(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023181157
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】シンプレックスI/Oコンポーネントの非中断的交換のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/042 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
G05B19/042
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023096292
(22)【出願日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】17/837,264
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512132022
【氏名又は名称】フィッシャー-ローズマウント システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディアス、セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】ロー、ゲイリー ケー.
(72)【発明者】
【氏名】シュレイス、トレヴァー ダンカン
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220AA01
5H220BB09
5H220CC06
5H220CX05
5H220DD06
5H220HH01
5H220JJ04
5H220JJ12
5H220JJ17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シンプレックスI/Oコンポーネントを物理的に取り外して交換する技術を提供する。
【解決手段】プラント担当者がコンポーネントを「交換可能」状態にすることが含まれる。I/Oサブシステムは、コンポーネントの交換可能状態の記録を記憶し、コンポーネントから直近に受信されたデータ値を保持し始める。I/Oサブシステムが、シンプレックスI/Oコンポーネントが通信不能である(例えば、取り外され、置き換えられたために)ことを検出すると、I/Oサブシステムは、直近に受信された保持データ値を取り出し、それをコントローラに伝送し、それによって、制御ループの制御された(例えば、非中断的な)実行を維持する。交換シンプレックスI/Oコンポーネントが「稼働中」状態に初期化されると、I/Oサブシステムはそれに応じてその状態レコードを更新し、したがって、ライブフィールドデータ値のコントローラへの転送を再開する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスプラント内の工業プロセスを制御するように動作するプロセス制御システムに含まれるシンプレックスI/Oコンポーネントであって、
ユーザインターフェースと、
前記シンプレックスI/Oコンポーネントを前記プロセスプラント内に配設されたフィールドデバイスに通信可能に接続する第1の通信インターフェースと、
前記シンプレックスI/OコンポーネントをI/Oサブシステムに通信可能に接続する第2の通信インターフェースであって、前記I/Oサブシステムが、前記シンプレックスI/Oコンポーネント及び前記I/Oサブシステムを介して、前記フィールドデバイスによって生成されたデータを受信し、前記受信したデータに基づいて制御信号を生成し、前記制御信号を前記フィールドデバイス、別のフィールドデバイス、又は別のコントローラに送信して前記工業プロセスの動作を制御する、コントローラに通信可能に接続される、第2の通信インターフェースと、を備え、
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが、
前記第1の通信インターフェースを介して前記フィールドデバイスによって生成された前記データを取得し、前記取得されたデータを前記第2の通信インターフェースを介して前記I/Oサブシステムに送信し、
前記シンプレックスI/Oコンポーネントの前記ユーザインターフェースを介して、交換可能な動作状態に入る命令を受信し、
前記受信された命令に応答して、前記交換可能状態に入り、前記第2の通信インターフェースを介して前記I/Oサブシステムに、前記シンプレックスI/Oコンポーネントが前記交換可能状態にあることの指示を送信し、それによって、前記I/Oサブシステムに、前記I/Oサブシステムが前記シンプレックスI/Oコンポーネントから予想される信号を受信することのその後の障害時に、前記シンプレックスI/Oコンポーネントの前記表示された交換可能状態に基づいて、前記コントローラに送信するために前記フィールドデバイスによって生成された直近に受信されたデータ値を記憶させるように構成されている、
シンプレックスI/Oコンポーネント。
【請求項2】
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが、シンプレックス電子マーシャリングコンポーネント、シンプレックスI/O信号コンディショナ、シンプレックス単一チャネルI/Oカード、又はシンプレックスマルチチャネルI/Oカードである、請求項1に記載のシンプレックスI/Oコンポーネント。
【請求項3】
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが、前記プロセス制御システムの電子マーシャリングシステムに含まれる、請求項1に記載のシンプレックスI/Oコンポーネント。
【請求項4】
前記I/Oサブシステムが、前記電子マーシャリングシステムのヘッドエンドユニットに含まれる、請求項3に記載のシンプレックスI/Oコンポーネント。
【請求項5】
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが、シンプレックスI/Oカードである、請求項4に記載のシンプレックスI/Oコンポーネント。
【請求項6】
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが、シンプレックス電子マーシャリングコンポーネントであり、前記I/Oサブシステムが、前記電子マーシャリングシステムのI/Oカード又はヘッドエンドユニットに含まれる、請求項3に記載のシンプレックスI/Oコンポーネント。
【請求項7】
前記シンプレックスI/Oコンポーネントの前記ユーザインターフェースが、1つ以上のタッチセンサを含み、前記交換可能状態に入るための前記命令が、前記1つ以上のタッチセンサのアクティブ化を含む、請求項1に記載のシンプレックスI/Oコンポーネント。
【請求項8】
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが、前記シンプレックスI/Oコンポーネントが前記交換可能状態に入るための前記命令を受信したときに、稼働中状態にある、請求項1に記載のシンプレックスI/Oコンポーネント。
【請求項9】
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが、前記シンプレックスI/Oコンポーネントが前記交換可能状態に入るための前記命令を受信するときに、低可用性状態にある、請求項1に記載のシンプレックスI/Oコンポーネント。
【請求項10】
シンプレックスI/Oコンポーネントであって、
各々が前記フィールドデバイスによって生成された前記データを前記第1の通信インターフェースから前記第2の通信インターフェースに前記シンプレックスI/Oコンポーネント内で配信するようにそれぞれ構成された複数のサブコンポーネントを更に備え
前記ユーザインターフェースを介した、前記交換可能状態に入るための前記命令の前記受信が、前記サブコンポーネントのうちの1つの障害に基づく、
請求項1に記載のシンプレックスI/Oコンポーネント。
【請求項11】
シンプレックスI/Oコンポーネントであって、
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが、視覚的インジケータを更に備え、
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが、前記シンプレックスI/Oコンポーネントの前記サブコンポーネントのうちの前記1つの障害を検出すると、
前記第2の通信インターフェースを介して前記I/Oサブシステムに、前記検出されたサブコンポーネント障害の指示を送信し、
低可用性状態に入り、
前記視覚的インジケータをアクティブ化し、
前記交換可能状態に入るための前記命令の前記受信が、前記視覚的インジケータの前記アクティブ化に応答するように、更に構成されている、
請求項10に記載のシンプレックスI/Oコンポーネント。
【請求項12】
プロセスプラント内の工業プロセスを制御するように動作するプロセス制御システムによって実行される方法であって、
前記プロセス制御システムのI/Oサブシステムによって、シンプレックスI/Oコンポーネントが交換可能状態にあるという指示を受信することに応答して、前記I/Oサブシステムによって、前記シンプレックスI/Oコンポーネントが前記交換可能状態にあるというそれぞれの指示を記憶することを含み、
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが前記I/Oサブシステムとフィールドデバイスと通信可能に結合し、
前記I/Oサブシステムが、前記シンプレックスI/Oコンポーネントと、前記フィールドデバイスによって生成されたデータを受信し、前記受信したデータに基づいて制御信号を生成し、前記制御信号を前記フィールドデバイス、別のフィールドデバイス、又は別のコントローラに送信して前記工業プロセスの前記動作を制御するコントローラとを通信可能に結合し、
前記シンプレックスI/Oコンポーネントの前記交換可能状態の前記記憶された指示に基づいて、前記I/Oサブシステムによって、前記フィールドデバイスによって生成され、前記シンプレックスI/Oコンポーネントから前記I/Oサブシステムによって受信された直近に受信されたデータ値を更に記憶し、
前記フィールドデバイスによって生成された前記直近に受信されたデータ値を記憶した後に、前記I/Oサブシステムによって、前記シンプレックスI/Oコンポーネントからの予想される信号の受信の失敗を検出し、
前記予想される信号の受信の失敗の前記検出及び前記シンプレックスI/Oコンポーネントの前記交換可能状態の前記記憶された指示に基づいて、前記フィールドデバイスによって生成された前記記憶された直近に受信されたデータ値を取り出し、前記取り出されたデータ値を前記コントローラに提供し、それによって、前記工業プロセスの前記動作の前記制御を継続する、
方法。
【請求項13】
前記取り出されたデータ値を前記コントローラに提供することが、前記取り出されたデータ値をスケジュールされた時間に前記コントローラに提供することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが前記交換可能状態にあるという前記指示を受信することが、前記シンプレックスI/Oコンポーネントが前記交換可能状態にあるという前記指示を前記シンプレックスI/Oコンポーネントから受信することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが前記交換可能状態にあるという前記それぞれの指示を記憶すると、タイマをアクティブ化することと、
前記タイマを非アクティブ化し、前記I/Oサブシステムが前記予想される伝送を受信することを予想する時間の前に前記アクティブ化されたタイマが満了したとき、及び/又は前記I/Oサブシステムが前記アクティブ化されたタイマの満了の前に前記シンプレックスI/Oコンポーネントから別の伝送を受信したとき、前記シンプレックスI/Oコンポーネントが前記交換可能状態にあることの前記記憶されたそれぞれの指示をクリアすることと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記I/Oサブシステムによって、前記シンプレックスI/Oコンポーネントから、前記シンプレックスI/Oコンポーネントが低可用性状態に入ったという指示を受信することと、
前記検出された障害の前記指示を受信したことに応答して、前記シンプレックスI/Oコンポーネントが低可用性状態にあるという指示を記憶することと、を更に含み、
前記I/Oサブシステムが、前記シンプレックスI/Oコンポーネントが前記低可用性状態にある間に、前記シンプレックスI/Oコンポーネントが前記交換可能状態にあることの前記指示を受信する、
請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記コントローラに送信するために前記フィールドデバイスによって生成された前記データ値を記憶することに続いて、
前記I/Oサブシステムによって、前記シンプレックスI/Oコンポーネントが稼働中状態にあるという指示を受信することと、
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが前記稼働中状態にあるという前記受信された指示に基づいて、前記シンプレックスI/Oコンポーネントが前記交換可能状態にあるという前記記憶されたそれぞれの指示をクリアし、前記フィールドデバイスによって生成された記憶された直近に受信されたデータ値をクリアすることと、を更に含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが、シンプレックス電子マーシャリングコンポーネント、シンプレックスI/O信号コンディショナ、シンプレックス単一チャネルI/Oカード、又はシンプレックスマルチチャネルI/Oカードである、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが、前記プロセス制御システムの電子マーシャリングシステムに含まれる、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記I/Oサブシステムが、前記電子マーシャリングシステムのヘッドエンドユニットに含まれる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記シンプレックスI/OコンポーネントがシンプレックスI/Oカードである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記シンプレックスI/Oコンポーネントが、シンプレックス電子マーシャリングコンポーネントであり、前記I/Oサブシステムが、前記電子マーシャリングシステムのI/Oカード又はヘッドエンドユニットに含まれる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、プロセスプラント及びプロセス制御システムに関し、より具体的には、プロセスプラント及びプロセス制御システムのシンプレックスI/Oコンポーネントを、実行中の工業プロセスを中断することなく交換することに関する。
【背景技術】
【0002】
物理的物質又は製品を製造、精製、変形、生成、又は生産するための、化学、石油、工業、又は他のプロセスプラントにおいて使用されるもの等の分散型工業プロセス制御システムは、典型的には、アナログバス、デジタルバス、又はアナログバス/デジタルバスの組み合わせを介して、あるいは無線通信リンク又はネットワークを介して、1つ以上のフィールドデバイスと通信可能に結合された1つ以上のプロセスコントローラを含む。例えば、バルブ、バルブポジショナ、スイッチ、及びトランスミッタ(例えば、温度センサ、圧力センサ、レベルセンサ、及び流量センサ)である場合があるフィールドデバイスは、プロセス環境内に配置され、概して、バルブの開放又は閉鎖、温度又は圧力等のプロセスパラメータ及び/又は環境パラメータの測定等の物理的又はプロセス制御機能を実行して、プロセスプラント又はシステム内で実行中の1つ以上の工業プロセスを制御する。周知のFieldbusプロトコルに準拠するフィールドデバイス等のスマートフィールドデバイスはまた、制御計算、アラーム機能、及びコントローラ内で一般に実装される他の制御機能も実行し得る。プラント環境内に配置されてもされなくてもよいプロセスコントローラは、プロセスコントローラは、フィールドデバイスによって行われるプロセス測定値及び/又はフィールドデバイスに関する他の情報を示す信号を受信し、例えば、プロセス制御決定を行い、受信した情報に基づき制御信号を生成し、HART(登録商標)、WirelessHART(登録商標)、及びFOUNDATION(登録商標)Fieldbusフィールドデバイス等の、フィールドデバイスで実行される制御モジュール又はブロックと調整する、異なる制御モジュールを実行するコントローラアプリケーションを実行する。コントローラ内の制御モジュールは、通信回線又はリンクを経由して、フィールドデバイス(及び/又は他のフィールドデバイス及び/又はコントローラ)に制御信号を送信し、それによって、プロセスプラント又はシステムの少なくとも一部分の動作を制御し、例えば、プラント又はシステム内で稼働又は実行する1つ以上の工業プロセスの少なくとも一部分を制御する。例えば、コントローラ及びフィールドデバイスは、プロセスプラント又はシステムによって制御されているプロセスの少なくとも一部分を制御する。I/Oデバイスは、これもまた典型的にはプラント環境内に位置付けられ、典型的にはコントローラと1つ以上のフィールドデバイスとの間に配設され、それらの間の通信を、例えば、電気信号をデジタル値に変換することによって可能にし、逆の場合も同様である。本明細書で利用される場合、フィールドデバイス、コントローラ、及びI/Oデバイスは、概して「プロセス制御デバイス」と呼ばれ、概してプロセス制御システム又はプラントのフィールド環境に物理的フィールド環境内に配置、配設又は設置される。
