(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181146
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】ツイストケーブルのケーブル端の撚りを戻して平坦化するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01R 43/28 20060101AFI20231214BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
H01R43/28
H02G1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023095657
(22)【出願日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】22178361.6
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506058451
【氏名又は名称】コマックス ホルディング アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】KOMAX HOLDING AG
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ガット
(72)【発明者】
【氏名】アンドラス ロソンクジー
【テーマコード(参考)】
5G355
【Fターム(参考)】
5G355AA03
5G355AA05
5G355BA08
5G355CA02
5G355CA11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単で省スペースな手段を用いて信頼性の高い平坦化を達成する、ツイストケーブルのケーブル端の撚りを戻して平坦化するための装置または方法を記述する。
【解決手段】本方法は、ケーブルグリッパを用いてケーブルをグリップし、クランプグリッパの開いたクランププレートと撚り戻しグリッパの開いた撚り戻しジョーとの間にケーブル端を挿入し、クランププレート及び撚り戻しジョーを閉じ、ケーブル端の撚りを戻すために、ツイスト方向とは逆の撚り戻し方向に撚り戻しグリッパを回転させ、撚り戻しジョーを開き、ケーブル軸に沿ったクランププレートからの撚り戻しジョーの距離を短くして撚り戻しジョーを閉じ、ケーブルをケーブル軸に沿ってクランプする際に、ケーブルグリッパとクランプグリッパとの間の距離を増大することでケーブル端の平坦化プロセスを実行し、同時に撚り戻しグリッパの往復回転運動を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置(100)を用いて、ケーブル軸(A)を中心にツイスト方向(V)にツイストされた複数の単線(11、12)から形成されたケーブル(10)のケーブル端(15)の撚りを戻して平坦化するための方法であって、
前記装置(100)が、
第1の撚り戻しジョー(111)及び第2の撚り戻しジョー(112)を備える撚り戻しグリッパ(110)と、
ケーブル経路における前記撚り戻しグリッパ(110)の上方に配置され、第1のクランププレート(121)及び第2のクランププレート(122)を備えるクランプグリッパ(120)と、
前記ケーブル経路における前記クランプグリッパ(120)の上方に配置されたケーブルグリッパ(130)と、を有し、
前記方法は、
前記ケーブルグリッパ(130)を用いて前記ケーブル(10)をグリップするステップと、
前記クランプグリッパ(120)の開いたクランププレート(121、122)と前記撚り戻しグリッパ(110)の開いた撚り戻しジョー(111、112)との間に前記ケーブル端(15)を挿入するステップと、
前記クランププレート(121、122)及び前記撚り戻しジョー(111、112)を閉じるステップと、
前記ケーブル端(15)の撚りを戻すために、前記ツイスト方向(V)とは逆の撚り戻し方向(E)に前記撚り戻しグリッパ(110)を回転させるステップと、
