(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181133
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】有機化合物、発光デバイス、および受光デバイス
(51)【国際特許分類】
C07D 209/86 20060101AFI20231214BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20231214BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20231214BHJP
【FI】
C07D209/86 CSP
H10K85/60
H10K50/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094804
(22)【出願日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2022094350
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】夛田 杏奈
(72)【発明者】
【氏名】竹田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】川上 祥子
(72)【発明者】
【氏名】木戸 裕允
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB06
3K107CC14
3K107CC21
3K107CC45
3K107DD72
3K107DD78
(57)【要約】 (修正有)
【課題】利便性、有用性または信頼性に優れた新規な有機化合物を提供する。
【解決手段】一般式(G1)で表される有機化合物である。
[式中、R
1乃至R
4は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基;Ar
1~Ar
3は、特定の置換基を表す]
前記一般式(G1)で表される有機化合物として、例えば9,9-ジメチル-N-[3-(1-ナフチル)フェニル]-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9H-フルオレン-2-アミンが示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(G1)で表される有機化合物。
【化1】
(ただし、上記一般式(G1)中、R
1乃至R
4は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、Ar
1は、下記一般式(g1-1)で表され、Ar
2は、置換または無置換の炭素数10乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar
3は、下記一般式(g1-2)で表され、αは、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリーレン基を表し、nは、0乃至4の整数を表す。)
【化2】
(ただし、上記一般式(g1-1)中、R
11乃至R
20の内の一は、一般式(G1)における窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表す。)
【化3】
(ただし、上記一般式(g1-2)中、R
21乃至R
28の内の一は、一般式(G1)におけるαまたは窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar
4は置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表す。)
【請求項2】
一般式(G1)で表される有機化合物。
【化4】
(ただし、上記一般式(G1)中、R
1乃至R
4は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、Ar
1は、下記一般式(g1-1)で表され、Ar
2は、置換または無置換の1-ナフチル基、もしくは置換または無置換の2-ナフチル基を表し、Ar
3は、下記一般式(g1-2)で表され、αは、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリーレン基を表し、nは、0乃至4の整数を表す。)
【化5】
(ただし、上記一般式(g1-1)中、R
13乃至R
20の内の一は、一般式(G1)における窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、R
11及びR
12は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、を表す。)
【化6】
(ただし、上記一般式(g1-2)中、R
21乃至R
28の内の一は、一般式(G1)におけるαまたは窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar
4は置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表す。)
【請求項3】
一般式(G1)で表される有機化合物。
【化7】
(ただし、上記一般式(G1)中、R
1乃至R
4は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、Ar
1は、下記一般式(g1-1)で表され、Ar
2は、置換または無置換の炭素数10乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar
3は、下記一般式(g1-2)で表され、αは、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリーレン基を表し、nは、0乃至4の整数を表す。)
【化8】
(ただし、上記一般式(g1-1)中、R
11乃至R
20の内の一は、一般式(G1)における窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表す。)
【化9】
(ただし、上記一般式(g1-2)中、R
21乃至R
28の内の一は、一般式(G1)におけるαまたは窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar
4は置換または無置換の炭素数10乃至30のアリール基を表す。)
【請求項4】
一般式(G1-1)で表される有機化合物。
【化10】
(ただし、上記一般式(G1-1)中、R
1乃至R
4は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、Ar
1は、下記一般式(g1-1)で表され、Ar
2は、置換または無置換の1-ナフチル基、もしくは置換または無置換の2-ナフチル基を表し、Ar
3は、下記一般式(g1-2)で表す。)
【化11】
(ただし、上記一般式(g1-1)中、R
11乃至R
20の内の一は、一般式(G1-1)における窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表す。)
【化12】
(ただし、上記一般式(g1-2)中、R
21乃至R
28の内の一は、一般式(G1-1)におけるαまたは窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar
4は置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表す。)
【請求項5】
一般式(G2)で表される有機化合物。
【化13】
(ただし、上記一般式(G2)中、R
1乃至R
4は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、R
21、R
22、およびR
22乃至R
28は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar
1は、下記一般式(g1-1)で表され、Ar
2は、置換または無置換の1-ナフチル基、もしくは、置換または無置換の2-ナフチル基を表し、αは、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリーレン基を表し、Ar
4は置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、nは、0乃至4の整数を表す。)
【化14】
(ただし、上記一般式(g1-1)中、R
13乃至R
20の内の一は、一般式(G2)における窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、R
11及びR
12は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、を表す。)
【請求項6】
一般式(G3)で表される有機化合物。
【化15】
(ただし、上記一般式(G3)中、R
1乃至R
4及びR
11及びR
12は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、R
13乃至R
18、R
20乃至R
22、およびR
24乃至R
28は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar
2は、置換または無置換の1-ナフチル基、もしくは置換または無置換の2-ナフチル基を表し、Ar
4は置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、αは、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリーレン基を表し、nは、0乃至4の整数を表す。)
【請求項7】
下記構造式(100)で表される有機化合物。
【化16】
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の有機化合物を用いた発光デバイス。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の有機化合物を用いた受光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、有機化合物、発光デバイス、受光デバイス、受発光デバイス、発光装置、受発光装置、表示装置、電子機器、照明装置および電子デバイスに関する。なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0002】
有機化合物を用いたエレクトロルミネッセンス(有機EL(Electroluminescence))を利用する、発光デバイス、受光デバイス、および受発光デバイスに代表される有機ELデバイス(有機EL素子)の実用化が進んでいる。
【0003】
例えば、発光デバイスの基本的な構成は、一対の電極間に発光材料を含む有機化合物層(EL層)を挟んだものである。このデバイスに電圧を印加して、キャリアを注入し、当該キャリアの再結合エネルギーを利用することにより、発光材料からの発光を得ることができる。
【0004】
また、受光デバイスの基本的な構成は、一対の電極間に光電変換材料を含む有機化合物層(活性層)を挟んだものである。このデバイスが光エネルギーを吸収し、キャリアを生成することで、光電変換材料からの電子を得ることができる。
【0005】
例えば、表示領域に設けられた画素が、発光素子(発光デバイス)と光電変換素子(受光デバイス)を備える機能パネルが知られている(特許文献1)。
【0006】
このように有機ELデバイスを用いたディスプレイまたは照明装置はさまざまな電子機器に適用好適であるが、より良好な効率、寿命を有する有機ELデバイスを求めて研究開発が進められている。
【0007】
有機ELデバイスの特性は、目覚ましく向上してきたが、効率または耐久性をはじめ、あらゆる特性に対する高度な要求に対応するには未だ不十分である。特に、EL特有の問題である、焼き付きなどの問題を解決する為には、劣化による効率の低下は小さければ小さいほど都合が良い。
【0008】
劣化に関しては、発光中心物質およびその周辺の材料により大きく左右されるため、良好な特性を有する有機化合物材料の開発が盛んにおこなわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一態様は、新規の有機化合物を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、励起状態が安定な有機化合物を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、正孔輸送材料として用いることができる有機化合物を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、合成の容易な有機化合物を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、駆動寿命の長い発光デバイスを提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、駆動時の電圧変化が小さい発光デバイスを提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、新規の発光デバイスを提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、発光デバイスの製造コストを低減することを課題とする。また、本発明の一態様は、消費電力の小さい発光装置、電子機器、または照明装置を提供することを課題とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、部分構造を選択的に重水素化した有機化合物を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、合成経路の煩雑さ、合成の高温高圧化等を軽減することのできる分子設計を行うこと、またそのように分子設計された有機化合物を合成することを課題とする。
【0012】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、一般式(G1)で表される有機化合物である。
【0014】
【0015】
ただし、上記一般式(G1)中、R1乃至R4は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、Ar1は、下記一般式(g1-1)で表され、Ar2は、置換または無置換の炭素数10乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar3は、下記一般式(g1-2)で表され、αは、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリーレン基を表し、nは、0乃至4の整数を表す。
【0016】
【0017】
ただし、上記一般式(g1-1)中、R11乃至R20の内の一は、一般式(G1)における窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表す。
【0018】
【0019】
ただし、上記一般式(g1-2)中、R21乃至R28の内の一は、一般式(G1)におけるαまたは窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar4は置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表す。
【0020】
本発明の一態様は、一般式(G1)で表される有機化合物である。
【0021】
【0022】
ただし、上記一般式(G1)中、R1乃至R4は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、Ar1は、下記一般式(g1-1)で表され、Ar2は、置換または無置換の1-ナフチル基、もしくは置換または無置換の2-ナフチル基を表し、Ar3は、下記一般式(g1-2)で表され、αは、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリーレン基を表し、nは、0乃至4の整数を表す。
【0023】
【0024】
ただし、上記一般式(g1-1)中、R13乃至R20の内の一は、一般式(G1)における窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、R11及びR12は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、を表す。
【0025】
【0026】
ただし、上記一般式(g1-2)中、R21乃至R28の内の一は、一般式(G1)におけるαまたは窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar4は置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表す。
【0027】
本発明の一態様は、一般式(G1)で表される有機化合物である。
【0028】
【0029】
ただし、上記一般式(G1)中、R1乃至R4は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、Ar1は、下記一般式(g1-1)で表され、Ar2は、置換または無置換の炭素数10乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar3は、下記一般式(g1-2)で表され、αは、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリーレン基を表し、nは、0乃至4の整数を表す。
【0030】
【0031】
ただし、上記一般式(g1-1)中、R11乃至R20の内の一は、一般式(G1)における窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表す。
【0032】
【0033】
ただし、上記一般式(g1-2)中、R21乃至R28の内の一は、一般式(G1)におけるαまたは窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar4は置換または無置換の炭素数10乃至30のアリール基を表す。
【0034】
本発明の一態様は、一般式(G1-1)で表される有機化合物である。
【0035】
【0036】
ただし、上記一般式(G1-1)中、R1乃至R4は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、Ar1は、下記一般式(g1-1)で表され、Ar2は、置換または無置換の1-ナフチル基、もしくは置換または無置換の2-ナフチル基を表し、Ar3は、下記一般式(g1-2)で表す。
【0037】
【0038】
ただし、上記一般式(g1-1)中、R11乃至R20の内の一は、一般式(G1-1)における窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表す。
【0039】
【0040】
ただし、上記一般式(g1-2)中、R21乃至R28の内の一は、一般式(G1-1)におけるαまたは窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar4は置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表す。
【0041】
本発明の一態様は、一般式(G2)で表される有機化合物である。
【0042】
【0043】
ただし、上記一般式(G2)中、R1乃至R4は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、R21、R22、およびR24乃至R28は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar1は、下記一般式(g1-1)で表され、Ar2は、置換または無置換の1-ナフチル基、もしくは置換または無置換の2-ナフチル基を表し、αは、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリーレン基を表し、Ar4は置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、nは、0乃至4の整数を表す。
【0044】
【0045】
ただし、上記一般式(g1-1)中、R13乃至R20の内の一は、一般式(G2)における窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、R11及びR12は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、を表す。
【0046】
本発明の一態様は、一般式(G3)で表される有機化合物である。
【0047】
【0048】
ただし、上記一般式(G3)中、R1乃至R4、R11及びR12は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、R13乃至R18、R20乃至R22、およびR24乃至R28は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar2は、置換または無置換の1-ナフチル基、もしくは置換または無置換の2-ナフチル基を表し、Ar4は置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、αは、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリーレン基を表し、nは、0乃至4の整数を表す。
【0049】
本発明の一態様は、下記構造式(100)で表される有機化合物である。
【0050】
【0051】
本発明の一態様は、上記有機化合物を用いた発光デバイスである。また、上記有機化合物を用いた受光デバイスである。
【0052】
また、本発明の一態様は、上記構成の発光デバイスと、トランジスタ、または、基板と、を有する発光装置である。
【0053】
また、本発明の一態様は、上記構成の発光装置と、検知部、入力部、または、通信部と、を有する電子機器である。
【0054】
また、本発明の一態様は、上記構成の発光装置と、筐体と、を有する照明装置である。
【発明の効果】
【0055】
本発明の一態様により、新規の有機化合物を提供することができる。また、本発明の一態様により、合成の容易な有機化合物を提供することができる。また、本発明の一態様により、新規の発光デバイスを提供することができる。また、本発明の一態様により、駆動寿命の長い発光デバイスを提供することができる。また、本発明の一態様により、駆動時の電圧変化が小さい発光デバイスを提供することができる。また、本発明の一態様により、発光デバイスの製造コストを低減することができる。また、本発明の一態様により、消費電力の小さい発光装置、電子機器、または照明装置を提供することができる。
【0056】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】
図1(A)乃至
図1(E)は、発光デバイスの構成を説明する図である。
【
図2】
図2(A)および
図2(B)は、発光装置の上面図および断面図である。
【
図3】
図3(A)乃至
図3(D)は、発光デバイスについて表す図である。
【
図4】
図4(A)乃至
図4(E)は、発光装置の作製方法の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5(A)乃至
図5(E)は、発光装置の作製方法の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6(A)乃至
図6(C)は、発光装置の作製方法の一例を示す断面図である。
【
図7】
図7(A)乃至
図7(C)は、発光装置の作製方法の一例を示す断面図である。
【
図8】
図8(A)乃至
図8(C)は、発光装置の作製方法の一例を示す断面図である。
【
図9】
図9(A)乃至
図9(C)は、発光装置の作製方法の一例を示す断面図である。
【
図16】
図16(A)は、発光装置の構成例を示す断面図である。
図16(B)、及び
図16(C)は、トランジスタの構成例を示す断面図である。
【
図22】
図22は実施例で作製した有機化合物の
1H NMRスペクトルである。
【
図23】
図23は実施例で作製した有機化合物のトルエン溶液における吸収スペクトルと発光スペクトルを説明する図である。
【
図24】
図24は実施例で作製した有機化合物の薄膜状態における吸収スペクトルと発光スペクトルを説明する図である。
【
図25】
図25は実施例にかかる発光デバイスの構成を説明する図である。
【
図26】
図26は実施例にかかる発光デバイスの発光効率-輝度特性を説明する図である。
【
図27】
図27は実施例にかかる発光デバイスの電流効率-輝度特性を説明する図である。
【
図28】
図28は実施例にかかる発光デバイスの輝度-電圧特性を説明する図である。
【
図29】
図29は実施例にかかる発光デバイスの電流密度-電圧特性を説明する図である。
【
図30】
図30は実施例にかかる発光デバイスの外部量子効率-輝度特性を説明する図である。
【
図31】
図31は実施例にかかる発光デバイスの発光スペクトルを説明する図である。
【
図32】
図32は実施例にかかる発光デバイスの駆動時間に対する輝度変化を表す図である。
【
図33】
図33は実施例にかかる発光デバイスの発光効率-輝度特性を説明する図である。
【
図34】
図34は実施例にかかる発光デバイスの電流効率-輝度特性を説明する図である。
【
図35】
図35は実施例にかかる発光デバイスの輝度-電圧特性を説明する図である。
【
図36】
図36は実施例にかかる発光デバイスの電流密度-電圧特性を説明する図である。
【
図37】
図37は実施例にかかる発光デバイスの外部量子効率-輝度特性を説明する図である。
【
図38】
図38は実施例にかかる発光デバイスの発光スペクトルを説明する図である。
【
図39】
図39は実施例にかかる発光デバイスの駆動時間に対する輝度変化を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である有機化合物および薄膜について説明する。
【0059】
本実施の形態における有機化合物は、下記構造を有するトリアリールアミン誘導体である。トリアリールアミン誘導体は、充分な正孔輸送性と広いエネルギーギャップとを同時に有し、受発光デバイスの材料として非常に好適に用いることができる物質である。
【0060】
<有機化合物の例1>
本発明の一態様は、一般式(G1)で表される有機化合物である。
【0061】
【0062】
ただし、上記一般式(G1)中、R1乃至R4は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、Ar1は、下記一般式(g1-1)で表され、Ar2は、置換または無置換の炭素数10乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar3は、下記一般式(g1-2)で表され、αは、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリーレン基を表し、nは、0乃至4の整数を表す。
【0063】
【0064】
ただし、上記一般式(g1-1)中、R11乃至R20の内の一は、一般式(G1)における窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表す。
【0065】
【0066】
ただし、上記一般式(g1-2)中、R21乃至R28の内の一は、一般式(G1)におけるαまたは窒素との結合手を表し、残りはそれぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar4は置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表す。
【0067】
また、上記一般式(G1)、一般式(g1-1)、および一般式(g1-2)において、R1乃至R4、およびR11乃至R28に置換するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、2-エチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基等を挙げることができる。
【0068】
また、R1乃至R4、およびR11乃至R28に置換するシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基、アントリル基等を挙げることができる。
【0069】
また、R11乃至R28に置換するアリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントレニル基等を挙げることができる。
【0070】
また、R11乃至R28に置換するヘテロアリール基としては、例えば、ピリジン-イル基、ピリミジン-イル基、トリアジン-イル基、フェナントロリン-イル基、カルバゾール-イル基、ピロール-イル基、チオフェン-イル基、フラン-イル基、イミダゾール-イル基、ビピリジン-イル基、ビピリミジン-イル基、ピラジン-イル基、ビピラジン-イル基、キノリン-イル基、イソキノリン-イル基、ベンゾキノリン-イル基、キノキサリン-イル基、ベンゾキノキサリン-イル基、ジベンゾキノキサリン-イル基、アゾフルオレン-イル基、ジアゾフルオレン-イル基、ベンゾカルバゾール-イル基、ジベンゾカルバゾール-イル基、ジベンゾフラン-イル基、ベンゾナフトフラン-イル基、ジナフトフラン-イル基、ジベンゾチオフェン-イル基、ベンゾナフトチオフェン-イル基、ジナフトチオフェン-イル基、ベンゾフロピリジン-イル基、ベンゾフロピリミジン-イル基、ベンゾチオピリジン-イル基、ベンゾチオピリミジン-イル基、ナフトフロピリジン-イル基、ナフトフロピリミジン-イル基、ナフトチオピリジン-イル基、ナフトチオピリミジン-イル基、ジベンゾキノキサリン-イル基、アクリジン-イル基、キサンテン-イル基、フェノチアジン-イル基、フェノキサジン-イル基、フェナジン-イル基、トリアゾール-イル基、オキサゾール-イル基、オキサジアゾール-イル基、チアゾール-イル基、チアジアゾール-イル基、ベンゾイミダゾール-イル基、またはピラゾール-イル基、を挙げることができる。
【0071】
具体的に、R1乃至R4、およびR11乃至R28は、下記一般式(R-1)乃至(R-20)のいずれか一で表す。
【0072】
【0073】
また、上記一般式(G1)において、Ar2に置換するアリール基としては、例えば、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントレニル基、アントリル基、テトラセン-イル基、ベンゾアントラセニル基、トリフェニレニル基、ピレン-イル基、スピロビ[9H-フルオレン]-イル基等を挙げることができる。
【0074】
また、上記一般式(G1)、一般式(g1-1)、および一般式(g1-2)において、Ar4に置換するアリール基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントレニル基、アントリル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
【0075】
また、Ar4に置換するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、2-エチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基等を挙げることができる。
【0076】
また、Ar4に置換するシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
【0077】
また、上記一般式(G1)、一般式(g1-1)、および一般式(g1-2)において、Ar2、およびAr4に置換するヘテロアリール基としては、例えば、ピリジン-イル基、ピリミジン-イル基、トリアジン-イル基、フェナントロリン-イル基、カルバゾール-イル基、ピロール-イル基、チオフェン-イル基、フラン-イル基、イミダゾール-イル基、ビピリジン-イル基、ビピリミジン-イル基、ピラジン-イル基、ビピラジン-イル基、キノリン-イル基、イソキノリン-イル基、ベンゾキノリン-イル基、キノキサリン-イル基、ベンゾキノキサリン-イル基、ジベンゾキノキサリン-イル基、アゾフルオレン-イル基、ジアゾフルオレン-イル基、ベンゾカルバゾール-イル基、ジベンゾカルバゾール-イル基、ジベンゾフラン-イル基、ベンゾナフトフラン-イル基、ジナフトフラン-イル基、ジベンゾチオフェン-イル基、ベンゾナフトチオフェン-イル基、ジナフトチオフェン-イル基、ベンゾフロピリジン-イル基、ベンゾフロピリミジン-イル基、ベンゾチオピリジン-イル基、ベンゾチオピリミジン-イル基、ナフトフロピリジン-イル基、ナフトフロピリミジン-イル基、ナフトチオピリジン-イル基、ナフトチオピリミジン-イル基、ジベンゾキノキサリン-イル基、アクリジン-イル基、キサンテン-イル基、フェノチアジン-イル基、フェノキサジン-イル基、フェナジン-イル基、トリアゾール-イル基、オキサゾール-イル基、オキサジアゾール-イル基、チアゾール-イル基、チアジアゾール-イル基、ベンゾイミダゾール-イル基、またはピラゾール-イル基、などを用いることができる。
【0078】
具体的に、Ar2、およびAr4は、下記一般式(Ar-1)乃至(Ar-40)のいずれか一で表す。
【0079】
【0080】
また、Ar4には、下記一般式(Ar-41)乃至(Ar-62)のいずれか一を用いることができる。
【0081】
【0082】
また、上記一般式(G1)、一般式(g1-1)、および一般式(g1-2)において、αに置換する置換または無置換の炭素数6乃至30のアリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニル-ジイル基、ナフタレン-ジイル基、フルオレン-ジイル基、アセナフテン-ジイル基、アントラセン-ジイル基、フェナントレン-ジイル基、テルフェニル-ジイル基、トリフェニレン-ジイル基、テトラセン-ジイル基、ベンゾアントラセン-ジイル基、ピレン-ジイル基、スピロビ[9H-フルオレン]-ジイル基等を挙げることができる。
【0083】
<有機化合物の例2>
本発明の一態様は、一般式(G1-1)で表される有機化合物である。
【0084】
【0085】
ただし、上記一般式(G1-1)中、R1乃至R4は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、Ar1は、下記一般式(g1-1)で表され、Ar2は、置換または無置換の1-ナフチル基または、置換または無置換の2-ナフチル基を表し、Ar3は、下記一般式(g1-2)で表す。
【0086】
ここで、上記一般式(G1-1)において、Ar1(一般式(g1-1))、Ar3(一般式(g1-2))、およびR1乃至R4は、<有機化合物の例1>で述べた同符号の記載を参酌することができる。
【0087】
なお、一般式(G1-1)において、Ar2は、置換または無置換の1-ナフチル基または、置換または無置換の2-ナフチル基を表す。なお、1-ナフチル基は、隣接するフェニレン基と垂直な配置をとるため、さらに置換基を有さなくても立体障害が大きく耐熱性に優れた有機化合物とすることができる。1-ナフチル基が無置換である場合には、高いキャリア輸送性が期待できるため好ましい。一方、2-ナフチル基は、隣接するフェニレン基と垂直な配置を取りにくいため、耐熱性の観点では1-ナフチル基よりやや不利となる。耐熱性を高くする必要がある場合は、2-ナフチル基自体が置換基を有すると、有機化合物の耐熱性を高めることができるため好ましく、特に2-ナフチル基が置換基としてアリール基を有する場合は、キャリア輸送性を高くすることができるため好ましい。
【0088】
<有機化合物の例3>
本発明の一態様は、一般式(G2)で表される有機化合物である。
【0089】
【0090】
ただし、上記一般式(G2)中、R1乃至R4は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、R21、R22、およびR24乃至R28は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar1は、下記一般式(g1-1)で表され、Ar2は、置換または無置換の1-ナフチル基、もしくは置換または無置換の2-ナフチル基を表し、αは、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリーレン基を表し、Ar4は置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、nは、0乃至4の整数を表す。
【0091】
ここで、上記一般式(G2)において、Ar1(一般式(g1-1))、Ar2、Ar3(一般式(g1-2))、Ar4、R1乃至R4、およびR21乃至R28は、<有機化合物の例1>および<有機化合物の例2>で述べた同符号の記載を参酌することができる。
【0092】
上記一般式(G2)のように、カルバゾリル基の3位がアリーレン基であるαを介して窒素と結合する構造とすることで、高いホール輸送性の有機化合物を提供できる。
【0093】
<有機化合物の例4>
本発明の一態様は、一般式(G3)で表される有機化合物である。
【0094】
【0095】
ただし、上記一般式(G3)中、R1乃至R4、R11及びR12は、それぞれ独立に水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、R13乃至R18、R20乃至R22、およびR24乃至R28は、それぞれ独立に、水素(重水素を含む)、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、もしくは置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基を表し、Ar2は、置換または無置換の1-ナフチル基、もしくは置換または無置換の2-ナフチル基を表し、Ar4は置換または無置換の炭素数6乃至30のアリール基、置換または無置換の炭素数2乃至30のヘテロアリール基、置換または無置換の炭素数1乃至6のアルキル基、もしくは置換または無置換の炭素数3乃至10のシクロアルキル基を表し、αは、置換または無置換の炭素数6乃至30のアリーレン基を表し、nは、0乃至4の整数を表す。
【0096】
ここで、上記一般式(G3)において、Ar2、Ar4、R1乃至R4、R11及びR12、R13乃至R18、R20乃至R22、およびR21乃至R28は、<有機化合物の例1>乃至<有機化合物の例3>で述べた同符号の記載を参酌することができる。
【0097】
上記一般式(G3)のように、カルバゾリル基の3位がアリーレン基であるαを介して窒素と結合する構造とすることで、高いホール輸送性の有機化合物を提供できる。また、フルオレニル基の2位が窒素と結合する構造とすることで、HOMO準位が高くなりすぎず、発光デバイスに最適な準位の有機化合物を提供できるため好ましい。
【0098】
上記一般式(G1)、一般式(G1-1)、一般式(G2)、および一般式(G3)で表される構成を有する、本発明の一態様である有機化合物を発光デバイスに用いる場合、薄膜(有機化合物層ともいう)とすることが好ましい。なお、本発明の一態様に係る有機化合物は、非発光デバイスに用いることもできる。非発光デバイスとして、例えば受光デバイスが挙げられる。HOMO準位が高すぎない場合、受光デバイスにおける暗電流抑制が期待でき、受光感度を向上できる可能性があるため好ましい。
【0099】
例えば、本発明の一態様である有機化合物は、発光デバイスにおいて、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、またはキャップ層に好適に用いることが可能である。特に、発光デバイスの正孔輸送層に好適に用いることが可能である。
【0100】
