(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181106
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】吸振器
(51)【国際特許分類】
B60G 13/16 20060101AFI20231214BHJP
B60G 13/06 20060101ALI20231214BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
B60G13/16
B60G13/06
F16F15/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023085477
(22)【出願日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】63/351,070
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ツイッター
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドーソン, ジェイコブ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ, ダニエル ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ガニオン, アンドリュー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
3D301
3J048
【Fターム(参考)】
3D301AA13
3D301AA76
3D301DA33
3D301DA42
3D301DA43
3J048AA02
3J048AD06
3J048BF04
3J048BF08
3J048DA10
3J048EA36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】2つの構成要素、典型的にはばね上質量と、車輪、タイヤ、同調質量ダンパ、又は車輪アセンブリに直接結合された他の構成要素を含み得る車輪アセンブリなどのばね下質量との間の振動の伝達を低減する、吸振システムを提供する。
【解決手段】同調質量ダンパは、第3質量部によって接続された第1質量部及び第2質量部を有するダンパ質量を含む。第1質量部、第2質量部及び第3質量部は、ダンパ質量のU字形構成を形成している。ダンパ質量は、同調質量ダンパのダンパ質量に伝達された力に応じて第3質量部内で分離して、第1質量部と第2質量部との間の相対運動を可能にするように構成されている。ダンパ質量は、衝撃荷重を受けたときに車両長手方向軸に対する同調質量ダンパの回転を促進する幾何学的特徴を含み得る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第3質量部によって接続された第1質量部及び第2質量部を含むダンパ質量であって、前記第1質量部、前記第2質量部、及び前記第3質量部が、前記ダンパ質量のU字形構成を形成している、ダンパ質量を備えた同調質量ダンパであって、
前記ダンパ質量は、前記同調質量ダンパの前記ダンパ質量に伝達された力に応じて前記第3質量部内で分離して、前記第1質量部と前記第2質量部との間の相対運動を可能にするように構成されている、
同調質量ダンパ。
【請求項2】
前記第3質量部は、前記第1質量部及び前記第2質量部よりも横方向に薄い、請求項1に記載の同調質量ダンパ。
【請求項3】
前記ダンパ質量は前記第3質量部内の応力集中部分を含み、前記第3質量部は、前記第1質量部と前記第2質量部との間の相対運動を可能にするために前記同調質量ダンパの前記ダンパ質量に伝達された前記力に応じて前記応力集中部分内で分離するように構成されている、請求項1に記載の同調質量ダンパ。
【請求項4】
前記第1質量部は、前記第2質量部よりも大きく、より大きな質量を有する、請求項1に記載の同調質量ダンパ。
【請求項5】
前記第1質量部は、前記第2質量部から離れる第1の方向に面する前記ダンパ質量の第1端部に画定された第1曲面を有し、前記第2質量部は、前記第1質量部から離れる第2の反対方向に面する前記ダンパ質量の第2端部に画定された第2曲面を有し、前記ダンパ質量に伝達された前記力は、前記第1質量部の前記第1曲面に加えられ、前記ダンパ質量は、前記第1曲面に加えられる前記力に応じて回転するように構成されている、請求項1に記載の同調質量ダンパ。
【請求項6】
前記ダンパ質量に伝達された前記力は、前記ダンパ質量の前記第1曲面に加えられる第1の力と、前記ダンパ質量の前記第2曲面に加えられる第2の力とを含み、前記同調質量ダンパは、前記第1曲面に加えられる前記第1の力と前記第2曲面に加えられる前記第2の力とに応じて回転するように構成されている、請求項5に記載の同調質量ダンパ。
【請求項7】
外部に対する前記ダンパ質量の動きを規制するように構成された第1ばね及び流体作動ダンパアセンブリと、
前記外部に対する前記ダンパ質量の動きを規制するように構成された第2ばね及び流体作動ダンパアセンブリと、を更に備え、
前記第1質量部は、第1内径を含み、前記第2質量部は、第2内径を含み、前記第1ばね及び流体作動ダンパアセンブリは、前記第1質量部内の前記第1内径を少なくとも部分的に通して延び、前記第2ばね及び流体作動ダンパアセンブリは、前記第2質量部内の前記第2内径を少なくとも部分的に通して延びる、請求項1に記載の同調質量ダンパ。
【請求項8】
車輪と、車輪支持体に結合され、ロータにブレーキ力を加えるように構成されたキャリパとを含む車輪アセンブリに接続された前記ロータを含むブレーキシステムと、
前記車輪支持体に結合された同調質量ダンパであって、第1質量部、第2質量部、及び、前記第1質量部と前記第2質量部との間に延在する第3質量部を含むダンパ質量を含む同調質量ダンパと、を備え、
前記キャリパは、前記ダンパ質量の前記第3質量部が前記キャリパと正反対になるように、前記ダンパ質量に対して位置付けられ、
前記第1質量部は、前記第2質量部から離れる第1の方向に面する前記ダンパ質量の第1端部に第1曲面を有し、前記第2質量部は、前記第1質量部から離れる第2の反対方向に面する前記ダンパ質量の第2端部に第2曲面を有し、前記第1質量部及び前記第2質量部は、前記第1質量部の前記第1曲面に加えられる力に応じて回転するように構成されている、
車両アセンブリ。
【請求項9】
前記ダンパ質量の前記第1質量部、前記第2質量部、及び前記第3質量部は、前記ダンパ質量のU字形構成を形成している、請求項8に記載の車両アセンブリ。
【請求項10】
車体に結合された第1係合部を更に備え、前記第1係合部は、前記車体に加えられた力を前記ダンパ質量の前記第1質量部に伝達して、前記同調質量ダンパ及び前記車輪アセンブリが前記車体の長手方向軸に対して回転するように構成されている、請求項8に記載の車両アセンブリ。
【請求項11】
前記車体に結合された第2係合部を更に備え、前記第2係合部は、前記車体に加えられた前記力を前記ダンパ質量の前記第2質量部に伝達して、前記第1係合部及び前記第2係合部が協働して前記車輪アセンブリを前記車体の前記長手方向軸に対して第1位置から回転位置に回転させるように構成されている、請求項10に記載の車両アセンブリ。