前記撚り戻しジョー(111、112)を開き、前記ケーブル軸(A)に沿った前記クランププレート(121、122)からの前記撚り戻しジョー(111、112)の距離を短くして前記撚り戻しジョー(111、112)を閉じるステップと、
前記ケーブル(10)を前記ケーブル軸(A)に沿ってクランプする際に、前記ケーブルグリッパ(130)と前記クランプグリッパ(120)との間の距離を増大することで前記ケーブル端(15)の平坦化プロセスを実行し、同時に前記撚り戻しグリッパ(110)の往復回転運動を実行するステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記撚り戻しグリッパ(110)の前記往復回転運動は、前記ツイスト方向(V)と前記撚り戻し方向(E)とに交互に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記撚り戻しグリッパ(110)の前記往復回転運動は、前記ツイスト方向(V)及び前記撚り戻し方向(E)に、それぞれ1回転未満で実行される、好ましくは4分の3回転未満、または2分の1回転未満で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ケーブル端(15)の前記単線(11、12)の完全な撚り戻しを超えて前記ケーブル端(15)の撚りを戻すために、前記撚り戻しグリッパ(110)の回転が前記ケーブル端(15)の前記ツイスト方向(V)とは逆の前記撚り戻し方向(E)で継続される、特に前記撚り戻しグリッパ(110)の半回転を超えて、または撚り戻しグリッパ(110)の1回転を超えて、継続される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記平坦化プロセスよりも先に、前記クランププレート(121、122)の閉じる力を低減する、及び/または前記撚り戻しジョー(111、112)の閉じる力を低減するステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記平坦化プロセス中に、少なくとも3回、好ましくは少なくとも5回または少なくとも10回の前記往復回転運動が実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記平坦化プロセスよりも先に、前記ケーブルグリッパ(130)と前記クランプグリッパ(120)との間の距離の増大中の速度、前記往復回転運動を実行するときの回転速度及び前記往復回転運動を実行するときの回転角度から少なくとも1つのパラメータを指定するステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記平坦化プロセスの後に、
前記クランププレート(121、122)及び前記撚り戻しジョー(111、112)を開くステップと、
前記ケーブルグリッパ(130)と前記クランプグリッパ(120)との間の距離を短くするステップと、
前記クランププレート(121、122)及び前記撚り戻しジョー(111、112)を閉じるステップと、
前記ケーブル(10)がクランプされているときに、前記ケーブルグリッパ(130)と前記クランプグリッパ(120)との間の距離を増大し、同時に前記撚り戻しグリッパ(110)の前記往復回転運動を実行することで、前記ケーブル端(15)のさらなる前記平坦化プロセスを実行する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第1の撚り戻しジョー(111)及び第2の撚り戻しジョー(112)を備える撚り戻しグリッパ(110)と、
ケーブル経路における前記撚り戻しグリッパ(110)の上方に配置され、第1のクランププレート(121)及び第2のクランププレート(122)を備えるクランプグリッパ(120)と、
前記ケーブル経路における前記クランプグリッパ(120)の上方に配置されたケーブルグリッパ(130)と、
を有し、請求項1に記載の方法を実行するように構成された装置(100)。
【請求項10】
前記撚り戻しグリッパ(110)が、前記撚り戻しジョー(111、112)を持ち運ぶ空気圧式の撚り戻し平行グリッパを有する、請求項9に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記クランプグリッパ(120)は、前記クランププレート(121、122)を持ち運ぶ空気圧式のクランプ平行グリッパを有する、請求項9に記載の装置(100)。
