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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181150
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】メカニカルシール
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/34 20060101AFI20231214BHJP
   G01M 13/005 20190101ALI20231214BHJP
   G01N 29/14 20060101ALI20231214BHJP
【FI】
F16J15/34 Z
G01M13/005
G01N29/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095706
(22)【出願日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2022094316
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000209599
【氏名又は名称】株式会社タンケンシールセーコウ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】森 穣
【テーマコード(参考)】
2G024
2G047
3J041
【Fターム(参考)】
2G024AA13
2G024BA27
2G024CA13
2G024DA09
2G047AA05
2G047AC08
2G047BA05
3J041AA02
3J041BC10
3J041BD01
3J041DA20
(57)【要約】
【課題】摺動接触部等で発生した弾性波を効率的に検知できるメカニカルシールを提供すること。
【解決手段】本発明によれば、回転軸Sに固定された回転環16、20と回転軸が貫通する本体Bに連結された静止環18、22との間の摺動接触によって、回転軸の周囲をシールするメカニカルシール10であって、静止環に一端部が接続されたウェーブガイド36、48と、ウェーブガイドの他端部が連結されたアコースティックエミッション(AE)センサ38、50とを備えているメカニカルシールが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に固定された回転環と該回転軸が貫通する本体に連結された静止環との間の摺動接触によって、前記回転軸の周囲をシールするメカニカルシールであって、
前記静止環に一端部が接続されたウェーブガイドと、
前記ウェーブガイドの他端部が連結されたアコースティックエミッション(AE)センサと、を備えている、
ことを特徴とするメカニカルシール。
【請求項2】
前記ウェーブガイドの一端部が、前記静止環を保持するインサートバックメタルを介して前記静止環に連結されている、
請求項1に記載のメカニカルシール。
【請求項3】
前記ウェーブガイドの一端部に雄ねじ部が形成され、前記インサートバックメタルに雌ねじ部が形成され、
前記ウェーブガイドは、前記雄ねじ部が前記インサートバックメタルの雌ねじ部にねじ込まれ、前記インサートバックメタルに連結されている、
請求項2に記載のメカニカルシール。
【請求項4】
前記ウェーブガイドの一端部が、前記静止環に取付けられたブッシュを介して前記静止環に連結されている、
請求項1に記載のメカニカルシール。
【請求項5】
前記ウェーブガイドの一端部に雄ねじ部が形成され、
前記ブッシュが、内周面に雌ねじ部が形成された筒形状を有し、前記静止環に形成された凹部内に固定され、
前記ウェーブガイドは、前記雄ねじ部が前記ブッシュを介して前記静止環に連結されている、
請求項4に記載のメカニカルシール。
【請求項6】
前記ウェーブガイドが、前記回転軸と平行に延びるように配置されている、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のメカニカルシール。
【請求項7】
前記ウェーブガイドが、前記回転軸と鉛直方向に延びるように配置されかる、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のメカニカルシール。
【請求項8】
前記ウェーブガイドが、第1のウェーブガイドと第2のウェーブガイドとを含み、前記第1および第2のウェーブガイドが、方向転換用台座によって角度をつけた状態で連結されている、
請求項1に記載のメカニカルシール。
【請求項9】
第2のウェーブガイドが延びる方向は、第1のウェーブガイドの軸線を中心に、360度回転可能である、
請求項8に記載のメカニカルシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メカニカルシールに関し、詳細には、弾性波を利用してメカニカルシールの作動状態を監視することができるメカニカルシールに関する。
【背景技術】
【0002】
容器壁を貫通して配置される回転軸等の周囲をシールするメカニカルシールは、摺動接触部材である静止環と回転環との間に摺動面を有している。このような構成を有しているメカニカルシールでは、摺動接触の状態を監視することによって、作動状態を検出することができる。
【0003】
