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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181115
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池の陽極
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/134 20100101AFI20231214BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20231214BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20231214BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H01M4/134
H01M4/36 C
H01M4/38 Z
H01M4/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091631
(22)【出願日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】202210655988.X
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】598098331
【氏名又は名称】ツィンファ ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HON HAI PRECISION INDUSTRY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】66,Chung Shan Road,Tu-Cheng New Taipei,236(TW)
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】洪 子▲キン▼
(72)【発明者】
【氏名】方 振翰
(72)【発明者】
【氏名】王 佳平
(72)【発明者】
【氏名】▲ハン▼ 守善
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA02
5H050AA07
5H050AA19
5H050BA17
5H050CB11
5H050DA03
5H050DA10
5H050EA08
5H050FA02
5H050FA09
5H050FA18
5H050HA01
5H050HA07
5H050HA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】柔軟なナノシリコンのリチウムイオン電池の陽極を提供する。前記陽極中のカーボンナノチューブとナノシリコンが均一に複合され、ナノシリコンが凝集しない陽極を提供する。
【解決手段】リチウムイオン電池の陽極100は、絡み合わされた複数のカーボンナノチューブからなる三次元のネットワーク構造102と、非晶質炭素でコーティングされた複数のナノシリコン粒子104と、二つのカーボンナノチューブ機能層106とを含む。前記非晶質炭素は、正電荷を帯びた炭化性ポリマーを高温で焼成することによって得られる。二つの前記カーボンナノチューブ機能層106は、前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造102において対向して設置された二つの表面にそれぞれ敷設されて、該カーボンナノチューブ機能層106は、積層して交差して設置された少なくとも二層の超配列カーボンナノチューブフィルムを含む。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造と、非晶質炭素でコーティングされた複数のナノシリコン粒子と、二つのカーボンナノチューブ機能層とを含み、
前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造は、絡み合わされた複数のカーボンナノチューブからなり、該カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造において対向して設置された二つの表面が第一表面及び第二表面に定義され、
非晶質炭素でコーティングされた複数の前記ナノシリコン粒子は、前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造に分散され、該カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造におけるカーボンナノチューブの表面に付着して、前記非晶質炭素は、正電荷を帯びた炭化性ポリマーを高温で焼成することによって得られ、
二つの前記カーボンナノチューブ機能層は、前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造の第一表面及び第二表面にそれぞれ敷設されて、該カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造を二つの前記カーボンナノチューブ機能層の間に位置させ、前記カーボンナノチューブ機能層は、積層して交差して設置された少なくとも二層の超配列カーボンナノチューブフィルムを含むことを特徴とするリチウムイオン電池の陽極。
【請求項2】
前記ナノシリコン粒子の質量の担持量は、1.2mg/cm~2mg/cmであることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン電池の陽極。
【請求項3】
カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造と、正電荷を帯びた炭化性ポリマーで被覆された複数のナノシリコン粒子とを含み、
前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造は、絡み合わされた複数のカーボンナノチューブからなり、
正電荷を帯びた炭化性ポリマーで被覆された複数の前記ナノシリコン粒子は、前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造に分散され、該カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造におけるカーボンナノチューブの表面に付着することを特徴とするリチウムイオン電池の陽極。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造において対向して設置された二つの表面が第一表面及び第二表面に定義され、
前記リチウムイオン電池の陽極は、さらに二つの前記カーボンナノチューブ機能層を含み、二つの前記カーボンナノチューブ機能層は、前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造の第一表面及び第二表面にそれぞれ敷設して、該カーボンナノチューブ機能層は、積層して交差して設置された少なくとも二層の超配列カーボンナノチューブフィルムを含むことを特徴とする、請求項3に記載のリチウムイオン電池の陽極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池の分野に関し、特に、均一に複合化されたナノメートルシリコン及びカーボンナノチューブを含むリチウムイオン電池の陽極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコン材料は理論上の比容量が非常に高く、埋蔵量が豊富なため、理想的な陽極材料である。近年、電子デバイスの急速な発展に伴い、電子デバイスの柔軟性に対する新しい要求が提出されている。従って、柔軟なシリコン陽極の製造は非常に重要である。しかしながら、リチウムイオン電池の充放電の繰り返し(サイクル)におけるシリコンの激しい体積変化は、電極の破裂や集電体からの分離を容易に引き起こすおそれがあり、シリコン材料の柔軟性と電気伝導性の悪さは、シリコン材料がリチウムイオン電池に応用されることをさらに制限する。従来のシリコン材料と比較して、ナノシリコンは体積変化による機械的ストレスに耐え、粒子の破砕を効果的に回避できる。ナノシリコンのサイズがナノスケールであるので、電子伝達経路を短縮することができ、ナノシリコンの電気伝導性を向上させる。しかしながら、ナノシリコンは比較的凝集しやすい。
