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特開2023-181142高電子移動度トランジスタの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181142
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】高電子移動度トランジスタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/337 20060101AFI20231214BHJP
   H01L 21/338 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H01L29/80 C
H01L29/80 H
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095495
(22)【出願日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】63/350,847
(32)【優先日】2022-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523034852
【氏名又は名称】超赫科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 展興
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102GD04
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ04
5F102GJ05
5F102GJ06
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GK08
5F102GL04
5F102GL07
5F102GM04
5F102GM07
5F102GM08
5F102GQ01
5F102GR04
5F102GR09
5F102GV05
5F102GV07
5F102GV08
5F102HC01
5F102HC02
5F102HC10
5F102HC15
5F102HC24
(57)【要約】
【課題】高電子移動度トランジスタの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、チャネル層と、前記チャネル層の上にあるバリア層とを含む半導体基板を用意するステップ、前記半導体基板上のゲート電極用開口に対応する位置に保護層を形成するステップ、前記半導体基板上の前記保護層の周囲に被覆層を形成し、前記保護層を除去して前記ゲート電極用開口を形成するステップ、及び前記ゲート電極用開口及び前記被覆層の上にp型層を形成するステップを含む高電子移動度トランジスタの製造方法を提供する。先行技術と比較して、本発明により提供される高電子移動度トランジスタの製造方法は、製造工程の技術的敷居を下げるだけではなく、良好な閾値電圧(Vth)及びオン抵抗(Rds(ON))を個別に制御及び得ることができ、製品の歩留まりを効果的に向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)チャネル層と、前記チャネル層の上にあるバリア層とを含む半導体基板を用意するステップ、
(b)前記半導体基板上のゲート電極用開口に対応する位置に保護層を形成するステップ、
(c)前記半導体基板上の前記保護層の周囲に被覆層を形成し、前記保護層を除去して前記ゲート電極用開口を形成するステップ、及び
(d)前記ゲート電極用開口及び前記被覆層の上にp型層を形成するステップ
を含む高電子移動度トランジスタの製造方法。
【請求項2】
(e)ソース電極用開口及びドレイン電極用開口に対応する位置で被覆層を露出させるように、前記被覆層の上に第1誘電体層をパターニングして形成し、メサを分離するステップ、
(f)前記ソース電極用開口及び前記ドレイン電極用開口に対応する位置でエッチング工程を実施して前記ソース電極用開口及び前記ドレイン電極用開口を形成するステップ、
(g)前記ソース電極用開口及び前記ドレイン電極用開口の上にオーミック接触金属層をパターニングして形成し、前記オーミック接触金属層を合金化するステップ、
(h)前記第1誘電体層の一部を覆うように第2誘電体層をパターニングして形成するステップ、
(i)前記ソース電極用開口、前記ゲート電極用開口及び前記ドレイン電極用開口に対応する位置を覆い、前記第1誘電体層の一部及び前記第2誘電体層の一部を覆うように第1金属層パターニングして形成するステップ、及び
(j)前記ソース電極用開口及び前記ドレイン電極用開口に対応する位置を覆い、前記第1金属層の一部を覆うように第2金属層をパターニングして形成するステップ
をさらに含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
上記ステップ(d)を完了した後、さらに前記p型層を前記ゲート電極用開口の上に限定するようにパターニングする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記保護層の成分は、窒化ケイ素で、その厚さは前記被覆層の厚さよりも厚い請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記保護層の厚さは、20~75nmである請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記被覆層の厚さは、15~50nm、前記バリア層の厚さは12~25nmである請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記被覆層の素材は、前記バリア層の素材と同じである請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記保護層は、低圧化学蒸着(Low Pressure CVD、LPCVD)工程を用いて形成される請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記保護層を形成する前に、前記バリア層の上にインサイチュ誘電体層を形成するステップをさらに含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記インサイチュ誘電体層の厚さは、20~50nmである請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記p型層の幅は、2.5~3μmである請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