また、本発明の一態様である有機化合物は、LUMO準位が高い分子構造であり、高い電子ブロック性を有するため発光層に接して設けるとよい。その場合、電子ブロック層として機能するため、高い発光効率の発光デバイスを提供することが可能となる。なお、電子ブロック層は、正孔輸送性を有し、かつ、電子をブロックすることが可能な材料を含む層である。発光層に接する輸送層である電子ブロック層のLUMO準位は、発光層のLUMO準位に対して0.3eV以上高いことが好ましい。本発明の有機化合物は、高いLUMO準位を有するため電子ブロック層として好適に用いることができる。
【0101】
なお、電子ブロック層は、正孔輸送性を有するため、正孔輸送層と呼ぶこともできる。また、正孔輸送層のうち、電子ブロック性を有する層を、電子ブロック層と呼ぶこともできる。
【0102】
また、本発明の一態様である有機化合物を発光デバイスの発光層、正孔輸送層、電子輸送層、若しくはキャップ層に用いる場合、又は受光デバイスに用いる場合の構成は実施の形態2にて詳細に説明する。
【0103】
<具体例>
次に、上記一般式(G1)、一般式(G1-1)、一般式(G2)、および一般式(G3)で表される構成を有する、本発明の一態様である有機化合物の具体的な例を以下に示す。
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
上記構造式(100)乃至(133)で表される有機化合物は、上記一般式(G1)乃至(G3)、または一般式(G1-1)で表される有機化合物の一例であるが、本発明の一態様の有機化合物は、これに限られない。
【0109】
<有機化合物の合成方法>
前述した<有機化合物の例1>で説明した一般式(G1)において、カルバゾリル基の置換位置を3位、フルオレニル基の置換位置を2位とした分子構造である下記一般式(G3)について、合成方法を説明する。なお、一般式(G3)の詳細において、式中のR1などの全ての置換基、および部分構造は、<有機化合物の例4>の記載を参酌することができる。
【0110】
【0111】
【0112】
<一般式(G3)で表される有機化合物の合成方法>
本発明の一般式(G3)で表される有機化合物は、下記合成スキーム(s-1)および合成スキーム(s-2)のように合成することができる。
【0113】
まず、合成スキーム(s-1)に従ってアリールアミン化合物(化合物1)とフルオレン化合物(化合物2)と、をカップリングすることにより、フルオレニルアミン化合物(化合物3)を得ることができる。次に、合成スキーム(s-2)に従って、フルオレニルアミン化合物(化合物3)とカルバゾール化合物(化合物4)と、をカップリングすることにより、目的の一般式(G3)で表されるアミン化合物を得ることができる。以下に、合成スキーム(s-1)、および合成スキーム(s-2)を示す。
【0114】
【0115】
【0116】
また、本発明の一般式(G3)で表される有機化合物は、下記合成スキーム(s-3)および合成スキーム(s-4)のように合成することができる。
【0117】
合成スキーム(s-3)に従ってアリールアミン化合物(化合物1)とカルバゾール化合物(化合物4)と、をカップリングすることにより、カルバゾールを有するアミン化合物(化合物5)を得ることができる。次に、合成スキーム(s-4)に従って、カルバゾールを有するアミン化合物(化合物5)とフルオレン化合物(化合物2)と、をカップリングすることにより、一般式(G3)で表される目的のアミン化合物を得ることができる。以下に、合成スキーム(s-3)、および合成スキーム(s-4)を示す。
【0118】
【0119】
【0120】
また、本発明の一般式(G3)で表される有機化合物は、下記合成スキーム(s-5)及び下記合成スキーム(s-6)のように合成することができる。
【0121】
合成スキーム(s-5)に従ってアリール化合物(化合物6)とフルオレニルアミン化合物(化合物7)と、をカップリングすることにより、カルバゾールを有するフルオレニルアミン化合物(化合物3)を得ることができる。次に、前記合成スキーム(s-2)に従って、カップリングすることにより、一般式(G3)で表される目的のアミン化合物を得ることができる。以下に、合成スキーム(s-5)を示す。なお、合成スキーム(s-2)は繰り返しとなるため省略する。
【0122】
【0123】
また、本発明の一般式(G3)で表される有機化合物は、下記合成スキーム(s-6)および合成スキーム(s-7)のように合成することができる。
【0124】
また、合成スキーム(s-6)に従ってフルオレニルアミン化合物(化合物7)とカルバゾール化合物(化合物4)と、をカップリングすることにより、カルバゾールを有するアミン化合物(化合物8)を得ることができる。次に、合成スキーム(s-7)に従って、カルバゾールを有するアミン化合物(化合物5)とアリール化合物(化合物6)と、をカップリングすることにより、一般式(G3)で表される目的のアミン化合物を得ることができる。以下に、合成スキーム(s-6)および合成スキーム(s-7)を示す。
【0125】
【0126】
【0127】
本発明の一般式(G3)で表される有機化合物は、下記合成スキーム(s-8)及び前記合成スキーム(s-4)のように合成することができる。
【0128】
合成スキーム(s-8)に従ってアリール化合物(化合物6)とカルバゾールを有するアミン化合物(化合物9)と、をカップリングすることにより、カルバゾールを有するアミン化合物(化合物5)を得ることができる。次に、前記合成スキーム(s-4)に従って、カップリングすることにより、目的のアミン化合物(G1-1)を得ることができる。以下に、合成スキーム(s-8)を示す。なお、合成スキーム(s-4)は繰り返しとなるため省略する。
【0129】
【0130】
本発明の一般式(G3)で表される有機化合物は、下記合成スキーム(s-9)及び前記合成スキーム(s-7)のように合成することができる。
【0131】
合成スキーム(s-9)に従ってフルオレン化合物(化合物2)とカルバゾールを有するアミン化合物(化合物9)と、をカップリングすることにより、カルバゾールを有するアミン化合物(化合物8)を得ることができる。次に、前記合成スキーム(s-7)に従って、カップリングすることにより、一般式(G3)で表される目的のアミン化合物を得ることができる。以下に、合成スキーム(s-9)を示す。なお、合成スキーム(s-7)は繰り返しとなるため省略する。
【0132】
【0133】
合成スキーム(s-1)乃至合成スキーム(s-9)において、X1及びX3は、それぞれ独立に塩素、臭素、ヨウ素、トリフラート基を表す。
【0134】
合成スキーム(s-1)乃至(s-9)において、パラジウム触媒を用いたブッフバルト・ハートウィッグ反応を行う場合、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、[1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、アリルパラジウム(II)クロリド(ダイマー)等のパラジウム化合物と、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリ(n-ヘキシル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジ(1-アダマンチル)-n-ブチルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、トリ(オルトートリル)ホスフィン、(S)-(6,6’-ジメトキシビフェニル-2,2’-ジイル)ビス(ジイソプロピルホスフィン)(略称:cBRIDP)等の配位子を用いることができる。
【0135】
当該反応では、ナトリウム tert-ブトキシド等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸セシウム、または炭酸ナトリウム等の無機塩基等を用いることができる。当該反応では、溶媒として、トルエン、キシレン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を用いることができる。当該反応で用いることができる試薬類は、前記試薬類に限られるものではない。また、アミノ基に有機錫基が結合した化合物を化合物1または化合物3の代わりに用いることもできる。
【0136】
また、合成スキーム(s-1)乃至(s-9)において、銅、又は銅化合物を用いたウルマン反応を行うこともできる。当該反応に用いる塩基としては、炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。当該反応において、用いることができる溶媒は、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)ピリミジノン(DMPU)、トルエン、キシレン、ベンゼン等が挙げられる。ウルマン反応では、反応温度が100℃以上の方がより短時間かつ高収率で目的物が得られるため、沸点の高いDMPU、キシレンを用いることが好ましい。また、反応温度は150℃以上のより高温が更に好ましいため、より好ましくはDMPUを用いることとする。当該反応において、用いることができる試薬類は、前記試薬類に限られるものではない。
【0137】
なお、本実施の形態に示す化合物は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0138】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示した有機化合物を用いた発光デバイスの構成について、
図1(A)乃至
図1(E)を用いて説明する。
【0139】
≪発光デバイスの基本的な構造≫
発光デバイスの基本的な構造について説明する。
図1(A)には、一対の電極間に発光層を含むEL層を有する構造(シングル構造)の発光デバイスを示す。具体的には、第1の電極101と第2の電極102との間に有機化合物層103が挟まれた構造を有する。
【0140】
また、
図1(B)には、一対の電極間に複数(
図1(B)では、2層)のEL層である有機化合物層(103a、103b)を有し、有機化合物層103aと有機化合物層103bとの間に電荷発生層106を有する積層構造(タンデム構造)の発光デバイスを示す。タンデム構造の発光デバイスは、電流量を変えることなく高効率な発光装置を実現することができる。
【0141】
電荷発生層106は、第1の電極101と第2の電極102の間に電位差を生じさせたときに、一方の有機化合物層(有機化合物層103a及び有機化合物層103bの一方)に電子を注入し、他方の有機化合物層(有機化合物層103b及び有機化合物層103aの他方)に正孔を注入する機能を有する。従って、
図1(B)において、第1の電極101に、第2の電極102よりも電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層106から有機化合物層103aに電子が注入され、有機化合物層103bに正孔が注入されることとなる。
【0142】
なお、電荷発生層106は、光の取り出し効率の点から、可視光に対して透光性を有する(具体的には、電荷発生層106に対する可視光の透過率が、40%以上)ことが好ましい。また、電荷発生層106は、第1の電極101および第2の電極102よりも低い導電率であっても機能する。
【0143】
また、
図1(C)には、本発明の一態様である発光デバイスの有機化合物層103の積層構造を示す。但し、この場合、第1の電極101は陽極として、第2の電極102は陰極として機能するものとする。有機化合物層103は、第1の電極101上に、正孔(ホール)注入層111、正孔(ホール)輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115が順次積層された構造を有する。なお、発光層113は、発光色の異なる発光層を複数積層した構成であっても良い。例えば、赤色を呈する発光物質を含む発光層と、緑色を呈する発光物質を含む発光層と、青色を呈する発光物質を含む発光層とが積層、またはキャリア輸送性材料を有する層を介して積層された構造であっても良い。または、黄色を呈する発光物質を含む発光層と、青色を呈する発光物質を含む発光層との組み合わせであっても良い。ただし、発光層113の積層構造は上記に限定されない。例えば、発光層113は、発光色の同じ発光層を複数積層した構成であっても良い。例えば、青色を呈する発光物質を含む第1の発光層と、青色を呈する発光物質を含む第2の発光層とが積層、またはキャリア輸送性材料を有する層を介して積層された構造であっても良い。発光色の同じ発光層を複数積層した構成の場合、単層の構成よりも信頼性を高めることができる場合がある。また、
図1(B)に示すタンデム構造のように複数のEL層を有する場合であっても、各EL層が、陽極側から上記のように順次積層される構造とする。また、第1の電極101が陰極で、第2の電極102が陽極の場合は、有機化合物層103の積層順は逆になる。具体的には、陰極である第1の電極101上の111が、電子注入層、112が電子輸送層、113が発光層、114が正孔(ホール)輸送層、115が正孔(ホール)注入層、という構成を有する。
【0144】
EL層である有機化合物層(103、103a、103b)に含まれる発光層113は、それぞれ発光物質、および複数の物質を適宜組み合わせて有しており、所望の発光色を呈する蛍光発光、または燐光発光が得られる構成とすることができる。また、発光層113を発光色の異なる積層構造としてもよい。なお、この場合、積層された各発光層に用いる発光物質およびその他の物質は、それぞれ異なる材料を用いればよい。また、
図1(B)に示す複数の有機化合物層(103a、103b)から、それぞれ異なる発光色が得られる構成としても良い。この場合も各発光層に用いる発光物質およびその他の物質を異なる材料とすればよい。
【0145】
また、本発明の一態様である発光デバイスにおいて、例えば、
図1(C)に示す第1の電極101を反射電極とし、第2の電極102を半透過・半反射電極とし、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造とすることにより、有機化合物層103に含まれる発光層113から得られる発光を両電極間で共振させ、第2の電極102から射出される発光を強めることができる。従って、高精細化を実現することが容易である。また、特定波長の正面方向の発光強度を強めることが可能となるため、低消費電力化を図ることができる。
【0146】
なお、発光デバイスの第1の電極101が、反射性を有する導電性材料と透光性を有する導電性材料(透明導電膜)との積層構造からなる反射電極である場合、透明導電膜の膜厚を制御することにより光学調整を行うことができる。具体的には、発光層113から得られる光の波長λに対して、第1の電極101と、第2の電極102との電極間の光学距離(膜厚と屈折率の積)がmλ/2(ただし、mは1以上の整数)またはその近傍となるように調整することが好ましい。
【0147】
また、発光層113から得られる所望の光(波長:λ)を増幅させるために、第1の電極101から発光層113の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、第2の電極102から発光層113の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、をそれぞれ(2m’+1)λ/4(ただし、m’は1以上の整数)またはその近傍となるように調節するのが好ましい。なお、ここでいう発光領域とは、発光層113における正孔(ホール)と電子との再結合領域を示す。
【0148】
このような光学調整を行うことにより、発光層113から得られる特定の単色光のスペクトルを狭線化させ、色純度の良い発光を得ることができる。
【0149】
但し、上記の場合、第1の電極101と第2の電極102との光学距離は、厳密には第1の電極101における反射領域から第2の電極102における反射領域までの総厚ということができる。しかし、第1の電極101および第2の電極102における反射領域を厳密に決定することは困難であるため、第1の電極101と第2の電極102の任意の位置を反射領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。また、第1の電極101と、所望の光が得られる発光層との光学距離は、厳密には第1の電極101における反射領域と、所望の光が得られる発光層における発光領域との光学距離であるということができる。しかし、第1の電極101における反射領域、および所望の光が得られる発光層における発光領域を厳密に決定することは困難であるため、第1の電極101の任意の位置を反射領域、所望の光が得られる発光層の任意の位置を発光領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
【0150】
図1(D)に示す発光デバイスは、タンデム構造を有する発光デバイスである。タンデム構造とすることで、高輝度発光が可能な発光デバイスとすることができる。また、タンデム構造は、シングル構造と比べて、同じ輝度を得るために必要な電流を低減できるため、信頼性を高めることができる。また、消費電力を低減することができる。
【0151】
図1(E)に示す発光デバイスは、
図1(B)に示したタンデム構造の発光デバイスの一例であり、図に示すように、3つの有機化合物層(103a、103b、103c)が電荷発生層(106a、106b)を挟んで積層される構造を有する。なお、3つの有機化合物層(103a、103b、103c)は、それぞれに発光層(113a、113b、113c)を有しており、各発光層の発光色は、自由に組み合わせることができる。例えば、発光層113aを青色、発光層113bを赤色、緑色、または黄色のいずれか、発光層113cを青色とすることができるが、発光層113aを赤色、発光層113bを青色、緑色、または黄色のいずれか、発光層113cを赤色とすることもできる。
【0152】
なお、上述した本発明の一態様である発光デバイスにおいて、第1の電極101と第2の電極102の少なくとも一方は、透光性を有する電極(透明電極、半透過・半反射電極など)とする。透光性を有する電極が透明電極の場合、透明電極の可視光の透過率は、40%以上とする。また、半透過・半反射電極の場合、半透過・半反射電極の可視光の反射率は、20%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下とする。また、これらの電極は、抵抗率が1×10-2Ωcm以下とするのが好ましい。
【0153】
また、上述した本発明の一態様である発光デバイスにおいて、第1の電極101と第2の電極102の一方が、反射性を有する電極(反射電極)である場合、反射性を有する電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、この電極は、抵抗率が1×10-2Ωcm以下とするのが好ましい。
【0154】
≪発光デバイスの具体的な構造≫
次に、本発明の一態様である発光デバイスの具体的な構造について説明する。また、ここでは、タンデム構造を有する
図1(D)を用いて説明する。なお、
図1(A)および
図1(C)に示すシングル構造の発光デバイスについてもEL層の構成については同様とする。また、
図1(D)に示す発光デバイスがマイクロキャビティ構造を有する場合は、第1の電極101を反射電極として形成し、第2の電極102を半透過・半反射電極として形成する。従って、所望の電極材料を単数または複数用い、単層または積層して形成することができる。なお、第2の電極102は、有機化合物層103bを形成した後、適宜材料を選択して形成する。
【0155】
<第1の電極および第2の電極>
第1の電極101および第2の電極102を形成する材料としては、上述した両電極の機能が満たせるのであれば、以下に示す材料を適宜組み合わせて用いることができる。例えば、金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを適宜用いることができる。具体的には、In-Sn酸化物(ITOともいう)、In-Si-Sn酸化物(ITSOともいう)、In-Zn酸化物、In-W-Zn酸化物が挙げられる。その他、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)などの金属、およびこれらを適宜組み合わせて含む合金を用いることもできる。その他、上記例示のない元素周期表の第1族または第2族に属する元素(例えば、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr))、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)などの希土類金属およびこれらを適宜組み合わせて含む合金、その他グラフェン等を用いることができる。
【0156】
図1(D)に示す発光デバイスにおいて、第1の電極101が陽極である場合、第1の電極101上に有機化合物層103aの正孔注入層111aおよび正孔輸送層112aが真空蒸着法により順次積層形成される。有機化合物層103aおよび電荷発生層106が形成された後、電荷発生層106上に有機化合物層103bの正孔注入層111bおよび正孔輸送層112bが同様に順次積層形成される。
【0157】
<正孔注入層>
正孔注入層(111、111a、111b)は、陽極である第1の電極101および電荷発生層(106、106a、106b)から有機化合物層(103、103a、103b)に正孔(ホール)を注入する層であり、有機アクセプタ材料および正孔注入性の高い材料を含む層である。
【0158】
有機アクセプタ材料は、そのLUMO準位の値とHOMO準位の値が近い他の有機化合物との間で電荷分離させることにより、当該有機化合物に正孔(ホール)を発生させることができる材料である。
【0159】
なお、本明細書中で用いる、HOMO準位およびLUMO準位の値は、電気化学測定によって求めることができる。電気化学測定の代表例としては、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定、微分パルスボルタンメトリー(DPV)測定等が挙げられる。
【0160】
サイクリックボルタンメトリ(CV)測定において、HOMO準位およびLUMO準位の値(E)は、参照電極に対する作用電極の電位を変化させることで得られる酸化ピーク電位(Epa)、および還元ピーク電位(Epc)を元に、算出することができる。測定において、正方向の電位走査からHOMO準位を求め、負方向の電位走査からLUMO準位を求める。また、測定におけるスキャン速度は、0.1V/sとする。
【0161】
具体的なHOMO準位およびLUMO準位の算出手順を説明する。材料のサイクリックボルタモグラムより得られる、酸化ピーク電位(Epa)、および還元ピーク電位(Epc)から、標準酸化還元電位(Eo)(=(Epa+Epc)/2)を求め、参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギー(Ex)から減算することにより、HOMO準位およびLUMO準位の値(E)(=Ex-Eo)をそれぞれ求めることができる。
【0162】
なお、上記は可逆な酸化還元波が得られる場合を示すが、不可逆な酸化還元波が得られる場合は、HOMO準位の算出には、酸化ピーク電位(Epa)から一定の値(0.1eV)を減算した値を還元ピーク電位(Epc)と仮定し、標準酸化還元電位(Eo)を小数点以下1桁まで求める。また、LUMO準位の算出には、還元ピーク電位(Epc)に一定の値(0.1eV)を加算した値を酸化ピーク電位(Epa)と仮定し、標準酸化還元電位(Eo)を小数点以下1桁まで求める。
【0163】
有機アクセプタ材料としては、キノジメタン誘導体、クロラニル誘導体、およびヘキサアザトリフェニレン誘導体などの電子吸引基(ハロゲン基またはシアノ基)を有する化合物を用いることができる。例えば、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、3,6-ジフルオロ-2,5,7,7,8,8-ヘキサシアノキノジメタン、クロラニル、2,3,6,7,10,11-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT-CN)、1,3,4,5,7,8-ヘキサフルオロテトラシアノ-ナフトキノジメタン(略称:F6-TCNNQ)、2-(7-ジシアノメチレン-1,3,4,5,6,8,9,10-オクタフルオロ-7H-ピレン-2-イリデン)マロノニトリル等を用いることができる。なお、有機アクセプタ材料の中でも特にHAT-CNのように複素原子を複数有する縮合芳香環に電子吸引基が結合している化合物は、アクセプタ性が高く、熱に対して膜質が安定であるため好適である。その他にも、電子吸引基(特にフルオロ基のようなハロゲン基またはシアノ基)を有する[3]ラジアレン誘導体は、電子受容性が非常に高いため好ましく、具体的にはα,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[4-シアノ-2,3,5,6-テトラフルオロベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,6-ジクロロ-3,5-ジフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンアセトニトリル]、α,α’,α’’-1,2,3-シクロプロパントリイリデントリス[2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゼンアセトニトリル]などを用いることができる。
【0164】
また、正孔注入性の高い材料としては、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物(モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の遷移金属酸化物等)を用いることができる。具体的には、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムが挙げられる。上記の中でも、酸化モリブデンは大気中で安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)または銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、等を用いることができる。
【0165】
また、上記材料に加えて低分子化合物である、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’-ビス[4-ビス(3-メチルフェニル)アミノフェニル]-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミノビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物、等を用いることができる。
【0166】
また、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)である、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等を用いることができる。または、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/(ポリスチレンスルホン酸)(略称:PEDOT/PSS)、ポリアニリン/(ポリスチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子系化合物、等を用いることもできる。
【0167】
また、正孔注入性の高い材料としては、正孔輸送性材料と、上述した有機アクセプタ材料(電子受容性材料)を含む混合材料を用いることもできる。この場合、有機アクセプタ材料により正孔輸送性材料から電子が引き抜かれて正孔注入層111で正孔が発生し、正孔輸送層112を介して発光層113に正孔が注入される。なお、正孔注入層111は、正孔輸送性材料と有機アクセプタ材料(電子受容性材料)を含む混合材料からなる単層で形成しても良いが、正孔輸送性材料と有機アクセプタ材料(電子受容性材料)とをそれぞれ別の層で積層して形成しても良い。
【0168】
なお、正孔輸送性材料としては、電界強度[V/cm]の平方根が600における正孔移動度が、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いることができる。
【0169】
また、正孔輸送性材料としては、π電子過剰型複素芳香環を有する化合物(例えばカルバゾール誘導体、フラン誘導体、またはチオフェン誘導体)、および芳香族アミン(芳香族アミン骨格を有する有機化合物)等の正孔輸送性の高い材料が好ましい。実施の形態1の化合物は正孔輸送性を有するため、正孔輸送性材料として用いることもできる。
【0170】
なお、上記カルバゾール誘導体(カルバゾール環を有する有機化合物)としては、ビカルバゾール誘導体(例えば、3,3’-ビカルバゾール誘導体)、カルバゾリル基を有する芳香族アミン等が挙げられる。
【0171】
また、上記ビカルバゾール誘導体(例えば、3,3’-ビカルバゾール誘導体)としては、具体的には、9,9’-ジフェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:PCCP)、9,9’-ビス(ビフェニル-4-イル)-3,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:BisBPCz)、9,9’-ビス(1,1’-ビフェニル-3-イル)-3,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:BismBPCz)、9-(ビフェニル-3-イル)-9’-(ビフェニル-4-イル)-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:mBPCCBP)、9-(2-ナフチル)-9’-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール(略称:βNCCP)などが挙げられる。
【0172】
また、上記カルバゾリル基を有する芳香族アミンとしては、具体的には、4-フェニル-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、N-(4-ビフェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCBiF)、N-(ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミン(略称:PCBFF)、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-4-アミン、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-4-アミン、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-2-アミン、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-4-アミン、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9‘-スピロビ(9H-フルオレン)-2-アミン、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9‘-スピロビ(9H-フルオレン)-4-アミン、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-N-(1,1’:3’,1’’-ターフェニル-4-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-N-(1,1’:4’,1’’-ターフェニル-4-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-N-(1,1’:3’,1’’-ターフェニル-4-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-4-アミン、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-N-(1,1’:4’,1’’-ターフェニル-4-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-4-アミン、4,4’-ジフェニル-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4-(1-ナフチル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’-ジ(1-ナフチル)-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、4-フェニルジフェニル-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)アミン(略称:PCA1BP)、N,N’-ビス(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N,N’-ジフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(略称:PCA2B)、N,N’,N’’-トリフェニル-N,N’,N’’-トリス(9-フェニルカルバゾール-3-イル)ベンゼン-1,3,5-トリアミン(略称:PCA3B)、9,9-ジメチル-N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]フルオレン-2-アミン(略称:PCBAF)、N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-アミン(略称:PCBASF)、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)、3-[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA1)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA2)、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-(1-ナフチル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN2)、2-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:PCASF)、N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N-(4-フェニル)フェニルアニリン(略称:YGA1BP)、N,N’-ビス[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニル-9,9-ジメチルフルオレン-2,7-ジアミン(略称:YGA2F)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、N-(9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-2-イル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAFLP(2))、N-(9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-2-イル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-2-アミン(略称:PCAFLP(2)-02)などが挙げられる。
【0173】
なお、カルバゾール誘導体としては、上記に加えて、9-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]フェナントレン(略称:PCPPn)、3-[4-(1-ナフチル)フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPN)、1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)-9-フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、1,3,5-トリス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9-[4-(10-フェニル-9-アントラセニル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)等が挙げられる。
【0174】
また、上記フラン誘導体(フラン環を有する有機化合物)としては、具体的には、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P-II)、4-{3-[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi-II)等が挙げられる。
【0175】
また、上記チオフェン誘導体(チオフェン環を有する有機化合物)としては、具体的には、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)、2,8-ジフェニル-4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-III)、4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-6-フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-IV)などのチオフェン環を有する有機化合物等が挙げられる。
【0176】