【請求項12】
前記空気圧式の撚り戻し平行グリッパ及び/または前記空気圧式のクランプ平行グリッパは、いずれの場合も、クランプ力を指定するための圧力制御バルブを備える、請求項10に記載の装置(100)。
【請求項13】
前記撚り戻しグリッパ(110)が、指定可能な、特にプログラム可能な角度でケーブル軸(A)を中心に回転するように設計された、請求項9に記載の装置(100)。
【請求項14】
前記クランプグリッパ(120)が、ケーブルの長手方向に移動可能、特にプログラム可能な方法で移動可能に設計された、請求項9に記載の装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツイストケーブルのケーブル端の撚りを戻して平坦化するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ツイストケーブルは、ツイスト方向において互いに巻き付けられた、すなわち撚り合わされた複数の単線から形成される。撚り合わせることにより、ケーブルの信号伝送特性が大幅に向上する。
【0003】
ケーブル端の領域、すなわちケーブル端の撚りを戻すことが望ましい場合がある。ここで、撚り戻し中、ケーブル端の区切られた領域における単線の互いの巻き付きを解くことで、互いに概ね平行に続く状態の単線が生成されるべきである。
【0004】
例えば、ツイストケーブルの製造中に、製造後に単線がツイストされずに、既にツイストされた原材料が製造に使用された場合、撚り合わせを戻すことが望ましいことがある。製造は、通常、単線を所定の長さで切断し、被覆を剥がし及び/またはその端部の少なくとも一方にコンタクト、グロメット等を設けることを含む。場合によっては、製造上、ケーブル端をきれいに平坦にすることが必要になることがある。
【0005】
単線の横断面が比較的小さい場合、撚りを戻すことは特に困難である。例えば、ラインの横断面が小さい単線の場合、銅合金等の特定の合金が使用され、その材料の特性により特に注意して撚りを戻す必要がある。
【0006】
導線の端部を真っ直ぐにするための装置及び方法は、特許文献1で知られている。この装置は、ベースプレートと、ベースプレート上にある矯正プレートとを備える。これらのプレートは、ゆがみの矯正中に互いに向かって移動する。具体的には、2つのプレートのうちの1つを導線の端部の方向とほぼ平行に引き出し、同時にプレートの前後への振動が、ケーブルの引き出す方向に対してほぼ直角に実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許公開第4417834号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
既知の方法及び既知の装置では、比較的大きな凹凸が残るケーブル端が得られる。すなわち、得られるケーブル端は、その後の製造のために、十分にきちんと平坦化されていない。さらに、既知の方法及び既知の装置は、線路の横断面が比較的小さい単線から作られたケーブルの場合に信頼性の高い撚り戻しを行うのには適していない。
【0009】
本開示の目的は、簡単で省スペースな手段を用いて信頼性の高い平坦化を達成する、ツイストケーブルのケーブル端の撚りを戻して平坦化するための装置または方法を記述することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に応じて、請求項1に記載の方法あるいは請求項9に記載の装置が記述される。
【0011】