前記第1誘電体層は、前記p型層の一部を覆う請求項2に記載の製造方法。
【請求項13】
前記第1誘電体層は、低圧化学蒸着(Low Pressure CVD、LPCVD)工程を用いてパターニングして形成される請求項2に記載の製造方法。
【請求項14】
前記ソース電極用開口及び前記ドレイン電極用開口は、それぞれ前記チャネル層を露出する凹溝である請求項2に記載の製造方法。
【請求項15】
前記凹溝は、少なくとも1つの側面と、底面とを有し、前記側面と前記底面との挟角は30~90度である請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記オーミック接触金属層の合金化の製造工程の温度は500~550℃である請求項14に記載の製造方法。
【請求項17】
前記第2誘電体層は、プラズマ化学蒸着(Plasma-Enhanced CVD、PECVD)工程を用いてパターニングして形成される請求項2に記載の製造方法。
【請求項18】
前記第2誘電体層の厚さは、500nm以下である請求項2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジスタの製造方法に関し、特に、高電子移動度トランジスタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業において、高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor、HEMT)、接合型電界効果トランジスタ(junction filed effect transistor、JFET)或いはパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(power MOSFET)などの高電圧スイッチング用トランジスタは、よく高電圧大電力装置用の半導体スイッチング素子として使用されており、高電子移動度トランジスタは高出力密度、高ブレークダウン電圧、高出力電圧及び高スイッチング周波数等の利点により、高電圧の操作環境下でも装置へのダメージが非常に少なく、徐々に幅広く使用されるトランジスタになっている。
【0003】
具体的に言えば、高電子移動度トランジスタの優れた性質は、バンドギャップ(bandgap)、高い臨界電界(critical electric field)及び高いキャリア移動度(carrier mobility)等のGaNの材料特性に大きく依存している。また、GaNの特有の分極効果により、AlGaN/GaNのヘテロ構造はドーピングしない場合において二次元電子ガス(two dimensional electron gases、2DEG)を誘導して形成することで、AlGaN/GaN HEMTsは大電流を出力して動作しながら非常に低いオン抵抗を有する。
【0004】
実務において高電子移動度トランジスタは、エンハンスメントモード半導体デバイス(E-mode)として構成することができ、すなわち、ノーマリオフ(normally OFF)構造として構成され、正閾値電圧を有する。このため、高電子移動度トランジスタ内のゲート電極の下に対応する位置に通常p型ドープ材料を含むp型層が設けられることで、デバイスにバイアスがかかっていないときに二次元電子ガスを空乏化させ、ノーマリオフの効果を奏する。上記構造を製造する現在の方法では、通常、ソース電極及びドレインの金属を形成してからp型層を形成する。したがって、p型層をパターニングして形成するには、特殊なエッチング工程を用いてp型層の一部を除去し、その後のデバイスの漏電又は故障を避けるため、過程中に下層をオーバーエッチングしたり、電極の金属を汚染したりしないように注意しなければならない。前記特殊なエッチング工程は、例えば原子層エッチング(Atomic Layer Etching、ALE)工程で、自己制限的な連続反応を使用して薄層材料を除去する技術である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら背景技術で言及されている原子層エッチング工程のコストは非常に高く、技術的に敷居が高く、非常に時間がかかる。製品に十分な閾値電圧(Vth)があるように、トランジスタのバリア層の厚さが厚すぎてはならない。しかしながら本発明者らは、上述の方法でトランジスタを製造すると、オーバーエッチングによりバリア層の表面にダメージが生じ、歩留まりに悪影響を及ぼす可能性があり、同時にソース電極、閘極及びドレイン電極の間隔(spacing)の欠陥エリア(deficient region)が深くなり、電荷量が減少し、デバイスのオン抵抗Rds(ON))が高くなる可能性もあることを見出した。そこで、本発明者らは、まず、半導体基板のバリア層上のゲート電極を形成する所定位置に対応する位置に保護層を形成し、次に保護層と被覆層との素材の違い及び保護層自体の材料特性に基づいて該保護層の周囲に被覆層を選択的に形成し、保護層を除去してゲート電極用開口を形成し、次にゲート電極用開口及び被覆層の上にp型層を形成するという概念を提案した。これにより、比較的簡単なエッチング法により該保護層を除去してゲート電極用開口を形成できる以外に、被覆層を有するため、その後のp型層の形成によるバリア層への影響を避けることができることで、p型層のパターニング方法も簡素化する。