また、上記芳香族アミンとしては、具体的には、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα-NPD)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル(略称:TPD)、N,N’-ビス(9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-イル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミノビフェニル(略称:BSPB)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4-フェニル-3’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-N-{9,9-ジメチル-2-[N’-フェニル-N’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ]-9H-フルオレン-7-イル}フェニルアミン(略称:DFLADFL)、N-(9,9-ジメチル-2-ジフェニルアミノ-9H-フルオレン-7-イル)ジフェニルアミン(略称:DPNF)、2-[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:DPASF)、2,7-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:DPA2SF)、4,4’,4’’-トリス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’-TNATA)、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:m-MTDATA)、N,N’-ジ(p-トリル)-N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、DNTPD、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、N-(4-ビフェニル)-6,N-ジフェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-アミン(略称:BnfABP)、N,N-ビス(4-ビフェニル)-6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-アミン(略称:BBABnf)、4,4’-ビス(6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-イル)-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:BnfBB1BP)、N,N-ビス(4-ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-6-アミン(略称:BBABnf(6))、N,N-ビス(4-ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-アミン(略称:BBABnf(8))、N,N-ビス(4-ビフェニル)ベンゾ[b]ナフト[2,3-d]フラン-4-アミン(略称:BBABnf(II)(4))、N,N-ビス[4-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-4-アミノ-p-ターフェニル(略称:DBfBB1TP)、N-[4-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-N-フェニル-4-ビフェニルアミン(略称:ThBA1BP)、4-(2-ナフチル)-4’,4’’-ジフェニルトリフェニルアミン(略称:BBAβNB)、4-[4-(2-ナフチル)フェニル]-4’,4’’-ジフェニルトリフェニルアミン(略称:BBAβNBi)、4,4’-ジフェニル-4’’-(6;1’-ビナフチル-2-イル)トリフェニルアミン(略称:BBAαNβNB)、4,4’-ジフェニル-4’’-(7;1’-ビナフチル-2-イル)トリフェニルアミン(略称:BBAαNβNB-03)、4,4’-ジフェニル-4’’-(7-フェニル)ナフチル-2-イルトリフェニルアミン(略称:BBAPβNB-03)、4,4’-ジフェニル-4’’-(6;2’-ビナフチル-2-イル)トリフェニルアミン(略称:BBA(βN2)B)、4,4’-ジフェニル-4’’-(7;2’-ビナフチル-2-イル)トリフェニルアミン(略称:BBA(βN2)B-03)、4,4’-ジフェニル-4’’-(4;2’-ビナフチル-1-イル)トリフェニルアミン(略称:BBAβNαNB)、4,4’-ジフェニル-4’’-(5;2’-ビナフチル-1-イル)トリフェニルアミン(略称:BBAβNαNB-02)、4-(4-ビフェニリル)-4’-(2-ナフチル)-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:TPBiAβNB)、4-(3-ビフェニリル)-4’-[4-(2-ナフチル)フェニル]-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:mTPBiAβNBi)、4-(4-ビフェニリル)-4’-[4-(2-ナフチル)フェニル]-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:TPBiAβNBi)、4-フェニル-4’-(1-ナフチル)トリフェニルアミン(略称:αNBA1BP)、4,4’-ビス(1-ナフチル)トリフェニルアミン(略称:αNBB1BP)、4,4’-ジフェニル-4’’-[4’-(カルバゾール-9-イル)ビフェニル-4-イル]トリフェニルアミン(略称:YGTBi1BP)、4’-[4-(3-フェニル-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]トリス(ビフェニル-4-イル)アミン(略称:YGTBi1BP-02)、4-[4’-(カルバゾール-9-イル)ビフェニル-4-イル]-4’-(2-ナフチル)-4’’-フェニルトリフェニルアミン(略称:YGTBiβNB)、N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-N-[4-(1-ナフチル)フェニル]-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-アミン(略称:PCBNBSF)、N,N-ビス(ビフェニル-4-イル)-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-アミン(略称:BBASF)、N,N-ビス(ビフェニル-4-イル)-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-4-アミン(略称:BBASF(4))、N-(ビフェニル-2-イル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-4-アミン(略称:oFBiSF)、N-(ビフェニル-4-イル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ジベンゾフラン-4-アミン(略称:FrBiF)、N-[4-(1-ナフチル)フェニル]-N-[3-(6-フェニルジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-1-ナフチルアミン(略称:mPDBfBNBN)、4-フェニル-4’-[4-(9-フェニルフルオレン-9-イル)フェニル]トリフェニルアミン(略称:BPAFLBi)、N,N-ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ-9H-フルオレン-4-アミン、N,N-ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ-9H-フルオレン-3-アミン、N,N-ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ-9H-フルオレン-2-アミン、N,N-ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9’-スピロビ-9H-フルオレン-1-アミン、等が挙げられる。
【0177】
その他にも、正孔輸送性材料として、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)である、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等を用いることができる。または、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/(ポリスチレンスルホン酸)(略称:PEDOT/PSS)、ポリアニリン/(ポリスチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子系化合物、等を用いることもできる。
【0178】
但し、正孔輸送性材料は、上記に限られることなく公知の様々な材料を1種または複数種組み合わせて正孔輸送性材料として用いてもよい。
【0179】
なお、正孔注入層(111、111a、111b)は、公知の様々な成膜方法を用いて形成することができるが、例えば、真空蒸着法を用いて形成することができる。
【0180】
<正孔輸送層>
正孔輸送層(112、112a、112b)は、正孔注入層(111、111a、111b)によって、第1の電極101から注入された正孔を発光層(113、113a、113b)に輸送する層である。なお、正孔輸送層(112、112a、112b)は、正孔輸送性材料を含む層である。従って、正孔輸送層(112、112a、112b)には、正孔注入層(111、111a、111b)に用いることができる正孔輸送性材料を用いることができる。
【0181】
なお、本発明の一態様である発光デバイスにおいて、正孔輸送層(112、112a、112b)と同じ有機化合物を発光層(113、113a、113b)に用いることができる。正孔輸送層(112、112a、112b)と発光層(113、113a、113b)に同じ有機化合物を用いると、正孔輸送層(112、112a、112b)から発光層(113、113a、113b)への正孔の輸送が効率よく行えるため、より好ましい。
【0182】
<発光層>
発光層(113、113a、113b)は、発光物質を含む層である。なお、発光層(113、113a、113b)に用いることができる発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いることができる。また、発光層を複数有する場合には、各発光層に異なる発光物質を用いることにより異なる発光色を呈する構成(例えば、補色の関係にある発光色を組み合わせて得られる白色発光)とすることができる。さらに、一つの発光層が異なる発光物質を有する積層構造としてもよい。
【0183】
また、発光層(113、113a、113b)は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の有機化合物(ホスト材料等)を有していても良い。
【0184】
なお、発光層(113、113a、113b)にホスト材料を複数用いる場合、新たに加える第2のホスト材料として、既存のゲスト材料および第1のホスト材料のエネルギーギャップよりも大きなエネルギーギャップを有する物質を用いるのが好ましい。また、第2のホスト材料の最低一重項励起エネルギー準位(S1準位)は、第1のホスト材料のS1準位よりも高く、第2のホスト材料の最低三重項励起エネルギー準位(T1準位)は、ゲスト材料のT1準位よりも高いことが好ましい。また、第2のホスト材料の最低三重項励起エネルギー準位(T1準位)は、第1のホスト材料のT1準位よりも高いことが好ましい。このような構成とすることにより、2種類のホスト材料による励起錯体を形成することができる。なお、効率よく励起錯体を形成するためには、正孔を受け取りやすい化合物(正孔輸送性材料)と、電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性材料)とを組み合わせることが特に好ましい。また、この構成により、高効率、低電圧、長寿命を同時に実現することができる。
【0185】
なお、上記のホスト材料(第1のホスト材料および第2のホスト材料を含む)として用いる有機化合物としては、発光層に用いるホスト材料としての条件を満たせば、前述の正孔輸送層(112、112a、112b)に用いることができる正孔輸送性材料、または後述の電子輸送層(114、114a、114b)に用いることができる電子輸送性材料、等の有機化合物が挙げられ、複数種の有機化合物(上記、第1のホスト材料および第2のホスト材料)からなる励起錯体であっても良い。なお、複数種の有機化合物で励起状態を形成する励起錯体(エキサイプレックス、エキシプレックスまたはExciplexともいう)は、S1準位とT1準位との差が極めて小さく、三重項励起エネルギーを一重項励起エネルギーに変換することが可能なTADF材料としての機能を有する。また、励起錯体を形成する複数種の有機化合物の組み合わせとしては、例えば一方がπ電子不足型複素芳香環を有し、他方がπ電子過剰型複素芳香環を有すると好ましい。なお、励起錯体を形成する組み合わせとして、一方にイリジウム、ロジウム、または白金系の有機金属錯体、あるいは金属錯体等の燐光発光物質を用いても良い。実施の形態1で説明した有機化合物は、電子輸送性を有するため第1のホスト材料として有効に利用することができる。また、正孔輸送性を有するため第2のホスト材料としても利用することができる。
【0186】
発光層(113、113a、113b)に用いることができる発光物質として、特に限定は無く、一重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質、または三重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質を用いることができる。
【0187】
≪一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質≫
発光層(113、113a、113b)に用いることのできる、一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、以下に示す蛍光を発する物質(蛍光発光物質)が挙げられる。例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体などが挙げられる。特にピレン誘導体は発光量子収率が高いので好ましい。ピレン誘導体の具体例としては、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’-ビス(ジベンゾフラン-2-イル)-N,N’-ジフェニルピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FrAPrn)、N,N’-ビス(ジベンゾチオフェン-2-イル)-N,N’-ジフェニルピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6ThAPrn)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(N-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-6-アミン](略称:1,6BnfAPrn)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(N-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-8-アミン](略称:1,6BnfAPrn-02)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(6,N-ジフェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-8-アミン](略称:1,6BnfAPrn-03)などが挙げられる。
【0188】
また、5,6-ビス[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6-ビス[4’-(10-フェニル-9-アントリル)ビフェニル-4-イル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAPP2BPy)、N,N’-ビス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベン-4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、4-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPBA)、ペリレン、2,5,8,11-テトラ-tert-ブチルペリレン(略称:TBP)、N,N’’-(2-tert-ブチルアントラセン-9,10-ジイルジ-4,1-フェニレン)ビス(N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン)(略称:DPABPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPPA)、N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)等を用いることができる。
【0189】
また、N-[9,10-ビス(ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCABPhA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N-[9,10-ビス(ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10-ビス(ビフェニル-2-イル)-N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N-フェニルアントラセン-2-アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9-トリフェニルアントラセン-9-アミン(略称:DPhAPhA)、クマリン545T、N,N’-ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、ルブレン、5,12-ビス(ビフェニル-4-イル)-6,11-ジフェニルテトラセン(略称:BPT)、2-(2-{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-6-メチル-4H-ピラン-4-イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2-{2-メチル-6-[2-(2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)テトラセン-5,11-ジアミン(略称:p-mPhTD)、7,14-ジフェニル-N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)アセナフト[1,2-a]フルオランテン-3,10-ジアミン(略称:p-mPhAFD)、2-{2-イソプロピル-6-[2-(1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2-{2-tert-ブチル-6-[2-(1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2-(2,6-ビス{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}-4H-ピラン-4-イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2-{2,6-ビス[2-(8-メトキシ-1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)、1,6BnfAPrn-03、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール-2-イル)ナフト[2,3-b;6,7-b’]ビスベンゾフラン-3,10-ジアミン(略称:3,10PCA2Nbf(IV)-02)、3,10-ビス[N-(ジベンゾフラン-3-イル)-N-フェニルアミノ]ナフト[2,3-b;6,7-b’]ビスベンゾフラン(略称:3,10FrA2Nbf(IV)-02)などが挙げられる。特に、1,6FLPAPrn、1,6mMemFLPAPrn、1,6BnfAPrn-03のようなピレンジアミン化合物、等を用いることができる。
【0190】
≪三重項励起エネルギーを発光に変える発光物質≫
次に、発光層113に用いることのできる、三重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、例えば、燐光を発する物質(燐光発光物質)、または熱活性化遅延蛍光を示す熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料が挙げられる。
【0191】
燐光発光物質とは、低温(例えば77K)以上室温以下の温度範囲(すなわち、77K以上313K以下)のいずれかにおいて、燐光を呈し、且つ蛍光を呈さない化合物のことをいう。該燐光発光物質としては、スピン軌道相互作用の大きい金属元素を有すると好ましく、有機金属錯体、金属錯体(白金錯体)、希土類金属錯体等が挙げられる。具体的には遷移金属元素が好ましく、特に白金族元素(ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、または白金(Pt))を有することが好ましく、中でもイリジウムを有することで、一重項基底状態と三重項励起状態との間の直接遷移に係わる遷移確率を高めることができ好ましい。
【0192】
≪燐光発光物質(450nm以上570nm以下:青色または緑色)≫
青色または緑色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が450nm以上570nm以下である燐光発光物質としては、以下のような物質が挙げられる。
【0193】
例えば、トリス{2-[5-(2-メチルフェニル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-κN2]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz-dmp)3])、トリス(5-メチル-3,4-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz)3])、トリス[4-(3-ビフェニル)-5-イソプロピル-3-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrptz-3b)3])、トリス[3-(5-ビフェニル)-5-イソプロピル-4-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPr5btz)3])、のような4H-トリアゾール環を有する有機金属錯体、トリス[3-メチル-1-(2-メチルフェニル)-5-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz1-mp)3])、トリス(1-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Prptz1-Me)3])のような1H-トリアゾール環を有する有機金属錯体、fac-トリス[1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-フェニル-1H-イミダゾール]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrpim)3])、トリス[3-(2,6-ジメチルフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(dmpimpt-Me)3])のようなイミダゾール環を有する有機金属錯体、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2-[3’,5’-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:[Ir(CF3ppy)2(pic)])、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))のように電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体等が挙げられる。
【0194】
≪燐光発光物質(495nm以上590nm以下:緑色または黄色)≫
緑色または黄色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が495nm以上590nm以下である燐光発光物質としては、以下のような物質が挙げられる。
【0195】
例えば、トリス(4-メチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)3])、トリス(4-t-ブチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)3])、(アセチルアセトナト)ビス(6-メチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(6-tert-ブチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[6-(2-ノルボルニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(nbppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[5-メチル-6-(2-メチルフェニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(mpmppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス{4,6-ジメチル-2-[6-(2,6-ジメチルフェニル)-4-ピリミジニル-κN3]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(dmppm-dmp)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(4,6-ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)2(acac)])のようなピリミジン環を有する有機金属イリジウム錯体、(アセチルアセトナト)ビス(3,5-ジメチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-Me)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(5-イソプロピル-3-メチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-iPr)2(acac)])のようなピラジン環を有する有機金属イリジウム錯体、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)3])、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(ppy)2(acac)])、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bzq)2(acac)])、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(bzq)3])、トリス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(pq)3])、ビス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(pq)2(acac)])、ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC][2-(4-フェニル-2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)2(4dppy)])、ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC][2-(4-メチル-5-フェニル-2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]、[2-d3-メチル-8-(2-ピリジニル-κN)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-κC]ビス[2-(5-d3-メチル-2-ピリジニル-κN2)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:Ir(5mppy-d3)2(mbfpypy-d3))、{2-(メチル-d3)-8-[4-(1-メチルエチル-1-d)-2-ピリジニル-κN]ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-7-イル-κC}ビス{5-(メチル-d3)-2-[5-(メチル-d3)-2-ピリジニル-κN]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:Ir(5mtpy-d6)2(mbfpypy-iPr-d4))、[2-d3-メチル-(2-ピリジニル-κN)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-κC]ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)2(mbfpypy-d3))、[2-(4-メチル-5-フェニル-2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)2(mdppy))のようなピリジン環を有する有機金属イリジウム錯体、ビス(2,4-ジフェニル-1,3-オキサゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(dpo)2(acac)])、ビス{2-[4’-(パーフルオロフェニル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(p-PF-ph)2(acac)])、ビス(2-フェニルベンゾチアゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bt)2(acac)])などの有機金属錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:[Tb(acac)3(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。
【0196】
≪燐光発光物質(570nm以上750nm以下:黄色または赤色)≫
黄色または赤色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が570nm以上750nm以下である燐光発光物質としては、以下のような物質が挙げられる。
【0197】
例えば、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)2(dibm)])、ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)2(dpm)])、(ジピバロイルメタナト)ビス[4,6-ジ(ナフタレン-1-イル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(d1npm)2(dpm)])のようなピリミジン環を有する有機金属錯体、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)2(acac)])、ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)2(dpm)])、ビス{4,6-ジメチル-2-[3-(3,5-ジメチルフェニル)-5-フェニル-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-P)2(dibm)])、ビス{4,6-ジメチル-2-[5-(4-シアノ-2,6-ジメチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)])、ビス[2-(5-(2,6-ジメチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN)-4,6-ジメチルフェニル-κC](2,2’,6,6’-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-dmp)2(dpm)])、(アセチルアセトナト)ビス[2-メチル-3-フェニルキノキサリナト-N,C2’]イリジウム(III)(略称:[Ir(mpq)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(2,3-ジフェニルキノキサリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dpq)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Fdpq)2(acac)])のようなピラジン環を有する有機金属錯体、トリス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(piq)3])、ビス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(piq)2(acac)])、およびビス[4,6-ジメチル-2-(2-キノリニル-κN)フェニル-κC](2,4-ペンタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmpqn)2(acac)])のようなピリジン環を有する有機金属錯体、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)(略称:[PtOEP])のような白金錯体、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(DBM)3(Phen)])、およびトリス[1-(2-テノイル)-3,3,3-トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(TTA)3(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。
【0198】
≪TADF材料≫
また、TADF材料としては、以下に示す材料を用いることができる。TADF材料とは、S1準位とT1準位との差が小さく(好ましくは、0.2eV以下)、三重項励起状態をわずかな熱エネルギーによって一重項励起状態にアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態からの発光(蛍光)を効率よく呈する材料のことである。また、熱活性化遅延蛍光が効率良く得られる条件としては、三重項励起エネルギー準位と一重項励起エネルギー準位のエネルギー差が0eV以上0.2eV以下、好ましくは0eV以上0.1eV以下であることが挙げられる。また、TADF材料における遅延蛍光とは、通常の蛍光と同様のスペクトルを持ちながら、寿命が著しく長い発光をいう。その寿命は、1×10-6秒以上、または1×10-3秒以上である。
【0199】
なお、TADF材料は、電子輸送性材料、正孔輸送性材料、ホスト材料として用いることもできる。
【0200】
TADF材料としては、例えば、フラーレン、およびその誘導体、プロフラビン等のアクリジン誘導体、エオシン等が挙げられる。また、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。金属含有ポルフィリンとしては、例えば、プロトポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Proto IX))、メソポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Meso IX))、ヘマトポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Copro III-4Me))、オクタエチルポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(OEP))、エチオポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Etio I))、オクタエチルポルフィリン-塩化白金錯体(略称:PtCl2OEP)等が挙げられる。
【0201】
【0202】
その他にも、2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:PIC-TRZ)、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)、2-[4-(10H-フェノキサジン-10-イル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PXZ-TRZ)、3-[4-(5-フェニル-5,10-ジヒドロフェナジン-10-イル)フェニル]-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール(略称:PPZ-3TPT)、3-(9,9-ジメチル-9H-アクリジン-10-イル)-9H-キサンテン-9-オン(略称:ACRXTN)、ビス[4-(9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン(略称:DMAC-DPS)、10-フェニル-10H,10’H-スピロ[アクリジン-9,9’-アントラセン]-10’-オン(略称:ACRSA)、4-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4PCCzBfpm)、4-[4-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4PCCzPBfpm)、9-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-9’-フェニル-2,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:mPCCzPTzn-02)等のπ電子過剰型複素芳香族化合物及びπ電子不足型複素芳香族化合物を有する複素芳香族化合物を用いてもよい。
【0203】
なお、π電子過剰型複素芳香族化合物とπ電子不足型複素芳香族化合物とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香族化合物のドナー性とπ電子不足型複素芳香族化合物のアクセプタ性が共に強くなり、一重項励起状態と三重項励起状態のエネルギー差が小さくなるため、特に好ましい。また、TADF材料として、一重項励起状態と三重項励起状態間が熱平衡状態にあるTADF材料(TADF100)を用いてもよい。このようなTADF材料は発光寿命(励起寿命)が短くなるため、発光素子における高輝度領域での効率低下を抑制することができる。
【0204】
【0205】
また、上記の他に、三重項励起エネルギーを発光に変換する機能を有する材料としては、ペロブスカイト構造を有する遷移金属化合物のナノ構造体が挙げられる。特に金属ハロゲンペロブスカイト類のナノ構造体がこのましい。該ナノ構造体としては、ナノ粒子、ナノロッドが好ましい。
【0206】
発光層(113、113a、113b、113c)において、上述した発光物質(ゲスト材料)と組み合わせて用いる有機化合物(ホスト材料等)としては、発光物質(ゲスト材料)のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップを有する物質を、一種もしくは複数種選択して用いればよい。
【0207】
≪蛍光発光用ホスト材料≫
発光層(113、113a、113b、113c)に用いる発光物質が蛍光発光物質である場合、組み合わせる有機化合物(ホスト材料)として、一重項励起状態のエネルギー準位が大きく、三重項励起状態のエネルギー準位が小さい有機化合物、または蛍光量子収率が高い有機化合物を用いるのが好ましい。したがって、このような条件を満たす有機化合物であれば、本実施の形態で示す、正孔輸送性材料(前述)および電子輸送性材料(後述)等を用いることができる。また、実施の形態1で説明した有機化合物を用いることができる。
【0208】
一部上述した具体例と重複するが、発光物質(蛍光発光物質)との好ましい組み合わせという観点から、有機化合物(ホスト材料)としては、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられる。
【0209】