【0003】
カーボンナノチューブ(CNT)は、アスペクト比が高く、表面がきれいで、分子間力が強く、機械的特性、電気的特性、熱的特性に優れるという特徴を持つ。カーボンナノチューブで製造されたカーボンナノチューブフィルムやカーボンナノチューブスポンジなどの巨視的な材料は、優れた電熱特性と機械的柔軟性を示す。従って、CNT及びナノシリコンを複合させることにより、より優れた導電性を備えた柔軟なナノシリコンの陽極を得ることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、“Spinning continuous carbon nanotube yarns”、Nature、2002年、第419巻、p.801
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第1483667号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、CNTのゼータ電位は負値であり、ナノシリコンのゼータ電位も負値であり、静電相互作用により、CNTとナノシリコンは反発する。CNTとナノシリコンの均一な複合体を得ることは困難であり、さらに、CNTとナノシリコンから構成されるリチウムイオン電池の均一な陽極を得ることは困難である。また、従来技術のリチウムイオン陽極の表面の活物質は脱落しやすいので、リチウムイオン電池の電気化学的性能の低下につながるという問題がある。
【0007】
上記技術問題を解決するために、柔軟なナノシリコンのリチウムイオン電池の陽極を提供することが必要である。柔軟なナノシリコンのリチウムイオン電池の陽極の中のCNTとナノシリコンが均一に複合され、ナノシリコンが凝集しない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
リチウムイオン電池の陽極は、カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造と、非晶質炭素でコーティングされた複数のナノシリコン粒子と、二つのカーボンナノチューブ機能層とを含む。前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造は、絡み合わされた複数のカーボンナノチューブからなり、該カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造において対向して設置された二つの表面が第一表面及び第二表面に定義される。非晶質炭素でコーティングされた複数の前記ナノシリコン粒子は、前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造に分散され、該カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造におけるカーボンナノチューブの表面に付着して、前記非晶質炭素は、正電荷を帯びた炭化性ポリマーを高温で焼成することによって得られる。二つの前記カーボンナノチューブ機能層は、前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造の第一表面及び第二表面にそれぞれ敷設されて、該カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造を二つの前記カーボンナノチューブ機能層の間に位置させ、前記カーボンナノチューブ機能層は、積層して交差して設置された少なくとも二層の超配列カーボンナノチューブフィルムを含む。
【0009】
前記ナノシリコン粒子の質量の担持量は、1.2mg/cm~2mg/cmである。
【0010】
リチウムイオン電池の陽極は、カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造と、正電荷を帯びた炭化性ポリマーで被覆された複数のナノシリコン粒子とを含む。前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造は、絡み合わされた複数のカーボンナノチューブからなる。正電荷を帯びた炭化性ポリマーで被覆された複数の前記ナノシリコン粒子は、前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造に分散され、該カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造におけるカーボンナノチューブの表面に付着する。
【0011】
前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造において対向して設置された二つの表面が第一表面及び第二表面に定義される。前記リチウムイオン電池の陽極は、さらに二つの前記カーボンナノチューブ機能層を含み、二つの前記カーボンナノチューブ機能層は、前記カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造の第一表面及び第二表面にそれぞれ敷設されて、該カーボンナノチューブ機能層は、積層して交差して設置された少なくとも二層の超配列カーボンナノチューブフィルムを含む。
【発明の効果】
【0012】
従来技術と比べて、本発明から提供されるリチウムイオン電池の陽極は、ナノシリコンの表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマー、又は正電荷を帯びた炭化性ポリマーが高温で焼成されることによって得られた非晶質炭素でコーティングされるので、カーボンナノチューブのゼータ電位は負値であり、カーボンナノチューブと正電荷を帯びた炭化性ポリマーは、不均一に帯電し、カーボンナノチューブと正電荷を帯びた炭化性ポリマーで修飾されたナノシリコンは、それぞれの静電反発力によって、分散され、且つ相互の静電引力によって、アンカーされる。従って、表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマーで被覆されたナノシリコンは、カーボンナノチューブによって形成される三次元のネットワーク構造に均一に分散され、カーボンナノチューブと良好に結合することができ、正電荷を帯びた炭化性ポリマーが高温で分解することによって形成された非晶質炭素でコーティングされたナノシリコンもカーボンナノチューブからなる三次元のネットワーク構造に分散され、カーボンナノチューブと良好に結合することができる。連続した三次元のネットワーク構造は、機械的支持フレームワークと、電子及びリチウムイオンの輸送グリッドとして同時に機能することがある。カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造の二つの表面に位置するCNT機能層は、電極表面からの活物質の脱落を効果的に減らすことができ、それによって、リチウムイオン電池がより優れたサイクル性能及び倍率性能を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態によって提供されるリチウムイオン電池の陽極を製造する方法のフローチャートである。