そして、摺動接触の状態を監視する方法として、アコースティックエミッション(AE)センサによる方法が知られている。アコースティックエミッション(AE)は、メカニカルシールの摺動接触部材のような固体が変形あるいは破壊される際に、それまで蓄えられていたひずみエネルギが開放され、その一部が弾性波として放出される現象であり、アコースティックエミッション(AE)は、超音波の振動として観測される。
【0004】
このようなアコースティックエミッション(AE)センサを用いて摺動接触の状態を検出する構成として、メカニカルシールが設けられている回転軸を有する回転機械の容器(ケース)にAEセンサを取り付けメカニカルシールの状態を検知する構成が知られている(特許文献1)。
【0005】
また、AEセンサを用いて摺動接触の状態を検出する他の構成として、固定環に高感度圧電素子を装着してアコースティックエミッションを検出するメカニカルシールも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-32287号公報
【特許文献2】実願昭59-59366号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成は、AEセンサは、回転機械の金属容器に取付けられる構成であるので、弾性波の発生源となるメカニカルシールとAEセンサとの間には、金属製の容器本体や、弾性体が介在することになる。この結果、メカニカルシールの摺動接触部で発生した弾性波は、AEセンサに到達するまでに減衰してしまうという問題があった。
【0008】
また、特許文献2の構成では、AEセンサとして機能する高感度圧電素子が固定環を後方から支持する支持環の固定環側の軸線方向に延びる凹部内に配置されている。このような配置は、メカニカルシールを回転軸と容器との間の径方向の狭い領域に配置するために採用されたものであるが、狭い領域に配置するためにセンサ感度が低い小型のセンサを使用せざるを得ないという問題があった。
さらに、このような構成には、容器の温度が高温になる等の高温環境下では採用できない、或いは耐熱性が高いセンサを使用しなければならない等の制約もあった。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、摺動接触部等で発生した弾性波を効率的に検知できるメカニカルシールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
回転軸に固定された回転環と該回転軸が貫通する本体に連結された静止環との間の摺動接触によって、前記回転軸の周囲をシールするメカニカルシールであって、
前記静止環に一端部が連結されたウェーブガイドと、
前記ウェーブガイドの他端部が連結されたアコースティックエミッション(AE)センサと、を備えている、
ことを特徴とするメカニカルシールが提供される。
【0011】
このような構成によれば、静止環に接続されたウェーブガイドによって摺動接触部材において発生した弾性波を効率よくAEセンサに導いて検出することができる。
また、ウェーブガイドの長さ、配向を適宜、選択することによりAEセンサを配置する場所の選択の自由度が高まるので、AEセンサに求められる寸法、耐熱性等の要件が緩和される。
【0012】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ウェーブガイドの一端部が、前記静止環を保持するインサートバックメタルを介して前記静止環に連結されている。
【0013】
このような構成によれば、静止環に直接、ウェーブガイドを接続できない構造においても、静止環を支持する金属製の部材であるインサートバックメタルを介して弾性波を効率よくウェーブガイドに導くことができる。
【0014】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ウェーブガイドの一端部に雄ねじ部が形成され、前記インサートバックメタルに雌ねじ部が形成され、
前記ウェーブガイドは、前記雄ねじ部が前記インサートバックメタルの雌ねじ部にねじ込まれ、前記インサートバックメタルに連結されている。
【0015】
このような構成によれば、簡便な構成で、ウェーブガイドと静止環との確実な連結を確保できる。
【0016】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ウェーブガイドの一端部が、前記静止環に取付けられたブッシュを介して前記静止環に連結されている。
【0017】
このような構成によれば、静止環にウェーブガイドの一端部をねじ込むための雌ねじ部を設ける必要がなくなるので、ねじ加工をすることが難しい材料で静止環が形成されているメカニカルシールでも容易にウェーブガイドを取付ることができる。
【0018】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ウェーブガイドの一端部に雄ねじ部が形成され、
前記ブッシュが、内周面に雌ねじ部が形成された筒形状を有し、前記静止環に形成された凹部内に固定され、
前記ウェーブガイドは、前記雄ねじ部が前記ブッシュを介して前記静止環に連結されている。
【0019】
このような構成によれば、簡便な構成で、ウェーブガイドとブッシュとの確実な連結を確保できる。
【0020】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ウェーブガイドが、前記回転軸と平行に延びるように配置されている。
【0021】
このような構成によれば、回転軸の径方向外方位置に構成要素を配置するための領域を確保することが難しい構成においても、ウェーブガイドを配置することが容易になる。
