(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181149
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】電気駆動自動車用充電器の動作方法及びその制御装置並びに充電器
(51)【国際特許分類】
H02H 7/18 20060101AFI20231214BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231214BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231214BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231214BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20231214BHJP
【FI】
H02H7/18
H02J7/00 P
H02J7/00 302A
H02J7/00 S
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
B60L53/14
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023095682
(22)【出願日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】10 2022 114 728.2
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2022 120 836.2
(32)【優先日】2022-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】523220972
【氏名又は名称】エーディーエス-テック エナジー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラウル ハイネ
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー オクス
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ツィーグラー
(72)【発明者】
【氏名】トルステン オクス
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン バライス
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G053AA01
5G053AA03
5G053BA01
5G053CA01
5G053DA02
5G053EA05
5G053EC02
5G053FA04
5G053FA05
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA16
5G503FA06
5G503FA17
5G503GB03
5G503GD03
5H030AS08
5H030BB01
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF52
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC21
5H125BC24
5H125FF14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気駆動自動車用充電器の動作方法、制御装置及び充電器を提供する。
【解決手段】充電器(10)は、電気駆動自動車を接続するための少なくとも1つの充電端子(11)と、それぞれの充電端子(11)で所定の充電電流及び所定の充電電圧を提供するための少なくとも1つのパワーエレクトロニクスユニット(12)を有し、それぞれの充電端子(11)に自動車が接続されていないとき、それぞれの充電端子(11)のそれぞれのパワーエレクトロニクスユニット(12)に、セルフテストを実行するために、少なくとも充電器(10)の最大充電電圧に対応するセルフテスト電圧が所定の間隔で所定のセルフテスト期間にわたって印加され、短絡回路又は欠陥が形成されたことが確定された場合、それぞれの充電端子(11)は自動車を充電しないようにブロックされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気駆動自動車のDC充電用双方向充電器(10)の動作方法であって、前記充電器(10)は、電気駆動自動車を接続するための少なくとも1つの充電端子(11)と、それぞれの前記充電端子(11)で所定の充電電流及び所定の充電電圧を提供するための少なくとも