一態様によれば、装置は、撚り戻しグリッパ、クランプグリッパ及びケーブルグリッパを有する。撚り戻しグリッパは、第1の撚り戻しジョーと第2の撚り戻しジョーとを有し、第1及び第2の撚り戻しジョーは、挿入されたケーブルを保持するために互いに向かって移動することが可能であり(すなわち、閉じることが可能であり)、挿入されたケーブルを解放するまたはクランプを外すために互いに離れることができる(すなわち、開くことができる)。挿入されるケーブルは複数の単線から構成される。単線は、ケーブルの長手方向軸、または略してケーブル軸を中心にツイスト方向において撚り合わされる。クランプグリッパは、第1のクランププレートと第2のクランププレートとを有し、第1のクランププレートと第2のクランププレートは、挿入されたケーブルをクランプするために互いに向かって移動することが可能であり(すなわち、閉じることが可能であり)、挿入されたケーブルを解放する、またはクランプを外すために互いに離れることができる(すなわち、開くことができる)。クランプグリッパは、装置に挿入されるケーブルのケーブル経路において、撚り戻しグリッパの上方に配置される。ケーブルグリッパは、ケーブル経路におけるクランプグリッパの上方に配置される。本方法によれば、ケーブルは、ケーブルグリッパを用いて、特に自動的にグリップされる。ケーブル端は、特に自動的に旋回及び/または自動的に移動することで、開いたクランプジョーと開いた撚り戻しジョーとの間に挿入される。クランププレートと撚り戻しジョーが閉じられる。撚り戻しグリッパは、ケーブル端の撚りを戻すように、ケーブルの単線のツイスト方向とは逆の撚り戻し方向に回転される。撚り戻しジョーが開かれる。ケーブル軸に沿ったクランププレートから撚り戻しジョーまでの距離が短くなる。撚り戻しジョーが再び閉じられる。ケーブル端を平坦にするためにケーブル端の平坦化プロセスが実行される。平坦化プロセスは、同時に実行される2つのステップを有する。具体的には、平坦化プロセスは、ケーブルをクランプした状態におけるケーブルグリッパとクランプグリッパとの間の距離を増大するステップと、撚り戻しグリッパを往復回転運動するステップとを有する。
【0012】
一例において、往復回転運動は、第1の回転方向、すなわち時計回り方向または反時計回り方向の第1の角度値による撚り戻しグリッパの回転と、それに続く第1の回転方向とは逆の第2の回転方向、すなわち反時計回りまたは時計回りのいずれかの第1の回転運動の方向に依存する、第2の角度値による撚り戻しグリッパの回転と、それに続く第1の回転方向における第3の角度値による回転とを有する。第1の角度値は、例えば、第3の角度値とほぼ等しくてもよい。第2の角度値は、例えば、第1の角度値の約2倍であってもよい。以上で、本実施例による往復回転運動が完了する。
【0013】
さらなる例において、往復回転運動は、第1の回転方向、すなわち時計回り方向または反時計回り方向のいずれかにおける、撚り戻しグリッパの第1の角度値による回転と、それに続く第1の回転方向とは逆の第2の回転方向、すなわち反時計回りまたは時計回りのいずれかの第1の回転運動の方向に依存する、第2の角度値による撚り戻しグリッパの回転とを有する。第1の角度値は、第2の角度値とほぼ等しくてもよい。以上で、本実施例による往復回転運動が完了する。
【0014】
別のさらなる例において、往復回転運動は、第1の回転方向における、未決定の、例えばランダムな値による、すなわち時計回り方向または反時計回り方向のいずれかにおける撚り戻しグリッパの回転と、第1の回転方向とは逆の第2の回転方向、すなわち反時計回りまたは時計回りのいずれかの第1の回転運動の方向に依存する、第2の角度値による撚り戻しグリッパの回転とを有する。この例による往復回転運動は、平坦化プロセスの開始時の撚り戻しグリッパの初期位置から開始し、第1の回転方向及び第2の回転方向に回転した後、撚り戻しグリッパが一旦通過し、その後再び初期位置に到達した場合に完了する。
【0015】
平坦化プロセス中、ケーブル端は、閉じた撚り戻しジョー及び閉じたクランプジョーによって実質的にその全長にわたって引っ張られる。一方、往復回転運動は撚り戻しグリッパによって実行され、その運動は導体に伝達される。その結果、ケーブル端に残っている凹凸が低減され、ケーブル端における単線が略平行になる。
【0016】
展開は従属請求項に記述されている。
【0017】
実施形態において、撚り戻しグリッパの往復回転運動は、ツイスト方向と撚り戻し方向とに交互に実行される。
【0018】
実施形態において、往復回転運動は、ツイスト方向及び撚り戻し方向に、撚り戻しグリッパの1回転未満、好ましくは4分の3回転未満または2分の1回転未満でそれぞれ実行される。
【0019】