図2】ナノシリコンとカーボンナノチューブの間の分散シミュレーション図と、表面がポリアニリンでコーティングされたナノシリコン(SiPA)とカーボンナノチューブの間の分散シミュレーション図である。
図3】本発明の実施形態によって提供されるCNT@Si複合膜及びCNT@SiPA複合膜の製造プロセスの概略図である。
図4】本発明の実施形態によって提供される複合膜の両面にカーボンナノチューブ機能層を設置する概略図である。
図5】本発明の実施形態で提供される製造方法によって得られたリチウムイオン電池の陽極の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
図6】、本発明の実施形態によって提供されるSiPA0.01、SiPA0.005、及びSiPA0.015の熱重量分析(TGA)曲線である。
図7】、本発明の実施形態によって提供されるCNT@Si、CNT@Si-膜、CNT@SiPAC及びCNT@SiPAC-膜の陽極でそれぞれ組み立てられたボタン電池のサイクル性能のグラフである。
図8】、本発明の実施形態1~3におけるCNT@SiPAC0.01-膜、CNT@SiPAC0.005-膜及びCNT@SiPAC0.015-膜の陽極を使用することによって得られたボタン電池のサイクル性能のグラフである。
図9】本発明の実施形態によって提供されるCNT@SiPAC-膜の陽極において、Siの面積担持量が1.19mg/cm、1.38mg/cm、1.72mg/cm及び1.99mg/cmである場合の電池のサイクル容量曲線を示す図である。
図10】本発明の実施形態によって提供される、CNT@Si、CNT@Si-膜、CNT@SiPAC、及びCNT@SiPAC-膜の陽極から構成される電池の倍率性能曲線である。
図11】本発明の実施形態によって提供されるSiPAC//Liパウチ電池のサイクル性能のグラフである。
図12】本発明の実施形態によって提供されるSiスラリー電極及びCNT@SiPAC-膜の電極が90°及び180°の長サイクル曲げを受けるときの曲げ回数による抵抗の変化曲線である。
図13】、本発明の実施形態によって提供されるSiPAC//LFPパウチ電池の曲げ前後の電圧曲線である。
図14】本発明の実施形態によって提供されるリチウムイオン電池の陽極の概略構造図である。
図15】本発明の実施形態によって提供されるもう一つのリチウムイオン電池の陽極の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面及び具体的な実施形態を参照して、本発明の技術方案の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0015】
図1を参照すると、本発明の第一実施形態は、リチウムイオン電池の陽極の製造方法を提供する。リチウムイオン電池の陽極の製造方法は、以下のステップを含む。
【0016】
ステップS1:ナノシリコン材料を提供し、ナノシリコン材料の表面に正電荷を帯びた炭化性ポリマーでコーティングして、表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマーでコーティングされたナノシリコンを得る。
【0017】
ステップS2:溶媒とカーボンナノチューブ(CNT)を提供し、カーボンナノチューブと、表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマーでコーティングされたナノシリコンを溶媒に一定の割合で加え、超音波分散を行って分散液を得る。
【0018】
ステップS3:分散液を真空濾過して、CNT及び表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマーでコーティングされたナノシリコンの複合膜を得る。
【0019】
ステップS4:複合膜の二つの対向する表面にそれぞれカーボンナノチューブ機能層を設置し、複合膜を二つのカーボンナノチューブ機能層の間に位置させる。カーボンナノチューブ機能層が積層して設置された少なくとも二つの超配列カーボンナノチューブフィルムを含む。
【0020】
ステップS5:ステップS4でカーボンナノチューブ機能層が設置された複合膜を高温で焼成して、複合膜の中の正電荷を帯びた炭化性ポリマーを炭化して非晶質炭素にする。
【0021】
ステップS1において、正電荷を帯びた炭化性ポリマーとは、ポリマーの表面のゼータ電位が正値であり、高温で焼成すると非晶質炭素に分解することができるポリマーを指す。例えば、正電荷を帯びた炭化性ポリマーは、ポリアニリン、キトサン、ポリドーパミンなどである。本実施形態では、正電荷を帯びた炭化性ポリマーは、ポリアニリンである。
【0022】
表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマーで被覆されたナノシリコンにおいて、ナノシリコンの質量割合は40%~50%であることが好ましい。本実施形態では、正電荷を帯びた炭化性ポリマーは、ポリアニリンであり、表面がポリアニリンで被覆されたナノシリコンにおいて、ナノシリコンの質量パーセントが45.5%である。
【0023】
ナノシリコン材料の表面に正電荷を帯びた炭化性ポリマーをコーティングするコーティング方法は、正電荷を帯びた炭化性ポリマーの具体的な物質に応じて選択することができる。本実施形態では、アニリン、塩酸、及び過硫酸アンモニウムなどの材料を使用して、ナノシリコンを氷水混合浴でその場においてポリアニリンでコーティングして、表面がポリアニリンでコーティングされたナノシリコン(SiPA)を得る。
【0024】
本実施形態では、ナノシリコンのサイズは、20ナノメートル~80ナノメートルである。もちろん、ナノシリコンのサイズは、本実施形態のサイズに限定されず、他のサイズのナノシリコンであってもよい。
【0025】
ステップS2において、溶媒は、カーボンナノチューブ及び表面に正電荷を帯びた炭化性ポリマーでコーティングされたナノシリコンを分散させることができる溶媒であり、例えば、エタノール、アセトン、水などである。本実施形態では、溶媒はエタノールである。
【0026】
カーボンナノチューブは、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1を参照)から溶媒へ直接剥離され得る。超配列カーボンナノチューブアレイは、好ましくは基板に配置され、ナイフ又は他の工具を使用して、前述のカーボンナノチューブアレイを基板から剥離することができる。超配列カーボンナノチューブアレイにおけるカーボンナノチューブは、その長さが通常300ミクロン以上であり、その直径が通常30ナノメートル以下であり、且つカーボンナノチューブの配列方向は基本的に同じである。超配列カーボンナノチューブアレイにおけるカーボンナノチューブの表面は純粋であり、基本的にアモルファスカーボンや残留された触媒金属粒子などの不純物を含まない。
【0027】
表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマーで被覆されたナノシリコンにおけるナノシリコンの担持量は、1~5mg/cmであることが好ましい。担持量が低すぎると、シリコンの陽極の容量が小さすぎる。担持量が高すぎると、シリコンの陽極の体積が大幅に変化し、粉砕の問題が深刻になり、容量の維持率が低下する。好ましい担持量は、陽極容量とその保持率の両方を考慮に入れるべきである。本実施形態では、表面がポリアニリンで被覆されたナノシリコンにおけるナノシリコンの担持量は、3mg/cmである。
【0028】
カーボンナノチューブと、表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマーで被覆されたナノシリコンとの質量比は、1:2~1:4であることが好ましい。本実施形態では、カーボンナノチューブと表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマーで被覆されたナノシリコンとの質量比は、1:3である。
