(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181137
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】浮揚による電子部品の転送
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20231214BHJP
B65G 54/00 20060101ALI20231214BHJP
B65G 49/07 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G54/00
B65G49/07 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023094998
(22)【出願日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】22178369.9
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517438583
【氏名又は名称】ネクスペリア ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】シュトッケルマンス ヨエプ
(72)【発明者】
【氏名】ロスマレン レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル フェーン ヘイス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッセリング ヤスペル
【テーマコード(参考)】
3F021
5F131
【Fターム(参考)】
3F021AA00
3F021BA00
3F021CA06
5F131AA04
5F131BA51
5F131CA18
5F131DA22
5F131DA42
5F131DC17
5F131DC18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子部品を搬送するシステム及び電子部品を搬送する方法を提供する。
【解決手段】電子部品である物理的に分離された複数の半導体ダイを含むウェハ230Aを搬送するシステム200Bは、電子部品を運ぶキャリア220と、複数のトランスデューサ131を含み、キャリアが浮揚する浮揚場を生成するトランスデューサシステムと、電子部品をキャリアに配置する入力ユニット110と、電子部品をキャリアから受け入れる出力ユニット120と、入力ユニットから出力ユニットへキャリアを移動させるためにトランスデューサシステムを制御して浮揚場を変化させるために用いるコントローラと、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を搬送するシステム(100)であって、
前記電子部品を運ぶキャリア(220)と、
複数のトランスデューサ(131)を含み、前記キャリアが浮揚する浮揚場を生成するように構成されたトランスデューサシステム(130)と、
前記電子部品を前記キャリアに配置する入力ユニット(110)と、
前記電子部品を前記キャリアから受け入れる出力ユニット(120)と、
前記入力ユニットから前記出力ユニットへ前記キャリアを移動させるために前記トランスデューサシステムを制御して前記浮揚場を変化させるコントローラ(140)とを含み、
前記キャリアは、必要に応じて、重合体及び/又は低密度材料、例えば低密度金属、低密度複合材料又は低密度セラミックスからなる群から選択される1種以上の材料で製造され、前記低密度材料は、好ましくは、密度が2000kg/m3未満である、システム。
【請求項2】
前記入力ユニットは、前記電子部品を受け入れる際に前記電子部品を前記キャリアに付着させるための第1の付着剤(111A)を前記キャリアに分注する第1の分注ユニット(111)を更に含み、前記第1の付着剤は、必要に応じて水などの液体であり、前記出力ユニットは、必要に応じて、前記第1の付着剤による前記電子部品の前記キャリアへの付着を解除する脱着ユニット(121)を含み、前記第1の付着剤は、必要に応じて光吸収材料を含み、前記脱着ユニットは、前記第1の付着剤による付着を解除するために前記第1の付着剤を照射する光源(121)を含み、前記第1の付着剤は、好ましくは、前記第1の付着剤への照射により蒸発するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記出力ユニットは、前記電子部品が配置される基板(241)を保持する保持ユニット(240)を含み、前記出力ユニットは、必要に応じて、前記キャリアから受け入れられた前記電子部品を前記基板に付着させるために前記基板に第2の付着剤(242)を分注する第2の分注ユニット(122)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記電子部品は、半導体ダイ(230)であり、前記入力ユニットは、物理的に分離された複数の半導体ダイを含むウェハ(230A)を保持するように構成され、前記入力ユニットは、前記半導体ダイを前記ウェハから切り離し、切り離された前記半導体ダイを前記キャリアに配置させ、及び/又は切り離された前記半導体ダイを前記キャリアに配置することを可能にする切り離しユニット(112)を更に含み、
物理的に分離された前記半導体ダイは、必要に応じて、光吸収性接着剤などの第3の付着剤(232、232A)を用いてテープ、箔又はフィルム(231)に付着し、前記切り離しユニットは、物理的に分離された前記半導体ダイのうちの半導体ダイの前記第3の付着剤による前記テープ、箔又はテープへの付着を解除するために前記第3の付着剤(232A)を照射する光源(112)を含み、