【請求項12】
前記キャリパの第1位置は、前記キャリパが前記車輪アセンブリの回転軸の上方にあるように前記車輪支持体に対して上方位置であり、前記ダンパ質量の第2位置は、前記第3質量部が前記車輪アセンブリの前記回転軸に対して前記キャリパの反対にあるように前記車輪支持体に対して下方位置である、請求項8に記載の車両アセンブリ。
【請求項13】
前記キャリパの第1位置は、前記車輪支持体に対する下部位置であり、前記ダンパ質量の第2位置は、前記車輪支持体に対する上部位置である、請求項8に記載の車両アセンブリ。
【請求項14】
前記第3質量部は、前記ダンパ質量の前記第1質量部に加えられる前記力の応力集中部分を含む、請求項8に記載の車両アセンブリ。
【請求項15】
車輪アセンブリに結合され、第3質量部によって接続された第1質量部及び第2質量部を含むダンパ質量と、
車体に結合され、前記車輪アセンブリに向かって延在する係合部であって、前記係合部と前記ダンパ質量との相互作用による前記車体への衝撃中に、車両の長手方向軸から離れるように前記車輪アセンブリの回転を誘起するように構成された幾何学的構成を有する係合部と、
を備える、吸振システム。
【請求項16】
前記第3質量部が応力集中部分を含み、前記第3質量部が、前記第1質量部と前記第2質量部との間の相対運動を可能にするように前記衝撃に応じて前記応力集中部分内で分離するように構成されているように、前記第3質量部は、横方向において前記第1質量部及び前記第2質量部よりも薄い、請求項15に記載の吸振システム。
【請求項17】
前記係合部は、前記車輪アセンブリに向かって延在する前記車体の幾何学的特徴である、請求項15に記載の吸振システム。
【請求項18】
前記車体から延在する第2係合部を更に備え、前記第2係合部は、前記車体への前記衝撃に対する反応面として機能し、前記車輪アセンブリは、前記第2係合部と前記ダンパ質量の前記第2質量部との間の相互作用に応じて、前記車両の前記長手方向軸から離れるように回転するように構成されている、請求項15に記載の吸振システム。
【請求項19】
前記係合部は、前記車輪アセンブリの前方に位置付けられた第1係合部であり、前記第2係合部は、前記車輪アセンブリの後方に位置付けられ、前記車体に前方の力が加えられると、前記第1係合部及び前記第2係合部は協働して、前記車輪アセンブリの外向き回転を誘起するように構成されている、請求項18に記載の吸振システム。
【請求項20】
前記第1質量部は、前記車体の横軸に対して横方向内側に面する前記ダンパ質量の第1端部に第1曲面を有し、前記第2質量部は、前記車体の前記横軸に対する横方向外側に面する前記ダンパ質量の第2端部に第2曲面を有し、前記衝撃により前記係合部と前記第1曲面との相互作用を引き起こして前記ダンパ質量を回転させる、請求項15に記載の吸振システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年6月10日に出願された米国特許仮出願第63/351,070号の優先権及び利益を主張し、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は概して、振動吸収の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
吸振システムは、2つの構成要素、典型的にはばね上質量と、車輪、タイヤ、同調質量ダンパ、又は車輪アセンブリに直接結合された他の構成要素を含み得る車輪アセンブリなどのばね下質量との間の振動の伝達を低減する。同調質量ダンパは、車輪ホップなどの振動の影響を低減する。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、同調質量ダンパである。同調質量ダンパは、第3質量部によって接続された第1質量部及び第2質量部を含むダンパ質量を含む。第1質量部、第2質量部及び第3質量部は、ダンパ質量のU字形構成を形成している。ダンパ質量は、同調質量ダンパのダンパ質量に伝達された力に応じて第3質量部内で分離して、第1質量部と第2質量部との間の相対運動を可能にするように構成されている。
【0005】
同調質量ダンパのいくつかの実装形態では、第3質量部は、第1質量部及び第2質量部よりも横方向に薄い。
【0006】
同調質量ダンパのいくつかの実装形態では、ダンパ質量は、第3質量部内に応力集中部分を含み、第3質量部は、同調質量ダンパのダンパ質量に伝達された力に応じて応力集中部分内で分離して、第1質量部と第2質量部との間の相対運動を可能にするように構成されている。
【0007】
同調質量ダンパのいくつかの実装形態では、第1質量部は第2質量部よりも大きく、より大きい質量を有する。
【0008】
同調質量ダンパのいくつかの実装形態では、第1質量部は、第2質量部から離れる第1の方向に面するダンパ質量の第1端部に画定された第1曲面を有し、第2質量部は、第1質量部から離れる第2の反対方向に面するダンパ質量の第2端部に画定された第2曲面を有し、ダンパ質量に伝達された力は、第1質量部の第1曲面に加えられ、ダンパ質量の回転を引き起こす。
【0009】
同調質量ダンパのいくつかの実装形態では、ダンパ質量に伝達された力は、ダンパ質量の第1曲面に加えられた第1の力と、ダンパ質量の第2曲面に加えられた第2の力とを含み、同調質量ダンパの回転を誘起する。
【0010】
同調質量ダンパのいくつかの実装形態では、同調質量ダンパは、外部に対するダンパ質量の動きを規制するように構成された第1ばね及び流体作動ダンパアセンブリと、外部に対するダンパ質量の動きを規制するように構成された第2ばね及び流体作動ダンパアセンブリとを更に含む。第1質量部は第1内径を含み、第2質量部は第2内径を含む。第1ばね及び流体作動ダンパアセンブリは、第1質量部の第1内径を少なくとも部分的に通して延び、第2ばね及び流体作動ダンパアセンブリは、第2質量部の第2内径を少なくとも部分的に通して延びる。
【0011】
本開示の別の態様では、車両アセンブリは、車輪と、車輪支持体に結合され、ロータにブレーキ力を加えるように構成されたキャリパと、を含む車輪アセンブリに接続されたロータ、を含むブレーキシステムを含む。車両アセンブリはまた、車輪支持体に結合された同調質量ダンパを含む。同調質量ダンパは、第1質量部、第2質量部、及び第1質量部と第2質量部との間に延在する第3質量部を含むダンパ質量を含む。キャリパは、ダンパ質量の第3質量部がキャリパと正反対になるように、ダンパ質量に対して位置決めされる。第1質量部は、第2質量部から離れる第1の方向に面するダンパ質量の第1端部に第1曲面を有し、第2質量部は、第1質量部から離れる第2の反対方向に面するダンパ質量の第2端部に第2曲面を有する。第1質量部の第1曲面に加えられる力は、第1質量部及び第2質量部の回転を引き起こす。
【0012】
車両アセンブリのいくつかの実装形態では、ダンパ質量の第1質量部、第2質量部、及び第3質量部は、ダンパ質量のU字形構成を形成している。
【0013】
車両アセンブリのいくつかの実装形態では、車両アセンブリは、車体に結合された第1係合部を更に含むので、車体に加えられた力により、第1係合部が車体に加えられた力をダンパ質量の第1質量部に伝達し、それにより、同調質量ダンパ及び車輪アセンブリが車体の長手方向軸に対して回転する。