【0029】
本実施形態では、セル超音波粉砕機を採用して、超音波分散を行う。もちろん、他の超音波装置を採用して、超音波分散を行ってもよく、本実施形態のセル超音波粉砕機に限定されない。
【0030】
超音波分散の時間は、実際のニーズに応じて設定できる。例えば、超配列カーボンナノチューブアレイのサイズと超音波分散のパワーなどは、超音波分散の時間に影響を与える。カーボンナノチューブが溶媒で三次元のネットワーク構造を形成した後、超音波分散を止める。三次元のネットワーク構造は綿毛構造である。綿毛構造は、カーボンナノチューブが絡み合うだけでなく、多孔質のふわふわ構造でもある。超音波分散をした後、溶媒の中のカーボンナノチューブは連続した三次元のネットワーク構造を形成し、連続した三次元のネットワーク構造の中のカーボンナノチューブは均一に分布する。ナノシリコンの表面は正電荷を帯びた炭化性ポリマーでコーティングされるので、カーボンナノチューブのゼータ電位は負値であり、カーボンナノチューブと正電荷を帯びた炭化性ポリマーは、不均一に帯電し、カーボンナノチューブと正電荷を帯びた炭化性ポリマーで修飾されたナノシリコンは、それぞれの静電反発力によって、分散され、且つ相互の静電引力によって、アンカーされる。従って、表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマーで被覆されたナノシリコンは、カーボンナノチューブによって形成される三次元のネットワーク構造に均一に分散され、カーボンナノチューブと良好に結合することができる。連続した三次元のネットワーク構造は、機械的支持フレームワークと、電子及びリチウムイオンの輸送グリッドとして同時に機能することがる。
【0031】
図2を参照すると、ナノシリコン(Si)とSACNTアレイから剥離されたカーボンナノチューブの間の分散、及び表面がポリアニリンでコーティングされたナノシリコン(SiPA)とSACNTアレイから剥離されたカーボンナノチューブの間の分散をそれぞれシミュレートする。図2から、ポリアニリンでコーティングされる前に、電位は、-3.9mV(Si)から0mV(境界)の範囲であり、Siが50nsの静電反発力でCNTから離れ、電位は、-1.6mV(CNT)から6.4mV(SiPA)の範囲であり、SiPAが20nsの静電引力でCNTに接近することが、分かる。シミュレーション結果は、同じ電荷を持つSiとCNTが互いに反発し、異なる電荷を持つSiPAとSACNTが互いに引き合うことを示して、「分散アンカー」戦略の有効性を証明する。
【0032】
ステップS3において、真空濾過した後、得られたCNTと、表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマーでコーティングされたナノシリコンとの複合膜は、柔軟な自立材料である。カーボンナノチューブによって形成された三次元のネットワーク構造は、機械的支持フレームワークとして機能し、表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマーでコーティングされたナノシリコンは、三次元のネットワーク構造に均一に分散される。
【0033】
濾過膜のサイズと形状を変えることにより、異なるサイズと形状の複合膜を得ることができる。ナノシリコンの表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマーでコーティングされるので、カーボンナノチューブのゼータ電位は負値であり、カーボンナノチューブと正電荷を帯びた炭化性ポリマーは不均一に帯電し、カーボンナノチューブと正電荷を帯びた炭化性ポリマーで修飾されたナノシリコンは、それぞれの静電反発力によって、分散され、相互の静電引力によって、アンカーされる。従って、カーボンナノチューブは相互に分散し、カーボンナノチューブと正電荷を帯びた炭化性ポリマーは互いに引き合い、均一な複合膜を形成する。
【0034】
図3は、CNT@Si複合膜とCNT@SiPA複合膜の製造プロセスの概略図である。ここで、@は前後の二つの物質の複合を表示する。以下、@の意味は、同様である。図3から、CNT@Si複合膜では、ナノシリコンとカーボンナノチューブは結合されないが、分離され、且つナノシリコンの間の凝集現象は比較的に深刻であり、CNT@SiPA複合膜では、ナノシリコンは、カーボンナノチューブの表面によく結合され、ナノシリコンの間は、凝集せず、分散が比較的に均一である。
【0035】
ステップS4において、好ましくは、積層して設置された少なくとも二つの超配列カーボンナノチューブフィルムのうち、隣接する二つの超配列カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが交差する。隣接する二つの超配列カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの交差角度は限定されない。本実施形態では、隣接する二つの超配列カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの交差角度は、90度である。
【0036】
カーボンナノチューブ機能層の製造プロセスには、具体的には次のステップを含む。
【0037】
引っ張り装置を使用して、超配列カーボンナノチューブアレイから連続した第一超配列カーボンナノチューブフィルムを引き出し、第一超配列カーボンナノチューブフィルムを基板に置く。本実施形態では、引っ張り装置はガラスロッドであり、基板は金属フレームである。
【0038】
基板を特定の角度で回転させ、超配列カーボンナノチューブアレイから連続した第二の超配列カーボンナノチューブフィルムを引き出し、第二の超配列カーボンナノチューブフィルムを第一の超配列カーボンナノチューブフィルムの表面に置く。本実施形態では、金属フレームを、90度回転させる。
【0039】
カーボンナノチューブ機能層が積層して交差して設置される三つ以上の超配列カーボンナノチューブフィルムを含む場合、上記の操作を数回繰り返してカーボンナノチューブ機能層を得る。本実施形態では、上記のステップを10回繰り返し、得られたカーボンナノチューブ機能層は、積層して交差して設置された10層の超配列カーボンナノチューブフィルムを含む。
【0040】
最初にカーボンナノチューブ機能層を基板に敷設する。次に基板に敷設されたカーボンナノチューブ機能層全体を複合膜の二つの表面に敷設する。図4を参照すると、いくつかの実施形態では、超配列カーボンナノチューブアレイから超配列カーボンナノチューブフィルムを引き出した後、超配列カーボンナノチューブフィルムを複合膜の二つの表面に直接に敷設し、一層の超配列カーボンナノチューブフィルムを敷設した後、複合膜を回転して、カーボンナノチューブ機能層における超配列カーボンナノチューブフィルムが積層して交差して設置させる。
【0041】
超配列カーボンナノチューブアレイは、複数のカーボンナノチューブからなり、複数のカーボンナノチューブは互いに平行であり、基板の表面に対して垂直である。超配列カーボンナノチューブアレイは、例えば、アモルファスカーボン及び残存する触媒である金属粒子などの不純物を含まなくなる。超配列カーボンナノチューブアレイは、化学気相堆積法を採用して、製造される。超配列カーボンナノチューブアレイの製造方法は、特許文献1を参照されたい。
【0042】