前記入力ユニットは、必要に応じて、前記電子部品が前記キャリアに配置される際に地球重力場(F)に対して前記キャリアの上方に配置され、前記入力ユニットは、前記電子部品を前記キャリアに落下させるように構成され、及び/又は前記出力ユニットは、必要に応じて、前記電子部品が前記キャリアから受け入れられる際に前記地球重力場に対して前記キャリアの下方に配置され、前記出力ユニットは、前記電子部品を前記キャリアから落下させるように構成される、請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記複数のトランスデューサは、音波を発生させるように構成された複数の音響トランスデューサ(131)を含み、前記浮揚場は、音響浮揚場であり、前記複数の音響トランスデューサによって発生した前記音波は、必要に応じて20kHz~200kHzの範囲の周波数を有し、及び/又は前記複数のトランスデューサは、必要に応じて、前記キャリアと前記キャリアによって運ばれた部品とを捕捉することができる音響ポテンシャル井戸を生成するように構成され、前記コントローラは、前記キャリアを移動させるために前記トランスデューサシステムを制御して前記音響ポテンシャル井戸の位置及び/又は向きを変化させるように構成される、請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記キャリアは、前記電子部品を支持する第1の面を有し、前記第1の面に垂直な方向における前記キャリアの最大厚さは、前記音響トランスデューサによって発生した前記音波の波長の1/3倍未満であり、
前記第1の面の表面積は、必要に応じて前記電子部品の最大断面積の3倍以上であり、より好ましくは10倍以上であり、及び/又は
前記音響ポテンシャル井戸及び/又は前記キャリアは、必要に応じて細長く、前記第1の面は、必要に応じて矩形又は楕円形である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記トランスデューサシステムは、定常波を発生させるために前記トランスデューサによって放射された音波を反射する1つ以上の反射器(R)を含み、
前記システムは、必要に応じて、音場が生成される筐体(210)を含み、前記1つ以上の反射器は、前記筐体の内壁によって少なくとも部分的に形成され、及び/又は
半導体ウェハは、前記1つ以上の反射器を部分的に形成し、及び/又は
基板及び/又は前記基板を保持する保持ユニットは、必要に応じて前記1つ以上の反射器を部分的に形成する、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記入力ユニットが前記複数のトランスデューサのうちの一部と組み合わせて配置された入力部(201)と、
前記出力ユニットが前記複数のトランスデューサのうちの一部と組み合わせて配置された出力部(202)と、
前記入力部と前記出力部との間に配置され、かつ前記複数のトランスデューサのうちの一部のトランスデューサが配置された転送部(203)とを含み、
前記転送部に配置された前記複数のトランスデューサのうちの一部のトランスデューサは、必要に応じて、前記キャリアに配置された前記電子部品を支持した状態で前記キャリアを回転及び/又は反転させて、前記出力ユニットが前記キャリアから前記電子部品を受け入れる際に前記電子部品を前記出力ユニットに対向させるように構成される、請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記キャリア及び/又は前記キャリアによって運ばれた前記電子部品の位置及び/又は向きを決定する位置決めシステム(150)を更に含み、前記コントローラは、決定された位置及び/又は向きに応じて前記トランスデューサシステムを制御するように構成され、前記位置決めシステムは、必要に応じてビジョンシステムを含み、及び/又は
前記位置決めシステムは、必要に応じて、エコー位置決めを用いて前記キャリアの位置及び/又は向き及び/又は前記キャリアによって運ばれた前記電子部品の位置及び/又は向きを決定するように構成され、請求項5に従属する限りにおいて、前記複数のトランスデューサは、必要に応じて、前記エコー位置決めを行うための音波を発生させるように更に構成され、前記音波は、前記浮揚場を生成する前記音波と異なる周波数を有する、請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の電子部品を同時に搬送するように構成され、前記トランスデューサシステムは、必要に応じて、各々の音響ポテンシャル井戸において同時に搬送される前記複数の電子部品のそれぞれを捕捉するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、他の電子部品を搬送するために前記電子部品を搬送した後に前記キャリアを前記出力ユニットから前記入力ユニットに戻すように構成される、請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
電子部品を搬送する方法であって、
キャリアが浮揚する浮揚場を生成する工程と、
前記キャリアが浮揚している際に前記電子部品を前記キャリアに配置する工程と、
前記キャリアと、前記キャリアによって運ばれた前記電子部品とを共に移動させるために前記浮揚場を変化させる工程と、
前記電子部品を前記キャリアから除去する工程とを含む、方法。
【請求項13】