1つのパワーエレクトロニクスユニット(12)を有し、それぞれの前記充電端子(11)に自動車が接続されていないとき、それぞれの前記充電端子(11)のそれぞれの前記パワーエレクトロニクスユニット(12)に、セルフテストを実行するために、少なくとも前記充電器(10)の最大充電電圧に対応するセルフテスト電圧が所定の間隔で所定のセルフテスト期間にわたって印加され、この場合、それぞれの前記充電端子(11)のそれぞれの前記パワーエレクトロニクスユニット(12)で短絡回路又は欠陥が形成されたかを確認するためのチェックが行われ、短絡回路又は欠陥が形成されていないことが確定された場合、それぞれの前記充電端子(11)は自動車を充電できるようにされ、短絡回路又は欠陥が形成されたことが確定された場合、それぞれの前記充電端子(11)は自動車を充電しないようにブロックされる方法。
【請求項2】
前記セルフテストを実行するために、それぞれの前記パワーエレクトロニクスユニット(12)に、前記充電器(10)の最大充電電圧より高いセルフテスト電圧が印加されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セルフテスト電圧は、前記充電器(10)の最大充電電圧より少なくとも50ボルトだけ、好ましくは少なくとも75ボルトだけ、特に好ましくは少なくとも100ボルトだけ高いことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記セルフテストの実行中に自動車がそれぞれの前記充電端子(11)に接続されると、それぞれの前記パワーエレクトロニクスユニット(12)の前記セルフテストが終了されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記セルフテストを実行するために、少なくとも、
それぞれの前記パワーエレクトロニクスユニット(12)の状態をチェックするステップであって、前記パワーエレクトロニクスユニットが故障状態でも充電状態でもないときにのみセルフテストルーチンが開始される、チェックするステップと、
セルフテストルーチンが始まった後、現在、それぞれの前記パワーエレクトロニクスユニットでセルフテストが実行されているかをチェックするステップと、
現在、それぞれの前記パワーエレクトロニクスユニットでセルフテストが行われていない場合、前回行われたセルフテストからの期間がセルフテスト間の所定の時間間隔に達したか、それを超えたかをチェックするステップと、
前回行われたセルフテストからの前記期間がセルフテスト間の前記所定の時間間隔に達したか、それを超えたことが確定された場合、それぞれの前記パワーエレクトロニクスユニットがスリープ状態か、又は動作可能状態であるかをチェックするステップと、
それぞれの前記パワーエレクトロニクスユニットが動作可能状態であることが確定された場合、セルフテストを開始するステップと、
が実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
それぞれの前記パワーエレクトロニクスユニットがスリープ状態であることが確定された場合、それぞれの前記パワーエレクトロニクスユニットがウェイクアップされ、動作可能状態に移行されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
セルフテストが実行されるとき、自動車がそれぞれの前記充電端子に接続されているかをチェックするステップと、
自動車がそれぞれの前記充電端子に接続されていると確定された場合、前記セルフテストを終了させ、それぞれの前記充電端子(11)に前記所定の充電電圧を提供するステップと、
を特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
セルフテストが実行されるとき、前記セルフテストの前記開始からのセルフテストのための前記所定のセルフテスト期間に達した、又はそれを超えたかをチェックするステップと、
前記所定のセルフテスト期間に達した、又はそれを超えたことが確定された場合、前記セルフテストを終止するステップと、
を特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
電気駆動自動車をDC充電するための双方向充電器(10)の制御装置であって、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法を自動的に実行するように設計される制御装置。
【請求項10】