超配列カーボンナノチューブフィルムは、複数のカーボンナノチューブからなる。複数のカーボンナノチューブは、優れた同じ方向に配向する。優れた同じ方向に配向することとは、超配列カーボンナノチューブフィルムにおける大部分のカーボンナノチューブの全体的な延在方向が基本的に同一方向であることを意味する。そして、大部分のカーボンナノチューブの全体的な延在方向は、超配列カーボンナノチューブフィルムの表面に基本的に平行である。もちろん、微視的には、超配列カーボンナノチューブフィルムにおいて、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブ以外に、該同じ方向に沿っておらずランダムな方向を向いたカーボンナノチューブも存在している。ここで、このようなランダムな方向を向いたカーボンナノチューブは、前述の同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブと比べて、割合は小さい。従って、このようなランダムな方向を向いたカーボンナノチューブは、超配列カーボンナノチューブフィルムにおける大部分のカーボンナノチューブの全体的な配列に大きな影響を与えない。具体的には、超配列カーボンナノチューブフィルムにおいて、同じ方向に沿って配列されたカーボンナノチューブの大部分は、完全に真っ直ぐではなく、適切に曲げることもできるか、またはそれらが完全に延在方向に配列されず、適切に延在方向からずれることができる。従って、超配列カーボンナノチューブフィルムにおいて、実質的に同じ方向に配列された複数のカーボンナノチューブのうち、並列するカーボンナノチューブ同士が部分的に接触する可能性は否定できない。
【0043】
複合膜の二つの対向する表面に敷設されたカーボンナノチューブ機能層における超配列カーボンナノチューブフィルムの数量は、等しくても等しくなくてもよい。本実施形態では、複合膜の二つの対向する表面に敷設されたカーボンナノチューブ機能層における超配列カーボンナノチューブフィルムの数量は、等しい。
【0044】
ステップS5では、複合膜を高温で一定時間か焼成し、複合膜の中の正電荷を帯びた炭化性ポリマーを非晶質炭素に炭化させ、それによって複合膜の導電性を改善する。高温焼成の温度は、正電荷を帯びた炭化性ポリマーのクラッキング温度によって選択される。本実施形態では、正電荷を帯びた炭化性ポリマーは、ポリアニリンであり、これは900℃で3時間焼成される。
【0045】
高温で焼成された後に得られる複合材料におけるナノシリコンの担持量は、好ましくは1.2mg/cm~2mg/cmである。
【0046】
図5は、本実施例の製造方法によって得られたリチウムイオン電池の陽極の断面の走査型電子顕微鏡写真である。図5から、リチウムイオン電池の陽極の表面がカーボンナノチューブ機能層で覆われ、表面がきれいであることが分かり、これは、上記の製造方法における高温焼成プロセスが、カーボンナノチューブ機能層を傷つけない。
【0047】
ステップS4及びステップS5が必要でないことは理解できる。いくつかの実施形態では、リチウムイオン電池の陽極の製造方法は、ステップS4及びステップS5を含まない。他の実施形態では、リチウムイオン電池の陽極の製造方法は、ステップS4又はステップS5の中の一つのステップだけを含む。これらの実施形態は、すべて、本発明の保護範囲内にある。
【0048】
以下は、本発明の具体的な実施例におけるリチウムイオン電池の陽極を製造する具体的なステップ及びリチウムイオン電池の陽極の性能試験を詳しく説明する。
【0049】
実施形態1:
表面にアミノ基がグラフトされたナノシリコン粉末(Si-NH)の調製方法は、次の通りである。
【0050】
溶液Aの調製:直径が20~80nmである1.5gのナノシリコンと250mlのエタノールを混合し、超音波で20分間分散する。溶液Bの調製:濃度が14.5mol/Lである15mlのアンモニア水と75mlの脱イオン水を混合する。溶液Bを溶液Aにゆっくりと添加し、混合物を30分間磁気攪拌する。混合物に2.375gの(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)を滴下し、2時間撹拌する。遠心分離により複合体を回収し、エタノールで数回洗浄し、沈殿物を50℃で一晩乾燥させる。沈殿物を収集及び粉砕した後に、表面にアミノ基がグラフトされたナノシリコン粉末(Si-NH)を得る。
【0051】
表面にポリアニリンでコーティングされたナノシリコン(SiPA)の調製方法、次の通りである。
【0052】
溶液Cの調製:1.4gのSi-NHと200mlのエタノールを混合し、15分間超音波処理し、次に、0.01molのアニリンを加え、30分間超音波処理を続ける。溶液Dの調製:5.6gの過硫酸アンモニウムを、濃度が1.4mol/Lである40mlの塩酸に溶かす。溶液Dを溶液Cに0℃でゆっくりと加え、磁気攪拌を0℃で4時間維持して、ポリアニリンがSi-NHの表面にこの場でコーティングする。混合物を遠心分離により数回洗浄し、収集した沈殿物を50℃で一晩乾燥させ、粉砕してSiPAを得る。
【0053】
高温で焼成して、非晶質炭素で被覆されたナノシリコン(SiPAC)を形成する。
【0054】
アルゴン雰囲気下で管状炉を採用してSiPAを加熱し、900℃で3時間保持して、PANIが熱分解された後の非晶質炭素で被覆されたナノシリコン(SiPAC)を得る。
【0055】
CNT@Si、CNT@Si-膜、CNT@SiPA、CNT@SiPA-膜、CNT@SiPAC、及びCNT@SiPAC-膜を製造する。ここで、@は前後の二つの物質の複合を表示する。
【0056】
SACNTアレイは、鉄を触媒として使用し、アセチレンを前駆体として使用し、化学気相堆積法を採用によって製造される。SACNTアレイにおけるCNTは、直径が30nmであり、高さが300μmである。SACNTアレイにおけるCNTのきれいな壁と強い分子間力は、「端と端とが接続される」の接続メカニズムを介して、SACNTアレイから連続の超配列CNTフィルムを引き出す。
【0057】
30mgのシリコン、SACNTアレイから剥離された10mgのCNT、及び60mlのエタノールを混合し、30分間超音波処理し、真空濾過によってCNT@Si複合材料を得る。CNT@Siの各表面は、10層の垂直に交差して積層して設置されたSACNTフィルムを覆い、CNT@Si-膜が得られる。その中で、CNT@Si及びCNT@Si-膜における@Siの質量の担持量は、約3mg/cmである。
【0058】
上記と同じステップを使用して、30mgのSiPA及びSACNTアレイから剥離された10mgのCNTを採用して、CNT@SiPAを得る。CNT@SiPAの二つの表面にそれぞれ10層の垂直に交差して積層して設置されたSACNTフィルムを覆い、CNT@SiPA-膜を得る。CNT@SiPA及びCNT@SiPA-膜を焼成して(SiPACを製造する焼成ステップと同じ)、CNT@SiPAC及びCNT@SiPAC-膜を得る。その中で、Siの質量の担持量は、1.2mg/cm~2mg/cmである。
【0059】
実施形態1で調製されたSiPAはSiPA0.01と定義され、SiPACはSiPAC0.01と定義され、CNT@SiPACはCNT@SiPAC0.01と定義される。
【0060】
実施形態2:
本実施形態は、実施形態1と基本的に同じであり、その区別は、0.005molのアニリンで異なる量のPANIをSi-NHにコーティングして、SiPA0.005を調製することである。
【0061】
SiPA0.005を実施形態1と同様の方法で熱処理して、SiPAC0.005を得、実施形態1と同様の方法でCNT@SiPA0.005及びCNT@SiPA0.005-膜を得る。
【0062】
実施形態3:
本実施形態は、実施形態1と基本的に同じであり、その区別は、0.015molのアニリンで異なる量のPANIをSi-NHにコーティングして、SiPA0.015を調製することである。
【0063】
SiPA0.015を実施形態1と同様の方法で熱処理して、SiPAC0.015を得、実施形態1と同様の方法でCNT@SiPA0.015及びCNT@SiPA0.015-膜を得る。