なお、蛍光発光物質と組み合わせて用いることが好ましい有機化合物(ホスト材料)の具体例としては、9-フェニル-3-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:PCzPA)、3,6-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:DPCzPA)、3-[4-(1-ナフチル)フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPN)、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:CzA1PA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、YGAPA、PCAPA、N,9-ジフェニル-N-{4-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]フェニル}-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPBA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、6,12-ジメトキシ-5,11-ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン-2,7,10,15-テトラアミン(略称:DBC1)、9-[4-(10-フェニル-9-アントラセニル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、7-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)、6-[3-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン(略称:2mBnfPPA)、9-フェニル-10-[4’-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)ビフェニル-4-イル]アントラセン(略称:FLPPA)、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、9-(1-ナフチル)-10-(2-ナフチル)アントラセン(略称:α,βADN)、2-(10-フェニルアントラセン-9-イル)ジベンゾフラン、2-(10-フェニル-9-アントラセニル)ベンゾ[b]ナフト[2,3-d]フラン(略称:Bnf(II)PhA)、9-(1-ナフチル)-10-[4-(2-ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:αN-βNPAnth)、2,9-ジ(1-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2αN-αNPhA)、9-(1-ナフチル)-10-[3-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:αN-mαNPAnth)、9-(2-ナフチル)-10-[3-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:βN-mαNPAnth)、9-(1-ナフチル)-10-[4-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:αN-αNPAnth)、9-(2-ナフチル)-10-[4-(2-ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:βN-βNPAnth)、2-(1-ナフチル)-9-(2-ナフチル)-10-フェニルアントラセン(略称:2αN-βNPhA)、9-(2-ナフチル)-10-[3-(2-ナフチル)フェニル]アントラセン(略称:βN-mβNPAnth)、1-{4-[10-(ビフェニル-4-イル)-9-アントラセニル]フェニル}-2-エチル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:EtBImPBPhA)、9,9’-ビアントリル(略称:BANT)、9,9’-(スチルベン-3,3’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’-(スチルベン-4,4’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、1,3,5-トリ(1-ピレニル)ベンゼン(略称:TPB3)、5,12-ジフェニルテトラセン、5,12-ビス(ビフェニル-2-イル)テトラセンなどが挙げられる。
【0210】
≪燐光発光用ホスト材料≫
また、発光層(113、113a、113b、113c)に用いる発光物質が燐光発光物質である場合、組み合わせる有機化合物(ホスト材料)として、発光物質の三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差)よりも三重項励起エネルギーの大きい有機化合物を選択すれば良い。なお、励起錯体を形成させるべく複数の有機化合物(例えば、第1のホスト材料、および第2のホスト材料(またはアシスト材料)等)を発光物質と組み合わせて用いる場合は、これらの複数の有機化合物を燐光発光物質と混合して用いることが好ましい。また、実施の形態1で説明した有機化合物を用いることができる。
【0211】
このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を効率よく得ることができる。なお、複数の有機化合物の組み合わせとしては、励起錯体が形成しやすいものが良く、正孔を受け取りやすい化合物(正孔輸送性材料)と、電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性材料)とを組み合わせることが特に好ましい。
【0212】
なお、一部上述した具体例と重複するが、発光物質(燐光発光物質)との好ましい組み合わせという観点から、有機化合物(ホスト材料、アシスト材料)としては、芳香族アミン(芳香族アミン骨格を有する有機化合物)、カルバゾール誘導体(カルバゾール環を有する有機化合物)、ジベンゾチオフェン誘導体(ジベンゾチオフェン環を有する有機化合物)、ジベンゾフラン誘導体(ジベンゾフラン環を有する有機化合物)、オキサジアゾール誘導体(オキサジアゾール環を有する有機化合物)、トリアゾール誘導体(トリアゾール環を有する有機化合物)、ベンゾイミダゾール誘導体(ベンゾイミダゾール環を有する有機化合物)、キノキサリン誘導体(キノキサリン環を有する有機化合物)、ジベンゾキノキサリン誘導体(ジベンゾキノキサリン環を有する有機化合物)、ピリミジン誘導体(ピリミジン環を有する有機化合物)、トリアジン誘導体(トリアジン環を有する有機化合物)、ピリジン誘導体(ピリジン環を有する有機化合物)、ビピリジン誘導体(ビピリジン環を有する有機化合物)、フェナントロリン誘導体(フェナントロリン環を有する有機化合物)、フロジアジン誘導体(フロジアジン環を有する有機化合物)、亜鉛およびアルミニウム系の金属錯体、等が挙げられる。
【0213】
なお、上記の有機化合物のうち、正孔輸送性の高い有機化合物である、芳香族アミン、およびカルバゾール誘導体の具体例としては、上述した正孔輸送性材料の具体例と同じものが挙げられ、これらはいずれもホスト材料として好ましい。
【0214】
また、上記の有機化合物のうち、正孔輸送性の高い有機化合物である、ジベンゾチオフェン誘導体、およびジベンゾフラン誘導体の具体例としては、4-{3-[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi-II)、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P-II)、DBT3P-II、2,8-ジフェニル-4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-III)、4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-6-フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-IV)、4-[3-(トリフェニレン-2-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:mDBTPTp-II)等が挙げられ、これらはいずれもホスト材料として好ましい。
【0215】
その他、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども好ましいホスト材料として挙げられる。
【0216】
また、上記の有機化合物のうち、電子輸送性の高い有機化合物である、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キナゾリン誘導体、フェナントロリン誘導体等の具体例としては、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm-II)、4,4’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン(略称:BzOs)、などのポリアゾール環を有する複素芳香環を含む有機化合物、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、2,9-ジ(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBPhen)、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(9-フェニル-1,10-フェナントロリン)(略称:mPPhen2P)、2,2’-ビフェニル-4,4’-ジイルビス(9-フェニル-1,10-フェナントロリン)(略称:PPhen2BP)などのピリジン環を有する複素芳香環を含む有機化合物、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq-II)、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、2-[3’-(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、2-[4-(3,6-ジフェニル-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq-III)、7-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq-II)、及び6-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq-II)、2-{4-[9,10-ジ(2-ナフチル)-2-アントリル]フェニル}-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:ZADN)、2-[4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-3,1’-ビフェニル-1-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mpPCBPDBq)、等が挙げられ、これらはいずれもホスト材料として好ましい。
【0217】
また、上記の有機化合物のうち、電子輸送性の高い有機化合物である、ピリジン誘導体、ジアジン誘導体(ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリダジン誘導体を含む)、トリアジン誘導体、フロジアジン誘導体の具体例として、4,6-ビス[3-(フェナントレン-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6-ビス[3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm-II)、4,6-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)、9-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-9’-フェニル-2,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:mPCCzPTzn-02)、3,5-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5-トリ[3-(3-ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)、9,9’-[ピリミジン-4,6-ジイルビス(ビフェニル-3,3’-ジイル)]ビス(9H-カルバゾール)(略称:4,6mCzBP2Pm)、2-[3’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ビフェニル-3-イル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mFBPTzn)、8-(ビフェニル-4-イル)-4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8BP-4mDBtPBfpm)、9-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mDBtBPNfpr)、9-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-4-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9pmDBtBPNfpr)、11-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]フェナントロ[9’,10’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:11mDBtBPPnfpr)、11-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-4-イル]フェナントロ[9’,10’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン、11-[3’-(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル-3-イル]フェナントロ[9’,10’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン、12-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェナントロ[9’,10’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:12PCCzPnfpr)、9-[(3’-9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9pmPCBPNfpr)、9-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9PCCzNfpr)、10-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:10PCCzNfpr)、9-[3’-(6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-イル)ビフェニル-3-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mBnfBPNfpr)、9-{3-[6-(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)ジベンゾチオフェン-4-イル]フェニル}ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mFDBtPNfpr)、9-[3’-(6-フェニルジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mDBtBPNfpr-02)、9-[3-(9’-フェニル-3,3’-ビ-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン(略称:9mPCCzPNfpr)、9-{(3’-[2,8-ジフェニルジベンゾチオフェン-4-イル]ビフェニル-3-イル}ナフト[1’,2’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン、11-{(3’-[2,8-ジフェニルジベンゾチオフェン-4-イル]ビフェニル-3-イル}フェナントロ[9’,10’:4,5]フロ[2,3-b]ピラジン、5-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-7,7-ジメチル-5H,7H-インデノ[2,1-b]カルバゾール(略称:mINc(II)PTzn)、2-[3’-(トリフェニレン-2-イル)ビフェニル-3-イル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mTpBPTzn)、2-(ビフェニル-4-イル)-4-フェニル-6-(9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:BP-SFTzn)、2,6-ビス(4-ナフタレン-1-イルフェニル)-4-[4-(3-ピリジル)フェニル]ピリミジン(略称:2,4NP-6PyPPm)、3-[9-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-ジベンゾフラニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCDBfTzn)、2-(ビフェニル-3-イル)-4-フェニル-6-{8-[(1,1’:4’,1’’-ターフェニル)-4-イル]-1-ジベンゾフラニル}-1,3,5-トリアジン(略称:mBP-TPDBfTzn)、6-(ビフェニル-3-イル)-4-[3,5-ビス(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-2-フェニルピリミジン(略称:6mBP-4Cz2PPm)、4-[3,5-ビス(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-2-フェニル-6-(ビフェニル-4-イル)ピリミジン(略称:6BP-4Cz2PPm)、などのジアジン環を有する複素芳香環を含む有機化合物、などが挙げられ、これらはいずれもホスト材料として好ましい。
【0218】
また、上記の有機化合物のうち、電子輸送性の高い有機化合物である、金属錯体の具体例としては、亜鉛系またはアルミニウム系の金属錯体である、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)の他、キノリン環またはベンゾキノリン環を有する金属錯体等が、挙げられ、これらはいずれもホスト材料として好ましい。
【0219】
その他、ポリ(2,5-ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(ピリジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(2,2’-ビピリジン-6,6’-ジイル)](略称:PF-BPy)のような高分子化合物などもホスト材料として好ましい。
【0220】
さらに、正孔輸送性の高い有機化合物であり、かつ電子輸送性の高い有機化合物である、バイポーラ性の9-フェニル-9’-(4-フェニル-2-キナゾリニル)-3,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:PCCzQz)、2-[4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-3,1’-ビフェニル-1-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mpPCBPDBq)、5-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-7,7-ジメチル-5H,7H-インデノ[2,1-b]カルバゾール(略称:mINc(II)PTzn)、11-[4-(ビフェニル-4-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル]-11,12-ジヒドロ-12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール(略称:BP-Icz(II)Tzn)、7-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-2-イル)キナゾリン-2-イル]-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:PC-cgDBCzQz)などのジアジン環を有する有機化合物等をホスト材料として用いることもできる。
【0221】
<電子輸送層>
電子輸送層(114、114a、114b)は、後述する電子注入層(115、115a、115b)によって第2の電極102および電荷発生層(106、106a、106b)から注入された電子を発光層(113、113a、113b)に輸送する層である。なお、本発明の一態様である発光デバイスは、電子輸送層が積層構造を有することで耐熱性を向上させることができる。また、電子輸送層(114、114a、114b)に用いる電子輸送材料は、電界強度[V/cm]の平方根が600における電子移動度が、1×10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いることができる。また、電子輸送層(114、114a、114b)は、単層でも機能するが、2層以上の積層構造としてもよい。なお、上記の混合材料は、耐熱性を有するため、これを用いた電子輸送層上でフォトリソ工程を行うことにより、熱工程によるデバイス特性への影響を抑制することができる。
【0222】
≪電子輸送性材料≫
電子輸送層(114、114a、114b)に用いることができる電子輸送性材料としては、電子輸送性の高い有機化合物を用いることができ、例えば複素芳香族化合物を用いることができる。なお、複素芳香族化合物とは、環の中に少なくとも2種類の異なる元素を含む環式化合物である。なお、環構造としては、3員環、4員環、5員環、6員環等が含まれるが、特に5員環、または、6員環が好ましく、含まれる元素としては、炭素の他に窒素、酸素、または硫黄などのいずれか一又は複数を含む複素芳香族化合物が好ましい。特に窒素を含む複素芳香族化合物(含窒素複素芳香族化合物)が好ましく、含窒素複素芳香族化合物、またはこれを含むπ電子不足型複素芳香族化合物等の電子輸送性の高い材料(電子輸送性材料)を用いることが好ましい。実施の形態1の化合物は電子輸送性を有するため、電子輸送性材料として用いることができる。
【0223】
なお、この電子輸送材料は、発光層に用いた材料とは異なる材料を用いることもできる。発光層でキャリアの再結合により生成した励起子は全てが発光に寄与できるとは限らず、発光層に接する、あるいは近傍に存在する層に拡散してしまうことがある。この現象を回避するためには、発光層に接する、あるいは近傍に存在する層に用いられる材料のエネルギー準位(最低一重項励起準位または最低三重項励起準位)が、発光層に用いられる材料よりも高いことが好ましい。従って、電子輸送材料は、発光層に用いる材料と異なる材料を用いることで、効率の高い素子を得ることができる。
【0224】
複素芳香族化合物は、少なくとも1つの複素芳香環を有する有機化合物である。
【0225】
なお、複素芳香環は、ピリジン環、ジアジン環、トリアジン環、またはポリアゾール環、オキサゾール環、またはチアゾール環等のいずれか一を有する。また、ジアジン環を有する複素芳香環には、ピリミジン環、ピラジン環、またはピリダジン環などを有する複素芳香環が含まれる。また、ポリアゾール環を有する複素芳香環には、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環を有する複素芳香環が含まれる。
【0226】
また、複素芳香環は、縮環構造を有する縮合複素芳香環を含む。なお、縮合複素芳香環としては、キノリン環、ベンゾキノリン環、キノキサリン環、ジベンゾキノキサリン環、キナゾリン環、ベンゾキナゾリン環、ジベンゾキナゾリン環、フェナントロリン環、フロジアジン環、ベンゾイミダゾール環、などが挙げられる。
【0227】
なお、例えば、炭素の他に窒素、酸素、または硫黄などのいずれか一又は複数を含む複素芳香族化合物のうち、5員環構造を有する複素芳香族化合物としては、イミダゾール環を有する複素芳香族化合物、トリアゾール環を有する複素芳香族化合物、オキサゾール環を有する複素芳香族化合物、オキサジアゾール環を有する複素芳香族化合物、チアゾール環を有する複素芳香族化合物、ベンゾイミダゾール環を有する複素芳香族化合物などが挙げられる。
【0228】
また、例えば、炭素の他に窒素、酸素、または硫黄などのいずれか一又は複数を含む複素芳香族化合物のうち、6員環構造を有する複素芳香族化合物としては、ピリジン環、ジアジン環(ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環などを含む)、トリアジン環、ポリアゾール環などの複素芳香環を有する複素芳香族化合物などが挙げられる。なお、ピリジン環が連結した構造である複素芳香族化合物に含まれるが、ビピリジン構造を有する複素芳香族化合物、ターピリジン構造を有する複素芳香族化合物などが挙げられる。
【0229】
さらに、上記6員環構造を一部に含む縮環構造を有する複素芳香族化合物としては、キノリン環、ベンゾキノリン環、キノキサリン環、ジベンゾキノキサリン環、フェナントロリン環、フロジアジン環(フロジアジン環のフラン環に芳香環が縮合した構造を含む)、ベンゾイミダゾール環などの縮合複素芳香環を有する複素芳香族化合物、などが挙げられる。
【0230】
上記、5員環構造(ポリアゾール環(イミダゾール環、トリアゾール環、オキサジアゾール環を含む)、オキサゾール環、チアゾール環、ベンゾイミダゾール環など)を有する複素芳香族化合物の具体例としては、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、3-(4-tert-ブチルフェニル)-4-(4-エチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,2,4-トリアゾール(略称:p-EtTAZ)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm-II)、4,4’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン(略称:BzOS)などが挙げられる。
【0231】
上記、6員環構造(ピリジン環、ジアジン環、トリアジン環などを有する複素芳香環を含む)を有する複素芳香族化合物の具体例としては、3,5-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)、1,3,5-トリ[3-(3-ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)、などのピリジン環を有する複素芳香環を含む複素芳香族化合物、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:PCCzPTzn)、9-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-9’-フェニル-2,3’-ビ-9H-カルバゾール(略称:mPCCzPTzn-02)、5-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-7,7-ジメチル-5H,7H-インデノ[2,1-b]カルバゾール(略称:mINc(II)PTzn)、2-[3’-(トリフェニレン-2-イル)ビフェニル-3-イル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mTpBPTzn)、2-(ビフェニル-4-イル)-4-フェニル-6-(9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:BP-SFTzn)、2,6-ビス(4-ナフタレン-1-イルフェニル)-4-[4-(3-ピリジル)フェニル]ピリミジン(略称:2,4NP-6PyPPm)、3-[9-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-2-ジベンゾフラニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCDBfTzn)、2-(ビフェニル-3-イル)-4-フェニル-6-{8-[(1,1’:4’,1’’-ターフェニル)-4-イル]-1-ジベンゾフラニル}-1,3,5-トリアジン(略称:mBP-TPDBfTzn)、2-{3-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mDBtBPTzn)、mFBPTznなどのトリアジン環を有する複素芳香環を含む複素芳香族化合物、4,6-ビス[3-(フェナントレン-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm)、4,6-ビス[3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mDBTP2Pm-II)、4,6-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)、4,6mCzBP2Pm、6-(ビフェニル-3-イル)-4-[3,5-ビス(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-2-フェニルピリミジン(略称:6mBP-4Cz2PPm)、4-[3,5-ビス(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-2-フェニル-6-(ビフェニル-4-イル)ピリミジン(略称:6BP-4Cz2PPm)、4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-8-(ナフタレン-2-イル)-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8βN-4mDBtPBfpm)、8BP-4mDBtPBfpm、9mDBtBPNfpr、9pmDBtBPNfpr、3,8-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ベンゾフロ[2,3-b]ピラジン(略称:3,8mDBtP2Bfpr)、4,8-ビス[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:4,8mDBtP2Bfpm)、8-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ナフト[1’,2’:4,5]フロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8mDBtBPNfpm)、8-[(2,2’-ビナフタレン)-6-イル]-4-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-[1]ベンゾフロ[3,2-d]ピリミジン(略称:8(βN2)-4mDBtPBfpm)などのジアジン(ピリミジン)環を有する複素芳香環を含む複素芳香族化合物、などが挙げられる。なお、上記複素芳香環を含む芳香族化合物には、縮合複素芳香環を有する複素芳香族化合物を含む。
【0232】
その他にも、2,2’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス(4-フェニルベンゾ[h]キナゾリン)(略称:2,6(P-Bqn)2Py)、2,2’-(2,2’-ビピリジン-6,6’-ジイル)ビス(4-フェニルベンゾ[h]キナゾリン)(略称:6,6’(P-Bqn)2BPy)、2,2’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス{4-[4-(2-ナフチル)フェニル]-6-フェニルピリミジン}(略称:2,6(NP-PPm)2Py)、6-(ビフェニル-3-イル)-4-[3,5-ビス(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-2-フェニルピリミジン(略称:6mBP-4Cz2PPm)、などのジアジン(ピリミジン)環を有する複素芳香環を含む複素芳香族化合物、2,4,6-トリス[3’-(ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル]-1,3,5-トリアジン(略称:TmPPPyTz)、2,4,6-トリス(2-ピリジル)-1,3,5-トリアジン(略称:2Py3Tz)、2-[3-(2,6-ジメチル-3-ピリジニル)-5-(9-フェナントレニル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mPn-mDMePyPTzn)、などのトリアジン環を有する複素芳香環を含む複素芳香族化合物、等が挙げられる。
【0233】
上記、6員環構造を一部に含む縮環構造を有する複素芳香族化合物(縮環構造を有する複素芳香族化合物)の具体例としては、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、2,9-ジ(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBPhen)、2,2’-(1,3-フェニレン)ビス(9-フェニル-1,10-フェナントロリン)(略称:mPPhen2P)、2,2’-ビフェニル-4,4’-ジイルビス(9-フェニル-1,10-フェナントロリン)(略称:PPhen2BP)、2,2’-(ピリジン-2,6-ジイル)ビス(4-フェニルベンゾ[h]キナゾリン)(略称:2,6(P-Bqn)2Py)、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq-II)、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、2-[3’-(9H-カルバゾール-9-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzBPDBq)、2-[4-(3,6-ジフェニル-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq-III)、7-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq-II)、及び6-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq-II)、2mpPCBPDBq、などのキノキサリン環を有する複素芳香族化合物、等が挙げられる。
【0234】
電子輸送層(114、114a、114b)には、上記に示す複素芳香族化合物の他にも下記に示す金属錯体を用いることができる。トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq3)、Almq3、8-キノリノラト-リチウム(略称:Liq)、BeBq2、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)等のキノリン環またはベンゾキノリン環を有する金属錯体、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)等のオキサゾール環またはチアゾール環を有する金属錯体等が挙げられる。
【0235】
また、ポリ(2,5-ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(ピリジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(2,2’-ビピリジン-6,6’-ジイル)](略称:PF-BPy)のような高分子化合物を電子輸送性材料として用いることもできる。
【0236】
また、電子輸送層(114、114a、114b)は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が2層以上積層した構造であってもよい。
【0237】
<電子注入層>
電子注入層(115、115a、115b)は、電子注入性の高い物質を含む層である。また、電子注入層(115、115a、115b)は、第2の電極102からの電子の注入効率を高めるための層であり、第2の電極102に用いる材料の仕事関数の値と、電子注入層(115、115a、115b)に用いる材料のLUMO準位の値とを比較した際、その差が小さい(0.5eV以下)材料を用いることが好ましい。従って、電子注入層115には、リチウム、セシウム、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、8-キノリノラト-リチウム(略称:Liq)、2-(2-ピリジル)フェノラトリチウム(略称:LiPP)、2-(2-ピリジル)-3-ピリジノラトリチウム(略称:LiPPy)、4-フェニル-2-(2-ピリジル)フェノラトリチウム(略称:LiPPP)、リチウム酸化物(LiOx)、炭酸セシウム等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはこれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF3)、イッテルビウム(Yb)のような希土類金属または希土類金属化合物を用いることができる。なお、電子注入層(115、115a、115b)には、上記の材料を複数種混合して形成しても良いし、上記の材料のうち複数種を積層させて形成しても良い。また、電子注入層(115、115a、115b)にエレクトライドを用いてもよい。エレクトライドとしては、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物質等が挙げられる。なお、上述した電子輸送層(114、114a、114b)を構成する物質を用いることもできる。
【0238】
また、電子注入層(115、115a、115b)に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる混合材料を用いてもよい。このような混合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層(114、114a、114b)に用いる電子輸送性材料(金属錯体および複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属および希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。また、これらの材料を複数、積層して用いても良い。
【0239】
その他にも、電子注入層(115、115a、115b)に、有機化合物と金属とを混合してなる混合材料を用いても良い。なお、ここで用いる有機化合物としては、LUMO(最低空軌道:Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位が-3.6eV以上-2.3eV以下であると好ましい。また、非共有電子対を有する材料が好ましい。
【0240】
したがって、上記の混合材料に用いる有機化合物としては、電子輸送層に用いることができるとして上述した、複素芳香族化合物を金属と混合してなる混合材料を用いてもよい。複素芳香族化合物としては、5員環構造(イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、ベンゾイミダゾール環など)を有する複素芳香族化合物、6員環構造(ピリジン環、ジアジン環(ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環などを含む)、トリアジン環、ビピリジン環、ターピリジン環など)を有する複素芳香族化合物、6員環構造を一部に含む縮環構造(キノリン環、ベンゾキノリン環、キノキサリン環、ジベンゾキノキサリン環、フェナントロリン環など)を有する複素芳香族化合物などの非共有電子対を有する材料が好ましい。具体的な材料については、上述したので、ここでの説明は省略する。
【0241】
また、上記の混合材料に用いる金属としては、周期表における第5族、第7族、第9族または第11族に属する遷移金属および第13族に属する材料を用いることが好ましく、例えば、Ag、Cu、Al、またはInが挙げられる。また、この時、有機化合物は、遷移金属との間で半占有軌道(SOMO)を形成する。
【0242】
なお、例えば、発光層113bから得られる光を増幅させる場合には、第2の電極102と、発光層113bとの光学距離が、発光層113bが呈する光の波長λの1/4未満となるように形成するのが好ましい。この場合、電子輸送層114bまたは電子注入層115bの膜厚を変えることにより、調整することができる。