前記浮揚場は、音響浮揚場であり、前記キャリアと、前記キャリアによって運ばれた前記電子部品とは、必要に応じて音響ポテンシャル井戸内に捕捉され、前記キャリアと、前記キャリアによって運ばれた前記電子部品とを共に移動させる工程は、前記音響ポテンシャル井戸の位置及び/又は向きを変化させる工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電子部品は、ウェハに含まれる物理的に分離された複数の半導体ダイのうちの半導体ダイであり、前記電子部品を前記キャリアに配置する工程は、前記ウェハから半導体ダイを切り離し、切り離された前記半導体ダイを前記キャリアに配置させ、及び/又は切り離された前記半導体ダイを前記キャリアに配置することを可能にする工程を含み、物理的に分離された前記半導体ダイは、必要に応じて、接着剤などの第3の付着剤を用いてテープ、箔又はフィルムに付着し、前記半導体ダイを切り離す工程は、物理的に分離された前記半導体ダイのうちの半導体ダイの前記第3の付着剤による付着を解除するために前記第3の付着剤を照射する工程を含み、
前記浮揚場を生成する工程は、音波を発生させる複数のトランスデューサを用いて、定常波を発生させるために前記音波を1つ以上の反射器で反射する工程を含み、前記1つ以上の反射器は、少なくとも部分的に前記ウェハにより形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記電子部品を前記キャリアに配置する前に前記電子部品を前記キャリアに付着させるための第1の付着剤を前記キャリアに分注する工程を更に含み、前記電子部品を除去する工程は、必要に応じて、前記電子部品の前記第1の付着剤による前記キャリアへの付着を解除する工程を含み、前記第1の付着剤は、必要に応じて光吸収材料を含み、付着を解除する工程は、光源を用いて前記第1の付着剤を照射する工程を含み、及び/又は
前記方法は、複数のキャリアと、前記キャリアによって運ばれた対応する複数の電子部品とを前記浮揚場において同時に浮揚させる工程を更に含み、前記キャリア及び対応する電子部品は、必要に応じて各々の音響キャビティに捕捉され、前記方法は、前記音響キャビティの位置及び/又は向きを変化させることにより前記キャリアと前記キャリアによって運ばれた前記電子部品とを同時に移動させる工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、電子部品を搬送するシステムに関する。本開示の更なる態様は、電子部品を搬送する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体組立において、ソースユニットとターゲットユニットとの間に半導体ダイなどの電子部品を搬送(transfer)する必要があることが多い。例えば、ソースユニットは、ダイシングされた半導体ウェハを含んでもよく、ターゲットユニットは、ダイシングされた半導体ウェハ上のダイのうちの1つ以上が配置される必要があるプリント基板を含んでもよい。このような転送を可能とするために、電子部品を搬送(transport)するシステムが用いられている。このようなシステムは、ピックアンドプレース装置又はダイボンダ若しくはダイソータなどのダイ配置装置とも呼ばれてもよい。
【0003】
上記システムは、比較的重くて高価な機構及びメカトロニクスモジュールに依存して小型(<1mm)の部品を組み立てる。組み立てられた部品に関連して、組立設備が少なくとも7桁以上の重量を有するため、組立速度が速くなるのにつれて設備が複雑で高価になる。
【0004】
音響又は磁場浮揚は、様々な組立用途のために広く研究されており、上記問題点を解決するための見込みのある技術である。力場を正確かつ高速に制御することができれば、機械の複雑さを大幅に低減することができる。更に、部品とピックアップツールとの機械的接触が必要とされないため、損傷のリスクを低減する。また、機械部品が視界を遮らないため、スマートビジョンを統合して、力場における小物の位置を追跡し、かつアライメント及び検査作業を支援することができる。
【0005】
半導体組立に適用するために、音響又は磁場浮揚に伴ういくつかの問題を解決する必要がある。例えば、浮揚部品の実現可能な位置精度は、特定の用途に応じて許容されるべきである。従来技術では、浮揚部品の位置が振動の影響を受けるため、部品をキャリアに配置する際の位置精度が低下している。本出願人は、このような位置精度の低下を上記搬送システムにおける浮揚概念の適用によって成功裏に抑えることを見出した。
【発明の概要】
【0006】
本開示の態様は、上記位置精度の低下の問題を解決する電子部品を搬送するシステムに関する。このため、電子部品を運ぶキャリアと、複数のトランスデューサを含み、キャリアが浮揚する浮揚場を生成するように構成されたトランスデューサシステムとを含むシステムが提供される。システムは、電子部品をキャリアに配置する入力ユニットと、電子部品をキャリアから受け入れる出力ユニットとを更に含む。また、システムは、入力ユニットから出力ユニットへキャリアを移動させるためにトランスデューサシステムを制御して浮揚場を変化させるコントローラを含む。
【0007】
従来技術と比較して、本開示に係るシステムは、転送対象の電子部品を運ぶキャリアを用いている。このキャリアの形状、重量、密度などの特性は、用いられる特定の浮揚場に合わせて調整されてもよい。例えば、反磁性浮揚を用いる場合、好適な磁性材料でキャリアを製造することができる。また、転送対象の電子部品とは異なる形状、重量、及び/又は密度を用いることで、より安定した位置決めを実現することができる。転送対象の電子部品と比較して、キャリアを比較的大きくして平坦にしてもよい。これにより、転送対象の電子部品自体が浮揚場で浮揚している状況と比較して、浮揚場における位置振動を減少させることができる。
【0008】