【0014】
車両アセンブリのいくつかの実装形態では、車両アセンブリは、車体に結合された第2係合部を更に含むので、車体に加えられた力により、第2係合部が、車体に加えられた力をダンパ質量の第2質量部に伝達し、それにより、第1係合部及び第2係合部が協働して、車輪アセンブリを、車体の長手方向軸に対して第1位置から回転位置まで回転させる。
【0015】
車両アセンブリのいくつかの実装形態では、キャリパの第1位置は、キャリパが車輪アセンブリの回転軸の上方にあるように車輪支持体に対して上方位置であり、ダンパ質量の第2位置は、第3質量部が車輪アセンブリの回転軸に対してキャリパの正反対にあるように車輪支持体に対して下方位置である。
【0016】
車両アセンブリのいくつかの実装形態では、キャリパの第1位置は、車輪支持体に対する下部位置であり、ダンパ質量の第2位置は、車輪支持体に対する上部位置である。
【0017】
車両アセンブリのいくつかの実装形態では、第3質量部は、ダンパ質量の第1質量部に加えられる力の応力集中部分を含む。
【0018】
本開示の別の態様は、吸振システムである。吸振システムは、車輪アセンブリに結合され、第3質量部によって接続された第1質量部及び第2質量部と、車体に結合され、車輪アセンブリに向かって延びる係合部とを含むダンパ質量を含む。係合部は、係合部とダンパ質量との相互作用によって、車体への衝撃中に車両の長手方向軸から離れる方向に車輪アセンブリの回転を誘起するように構成された幾何学的構成を有する。
【0019】
吸振システムのいくつかの実装形態では、第3質量部が応力集中部分を含み、第3質量部が、第1質量部と第2質量部との間の相対運動を可能にする衝撃に応じて応力集中部分内で分離するように構成されているように、第3質量部は、第1質量部及び第2質量部よりも横方向において薄い。
【0020】
吸振システムのいくつかの実装形態では、係合部は、車輪アセンブリに向かって延びる車体の幾何学的特徴である。
【0021】
吸振システムのいくつかの実装形態では、車両は、車体から延びる第2係合部を更に含む。第2係合部は、第2係合部とダンパ質量の第2質量部との間の相互作用が車輪アセンブリを車両の長手方向軸から離れるように回転させるような車体への衝撃に対する反応面として機能する。
【0022】
吸振システムのいくつかの実装形態では、係合部は、車輪アセンブリの前方に配置された第1係合部であり、第2係合部は、車輪アセンブリの後方に配置され、車体に前方の力が加えられると、第1係合部及び第2係合部は協働して、車輪アセンブリの外向き回転を誘起する。
【0023】
吸振システムのいくつかの実装形態では、第1質量部は、車体の横軸に対して横方向内側に面するダンパ質量の第1端部に第1曲面を有し、第2質量部は、車体の横軸に対する横方向外側に面する第2曲面を有し、衝撃により係合部と第1曲面との相互作用を引き起こしてダンパ質量を回転させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】同調質量ダンパシステムを含む車両のブロック図である。
【0025】
【
図2A】実装形態による車両の一部分を示すブロック図である。
【0026】
【
図2B】実装形態による車両の一部分を示すブロック図である。
【0027】
【
図3】実装形態による車両用車輪アセンブリの概略側面図である。
【0028】
【
図4】別の実施形態による車両用車輪アセンブリの概略側面図である。
【0029】
【0030】
【
図6】車両に加えられた力に応じた
図3の車輪アセンブリの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
同調質量ダンパは、車体に伝達され得る車輪ホップなどの望ましくない振動の影響を低減するために使用することができる。同調質量ダンパは、車輪アセンブリに結合されたダンパ質量を含む。ダンパ質量は、車体などの主要な質量の質量よりも小さく、車輪アセンブリが受ける振動に対抗するように振動する。ダンパ質量の振動により、望ましくない振動の影響が低減される。
【0032】
車両サスペンションシステムの一部として含まれる同調質量ダンパシステムは、サスペンションナックル(例えば、ハブリテーナ又は車輪支持体)又は車両車輪アセンブリなどの車両のばね下質量に結合されるダンパ質量を含む。同調質量ダンパシステムのダンパ質量は、側面オーバーラップ衝撃のような車体に加えられる前方の力が、1つ以上の係合部によって車体からダンパ質量に伝達されるように成形される。ダンパ質量は、1つ以上の曲面で伝達された力を受けて、ダンパ質量及び取り付けられた車輪アセンブリが車体の長手方向軸から離れるように回転する。本開示全体を通して、同一又は類似の参照番号は、同一又は類似の構成要素を指す。
【0033】
図1は、サスペンションシステム106を含む車両アセンブリ100の概略ブロック図である。ばね上質量101は、サスペンションシステム106によってばね下質量103に結合される。ばね上質量101は、車体、ユニボディ、フレーム、及び/又は関連する構成要素を含んでもよい。ばね下質量103は、例えば、車輪、タイヤ、車輪ハブ、サスペンションナックル、及び摩擦ブレーキ構成要素を含む車両車輪アセンブリであってもよい。サスペンションシステム106は、ばね下質量103に対するばね上質量101の動きを支持及び/又は規制するサスペンション構成要素116を含む。サスペンション構成要素116は、ショックアブソーバ、ばね、又はストラットであってもよく、車両アセンブリ100のサスペンションシステム106の1つの構成要素であってもよい。
【0034】
車両アセンブリ100はまた、ばね下質量103に結合された同調質量ダンパシステム108(例えば、吸振システム)を含む。同調質量ダンパシステム108は、ダンパ質量110とばね112と流体作動ダンパ114とを含む。同調質量ダンパシステム108、すなわち車輪ホップダンパは、ばね下質量103など、それが組み付けられる外部の振動を低減するように構成された受動デバイスである。
図1に示される例示的な実装形態では、同調質量ダンパシステム108は、ばね下質量103に接続される。ダンパ質量110は、ばね下質量103の動きに対して、かつそれに応じて移動する。ばね112及び流体作動ダンパ114の動的特性の選択は、ダンパ質量110の動きを調整することができる。ダンパ質量110の同調運動は、ばね112及び流体作動ダンパ114によって規制されて、ばね下質量103の振動に対抗する。ばね112は、ダンパ質量110及びばね下質量103に接続されて、ばね下質量103に対して中立位置から離れるようにダンパ質量110の動きに抵抗する。ばね112はまた、ばね下質量103に対して中立位置に向かってダンパ質量110を付勢するように作用する。ダンパ質量110の中立位置は、ばね下質量103に対する静止位置である。ダンパ質量110は、ばね下質量103に外力が加えられていない中立位置に配置されることになる。ばね112はダンパ質量110を支持し、それにより、ダンパ質量110が中立位置に対して2つの方向(例えば、軸に対する正及び負の変位)に移動し得る。流体作動ダンパ114は、ダンパ質量110及びばね下質量103に接続されて、(例えば、中立位置に向かう移動及び中立位置から離れる移動に抵抗することによって)ばね下質量103に対するダンパ質量110の移動に抵抗する。