【0243】
また、
図1(D)に示す発光デバイスのように、2つのEL層である有機化合物層(103a、103b)の間に電荷発生層106を設けることにより、複数のEL層が一対の電極間に積層された構造(タンデム構造ともいう)とすることもできる。
【0244】
<電荷発生層>
電荷発生層106は、第1の電極(陽極)101と第2の電極(陰極)102との間に電圧を印加したときに、有機化合物層103aに電子を注入し、有機化合物層103bに正孔を注入する機能を有する。なお、電荷発生層106は、正孔輸送性材料に電子受容体(アクセプタ)が添加された構成(P型層ともいう)であっても、電子輸送性材料に電子供与体(ドナー)が添加された構成(電子注入バッファ層ともいう)であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。さらに、P型層と電子注入バッファ層との間に電子リレー層が設けられていても良い。なお、上述した材料を用いて電荷発生層106を形成することにより、EL層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0245】
電荷発生層106において、有機化合物である正孔輸送性材料に、電子受容体が添加された構成(P型層)とする場合、正孔輸送性材料としては、本実施の形態で示した材料を用いることができる。また、電子受容体としては、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムなどが挙げられる。なお、上述したアクセプタ材料を用いても良い。また、P型層を構成する材料を混合してなる混合膜として用いても、それぞれの材料を含む単膜を積層しても良い。
【0246】
また、電荷発生層106において、電子輸送性材料に電子供与体が添加された構成(電子注入バッファ層)とする場合、電子輸送性材料としては、本実施の形態で示した材料を用いることができる。また、電子供与体としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類金属または元素周期表における第2族、第13族に属する金属およびその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム(Li2O)、炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
【0247】
電荷発生層106において、P型層と電子注入バッファ層との間に電子リレー層を設ける場合、電子リレー層は少なくとも電子輸送性を有する物質を含み、電子注入バッファ層とP型層との相互作用を防いで電子をスムーズに受け渡す機能を有する。電子リレー層に含まれる電子輸送性を有する物質のLUMO準位は、P型層におけるアクセプタ性物質のLUMO準位と、電荷発生層106に接する電子輸送層に含まれる電子輸送性を有する物質のLUMO準位との間であることが好ましい。電子リレー層に用いられる電子輸送性を有する物質におけるLUMO準位の具体的なエネルギー準位は-5.0eV以上、好ましくは-5.0eV以上-3.0eV以下とするとよい。なお、電子リレー層に用いられる電子輸送性を有する物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属-酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0248】
なお、
図1(D)では、有機化合物層103が2層積層された構成を示したが、異なるEL層の間に電荷発生層を設けることにより3層以上のEL層の積層構造としてもよい。
【0249】
<キャップ層>
なお、
図1(A)乃至
図1(E)では図示しないが、発光デバイスの第2の電極102上にキャップ層を設けてもよい。キャップ層には、例えば、屈折率の高い材料を用いることができる。キャップ層を第2の電極102上に設けることによって、第2の電極102から射出される光の取り出し効率を向上させることができる。
【0250】
キャップ層に用いることのできる材料の具体例として、5,5’-ジフェニル-2,2’-ジ-5H-[1]ベンゾチエノ[3,2-c]カルバゾール(略称:BisBTc)、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)等が挙げられる。また、実施の形態1で説明した有機化合物を用いることができる。
【0251】
<基板>
本実施の形態で示した発光デバイスは、様々な基板上に形成することができる。なお、基板の種類は、特定のものに限定されることはない。基板の一例としては、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどが挙げられる。
【0252】
なお、ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又はソーダライムガラスなどが挙げられる。また、可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表されるプラスチック、アクリル樹脂等の合成樹脂、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ樹脂、無機蒸着フィルム、又は紙類などが挙げられる。
【0253】
なお、本実施の形態で示す発光デバイスの作製には、蒸着法などの気相法、スピンコート法、およびインクジェット法などの液相法を用いることができる。蒸着法を用いる場合には、スパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、分子線蒸着法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD:Chemical Vapor Deposition法)等を用いることができる。特に発光デバイスのEL層に含まれる様々な機能を有する層(正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115)については、蒸着法(真空蒸着法等)、塗布法(ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法等)、印刷法(インクジェット法、スクリーン(孔版印刷)法、オフセット(平版印刷)法、フレキソ(凸版印刷)法、グラビア法、マイクロコンタクト法等)などの方法により形成することができる。
【0254】
なお、上記塗布法、印刷法などの成膜方法を適用する場合において、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)、中分子化合物(低分子と高分子の中間領域の化合物:分子量400以上4000以下)、無機化合物(量子ドット材料等)等を用いることができる。なお、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料などを用いることができる。
【0255】
本実施の形態で示す発光デバイスの有機化合物層103を構成する各層(正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115)は、本実施の形態において示した材料に限られることはなく、それ以外の材料であっても各層の機能を満たせるものであれば組み合わせて用いることができる。
【0256】
なお、本明細書等において、「層」という用語と「膜」という用語は適宜入れ換えて用いることができる。
【0257】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができるものとする。
【0258】
(実施の形態3)
図2(A)および
図2(B)に例示するように、先の実施の形態2で説明した発光デバイスは、絶縁層175上に複数形成することで、発光装置を構成する。本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について詳しく説明する。
【0259】
発光装置1000は、複数の画素178がマトリクス状に配列された画素部177を有する。画素178は、副画素110R、副画素110G、及び副画素110Bを有する。
【0260】
本明細書等において、例えば副画素110R、副画素110G、及び副画素110Bに共通する事項は、副画素110と呼称して説明する場合がある。また、アルファベットで区別する構成要素について、該当する構造に共通する事項は、アルファベットを省略した符号を用いて説明する場合がある。
【0261】
副画素110Rは赤色の光を呈し、副画素110Gは緑色の光を呈し、副画素110Bは青色の光を呈する。これにより、画素部177に画像を表示することができる。なお、本実施の形態では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の副画素を例に挙げて説明するが、本発明は当該構成に限らない。つまり、その他の色の副画素の組み合わせを用いてもよい。例えば、副画素は3つに限られず、4つ以上としてもよい。4つの副画素としては、例えば、R、G、B、白色(W)の4色の副画素、R、G、B、黄色(Y)の4色の副画素、及び、R、G、B、赤外光(IR)の4つの副画素、等が挙げられる。
【0262】
本明細書等において、行方向をX方向、列方向をY方向という場合がある。X方向とY方向は交差し、例えば垂直に交差する。
【0263】
図2(A)では、異なる色の副画素がX方向に並べて配置されており、同じ色の副画素が、Y方向に並べて配置されている例を示す。なお、異なる色の副画素がY方向に並べて配置され、同じ色の副画素が、X方向に並べて配置されていてもよい。
【0264】
画素部177の外側には、接続部140および領域141を設けてもよい。例えば、領域141は画素部177と接続部140の間に設けるとよい。領域141には、有機化合物層103を設ける。また、接続部140には、導電層151Cを設ける。
【0265】
図2(A)では、領域141、及び接続部140が画素部177の右側に位置する例を示すが、領域141、及び接続部140の位置は特に限定されない。また、領域141、及び接続部140は、単数であっても複数であってもよい。
【0266】
図2(B)は、
図2(A)における一点鎖線A1-A2間の断面図の例である。
図2(B)に示すように、発光装置1000は、絶縁層171と、絶縁層171上の導電層172と、絶縁層171上、及び導電層172上の絶縁層173と、絶縁層173上の絶縁層174と、絶縁層174上の絶縁層175と、を有する。絶縁層171は、基板(図示せず)上に設けるとよい。絶縁層175、絶縁層174、及び絶縁層173には、導電層172に達する開口が設けられ、当該開口を埋め込むようにプラグ176を設ける。
【0267】
画素部177において、絶縁層175及びプラグ176上に、発光デバイス130(発光デバイス130R、発光デバイス130G及び発光デバイス130Bのいずれか一)が設けられる。また、発光デバイス130を覆うように、保護層131が設けられている。保護層131上には、樹脂層122によって基板120が貼り合わされている。また、隣り合う発光デバイス130の間には、無機絶縁層125と、無機絶縁層125上の絶縁層127と、を設けてもよい。
【0268】
図2(B)では、無機絶縁層125及び絶縁層127の断面が複数示されているが、発光装置1000を上面から見た場合、無機絶縁層125及び絶縁層127は、それぞれ1つに繋がっていることが好ましい。つまり、無機絶縁層125及び絶縁層127は、第1の電極上に開口部を有する絶縁層とするとよい。
【0269】
図2(B)では、発光デバイス130として、発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び発光デバイス130Bを示している。発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び発光デバイス130Bは、互いに異なる色の光を発するものとする。例えば、発光デバイス130Rは赤色の光を発することができ、発光デバイス130Gは緑色の光を発することができ、発光デバイス130Bは青色の光を発することができる。また、発光デバイス130R、発光デバイス130G、又は発光デバイス130Bは、他の可視光又は赤外光を発してもよい。
【0270】
なお、有機化合物層103は、少なくとも発光層を有し、その他の機能層(正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層等)を有することができる。また、有機化合物層103と共通層104とを合わせて、発光を呈するEL層が備える機能層(正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、発光層、電子ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層等)を形成しても良い。
【0271】
本発明の一態様の発光装置は、例えば発光デバイスが形成されている基板とは反対方向に光を射出する上面射出型(トップエミッション型)とすることができる。なお、本発明の一態様の発光装置は、下面射出型(ボトムエミッション型)であってもよい。
【0272】
発光デバイス130Rは、実施の形態2に示したような構成を有する。導電層151Rと導電層152Rとからなる第1の電極(画素電極)と、第1の電極上の有機化合物層103Rと、有機化合物層103R上の共通層104と、共通層104上の第2の電極(共通電極)102と、を有する。
【0273】
なお、共通層104は、必ずしも設けなくてもよい。共通層104を設けることで、後工程による有機化合物層103Rへのダメージを低減できる。また、共通層104が設けられている場合、共通層104は、電子注入層としての機能を有していてもよい。共通層104が電子注入層として機能する場合、有機化合物層103Rと共通層104との積層構造は、実施の形態1における有機化合物層103に相当する。
【0274】
ここで、発光デバイス130は、実施の形態2に示したような構成を有する。導電層151と導電層152とからなる第1の電極(画素電極)と、第1の電極上の有機化合物層103と、有機化合物層103上の共通層104と、共通層104上の第2の電極(共通電極)102と、を有する。
【0275】
発光デバイスが有する画素電極と共通電極のうち、一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。以下では、特に断りが無い場合は、画素電極が陽極として機能し、共通電極が陰極として機能するものとして説明する。
【0276】
有機化合物層103R、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Bは、各々または、発光色毎に、島状に独立している。有機化合物層103を発光デバイス130毎に島状に設けることで、高精細な発光装置においても隣接する発光デバイス130間のリーク電流を抑制できる。これにより、クロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い発光装置を実現できる。特に、低輝度における電流効率の高い発光装置を実現できる。
【0277】
有機化合物層103は、発光デバイス130の第1の電極(画素電極)の上面及び側面を覆うように設けてもよい。これにより、有機化合物層103の端部が画素電極の端部よりも内側に位置する構成に比べて、発光装置1000の開口率を高めることが容易となる。また、発光デバイス130の画素電極の側面を有機化合物層103で覆うことで、画素電極と第2の電極102とが接することを抑制できるため、発光デバイス130のショートを抑制できる。また、有機化合物層103の発光領域(すなわち、画素電極と重なる領域)と、有機化合物層103の端部との距離を大きくできる。さらに、有機化合物層103の端部は、加工によりダメージを受けている可能性があるため、有機化合物層103の端部から離れた領域を発光領域として用いることで、発光デバイス130の信頼性を高められる。
【0278】
また、本発明の一態様の発光装置では、発光デバイスの第1の電極(画素電極)を、積層構成としてもよい。例えば、
図2(B)に示す例では、発光デバイス130の第1の電極を、導電層151と、導電層152と、の積層構成としている。
【0279】
例えば、発光装置1000がトップエミッション型である場合、発光デバイス130の画素電極は、導電層151は可視光に対する反射率が高い層とし、導電層152は可視光の透過性を有し、かつ仕事関数が大きい層とすることが好ましい。画素電極の可視光に対する反射率が高いほど、有機化合物層103が発する光の取り出し効率を高くすることができる。また、画素電極が陽極として機能する場合、画素電極の仕事関数が大きいほど、有機化合物層103への正孔の注入が容易となる。従って、発光デバイス130の画素電極を、可視光に対する反射率が高い導電層151と、仕事関数が大きい導電層152と、の積層構成とすることにより、発光デバイス130を、光取り出し効率が高く、且つ駆動電圧の低い発光デバイスとすることができる。
【0280】
具体的には、導電層151の可視光に対する反射率は、例えば40%以上100%以下とすることが好ましく、70%以上100%以下とすることがより好ましい。また、導電層152は、可視光の透過性を有する電極とする場合、可視光に対する透過率を例えば40%以上とすることが好ましい。
【0281】
また、積層構造を有する画素電極の形成後に成膜した膜を、ウェットエッチング法などにより除去するさいにエッチングに用いる薬液が構造体に含浸する場合がある。含浸した薬液が画素電極に接触すると、画素電極を構成する複数の層間においてガルバニック腐食などが発生し、画素電極が変質することがある。
【0282】
そこで、導電層151の上面及び側面を覆うように、導電層152を形成することが好ましい。導電層152で導電層151を覆うことで、含浸した薬液が導電層151に接触することなく、画素電極へのガルバニック腐食の発生を抑制できる。従って、発光装置1000は、歩留まりが高い方法で作製できるため、低価格の発光装置とすることができる。また、発光装置1000に不良が発生することを抑制できるため、発光装置1000は信頼性が高い発光装置とすることができる。
【0283】
導電層151として、例えば金属材料を用いることができる。具体的には、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)等の金属、及びこれらを適宜組み合わせて含む合金を用いることもできる。
【0284】
導電層152として、インジウム、錫、亜鉛、ガリウム、チタン、アルミニウム、及びシリコンの中から選ばれるいずれか一又は複数を有する酸化物を用いることができる。例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、酸化チタン、ガリウムを含むインジウム亜鉛酸化物、アルミニウムを含むインジウム亜鉛酸化物、シリコンを含むインジウム錫酸化物、及びシリコンを含むインジウム亜鉛酸化物等のいずれか一又は複数を含む導電性酸化物を用いることが好ましい。特に、シリコンを含むインジウム錫酸化物は仕事関数が大きい、例えば仕事関数が4.0eV以上であるため、導電層152として好適に用いることができる。
【0285】
また、導電層151、および導電層152は、異なる材料を有する複数の層の積層構成であってもよい。この場合、導電層151が、導電性酸化物等の導電層152に用いることができる材料を用いた層を有してもよく、また、導電層152が、金属材料等の導電層151に用いることができる材料を用いた層を有してもよい。例えば、導電層151が2層以上の積層構成である場合は、導電層152と接する層は、導電層152の導電層151と接する層に用いる材料と同じ材料を含む層とすることができる。
【0286】
なお、導電層151の端部は、テーパ形状を有することが好ましい。具体的には、導電層151の端部は、テーパ角90°未満のテーパ形状を有することが好ましい。この場合、導電層151の側面に沿って設けられる導電層152もテーパ形状を有する。導電層152の端部をテーパ形状とすることで、導電層152の側面に沿って設けられる有機化合物層103の被覆性を高めることができる。
【0287】
また、導電層151、または導電層152が積層構造を有する場合、少なくとも1つの側面がテーパ形状を有していることが好ましい。また、各導電層を構成する積層構造において、層毎に異なるテーパ形状であってもよい。
【0288】
図3(A)においては、導電層151が異なる材料を含む複数の層の積層構造である場合の図を示している。
図3(A)に示すように、導電層151は、導電層151_1と、導電層151_1上の導電層151_2と、導電層151_2上の導電層151_3と、を有する構成である。つまり、
図3(A)に示す導電層151は、3層積層構成である。このように、導電層151が複数の層の積層構成である場合は、導電層151を構成する層のうち少なくとも1つの層の可視光に対する反射率を、導電層152の可視光に対する反射率より高くすればよい。
【0289】
図3(A)に示す例では、導電層151_2が、導電層151_1と導電層151_3により挟まれる構成である。導電層151_1、及び導電層151_3には、導電層151_2より変質しにくい材料を用いることが好ましい。例えば、導電層151_1には、絶縁層175と接することによるマイグレーションの発生が、導電層151_2より起こりにくい材料を用いることができる。また、導電層151_3には、導電層151_2より酸化しにくく、さらに酸化物の電気抵抗率が、導電層151_2に用いる材料の酸化物より低い材料を用いることができる。
【0290】
以上より、導電層151_2を、導電層151_1と導電層151_3で挟む構成とすることで、導電層151_2の材料選択の幅を広げることができる。これにより、例えば導電層151_2を、導電層151_1及び導電層151_3のうち少なくとも一方より、可視光に対する反射率が高い層とすることができる。例えば、導電層151_2としてアルミニウムを用いることができる。なお、導電層151_2には、アルミニウムを含む合金を用いてもよい。また、導電層151_1として、可視光に対する反射率がアルミニウムと比較すると低いが、絶縁層175と接してもアルミニウムよりマイグレーションが発生しにくい材料であるチタンを用いることができる。さらに、導電層151_3として、可視光に対する反射率がアルミニウムと比較すると低いが、アルミニウムより酸化しにくく、また酸化物の電気抵抗率が酸化アルミニウムの電気抵抗率より低い材料であるチタンを用いることができる。
【0291】
また、導電層151_3として、銀、又は銀を含む合金を用いてもよい。銀は、可視光に対する反射率がチタンより高いという特性を有する。さらに、銀は、アルミニウムより酸化しにくく、また酸化銀の電気抵抗率は酸化アルミニウムの電気抵抗率より低いという特性を有する。以上により、導電層151_3として銀、又は銀を含む合金を用いると、導電層151の可視光に対する反射率を好適に高くしつつ、導電層151_2の酸化による画素電極の電気抵抗の上昇を抑制できる。ここで、銀を含む合金として、例えば銀とパラジウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、APCとも記す)を適用できる。なお、導電層151_3として銀、又は銀を含む合金を用い、導電層151_2としてアルミニウムを用いると、導電層151_3の可視光に対する反射率を、導電層151_2の可視光に対する反射率より高くすることができる。ここで、導電層151_2として銀、又は銀を含む合金を用いてもよい。また、導電層151_1に銀、又は銀を含む合金を用いてもよい。
【0292】
一方、チタンを用いた膜は、銀を用いた膜よりエッチングによる加工性に優れる。よって、導電層151_3としてチタンを用いることにより、導電層151_3を容易に形成できる。なお、アルミニウムを用いた膜も、銀を用いた膜よりエッチングによる加工性に優れる。
【0293】
以上のように、導電層151を複数の層の積層構造とすることにより、発光装置の特性を向上させることができる。例えば、発光装置1000を、光取り出し効率が高く、且つ信頼性が高い発光装置とすることができる。
【0294】
ここで、発光デバイス130にマイクロキャビティ構造が適用されている場合は、導電層151_3として、可視光に対する反射率が高い材料である銀、又は銀を含む合金を用いると、発光装置1000の光取り出し効率を好適に高めることができる。
【0295】
また、導電層151の材料選択、または加工方法により、
図3(A)に示すように、導電層151_2の側面が、導電層151_1、及び導電層151_3の側面より内側に位置し、突出部を形成する場合がある。これにより、導電層152の導電層151に対する被覆性が低下し、導電層152の段切れが発生する恐れがある。
【0296】
そこで、
図3(A)のように絶縁層156を設けることが好ましい。
図3(A)では、導電層151_2の側面と重なる領域を有するように、導電層151_1上に絶縁層156が設けられる例を示している。これにより、突出部に起因した導電層152の段切れまたは薄膜化の発生を抑制できるため、接続不良または駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0297】
なお、
図3(A)においては、導電層151_2の側面が絶縁層156に全て覆われる構造を図示したが、導電層151_2の側面の一部が絶縁層156に覆われなくてもよい。以降に示す構成の画素電極においても、同様に導電層151_2の側面の一部が絶縁層156に覆われなくてもよい。
【0298】
また、
図3(A)に示すように、絶縁層156は、湾曲面を有することが好ましい。これにより、例えば絶縁層156の側面が垂直(Z方向に平行)である場合より、絶縁層156を覆う導電層152における段切れの発生を抑制できる。また、絶縁層156が、側面にテーパ形状、具体的にはテーパ角が90°未満のテーパ形状を有する場合であっても、例えば絶縁層156の側面が垂直である場合より、絶縁層156を覆う導電層152における段切れの発生を抑制できる。以上より、発光装置1000を、歩留まりが高い方法で作製できる。また、不良の発生を抑制し、発光装置1000は信頼性が高い発光装置とすることができる。
【0299】
なお、本発明の一態様はこれに限らない。例えば、
図3(B)乃至
図3(D)に、第1の電極101のその他の構成を示す。
【0300】
図3(B)は、
図3(A)の第1の電極101において、絶縁層156が導電層151_2の側面だけでなく、導電層151_1、導電層151_2および導電層151_3の側面を覆っている構成である。
【0301】
図3(C)は
図3(A)の第1の電極101において、絶縁層156が設けられていない構成である。
【0302】
図3(D)は
図3(A)の第1の電極101において、導電層151が積層構造を有しておらず、導電層152が積層構造を有している構成である。
【0303】
導電層152_1は、導電層152_2に対する密着性が、例えば絶縁層175より高い層とする。導電層152_1として、例えばインジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、チタン、アルミニウム、及びシリコンの中から選ばれるいずれか一又は複数を有する酸化物を用いることができる。例えば、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、酸化チタン、インジウムチタン酸化物、チタン酸亜鉛、アルミニウム亜鉛酸化物、ガリウムを含むインジウム亜鉛酸化物、アルミニウムを含むインジウム亜鉛酸化物、シリコンを含むインジウムスズ酸化物、及びシリコンを含むインジウム亜鉛酸化物等のいずれか一又は複数を含む導電性酸化物を用いることが好ましい。以上により、導電層152_2の膜剥がれを抑制することができる。また、導電層152_2を絶縁層175と接しない構成とすることができる。
【0304】
導電層152_2は、可視光に対する反射率(例えば400nm以上750nm未満の範囲内の所定の波長の光に対する反射率)が、導電層151、導電層152_1、及び導電層152_3より高い層とする。導電層152_2の可視光に対する反射率は、例えば70%以上100%以下とすることができ、好ましくは80%以上100%以下であり、より好ましくは90%以上100%以下である。また、導電層152_2として、例えば銀、又は銀を含む合金を用いることができる。銀を含む合金として、例えば銀、パラジウム、及び銅の合金(APC)が挙げられる。以上により、発光装置1000を、光取り出し効率が高い発光装置とすることができる。なお、導電層152_2として、銀以外の金属を用いてもよい。
【0305】
導電層152_3は、導電層151及び導電層152を陽極として機能させる場合、仕事関数が大きい層とすることが好ましい。導電層152_3は、例えば、導電層152_2より仕事関数が大きい層とする。導電層152_3として、例えば導電層152_1に用いることができる材料と同様の材料を用いることができる。例えば、導電層152_1と導電層152_3に同一種の材料を用いる構成とすることができる。
【0306】
なお、導電層151及び導電層152を陰極として機能させる場合、導電層152_3は、仕事関数が小さい層とすることが好ましい。導電層152_3は、例えば、導電層152_2より仕事関数が小さい層とする。
【0307】
また、導電層152_3は、可視光に対する透過率(例えば400nm以上750nm未満の範囲内の所定の波長の光に対する透過率)が高い層とすることが好ましい。例えば、導電層152_3の可視光に対する透過率は、導電層151、及び導電層152_2の可視光に対する透過率より高いことが好ましい。例えば、導電層152_3の可視光に対する透過率は、60%以上100%以下とすることができ、好ましくは70%以上100%以下であり、より好ましくは80%以上100%以下である。以上により、有機化合物層103が発する光のうち、導電層152_3に吸収される光を少なくすることができる。また、前述のように、導電層152_3下の導電層152_2は、可視光に対する反射率が高い層とすることができる。よって、発光装置1000を、光取り出し効率が高い発光装置とすることができる。
【0308】
続いて
図2に示す構成を有する発光装置1000の作製方法例を
図4乃至
図10を用いて説明する。
【0309】
[作製方法例1]
発光装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、及び、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、又はALD法等を用いて形成できる。CVD法としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、及び、熱CVD法等がある。また、熱CVD法のひとつに、有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic CVD)法がある。
【0310】
また、発光装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、及び、導電膜等)は、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ法、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、又はナイフコート等の湿式の成膜方法により形成できる。
【0311】
特に、発光デバイスの作製には、蒸着法等の真空プロセス、及び、スピンコート法、インクジェット法等の溶液プロセスを用いることができる。蒸着法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、分子線蒸着法、真空蒸着法等の物理蒸着法(PVD法)、及び、化学蒸着法(CVD法)等が挙げられる。特に有機化合物層に含まれる機能層(正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、発光層、電子ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層等)については、蒸着法(真空蒸着法等)、塗布法(ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法等)、印刷法(インクジェット法、スクリーン(孔版印刷)法、オフセット(平版印刷)法、フレキソ(凸版印刷)法、グラビア法、又は、マイクロコンタクト法等)等の方法により形成できる。
【0312】
また、発光装置を構成する薄膜を加工する際には、例えばフォトリソグラフィ法を用いて加工できる。又は、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法等により薄膜を加工してもよい。また、メタルマスク等の遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を直接形成してもよい。
【0313】
フォトリソグラフィ法としては、代表的には以下の2つの方法がある。1つは、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して、例えばエッチングにより当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法である。もう1つは、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法である。
【0314】
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、又はサンドブラスト法等を用いることができる。
【0315】
まず、
図4(A)に示すように、基板(図示せず)上に絶縁層171を形成する。続いて、絶縁層171上に導電層172、及び導電層179を形成し、導電層172、及び導電層179を覆うように絶縁層171上に絶縁層173を形成する。続いて、絶縁層173上に絶縁層174を形成し、絶縁層174上に絶縁層175を形成する。
【0316】
基板としては、少なくとも後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有する基板を用いることができる。基板として、絶縁性基板を用いる場合には、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、又は有機樹脂基板等を用いることができる。また、シリコン又は炭化シリコン等を材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等の半導体基板を用いることができる。
【0317】
続いて、
図4(A)に示すように、絶縁層175、絶縁層174、及び絶縁層173に、導電層172に達する開口を形成する。続いて、当該開口を埋め込むように、プラグ176を形成する。
【0318】
続いて、
図4(A)に示すように、プラグ176上、及び絶縁層175上に、後に導電層151R、導電層151G、導電層151B、及び導電層151Cとなる導電膜151fを形成する。導電膜151fの形成には、例えば、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いることができる。また、導電膜151fとして、例えば金属材料を用いることができる。
【0319】
続いて、
図4(A)に示すように、例えば導電膜151f上にレジストマスク191を形成する。レジストマスク191は、感光性材料(フォトレジスト)を塗布し、露光及び現像を行うことで形成できる。
【0320】
続いて、
図4(B)に示すように、例えばレジストマスク191と重ならない領域の導電膜151fを、例えばエッチング法、具体的には例えばドライエッチング法を用いて除去する。なお、導電膜151fが、例えばインジウム錫酸化物等の導電性酸化物を用いた層を含む場合は、当該層はウェットエッチング法を用いて除去してもよい。これにより、導電層151が形成される。なお、例えば導電膜151fの一部をドライエッチング法により除去する場合、絶縁層175の導電層151と重ならない領域に凹部(ザグリともいう)が形成される場合がある。
【0321】
続いて、
図4(C)に示すように、レジストマスク191を除去する。レジストマスク191は、例えば、酸素プラズマを用いたアッシングにより除去できる。又は、酸素ガスと、CF
4、C
4F
8、SF
6、CHF
3、Cl
2、H
2O、BCl
3、又はHe等の第18族元素と、を用いてもよい。又は、ウェットエッチングにより、レジストマスク191を除去してもよい。
【0322】
続いて、
図4(D)に示すように、導電層151R上、導電層151G上、導電層151B上、導電層151C上、及び絶縁層175上に、後に絶縁層156R、絶縁層156G、絶縁層156B、及び絶縁層156Cとなる絶縁膜156fを形成する。絶縁膜156fの形成には、例えばCVD法、ALD法、スパッタリング法、又は真空蒸着法を用いることができる。
【0323】
絶縁膜156fには、無機材料を用いることができる。絶縁膜156fには、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、又は窒化酸化絶縁膜等の無機絶縁膜を用いることができる。例えば、絶縁膜156fとして、シリコンを含む酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、又は窒化酸化絶縁膜等を用いることができる。例えば、絶縁膜156fとして、酸化窒化シリコンを用いることができる。
【0324】
続いて、
図4(E)に示すように、絶縁膜156fを加工することにより、絶縁層156R、絶縁層156G、絶縁層156B、及び絶縁層156Cを形成する。例えば、絶縁膜156fの上面に対し、略均一にエッチングを施すことにより、絶縁層156を形成できる。このように均一にエッチングして平坦化することをエッチバック処理ともいう。なお、絶縁層156を、フォトリソグラフィ法を用いて形成してもよい。
【0325】
続いて、
図5(A)に示すように、導電層151R上、導電層151G上、導電層151B上、導電層151C上、絶縁層156R上、絶縁層156G上、絶縁層156B上、絶縁層156C上、及び絶縁層175上に、後に導電層152R、導電層152G、導電層152B、及び導電層152Cとなる導電膜152fを形成する。具体的には、例えば導電層151R、導電層151G、導電層151B、導電層151C、絶縁層156R、絶縁層156G、絶縁層156B、及び絶縁層156Cを覆うように、導電膜152fを形成する。
【0326】
導電膜152fの形成には、例えば、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いることができる。また、導電膜152fの形成には、ALD法を用いることができる。また、導電膜152fとして、例えば導電性酸化物を用いることができる。又は、導電膜152fとして、金属材料を用いる膜と、当該膜上の導電性酸化物を用いる膜と、の積層構成を適用できる。例えば、導電膜152fとして、チタン、銀、又は銀を含む合金を用いる膜と、当該膜上の導電性酸化物を用いる膜と、の積層構成を適用できる。
【0327】
続いて、
図5(B)に示すように、例えばフォトリソグラフィ法を用いて導電膜152fを加工し、導電層152R、導電層152G、導電層152B、及び導電層152Cを形成する。具体的には、例えばレジストマスクの形成後、エッチング法により導電膜152fの一部を除去する。導電膜152fは、例えばウェットエッチング法により除去できる。なお、導電膜152fを、ドライエッチング法により除去してもよい。以上により、導電層151と、導電層152と、を有する画素電極が形成される。
【0328】
続いて、導電層152の疎水化処理を行うことが好ましい。疎水化処理では、処理対象となる表面を親水性から疎水性にすること、又は、処理対象となる表面の疎水性を高めることができる。導電層152の疎水化処理を行うことで、導電層152と、後の工程で形成される有機化合物層103と、の密着性を高め、膜剥がれを抑制できる。なお、疎水化処理は行わなくてもよい。