入力ユニットは、キャリアに第1の付着剤を分注する第1の分注ユニットを更に含んでもよい。この第1の付着剤は、電子部品が受け入れられた際に電子部品をキャリアに付着させるように構成される。第1の付着剤は、水などの液体であってもよい。この場合、電子部品は、流体的な接着によりキャリアに保持されてもよい。他の実施形態では、他の液体、例えば接着性を有する液体を用いてもよい。液体は、一般的に、適量の液体をキャリアに滴下することができるように適用される。液体の分注が浮揚場を乱すことを防止するために、分注ユニットは、典型的に、キャリアからある程度離れた位置に配置される。更に、キャリアは、液体の液滴を配列し、及び/又は液滴に力を加えてキャリア上に所定の位置及び/又は形状を持たせるための凹み又は他の構造を含んでもよい。更に、このような凹み又は他の構造は、電子部品が入力ユニットから受け入れられた際にキャリアに対して所定の位置を持つように細長い形状を有してもよい。電子部品自体も細長く、かつ特定の向きで基板などに配置される必要がある場合に、このような配列が好ましい。
【0009】
出力ユニットは、電子部品の第1の付着剤によるキャリアへの付着を解除する脱着ユニットを含んでもよい。典型的には、脱着ユニットは、付着を遠隔的に、即ち機械的相互作用を介さずに解除する。これは、第1の付着剤に適当な形態のエネルギーを付与して、付着を解除することにより達成される。第1の付着剤が接着性を失うため、及び/又は第1の付着剤の少なくとも一部が除去されているため、付着は、解除されるおそれがある。例えば、第1の付着剤は、光吸収材料を含んでもよく、脱着ユニットは、第1の付着剤による付着を解除するために第1の付着剤を照射するように構成された光源を含んでもよい。光源としては、例えば、レーザ光源が挙げられてもよい。第1の付着剤は、第1の付着剤への照射により少なくとも一部が蒸発するように構成されてもよい。この場合、受けた光エネルギーは、第1の付着剤を蒸発させる点まで加熱する熱エネルギーに変換される。追加的又は代替的に、熱の吸収により、第1の付着剤が電子部品に推進力を作用させ、キャリアから離れるように電子部品を推し進めてもよい。
【0010】
出力ユニットは、電子部品が配置される基板を保持するチャックなどの保持ユニットを含んでもよい。典型的には、基板は、板状であり、プリント基板を含んでもよい。また、出力ユニットは、キャリアから受け入れられた電子部品を基板に付着させるために基板に第2の付着剤を分注する第2の分注ユニットを含んでもよい。第1の付着剤とは逆に、第2の付着剤は、一般的に、基板上の電子部品の永久的な固定を保証すべきである。第2の付着剤としては、接着糊、半田などが挙げられてもよい。
【0011】
電子部品は、半導体ダイであってもよい。更に、入力ユニットは、物理的に分離された複数の半導体ダイを含むウェハを保持するように構成されてもよい。このようなウェハは、製造途中の順序とは異なる順序でダイが配列され、及び/又は異なるウェハに由来するダイが配置された構造化ウェハであってもよい。また、代替的に、このようなウェハは、ウェハをダイシングすることにより各ダイが物理的に分離されたウェハを含んでもよい。
【0012】
入力ユニットは、半導体ダイをウェハから切り離し、切り離された半導体ダイをキャリアに配置させ、及び/又は切り離された半導体ダイをキャリアに配置することを可能にする切り離しユニットを更に含んでもよい。切り離しユニットは、一般的に、一度に1つの半導体ダイを切り離すように構成される。物理的に分離された半導体ダイは、第3の付着剤を用いてテープ、箔、フィルムに付着してもよい。
【0013】
切り離しユニットは、ニードルと、テープ、箔又はフィルムの裏面を押圧することによりニードルをウェハ上の複数の物理的に分離されたダイのうちの1つのダイと係合させ、かつこのような係合を解除するアクチュエータとを含んでもよい。この係合により、テープ、箔又はフィルムが外側に膨らみ、対応する半導体がテープ、箔又はフィルムから脱着してもよい。代替的に、切り離しユニットは、物理的に分離された半導体ダイのうちの半導体ダイの第3の付着剤によるテープ、箔又はフィルムへの付着を解除するために第3の付着剤を照射する光源を含んでもよい。この場合、第3の付着剤は、光吸収性接着剤となる。第3の付着剤は、光エネルギーを吸収すると、化学的転移を受けて接着性を失ってもよい。代替的に、第3の付着剤は、少なくとも一部が蒸発し、及び/又は取り除かれることにより、半導体ダイを切り離してもよい。
【0014】
入力ユニットは、電子部品がキャリアに配置される際に、地球重力場に対してキャリアの上方に配置されてもよい。この場合、入力ユニットは、電子部品をキャリアに落下させるように構成されてもよい。追加的又は代替的に、出力ユニットは、電子部品がキャリアから受け入れられる際に、地球重力場に対してキャリアの下方に配置されてもよい。この場合、出力ユニットは、電子部品をキャリアから落下させるように構成されてもよい。代替的に、本開示の態様は、半導体ダイを受け入れる際にキャリアがウェハに対して移動し、即ちウェハと物理的に接触し、及び/又は半導体ダイを基板に配置する際にキャリアが基板に対して移動する実施形態に関する。他の電子部品を転送する実施形態についても同様である。
【0015】
複数のトランスデューサは、音波を発生させるように構成された複数の音響トランスデューサを含んでもよい。この場合、浮揚場は、音響浮揚場である。複数の音響トランスデューサによって発生した音波は、20Hz~200kHzの範囲の周波数を有してもよい。トランスデューサは、キャリアとキャリアによって運ばれた部品とを捕捉することができる音響ポテンシャル井戸を生成するように構成されてもよい。コントローラは、キャリアを移動させるためにトランスデューサシステムを制御して音響ポテンシャル井戸の位置及び/又は向きを変化させるように構成されてもよい。
【0016】