【0003】
フィールドデバイス及びコントローラからの情報は、制御室又はより過酷なプラントのフィールド環境から離れた他の位置、例えば、プロセスプラントのバックエンド環境に典型的には配置される、オペレータワークステーション、パーソナルコンピュータ又はコンピューティングデバイス、データ履歴、レポートジェネレータ、集中データベース、又は他の集中管理コンピューティングデバイス等の、1つ以上の他のハードウェアデバイスに対して、通常、データハイウェイ又は通信ネットワークを経由して利用可能にされる。これらのハードウェアデバイスの各々は、典型的には、プロセスプラントにわたって、又はプロセスプラントの一部分にわたって集中化される。これらのハードウェアデバイスは、例えば、オペレータが、プロセス制御ルーチンの設定の変更、コントローラ若しくはフィールドデバイス内の制御モジュールの動作の修正、プロセスの現在の状態の閲覧、フィールドデバイス及びコントローラによって生成されたアラームの閲覧、担当者の訓練若しくはプロセス制御ソフトウェアの試験を目的としたプロセスの動作のシミュレーション、構成データベースの保守及び更新等の、プロセスの制御及び/又はプロセスプラントの動作に関する機能を行うことを可能にし得るアプリケーションを実行する。ハードウェアデバイス、コントローラ、及びフィールドデバイスにより利用されるデータハイウェイは、有線通信パス、無線通信パス、又は有線及び無線通信パスの組み合わせを含むことができる。
【0004】
例として、Emerson Automation Solutionsによって販売されている、DeltaV(商標)制御システムは、プロセスプラント内の多様な場所に配置された異なるデバイス内に記憶され、それらの異なるデバイスによって実行される複数のアプリケーションを含む。プロセス制御システム又はプラントのバックエンド環境内の1つ以上のワークステーション又はコンピューティングデバイス内に常駐する構成アプリケーションは、ユーザが、プロセス制御モジュールを作成又は変更し、及びこれらのプロセス制御モジュールを、データハイウェイを介して専用分散型コントローラへダウンロードすることを可能にする。典型的には、これらの制御モジュールは、通信可能に相互接続された機能ブロックで構成され、これらの機能ブロックは、それに対する入力に基づき制御スキーム内で機能を実行し、出力を制御スキーム内の他の機能ブロックに提供するオブジェクト指向プログラミングプロトコル内のオブジェクトである。制御スキームは、例えば、コントローラ及び1つ以上のフィールドデバイスを含む制御ループにおいて実装され得る。また、構成アプリケーションは、データをオペレータに対して表示するため、かつオペレータによるプロセス制御ルーチン内の設定点等の設定の変更を可能にするために閲覧アプリケーションが使用するオペレータインターフェースを、構成設計者が作成又は変更することを可能にし得る。各専用コントローラ、及びいくつかの場合においては、1つ以上のフィールドデバイスは、実際のプロセス制御機能を実装するために、それらに割り当てられてダウンロードされた制御モジュールを実行するそれぞれのコントローラアプリケーションを記憶及び実行する。閲覧アプリケーションは、1つ以上のオペレータワークステーション(又はオペレータワークステーション及びデータハイウェイと通信可能に接続された1つ以上のリモートコンピューティングデバイス)上で実行され得、この閲覧アプリケーションは、コントローラアプリケーションからデータハイウェイを経由してデータを受信し、ユーザインターフェースを使用してこのデータをプロセス制御システム設計者、オペレータ、又はユーザに表示して、オペレータのビュー、エンジニアのビュー、技師のビュー等のいくつかの異なるビューのうちのいずれかを提供し得る。データ履歴アプリケーションが、典型的には、データハイウェイにわたって提供されたデータの一部又は全てを収集及び記憶するデータ履歴デバイスに記憶され、それによって実行される一方で、構成データベースアプリケーションが、現在のプロセス制御ルーチン構成及びそれと関連付けられたデータを記憶するために、データハイウェイに取り付けられた更に離れたコンピュータで実行され得る。代わりに、構成データベースは、構成アプリケーションと同じワークステーションに位置付けられてよい。
【0005】
概して、フィールドデバイスは、フィールドデバイスから受信された信号をコントローラによって処理され得る信号に変換し、コントローラから受信された信号をフィールドデバイスによって処理され得る信号に変換するI/Oカードに通信可能に結合され得る。特定のフィールドデバイスに対応する各I/Oカードの各チャネルは、(信号がI/Oカードによって適切に処理されるように)適切な信号タイプに関連付けられなければならず、I/Oカードは、I/Oカードに結合されたフィールドデバイスから最終的に信号を受信し、かつ/又はそこに信号を送信する1つ以上のコントローラに通信可能に結合されなければならない。
【0006】
いくつかのプロセス制御システムでは、フィールドデバイスとコントローラとの間のI/O接続を効率的に実装するために、電子マーシャリングシステム又はデバイスが利用される。例えば、プロセスプラントの特定のエリア内で、終端ブロックは、プロセスプラントの特定の物理的エリア内に配置されるフィールドデバイスの配線(又は接続)のための終端点として機能し得る。終端ブロックは、終端エリアに配設された電子マーシャリングキャビネット内に配置されてもよく、マーシャリングキャビネットは、フィールドデバイスに結合された通信モジュールと、フィールドデバイスに関連付けられたコントローラに通信可能に結合された1つ以上のI/Oカードとの間で信号をマーシャリング、編成、又はルーティングする複数の通信モジュールを含む。終端ブロック、通信モジュール、及びI/Oカードに加えて、マーシャリングキャビネットはまた、I/Oカード及び通信モジュールに電力を供給するための電力供給、マーシャリングキャビネット内のコンポーネントが過熱しないようにするための電力散逸機構(例えば、ヒートシンク、ファン等)、フィールドデバイスから入る配線の全て、及びその配線が扱いにくくなりすぎないようにするための種々の解決策を含んでもよい。
【0007】
電子マーシャリングシステム又はデバイスは、異なるタイプの電子マーシャリングコンポーネント又は「EMC」(I/Oカード、I/O信号コンディショナ等)を含むことができ、その各々は、異なるタイプの障害に対する異なるレベルの可用性及び耐性を有し得る。例えば、シンプレックスI/Oコンポーネント(例えば、シンプレックスI/Oカード、シンプレックスI/O信号コンディショナ、シンプレックスI/O終端ブロック等)は、単一の障害に対して最小限の許容範囲を有してもよく、又は機能を損失することなく冗長サブコンポーネントのうちの1つの障害に耐えることができる冗長サブコンポーネントのセットを含んでもよい。冗長EMCコンポーネントのペア又はグループ(例えば、冗長I/Oカード、冗長I/O信号コンディショナ等)は、典型的には、ペア又はグループの一方が故障したときにペアの他方がI/O機能(例えば、「ホットスペア」)を提供すると見なすことができるので、ペア又はグループが提供するI/O機能についてより高い可用性を提供することができる。
【0008】
非冗長I/Oコンポーネント又はシンプレックスI/Oコンポーネント(例えば、プロセス制御システムが対応するホットスペアを有していないI/Oコンポーネント)は、シンプレックスI/Oコンポーネントの一時的なバイパスをセットアップし、最終的にプロセス制御システムを復元して交換シンプレックスI/Oコンポーネントを利用する等、種々の複雑な(主に手動の)手順を使用することによって物理的に交換されなければならない。プラント担当者は、フィールドデバイス、コントローラ、及び/又は他の信号がバイパス手順中に正しく処理されるように、そのような一時的バイパスをプロセス制御システムの実行と適切に調整しなければならない。プラント担当者が非冗長I/Oコンポーネント又はシンプレックスI/Oコンポーネントを交換する間の、そのような信号の調整の欠如及び/又は処理の誤りは、メッセージの損失及びプロセス制御システムの種々のコンポーネントのスプリアストリップをもたらし得、これは、工業プロセスの実行及びその性能を不利かつ不必要に中断させ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
実行中の工業プロセスを中断することなく、工業プロセスプラントのプロセス制御システムのシンプレックスI/Oコンポーネントを交換するための技術、システム、装置、コンポーネント、デバイス、及び方法が本明細書に開示される。そのような技術、システム、装置、コンポーネント、デバイス、及び方法は、工業プロセス制御システム、環境、及び/又はプラントに対して適用することができ、これらは本明細書においては交換可能に、「工業制御」、「プロセス制御」、若しくは「プロセス」システム、環境、及び/又はプラントとも呼ばれる。典型的には、このようなシステム及びプラントは、物理的製品を生成又は生産するために、未加工の物理的物質を製造、精製、又は変形するように動作する、(本明細書においては、「工業プロセス」とも呼ばれる)1つ以上のプロセスを分散方式で制御する。
【0010】
一般的に言えば、実行中の工業プロセスを中断することなくプロセス制御システムのシンプレックスI/Oコンポーネントを物理的に交換する(例えば、シンプレックスI/Oコンポーネントを「非中断」方式で交換する)ための技術、システム、装置、コンポーネント、デバイス、及び方法は、プラント担当者がシンプレックスI/Oコンポーネントを物理的に取り外し及び交換をしようとしていることをプラント担当者がプロセス制御システムの少なくとも一部分に示す又は信号伝達することを可能にする。プラント担当者から指示を受信すると、プロセス制御システムの1つ以上の部分は、シンプレックスI/Oコンポーネントを利用する制御ループに関して(及び任意選択で、制御ループが含まれる工業プロセスに関して)ランタイム動作の一時的なセーフモードに入り得、その結果、制御ループは、シンプレックスI/Oコンポーネントが物理的に取り外され、交換されている間、そのランタイム動作を継続することができる。その後、新たに交換されたシンプレックスI/Oコンポーネントが、オンラインであることをプロセス制御システムに示すとき、プロセス制御システムは、動作の一時的なセーフモードを終了し、通常モード又は方式で動作を再開し得る。有利には、本明細書で説明される新規の技術を使用することによって、シンプレックスI/Oコンポーネントの物理的な取り外し及び交換は、バイパスが手動でセットアップ及び取り外される必要がなく、バイパスがセットアップ及び取り外されるために実行プロセスが停止又は一時停止される必要がなく、バイパスを手動でセットアップ及び取り外しをするタイミングが実行プロセスと調整される必要がないので、工業プロセスの動作に関してシームレスであり得(例えば、工業プロセスのランタイム動作に対して「非中断的」であり)、それによって、現在利用されている技術によって引き起こされる工業プロセスへのメッセージの損失、トリッピング、及び他の中断のリスクを低減する(いくつかの場合では排除する)。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的なシステムプロセスプラントを示すブロック図であり、システムプロセスプラントの少なくとも一部分は、本明細書に記載される非中断的シンプレックスI/Oコンポーネント交換のための技術の実施形態を実装する。
【
図2A】
図1のプロセスプラントに含まれ得る例示的な制御ループのブロック図を含み、本明細書に記載される非中断的シンプレックスI/Oコンポーネント交換のための技術の実施形態が実装され得る。
【
図2B】
図1のプロセスプラントに含まれ得る電子マーシャリングブロック、装置、又はデバイスの例示的なアーキテクチャを示す。
【
図2C】
図1のプロセスプラントに含まれ得る例示的な制御ループの実装のブロック図を示し、本明細書に記載される非中断的シンプレックスI/Oコンポーネント交換のための技術の実施形態が実装され得る。
【
図2D】例示的なマーシャリングアーキテクチャの一実施形態による例示的なI/Oヘッドエンドのブロック図を示す。
【
図3】本明細書に記載される非中断的シンプレックスI/Oコンポーネント交換のための技術の実施形態が実装され得る例示的なシンプレックスI/Oコンポーネントのブロック図を示す。
【
図4】シンプレックスI/Oコンポーネントに通信可能に接続された例示的なI/Oサブシステムであって、本明細書で説明される非中断的シンプレックスI/Oコンポーネント交換のための技術の実施形態が実装され得る例示的なI/Oサブシステムのブロック図を示す。
【
図5】非中断的シンプレックスI/Oコンポーネント交換のための技術の説明される実施形態のうちの少なくともいくつかによる例示的な方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述したように、工業プロセスプラント、プロセス制御システム、又はプロセス制御環境は、本明細書に記載の新規の技術、システム、装置、コンポーネント、デバイス、及び/又は方法のうちの1つ以上を利用することによって、非中断的シンプレックスI/Oコンポーネント交換をサポートする。プロセスプラントは、試運転されオンラインで動作しているとき、プロセスプラント内で実行される1つ以上の工業プロセスを制御するためにプロセス制御システムと協調して物理的機能を実行する1つ以上の有線フィールドデバイス又は無線フィールドデバイス、コンポーネント、又は要素を含む。プロセスプラント又はプロセス制御システムは、例えば、1つ以上の有線通信ネットワーク及び/又は1つ以上の無線通信ネットワークを含んでもよい。加えて、プロセスプラント又は制御システムは、連続データベース、バッチデータベース、資産管理データベース、履歴データベース、及び他のタイプのデータベース等の集中データベースを含んでもよい。
【0013】
図1は、例示的なプロセスプラント、プロセス制御システム、又はプロセス制御環境5の概略図を示しており、ここで、シンプレックスI/Oコンポーネント(I/Oカード、電子マーシャリングデバイス又はコンポーネント、I/O信号コンディショナ、及び/又は他のI/Oユニット等)は、シンプレックスI/Oコンポーネントを利用する実行中の制御ループに対して、完全ではないとしても、概して非中断的である方式で交換され得る。一般的に言えば、
図1の例示的なプロセスプラント5は、フィールドデバイスによって行われたプロセス測定値を示す信号を受信し、この情報を処理して制御ルーチンを実装し、プラント5内のプロセスの動作を制御するために、有線プロセス制御通信リンク又は無線プロセス制御通信リンク(物理層)を介して他のフィールドデバイスに送信される制御信号を生成する1つ以上のプロセスコントローラを含む。典型的には、フィールドデバイスの各々は、物理的機能(例えば、バルブの開放又は閉鎖、温度の増加又は減少、測定の実行、状態の検知等)を実行し、プロセスの動作を制御する。フィールドデバイスは、I/Oデバイスを使用してプロセスコントローラと通信してもよく、プロセスコントローラ、フィールドデバイス、及びI/Oデバイスは、有線又は無線であってもよい。更に、プロセス制御デバイスは、有線又は無線であってもよく、任意の数及び組み合わせの有線及び無線プロセスコントローラ、フィールドデバイス及びI/Oデバイスが、プロセスプラント環境5に含まれていてもよい。
【0014】
単なる例として、
図1は、標準又は従来のプロセス制御プロトコル入力/出力(I/O)カード26及び28を介して有線フィールドデバイス15~22に通信可能に接続され、本明細書では混合プロトコルI/Oカード又は複数プロトコルI/Oカード又はデバイス若しくは混合又は複数物理層I/Oデバイスと呼ばれる高度プロトコルI/Oカード又はマルチプロトコルI/Oカード29を介して有線フィールドデバイス23及び24に通信可能に接続されたプロセスコントローラ11を示す。この場合、コントローラ11は、任意のプロプライエタリプロトコルを含む任意の所望の通信プロトコルを実装し得るバックプレーンバス(図示せず)を介してI/Oデバイス26、28、及び29に通信可能に結合される。コントローラ11はまた、無線ゲートウェイ35及びプロセス制御データハイウェイ又はバックボーン10を介して、無線ネットワーク70内の無線フィールドデバイス40~46に通信可能に接続される。イーサネット通信構造として実装され得るプロセス制御データハイウェイ10は、1つ以上の有線及び/又は無線通信リンクを含んでもよく、例えば、イーサネットプロトコル等の任意の所望の又は適切な汎用IP通信プロトコルを使用して実装され得る。いくつかの構成(図示せず)では、コントローラ11は、バックボーン10以外の1つ以上の通信ネットワークを使用して、例えば、Wi-Fi又は他のIEEE 802.11準拠無線ローカルエリアネットワークプロトコル、モバイル通信プロトコル(例えば、WiMAX、LTE、又は他のITU-R互換プロトコル)、Bluetooth(登録商標)、HART(登録商標)、WirelessHART(登録商標)、Profibus、FOUNDATION(登録商標)Fieldbus等の1つ以上の通信プロトコルをサポートする任意の数の他の有線又は無線通信リンクを使用すること等によって、無線ゲートウェイ35に通信可能に接続されてもよい。更に、コントローラ11は、高度な物理層(APL)又はより多くのパケットベース又は高度な(例えば、汎用IPベースの)通信プロトコルをサポートする他の物理層を使用する更なるフィールドデバイスネットワーク80を介して他のフィールドデバイス82に結合されてもよい。