電気駆動自動車を双方向充電するための充電器であって、請求項9に記載の制御装置を有する充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気駆動自動車のDC充電用双方向充電器の動作方法に関する。さらに、本発明は電気駆動自動車のDC充電用双方向充電器の制御装置及び充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気駆動自動車用充電器の基本的デザインは、実践から知られている。例えば、電気駆動自動車用充電器は少なくとも1つの充電端子を有し、これは電気駆動自動車を前記自動車の充電のためにそこに連結するように設計されている。少なくとも1つのパワーエレクトロニクスユニットが充電器のそれぞれの充電端子と相互作用する。それぞれの充電端子と相互作用するその、又は各パワーエレクトロニクスユニットは、電気駆動自動車を充電するためにそれぞれの充電端子において所定の充電電流と所定の充電電圧を提供するように設計される。
【0003】
いわゆるAC充電又はいわゆるDC充電が、充電器で電気駆動自動車を充電するために使用できる。電気駆動自動車のトラクションバッテリを高充電パワーにより短時間で充電するためには、DC充電が使用される。
【0004】
電気駆動自動車のトラクションバッテリをDC充電するための充電器は、一方向充電器又は双方向充電器の形態とすることができる。双方向充電器では、電気駆動自動車のトラクションバッテリ内に貯蔵された電気エネルギを電源供給システムに戻して、電源供給システムを補助することができる。このような双方向充電器は重要さを増しつつある。
【0005】
電気駆動自動車をDC充電するための双方向充電器の場合、充電端子と相互作用するパワーエレクトロニクスユニットにおいて短絡回路が形成されたときに、充電端子に接続された電気自動車、すなわちそのトラクションバッテリが損傷を受ける可能性があるという問題がある。その結果、電気駆動自動車が故障し、必然的に修理工場に行かざるを得なくなる。
【0006】
電気駆動自動車をDC充電するための双方向充電器の場合のパワーエレクトロニクスユニットの短絡回路による、接続された自動車への損傷のリスクを避ける必要がある。
【0007】
独国特許出願公開第10 2010 042 750 A1号明細書(特許文献1)では、電気駆動自動車用の充電器における短絡回路を識別するための方法と装置が開示されている。短絡回路を識別するために、テスト電圧が充電ケーブルに印加され、このテスト電圧が段階的に最大電圧値まで上昇される。充電ケーブル又は充電ケーブルに接続されたコンタクト手段において短絡回路が形成されたかを確認するためのチェックが行われる。
【0008】
独国特許出願公開第10 2019 130 421 A1号明細書(特許文献2)及び独国特許出願公開第10 2019 117 375 A1号明細書(特許文献3)では、電気駆動自動車をDC充電するための別の充電器が開示されている。例えば、独国特許出願公開第10 2019 130 421 A1号明細書(特許文献2)で開示される充電器では、絶縁監視装置が少なくとも2つの電気測定抵抗器を有し、これらがそれぞれ1つの充電線に接続される。各充電動作の前に、非対称テストモードと対称テストモードの両方で、絶縁監視装置によって、例えばバスシフト方式により絶縁試験が行われる。
【0009】
国際公開第2022/008 640 A1号パンフレット(特許文献4)では、電気駆動自動車用の別の充電器が開示されている。
【0010】
国際公開第2015/036 063 A1号パンフレット(特許文献5)では、高電圧自動車電源供給システムのための絶縁監視機能を有する電気駆動自動車が開示されている。
【0011】
充電器のパワーエレクトロニクスユニットにおける短絡回路の結果として充電のために接続された自動車が損傷を受けるリスクを防止することを可能にする、電気駆動自動車のDC充電用双方向充電器の動作方法及びその方法を実行するための制御装置が求められている。さらに、それに対応する充電器も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2010 042 750 A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2019 130 421 A1号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2019 117 375 A1号明細書