【0035】
図2A及び
図2Bを参照すると、車両アセンブリ100の一部が概略的に示されている。車両アセンブリ100は、それぞれが車輪及びタイヤを含む2つ以上の車輪アセンブリによって支持される自動車、SUV、トラックなどのような従来の路上走行車両であってもよい。例として、車両アセンブリ100は、乗用車であり得る。別の例では、車両アセンブリ100は貨物車両であってもよい。更に別の例では、車両アセンブリ100は、車輪アセンブリを含み、車輪ホップの低減が望まれる航空機などのような任意の車両であってもよい。
【0036】
図2A及び
図2Bに示す実装形態では、車両アセンブリ100は、車体102と、車輪アセンブリ104と、ロータ130及びキャリパ132を備えるブレーキシステム105と、サスペンションシステム106と、同調質量ダンパシステム108と、を含む。車体102は、車両アセンブリ100のばね上質量101の一部である構成要素を含む。様々な実装形態において、車体102は、多部品構造であってもよいし単一構造であってもよい。車体102は、いくつかの実装形態では、フレーム、サブフレーム、ボディ、モノコック、及び/又は他のタイプの車両フレーム及びボディ構造を含む。車両アセンブリ100の内部構造態様を画定するフレームレール、構造ピラーなどのような様々な支持構成要素も、車体102の一部として含まれる。更に、車両の外部ボディパネル又は他の外部は、車体102の一部である。
【0037】
車輪アセンブリ104は、車輪118、タイヤ120、及び車輪ハブ122を含み、車輪118、タイヤ120及び車輪ハブ122の各々は、従来の構成要素である。車輪118は、いくつかの実装形態では、空気入りタイヤであり得るタイヤ120を支持する鋼又はアルミニウム車輪である。車輪ハブ122は、車両アセンブリ100のサスペンションシステム106の非回転構成要素と、車輪118及びタイヤ120などの回転構成要素との間のインターフェースである。
【0038】
サスペンションシステム106は、いくつかの実装形態では、サスペンション構成要素116と、サスペンションナックル124(例えば、ハブリテーナ又は車輪支持体)と、上側制御アーム126と、下側制御アーム128と、を含む。サスペンションナックル124は、車輪118の内部空間内に少なくとも部分的に配置され、車輪アセンブリ104及びブレーキシステム105の構成要素のための支持構造として機能する。サスペンションナックル124は、車輪ハブ122に接続され、車輪118及びタイヤ120がサスペンションナックル124に対して回転できるように車輪118及びタイヤ120を支持する。サスペンションナックル124はまた、キャリパ132などのブレーキシステム105の非回転構成要素に接続される。ロータ130などのブレーキシステム105の回転構成要素は、車輪ハブ122及び/又は車輪118に接続される。
【0039】
上側制御アーム126及び下側制御アーム128は、サスペンションナックル124を車体102に接続する。サスペンションナックル124は、主に略垂直方向(例えば、車両の進行方向に略垂直)に、車体102に対して移動可能である。一例では、上側制御アーム126及び下側制御アーム128はそれぞれ、1つ以上の回転自由度で回転させる車軸関節によって車体102及びサスペンションナックル124に接続される。サスペンション構成要素116は、車体102に対する車輪アセンブリ104の動きを規制するように構成されたサスペンションダンパである。様々な実装形態では、サスペンション構成要素116は、ショック、ストラット、ばね、リニアアクチュエータ、又は他のアクティブサスペンション構成要素若しくは受動サスペンション構成要素である。
【0040】
ブレーキシステム105は、ロータ130及びキャリパ132などの摩擦ブレーキ構成要素を使用して車両アセンブリ100を減速させるための減速トルクを提供する。キャリパ132は、ロータ130にブレーキ力を印加するように構成されている。
図2Aに示す実装形態では、キャリパ132は、ロータ130の上部で、車輪118及びタイヤ120の回転軸Rの上方に配置される。
図2Bに示す実装形態では、キャリパ132は、ロータ130の底部に、車輪118及びタイヤ120の回転軸Rの下方に配置される。キャリパ132の位置は、同調質量ダンパシステム108のダンパ質量110の開放端に対応する。例えば、ダンパ質量110は、
図2Aに示す実装形態ではキャリパ132の下方に配置されてもよく、ダンパ質量110は、
図2Bに示す実装形態ではキャリパ132の上方に配置されてもよい。ダンパ質量110の位置は
図3及び
図4に示されている。
【0041】
同調質量ダンパシステム108は、車両アセンブリ100のサスペンションシステム106の一部である受動サスペンション構成要素である。同調質量ダンパシステム108は、例えば、車輪ホップの発生を低減するなど、車輪アセンブリ104の振動を減衰させるように構成されている。同調質量ダンパシステム108は、ダンパ質量110の動きを規制することによって車輪アセンブリ104の振動を減衰させる。車輪アセンブリ104の振動を減衰させることによって、同調質量ダンパシステム108は、車両アセンブリ100のばね下質量103からばね上質量101への振動の伝達を低減することができる。
【0042】
図3は、車輪アセンブリ104の側面図を模式的に示す。サスペンションナックル124は、上側制御アーム126と下側制御アーム128とを接続する。サスペンションナックル124はまた、同調質量ダンパシステム108用の、かつキャリパ132及びロータ130を含むブレーキシステム105の回転構成要素及び非回転構成要素用の支持構造である。
【0043】
図示の実装形態では、同調質量ダンパシステム108は、ダンパ質量110、第1ばね112a、第2ばね112b、第3ばね112c、第4ばね112d、第1流体作動ダンパ114a及び第2流体作動ダンパ114bを含む。ダンパ質量110は、第1質量部142、第2質量部144、及び、第1質量部142と第2質量部144とを接続する第3質量部146を有する。第1質量部142、第2質量部144、及び第3質量部146は、車両が衝撃荷重を受けたときの車両の長手方向軸に対するダンパ質量110の回転を促進する同調質量ダンパシステム108の幾何学的特徴である。
【0044】