【0064】
図6を参照すると、実施形態1~3におけるSiPA0.01、SiPA0.005及びSiPA0.015におけるナノシリコンの質量パーセントは、それぞれ45.5%、51.1%及び39.4%である。
【0065】
比較例1
シリコンスラリー電極の作製
ナノシリコン、導電性カーボンブラック、CMCを8:1:1の重量比で水に混合し、銅箔集電体にコーティングして均一なスラリーを得る。60℃で2時間乾燥し、120℃のオーブンに移して水分を除去した後、Si電極シート(Siスラリー電極)が得られる。Si電極シートが曲げ性能試験に使用される。
【0066】
上記の実施形態1~3及び比較例1で得られたCNT@Si、CNT@Si-膜、CNT@SiPA、CNT@SiPA-膜、CNT@SiPAC、CNT@SiPAC-膜及びSi-スラリーの電極を、直径が10mmであるディスクに切り、追加の接着剤や集電体なしで柔軟な電極を得る。比容量は、Siの質量に基づいて計算される。
【0067】
本発明のリチウムイオン電池の陽極の性能をテストするために、CNT@Si、CNT@SiPA、CNT@SiPAC、CNT@Si-膜、CNT@SiPA-膜及びCNT@SiPAC-膜をそれぞれ陽極として、リチウム箔を陰極として、市販のPPフィルムをセパレータとして使用して、質量のパーセントが2:6:2であるフルオロエチレンカーボネート(FEC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、フルオロエチルメチルカーボネート(FEMC)の非水溶媒に1mol/Lの六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を加え、電解液を形成して、CR2025の電池ケースでボタン電池を組み立てる。ボタン電池の組み立てのプロセスは、アルゴングローブボックスで実行される。
【0068】
図7を参照すると、実施形態1におけるCNT@Si、CNT@Si-膜、CNT@SiPAC、CNT@SiPAC-膜の陽極から組み立てられたボタン電池は、まず、0.2Ag-1の電流密度で5回充放電を繰り返(サイクル)して、活性化をする。次に、0.4Ag-1の電流密度で充放電を繰り返す(サイクルを実行する)。図7から、CNT@Siの陽極で組み立てられたボタン電池は、初期比容量が2453.5mAhg-1であり、50回充放電を繰り返(サイクル)した後の比容量がわずか242.2mAhg-1であり、CNT@Si膜の陽極は、CNT@Siの陽極よりもわずかに高い比容量を示して、これは、両側に位置する交差して積層して設置されたSACNTフィルムが活物質の損失を軽減するからであり、しかしながら、50回充放電を繰り返(サイクル)した後の比容量がわずか327.9mAhg-1であることが分かる。CNT@Siの陽極及びCNT@Si膜の陽極のクーロン効率は、(充放電)サイクル中に不安定である。これは、おそらく、ひび割れたナノシリコンが電解質と接触する新しい界面を露出させ、電解質を過度に消費するからである。図7から、CNT@SiPACの陽極及びCNT@SiPAC-膜の陽極によって組み立てられたボタン電池は、初期比容量がそれぞれ2199.5mAhg-1及び2380.4mAhg-1であり、200回充放電を繰り返(サイクル)した後の比容量がそれぞれ1046.1mAhg-1及び1170.4mAhg-1が維持されることが分かる。さらに、クーロン効率は、ナノシリコンコーティングが高温処理を受けた後の充放電(サイクル)において安定である。これらの結果は、ナノシリコンの表面にコーティング修飾をすることによって、シリコン陽極の容量減衰が効果的に抑制されることを示す。
【0069】
図8は、実施形態1~3におけるCNT@SiPAC0.01-膜、CNT@SiPAC0.005-膜及びCNT@SiPAC0.015-膜の陽極を使用することによって得られたボタン電池のサイクル性能のグラフである。図8から、CNT@SiPAC0.05-膜、CNT@SiPAC0.01-膜及びCNT@SiPAC0.015-膜の陽極の初期比容量は、それぞれ、2110.1mAhg-1、2380.4mAhg-1及び3357.5mAhg-1であることが分かる。0.4Ag-1の下で、200回充放電を繰り返(サイクル)した後、三つの陽極の比容量は、それぞれ735.3mAhg-1、1170.4mAhg-1及び916.8mAhg-1である。その結果は、実施形態1のCNT@SiPAC0.01-膜が最良のサイクル性能を示すことを表明する。
【0070】
図9は、CNT@SiPAC-膜の陽極では、シリコンの面積の担持量がそれぞれ、1.19mg/cm、1.38mg/cm、1.72mg/cm及び1.99mg/cmである時のサイクル容量曲線である。図9から、最初の充放電サイクルの面積容量は、それぞれ、2.84mAhcm-2、4.60mAhcm-2、6.92mAhcm-2及び8.34mAhcm-2であり、0.4Ag-1の電流密度で、100回充放電を繰り返(サイクル)した後、依然としてそれぞれ1.92mAhcm-2、2.45mAhcm-2、2.75mAhcm-2及び2.87mAhcm-2を保持することが分かる。これは、本発明のCNT@SiPAC-膜の陽極がより優れたサイクル性能を有することを示す。
【0071】
上記の図7~9の試験結果は、本発明のナノシリコンの表面にPANIコーティングがコーティングされた後、ナノシリコンとカーボンナノチューブの複合がより均一になり、陽極の均一性が改善され、カーボンナノチューブ機能層が活物質の損失を減少して、CNT@SiPAC-膜の陽極のサイクル安定性が効果的に向上することを表す。同時に、高温焼成によりリチウムイオンの拡散係数DLi+が増加し、接触抵抗Rと界面電荷移動抵抗Rctが減少し、三次元のネットワーク構造のカーボンナノチューブ構造体が十分な電子伝導ネットワークとイオンの拡散チャネルを提供し、より早い反応動力学を実現することができ、且つより優れた倍率性能を示す。
【0072】
図10を参照すると、電流密度が0.2Ag-1、0.4Ag-1、0.8Ag-1、2.0Ag-1及び4.0Ag-1である場合には、CNT@SiPAC-膜の陽極の比容量は、それぞれ、2344.9mAhg-1、2207mAhg-1、1849.4mAhg-1、1539.2mAhg-1及び1249.7mAhg-1である。電流密度が4.0Ag-1から、0.2Ag-1に回復すると、放電比容量は、2351.5mAhg-1に回復する。図10から、CNT@SiPACの陽極の容量がCNT@SiPAC-膜の陽極の容量よりも低く、電流密度が0.2Ag-1である時に、初期比容量が2039.2mAhg-1であり、電流密度が4.0Ag-1から、0.2Ag-1に回復すると、CNT@SiPACの陽極の比容量が1933.1mAhg-1に回復して、容量維持率が94.79%であり、CNT@SiPAC-膜の陽極よりも低いことが分かる。これは、交差して積層して設置されたSACNTフィルムの有効性を示す。本発明のCNT@SiPAC-膜の陽極のカーボンナノチューブ機能層は、活性材料の損失を効果的に軽減することができる。図10から、CNT@Si及びCNT@Si-膜の陽極は、倍率性能が低く、電流密度が4.0Ag-1である時に、比容量がそれぞれ17.0mAhg-1及び31.1mAhg-1である。電流密度が0.2Ag-1に回復すると、CNT@Siの陽極の容量維持率がわずか68.36%であり、CNT@Si-膜の陽極の容量維持率がわずか68.54%である。これは、急速な合金化/脱合金化は、ナノシリコンの電気化学的性能に大きな影響を与えることを表す。図10は、CNT@SiPAC-膜の陽極が最良の倍率性能を持つことを示し、PANIコーティング層、炭化、及びカーボンナノチューブ機能層のスキームは、高速反応動力学を達成できることが表される。
【0073】