この概念に基づいて、本発明は、閾値電圧及びオン抵抗にかかわる上述の変数を個別に制御することができ、詳しく言えば、本発明は、歩留まりの低下及びオン抵抗の上昇問題を避けるだけでなく、バリア層の厚さの余裕度を大きくして完成品が十分な閾値電圧を有することを確保できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明の一態様は、(a)チャネル層と、前記チャネル層の上にあるバリア層とを含む半導体基板を用意するステップ、(b)前記半導体基板上のゲート電極用開口に対応する位置に保護層を形成するステップ、(c)前記半導体基板上の前記保護層の周囲に被覆層を形成し、前記保護層を除去して前記ゲート電極用開口を形成するステップ、及び(d)前記ゲート電極用開口及び前記被覆層の上にp型層を形成するステップを含む高電子移動度トランジスタの製造方法を提供する。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、製造方法は、(e)ソース電極用開口及びドレイン電極用開口に対応する位置で被覆層を露出させるように、前記被覆層の上に第1誘電体層をパターニングして形成し、メサを分離するステップ、(f)前記ソース電極用開口及び前記ドレイン電極用開口に対応する位置でエッチング工程を実施して前記ソース電極用開口及び前記ドレイン電極用開口を形成するステップ、(g)前記ソース電極用開口及び前記ドレイン電極用開口の上にオーミック接触金属層をパターニングして形成し、前記オーミック接触金属層を合金化するステップ、(h)前記第1誘電体層の一部を覆うように第2誘電体層をパターニングして形成するステップ、(i)前記ソース電極用開口、前記ゲート電極用開口及び前記ドレイン電極用開口に対応する位置を覆い、前記第1誘電体層の一部及び前記第2誘電体層の一部を覆うように第1金属層パターニングして形成するステップ、及び(j)前記ソース電極用開口及び前記ドレイン電極用開口に対応する位置を覆い、前記第1金属層の一部を覆うように第2金属層をパターニングして形成するステップをさらに含む。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、上記ステップ(d)を完了した後、さらに前記p型層を前記ゲート電極用開口の上に限定するようにパターニングする。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、前記保護層の成分は、窒化ケイ素で、その厚さは前記被覆層の厚さよりも厚い。前記保護層の厚さは、20~75nmであることが好ましい。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、前記被覆層の厚さは、15~50nm、前記バリア層の厚さは12~25nmである。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記被覆層の素材は、前記バリア層の素材と同じである。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記保護層は、低圧化学蒸着(Low Pressure CVD、LPCVD)工程を用いて形成される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、製造方法において、前記保護層を形成する前に、前記バリア層の上にインサイチュ誘電体層を形成するステップをさらに含む。前記インサイチュ誘電体層の厚さは、20~50nmであることが好ましい。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、前記p型層の幅は、2.5~3μmである。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記第1誘電体層は、前記p型層の一部を覆う。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、前記第1誘電体層は、低圧化学蒸着(Low Pressure CVD、LPCVD)工程を用いてパターニングして形成される。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記ソース電極用開口及び前記ドレイン電極用開口は、それぞれ前記チャネル層を露出する凹溝である。好ましくは、前記凹溝は、少なくとも1つの側面と、底面とを有し、前記側面と前記底面との挟角は30~90度である。好ましくは、前記オーミック接触金属層の合金化の製造工程の温度は500~550℃である。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記第2誘電体層は、プラズマ化学蒸着(Plasma-Enhanced CVD,PECVD)工程を用いてパターニングして形成される。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、前記第2誘電体層の厚さは、500nm以下である。
【0020】
要するに、本発明により提供される高電子移動度トランジスタの製造方法では、保護層とバリア層及び被覆層の格子整合性における差及び多くの利点を適切に活用することにより、ソース電極及びドレイン電極を形成する前にp型層をパターニングさせて設けることができ、歩留まりの低下及びオン抵抗の上昇問題を避けることができるだけでなく、バリア層の厚さの余裕度を大きくして完成品が十分な閾値電圧を有することを確保できる。したがって、先行技術と比較して、本発明により提供される高電子移動度トランジスタの製造方法は、コストと工数を効果的に削減できるだけでなく、製造工程の技術的敷居を下げ、製品歩留まりを向上させることもできる。
【0021】
本発明の上記目的及びその他の目的、特徴、利点及び実施例をより理解しやすくするため、図面を参照しつつ以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態の高電子移動度トランジスタの製造フローチャートである。
図2】本発明の一実施形態の高電子移動度トランジスタの製造フローチャートである。