【0022】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ウェーブガイドが、前記回転軸と鉛直方向に延びるように配置される。
【0023】
このような構成によれば、
回転軸の径方向外方位置に構成要素を配置するための領域を確保できる構成において、ウェーブガイドを適切に配置することが容易になる。
【0024】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ウェーブガイドが、第1のウェーブガイドと第2のウェーブガイドとを含み、前記第1および第2のウェーブガイドが、方向転換用台座によって角度をつけた状態で連結されている。
【0025】
本発明の他の好ましい態様によれば、
第2のウェーブガイドが延びる方向は、第1のウェーブガイドの軸線を中心に、360度回転可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、摺動接触部等で発生した弾性波を効率的に検知できるメカニカルシールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施形態のメカニカルシールの構成を示す一部分を断面とした概略的な図面である。
図2】本発明の第2の実施形態のメカニカルシールの構成を示す一部分を断面とした概略的な図面である。
図3】本発明の第3の実施形態のメカニカルシールの構成を示す一部分を断面とした概略的な図面である。
図4】本発明の第3の実施形態のメカニカルシールの変形例の要部を示す図面である。
図5】上記実施形態のメカニカルシールにおけるウェーブガイドとアコースティックエミッション(AE)センサとの連結構造の変形例を示す図面である。
図6】変形例の連結構造で用いられるセンサ押え具の側面図である。
図7】変形例の連結構造で用いられるセンサ押え具の正面図である。
図8】上記実施形態のメカニカルシールにおけるウェーブガイドとアコースティックエミッション(AE)センサとの連結構造の他の変形例を示す図面である。
図9】上記実施形態のメカニカルシールにおけるウェーブガイドとアコースティックエミッション(AE)センサとの連結構造の他の変形例を示す図面である。
図10】上記実施形態のメカニカルシールにおけるウェーブガイドとアコースティックエミッション(AE)センサとの連結構造の他の変形例を示す図面である。
図11図10の連結構造に用いられる方向転換用台座の平面図である。
図12】上記実施形態のメカニカルシールにおけるウェーブガイドとアコースティックエミッション(AE)センサとの連結構造の他の変形例を示す図面である。
図13】上記変形例の連結構造が組み込まれたメカニカルシールの構成を示す図面である。
図14図8の連結構成の変更例の構造を説明するための図面である。
図15図8の連結構成の変更例の構造を示す図面である。
図16図8の連結構成の変更例の構造を示す図面である。
図17図8の連結構成の変更例の構造を示す図面である。
図18図8の連結構成の変更例の構造を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の第1の実施形態のメカニカルシールについて図面に沿って説明する。図1は、第1の実施形態のメカニカルシールの構成を示す断面図である。
【0029】
本実施形態のメカニカルシール10は、回転機械のハウジングの壁を貫通して延びる回転軸Sの周囲をシールするために設けられている。回転機械の例としては、ポンプ、攪拌機等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、ハウジングの壁としては、ハウジングの側壁、底壁等が挙げられる。
【0030】
本実施態様のメカニカルシール10では、攪拌機の底壁(本体)Bを上下方向に貫通する回転軸Sに取付けられるメカニカルシールであるが、本発明は、この用途に限定されるものではなく、他の回転機械の他の壁を貫通する回転軸にも適用可能である。
【0031】
本実施態様のメカニカルシール10は、機内側摺動接触部12と、機外側摺動接触部14の2ヶ所の摺動接触部を備えている。
【0032】
機内側摺動接触部12は、回転軸Sに連結された回転環(ロータリリング)16と、攪拌機の底壁Bに連結された静止環(インサート)18とによって構成されている。
また、機外側摺動接触部14は、回転軸Sに連結された回転環20と静止環22とによって構成されている。機外側摺動接触部14の静止環22は、攪拌機の底壁Bに連結されたメカニカルシール10のケーシング44に図示しないボルトで固定されたインサートバックメタル24に連結されている。
【0033】
本実施態様のメカニカルシール10では、機内側摺動接触部12の回転環16および静止環18は、超硬合金で構成されている。
【0034】
また、機内側摺動接触部12の静止環18は、ステンレス鋼(例えばSUS316L)等の金属で形成されたインサートバックメタル24によって回転環16と反対側(機外側)から直接、支持されている。
【0035】
また、機内側摺動接触部12の回転環16は、回転軸Sに固定されたスリーブ26に取付けられた環状のカラー28によって静止環18と反対側(機内側)から支持されている。回転環16とカラー28の間には、スプリング30が介装され、回転環16を静止環18に向けて付勢している。このような構成によって、静止環18は、回転環16に当接し、当接面にシール面が形成されている。
【0036】