【0329】
続いて、
図5(C)に示すように、後に有機化合物層103Bとなる有機化合物膜103Bfを、導電層152B上、導電層152G上、導電層152R上、及び絶縁層175上に形成する。
【0330】
なお、本発明において、有機化合物膜103Bfは、少なくとも1以上の発光層を有する複数の有機化合物層を有する。具体的には、実施の形態2で説明した発光デバイス130の構造を参照することができる。また、少なくとも1以上の発光層を有する複数の有機化合物層が中間層を介して積層された構造を有してもよい。
【0331】
図5(C)に示すように、導電層152C上には、有機化合物膜103Bfを形成していない。例えば、成膜エリアを規定するためのマスク(ファインメタルマスクと区別して、エリアマスク、又はラフメタルマスク等ともいう)を用いることで、有機化合物膜103Bfを所望の領域にのみ成膜できる。エリアマスクを用いた成膜工程と、レジストマスクを用いた加工工程と、を採用することで、比較的簡単なプロセスにて発光デバイスを作製できる。
【0332】
有機化合物膜103Bfは、例えば、蒸着法、具体的には真空蒸着法により形成できる。また、有機化合物膜103Bfは、転写法、印刷法、インクジェット法、又は塗布法等の方法で形成してもよい。
【0333】
続いて、
図5(D)に示すように、有機化合物膜103Bf上に、後に犠牲層158Bとなる犠牲膜158Bfと、後にマスク層159Bとなるマスク膜159Bfと、を順に形成する。
【0334】
犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfの形成には、例えば、スパッタリング法、ALD法(熱ALD法、PEALD法)、CVD法、真空蒸着法を用いることができる。また、前述の湿式の成膜方法を用いて形成してもよい。
【0335】
また、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfは、有機化合物膜103Bfの耐熱温度よりも低い温度で形成する。犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfを形成する際の基板温度としては、それぞれ、代表的には、200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
【0336】
なお、本実施の形態では、犠牲膜158Bfとマスク膜159Bfの2層構造でマスク膜を形成する例を示すが、マスク膜は単層構造であってもよく、3層以上の積層構造であってもよい。
【0337】
有機化合物膜103Bf上に犠牲膜を設けることで、発光装置の作製工程中に有機化合物膜103Bfが受けるダメージを低減し、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
【0338】
犠牲膜158Bfには、有機化合物膜103Bfの加工条件に対する耐性の高い膜、具体的には、有機化合物膜103Bfとのエッチングの選択比が大きい膜を用いる。マスク膜159Bfには、犠牲膜158Bfとのエッチングの選択比が大きい膜を用いる。
【0339】
犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfには、ウェットエッチング法により除去できる膜を用いることが好ましい。ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfの加工時に、有機化合物膜103Bfに加わるダメージを低減できる。
【0340】
ウェットエッチング法を用いる場合、特に酸性の薬液を用いることが好ましい。酸性の薬液としては、リン酸、フッ化水素酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、および硫酸などのいずれか一を含む薬液、または、2種以上の酸の混合薬液(混酸ともいう)を用いるとよい。
【0341】
犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfとしては、それぞれ、例えば、金属膜、合金膜、金属酸化物膜、半導体膜、有機絶縁膜、及び、無機絶縁膜等のうち一種又は複数種を用いることができる。
【0342】
また、犠牲膜158Bfおよびマスク膜159Bfに、紫外線に対して遮光性を有する材料を含む膜を用いることで、例えば露光工程で有機化合物層に紫外線が照射されることを抑制できる。有機化合物層が紫外線によってダメージを受けることを抑制することで、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
【0343】
なお、紫外線に対して遮光性を有する材料を含む膜は、後述する無機絶縁膜125fの材料として用いても、同様の効果を奏する。
【0344】
犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfには、それぞれ、例えば、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、チタン、アルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、及びタンタル等の金属材料、又は該金属材料を含む合金材料を用いることができる。特に、アルミニウム又は銀等の低融点材料を用いることが好ましい。
【0345】
また、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfには、それぞれ、In-Ga-Zn酸化物、酸化インジウム、In-Zn酸化物、In-Sn酸化物、インジウムチタン酸化物(In-Ti酸化物)、インジウムスズ亜鉛酸化物(In-Sn-Zn酸化物)、インジウムチタン亜鉛酸化物(In-Ti-Zn酸化物)、インジウムガリウムスズ亜鉛酸化物(In-Ga-Sn-Zn酸化物)、シリコンを含むインジウムスズ酸化物等の金属酸化物を用いることができる。
【0346】
なお、上記ガリウムに代えて元素M(Mは、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムから選ばれた一種又は複数種)を用いてもよい。
【0347】
また、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfとして、例えば、シリコン又はゲルマニウム等の半導体材料を用いることは、半導体の製造プロセスと親和性の高いため好ましい。又、上記半導体材料の酸化物又は窒化物を用いることができる。又は、炭素等の非金属材料、又はその化合物を用いることができる。又は、チタン、タンタル、タングステン、クロム、アルミニウム等の金属、又はこれらの一以上を含む合金が挙げられる。又は、酸化チタンもしくは酸化クロム等の上記金属を含む酸化物、又は窒化チタン、窒化クロム、もしくは窒化タンタル等の窒化物を用いることができる。
【0348】
また、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfとしては、それぞれ、各種無機絶縁膜を用いることができる。特に、酸化絶縁膜は、窒化絶縁膜に比べて有機化合物膜103Bfとの密着性が高く好ましい。例えば、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfには、それぞれ、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化シリコン等の無機絶縁材料を用いることができる。犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfとして、例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を形成できる。ALD法を用いることで、下地(特に有機化合物層)へのダメージを低減できるため好ましい。
【0349】
また、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfの一方又は双方に、有機材料を用いてもよい。例えば、有機材料として、少なくとも有機化合物膜103Bfの最上部に位置する膜に対して、化学的に安定な溶媒に溶解しうる材料を用いてもよい。特に、水又はアルコールに溶解する材料を好適に用いることができる。このような材料の成膜の際には、水又はアルコール等の溶媒に溶解させた状態で、湿式の成膜方法で塗布した後に、溶媒を蒸発させるための加熱処理を行うことが好ましい。このとき、減圧雰囲気下での加熱処理を行うことで、低温且つ短時間で溶媒を除去できるため、有機化合物膜103Bfへの熱的なダメージを低減でき、好ましい。
【0350】
犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfには、それぞれ、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、アルコール可溶性のポリアミド樹脂、又は、パーフルオロポリマー等のフッ素樹脂等の有機樹脂を用いてもよい。
【0351】
例えば、犠牲膜158Bfとして、蒸着法又は上記湿式の成膜方法のいずれかを用いて形成した有機膜(例えば、PVA膜)を用い、マスク膜159Bfとして、スパッタリング法を用いて形成した無機膜(例えば、窒化シリコン膜)を用いることができる。
【0352】
続いて、
図5(D)に示すように、マスク膜159Bf上にレジストマスク190Bを形成する。レジストマスク190Bは、感光性材料(フォトレジスト)を塗布し、露光及び現像を行うことで形成できる。
【0353】
レジストマスク190Bは、ポジ型のレジスト材料及びネガ型のレジスト材料のどちらを用いて作製してもよい。
【0354】
レジストマスク190Bは、導電層152Bと重なる位置に設ける。レジストマスク190Bは、導電層152Cと重なる位置にも設けることが好ましい。これにより、導電層152Cが発光装置の作製工程中にダメージを受けることを抑制できる。なお、導電層152C上にレジストマスク190Bを設けなくてもよい。また、レジストマスク190Bは、
図5(C)のB1-B2間の断面図に示すように、有機化合物膜103Bfの端部から導電層152Cの端部(有機化合物膜103Bf側の端部)までを覆うように設けることが好ましい。
【0355】
続いて、
図5(E)に示すように、レジストマスク190Bを用いて、マスク膜159Bfの一部を除去し、マスク層159Bを形成する。マスク層159Bは、導電層152B上と、導電層152C上と、に残存する。その後、レジストマスク190Bを除去する。続いて、マスク層159Bをマスク(ハードマスクともいう)に用いて、犠牲膜158Bfの一部を除去し、犠牲層158Bを形成する。
【0356】
犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfは、それぞれ、ウェットエッチング法又はドライエッチング法により加工できる。犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfの加工は、ウェットエッチングにより行うことが好ましい。
【0357】
ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfの加工時に、有機化合物膜103Bfに加わるダメージを低減できる。なお、ウェットエッチング法を用いる場合、特に酸性の薬液を用いることが好ましい。ウェットエッチング法を用いる場合、例えば、現像液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)、希フッ酸、シュウ酸、リン酸、酢酸、硝酸、フッ化水素酸、硫酸又はこれらの2種以上の酸の混合液体(混酸ともいう)を用いた薬液等を用いることが好ましい。
【0358】
マスク膜159Bfの加工においては、有機化合物膜103Bfが露出しないため、犠牲膜158Bfの加工よりも、加工方法の選択の幅は広い。具体的には、マスク膜159Bfの加工の際に、エッチングガスに酸素を含むガスを用いた場合でも、有機化合物膜103Bfの劣化をより抑制できる。
【0359】
また、犠牲膜158Bfの加工においてドライエッチング法を用いる場合は、エッチングガスに酸素を含むガスを用いないことで、有機化合物膜103Bfの劣化を抑制できる。ドライエッチング法を用いる場合、例えば、CF4、C4F8、SF6、CHF3、Cl2、H2O、BCl3、又はHe等の第18族元素を含むガスをエッチングガスに用いることが好ましい。
【0360】
レジストマスク190Bは、レジストマスク191と同様の方法で除去できる。このとき、犠牲膜158Bfが最表面に位置し、有機化合物膜103Bfは露出していないため、レジストマスク190Bの除去工程において、有機化合物膜103Bfにダメージが入ることを抑制できる。また、レジストマスク190Bの除去方法の選択の幅を広げることができる。
【0361】
続いて、
図5(E)に示すように、有機化合物膜103Bfを加工して、有機化合物層103Bを形成する。例えば、マスク層159B及び犠牲層158Bをハードマスクに用いて、有機化合物膜103Bfの一部を除去し、有機化合物層103Bを形成する。
【0362】
これにより、
図5(E)に示すように、導電層152B上に、有機化合物層103B、犠牲層158B、及び、マスク層159Bの積層構造が残存する。また、導電層152G及び導電層152Rは露出する。
【0363】
有機化合物膜103Bfの加工は、ドライエッチング又は、ウェットエッチングを用いることができる。例えば、ドライエッチング法により加工する場合は、酸素を含むエッチングガスを用いることができる。エッチングガスが酸素を含むことで、エッチングの速度を速めることができる。したがって、エッチング速度を十分な速さに維持しつつ、低パワーの条件でエッチングを行うことができる。このため、有機化合物膜103Bfに与えるダメージを抑制できる。さらに、エッチング時に生じる反応生成物の付着等の不具合を抑制できる。
【0364】
また、酸素を含まないエッチングガスを用いてもよい。例えば、酸素を含まないエッチングガスを用いることで、有機化合物膜103Bfの劣化を抑制できる。
【0365】
以上のように、本発明の一態様では、マスク膜159Bf上にレジストマスク190Bを形成し、レジストマスク190Bを用いて、マスク膜159Bfの一部を除去することにより、マスク層159Bを形成する。その後、マスク層159Bをハードマスクに用いて、有機化合物膜103Bfの一部を除去することにより、有機化合物層103Bを形成する。よって、フォトリソグラフィ法を用いて有機化合物膜103Bfを加工することにより、有機化合物層103Bが形成されるということができる。なお、レジストマスク190Bを用いて、有機化合物膜103Bfの一部を除去してもよい。その後、レジストマスク190Bを除去してもよい。
【0366】
ここで、導電層152Gの疎水化処理を必要に応じて行ってもよい。有機化合物膜103Bfの加工時に、例えば導電層152Gの表面状態が親水性に変化する場合がある。例えば導電層152Gの疎水化処理を行うことで、例えば導電層152Gと後の工程で形成される層(ここでは有機化合物層103G)との密着性を高め、膜剥がれを抑制できる。
【0367】
続いて、
図6(A)に示すように、後に有機化合物層103Gとなる有機化合物膜103Gfを、導電層152G上、導電層152R上、マスク層159B上、及び絶縁層175上に形成する。
【0368】
有機化合物膜103Gfは、有機化合物膜103Bfの形成に用いることができる方法と同様の方法で形成できる。また、有機化合物膜103Gfは、有機化合物膜103Bfと同様の構成とすることができる。
【0369】
続いて、
図6(B)に示すように、有機化合物膜103Gf上、及びマスク層159B上に、後に犠牲層158Gとなる犠牲膜158Gfと、後にマスク層159Gとなるマスク膜159Gfと、を順に形成する。その後、レジストマスク190Gを形成する。犠牲膜158Gf及びマスク膜159Gfの材料及び形成方法は、犠牲膜158Bf及びマスク膜159Bfに適用できる条件と同様である。レジストマスク190Gの材料及び形成方法は、レジストマスク190Bに適用できる条件と同様である。
【0370】
レジストマスク190Gは、導電層152Gと重なる位置に設ける。
【0371】
続いて、
図6(C)に示すように、レジストマスク190Gを用いて、マスク膜159Gfの一部を除去し、マスク層159Gを形成する。マスク層159Gは、導電層152G上に残存する。その後、レジストマスク190Gを除去する。続いて、マスク層159Gをマスクに用いて、犠牲膜158Gfの一部を除去し、犠牲層158Gを形成する。続いて、有機化合物膜103Gfを加工して、有機化合物層103Gを形成する。例えば、マスク層159G及び犠牲層158Gをハードマスクに用いて、有機化合物膜103Gfの一部を除去し、有機化合物層103Gを形成する。
【0372】
これにより、
図6(C)に示すように、導電層152G上に、有機化合物層103G、犠牲層158G、及び、マスク層159Gの積層構造が残存する。また、マスク層159B及び導電層152Rは露出する。
【0373】
また、例えば導電層152Rの疎水化処理を行ってもよい。
【0374】
続いて、
図7(A)に示すように、後に有機化合物層103Rとなる有機化合物膜103Rfを、導電層152R上、マスク層159G上、マスク層159B上、及び絶縁層175上に形成する。
【0375】
有機化合物膜103Rfは、有機化合物膜103Gfの形成に用いることができる方法と同様の方法で形成できる。また、有機化合物膜103Rfは、有機化合物膜103Gfと同様の構成とすることができる。
【0376】
続いて、
図7(B)および
図7(C)に示すように、レジストマスク190Rを用いて、犠牲膜158Rfから犠牲層158R、マスク膜159Rfからマスク層159R、または有機化合物膜103Rfから有機化合物層103Rを形成する。犠牲層158R、マスク層159R、有機化合物層103Rの形成方法は、有機化合物層103Gの記載を参酌することができる。
【0377】
なお、有機化合物層103B、有機化合物層103G、有機化合物層103Rの側面は、それぞれ、被形成面に対して垂直又は概略垂直であることが好ましい。例えば、被形成面と、これらの側面との成す角度を、60度以上90度以下とすることが好ましい。
【0378】
上記のように、フォトリソグラフィ法を用いて形成した有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rのうち隣接する2つの間の距離は、8μm以下、5μm以下、3μm以下、2μm以下、又は、1μm以下にまで狭めることができる。ここで、当該距離とは、例えば、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rのうち、隣接する2つの対向する端部の間の距離で規定できる。このように、島状の有機化合物層の間の距離を狭めることで、高い精細度と、大きな開口率を有する発光装置を提供できる。また、隣り合う発光デバイス間における第1の電極同士の距離も、狭めることができ、例えば10μm以下、8μm以下、5μm以下、3μm以下、2μm以下とすることができる。なお、隣り合う発光デバイス間における第1の電極同士の距離は2μm以上5μm以下であることが好ましい。
【0379】
次に、
図8(A)に示すように、マスク層159B、マスク層159G、及びマスク層159Rを除去する。
【0380】
なお、本実施の形態では、マスク層159B、マスク層159G、及びマスク層159Rを除去する場合を例に挙げて説明するが、マスク層159B、マスク層159G、及びマスク層159Rは除去しなくてもよい。例えば、マスク層159B、マスク層159G、及びマスク層159Rが、前述の、紫外線に対して遮光性を有する材料を含む場合は、除去せずに次の工程に進むことで、有機化合物層を光照射(照明光を含む)から保護することができる。
【0381】
マスク層の除去工程には、マスク層の加工工程と同様の方法を用いることができる。特に、ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、マスク層を除去する際に、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rに加わるダメージを低減できる。
【0382】
また、マスク層を、水又はアルコール等の溶媒に溶解させることで除去してもよい。アルコールとしては、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、又はグリセリン等が挙げられる。
【0383】
マスク層を除去した後に、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rに含まれる水、並びに有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103R表面に吸着する水を除去するため、乾燥処理を行ってもよい。例えば、不活性雰囲気又は減圧雰囲気下における加熱処理を行うことができる。加熱処理は、基板温度として50℃以上200℃以下、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは70℃以上120℃以下の温度で行うことができる。減圧雰囲気とすることで、より低温で乾燥が可能であるため好ましい。
【0384】
続いて、
図8(B)に示すように、有機化合物層103B、有機化合物層103G、有機化合物層103R、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rを覆うように、後に無機絶縁層125となる無機絶縁膜125fを形成する。
【0385】
後述するように、無機絶縁膜125fの上面に接して、後に絶縁層127となる絶縁膜が形成される。このため、無機絶縁膜125fの上面は、絶縁層127となる絶縁膜に用いる材料(例えば、アクリル樹脂を含む感光性の樹脂組成物)に対して親和性が高いことが好ましい。当該親和性を向上させるため、無機絶縁膜125fの上面に表面処理を行ってもよい。具体的には、無機絶縁膜125fの表面を疎水化すること(又は疎水性を高めること)が好ましい。例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等のシリル化剤を用いて処理を行うことが好ましい。このように無機絶縁膜125fの上面を疎水化することにより、絶縁膜127fを密着性良く形成できる。
【0386】
続いて、
図8(C)に示すように、無機絶縁膜125f上に、後に絶縁層127となる絶縁膜127fを形成する。
【0387】
無機絶縁膜125f及び絶縁膜127fは、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rへのダメージが少ない形成方法で成膜することが好ましい。特に、無機絶縁膜125fは、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rの側面に接して形成されるため、絶縁膜127fよりも、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rへのダメージが少ない形成方法で成膜することが好ましい。
【0388】
また、無機絶縁膜125f及び絶縁膜127fは、それぞれ、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rの耐熱温度よりも低い温度で形成する。また、無機絶縁膜125fは成膜する際の基板温度を高くすることで、膜厚が薄くても、不純物濃度が低く、水及び酸素の少なくとも一方に対するバリア性の高い膜とすることができる。
【0389】
無機絶縁膜125f及び絶縁膜127fを形成する際の基板温度としては、それぞれ、60℃以上、80℃以上、100℃以上、又は、120℃以上、かつ、200℃以下、180℃以下、160℃以下、150℃以下、又は140℃以下であることが好ましい。
【0390】
無機絶縁膜125fとしては、上記の基板温度の範囲で、3nm以上、5nm以上、又は、10nm以上、かつ、200nm以下、150nm以下、100nm以下、又は、50nm以下の厚さの絶縁膜を形成することが好ましい。
【0391】
無機絶縁膜125fは、例えば、ALD法を用いて形成することが好ましい。ALD法を用いることで、成膜ダメージを小さくすることができ、また、被覆性の高い膜を成膜可能なため好ましい。無機絶縁膜125fとしては、例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を形成することが好ましい。
【0392】
そのほか、無機絶縁膜125fは、ALD法よりも成膜速度が速いスパッタリング法、CVD法、又は、PECVD法を用いて形成してもよい。これにより、信頼性の高い発光装置を生産性高く作製できる。
【0393】
絶縁膜127fは、前述の湿式の成膜方法を用いて形成することが好ましい。絶縁膜127fは、例えば、スピンコートにより、感光性材料を用いて形成することが好ましく、より具体的には、アクリル樹脂を含む感光性の樹脂組成物を用いて形成することが好ましい。
【0394】
絶縁膜127fは、例えば、重合体、酸発生剤、及び溶媒を有する樹脂組成物を用いて形成することが好ましい。重合体は、1種又は複数種の単量体を用いて形成され、1種又は複数種の構造単位(構成単位ともいう)が規則的又は不規則に繰り返された構造を有する。酸発生剤としては、光の照射により酸を発生する化合物、及び、加熱により酸を発生する化合物の一方又は双方を用いることができる。樹脂組成物は、さらに、感光剤、増感剤、触媒、接着助剤、界面活性剤、酸化防止剤のうち一つ又は複数を有していてもよい。
【0395】
また、絶縁膜127fの形成後に加熱処理(プリベークともいう)を行うことが好ましい。当該加熱処理は、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び、有機化合物層103Rの耐熱温度よりも低い温度で行う。加熱処理の際の基板温度としては、50℃以上200℃以下が好ましく、60℃以上150℃以下がより好ましく、70℃以上120℃以下がさらに好ましい。これにより、絶縁膜127f中に含まれる溶媒を除去できる。
【0396】
続いて、露光を行って、絶縁膜127fの一部に、可視光線又は紫外線を感光させる。ここで、絶縁膜127fにアクリル樹脂を含むポジ型の感光性の樹脂組成物を用いる場合、後の工程で絶縁層127を形成しない領域に可視光線又は紫外線を照射する。絶縁層127は、導電層152B、導電層152G、及び導電層152Rのいずれか2つに挟まれる領域、及び、導電層152Cの周囲に形成される。このため、導電層152B上、導電層152G上、導電層152R上、及び、導電層152C上に、可視光線又は紫外線を照射する。なお、絶縁膜127fにネガ型の感光性材料を用いる場合、絶縁層127が形成される領域に可視光線又は紫外線を照射する。
【0397】
絶縁膜127fへの露光領域によって、後に形成する絶縁層127の幅を制御できる。本実施の形態では、絶縁層127が導電層151の上面と重なる部分を有するように加工する。
【0398】
ここで、犠牲層158(犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158R)、及び無機絶縁膜125fの一方又は双方として、酸素に対するバリア絶縁層(例えば、酸化アルミニウム膜等)を設けることで、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rに酸素が拡散することを低減できる。有機化合物層は、光(可視光線又は紫外線)が照射されると、当該有機化合物層に含まれる有機化合物が励起状態となり、雰囲気中に含まれる酸素との反応が促進される場合がある。より具体的には、酸素を有する雰囲気下において、光(可視光線又は紫外線)が有機化合物層に照射されると当該有機化合物層が有する有機化合物に酸素が結合する可能性がある。犠牲層158及び無機絶縁膜125fを島状の有機化合物層上に設けることによって、当該有機化合物層に含まれる有機化合物に雰囲気中の酸素が結合することを低減できる。
【0399】
続いて、
図9(A)に示すように、現像を行って、絶縁膜127fの露光させた領域を除去し、絶縁層127aを形成する。絶縁層127aは、導電層152B、導電層152G、及び導電層152Rのいずれか2つに挟まれる領域と、導電層152Cを囲う領域に形成される。ここで、絶縁膜127fにアクリル樹脂を用いる場合、現像液として、アルカリ性の溶液を用いることができ、例えば、TMAHを用いることができる。
【0400】
続いて、
図9(B)に示すように、絶縁層127aをマスクとして、エッチング処理を行って、無機絶縁膜125fの一部を除去し、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rの一部の膜厚を薄くする。これにより、絶縁層127aの下に、無機絶縁層125が形成される。なお、以下では、絶縁層127aをマスクに用いた無機絶縁膜125fを加工するエッチング処理を、第1のエッチング処理ということがある。
【0401】
つまり、第1のエッチング処理では、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rを完全に除去せず、膜厚が薄くなった状態でエッチング処理を停止する。このように、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103R上に、対応する犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rを残存させておくことで、後の工程の処理で、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rが損傷することを防ぐことができる。
【0402】
第1のエッチング処理は、ドライエッチング又はウェットエッチングによって行うことができる。なお、無機絶縁膜125fを、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rと同様の材料を用いて成膜していた場合、無機絶縁膜125fの加工、および露出した犠牲層158の薄膜化を第1のエッチング処理により一括で行うことができるため、好ましい。
【0403】
側面がテーパ形状である絶縁層127aをマスクとしてエッチングを行うことで、無機絶縁層125の側面、及び犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rの側面上端部を比較的容易にテーパ形状にすることができる。
【0404】
例えば、第1のエッチング処理をドライエッチングで行う場合、塩素系のガスを用いることができる。塩素系ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4、及びCCl4等を、単独又は2以上のガスを混合して用いることができる。また、上記塩素系ガスに、酸素ガス、水素ガス、ヘリウムガス、及びアルゴンガス等を、単独又は2以上のガスを混合して、適宜添加できる。ドライエッチングを用いることにより、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rの膜厚が薄い領域を、良好な面内均一性で形成できる。
【0405】
また、例えば、第1のエッチング処理をウェットエッチングで行うことができる。ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rに加わるダメージを低減できる。
【0406】
ウェットエッチングは、酸性の薬液を用いることが好ましい。酸性の薬液としては、リン酸、フッ化水素酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、および硫酸などのいずれか一を含む薬液、または、2種以上の酸の混合薬液(混酸ともいう)を用いるとよい。
【0407】
また、アルカリ溶液を用いて行うことができる。例えば、酸化アルミニウム膜のウェットエッチングには、アルカリ溶液であるTMAHを用いることができる。この場合、パドル方式でウェットエッチングを行うことができる。
【0408】
続いて、加熱処理(ポストベークともいう)を行う。加熱処理を行うことで、絶縁層127aを、側面にテーパ形状を有する絶縁層127に変形させることができる(
図9(C)参照)。当該加熱処理は、有機化合物層の耐熱温度よりも低い温度で行う。加熱処理は、基板温度として50℃以上200℃以下、好ましくは60℃以上150℃以下、より好ましくは70℃以上130℃以下の温度で行うことができる。加熱雰囲気は、大気雰囲気であってもよく、不活性雰囲気であってもよい。また、加熱雰囲気は、大気圧雰囲気であってもよく、減圧雰囲気であってもよい。本工程の加熱処理は、絶縁膜127fの形成後の加熱処理(プリベーク)よりも、基板温度を高くすることが好ましい。
【0409】
加熱処理により、絶縁層127と無機絶縁層125との密着性を向上させ、絶縁層127の耐食性も向上させることができる。また、絶縁層127aが変形することにより、無機絶縁層125の端部を絶縁層127で覆う形状にすることができる。
【0410】
第1のエッチング処理にて、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rを完全に除去せず、膜厚が薄くなった状態の犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rを残存させておくことで、当該加熱処理において、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rがダメージを受けて劣化することを防ぐことができる。したがって、発光デバイスの信頼性を高めることができる。
【0411】
続いて、
図10(A)に示すように、絶縁層127をマスクとして、エッチング処理を行って、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rの一部を除去する。なお、この際に、無機絶縁層125の一部も除去される場合がある。当該エッチング処理により、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rに開口が形成され、当該開口から有機化合物層103B、有機化合物層103G、有機化合物層103R、及び導電層152Cの上面が露出する。なお、以下では、絶縁層127をマスクに用い、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rを露出するエッチング処理を、第2のエッチング処理ということがある。
【0412】
第2のエッチング処理はウェットエッチングで行う。ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rに加わるダメージを低減できる。ウェットエッチングは、第1のエッチング処理と同様に酸性の薬液、またはアルカリ溶液を用いて行うことができる。
【0413】
また、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rの一部を露出した後、さらに加熱処理を行ってもよい。当該加熱処理により、有機化合物層に含まれる水、及び有機化合物層表面に吸着する水等を除去できる。また、当該加熱処理により、絶縁層127の形状が変化することがある。具体的には、絶縁層127が、無機絶縁層125の端部、犠牲層158B、犠牲層158G、及び犠牲層158Rの端部、及び、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rの上面のうち、少なくとも一つを覆うように広がることがある。
【0414】
なお、
図10(A)では、犠牲層158Gの端部の一部(具体的には、第1のエッチング処理により形成されたテーパ形状の部分)を絶縁層127が覆い、第2のエッチング処理により形成されたテーパ形状の部分は露出している例を示す(
図3(A)参照)。
【0415】
また、絶縁層127は、犠牲層158Gの端部全体を覆っていてもよい。例えば、絶縁層127の端部が垂れて、犠牲層158Gの端部を覆う場合がある。また、例えば、絶縁層127の端部が、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rの少なくとも一つの上面に接する場合がある。
【0416】
続いて、
図10(B)に示すように、有機化合物層103B上、有機化合物層103G上、有機化合物層103R上、導電層152C上、及び絶縁層127上に共通電極155を形成する。共通電極155は、スパッタリング法、又は真空蒸着法等の方法で形成できる。又は、蒸着法で形成した膜と、スパッタリング法で形成した膜を積層させて、共通電極155を形成してもよい。
【0417】
続いて、
図10(C)に示すように、共通電極155上に保護層131を形成する。保護層131は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、又はALD法の方法で形成できる。
【0418】
続いて、樹脂層122を用いて、保護層131上に、基板120を貼り合わせることで、発光装置を作製できる。前述のように、本発明の一態様の発光装置の作製方法では、導電層151の側面と重なる領域を有するように絶縁層156を設け、且つ導電層151及び絶縁層156を覆うように導電層152を形成する。これにより、発光装置の歩留まりを高め、また不良の発生を抑制できる。
【0419】
以上のように、本発明の一態様の発光装置の作製方法では、島状の有機化合物層103B、島状の有機化合物層103G、及び有機化合物層103Rは、ファインメタルマスクを用いて形成されるのではなく、膜を一面に成膜した後に加工することで形成されるため、島状の層を均一の厚さで形成できる。そして、高精細な発光装置又は高開口率の発光装置を実現できる。また、精細度又は開口率が高く、副画素間の距離が極めて短くても、隣接する副画素において、有機化合物層103B、有機化合物層103G、及び、有機化合物層103Rが互いに接することを抑制できる。したがって、副画素間にリーク電流が発生することを抑制できる。これにより、クロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い発光装置を実現できる。また、フォトリソグラフィ法を用いて作製されたタンデム型の発光デバイスを有する発光装置であっても、良好な特性の発光装置を提供することができる。
【0420】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について
図11(A)乃至
図11(G)、及び
図12(A)乃至
図12(I)を用いて説明する。
【0421】
[画素のレイアウト]
本実施の形態では、主に、
図2とは異なる画素レイアウトについて説明する。副画素の配列に特に限定はなく、様々な方法を適用できる。副画素の配列としては、例えば、ストライプ配列、Sストライプ配列、マトリクス配列、デルタ配列、ベイヤー配列、及びペンタイル配列が挙げられる。
【0422】
本実施の形態で図に示す副画素の上面形状は、発光領域の上面形状に相当する。
【0423】
なお、副画素の上面形状としては、例えば、三角形、四角形(長方形、正方形を含む)、五角形等の多角形、これら多角形の角が丸い形状、楕円形、又は円形等が挙げられる。
【0424】
また、副画素を構成する回路レイアウトは、図に示す副画素の範囲に限定されず、その外側に配置されていてもよい。
【0425】
図11(A)に示す画素178には、Sストライプ配列が適用されている。
図11(A)に示す画素178は、副画素110R、副画素110G、及び副画素110Bの、3つの副画素から構成される。
【0426】
図11(B)に示す画素178は、角が丸い略台形の上面形状を有する副画素110Rと、角が丸い略三角形の上面形状を有する副画素110Gと、角が丸い略四角形又は略六角形の上面形状を有する副画素110Bと、を有する。また、副画素110Rは、副画素110Gよりも発光面積が広い。このように、各副画素の形状及びサイズはそれぞれ独立に決定できる。例えば、信頼性の高い発光デバイスを有する副画素ほど、サイズを小さくすることができる。
【0427】
図11(C)に示す画素124a、及び画素124bには、ペンタイル配列が適用されている。