図3】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図4A】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図4B】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図4C】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図4D】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図5A】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図5B】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図6A】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図6B】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図6C】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図7A】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図7B】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図8】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図9】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図10】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図11】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図12】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図13】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
図14】発明の実施形態に係る異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一般的な慣行によると図面上の各種特徴及び構成要素は、実際の寸法比率で描かれていないが、本発明に関連する具体的特徴及び構成要素を提示するために最適な方法で描かれている。また、異なる図面の範囲において同一又は類似の符号で類似の構成要素及び部材を表す。
【0024】
本発明の説明をより詳細かつ完全にするため、以下は、本発明の実施態様及び具体的実施形態の例示的な説明を提供するが、これは、本発明の具体的実施形態を実施又は運用する唯一の形態ではない。本明細書及び添付される特許請求の範囲において、文脈が別段の指示をしない限り、「一」及び「前記」も複数形として解釈され得る。また、本明細書及び添付される特許請求の範囲は別段に明記されていない限り、「何かの上に設けられた」は、貼付又は他の形で何かの表面と直接或いは間接的に接触していると見なすことができる。当前記表面の特定は、明細書内容の前後の段落の文脈及び本発明の属する技術分野における通常の知識に基づいて判断しなければならない。
【0025】
本発明を特定する数値範囲及びパラメータは、概数値であるが、ここで具体的実施形態内の関連数値をできる限り正確に提示されている。ただし、任意の数値は、本質的に個々のテスト方法による標準偏差が必然的に含まれている。本明細書で使用される場合、「約」は通常、実際値が特定数値又は1つの範囲の±10%、5%、1%或いは0.5%以内を意味する。若しくは、「約」という用語は、実際値が平均の許容可能な標準誤差内にあり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者の考えによって定めることを示す。したがって、特に断りのない限り、本明細書及び添付される特許請求の範囲に開示されている数値やパラメータは、均しく概数値であり、必要に応じて変更することができる。少なくとも、これらの数値やパラメータは、示された有効桁数及び通常の丸めを適用して得られた数値を意味すると解釈する必要がある。
【0026】
用語
本明細書で使用されるとき、用語「高電子移動度トランジスタ」は、負の閾値電圧を有する自然なノーマリーオン(normally ON)構造であり得、ノーマリオフ(normally OFF)構造に変換して正の閾値電圧を有することもできる。一方、本発明の「半導体材料」は、多種元素の化学化合物を含み得、前記元素は化学周期表の異なる族の1つ以上の元素に属するGaNを含むが、これに限定されない。これら化学化合物としては、第13族(すなわち、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びタリウム(Tl)を含む族)元素及び第15族(すなわち、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)及びビスマス(Bi)を含む族)元素で構成されるペア、又は第14族(すなわち、炭素(C)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)などの元素を含む族)元素で構成されるペア(例:炭化ケイ素(SiC)或いはシリコンゲルマニウム合金など)が挙げられる。周期表の前記第13族から第15族は、それぞれ
と呼ばれることがある。
【0027】
本明細書で使用されるとき、用語「露出(exposure)」とは、物体の表面が完全に覆われておらず、前記物体の表面に1つ以上の開口又は穴・溝の構造を形成する場合があることを意味し、ただし、具体的に特定された内容は、明細書内容の文脈/段落の意味論及び本発明の属する技術分野の通常知識に従って判断されるべきである。
【0028】