第1質量部142は、第1質量部142を通って略垂直に(例えば、車両の進行方向に対して垂直に)延在する第1内径143を含む。第1流体作動ダンパ114aは、第1内径143内に配置される。第1ばね112a及び第2ばね112bは、第1流体作動ダンパ114aと同軸上に組み付けられている。第1ばね112a、第2ばね112b及び第1流体作動ダンパ114aは、第1内径143を通って延在する。第1ばね112aは、第1上部マウント133から第1内径143の上側肩部まで延在する。第2ばね112bは、第1内径143の下側肩部から第1下部マウント135まで延びている。第1内径143の上側肩部及び第1内径143の下側肩部は、それぞれ、第1ばね112a及び第2ばね112bのための軸受面として作用する。第1ばね112a及び第2ばね112bは、第1流体作動式ダンパ114aを取り囲み、第1内径143の第1肩部及び第2肩部の軸受面、第1上部マウント133、及び第1下部マウント135に対して作用することによって、外部(例えば、サスペンションナックル124又はばね下質量103の他の構成要素)に対し、ダンパ質量110の中立位置又は静止位置に向かってダンパ質量110(すなわち、移動する質量)を付勢するように構成されている。中立位置は、サスペンションナックル124に対するダンパ質量110の静止位置である。ダンパ質量110は、外部(例えば、サスペンションナックル124)に外力が加えられない静止位置に配置されることになる。第1流体作動ダンパ114aは、第1流体作動ダンパ114aの第1流体チャンバと第2流体チャンバとの間の流体の移動によって、外部に対するダンパ質量110の動きを規制するように構成されている。第1流体作動式ダンパ114a、第1ばね112a、及び第2ばね112bは、ダンパ質量110の第1質量部142内の第1内径143を少なくとも部分的に通して延び、サスペンションナックル124などの外部に対するダンパ質量110の動きを規制するように構成されている、第1ばね及び流体作動ダンパアセンブリを規定する。
【0045】
同様に、第2質量部144は、第2内径145を含む。第2内径145は、第2質量部144を通って略垂直に延びる。第2流体作動ダンパ114bは、第2内径145内に配置される。第3ばね112c及び第4ばね112dは、第2流体作動ダンパ114bと同軸上に組み付けられている。第3ばね112c、第4ばね112d及び第2流体作動ダンパ114bは、第2内径145を通って延在する。第3ばね112cは、第2上部マウント134から第2内径145の上側肩部まで延在する。第4ばね112dは、第2内径145の下側肩部から第2下部マウント136まで延在する。第2内径145の上側肩部及び第2内径145の下側肩部は、それぞれ、第3ばね112c及び第4ばね112dのための軸受面として作用する。第3ばね112c及び第4ばね112dは、第2流体作動ダンパ114bを取り囲み、第2内径145の上側軸受面及び下側軸受面、第2上部マウント134及び第2下部マウント136に対して作用することによって、外部構造に対してダンパ質量110の中立位置に向かってダンパ質量110を付勢するように構成されている。第2流体作動ダンパ114bは、第2流体作動ダンパ114bの第1流体チャンバと第2流体チャンバとの間の流体の移動によって外部に対するダンパ質量110の動きを規制するように構成されている。第2流体作動ダンパ114b、第3ばね112c、及び第4ばね112dは、第2質量部144内の第2内径145を少なくとも部分的に通して延び、サスペンションナックル124などの外部に対するダンパ質量110の動きを規制するように構成されている、第2ばね及び流体作動ダンパアセンブリを規定する。
【0046】
第3質量部146は、第1質量部142と第2質量部144とを接続して、第1質量部142、第2質量部144、及び第3質量部146が、車輪アセンブリ104内のハードウェア構成要素のスタックを最小化するダンパ質量110のコンパクトなU字形構成を形成している。第3質量部146は、第3質量部146とは反対側の端部が開放されたU字の底部を形成している。様々な実装形態では、第1質量部142は、第2質量部144とは異なる形状及びサイズを有する、すなわち、第1質量部142は、第2質量部144よりも大きく、より大きい質量を有する。
図3に示す実装形態では、第1質量部142は、車両アセンブリ100の長手方向軸Aに対して第2質量部144の前方に配置される。
図3に示すように、第1質量部142は、車輪アセンブリ104の回転構成要素の回転軸Rの前方に位置付けられ、第2質量部144は、車輪アセンブリ104の回転構成要素の回転軸Rの後方に位置付けられる。第3質量部146は、
図3において回転軸Rの下方に位置付けられる。様々な実装形態では、第1質量部142、第2質量部144、及び第3質量部146は、金属などの剛性かつ高密度材料から一体的に形成されるので、ダンパ質量110は車輪アセンブリ104が受ける振動を抑制するのに十分な質量を有する。
図3に示す実施形態では、ダンパ質量110がU字形構成を有するものとして示されているが、ダンパ質量は、車輪アセンブリ104の回転構成要素の回転軸Rの両側にある第1質量部142及び第2質量部144の位置(例えば、回転軸Rの前方に配置された第1質量部142及び回転軸Rの後方に配置された第2質量部144)を保ち、車体102に加えられた力に応じて第2質量部144に対する第1質量部142の動きを容易にする他の構成で形成されてもよいことが理解される。
【0047】
引き続き
図3を参照すると、車輪アセンブリ104は、車体102内に画定された車輪開口部内に配置される。車体102は、車両の進行方向に対して車輪アセンブリ104の前方に配置される第1車体部102aと、車両の進行方向に対して車輪アセンブリ104の後方に配置される第2車体部102bと、を含む。第1車体部102aは、いくつかの実装形態では、バンパ又は車輪ウェルの前方部分である。第1車体部102aは、第1係合部150を含む。第1係合部150は、車体102から延び、車体102に結合された、又は車体102から押出成形された幾何学的特徴であり、車体102に加えられた力により、第1係合部150が、車体102に加えられた力をダンパ質量110の第1質量部142に伝達する。ダンパ質量110の第1質量部142に伝達された力の結果として、同調質量ダンパシステム108及び車輪アセンブリ104は、車体102の長手方向軸に対して回転する。衝撃事象の前に、同調質量ダンパシステム108は、車両アセンブリ100の非回転及び非回転構成要素である(例えば、同調質量ダンパシステム108は、車両の長手方向軸に対して回転しない)。車体102に加えられる力は、ダンパ質量110の第1質量部142に伝達された力により、車輪アセンブリ104及び同調質量ダンパシステム108を外向きに回転させる(すなわち、車輪アセンブリ104の前部が車体102の長手方向軸から離れるように回転する)ような側方相殺衝撃力であり得る。第1係合部150は、ダンパ質量110との相互作用による衝撃事象中に車輪アセンブリ104及び同調質量ダンパシステム108の回転を誘起するように構成されている。相互作用は、(例えば、介在構造の変形中及び/又は破損中に)第1係合部150と同調質量ダンパシステム108のダンパ質量110との間の介在構造を介した車体102に加えられる力の伝達を含む。介在構造は、車輪118及びタイヤ120などの車輪アセンブリ104の構成要素を含む。
【0048】
第2車体部102bは、車両の進行の前方方向に対して車輪アセンブリ104の後方に配置され、いくつかの実装形態では、車体102の車輪ウェルエンクロージャの後方部分である。いくつかの実装形態では、第2係合部152は、第2車体部102bに結合される。第2係合部152は、車体102から延び、車体102に結合された、又は車体102から押出成形された幾何学的特徴であり、車体102に加えられた力により、第2係合部152に、車体102に加えられた力をダンパ質量110の第2質量部144に伝達させる。第2係合部152は、ダンパ質量110との相互作用による衝撃事象中に車輪アセンブリ104及び同調質量ダンパシステム108の回転を誘起するように構成されている。相互作用は、(例えば、介在構造の変形中及び/又は破損中に)第2係合部152と同調質量ダンパシステム108のダンパ質量110との間の介在構造を介した車体102に加えられる力の伝達を含む。介在構造は、車輪118及びタイヤ120などの車輪アセンブリ104の構成要素を含む。様々な実装形態では、第1係合部150及び第2係合部152は、車体102に前方の力が加えられると、車輪アセンブリ104及び同調質量ダンパシステム108の外向き回転を協働して又は一緒に誘起し、車輪アセンブリ104を第1位置(