一方、本実施態様のメカニカルシール10では、機外側摺動接触部14の回転環20および静止環(インサート)22は、カーボンまたは超硬合金で構成されている。具体的には、回転環20には硬質材(例えば、超硬合金、SiC)を用い、静止環22にカーボンを用いることが好ましい。しかしながら、静止環22に硬質材(例えば、超硬合金、SiC)を用いることもできる。
【0037】
機外側摺動接触部14の静止環22は、ステンレス鋼(例えばSUS316L)等の金属で形成され攪拌機の底壁Bに連結されたインサートバックメタル32によって回転環20と反対側(機外側)から直接、支持されている。
【0038】
また、機外側摺動接触部14の回転環20は、回転軸Sに固定されたスリーブ26に取付けられた環状のカラー34によって静止環22と反対側(機内側)から支持されている。回転環20とカラー34の間には、スプリング35が介装され、回転環20を静止環22に向けて付勢している。このような構成によって、回転環20は、静止環22に当接し、当接面にシール面が形成されている。
【0039】
本実施形態のメカニカルシール10の機内側摺動接触部12には、更に、ウェーブガイド36と、アコースティックエミッション(AE)センサ38が設けられている。
【0040】
機内側摺動接触部12のウェーブガイド36は、ステンレス鋼等の振動を伝えやすい金属で形成された棒状体である。ウェーブガイド36の材料は、静止環22等の連結されている部材と同系統の材料で形成されているのが好ましい。
【0041】
ウェーブガイド36の一端(機内側端)には、雄ねじ部40が形成されている。ウェーブガイド36は、この雄ねじ部40が、インサートバックメタル24の機外側面に形成され、内周面に雌ねじが設けられ機外側に向かって開口する孔部42にねじ込まれることにより、インサートバックメタル24に固定されている。
【0042】
機内側摺動接触部12のインサートバックメタル24は、機内側摺動接触部12の静止環18を直接、機外側から支持しているので、インサートバックメタル24にねじ込まれたウェーブガイド36は、静止環22にインサートバックメタル24を介して連結(接続)されていることになる。
【0043】
機内側摺動接触部12のウェーブガイド36の他端(機外側端)は、アコースティックエミッション(AE) センサ38に接続されている。
【0044】
機内側摺動接触部12のウェーブガイド36の中間部分は、メカニカルシール10のケーシング44に設けられた貫通孔46内に貫通孔46の内周面に接触しないように挿通されている。貫通孔46は、回転軸Sと平行に配置されているので、ウェーブガイド36は回転軸Sと平行に延びるように配置されていることになる。
【0045】
機内側摺動接触部12のアコースティックエミッション(AE)センサ38は、ウェーブガイド36以外の構成要素と接触しない状態で、インサートバックメタル24からウェーブガイド36で吊り下げられている状態とされている。
このような構成によって、アコースティックエミッション(AE)センサ38は、インサートバックメタル24、ウェーブガイド36を介して、静止環22が発生させた弾性波を検出することができる。
【0046】
本実施形態のメカニカルシール10の機外側摺動接触部14にも、機外側のウェーブガイド48と、機外側のアコースティックエミッション(AE)センサ50が設けられている。
【0047】
機外側のウェーブガイド48は、機内側のウェーブガイドと同様に振動を伝えやすい金属で形成された棒状体である。ウェーブガイド48の一端にも、雄ねじ部52が形成されている。ウェーブガイド48は、この雄ねじ部52が、機外側摺動接触部14のインサートバックメタル32の径方向外方面に形成され、内周面に雌ねじが設けられ径方向外方側に向かって開口する孔部54にねじ込まれることにより、機外側摺動接触部14のインサートバックメタル32に固定されている。
ウェーブガイド48の材料は、接続されている部材と同一あるいは同系統の(例えば、密度が近似している)材料であることが好ましい。インサートバックメタル32が2相ステンレス(密度7.8)で構成されているとき、ウェーブガイド48を、インサートバックメタル32と同種の2相ステンレスではなく、密度が近いSUS304(密度7.98)で構成してもよい。
【0048】
機外側摺動接触部14のインサートバックメタル32は、機外側摺動接触部14の静止環22を直接、機外側から支持しているので、インサートバックメタル32にねじ込まれたウェーブガイド48は、機外側摺動接触部14の静止環22にインサートバックメタル32を介して静止環22に連結(接続)されていることになる。
【0049】
機外側のウェーブガイド48の他端(径方向外方端)も、機外側摺動接触部14のアコースティックエミッション(AE) センサ50に接続されている。
【0050】
機外側のウェーブガイド48の中間部分は、回転軸Sに対して直交する方向に延びるように配置され、機外側のアコースティックエミッション(AE)センサ50は、ウェーブガイド48によって、「片持ち梁」状態で支持されることになる。
このような構成によって、機外側摺動接触部14の静止環22が発生させた弾性波は、インサートバックメタル32、ウェーブガイド48を介して、アコースティックエミッション(AE) センサ50によって検出される。
【0051】
このような構成のメカニカルシール10によれば、機内側摺動接触部12が、機外側から遠い位置に配置されているメカニカルシールにおいて、機内側摺動接触部12からのアコースティックエミッション(AE)を確実に得ることができる。