本明細書で使用されるとき、用語「適切なエピタキシャルの成長又は堆積工程」は、化学蒸着法(chemical vapor deposition;CVD)、低圧化学蒸着法(low pressure CVD;LPCVD)、常圧化学蒸着法(atmospheric pressure CVD;APCVD)、超高真空化学蒸着法(ultrahigh vacuum CVD;UHVCVD)、原子層蒸着法(atomic layer deposition;ALD)、分子層堆積法(molecular layer deposition;MLD)、プラズマ化学蒸着(plasma enhanced CVD;PECVD)、有機金属化学蒸着法(metal-organic CVD;MOCVD)、分子線エピタキシー法(molecular beam epitaxy;MBE)、スパッタ法等又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で使用されるとき、用語「フォトレジスト(photoresist)」とは、集積回路及び半導体素子の加工プロセスによく応用される感光性材料のことで、紫外線、深紫外線、電子線、イオンビーム、X線などの照射又は放射を経た後、溶解性の差異を生じて、使用者の目的に応じてパターンを物体の表面に描画できる。前記フォトレジストは、ポジ型フォトレジスト及びネガ型フォトレジストに分けられ、露出・現像後にポジ型フォトレジストはレチクルと同じパターンが得られ、ネガ型フォトレジストは反転したパターンが得られる。
【0030】
本明細書で使用されるとき、用語「マスク/レチクル(mask,reticle)」とは、集積回路及び半導体素子の加工プロセスによく応用される遮光デバイスのことで、製造工程における物体表面のパターンを画定し、フォトレジストと組み合わせてパターニングを実施するために用いられる。
【0031】
本明細書で使用されるとき、用語「リフトオフプロセス(lift-off process)」は、金属領域を生成したいネガ型フォトレジストを使用し、光照射プロセスを経た後に金属を形成し、エッチング法を使用して犠牲層を溶解して金属領域を生成する必要のない他の金属付着物を剥離することである。
【0032】
本明細書で使用されるとき、用語「適切なエッチングプロセス(etching)」は、ドライエッチング及びウェットエッチングを含むが、これらに限定されない。ドライエッチングは、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching;RIE)、誘導結合プラズマエッチング(Inductively Coupled Plasma;ICP)等の物理的衝撃方法を含み、ウェットエッチングは本発明の属する技術分野において良く知られた化学溶液エッチング法である。
【0033】
本発明の以下の説明は、この技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の必要な技術内容を容易に理解することができ、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に多種多様な改変及び潤色が加われて異なる用途及び状況に適応する場合、その他の実施態様も本発明の特許請求の範囲に属する。
【実施例0034】
図1及び図2は、本発明のいくつかの実施例による高電子移動度トランジスタの製造方法のフローチャートである。図3図14は、前記製造方法の異なる製造段階における高電子移動度トランジスタ構造の断面図である。
【0035】
まず、図1を参照すると、本発明は、半導体基板を用意するステップS100、半導体基板上のゲート電極用開口に対応する位置に保護層を形成するステップS102、半導体基板上の前記保護層の周囲に被覆層を形成し、前記保護層を除去するステップS104、及びゲート電極用開口の上にp型層をパターニングして形成するステップS106を含む高電子移動度トランジスタの製造方法を提供する。
【0036】
次に図2を参照すると、本発明の高電子移動度トランジスタの製造方法は、被覆層の上に第1誘電体層をパターニングして形成し、メサを分離するステップS108、ソース電極用開口及びドレイン電極用開口を形成するステップS110、ソース電極用開口及びドレイン電極用開口の上にオーミック接触金属層をパターニングして形成し、オーミック接触金属層を合金化するステップS112、第2誘電体層をパターニングして形成するステップS114、第1金属層をパターニングして形成するステップS116、及び第2金属層をパターニングして形成するステップS118をさらに含む。
【0037】
図3は、ステップS100において提供される半導体基板100を示しており、図1及び図3を併せて参照されたい。本発明のいくつかの実施例によれば、前記半導体基板100は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)/窒化ガリウム(GaN)高電子移動度トランジスタに基づいて設置された構造で、かつエピタキシャル成長層である。具体的に言えば、前記半導体基板100は、チャネル層108と、前記チャネル層108の上に設けられたバリア層110とを備え、前記チャネル層108と前記バリア層110との間には異種材料界面が存在し、前記チャネル層108内の前記界面に近い箇所に二次元電子ガス領域を形成させることができ、該二次元電子ガス領域はバイアスがかかられたときに自由電子の伝導チャネルを形成できることで、例えばソース電極とドレイン電極を電気的に結合するという目的を達成する。さらに前記チャネル層108の材料は、アンドープ又は意図せずにドープされたGaNであり、前記チャネル層108の厚さは50~1000nm、例えば50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950或いは1000nmである。前記バリア層110の材料は、アンドープ又は意図せずにドープされたAlGa1-xNであり、ここでxは約0.1~約1の範囲にあり、前記バリア層110の厚さは10~40nm、例えば10、15、20、25、30、35或いは40nmである。
【0038】
本発明の好ましい実施例によれば、前記半導体基板100の層構造は、下から上にそれぞれ基材102、核生成層104、バッファ層106、チャネル層108及びバリア層110である。より好ましい実施例によれば、前記バリア層110の上には1.5、1.6、1.7、1.8、1.9又は2nmなどの1.5~2nmの厚さを有するキャップ層(Cap layer,図示せず)がさらに含まれることができる。前記基材102は、サファイア、GaN、GaAs、シリコン結晶、Siの炭化ケイ素(SiC)の任意の多形(ウルツ鉱を含む)、AlN、InP或いは半導体用の近似基材材料などの高品質の単結晶シリコン半導体材料で作られ、絶縁されなければならないウエハを含む。前記核生成層104は、アンドープ又は意図せずにドープされたAlN化合物を含み得る。前記バッファ層106は、層間の不整合を補償するために設けられ、かつアンドープ又は意図せずにドープされた或いは炭素がドープされたGaNを含む。