実施形態において、撚り戻しグリッパの回転は、ケーブル端の単線の完全な撚り戻しを超えて、ケーブル端の撚りを戻すためのツイスト方向とは逆の撚り戻し方向で継続される、特に撚り戻しグリッパの半回転を超えて、または撚り戻しグリッパの1回転を超えて継続される。このような過度の撚り戻しは、弾性のある単線に適応できる。例えば、比較的大きな形状記憶を有する、特に弾性のある単線の場合、過度の撚り戻しを行うことができる。過度の撚り戻しの際、過度の角度値により撚り戻しを補うために逆回転が発生する場合がある。
【0020】
実施形態において、平坦化プロセスよりも先に、クランププレートの閉じる力が低減される。代わりにまたは加えて、好ましくは加えて、平坦化プロセスよりも先に、撚り戻しジョーの閉じる力が低減される。閉じる力は、クランププレートまたは撚り戻しジョーがケーブル端に作用する力である。それぞれのクランプ力は、平坦化プロセスよりも先行するプロセスに関連して低減される。特に、平坦化プロセスの過程で、クランプされたケーブルが撚り戻しジョー及びクランププレートによって引っ張られるときに、各単線をそれぞれ囲む絶縁材の損傷が防止されるように、それぞれの閉じる力を低減してもよい。
【0021】
実施形態において、平坦化プロセス中に、少なくとも3回の完全な往復回転運動、例えば、撚り戻しグリッパが行ったり来たりする3回の旋回運動が実行される。特に、5回以上または10回以上の完全な往復回転運動が実行される。
【0022】
実施形態において、平坦化プロセスよりも先に、ケーブルグリッパとクランプグリッパとの間の距離の増大中の速度、往復回転運動の実行中の回転速度、往復回転運動の実行中の回転角度のグループから選択される少なくとも1つのパラメータが指定される。特に、パラメータは、挿入されるケーブル端の種類に応じて、例えば線路の断面積、絶縁材の厚さ、導体材料、絶縁材料及び/または単線の数に応じて自動的に指定される。
【0023】
実施形態において、平坦化プロセスは、例えば、1回、2回または3回以上繰り返される。特に、平坦化プロセスの繰り返しは、クランププレートと撚り戻しジョーを開き、ケーブルグリッパとクランプグリッパとの間の距離を短くし、クランププレートと撚り戻しジョーを閉じ、さらに平坦化プロセスを実行する。
【0024】
実施形態において、撚り戻しグリッパは、撚り戻しジョーを持ち運ぶ空気圧式の撚り戻し平行グリッパを有する。代わりにまたは加えて、クランプグリッパは、クランププレートを持ち運ぶ空気圧式のクランプ平行グリッパを有する。空気圧式の駆動オプションは、特に信頼性が高く、高速である。これに関連して、空気圧式の撚り戻し平行グリッパ及び/または空気圧式のクランプ平行グリッパは、いずれの場合も、クランプ力を指定するための圧力制御バルブを有していてもよい。その結果、特に平坦化プロセスを丁寧に実施するためのクランプ力の設定が簡単にできる。
【0025】
実施形態において、撚り戻しグリッパは、指定可能な、特にプログラム可能な角度でケーブル軸を中心に回転するように設計される。その結果、往復回転運動の特に単純な構成が可能になる。
【0026】
実施形態において、クランプグリッパは、ケーブル方向に移動可能、特にプログラム可能な方法で移動可能に構築される。その結果、撚り戻し端の長さが異なるケーブルを簡単に加工することが可能になる。
【0027】
ここで用いる「プログラム可能」とは、特にケーブル端の実際の種類や構成等の条件に適合できる、または該条件に適合する自動シーケンス制御の各値の機械的な仕様を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本明細書で用いる用語を明確にするためのツイスト導体ペアを示す側面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態による装置を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態による本方法のシーケンスにおける
図2の装置の部品を示す側面図である。
【
図5】
図5は、本方法のシーケンスにおける
図2の装置の部品を示す側面図である。
【
図6】
図6は、本方法のシーケンスにおける
図2の装置の部品を示す側面図である。
【
図7】
図7は、本方法のシーケンスにおける
図2の装置の部品を示す側面図である。
【