また、アコースティックエミッション(AE)センサを機内から離して配置できるので、機内側の温度が高い用途に対しても適用可能である。
【0052】
次に、本発明の第2の実施形態のメカニカルシールについて図面に沿って説明する。図2は、第2の実施形態のメカニカルシール110の構成を示す一部分を破断した概略図である。
【0053】
本実施態様のメカニカルシール110も、攪拌機の底壁Bを上下方向に貫通する回転軸Sに取付けられるメカニカルシールであるが、本発明は、この用途に限定されるものではなく、他の回転機械の他の壁を貫通する回転軸にも適用可能である。
【0054】
本実施態様のメカニカルシール110は、機内側摺動接触部112と、機外側摺動接触部114の2ヶ所の摺動接触部を備えている。
【0055】
機内側摺動接触部112は、回転軸Sに連結された回転環(ロータリリング)116と、攪拌機の底壁Bに連結された静止環(インサート)118とによって構成されている。また、機外側摺動接触部114は、回転軸Sに連結された回転環120と、静止環122とによって構成されている。機内側摺動接触部112の静止環122は、攪拌機の底壁Bに連結されたメカニカルシール110のケーシング144に図示しないボルトで固定されたインサートバックメタル124に連結されている。
【0056】
本実施態様のメカニカルシール110では、機内側摺動接触部112の回転環116および静止環118は、超硬合金で構成されている。
【0057】
機内側摺動接触部112の静止環118は、ステンレス鋼(例えばSUS316L)等の金属で形成され攪拌機の底壁Bに連結されたインサートバックメタル124によって回転環116と反対側(機外側)から直接、支持されている。
【0058】
また、機内側摺動接触部112の回転環116は、回転軸Sに固定されたスリーブ126に取付けられた環状のカラー128によって静止環118と反対側(機内側)から支持されている。
回転環116とカラー128の間には、スプリング130が介装され、回転環116を静止環118に向けて付勢している。このような構成によって、静止環118は、回転環116に当接し、当接面にシール面が形成されている。
【0059】
一方、本実施態様のメカニカルシール110では、機外側摺動接触部114の回転環120および静止環(インサート)122は、カーボンまたは超硬合金で構成されている。具体的には、回転環120にはカーボンまたは超硬合金を用い、静止環122にはカーボンを用いることが好ましい。しかしながら、静止環122に硬質材(例えば、超硬合金、SiC)を用いることもできる。
【0060】
機外側摺動接触部114の静止環122は、ステンレス鋼(例えばSUS316L)等の金属で形成され攪拌機の底壁Bに連結されたインサートバックメタル132によって回転環120と反対側(機外側)から直接、支持されている。
【0061】
また、機外側摺動接触部114の回転環120は、回転軸Sに固定されたスリーブ126に取付けられた環状のカラー134によって静止環122と反対側(機内側)から支持されている。回転環120とカラー134の間には、スプリング(図示せず)が介装され、回転環120を静止環122に向けて付勢している。このような構成によって、回転環120は、静止環122に当接し、当接面にシール面が形成されている。
【0062】
本実施形態のメカニカルシール110の機内側摺動接触部112には、更に、ウェーブガイド136と、アコースティックエミッション(AE) センサ138が設けられている。
【0063】
機内側摺動接触部112のウェーブガイド136は、本発明の他の実施態様のウェーブガイドと同様、ステンレス鋼等の振動を伝えやすい金属で形成された棒状体である。ウェーブガイド136の一端(機内側端)には、雄ねじ部140が形成されている。ウェーブガイド136は、この雄ねじ部140が、インサートバックメタル124の機外側面に形成され、内周面に雌ねじが設けられ機外側に向かって開口する孔部142にねじ込まれることにより、インサートバックメタル124に固定されている。
ウェーブガイド136の材料も、接続されている部材と同系統の(例えば、密度が近似している)材料であることが好ましい。
【0064】
機内側摺動接触部112のインサートバックメタル124は、機内側摺動接触部112の静止環118を直接、機外側から支持しているので、インサートバックメタル124にねじ込まれたウェーブガイド136は、インサートバックメタル124を介して静止環118に連結(接続)されていることになる。
【0065】
機内側摺動接触部112のウェーブガイド136の他端(機外側端)は、アコースティックエミッション(AE)センサ138に接続されている。
【0066】
機内側摺動接触部112のウェーブガイド136の中間部分は、メカニカルシール110のケーシング144に設けられた貫通孔146内に貫通孔146の内周面に接触しないように挿通されている。貫通孔146は、回転軸Sと平行に配置されているので、ウェーブガイド136は回転軸Sと平行に延びるように配置されていることになる。
【0067】
機内側摺動接触部112のアコースティックエミッション(AE) センサ138は、ウェーブガイド136以外の構成要素と接触しない状態で、インサートバックメタル124からウェーブガイド136で吊り下げられている状態とされている。
このような構成によって、アコースティックエミッション(AE) センサ138は、インサートバックメタル124、ウェーブガイド136を介して、静止環118が発生させた弾性波を検出することができる。