図5に示す)から外向きに回転した位置(
図6に示す)に協働して回転させる同調質量ダンパシステム108の部分である。同調質量ダンパシステム108の回転により、ダンパ質量110は回転する。
【0049】
図示の実装形態では、ダンパ質量110の第3質量部146が車輪アセンブリ104の回転軸Rに対してキャリパ132の正反対になるように、キャリパ132は、ダンパ質量110に対して位置付けられる。様々な実装形態では、ダンパ質量110の第3質量部146が半径方向においてキャリパ132の略反対側にあり、車輪アセンブリ104の回転軸Rの反対側に位置付けられるように、キャリパ132は、ダンパ質量110に対して位置付けられる。
図4に示すように、キャリパ132は、サスペンションナックル124に対して上方位置である第1位置にあり、キャリパ132は、車輪アセンブリ104の回転軸Rの上方にある。ダンパ質量110は、サスペンションナックル124に対して下方位置である第2位置にあり、ダンパ質量110の第3質量部146は、キャリパ132の反対側で、かつ車輪アセンブリ104の回転軸Rの下方にあり、例えば、ダンパ質量110は、サスペンションナックル124などの外部に対して移動しない。様々な実装形態では、
図4に示すように、キャリパ132は、第1上部マウント133と第2上部マウント134との間に配置される。
【0050】
様々な実施形態において、
図5に示すように、車輪アセンブリ204は、キャリパ132及びダンパ質量110を、
図4に示すこれらの構成要素の位置とは反対の位置に備える。本実装形態では、キャリパ132は、サスペンションナックル124に対して下部位置に、かつ車輪アセンブリ104の回転軸Rの下方に配置される。ダンパ質量110の第3質量部146は、サスペンションナックル124に対して上部位置に、かつ車輪アセンブリ104の回転軸Rの上方に配置される。
図5に示す実装形態では、ダンパ質量110は、第3質量部146がキャリパ132の上方にあるように上下逆U字形で位置付けられる。
【0051】
図5に示すように、第2質量部144が第1質量部142の前方にあるように、すなわち、第2質量部144が車輪アセンブリ104の回転軸Rの前方にあり、第1質量部142が車輪アセンブリ104の回転軸Rの後方にあるようにダンパ質量110は向けられる。他の構成では、
図4に示すように、第1質量部142が車両の長手方向軸Aに対して第2質量部144の前方にある、すなわち、第1質量部142が車輪アセンブリ104の回転軸Rの前方にあり、第2質量部144が車輪アセンブリの回転軸Rの後方にあり、第3質量部146は車輪アセンブリの回転軸Rの下方にあるように、ダンパ質量110は向けられる。図示の構成では、第1係合部150は、衝撃力を車輪アセンブリ204に伝達し、車輪アセンブリ204の構成要素の変形及び/又は破損によりダンパ質量110の第2質量部144に伝達する。第2係合部152は、衝撃力を車輪アセンブリ204及びダンパ質量110の第1質量部142に伝達する。第1係合部150及び第2係合部152は、協働して、車両アセンブリ100の長手方向軸から離れるように車輪アセンブリ204を回転させるように、すなわち、車両アセンブリ100の長手方向軸から外向きに離れるように車輪アセンブリ204を回転させるように作用する。
【0052】
ここで
図5を参照すると、車輪アセンブリ104が断面で示されている。車輪アセンブリ104は、車輪118及びタイヤ120、並びに車両アセンブリ100のサスペンションシステム106の非回転構成要素と、車輪118及びタイヤ120などのような回転構成要素との間のインターフェースとして作用する車輪ハブ(図示せず)を含む。ロータ130は、車輪118と共に回転するように車輪118に接続されている(例えば、ロータは車輪118と一体に回転する)。
【0053】
ダンパ質量110は、第1質量部142、第2質量部144、及び第3質量部146を含む。第3質量部146は、第1質量部142と第2質量部144との間に延在し、第1質量部142と第2質量部144とを接続している。
【0054】
第1質量部142は、ダンパ質量110の第1端部148で画定された第1曲面162を有する。第1曲面162は、
図5における前方である第1方向に面し、当該第1方向は、第2質量部144から離れる方向である。第1曲面162はまた、車体102の横軸Bに対して横方向内側に面する。第1曲面162は、ダンパ質量110の開放端から、ダンパ質量110の閉塞端すなわち、U字形構成の底部を形成している第3質量部146まで、鉛直方向、すなわち車体102の横方向に垂直な面内に延びている。第1質量部142の第1曲面162のこうした向きは、第1曲面162が、第1係合部150を介して伝達された車体102に加えられる力、及び車輪アセンブリ104の介在構成要素の変形及び/又は破損を受けると、ダンパ質量110及び車輪アセンブリ104の回転を誘起する。第1係合部150は、車輪アセンブリ104の介在構成要素を介して第1曲面162と相互作用し、第1質量部142を横方向外向きに回転させるように設計された幾何学的構成を有する。第1係合部150の幾何学的構成は、車体102に加えられた力を、ダンパ質量110の第1質量部142の横方向外向きの回転を誘起する第1曲面162上の領域に向ける構成である。第1曲面162は、衝撃力が車体102の前方コーナーに集中する小さなオーバーラップ衝撃中などに車体102に加えられる力を受けて、接続された車輪アセンブリ104を車体102の長手方向軸Aに対して外向きに回転させるように構成されている。衝撃事象による力は、第1係合部150を介して、かつ車輪アセンブリ104の圧潰可能な構成要素を介してダンパ質量110に伝達されるので、この伝達された力が第1曲面162上の領域に加えられ、車輪アセンブリ104及び同調質量ダンパシステム108を第1の方向、すなわち車体102の中心から離れる外向きの方向に回転させる。ダンパ質量110に伝達された力は、第1質量部142の第1曲面162に加えられ、第1質量部142と第2質量部144との間に回転を引き起こし、すなわち、第1質量部142は第2質量部144に対して回転する。
【0055】
第1質量部142は、ロータ130に面する第1平坦面164を含む。第1平坦面164は、ダンパ質量110の側面の一部であり、第3質量部146と略面一である。第1平坦面164によって部分的に画定される外向き側面は、略平面であり、ロータ130に隣接している。
【0056】
第2質量部144は、ダンパ質量110の第2端部149に画定された第2曲面166を含む。第2曲面166は、