【0039】
図4A図4Dは、ステップS102内の半導体基板100の上のゲート電極用開口に対応する位置に保護層200Aを形成する構造変化状況を示しており、図1図4A図4Dを併せて参照されたい。まず、適切なエピタキシャル成長又は堆積工程で前記保護層200Aの材料を前記半導体基板100の上に配置され、ここで、前記保護層200Aは高温エピタキシャル工程に耐えることができなければならず、同時に調製過程中に選択性を有することができるように格子整合性の点で前記バリア層110とは異なっていなければならない。次に、前記保護層200Aは、過度の応力(stress)が生じること、前記バリア層110との反応が起こすことを避けなければならない。好ましくは、前記保護層200Aを設置する工程は低圧化学蒸着法を用い、製造工程の温度は800℃より高く、例えば850、900、950、1000、1050又は1100℃などである。また、前記保護層200Aの材料は、SiO、SiON、或いはSiNのうちの少なくとも1種(xは約0.1~1)であり、好ましくはSiNである。前記保護層200Aの厚さD1は、20~75nm、例えば20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70或いは75nmである。本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記保護層200Aを形成する前に、まず前記半導体基板100の上に同じ材料を有するインサイチュ(in situ)誘電体層(図示せず)を形成し、その厚さ20~50nm、例えば20、25、30、35、40、45或いは50nmである。特定の理論に拘束されることなく、前記インサイチュ誘電体層は、閾値電圧に影響を与えることなく、前記バリア層110(図3)の汚染を防ぐことができる。
【0040】
次に、マスク300Aと組み合わせて適切なエッチングプロセスを実施して、前記保護層200Aをパターニングし、前記半導体基板100上のゲート電極を形成する所定の位置に特に配置され、その後のゲート電極用開口を保護し、残りの前記保護層200Aを除去する。詳しく言えば、パターニング後、個々のゲート電極用開口に対応する前記保護層200A間の距離は、7μm以上、例えば7、8、9、10μmでなければならないことで、前記保護層200Aのない領域に材料を形成する際にエッジでの堆積状況(pile up)を避ける。好ましくは、前記距離は、その後製造された素子のゲート幅(Wg)に等しい。
【0041】
図5A及び図5Bは、ステップS104内の前記半導体基板100の上の前記保護層200Aの周囲に被覆層112を形成し、前記保護層200Aを除去する構造変化状況を示しており、図1図5A及び図5Bを併せて参照されたい。ここで、適切なエピタキシャルの成長又は堆積工程で前記被覆層122の材料を前記半導体基板100の上に設ける。前記被覆層122は、より大きな相互コンダクタンス上限、飽和電流、電流利得の遮断周波数、最大発振周波数を提供するために用いられることができ、ドレイン電極からソース電極までのオン抵抗(Rds(ON))を低減することができ、その材料は前記バリア層110(図3)と同じで、アンドープ又は意図せずにドープされたAlGa1-xNであり、ここでxは約0.1~約1の範囲内にある。前記被覆層112の厚さは、15~50nm、例えば15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49或いは50nmである。本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記被覆層112の厚さは、前記保護層200Aの半分以下である。
【0042】
前記被覆層112の材料の格子整合性に基づくと、前記被覆層112は前記保護層200Aによって覆われていない表面上に選択的に堆積されることになり、換言すれば、前記被覆層112は前記保護層200Aの周囲に選択的に形成される。特定の理論に拘束されることなく、前記被覆層112は前記バリア層110(図3)の延長部とすることもできて、前記チャネル層108(図3)の電荷密度を高め、好ましくはこれによりトランジスタに含まれる電荷量を個別に調整して、理想的なブレークダウン電圧(Breakdown Voltage)が得られる。これにより、本発明は、後続のトランジスタがより高い閾値電圧(Vth)を有することができるように、バリア層110を同時に薄くすることができることが好ましく、具体的に言えば、前記バリア層の厚さは12~25nm、例えば12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24或いは25nmである。次に、前記半導体基板100上のゲート電極を形成する所定の位置を露出するように前記保護層200Aを選択的に除去し、ゲート電極用開口202を形成する。詳しく言えば、前記保護層200Aと前記被覆層112との間の構造的及び成分的差異に基づいて、ここで適切なエッチングプロセスを用いて前記保護層200Aを選択的除去することができ、これにより先行技術より簡単な方法で前記ゲート電極用開口202を形成することができる。
【0043】
図6A図6Cは、ステップS106内の前記ゲート電極用開口202の上にp型層Pをパターニングして形成する構造変化状況を示しており、図1及び図6A図6Cを併せて参照されたい。ここで、適切なエピタキシャルの成長又は堆積工程でp型層Pの材料を前記半導体基板100の上に設け、前記プロセスは有機金属化学気相成長法を用いることが好ましく、製造工程の温度は800~1200℃、例えば850、900、950、1000、1050、1100、1150或いは1200℃である。
【0044】
材料から言えば、前記p型層Pは、p型窒化ガリウム(p-GaN)、p型窒化アルミニウムガリウム(p-AlGaN)或いはp型炭化ケイ素(p-SiC)を含み得、好ましくは、前記p型層Pはp型窒化ガリウム(p-GaN)を含み、かつ好ましくはMgなどのp型ドーパントを含む。前記p型層Pは、格子整合性により、形成時前記ゲート電極用開口202及び前記被覆層112の上に一体的に堆積される。