【特許文献4】国際公開第2022/008 640 A1号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2015/036 063 A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明は、電気駆動自動車のDC充電用双方向充電器を動作させる新規な方法及び制御装置並びにそれに対応する充電器を提供するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、特許請求項1に記載された電気駆動自動車のDC充電用双方向充電器の動作方法により達成される。本発明によれば、それぞれの充電端子に自動車が接続されていないときに、セルフテストを実行するために、それぞれの充電端子のそれぞれのパワーエレクトロニクスユニットに、少なくとも充電器の最大充電電圧に対応するセルフテスト電圧が所定の時間間隔で所定のセルフテスト期間にわたり印加される。この場合、それぞれの充電端子のそれぞれのパワーエレクトロニクスユニットにおいて短絡回路又は欠陥が形成されたかを確認するためのチェックが行われ、短絡回路又は欠陥が形成されていないことが確定された場合、それぞれの充電端子は自動車を充電できるようにされ、短絡回路若しくは欠陥が形成されたことが確定された場合、それぞれの充電端子は自動車を充電しないようにブロックされる。
【0015】
本発明は、所定のセルフテスト期間にわたり所定の時間間隔でセルフテストを実行することを提案しており、これは少なくとも充電器の最大充電電圧に対応するセルフテスト電圧でそれぞれのパワーエレクトロニクスユニットをテストする。それゆえ、それぞれのパワーエレクトロニクスユニットにはこのセルフテスト電圧が所定の時間間隔で、所定のセルフテスト期間にわたり、すなわち自動車が充電のためにそれぞれのパワーエレクトロニクスユニットと相互作用する充電端子に接続されていないときに印加される。特にパワーエレクトロニクスユニットの半導体モジュールが不良状態にあるとき、セルフテスト電圧が存在すると前記半導体モジュールに短絡回路が形成され、この短絡回路を検出できる。それぞれのパワーエレクトロニクスユニットで短絡回路が形成された場合、それぞれの充電端子は自動車を充電しないようにブロックされる。セルフテスト中にパワーエレクトロニクスユニットに短絡回路が形成されていない場合のみ、それぞれの充電端子はその後に自動車を充電できるようにされる。すると、電気駆動自動車、すなわちそのトラクションバッテリが充電中に充電器のパワーエレクトロニクスユニットの短絡回路によって損傷を受けるリスクがなくなる。
【0016】
好ましくは、セルフテストを実行するために、それぞれのパワーエレクトロニクスユニットには、充電器の最大充電電圧より大きいセルフテスト電圧が印加される。これは、充電器のそれぞれのパワーエレクトロニクスユニットを信頼性の高い方法で実行するために特に好ましい。
【0017】
好ましくは、自動車がセルフテストの実行中にそれぞれの充電端子に接続された場合、それぞれのパワーエレクトロニクスユニットのセルフテストは終了される。それぞれのパワーエレクトロニクスユニットにセルフテストが行われている充電端子に自動車が接続された場合、セルフテストが終了される。これによって、電気駆動自動車のトラクションバッテリがセルフテストの結果として損傷を受けるリスクがなくなる。それに加えて、所望の電圧での充電が可能となる。
【0018】
好ましくは、セルフテストを実行するために、少なくとも以下のステップが行われる:それぞれのパワーエレクトロニクスユニットの状態をチェックするステップであって、パワーエレクトロニクスユニットに欠陥状態がない、又はそれが充電状態ではないときのみ、セルフテストルーチンが開始される。セルフテストルーチンが始まった後、現在、それぞれのパワーエレクトロニクスユニットでセルフテストが実行中かを確認するためのチェックが行われる。現在、それぞれのパワーエレクトロニクスユニットでセルフテストが実行中ではない場合、前回行われたセルフテストからの期間がセルフテスト間の所定の時間間隔に達した、又はそれを超えたかを確認するためのチェックが行われる。前回行われたセルフテストからの期間がセルフテスト間の所定の時間間隔に達したか、それを超えたことが確定された場合、それぞれのパワーエレクトロニクスユニットがスリープ状態か動作可能状態であるかを確認するためのチェックが行われる。それぞれのパワーエレクトロニクスユニットが動作可能状態であることが確定された場合、セルフテストが開始される。それぞれのパワーエレクトロニクスユニットがスリープ状態であることが確定された場合、それぞれのパワーエレクトロニクスユニットはウェイクアップされ、動作可能状態に移行させられる。この手順は、セルフテストルーチンを開始すべきかをチェックするために好ましい。それぞれセルフテストを行おうとするそれぞれのパワーエレクトロニクスユニットがスリープモードである場合、パワーエレクトロニクスユニットはセルフテストのためにウェイクアップされる。
【0019】
好ましくは、セルフテストの実行中、自動車がそれぞれの充電端子に接続されているかを確認するためのチェックが行われる。自動車がそれぞれの充電端子に接続されていると確定された場合、セルフテストが終止されるか、それぞれの充電端子において所定の充電電圧が提供される。