【0068】
本実施形態のメカニカルシール110の機外側摺動接触部114にも、機外側のウェーブガイド148と、機外側のアコースティックエミッション(AE) センサ150が設けられている。
【0069】
機外側のウェーブガイド148は、機内側のウェーブガイドと同様にステンレス鋼等の振動を伝えやすい金属で形成された棒状体である。ウェーブガイド148の一端にも、雄ねじ部152が形成されている。ウェーブガイド148は、この雄ねじ部152が、機外側摺動接触部114のインサートバックメタル132の径方向外方面にねじ込まれることにより、機外側摺動接触部114のインサートバックメタル132に固定されている。
ウェーブガイド148の材料も、接続されている部材と同系統の(例えば、密度が近似している)材料であることが好ましい。
【0070】
機外側摺動接触部114のインサートバックメタル132は、機外側摺動接触部114の静止環122を直接、機外側から支持しているので、インサートバックメタル132にねじ込まれたウェーブガイド148は、機外側摺動接触部114の静止環122にインサートバックメタル132を介して機外側摺動接触部114の静止環122に連結(接続)されていることになる。
【0071】
機外側のウェーブガイド148の他端(径方向外方端)も、機外側摺動接触部114のアコースティックエミッション(AE)センサ150に接続されている。
【0072】
機外側のウェーブガイド148は、回転軸Sに対して直交する方向に延びるように配置されている。
このような構成によって、機外側摺動接触部114の静止環122が発生させた弾性波は、インサートバックメタル132、ウェーブガイド148を介して、アコースティックエミッション(AE)センサ150によって検出される。
【0073】
次に、本発明の第3の実施形態のメカニカルシールについて図面に沿って説明する。図3は、第3の実施形態のメカニカルシール210の構成を示す一部分を破断した概略図である。
【0074】
本実施態様のメカニカルシール210は、攪拌機等の回転機械の機体Hの壁を貫通する回転軸Sに取付けられるメカニカルシールである。
【0075】
本実施態様のメカニカルシール210は、1ヶ所の摺動接触部212を備えている。
摺動接触部212は、回転軸Sに連結された回転環(ロータリリング)216と、静止側部材Hに連結された静止環(インサート)218とによって構成されている。
【0076】
本実施態様のメカニカルシール210では、摺動接触部212の回転環216および静止環218は、カーボンで構成されている。なお、回転環216および静止環218は、カーボンのみならず、超硬合金・炭化ケイ素等でも形成可能である。
【0077】
摺動接触部212の静止環218は、円形リングを介して静止側の機体Hに支持されている。
【0078】
また、摺動接触部212の回転環216は、回転軸Sに固定されたスリーブ226に取付けられた環状のカラー228によって静止環218と反対側(機内側)から支持されている。回転環216とカラー228の間には、スプリング230等が介装され、回転環216を静止環218に向けて付勢している。このような構成によって、静止環218は、回転環216に当接し、当接面にシール面が形成されている。
【0079】
さらに、本実施形態のメカニカルシール210の摺動接触部212には、更に、ウェーブガイド236と、アコースティックエミッション(AE) センサ238が設けられている。
【0080】
ウェーブガイド236は、ステンレス鋼等の振動を伝えやすい金属で形成された棒状体である。ウェーブガイド236の一端(機内側端)には、縮径部240が形成されている。ウェーブガイド236は、この縮径部240が、静止環218の径方向外方面に形成された開口内に固定されている円筒状のブッシュ250の内面に接着剤等によって固定されている。ブッシュ250は、本実施態様のメカニカルシール210では、ステンレス鋼等の金属で形成されている。
ウェーブガイド236の材料も、接続されている部材と同系統の(例えば、密度が近似している)材料であることが好ましい。
【0081】
ブッシュ250は、静止環218に接触しているので、ブッシュ250に固定されたウェーブガイド236は、ブッシュ250を介して静止環218に連結(接続)されていることになる。
【0082】
摺動接触部212のウェーブガイド236の他端(径方向外方端)は、アコースティックエミッション(AE)センサ238に接続されている。
【0083】
ウェーブガイド236の中間部分は、機体Hに設けられた貫通孔246内に貫通孔246の内周面に接触しないように挿通されている。貫通孔246は、回転軸Sと直交するように配置されているので、ウェーブガイド236は回転軸Sの軸線に直交して延びるように配置されていることになる。
【0084】
このような構成によって、アコースティックエミッション(AE)センサ238は、ブッシュ250、ウェーブガイド236を介して、静止環218が発生させた弾性波を検出することができる。
【0085】
このような構成のメカニカルシール210によれば、インサートバックメタルを介することなくウェーブガイド236が静止環218に連結されるので、部品点数を減らすことができるとともに、感度良くアコースティックエミッション(AE)を検出することが可能となる。
【0086】