【0015】
コントローラ11は、例として、Emerson Automation Solutionsより販売されているDeltaV(商標)コントローラであってもよく、フィールドデバイス15~24、40~46及び82のうちの少なくともいくつかを使用して、バッチプロセス又は連続的プロセスを実施するように動作し得る。プロセス制御データハイウェイ10に通信可能に接続されることに加えて、コントローラ11は、種々の異なる通信プロトコル、例えば、4~20 mA、FOUNDATION(登録商標)フィールドバスプロトコル、HART(登録商標)プロトコル、WirelessHART(登録商標)プロトコル等に関連付けられた任意の所望のハードウェア及びソフトウェアを使用して、I/Oカード26、28及び29を介してフィールドデバイス15~24、40~46及び82の少なくともいくつかに通信可能に接続される。
図1では、コントローラ11、フィールドデバイス15~24及び82、並びにI/Oカード26、28及び29は有線デバイスであり、フィールドデバイス40~46は無線フィールドデバイスである。理解されるように、有線フィールドデバイス15~24及び82並びに無線フィールドデバイス40~46は、将来開発される任意の規格又はプロトコルを含む任意の有線又は無線プロトコル等の任意の規格又は利用可能な通信プロトコルに準拠することができる。
【0016】
一般的に言えば、
図1のプロセスコントローラ11は、(例えば、メモリ32に記憶されている)1つ以上のプロセス制御ルーチン38を実装又は監督するプロセッサ30を含む。プロセッサ30は、フィールドデバイス15~24、40~46及び82と通信し、コントローラ11に通信可能に接続された他のノードと通信するように構成される。制御ルーチン38は、オブジェクト指向プログラミング、ラダーロジック、シーケンシャル機能チャート、機能ブロック図を使用すること、又は任意の他のソフトウェアプログラミング言語又は設計方式を使用すること等、任意の所望のソフトウェアフォーマットで実装され得る。制御ルーチン38は、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み取り専用メモリ(ROM)等の任意の所望のタイプのメモリ32に記憶され得る。同様に、制御ルーチン38は、例えば、1つ以上のEPROM、EEPROM、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は任意の他のハードウェア若しくはファームウェア要素にハードコードされてもよい。したがって、コントローラ11は、任意の所望の方式で制御ストラテジ又は制御ルーチンを実装するように構成され得る。
【0017】
一例では、コントローラ11は、一般的に機能ブロックと呼ばれるものを使用して制御ストラテジを実装し、各機能ブロックは、全体的な制御ルーチンのオブジェクト又は他の部分(例えば、サブルーチン)であり、他の機能ブロックと連携して(リンクと呼ばれる通信を介して)動作して、プロセス制御システム5内でプロセス制御ループを実装する。制御ベースのファンクションブロックは、典型的には、トランスミッタ、センサ又は他のプロセスパラメータ測定デバイスに関連付けられた入力機能、PID、ファジー論理等の制御を行う制御ルーチンに関連付けられた制御機能、又はバルブ等のいくつかのデバイスの動作を、プロセス制御システム5内のいくつかの物理的機能を実行するように制御する出力機能のうちの1つを実行する。当然のことながら、ハイブリッド及び他の種類の機能ブロックが存在する。機能ブロックはコントローラ11内に記憶され、それによって実行されてもよく、これは典型的には、これらの機能ブロックが標準的な4~20mAデバイス及びHART(登録商標)デバイス等のいくつかの種類のスマートフィールドデバイス用に使用されるかあるいはそれと関連するときに成り立ち、あるいは機能ブロックは、フィールドデバイスそのものの内部に記憶され、それによって実装されてもよく、これはFOUNDATION(登録商標)Fieldbusデバイスの場合に成り立ち得る。したがって、コントローラ11は、機能ブロックのうちの1つ以上を実行することで実行される、1つ以上の制御ループを実装し得る、1つ以上の制御ルーチン38を含んでもよい。
【0018】
有線フィールドデバイス15~24、82は、センサ、バルブ、トランスミッタ、ポジショナ等の任意のタイプのデバイスであってもよく、一方でI/Oカード26及び28は、任意の所望の通信又はコントローラプロトコルに準拠する任意のタイプのI/Oデバイスであってもよい。
図1では、フィールドデバイス15~18は、アナログ線又は組み合わせられたアナログ線及びデジタル線(HART又は4~20物理層)を介してI/Oカード26と通信する、標準的4~20mAデバイス又はHART(登録商標)デバイスとして示されているが、一方でフィールドデバイス19~22は、FOUNDATION(登録商標)フィールドバス通信プロトコル及び物理層を使用して、デジタルバスを介してI/Oカード28と通信する、FOUNDATION(登録商標)フィールドデバイス等のスマートデバイスである。しかし、いくつかの実施形態では、有線フィールドデバイス15、16及び18~22のうちの少なくともいくつか並びに/又はI/Oカード26、28のうちの少なくともいくつかは、代替的に、他の適切な制御システムプロトコル(例えば、Profibus、DeviceNet、Foundation Fieldbus、ControlNet、Modbus、HART等)を使用することによって、コントローラ11と通信し得る。
【0019】
更に、
図1に一般的に示されるように、有線フィールドデバイス23及び24は、種々の異なる通信回線又はバスを介して、I/Oデバイス29に通信可能に結合される。特に、本明細書でより詳細に説明されるように、I/Oデバイス29は、複数の出力ポート、ピンコネクタ、又は終端ブロックを含み、これらは各々、異なるフィールドデバイス通信プロトコル(例えば、2線式、3線式、4線式等の物理層)をサポートする異なる物理層に関連付けられた物理層ハードウェア(通信回線)を受け入れるように適合され得る。更に、I/Oデバイス29は、異なる通信プロトコルを使用して、その終端ブロックに接続された異なるデバイスとの通信をサポートする。一例では、I/Oデバイス29は、(HART通信プロトコルを使用してHART準拠フィールドデバイス23と通信するために使用され得る)HART準拠物理層をサポートし、それに接続し得、イーサネットバス又はワイヤセット、APL物理層等の1つ以上の高度物理層を介して1つ以上の他のフィールドデバイス24をサポートし、それに接続し得、パケットベースのプロトコル(例えば、IPプロトコル、イーサネットプロトコル等)を使用して、例えば、高度物理層ハードウェアを介してフィールドデバイス24と通信し得る。当然ながら、フィールドデバイス23及び24はまた、センサ、バルブ、トランスミッタ、ポジショナ等を含む任意のタイプのデバイスであってもよく、アナログ及び/又はデジタル信号を使用して、かつ有線又は無線物理層を使用して、I/Oデバイス又はI/Oカード29と通信してもよい。
【0020】
I/Oデバイス29は、
図1の点線10aによって示されるように、バックプレーンバス(
図1には図示せず)を介してコントローラ11に通信可能に接続され、したがって、コントローラ11がI/Oデバイス29に接続されたフィールドデバイスと通信することを可能にするが、I/Oデバイス29は、代わりに又は同様に、バス又はイーサネット接続10に直接接続され、バス10上のアプリケーション及び他のデバイス(及びプラント5の外側又は外部のデバイス)と直接通信して、I/Oカード29に接続されたフィールドデバイス23、24への直接アクセスを提供してもよい。本明細書でより詳細に説明されるように、I/Oカード29に接続されたフィールドデバイス23、24のうちのいくつかは、IPアドレスを含んでもよく、したがって、IPプロトコルを介してアドレス指定可能であってもよい(すなわち、これらのフィールドデバイスは、IIoTシステム又は他の監視システムの一部分であってもよく、若しくはそうでなければ、IP通信プロトコルを介して到達可能であってもよい)ため、I/Oカード29はまた、フィールドデバイス23、24に対する資産管理システム又はIIoTシステム内の直接ゲートウェイとして機能することができ、その結果、これらのシステムは、IP通信プロトコルをサポートするフィールドデバイスから情報を取得するために、コントローラ(コントローラ11等)を通して通信する必要がない。
【0021】
図1に示す例示的なプラント5では、無線フィールドデバイス40~46は、WirelessHART(登録商標)プロトコル等の無線プロトコルを使用して、無線プロセス制御通信ネットワーク70を介して通信する。そのような無線フィールドデバイス40~46は、(例えば、同じ無線プロトコル又は別の無線プロトコルを使用して)無線通信するようにも構成される無線ネットワーク70の1つ以上の他のデバイス又はノードと直接通信し得る。無線通信するように構成されていない1つ以上の他のノードと通信するために、無線フィールド機器40~46は、プロセス制御データハイウェイ10に、又は別のプロセス制御通信ネットワークに接続された無線ゲートウェイ35を利用し得る。無線ゲートウェイ35は、無線通信ネットワーク70の種々の無線デバイス40~58へのアクセスを提供する。特に、無線ゲートウェイ35は、無線デバイス40~58、有線デバイス11~29、及び/又はプロセス制御プラント5の他のノード又はデバイスの間の通信可能な結合を提供する。例えば、無線ゲートウェイ35は、プロセス制御データハイウェイ10を使用することによって、及び/又はプロセスプラント5の1つ以上の他の通信ネットワークを使用することによって、通信可能な結合を提供し得る。
【0022】
有線フィールドデバイス15~24と同様に、無線ネットワーク70の無線フィールドデバイス40~46は、プロセスプラント5内で、物理的制御機能、例えば、バルブの開放又は閉鎖、若しくはプロセスパラメータの測定値の取得を実行する。しかしながら、無線フィールドデバイス40~46は、ネットワーク70の無線プロトコルを使用して通信するように構成されている。したがって、無線フィールドデバイス40~46、無線ゲートウェイ35、及び無線ネットワーク70の他の無線ノード52~58は、無線通信パケットの生成者であり消費者である。
【0023】
プロセスプラント5のいくつかの構成では、無線ネットワーク70は、非無線デバイスを含む。例えば、
図1では、
図1のフィールドデバイス48は、レガシー4~20mAデバイスであり、フィールドデバイス50は、有線HART(登録商標)デバイスである。ネットワーク70内で通信するために、フィールドデバイス48及び50は、無線アダプタ52a、52bを介して無線通信ネットワーク70に接続される。無線アダプタ52a、52bは、WirelessHART等の無線プロトコルをサポートし、かつFoundation(登録商標)Fieldbus、PROFIBUS、DeviceNet等の1つ以上の他の通信プロトコルもサポートし得る。加えて、いくつかの構成では、無線ネットワーク70は、無線ゲートウェイ35と有線通信する独立した物理デバイスであり得るか、又は一体型デバイスとして無線ゲートウェイ35内に提供され得る、1つ以上のネットワークアクセスポイント55a、55bを含む。無線ネットワーク70はまた、無線通信ネットワーク70内の1つの無線デバイスから別の無線デバイスにパケットを転送するための1つ以上のルータ58を含み得る。
図1では、無線デバイス40~46及び52~58は、無線通信ネットワーク70の無線リンク60を介して、及び/又はプロセス制御データハイウェイ10を介して、互いに、及び無線ゲートウェイ35と通信する。
【0024】
更に、プロセスプラント5は、イーサネット接続によってサポートされる任意のプロトコル等のパケットベース又はIP通信プロトコルを使用して、フィールドデバイス82をネットワークバス又はバックボーン10に直接接続する高度物理層ネットワーク80を含む。これらのプロトコルには、インターネットプロトコル(IPプロトコル)、パケットベースのプロトコル、時間依存型プロトコル及び時間非依存型プロトコル等が含まれるが、これらに限定されない。より具体的には、これらのプロトコルは、HART-IP、OPC UA、及びプロセス制御通信用に設計された任意の他の所望のプロトコルを含んでもよい。同様に、これらのプロトコルは、要求/応答、パブリッシュ/サブスクライブ、及びイベントベースの通信、並びにデータストリーミングをサポートするプロトコルを含む、汎用IPプロトコル等のプロセス自動化において従来使用されていないプロトコルを含んでもよい。
【0025】
ネットワーク80は、APL通信バス又は回線88を介して複数のAPLフィールドスイッチ86に結合されたAPL電源スイッチ84を含む。一般的に言えば、APL電源スイッチ84は、回線又はバス88を介してAPLフィールドスイッチ86に電力を供給する電源を含む(これは、ネットワーク80において実線で示されるトランク構成又は実線及び点線で示されるリング構成でセットアップされ得る)。フィールドデバイス82は、APL物理層によってサポートされる任意の所望のプロトコルを使用して、APLフィールドスイッチ86と通信する(これは、例えば、イーサネット物理層、又は時間非依存型若しくは時間依存型ネットワークを含む、パケットベースの通信をサポートする任意の他の物理層であり得る)。更に、フィールドスイッチ86は、同じプロトコル及び物理層を使用して、回線88を介して、バックボーン10へのゲートウェイとして動作するスイッチ84と通信する。加えて、フィールドスイッチ86は、支線(APL物理層によって定義される)を介して1つ以上のフィールドデバイス82に直接接続され、トランク回線88上で使用される同じ通信プロトコルを使用してフィールドデバイス82と通信する。電源スイッチ84及びフィールドスイッチ86は、バックボーン10とフィールドデバイス82との間の回線88を介してパケットを通信するように動作する。当然ながら、必要に応じて、電源スイッチ84は、プロセスコントローラに直接結合されてもよく、又はバックボーンネットワーク10を介してプロセスコントローラ11等のプロセスコントローラに間接的に結合されてもよい。
【0026】
更に、
図1に示すように、プロセス制御システム5は、データハイウェイ10に通信可能に接続された1つ以上のオペレータ及び/又は保守ワークステーション71を含む。オペレータ及び保守ワークステーション71を使用し、オペレータ又は保守担当者は、プロセスプラント5のランタイム動作の、デバイス状態及びステータス情報等を閲覧及び監視し得、必要であり得る任意の診断、修正、保守、及び/又は他の動作を取り得る。オペレータ及び保守ワークステーション71のうちの少なくともいくつかは、プラント5内又はその近くの種々の保護エリア内に配置されてもよく、いくつかの状況では、オペレータ及び保守ワークステーション71のうちの少なくともいくつかは、遠隔に配置されるが、それでもなお、プラント5と通信可能に接続されてもよい。オペレータ及び保守ワークステーション71は、有線又は無線コンピューティングデバイスであり得る。
【0027】