【0045】
次に、マスク300Bと組み合わせて適切なエッチングプロセスを実施して前記ゲート電極用開口202の位置に特に設けられるように前記p型層Pをパターニングすることで、初期のゲート電極構造を形成し、残りの前記p型層Pを除去する。本発明のいくつかの実施例によれば、前記p型層Pの厚さは、50~90nm、例えば50、55、60、65、70、75、80、85、90nmである。本発明のいくつかの実施例によれば、前記p型層Pの幅は、2.5~3μm、例えば:2.5、2.6、2.7、2.8、2.9或いは3μmである。
【0046】
本発明の好ましい実施例によれば、上記被覆層112の厚さを30~50nm、例えば30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49或いは50nmとした場合、下の前記チャネル層108の電荷に対する前記p型層Pの影響を低減することができる。これにより、適切なエピタキシャルの成長又は堆積工程でp型層Pの材料を前記半導体基板100の上に設けた後、さらに前記p型層Pを前記ゲート電極用開口202の位置に限定するようにパターニングする必要がないことで、プロセスを簡略化する効果を奏することができる。
【0047】
図7A図7B及び図8は、ステップS108内の前記被覆層112の上に第1誘電体層200Bをパターニングして形成し、メサを分離する構造変化状況を示しており、図2図7A図7B及び図8を併せて参照されたい。まず、適切なエピタキシャルの成長又は堆積工程で前記第1誘電体層200Bの材料を前記半導体基板100の上に一体的に堆積し、好ましくは、前記工程は低圧化学蒸着法を用い、製造工程の温度は800℃より高く、例えば850、900、950、1000、1050或いは1100℃などである。なお、前記第1誘電体層200Bの材料は、SiO、SiON、又はSiNのうちの少なくとも1種(xは約0.1~1)であることが好ましく、かつ高電子移動度トランジスタにおけるフィールドプレート(field plate)として使用することができる。前記第1誘電体層200Bの厚さは、150~300nm、例えば150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290或いは300nmである。
【0048】
次に、適切なエッチングプロセスを用いて前記第1誘電体層200Bをパターニングしてソース電極及びドレイン電極としての所定位置を画定し、さらに適切なエッチングプロセスでメサ分離ステップを実施して、素子間が互いに影響を与えることなく独立して作動できるようにアクティブ領域Mを画定する。本発明のいくつかの実施例によれば、前記メサ分離ステップは、適切なエッチングプロセスを用いる以外に、層の抵抗を変化させるために適切なイオン注入プロセスを使用することもできることで、前記アクティブ領域Mを画定し、好ましくは、前記メサ分離ステップは上記の2つのプロセスの組み合わせを使用することもできる。
【0049】
図9は、ステップS110内のソース電極用開口204及びドレイン電極用開口206を形成する構造変化状況を示しており、図2及び図9を併せて参照されたい。このステップにおいて、適切なエッチングプロセスを用いて前記第1誘電体層200B上のソース電極及びドレイン電極を形成する所要の位置で前記チャネル層108まで下向きにエッチングして前記ソース電極用開口204及び前記ドレイン電極用開口206を形成する。具体的に言えば、前記ソース電極用開口204及び前記ドレイン電極用開口206は、いずれも凹溝であり、少なくとも1つの側面と、底面(すなわち、前記チャネル層108の露出表面)とを有し、前記側面と前記底面との間の挟角A1は30~90度、例えば30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85或いは90度、好ましくは60度である。特定の理論に拘束されることなく、前記挟角A1が前記の範囲内にあると、その後電極を形成する時の電極金属が前記バリア層110及び前記チャネル層108と効果的に接触することが可能になり、二次元電子ガス領域の導通が容易になる。
【0050】
図10及び図11は、ステップS112内のソース電極用開口204及びドレイン電極用開口206の上にオーミック接触金属層210Aをパターニングして形成し、前記オーミック接触金属層210Aを合金化する構造変化状況を示しており、図2図10及び図11を併せて参照されたい。ここで、適切なマスクと組み合わせて適切なエピタキシャルの成長又は堆積工程でオーミック接触金属層210Aを形成し、次に前記マスクを除去することで、オーミック接触金属層210Aを前記ソース電極用開口204及び前記ドレイン電極用開口206に限定的に形成する目的を達成する。さらに合金化プロセスを用いて前記ソース電極用開口204及び前記ドレイン電極用開口206に形成されたオーミック接触金属層210Aを合金化(図11)して、ソース電極204E及びドレイン電極206Eをそれぞれ形成し、高電子移動度トランジスタにオーミック接触を形成させる。本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記ソース電極用開口204及び前記ドレイン電極用開口206の底面が前記チャネル層108を露出しているため、特定の理論に拘束されることなく、前記合金化プロセスは周知技術の製造工程の温度よりも実質的に低い製造工程の温度、好ましくは500~550℃、例えば500、510、520、530、540、550℃で実施することができる。本発明のさらにいくつかの好ましい実施例によれば、前記オーミック接触形成は、前記ソース電極用開口204及び前記ドレイン電極用開口206の底面に高濃度にドープされたn型窒化ガリウム層(図示せず)をそれぞれ形成する方法を用いることもでき、キャリア濃度は、好ましくは1019ns*cm-3より大きく、より好ましくは分子線エピタキシー(Molecular beam epitaxy,MBE)を用いてキャリア濃度を1020ns*cm-3より大きく設定することで、前記合金化プロセスを置き換えるか、簡略化することができる。本発明のいくつかの実施例によれば、オーミック接触金属層210Aは、オーミック接点又は他の導電性界面を形成できる任意の適した導電性材料、好ましくはチタン(Ti)/アルミニウム(Al)/ニッケル(Ni)/タンタル(Ta)/モリブデン(Mo)/金(Au)で作製することができる。