図5に示すように後方である、第1方向と反対方向である第2方向に面し、当該第2の方向は、第1質量部142から概ね離れる方向、すなわち反対方向である。第2曲面166はまた、車体102の横軸Bに対して横方向外側に面する。第2曲面166は、ダンパ質量110の開放端から、ダンパ質量110の閉塞端すなわち、U字形構成の底部を形成している第3質量部146に向かって、鉛直方向、すなわち車体102の横方向に垂直な面内に延びている。第2質量部144の第2曲面166のこうした向きは、第2質量部144が、第2係合部152並びに車輪アセンブリ104の介在構成要素の変形及び/又は破損を介して伝達される車体102に加えられる力を受けると、ダンパ質量110の内向きの回転を誘起する。第2曲面166は、小さなオーバーラップ衝撃による力のような、車体102に加えられる力を受けて、車体102の長手方向軸Aに対して横方向内向きに、接続された車輪アセンブリ104を回転させるように構成されている。衝撃事象による力は、第2係合部152を介して、かつ車輪アセンブリ104の圧潰可能な構成要素を介してダンパ質量110に伝達されるので、この伝達された力が第2曲面166上の領域に加えられて、車輪アセンブリ104及び同調質量ダンパシステム108を第2の方向、すなわち車体102の中心に向かう横方向内向きの方向に回転させる。様々な実装形態では、車体102に加えられる力は、第1係合部150によって車輪アセンブリ104の変形可能な構成要素を介して第1質量部142の第1曲面162に伝達される。結果として車輪アセンブリ104及びダンパ質量110が並進及び/又は回転することにより、車輪アセンブリ104の変形可能な構成要素を介して、第2係合部152と第2質量部144の第2曲面166との間で相互作用が生じる。第2質量部144は、ロータ130から離れてダンパ質量110の反対側に位置付けられた第2平坦面168を含む。様々な実装形態では、第1質量部142及び第2質量部144の曲面及び平坦面は、パッケージング及び力の伝達を考慮して設計される。
【0057】
第3質量部146は、第3質量部146が第1質量部142及び第2質量部144よりも横方向において薄くなるように、第1質量部142の幅及び第2質量部144の幅よりも狭い、横方向、すなわち、車体102の横軸Bに平行な方向の幅Dを有する。様々な実装形態では、第3質量部146の幅Dは、第1質量部142の最小横方向寸法及び第2質量部144の最小横方向寸法よりも薄い。いくつかの実装形態では、第3質量部146の幅Dは、第1質量部142が第3質量部146と交わる第1質量部142の隣接部分よりも薄い。いくつかの実装形態では、第3質量部146の幅Dは、第2質量部144が第3質量部146と交わる第2質量部144の隣接部分よりも薄い。幅Dは、いくつかの実施形態では、第1質量部142と第2質量部144との間が等距離である位置で第3質量部146の最小横方向寸法である。様々な実装形態では、第3質量部146は、第1質量部142と第2質量部144との間の位置において、車体102の長手方向軸に対して垂直に延びる平面内において第3質量部146内の他の位置よりも小さい断面積を有する。
【0058】
第3質量部146は、衝撃事象において、ダンパ質量110が第3質量部146内で分離するように、ダンパ質量110の変形可能で壊れやすい構成要素であるように設計される。一例では、ダンパ質量110は、第3質量部146内で破断することによって分離するように構成されている。第3質量部146の幅Dは、第1質量部142と第2質量部144との間に相対運動が存在するように、加えられた力から生じる最大集中応力により第1質量部142を第2質量部144から分離させる領域となるように設計される。車体102に加えられた力によるダンパ質量110への応力は、例えば、第1係合部150による第1質量部142の第1曲面162への衝撃領域のような、ダンパ質量110上の異なる点に存在し得る。しかし、第3質量部146の隣接領域の他の断面積と比較して最小断面積を有する第3質量部146内の位置は、第1質量部142が第2質量部144に対して移動するように、第3質量部146の最小断面積における破断によって第1質量部142を第2質量部144から分離できる高応力集中の1つの領域である。第3質量部146内の高応力集中領域は、ダンパ質量110の材料選択及び製造プロセスに依存する。ダンパ質量110の材料及び製造プロセスの選択は、第2質量部144に対する第1質量部142の動きが、第3質量部146の最小断面積での分離又は破断によって達成されるように制御される。
【0059】
様々な実装形態では、第1係合部150は、車体102の基礎構造に対する幾何学的変更である。第1係合部150は、車体102に結合されている、又はそれと一体的に形成されている。第1係合部150は、車体102に加えられた衝撃力を車輪アセンブリ104及び同調質量ダンパシステム108のダンパ質量110に伝達するように構成されたハンマー、くさび、又は他の突起などのあらゆる形状を有することができる。第1係合部150は、車輪アセンブリ104の前方に位置する。第1係合部150は、第1係合部150が車体102の外部の位置から見えないように、車両バンパの内側又は車輪ウェルエンクロージャの内側に位置付けられてもよい。第1係合部150は、車体102に加えられた力が第1質量部142の第1曲面162上の領域に伝達されて、ダンパ質量110及び取り付けられた車輪アセンブリ104の外向きの回転を誘起するように位置付けられる。
【0060】
同様に、第2係合部152は、車体102の基礎構造に対する幾何学的変更である。第2係合部152は、車体102に結合されるか、又はそれと一体的に形成される。第2係合部152は、車体102の基礎構造からダンパ質量110の第2質量部144に向かって突出し、車体102に加えられた力が第2曲面166上の領域に伝達されて、ダンパ質量110及び取り付けられた車輪アセンブリ104の内向きの回転を誘起するように位置付けられる。第2係合部152は、車輪アセンブリ104及び同調質量ダンパシステム108の後方に位置付けられ、第2係合部152が車体102の外部の位置から見えないように車輪ウェルエンクロージャの内側にあってもよい。
【0061】
ダンパ質量110は、車体102に加えられる力に応じて圧潰又は変形する車輪アセンブリ104の他の構成要素(例えば、車輪118、タイヤ120)とは対照的に、概して剛性の非圧潰性構成要素である。
図6は、車体102の前部コーナーに加えられた小さなオーバーラップ衝撃のような衝撃力Fに応じた車輪アセンブリ104及び同調質量ダンパシステム108の反応を示す。力Fは、第1係合部150から車輪アセンブリ104の圧潰可能な構成要素(例えば、車輪118及びタイヤ120)に伝達される。力は、第1質量部142の第1曲面162上の領域に加えられて、車輪アセンブリ104及び同調質量ダンパシステム108を、車体102の長手方向軸Aに対して概して外向きの方向に回転させる。衝撃力Fはまた、第2係合部152が車輪アセンブリ104の圧潰可能な構成要素に接触するように、車輪アセンブリ104を後方に並進移動させる。第2係合部152からの力は、圧潰可能な構成要素を介して伝達され、第2曲面166上の領域に加えられて、車輪アセンブリ104及び同調質量ダンパシステム108の回転を更に誘起し、それにより、ダンパ質量110の第2端部149が、車体102の長手方向軸Aに向かって内向きに回転する。第2係合部152は、第2係合部152とダンパ質量110の第2質量部144との間の相互作用が車体102の長手方向軸Aから離れるように車輪アセンブリ104を回転させるように、車体102に加えられた衝撃力Fに対する反応面として機能することができる。