例示的なプロセス制御システム5は、構成アプリケーション72a及び構成データベース72bを含むものとして更に示され、それら各々は、データハイウェイ10にも通信可能に接続される。構成アプリケーション72aの種々のインスタンスは、ユーザによるプロセス制御モジュールの作成又は変更、及びこれらのモジュールを、データハイウェイ10を介して、コントローラ11へのダウンロードを可能にするため、並びにオペレータがプロセス制御ルーチン内でデータを閲覧し、データ設定を変更することができることを介して、ユーザによるオペレータインターフェースの作成又は変更を可能にするために、1つ以上のコンピューティングデバイス(図示せず)を実行してもよい。構成データベース72bは、作成された(例えば、構成された)モジュール及び/又はオペレータインターフェースを記憶する。概して、構成アプリケーション72a及び構成データベース72bは、構成アプリケーション72aのうちの複数のインスタンスが、プロセス制御システム5内で同時に実行され得るにもかかわらず、集中化され、プロセス制御システム5に対して単一の論理的外観を有してよく、構成データベース72bは、複数のデータ記憶デバイスにまたがって実装され得る。したがって、構成アプリケーション72a、構成データベース72b、及びそれに対するユーザインターフェース(図示せず)は、制御及び/又は表示モジュール用の構成又は開発システム72を含む。典型的には、必ずしもそうである必要はないが、プラント5がリアルタイムで動作しているか否かにかかわらず、構成システム72のユーザインターフェースは、構成及び開発エンジニアによって利用されるのに対して、オペレータ及び保守ワークステーション71は、構成システム72のユーザインターフェースは、プロセスプラント5のリアルタイム動作中(ここではプロセスプラント5の「ランタイム」動作とも交換可能に呼ばれる)オペレータ及び保守担当者によって利用されるため、構成システム72のユーザインターフェースはオペレータワークステーション71とは異なる。更に、プロセス制御システム5は、資産管理システム77を含んでもよく、資産管理システム77は、フィールドデバイス及びコントローラデータを収集及び処理して、既知の方式でプロセス制御システム5の保守を実行し得る。資産管理システム77は、収集されたデータを記憶及び処理するための1つ以上のデータベースを含んでもよく、かつ/又はデータベース72b及び73b並びにプラント内の他のデータベースを使用し得る。資産管理システム77はまた、コントローラ11、入出力デバイス29、ゲートウェイ35、電源スイッチ84等のデバイスと直接通信してもよい。
【0028】
例示的なプロセス制御システム5はまた、データ履歴アプリケーション73a及びデータ履歴データベース73bを含み、それら各々がまた、データハイウェイ10に通信可能に接続される。データ履歴アプリケーション73aは、データハイウェイ10をわたって提供されたデータのいくつか又は全てを収集し、長期にわたる記憶のために、データを履歴化するか、又は履歴データベース73b内に記憶するように動作する。構成アプリケーション72a及び構成データベース72bと同様に、データ履歴アプリケーション73a及び履歴データベース73bは、データ履歴アプリケーション73aのうちの複数のインスタンスが、プロセス制御システム5内で同時に実行され得るにも関わらず、集中化され、プロセス制御システム5に対して単一の論理的外観を有してよく、データ履歴73bは、複数の物理的データ記憶デバイスにまたがって実装されてよい。
【0029】
いくつかの構成では、プロセス制御システム5は、他の無線プロトコル、例えばWi-Fi又は他のIEEE802.11準拠の無線ローカルエリアネットワークプロトコル、モバイル通信プロトコル、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)又は他のITU-R(国際電気通信連合無線通信部門(International Telecommunication Union Radiocommunication Sector))互換性プロトコル、短波無線通信、例えば近距離無線通信(NFC)及びBluetooth、又は他の無線通信プロトコルを使用して、他のデバイスと通信する1つ以上の他の無線アクセスポイント74を含む。典型的には、そのような無線アクセスポイント74は、無線ネットワーク70とは異なり、かつ無線ネットワーク70とは異なる無線プロトコルをサポートする、それぞれの無線プロセス制御通信ネットワークを経由して、手持ち式又は他の携帯用コンピューティングデバイス(例えば、ユーザインターフェースデバイス75)による通信を可能にする。例えば、無線又は携帯用ユーザインターフェースデバイス75は、プロセスプラント5内のオペレータ(例えば、オペレータワークステーション71のうちの1つのインスタンス)によって利用される、モバイルワークステーション又は診断試験機器であってもよい。
【0030】
いくつかの構成では、プロセス制御システム5は、近接したプロセス制御システム5外部にあるシステムへの1つ以上のゲートウェイ76、78を含む。典型的には、そのようなシステムは、プロセス制御システム5によって生成又は動作される情報の消費者又は供給元である。例えば、プロセス制御プラント5は、近接したプロセスプラント5を別のプロセスプラントに通信可能に接続するためのゲートウェイノード76を含み得る。加えて又は代替的に、プロセス制御プラント5は、近接したプロセスプラント5を、外部の公衆又はプライベートシステム、例えば研究所システム(例えば、研究所情報管理システム又はLIMS)、オペレータラウンドデータベース、荷役システム、保守管理システム、製品在庫管理システム、製造スケジュール管理システム、天気データシステム、出荷及び運搬システム、包装システム、インターネット、別のプロバイダのプロセス制御システム、又は他の外部システムと通信可能に接続するためのゲートウェイノード78を含み得る。
【0031】
図1は、例示的なプロセスプラント5に含まれる有限数のI/Oデバイス26、28、29、フィールドデバイス15~24、40~46、及び82、無線ゲートウェイ35、無線アダプタ52、アクセスポイント55、ルータ58、及び無線プロセス制御通信ネットワーク70を有する単一のコントローラ11のみを示しているが、これは例示的かつ非限定的な実施形態にすぎないことに留意されたい。任意の数のコントローラ11がプロセス制御プラント又はシステム5内に含まれてもよく、コントローラ11のうちのいずれが、任意の数のI/Oデバイス26、28、29を介して任意の数の有線又は無線デバイス及びネットワーク15~24、40~46、35、52、55、58、70、及び82と通信して、プラント5内でのプロセスを制御してもよい。例えば、プロセスプラント5は、種々の物理的エリアを含んでもよく、各物理的エリアは、その物理的エリア内のフィールドデバイス及びネットワーク15~24、40~46、35、52、55、58、及び70の関連するセットと通信する関連する1つ以上のコントローラ11(及び関連するI/Oデバイス26、28、又は29)を有する。
【0032】
更に、
図1のプロセスプラント又は制御システム5は、フィールド環境122(例えば、「プロセスプラントフロア122」)と、データハイウェイ10によって通信可能に接続されるバックエンド環境125とを含むことが留意される。
図1に示されるように、フィールド環境122は、その中に配設、設置及び相互接続され、稼働中にプロセスを制御するように動作する物理的コンポーネント(例えば、プロセス制御デバイス、ネットワーク、ネットワーク要素等)を含む。例えば、コントローラ11、I/Oカード26、28、29、フィールドデバイス15~24、及び他のデバイス及びネットワークコンポーネント40~46、35、52、55、58、70及び82は、配置されるか、配設されるか、さもなければプロセスプラント5のフィールド環境122に含まれる。一般的に言えば、未加工の材料は、プロセスプラント5のフィールド環境122内で受け取られ、その中に配設された物理的コンポーネントを使用して処理されて、1つ以上の製品を生成する。
【0033】
プロセスプラント5のバックエンド環境125は、過酷な状況及びフィールド環境122の材料から遮蔽され及び/又は保護されたコンピューティングデバイス、オペレータワークステーション、データベース又はデータバンク等の種々のコンポーネントを含む。
図1を参照すると、バックエンド環境125は、例えばオペレータ又は保守ワークステーション71、制御モジュール及び他の実行可能モジュールのための構成又は開発システム72、データ履歴システム73、及び/又はプロセスプラント5のランタイム動作をサポートする他の集中管理システム、コンピューティングデバイス、及び/又は機能性を含む。いくつかの構成では、プロセスプラント5のバックエンド環境125に含まれる種々のコンピューティングデバイス、データベース、及び他のコンポーネント及び機器は、異なる物理的位置に物理的に位置付けられ得、そのうちのいくつかは、プロセスプラント5に対してローカルであってもよく、そのうちいくつかはリモートであってもよい。
【0034】
図2A~
図2Fは、
図1に示されるフィールドデバイス15~24、I/Oカード26、28、29、及びコントローラ11等の、プロセスプラント内のフィールドデバイス、I/Oカード、及びコントローラによって利用され得る通信アーキテクチャを一般的に示す。限定目的ではなく説明を容易にするために、
図2A~2Fは、
図1を同時に参照して説明される。
【0035】
図2Aは、フィールドデバイス102aが含まれる例示的なプロセス制御ループ100aの例示的な通信アーキテクチャを示すブロック図を含む。フィールドデバイス102aは、スマート若しくはインテリジェントフィールドデバイス(フィールドデバイス19~24、82のうちの1つ等)であってもよく、又はレガシーフィールドデバイス(フィールドデバイス15~18のうちの1つ等)であってもよい。概して、本明細書で使用される場合、「スマート」又は「インテリジェント」フィールドデバイスは、1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のメモリを一体的に含むフィールドデバイスである。一方、本明細書で使用される場合、「レガシー」フィールドデバイスは、1つ以上のオンボードプロセッサ及び/又はオンボードメモリを含まない。
【0036】
ループ100aは、プロセスプラントの稼働中にその中のプロセスを制御する際に利用されるプロセスプラントに統合又は組み込まれてもよい。例えば、ループ100aは、プロセスプラント5のフィールド環境122に設置又は配設されてもよい。
【0037】
図2Aに示される例示的なプロセス制御ループ100a内で、フィールドデバイス102aは、電子マーシャリングデバイス又はコンポーネント(EMC)110a(例えば、I/O信号コンディショナ、Emerson Automation Solutionsによって提供されるCHARacterization Module又はCHARM等)に通信可能に(例えば、有線又は無線方式で)接続される(103a)。EMC 110aは、終端ブロック105aに通信可能に接続され(112a)、終端ブロックは、I/Oプロセッサモジュール又はカード108aに通信可能に接続される(107a)。I/Oプロセッサモジュール又はカード108aは、コントローラ120aに通信可能に接続され(118a)、コントローラは、プロセスプラント5のバックエンド環境125及び/又はフロントエンド環境122に通信可能に接続される(121a)。プロセスプラント5のオンライン動作中、コントローラ120aは、フィールドデバイス102aによって生成された信号の値(例えば、フィールドデバイス102aによって生成されたデータ値)を受信し、受信した値に基づいて制御信号又は安全信号を生成し、制御信号又は安全信号を送信してフィールドデバイス102a及び/又は別のデバイス(
図2Aには図示せず)の動作を変更すること等によって、プラント5内のプロセスを制御するために、受信した値に対して動作する。いくつかの場合では、コントローラ120aは、制御信号及び/又は情報信号を別のコントローラ(
図2Aにも図示せず)に送信してもよく、通信可能な接続121aを介してバックエンド環境125に情報を送信し、バックエンド環境125から情報を受信してもよい。コントローラ120aは、
図1のプロセスコントローラ11等のプロセスコントローラ、プロセスプラント5をサポートする安全計装システムに含まれる安全計装システム(SIS)コントローラ若しくは論理ソルバ、又はフィールドデバイスから信号を受信し、受信したフィールドデバイス信号に基づいて対応する制御信号若しくは安全信号を決定し、制御信号若しくは安全信号をプロセスプラント5の他のコンポーネントに伝送し、それによって工業プロセスのランタイム動作を制御及び/又は修正する別のタイプのコントローラであってもよい。
【0038】
図2Aでは、電子マーシャリングコンポーネント110a、終端ブロック105a、及びI/Oプロセッサモジュール108aは、電子マーシャリングコンポーネント110a、終端ブロック105a、及びI/Oプロセッサモジュール108a、及び/又は1つ以上のバス、バックプレーン、又は他の適切な相互接続機構を介してキャビネット115a内に収容された他のコンポーネントを電気的に相互接続するキャビネット又はハウジング115a(I/Oキャビネット等)内に物理的に一緒に配置されるものとして示されている。当然ながら、
図2Aに示すようなキャビネット115a内の電子マーシャリングコンポーネント110a、終端ブロック105a、及びI/Oプロセッサモジュール108aのハウジングは、可能な多くのハウジング構成のうちの1つにすぎない。
【0039】
図2Bは、
図2Aに示されるEMC 110aをサポートする例示的な電子マーシャリングブロック、I/O装置、又はI/Oデバイス140の斜視図を示し、したがって、
図2Aを同時に参照して以下で説明される。上述したように、
図1のI/Oデバイス29は、混合物理層及び通信プロトコルプラットフォームを提供し、種々の異なる物理層及び種々の異なる通信プロトコルを介してプロセスコントローラと複数の異なるフィールドデバイスとの間の通信を提供するために使用することができる例示的なI/Oデバイスである。特に、
図2Bは、混合物理層及びプロトコルデバイス140(
図1のI/Oデバイス29であってもよい)をより詳細に示す。より具体的には、
図2Bは、複数の異なる物理層を使用し、所望であれば、異なる物理層上の異なる通信プロトコルを使用して、必要に応じて、複数の異なるフィールドデバイスとの通信をサポートする例示的な電子マーシャリング又はI/Oデバイス140の斜視図を示す。一般的に言えば、I/Oデバイス140は、(I/Oデバイス140のヘッドエンドユニット又はコントローラ側に関連付けられた)上部142と、I/Oデバイス140のフィールドデバイス側に関連付けられた下部148とを有するI/Oカードベース又はキャリアを含む。ベースの上部142は、1つ以上のI/Oプロセッサモジュール145(本明細書では交換可能に「I/Oカード145」又は「I/Oモジュール145」とも呼ばれる)が配置又は挿入される事前構成されたスロット(
図2Bには明示されていない)を含む。例えば、
図2Aに示すI/Oプロセッサモジュール108aは、
図2Bに示すI/Oプロセッサモジュール145のうちの1つであってもよい。I/Oカードキャリアベースの上部142は、プロセス又はSISコントローラ(例えば、
図1のプロセスコントローラ11又は
図2Aのコントローラ120a)が有線又は無線接続(
図2Bには明示せず)を介して接続され得る複数の異なるI/Oプロセッサモジュール145を支持してもよい。
図2Bの例では、I/Oカードベース又はキャリアの上部142は、2つのI/Oプロセッサモジュール145を支持するが、より多くの又はより少ないI/Oプロセッサモジュール145が、ベース142内で支持(挿入)することができる。更に、I/Oプロセッサモジュール145は、同じ又は異なる通信プロトコルに関連付けられてもよく、1つ以上の異なる通信プロトコルに対して同じ機能を実行する冗長I/Oプロセッサモジュールであってもよく、及び/又は非冗長I/Oプロセッサモジュール又はシンプレックスI/Oプロセッサモジュール(例えば、I/Oカードベースの上部142に同時に受け入れられる他のI/Oプロセッサモジュールがなく、シンプレックスI/Oプロセッサモジュールが故障したときにシンプレックスI/Oプロセッサモジュールの機能を提供するために利用されてもよい)である少なくともI/Oプロセッサモジュールを含んでもよい。更に、I/Oプロセッサモジュール145のセットは、I/Oデバイス140によってサポートされる異なる通信プロトコルごとに別個のI/Oプロセッサモジュールを含んでもよく、又は異なる物理層構造を使用して複数の異なる通信プロトコルをサポートするI/Oプロセッサモジュール145を含んでもよい。また更に、I/Oプロセッサモジュール145のうちの1つは、1つ以上の異なる通信プロトコル等のための1つ以上の電源であってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0040】
I/Oプロセッサモジュール145は、I/Oデバイス140の一方の側に通信可能に接続されたプロセスコントローラ又は安全計装システム(SIS)コントローラ(例えば、
図1のプロセスコントローラ11又は
図2Aのコントローラ120a)との通信を実行し、I/Oデバイス140上に配設された種々の異なる電子マーシャリングコンポーネントとの通信を実行し、マーシャリングコンポーネントは、I/Oデバイス140の他方の側のフィールドデバイス(例えば、
図1のフィールドデバイス23~24のうちの1つ又は
図2Aのフィールドデバイス102a)と通信する。したがって、I/Oプロセッサモジュール145は、プロセスコントローラへの通信信号の受信及び送信、1つ以上の通信プロトコルを使用してフィールドデバイスから受信及びフィールドデバイスへ送信される信号の復号及び符号化、適切な通信プロトコルを使用してフィールドデバイス及びプロセスコントローラからのメッセージに応答して、コントローラからフィールドデバイスへ及びその逆に情報及びメッセージを通信すること、I/Oデバイス140に結合されたフィールドデバイスの識別及び論理位置を追跡すること(すなわち、I/Oデバイスに接続されたフィールドデバイスと通信するために使用される通信経路及び通信プロトコルを決定、追跡及び記憶すること)等を含む種々の通信機能を実行するようにプログラムされた専用又は汎用プロセッサ及びメモリを含んでもよい。I/Oプロセッサモジュール145はまた、いくつかの場合では、電源を含むか、又は外部電源に接続し、I/Oデバイス140に接続された1つ以上のフィールドデバイス通信ネットワークを介して電力を供給し得る。