キャリアは、電子部品を支持する第1の面を有してもよく、第1の面に垂直な方向におけるキャリアの最大厚さは、音響トランスデューサによって発生した音波の波長の1/3倍未満である。一般的に、浮揚場内の位置及び向きの適切な制御を可能にするように、キャリアと電子部品との組み合わせは、音響ポテンシャル井戸内に含まれるべきである。第1の面の表面積は、電子部品の最大断面積の3倍以上であってもよく、より好ましくは10倍以上である。典型的には、音響ポテンシャル井戸は、音波の伝播方向に垂直な方向において、伝播方向に平行な方向よりも大きくなる。例えば、トランスデューサが上下方向に音波を放射するように配置される場合、音響ポテンシャル井戸は、その高さよりもはるかに広い。更に、音響ポテンシャル井戸及び/又はキャリアは、細長くてもよい。これにより、音響ポテンシャル井戸内でのキャリアの自己配列が可能になるため、電子部品が出力ユニットにおいてキャリアから切り離される際の電子部品の向きを予測することができる。
【0017】
第1の面は、矩形又は楕円形であってもよい。更に、キャリアは、重合体及び/又は低密度材料、例えばマグネシウム又はベリリウムなどの低密度金属、炭素系低密度複合材料などの低密度複合材料又は低密度セラミックスからなる群から選択される1種以上の材料で製造され、低密度材料は、好ましくは密度が2000kg/m3未満である。
【0018】
トランスデューサシステムは、定常波を発生させるためにトランスデューサによって放射された音波を反射する1つ以上の反射器を含んでもよい。一般的に、音響浮揚場は、定常波のパターンからなる。これらの定常波は、2つ以上の逆方向を持った音波を干渉させることにより発生してもよい。1つ以上の反射器を用いると、発生した音波は、定常波パターンを生成するために反射を干渉する。
【0019】
システムは、音場が生成される筐体を含んでもよく、1つ以上の反射器は、筐体の内壁によって少なくとも部分的に形成される。転送対象の電子部品を保持した状態でウェハを用いる場合、このウェハは、反射器を部分的に形成してもよい。例えば、ウェハは、トランスデューサがウェハの下方に配置され、かつキャリアがトランスデューサとウェハとの間にある状態で、地球重力場に対して上下反転して配置されてもよい。この場合、定常波パターンは、トランスデューサから放射された音波とウェハから反射された音波とを用いて生成される。
【0020】
同様に、出力ユニットにおいて、基板は、1つ以上の反射器を部分的に形成してもよい。例えば、基板は、トランスデューサが基板の上方に配置され、かつキャリアがトランスデューサと基板との間にある状態で、地球重力場に対して上向きに方向付けられるように配置されてもよい。この場合、定常波パターンは、トランスデューサから放射された音波と基板から反射された音波とを用いて生成される。
【0021】
システムは、一般的に、多数の部分又はセグメントに分割されてもよい。例えば、システムは、入力部が複数のトランスデューサのうちの一部と組み合わせて配置された入力ユニットを含んでもよい。システムは、出力ユニットが複数のトランスデューサのうちの一部と組み合わせて配置された出力部と、入力部と出力部との間に配置され、かつ複数のトランスデューサのうちの一部のトランスデューサが配置された転送部とを更に含んでもよい。
【0022】
転送部に配置された複数のトランスデューサのうちの一部のトランスデューサは、キャリアに配置された電子部品を支持した状態でキャリアを回転及び/又は反転させて、出力ユニットがキャリアから電子部品を受け入れる際に電子部品を出力ユニットに対向させるように構成されてもよい。例えば、上述した実施形態では、入力ユニットは、電子部品がキャリアに配置される際にキャリアの上方に配置され、そして出力ユニットは、電子部品がキャリアから受け入れられる際にキャリアの下方に配置される。このような入力ユニットと出力ユニットの位置決めを可能とするために、電子部品を搭載したキャリアを回転及び/又は反転させる必要がある。一般的に、回転及び/又は反転は、トランスデューサと入力ユニットとが分離する方向に垂直な回転軸の周りで行われる。例えば、トランスデューサから垂直に分離するように入力ユニットを配置する場合、回転軸は、水平であってもよい。
【0023】
システムは、キャリア及び/又はキャリアによって運ばれた電子部品の位置及び/又は向きを決定する位置決めシステムを更に含んでもよい。この場合、コントローラは、決定された位置及び/又は向きに応じてトランスデューサシステムを制御するように構成される。位置決めシステムは、電子部品自体の位置及び/又は向きを決定するように構成されてもよい。代替的に、位置決めシステムは、電子部品がキャリアに対して所定の位置及び/又は向きを有する状態で、キャリアの位置及び/又は向きを決定するように構成されてもよい。
【0024】
位置決めシステムは、ビジョンシステムを含んでもよい。この3Dビジョンシステムは、音場が生成される筐体内部の位置及び/又は向きを決定する。このシステムは、ステレオカメラの設定及び/又は三角測量のための構造化照射を含んでもよい。代替的な撮像手法は、計算撮像及びデジタルホログラフィーに基づくものである。最小測定周波数は、1kHz程度であり得る。追加的に、このビジョンシステムは、キャリア上の半導体部品の位置決めを補正するために入力ユニット上の電子部品とキャリアとを配列するように構成されてもよい。ビジョンシステムは、基板上の電子部品の位置決めを補正するために、キャリア上の半導体部品と基板とを配列するためにもちいられてもよい。追加的又は代替的、位置決めシステムは、エコー位置決めを用いてキャリアの位置及び/又は向き及び/又はキャリアによって運ばれた電子部品の位置及び/又は向きを決定するように構成されてもよい。音響浮揚場を用いる場合、複数のトランスデューサは、更に、エコー位置決めを行うために音波を発生させるように構成されてもよい。これらの音波は、浮揚場を発生させるための音波と比較して、浮揚場を乱すことを回避するために異なる周波数を有してもよい。
【0025】