【0062】
第3質量部146は、第3質量部146内の任意の位置に位置する応力集中部分Cを含む。応力集中部分Cは、概して、第3質量部146の横方向幅D(
図5に示す)が最小幅である場所にあるので、衝撃力Fによるダンパ質量110の破断は第3質量部146の応力集中部分Cで起こりやすい。応力集中部分Cは、第1質量部142の一部と第2質量部144との間で最も応力が集中する領域である。ダンパ質量110は、複数の応力集中領域を含み得るが、第3質量部146の破断による第2質量部144からの第1質量部142の分離は応力集中部分Cで最も生じやすい。
【0063】
上記したように、本技術の一態様は、サスペンション制御であり、これは、いくつかの実装形態では、ユーザの好みに基づいて動作をカスタマイズするために様々なソースから利用可能なデータの収集及び使用を含み得る。例として、そのようなデータは、ユーザを識別することができ、また、ユーザ固有の設定又は好みを含むことができる。本開示は、いくつかの場合には、この収集されたデータが、特定の人を一意に識別する個人情報データ、又は特定の人に連絡する若しくはその所在を突き止めるために使用できる個人情報データを含み得ることを考察する。そのような個人情報データとしては、人口統計データ、ロケーションベースのデータ、電話番号、電子メールアドレス、ツイッターID、自宅の住所、ユーザの健康又はフィットネスのレベル(例えば、バイタルサイン測定値、服薬情報、運動情報)に関するデータ若しくは記録、誕生日、又は任意のその他の識別情報若しくは個人情報を挙げることができる。
【0064】
本開示は、本技術におけるそのような個人情報データの使用がユーザの利益になる使用であり得る点を認識するものである。例えば、ユーザプロファイルは、例えばサスペンションシステムの剛性に関するユーザの快適レベルに対するユーザの好みを記憶するように確立されてもよい。これにより、そのような個人情報データの使用は、ユーザ体験を向上させる。
【0065】
本開示は、そのような個人情報データの収集、分析、開示、送信、記憶、又は他の使用に関与するエンティティが、確固たるプライバシーポリシー及び/又はプライバシー慣行を遵守するものとなることを想到する。具体的には、そのようなエンティティは、個人情報データを秘密として厳重に保守するための、業界又は政府の要件を満たしているか又は上回るものとして一般に認識されている、プライバシーのポリシー及び慣行を実施し、一貫して使用するべきである。そのようなポリシーは、ユーザによって容易にアクセス可能とするべきであり、データの収集及び/又は使用が変化するにつれて更新されるべきである。ユーザからの個人情報は、そのエンティティの合法的且つ正当な使用のために収集されるべきであり、それらの合法的使用を除いては、共有又は販売されるべきではない。更には、そのような収集/共有は、ユーザに告知して同意を得た後に実施されるべきである。その上、そのようなエンティティは、そのような個人情報データへのアクセスを保護及び安全化し、個人情報データへのアクセス権を有する他者が、それらのプライバシーポリシー及び手順を忠実に守ることを保証するための、あらゆる必要な措置を講じることを考慮するべきである。更に、そのようなエンティティは、広く受け入れられているプライバシーポリシー及び慣行に対する自身の遵守を証明するために、サードパーティによる評価を自らが受けることができる。更には、ポリシー及び慣行は、収集及び/又はアクセスされる具体的な個人情報データのタイプに適合されるべきであり、また、管轄権固有の考慮事項を含めた、適用可能な法令及び規格に適合されるべきである。例えば、アメリカ合衆国では、特定の健康データの収集又はそれへのアクセスは、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)などの、連邦法及び/又は州法に準拠し得る。その一方で、他国における健康データは、他の規制及びポリシーの対象となり得るものであり、それに従って対処されるべきである。それゆえ、各国において、異なる個人データのタイプに関して異なるプライバシー慣行が保たれるべきである。
【0066】
前述のことがらにも関わらず、本開示はまた、個人情報データの使用又は個人情報データへのアクセスを、ユーザが選択的に阻止する実施形態も想到する。すなわち、本開示は、そのような個人情報データへのアクセスを防止又は阻止するために、ハードウェア要素及び/又はソフトウェア要素が提供され得ることを意図している。例えば、ユーザ快適レベル及び嗜好を特定するユーザプロファイルを記憶する場合、本技術は、ユーザが、サービスの登録中又はその後のいつでも、個人情報データの収集への参加の「オプトイン」又は「オプトアウト」を選択できるように構成され得る。別の実施例では、ユーザが、特定のアプリケーションの使用に関するデータを提供しないように選択することができる。更に別の実施例では、ユーザは、アプリケーション使用に関するデータが維持される期間を制限する、又はアプリケーション使用プロファイルの構築を完全に禁止することを選択することができる。「オプトイン」及び「オプトアウト」のオプションを提供することに加えて、本開示は、個人情報のアクセス又は使用に関する通知を提供することを意図している。例えば、ユーザの個人情報データにアクセスすることとなるアプリのダウンロード時にユーザに知らされ、その後、個人情報データがアプリによってアクセスされる直前に再びユーザに注意してもよい。
【0067】
更には、本開示の意図は、個人情報データを、非意図的若しくは許可のないアクセス又は使用の危険性を最小限に抑える方法で、管理及び処理するべきであるという点である。データの収集を制限し、データがもはや必要とされなくなると削除することにより、リスクを最小化することができる。加えて、特定の健康関連アプリケーションにおいて適用可能な場合、ユーザのプライバシーを保護するために、データの匿名化を使用することができる。非特定化は、適切な場合には、特定の識別子(例えば、生年月日など)を除去すること、記憶されたデータの量又は特異性を制御すること(例えば、位置データを住所レベルよりも都市レベルで収集すること)、データがどのように記憶されるかを制御すること(例えば、データをユーザ全体にわたって集約すること)及び/又は他の方法によって、容易にすることができる。
【0068】
それゆえ、本開示は、1つ以上の様々な開示された実施形態を実施するための、個人情報データの使用を広範に網羅するものであるが、本開示はまた、そのような個人情報データにアクセスすることを必要とせずに、それらの様々な実施形態を実施することも可能であることを想到する。すなわち、本技術の様々な実施形態は、そのような個人情報データの全て又は一部分が欠如することにより、動作不可能にされるものではない。例えば、サスペンション制御は、非個人情報データ、又はデバイスが利用可能な他の非個人情報若しくは公的に利用可能な情報などの最小限の個人情報に基づいて、実行され得る。
【外国語明細書】