図11(C)では、副画素110R及び副画素110Gを有する画素124aと、副画素110G及び副画素110Bを有する画素124bと、が交互に配置されている例を示す。
【0428】
図11(D)乃至
図11(F)に示す画素124a、及び画素124bは、デルタ配列が適用されている。画素124aは上の行(1行目)に、2つの副画素(副画素110R、及び副画素110G)を有し、下の行(2行目)に、1つの副画素(副画素110B)を有する。画素124bは上の行(1行目)に、1つの副画素(副画素110B)を有し、下の行(2行目)に、2つの副画素(副画素110R、及び副画素110G)を有する。
【0429】
図11(D)は、各副画素が、角が丸い略四角形の上面形状を有する例であり、
図11(E)は、各副画素が、円形の上面形状を有する例であり、
図11(F)は、各副画素が、角が丸い略六角形の上面形状を有する例である。
【0430】
図11(F)では、各副画素が、最密に配列した六角形の領域の内側に配置されている。各副画素は、その1つの副画素に着目したとき、6つの副画素に囲まれるように、配置されている。また、同じ色の光を呈する副画素が隣り合わないように設けられている。例えば、副画素110Rに着目したとき、これを囲むように3つの副画素110Gと3つの副画素110Bが、交互に配置されるように、それぞれの副画素が設けられている。
【0431】
図11(G)は、各色の副画素がジグザグに配置されている例である。具体的には、上面視において、列方向に並ぶ2つの副画素(例えば、副画素110Rと副画素110G、又は、副画素110Gと副画素110B)の上辺の位置がずれている。
【0432】
図11(A)乃至
図11(G)に示す各画素において、例えば、副画素110Rを赤色の光を呈する副画素Rとし、副画素110Gを緑色の光を呈する副画素Gとし、副画素110Bを青色の光を呈する副画素Bとすることが好ましい。なお、副画素の構成はこれに限定されず、副画素が呈する色とその並び順は適宜決定できる。例えば、副画素110Gを赤色の光を呈する副画素Rとし、副画素110Rを緑色の光を呈する副画素Gとしてもよい。
【0433】
フォトリソグラフィ法では、加工するパターンが微細になるほど、光の回折の影響を無視できなくなるため、露光によりフォトマスクのパターンを転写する際に忠実性が損なわれ、レジストマスクを所望の形状に加工することが困難になる。そのため、フォトマスクのパターンが矩形であっても、角が丸まったパターンが形成されやすい。したがって、副画素の上面形状が、多角形の角が丸い形状、楕円形、又は円形等になることがある。
【0434】
さらに、本発明の一態様の発光装置の作製方法では、レジストマスクを用いて有機化合物層を島状に加工する。有機化合物層上に形成したレジスト膜は、有機化合物層の耐熱温度よりも低い温度で硬化する必要がある。そのため、有機化合物層の材料の耐熱温度及びレジスト材料の硬化温度によっては、レジスト膜の硬化が不十分になる場合がある。硬化が不十分なレジスト膜は、加工時に所望の形状から離れた形状をとることがある。その結果、有機化合物層の上面形状が、多角形の角が丸い形状、楕円形、又は円形等になることがある。例えば、上面形状が正方形のレジストマスクを形成しようとした場合に、円形の上面形状のレジストマスクが形成され、有機化合物層の上面形状が円形になることがある。
【0435】
なお、有機化合物層の上面形状を所望の形状とするために、設計パターンと、転写パターンとが、一致するように、あらかじめマスクパターンを補正する技術(OPC(Optical Proximity Correction:光近接効果補正)技術)を用いてもよい。具体的には、OPC技術では、例えばマスクパターン上の図形コーナー部に補正用のパターンを追加する。
【0436】
図12(A)乃至
図12(I)に示すように、画素は副画素を4種類有する構成とすることができる。
【0437】
図12(A)乃至
図12(C)に示す画素178は、ストライプ配列が適用されている。
【0438】
図12(A)は、各副画素が、長方形の上面形状を有する例であり、
図12(B)は、各副画素が、2つの半円と長方形をつなげた上面形状を有する例であり、
図12(C)は、各副画素が、楕円形の上面形状を有する例である。
【0439】
図12(D)乃至
図12(F)に示す画素178は、マトリクス配列が適用されている。
【0440】
図12(D)は、各副画素が、正方形の上面形状を有する例であり、
図12(E)は、各副画素が、角が丸い略正方形の上面形状を有する例であり、
図12(F)は、各副画素が、円形の上面形状を有する例である。
【0441】
図12(G)及び
図12(H)では、1つの画素178が、2行3列で構成されている例を示す。
【0442】
図12(G)に示す画素178は、上の行(1行目)に、3つの副画素(副画素110R、副画素110G、及び副画素110B)を有し、下の行(2行目)に、1つの副画素(副画素110W)を有する。言い換えると、画素178は、左の列(1列目)に、副画素110Rを有し、中央の列(2列目)に副画素110Gを有し、右の列(3列目)に副画素110Bを有し、さらに、この3列にわたって、副画素110Wを有する。
【0443】
図12(H)に示す画素178は、上の行(1行目)に、3つの副画素(副画素110R、副画素110G、及び副画素110B)を有し、下の行(2行目)に、3つの副画素110Wを有する。言い換えると、画素178は、左の列(1列目)に、副画素110R及び副画素110Wを有し、中央の列(2列目)に副画素110G及び副画素110Wを有し、右の列(3列目)に副画素110B及び副画素110Wを有する。
図12(H)に示すように、上の行と下の行との副画素の配置を揃える構成とすることで、例えば製造プロセスで生じうるゴミを効率よく除去することが可能となる。したがって、表示品位の高い発光装置を提供できる。
【0444】
図12(G)及び
図12(H)に示す画素178では、副画素110R、副画素110G、及び副画素110Bのレイアウトがストライプ配列となるため、表示品位を高めることができる。
【0445】
図12(I)では、1つの画素178が、3行2列で構成されている例を示す。
【0446】
図12(I)に示す画素178は、上の行(1行目)に、副画素110Rを有し、中央の行(2行目)に、副画素110Gを有し、1行目から2行目にわたって副画素110Bを有し、下の行(3行目)に、1つの副画素(副画素110W)を有する。言い換えると、画素178は、左の列(1列目)に、副画素110R、及び副画素110Gを有し、右の列(2列目)に副画素110Bを有し、さらに、この2列にわたって、副画素110Wを有する。
【0447】
図12(I)に示す画素178では、副画素110R、副画素110G、及び副画素110BのレイアウトがいわゆるSストライプ配列となるため、表示品位を高めることができる。
【0448】
図12(A)乃至
図12(I)に示す画素178は、副画素110R、副画素110G、副画素110B、及び副画素110Wの、4つの副画素から構成される。例えば、副画素110Rを赤色の光を呈する副画素とし、副画素110Gを緑色の光を呈する副画素とし、副画素110Bを青色の光を呈する副画素とし、副画素110Wを白色の光を呈する副画素とすることができる。なお、副画素110R、副画素110G、副画素110B、及び副画素110Wのうち少なくとも1つを、シアンの光を呈する副画素、マゼンタの光を呈する副画素、黄色の光を呈する副画素、又は近赤外光を呈する副画素としてもよい。
【0449】
以上のように、本発明の一態様の発光装置は、発光デバイスを有する副画素からなる構成の画素について、様々なレイアウトを適用できる。
【0450】
本実施の形態は、他の実施の形態、又は実施例と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0451】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について説明する。
【0452】
本実施の形態の発光装置は、高精細な発光装置とすることができる。したがって、本実施の形態の発光装置は、例えば、腕時計型、及び、ブレスレット型等の情報端末機(ウェアラブル機器)の表示部、並びに、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)等のVR向け機器、及び、メガネ型のAR向け機器等の頭部に装着可能なウェアラブル機器の表示部に用いることができる。
【0453】
また、本実施の形態の発光装置は、高解像度な発光装置又は大型な発光装置とすることができる。したがって、本実施の形態の発光装置は、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用等のモニタ、デジタルサイネージ、及び、パチンコ機等の大型ゲーム機等の比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、及び、音響再生装置の表示部に用いることができる。
【0454】
[表示モジュール]
図13(A)に、表示モジュール280の斜視図を示す。表示モジュール280は、発光装置100Aと、FPC290と、を有する。なお、表示モジュール280が有する発光装置は発光装置100Aに限られず、後述する発光装置100Bおよび発光装置100Cのいずれかであってもよい。
【0455】
表示モジュール280は、基板291及び基板292を有する。表示モジュール280は、表示部281を有する。表示部281は、表示モジュール280における画像を表示する領域であり、後述する画素部284に設けられる各画素からの光を視認できる領域である。
【0456】
図13(B)に、基板291側の構成を模式的に示した斜視図を示している。基板291上には、回路部282と、回路部282上の画素回路部283と、画素回路部283上の画素部284と、が積層されている。また、基板291上の画素部284と重ならない部分に、FPC290と接続するための端子部285が設けられている。端子部285と回路部282とは、複数の配線により構成される配線部286により電気的に接続されている。
【0457】
画素部284は、周期的に配列した複数の画素284aを有する。
図13(B)の右側に、1つの画素284aの拡大図を示している。画素284aには、先の実施の形態で説明した各種構成を適用できる。
【0458】
画素回路部283は、周期的に配列した複数の画素回路283aを有する。
【0459】
1つの画素回路283aは、1つの画素284aが有する複数の素子の駆動を制御する回路である。1つの画素回路283aは、1つの発光デバイスの発光を制御する回路が3つ設けられる構成とすることができる。例えば、画素回路283aは、1つの発光デバイスにつき、1つの選択トランジスタと、1つの電流制御用トランジスタ(駆動トランジスタ)と、容量と、を少なくとも有する構成とすることができる。このとき、選択トランジスタのゲートにはゲート信号が、ソース又はドレインにはビデオ信号が、それぞれ入力される。これにより、アクティブマトリクス型の発光装置が実現されている。
【0460】
回路部282は、画素回路部283の各画素回路283aを駆動する回路を有する。例えば、ゲート線駆動回路、及び、ソース線駆動回路の一方又は双方を有することが好ましい。このほか、演算回路、メモリ回路、及び電源回路等の少なくとも一つを有していてもよい。
【0461】
FPC290は、外部から回路部282にビデオ信号又は電源電位等を供給するための配線として機能する。また、FPC290上にICが実装されていてもよい。
【0462】
表示モジュール280は、画素部284の下側に画素回路部283及び回路部282の一方又は双方が積層された構成とすることができるため、表示部281の開口率(有効表示面積比)を極めて高くすることができる。例えば表示部281の開口率は、40%以上100%未満、好ましくは50%以上95%以下、より好ましくは60%以上95%以下とすることができる。また、画素284aを極めて高密度に配置することが可能で、表示部281の精細度を極めて高くすることができる。例えば、表示部281には、2000ppi以上、好ましくは3000ppi以上、より好ましくは5000ppi以上、さらに好ましくは6000ppi以上であって、20000ppi以下、又は30000ppi以下の精細度で、画素284aが配置されることが好ましい。
【0463】
このような表示モジュール280は、極めて高精細であることから、HMD等のVR向け機器又はメガネ型のAR向け機器に好適に用いることができる。例えば、レンズを通して表示モジュール280の表示部を視認する構成の場合であっても、表示モジュール280は極めて高精細な表示部281を有するためにレンズで表示部を拡大しても画素が視認されず、没入感の高い表示を行うことができる。また、表示モジュール280はこれに限られず、比較的小型の表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。例えば腕時計等の装着型の電子機器の表示部に好適に用いることができる。
【0464】
[発光装置100A]
図14(A)に示す発光装置100Aは、基板301、発光デバイス130R、発光デバイス130G、発光デバイス130B、容量240、及び、トランジスタ310を有する。
【0465】
基板301は、
図13(A)及び
図13(B)における基板291に相当する。トランジスタ310は、基板301にチャネル形成領域を有するトランジスタである。基板301としては、例えば単結晶シリコン基板等の半導体基板を用いることができる。トランジスタ310は、基板301の一部、導電層311、低抵抗領域312、絶縁層313、及び、絶縁層314を有する。導電層311は、ゲート電極として機能する。絶縁層313は、基板301と導電層311の間に位置し、ゲート絶縁層として機能する。低抵抗領域312は、基板301に不純物がドープされた領域であり、ソース又はドレインとして機能する。絶縁層314は、導電層311の側面を覆って設けられる。
【0466】
また、基板301に埋め込まれるように、隣接する2つのトランジスタ310の間に素子分離層315が設けられている。
【0467】
また、トランジスタ310を覆って絶縁層261が設けられ、絶縁層261上に容量240が設けられている。
【0468】
容量240は、導電層241と、導電層245と、これらの間に位置する絶縁層243を有する。導電層241は、容量240の一方の電極として機能し、導電層245は、容量240の他方の電極として機能し、絶縁層243は、容量240の誘電体として機能する。
【0469】
導電層241は絶縁層261上に設けられ、絶縁層254に埋め込まれている。導電層241は、絶縁層261に埋め込まれたプラグ271によってトランジスタ310のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。絶縁層243は導電層241を覆って設けられる。導電層245は、絶縁層243を介して導電層241と重なる領域に設けられている。
【0470】
容量240を覆って、絶縁層255が設けられ、絶縁層255上に絶縁層174が設けられ、絶縁層174上に絶縁層175が設けられている。絶縁層175上に発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び、発光デバイス130Bが設けられている。また、隣り合う発光デバイスの間の領域には、絶縁物が設けられる。例えば
図14(A)では、当該領域に無機絶縁層125と、無機絶縁層125上の絶縁層127と、が設けられている。
【0471】
発光デバイス130Rが有する導電層151Rの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Rが設けられ、発光デバイス130Gが有する導電層151Gの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Gが設けられ、発光デバイス130Bが有する導電層151Bの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Bが設けられる。また、導電層151R及び絶縁層156Rを覆うように導電層152Rが設けられ、導電層151G及び絶縁層156Gを覆うように導電層152Gが設けられ、導電層151B及び絶縁層156Bを覆うように導電層152Bが設けられる。さらに、発光デバイス130Rが有する有機化合物層103R上には、犠牲層158Rが位置し、発光デバイス130Gが有する有機化合物層103G上には、犠牲層158Gが位置し、発光デバイス130Bが有する有機化合物層103B上には、犠牲層158Bが位置する。
【0472】
導電層151R、導電層151G、及び導電層151Bは、絶縁層243、絶縁層255、絶縁層174、及び絶縁層175に埋め込まれたプラグ256、絶縁層254に埋め込まれた導電層241、及び、絶縁層261に埋め込まれたプラグ271によってトランジスタ310のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。絶縁層175の上面の高さと、プラグ256の上面の高さは、一致又は概略一致している。プラグには各種導電材料を用いることができる。
【0473】
また、発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び、発光デバイス130B上には保護層131が設けられている。保護層131上には、樹脂層122によって基板120が貼り合わされている。発光デバイス130から基板120までの構成要素についての詳細は、実施の形態2を参照できる。基板120は、
図13(A)における基板292に相当する。
【0474】
図14(B)は、
図14(A)に示す発光装置100Aの変形例である。
図14(B)に示す発光装置は、着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bを有し、発光デバイス130が着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bのうち一つと重なる領域を有する。
図14(B)に示す発光装置において、発光デバイス130は、例えば白色光を発することができる。また、例えば着色層132Rは赤色の光を透過し、着色層132Gは緑色の光を透過し、着色層132Bは青色の光を透過できる。
【0475】
[発光装置100B]
図15に、発光装置100Bの斜視図を示し、
図16(A)に、発光装置100Bの断面図を示す。
【0476】
発光装置100Bは、基板352と基板351とが貼り合わされた構成を有する。
図15では、基板352を破線で明示している。
【0477】
発光装置100Bは、画素部177、接続部140、回路356、及び配線355等を有する。
図15では発光装置100BにIC354及びFPC353が実装されている例を示している。このため、
図15に示す構成は、発光装置100Bと、IC(集積回路)と、FPCと、を有する表示モジュールということもできる。ここで、発光装置の基板に、FPC等のコネクタが取り付けられたもの、又は当該基板にICが実装されたものを、表示モジュールと呼ぶ。
【0478】
接続部140は、画素部177の外側に設けられる。接続部140は、画素部177の一辺又は複数の辺に沿って設けることができる。接続部140は、単数であっても複数であってもよい。
図15では、画素部177の四辺を囲むように接続部140が設けられている例を示す。接続部140では、発光デバイスの共通電極と、導電層とが電気的に接続されており、共通電極に電位を供給できる。
【0479】
回路356としては、例えば走査線駆動回路を用いることができる。
【0480】
配線355は、画素部177及び回路356に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC353を介して外部から、又はIC354から配線355に入力される。
【0481】
図15では、COG(Chip On Glass)方式又はCOF(Chip On Film)方式等により、基板351にIC354が設けられている例を示す。IC354は、例えば走査線駆動回路又は信号線駆動回路等を有するICを適用できる。なお、発光装置100B及び表示モジュールは、ICを設けない構成としてもよい。また、ICを、例えばCOF方式により、FPCに実装してもよい。
【0482】
図16(A)に、発光装置100Bの、FPC353を含む領域の一部、回路356の一部、画素部177の一部、接続部140の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0483】
図16(A)に示す発光装置100Bは、基板351と基板352の間に、トランジスタ201、トランジスタ205、赤色の光を発する発光デバイス130R、緑色の光を発する発光デバイス130G、及び、青色の光を発する発光デバイス130B等を有する。
【0484】
発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び発光デバイス130Bは、画素電極の構成が異なる点以外は、それぞれ、
図6(A)に示す積層構造を有する。発光デバイスの詳細は実施の形態1および実施の形態2を参照できる。
【0485】
発光デバイス130Rは、導電層224Rと、導電層224R上の導電層151Rと、導電層151R上の導電層152Rと、を有する。発光デバイス130Gは、導電層224Gと、導電層224G上の導電層151Gと、導電層151G上の導電層152Gと、を有する。発光デバイス130Bは、導電層224Bと、導電層224B上の導電層151Bと、導電層151B上の導電層152Bと、を有する。ここで、導電層224R、導電層151R、及び導電層152Rの全てをまとめて、発光デバイス130Rの画素電極と呼ぶこともでき、導電層224Rを除いた導電層151R及び導電層152Rを、発光デバイス130Rの画素電極と呼ぶこともできる。同様に、導電層224G、導電層151G、及び導電層152Gの全てをまとめて、発光デバイス130Gの画素電極と呼ぶこともでき、導電層224Gを除いた導電層151G及び導電層152Gを、発光デバイス130Gの画素電極と呼ぶこともできる。また、導電層224B、導電層151B、及び導電層152Bの全てをまとめて、発光デバイス130Bの画素電極と呼ぶこともでき、導電層224Bを除いた導電層151B及び導電層152Bを、発光デバイス130Bの画素電極と呼ぶこともできる。
【0486】
導電層224Rは、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ205が有する導電層222bと接続されている。導電層224Rの端部よりも外側に導電層151Rの端部が位置している。導電層151Rの側面と接する領域を有するように絶縁層156Rが設けられ、導電層151R及び絶縁層156Rを覆うように導電層152Rが設けられる。
【0487】
発光デバイス130Gにおける導電層224G、導電層151G、導電層152G、絶縁層156G、及び発光デバイス130Bにおける導電層224B、導電層151B、導電層152B、絶縁層156Bについては、発光デバイス130Rにおける導電層224R、導電層151R、導電層152R、絶縁層156Rと同様であるため詳細な説明は省略する。
【0488】
導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bには、絶縁層214に設けられた開口を覆うように凹部が形成される。当該凹部には、層128が埋め込まれている。
【0489】
層128は、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bの凹部を平坦化する機能を有する。導電層224R、導電層224G、及び導電層224B及び層128上には、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bと電気的に接続される導電層151R、導電層151G、及び導電層151Bが設けられている。したがって、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bの凹部と重なる領域も発光領域として使用でき、画素の開口率を高めることができる。
【0490】
層128は、絶縁層であってもよく、導電層であってもよい。層128には、各種無機絶縁材料、有機絶縁材料、及び導電材料を適宜用いることができる。特に、層128は、絶縁材料を用いて形成されることが好ましく、有機絶縁材料を用いて形成されることが特に好ましい。層128には、例えば前述の絶縁層127に用いることができる有機絶縁材料を適用できる。
【0491】
発光デバイス130R、発光デバイス130G、及び発光デバイス130B上には保護層131が設けられている。保護層131と基板352は接着層142を介して接着されている。基板352には、遮光層157が設けられている。発光デバイス130の封止には、固体封止構造又は中空封止構造等が適用できる。
図16(A)では、基板352と基板351との間の空間が、接着層142で充填されており、固体封止構造が適用されている。又は、当該空間を不活性ガス(窒素又はアルゴン等)で充填し、中空封止構造を適用してもよい。このとき、接着層142は、発光デバイスと重ならないように設けられていてもよい。また、当該空間を、枠状に設けられた接着層142とは異なる樹脂で充填してもよい。
【0492】
図16(A)では、接続部140が、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bと同一の導電膜を加工して得られた導電層224Cと、導電層151R、導電層151G、及び導電層151Bと同一の導電膜を加工して得られた導電層151Cと、導電層152R、導電層152G、及び導電層152Bと同一の導電膜を加工して得られた導電層152Cと、を有する例を示している。また、
図16(A)では、導電層151Cの側面と重なる領域を有するように絶縁層156Cが設けられる例を示している。
【0493】
発光装置100Bは、トップエミッション型である。発光デバイスが発する光は、基板352側に射出される。基板352には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。画素電極は可視光を反射する材料を含み、対向電極(共通電極155)は可視光を透過する材料を含む。
【0494】
トランジスタ201及びトランジスタ205は、いずれも基板351上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製できる。
【0495】
基板351上には、絶縁層211、絶縁層213、絶縁層215、及び絶縁層214がこの順で設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層213は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層215は、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層214は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数及びトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
【0496】
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水及び水素等の不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、発光装置の信頼性を高めることができる。
【0497】
絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、又は窒化アルミニウム膜等を用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。
【0498】
平坦化層として機能する絶縁層214には、有機絶縁層が好適である。有機絶縁層に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。また、絶縁層214を、有機絶縁層と、無機絶縁層との積層構造にしてもよい。絶縁層214の最表層は、エッチング保護層としての機能を有することが好ましい。これにより、導電層224R、導電層151R、又は導電層152R等の加工時に、絶縁層214に凹部が形成されることを抑制できる。又は、絶縁層214には、導電層224R、導電層151R、又は導電層152R等の加工時に、凹部が設けられてもよい。
【0499】
トランジスタ201及びトランジスタ205は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、ソース及びドレインとして機能する導電層222a及び導電層222b、半導体層231、ゲート絶縁層として機能する絶縁層213、並びに、ゲートとして機能する導電層223を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。絶縁層211は、導電層221と半導体層231との間に位置する。絶縁層213は、導電層223と半導体層231との間に位置する。
【0500】
本実施の形態の発光装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、又は逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。又は、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0501】
トランジスタ201及びトランジスタ205には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。又は、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
【0502】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0503】
トランジスタの半導体層は、金属酸化物を有することが好ましい。つまり、本実施の形態の発光装置は、金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタ)を用いることが好ましい。
【0504】
結晶性を有する酸化物半導体としては、CAAC(c-axis-aligned crystalline)-OS、又はnc(nanocrystalline)-OS等が挙げられる。
【0505】
又は、シリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタ(Siトランジスタ)を用いてもよい。シリコンとしては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、又は非晶質シリコン等が挙げられる。特に、半導体層に低温ポリシリコン(LTPS(Low Temperature Poly Silicon))を有するトランジスタ(以下、LTPSトランジスタともいう)を用いることができる。LTPSトランジスタは、電界効果移動度が高く、周波数特性が良好である。
【0506】
LTPSトランジスタ等のSiトランジスタを適用することで、高周波数で駆動する必要のある回路(例えばソースドライバ回路)を表示部と同一基板上に作り込むことができる。これにより、発光装置に実装される外部回路を簡略化でき、部品コスト及び実装コストを削減できる。
【0507】
OSトランジスタは、非晶質シリコンを用いたトランジスタと比較して電界効果移動度が極めて高い。また、OSトランジスタは、オフ状態におけるソース-ドレイン間のリーク電流(以下、オフ電流ともいう)が著しく小さく、当該トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。また、OSトランジスタを適用することで、発光装置の消費電力を低減できる。
【0508】
また、画素回路に含まれる発光デバイスの発光輝度を高くする場合、発光デバイスに流す電流量を大きくする必要がある。このためには、画素回路に含まれている駆動トランジスタのソース-ドレイン間電圧を高くする必要がある。OSトランジスタは、Siトランジスタと比較して、ソース-ドレイン間において耐圧が高いため、OSトランジスタのソース-ドレイン間には高い電圧を印加できる。したがって、画素回路に含まれる駆動トランジスタをOSトランジスタとすることで、発光デバイスに流れる電流量を大きくし、発光デバイスの発光輝度を高くすることができる。
【0509】
また、トランジスタが飽和領域で動作する場合において、OSトランジスタは、Siトランジスタよりも、ゲート-ソース間電圧の変化に対して、ソース-ドレイン間電流の変化を小さくすることができる。このため、画素回路に含まれる駆動トランジスタとしてOSトランジスタを適用することによって、ゲート-ソース間電圧の変化によって、ソース-ドレイン間に流れる電流を細かく定めることができるため、発光デバイスに流れる電流量を制御できる。このため、画素回路における階調を大きくすることができる。
【0510】
また、トランジスタが飽和領域で動作するときに流れる電流の飽和特性において、OSトランジスタは、ソース-ドレイン間電圧が徐々に高くなった場合においても、Siトランジスタよりも安定した電流(飽和電流)を流すことができる。このため、OSトランジスタを駆動トランジスタとして用いることで、例えば、発光デバイスの電流-電圧特性にばらつきが生じた場合においても、発光デバイスに安定した電流を流すことができる。つまり、OSトランジスタは、飽和領域で動作する場合において、ソース-ドレイン間電圧を高くしても、ソース-ドレイン間電流がほぼ変化しないため、発光デバイスの発光輝度を安定させることができる。
【0511】
上記のとおり、画素回路に含まれる駆動トランジスタにOSトランジスタを用いることで、「黒浮きの抑制」、「発光輝度の上昇」、「多階調化」、及び「発光デバイスのばらつきの抑制」等を図ることができる。
【0512】
半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種又は複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種又は複数種であることが好ましい。
【0513】
特に、半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。又は、インジウム、スズ、及び亜鉛を含む酸化物を用いることが好ましい。又は、インジウム、ガリウム、スズ、及び亜鉛を含む酸化物を用いることが好ましい。又は、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IAZOとも記す)を用いることが好ましい。又は、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IAGZOとも記す)を用いることが好ましい。
【0514】
半導体層がIn-M-Zn酸化物の場合、当該In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比以上であることが好ましい。このようなIn-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1又はその近傍の組成、In:M:Zn=1:1:1.2又はその近傍の組成、In:M:Zn=2:1:3又はその近傍の組成、In:M:Zn=3:1:2又はその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:3又はその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:4.1又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:3又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:6又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:7又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:8又はその近傍の組成、In:M:Zn=6:1:6又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:2:5又はその近傍の組成、等が挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。
【0515】
例えば、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3又はその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を4としたとき、Gaの原子数比が1以上3以下であり、Znの原子数比が2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6又はその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を5としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1又はその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を1としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が0.1より大きく2以下である場合を含む。
【0516】
回路356が有するトランジスタと、画素部177が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路356が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、画素部177が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
【0517】
画素部177が有するトランジスタの全てをOSトランジスタとしてもよく、画素部177が有するトランジスタの全てをSiトランジスタとしてもよく、画素部177が有するトランジスタの一部をOSトランジスタとし、残りをSiトランジスタとしてもよい。
【0518】
例えば、画素部177にLTPSトランジスタとOSトランジスタとの双方を用いることで、消費電力が低く、駆動能力の高い発光装置を実現できる。また、LTPSトランジスタと、OSトランジスタとを、組み合わせる構成をLTPOと呼称する場合がある。なお、例えば配線の導通、非導通を制御するためのスイッチとして機能するトランジスタにOSトランジスタを適用し、電流を制御するトランジスタにLTPSトランジスタを適用することが好ましい。
【0519】
例えば、画素部177が有するトランジスタの一は、発光デバイスに流れる電流を制御するためのトランジスタとして機能し、駆動トランジスタと呼ぶことができる。駆動トランジスタのソース及びドレインの一方は、発光デバイスの画素電極と電気的に接続される。当該駆動トランジスタには、LTPSトランジスタを用いることが好ましい。これにより、画素回路において発光デバイスに流れる電流を大きくできる。
【0520】
一方、画素部177が有するトランジスタの他の一は、画素の選択、非選択を制御するためのスイッチとして機能し、選択トランジスタとも呼ぶことができる。選択トランジスタのゲートはゲート線と電気的に接続され、ソース及びドレインの一方は、ソース線(信号線)と電気的に接続される。選択トランジスタには、OSトランジスタを適用することが好ましい。これにより、フレーム周波数を著しく小さく(例えば1fps以下)しても、画素の階調を維持できるため、静止画を表示する際にドライバを停止することで、消費電力を低減できる。
【0521】
このように本発明の一態様の発光装置は、高い開口率と、高い精細度と、高い表示品位と、低い消費電力と、を兼ね備えることができる。
【0522】