【0041】
加えて、下部マーシャリングベース148は、1つ以上の内部バス(
図2Bには図示せず)を介して上部ベース142に(したがって、I/Oモジュール145に)電気的かつ通信可能に接続する。
図2Bには1つの下部ベース148しか示されていないが、複数の下部ベース148を互いに直列に接続して上部ベース142に接続することができる。各ベース148(ここでも、
図2Bにはそのうちの1つのみが示されている)は、複数の個別に構成可能なチャネルをサポートし、各チャネルは、ベース148上に配設された専用ワイヤ終端ブロック150a~150lに結合された専用スロット149a~149lを含む。例えば、
図2Aに示された終端ブロック105aは、
図2Bに示された終端ブロック150a~150lのうちの1つであり得る。各ワイヤ終端ブロック150a~150lは、終端ブロック150a~150lを1つ以上のフィールドデバイス(
図1に示されるフィールドデバイス102aを含み得る)に接続するための任意の所望のタイプのワイヤ終端点、コネクタ、又は他の取り付けハードウェアを含み、各終端ブロック150a~150lは、異なる通信プロトコルによって要求される種々の異なる物理層のいずれかに関連付けられたワイヤ又は物理層ハードウェアを受け入れ又は接続するように構成されてもよい。いくつかの場合では、各終端ブロック150a~150lは、複数の異なるタイプの物理層に関連付けられた配線又は物理層構造を受け入れるように構成され得る。結果として、各終端ブロック150a~150lは、2つ、3つ、4つ等の各々について、ねじワイヤコネクタ、ばね荷重ワイヤコネクタ等を含んでもよい。(種々の異なる通信プロトコルのいずれかをサポートする)種々の異なるタイプの物理層のために使用され得るか、又はそれに準拠するワイヤ。単なる例として、各終端ブロック150a~150lは、HART物理層、FOUNDATIONフィールドバス物理層、イーサネット(登録商標)物理層、APL物理層、又は任意の他の所望の物理層のうちの1つ以上に関連付けられたワイヤを受け入れて接続し得るワイヤコネクタのセットを含んでもよい。
【0042】
同様に、各終端ブロック150a~150lにそれぞれ関連付けられたスロット149a~149lの各々は、取り外し可能な電子マーシャリングコンポーネント(EMC)152を受け入れるように適合又は構成される。例えば、
図1に示されるECM 110aは、ECM 152のうちの1つであり得る。異なるECM 152は、各異なるスロット149a~149lに取り外し可能に挿入されてもよく、特定のスロット149に挿入されると、特定のスロット149に関連付けられた終端ブロック150に確実に受け入れられて電子的に接続されてもよい。例えば、
図2Bは、スロット149a、149f、及び149i~149lが、いずれのECM 152も受信していないが、スロット149b~149e及び149g~149hは、各々、それぞれのECM 152をその中に受信していることを示す。
図2Bには明示的に示されていないが、各スロット149はまた、(ベース148及び142内の)1つ以上の内部バスを介してI/Oプロセッサモジュール145に接続されて、I/Oプロセッサモジュール145がスロット149のいずれかに挿入されたECM 152の各々と通信することを可能にする。各EMC 152はまた、それぞれのプロセッサ及びそれぞれのメモリを含み、プロセッサは、汎用プロセッサ又は特定のプロセッサ(例えば、ASIC又はいくつかの他の専用ハードウェア若しくはファームウェアプロセッサとして実装される)であってもよく、特定の通信プロトコル及び物理層を使用して、ベース148の終端ブロック150に接続された1つ以上のフィールドデバイスとの通信機能を行うようにプログラムされる。各EMC 152のプロセッサは、関連する終端ブロックに接続された1つ以上のフィールドデバイスを検出し得、例えば、デバイス識別情報及び構成情報を含む特定の通信プロトコルを使用して特定のデバイス情報について1つ以上のフィールドデバイスをポーリングし得、この情報をEMC 152上のローカルメモリに記憶し得、この情報並びにデバイス通信経路情報をヘッドエンドユニット(
図2Bには明示されていない)内のプロセッサモジュール145に通信し得る。更に、各EMC 152のプロセッサは、特定の通信プロトコルを使用して、プロセッサモジュール145から関連する終端ブロック150に接続された1つ以上のフィールドデバイスにメッセージを構成及び送信し、関連する終端ブロック150に接続された1つ以上のフィールドデバイスからメッセージを受信及び復号し(必要であれば)、処理及び必要であればプロセスコントローラへの通信のために、これらのメッセージをプロセッサモジュール145に(ベースユニット148及び142内の内部バスのうちの1つを介して)渡すようにプログラムされ得る。
【0043】
電子マーシャリングコンポーネント152(EMC)の種々の異なるコンポーネントのスロット149への挿入は、EMC 152の内部プロセッサを、EMC 152の一方の側(例えば、EMC 152の入力側)のバスのうちの1つに、及びEMC 152の他方の側(例えば、EMC 152の出力側)のスロット149に関連付けられた終端ブロック150のワイヤ端子の適切なセットに接続するように動作する。その結果、EMC 152は、スロット149に挿入されると、少なくとも1つの内部バスを介してEMC 152の入力側でI/Oプロセッサモジュール145に電気的に接続され、少なくとも1つの内部バス及びI/Oプロセッサモジュール145のうちの1つを介してプロセス又はSISコントローラ(及び/又は別の外部システム)に通信可能に結合される。更に、EMC 152は、EMC 152が挿入されるスロット149の終端ブロック150と、終端ブロック150を1つ以上のフィールドデバイスに接続する物理層(例えば、ワイヤ)とを介して、モジュール152の出力側の1つ以上のフィールドデバイスに接続される。EMC 152のうちの異なるものは、1つ以上のフィールドデバイスと通信するために、異なる物理層及び異なる通信プロトコルを使用するように構成され得る。更に、異なるタイプのEMC 152は、I/Oデバイス140の異なる内部バスに別々に接続する接続構造を有し得る。したがって、1つのタイプの物理層又は通信プロトコルを使用するEMC 152は、第1の内部バスに接続し得、第2のタイプの物理層又は第2の異なる通信プロトコルを使用するEMC 152は、第2の内部バスに接続し得る。
【0044】
したがって、取り外し可能なハードウェアモジュール又はEMC 152のうちの異なるものをスロット149のいずれかに挿入して、EMC 152の各々と、I/Oデバイス140の1つ以上の内部バスを介したI/Oプロセッサモジュール145の一方又は両方との間の接続性を提供することができ、並びに種々の異なるフィールドデバイスからのワイヤが接続され得る終端ブロック150のうちの1つへの接続性を提供することができる。この特定の例では、終端ブロック150の各々は、例えば、2ワイヤ物理層、4ワイヤ物理層、ワイヤの特定の厚さ、タイプ、最小長さ及び最大長さ等を指定する物理層、種々のタイプのスイッチ又は他の物理構造を要求する物理層、無線通信をサポートする物理層等を含む種々の異なるタイプの物理層に関連付けられたワイヤを受け入れ、それによって、EMC 152がスロット149のうちの異なるスロットに挿入されるとき、異なるタイプの物理層を異なるEMC 152に接続し得る。必要に応じて、終端ブロック150のうちのいくつかは、第1のタイプの物理層(例えば、HART又は4~20 ma物理層)をサポートしてもよく、終端ブロック150のうちの他のものは、第2のタイプの物理層(例えば、Fieldbus又はProfibus物理層)をサポートしてもよく、更に他の終端ブロック150は、第3のタイプの物理層(例えば、IP、イーサネット又はAPL物理層)をサポートしてもよい。他の場合には、終端ブロック150のうちの1つ以上は、2つ、3つ、又はそれ以上の異なるタイプの物理層をサポートするように構成された接続構造を有し得る。
【0045】
当然ながら、EMC 152は、スロット149に挿入されると、モジュール152の構成に応じて内部バスのうちの1つ以上に電気的に接続する電気接続構造と、EMC 152が挿入されるスロット149に関連付けられた終端ブロック150にEMC 152を電気的に接続する電気接続構造とを含む。同様に、各取り外し可能なハードウェアEMCモジュール152は、あるタイプのプロセッサ(例えば、汎用プロセッサ、ASIC等の特別に構成されたプロセッサ等)と、特定の通信プロトコルを使用して(及び特定の物理層を使用して)通信を実行するためにプロセッサ上に実装されるソフトウェア又はファームウェアとを含む。したがって、例えば、EMC 152のうちの異なるものは、異なる通信プロトコル(及びそれらのプロトコルのために使用される物理層)に関連付けられ、それを実装するようにプログラムされ、又はそれを使用し得る。したがって、EMC 152のうちのいくつかは、HART通信プロトコルに準拠し得るHARTプロトコルモジュールであり得、EMC 152のうちのいくつかは、APL又はイーサネット(登録商標)物理層を使用するIP通信プロトコルに準拠又は使用し得、EMC 152のうちのいくつかは、FOUNDATIONフィールドバスプロトコルに準拠又は実装するFOUNDATIONフィールドバスモジュールであり得る。I/Oデバイス140の各異なる内部バスは、異なる物理層に関連付けられてもよく、又は準拠してもよく、例えば、HART物理層を使用するHART通信プロトコル、及びAPL物理層を使用するIP通信プロトコル等の異なる通信プロトコルをサポートしてもよい。複数の異なるプロトコル(及び複数の異なる物理層)のサポートは、異なる構成のEMC 152(異なる通信プロトコル及び潜在的に異なる物理層をサポートする)が、スロット149のうちの異なるスロットに挿入され、これらの異なるプロトコル(及び物理層)を使用する異なるフィールドデバイスと通信するように接続されることを可能にする。
【0046】
図2A及び
図2Bを参照して明らかなように、I/Oデバイス140の各下部148は、複数の構成可能チャネルをサポートし、その各々は、個々のEMC 152に対応する。そのような構成は、
図2Cによって提供される例示的なブロック図に示される。
図2Cは、複数のフィールドデバイス102a~102lを示し、フィールドデバイス102a~102lのそれぞれは、対応する電子マーシャリングコンポーネント110a~110lに通信可能に(例えば、有線又は無線方式で)接続される(103a~103l)。電子マーシャリングコンポーネント110a~110lの各々は、それぞれの終端ブロック105a~105lに通信可能に接続され(112a~112l)、終端ブロックは、冗長I/Oプロセッサモジュール108a、108a’に通信可能に結合される(107a~107l)。冗長I/Oプロセッサモジュール108a、108a’は、コントローラ120aに通信可能に接続され(118a)、これは次に、プロセスプラント5のバックエンド環境125に通信可能に接続される(121a)。電子マーシャリングコンポーネント110a~110l、終端ブロック105a~105l、及び冗長I/Oプロセッサモジュール108a、108a’は、I/Oデバイス140内に含まれてもよく、全てキャビネット115a内に収容されてもよい。
図2Cに示す実施形態では、I/Oデバイス140の下部148は、12個のチャネル及び12個のそれぞれの電子マーシャリングコンポーネント(例えば、ECM 110a~110l)をサポートする12個の終端ブロック105a~105lを含むが、他の実施形態では、I/Oデバイス140の下部148は、8個、10個、16個、32個等、より少ない又はより多い電子マーシャリングコンポーネントをサポートしてもよい。実際、I/Oデバイス140の下部148は、最大数のチャネル及びそれぞれの電子マーシャリングコンポーネントをサポートするように構成されてもよいが、特定の時点では、最大数のチャネル及び電子マーシャリングコンポーネントのサブセットのみに接続されてもよい。例えば、
図2Bの例示的なI/Oデバイス140では、下部148は、最大12チャネル(例えば、終端ブロック150a~150lに対応する)を物理的にサポートすることができ、したがって、任意の時間に最大12個のECM 150を受信することができるように示されているが、
図2Bに示される特定の時間において、下部148は、例えば、係合されたECM 152b~152e及びECM 152g~152hを介して、12チャネルのうちの6つのみをサポートしている。また、
図2Bに示すように、各I/Oプロセッサモジュール145は、I/Oプロセッサモジュール145が最大12チャネルにわたるI/O信号のルーティングをサポートすることができるので、マルチチャネルI/Oプロセッサモジュール145である。同様に、
図2Cに示される各I/Oプロセッサモジュール108a、108a’も、複数のチャネルをサポートする。
【0047】
プロセスプラント5のいくつかの部分は、電子マーシャリングブロック又はデバイス140が、それぞれのEMC 152を有する1つ以上の下部148にそれぞれ結合された1つ以上のI/Oカードベース又はキャリア上部142を含む、
図2A~
図2Cに関して説明したような集中マーシャリングキャビネット(例えば、
図2Aに示すキャビネット115a)を含んでもよいが、本明細書で説明するプロセスプラント5は、マーシャリングブロック140のコンポーネントの全てを単一のキャビネット又は場所に集中させない1つ以上の分散型EMCネットワークを追加又は代替として含んでもよい。代わりに、上部142は、1つの場所(例えば、マーシャリングキャビネット115a内)に配置されてもよく、一方、EMC 152及びI/Oカードベース又はキャリアの支持下部148(説明されるように)は、I/Oカードキャリアの上部142から遠隔に配置され、プロセスプラント5のフィールド環境122全体にわたって分散されてもよい。
【0048】
図2Dは、そのような分散型EMCシステムにおけるI/Oヘッドエンド200のブロック図を示す。ヘッドエンド200は、
図2Bに示すI/Oカードキャリアの上部142と同じ機能の多くを実行する、すなわち、ヘッドエンド200は、上述したように、フィールドデバイス及び1つ以上のコントローラの両方と通信するペアの冗長I/Oプロセッサモジュール202、202’を担持する(及び通信可能に接続される)。I/Oプロセッサモジュール202、202’の各々は、I/Oカード202、202’を動作させるためのコンピュータ可読命令を記憶し得る、及び/又はコントローラから1つ以上のフィールドデバイスに、若しくは1つ以上のフィールドデバイスからコントローラに通信されるデータを一時的に記憶し得る、それぞれのメモリデバイス203、203’を含んでもよい。それに加えて、又はその代わりに、メモリデバイス208は、I/Oプロセッサモジュール202、202’を動作させるための、I/Oカード202、202’間の冗長性を調整するための、ヘッドエンド200とそれに接続された他のデバイスとの間の通信を調整するための(以下で説明するような)コンピュータ可読命令を記憶し得る、かつ/又はコントローラから1つ以上のフィールドデバイスに、又は1つ以上のフィールドデバイスからコントローラに通信されるデータを一時的に(例えば、データベースに)記憶し得る。最後に、プロセッサ205は、メモリデバイス208に結合されてもよく、メモリデバイス208からデータを記憶及び/又は取り出し、I/Oプロセッサモジュール202、202’を制御し、種々の通信ポートを介して通信する目的で、そこに記憶されたコンピュータ可読命令を実行してもよい。
【0049】
1つ以上の通信ポート207は、例えば、ヘッドエンド200を1つ以上のコントローラ(例えば、コントローラ120a)に、プラント5のフィールド環境122に配置された他のプロセス制御システムコンポーネントに、及び/又はプラント5のバックエンド環境125に配置された他のプロセス制御システムコンポーネントに結合し得る。1つ以上の通信ポート207は、任意の適切な通信プロトコルを実装する任意の適切な通信ポートを含んでもよいが、一実施形態では、イーサネット(登録商標)通信を実装するイーサネット(登録商標)ポートである。追加の通信ポート204、206、209a、及び209bは、ヘッドエンド200と1つ以上の分散型電子マーシャリングモジュール210との間の通信を容易にし、その各々は、I/Oデバイス140の下部148のそれぞれのインスタンス又は実施形態を実装し得る。通信ポート204及び206は、例えば、主に出力ポート及び入力ポートとしてそれぞれ機能し得、ポート204は、ヘッドエンド200から分散型マーシャリングモジュール210にデータを伝送し、ポート206は、ヘッドエンド200において分散型マーシャリングモジュール210からデータを受信する。いくつかの状況では、単一の通信ポート(例えば、ポート204、206、209a、209bのうちの1つ)が、特定の分散型マーシャリングモジュール210及びヘッドエンド200に関して入力ポート及び出力ポートの両方として機能し得る。