システムは、複数の電子部品を同時に搬送するように構成されてもよい。例えば、音響浮揚を用いる場合、複数の音響キャビティが生成される。この場合、トランスデューサシステムは、各々の音響ポテンシャル井戸において同時に搬送される複数の電子部品のそれぞれを捕捉するように構成されてもよい。
【0026】
更に、コントローラは、他の電子部品を搬送するために電子部品を搬送した後にキャリアを出力ユニットから入力ユニットに戻すように構成されてもよい。特に、水などの第1の付着剤を用いる場合、第1の付着剤によるキャリアの汚染が制限されるか又は存在しなくなるため、キャリアを複数回再利用することができる。
【0027】
本開示の更なる態様によれば、キャリアが浮揚する浮揚場を生成する工程と、キャリアが浮揚している際に電子部品をキャリアに配置する工程と、キャリアとキャリアによって運ばれた電子部品とを共に移動させるために浮揚場を変化させる工程と、電子部品をキャリアから除去する工程とを含む、電子部品を搬送する方法が提供される。
【0028】
本開示が磁気浮揚場などの他の浮揚場に関するが、浮揚場は、音響浮揚場であることが好ましい。浮揚場が音響浮揚場である場合、キャリアと、キャリアによって運ばれた電子部品とは、音響ポテンシャル井戸内に捕捉される。キャリアと、キャリアによって運ばれた電子部品とを共に移動させる工程は、音響ポテンシャル井戸の位置及び/又は向きを変化させる工程を含んでもよい。
【0029】
電子部品は、ウェハに含まれる物理的に分離された複数の半導体ダイのうちの半導体ダイであってもよい。電子部品をキャリアに配置する工程は、半導体ダイをウェハから切り離し、切り離された半導体ダイをキャリアに配置させ、及び/又は切り離された半導体ダイをキャリアに配置することを可能にする工程を含んでもよい。物理的に分離された半導体ダイは、接着剤などの第3の付着剤を用いてテープ、箔又はフィルムに付着してもよい。この場合、半導体ダイを切り離す工程は、物理的に分離された半導体ダイのうちの半導体ダイの第3の付着剤による付着を解除するために第3の付着剤を照射する工程を含んでもよい。
【0030】
浮揚場を生成する工程は、音波を発生させる複数のトランスデューサを用いて、定常波を発生させるために音波を1つ以上の反射器で反射する工程を含んでもよく、1つ以上の反射器は、少なくとも部分的にウェハにより形成される。
【0031】
方法は、電子部品をキャリアに配置する前に第1の付着剤をキャリアに分注する工程を更に含んでもよく、第1の付着剤は、電子部品をキャリアに付着させる。この場合、電子部品を除去する工程は、電子部品の第1の付着剤によるキャリアへの付着を解除する工程を含んでもよい。第1の付着剤は、光吸収材料を含んでもよく、付着を解除する工程は、光源を用いて第1の付着剤を照射する工程を含んでもよい。
【0032】
方法は、複数のキャリアと、キャリアによって運ばれた複数の対応する電子部品とを浮揚場において同時に浮揚させる工程を含んでもよい。この場合、キャリア及び対応する電子部品は、各々の音響キャビティに捕捉されてもよい。方法は、音響キャビティの位置及び/又は向きを変化させることによりキャリアとキャリアによって運ばれた電子部品とを同時に移動させる工程を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本開示の特徴を詳細に理解できるように、実施形態を参照してより具体的な説明を行い、実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は典型的な実施形態のみを示しているため、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではないことに留意されたい。図面は、本開示の理解を容易にするためのものであるため、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。請求される主題の利点は、同様の要素を示すために同様の参照符号が使用されている付随の図面と併せてこの説明を読むことにより、当業者に明らかになるであろう。
【0034】
【
図1】本開示の一態様に係る電子部品を搬送するシステムの一実施形態の部品を模式的に示す図である。
【
図2】本開示の一態様に係る電子部品を搬送するシステムの第1の実施形態を示す図である。
【
図3】本開示の一態様に係る電子部品を搬送するシステムの第2の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本開示の一態様に係る電子部品を搬送するシステム100の一実施形態の部品を模式的に示す図である。
図1に示された部品も
図2及び
図3に示されている。
図1~
図3において、転送対象の電子部品は、半導体ダイである。この半導体ダイは、物理的に分離された複数の半導体ダイを含むダイシングされた半導体ウェハとして設置される。物理的に分離された半導体ダイは、光吸収性接着剤を用いてテープ、箔又はフィルムに付着する。
【0036】
システム100は、転送対象の電子部品をキャリアに配置する入力ユニット110を含む。入力ユニット110は、第1の付着剤をキャリアに分注する第1の分注ユニット111と、半導体ダイをウェハから切り離し、切り離された半導体ダイをキャリア上に配置させ、及び/又は切り離された半導体ダイをキャリア上に配置することを可能にする切り離しユニット112とを含む。
【0037】
システム100は、電子部品をキャリアからプリント基板としての基板に受け入れる出力ユニット120を更に含む。出力ユニット120は、電子部品の第1の付着剤によるキャリアへの付着を解除するための脱着ユニット121を含む。出力ユニット120は、必要に応じて、キャリアから受け入れられた電子部品を基板に付着させるために基板に第2の付着剤を分注する第2の分注ユニット122を更に含む。