なお、本発明の一態様の発光装置は、OSトランジスタを有し、且つMML(メタルマスクレス)構造の発光デバイスを有する構成である。当該構成とすることで、トランジスタに流れうるリーク電流、及び隣接する発光デバイス間に流れうるリーク電流(横方向リーク電流、横リーク電流、又はラテラルリーク電流と呼称する場合がある)を、極めて低くすることができる。また、上記構成とすることで、発光装置に画像を表示した場合に、観察者が画像のきれ、画像のするどさ、高い彩度、及び高いコントラスト比のいずれか一又は複数を観測できる。なお、トランジスタに流れうるリーク電流、及び発光デバイス間の横リーク電流が極めて低い構成とすることで、黒表示時に生じうる光漏れ(いわゆる黒浮き)等が限りなく少ない表示とすることができる。
【0523】
特に、MML構造の発光デバイスの中でも、先に示した発光層を作り分ける、または発光層を塗り分ける構造であるSBS(Side By Side)構造を適用することで、発光デバイスの間に設けられる層(例えば、発光デバイスの間で共通して用いる有機層、共通層ともいう)が分断された構成となるため、サイドリークをなくす、又はサイドリークを極めて少なくすることができる。
【0524】
図16(B)及び
図16(C)に、トランジスタの他の構成例を示す。
【0525】
トランジスタ209及びトランジスタ210は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、チャネル形成領域231i及び一対の低抵抗領域231nを有する半導体層231、一対の低抵抗領域231nの一方と接続する導電層222a、一対の低抵抗領域231nの他方と接続する導電層222b、ゲート絶縁層として機能する絶縁層225、ゲートとして機能する導電層223、並びに、導電層223を覆う絶縁層215を有する。絶縁層211は、導電層221とチャネル形成領域231iとの間に位置する。絶縁層225は、少なくとも導電層223とチャネル形成領域231iとの間に位置する。さらに、トランジスタを覆う絶縁層218を設けてもよい。
【0526】
図16(B)に示すトランジスタ209では、絶縁層225が半導体層231の上面及び側面を覆う例を示す。導電層222a及び導電層222bは、それぞれ、絶縁層225及び絶縁層215に設けられた開口を介して低抵抗領域231nと接続される。導電層222a及び導電層222bのうち、一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。
【0527】
一方、
図16(C)に示すトランジスタ210では、絶縁層225は、半導体層231のチャネル形成領域231iと重なり、低抵抗領域231nとは重ならない。例えば、導電層223をマスクとして絶縁層225を加工することで、
図16(C)に示す構造を作製できる。
図16(C)では、絶縁層225及び導電層223を覆って絶縁層215が設けられ、絶縁層215の開口を介して、導電層222a及び導電層222bがそれぞれ低抵抗領域231nと接続されている。
【0528】
基板351の、基板352が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線355が導電層166及び接続層242を介してFPC353と電気的に接続されている。導電層166は、導電層224R、導電層224G、及び導電層224Bと同一の導電膜を加工して得られた導電膜と、導電層151R、導電層151G、及び導電層151Bと同一の導電膜を加工して得られた導電膜と、導電層152R、導電層152G、及び導電層152Bと同一の導電膜を加工して得られた導電膜と、の積層構造である例を示す。接続部204の上面では、導電層166が露出している。これにより、接続部204とFPC353とを接続層242を介して電気的に接続できる。
【0529】
基板352の基板351側の面には、遮光層157を設けることが好ましい。遮光層157は、隣り合う発光デバイスの間、接続部140、及び、回路356等に設けることができる。また、基板352の外側には各種光学部材を配置できる。
【0530】
基板351及び基板352としては、それぞれ、基板120に用いることができる材料を適用できる。
【0531】
接着層142としては、樹脂層122に用いることができる材料を適用できる。
【0532】
接続層242としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、又は異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)等を用いることができる。
【0533】
[発光装置100H]
図17に示す発光装置100Hは、ボトムエミッション型の発光装置である点で、
図16(A)に示す発光装置100Bと主に相違する。
【0534】
発光デバイスが発する光は、基板351側に射出される。基板351には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。一方、基板352に用いる材料の透光性は問わない。
【0535】
基板351とトランジスタ201との間、基板351とトランジスタ205との間には、遮光層157を形成することが好ましい。
図17では、基板351上に遮光層157が設けられ、遮光層157上に絶縁層153が設けられ、絶縁層153上にトランジスタ201、205などが設けられている例を示す。
【0536】
発光デバイス130Rは、導電層112Rと、導電層112R上の導電層126Rと、導電層126R上の導電層129Rと、有機化合物層103Rと、を有する。
【0537】
発光デバイス130Bは、導電層112Bと、導電層112B上の導電層126Bと、導電層126B上の導電層129Bと、有機化合物層103Bと、を有する。
【0538】
導電層112R、112B、126R、126B、129R、129Bには、それぞれ、可視光に対する透過性が高い材料を用いる。共通電極155には可視光を反射する材料を用いることが好ましい。
【0539】
なお、
図17では、発光デバイス130Gを図示していないが、発光デバイス130Gも設けられている。
【0540】
また、
図17などでは、層128の上面が平坦部を有する例を示すが、層128の形状は、特に限定されない。
【0541】
[発光装置100C]
図18(A)に示す発光装置100Cは、
図16(A)に示す発光装置100Bの変形例であり、着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bを有する点で、発光装置100Bと主に相違する。
【0542】
発光装置100Cにおいて、発光デバイス130は、着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bのうち一つと重なる領域を有する。着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bは、基板352の基板351側の面に設けることができる。着色層132Rの端部、着色層132Gの端部、及び着色層132Bの端部は、遮光層157と重ねることができる。
【0543】
発光装置100Cにおいて、発光デバイス130は、例えば白色光を発することができる。また、例えば着色層132Rは赤色の光を透過し、着色層132Gは緑色の光を透過し、着色層132Bは青色の光を透過できる。なお、発光装置100Cは、保護層131と接着層142の間に着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bを設ける構成としてもよい。
【0544】
図16(A)及び
図18(A)等では、層128の上面が平坦部を有する例を示すが、層128の形状は、特に限定されない。
図18(B)乃至
図18(D)に、層128の変形例を示す。
【0545】
図18(B)及び
図18(D)に示すように、層128の上面は、断面視において、中央及びその近傍が窪んだ形状、つまり、凹曲面を有する形状を有する構成とすることができる。
【0546】
また、
図18(C)に示すように、層128の上面は、断面視において、中央及びその近傍が膨らんだ形状、つまり、凸曲面を有する形状を有する構成とすることができる。
【0547】
また、層128の上面は、凸曲面及び凹曲面の一方又は双方を有していてもよい。また、層128の上面が有する凸曲面及び凹曲面の数はそれぞれ限定されず、一つ又は複数とすることができる。
【0548】
また、層128の上面の高さと、導電層224Rの上面の高さと、は、一致又は概略一致していてもよく、互いに異なっていてもよい。例えば、層128の上面の高さは、導電層224Rの上面の高さより低くてもよく、高くてもよい。
【0549】
また、
図18(B)は、導電層224Rに形成された凹部の内部に層128が収まっている例ともいえる。一方、
図18(D)のように、導電層224Rに形成された凹部の外側に層128が存在する、つまり、当該凹部よりも層128の上面の幅が広がって形成されていてもよい。
【0550】
本実施の形態は、他の実施の形態、又は実施例と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0551】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について説明する。
【0552】
本実施の形態の電子機器は、表示部に本発明の一態様の発光装置を有する。本発明の一態様の発光装置は信頼性が高く、また高精細化及び高解像度化が容易である。したがって、様々な電子機器の表示部に用いることができる。
【0553】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用等のモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機等の大型ゲーム機等の比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、等が挙げられる。
【0554】
特に、本発明の一態様の発光装置は、精細度を高めることが可能なため、比較的小さな表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。このような電子機器としては、例えば、腕時計型及びブレスレット型の情報端末機(ウェアラブル機器)、並びに、ヘッドマウントディスプレイ等のVR向け機器、メガネ型のAR向け機器、及び、MR向け機器等、頭部に装着可能なウェアラブル機器等が挙げられる。
【0555】
本発明の一態様の発光装置は、HD(画素数1280×720)、FHD(画素数1920×1080)、WQHD(画素数2560×1440)、WQXGA(画素数2560×1600)、4K(画素数3840×2160)、8K(画素数7680×4320)といった極めて高い解像度を有していることが好ましい。特に4K、8K、又はそれ以上の解像度とすることが好ましい。また、本発明の一態様の発光装置における画素密度(精細度)は、100ppi以上が好ましく、300ppi以上が好ましく、500ppi以上がより好ましく、1000ppi以上がより好ましく、2000ppi以上がより好ましく、3000ppi以上がより好ましく、5000ppi以上がより好ましく、7000ppi以上がさらに好ましい。このように高い解像度及び高い精細度の一方又は双方を有する発光装置を用いることで、携帯型又は家庭用途等のパーソナルユースの電子機器において、臨場感及び奥行き感等をより高めることが可能となる。また、本発明の一態様の発光装置の画面比率(アスペクト比)については、特に限定はない。例えば、発光装置は、1:1(正方形)、4:3、16:9、及び16:10等様々な画面比率に対応できる。
【0556】
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0557】
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像等)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻等を表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出す機能等を有することができる。
【0558】
図19(A)乃至
図19(D)を用いて、頭部に装着可能なウェアラブル機器の一例を説明する。これらウェアラブル機器は、ARのコンテンツを表示する機能、VRのコンテンツを表示する機能、SRのコンテンツを表示する機能、MRのコンテンツを表示する機能のうち少なくとも一つを有する。電子機器が、AR、VR、SR、及びMR等の少なくとも一つのコンテンツを表示する機能を有することで、使用者の没入感を高めることが可能となる。
【0559】
図19(A)に示す電子機器700A、及び、
図19(B)に示す電子機器700Bは、それぞれ、一対の表示パネル751と、一対の筐体721と、通信部(図示しない)と、一対の装着部723と、制御部(図示しない)と、撮像部(図示しない)と、一対の光学部材753と、フレーム757と、一対の鼻パッド758と、を有する。
【0560】
表示パネル751には、本発明の一態様の発光装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
【0561】
電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、光学部材753の表示領域756に、表示パネル751で表示した画像を投影できる。光学部材753は透光性を有するため、使用者は光学部材753を通して視認される透過像に重ねて、表示領域に表示された画像を見ることができる。したがって、電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、AR表示が可能な電子機器である。
【0562】
電子機器700A、及び、電子機器700Bには、撮像部として、前方を撮像することのできるカメラが設けられていてもよい。また、電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、ジャイロセンサ等の加速度センサを備えることで、使用者の頭部の向きを検知して、その向きに応じた画像を表示領域756に表示することもできる。
【0563】
通信部は無線通信機を有し、当該無線通信機により例えば映像信号を供給できる。なお、無線通信機に代えて、又は無線通信機に加えて、映像信号及び電源電位が供給されるケーブルを接続可能なコネクタを備えていてもよい。
【0564】
また、電子機器700A、及び、電子機器700Bには、バッテリが設けられており、無線及び有線の一方又は双方によって充電できる。
【0565】
筐体721には、タッチセンサモジュールが設けられていてもよい。タッチセンサモジュールは、筐体721の外側の面がタッチされることを検出する機能を有する。タッチセンサモジュールにより、使用者のタップ操作又はスライド操作等を検出し、様々な処理を実行できる。例えば、タップ操作によって動画の一時停止又は再開等の処理を実行することが可能となり、スライド操作により、早送り又は早戻しの処理を実行すること等が可能となる。また、2つの筐体721のそれぞれにタッチセンサモジュールを設けることで、操作の幅を広げることができる。
【0566】
タッチセンサモジュールとしては、様々なタッチセンサを適用できる。例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、表面弾性波方式、又は光学方式等、種々の方式を採用できる。特に、静電容量方式又は光学方式のセンサを、タッチセンサモジュールに適用することが好ましい。
【0567】
光学方式のタッチセンサを用いる場合には、受光素子として、光電変換デバイス(光電変換素子ともいう)を用いることができる。光電変換デバイスの活性層には、無機半導体及び有機半導体の一方又は双方を用いることができる。
【0568】
図19(C)に示す電子機器800A、及び、
図19(D)に示す電子機器800Bは、それぞれ、一対の表示部820と、筐体821と、通信部822と、一対の装着部823と、制御部824と、一対の撮像部825と、一対のレンズ832と、を有する。
【0569】
表示部820には、本発明の一態様の発光装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
【0570】
表示部820は、筐体821の内部の、レンズ832を通して視認できる位置に設けられる。また、一対の表示部820に異なる画像を表示させることで、視差を用いた3次元表示を行うこともできる。
【0571】
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、VR向けの電子機器ということができる。電子機器800A又は電子機器800Bを装着した使用者は、レンズ832を通して、表示部820に表示される画像を視認できる。
【0572】
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、レンズ832及び表示部820が、使用者の目の位置に応じて最適な位置となるように、これらの左右の位置を調整可能な機構を有していることが好ましい。また、レンズ832と表示部820との距離を変えることで、ピントを調整する機構を有していることが好ましい。
【0573】
装着部823により、使用者は電子機器800A又は電子機器800Bを頭部に装着できる。なお、例えば
図19(C)においては、メガネのつる(ジョイント、又はテンプル等ともいう)のような形状として例示しているがこれに限定されない。装着部823は、使用者が装着できればよく、例えば、ヘルメット型又はバンド型の形状としてもよい。
【0574】
撮像部825は、外部の情報を取得する機能を有する。撮像部825が取得したデータは、表示部820に出力できる。撮像部825には、イメージセンサを用いることができる。また、望遠、及び広角等の複数の画角に対応可能なように複数のカメラを設けてもよい。
【0575】
なお、ここでは撮像部825を有する例を示したが、対象物の距離を測定することのできる測距センサ(以下、検知部ともよぶ)を設ければよい。すなわち、撮像部825は、検知部の一態様である。検知部としては、例えばイメージセンサ、又は、ライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)等の距離画像センサを用いることができる。カメラによって得られた画像と、距離画像センサによって得られた画像とを用いることにより、より多くの情報を取得し、より高精度なジェスチャー操作を可能とすることができる。
【0576】
電子機器800Aは、骨伝導イヤフォンとして機能する振動機構を有していてもよい。例えば、表示部820、筐体821、及び装着部823のいずれか一又は複数に、当該振動機構を有する構成を適用できる。これにより、別途、ヘッドフォン、イヤフォン、又はスピーカ等の音響機器を必要とせず、電子機器800Aを装着しただけで映像と音声を楽しむことができる。
【0577】
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、入力端子を有していてもよい。入力端子には映像出力機器等からの映像信号、及び、電子機器内に設けられるバッテリを充電するための電力等を供給するケーブルを接続できる。
【0578】
本発明の一態様の電子機器は、イヤフォン750と無線通信を行う機能を有していてもよい。イヤフォン750は、通信部(図示しない)を有し、無線通信機能を有する。イヤフォン750は、無線通信機能により、電子機器から情報(例えば音声データ)を受信できる。例えば、
図19(A)に示す電子機器700Aは、無線通信機能によって、イヤフォン750に情報を送信する機能を有する。また、例えば、
図19(C)に示す電子機器800Aは、無線通信機能によって、イヤフォン750に情報を送信する機能を有する。
【0579】
また、電子機器がイヤフォン部を有していてもよい。
図19(B)に示す電子機器700Bは、イヤフォン部727を有する。例えば、イヤフォン部727と制御部とは、互いに有線接続されている構成とすることができる。イヤフォン部727と制御部とをつなぐ配線の一部は、筐体721又は装着部723の内部に配置されていてもよい。
【0580】
同様に、
図19(D)に示す電子機器800Bは、イヤフォン部827を有する。例えば、イヤフォン部827と制御部824とは、互いに有線接続されている構成とすることができる。イヤフォン部827と制御部824とをつなぐ配線の一部は、筐体821又は装着部823の内部に配置されていてもよい。また、イヤフォン部827と装着部823とがマグネットを有していてもよい。これにより、イヤフォン部827を装着部823に磁力によって固定でき、収納が容易となり好ましい。
【0581】
なお、電子機器は、イヤフォン又はヘッドフォン等を接続できる音声出力端子を有していてもよい。また、電子機器は、音声入力端子及び音声入力機構の一方又は双方を有していてもよい。音声入力機構としては、例えば、マイク等の集音装置を用いることができる。電子機器が音声入力機構を有することで、電子機器に、いわゆるヘッドセットとしての機能を付与してもよい。
【0582】
このように、本発明の一態様の電子機器としては、メガネ型(電子機器700A、及び、電子機器700B等)と、ゴーグル型(電子機器800A、及び、電子機器800B等)と、のどちらも好適である。
【0583】
また、本発明の一態様の電子機器は、有線又は無線によって、イヤフォンに情報を送信できる。
【0584】
図20(A)に示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0585】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0586】
表示部6502に、本発明の一態様の発光装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
【0587】
図20(B)は、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0588】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、及びバッテリ6518等が配置されている。
【0589】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
【0590】
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0591】
表示パネル6511には本発明の一態様の発光装置を適用できる。このため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0592】
図20(C)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7171に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7173により筐体7171を支持した構成を示している。
【0593】
表示部7000に、本発明の一態様の発光装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
【0594】
図20(C)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7171が備える操作スイッチ、及び、別体のリモコン操作機7151により行うことができる。又は、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7151は、当該リモコン操作機7151から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7151が備える操作キー又はタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作できる。
【0595】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデム等を備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者同士等)の情報通信を行うことも可能である。
【0596】
図20(D)に、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、及び外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0597】
表示部7000に、本発明の一態様の発光装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
【0598】
図20(E)及び
図20(F)に、デジタルサイネージの一例を示す。
【0599】
図20(E)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0600】
図20(F)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
【0601】
図20(E)及び
図20(F)において、表示部7000に、本発明の一態様の発光装置を適用できる。したがって信頼性が高い電子機器とすることができる。
【0602】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0603】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像又は動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作でき、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報等の情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0604】
また、
図20(E)及び
図20(F)に示すように、デジタルサイネージ7300又はデジタルサイネージ7400は、使用者が所持するスマートフォン等の情報端末機7311又は情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311又は情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311又は情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0605】
また、デジタルサイネージ7300又はデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311又は情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数の使用者が同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0606】
図21(A)乃至
図21(G)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0607】
図21(A)乃至
図21(G)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像等)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻等を表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画又は動画を撮影し、記録媒体(外部又はカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0608】
図21(A)乃至
図21(G)に示す電子機器の詳細を以下に説明する。
【0609】
図21(A)は、携帯情報端末9171を示す斜視図である。携帯情報端末9171は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9171は、スピーカ9003、接続端子9006、又はセンサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9171は、文字及び画像情報をその複数の面に表示できる。
図21(A)では3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS(Social Networking Service)、電話等の着信の通知、電子メール又はSNS等の題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、電波強度等がある。又は、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050等を表示してもよい。
【0610】
図21(B)は、携帯情報端末9172を示す斜視図である。携帯情報端末9172は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9172を収納した状態で、携帯情報端末9172の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。使用者は、携帯情報端末9172をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0611】
図21(C)は、タブレット端末9173を示す斜視図である。タブレット端末9173は、一例として、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲーム等の種々のアプリケーションの実行が可能である。タブレット端末9173は、筐体9000の正面に表示部9001、カメラ9002、マイクロフォン9008、スピーカ9003を有し、筐体9000の左側面には操作用のボタンとしての操作キー9005、底面には接続端子9006を有する。
【0612】
図21(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチ(登録商標)として用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うこと、及び、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
【0613】
図21(E)乃至
図21(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、
図21(E)は携帯情報端末9201を展開した状態、
図21(G)は折り畳んだ状態、
図21(F)は
図21(E)と
図21(G)の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0614】
本実施の形態は、他の実施の形態、又は実施例と適宜組み合わせることができる。また、本明細書において、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【実施例0615】
≪合成例1≫
本合成例1では、下記の構造式(100)で表される本発明の有機化合物、9,9-ジメチル-N-[3-(1-ナフチル)フェニル]-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9H-フルオレン-2-アミン(略称:mPCBNBF)の合成例を具体的に例示する。
【0616】
【0617】
<ステップ1:mPCBNBFの合成>
まず、200mL三口フラスコに、2.2g(4.2mmol)のN-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミンと、0.97g(4.2mmol)の3-(1-ナフチル)クロロベンゼンと、0.96g(10mmol)のナトリウム tert-ブトキシドと、35mg(0.10mmol)のジ-tert-ブチル(1-メチル-2,2-ジフェニルシクロプロピル)ホスフィン(通称:cBRIDP(regR))と、30mLのキシレンを入れ、フラスコ内を窒素置換した。窒素置換後、この混合物に29mg(5.0μmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を加え、窒素気流下、150℃で2時間撹拌した。
【0618】
撹拌後、15mg(2.5μmol)のビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)と、0.34g(1.4mmol)の3-(1-ナフチル)-クロロベンゼンを加え、この混合物を150℃で4時間撹拌した。
【0619】
攪拌後、混合物に水を加え、超音波照射後、析出した固体を吸引濾過にて回収し、トルエン、水、エタノールで洗浄した。得られた固体を熱トルエンに溶解させ、セライト・アルミナろ過にて精製した。得られた固体をトルエン/エタノールで再結晶し、目的物の淡黄色固体を2.8g(収率77%)得た。
【0620】
得られた固体2.0gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力4.1Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、325℃で加熱して行った。昇華精製後、目的物の淡黄色固体を1.8g、回収率90%で得た。ステップ1の合成スキームを下記(A-1)に示す。
【0621】
【0622】
<有機化合物の特性>
上記ステップ1で得られた淡黄色固体の核磁気共鳴分光法(
1H-NMR)による分析結果を下記に示す。また、
1H-NMRチャートを
図22に示す。このことから、本合成例において、上述の構造式(100)で表される本発明の一態様である有機化合物mPCBNBFが得られたことがわかった。
【0623】
1H NMR(DMSO-d6,300MHz):δ=1.41(s,6H),7.11-7.98(m,32H),8.34(d,J1=8.1Hz,1H),8.56(t,J1=0.9Hz,1H).
【0624】
次に、mPCBNBFのトルエン溶液の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを測定した結果を
図23に示す。また、薄膜の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを
図24に示す。固体薄膜は石英基板上に真空蒸着法にて作製した。トルエン溶液の吸収スペクトルは、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用いて測定し、トルエンのみを石英セルに入れて測定したスペクトルを差し引いて示した。また、薄膜の吸収スペクトルは、分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製 分光光度計U4100)を用いた。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)日本分光製 FP-8600)を用いた。
【0625】
図23より、mPCBNBFのトルエン溶液は341nmに吸収ピークが見られ、発光波長のピークは396nmおよび418nm(励起波長340nm)であった。また、
図24より、mPCBNBFの薄膜は、343nmおよび282nmに吸収ピークが見られ、発光波長のピークは408nmおよび421nm(励起波長340nm)に見られた。
次に、第1の電極901が形成された面が下方となるように、第1の電極901が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、第1の電極901上に、抵抗加熱を用いた蒸着法によりN-(ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)と、分子量672でフッ素を含む電子アクセプタ材料(OCHD-003)と、をPCBBiF:OCHD-003=1:0.03(重量比)となるように10nm共蒸着し、正孔注入層911を形成した。
次に、正孔注入層911上に、正孔輸送層1として、PCBBiFを膜厚100nmとなるように蒸着した。続いて、正孔輸送層1上に、正孔輸送層2として、抵抗加熱を用いた蒸着法により、N-(1,1’-ビフェニル-3-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBmBiF)を膜厚40nmとなるように蒸着して、正孔輸送層912を形成した。
次に、正孔輸送層912上に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、11-[4-(ビフェニル-4-イル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル]-11,12-ジヒドロ-12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール(略称:BP-Icz(II)Tzn)と、3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCCP)と、[2-d3-メチル-(2-ピリジニル-κN)ベンゾフロ[2,3-b]ピリジン-κC]ビス[2-(2-ピリジニル-κN)フェニル-κC]イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)2(mbfpypy-d3))と、をBP-Icz(II)Tzn:PCCP:Ir(ppy)2(mbfpypy-d3)=0.5:0.5:0.1(重量比)となるように、40nm共蒸着し、発光層913を形成した。
次に、発光層913上に、2-[3’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ビフェニル-3-イル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mFBPTzn)を膜厚10nmとなるように蒸着した後、2-[3-(2,6-ジメチル-3-ピリジニル)-5-(9-フェナントレニル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略称:mPn-mDMePyPTzn)と、8-キノリノラト-リチウム(略称:Liq)とを、重量比でmPn-mDMePyPTzn:Liq=1:1となるように25nm共蒸着し、電子輸送層914を形成した。
デバイス1Bは、正孔輸送層912の構成がデバイス1Aと異なる。つまり、デバイス1Bは、正孔輸送層1上に、正孔輸送層2として、抵抗加熱を用いた蒸着法により、9,9-ジメチル-N-[3-(1-ナフチル)フェニル]-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9H-フルオレン-2-アミン(略称:mPCBNBF)を膜厚40nmとなるように蒸着した。
デバイス1Cは、正孔輸送層912の構成がデバイス1Aと異なる。つまり、デバイス1Cは、正孔輸送層1としてPCBBiFを膜厚100nmとなるように蒸着し、正孔輸送層1上に正孔輸送層2としてOCHD-003を1nm蒸着した後、抵抗加熱を用いた蒸着法により、PCBmBiFを膜厚40nmとなるように蒸着して、正孔輸送層912を形成した。
デバイス1Dは、正孔輸送層912の構成がデバイス1Bと異なる。つまり、デバイス1Dは、正孔輸送層1としてPCBBiFを膜厚40nmとなるように蒸着し、正孔輸送層1上に正孔輸送層2としてOCHD-003を1nm蒸着した後、抵抗加熱を用いた蒸着法により、mPCBNBFを膜厚40nmとなるように蒸着して、正孔輸送層912を形成した。
以上のことから、PCBmBiFのビフェニルの末端のフェニル基を1-ナフチル基に置換した当該有機化合物mPCBNBFは、それを用いる発光デバイスにおいて、有機化合物PCBmBiFを用いた発光デバイスよりも、発光特性を維持したまま低電圧で駆動することができた。
さらに、PCBmBiFのビフェニルの末端のフェニル基を1-ナフチル基に置換した当該有機化合物mPCBNBFは、それを用いる発光デバイスにおいて、正孔輸送層にOCHD-003を含まなくても、正孔輸送層にOCHD-003を含む場合と同等の特性を維持できることが分かった。
従って、有機化合物mPCBNBFを用いたデバイス1Bおよびデバイス1Dは、有機化合物PCBmBiFを用いたデバイス1Aおよびデバイス1Cよりも信頼性が向上することが分かった。
また、発光デバイスに有機化合物mPCBNBFを用いることで、正孔輸送層にOCHD-003を含まなくても、正孔輸送層にOCHD-003を含む場合と同等の特性を維持できることが分かった。