【0020】
好ましくは、セルフテストの実行中、セルフテストの開始からの所定のセルフテスト期間に達したか、それを超えたかを確認するためにチェックが行われる。所定のセルフテスト期間に達した、又はそれを超えたことが確定された場合、セルフテストが終了される。
【0021】
セルフテストルーチンが開始された場合、まず、最大セルフテスト期間又はその実行期間がモニタされ、次に、セルフテストルーチン、したがってセルフテストの実行中に、自動車がテスト対象のパワーエレクトロニクスユニットと相互作用する充電端子に接続されたかを確認するための監視が行われる。自動車が充電端子に接続された場合、セルフテストが終了される。セルフテストを実行するための所定のセルフテスト時間に達した、又はそれを超えた場合、セルフテスト及びしたがってセルフテストルーチンが終了される。
【0022】
本発明による電気駆動自動車用充電器の制御装置は、特許請求項9において定義され、充電器は請求項10において定義されている。
【0023】
本発明の好ましい発展形は、特許請求の範囲の従属項及び下記の説明から推測できる。図面を参照しながら本発明の例示的実施形態をより詳しく説明するが、これらの例示的実施形態に限定されることは一切ない。図面中:
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】電気駆動自動車用の第一の充電器のブロック回路図を示す。
【
図2】電気駆動自動車用の第二の充電器のブロック回路図を示す。
【
図3】電気駆動自動車用の充電器の動作方法を図解する信号フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、電気駆動自動車をDC充電するための双方向充電器10を、ごく図式的な形態で示す。充電器10は、充電すべき電気駆動自動車を接続するための充電端子11を有する。
【0026】
それに加えて、充電ステーション10は、充電端子11と相互作用するパワーエレクトロニクスユニットを有する。パワーエレクトロニクスユニット12は、例えばAC/DC変換機、DC/DC変換機、及び半導体モジュールを含む。パワーエレクトロニクスユニット12は、電源供給システム13に接続される。
【0027】
双方向充電器10の場合、電源供給システム13から発せられた電気エネルギは電気駆動自動車のトラクションバッテリ内に貯蔵できる。同様に、トラクションバッテリ内に貯蔵された電気エネルギを電源供給システム13に戻して、それを補助することも可能である。
【0028】
図2は、2つの充電端子11を有する充電器10を、ごく図式的な形態で示す。何れの場合も、各電気駆動自動車は、各充電端子11に接続できる。パワーエレクトロニクスユニット12は各充電端子11と相互作用し、次に電源供給システム13とのリンクが前記パワーエレクトロニクスユニット12を介して行われる。
【0029】
図2に示される充電器10の充電端子11のうちの1つにおいて利用可能な充電パワーを増大させるために、2つのパワーエレクトロニクスユニット12はスイッチ14を介して相互に連結することが可能であり、この場合、充電端子11のうちの1つだけが、電気自動車を増大した充電パワーで充電するために使用される。
【0030】
本発明はここで、電気駆動自動車をDC充電するための双方向充電器10の動作方法及びそのための制御装置に関し、充電器10は電気駆動自動車を接続するための少なくとも1つの充電端子11と、それぞれの充電端子11でDC充電のため所定の充電電流及び所定の充電電圧を提供するための少なくとも1つのパワーエレクトロニクスユニット12を有する。
【0031】
それぞれの充電端子11のそれぞれのパワーエレクトロニクスユニット12のセルフテストを実行するために、それぞれの充電端子11のそれぞれのパワーエレクトロニクスユニット12に、少なくとも充電器10の最大充電電圧に対応するセルフテスト電圧を所定の時間間隔で、特に1時間又は2時間おきに所定のセルフテスト期間、特に1分又は2分又は3分間にわたり印加される。
【0032】
この場合、それぞれの充電端子11のそれぞれのパワーエレクトロニクスユニット12において、特にそれぞれのパワーエレクトロニクスユニット12の半導体モジュールにおいて短絡回路が形成されたかを確認するためのチェックが行われる。これは例えば、電流測定、電圧測定等を通じて行うことができる。
【0033】
それぞれのパワーエレクトロニクスユニット12で短絡回路が形成されていないことが確定された場合、それぞれの充電端子11は電気駆動自動車を充電できるようにされる。
【0034】
他方で、それぞれのパワーエレクトロニクスユニット12で短絡回路が形成されたことが確定された場合、それぞれの充電端子11は電気自動車を充電しないようにブロックされる。