図4は、第3の実施態様のメカニカルシール210の変形例の要部を示す図面である。上記第3の実施態様のメカニカルシール210では、ウェーブガイド236の一端の縮径部240が円筒状のブッシュ250を介して静止環218に連結されている構成であった。 しかしながら、この変形例のメカニカルシールでは、図4に示されているように、ウェーブガイド336の先端の縮径部340の外周に雄ねじが形成され、この雄ねじが静止環318を後方側(回転環と反対側)から支持するインサートバックメタル342の雌ねじが内周面に形成された開口に螺合されている。
【0087】
図5は、上記実施形態のメカニカルシールにおけるウェーブガイドとアコースティックエミッション(AE)センサとの連結構造の変形例を示す図面である。また、図6は、変形例の連結構造で用いられるセンサ押え具の側面図であり、図7はその正面図である。
【0088】
第1の実施形態のメカニカルシール10および第2に実施形態のメカニカルシール110では、ウェーブガイドの他端は、アコースティックエミッション(AE)センサ38、50、138、150に直接、連結されていた。
【0089】
一方、本変形例では、ウェーブガイド436の他端に、アコースティックエミッション(AE)センサ438を保持する金属製の台座440がウェーブガイド436と一体に設けられ、ウェーブガイド436は、この台座440を介して、アコースティックエミッション(AE)センサ438に連結されており、この点で、上記変形例の連結構造は、上記実施形態の連結構造と異なっている。台座は、ステンレス鋼等の振動を伝えやすい金属で構成されているのが好ましい。
【0090】
さらに、本変形例では、図6および図7に示されているコ字形のセンサ押え具442を介して、アコースティックエミッション(AE)センサ438がウェーブガイド436の台座440に連結されている。
【0091】
これらの点を除き、本変形例の他の構成は、上記第1の実施形態等と同様である。
【0092】
本変形例の台座440は、アコースティックエミッション(AE)センサ438の底面より大きな面積を有する板状体である。台座440の上部はウェーブガイド436に一体的に連結されている。また、台座440の下面には、アコースティックエミッション(AE)センサ438の上部が嵌合し、これを収容できる凹部444が設けられている。
【0093】
また、センサ押え具442は、図6図7等に示されているように、略コ字状の断面形状を有している板状部である。センサ押え具442の一方の側壁450にはウェーブガイド436の他端が挿通可能なU字型の切欠452が設けられ、他方の側壁454には、固定用ボルト456が挿通可能なネジ孔458が設けられている。このネジ孔458には、固定用ネジ456がねじ込まれる。
【0094】
この連結構造では、アコースティックエミッション(AE)センサ438は、側方から台座440の凹部444内に挿入され、ついで、センサ押え具442の固定用ネジ456が締め付けられることによって固定用ネジ456で台座側に押圧され、ネジ456と台座440で挟持されて固定される。
このような構成によれば、簡単な作業でアコースティックエミッション(AE)センサを組み付けることができる。
【0095】
図8は、上記実施形態のメカニカルシールにおけるウェーブガイドとアコースティックエミッション(AE)センサとの連結構造の他の変形例を示す図面である。
【0096】
第1の実施形態のメカニカルシール10および第2に実施形態のメカニカルシール110等では、ウェーブガイド36は、1本の真っ直ぐな棒状部材であったが、本変形例では、ウェーブガイドが屈曲部で90度の角度をなして直交するように連結された2本の棒状部材460、462を備え、アコースティックエミッション(AE)の伝達方向が、90度、折曲げられた構成となっており、この点で、上記変形例の連結構造は、上記第1の実施形態等の連結構造と異なっている。
【0097】
図8の連結構造では、2本のウェーブガイド(第1のウェーブガイド460および第2のウェーブガイド462)が、直方体状を有する金属製の方向転換用台座464を介して、90度の角度をなす配置で連結されており、この点で、上記第1の実施形態等の連結構造と異なっている。この方向転換用台座464も他のウェーブガイドと同様にアコースティックエミッション(AE)を伝達しやすい金属材料で構成されている。
【0098】
図8の連結構造では、第1のウェーブガイド460の一端は、第1の実施形態のウェーブガイドと同様に、インサートバックメタルにねじ込まれている。第1のウェーブガイドの他端は、第1のウェーブガイド460の本体部分より小径とされた嵌合部466が、方向転換用台座464に嵌め合い寸法で加工されている貫通孔468に挿通され、雄ねじが形成されたさらに小径の先端部470にナット472を螺合することによって、方向転換用台座464に固定されている。台座464は、第1のウェーブガイド460の軸線を中心として360度回転させることができる。
【0099】
このように、図8の連結構造では、第1及び第2のウェーブガイド460、462は、方向転換用台座464によって角度(略90度)をつけた状態で連結されている。さらに、第2のウェーブガイド462が延びる方向は、第1のウェーブガイド460の軸線を中心に、360度回転可能である。
【0100】
この第1のウェーブガイド460と方向転換用台座464の接合部には、アコースティックエミッション(AE)信号の伝達を向上させるためにはグリス等を塗布するのが望ましい。
【0101】
方向転換用台座の貫通孔468の軸線と平行な面には、第2のウェーブガイド462を受入れるためのネジ孔474が形成され、このネジ孔に第2のウェーブガイドの一端が螺合されている。また、第2のウェーブガイド462の他端には、図5に示された構成と同様の構成によって、アコースティックエミッション(AE)センサ438が取付けられている。