図8】
図8は、本方法のシーケンスにおける
図2の装置の部品を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
さらなる態様、特徴、利点及び効果は、図面を参照して以下で説明する実施形態で見出すことができる。なお、各図において、同一符号は同一または対応する構成要素を示している。
【0030】
図1の上部(a)には、第1の単線11と第2の単線12で構成されているツイストペア線が示されている。ツイストペア線はケーブル10を形成する。第1の単線11は、特にツイスト方向Vに沿って第2の単線12の周りに複数回巻き付けられ、ケーブルの長手方向軸A(略称:ケーブル軸A)に沿って撚り合わされる、またはストランドが形成される。なお、
図1の例では単線の数が2本であるが、これに限定されるものではない。2本以上の単線、例えば3本、4本以上の線を撚り合わせてケーブルを形成してもよい。ケーブル軸Aに沿った長さに関して制限されるケーブル10の端部領域は、ケーブル端15として定義される。ケーブル軸Aに沿ったケーブル端15の長さの例には、最大10cmから最小5mmの範囲の長さが含まれる。
【0031】
特定の使用例において、ツイストされた単線11、12から構成されるケーブル10のケーブル端15で撚り合わせを再び戻す、すなわちケーブル軸Aを中心とする単線11、12の巻き付け構造またはストランド構造を元に戻すことが賢明であるか、または必要である。考えられる理由の1つは、ケーブル端15の領域における単線11、12が、例えば、製造プロセスを実行するために、互いにできるだけ平行に、及び/またはケーブル軸Aとできるだけ平行に、及び/またはできるだけ平坦であるべきということである。製造プロセスには、通常、長さに合わせて切断する、被覆を剥がす及び/またはコンタクトやグロメット等を設けることが1つ以上含まれる。
【0032】
撚り合わせを戻すために、単線11、12は、典型的にはケーブル端15のケーブル側終端で固定され、例えばクランプされ、ケーブル10の端側終端でツイスト方向Vとは逆に回転され、その結果として、ケーブル10の端側終端とケーブル端15のケーブル側終端との間で単線11、12の互いの巻き付きが元に戻るまで、撚り合わせが戻される。適切な場合、撚り戻しは、ケーブル10の端側終端とケーブル端15のケーブル側終端との間で単線11、12の互いの巻き付きが元に戻るポイントを超えて、例えば1回転未満、または2回転未満、または3回転未満、わずかに継続してもよい(過度の撚り戻し)。
【0033】
従来技術による方法及び/または装置の場合における撚り戻しまたは過度の撚り戻しの結果は、
図1の中央(b)のケーブル10で提示されている。ケーブル端15の単線11、12は、互いに平行ではなく平坦ではない波形構造13を有し、ケーブル軸Aと平行に延びていない。
【0034】
本開示による方法及び/または装置において、撚り戻し及び平坦化プロセスの結果は、
図1の下部(c)のケーブル10で提示されている。ケーブル端15の単線10、11は、互いに平行で平坦な構造14を有し、ケーブル軸Aに対して概ね平行に延びている。ケーブル端15は、ケーブル10の端側終端(
図1では、ケーブル10の左側の端部)から単線11、12の第1の交点P1まで延びる、例えば長さa1の領域の大部分を構成する。大部分とは、ケーブル10の端側終端から単線11、12の第1の交点P1までの長さa1の領域の、例えば80%を超える、典型的には90%を超える、または95%を超えることを意味する。
【0035】
図2は、本明細書に記載の方法を実行するための実施形態による装置100の斜視図を示している。装置100は、例えば、ケーブル加工機械(完全には図示せず)の一部である。装置100は、ケーブルグリッパ130、クランプグリッパ120及び撚り戻しグリッパ110を有する。
【0036】
ケーブル10は、ケーブルグリッパ130によって保持され、装置100の加工軸Bの方向にアクチュエータ(図示せず)によってクランプグリッパ120及び撚り戻しグリッパ110内に挿入される。また、ケーブルグリッパが保持したケーブルをケーブル軸Aの方向に直線的に移動させることも考えられる。ケーブルグリッパを旋回アーム(図示せず)または搬送システム(図示せず)に取り付けることも可能である。ケーブルを手動でケーブルグリッパに挿入することも考えられる。