【0035】
この場合、セルフテストは、自動車が充電動作のために、そのパワーエレクトロニクスユニット12についてセルフテストが行われる予定のそれぞれの充電端子11に接続されていないときにのみ行われる。
【0036】
好ましくは、それぞれのセルフテストを実行するためにそれぞれのパワーエレクトロニクスユニット12に印加されるセルフテスト電圧は、充電ステーション10の最大充電電圧より大きい。特に、セルフテスト電圧が充電ステーション10の最大充電電圧より少なくとも50Vだけ、好ましくは少なくとも75Vだけ、特に好ましくは少なくとも100Vだけ高くなるようになされる。
【0037】
セルフテストの実行中に、自動車がテスト対象のパワーエレクトロニクスユニット12のそれぞれの充電端子に接続されているとき、それぞれのパワーエレクトロニクスユニット12のセルフテストは終了される。
【0038】
したがって、本明細書に記載の本発明の意味において、電気駆動自動車をDC充電するための双方向充電器10のそれぞれのパワーエレクトロニクスユニット12に、少なくとも充電器の最大充電電圧に対応する、好ましくはこの充電電圧より高いセルフテスト電圧を所定の時間間隔で所定のセルフテスト期間にわたり印加することが提案されている。
【0039】
特にそれぞれのパワーエレクトロニクスユニット12の半導体モジュールが不良状態であるとき、この場合、セルフテスト中に前記半導体モジュールでは短絡回路が形成される。短絡回路は、従来の方法で、例えば電流測定を通じて、電圧測定を通じて、又は絶縁監視装置を通じて監視できる。
【0040】
短絡回路がパワーエレクトロニクスユニット12で確立されると、パワーエレクトロニクスユニット12と相互作用する充電端子11は充電しないようにブロックされる。セルフテストの実行中にパワーエレクトロニクスユニット12で短絡回路が確立されない場合のみ、パワーエレクトロニクスユニットと相互作用する充電端子は自動車を充電できるようにされる。
【0041】
本発明のさらなる詳細を、
図3の信号フローチャートを参照しながら説明する。
【0042】
それぞれのパワーエレクトロニクスユニットでセルフテストを実行するために、まず、ブロック20で、テスト対象のそれぞれのパワーエレクトロニクスユニット12の状態がチェックされ、正確に言えば、ブロック20では、パワーエレクトロニクスユニットの状態が問い合わせられる。
【0043】
この場合、それぞれのパワーエレクトロニクスユニット12は、ブロック21により欠陥状態を、ブロック22により充電状態を、又はブロック23により充電可能状態をとり、又は有することができる。
【0044】
それぞれのパワーエレクトロニクスユニット12がブロック21の欠陥状態、ブロック22の充電状態を有する場合、セルフテストルーチンは始まらない。他方で、ブロック20で、それぞれのパワーエレクトロニクスユニット12がブロック23の充電可能状態をとるか、又は有することが確定された場合のみ、セルフテストルーチンが始まる。欠陥状態が存在する場合、ブロック36で、対応するエラーコードが発生され、例えば充電ステーション10のディスプレイに送信される。
【0045】
セルフテストルーチンが始まった後、ブロック24で、セルフテストが現在それぞれのパワーエレクトロニクスユニット12で行われているか否かを確認するためのチェックが行われる。ブロック24で、現在、それ以前に充電可能状態が確定されたパワーエレクトロニクスユニット12においてセルフテストルーチンが行われていないことが確定された場合は、ブロック24からブロック25へと分岐する。
【0046】
ブロック25で、前回行われたセルフテストからの期間が2回のセルフテスト間の所定の間隔、特に1時間又は2時間の期間に達したか、それを超えたかを確認するためのチェックが行われる。
【0047】
ブロック25で、前回行われたセルフテストからの期間が2回の連続するセルフテスト間の所定の間隔に達した、又はそれを超えたことが確定された場合、その後、ブロック26で、それぞれのパワーエレクトロニクスユニットがスリープ状態又は動作可能状態であるかを確認するためのチェックが行われる。ブロック26で、それぞれのパワーエレクトロニクスユニットがスリープ状態であることが確定された場合、ブロック26からブロック27に分岐する。ブロック27で、それぞれのパワーエレクトロニクスユニット12はウェイクアップされて、動作可能状態に移行させられる。
【0048】
他方で、ブロック26で、それぞれのパワーエレクトロニクスユニットが動作可能状態であり、スリープ状態ではないことが確定された場合、ブロック28に分岐し、ブロック28でセルフテストが開始される。
【0049】