【0102】
図9は、上記実施形態のメカニカルシールにおけるウェーブガイドとアコースティックエミッション(AE)センサとの連結構造の他の変形例を示す図面である。
【0103】
図9の変形例は、第1及び第2のウェーブガイドの方向転換用台座への連結方法が図8の変形例と異なっている。他の構成は、図8の変形例と同様である。
図9の変形例では、第1のウェーブガイド476の他端478は、方向転換用台座480に形成された孔482に嵌合するように嵌め合い加工がなされている。さらに、方向転換用台座の孔482の内周面には、孔の軸線に直交して延びるネジ孔484の内端が開口している。
【0104】
図9の変形例では、方向転換用台座480の孔482に挿入された第1のウェーブガイド476の先端478は、ネジ孔484に外部から螺合されるボルト486の先端によって、外周面が押圧されることによって、方向転換用台座480に固定される。
【0105】
図10は、上記実施形態のメカニカルシールにおけるウェーブガイドとアコースティックエミッション(AE)センサとの連結構造の他の変形例を示す図面である。図11図10の連結構造に用いられる方向転換用台座の平面図である。
【0106】
図10の変形例も、第1のウェーブガイド488の方向転換用台座490への連結方法が、図8の変形例と異なっている。
【0107】
図10の変形例では、図11に示されているように、方向転換用台座490の第1のウェーブガイド488との接続部にすり割り加工が施されている。すり割り部の最奥部には、第1のウェーブガイド488の他端492が挿通可能な貫通孔494が形成されている。
【0108】
この変形例では、図10に示すように貫通孔494に、第1のウェーブガイド488の他端492を挿通した状態で、すり割り部に設けられたネジ孔496にネジ498を螺合してすり割り部を狭めることによって、第1のウェーブガイド488の他端492が方向転換用台座490に固定される。
【0109】
図12は、上記実施形態のメカニカルシールにおけるウェーブガイドとアコースティックエミッション(AE)センサとの連結構造の他の変形例を示す図面である。
図12の変形例は、図9の変形例と同様に、方向転換用台座500の孔502に挿入された第1のウェーブガイド504の先端506の外周面が、方向転換用台座500のネジ孔508に外部から螺合されたボルト510の先端によって押圧されることによって、第1のウェーブガイド504が方向転換用台座500に固定されるが、ボルト510を挿通するためのネジ孔508の形成位置が、図9の変形例と異なっている。
【0110】
図13は、図8の連結構造が組み込まれたメカニカルシールを示す図面である。図8の連結構造は、例えば、図13に示されるような回転機械のハウジングの壁を貫通して延びる回転軸Sの周囲をシールするために設けられるメカニカルシールに組み込まれる。
【0111】
図13の構成では、図8に示されているウェーブガイド460は、静止環512を支持するインサートバックメタル514に連結されている。また、静止環514は、回転軸Sに取付けられている、機内側の回転環516に摺動接触する。
【0112】
図9図10図12に示された連結構造も、図8の連結構造と同様に、回転機械のハウジングの壁を貫通して延びる回転軸Sの周囲をシールするために設けられるメカニカルシールに組み込まれる。
【0113】
本発明の前記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【0114】
例えば、上記図8の変形例では、2本の棒状のウェーブガイド(第1のウェーブガイド460および第2のウェーブガイド462)が直交するように方向転換用台座で連結された構成であったが、2本のウェーブガイドがなす角度は、90度に限定されるものではない。
【0115】
2本のウェーブガイド460、462がなす角度は、方向転換用台座に設けられる第2のウェーブガイド462を受入れる孔の方向を変更することにより、図14に示されているように90度を挟んた±80度の範囲(すなわち170度)の範囲内で、メカニカルシールの具体的構成、あるいはメカニカルシールが設けられる装置或いはその周囲の構造に適合するように変更可能である。
【0116】
図15は、2本のウェーブガイド460、462がなす角度が50度の例を、図16は、2本のウェーブガイド460、462がなす角度が10度の例を、図17は、2本のウェーブガイド460、462がなす角度が130度の例を、図15は、2本のウェーブガイド460、462がなす角度が170度の例を示し、それぞれ、示している。
【0117】
このように2本のウェーブガイド460、462がなす角度を、使用状況に合わせて適宜、設定できるので、メカニカルシールの設計の自由度が高まる。
【符号の説明】
【0118】
10:メカニカルシール
12:機内側摺動接触部
14:機外側摺動接触部
16:回転環
18:静止環
20:回転環
22:静止環
24:インサートバックメタル
26:スリーブ
28:カラー
30:スプリング
32:インサートバックメタル
34:カラー
36:ウェーブガイド
38:アコースティックエミッション(AE) センサ
44:ケーシング
46:貫通孔
48:ウェーブガイド
50:アコースティックエミッション(AE)センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18