ対422a,422bは整流状態にあり、すなわち整流動作を行うダイオードとしてモデル化することができる。第3スイッチングトランジスタ対423a,423bは「ON」状態、すなわち導電線又は閉状態のスイッチとしてモデル化できる。第4スイッチングトランジスタ対424a,424bは、「オフ」状態、すなわち、開回路又は開状態のスイッチとしてモデル化することができ、したがって、第1波形制御装置411は、双方向エネルギー変換器の機能に影響を与えない。第1トランジスタ対421a,421bがスイッチングされる速度は、第1トランジスタ421a,421bのゲートにおける信号、例えばPWM信号によって制御される。このスイッチングにより、電圧が降圧される電圧量が制御されるだけでなく、双方向エネルギー変換器400が昇圧コンバータとして動作するか降圧コンバータとして動作するかも制御される。この例では、双方向エネルギー変換器400は、バッテリ404からの電圧を多相整流回路405の電圧レベルまで下げる、すなわち「降圧」する。
【0049】
第2波形制御装置412は、多相整流回路405に入力される前に、双方向エネルギー変換器400からの降圧出力電圧波形を修正する。この例では、第1波形制御装置411は、第3及び第4スイッチングトランジスタ対423a~424bに接続されたインダクタ403の左側で生成される出力電圧に影響を与えない。したがって、この構成では、第2波形制御装置412は、第1波形制御装置411からの干渉を受けることなく、双方向エネルギー変換器400からの出力電圧を修正するように構成される。
【0050】
図4Cは、多相整流回路からの電圧がバッテリの電圧レベルまで増加した実施形態を示す。すなわち、多相整流回路405の電圧はバッテリ404の電圧より小さい。第3スイッチングトランジスタ対423a,423bは「オン」状態、すなわち導電線又は閉状態のスイッチとしてモデル化することができ、一方、第4スイッチングトランジスタ対424a,424bは「オフ」状態、すなわち開回路又は開状態のスイッチとしてモデル化することができるため、第1波形制御装置411は双方向エネルギー変換器の機能に影響を与えない。第1スイッチングトランジスタ対421a,421bは整流状態にあり、すなわち整流動作を行うダイオードとしてモデル化することができる。第2スイッチングトランジスタ対422a,422bはスイッチング状態にあり、すなわちスイッチング回路としてモデル化することができる。第2スイッチングトランジスタ対が「オン」及び「オフ」に切り替えられる速度は、第2スイッチングトランジスタ対422a,422bのゲート端子の信号、例えばPWM信号によって制御される。このスイッチングにより、変圧器が昇圧コンバータとして動作するか、降圧コンバータとして動作するかが制御される。この例では、双方向エネルギー変換器は、多相整流回路405からの電圧をバッテリの電圧レベルまで昇圧する。第2波形制御装置412は、バッテリを充電するためにバッテリに入力される前に、双方向エネルギー変換器400からの昇圧出力電圧波形を修正する。この例では、第1波形制御装置411は、双方向エネルギー変換器のインダクタ403から第1及び第2スイッチングトランジスタ対421a~422bで生成される出力電圧に影響を与えない。したがって、この構成では、第2波形制御装置412は、第1波形制御装置411からの干渉を受けずに、双方向エネルギー変換器からの出力電圧を変更するように構成される。有利なことに、エネルギー管理システム400の双方向変換器からの出力電圧は、バッテリの充電能力を低下させる可能性のある高周波信号をフィルタリングするために、増加又は減少され、修正される。
【0051】
図4Dは、多相整流回路からの電圧がバッテリの電圧まで低下している、すなわち多相整流回路405からの電圧がバッテリ404によって必要とされる電圧よりも大きい実施形態を示す。第1スイッチングトランジスタ対421a,421bは「オン」状態、すなわち導電線又は閉状態のスイッチとしてモデル化することができ、一方、第2スイッチングトランジスタ対422a,422bは「オフ」状態、すなわち開回路又は開状態のスイッチとしてモデル化することができるため、第2波形制御装置412は双方向エネルギー変換器の機能に影響を与えない。第3スイッチングトランジスタ対423a,423bは、スイッチング状態、すなわち、「オン」状態から「オフ」状態に切り替わるスイッチング回路としてモデル化することができる。第4スイッチングトランジスタ対424a,424bは整流状態にあり、すなわち整流動作を行うダイオードとしてモデル化することができる。第3トランジスタ対423a,423bがスイッチングされる速度は、第3トランジスタ423a,423bのゲートにおける信号、例えばPWM信号によって制御される。このスイッチングにより、電圧が昇圧される量が制御されるとともに、双方向エネルギー変換器が昇圧コンバータとして動作するのか降圧コンバータとして動作するのかが制御される。この例では、双方向エネルギー変換器400は、バッテリ404からの電圧を多相整流回路405からの電圧レベルまで低下させる、すなわち「降圧」する。
【0052】
第1波形制御装置411は、多相整流回路405に入力される前に、双方向エネルギー変換器400からの降圧出力電圧波形を修正する。この例では、第2波形制御装置412は、第3及び第4スイッチングトランジスタ対423a~424bに接続されたインダクタ403の右側で生成される出力電圧に影響を与えない。したがって、この構成では、第1波形制御装置411は、第2波形制御装置412からの干渉を受けることなく、双方向エネルギー変換器400からの出力電圧を修正するように構成される。
【0053】
有利なことに、双方向変換器からの出力電圧は、増加又は減少し、モータに損失を引き起こす高周波信号をフィルタリングして取り除くために変更される。これは、エネルギーが多相整流回路405からバッテリ404に伝達される場合と、その逆の場合の両方で達成される。双方向エネルギー変換器400から整流電子回路405に供給される修正電圧は、
図5に示すように、各整流段への通電に使用されるピーク電流をさらに減少させる半正弦波である。
【0054】
図5は、双方向エネルギー変換器の第2端子202に接続可能な多相通信回路505の整流電子回路500を示す。各トランジスタ508n(n=a,b,c)は、モータ相506a,506b,506cに接続されている。トランジスタ508nのゲート端子507nの信号は、トランジスタが「オン」状態にあるか「オフ」状態にあるかを制御する。各トランジスタの状態は、各相506a,506b,506cが通電されるタイミングを制御する。図示のトランジスタはMOSFETであるが、バイポーラトランジスタ等、他のスイッチング素子を使用することも可能である。
【0055】
この例では、第1波形制御装置211を介した双方向エネルギー変換器からの修正出力電圧波形が、モータの各相に整流される。例えば、第1トランジスタ508aは「オン」、第2トランジスタ508bは「オフ」、第3トランジスタ508cは「オン」である。電圧は、モータ506aの第1相に供給され、第3トランジスタ508cを介してモータ506bの第2相を介してグラウンドに戻される。通常、各モータ相に供給される電圧は直流電圧であるが、このようにして、多相整流回路505は、半正弦波を生成することにより、双方向エネルギー変換器を構成するエネルギー管理システム200に存在するピーク電流をさらに低減し、半波整流器と同様に機能する。実施例はMOSFETのコンテキストで説明してきたが、当業者であれば、所望の動作を達成するために適切な構成を使用すれば、他のスイッチング素子も使用できることが理解されるであろう。本開示のコンテキストにおいて、本明細書に記載されたシステムの他の例及び変形は、当業者には明らかであろう。図に示された実施形態は、単なる例示であり、本明細書に記載され、特許請求の範囲に規定されるように、一般化され、除去され、又は置換され得る特徴を含むことが、上記の議論から理解されるであろう。
【外国語明細書】