【0038】
システム100は、それぞれが、周波数が20kHz~200kHzの音波を放射する複数のトランスデューサ131を含むトランスデューサシステム130を含む。トランスデューサシステムは、キャリアが浮揚する浮揚場(levitation field)を生成するように構成される。また、システム100は、入力ユニット110から出力ユニット120へキャリアを移動させるためにトランスデューサシステム130を制御して浮揚場を変化させるコントローラ140を含む。コントローラ140は、第1の分注ユニット111と、切り離しユニット112と、脱着ユニット121と、必要に応じて第2の分注ユニット122とを更に制御する。
【0039】
システム100は、キャリア及び/又はキャリアによって運ばれた電子部品の位置及び/又は向きを決定する位置決めシステム150を含む。コントローラ140は、決定された位置及び/又は向きに応じてトランスデューサシステム130を制御するように構成される。必要に応じて、システム100は、電子部品を搬送する様々な段階で電子部品及び/又はキャリアを検査する検査システム160を含んでもよい。コントローラ140は、検査システム160の出力に応じてトランスデューサシステム130を制御するように構成されてもよい。検査システム160は、1つ以上の光学カメラ161を含んでもよい。
【0040】
次に、
図2及び3を参照すると、本開示の一態様に係る電子部品を搬送するシステムの2つの実施形態について詳細に説明する。
図1に示される部品と同一又は類似のこれらの実施形態における部品には同一の符号が付されている。
【0041】
図2は、入力ユニット110が複数のトランスデューサ131のうちの一部と組み合わせて配置された入力部201を含むシステム200Aを示す。システム200Aは、出力ユニット120が複数のトランスデューサ131のうちの一部と組み合わせて配置された出力部202を更に含む。また、システム200Aは、入力部201と出力部202との間に配置された転送部203を含む。
【0042】
システム200Aは、トランスデューサ131が配置された筐体210を含む。筐体210は、音響反射材料で製造される。トランスデューサ131から放射された音波が筐体210に反射して筐体210の内部に定常波パターンを生成する。定常波パターンは、複数の音響キャビティを含む。
【0043】
図示されるように、入力ユニット110は、キャリア220に水などの液体の液滴111Aを置く分注ユニット111を含む。これは、
図2の挿入
図IIIに示されている。入力ユニット110は、また、レーザ光源112としての切り離しユニットを含む。レーザ光源120は、コントローラ140によって制御されることにより、転送対象の半導体ダイ230をウェハテープ231に付着させるための光吸収性接着剤232の部分232Aを照射するために活性化させることができる。照射後に、光吸収性接着剤232Aによる半導体ダイ230の付着がなくなるため、半導体ダイ230がキャリア220に向かって落下し、液体111Aを用いてキャリア220に付着する。
【0044】
液体111Aの液滴を用いてキャリア220に付着した半導体ダイ230の上面図及び側面図を示す
図2の挿入
図Iに示すように、キャリア220は、楕円形の扁平形状を有している。この形状は、筐体210に生成された音響キャビティの形状に対応してもよい。例えば、細長い形状を用いることにより、細長い音響ポテンシャル井戸にキャリア220自体が配列される。
【0045】
入力部201の内部には、トランスデューサ131が筐体210の一側に配置され、複数の半導体ダイ230を保持するウェハ230Aが筐体210の反対側に配置されている。
図2の挿入
図IIに示すように、トランスデューサ131は、音波の源Sとして機能し、ウェハ230Aは、反射器Rとして機能する。ここで、挿入
図IIは、システム200Aにおける各位置のトランスデューサ131の構成を示している。挿入
図IIは、入力部201から出力部202までの水平方向に垂直な断面図に相当する。
【0046】
トランスデューサ131によって発生した音波と、ウェハ230A及び筐体210で反射された音波とは、共に定常波パターンを形成する。挿入
図IIは、半導体ダイ230がウェハ230Aから切り離された場合にキャリア220に向かって落下することを示す地球重力Fも示している。
【0047】
第2の部分203の内部には、トランスデューサ131は、筐体210の内壁に沿って様々な垂直位置に配置されている。また、筐体210の上部は、反射器Rとして機能し、筐体210の下部に配置されたトランスデューサ131は、源Sとして機能する。他の実施形態では、トランスデューサ131は、筐体210の上部及び下部に配置されている。トランスデューサ131の構成により、入力部201から出力部202までの水平方向に平行な回転軸又は入力部201から出力部202までの水平方向に垂直な水平軸に沿って音響キャビティを回転及び/又は反転させる。
【0048】
出力部202の内部に配置された出力ユニット120は、半導体ダイ230が配置される必要がある基板241を保持する保持ユニット240を含む。出力ユニット120は、レーザ光源121としての脱着ユニットを更に含む。プリント基板としてもよい基板241には、付着剤242が設置される。レーザ光源121が半導体ダイ230をキャリア220に付着させる液体111Aの液滴を照射すると、半導体ダイ230とキャリア220との付着が破壊され、半導体ダイ230が半導体ダイ230を基板241に対して固定させるための付着剤242に落下する。なお、付着剤242は、接着糊又は半田などを含んでもよく、固定化を図るために硬化及び/又は加熱などの追加の工程が必要とされてもよい。
【0049】
挿入