【0037】
クランプグリッパ120は、2つのクランププレート121、122を有する。クランププレート121、122は、必要に応じてケーブルをクランプするために、装置に挿入されるケーブルのケーブル軸Aを横切る方向、すなわち一般的には加工軸Bを横切る方向でも、互いに向かって移動したり、互いに離れたりすることができる。一般に、クランププレート121、122は、同一平面上にある、すなわち加工軸Bに沿って互いに概ねオフセットすることなく配置されている。
【0038】
クランプグリッパ120は、2つのクランププレート121、122に限定されるものではなく、3つ以上のクランププレートを設けてもよいことが理解されている。
【0039】
撚り戻しグリッパ110は、2つの撚り戻しジョー111、112を有する。撚り戻しジョー111、112は、必要に応じてケーブルをグリップするために、装置に挿入されるケーブルのケーブル軸Aに対して横切る方向、すなわち一般的には加工軸Bに対して横切る方向にも、互いに向かって移動したり、互いに離れたりすることができる。一般に、撚り戻しジョー111、112は、同一平面上にある、すなわち加工軸Bに沿って互いに概ねオフセットすることなく配置されている。
【0040】
撚り戻しグリッパ110は、2つの撚り戻しジョー111、112に限定されるものではなく、3つ以上の撚り戻しジョーを設けてもよいことが理解されている。
【0041】
一例において、撚り戻しグリッパは空気圧式の平行グリッパとして設計される。閉じる力は、例えば圧力制御弁(図示せず)によって設定できる。
【0042】
撚り戻しグリッパ110の回転軸は、加工軸Bと同一平面上にある。撚り戻しグリッパ110は、回転軸を中心に回転可能であり、特に自動で回転可能であり、一般的に指定可能または指定された角度だけ回転可能であり、特に任意に両方の回転方向(ケーブル端から見て時計回り、反時計回り)に回転可能である。撚り戻しグリッパ110は、例えば、
図2で示す電気駆動装置を用いて、いずれの場合もプログラム可能な角度で加工軸Bを中心に両方向に回転させることができる。ここで用いる「プログラム可能」とは、例えばケーブル端15の実際の種類及び構成等の条件に適合できる、または該条件に適合する、自動シーケンス制御のそれぞれの値の仕様、特に自動的な仕様を意味する。
【0043】
ケーブル経路は、ケーブル端15の端側終端からのケーブルの経路を意味する。ケーブルグリッパ120は、ケーブル経路における撚り戻しグリッパ110の上方に配置される。ケーブルグリッパ130は、ケーブル経路におけるクランプグリッパの上方に配置される。したがって、クランプグリッパ120は、ケーブル端15の端側終端の1つの領域をクランプできる撚り戻しグリッパ110と、ケーブルグリッパ130との間に配置される。
【0044】
図3は、
図2の装置100の部品、すなわち撚り戻しジョー111及び112、クランププレート121及び122、並びにケーブルグリッパ130の斜視図を示す。さらに、
図3は、2本の単線11、12から成るクランプされたケーブル10も示している。図示された実施形態では、ケーブル10が、ケーブル軸Aまたは加工軸Bの方向に直線的に移動可能であり、撚り戻しグリッパ110が静止し、クランプグリッパ120は、少なくともケーブル軸Aまたは加工軸Bの方向に直線的に移動可能である。ケーブル10が移動せず、撚り戻しグリッパ110が、少なくともケーブル軸Aまたは加工軸Bの方向に直線的に移動可能であり、クランプグリッパ120が、少なくともケーブル軸Aまたは加工軸Bの方向に直線的に移動可能であることも考えられる。
【0045】
図4から
図8は、
図3の部品の側面図であり、一実施形態による本方法のシーケンスにおける部品の位置関係をそれぞれ示している。
【0046】