【0050】
更に、
図2B~
図2Dは、異なるタイプの通信プロトコルをサポートする複数のタイプの物理層をサポートすることができるI/Oデバイス140に関して上記で説明されているが、
図2B~
図2Dに関して説明された原理及び技術は、HART準拠物理層のみ、又はフィールドバス通信プロトコル及び物理層のみ等、1つのタイプの物理層のみをサポートするI/Oデバイスに容易に適用され得ることが理解される。例えば、
図1のI/Oカード26及び/又はI/Oカード28は、1つのタイプの通信プロトコル及び物理層のみをサポートするI/Oデバイス140の実施形態であってもよい。単一プロトコル/物理層実施形態では、I/Oデバイス140は、それぞれのプロトコル/物理層をサポートするために単一タイプの内部バスのみを含んでもよく、又はI/Oデバイス140は、複数の内部バスを含むが、フィールドデバイスとコントローラとの間の信号の送達をサポートするために内部バスのうちの1つのみを利用してもよい。
【0051】
図3は、本明細書に記載される例示的なシンプレックスI/Oコンポーネント300のブロック図を示し、交換のための技術の実施形態が実装され得る非中断的シンプレックスI/Oコンポーネントのブロック図を示す。本明細書で一般的に利用される「I/Oコンポーネント」は、プロセス制御システム内でI/O機能の少なくとも一部分を実行し、プラント担当者がユニットとして取り外して交換することができる物理ユニット、例えば、I/O回路基板、単一チャネルI/Oカード又はプロセッサモジュール、マルチチャネルI/Oカード又はプロセッサモジュール、電子マーシャリングコンポーネント(EMC)、I/O信号コンディショナ、CHARM等を指す。そのようなI/Oコンポーネントは、プロセス制御システム内の重複又は他のユニットが、シンプレックスI/Oコンポーネント300が故障したときにシンプレックスI/Oコンポーネント300の代わりに(例えば、自動的に)に切り替えて利用することができる場合、「シンプレックスI/Oコンポーネント」(本明細書では交換可能に「非冗長I/Oコンポーネント」又は「非冗長又はシンプレックスI/Oコンポーネント」とも呼ばれる)である。例えば、シンプレックスI/Oコンポーネント300は、プロセスプラント5に含まれ、それぞれのI/O機能を実行し、プロセス制御システムがシンプレックスI/Oコンポーネント300によって提供されるI/O機能のフォールトトレラント動作のための対応する冗長な物理ユニット(例えば、「ホットスペア」)を有しない、EMC 110a又はI/O処理モジュール108aであってもよい。一般的に言えば、
図2Bに示される冗長I/Oプロセッサモジュール145のペア及び
図2Dに示される冗長I/Oプロセッサモジュール202、202’のペアとは対照的に、シンプレックスI/Oコンポーネント300によって提供されるI/O機能のフォールトトレラント動作は可能ではない。すなわち、シンプレックスI/Oコンポーネント300が完全な障害を経験するとき、通常動作(例えば、シンプレックスI/Oコンポーネント300が提供するランタイムI/O機能)が再開され得る前に、それは交換又は修復されなければならない。説明を容易にするが、限定しないことを目的として、シンプレックスI/Oコンポーネント300は、
図1及び
図2A~
図2Dを同時に参照して本明細書で説明される。
【0052】
図3に示すように、例示的なシンプレックスI/Oコンポーネント300は、シンプレックスI/Oコンポーネント300をフィールドデバイス102a等のフィールドデバイスに通信可能に接続する(303a)第1の通信インターフェース302aを含み、シンプレックスI/Oコンポーネント300は、シンプレックスI/Oコンポーネント300をI/Oサブシステム308に通信可能に接続する(303b)第2の通信インターフェース302bを含む。実施形態において、通信可能な接続303a、303bの一方又は両方は、(例えば、中間ノードを有さない)直接接続である。一般的に言えば、I/Oサブシステム305は、シンプレックスI/Oコンポーネント300と共に動作するときに、フィールドデバイス102aへ/からI/O信号を送達するように集合的に動作する1つ以上の他のコンポーネントを含む。例えば、I/Oサブシステム305は、シンプレックスI/Oコンポーネント300と、I/Oデバイス140をコントローラ120aに通信可能に接続するリンク118aとの間に通信可能に配設されたI/Oデバイス140のコンポーネントを含んでもよい。実際、一般的な意味では、I/Oサブシステム305は、シンプレックスI/Oコンポーネント300をコントローラ120aに通信可能に接続し、コントローラ120aは、シンプレックスI/Oコンポーネント300及びI/Oサブシステム305を介して、フィールドデバイス102aによって生成されたデータを受信し、受信したデータに基づいて制御信号を生成し、制御信号をフィールドデバイス102a、別のフィールドデバイス、又は別のコントローラに送信して、プロセスプラント5内の工業プロセスの動作を制御するプロセスコントローラ又はSISコントローラであってもよい。
【0053】
したがって、I/Oサブシステム305は、本明細書で一般的に言及されるように、シンプレックスI/Oコンポーネント300とコントローラ120aとの間に配設されるI/Oハードウェア及びソフトウェアコンポーネントを集合的に指す。例えば、シンプレックスI/Oコンポーネント300がECM 152である場合、I/Oサブシステム305は、それぞれの終端ブロック150、I/Oデバイス140の下部148及び上部142、I/Oプロセッサモジュール145、並びに(利用される場合)I/Oヘッドエンド200を含み得る。すなわち、ECM 152以外のI/Oデバイス140の1つ以上のコンポーネントは、I/Oサブシステム305を含んでもよい。シンプレックスI/Oコンポーネント300が
図2BのI/Oプロセッサモジュール145であるか、又はヘッドエンドユニット200に含まれるI/Oプロセッサモジュール202である別の例では、I/Oサブシステム305は、I/Oプロセッサモジュール145、202に関して、ヘッドエンドユニット200のメモリ208及びプロセッサ205を含んでもよい。すなわち、ヘッドエンドユニット200は、I/Oサブシステム305を含んでもよい。一般的に言えば、シンプレックスI/Oコンポーネント300をコントローラ120a及び/又はプロセスプラント5の他のコンポーネントに通信可能に接続するI/Oサブシステム305は、典型的には、少なくとも1つのメモリ及び少なくとも1つのプロセッサを含む。
【0054】
I/Oサブシステム305と同様に、シンプレックスI/Oコンポーネント300自体は、1つ以上のプロセッサ308と、1つ以上のメモリ310と、1つ以上のメモリ310に記憶され、1つ以上のプロセッサ308によって実行可能なシンプレックスI/Oコンポーネント交換命令312のセットとを含んでもよい。加えて、シンプレックスI/Oコンポーネント300の1つ以上のメモリ310は、シンプレックスI/Oコンポーネント300の動作の現在の状態315を記憶し、状態315は、種々の条件の検出に基づいて命令312によって変更され得る。いくつかの状況では、命令312は、本明細書の他の場所でより詳細に説明されるように、シンプレックスI/Oコンポーネント300に、状態315の変化に基づいてその動作及び/又は挙動を修正させるようにプロセッサ308によって実行可能であり得る。
【0055】
シンプレックスI/Oコンポーネント300はまた、ユーザインターフェース318を含み、これは、実施形態では、ユーザが入力を入力し得る単一の物理インターフェースユニットを含んでもよく、又は、例えば、
図3においてユーザインターフェース318a、318bによって示されるように、ユーザが入力を入力し得る複数の物理インターフェースユニットを含んでもよい。ユーザインターフェース318は、タッチスクリーン、キーパッド又はキーボード、マウス、ダイヤル、スイッチ、押しボタン、1つ以上のセンサ(光センサ、音声センサ、熱センサ、タッチセンサ等)、無線トランシーバ等、ユーザがシンプレックスI/Oコンポーネント300に入力を直接提供することができる任意のタイプのインターフェースを含んでもよい。一般的に言えば、ユーザインターフェース318を介して受信されたユーザ入力は、本明細書の他の箇所でより詳細に説明されるように、いくつかの状況において、シンプレックスI/Oコンポーネント300の動作及び挙動を修正してその非中断的交換をサポートすることができる命令を示し得る。
【0056】
例示的なシナリオでは、1つ以上のプロセッサ308は、メモリ310に記憶された命令312を実行して、シンプレックスI/Oコンポーネント300に、第1の通信インターフェース302aを介してフィールドデバイス102aによって生成されたデータを取得させ、取得されたデータを第2の通信インターフェース302bを介してI/Oサブシステム305に送信させ得る。いくつかの状況では、フィールドデバイス102aによって利用される通信フォーマット、プロトコル、及び/又は物理層は、I/Oサブシステム305によって利用される通信フォーマット、プロトコル、及び通信層とは異なり、これらの状況では、シンプレックスI/Oコンポーネント300は、例えば、本明細書の他の場所で説明されるような方式で、変換及び/又は変換されたデータをI/Oサブシステム305に送信する前に、受信されたフィールドデバイスデータを変換又は変換し得る。
【0057】
1つ以上のプロセッサは更に、シンプレックスI/Oコンポーネント交換命令312を実行して、シンプレックスI/Oコンポーネント300に、それ自体の非中断的交換をサポートするように動作させ得る。典型的には、既知のプロセス制御システムでは、シンプレックスI/Oコンポーネントを交換する必要があるとき(サブコンポーネント障害、標準交換間隔の満了、又は他の何らかの理由等により)、I/Oコンポーネントを物理的に交換する行為は、I/O信号を送達するためにシンプレックスI/Oコンポーネントを利用する通常のプロセス動作を大幅に中断させる(又はいくつかの場合では停止させる)可能性がある。すなわち、既知のプロセス制御システムにおいて、シンプレックスI/Oコンポーネントの交換は、シンプレックスI/Oコンポーネントがその一部分であるプロセス制御ループの動作に対して、いくつかの場合では工業プロセス自体に対して、破壊的であり得る。例えば、既知のプロセス制御システムでは、シンプレックスI/Oコンポーネントを交換するために、技師又は他のプラント担当者は、シンプレックスI/Oコンポーネントが物理的に交換又は修復されている間に、I/O信号が一時的バイパスを介してフィールドデバイス102aとの間で送達され得るように、シンプレックスI/Oコンポーネントの周りの一時的バイパスを手動で構成及びセットアップしなければならない。このプロセスは主に手動であり、制御ループ(制御ループ100a等)の動作はしばしば正確なタイミングに大きく依存するので、プラント担当者が適切なバイパス手順及びその必要とされるタイミングに従うか又はそれに気づいていないことは、実行中の制御ループ100aにおける不必要な障害につながる可能性があり、これは、プロセスプラント5の動作に対して著しい望ましくない遅延、トリップ、及び/又は他の望ましくない影響をもたらす可能性がある。一方、本明細書に記載の非中断的シンプレックスI/Oコンポーネント交換技術の実施形態は、シンプレックスI/Oコンポーネントを交換又は修復するときに一時的バイパスを構成及び利用することを必要とせず、したがって、一時的バイパスを確立することによって被るリスクを低減するだけでなく、I/Oコンポーネント300が含まれる実行制御ループ100aに対する中断を最小限にして、又はいくつかの場合では中断せずに、シンプレックスI/Oコンポーネント300を交換又は修復することも可能にする。
【0058】
説明するために、シンプレックスI/Oコンポーネント300がフィールドデバイス102aとコントローラ120aとの間でI/O信号を送達するように動作している例示的なシナリオを検討する。通常動作中、シンプレックスI/Oコンポーネント300は、その現在の状態315を「稼働中(IN-SERVICE)」、「通常(NORMAL)」、又は等価物として維持する。稼働中状態にある間、I/Oコンポーネント300は、フィールドデバイス102によって生成されたデータ又は値を(例えば、通信インターフェース302aを介して)受信し、フィールドデバイス102によって生成された受信データ又は値を示す信号を(例えば、通信インターフェース302bを介して)コントローラ120aに、コントローラ120aによって予想される速度又は他のタイミングで伝送する。したがって、いくつかのコントローラ構成では、I/Oコンポーネント300は、受信されたフィールドデバイス値を保持、キャッシュ、又は一時的に記憶し(320)、コントローラ120aがフィールドデバイス値を受信することを予想する時間に(例えば、指定されたタイムスロット中に、又は何らかの指定された時間に)、記憶された値をコントローラ120aに伝送し得る。直近に受信されたフィールドデバイス値を伝送した後、I/Oコンポーネント300は、以前に記憶された値320をそのメモリから排除してもよい。ストリーミング及び/又はパブリッシュ-サブスクライブ機構をサポートするコントローラ等の他のコントローラ構成では、I/Oコンポーネント300は、データのストリーミング及び/又はパブリッシュをサポートするために必要とされる最小限のキャッシング以外の任意のフィールドデバイス値を記憶又はキャッシュしなくてもよい。
【0059】
いずれにしても、この例示的なシナリオでは、シンプレックスI/Oコンポーネント300は、その動作及び/又はそのサブコンポーネントのうちの1つにおける部分的な劣化を検出し、部分的な劣化は、シンプレックスI/Oコンポーネント300を動作不能にしない。例えば、I/Oコンポーネント300は、フィールドデバイスデータが通信インターフェース302aから通信インターフェース302bに配信される2つの冗長内部経路322a、322bのうちの1つが故障したことを検出してもよく、一方、他の内部経路322a、322bは、フィールドデバイスデータを通信インターフェース302aから通信インターフェース302bに送達し続け、その結果、コントローラ120aは、I/Oサブシステム305を介して、コントローラ120aがフィールドデバイスデータを受信することを予想するときにフィールドデバイスデータを受信し続ける。追加又は代替として、I/Oコンポーネント300は、他の冗長サブコンポーネント障害、性能の低下、異常な自己診断結果の増加、及び/又は回復可能な障害等、I/Oコンポーネント300を動作不能にさせない他のタイプのハードウェア及び/又はソフトウェアの劣化を検出し得るオンボード劣化又は部分障害を検出すると、シンプレックスI/Oコンポーネント300は、その現在状態315を「低可用性(REDUCED AVAILABILITY)」等に変更し、例えば、別のフィールドデータ値を伝送することと併せて、又はI/Oサブシステム305への独立した通信において、その変更又は更新された現在状態をI/Oサブシステム305に通知する。一般に、低可用性状態は、コンポーネント300がフィールドデバイスデータの配信を維持し得る場合であっても、物理的なシンプレックスI/Oコンポーネント300を物理的に交換する必要があることを示し、したがって、シンプレックスI/Oコンポーネント300の完全な障害が差し迫っている可能性があるという指示をプラント担当者に提供し得る。
【0060】
シンプレックスI/Oコンポーネント300が低可用性状態にあることが通知されると、I/Oサブシステム305は、プロセス制御システムの適切なサブシステム、アプリケーション、デバイス、及び/又はユーザインターフェースに通知し、その結果、プロセスプラント担当者は、シンプレックスI/Oコンポーネント300の低可用性状態を通知され、好ましくはコンポーネント300が動作不能になるか又は完全な障害を経験するまで劣化する前に、劣化したシンプレックスI/Oコンポーネント300を物理的に交換する準備をすることができる。いくつかの実装形態では、低可用性状態に入ると、シンプレックスI/Oコンポーネント300は、劣化したシンプレックスI/Oコンポーネント300を交換しようとするプラント担当者が、例えば他のコンポーネントのラック内で、特定の劣化したシンプレックスI/Oコンポーネント300の劣化したシンプレックスI/Oコンポーネントを容易に識別することができるように、そのハウジング上のインジケータ(光又は他の視覚的インジケータ等、
図3には図示せず)をアクティブ化し得る。
【0061】
プラント担当者が、シンプレックスI/Oコンポーネント300の物理的交換と共にシンプレックスI/Oコンポーネント300の場所に到着すると、プラント担当者は、シンプレックスI/Oコンポーネント300の一体型ユーザインターフェース318a、318bを介して、劣化したシンプレックスI/Oコンポーネント300に「交換可能(REPLACEABLE)」動作状態に入るように命令し得る。交換可能状態に入るためのユーザ命令は、シンプレックスI/Oコンポーネント300の特定のタイプのオンボードユーザインターフェース318a、318bによって受信される任意の適切なフォーマットであり得る。例えば、シンプレックスI/Oコンポーネント300に交換可能状態に入るように命令するために、ユーザは、シンプレックスI/Oコンポーネント300のハウジング上に配設された物理スイッチ又はプッシュボタンをアクティブ化又はトグルすること、コンポーネント300によって提供されるタッチスクリーンを介して命令を入力すること、コンポーネント300のハウジングの両側に配設された2つの光センサ318a、318bを同時にアクティブ化すること等ができる。