図11を参照すると、CNT@SiPAC-膜で組み立てられたSiPAC//Liのパウチ電池の電流密度が0.4Ag-1である場合には、最初の充放電を繰り返(サイクル)した後の容量は36.69mAhであり、50回充放電を繰り返(サイクル)した後の容量維持率は、86.9%であり、大きな商業の潜在力がある。
【0074】
図12を参照すると、曲げ寿命試験機を使用して、実施形態1のCNT@SiPAC-膜の電極と比較例1のSi-スラリー電極に、90°と180°の長期間の(繰り返し)曲げを行って、リアルタイムで測定された正規化された抵抗変化グラフである。図12から、CNT@SiPAC-膜の電極の抵抗は、長期間にわたってほとんど変動せず、90°で10000回曲げた後の抵抗増加は、2.66%であり、180°で10000回曲げた後の抵抗増加は、3.14%であることが、分かる。これは、カーボンナノチューブが柔軟で強力な機械的フレームワークを構築して、これにより、フィルムは大きな角度での長期にわたる曲げに耐えることができることが分かる。逆に、Si-スラリー電極は、曲げに非常に耐えられず、抵抗は、90°で9回曲げた後に779%増加し、180°で3回曲げた後に994%増加し、その後、急激に上昇して、短絡を示す。これらの結果は、スラリー及び金属集電体を使用する従来の電極と比較して、本発明のCNT@SiPAC-膜の電極の優れた柔軟性及び耐久性を実証する。
【0075】
予備リチウム化したCNT@SiPAC-膜の陽極とCNT@LFP薄膜の陰極を組み立てて、曲げ容量保持率の試験用のSiPAC//LFPのパウチ電池を作成する。図13を参照すると、SiPAC//LFPのパウチ電池は、最初の充放電プロセスの中の充電容量は、60.12mAhであり、放電容量は、56.43mAhである。予備リチウム化するので、最初のクーロン効率は、93.9%である。その後、パウチ電池を90°で10000回曲げる。折り曲げた後も、パウチ電池の外観はそのままで、充電容量は57.84mAhであり、放電容量は、54.48mAhである。SiPAC//LFPのパウチ電池の96.2%の充電容量保持率と96.5%の放電容量保持率は、CNT@SiPAC-膜の陽極が優れた柔軟性を持つことを、証明する。
【0076】
本発明によって提供されるリチウムイオン電池の陽極の製造方法は、表面改質及び構造設計の二つの方面から、柔軟なナノシリコン陽極の製造方法を提供する。正電荷を帯びた炭化性ポリマーがナノシリコン表面にコーティングされ、正電荷を帯びた炭化性ポリマーと負電荷を帯びたカーボンナノチューブの間の「分散アンカー」という効果により、陽極の均一性が向上する。正電荷を帯びた炭化性ポリマーに由来する非晶質炭素は、ナノシリコンがサイクルの中に深刻な体積変化を被ることによって引き起こされる陽極の亀裂や容量の急速な低下、ナノシリコンの凝集の問題、及びナノシリコンの低い電気伝導率や遅くの電極動力学などの技術的な問題を解決できる。カーボンナノチューブ機能層により、CNT@SiPAC-膜の陽極は、追加の接着剤、導電剤及び集電体を必要とせず、同じ比容量及び総容量の下で、本発明のリチウムイオン電池は、より小さい質量を有する。カーボンナノチューブフィルムは、十分な電子輸送ネットワーク、イオン拡散チャネル、シリコンの体積膨張のための予約スペース、及び強力な三次元機械的サポートを提供する。さらに、複合膜の両面に位置するCNT機能層は、電極表面からの活物質の脱落を効果的に減らすことができる。さらに、この製造方法で得られたナノシリコン陽極は、優れた柔軟性を示し、自由に曲げることができる。
【0077】
図14を参照すると、本発明の実施形態は、さらにリチウムイオン電池の陽極100を提供する。リチウムイオン電池陽極100は、カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造102、非晶質炭素でコーティングされた複数のナノシリコン粒子104、及び二つのカーボンナノチューブ機能層106を含む。複数の非晶質炭素でコーティングされたナノシリコン粒子104は、カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造102に均一に分散され、複数の非晶質炭素でコーティングされたナノシリコン粒子104は、カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造102の中のカーボンナノチューブの表面に付着する。二つのカーボンナノチューブ機能層106は、カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造102の二つの対向する表面にそれぞれ設置され、カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造102は、二つのカーボンナノチューブ機能層の間に位置する。リチウムイオン電池の負極100は、柔軟性及び自立性があり、自由に曲げることができる。非晶質炭素は、リチウムイオン電池の陽極の製造方法において、正電荷を帯びた炭化性ポリマーを高温で焼成することによって得られる。
【0078】
正電荷を帯びた炭化性ポリマーとは、表面のゼータ電位が正値であり、高温で焼成すると非晶質炭素に分解することができるポリマーを指す。例えば、正電荷を帯びた炭化性ポリマーは、ポリアニリン、キトサン、ポリドーパミンなどである。本実施形態では、正電荷を帯びた炭化性ポリマーは、ポリアニリンである。
【0079】
本実施形態では、ナノシリコンのサイズは、20ナノメートル~80ナノメートルである。もちろん、ナノシリコンのサイズは、本実施形態のサイズに限定されず、他のサイズのナノシリコンであってもよい。
【0080】
リチウムイオン電池の陽極100において、ナノシリコンの質量担持量は、好ましくは1.2mg/cm~2mg/cmである。
【0081】
カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造体102は、綿毛構造である。綿毛構造、カーボンナノチューブが絡み合うだけでなく、多孔質のふわふわ構造でもある。カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造102には、複数の微孔があり、これは電解質の浸透を助長し、リチウムイオン電池の陽極100のリチウムイオンを吸収及び脱離する能力を向上させ、且つ微孔はリチウムイオンを収容することに用いられるので、本発明のリチウムイオン電池の陽極100がリチウムイオン電池に使用される場合、その体積は著しく増加しない。
【0082】
カーボンナノチューブ機能層106は、積層して設置された少なくとも二つの超配列カーボンナノチューブフィルムを含み、隣接する二つの超配列カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、交差して配置される。隣接する二つの超配列カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの交差角度は限定されない。本実施形態では、カーボンナノチューブ機能層106は、積層して交差して設置された10層の超配列カーボンナノチューブフィルムを含み、隣接する超配列カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの交差角は、90°である。
【0083】
本実施形態におけるカーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造102、非晶質炭素でコーティングされたナノシリコン粒子104、及びカーボンナノチューブ機能層106は、リチウムイオン電池の陽極の製造方法で説明するものとすべて同じであり、対応するリチウムイオン電池の陽極の製造方法で説明されるすべての技術的特徴を含み、ここでは繰り返されない。