図IIに示すように、出力部202におけるトランスデューサ131の構成は、入力部201に対して反転している。これにより、キャリア220と、キャリア220によって運ばれた半導体ダイ230とを、入力部201と出力部202との間で回転又は反転させる必要がある。これは、先に説明したように、転送部203内で行われる。
【0050】
キャリア220及び/又は半導体ダイ230の位置及び/又は向きを決定するための位置決めは、エコー位置決めを用いて実現することができる。エコー位置決めを行うために必要な音波は、異なる周波数であることにもかかわらずトランスデューサ131を用いて放射されてもよい。コントローラ140は、キャリア220及び/又は半導体ダイ230の決定された位置に応じてトランスデューサ131を制御するように構成される。具体的には、キャリア220及び半導体ダイ230が捕捉される音響ポテンシャル井戸の位置及び/又は向きを変化させる。このような変化は、トランスデューサ131によって発生した音波の振幅及び/又は位相を変化させることにより実現することができる。
【0051】
挿入
図IIIは、入力ユニット110から出力ユニット120への搬送時の様々な段階でのキャリア220及び半導体ダイ230の位置を示している。符号3A、3Bを用いて図示されるように、キャリア220は、転送部203の内部にある時に反転する。
【0052】
また、システム200Aは、転送プロセスを監視し、及び/又はキャリア220及び/又は半導体ダイ230の様々な品質検査を行う光学カメラ161を含む。コントローラ140は、カメラ161の出力又は光学カメラ161の画像を処理する画像処理ユニットの出力に基づいて、補正処置を行うためのトランスデューサ131を制御してもよい。例えば、損傷し及び/又は誤配置された半導体ダイ230が光学カメラ161によって検出された場合には、コントローラ140は、半導体ダイ230及び/又はキャリア220を廃棄するための、必要に応じて脱着ユニットが設置された別の場所に、キャリア220を移動させるようにトランスデューサ131を制御してもよい。
【0053】
半導体ダイ230が基板241上に配置された後、キャリア220は、次の半導体ダイ230をウェハ230A上に搬送するための次の液体111Aの液滴を受け入れる入力部201に戻る。
【0054】
図2が単一の半導体ダイ230を搬送するプロセスを示しているが、この構想は、複数の半導体ダイ230を一度に搬送する場合にも同様に用いることができる。これは、定常波パターンが複数の音響キャビティを含むためである。必要に応じて、切り離しユニット112は、複数の半導体ダイ230を実質的に同時に対応する複数のキャリア220に放出するように構成されてもよい。分注ユニット111及び脱着ユニット121についても同様である。
【0055】
図3は、基板241上に半導体ダイ230を配置するために、半導体ダイ230が配置されたキャリア220を付着剤242に接触させる点で、システム200Aと異なるシステム200Bを示している。要するに、この場合、半導体ダイ230は、地球重力場の基板242への影響を受けない。むしろ、半導体ダイ230は、付着剤242に押し込まれ、及び/又は押し付けられる。なお、付着剤242の付着力は、液体111Aの付着力よりも優れ、この場合、脱着ユニット111を省略してもよい。
【0056】
図3の実施形態の利点は、転送部203の内部でのキャリア220の回転又は反転が要求されないことである。これにより、転送部203の内部のトランスデューサ231の配置は、システム200Aの転送部203に対して異なるだけでなくてもよい。
【0057】
以上、本発明をその詳細な実施形態を用いて説明した。しかしながら、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。その代わりに、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0058】
例えば、音響浮揚を用いた場合には、空気又は他の気体媒体を介して電子部品を搬送するシステムが一般的である。しかしながら、本開示は、電子部品を搬送可能な液体などの他の媒体を排除するものではない。空気の代わりに液体を用いる場合、発生した音波の周波数は、一般的に異なる。例えば、周波数は、100kHz~1MHzの範囲であってもよい。
【0059】
本発明の特定の好ましい態様は、添付の独立請求項に記載されている。従属請求項及び/又は独立請求項からの特徴の組み合わせは、請求項に記載されているようなものに限定されず、適宜組み合わせることができる。
【0060】
本開示の範囲には、請求された発明に関連するか否か、又は本発明によって対処される問題のいずれか又は全てを軽減するか否かに関係なく、明示的又は暗示的に開示された任意の新規な特徴又は特徴の組み合わせ、又はそれらの任意の一般化が含まれる。出願人は、これによって、この出願又はそれから派生した任意のこのような更なる出願の審査中に、このような特徴に対して新しい請求項が作成される可能性があることを通知する。特に、添付の特許請求の範囲を参照すると、従属請求項の特徴は独立請求項の特徴と組み合わされてもよく、それぞれの独立請求項の特徴は、請求項に列挙された特定の組み合わせだけでなく、任意の適切な方法で組み合わされてもよい。
【0061】
別個の実施形態の文脈で説明される特徴は、単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションで提供されてもよい。
【0062】
「含む」という用語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、複数を除外するものではない。特許請求の範囲における参照符号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【外国語明細書】