【0062】
受信された命令に応答して、シンプレックスI/Oコンポーネント300は、その現在の状態315を交換可能に更新し、通信インターフェース302b及びリンク303bを介して、その現在の動作状態が交換可能であることをI/Oサブシステム305に示す。シンプレックスI/Oコンポーネント300は、フィールドデータをI/Oサブシステム305に配信することと併せて、又は別個の通知において、その現在の動作状態に対する更新又は変更を交換可能に示し得る。一般的に言えば、シンプレックスI/Oコンポーネント300の交換可能状態は、I/Oサブシステム305に、シンプレックスI/Oコンポーネント300の物理的な取り外し及び交換が差し迫っていることをI/Oサブシステムに示し、したがって、近い将来の任意の時点で、シンプレックスI/Oコンポーネント300は、I/Oサブシステム305に対して、オフラインになっているように見え得る。すなわち、シンプレックスI/Oコンポーネント300の交換可能状態は、I/Oサブシステム305に、近い将来のある時点で、I/Oサブシステム305がシンプレックスI/Oコンポーネント300からいかなる通信も受信しない可能性があり、シンプレックスI/Oコンポーネント300の予想せぬハード(例えば、完全な又は完全な)障害とは異なり、I/Oサブシステム305の観点からのシンプレックスI/Oコンポーネント(すなわち、物理的なシンプレックスI/Oコンポーネント300の交換)が比較的短い時間量でオンラインに戻ると予想されることを通知する。典型的には、プラント担当者が物理的シンプレックスI/Oコンポーネントを取り外して交換するのに必要な時間は、比較的短い持続時間、例えば、数秒又は数分である。
【0063】
この例示的なシナリオでは、シンプレックスI/Oコンポーネント300は、低可用性状態から交換可能状態に入るが、他のシナリオでは、シンプレックスI/Oコンポーネント300は、稼働中状態から直接交換可能状態に入り得ることに留意されたい。例えば、技師又はプラント担当者は、何らかの理由で、物理シンプレックスI/Oコンポーネント300を先取りして交換し、物理シンプレックスI/Oコンポーネント300をアップグレードし、又はシンプレックスI/Oコンポーネント300を物理的に交換することを望む場合があり、コンポーネント300が正常に動作している間にコンポーネント300の1つ以上のユーザインターフェース318を介してそのように示し得る。これら及び他の状況では、シンプレックスI/Oコンポーネントは、1つ以上の冗長サブコンポーネントを含んでもよく、又はいかなる冗長サブコンポーネントも含まなくてもよい。当然ながら、一般的に言えば、シンプレックスI/Oコンポーネント300は、コンポーネント300が任意の動作状態にある間に交換可能状態に入るために、1つ以上のユーザインターフェース318を介して命令を受信し得る。
【0064】
コンポーネント300が交換可能動作状態にあるという指示をシンプレックスI/Oコンポーネント300から受信すると、I/Oサブシステム305は、その指示325を記憶し得、記憶された指示325がシンプレックスI/Oコンポーネント300が交換可能状態にあることを示している間、I/Oサブシステム305は、一時的なセーフモードでの動作に移行し得る。例えば、交換可能状態にあるシンプレックスI/Oコンポーネント300の記憶された指示325に基づいて、I/Oサブシステム305は、フィールドデバイス102aによって生成され、シンプレックスI/Oコンポーネント300から受信された直近に受信されたデータ値を継続的に一時的に記憶、キャッシュ、又は保持328してもよい。例えば、I/Oコンポーネント300は、フィールドデバイス102aによって直近に生成され、シンプレックスI/Oコンポーネント300によって受信された少なくとも1つのデータ値を記憶してもよく(320)、コントローラ120aがフィールドデバイス102aによって生成されたデータ値を受信することを予想する持続時間(例えば、構成された周期性、指定されたタイムスロット、又は他の指定された時間間隔)よりも長い持続時間の間、1つ以上の値320をメモリ310に記憶又は保持してもよい。したがって、I/Oサブシステム305がシンプレックスI/Oコンポーネント300からの予想される伝送を受信できない場合、I/Oコンポーネント300が交換可能状態にあるという記憶された指示325に基づいて、I/Oサブシステム305は、記憶されたフィールドデバイスデータ値328をコントローラ120aに、例えば、タイムスロット中に、又はコントローラ120aによって予想される時間に伝送し、それによって、シンプレックスI/Oコンポーネント300が物理的に取り外されて交換されている場合であっても、シームレスで非中断的なプロセス制御ループ100aの動作を維持する。ある意味で、シンプレックスI/Oコンポーネント300が、コンポーネント300が交換可能状態にあることをI/Oサブシステム305に示し、シンプレックスI/Oコンポーネント300がI/Oサブシステム305との通信を停止した場合(例えば、物理ユニットが取り外されて交換されたことにより)、I/Oサブシステム305は、直近に受信したフィールドデバイス値をそのメモリ328から取り出し、コントローラ120aがフィールドデバイス値を受信することを予想するタイムスロット又は期間の間にコントローラ120aに送信する。対照的に、通常の稼働中に、シンプレックスI/Oコンポーネント300がI/Oサブシステム305に交換可能動作状態をI/Oサブシステムに示さず(例えば、シンプレックスI/Oコンポーネント300がI/Oサブシステム305の観点から通常動作状態で動作している)、I/Oサブシステム305がI/Oコンポーネント300から予想される通信を受信できない(例えば、ハード障害又は回復不可能な障害に起因して)場合、I/Oサブシステム305は、シンプレックスI/Oコンポーネント300が「休止中(OUT-OF-SERVICE)」状態にあるという指示を記憶してもよく、代替的な緩和手順及び回復手順を実行してもよい。
【0065】
図4は、本明細書で説明される非中断的シンプレックスI/Oコンポーネント交換のための技術の実施形態が実装され得る例示的なI/Oサブシステム350のブロック図を示す。I/Oサブシステム350は、プロセスプラント5のプロセス制御ループ又は安全計装システムループ内のシンプレックスI/Oコンポーネントとコントローラとの間に通信可能に配設されてもよい。例えば、I/Oサブシステム350は、シンプレックスI/Oコンポーネント300とコントローラ120aとの間に通信可能に配設されたI/Oサブシステム305であってもよい。説明を容易にするが、限定しないことを目的として、例示的なI/Oサブシステム350は、
図1、
図2A~2D及び
図3を同時に参照して本明細書で説明される。
【0066】
図4に示すように、例示的なI/Oサブシステム350は、I/Oサブシステム350をシンプレックスI/Oコンポーネント300等のシンプレックスI/Oコンポーネントに通信可能に接続する(353a)第1の通信インターフェース352aを含み、I/Oサブシステム350は、I/Oサブシステム350をコントローラ120a等のプロセスコントローラ又はSISコントローラに通信可能に接続する(353b)第2の通信インターフェース352bを含む。実施形態において、通信可能な接続353a、353bの一方又は両方は、直接接続(例えば、いかなる中間ノードもない)である。上述したように、I/Oサブシステム350は、シンプレックスI/Oコンポーネント300と共に動作するときに、フィールドデバイス102aへ/からI/O信号を送達するように集合的に動作する1つ以上のコンポーネントを含む。したがって、I/Oサブシステム350は、シンプレックスI/Oコンポーネント300とコントローラ120aとの間に配設されたI/Oハードウェア及びソフトウェアコンポーネントを含んでもよい。
【0067】
図4に示されるように、I/Oサブシステム350は、1つ以上のプロセッサ358と、1つ以上のメモリ360と、1つ以上のメモリ360に記憶され、シンプレックスI/Oコンポーネントの非中断的交換をサポートするために1つ以上のプロセッサ358によって実行可能なシンプレックスI/Oコンポーネント交換命令362のセットとを含んでもよい。加えて、I/Oサブシステム350の1つ以上のメモリ360は、シンプレックスI/Oコンポーネント300の現在の動作状態370を記憶し得、現在の状態370は、種々の条件の検出に基づいて命令362によって追跡され、変更され得る。例えば、
図4に示される現在の動作状態370を記憶する1つ以上のメモリ位置は、
図3に示される現在の動作状態325を記憶するメモリ位置であってもよい。いくつかの状況では、命令362は、本明細書の他の場所でより詳細に説明されるように、シンプレックスI/Oコンポーネント300の現在の追跡された状態370に基づいて、又はそれに対する変化に基づいて、I/Oサブシステム350にその動作及び/又は挙動を修正させるように、1つ以上のプロセッサ358によって実行可能であり得る。更に、交換可能状態等のシンプレックスI/Oコンポーネント300のいくつかの特定の状態370に対して、I/Oサブシステム350は、フィールドデバイス102aによって生成され、シンプレックスI/Oコンポーネント300から受信された少なくとも1つの直近に受信されたデータ値372をそのメモリ360に記憶し、I/Oサブシステム350がシンプレックスI/Oコンポーネント300からフィールドデバイス102aによって生成された別のデータ値を受信するたびに、1つ以上の記憶されたフィールドデバイス値372を継続的に更新する。例えば、
図4に示される1つ以上の直近に受信されたデータ値372を記憶する1つ以上のメモリ位置は、
図3に示される1つ以上の直近に受信されたフィールドデバイスデータ値328を記憶する1つ以上のメモリ位置であり得る。更に、いくつかの実装形態では、I/Oサブシステム350は、I/Oサブシステム350がシンプレックスI/Oコンポーネント300の非中断的交換と共に利用し得るI/Oコンポーネント交換タイマ375を含んでもよい。タイマ375の使用の説明は、本開示の他の場所で提供される。
【0068】
図4は、I/Oサブシステム350を、1つのフィールドデバイス102aと1つのコントローラ120aとの間に通信可能に配設され、したがって単一チャネルをサポートするものとして示しているが、これは、説明を明確にするためのものにすぎないことに留意されたい。いくつかの実施形態(
図4には図示せず)では、I/Oサブシステム350は、複数のフィールドデバイスと種々の制御及び/又はSISループの複数のコントローラとの間に通信可能に配設されてもよく、I/Oサブシステム350は、複数のフィールドデバイスと同じ制御又はSISループ等の単一のコントローラとの間に通信可能に配設されてもよい。すなわち、これらの実施形態では、I/Oサブシステム350は、複数のシンプレックスI/Oコンポーネント300に通信可能に接続されてもよく、複数のループの複数のチャネルにサービスを提供してもよい。これらの実施形態では、I/Oサブシステム350は、それが通信可能に接続される各シンプレックスI/Oコンポーネントのそれぞれの現在の動作状態370を維持してもよく、並びにI/Oサブシステム350によってサービスされている各フィールドデバイス102aの1つ以上の現在の(例えば、直近に受信された)データ値372を記憶してもよい。更に、I/Oサブシステム350は、それが通信可能に接続される各シンプレックスI/Oコンポーネント300に対応するそれぞれの交換タイマ375を含んでもよい。例えば、I/Oサブシステム305は、マルチチャネルI/Oプロセッサモジュール又はカード108aを含んでもよく、それぞれの現在の動作状態、直近に受信されたデータ値、及び任意選択で複数のサポートされたチャネルの各々に対応するそれぞれの交換タイマを記憶及び更新してもよい。
【0069】
上述したように、シンプレックスI/Oコンポーネント交換命令362のセットは、シンプレックスI/Oコンポーネントの非中断的交換をサポートするために、I/Oサブシステム350の1つ以上のプロセッサ358によって実行可能である。命令362の実行を介して実装され得る種々の方法が上記の説明から明らかであるが、一実施形態では、命令362は、工業プロセスプラントのプロセス制御システムのシンプレックスI/Oコンポーネントの非中断的交換のための例示的な方法500を実行するように実行可能であり、そのフロー図が
図5に示されている。例示的な方法500は、例えば、プロセスプラントのプロセス制御システムが工業プロセスを制御するためにランタイム中に実行されている間、及び/又はSISがプロセス制御システム及びプロセスプラントをサポートするためにランタイム中に実行されている間に、I/Oサブシステム305又はI/Oサブシステム350等のプロセス制御システムのI/Oサブシステムによって実行され得る。例えば、I/Oサブシステムは、シンプレックスI/Oコンポーネントを介してフィールドデバイスに通信可能に結合されてもよく、I/Oサブシステムは、シンプレックスI/Oコンポーネントをコントローラに通信可能に結合してもよい。コントローラは、(例えば、シンプレックスI/Oコンポーネント及びI/Oサブシステムを介して)受信されたフィールドデバイスデータに基づいて制御信号を生成し、制御信号をフィールドデバイス、別のフィールドデバイス、又は別のコントローラに送信して工業プロセスの動作を制御するように、制御ロジック又は制御ルーチンを使用して構成され、実行するプロセスコントローラ又はSISコントローラであってもよい。例えば、コントローラ、I/Oサブシステム、シンプレックスI/Oコンポーネント、及びフィールドデバイスは、工業プロセスの少なくとも一部分を制御するように実行する制御ループ内に含まれ得る。説明を容易にするが、限定しないことを目的として、方法500は、
図1、
図2A~
図2D、
図3及び
図4を同時に参照して以下に説明される。更に、いくつかの実施形態では、方法500は、
図5に示され、本明細書で説明されるステップよりも多い、少ない、及び/又は代替のステップを含んでもよい。
【0070】
ブロック502において、方法500は、プロセス制御システムのI/Oサブシステムによって、シンプレックスI/Oコンポーネントが交換可能動作状態(例えば、上述したような)にあるという指示を受信することを含み得る。シンプレックスI/Oコンポーネントが交換可能状態にあるという指示を受信すること(502)は、シンプレックスI/Oコンポーネントが現在交換可能状態にあるか又は交換可能状態に変化したという指示をシンプレックスI/Oコンポーネントから受信することを含んでもよい。例えば、シンプレックスI/Oコンポーネントは、1つ以上のユーザインターフェース318を介してシンプレックスI/Oコンポーネントによって受信されたユーザ命令に応答して交換可能状態に入り得、新しい状態又は状態変化をI/Oサブシステムに示し得、したがって、I/Oサブシステムに指示を受信させる(502)。更に、ブロック502において、方法500は、I/Oサブシステムによって、シンプレックスI/Oコンポーネントが交換可能状態にあるというそれぞれの指示を記憶することを含んでもよい。例えば、I/Oサブシステムは、シンプレックスI/Oコンポーネントの直近の記録された状態の表示を交換可能状態の表示で上書き又は交換することによって、又は他の方法で表示を適切なメモリ位置370に書き込むことによって、シンプレックスI/Oコンポーネントの現在の交換可能動作状態の表示をメモリストレージ370に記憶し得る。
【0071】
シンプレックスI/Oコンポーネントが交換可能状態のままである間、I/Oサブシステムは、コントローラ内で実行される制御ルーチンの構成ごとに予想されるように、及び予想されるときに、伝送(例えば、フィールドデバイスによって生成された値及び/又はフィールドデバイスによって生成された他のデータ、ハートビート又はステータスメッセージ等を含む信号)を受信し続け得、それによって、フィールドデバイス、シンプレックスI/Oコンポーネント、I/Oサブシステム、及びコントローラが含まれる制御ループのランタイム動作を維持する。例えば、制御ループのために構成されるように、フィールドデバイスは、所定のスケジュールで(例えば、1つ以上の周期的に生じるタイムスロット中に、又は周期的に再発生してもしなくてもよい1つ以上の特定の時間に)データ値を伝送してもよく、フィールドデバイスは、フィールドデバイスにおける何らかの値又は状態が変化したときのみ(例えば、イベントベースで)データを伝送又は送信してもよく、又はフィールドデバイスは、データ値がフィールドデバイスによって検知又は生成されるにつれて、データ値をストリーミングしてもよい。いずれにしても、フィールドデバイスがデータ値を生成してシンプレックスI/Oコンポーネントに伝送するとき、シンプレックスI/Oコンポーネントは、交換可能状態にあるが、受信したフィールドデバイスデータ値をI/Oサブシステムに提供する通常のランタイム動作を継続する(例えば、本明細書の他の箇所で説明したような方式で)。更に、I/Oサブシステムは、受信したフィールドデバイスデータ値をコントローラに提供するその通常のランタイム動作を継続し、それによって、制御ループの通常のランタイム実行を維持する。