ブロック24で、セルフテストが現在、それぞれのパワーエレクトロニクスユニット12で実行されたことが確定された場合、ブロック24からブロック29に分岐する。ブロック29で、自動車が、それぞれのパワーエレクトロニクスユニット12と相互作用する充電端子11に接続された、又は接続されているかどうかを確認するためのチェックが行われる。
【0050】
ブロック29で、自動車がそれぞれの充電端子11に接続された、又は接続されていると確定された場合、ブロック29からブロック30に分岐し、ブロック30で、それぞれのパワーエレクトロニクスユニット12で提供された電圧は最大充電電圧に限定され、その後、ブロック31でセルフテストが終了又は終止される。
【0051】
他方で、ブロック29で、パワーエレクトロニクスユニット12と相互作用する充電端子に接続された、又は接続されている自動車がないと確定された場合、ブロック29からブロック32に分岐し、すると、ブロック32で、パワーエレクトロニクスユニット12には、充電器10の最大充電電圧より高いセルフテスト電圧が印加される。
【0052】
ブロック32の後、セルフテストの実行中に、セルフテストのための所定のセルフテスト期間に達した、又はそれを超えたかを確認するためのチェックが行われる。それが当てはまること、すなわちセルフテストのための所定のセルフテスト期間に達した、又はそれを超えたことが確定された場合、ブロック33からブロック34に分岐し、パワーエレクトロニクスユニット12にある電圧は、再び、充電器の最大充電電圧に限定される。その後、ブロック35で、セルフテストが終止される。
【0053】
したがって、
図3に関して説明したように、まず、ブロック20で、テスト対象のパワーエレクトロニクスユニットの状態がチェックされるか、又は問い合わせられる。パワーエレクトロニクスユニット12がブロック21の欠陥状態又はブロック22の充電状態である場合は、何も行われない。ブロック36で、対応するエラーコードだけが生成され、送信される。ブロック20で、パワーエレクトロニクスユニット12がブロック23の充電可能状態であることが確定された場合、ブロック24で、セルフテストが現在実行されているか否かを確認するためのチェックが行われる。これが当てはまらない場合、ブロック25で、前回のセルフテストが実行されてから2回のセルフテスト間の所定の時間間隔に達した、又はそれを超えたかを確認するためのチェックが行われる。これが当てはまる場合、パワーエレクトロニクスユニットがスリーピング状態であればブロック27でパワーエレクトロニクスユニットがウェイクアップされるか、パワーエレクトロニクスユニットがスリーピング状態でなければブロック28でセルフテストが開始される。ブロック27及びブロック28の後、ブロック25で前回のセルフテストが実行されてから2回のセルフテスト間の所定の時間間隔に達していない、又はそれを超えていないことが確定された場合、
図3において可視化された方法が最初から始まる。ブロック24において、セルフテストが現在、パワーエレクトロニクスユニット12で実行されていることが確定された場合、ブロック29で、自動車がそれぞれの充電端子11に接続された、又は接続されているかどうかを確認するためのチェックが行われる。これが当てはまる場合、ブロック29からブロック30に、その後、ブロック31に分岐し、すると、セルフテストが終了され、充電端子11での電圧は最大充電電圧に限定される。充電に必要な充電電圧が充電端子11で提供され、
図3の方法が最初から始められる。他方で、ブロック29で、対応する充電端子11に自動車が接続されていないことが確定された場合、ブロック32で、パワーエレクトロニクスユニットに最大充電電圧より高いセルフテスト電圧が印加される。この場合、すると、ブロック33で、セルフテストのための所定のセルフテスト期間に達した、又はそれを超えたかを確認するためのチェックが継続的に行われる。セルフテストのための所定のセルフテスト期間を超えた場合、セルフテストはブロック34、35で終止され、方法は再び最初から開始される。
【0054】
本発明はさらに、電気駆動自動車のDC充電用双方向充電器10の制御装置に関し、この制御装置は上述の方法を制御側で自動的に実行するように設計される。
【0055】
それに加えて、本発明はこのような制御装置を含む充電器に関する。
【符号の説明】
【0056】
10 充電器
11 充電端子
12 パワーエレクトロニクスユニット
13 電源供給システム
14 スイッチ
20 ブロック
21 ブロック
22 ブロック
23 ブロック
24 ブロック
25 ブロック
26 ブロック
27 ブロック
28 ブロック
29 ブロック
30 ブロック
31 ブロック
32 ブロック
33 ブロック
34 ブロック
35 ブロック
36 ブロック
【外国語明細書】