【0051】
図12は、ステップS114内の第2誘電体層200Cをパターニングして形成する構造変化状況を示しており、図2及び図12を併せて参照されたい。前記ソース電極204E及び前記ドレイン電極206Eを形成した後、次に前記第1誘電体層200Bの一部を覆うように前記第2誘電体層200Cをパターニングして形成する。本発明のいくつかの実施例によれば、前記第2誘電体層200Cの材料は、前記第1誘電体層200Bと同じであっても異なっていてもよく、好ましくは、SiO、SiON、又はSiNのうちの少なくとも1種(xは約0.1~1)であり、かつ高電子移動度トランジスタにおけるフィールドプレート(field plate)として使用することができる。本発明のより好ましい実施例によれば、前記第1誘電体層200B及び前記第2誘電体層200Cの材料は異なり、例えば前記第1誘電体層200Bの材料はSiN、前記第2誘電体層200Cの材料はSiOであるため、前記第2誘電体層200Cをパターニングして形成する際に、両者の材料の差異を利用して選択的なエッチングの効果が得られる。また、前記第2誘電体層200Cの厚さは、500nm未満、好ましくは200~300nm、例えば200、210、220、230、240、250、260、270、280、290或いは300nmである。なお、前記第1誘電体層200Bを覆う前記第2誘電体層200Cの領域は、実質的に前記p型層Pと前記ドレイン電極206Eとの間に位置し、ただし具体的に覆う領域の大きさは、本出願により限定されない。
【0052】
図13は、ステップS116内の第1金属層210Bをパターニングして形成する構造変化状況を示しており、図2及び図13を併せて参照されたい。このステップでは、p型層P、第1誘電体層200Bの一部及び第2誘電体層200Cの一部を覆うように前記第1金属層210Bをパターニングして形成する。具体的に言えば、適切なマスクと組み合わせて適切なエピタキシャルの成長又は堆積工程で第1金属層210Bを形成し、次に前記マスクを除去して第1金属層210Bをパターニングして形成する目的を達成する。詳しく言えば、前記第1金属層210Bは、前記p型層Pを覆った後ゲート電極202Eを形成すると共に第1誘電体層200Bの一部及び第2誘電体層200Cの一部などの領域を覆い、ただし具体的に覆う領域の大きさは、本出願により限定されない。本発明のいくつかの実施例によれば、前記第1金属層210Bは、半導体デバイスにバイアスがかかるか、半導体デバイスを制御できる導電性材料、好ましくはニッケル(Ni)/金(Au)またはジルコニウム(Zr)/金(Au)で作製することができる。
【0053】
図14は、ステップS118内の第2金属層220をパターニングして形成する構造変化状況を示しており、図2及び図14を併せて参照されたい。ステップS116の実施後、さらに第2金属層220及びブリッジ層(図示せず)をパターニングして設ける。前記第2金属層220及び前記ブリッジ層は、どちらも適切なエピタキシャルの成長又は堆積工程を介して形成され、特定のマスク及び/或いはフォトレジストと組み合わせてパターニングされ、前記ゲート電極202E以外の領域に限定的に設けられる。前記第2金属層220は、異なる素子間の同じ電極を電気的に接続するために用いられ、任意の適した導電性材料で作製される。前記ブリッジ層は、不必要な領域での異なる電極の導通を避けるため、異なる電極間の電気絶縁層として用いられるため、任意の適した非導電性材料、例えばシリコン含有材料を用いる。
【0054】
本発明のいくつかの実施例によれば、上記のステップを実施した後、好ましくはパッシベーション層(図示せず)をパターニングして設けることができる。前記パッシベーション層は、適切なエピタキシャルの成長又は堆積工程を介して形成され、特定のマスク及びフォトレジストと組み合わせてパターニングされ、有機/無機誘電体材料で作製され、好ましくは、その材料はSiO、SiON、或いはSiNのうちの少なくとも1種(xは約0.1~1)であり得る。
【0055】
要するに、本発明により提供される高電子移動度トランジスタの製造方法では、保護層とバリア層及び被覆層の格子整合性における差及び多くの利点を適切に活用することにより、ソース電極及びドレイン電極を形成する前にp型層をパターニングさせて設けることができ、歩留まりの低下及びオン抵抗の上昇問題を避けることができるだけでなく、バリア層の厚さの余裕度を大きくして完成品が十分な閾値電圧を有することを確保できる。したがって、先行技術と比較して、本発明により提供される高電子移動度トランジスタの製造方法は、コストと工数を効果的に削減できるだけでなく、製造工程の技術的敷居を下げ、製品歩留まりを向上させることもできる。
【0056】
以上、本発明を詳細に説明したが、以上の述べるものは本発明の好ましい実施例のみであって、本発明の実施範囲を限定することを意図するものではない。すなわち、当業者は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、均等な変化と潤色をなし得ることは本発明の保護範囲内に収まるべきである。
【符号の説明】
【0057】
100 半導体基板
102 基材
104 核生成層
106 バッファ層
108 チャネル層
110 バリア層
112 被覆層
200A 保護層
200B 第1誘電体層
200C 第2誘電体層
202 ゲート電極用開口
202E ゲート電極
204 ソース電極用開口
204E ソース電極
206 ドレイン電極用開口
206E ドレイン電極
210A オーミック接触金属層
210B 第1金属層
220 第2金属層
300A、300B フォトレジスト
A1 挟角
M アクティブ領域
P p型層
S100~S118 ステップ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14