【0072】
しかしながら、ブロック505において、方法500は、シンプレックスI/Oコンポーネントが交換可能状態にあることに基づいて(例えば、I/Oサブシステムにおいてローカルに記憶された状態370によって示されるように)、I/Oサブシステムはまた、フィールドデバイスによって生成され、シンプレックスI/Oコンポーネントから直近に受信された少なくとも1つの値を継続的に記憶又は記録する(例えば、別のメモリ記憶位置372に)ことを含んでもよい。実際に、I/Oサブシステムは、I/OサブシステムがシンプレックスI/Oコンポーネントから新しい又は更新されたフィールドデバイスデータ値を受信すると、1つ以上の記憶された直近に受信されたフィールドデバイス値372を更新し得る。
【0073】
ブロック508において、方法500は、フィールドデバイスによって生成された直近に受信されたデータ値を記憶すること505に続いて、I/Oサブシステムによって、予想される伝送又は信号をシンプレックスI/Oコンポーネントから受信することの失敗を検出することを含み得る。例えば、I/Oサブシステムは、シンプレックスI/Oコンポーネントから、フィールドデバイス値が含まれる予想される伝送又は信号を受信することができない場合があり、I/Oサブシステムは、シンプレックスI/Oコンポーネントから予想されるハートビート信号を受信することができない場合がある等である。例えば、I/Oサブシステムは、伝送が予想される時間(任意のバッファ又はヒステリシス待ち時間を含む)にシンプレックスI/Oコンポーネントから伝送を受信しない場合がある。すなわち、I/Oサブシステムは、シンプレックスI/Oコンポーネントが通信不能であることを検出し得る。典型的には、I/Oシンプレックスコンポーネントが交換可能状態にある間に予想される伝送508を受信できないことは、プラント担当者がシンプレックスI/Oコンポーネントを物理的に取り外し、交換物理シンプレックスI/Oコンポーネントがまだ設置/挿入されていない、及び/又はまだ完全に初期化されていないときに起こり得る。
【0074】
シンプレックスI/Oコンポーネントからの予想される伝送の受信の失敗を検出すると(508)、シンプレックスI/Oコンポーネントの記憶された状態370を「休止中」、「切断(DISCONNECTED)」、又は等価物に変更し、コントローラへの任意のフィールドデバイス値の提供を停止するのではなく、代わりに、シンプレックスI/Oコンポーネントの交換可能状態の記憶された指示(例えば、メモリ位置370内)に基づいて、方法500は、ブロック510において、フィールドデバイスによって生成された記憶された直近に受信されたデータ値を(例えば、メモリ位置372から)取り出し、取り出されたデータ値をコントローラに送信又は他の方法で提供し、それによって、非通信可能シンプレックスI/Oコンポーネントにもかかわらずランタイム制御ループ動作を継続又は維持することを含み得る。例えば、ブロック510において、I/Oサブシステムは、例えば、コントローラがフィールドデバイスデータを受信するように構成されている時間に、又はその時間間隔中に、直近に受信されたフィールドデバイスデータ値を(例えば、メモリ位置372から)取り出し、コントローラに伝送し得る。更に、方法500は、1つ以上の予想される伝送がシンプレックスI/Oコンポーネントから受信されていない場合であっても、シンプレックスI/Oコンポーネントが交換可能状態にあるという指示を(例えば、メモリ位置370に)記憶し続けることができる(505)。例えば、I/Oコンポーネント300は、コントローラ120aがフィールドデバイス102aによって生成されたデータ値を受信することを予想する持続時間(例えば、構成された周期性、指定されたタイムスロットの再発生、又は他の指定された時間間隔)よりも長い持続時間にわたって1つ以上のフィールドデバイス値372を記憶又は保持し得る。コントローラがフィールドデバイス102aによって生成されたデータ値を受信することを予想する第2のタイムスロット又は指定された時間が発生し、シンプレックスI/Oサブシステムが依然として交換可能状態にあると示されている場合(370)、I/Oサブシステムは、I/Oサブシステムにおいてローカルに記憶されている(372)直近に受信されたフィールドデバイス値を再び取り出し、送信し得る(510)。
【0075】
I/Oサブシステム305が、タイムスロット中に、又はコントローラ120aがフィールドデバイス値(例えば、構成されたとおり)を受信することを予想する時間に、フィールドデバイス値をコントローラ120aに提供し続けると、シンプレックスI/Oコンポーネント300が(例えば、物理的に交換されていることに起因して)通信不能であっても、コントローラ120aは、提供されたフィールドデバイス値に基づいて制御ルーチンの実行を継続して、I/Oサブシステム305によって提供された取り出された直近に受信されたフィールドデバイス値に基づいて制御ループの実行を維持する(例えば、工業プロセスを制御する)ことができる。実際に、本明細書に開示される新規の技術では、コントローラ120aは、シンプレックスI/Oコンポーネントが物理的に交換されていることさえ認識していない場合がある。
【0076】
更に、プラント担当者又はフィールド技師がシンプレックスI/Oコンポーネントを物理的に取り外し、交換し、初期化するのに必要な時間は最小限であり(例えば、典型的には、わずか数分、例えば10、5、3、又は2分未満、又はいくつかの状況では、数秒、例えば1分未満、30秒未満等)、本明細書に記載の技術を使用することにより、技師は、例えば技師がフィールド122におり、交換されるコンポーネント300に物理的に近接しているときに、シンプレックスI/Oコンポーネント300のユーザインターフェース318を介して直接指示することによって、シンプレックスI/Oコンポーネントの差し迫った物理的な取り外し及び交換の事前通知(例えば、I/Oサブシステム)を提供する。したがって、ほとんどの状況において、コントローラ120aにおいて実行される制御ルーチン又は制御ロジックの正常な実行を維持するために(及びそれによって制御ループの正常な動作を維持するために)、I/Oサブシステム305は、交換シンプレックスI/Oコンポーネントが完全に初期化され、フィールドデバイスによって生成される実際のライブデータ値の提供を再開するためにオンラインになる前に、記憶されたフィールドデバイス値をコントローラ120aに一度だけ(例えば、指定されたタイムスロットの1回だけの発生の間に、又はコントローラがフィールドデバイス値を受信することを予想する1つの特定の時間だけ)提供する必要があるだけであり得る。いくつかの場合では、I/Oサブシステム305は、交換シンプレックスI/Oコンポーネントが完全に初期化され、オンラインになって、フィールドデバイスによって生成された実際のライブデータ値の提供を再開する前に、コントローラ120aに記憶されたフィールドデバイス値を最大2回(例えば、コントローラ120aがフィールドデバイス値を受信すると予想される指定されたタイムスロット又は特定の時間の最大2回の後続の発生の間に)提供するだけでよい。更に、I/Oサブシステムが、以前に取得され記憶されたフィールドデバイス値(フィールドデバイスによって生成され、フィールドデバイスからリアルタイムで取得されるフィールドデバイス値ではない)をコントローラに送信しても、制御ループは、典型的には、偶発的な逸脱、範囲外、又は不正確なフィールドデバイス値(並びに他のタイプの異常)を吸収するように構成され、その結果、制御ループは、プロセスが制御不能になることなく、及び/又は安全トリップ等の中断的緩和アクションが発生することなく、制御ループの動作を許容範囲内に維持することができる。また更に、制御ルーチン及び制御ループ構成の堅牢性により、コントローラは、交換シンプレックスI/Oコンポーネントが「稼働中」動作状態に完全に初期化され、コントローラへの送達のためにライブフィールドデバイスデータ値をI/Oサブシステムに伝送し始めた後に、フィールドデバイスによって生成された実際の又はライブデータ値に基づいて、制御ループの実行を回復、再較正、及び/又はより正確に制御することができる。対照的に、現在利用されているシンプレックスI/Oコンポーネント交換技術は、単にこれらの利点を提供することができない。例えば、現在の技術を使用して、フィールド技師は、実行プロセスを監視しているバックエンド環境オペレータと調整して、ターゲットシンプレックスI/Oコンポーネントのための手動バイパスのインストール及び使用、並びにその後の手動バイパスの取り外し及び交換シンプレックスI/Oコンポーネントへの移行を構成し、時間を合わせ、実行しなければならず、したがって、実行プロセスを中断させるトリッピング及び/又は他のシステム動作の著しいリスクを被る。
【0077】
一方、本明細書に開示される新規な技術を使用することによって、フィールド技師は、シンプレックスI/Oコンポーネントの差し迫った交換を、シンプレックスI/Oコンポーネントのユーザインターフェース318を介してそのような表示を提供することによってシステムに通知し、次いでシンプレックスI/Oコンポーネントを単に取り外して交換するだけでよい。手動バイパスは不要であり、制御システムオペレータとの協調は不要であり、追加のバイパスハードウェア及び/又はソフトウェアをインストール及びアンインストールする必要はない。本明細書で説明される技術を使用して、システムは、シンプレックスI/Oコンポーネント交換の事前通知を有し、したがって、コンポーネントが取り外し及び交換をされている間、制御ループに対して非中断的であるモードで動作するように自動的に移行し、したがって、工業プロセスに対して中断的であるトリップ及び他のシステム応答のリスクを低減又は排除する。更に、シンプレックスI/Oコンポーネントを取り外して交換するのに必要な総経過時間及び人員は、現在の交換技術を実行するのに利用される時間及び人員に比べて大幅に削減される。
【0078】
いずれにしても、再び
図5に戻ると、いくつかの実施形態では、方法500は、シンプレックスI/Oコンポーネントが交換可能状態にあるという指示を受信すると(502)、タイマをアクティブ化すること(図示せず)を更に含んでもよい。例えば、I/Oサブシステム350は、シンプレックスI/Oコンポーネントが交換可能状態にあることを記録する(370)と、タイマ375をアクティブ化し得る。タイマ持続時間は、例えば、構成され、変更可能であり得る。一般的に言えば、タイマは、シンプレックスI/Oコンポーネントが継続的に交換可能状態にある(かつ終了していない)と永続的に(かつおそらく誤って)閲覧することから、I/Oサブシステムを保護し得る。例えば、I/Oサブシステムが、アクティブ化されたタイマが満了する前にシンプレックスI/Oコンポーネントから別の伝送を受信した場合、方法500は、タイマを非アクティブ化することと、シンプレックスI/Oコンポーネントが交換可能状態にあるという記憶された指示370をクリアすることと、シンプレックスI/Oコンポーネントが現在受信された伝送に対応する動作状態(例えば、稼働中)にあるという指示を任意選択で記憶すること370とを含んでもよい。別の例では、シンプレックスI/Oコンポーネントから何らかの伝送を受信する前にタイマが満了した場合(例えば、シンプレックスI/Oコンポーネントが通信不能のままである場合)、方法500は、シンプレックスI/Oコンポーネントが交換可能状態にあるという記憶された指示をクリアすること370と、シンプレックスI/Oが休止中状態にあるという指示を任意選択で記憶すること370と、回復及び/又は緩和手順を開始することとを含んでもよい。当然ながら、方法500は、他のイベントの発生を検出すると、タイマ375を非アクティブ化し、交換可能状態にあるシンプレックスI/Oコンポーネントの記憶された指示370をクリアし、それによって、記憶されたシンプレックスI/Oコンポーネント動作状態370の忠実度を保証し、シンプレックスI/Oコンポーネントの物理的交換中にシンプレックスI/OコンポーネントとI/Oサブシステムとの間で発生し得る任意の競合状態から保護することを含んでもよい。
【0079】
同様に、I/Oサブシステムは、他のイベントの発生を検出すると、シンプレックスI/Oコンポーネントが交換可能状態にあるという記憶された指示370を応答的にクリアし得る。例えば、I/Oサブシステムによって、シンプレックスI/Oコンポーネントがオンライン(バック)である(例えば、初期化されて稼働中状態にある、及び/又は再び実際のフィールドデバイスデータ値をリアルタイムで提供している)という指示を受信すると、I/Oサブシステムは、シンプレックスI/Oコンポーネントが交換可能状態にあるという記憶された指示370をクリアし得、任意選択で、シンプレックスI/Oコンポーネントが稼働中状態にあることを記録370し、任意の記憶された直近に受信されたフィールドデータ値372をクリアし得る。
【0080】
方法500は、I/Oサブシステムによって実行されるものとして上記で説明されていることに留意されたい。当業者であれば、方法500に関して説明される技術のいずれか及び全てが、コントローラにおいて、又は安全計装システムコントローラ若しくは論理ソルバにおいて実装され得ることを理解するであろう。例えば、
図1を参照すると、コントローラ11及びフィールドデバイス82が、パケットベースのプロトコルをサポートする高度な物理層又は他の物理層を介して通信可能に接続されるとき、コントローラ11は、本明細書に開示される技術のうちの少なくともいくつかを実行し得る。
【0081】
その他の考慮事項
本明細書で説明される装置、システム、及び方法は、プロセス制御システム5に関して説明されるが、本明細書で説明される装置、システム、及び方法のうちの任意の1つ以上は、Emerson Automation Solutionsによって提供されるDeltaV SIS(商標)製品等のプロセス制御プラントのプロセス制御安全情報システムに等しく適用可能であることに留意されたい。例えば、スタンドアロンプロセス制御安全システム又は統合制御安全システム(「ICSS」)は、本明細書に説明される装置、システム、及び方法のうちの任意の1つ以上を使用して構成されてもよい。
【0082】
加えて、ソフトウェア(例えば、コンピュータ可読命令)に実装される場合、本明細書に記載されるアプリケーション、サービス、及びエンジンはいずれも、コンピュータ若しくはプロセッサのRAM若しくはROM等における磁気ディスク、レーザディスク、固体メモリデバイス、分子メモリ記憶デバイス、又は他の記憶媒体等の、任意の有形の非一時的コンピュータ可読メモリに記憶され得る。本明細書に開示される例示的システムは、他のコンポーネントの中でも、ハードウェア上で実行されるソフトウェア及び/又はファームウェアを含むように開示されているが、そのようなシステムは単に例示的であるに過ぎず、限定的であると見なされるべきではないことに留意されたい。例えば、これらのハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアコンポーネントのうちのいずれか又は全てが、排他的にハードウェア内で、排他的にソフトウェア内で、あるいはハードウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせで具現化され得ることが企図される。したがって、本明細書で説明された例示のシステムは、1つ以上のコンピュータ機器のプロセッサ上で実行されたソフトウェアに組み込まれるとして説明されているが、当業者においては、提供された例が、そのようなシステムを実施するための唯一の方法ではないことが容易に理解されよう。
【0083】
したがって、本発明は具体的な例に関して記載されてきたが、これらの例は例示的であるに過ぎず、本発明の限定であることを意図せず、変更、追加、又は削除が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示される実施形態に対して行われ得ることが当業者には明らかであろう。更に、先述のテキストは、数多くの異なる実施形態の詳細な説明を述べているが、本特許の範囲は、本特許の終わりに述べられた特許請求の範囲の文言及びその等価物によって定義されることが理解されるべきである。詳細な説明は、単に例示的なものとして解釈されるべきであり、全ての可能な実施形態を説明することは、不可能ではない場合でも非現実的であるので、全ての可能な実施形態を説明するものではない。数多くの代替の実施形態は、現在の技術又は本特許の出願日以降に開発された技術のいずれかを用いて実施されることができ、これらは依然として特許請求の範囲及びその全ての等価物内に含まれる。
【0084】
任意の具体的な実施形態の特定の特色、構造、及び/又は特性は、他の特色の対応する使用を伴う、又は伴わない選択された特色の使用を含む、任意の適切な方式で、かつ1つ以上の他の実施形態との任意の適切な組み合わせで、組み合わせてもよい。本明細書に記載及び図示された本開示の実施形態の他の変形及び修正が、本明細書の教示に照らして可能であり、本開示の趣旨及び範囲の一部分と見なされるべきであることを理解されたい。
【外国語明細書】