図4は初期位置を示している。ケーブルグリッパ130によって保持されるケーブル10は、装置100内に挿入され、ケーブル軸A及び加工軸Bの方向を向いたクランプグリッパ120のクランププレート121、122が、ケーブル端15の端側終端(撚りが戻されるケーブル部分の開始位置)にあり、撚り戻しグリッパ110の撚り戻しジョー111、112が、ケーブル端15のケーブル側終端に位置するように配置される。ケーブル10を、正しい位置で、場合によっては既に隣り合う単一のライン11、12をクランプするために、同様に説明した撚り戻しプロセスの前に、ケーブル10を方向付ける、すなわち回転及び/または直線的に移動させてもよい。例えば、この方向付けにはカメラ及び画像分析が使用される。
【0047】
図5は初期位置を示している。クランププレート121、122及び撚り戻しジョー111、112が閉じた後、撚り戻しグリッパ110は、指定されたまたは指定可能な角度値だけケーブル10のツイスト方向Vとは逆の方向に回転する。撚り戻し方向Eは、
図5の矢印で示されている。角度値は、通常、ケーブル端15のツイストが完全に解けるように指定される。この角度値は、例えば、ツイストのピッチ(同じ方向または同じ平面内で見たときの、同じ種類のツイスト線の1つの交点から次の交点までの距離)及びツイスト数から導き出せる。単線11、12の構成、例えばその弾性によっては、この角度値を若干超えて回転させ、再び逆回転させること(過度の撚り戻し)が適切な場合がある。
【0048】
図6は、撚り戻しプロセスに続く平坦化プロセスの準備を示している。開いた撚り戻しジョー111、112は、クランププレート121、122まで移動して、再び閉じられる。
【0049】
図7は平坦化プロセスを示している。ケーブル端15は、
図7の矢印で示すケーブルグリッパ130の長手方向の移動の結果として、閉じたクランププレート121、122と閉じた撚り戻しジョー111、112とによって引っ張られる。通常、ケーブル端15は、閉じたクランププレート121、122と閉じた撚り戻しジョー111、112とにより、ケーブル端15の実質的に全長a1にわたって引っ張られる。但し、上述したように、クランプグリッパ120及び撚り戻しグリッパ110が移動する間、ケーブル端15は静止したまま、または、撚り戻しグリッパ110が閉じたクランププレート121、122によってケーブルを引っ張ることも可能である。この相対運動または長手方向の運動中、撚り戻しグリッパ110は、ケーブル端15の単線11、12を囲むように閉じた撚り戻しジョー111、112を用いて、ケーブル軸Aを中心に複数の往復回転運動または旋回を実行する。すなわち、
図7の両矢印で示すように、ツイスト方向Vと撚り戻し方向Eとに交互に(往復)回転運動または旋回を実行する。
【0050】
撚り戻しグリッパ110の長手方向の移動速度及び/または旋回速度及び/または撚り戻しグリッパ110の旋回角度は、例えば装置100の制御装置(図示せず)におけるプロセスパラメータとして指定できる。プロセスパラメータは、事前に決定されるか、または決定することが可能であり、特にケーブルの特性に応じて決定される。プロセスパラメータは、例えば、加工されるケーブルのバリエーション毎に決定できる、特に保存することができる。
【0051】
平坦化プロセスよりも先に、クランププレート121、122の閉じる力及び/または撚り戻しジョー111、112の閉じる力を低減することが考えられる。特に、平坦化プロセスの過程において、クランプされたケーブルが撚り戻しジョーとクランププレートとによって引っ張られるとき、各単線をそれぞれ囲む絶縁材(図示せず)の損傷を防止するように、それぞれの閉じる力を低減すればよい。但し、閉じる力は、クランププレート121、122または撚り戻しジョー111、112がまだ閉じている、すなわちケーブル10をクランプするように作用する程度までしか軽減しない。
【0052】
図8は平坦化プロセスの完了を示している。平坦化プロセスは、一般に、ケーブル端15の端側終端が撚り戻しグリッパ110に到達したときに完了する。その後、クランププレート121、122及び撚り戻しジョー111、112が開かれ、ケーブル10を搬送または取り外すことができる。ケーブル10、クランププレート121及び122または撚り戻しジョー111及び112の対応する移動または動きによって、平坦化プロセスの1回以上の繰り返しを追加することも可能である。
【0053】
上記の目的、特徴、構成等は、例示的なものであり、本開示の開示内容の範囲内で適宜組み合わせたり、部分的に省略したりできることが理解されている。
【外国語明細書】