【0084】
図15を参照すると、本発明のもう一つの実施形態は、リチウムイオン電池の陽極200を提供する。リチウムイオン電池の陽極200は、カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造202と、正電荷物を帯びた炭化性ポリマーでコーティングされた複数のナノシリコン粒子204とを含む。正電荷を帯びた炭化性ポリマーで被覆された複数のナノシリコン粒子204は、カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造202に均一に分散され、正電荷を帯びた炭化性ポリマーで被覆された複数のナノメートルシリコン粒子204は、カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造202おけるカーボンナノチューブの表面に付着する。
【0085】
正電荷を帯びた炭化性ポリマーとは、ポリマーの表面のゼータ電位が正値であり、高温で焼成すると非晶質炭素に分解することができるポリマーを指す。例えば、正電荷を帯びた炭化性ポリマーは、ポリアニリン、キトサン、ポリドーパミンなどである。本実施形態では、正電荷を帯びた炭化性ポリマーは、ポリアニリンである。
【0086】
正電荷を帯びた炭化性ポリマーでコーティングされたナノシリコン粒子204において、ナノシリコンの質量パーセントは、好ましくは40%~50%である。本実施形態では、正電荷を帯びた炭化性ポリマーは、ポリアニリンであり、表面がポリアニリンでコーティングされたナノシリコンは、ナノシリコンの質量パーセントは、45.5%である。
【0087】
表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマーでコーティングされたナノシリコン粒子204におけるナノシリコンの担持量は、好ましくは1~5mg/cmである。担持量が低すぎると、シリコン陽極の容量が小さすぎ、担持量が高すぎると、シリコン陽極の体積が大幅に変化し、粉砕の問題が深刻になり、容量の維持率が低下する。この好ましい担持量は、陽極の容量とその保持率の両方を考慮に入れるべきである。本実施形態では、表面がポリアニリンでコーティングされたナノシリコン粒子204におけるナノシリコンの担持量は、3mg/cmである。
【0088】
カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造202と表面が正電荷を帯びた炭化性ポリマーでコーティングされたナノシリコン粒子204との質量比は、1:2~1:4であることが好ましい。本実施形態では、カーボンナノチューブと表面がリアニリンでコーティングされたナノシリコンとの質量比は、1:3である。
【0089】
本実施形態では、ナノシリコンのサイズは、20ナノメートル~80ナノメートルである。もちろん、ナノシリコンのサイズは、本実施形態のサイズに限定されず、他のサイズのナノシリコンであってもよい。
【0090】
カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造202は、綿毛構造である。綿毛構造は、カーボンナノチューブが絡み合うだけでなく、多孔質のふわふわ構造でもある。カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造202は、複数の微孔があり、これは電解質の浸透を助長し、リチウムイオン電池の陽極200のリチウムイオンを吸収及び脱離する能力を向上させ、且つ微孔はリチウムイオンを収容することに用いられるので、本発明のリチウムイオン電池の陽極200がリチウムイオン電池に使用される場合、その体積は著しく増加しない。
【0091】
リチウムイオン電池の陽極200は、柔軟性及び自立性があり、自由に曲げることができる。
【0092】
リチウムイオン電池の陽極200は、二つのカーボンナノチューブ機能層(図示せず)をさらに含み、二つのカーボンナノチューブ機能層は、それぞれ、カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造202の二つの対向する表面に設置され、カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造202は、二つのカーボンナノチューブ機能層の間に位置する。カーボンナノチューブ機能層は、積層して設置された少なくとも二つの超配列カーボンナノチューブフィルムを含み、隣接する二つの超配列カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは交差して設置される。本実施形態では、カーボンナノチューブ機能層は、積層して交差して設置された10層の超配列カーボンナノチューブフィルムを含み、隣接する超配列カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの交差角は、90度である。
【0093】
本実施形態におけるカーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造202、正電荷物を帯びた炭化性ポリマーでコーティングされたナノシリコン粒子204、及び二つのカーボンナノチューブ機能層、及び正電荷を帯びた炭化性ポリマーは、リチウムイオン電池の陽極の製造方法で説明するものとすべて同じであり、対応するリチウムイオン電池の陽極の製造方法で説明されるすべての技術的特徴を含み、ここでは繰り返されない。
【0094】
本発明によって提供されるリチウムイオン電池の陽極の製造方法を採用することによって得られるリチウムイオン電池の陽極は、高い均一性を有する。正電荷を帯びた炭化性ポリマーに由来する非晶質炭素は、ナノシリコンが充放電サイクルにおいて深刻な体積変化を被ることによって引き起こされる陽極の亀裂や容量の急速な低下、ナノシリコンの凝集の問題、及びナノシリコンの低い電気伝導率や遅くの電極動力学などの技術的な問題を解決できる。カーボンナノチューブ機能層により、リチウムイオン電池の陽極は、追加の接着剤、導電剤及び集電体を必要とせず、エネルギーを節約し、陽極の体積と重量をさらに削減する。カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造は、十分な電子輸送ネットワーク、イオン拡散チャネル、シリコンの体積膨張のための予約スペース、及び強力な三次元機械的サポートを提供する。さらに、複合膜の両面に位置するCNT機能層は、電極表面からの活物質の脱落を効果的に減らすことができる。さらに、リチウムイオン電池の陽極は、優れた柔軟性を示す。カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造とカーボンナノチューブ機能層に複数の微孔があるので、リチウムイオン電池の陽極のリチウムイオンへの吸着及び脱インターカレーション能力が向上し、且つ微孔がリチウムイオンを収容することに用いられるので、本発明のリチウムイオン電池が使用される場合、その体積は著しく増加しない。
【0095】
また、当業者であれば、本発明の精神の範囲内で他の変更を行うことができる。もちろん、本発明の精神に従ってなされたこれらの変更は、いずれも本発明の保護請求する範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0096】
100、200 リチウムイオン電池の陽極
102、202 カーボンナノチューブの三次元のネットワーク構造
104 非晶質炭素でコーティングされたナノシリコン粒子
106 カーボンナノチューブ機能層
204 正電荷物を帯びた炭化性ポリマーでコーティングされた複数のナノシリコン粒子
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